説明

電子部品モジュール

【課題】落下等の衝撃によって、外部端子パッドが基板から剥離する外部端子パッド剥離や、外部端子パッドから半田が剥離するソルダ剥離を防止又は抑制することができる電子部品モジュールを提供する。
【解決手段】電子部品モジュール2が、電子部品4と、前記電子部品4を第1の主面3上に搭載し、前記電子部品4からなる電子回路装置6が電気的に接続された複数の外部端子パッド8が第2の主面9上に形成された基板10を有し、前記複数の外部端子パッド8の一部又は全部が、前記第2の主面9を保護するレジスト20によって周端部が部分的に覆われた第1の金属層と、側面を含む前記第1の金属層の露出面に形成された第2の金属層からなる強化外部端子パッド8であること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品モジュールに関し、特にマザーボードに実装するための外部端子パッドを有する電子部品モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機等の移動通信機器のマザーボードには、多くの電子部品モジュール(送信モジュール等)が実装されている。
【0003】
マザーボードすなわち電子装置が形成される主要な配線基板の主面には配線が設けられ、この配線の端には、電子部品モジュールや電子部品の端子が半田付けされるパッドが設けられる。
【0004】
このような電子部品モジュールは、プリント配線基板(Printed Circuit Board)を土台として形成される。電子部品モジュールを形成するプリント配線基板(以下、基板と呼ぶ)の上面には、集積回路装置やチップ部品等の電子部品が実装され、その下面に外部端子パッドが設けられる。この外部端子パッドがマザーボードに設けられたパッドに半田付けされることによって、電子部品モジュールがマザーボードに電気的に接続され且つ機械的に固定される。
【0005】
ところで、移動通信機器は、持ち運びされて使用される。このため、移動通信機器は、時には落下し、衝撃を受ける。この時、電子部品モジュールを支える外部端子パッドには、大きな力が加わる。
【0006】
電子部品モジュールには、多くの電子部品が搭載されている。このため電子部品モジュールの質量は、個々の電子部品に比べ著しく大きい。これに対して、電子部品モジュールをマザーボードに固定する外部端子パッドは、一義的には信号の入出力や電力の供給に使用されるものなので、電子部品モジュールに設けられる外部端子パッドの数はそれほど多くない。このため、移動通信機器が落下した時に電子部品モジュールに生じる大きな衝撃力を、少数の外部端子パッドが支えなければならないことになる。従って、外部端子パッド一つ当たりに作用する衝撃力は、甚大になる。
【0007】
この大きな衝撃力は、外部端子パッドが基板から剥離する外部端子パッド剥離や、外部端子パッドから半田が剥離するソルダ剥離を引き起こす。このような剥離現象は、移動通信機器の故障原因の一つであり、できる限り防止されなければならない。
【0008】
ところで、プリント配線基板に設けられたパッドの剥離(ランド剥離)や半田の剥離(ソルダ剥離)は、鉛半田に代わり溶解温度の高い鉛フリー半田が使用され始めた時にも問題になった現象である。
【0009】
この問題を解決するため、(プリント配線基板の表面を保護する)ソルダマスクを延在させてパッドの外周部を覆い、ランド剥離やソルダ剥離を防止する技術が提案されたことがある(特許文献1)。但し、この時問題になった現象は、外部端子パッドの剥離やそこに形成された半田の剥離ではなく、抵抗やコンデンサ等の電子部品が半田付けされたパッドの剥離や当該パッドに形成された半田の剥離である。しかも、これらの剥離は、プリント配線基板の落下が原因となって発生するものではなく、溶解した半田が冷却凝固する時の収縮によって引き起こされる別の現象である。
【0010】
従って、この技術をそのまま電子部品モジュールの外部端子パッドに適用しても、外部端子パッドの剥離や外部端子パッドに於ける半田剥離を防止できるとは限らない。
【特許文献1】特開2001−332851号公報
【特許文献2】特開2004−71661号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述したように、電子部品モジュールで発生する外部端子パッド剥離やソルダ剥離は、移動通信機器の信頼性を確保する上で是非とも回避しなければならない現象である。しかし、本発明者が知る限り、そのための技術が検討されたことはない。
【0012】
そこで、本発明の目的は、落下等の衝撃によって、外部端子パッドが基板から剥離する外部端子パッド剥離や、外部端子パッドから半田が剥離するソルダ剥離を防止又は抑止することができる電子部品モジュールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達成するために、本発明の電子部品モジュールは、電子部品と、上記電子部品を第1の主面上に搭載し、上記電子部品からなる電子回路装置が電気的に接続された複数の外部端子パッドが第2の主面上に形成された基板を有している。
【0014】
そして、本発明の電子部品モジュールでは、上記複数の外部端子パッドの一部又は全部が、上記第2の主面を保護するレジストによって周端部が部分的に覆われた第1の金属層と、側面を含む上記第1の金属層の露出面に形成された第2の金属層からなる強化外部端子パッドである。
【発明の効果】
【0015】
本電子部品モジュールによれば、落下等の衝撃によって、外部端子パッドが基板から剥離する外部端子パッド剥離や、外部端子パッドから半田が剥離するソルダ剥離を、防止又は抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面にしたがって本発明の実施の形態について説明する。但し、本発明の技術的範囲はこれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された事項とその均等物まで及ぶものである。
【0017】
図1は、本実施の形態の電子部品モジュール2の側面図である。尚、以後説明する図面では、同様の部分には同一符号を付して、その説明は省略する。
【0018】
図1に示すように、本電子部品モジュール2は、電子部品4(集積回路装置、抵抗、コンデンサ、コイル、発信機等)を有している。また、本電子部品モジュール2は、電子部品4を第1の主面3上に搭載した基板10を有している。この基板10の、第1の主面3に対向する第2の主面9上には、電子部品4からなる電子回路装置6が電気的に接続された複数の外部端子パッド8が形成されている。
【0019】
図1には、電子部品4が接続されたパッド5と外部端子パッド8だけが記載されているが、基板10の表面や内部には、電子部品4を相互に接続し、電子回路装置6を形成する配線が形成されている。そして、これらの配線は、パッド5又は外部端子パッド8(或いは、基板10に直接形成された電子部品)に接続されている。
【0020】
図2は、図1に於いて破線で囲われた領域Aを拡大した平面図である。また、図3は、図2のA−A線に於ける断面を矢印の方向から見た断面図である。
【0021】
図2及び図3に示すように、本実施の形態の外部端子パッド8は、その上辺12、左辺14、及び右辺16に沿った周端部18(外周部)が第2の主面9を保護するレジスト20で覆われた第1の金属層22を具備している。尚、第1の金属層22には、スルーホール等の開口部は形成されていない。すなわち、第1の金属層22は、その周端部18の内側全体を埋め尽くしている。
【0022】
更に、本実施の形態の外部端子パッド8は、側面33を含む第1の金属層22の露出面に形成された第2の金属層35を具備している。
【0023】
図4は、本発明者が、本発明以前に電子部品モジュールに設けていた外部端子パッド24の平面図である。図5は、図4のA−A線に於ける断面を矢印の方向から見た断面図である。
【0024】
図4及び図5に示すように、レジスト20は、外部端子パッド24と分離している。このように以前の外部端子パッド24は、基板10としか接着していなかったので、落下時の衝撃に弱く基板10から剥離しやすかった。
【0025】
このような外部端子パッド隔離は、まず外部端子パッド8の周端部で発生し、その後外部端子パッド8全体に波及する。そこで、本実施の形態では、剥離の起点となる外部端子パッド8の周端部18をレジスト20で覆って補強することによって、外部端子パッド剥離を防止している(図2及び図3参照)。
【0026】
ところで、外部端子パッド剥離を防止するためだけであれば、上述したランド剥離(半田の冷却凝固に起因するパッド剥離)を防止するために提案された方法を適用して、外部端子パッドの周端部全体をレジストで覆ってもよい。しかし、このようにすると、落下によって外部端子パッドから半田が剥離するソルダ剥離が起きやすくなってしまう。
【0027】
電子部品モジュール2は、その外部端子パッド8がマザーボード(図示せず)に設けられたパッドに半田付けされることによって、マザーボードに固定される。外部端子パッド8は、通常複数の層から形成されている。
【0028】
例えば、図5に示す従前の外部端子パッド24は、基板10に密着した第1の金属層22と、第1の金属層22の表面上に形成された第2の金属層35によって形成されている(図3に示した例では、第1の金属層22と基板10の間には、第3の金属層32及び第4の金属層34が介在している。これらの金属層については、後述する。)。
【0029】
第1の金属層22は、例えば銅(Cu)製の外部端子パッド本体である。一方、第2の金属層35は、第1の金属層より半田に接着しやすい、例えば金(Au)等の金属で形成された半田付け用の金属層である。すなわち、第2の金属層35は、マザーボード(他の基板)に形成されたパッドと半田によって接着される金属層である。
【0030】
上述したように、電子部品モジュールは、外部端子パッドがマザーボードに半田付される。従って、マザーボードを備えた装置が落下すると、外部端子パッド24をマザーボードに接着している半田に大きな衝撃力が作用する。この時、第2の金属層35と半田は強固に接着しているので、第1の金属層22と第2の金属層35の界面で剥離が起き、第2の金属35ごと半田が、外部端子パッド24から剥離する。
【0031】
外部端子パッドの周端部をレジストで覆うと外部端子パッド剥離は抑制されるが、このようなソルダ剥離は逆に起きやすくなってしまう。
【0032】
本発明者が種々検討した結果、ソルダ剥離が起きやすくなる原因は、第1の金属層22の周端部がレジストで覆うと、第2の金属層35が第1の金属層22の側面33を被覆できなくなる事であることが判明した。
【0033】
第2の金属層35は、通常、基板10の表面にレジスト20を形成した後に、無電解メッキによって形成される。従って、レジスト20で第1の金属層22の周端部を覆ってしまうと、第1の金属層22の側面33は、第2の金属層35によって被覆されなくなる。
【0034】
第2の金属層35が第1の金属層22の側面を覆っていると、第2の金属層35を引き剥がそうとする力が加わっても、第1の金属層22の側面33に第2の金属層35が引っ掛かって、第2の金属層35は容易には剥離しなくなる。
【0035】
そこで、本実施の形態では、図2に示すように、第1の金属層22の周端部18を部分的にレジスト20で覆うことによって、第1の金属層の側面33の一部が第2の金属層35によって被覆されて、ソルダ剥離が起こり難いようにしている。このようにすれば、外部端子パッド剥離とソルダ剥離を、同時に防止又は抑止することができる。
【0036】
ところで、図1に示した例では、電子部品モジュール2に設けられた全ての外部端子パッド8の周端部が、部分的にレジスト20によって覆われている。しかし、落下による衝撃は、全ての外部端子パッド8に均等に加わる訳ではない。
【0037】
従って、必ずしも全て外部端子パッド8の周端部を部分的にレジストで覆う必要はなく、衝撃をより大きく受ける一部の外部端子パッドの周端部だけを、レジストで覆って補強してもよい(以後、このようにレジストによって補強された外部端子パッドを、強化外部端子パッドと呼ぶ。)。
【0038】
上記説明から明らかなように、本電子部品モジュール2は、複数の外部端子パッド8の一部又は全部が、基板10の第2の主面9を保護するレジスト20によって周端部(外周部)が部分的に覆われた第1の金属層22と、側面33を含む第1の金属層22の露出面に形成された第2の金属層35からなる強化外部端子パッド26を具備している。尚、第1の金属層22の露出面とは、レジスト20によって覆われていない面のことである。
【0039】
このように、本実施の形態の電子部品モジュール2は、上記強化外部端子パッド26を具備ことによって、外部端子パッド剥離及びソルダ剥離の双方を防止又は抑制している。
【0040】
ところで、落下時に最も大きな衝撃を受ける外部端子パッドは、基板10の四隅に配置された外部端子パッドである。従って、上述したような強化外部端子パッド26は、基板の四隅に配置することが好ましい。次に大きな衝撃力を受ける外部端子パッド8は、基板10の外周に沿って配置された外部端子パッドである。従って、強化外部端子パッド26は、基板の外周に沿って配置することが更に好ましい。尚、外部端子パッドは、基板10の外周部だけに配置される場合が多いが、基板10の外周部に加え外周部の内側に配置されることもある。
【0041】
また、図2を参照して説明した例では、強化外部端子パッド26は四角形であり、その3辺に沿った第1の金属層22の周端部18がレジスト20によって覆われている。
【0042】
本発明者が種々検討したところ、図2に示すように外部端子パッドが四角形の場合には、四角形の3辺に沿った第1の金属層22の周端部をレジストで覆った場合が、外部端子パッド剥離及びレジスト剥離が最も起こり難かった。すなわち、外部端子パッド剥離とソルダ剥離の双方を防止又は抑制するためには、外部端子パッドの3辺に沿った第1の金属層22の周端部をレジストで覆うことが好ましい。
【0043】
但し、四角形の一辺又は二辺に沿った周端部がレジストで覆われているだけでも、外部端子パッド剥離及びソルダ剥離を防止又は抑制する効果はある。
【0044】
図6は、四角形の1辺がレジスト20で覆われた強化外部端子パッド26の平面図である。図7は、四角形の対向する2辺がレジスト20で覆われた強化外部端子パッド26の平面図である。図8は、四角形の隣り合う2辺がレジスト20で覆われた強化外部端子パッド26の平面図である。
【0045】
このように、一辺に沿った第1の金属層22の周端部だけがレジストによって覆われていてもよいし、対向する2辺または隣り合う2辺に沿った第1の金属層22の周端部だけがレジストによって覆われていてもよい。
【0046】
ところで、図3に示した強化外部端子パッド26は、スルーホール28内に形成された第3の金属層32によって更に補強されている。
【0047】
図3に示す例では、電子部品モジュール2は、基板10を貫通し、第2の主面9上に開いた開口部が第1の金属層22によって塞がれたスルーホール28を有している。そして、強化外部端子パッド26は、第2の主面9に接着された第4の金属層30と、第4の金属層30の上に形成された第3の金属層32を有している。この第3の金属層32の上に、上述した第2の金属層22と第1の金属層35が形成されている(すなわち、第3の金属層32は、第1の金属層22と基板10の間に形成されている。)。
【0048】
上述した第3の金属層32は、更にスルーホール28の内壁に延在して密着し、基板10に強固に接着されている。
【0049】
このため、図3に示す強化外部端子パッド26を有する電子部品モジュール2では、第3の金属層32を含む強化外部端子パッド26と基板10が強固に接着され、外部端子パッド剥離が更に起き難くなっている。
【0050】
ところで、ランド剥離の防止を直接の目的とする技術ではないが、四角形のランド(パッド)の四隅だけをレジストで覆う技術が提案されている(特許文献2)。この提案に従って外部端子パッド8の四隅をレジストで覆うようにしても、外部端子パッド剥離を抑制することは可能と考えられる。
【0051】
但し、特許文献2に開示された方法を実施するためには、パッドの四隅をレジストで斜めに覆わなければならないので、レジストパターンの設計に要する工数が増えてしまう。
【0052】
レジストは、所定のマスクを用いた、吹き付け法や印刷等によって形成される。何れの方法に採用するにしても、レジスト形成用のマスクをCAD(Computer Aided Design)で設計しなければならない。
【0053】
特許文献2に倣って外部端子パッドの四隅をレジストで斜めに被覆しようとすると、レジストの設計に要する工数が増えてしまう。一方、本実施の形態のレジストは、四角形の辺に沿った領域を被覆するものなので、CADによる設計が容易である。
【0054】
尚、特許文献2に開示された方法に開示された方法は、スルーホールに実装部品のリードを挿入して半田付けすることを前提とする技術なので、スルーホールの開口部は塞がれない。また、この方法では、第1の金属層22の側面を被覆する第2の金属層35は、特に必要とされていない。
【実施例1】
【0055】
(1)構 成
図9は、本実施例の電子部品モジュール39の断面図である。
【0056】
図9に示すように、本電子部品モジュール39は、電子部品4と、電子部品4を第1の主面3上に搭載し、電子部品4からなる電子回路装置6が電気的に接続された複数の外部端子パッド(強化外部端子パッド26)が、第1の主面3に対向する第2の主面9上に形成された基板37を有している。
【0057】
この基板37は、ベース基板38と、その両面に形成された樹脂層40,41からなるビルドアップ基板である。図9に示すように、ベース基板38の両面には配線36が形成され、電子部品側の樹脂層40の表面(第1の主面3)には、電子部品4が半田付けされるパッド5と、パッド5を端部とする配線(図示せず)が形成されている。一方、電子部品4とは反対側の樹脂層41の表面(第2の主面9)には、強化外部端子パッド26が形成されている。
【0058】
ここで、樹脂層40,41の表面には基板37の表面(配線を含む)を保護する、エポキシ樹脂を主成分とするレジスト20が夫々形成されている。レジスト20は、例えばCu製の配線の酸化を防止し、更に電子部品4の半田付けに際し、配線に半田が付くことを防止する。
【0059】
ベース基板38にはビアホールが形成され、その内壁には金属層42がメッキされている。この金属層42は、ベース基板38の両面に形成された配線36を接続している。更に、金属層42の内側には、エポキシ樹脂が充填されている。
【0060】
樹脂層40,41には、レーザによってビア(レーザビア)が形成されている。このレーザビアには、金属46が充填されている。この金属46は、ベース基板38に形成された配線36と、樹脂層40,41の表面に形成されたパッド5又は強化外部端子パッド26を接続している。
【0061】
更に、電子部品4からなる電子回路6は、金属製のシールドケース48によって覆われている。但し、電子回路6は、モールド樹脂によって封止されていてもよい。
【0062】
以上の説明から明らかなように、基板37は4層の配線層を有するビルドアップ基板である。また、この基板37の厚さは0.37mmであり、第1及び第2の主面は一辺が8.8mmの正方形である。
【0063】
図10は、強化外部端子パッド26が形成された第2の主面9側から、電子部品モジュール39を見た斜視図である。図10に示すように、強化外部端子パッド26は、基板37の外周に沿って配置されている。この強化外部端子パッド26が形成された領域を除き、第2の主面9は、レジスト20によって覆われている。
【0064】
図11は、図10で破線によって囲われた領域Aを拡大した平面図である。図12は、図11のA−A線における断面を矢印の方向から見た図である。
【0065】
強化外部端子パッド26は、レジスト20によって周端部18が部分的に覆われたCu製の第1の金属層22と、側面33を含む、第1の金属層22の露出面に形成されたAu製の第2の金属層35からなっている。
【0066】
第1の金属層22の平面形状(基板37に投影した形状)は、長辺と短辺が夫々0.850mmと0.600mmの長方形である(図11参照)。一方、第2の金属層35の平面形状は、長辺と短辺が夫々0.650mmと0.400mmの長方形である。そして、レジスト20は、第1の金属層22の左右の辺の夫々内側に、0.100mm延在している。更に、レジスト20は、第1の金属層22の上辺の内側に0.200mm延在している。
【0067】
レジスト20は後述するように、所定のマスクを用いた吹き付け法又は印刷によって形成される。これらレジスト形成方法の精度は、約0.050mmである。従って、第1の金属層22の周端部が確実にレジスト20で覆われるように、第1の金属層22の外周から0.10mm又は0.200mm内側に延在するようにレジスト20が形成されている。
【0068】
図11に示すように強化外部端子パッド26の平面形状は四角形であり、この四角形の3辺に沿った第1の金属層22の周端部18がレジスト20によって覆われている。このように外部端子パッド剥離の起点となる周端(四角形の辺)がレジスト20によって補強されているので、強化外部端子パッド26は、外部端子パッド剥離を起こしにくい。
【0069】
また、強化外部端子パッド26では、レジスト20に覆われていない第1の金属層22の表面(露出面)が、その側面33も含めて第2の金属層35で被覆されている。従って、第2の金属層35に固着した半田層に大きな力が加わっても、第2の金属層35は、第1の金属層22の側面33に引っ掛かるので、第1の金属層22から容易に剥離することはない。故に、強化外部端子パッド26では、ソルダ剥離も起こり難い。
【0070】
従って、本実施例の電子部品モジュール39によれば、落下等の衝撃による、外部端子パッド剥離及びソルダ剥離を抑止又は防止することができる。
【0071】
(2)製造方法
次に、電子部品モジュール39の製造方法を説明する。
【0072】
まず、ベース基板38にビアホールや配線36等を形成した後、このベース基板38の両面に樹脂層40,41を形成する。
【0073】
次に、この樹脂層40,41にレーザビームを照射して、ビア(レーザビア)を形成する。このレーザビアの内部及び樹脂層40,41の表面に、Cu層を無電解メッキによって形成する。
【0074】
次に、所定のエッチングマスクを表面に形成した後、このCu層をエッチングして、樹脂層40の表面(第1の主面3)にはパッド5となるCu層(以下、パッド下層と呼ぶ)を形成し、樹脂層41の表面(第2の主面9)には第1の金属層26を形成する。
【0075】
次に、第1の主面3及び第2の主面9に、レジスト20の形状に対応したマスクを用いてエポキシ樹脂を吹き付ける(又は、印刷する)。この時、第1の主面3には、パッド5が形成されている領域で開口するレジスト20が形成される。一方、第2の主面9には、第1の金属層26の3辺に沿った領域に延在するレジスト20が形成される。
【0076】
次に、無電解メッキによって、第1の主面3に形成されたパッド下層の表面及び第2の主面9に形成された第1の金属層22の露出面に、無電解メッキによってAu層を形成する。このAu層は、第1の金属層22の側面33にも形成される。
【0077】
ここまでの工程により、ビルドアップ基板37が完成する。
【0078】
次に、第1の主面3に形成されたパッド5の表面にクリーム半田を塗布しその後、電子部品4の端子が所定のパッド5に接するように、電子部品4を基板37に載置する。その後、基板37をリフロー炉で加熱処理して、電子部品4を基板37に半田56によって固定する。
【0079】
最後、第1の主面3の周囲にシールドケース48を固定して、電子部品モジュール39を完成する。
【0080】
(3)実装方法
本実施例の電子部品モジュール39は、携帯電話機等の移動通信機器のマザーボードに搭載される。
【0081】
図13は、電子部品モジュール39が搭載された状態のマザーボード50の側面図である。マザーボード50の主面には、端部にパッド52を有する配線(図示せず)が形成されている。このパッド52に本実施例の電子部品モジュール39や電子部品54の外部端子パッドが半田56によって接続される。
【0082】
半田付けは、次のような手順で行われる。まず、マザーボード50上のパッド52にクリーム半田を印刷する。次に、このパッド52に対応する強化外部端子パッドが接するように、電子部品モジュール39等を載置する。その後、マザーボード50をリフロー炉で加熱処理して、マザーボード50に電子部品モジュール39や電子部品54を半田付けする。
【0083】
上述したよう電子部品モジュール39の外部端子パッドはレジスト20によって補強され且つ第2の金属層35が第1の金属層22の側面を被覆しているので、マザーボード50からなる装置が落下しても、外部端子パッド剥離及びソルダ剥離が起き難くなっている。
【0084】
(4)強度試験
次に、電子部品モジュール39に対して行った強度試験の結果を説明する。
【0085】
図14及び図15は、強度試験の方法を説明する図である。
【0086】
強度試験は、電子部品モジュール39を搭載したマザーボード50を、一辺が60cmの正方形の四隅に配置された支柱58に載置して行う(図14参照)。この時、電子部品モジュール39が搭載された面が下側になるように、マザーボード50を裏返しに載置する。また、電子部品モジュール39が、支柱58の略中央に来るようにマザーボード50の位置を調整する。
【0087】
次に、鉄球60をマザーボード50に向かって落下させる(図14参照)。鉄球60がマザーボード50に衝突すると、マザーボード50は下側に湾曲する(図15参照)。
【0088】
移動通信機器等が落下し時にも同様の湾曲がマザーボードに発生して、外部端子パッド剥離やソルダ剥離の原因となる。
【0089】
そこで、この湾曲の度合を定量化した歪率と剥れ発生率の関係を調べた。ここで、歪率Dは、下記式(1)で定義される。また、剥れ発生率とは、外部端子パッド剥離及びソルダ剥離の何れか一方又は双方を起こした外部端子パッドの割合である。
【0090】
D=d/L ・・・・・ (1)
ここで、dは、鉄球60との衝突によって、マザーボード50が支柱58の下側に窪んだ深さである。また、Lは、支柱58の間の距離である。
【0091】
強度試験では、予め鉄球の落下位置(落とす高さ)と上記歪率の関係は測定しておき、鉄球の落下位置(落とす高さ)を変えることによって歪率を変化させ、夫々の歪率に対する剥れ発生率を測定する。
【0092】
測定に用いる試料(以後、測定用試料と呼ぶ)は、上述した電子部品モジュール39である。強化外部端子パッドが59個形成された上記電子部品モジュール39を複数用意し、各電子部品モジュールに対して上述した強度試験を実施した。鉄球の落下位置(落とす高さ)を変えながら複数の歪率に対して強度測定を実施し、一つの歪率に対して6ピースの測定用試料の剥れ発生率を測定した。
【0093】
また、比較のため、従前の外部端子パッドを形成した電子部品モジュール対しても強度試験を実施した。比較用の電子部品モジュールの構造は、外部端子パッドの構造を除き、本実施例の電子部品モジュール39と同じである。
【0094】
図16は、比較用試料に形成した外部端子パッド8の平面図である。図17は、図16のA−A線における断面を矢印の方向から見た図である。
【0095】
比較用試料の外部端子パッド8は、レジスト20によって周囲を囲われたCu製の第1の金属層22と、側面33を含む、第1の金属層22の露出面に形成されたAu製の第2の金属層35によって形成されている(図17参照)。ここで、レジスト20と第2の金属層35の間隔は、0.075mmである(図16参照)。
【0096】
比較用試料の第2の金属層35の平面形状は、長辺と短辺が夫々0.650mmと0.400mmの長方形である(図16参照)。この形状は、測定用試料の第2の金属層35の平面形状と寸法も含めて同じである。すなわち、半田が接着する第2の金属層35の形状及び寸法は、測定用試料と比較用試料で同一である。
【0097】
測定した試料数は、各歪率について5ピースずつである。
【0098】
表1には、測定用試料に対する強度試験の結果が記載されている。一方、表2には、比較用試料に対する強度試験の結果が記載されている。
【0099】
【表1】

【0100】
【表2】

【0101】
各表の第1列目は、歪率を表している。第2列目は、測定したパッドの数を表している。第3列目と第4列目は、夫々剥れの発生したパッドの数及び剥れ発生率を表している。ここで、剥れ発生率とは、試験したパッド数(第2列目)に対する剥れたパッドの数(第3列目)の割合である。尚、「剥れの発生したパッドの数」とは、外部端子パッド剥離及びソルダ剥離の何れか一方又は双方が発生した外部端子パッドの数である。
【0102】
図18は、表1及び表2に記載された歪率と剥れ発生率の関係を説明する図である。横軸は歪率であり、縦軸は剥れ発生率である。図18に示した実線は、測定用試料に対する結果を表している。一方、破線は、比較用試料に対する結果を表している。
【0103】
図18に示すように、歪率が0.6%を超えると、比較用試料に対する剥れ発生率は急増する(破線参照)。一方、測定用試料に対する剥れ発生率(実線参照)は、比較用試料の約1/20程度でしかない。尚、比較用試料の剥れ発生率が、歪率0.9%で減少しているが、これは測定誤差によるものと考えられる。
【0104】
以上結果は、本実施例の電子部品モジュール39は、従前の電子部品モジュール8より、外部端子パッド剥離やソルダ剥離を起こし難いことを示している。
【実施例2】
【0105】
(1)構 成
図19は、本実施例の電子部品モジュール62の断面図である。
【0106】
本実施例の電子部品モジュール62は、強化外部端子パッドの構成及び基板の構成が、実施例1の電子部品モジュール39と相違する。以下、実施例1の電子部品モジュールとの相違点を説明する。
【0107】
本実施例の電子部品モジュール62は、複数の銅張積層板64,65(Copper Clad Laminate)が樹脂層66を介して積層された多層基板68を土台として形成されている。更に、本実施例の多層基板68は、裏面側には樹脂層70が形成されている。
【0108】
銅張積層板64の両面には、配線36又はパッド5が形成されている。また、樹脂層70の表面すなわちマザーボード側となる第2の主面9には、本実施例の強化外部端子パッド72が形成されている。すなわち、多層基板68は、5層の配線層を有するプリント基板である。
【0109】
図20は、強化外部端子パッド72の平面図である。図20に示すように、本実施例の強化外部端子パッド72の平面構造は、基本的には実施例1の強化外部端子パッド26と同じである。但し、第1の金属層22及び第2の金属層35の寸法が、実施例1とは異なる。
【0110】
本実施例の第1の金属層22の平面形状は、長辺と短辺が夫々1.050mmと0.975mmの長方形である(図20参照)。一方、第2の金属層35の平面形状は、一辺が0.900mmの正方形である。そして、レジスト20は、第1の金属層22の左右の辺の夫々の内側に、0.075mm延在している。また、レジスト20は、第1の金属層22の上辺の内側にも、0.075mm延在している。
【0111】
図20のA−A線に於ける断面を矢印の方向から見た構造は、図3を参照して説明した断面構造と同じである。すなわち、第1の金属層22及び第2の金属層35の下側には、第3の金属層32及び第4の金属層30が形成されている。そして、第3の金属層32は、多層基板68を貫通するスルーホール28の内壁に延在している。
【0112】
図3に示すように、基板68の第2の主面9上に開いた、スルーホール28開口部は、第1の金属層22によって塞がれ、その内部はエポキシ樹脂34によって充填されている。
【0113】
この多層基板68の平面形状は、長辺及び短辺が夫々9.2mm及び7.1mmの長方形であり、実施例1のビルドアップ基板37と略同じ大きさの四角形である。
【0114】
一方、本実施例の多層基板68の厚さは1.31mmであり、実施例1のビルドアップ基板(0.37mm)より格段に厚い。
【0115】
基板が厚くなると、電子部品モジュールは、外力に対して変形し難くなる。従って、基板が厚くなると、衝撃によって変形したマザーボードの歪率が同じでも、外部端子パッドにはより大きな力が作用する。このため、実施例1のように周端部をレジストで補強しただけの外部端子パッドでは、外部端子パッド剥離を十分に抑制することができない。
【0116】
そこで、本実施例では、外部端子パッドの下側に基板を貫通するスルーホール28を形成し、このスルーホール28の内壁に第3の金属層32を延在させることによって外部端子パッドを補強している。
【0117】
尚、図12に示すように実施例1の第1の金属層22も、レーザビアホール内に延在する金属46を具備している。しかし、レーザビアホールは、スルーホールに比べて格段に浅いので、外部端子パッドを補強する効果は限定的である。
【0118】
ところで、本実施例の電子部品モジュール62は、実施例1の電子部品モジュール39と同様にマザーボードに搭載して使用する。従って、説明が重複しないように、本電子部品モジュール62の実装方法の説明は省略する(下記実施例3についても、同じ)。
【0119】
(2)製造方法
次に、本実施例の電子部品モジュール62の製造方法を説明する。
【0120】
まず、配線36が形成された銅張積層板64,65を第1の樹脂層66を介して接着し、更にマザーボード側の表面に第2の樹脂層70を形成する。但し、第1の主面3となる銅張積層板64の表面には、配線(パッドを含む)を形成せず、一面Cu層のままにしておく。
【0121】
次に、この第2の樹脂層70の表面に銅(Cu)をメッキ(無電解メッキ)する。この時メッキされたCu層が、後に第4の金属層30となる。
【0122】
尚、第2の樹脂層70は、5層目の配線層を形成するためのものである。従って、配線層が4層の場合には、第2の樹脂層70を形成する必要はない。その場合には、マザーボード側の銅張積層板65の表面は、一面Cu層のままにしておく。
【0123】
次に、強化外部端子パッド72の形成予定位置の中心に、ドリルで貫通孔を開けてスルーホール28を形成する。
【0124】
次に、この貫通孔の内壁及び第1の主面3及び第2の主面9を覆うCu層に、Cuをメッキ(無電解メッキ)する。この時、第2の主面9にメッキされたCu層が、後に第3の金属層32となる。
【0125】
次に、内壁にCuがメッキされたスルーホール28の内部に、エポキシ樹脂34を充填する。
【0126】
次に、加工中の基板68に再度メッキ(無電解メッキ)を施して、第1の主面3及び第2の主面9上にCu層を積層する。この時、第2の主面9上に形成されたCu層は、スルーホール28上に延在し、第1の金属層22となる。
【0127】
次に、第1の主面3及び第2の主面9に形成されたCuの積層膜を、所定の形状にエッチングする。このエッチングによって、第1の主面3にはパッド5を含む配線が形成され、第2の主面9には強化外部端子パッド72となる矩形のCu積層膜が形成される。
【0128】
次に、第1の主面3及び第2の主面9に、所定のマスクを用いて吹き付け法又は印刷によりレジスト20を形成する。この時、第1の金属層22の3辺に沿った領域18が、レジスト20によって覆われる(図3及び図20照)。
【0129】
次に、第1の主面3に形成されたパッド5の表面及びレジスト20で覆わなかった第1の金属層22の露出面(側面33を含む)に、無電解メッキによってAu層を形成する。この時、第1の金属層22の上に形成されたAu層は、第2の金属層35となる。
【0130】
ここまでの工程により、多層基板68が完成する。
【0131】
次に、パッド5の表面にクリーム半田を塗布し、更に電子部品4の端子が所定のパッド5に接するように、電子部品を基板68に載置する。その後、基板68をリフロー炉で加熱処理して、電子部品4を基板68に半田付けする。
【0132】
最後に第1の主面3の周囲にシールドケース48を固定して、電子部品モジュール62を完成する。
【0133】
(3)強度試験
次に、本電子部品モジュール62に対して行った強度試験の結果を説明する。
【0134】
強度試験の方法は、実施例1で説明した強度試験の方法と同じである。
【0135】
試験用の電子部品モジュール62の裏面には、外周に沿って24個の強化外部端子パッド72が設けられている。多層基板68の構成及び強化外部端子パッド72の形状・寸法等は、図3、図19、及び図20を参照して説明した通りである。また、強度測定は、鉄球の落下位置を変える毎に、6ピースの試料に対して実施した。
【0136】
図21は、比較用試料に設けた外部端子パッド8の平面図である。図22は、この図21のA−A線における断面を矢印の方向から見た図である。
【0137】
比較用試料に設けた外部端子パッド8は、レジスト20によって周囲が囲われたCu製の第1の金属層22と、側面33を含む第1の金属層22の露出面に形成されたAu製の第2の金属層35によって形成されている。ここで、レジスト20と第1の金属層22の間隔は、0.075mmである。
【0138】
第2の金属層35の平面形状は、長辺と短辺が夫々1.050mmと0.900mmの長方形である(図21参照)。この形状は、寸法も含めて、測定用試料を形成する第2の金属層35の平面形状と同じである。すなわち、半田が接着する金属層である第2の金属層35の形状及び寸法は、測定用試料と比較用試料で同一である。
【0139】
比較用の電子部品モジュールの構造は、外部端子パッドの構造を除き、測定用試料の構造と同じである。尚、測定した試料数は、各歪率について6ピースずつである。
【0140】
測定用試料に対する強度試験の結果は、表3に記載されている。一方、表4には、比較用試料に対する強度試験の結果が記載されている。
【0141】
【表3】

【0142】
【表4】

【0143】
表3及び表4の記載項目は、表1及び表2と同じである。
【0144】
図23は、表3及び表4に記載された歪率と剥れ発生率の関係を説明する図である。横軸は歪率であり、縦軸は剥れ発生率である。同図中に示した実線は、測定用試料に対する結果を表している。一方、破線は、比較用試料に対する結果を表している。
【0145】
図23に示すように、歪率が0.6%以上で、比較用試料に対する剥れ発生率は、急増する(破線参照)。一方、測定用試料の剥れ発生率は、比較用試料の約1/9〜1/5程度に抑制されている(但し、剥れ発生率は、実施例1に比べ2〜3倍高くなっている。)。
【0146】
以上結果は、本実施例の強化外部端子パッド72は、落下時の衝撃に対して外部端子パッド剥離等の剥離現象を起こし難いことを示している。
【実施例3】
【0147】
実施例1及び実施例2の電子部品モジュールは、基板の裏面(第2の主面9)に設けられたランド(パッド)が、マザーボードに設けられたランドに半田付けされるLGA(Land Grid Array)タイプの電子部品モジュールである。
【0148】
このようなLGAタイプの電子部品モジュールをマザーボードに搭載する場合には、まずマザーボードに設けられたランドにクリーム半田を印刷し、ここに電子部品モジュールのランドを接触させた後、リフロー炉によって半田付けする。
【0149】
これに対して、本実施例の電子部品モジュールは、基板の裏面(第2の主面9)に形成された円形パッドにボール状の半田(半田ボール)が予め固着されたBGA(Ball Grid Array)タイプの電子部品モジュールである。
【0150】
本実施例の電子部品モジュールの構成は、強化外部端子パッドの構成を除けば、実施例1の電子部品モジュールと略同じである。従って、両電子部品モジュールに共通する部分に関する、説明は省略する。
【0151】
図24は、本実施例の電子部品モジュール73を裏側から見た斜視図である。図24に示すように、半田ボール74が固着した強化外部端子パッド78が、基板76の外周に沿って配置されている。
【0152】
ここで、基板76は、実施例1のようなビルドアップ基板であってもよいし、或いは実施例2のような多層配線基板であってもよい。また、強化外部端子パッド78は、基板76の外周部だけでなく、例えば、基板76の裏面全体(第2の主面9)に、2次元アレイ状に配置されていてもよい。
【0153】
図25は、図24で破線によって囲われた領域を拡大した平面図である。但し、強化外部端子パッド78の構成が明瞭になるように、半田ボール74は省略されている。図26は、図25のA−A線に沿った断面を、矢印の方向から見た図である。図27は、図25のB−B線に沿った断面を、矢印の方向から見た図である。
【0154】
図25に示すように、本実施例の強化外部端子パッド78の形状は円である。そして、この円の対向する第1の弦80及び第2の弦82に沿った、Cu製の第1の金属層22の周端部18が、レジスト20によって覆われている(図25及び図26参照)。
【0155】
そして、第1の金属層22の側面を含む露出面33が、Au製の第2の金属層35によって覆われている(図25及び図27参照)。更に、この第2の金属層35に半田ボール(図示せず)が固着している。
【0156】
電子部品モジュール73をマザーボードに半田付けする場合には、半田ボールがマザーボードの主面に形成されたパッドに接するように、電子部品モジュール73をマザーボードに載置し、その後リフロー炉を用いて半田付けを行う。
【0157】
図28は、BGAタイプの従来の電子部品モジュールに設けられた外部端子パッドの平面図である。図28に示すように、従来の外部端子パッド8とレジスト20は分離している。一方、本実施例の強化外部端子パッド78は、周端部18がレジスト20によって覆われているので、外部端子パッド剥離が起き難い。また、周端部の一部で、第2の金属層35が第1の金属層22の側面を覆っているので、ソルダ剥離も起き難い。
【0158】
本実施例の電子部品モジュールの製造方法は、実施例1又は2の電子部品モジュールの製造方法と略同じである。但し、第2の金属層35の形成後、外部端子パッドに半田ボールを載置して、加熱処理によって半田ボールを外部端子パッドに固着させる工程が追加される。
【0159】
図29及び図30に示す平面図には、図25とは異なる形状の強化外部端子パッドが図示されている。
【0160】
図29に示す例では、第1の弦80及び第2の弦82に加え、対向する第3の弦84及び第4の弦86に沿った第1の金属層22の周端部がレジスト20によって覆われ、且つ第1乃至第4の弦に沿った周端部が夫々分離していている。
【0161】
このようにすると、第2の金属層35が均等に第1の金属層22の側面33に引っ掛かるので、ソルダ剥離が一層起こり難くなる。
【0162】
或いは、図30に示すように、レジスト20の開口部が楕円になっていて、第1の金属層22の対向する2弦に沿った周端部を覆っていてもよい。
【0163】
本実施例で説明した基板76は、第1の実施例と同じビルドアップ基板である。しかし、基板76は、実施例2と同じ多層基板であってもよい。この場合には、スルーホールによっても強化外部端子パッドが補強されて、一層剥離現象が起こり難くなる。
【0164】
以上の例では、第1、第3、及び第4の金属層はCu製である。しかし、これらの金属層は、他の金属(例えば、Ag)等によって形成されてもよい。また、第2の金属層も、Au以外の金属(例えば、Pt)で形成されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0165】
【図1】実施の形態の電子部品モジュールの側面図である
【図2】図1に於いて破線で囲われた領域Aを拡大した平面図である。
【図3】図2のA−A線に於ける断面を矢印の方向から見た断面図である。
【図4】本発明者が、本発明以前に電子部品モジュールに設けていた外部端子パッドの平面図である。
【図5】図4のA−A線に於ける断面を矢印の方向から見た図である。
【図6】四角形の1辺がレジストで覆われた強化外部端子パッドの平面図である。
【図7】四角形の対向する2辺がレジストで覆われた強化外部端子パッドの平面図である。
【図8】四角形の隣り合う2辺がレジストで覆われた強化外部端子パッドの平面図である。
【図9】実施例1の電子部品モジュールの断面図である。
【図10】実施例1の電子部品モジュールを、強化外部端子パッドが形成された第2の主面側から見た斜視図である。
【図11】図10で破線によって覆われた領域Aを拡大した平面図である。
【図12】図11のA−A線に於ける断面を矢印の方向から見た図である。
【図13】実施例1の電子部品モジュールが搭載された状態のマザーボードの側面図である。
【図14】電子部品モジュールに対する強度試験の方法を説明する図である(その1)。
【図15】電子部品モジュールに対する強度試験の方法を説明する図である(その2)。
【図16】実施例1の比較用試料の外部端子パッドの平面図である。
【図17】図16のA−A線に於ける断面を矢印の方向から見た図である。
【図18】歪率と剥れ発生率の関係を説明する図である(実施例1)。
【図19】実施例2の電子部品モジュールの断面図である。
【図20】実施例2の強化外部端子パッドの平面図である。
【図21】実施例1の比較用試料の外部端子パッドの平面図である。
【図22】図22のA−A線に於ける断面を矢印の方向から見た図である。
【図23】歪率と剥れ発生率の関係を説明する図である(実施例2)。
【図24】実施例3の電子部品モジュールを裏側から見た斜視図である。
【図25】図24で破線によって囲われた領域Aを拡大した平面図である。
【図26】図25のA−A線に沿った断面を矢印の方向から見た図である。
【図27】図25のB−B線に沿った断面を矢印の方向から見た図である。
【図28】BGAタイプの従来の電子部品モジュールの外部端子パッドの平面図である。
【図29】実施例3の他の強化外部端子パッドの平面図である(その1)。
【図30】実施例3の他の強化外部端子パッドの平面図である(その2)。
【符号の説明】
【0166】
2・・・電子部品モジュール 3・・・第1の主面
4・・・電子部品 5・・・パッド
6・・・電子回路装置 8・・・外部端子パッド
9・・・第2の主面 10・・・基板
12・・・上辺 14・・・左辺
16・・・右辺 18・・・(外部端子パッドの)周端部
20・・・レジスト 22・・・第1の金属層
24・・・外部端子パッド(関連技術) 26・・・強化外部端子パッド
28・・・スルーホール 30・・・第4の金属層
32・・・第3の金属層 33・・・側面
34・・・エポキシ樹脂 35・・・第2の金属層
36・・・配線 37・・・(実施例1の)基板
38・・・ベース基板 39・・・(実施例1の)電子部品モジュール
40,41・・・樹脂層 42・・・(ビアホール内壁にメッキされた)金属層
44・・・エポキシ樹脂 46・・・(レーザビアに充填された)金属
48・・・シールドケース 50・・・マザーボード
52・・・(マザーボードの)パッド 54・・・電子部品
56・・・半田 58・・・支柱
60・・・鉄球 62・・・(実施例2の)電子部品モジュール
64,65・・・銅張積層板 66・・・第1の樹脂層
68・・・多層基板 70・・・第2の樹脂層
72・・・(実施例2の)強化外部端子パッド
73・・・(実施例3の)電子部品モジュール
74・・・半田ボール 76・・・(実施例3の)基板
78・・・(実施例3の)強化外部端子パッド
80・・・第1の弦 82・・・第2の弦
84・・・第3の弦 86・・・第4の弦

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品と、
前記電子部品を第1の主面上に搭載し、前記電子部品からなる電子回路装置が電気的に接続された複数の外部端子パッドが第2の主面上に形成された基板を有し、
前記複数の外部端子パッドの一部又は全部が、前記第2の主面を保護するレジストによって周端部が部分的に覆われた第1の金属層と、側面を含む前記第1の金属層の露出面に形成された第2の金属層からなる強化外部端子パッドであることを、
特徴とする電子部品モジュール。
【請求項2】
前記第2の金属層が、他の基板に形成されたパッドと半田によって接着される金属層であることを、
特徴とする請求項1に記載の電子部品モジュール。
【請求項3】
前記強化外部端子パッドが、前記基板の四隅に配置されていることを、
特徴とする請求項1又は2に記載の電子部品モジュール。
【請求項4】
前記強化外部端子パッドが、前記基板の外周に沿って配置されていることを、
特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の電子部品モジュール。
【請求項5】
前記基板を貫通し、前記第2の主面上に開いた開口部が前記第1の金属層によって塞がれたスルーホールを有し、
前記強化外部端子パッドが、前記第1の金属層と前記基板の間に形成され、且つ前記スルーホールの内壁に延在する第3の金属層を有することを、
特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の電子部品モジュール。
【請求項6】
前記強化外部端子パッドの形状が四角形であることを、
特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の電子部品モジュール。
【請求項7】
前記四角形の一部の辺に沿った前記第1の金属層の周端部が、前記レジストによって覆われていることを、
特徴とする請求項6記載の電子部品モジュール。
【請求項8】
前記辺が、前記四角形の対向する2辺であることを、
特徴とする請求項7記載の電子部品モジュール。
【請求項9】
前記辺が、前記四角形の隣り合う2辺であることを、
特徴とする請求項7記載の電子部品モジュール。
【請求項10】
前記辺が、前記四角形の3辺であることを、
特徴とする請求項7記載の電子部品モジュール。
【請求項11】
前記強化外部端子パッドの形状が円であることを、
特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の電子部品モジュール。
【請求項12】
前記円の対向する第1及び第2の弦に沿った前記第1の金属層の周端部が、前記レジストによって覆われていることを、
特徴とする請求項11記載の電子部品モジュール。
【請求項13】
前記円の対向する第3及び第4の弦に沿った前記第1の金属層の周端部が前記レジストによって覆われ、且つ前記1乃至第4の弦に沿った前記周端部が夫々分離していることを、
特徴とする請求項12記載の電子部品モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2010−86987(P2010−86987A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−250876(P2008−250876)
【出願日】平成20年9月29日(2008.9.29)
【出願人】(398067270)富士通メディアデバイス株式会社 (198)
【Fターム(参考)】