説明

電子部品内蔵コネクタ

【課題】 発熱部品を内蔵する電子部品内蔵コネクタとバスハーネスとを電気的に接続する構造における前記発熱部品からの発熱を効率的に放熱するようにした電子部品内蔵コネクタを提供する。
【解決手段】 電動アクチュエータと制御装置とを結ぶバスハーネス11に接続され、電動アクチュエータの駆動回路及び制御信号を授受する通信回路とがハウジング25に内蔵された電子部品内蔵コネクタ21は、電子部品41〜43を実装したプリント基板31がバスハーネス11に重ねて設けられ、さらにバスハーネス11がハウジング25に組み込まれた放熱手段35に当接して設けられた構造としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両等に搭載された複数の電装品をデータ通信によって制御する分散制御装置に用いられる電子部品内蔵コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車には電装品としてモータ等による多数の電動アクチュエータが搭載されており、これらの電動アクチュエータをデータ通信により独立して分散制御する制御システムが開発されている。この分散制御システムは、図5に示すように複数の電動アクチュエータ1〜3と接続されるコネクタ4〜6に通信回路が内蔵されていて、バスハーネス7を介して車体側の制御装置(ECU)8と電動アクチュエータ1〜3の間で通信データを授受できるようになっている。
【0003】
ここで用いられるバスハーネス7は、電源ラインとアースライン、制御信号ラインの通常絶縁被覆された電線が用いられ、電動アクチュエータ1〜3と接続されたコネクタ4〜6に内蔵されて電子部品が実装されたフレキシブルプリント基板(FPC)の導体回路と接続されている。これらのコネクタ4〜6は、電子部品内蔵コネクタと称されている。
【0004】
ところで、通常フレキシブルプリント基板に実装された電子部品、特にアクチュエータ駆動回路(パワー系回路)からの発熱は、コネクタのハウジング内にこもり高温になるため、発熱部品を実装したフレキシブルプリント基板の非実装面を放熱板に密着固定させて放熱する構造が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平10−229255号公報(2頁〜3頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記放熱構造では図5に示すような発熱部品を実装したフレキシブルプリント基板を内蔵する複数の電子部品内蔵コネクタ4〜6と車体側の制御装置8を一貫して接続するバスハーネス7とを電気的に接続した構造における前記発熱部品からの発熱を効率的に放熱することはできないという問題がある。
【0006】
本発明は、上述の点に鑑みてなされたもので、発熱部品を内蔵する電子部品内蔵コネクタとバスハーネスとを電気的に接続する構造における前記発熱部品からの発熱を効率的に放熱するようにした電子部品内蔵コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的を達成するために本発明にかかる電子部品内蔵コネクタは、電動アクチュエータと制御装置とを結ぶバスハーネスに接続され、前記電動アクチュエータの駆動回路及び制御信号を授受する通信回路とがハウジングに内蔵された電子部品内蔵コネクタにおいて、前記電子部品を実装したプリント基板が前記バスハーネスに重ねて設けられ、さらに前記バスハーネスが前記ハウジングに組み込まれた放熱手段に当接して設けられていることを特徴としている。
【0008】
このような電子部品内蔵コネクタを採用することによって、発熱体の熱は、接続された熱容量の大きいバスハーネスを通して放熱されると共に、最下層部の放熱板によってフレキシブルプリント基板及びバスハーネスにこもった熱を放熱することができ、ハウジング内の限られたスペースで効率的な放熱を行うことができる。
【0009】
また、本発明の請求項2に記載の電子部品内蔵コネクタは、請求項1に記載の電子部品内蔵コネクタにおいて、前記放熱手段が、金属板、シールド板、熱伝導樹脂シート、あるいは平板状ヒートパイプの何れかから構成されていることを特徴としている。
【0010】
このような放熱手段を用いることで、効率よく確実な放熱を行うことができる。
【0011】
また、本発明の請求項3に記載の電子部品内蔵コネクタは、請求項1に記載の電子部品内蔵コネクタにおいて、前記バスハーネスが、フラット導体を絶縁したフラットケーブル、あるいは丸線導体をフラット状に配置して絶縁したリボンもしくはフラットケーブルの何れかにより構成されていることを特徴としている。
【0012】
このようにバスハーネスをフラット形状とすることで、車体への配索が容易となり、特にフラット導体を用いたフラットケーブルでは放熱面積が広くなり、発熱体からの熱を効率的に逃がすことができる。
【0013】
また、本発明の請求項4に記載の電子部品内蔵コネクタは、請求項1に記載の電子部品内蔵コネクタにおいて、前記プリント基板が前記バスハーネスに所定位置で導通接続されていることを特徴としている。
【0014】
これにより、バスハーネスにプリント基板を正確にかつ確実に接続することができる。
【0015】
また、本発明の請求項5に記載の電子部品内蔵コネクタは、請求項4に記載の電子部品内蔵コネクタにおいて、前記バスハーネスの一部と前記電子部品を実装したプリント基板とを重ね合わせ、前記バスハーネスの同一電気回路と前記プリント基板の対応する電線の少なくとも二箇所以上で接続したことを特徴としている。
【0016】
このようにバスハーネスの同一回路にプリント基板の同一回路を異なった少なくとも二箇所以上で電気接続することで、一箇所の電気結合点に何らかの原因で不具合が発生しても他の箇所での電気結合が確保されていることにより、バスハーネスとプリント基板との間には必要な電流路が確保されて分散制御システムとして品質上優れたものとなる。
【0017】
また、本発明の請求項6に記載の電子部品内蔵コネクタは、請求項1に記載の電子部品内蔵コネクタにおいて、前記プリント基板に実装される前記アクチュエータ駆動回路と前記通信回路とが一定の空間を存して実装されて前記ハウジングに内蔵されていることを特徴としている。
【0018】
このような実装構造によって、アクチュエータ駆動回路の例えば、パワーICと通信回路の通信用ICとが空間により熱的に隔離されるので、前記通信用ICがパワーICから熱的に影響されにくくなる。これにより、確実な制御信号の授受を行うことができる。
【0019】
また、本発明の請求項7に記載の電子部品内蔵コネクタは、請求項6に記載の電子部品内蔵コネクタにおいて、前記ハウジングがロアケースと開閉自在に設けられたアッパケースとからなり、前記プリント基板が前記ロアケース底部からアッパケース内面に延在して配置されると共に前記アクチュエータ駆動回路が前記ロアケース底部に装着された前記プリント基板に配置され、前記通信回路が前記アッパケース内面に装着された領域の前記プリント基板に実装されて、前記ロアケースと前記アッパケースが閉じられたときに前記アクチュエータ駆動回路と前記通信回路とが対向して実装配置されていることを特徴としている。
【0020】
このような実装構造によって、発熱するアクチュエータ駆動回路と通信回路が熱的に隔離されているので、通信回路が熱的に影響されることが少なくなる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、電装部品実装のプリント基板としてのフレキシブルプリント基板とバスハーネスとが接続された複合構造であっても効率の良い放熱構造を提供できると共にアクチュエータ駆動回路と通信回路が混載された電子部品内蔵コネクタの場合、通信回路への熱的影響を少なくすることができる。これにより、確実な制御信号の授受を行うことができ、電動アクチュエータの誤動作等を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0023】
図1は、車両の分散制御システムに使用されるバス配線体としてのバスハーネス11の途中に接続された電子部品内蔵コネクタ(以下単に「コネクタ」という)21の分解斜視図を示す。バスハーネス11は、帯状をなす平たいハーネスで内部に3本の帯状の導電体が間隔を存して平行に設けられて絶縁体で被覆されたハーネスをなしている。より具体的には、バスハーネス11は、厚さ0.15mm、幅2.5mmのフラット銅導体3芯をポリエチレンテレフタレートフィルムで絶縁したフレキシブルフラットケーブル(FFC)で電源ライン12、アースライン13、及び制御信号ライン14の3芯とされている。
【0024】
本実施形態に使用するバスハーネス11のように極端に芯数の少ない分散制御ハーネスの場合は、ハーネスの配索、固定作業や、コネクタ嵌合作業時に引張りや引っ掛けといった外力に非常に弱く、プロテクタや保護チューブ等の特別の保護対策が必要となるために比較的外力に強い被覆を持つフレキシブルフラットケーブルを使用することが望ましい。
【0025】
なお、バスハーネス11としてフレキシブルフラットケーブル(FFC)を用いているが、配線材としてフラット状の樹脂押出し被覆されたフラットケーブル、あるいは丸線導体をフラット状に配置して絶縁したリボンもしくはフラットケーブル等を用いても良い。
【0026】
コネクタ21は、ロアケース22とアッパケース23からなるハウジング25内にフレキシブルプリント基板(FPC)(以下単に「プリント基板」という)31、放熱手段としての放熱板35、雌端子36等を有している。ハウジング25は、ロアケース22の一側側壁の上端とアッパケース23の対応する側壁の下端とが薄肉部24により連設されてヒンジ部(以下「ヒンジ部24」という)とされ、当該ヒンジ部24により開閉可能とされている。なお、図1においてアッパケース23は、ロアケース22からヒンジ部24で切り離して描いてある。ロアケース22の底部は両側部22a,22aを残して大きく開口する開口22bとされている。
【0027】
図1及び図2に示すようにロアケース22、アッパケース23は、長手方向両側に夫々突縁部22c,23cが対向して形成されており、ロアケース22とアッパケース23と閉じることでこれらの間にバスハーネス11を略逆U字形状に屈曲させて導入し係止する係止部が形成される。ロアケース22のヒンジ部24が設けられている側壁と反対側の側壁の略中央が切り欠かれて開口22dとされており、その下縁部に僅かに斜め下方外方に向かって突出する保護フランジ22eが設けられている。アッパケース23の対応する側壁には保護フランジ22eと対応して保護フランジ23eが設けられ、上部に係合突起23fが設けられている。このハウジング25は、例えば、絶縁性を有するポリエチレン等の樹脂部材により一体に形成されている。
【0028】
一方、放熱板35は、例えば、アルミニウム等の金属板で形成されており、ロアケース22の底部の開口22bに装着されて四隅を当該ロアケース22の両側部22aのねじ孔22fにねじ37で固定される。この放熱板35は、図2に示すようにロアケース22の開口22bに装着された状態において、上下両面が露出し、かつ上面及び下面がロアケース22の両側部22aの上面及び下面と面一とされている。なお、放熱手段としては、アルミニウム板に限るものではなく、他の金属板や、厚肉シールド板、熱伝導樹脂シート、あるいは平板状のヒートパイプを使用しても良い。
【0029】
図1に戻り、プリント基板31には、制御すべきアクチュエータに応じた電気回路パターンが形成され、ロアケース22に収納される下部基板31aとアッパケース23に収納される上部基板31bとがヒンジ部24側の側部31cを複数回折り返されて重ねられる形状とされている。そして、下部基板31aのバスハーネス11に沿う両側部が電線接続部31d,31dとされ、ロアケース22の保護フランジ22eと対応する側部がコネクタ端子接続部31eとされている。この下部基板31aは、両側の電線接続部31dが夫々ロアケース22の両側部22aと対向し、これらの電線接続部31dを除く部位が放熱板35と対向するようになっている。
【0030】
下部基板31aの両側の電線接続部31dには、バスハーネス11の電源ライン12、アースライン13、制御信号ライン14と対応して図示しない電源ライン、アースライン、制御信号ラインが設けられている。また、下部基板31a、上部基板31bには実装される電子部品を接続する図示しない回路パターンが形成されており、コネクタ端子接続部31eには制御すべきアクチュエータに対応した接続回路パターン(何れも図示せず)が形成されている。これらの電源ライン、アースライン、制御信号ライン、回路パターン及び接続回路パターン等は、2枚の絶縁フィルムの間に挟まれてサンドイッチ状に形成されている。
【0031】
そして、下部基板31aにはアクチュエータ駆動回路(パワー系回路)を構成する電子部品としての例えば、パワーIC41、アクチュエータ制御用IC42、及び他の図示しない電子部品等が実装されている。なお、これらのパワーIC41、アクチュエータ制御用IC42等の電子部品は、発熱部品である。また、上部基板31bには通信回路を構成する電子部品としての例えば通信制御用IC43や他の不図示の電子部品等がパワーIC41、アクチュエータ制御用IC42等の発熱部品からできるだけ離隔した位置に実装されている。
【0032】
図1及び図2に示すようにプリント基板31は、下部基板31aがバスハーネス11の所定位置に載置される。この状態において下部基板31aの両側の電線接続部31dに形成されている電源ライン、アースライン及び制御信号ラインは、バスハーネス11の対応する電源ライン12、アースライン13及び制御信号ライン14と対向しており、夫々接続子(ピアス端子)45により電気的に接続され、かつ固定される。
【0033】
図3及び図4は、接続子45によりバスハーネス11の電源ライン12とプリント基板31の下部基板31aの対応する電源ライン32とを接続する場合の説明図である。図3に示すように接続子45は、底部45aの一側の両端に2つの突刺し片45b,45dが、他側の中央に突刺し片45cが夫々略垂直に立設され、これらの突刺し片45b,45c,45dは、交互に並んで端面視略U字形状をなして形成されている。なお、接続子45は、導電性を有する金属部材により形成されている。
【0034】
バスハーネス11の電源ライン12上にプリント基板31の下部基板31aの電源ライン32が配置され、下方から接続子45の突刺し片45b,45c,45dがこれらを突き刺して貫通し、下部基板31aの上方に突出される。そして、図4の断面図に示すように突刺し片45b,45c,45dの各先端が内方に円弧状に折曲されて加締め固定される。そして、バスハーネス11の電源ライン12とプリント基板31の電源ライン32とが接続子45の突刺し片45b〜45dにより導通されて電気的に接続される。このようにして、下部基板31aの両側の電線接続部31d(図1参照)に形成された電源ライン32がバスハーネス11の電源ライン12に二箇所で接続固定される。他のアースライン、制御信号ラインについても同様にして接続される。なお、本実施形態とは異なり、バスハーネス11の電源ライン12上にプリント基板31の下部基板31aの電源ライン32が配置された状態で、上方(プリント基板31側)から接続子45の突刺し片45b,45c,45dがこれらを突き刺して貫通するようにしても良い。
【0035】
このようにプリント基板31の両側の電線接続部31dである異なる二箇所でバスハーネス11に接続することで、一箇所の電気結合点に何らかの原因で不具合が発生しても他の箇所での電気結合が確保されていることにより、バスハーネス11とプリント基板31との間には必要な電流路が確保されて分散制御システムとして品質上優れたものとなる。
【0036】
そして、バスハーネス11の上側にプリント基板31の下部基板31aを配置するとともにバスハーネス11の下側に放熱板35を配置することによって、下部基板31aに実装された電子部品の脚が当該下部基板31aの下面から露出している場合であっても、バスハーネス11の表面絶縁被覆によって絶縁され、金属製の放熱板35を介してショートすることがない。
【0037】
また、図1に示すようにコネクタ端子接続部31eにはアクチュエータ側のコネクタの雄端子と嵌合する雌端子36の基端部が上述と同様に接続子45により複数箇所で接続固定される。このような接続子45を使用していわゆるピアッシング接続(以下、単に「接続」という)することにより、従来の圧接接続のように接続部が大きくならずコネクタ自体を薄型化することができる利点がある。
【0038】
図1及び図2に示すようにプリント基板31が載置固定されたバスハーネス11は、ロアケース22に収納され、下部基板31aが載置された部位の下面が例えば粘着熱伝導性樹脂シート47などの接着剤により放熱板35の上面に貼着固定されている。この粘着熱伝導性樹脂シート47は、熱伝導性が良く、しかも放熱板35に密着するバスハーネス11の凹凸を平板状に埋める作用があり、効率の良い熱伝導を行うことができる。また、下部基板31aの両側の電線接続部31dをバスハーネス11に接続固定する各接続子45は、絶縁性を有するロアケース22の両側部22a上に配置されており、放熱板35とは電気的に切り離されており、ショートすることがないようになっている。
【0039】
下部基板31aのコネクタ端子接続部31eは、ロアケース22の開口22dから導出され、雌端子36の基端部及び当該基端部とコネクタ端子接続部31eとを接続する接続子45が絶縁性を有する保護フランジ22eに載置されている。プリント基板31は、ヒンジ部24側の側部31cを複数回折り返されたまま上部基板31bがアッパケース23に収納され、その上面がアッパケース23の上壁の内面(裏面)に例えば、接着剤48で固定される。なお、接着剤48に代えて粘着熱伝導性樹脂シート47を使用しても良い。
【0040】
バスハーネス11は、電線接続部31dの外側の部分が逆U字形状に折り曲げられて余長部分11a,11bとされ、この部分がロアケース22の突縁部22cを跨ぐように装着され、アッパケース23を閉じたときに当該アッパケース23の突縁部23cとの間に狭持固定される。また、雌端子36が上下の保護フランジ22e,23eに狭持された後、雌端子カバー38が外嵌装着される。雌端子カバー38は、上部に形成された係合孔38aがアッパケース23の係合突起23fに係合して固定される。そして、ロアケース22とアッパケース23が閉じた状態に固定される。
【0041】
このようにして、アクチュエータ駆動回路及び通信回路を構成する電子部品がハウジング25に収納されて電子部品内蔵コネクタ21が構成され、内蔵される電子回路が保護される。そして、雌端子36と雌端子カバー38とにより雌コネクタが構成され、対応するアクチュエータのコネクタの雄端子が嵌合接続される。
【0042】
バスハーネス11には上述したようにして複数のアクチュエータに対応した位置に夫々電子部品内蔵コネクタ21が接続される。そして、このバスハーネス11は、例えば、車体のドアインナパネルの上面に密着して配索され、各電子部品内蔵コネクタ21の放熱板35も前記ドアインナパネルの上面に密着される。これにより、バスハーネス11及び放熱板35が車体側に熱的に接続される。
【0043】
また、図2に示すように発熱体となるアクチュエータ駆動回路のパワーIC41、アクチュエータ制御用IC42等の電子部品は下部基板31aに実装され、通信回路を構成する通信制御用IC43等の電子部品は上部基板31bに実装されていることで、ロアケース22にアッパケース23を閉じて固定したときには、パワーIC41、アクチュエータ制御用IC42等の電子部品と通信制御用IC43等の電子部品とが上下に分離され、かつ空間を存して配置されるために、パワーIC41、アクチュエータ制御用IC42等の電子部品の発熱が通信制御用IC43等の電子部品に及ぼす熱影響を軽減することができる。
【0044】
すなわち、パワーIC41、アクチュエータ制御用IC42等の電子部品から発熱された熱は、バスハーネス11、粘着熱伝導性樹脂シート47を通して放熱板35に伝達され、当該放熱板35からドアインナパネル等の車体に放熱される。また、パワーIC41、アクチュエータ制御用IC42等の電子部品から発熱された熱の一部は、バスハーネス11から前記ドアインナパネルや大気に放熱される。なお、バスハーネス11は、フラット導体を用いたフラットケーブルとされていることで放熱面積が広く、これに伴い放熱容量が大きく、発熱体からの熱を効率的に逃がすことができる。さらに、各接続子45からの放熱効果も加わり更なる放熱効果が得られる。これにより、発熱電子部品から発熱された熱がハウジング25内にこもることがなくなり、通信回路の誤動作が防止され確実な制御信号の授受を行うことができると共に電子部品の耐久性の向上が図られる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、自動車用分散制御に用いられる電子部品内蔵コネクタについて説明したが、本発明の電子部品内蔵コネクタは、鉄道車両やコピー機等の事務機、ビルや家屋のバスハーネスに接続する電子部品内蔵コネクタとして広く利用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の一実施形態にかかる電子部品内蔵コネクタの分解斜視図である。
【図2】図1に示す電子部品内蔵コネクタを組み付けた状態の断面図である。
【図3】図1に示すバスハーネスの電源ラインとプリント基板の電源ラインとの接続構造を一部切欠いて示した分解斜視図である。
【図4】図3に示すバスハーネスの電源ラインとプリント基板の電源ラインとを接続した状態の断面図である。
【図5】電子部品内蔵コネクタを用いた分散制御システムを示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0047】
1〜3 電動アクチュエータ
4〜6 電子部品内蔵コネクタ
7 バスハーネス
8 制御装置(ECU)
11(11a 〜11c) バスハーネス(フレキシブルフラットケーブル)
12 電源ライン
13 アースライン
14 制御信号ライン
21 電子部品内蔵コネクタ(コネクタ)
22 ロアケース
22a 側部
22b 開口
22c 突縁部
22d 開口
22e 保護フランジ
22f ねじ孔
23 アッパケース
23c 突縁部
23e 保護フランジ
23f 係合突起
24 ヒンジ部(薄肉部)
25 ハウジング
31 フレキシブルプリント基板(プリント基板)
31a 下部基板
31b 上部基板
31c 側部
31d 電線接続部
31e コネクタ端子接続部
32 電源ライン
35 放熱板
36 雌端子
37 ねじ
38 雌端子カバー
38a 係合孔
41 パワーIC
42 アクチュエータ制御用IC
43 通信制御用IC
45 接続子(ピアス端子)
45a 底部
45b〜45d 突刺し片
47 粘着熱伝導性樹脂シート
48 接着剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動アクチュエータと制御装置とを結ぶバスハーネスに接続され、前記電動アクチュエータの駆動回路及び制御信号を授受する通信回路とがハウジングに内蔵された電子部品内蔵コネクタにおいて、
前記電子部品を実装したプリント基板が前記バスハーネスに重ねて設けられ、さらに前記バスハーネスが前記ハウジングに組み込まれた放熱手段に当接して設けられていることを特徴とする電子部品内蔵コネクタ。
【請求項2】
前記放熱手段が、金属板、シールド板、熱伝導樹脂シート、あるいは平板状ヒートパイプの何れかから構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の電子部品内蔵コネクタ。
【請求項3】
前記バスハーネスが、フラット導体を絶縁したフラットケーブル、あるいは丸線導体をフラット状に配置して絶縁したリボンもしくはフラットケーブルの何れかにより構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の電子部品内蔵コネクタ。
【請求項4】
前記プリント基板が前記バスハーネスに所定位置で導通接続されていることを特徴とする、請求項1に記載の電子部品内蔵コネクタ。
【請求項5】
前記バスハーネスの一部と前記電子部品を実装したプリント基板とを重ね合わせ、前記バスハーネスの同一電気回路と前記プリント基板の対応する電線の少なくとも二箇所以上で接続したことを特徴とする、請求項4に記載の電子部品内蔵コネクタ。
【請求項6】
前記プリント基板に実装される前記アクチュエータ駆動回路と前記通信回路とが一定の空間を存して実装されて前記ハウジングに内蔵されていることを特徴とする、請求項1に記載の電子部品内蔵コネクタ。
【請求項7】
前記ハウジングがロアケースと開閉自在に設けられたアッパケースとからなり、前記プリント基板が前記ロアケース底部からアッパケース内面に延在して配置されると共に前記アクチュエータ駆動回路が前記ロアケース底部に装着された前記プリント基板に配置され、前記通信回路が前記アッパケース内面に装着された領域の前記プリント基板に実装されて、前記ロアケースと前記アッパケースが閉じられたときに前記アクチュエータ駆動回路と前記通信回路とが対向して実装配置されていることを特徴とする、請求項6に記載の電子部品内蔵コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−4852(P2006−4852A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−182206(P2004−182206)
【出願日】平成16年6月21日(2004.6.21)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】