説明

電子部品実装装置

【課題】電子部品をより確実に吸着ノズルに吸着させる。
【解決手段】電子部品Cの実装が行われる基板Kを保持する基板保持部と、実装される複数の電子部品を供給する部品供給部104と、基板に搭載する電子部品を吸着する吸着ノズル105を備えたヘッド106と、部品供給部及び基板保持部を含む領域にかけてヘッドを任意に移動位置決めするヘッド移動機構107と、基板に対する実装動作制御を実行する動作制御手段10とを備える電子部品実装装置100において、吸着ノズル又は部品供給部の電子部品のいずれか一方に対して連続的な往復動作を付与する往復動作付与手段30を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸着ノズルで電子部品を吸着して実装を行う電子部品実装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電子部品実装装置は、吸着ノズルを搭載し、X−Y平面を自在に移動可能なヘッドを備え、供給トレイから吸着により電子部品を受け取り、基板の部品実装箇所までヘッドが移動し、実装位置において吸着ノズルが電子部品を解放することで電子部品の実装を行っている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−108292号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の電子部品実装装置では、吸着ノズルに吸着される前の電子部品はその下面が貼着されて事前に位置ズレを生じないように保持されている。かかる電子部品Cは、図5(A)に示すように、電子部品Cの吸着を妨げないように吸着ノズルNの吸着力により容易に剥離可能となるようにその貼着力が調整されているが、実際には、吸着ノズルNごとの吸着力や電子部品の個々の貼着力にバラツキがある場合があり、稀に電子部品Cの貼着力が吸着ノズルNの吸着力に勝り、吸着ノズルNを上昇させた場合に電子部品Cが剥離しないことがあった(図5(B))。その結果、電子部品の吸着エラーが発生して、作業効率の低下を生じるという問題があった。また、電子部品は剥離するが、上昇の妨げとなり、吸着ノズルNからこぼれて落下する場合もあり、その場合には、電子部品Cが消費されて歩留まりが悪くなるという問題も生じていた。
【0005】
本発明は、電子部品をより確実に吸着ノズルに吸着させることをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、電子部品の実装が行われる基板を保持する基板保持部と、実装される複数の電子部品を供給する部品供給部と、前記基板に搭載する電子部品を吸着する吸着ノズルを備えたヘッドと、前記部品供給部及び前記基板保持部を含む領域にかけて前記ヘッドを任意に移動位置決めするヘッド移動機構と、前記基板に対する実装動作制御を実行する動作制御手段とを備える電子部品実装装置において、前記吸着ノズル又は前記部品供給部の電子部品のいずれか一方に対して連続的な往復動作を付与する往復動作付与手段を備えることを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明と同様の構成を備えると共に、前記動作制御手段は、前記吸着ノズルが前記部品供給部内にある電子部品に接した状態から少なくとも上昇する際に、前記往復動作付与手段による往復動作の付与を行うよう制御することを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明と同様の構成を備えると共に、前記往復動作付与手段は、前記部品供給部を加振する加振装置を有することを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の発明は、請求項1又は2記載の発明と同様の構成を備えると共に、前記吸着ノズルをその中心線回りに回転させる回転駆動源を前記ヘッドに搭載し、前記往復動作付与手段として前記回転駆動源を用いて、前記吸着ノズルに往復回転動作を付与しながら前記電子部品を吸着することを特徴とする請求項1又は2記載の電子部品実装装置。
【0010】
請求項5記載の発明は、請求項1又は2記載の発明と同様の構成を備えると共に、前記吸着ノズルをその中心線に沿って昇降させる昇降駆動源を前記ヘッドに搭載し、前記往復動作付与手段として前記昇降駆動源を用いて、前記吸着ノズルに上下の往復動作を付与しながら前記電子部品を吸着することを特徴とする。
【0011】
請求項6記載の発明は、請求項1又は2記載の発明と同様の構成を備えると共に、前記往復動作付与手段として、前記ヘッド移動機構の移動駆動源を用いて、前記吸着ノズルにヘッド移動方向に沿った往復動作を付与しながら前記電子部品を吸着することを特徴とする。
【0012】
請求項7記載の発明は、請求項1から6のいずれか一項に記載の発明と同様の構成を備えると共に、前記部品供給部は、供給トレイに前記各電子部品を貼着して保持し、前記吸着ノズルは吸着により前記電子部品を前記供給トレイから剥離させることを特徴とする。
【0013】
請求項8記載の発明は、請求項7記載の発明と同様の構成を備えると共に、前記部品供給部は、前記供給トレイに前記各電子部品を平面状に並べて配置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の発明では、吸着ノズル又は部品供給部の電子部品のいずれかに対して連続的な往復動作を付与する往復動作付与手段を備えるので、電子部品の下面が部品供給部側に密着している場合でも、吸着ノズルによる上方への張力に加えて連続的な往復動作が付与されるので、効果的に電子部品の剥離を促し、吸着ノズルがより確実に電子部品を吸着させることが可能となる。
従って、電子部品実装装置の実装動作の信頼性を向上し、吸着エラーを抑止して作業効率を向上させると共に、歩留まりを良くすることが可能となる。
【0015】
なお、往復動作付与手段が付与する往復動作は、直線的な往復動作である振動動作でも良いし、往復回転動作でも良い。
また、この請求項1では、電子部品が部品供給部に貼着されている場合に限定されない。つまり、電子部品の素材と部品供給部の素材とによっては、貼着等を行っていない場合でも、互いに隙間なく密着を生じて離れにくくなる場合もあるので、そのような場合にも効果的に電子部品の剥離を促すことが可能である。
【0016】
請求項2記載の発明は、吸着ノズルが部品供給部内にある電子部品に接した状態から少なくとも上昇する際に往復動作付与手段が往復動作を付与するので、必要以上の往復動作付与を回避し、非吸着時の省力化を図ることができ、また、吸着時以外の往復動作付与による他の電子部品の剥離、位置ズレなどを防止することが可能となる。
【0017】
請求項3記載の発明は、往復動作付与手段が部品供給部を加振するので、ヘッド側に加振装置を搭載することを不要とし、ヘッドの小型化及び軽量化を図ることが可能となる。
【0018】
請求項4記載の発明は、吸着ノズルに吸着された電子部品の角度を調整するための回転駆動源を往復動作付与手段としても使用するので、ヘッドの大型化及び重量増加を回避することができると共に装置全体の部品点数の低減を図り、生産コストの低減を図ることが可能となる。
【0019】
請求項5記載の発明は、吸着ノズルの昇降動作を行うための昇降駆動源を往復動作付与手段としても使用するので、ヘッドの大型化及び重量増加を回避することができると共に装置全体の部品点数の低減を図り、生産コストの低減を図ることが可能となる。
【0020】
請求項6記載の発明は、ヘッドの移動動作を行うための移動駆動源を往復動作付与手段としても使用するので、装置全体の部品点数の低減を図り、生産コストの低減を図ることが可能となる。
【0021】
請求項7及び8記載の発明は、供給トレイに電子部品が貼着されるタイプの部品供給部にあっても、各電子部品を効果的に剥離することができ、作業効率の向上及び歩留まりを良くすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本実施の形態に係る電子部品実装装置の全体を示す平面図である。
【図2】加振装置の側面図である。
【図3】電子部品実装装置の制御系を示すブロック図である。
【図4】電子部品の実装動作制御のフローチャートである。
【図5】図5(A)は吸着ノズルによる電子部品の吸着を正常に行った時の説明図であり、図5(B)は電子部品が剥離せず吸着ミスを生じた時の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(発明の実施形態)
本発明の実施形態について、図1乃至図4に基づいて説明する。図1は本実施形態たる電子部品実装装置100の概略構成を示す平面図、図3は電子部品実装装置10の制御系を示すブロック図である。以下、図示のように、水平面において互いに直交する二方向をそれぞれX軸方向とY軸方向とする。また、これらに直交する鉛直上下方向をZ軸方向というものとする。
電子部品実装装置100は、基板Kに各種の電子部品Cの搭載を行うものであって、図1に示すように、実装の対象となる電子部品Cを供給する複数の電子部品フィーダ101をX軸方向に複数並べて保持する第一の部品供給部102と、複数の電子部品Cを載置するトレイ103が設置される第二の部品供給部104と、当該第二の部品供給部104を加振する往復動作付与手段としての加振装置30と、X軸方向に基板Kを搬送する基板搬送手段108と、当該基板搬送手段108による基板搬送経路の途中に設けられた基板Kに対する電子部品搭載作業を行うための基板保持部と、複数(この例では六基)の吸着ノズル105を昇降可能に保持して電子部品Cの保持を行うヘッド106と、ヘッド106を二つの部品供給部102,104と基板保持部とを含んだ作業エリア内の任意の位置に駆動搬送するヘッド移動機構としてのX−Yガントリ107と、上記各構成を搭載支持するベースフレーム114と、上記各構成の動作制御を行う動作制御手段10とを備えている。
【0024】
(基板搬送手段及び基板保持部)
基板搬送手段108は、図示しない搬送ベルトを備えており、その搬送ベルトにより基板KをX軸方向に沿って搬送する。
また、前述したように、基板搬送手段108による基板搬送経路の途中には、電子部品Cを基板Kへ搭載する際の作業位置で基板Kを固定保持するための基板保持部(図1における基板Kの図示位置)が設けられている。基板搬送手段108は、基板保持部まで基板Kを搬送すると共に停止して、図示しない保持機構により基板Kの保持を行う。つまり、基板Kは保持機構により保持された状態で安定した電子部品Cの搭載作業が行われる。
【0025】
(第一の部品供給部)
第一の部品供給部102は、ベースフレーム114のY軸方向一端部に設けられ、複数の電子部品フィーダ101を並べて搭載可能なX軸方向に沿ったエリアである。第一の部品供給部102の平坦部の上面には複数の電子部品フィーダ101がX軸方向に沿って羅列して載置装備される。なお、各電子部品フィーダ101にはラッチ機構が設けられ、ラッチ機構の操作により第一納品供給部への着脱が可能となっている。
【0026】
上述した電子部品フィーダ101は、後端部側に電子部品Cが均一間隔で無数に封入されたテープを巻回したテープリール(図示略)を保持すると共に、先端部近傍には、上述したように、ヘッド106への電子部品Cの受け渡し部を有している。
電子部品Cの実装動作時には、ヘッド106は、搭載対象となる電子部品フィーダ101の受け渡し部に吸着ノズル105が位置決めされて電子部品Cの受け渡しが行われる。
【0027】
(第二の部品供給部)
第二の部品供給部104は、ベースフレーム114上において、基板搬送手段108を挟んでY軸方向について第一の部品供給部102の逆側に設けられている。
この第二の部品供給部104は、トレイ103を載置可能な平板であり、後述する加振装置30によりY軸方向に沿って移動可能に支持されている。
トレイ103は、マトリクス状にX軸方向とY軸方向とについて均一な間隔で電子部品Cを配置されており、各位置おいて電子部品Cは貼着されている。つまり、各電子部品Cはトレイ103の上面において平面状に配置されている。電子部品Cの貼着は、電子部品Cが位置ズレを生じないようにするための仮止めであり、吸着ノズル105に吸着されて上方に張力を受けると、電子部品Cが凹部から剥離するように接着強度が一応は調整されているが、各電子部品Cの接着強度を正確に均一化を図ることは困難であり、若干のバラツキが存在している。
そして、電子部品Cの実装動作時には、ヘッド106は、それぞれの電子部品Cについて順番に吸着ノズル105が位置決めされて電子部品Cの受け渡しが行われる。
【0028】
(X−Yガントリ)
X−Yガントリ107は、X軸方向にヘッド106の移動を案内するX軸ガイドレール107aと、このX軸ガイドレール107aと共にヘッド106をY軸方向に案内する二本のY軸ガイドレール107bと、X軸方向に沿ってヘッド106を移動させる移動駆動源であるX軸モータ109と、X軸ガイドレール107aを介してヘッド106をY軸方向に移動させる移動駆動源であるY軸モータ110とを備えている。そして、各モータ109、110の駆動により、ヘッド106を二本のY軸ガイドレール107bの間となる領域のほぼ全体に搬送することを可能としている。
なお、各モータ109、110は、ぞれぞれの回転量が動作制御手段10に認識され、所望の回転量となるように制御されることにより、ヘッド106を介して吸着ノズル105の位置決めを行っている。
また、電子部品実装作業の必要上、前述した第一及び第二の部品供給部102,104,基板保持部とはいずれもX−Yガントリ107によるヘッド106の搬送可能領域内に配置されている。
【0029】
(ヘッド)
ヘッド106には、その先端部で空気吸引により電子部品Cを保持する六基の吸着ノズル105と、各吸着ノズル105をそれぞれZ軸方向に沿って昇降させる昇降駆動源としての六基のZ軸モータ111(図3参照)と、各吸着ノズル105をそれぞれ回転させて保持された電子部品CをZ軸方向回りに角度調節するための回転駆動源としての六基のθ軸モータ112(図3参照)と、基板Kのマークを撮像して基板位置を認識するための基板認識カメラ115と、各吸着ノズル105に吸着された電子部品Cのノズル先端部に対する位置及びZ軸回りの角度を検出するための部品認識カメラ113とが設けられている。なお、図3では一本の吸着ノズル105についてのみ各モータ111,112を図示しているが、実際には、ヘッド106に搭載された吸着ノズル105ごとに各モータ111,112が設けられている。
【0030】
上記各吸着ノズル105は、Z軸方向に沿った状態で昇降可能且つ回転可能にヘッド106に支持されており、昇降による電子部品Cの受け取り又は実装及び回転による電子部品Cの角度調節が可能となっている。
また、部品認識カメラ113は、吸着ノズル105の先端の電子部品Cに対して側方から撮像を行い、ノズル先端における電子部品Cの吸着の有無及び電子部品Cの向きを検出する。
基板認識カメラ115は、垂直下方を向いて搭載されており、基板Kを上方から撮像し、基板K上の位置決めマークの撮像を行い、基板位置を検出する。
【0031】
(加振装置)
図2は加振装置30の側面図である。加振装置30は、平板状の第二の部品供給部104をY軸方向に沿って往復可能に支持する二本のガイド31(図2では一方は図示略)と、ガイド31を支持するフレーム32と、第二の部品供給部104の下側に設けられて当該第二の部品供給部104にY軸方向に沿った振動(往復動作)を付与するエアバイブレータ33とを備えている。
エアバイブレータ33は、空気圧の供給を受けて往復の前後動作を行うロッド33bを備え、当該ロッド33bが第二の部品供給部104に連結されている。また、このエアバイブレータ33のロッド33bはその動作方向がY軸方向に向けられた状態でフレーム32に装備されている。
また、このエアバイブレータ33は、電磁弁33a(図3参照)により空気圧の供給を受けるとロッド33bの前後動作を行い、電磁弁33aによる空気圧の供給と停止とは動作制御手段10により制御される。エアバイブレータ33は、所定圧力の空気圧の供給により所定周波数でY軸方向に沿った振動を第二の部品供給部104に付与する。かかる振動の周波数は、吸着ノズル105が電子部品Cを吸着して引き上げる際に電子部品Cの剥離を促すのに好適であって、尚かつ、電子部品Cの故障を生じさせない範囲で適宜選択される。例えば、ここでは50[Hz]としている。
【0032】
(動作制御手段)
図3に示すように、動作制御手段10は、前述したX軸モータ109、Y軸モータ110、Z軸モータ111及びθ軸モータ112のそれぞれのモータドライバ109a〜112aと、部品認識カメラ113の撮像画像をデジタルデータ化する部品映像処理部113aと、基板認識カメラ115の撮像画像をデジタルデータ化する基板映像処理部115aと、エアバイブレータ33を制御するための電磁弁33aとを備えている。なお、各モータ109〜112はいずれもサーボモータであり、各モータドライバ109a〜112aはフィードバック制御を実行する。
さらに、動作制御手段10は、所定の制御プログラムに従って電子部品Cの実装動作制御を実行するCPU40と、CPU40が処理を行う各種のデータを格納することで各種の処理の作業領域となるメモリ41と、各種の処理及び制御を実行するためのプログラムと基板Kに実装する電子部品Cのリストや各電子部品Cの実装位置及び電子部品Cの受け取り位置等の実装動作制御に要する実装データその他の設定情報等を記憶する二次記憶装置42と、CPU40と各種の機器(各モータドライバ109a〜112a、各映像処理部113a、115a、電磁弁33a等)との接続を図るI/F(インターフェース)43とを備えている。
【0033】
上記動作制御手段10のCPU40が、第二の部品供給部104のトレイ103から電子部品Cを吸着し、基板Kに実装する場合の電子部品実装動作制御を図4のフローチャートに基づいて説明する。
CPU40は、二次記憶装置42から実装データの読み込みを行い、実装の対象となる電子部品Cの吸着を行う位置と基板Kに対する実装位置の位置座標データを取得する。
そして、第二の部品供給部104のトレイ103における電子部品Cの吸着位置にヘッド106上の吸着ノズル105が位置決めされるようにX軸モータ109及びY軸モータ110を制御する(ステップS1)。
【0034】
次に、Z軸モータ111の制御により、電子部品Cの受け取り高さまで吸着ノズル105を下降させる(ステップS2)。そして、CPU40は、電磁弁33aを制御してエアバイブレータ33に対する空気圧の供給を開始し、トレイ103と第二の部品供給部104とをY軸方向に沿って加振する(ステップS3)。
そして、CPU40は、予め定められた待機時間を経て、Z軸モータ111を駆動させて、吸着ノズル105を搬送高さまで上昇させる(ステップS4)。このとき、トレイ103にはエアバイブレータ33により振動が付与されているので、吸着ノズル105により引っ張られた電子部品Cは容易にトレイ103から剥離し、より確実に吸着ノズル105に電子部品Cが吸着保持される。
また、エアバイブレータ33の電磁弁33aは、吸着ノズル105の上昇開始から予め定められた時間の経過を待って空気圧の供給を停止するように制御される(ステップS5)。
【0035】
次に、電子部品Cの基板実装位置にヘッド106が搬送を開始する(ステップS6)。かかるヘッド106の移動中において、部品認識カメラ113により吸着ノズル105の先端部に吸着された電子部品Cを撮像し、吸着ノズル105の中心位置に対する電子部品Cの位置ズレ及び中心線回りの角度を検出する(ステップS7)。
さらに、CPU40は、検出された電子部品Cの角度に基づいてθ軸モータ112を駆動して電子部品Cの向きを補正する(ステップS8)。
そして、基板Kの実装位置にヘッド106が到達すると、基板認識カメラ115により基板K上のマークを撮像し(ステップS9)、基板Kの位置を正確に把握すると共に、前述のステップS7で検出された吸着ノズル105に対する電子部品Cの位置を考慮してヘッド106のX軸方向およびY軸方向における停止位置補正を行う(ステップS10)。
さらに、Z軸モータ111を駆動して吸着ノズル105を実装高さまで下降させ(ステップS11)、実装位置に電子部品Cを載置し、所定の待機時間を経てからZ軸モータ111により吸着ノズル105を上昇させて(ステップS12)、実装動作制御を終了する。
【0036】
なお、CPU40は、実装データに設定されている全ての実装対象となる電子部品Cについて上記実装動作制御を繰り返し実行する。
また、実装対象となる電子部品Cが第一の部品供給部102から供給される電子部品Cである場合には、上記ステップS3及びS5の加振装置30により加振は行われない。
【0037】
(実施形態の効果)
以上のように、電子部品実装装置100は加振装置30を備え、吸着ノズル105が電子部品Cに接してから引き上げを行っている間、第二の部品供給部104及びトレイ103に振動を付与するので、トレイ103上に貼着された電子部品Cの剥離を効果的に促すことができ、トレイ103上の電子部品Cの残留や電子部品Cの取りこぼし等の吸着エラーを効果的に回避することが可能となり、電子部品実装装置100の実装動作の信頼性が向上、吸着エラーの抑止による作業効率の向上、歩留まりの改善などを図ることが可能となる。
また、加振装置30により加振動作は、吸着ノズル105が電子部品Cに接してから吸着により取り上げるまでの間のみとしているので、加振動作を必要最小限とし、非吸着時の省力化を図ることができ、他の電子部品Cの剥離、位置ズレなどを防止することも可能である。
また、加振による電子部品Cの剥離効果は、吸着ノズル105と電子部品Cとの相対的な周期的往復動作の付与により得ることができるが、上記実施形態の電子部品実装装置100では、加振装置30が第二の部品供給部104及びトレイ103を加振するので、吸着ノズル105を加振する場合とことなり、ヘッド106への加振装置の搭載を回避でき、ヘッド106の小型化及び軽量化を図ることが可能となる。
【0038】
(その他)
前述した加振装置30は、第二の部品供給部104をY軸方向に沿って加振しているが、この方向に限らず、X軸方向、Z軸方向又はこれらを合成した方向に加振しても良い。
また、加振装置30の駆動源はエアバイブレータを使用しているが、モータ、ソレノイド、圧電素子等の電力で駆動する駆動源を振動の駆動源としても良い。
【0039】
また、吸着ノズルと電子部品Cとに相対的な往復動作を付与する往復動作付与手段としての加振装置は、ヘッド106側に搭載することも可能である。
さらに、加振装置30に替えて、前述した加振装置30の加振と同じタイミングで、ヘッド106に搭載されているθ軸モータ112を前述と同じ周波数で微小な角度幅で往復回動させ、吸着ノズル105と電子部品Cとの間で相対的な往復動作を付与することで電子部品Cの剥離を促すことも可能である。この場合、θ軸モータ112が往復動作付与手段として機能することとなり、既存の構成により加振装置30と同様の効果を得ることができ、部品コストの低減も図ることができる。
【0040】
また、同様に、加振装置30に替えて、加振装置30と同じタイミングで、ヘッド106に搭載されているZ軸モータ111を前述と同じ周波数で微小な幅で往復振動させ、吸着ノズル105と電子部品Cとの間で相対的な往復動作を付与することで電子部品Cの剥離を促すことも可能である。この場合、加振を終了させてから吸着ノズル105の引き上げを行うこととなる。さらに、加振装置30に替えて、加振装置30と同じタイミングで、X軸モータ109又はY軸モータ110を前述と同じ周波数で微小な幅で往復振動させ、吸着ノズル105と電子部品Cとの間で相対的な往復動作を付与することで電子部品Cの剥離を促すことも可能である。
上記のように、各モータ109、110,111を往復動作付与手段として用いた場合もθ軸モータ112を用いた場合と同様の効果を得ることが可能である。また、前述した加振装置30と各モータ109〜112による加振のいずれかを組み合わせて用いても良い。組み合わせる場合には、それらの加振方向、位相或いは周波数のいずれかが一致しないようにすることが望ましい。
【0041】
また、上記電子部品実装装置100では、第二の部品供給部104を加振する加振装置30のみを装備したが、電子部品フィーダ101のテープ内部と電子部品とが相互に吸着などを生じやすい場合には、第一の部品供給部102を加振する加振装置を設け、加振装置30と同様のタイミングで加振を行っても良い。
或いは、第一の部品供給部102については加振装置を設けずに、いずれかのモータ109〜112により加振装置30と同じタイミングで加振を行うよう制御しても良い。
【符号の説明】
【0042】
10 動作制御手段
30 加振装置(往復動作付与手段)
40 CPU
100 電子部品実装装置
101 電子部品フィーダ
102 第一の部品供給部
103 トレイ
104 第二の部品供給部
105 吸着ノズル
106 ヘッド
107 X−Yガントリ(ヘッド移動機構)
109 X軸モータ(移動駆動源)
110 Y軸モータ(移動駆動源)
111 Z軸モータ(昇降駆動源)
112 θ軸モータ(回転駆動源)
C 電子部品
K 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品の実装が行われる基板を保持する基板保持部と、
実装される複数の電子部品を供給する部品供給部と、
前記基板に搭載する電子部品を吸着する吸着ノズルを備えたヘッドと、
前記部品供給部及び前記基板保持部を含む領域にかけて前記ヘッドを任意に移動位置決めするヘッド移動機構と、
前記基板に対する実装動作制御を実行する動作制御手段とを備える電子部品実装装置において、
前記吸着ノズル又は前記部品供給部の電子部品のいずれか一方に対して連続的な往復動作を付与する往復動作付与手段を備えることを特徴とする電子部品実装装置。
【請求項2】
前記動作制御手段は、前記吸着ノズルが前記部品供給部内にある電子部品に接した状態から少なくとも上昇する際に、前記往復動作付与手段による往復動作の付与を行うよう制御することを特徴とする請求項1記載の電子部品実装装置。
【請求項3】
前記往復動作付与手段は、前記部品供給部を加振する加振装置を有することを特徴とする請求項1又は2記載の電子部品実装装置。
【請求項4】
前記吸着ノズルをその中心線回りに回転させる回転駆動源を前記ヘッドに搭載し、
前記往復動作付与手段として前記回転駆動源を用いて、前記吸着ノズルに往復回転動作を付与しながら前記電子部品を吸着することを特徴とする請求項1又は2記載の電子部品実装装置。
【請求項5】
前記吸着ノズルをその中心線に沿って昇降させる昇降駆動源を前記ヘッドに搭載し、
前記往復動作付与手段として前記昇降駆動源を用いて、前記吸着ノズルに上下の往復動作を付与しながら前記電子部品を吸着することを特徴とする請求項1又は2記載の電子部品実装装置。
【請求項6】
前記往復動作付与手段として、前記ヘッド移動機構の移動駆動源を用いて、前記吸着ノズルにヘッド移動方向に沿った往復動作を付与しながら前記電子部品を吸着することを特徴とする請求項1又は2記載の電子部品実装装置。
【請求項7】
前記部品供給部は、供給トレイに前記各電子部品を貼着して保持し、
前記吸着ノズルは吸着により前記電子部品を前記供給トレイから剥離させることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の電子部品実装装置。
【請求項8】
前記部品供給部は、前記供給トレイに前記各電子部品を平面状に並べて配置したことを特徴とする請求項7記載の電子部品実装装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−3659(P2011−3659A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−144437(P2009−144437)
【出願日】平成21年6月17日(2009.6.17)
【出願人】(000003399)JUKI株式会社 (1,557)
【Fターム(参考)】