説明

電子部品接合方法

【課題】電子部品の回路基板への接合強度を向上させることができる電子部品接合方法を提供することを目的とする。
【解決手段】樹脂接着剤4を供給した後のリジッド基板1に対してブロア8によって気体を吹き付けることにより、樹脂接着剤4に含まれる水分および溶剤成分のうちのいずれかまたは両方を蒸散を促進した後、フレキシブル基板11の電極12をリジッド基板1の端子2とを位置合わせしてフレキシブル基板11をリジッド基板1に熱圧着する。これにより、水分や溶剤成分などに起因するボイドの発生を有効に防止ことができ、フレキシブル基板11のリジッド基板1への接合強度を向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板の端子に電子部品の電極を電気的に接続した状態で両者を接合する電子部品接合方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
回路基板に半導体チップやフレキシブルコネクタを実装する方法として、半田粒子を含有した熱硬化性樹脂が予め供給された回路基板に電子部品を熱圧着により接合する技術が知られている。この方法では、半田粒子によって回路基板の端子と電子部品の電極とを電気的に接続するとともに、熱硬化した熱硬化性樹脂によって電子部品を回路基板の表面に固着する(例えば特許文献1参照)。
【0003】
このような電子部品実装工法においては、回路基板と電子部品との樹脂接着剤による接合強度を充分に確保することが実装品質上重要となる。このため、特許文献1に示す先行技術においては、樹脂接着剤としての絶縁性樹脂の供給に先立って基板を予め加熱する基板ベーク工程を行って、基板のビルドアップ層の未硬化層に含まれる残留した溶剤成分などのガスを揮発させるようにしている。これにより、残留ガスを内部に閉じこめたまま樹脂接着剤が熱硬化することによって生じるボイドを減少させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−223686号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の特許文献例に示す先行技術には、電子機器の小型化の進展に伴う実装対象の微細化や接合信頼性の更なる向上の要請などに起因して、以下に説明するような不都合が指摘されている。すなわち特許文献1に示す例においては、基板ベーク工程において未硬化層の残留ガスを減少させる効果はあるものの、その後に生じる再吸湿による水分や樹脂接着剤に含まれる溶剤成分が残留することによるボイド発生に対しては効果を期待することができない。このように、熱硬化性樹脂を含む樹脂接着剤を用いる従来の電子部品接合方法には、水分や溶剤成分などに起因するボイドの発生を有効に防止することが困難で、電子部品の回路基板への接合強度を向上させることが難しいという問題があった。
【0006】
そこで本発明は、電子部品の回路基板への接合強度を向上させることができる電子部品接合方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電子部品接合方法は、回路基板の端子に電子部品の電極を電気的に接続した状態で前記回路基板と電子部品とを接合する電子部品接合方法であって、前記回路基板の端子を含む表面に熱硬化性樹脂を含む樹脂接着剤を供給する接着剤供給工程と、前記接着剤供給工程後の前記回路基板に対して気体を吹き付けることにより前記樹脂接着剤に含まれる水分および溶剤成分のうちのいずれかまたは両方の蒸散を促進するブロー工程と、前記ブロー工程の後、前記電子部品の電極を前記回路基板の端子とを位置合わせしてこの電子部品を回路基板に熱圧着する圧着工程とを含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明の電子部品接合方法は、熱硬化性樹脂を含む樹脂接着剤を供給した後の回路基板に対して気体を吹き付けることにより樹脂接着剤に含まれる水分および溶剤成分のうちのいずれかまたは両方を蒸散を促進した後、電子部品の電極を回路基板の端子とを位置合わせしてこの電子部品を回路基板に熱圧着することにより、水分や溶剤成分などに起因するボイドの発生を有効に防止ことができ、電子部品の回路基板への接合強度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施の形態の電子部品接合方法を示す工程説明図
【図2】本発明の一実施の形態の電子部品接合方法を示す工程説明図
【図3】本発明の一実施の形態の電子部品接合方法を示す工程説明図
【図4】本発明の一実施の形態の電子部品接合方法を示す工程説明図
【図5】本発明の一実施の形態の電子部品接合方法におけるリジッド基板の部分断面図
【図6】本発明の一実施の形態の電子部品接合方法におけるリジッド基板とフレキシブル基板の接合部の部分断面図
【図7】本発明の一実施の形態の電子部品接合方法におけるリジッド基板とフレキシブル基板の接合部の部分断面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。まず、図1〜図4を参照して、電子部品接合方法について説明する。この電子部品接合方法は、回路基板であるリジッド基板1(図1)に電子部品であるフレキシブル基板11(図4)を接合するものであり、リジッド基板1の端子2にフレキシブル基板11の電極12を電気的に接続した状態で、リジッド基板1とフレキシブル基板11とを熱圧着により接着するものである。
【0011】
図1(a)に示すように、リジッド基板1の接続面1a(表面)には端子2が形成されている。端子2は銅(Cu)または銅系の合金より成り、図1(b)に示すように、端子2の表面2aは大気暴露により生成した酸化膜3によって覆われている。電子部品接合に際しては、リジッド基板1において端子2を含む接続面1a側に、図1(c)に示すように、酸化膜除去能力を有する活性剤を含む熱硬化性樹脂に半田粒子を含有させた樹脂接着剤(熱硬化接着剤)4が、ディスペンサ5によって端子2を覆って供給される(接着剤供給工程)。なお、樹脂接着剤4の供給方法として、ディスペンサ5による塗布に替えて、樹脂接着剤4を予めフィルム状に成形した接着フィルムを接続面1aに貼り付けるようにしてもよい。
【0012】
図1(c)に示すように樹脂接着剤4は、熱硬化性樹脂4aに半田粒子4bを所定の含有比率(例えば30〜75wt%)で含有させた構成となっており、熱硬化性樹脂4aを熱硬化させるための硬化剤として、酸無水物または潜在性硬化剤を含んでいる。ここで使用可能な酸無水物の種類としては、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、更には無水ナジック酸、メチルヘキサハイドロ無水フタル酸、メチルテトラハイドロ無水フタル酸などの液状酸無水物、無水フタル酸、テトラハイドロフタル酸などの固形酸無水物が挙げられる。また使用可能な潜在性硬化剤の種類としては、イミダゾール系、ヒドラジド系、三フッ化ホウ素−アミン錯体、アミンイミド、ポリアミンの塩、アミンアダクト、ジシアンジアミド等が上げられる。
【0013】
また熱硬化性樹脂の種類としてはエポキシ樹脂が最適であるが、アクリル樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂なども使用できる。本発明に用いられるエポキシ樹脂としては、特に限定されることなく公知のものが使用可能である。例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、グリンジルアミン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ハロゲン化エポキシ樹脂等から選択して用いられる。
【0014】
半田粒子4bは錫(Sn)を主成分とする半田を所定粒径の粒状にしたものであり、半田の種類としては、Sn−Ag−Cu系、Sn−Ag−Cu系以外にも、Sn、Sn−Ag系、Sn−Pb系、Sn−Pb−Ag系、Sn−Bi系、Sn−Bi−Ag系、Sn−Bi−In系、Sn−Cu系、Sn−Ag−Cu−Sb系、Sn−Ag−In−Bi系、Sn−Zn系、Sn−Zn−Bi系、Sn−inなどを用いることが可能である。なお、硬化剤としては、半田粒子4bに用いられる半田の融点温度(例えば220℃)よりも高い硬化温度(例えば230℃)で熱硬化性樹脂4aを熱硬化させるものが望ましい。
【0015】
半田粒子4bの表面は製造後の大気暴露によって生じた酸化膜で覆われており、このような状態の半田粒子4bを酸化膜3によって覆われた端子2と半田接合するため、樹脂接着剤4には、酸化膜3を除去する作用を有する活性剤が配合されている。本実施の形態では、活性剤として、N(2−ヒドロキシエチル)イミノ2酢酸,m−ヒドロキシ安息香酸、メサコン酸、更にはo−ヒドロキシケイ皮酸、ウスニン酸、3,4−ジヒドロキシ安息香酸、m−ヒドロキシ安息香酸、馬尿酸、コハク酸、o−メトキシケイ皮酸、p−アニス酸、リトコール酸、リンゴ酸などの有機酸を用いている。なお上述と同様の酸化膜除去能力を有し活性剤として作用する酸無水物などを硬化剤として配合する場合には、上述の活性剤を省略もしくは減量してもよい。
【0016】
次に、接着剤供給工程後のリジッド基板1を対象として、リジッド基板1へのフレキシブル基板11の熱圧着に先立って、図2(a)に示すように、予め樹脂接着剤4を加熱する予備加熱が行われる。この予備加熱は、熱圧着の際の諸条件を改善するために、以下の効果を得ることを目的として行われる。まず、樹脂接着剤4を予め設定された所定の温度まで昇温させることにより、樹脂接着剤4に配合された活性剤を賦活して表面2aの酸化膜3を除去する能力を発揮させる。これにより、熱圧着に至る過程において樹脂接着剤4中の活性剤が実質的に酸化膜3に作用する時間を十分に確保することができる。
【0017】
この結果、酸化膜3を除去する活性作用が向上し、図2(b)に示すように、表面2aから酸化膜3を良好に除去することができ、熱圧着時の半田接合における表面2aの半田濡れ性が改善される。これにより、樹脂接着剤4の組成において活性剤として活性作用が弱い成分を選択し、あるいは活性剤の配合比率を低く設定した場合にあっても、予備加熱によって活性剤が賦活されることから、所望の半田濡れ性を確保することが可能となる。したがって、従来技術において生じていた問題、すなわち活性剤の作用に起因して樹脂接着剤の保存安定性が損なわれ、ポットライフが短くなって製品としての使用性が低下するという問題が解決される。
【0018】
さらに加えて、樹脂接着剤4を昇温させることにより、樹脂接着剤4の溶剤成分4cとともに、大気曝露中の再吸湿によるリジッド基板1の内部や表面の水分が、樹脂接着剤4の塗布後も樹脂接着剤4に含まれたままとなっている残留水分4dや、リジッド基板1の積層時に内部に閉じ込められた残留有機ガスなどの外部への蒸散が促進される。したがって、これらのガス成分が樹脂接着剤4の熱硬化後においてなお内部に閉じ込められて残留することに起因するボイド(空隙部)の発生を減少させることができる。すなわちここでは、リジッド基板1上に供給された樹脂接着剤4を、樹脂接着剤4中の活性剤成分が酸化膜除去能力を発揮する温度まで加熱することにより、樹脂接着剤4に含まれる水分および溶剤成分のいずれかまたは両方を蒸散させて除去する(予備加熱工程)。
【0019】
この予備加熱には、以下に例示する方法など種々の方法を用いることができる。図2(c)は、リジッド基板1を介した熱伝達によって加熱する方法を示している。すなわち、ヒータを内蔵したホットプレート6上にリジッド基板1を載置し、ホットプレート6を発熱させてリジッド基板1を介して樹脂接着剤4を加熱する。また図2(d)は、加熱室7a内に熱源部9を備えた加熱炉7を用いる例を示している。すなわち、加熱室7aに設けられた保持テーブル7b上にリジッド基板1を載置し、熱源部9から下方へ吹き出される熱風(矢印a)によって樹脂接着剤4を加熱する。また加熱室7aの内部にリジッド基板1を収容することなく、開放雰囲気で熱風を樹脂接着剤4に対して吹き付けるようにしてもよい。
【0020】
なお、接着剤供給工程後のリジッド基板1に対して気体を吹き付けるブロー工程を実行することにより、樹脂接着剤4に含まれる水分および溶剤成分のうちのいずれかまたは両方の蒸散を促進することができる。すなわちこのブロー工程では、エアや窒素ガスなどの気体を樹脂接着剤4の表面で流動させて、樹脂接着剤4から蒸散するガスを速やかに拡散させる。このブロー工程には、予備加熱工程における加熱方法に応じて、種々の方法を用いることができる。例えば、図3(a)は、予備加熱をホットプレート6によって行う場合の例を示しており、この場合には、ブロア8からドライエアを樹脂接着剤4に対して吹き付けることにより(矢印b)、樹脂接着剤4から蒸散するガスを拡散させる。なお、リジッド基板1に耐熱性に劣る電子部品が既実装部品として存在する場合には、ブロー工程において吹き付ける気体として常温の空気を用いることにより、これらの既実装部品への熱ダメージを防止することができる。
【0021】
また図3(b)に示すように、予備加熱を加熱炉7によって行う場合には、熱源部9から吹き出される加熱エアが樹脂接着剤4に対して吹き付けられることにより、樹脂接着剤4の表面近傍では加熱エアの流動が生じ(矢印c)、同様の効果を得る。なお、予備加熱を加熱炉7によって行う場合において、図3(c)に示すように、加熱源として輻射式の熱源部9Aを用い、熱源部9Aからの輻射熱(矢印d)によって樹脂接着剤4を加熱する場合には、加熱室7a内にブロア7cを別途配設して、樹脂接着剤4の表面に対してエアを吹き付けるようにする(矢印e)。
【0022】
この予備加熱における加熱条件は、上述の効果を確保することができるような所定の温度、すなわち樹脂接着剤4中に配合された活性剤成分が酸化膜除去能力を発揮する適正温度が保たれるようなホットプレート6、熱源部9、9Aの加熱温度と加熱継続時間との組み合わせを、試行実験によって求めることにより決定される。さらにこの加熱条件は、樹脂接着剤4中の熱硬化性樹脂の熱硬化反応が過度に進行せず、後工程である圧着工程においてフレキシブル基板11を搭載する際に熱硬化性樹脂の流動性が失われないような条件に決定される。これにより、圧着工程において樹脂接着剤4を介してフレキシブル基板11(図4参照)をリジッド基板1に搭載して押圧する際に、樹脂接着剤4は水平方向に容易に押し広げられ、均一な接合状態が実現される。
【0023】
またこの予備加熱工程では、樹脂接着剤4中の熱硬化性樹脂の熱硬化反応が過度に進行しない温度範囲で樹脂接着剤4を昇温させることにより、次のような効果を得る。すなわち樹脂接着剤4の昇温過程においては、熱硬化が進行する前に一旦粘度が低下して流動性が増加する。これにより、接続面1aに塗布された樹脂接着剤4中において端子2の上方に存在する半田粒子4bは、自重により沈降して表面2aの近傍まで移動し、圧着過程における半田粒子4bの端子2による捕捉率が向上する。
【0024】
このとき前述の加熱条件における加熱温度を、半田粒子4bの溶融温度よりも高い温度に設定して、樹脂接着剤4をこの加熱温度まで昇温させることにより、半田粒子4bの挙動は図5(a)に示すようなものとなる。この場合には、樹脂接着剤4中の半田粒子4bは溶融しながら熱硬化性樹脂4a内を沈降して端子2の表面2aに接触し、表面2aに沿って濡れ広がって溶融した半田粒子4bの表面層を形成する。すなわち、表面2aの半田濡れ性を優先的に確保したい場合には、加熱温度を半田粒子4bの溶融温度よりも高い温度に設定し、予備加熱工程において半田粒子4bの溶融温度よりも高い温度まで樹脂接着剤4を加熱する。
【0025】
これに対し、加熱条件における加熱温度を半田粒子4bの溶融温度よりも低い温度に設定して、樹脂接着剤4をこの加熱温度まで昇温させることにより、半田粒子4bの挙動は図5(b)に示すようなものとなる。この場合には、樹脂接着剤4中の半田粒子4bは溶融せずに粒子形状を保ったまま熱硬化性樹脂4a内を沈降して、端子2の表面2aに接触する。これにより、半田粒子4bは確実に表面2aに接触し、熱圧着工程において表面2aと確実に半田接合される。すなわち、端子2の電気的な導通を優先的に確保したい場合には、加熱温度を半田粒子4bの溶融温度よりも低い温度に設定し、予備加熱工程において半田粒子4bの溶融温度よりも低い温度まで樹脂接着剤4を加熱する。
【0026】
次に予備加熱工程の後、フレキシブル基板11の電極12をリジッド基板1の端子2と位置合わせしてフレキシブル基板11をリジッド基板1に熱圧着する圧着工程が実行される。すなわち、図4(a)に示すように、まず一方側の面に電極12が形成されたフレキシブル基板11を、電極12が下面側の姿勢で圧着ヘッド10によって保持し、次いで接続面1a上に端子2を覆って樹脂接着剤4が供給されたリジッド基板1上に位置合わせする。
【0027】
この後、図4(b)に示すように、圧着ヘッド10を下降させて、電極12を端子2に対向させた状態で、フレキシブル基板11を樹脂接着剤4を介してリジッド基板1に対して着地させる。そしてフレキシブル基板11をリジッド基板1に対して所定の押圧荷重で押圧しながら、圧着ヘッド10に内蔵されたヒータによってフレキシブル基板11を介して樹脂接着剤4を加熱する。これにより、図4(c)に示すように、端子2と電極12とを半田接合して電気的に接続する半田接合部4b*が形成されるとともに、熱硬化性樹脂4aが熱硬化してフレキシブル基板11をリジッド基板1に固着する樹脂補強部4a*が形成される。
【0028】
このとき前述の加熱条件における加熱温度を、半田粒子4bの溶融温度よりも高い温度に設定した場合には、図6(a)に示すように、樹脂接着剤4中の半田粒子4bが表面2aに沿って濡れ広がって半田粒子4bの表面層を形成した状態で、電極12が端子2に対して下降する。これにより、図6(b)に示すように、端子2と電極12とを接続する半田接合部4b*が形成されるとともに、熱硬化性樹脂4aが熱硬化してフレキシブル基板11をリジッド基板1に固着する樹脂補強部4a*が形成される。このとき、表面2aにおける半田濡れ性が確保されていることから、半田接合部4b*の良好な接合強度が保証される。
【0029】
また加熱条件における加熱温度を半田粒子4bの溶融温度よりも低い温度に設定した場合には、図7(a)に示すように、樹脂接着剤4中の半田粒子4bが粒子形状を保ったまま表面2aに接触した状態で、電極12が端子2に対して下降する。これにより、図7(b)に示すように、端子2と電極12とを接続する半田接合部4b*が形成されるとともに、熱硬化性樹脂4aが熱硬化してフレキシブル基板11をリジッド基板1に固着する樹脂補強部4a*が形成される。このとき、半田粒子4bは確実に表面2aに接触して電極12との間に挟み込まれることから、端子2と電極12との電気的な導通が確保される。
【0030】
上記説明したように、本実施の形態の電子部品接合方法は、熱硬化性樹脂を含む樹脂接着剤4を供給した後のリジッド基板1に対して気体を吹き付けることにより樹脂接着剤4に含まれる水分および溶剤成分のうちのいずれかまたは両方を蒸散を促進した後、フレキシブル基板11の電極12をリジッド基板1の端子2とを位置合わせしてフレキシブル基板11をリジッド基板1に熱圧着するようにしたものである。これにより、水分や溶剤成分などに起因するボイドの発生を有効に防止ことができ、電子部品の回路基板への接合強度を向上させることができる。
【0031】
なお本実施の形態においては、回路基板および電子部品の組み合わせとして、リジッド基板1にフレキシブル基板11を実装する例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、回路基板としてのフレキシブル基板に、電子部品としてのベアチップを熱硬化性樹脂を含む樹脂接着剤によって接合する場合などについても、本発明の適用対象となる。
【0032】
また本実施の形態においては、樹脂接着剤として熱硬化性樹脂4aに半田粒子4bを含有させた組成のものを用いているが、これ以外の組成の樹脂接着剤であっても、熱硬化性樹脂を含むものであれば本発明の適用対象となる。さらに、本実施の形態においては、リジッド基板1に供給された樹脂接着剤4を予備加熱する例を示しているが、本発明においては予備加熱は必須要件ではなく、単に回路基板に供給された状態の樹脂接着剤に気体を吹き付ける構成であれば、本発明の適用対象となる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明の電子部品接合方法は、水分や溶剤成分などに起因するボイドの発生を有効に防止して、電子部品の回路基板への接合強度を向上させることができるという効果を有し、リジッド基板にフレキシブル基板を実装する電子部品実装分野などにおいて有用である。
【符号の説明】
【0034】
1 リジッド基板
1a 接続面
2 端子
3 酸化膜
4 樹脂接着剤
4a 熱硬化性樹脂
4a* 樹脂補強部
4b 半田粒子
4b* 半田接合部
4c 溶剤成分
4d 水分
6 ホットプレート
7 加熱炉
11 フレキシブル基板
12 電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板の端子に電子部品の電極を電気的に接続した状態で前記回路基板と電子部品とを接合する電子部品接合方法であって、
前記回路基板の端子を含む表面に熱硬化性樹脂を含む樹脂接着剤を供給する接着剤供給工程と、
前記接着剤供給工程後の前記回路基板に対して気体を吹き付けることにより前記樹脂接着剤に含まれる水分および溶剤成分のうちのいずれかまたは両方の蒸散を促進するブロー工程と、
前記ブロー工程の後、前記電子部品の電極を前記回路基板の端子とを位置合わせしてこの電子部品を回路基板に熱圧着する圧着工程とを含むことを特徴とする電子部品接合方法。
【請求項2】
前記ブロー工程において、前記気体として常温の空気を用いることを特徴とする請求項1記載の電子部品接合方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−23263(P2012−23263A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−161355(P2010−161355)
【出願日】平成22年7月16日(2010.7.16)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】