説明

電子部品検査装置用配線基板およびその製造方法

【課題】プローブ用パッドと外部接続端子とを接続する複数の表面配線を基板本体の同じ表面に容易に配設できると共に、設計および製造期間を短縮でき且つ容易に製造できる電子部品検査装置用配線基板およびその製造方法を提供する。
【解決手段】複数のセラミック層s1,s2を積層してなり、平面視が矩形の表面3および裏面4を有する基板本体2と、該基板本体2の表面3における中心側3aに形成され且つプローブ16が実装される複数のプローブ用パッド5と、基板本体2の表面3における周辺側3bで且つ複数のプローブ用パッド5の外側に形成された複数の外部接続端子6と、プローブ用パッド5と外部接続端子6との間を個別に接続し且つ基板本体2の表面3に形成された表面配線7、および基板本体2のセラミック層s1,s2間に形成された内部配線8,9と、を含み、上記内部配線8,9は、電源配線層8および接地配線層9の少なくとも一方である、電子部品検査装置用配線基板1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品の導通性や動作の可否などを検査するために用いる電子部品検査装置用配線基板およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ICチップやLSIなどの被検査電子部品の導通性や動作の可否などを検査するため、平面視が比較的幅広のプリント回路基板における一方の表面の周辺部にテスタと接続するための複数のテスタ接点を設け、上記回路基板における他方の表面の中心部に複数の接続部が位置するように当該回路基板の内部に電気トレースを配線すると共に、上記接続部を介して一方の表面が電気的に接続された比較的幅狭のプローブ・ヘッド(回路基板)内部のトレースを介して、該プローブ・ヘッドの他方の表面に被検査電子部品のテスト・ポイントに接触する複数のプローブを突設したプローブ・カード・アセンブリが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかし、前記のような2個の基板を併用するプローブ・カード・アセンブリでは、被検査電子部品ごとにテスト・ポイントが異なるため、個々の基板における内部配線(トレース)のレイアウトを設計することが必要となり、配線設計と製造とに多大な時間を要し、比較的短い納期には対応し難くなる場合があった。
上記の問題を解決するため、プローブを実装するためのプローブ用パッドと、外部接続用パッド(端子)と、これらのパッド間を導通するための信号、電源、および接地用の配線とを、絶縁性基板の同じ表面に位置する表面配線として形成することも検討されている。しかし、この場合、上記絶縁性基板の同じ表面において、接続すべき複数組のパッド同士間に配線すべき表面配線の密度が過密となり、全ての配線を上記同じ表面に配設することが著しく困難になる場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−197118号公報(第1〜39頁、図2,3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、背景技術において説明した問題点を解決し、プローブ用パッドと外部接続端子とを接続する複数の表面配線を基板本体の同じ表面に容易に配設できると共に、設計および製造期間を短縮でき且つ容易に製造できる電子部品検査装置用配線基板およびその製造方法を提供する、ことを課題とする。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0006】
本発明は、前記課題を解決するため、複数のセラミック層を積層した基板本体の表面にプローブ用パッド、外部接続端子、およびこれらの間を導通する表面配線を形成し、且つ上記セラミック層間に電源配線層および接地配線層の少なくとも一方からなる内部配線を形成する、ことに着想して成されたものである。
即ち、本発明の電子部品検査装置用配線基板(請求項1)は、複数のセラミック層を積層してなり、平面視が矩形の表面および裏面を有する基板本体と、該基板本体の表面における中心側に形成され且つプローブが実装される複数のプローブ用パッドと、上記基板本体の表面における周辺側で且つ上記複数のプローブ用パッドの外側に形成された複数の外部接続端子と、上記プローブ用パッドと外部接続端子との間を個別に接続し且つ上記基板本体の表面に形成された表面配線、および基板本体の上記セラミック層間に形成された内部配線と、を含む電子部品検査装置用配線基板であって、上記内部配線は、電源配線層および接地配線層の少なくとも一方である、ことを特徴とする。
【0007】
これによれば、前記基板本体の表面における中心側に位置する複数のプローブ用パッドと、周辺側に位置する複数の外部接続端子との間には、複数の信号配線(層)などが個別に表面配線として形成され、且つ上記基板本体を構成する複数のセラミック層間には、平面視が比較的広い面積の電源配線層および接地配線層の少なくとも一方が内部配線として形成されている。そのため、基板本体における同じ表面において、中心側のプローブ用パッドと周辺側の外部接続端子との間を信号配線によって容易に接続できると共に、比較的広い面積を要する電源配線層および接地配線層の一方または双方を、基板本体を構成する複数のセラミック層間に形成し、これらの内部配線と上記パッドまたは端子との間を、上層側のセラミック層を貫通するビア導体を介して容易に接続することができる。従って、優れた検査精度を奏し、設計および製造期間を短縮でき、且つ容易に製造することも可能となる。
【0008】
尚、前記セラミック層は、アルミナやムライトなどの高温焼成セラミック、あるいは低温焼成セラミックの一種であるガラス−セラミックからなり、前者の場合には、前記電源配線層、接地配線層、あるいはこれらと表面側の前記プローブ用パッドや外部接続端子との間を導通するためのビア導体には、WまたはMoが同時焼成用に用いられ、後者の場合には、AgやCuが同時焼成用に用いられる。
また、前記内部配線の電源配線層や接地配線層は、平面視で平板状を呈する通称ベタ状であり、平面視で内側に隙間を有しないか、あるいは極く僅かの隙間を有する平板状を呈するものである。
更に、前記基板本体を構成する複数のセラミック層間には、電源配線層および接地配線層の一方あるいは双方が形成される。このうち、電源配線層の一部は、上記内部配線に限らず、表面配線の一部として形成することも可能である。
【0009】
また、前記プローブ用パッドは、追って該パッドの上面に実装されるプローブの取り付けによる位置ズレに抵抗するため、平面視が円形あるいは四角形以上の正多角形を呈する形態が望ましい。
更に、前記外部接続端子は、本配線基板を搭載すべき中継基板または母基板側の接続端子との間に配置するボンディングワイヤの取り付け時の位置ズレを容易に吸収するため、平面視で上記ワイヤの配設方向に沿った方向に長辺または長径が平行となる平面視が長方形、長円形、あるいは楕円形を呈する形態が望ましい。
加えて、前記プローブ用パッドと外部接続端子との間を接続する表面配線は、主に信号配線(層)あるいは電源配線層が用いられ、電気抵抗を低減する上で、上記パッドおよび接続端子の幅(直径)と同じ線幅にすることが望ましい。
【0010】
更に、本発明には、前記基板本体は、3層以上のセラミック層を積層してなり、該複数のセラミック層間ごとに前記電源配線層および接地配線層の少なくとも一方が形成されている、電子部品検査装置用配線基板(請求項2)も含まれる。
これによれば、複数のセラミック層間ごとに前記電源配線層および接地配線層の一方または双方が形成されているので、上記基板本体の表面における中心側に位置する複数のプローブ用パッドと、周辺側に位置する複数の外部接続端子との間に、例えば、全て表面配線を複数の信号配線として確実に形成することが可能となる。
尚、前記3層以上のセラミック層を積層して形成される2以上のセラミック層間ごとには、前記電源配線層および接地配線層の一方あるいは双方が形成される。但し、電源配線層の一部は、表面配線の一部として形成することも可能である。
【0011】
一方、本発明による電子部品検査装置用配線基板の製造方法(請求項3)は、追って、最上層、中層、あるいは最下層のうちの2層以上のセラミック層となる複数のグリーンシートの表面または裏面に導電性ペーストを印刷して、未焼成の配線層を形成する工程と、上記複数のグリーンシートを積層し且つ圧着してグリーンシート積層体を形成する工程と、該グリーンシート積層体を焼成してセラミック積層体を形成する工程と、該セラミック積層体に含まれる複数の基板本体ごとの表面において、該表面における中心側で且つプローブが実装される複数のプローブ用パッドを、該表面における周辺側で且つ上記複数のプローブ用パッドの外側に複数の外部接続端子を、上記プローブ用パッドと外部接続端子との間を個別に接続する複数の表面配線を、それぞれ形成する工程と、を備えた電子部品検査装置用配線基板の製造方法であって、上記配線層は、電源配線層および接地配線層の少なくとも一方として形成される、ことを特徴とする。
【0012】
これによれば、複数のグリーンシート間に平板状ないしベタ状を呈する未焼成の電源配線層および接地配線層の一方または双方を形成し、上記複数のグリーンシートを積層して得られたグリーンシート積層体を上記各配線層と共に同時に焼成することで、セラミック積層体が得られる。更に、該セラミック積層体の表面において、中心側のプローブ用パッド、周辺側の外部接続端子、これらの間を接続し且つ信号配線を主体とする表面配線を精度良く容易に形成することが可能となる。
尚、前記グリーンシートは、アルミナやムライトなどの高温焼成セラミックの粉末、あるいはガラス成分とセラミック粉末とを含む低温焼成セラミックに対し、所要量のバインダ樹脂や溶剤などを配合し、且つシート状に成形してものである。
また、前記未焼成の配線層を形成する工程と同時か、あるいは該工程の直前において、上層側のグリーンシートに予め開設したビアホールに導電性ペーストを充填して、ビア導体を形成する工程が行われる。
更に、前記プローブ用パッド、外部接続端子、および表面配線は、前記焼成工程後における前記セラミック積層体の表面に対し、例えば、スパッタリング、フォトリソグラフィー技術、および電解金属メッキを施すことによって形成される。
【0013】
更に、本発明には、前記各工程の後に、複数の前記基板本体を個片化する工程が行われる、電子部品検査装置用配線基板の製造方法(請求項4)も含まれる。
これによれば、前記のような電子部品検査装置用配線基板を多数個取りの形態によって効率良く製造できると共に、納期の短縮化を図かることも可能となる。
尚、前記複数のグリーンシートにおける個々の配線基板となる領域の周囲には、断面V字状の分割溝を平面視で格子状にして形成しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明による一形態の電子部品検査装置用配線基板を示す平面図。
【図2】上記電子部品検査装置用配線基板の模式的な垂直断面図。
【図3】上記配線基板の基板本体の表面における表面配線付近の拡大断面図。
【図4】図2中のX−X線の矢視に沿った電源配線層を含む水平断面図。
【図5】図4と同様の位置で且つ異なる形態の電源配線層を示す水平断面図。
【図6】図4と同様の位置で且つ接地配線層を示す水平断面図。
【図7】前記配線基板を中継基板に実装した状態を示す垂直断面図。
【図8】前記配線基板を異なる中継基板に実装した状態を示す垂直断面図。
【図9】前記配線基板の応用形態である配線基板を示す模式的な垂直断面図。
【図10】前記配線基板を得るための一製造工程を示す概略の断面図。
【図11】図10に続く製造工程を示す概略の断面図。
【図12】図11に続く製造工程を示す概略の断面図。
【図13】図12に続く製造工程を示す概略の断面図。
【図14】図13に続く製造工程を示す概略の拡大断面図。
【図15】図14に続く製造工程を示す概略の拡大断面図。
【図16】図15に続く製造工程を示す概略の拡大断面図。
【図17】図16に続く製造工程を示す概略の拡大断面図。
【図18】図17に続く製造工程を示す概略の拡大断面図。
【図19】図18に続く製造工程を示す概略の拡大断面図。
【図20】以上の工程により得られた多数個取り用配線基板を示す垂直断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下において、本発明を実施するための形態について説明する。
図1は、本発明の一形態の電子部品検査装置用配線基板(以下、単に配線基板と称する)1を示す平面図、図2は、該配線基板1の模式的な垂直断面図である。
配線基板1は、図1,図2に示すように、上下2層(複数)のセラミック層s1,s2を積層してなり、平面視が正方形(矩形)の表面3および裏面4を有する基板本体2と、該基板本体2の表面3における中心側3aに形成され且つ追ってプローブが上面に実装される複数のプローブ用パッド5と、上記基板本体2の表面3における周辺側3bで且つ上記各プローブ用パッド5の外側に形成された複数の外部接続端子6と、該接続端子6と上記パッド5との間を個別に接続し且つ上記表面3に形成された表面配線7と、上記セラミック層s1,s2間に形成された内部配線8,9とを備えている。
尚、図1中の太い破線は、表面配線7と接続されずに独立している上記パッド5と上記接続端子6との間を導通する上記内部配線8,9の位置を示している。
【0016】
前記基板本体2の表面3における中心側3aと周辺側3bとは、互いに重複せず且つ両者間に表面配線7が配線可能な間隔を置いた相対的な位置を指している。
また、前記セラミック層s1,s2は、例えば、アルミナまたはムライトを含む高温焼成セラミックであり、これらの間には、同時に焼成されたWまたはMoからなり、平面視がほぼベタ状または平板状を呈する電源配線層8および接地配線層9の少なくとも一方が形成されている。このうち、上層側のセラミック層s1には、上記配線層8,9と、独立した一部のプローブ用パッド5あるいは独立した一部の外部接続端子6との間を個別に接続するビア導体va,vbが貫通している。
更に、図1に示すように、前記プローブ用パッド5、外部接続端子6、およびこれらの間を接続する表面配線7は、平面視の幅ないし直径が同じであり、図3の拡大垂直断面図で示すように、基板本体2の表面3上に順次形成されたTi薄膜層10、Cu薄膜層11、およびCuメッキ層12と、これらの外周全体に順次被覆されたNiメッキ膜13および金メッキ膜14とからなる。
【0017】
図1,図2に示すように、基板本体2の表面3における中心側3aと周辺側3bとに独立して形成された一部のプローブ用パッド5と一部の外部接続端子6とは、残部のプローブ用パッド5および残部の接続端子6を接続する表面配線7と当該表面3において交差しないように、セラミック層s1を貫通するビア導体va,vbと、セラミック層s1,s2間の電源配線層および接地配線層9の少なくとも一方からなる迂回経路を介して、導通可能とされている。
前記電源配線層8は、例えば、図4に示すように、前記セラミック層s1,s2間において、2つの対角線で4箇所に区分され、且つ中心側3aと周辺側3bとの間にまたがる平面視がほぼ直角三角形の電源配線層8aからなる。かかる電源配線層8aの中心側3aには、前記プローブ用パッド5と接続する1つのビア導体vaが接触し、且つ周辺側3bには、前記外部接続端子6と接続する2つのビア導体vbが接触している。
【0018】
また、前記電源配線層8は、例えば、図5に示すように、前記セラミックs1,s2間において、1つの水平線と2つの垂直線とにより6箇所区分され、且つ中心側3aと周辺側3bとの間にまたがる平面視が異なるサイズの長方形の電源配線層8b,8cとしても良い。かかる電源配線層8b,8cの中心側3aには、前記プローブ用パッド5と接続する1つのビア導体vaが接触し、且つ周辺側3bには、前記外部接続端子6と接続する1つのビア導体vbが接触している。
更に、前記電源配線層9は、例えば、図6に示すように、前記セラミックs1,s2間のほぼ全面に広がり、平面視がほぼ正方形を呈する単一の形態とし、その中心側3aには、前記図1で示した独立のプローブ用パッド5と接続する複数のビア導体vaが接続し、当該電源配線層9の周辺側3bには、前記図1で示した独立の外部接続端子6と接続する複数のビア導体vbが接続している。
【0019】
図7は、前記配線基板1を中継基板20における基板本体22の表面23における上方に実装した状態を示す垂直断面図である。
前記中継基板20は、図7に示すように、例えば、アルミナなどの高温焼成セラミック(絶縁材)からなり、平面視がほぼ正方形の表面23と裏面24とを有する基板本体22、該基板本体22の表面23と裏面24との間をほぼ等間隔で貫通する複数のビアホール内ごとに形成された複数のビア導体25、該ビア導体25ごとの表面23側の端部に接続された複数の接続端子26、および上記ビア導体25ごとの裏面24側の端部に接続され且つ外部との導通に用いる複数の外部端子27を備えている。
尚、前記ビア導体25、接続端子26、および外部端子27は、基板本体22がアルミナなどの場合には、主にWあるいはMoからなり、基板本体22が低温焼成セラミック(絶縁材)の一種のガラス−セラミックの場合には、CuあるいはAgからなる。
【0020】
図7に示すように、配線基板1のプローブ用パッド5ごとの上方には、例えば、Siウェハに併設された複数の被検査電子部品(何れも図示せず)と電気的に接触するためのプローブ16が立設して取り付けられる。また、中継基板20の表面23における中央部に、接着剤18を介して配線基板1の裏面4側を接着することで、該配線基板1が中継基板20の表面23上に実装される。更に、中継基板20の表面23における周辺に位置する接続端子26と、配線基板1の外部接続端子6との間を、ボンディングワイヤwを介して個別に接続することにより、プローブ16と外部端子27とが個別に導通可能とされる。その結果、複数の被検査電子部品の検査を連続的に実施することが可能となる。
尚、前記中継基板20は、一般的な形態のため、既存のものを流用し得る。
【0021】
図8は、前記配線基板1を異なる形態の中継基板21の表面23側に実装した状態を示す垂直断面図である。かかる中継基板21は、図8に示すように、前記同様の基板本体22a、該基板本体22aの表面23と裏面24との周辺側のみを貫通する複数のビア導体25、該ビア導体25ごとの両端に個別に接続される表面23側の接続端子26と裏面24側の外部端子27、および表面23の中央部に上向きに開口する平面視が矩形の凹部23aを有する。
図5に示すように、配線基板1の裏面4側を、中継基板21の凹部23a内に挿入することで、該中継基板21の表面23側に配線基板1を実装した後、前記同様にプローブ用パッド5ごとの上方にプローブ16を立設し、更に中継基板21の表面23側の接続端子26と、配線基板1の外部接続端子6との間を、ボンディングワイヤwにより個別に接続することで、プローブ16と外部端子27とが個別に導通可能とされる。その結果、複数の被検査電子部品の検査を連続的に行うことが可能となる。
尚、前記中継基板21のみを予め製作しておくようにしても良い。
【0022】
図9は、前記配線基板1の応用形態である配線基板1aを示す垂直断面図である。該配線基板1aは、上下3層(複数)のセラミック層s1〜s3を積層してなり、前記同様の表面3および裏面4を有する基板本体2と、該表面3に前記同様に形成したプローブ用パッド5、表面配線7、および外部接続端子6と、セラミック層s1〜s3間ごとに形成された内部配線層8,9と、上層および中層のセラミック層s2,s3の適所を貫通するビア導体va,vbとを備えている。上記内部配線層8,9は、前記同様の電源配線層8a〜8cおよびベタ状の接地配線層9の一方または双方である。
上記のような配線基板1aによれば、セラミック層s1〜s3間ごとに比較的多くの電源配線層8および接地配線層9が形成されているので、上記基板本体2の表面3における中心側3aに位置するプローブ用パッド5と、周辺側3bに位置する外部接続端子6との間に、例えば、全て表面配線7を複数の信号配線として確実に形成することが可能となる。
【0023】
以上のような配線基板1,1aによれば、前記基板本体2の表面3の中心側3aに複数のプローブ用パッド5が形成され、且つ当該同じ表面3の周辺側3bに複数の外部接続端子6が形成されている。そのため、上記プローブ用パッド5と外部接続端子6との間を接続するための表面配線7を基板本体2の表面3にだけ比較的高密度で形成し、該表面配線7と表面3で交差する位置にある独立した一部の前記プローブ用パッド5と独立した一部の外部接続端子6とのみを、ビア導体va,vbと電源配線層8あるいは接地配線層9とを介して導通させている。その結果、配線基板1,1aでは、内部配線8,9を必要最小限とし且つ主に表面3に形成した表面配線7により対応できるので、被検査電子部品ごとに応じた検査回路の設計および製造に要する時間を短縮できる。
従って、電子部品ごとに必要とされる所要の検査を正確に且つ迅速行え、短時間に設計でき且つ容易に製造できると共に、比較的安価な電子部品検査装置用配線基板1,1aを確実に提供することが可能となる。
【0024】
以下において、前記配線基板1の製造方法について説明する。
予め、アルミナ粉末に樹脂バインダおよび溶剤などを適量ずつ配合してセラミックスラリとし、該セラミックスラリをドクターブレード法によってシート化して、図10に示すように、上下2層のグリーンシートg1,g2を製作した。尚、図10中で示す一点鎖線は、平面視が格子状で仮想の切断予定面cfであり、これらの間に製品エリアpaが位置し、これらの外側には耳部maが位置している。
次に、上層側のグリーンシートg2の所定の位置を打ち抜いて、得られたビアホールhにWまたはMo粉末を含む導電性ペーストを充填し、図11に示すように、未焼成のビア導体va,vbを形成すると共に、下層側のグリーンシートg1の表面における所定の位置に上記同様の導電性ペーストを印刷により配設して、未焼成の内部配線層8,9を形成した。このうち、内部配線層8は、前記電源配線層8a〜8cの何れかであった。尚、図11中で示すように、前記各製品エリアpaは、前記基板本体2と対応している。
【0025】
次いで、図11中の白抜き矢印で示すように、上記ビア導体va,vbと内部配線層8,9とを有する上下2層のグリーンシートg1,g2を、積層し且つ厚み方向に沿って圧着した。その結果、図12に示すように、グリーンシートg1,g2、内部配線層8,9、およびビア導体va,vbからなり、表面3および裏面4を有するグリーンシート積層体gsが得られた。この際、表面3および裏面4に露出する前記切断予定面cfの少なくとも一方に沿って、断面V字状の分割溝(図示せず)を更に形成するようにしても良い。
更に、上記グリーンシート積層体gsを所定の焼成温度にて焼成した。その結果、図13に示すように、前記グリーンシートg1,g2が焼成され且つ一体化したセラミック層s1,s2と、これらと同時に焼成された内部配線層8,9、およびビア導体va,vbとを備え、表面3および裏面4を有するセラミック積層体ssが得られた。
次いで、図14に示すように、上記セラミック積層体ssにおける前記製品エリアpaに対応する基板本体2ごとにおける表面3の全面に対し、スパッタリングを施して、厚みが約0.2μmのTi薄膜層10と厚みが約0.5μmのCu薄膜層11とを順次被覆した。
【0026】
次に、上記Cu薄膜層11上の全面に感光性樹脂からなるレジスト層rを形成した後、該レジスト層rに対し所定パターンによるフォトリソグラフィー技術を施した。その結果、図15に示すように、前記ビア導体va,vbごとの上方に平面視が円形の貫通孔Hが上記レジスト層r内に複数個形成された。
更に、図16に示すように、上貫通孔H内ごとの底面に露出するCu薄膜層11の上に、電解Cuメッキを施して、厚みが約10μmのCuメッキ層12を形成した。この際、該Cuメッキ層12の上に、電解Niメッキにより所要厚さのNiメッキ層(図示せず)を更に形成しても良い。その後、図17に示すように、前記レジスト層rを現像液に接触させて、Cuメッキ層12の上から除去した。
引き続いて、図18に示すように、前記Cuメッキ層12に覆われていない部分のTi薄膜層10とCu薄膜層11とを、エッチング液に接触させて除去した。その結果、セラミック積層体ssの表面3に露出するビア導体va,vbごとの真上に、Ti薄膜層10、Cu薄膜層11、およびCuメッキ層12の3層が円柱形にして形成された。
【0027】
そして、前記Ti薄膜層10、Cu薄膜層11、およびCuメッキ層12からなる3層の円柱体の全表面に対し、電解Niメッキおよび電解Auメッキを順次施した。その結果、図19に示すように、厚みが約5μmのNiメッキ膜13と厚みが約2μmのAuメッキ膜14とがほぼ均一に被覆され、前記表面3上における中心側3aと周辺側3bとにおける所定の位置ごとに、独立したプローブ用パッド5および外部接続端子6が形成された。
尚、この間において、上記同様のスパッタリング、フォトリソグラフィ技術、電解金属メッキ、現像液の接触を含むエッチングによって、上記と同様で且つ前記図3と同様の断面構造を有するプローブ用パッド5、外部接続端子6、およびこれらの間を接続する表面配線7が平行して所定の位置ごとに形成された。
【0028】
その結果、図20に示すように、複数の配線基板1を隣接して併有し、且つこれらの周囲に耳部maを有する多数個取り配線基板1uを得ることができた。最後に、一点鎖線で示す切断予定線cfに沿って、個々の配線基板1に分割して個片化する工程を行った。その結果、前記図1〜6に示した配線基板1を複数個精度良く容易に得ることができた。
以上のような配線基板1の製造方法によれば、グリーンシートg1,g2間に平板状ないしベタ状を呈する未焼成の電源配線層8および接地配線層9の少なくとも一方を形成し、上記グリーンシートg1,g2を積層して得られたグリーンシート積層体gsを上記配線層8,9と共に同時に焼成することで、セラミック積層体ssが得られた。更に、該セラミック積層体ssの表面3において、中心側3aのプローブ用パッド5、周辺側3bの外部接続端子6、これらの間を接続し且つ信号配線を主体とする表面配線7を精度良く形成した複数個の配線基板1を容易に製造することができた。尚、前記配線基板1aも前述した各工程を施すことによって、製造することが可能である。
【0029】
本発明は、以上において説明した各形態に限定されるものではない。
例えば、前記セラミック層s1〜s3は、低温焼成セラミックの一種であるガラス−セラミックからなるものとしても良い。
また、前記配線基板1,1aの基板本体2における表面3および裏面4は、平面視が長方形を呈する形状であっても良い。
更に、前記基板本体2は、4層あるいは5層のセラミック層を積層したものとしても良い。
また、前記表面配線7は、信号用に限らず、その一部を電源用として良い。
更に、前記配線基板1,1aの外部接続端子6と前記中継基板20,21側の第1端子26とは、前記ボンディングワイヤwに替え、コネクタを介して導通するようにしても良い。
加えて、前記配線基板1,1aは、前記のように多数個取りの形態ではなく、個々に製造する方法によって製作しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明によれば、プローブ用パッドと外部接続端子とを接続する複数の表面配線を基板本体の同じ表面に容易に配設でき、設計および製造期間を短縮でき且つ容易に製造できる電子部品検査装置用配線基板と、その製造方法を提供することが可能となる。
【符号の説明】
【0031】
1,1a…………配線基板(電子部品検査装置用配線基板)
2…………………基板本体
3…………………表面
3a………………中心側
3b………………周辺側
4…………………裏面
5…………………プローブ用パッド
6…………………外部接続端子
7…………………表面配線
8,8a〜8c…内部配線/電源配線層
9…………………内部配線/接地配線層
16………………プローブ
s1〜s3………セラミック層
g1,g2………グリーンシート
gs………………グリーンシート積層体
ss………………セラミック積層体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のセラミック層を積層してなり、平面視が矩形の表面および裏面を有する基板本体と、
上記基板本体の表面における中心側に形成され且つプローブが実装される複数のプローブ用パッドと、
上記基板本体の表面における周辺側で且つ上記複数のプローブ用パッドの外側に形成された複数の外部接続端子と、
上記プローブ用パッドと外部接続端子との間を個別に接続し且つ上記基板本体の表面に形成された表面配線、および基板本体の上記セラミック層間に形成された内部配線と、を含む電子部品検査装置用配線基板であって、
上記内部配線は、電源配線層および接地配線層の少なくとも一方である、
ことを特徴とする電子部品検査装置用配線基板。
【請求項2】
前記基板本体は、3層以上のセラミック層を積層してなり、該複数のセラミック層間ごとに前記電源配線層および接地配線層の少なくとも一方が形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子部品検査装置用配線基板。
【請求項3】
追って、最上層、中層、あるいは最下層のうちの2層以上のセラミック層となる複数のグリーンシートの表面または裏面に導電性ペーストを印刷して、未焼成の配線層を形成する工程と、
上記複数のグリーンシートを積層し且つ圧着してグリーンシート積層体を形成する工程と、
上記グリーンシート積層体を焼成してセラミック積層体を形成する工程と、
上記セラミック積層体に含まれる複数の基板本体ごとの表面において、該表面における中心側で且つプローブが実装される複数のプローブ用パッドを、該表面における周辺側で且つ上記複数のプローブ用パッドの外側に複数の外部接続端子を、上記プローブ用パッドと外部接続端子との間を個別に接続する複数の表面配線を、それぞれ形成する工程と、を備えた電子部品検査装置用配線基板の製造方法であって、
上記配線層は、電源配線層および接地配線層の少なくとも一方として形成される、
ことを特徴とする電子部品検査装置用配線基板の製造方法。
【請求項4】
前記各工程の後に、複数の前記基板本体を個片化する工程が行われる、
ことを特徴とする請求項3に記載の電子部品検査装置用配線基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2013−24622(P2013−24622A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−157419(P2011−157419)
【出願日】平成23年7月19日(2011.7.19)
【出願人】(000004547)日本特殊陶業株式会社 (2,912)
【Fターム(参考)】