説明

電子部品装着方法及び装着装置

【課題】カバー部品を基板に位置決め載置後、押圧固定作業前に位置ずれすることを防止し、準備すべき保持具の種類を減少させることができる電子部品装着方法を提供する。
【解決手段】所定位置に位置決めされたカバー部品を押圧する押圧部を有する上下動部材を、部品移載装置に上下方向に駆動可能に設け、基板搬送装置により基板を搬送して位置決めする基板搬送位置決め工程と、基板搬送位置決め工程で位置決めされた基板の所定位置に、部品移載装置でカバー部品を吸着により採取して位置決め載置するカバー部品位置決め載置工程と、部品移載装置でカバー部品を所定位置に位置決め載置した直後に、上下動部材を駆動させてカバー部品を押圧部で押圧することで、基板に設けられた被係合手段にカバー部品の係合手段を係合させる押圧組付け工程とを備えていること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に装着された電子部品をカバーするカバー部品を押圧して基板に取り付ける電子部品装着方法及びその方法を使用する装着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子部品装着装置で装着される電子部品には、電磁波や熱の影響を受け易いものがあり、最近では、そのような影響を防ぐために、携帯電話、パソコンなどで基板にシールドカバーを組付けたり、シャーシ実装するものが増加している。このようなシールドカバーなどのカバー部品は、電子部品のようにペースト状の半田が印刷された部分に付着され、リフロー炉で加熱されて基板に固定されるのではなく、カバー部品に設けられた係合爪などを使って基板に係合させるため、カバーされる電子部品が装着された後に、オペレータが手で押圧動作をしてはめ込んでいた。このような手動による動作では、組み付けにばらつきが生じたり、自動化されたラインとは別におこなわれるため基板の実装を完成させるサイクルタイムが低下したりするおそれがあった。
【0003】
特許文献1には、電子部品の脚部を基板に設けられた差込孔に固定する際に、脚部を差込孔に差し込んだ後で、電子部品を押圧することで、脚部を目的位置まで挿通させることが記載されている。
【0004】
また、特許文献2では、大型の電子部品をつかむためのクランプ爪と電子部品を押圧する押さえプレートとを備えた電子部品より比較的小さな保持具で、保持して基板の係合穴に電子部品の係合ピンを位置決めし、保持具で電子部品の中央を押圧して係合ピンを基板の係合穴に押し込み、さらに保持具を基板の別の係合ピンに対応する部分に移動させて、保持具で電子部品のその部分を押圧する。これによって、大型の電子部品を基板に確実に保持させることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−168592号公報
【特許文献2】特開2010−027661号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記特許文献1では、電子部品を吸着する吸着ノズルと、電子部品を押圧する押圧専用ヘッドとの二種類が備えられ、押圧専用ヘッドも吸着ノズルが置かれる吸着ノズルステーションに備えられ、押圧が必要な場合にだけ吸着ノズルから押圧専用ヘッドに付け替えられて、電子部品の押圧作業がなされる。そのため、吸着ノズルにより吸着されて基板の所定位置に位置決めされた電子部品が、押圧作業をする前に、ヘッドの付け替え作業をしている間の機械の振動等により位置決めされた当初の位置よりずれてしまうという問題があった。特にカバー部品のように軽量のものでは、前記機械の振動等で位置ずれを生じ易いという問題がある。
【0007】
また、特許文献2では、大型の電子部品をつかむために保持具としてクランプ爪を使用しているため、保持する大型の電子部品の寸法等により使用できる保持具が規制され、準備する保持具の種類が増えてしまうおそれがあった。吸着ノズルで吸着が可能なカバー部品を専用のクランプ爪を準備して使用することは、余分な設備コストが生じるという問題がある。
【0008】
本発明は係る従来の問題点に鑑みてなされたものであり、カバー部品を基板に位置決め載置後、押圧固定作業前のカバー部品の位置ずれを防止し、多種類の電子部品を装着する場合にも汎用性が高く準備すべき保持具(吸着ノズル)の種類を減少させることができる電子部品装着方法及び装着装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するために、請求項1に係る発明の構成上の特徴は、電子部品を装着する基板を搬送して位置決めする基板搬送装置と、前記搬送された基板の位置決めされた位置を認識するマーク認識用カメラと、部品供給装置で採取した電子部品を基板の装着位置に位置決めして装着するとともに、装着された電子部品をカバーするカバー部品を採取して該電子部品をカバーする所定位置に位置決め載置する部品移載装置と、を備えた電子部品装着装置において、前記所定位置に位置決めされた前記カバー部品を押圧する押圧部を有する上下動部材を、前記部品移載装置に上下方向に駆動可能に設け、前記基板の前記所定位置に被係合手段を設けるとともに、前記カバー部品に前記被係合手段に係合する係合手段を設け、前記基板搬送装置により基板を搬送して位置決めする基板搬送位置決め工程と、前記基板搬送位置決め工程で位置決めされた前記基板の前記所定位置に、前記部品移載装置でカバー部品を吸着により採取して位置決め載置するカバー部品位置決め載置工程と、前記部品移載装置で前記カバー部品を前記所定位置に位置決め載置した直後に、前記上下動部材を駆動させて前記カバー部品を前記押圧部で押圧することで、前記基板に設けられた前記被係合手段に前記カバー部品の前記係合手段を係合させる押圧組付け工程と、を備えていることである。
【0010】
請求項2に係る発明の構成上の特徴は、請求項1において、前記基板搬送位置決め工程の後、前記カバー部品位置決め載置工程の前に、前記マーク認識用カメラにより前記搬送されて位置決めされた基板の前記被係合手段の位置座標を読み取る位置座標読取工程と、前記位置座標読取工程で読み取られた前記被係合手段の位置座標より前記カバー部品が位置決めされる前記所定位置の位置ずれを認識する位置ずれ認識工程と、を備え、前記カバー部品位置決め載置工程は、前記位置ずれ認識工程で認識された位置ずれにより位置補正して前記カバー部品を位置決め載置することである。
【0011】
請求項3に係る発明の構成上の特徴は、請求項1において、前記押圧部には負圧源に断続的に連通させるとともに下面に開口する負圧流路が設けられ、前記カバー部品位置決め載置工程において、前記押圧部の負圧流路に前記負圧源を連通した状態で前記カバー部品を吸着して前記所定位置に位置決め載置し、前記押圧組付け工程において、前記押圧部の負圧流路に前記負圧源を遮断した状態で前記押圧部により前記所定位置に位置決めされたカバー部品を押圧することである。
【0012】
請求項4に係る発明の構成上の特徴は、請求項3において、前記部品移載装置には2つの軸状の上下動部材が設けられ、そのうち少なくとも一方の前記上下動部材には前記押圧部が設けられ、少なくとも一方の前記上下動部材には前記負圧源に連通する前記負圧流路が設けられていることである。
【0013】
請求項5に係る発明の構成上の特徴は、請求項1乃至4のいずれか1項において、基板に設けられた前記被係合手段は、基板にカバーされる電子部品を囲むように立設され被係合凹部が外周に設けられた枠部材であり、前記係合手段は、前記被係合凹部に係合する係合凸部が設けられた複数の係合爪であることである。
【0014】
請求項6に係る発明の構成上の特徴は、電子部品を装着する基板を搬送して位置決めする基板搬送装置と、前記搬送された基板の位置決めされた位置を認識するマーク認識用カメラと、部品供給装置で採取した電子部品を基板の装着位置に位置決めして装着するとともに、装着された電子部品をカバーするカバー部品を採取して該電子部品をカバーする所定位置に位置決めする部品移載装置と、を備えた電子部品装着装置において、前記部品移載装置に上下動可能に設けられ、前記所定位置に位置決めされた前記カバー部品を押圧する押圧部を有する上下動部材と、前記部品移載装置で前記カバー部品を吸着により採取して前記所定位置に位置決め載置する位置決め載置手段と、前記部品移載装置で前記カバー部品を前記所定位置に位置決め載置した直後に、前記上下動部材を駆動させて前記カバー部品を前記押圧部で押圧することで、前記基板に前記カバー部品を係合させる押圧組付け手段と、を備えていることである。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に係る発明によると、部品移載装置によって基板の所定位置に位置決め載置されたカバー部品を、位置決めされた直後に上下動部材の押圧部で押圧することで、位置決め後の機械の振動等によりカバー部品の基板に対する位置ずれを生じさせることなく、カバー部品を押圧して基板に組み付けることができる。カバー部品は吸着により採取され、従来のクランプ爪のように、カバー部品の寸法に規制されることなく部品移載装置に多種類の保持部品(例えばノズル等)を準備する必要がないので、保持部品を貯留するステーションの省スペース化を図ることができる。
【0016】
請求項2に係る発明によると、位置座標読取工程により被係合手段の基板における位置座標を読み取り、位置ずれ認識工程により読み取られた被係合手段の位置座標よりカバー部品が前記マーク認識用カメラによって前記位置決めされた前記基板の位置に対する位置ずれを認識し、カバー部品位置決め載置工程で、認識された位置ずれにより位置補正してカバー部品を位置決め載置する。これによって、基板におけるカバー部品を取り付けるべき所定位置が予め設定された位置座標からずれている場合にも、カバー部品を基板に位置ずれを補正して確実に組み付けることができる。
【0017】
請求項3に係る発明によると、押圧部の下端に開口する負圧流路を負圧源に連通させてカバー部品を吸着することで、押圧部が設けられた上下動部材によりカバー部品を採取して位置決めし、負圧流路を負圧源と遮断することで吸着されたカバー部品を押圧部から離脱させて所定位置に載置し、直ちに押圧部でカバー部品を押圧して基板に組付けることができる。
【0018】
請求項4に係る発明によると、部品移載装置に設けられた二つの上下動部材の少なくとも一方には押圧部が設けられているので、部品移載装置により所定位置に位置決めされたカバー部品を、部品移載装置に装着された上下動部材を取り替える作業を必要とせずに直ちにカバー部品を押圧することができる。少なくとも一方の上下動部材には負圧源に連通する負圧流路が設けられているので、部品移載装置に装着された上下動部材を取り替える作業を必要とせずに電子部品等の採取及び装着作業をすることができる。
【0019】
請求項5に係る発明によると、基板にカバーされる電子部品を囲むように立設された枠部材の外周に設けられた被係合凹部に、カバー部品に設けられた複数の係合爪に設けられた係合凸部を係合させるという簡単な構成としたので、カバー部品位置決め載置工程で位置決め載置されたカバー部品を、載置された直後に、押圧組付け工程において確実に基板に組付けることができる。
【0020】
請求項6に係る発明によると、位置決め載置手段により所定位置に位置決め載置されたカバー部品を、位置決め載置された直後に、押圧組付け手段によりカバー部品を押圧することで、位置決め載置後の機械の振動等によるカバー部品の位置ずれを生じることなく、カバー部品を確実に基板に組み付けることができる。カバー部品は吸着により採取され、従来のクランプ爪のように、カバー部品の寸法に規制されることなく部品移載装置に多種類の保持部品(例えばノズル等)を準備する必要がないので、保持部品を貯留するステーションの省スペース化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本実施形態に係る電子部品装着装置の概略を示す平面図。
【図2】部品移載装置と上下動部材の概要を示す図。
【図3】カバー部品の斜視図。
【図4】カバー部品を基板に組み付ける手順を示すフローチャート。
【図5】枠部材が組付けられた基板と部品移載装置及びマーク認識用カメラとの位置関係を示す図。
【図6】基板の参照マークを読み取る工程を表わす図。
【図7】枠部材のコーナーの位置座標を読み取る工程を表わす図。
【図8】カバー部品を枠部材の上方に位置決めする工程を表わす図。
【図9】カバー部品を載置する工程を表わす図。
【図10】押圧部をカバー部品の上方に位置決めする工程を表わす図。
【図11】押圧部でカバー部品の中央部を押圧する工程を表わす図。
【図12】押圧部をカバー部品の一方の端部の上方に位置決めする工程を表わす図。
【図13】押圧部でカバー部品の一方の端部を押圧する工程を表わす図。
【図14】押圧部をカバー部品の他方の端部の上方に位置決めする工程を表わす図。
【図15】押圧部でカバー部品の他方の端部を押圧する工程を表わす図。
【図16】上下動部材の別例を表わす図。
【図17】上下動部材の他の別例を表わす図。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0022】
本発明に係る電子部品装着方法を実施する電子部品装着装置の第1実施形態を図面に基づいて以下に説明する。
電子部品装着装置2は、図1に示すように、基板3を搬入位置に搬入して所定の位置に位置決めする基板搬送装置4と、部品供給装置5と、基台6に対して水平方向であるX方向及びY方向に移動可能に支持された移動台8に設けられた装着ヘッド10を有する部品移載装置12及びマーク認識用カメラ14と、基台6に固定された部品認識用カメラ16と、部品移載装置12による装着を制御する制御装置18とを備えている。
【0023】
基板搬送装置4は、いわゆるダブルコンベヤタイプで、各コンベヤは、X方向に延在するガイドレール20に沿って並設されて基板3を位置決めされた位置まで搬入する平行に設けられたコンベアベルト(図略)と、搬入された基板3を夫々支持する支持フレーム(図略)と、支持された基板3を実装される位置(所定の位置)まで上昇させる昇降装置(図略)と、実装される位置(装着位置)において基板3をクランプするクランプ装置(図略)とを夫々備えている。
【0024】
部品供給装置5は、前記基板搬送装置4の側部(図1において手前側)に複数のカセット式フィーダ21を並設して構成したものである。カセット式フィーダ21は、いずれも図略の前記スロットに離脱可能に取り付けたケース部と、ケース部の後部に設けた供給リールと、ケース部の先端に設けた部品取出部を備えている。供給リールには電子部品40(図5参照)が所定ピッチで封入された細長いテープ(図略)が巻回保持され、このテープがスプロケット(図略)により所定ピッチで引き出され、電子部品40が封入状態を解除されて部品取出部に順次送り込まれる。カセット式フィーダ21にはコード(識別符号)が貼着され、このコードと電子部品40のID・部品番号・封入数・部品重量等との対応データが、制御装置18にライン全体を管理するホストコンピュータ(図略)から伝送された装着プログラムデータに予め記録されている。
基板搬送装置4の側部(図1における上部側)には部品トレイ17が配置され、部品トレイ17には大型の電子部品やカバー部品19が収納されている
【0025】
基板搬送装置4の上方にはX方向移動ビーム22が設けられ、該X方向移動ビーム22はY方向に延在するとともに、前記基板搬送装置4に沿ってX方向に延在するX方向レール(図略)に沿って移動可能に設けられる。X方向移動ビーム22には、図1に示すように、移動台8がX方向移動ビーム22の側面に設けられたY方向レール(図略)にスライダ(図略)を介して移動可能に設けられている。該移動台8には装着ヘッド10を備えた部品移載装置12とマーク認識用カメラ14とが移動台8とともに移動可能に保持されている。X方向移動ビーム22はいずれも図略のボールねじ機構を介してサーボモータにより駆動され、移動台8は、図略のY方向移動用ボールねじ機構を介して図略のサーボモータにより駆動される。これらのサーボモータはその駆動を制御装置18によって制御されている。
【0026】
マーク認識用カメラ14の光軸はX方向及びY方向に直角なZ方向に平行になっている。マーク認識用カメラ14は、図5乃至図7に示すように、矩形状の視野SAを有している。
【0027】
マーク認識用カメラ14により撮像された撮像画像は、図略のA/D変換機を備えた図略の画像認識装置に入力される。画像認識装置は、撮像された画像を取込んで、参照マークm(図6参照)からの情報を読み取る。そして、制御装置18に備えられた演算装置(図略)により参照マークmの位置ずれを演算する。次にマーク認識用カメラ14が移動されるときには、この位置ずれを補正して移動する。
【0028】
部品移載装置12は、前記前記移動台8と、移動台8によりX方向及びY方向と直角なZ方向に昇降可能に支持される装着ヘッド昇降装置(図略)と、装着ヘッド昇降装置に支持された装着ヘッド10とを備えている。装着ヘッド10には、図2及び図5に示すように、一対のノズルホルダ24,26が設けられ、各ノズルホルダ24,26は図略の軸受により夫々軸方向に回転可能に支承されている。また、ノズルホルダ24,26は図略のガイド部材により上下動可能に支承されている。各ノズルホルダ24,26は図略のサーボモータで駆動されるノズルホルダ昇降装置(図略)によって夫々上下動駆動される。またノズルホルダ24,26は、図略の回転駆動機構及び回転駆動機構を駆動される図略のサーボモータにより、その中心軸回りに回転駆動される。
【0029】
各ノズルホルダ24,26には夫々軸状の吸着ノズル28,30が嵌脱可能に嵌挿されている。吸着ノズル28,30のうちの一方は、図2に示すように、下端部に矩形状の押圧部32が形成されている。この押圧部32の下端には、負圧源である負圧供給ポンプ34に連通する負圧流路36が開口している。負圧流路36と負圧供給ポンプ34の間には電磁弁38が設けられ、電磁弁38により負圧流路36に対する負圧供給ポンプ34からの負圧空気の連通及び遮断が可能になっている。電磁弁38の作動は前記制御装置18によって制御される。吸着ノズル28の先端及び吸着ノズル30の負圧流路36の開口は負圧空気が供給されることで電子部品40等が吸着保持されるようになっている。ノズルホルダ24,26及び吸着ノズル28,30により上下動部材が構成される。
【0030】
基板搬送装置4と部品供給装置5との間には、部品認識用カメラ16が設けられ、この部品認識用カメラ16によって前記吸着ノズル28,30に吸着された電子部品40が撮像されて、生産される基板の種類に適合する種類の電子部品であるか、吸着状態良いか、部品自体の不良箇所がないか等が判定される。
【0031】
電子部品装着装置2には、基板データ、部品データ等を入力するためのキーボード等の入力装置42が設けられている。入力装置42には表示装置44が併設され、表示装置44の画面には基板データ、部品データ、演算データやマーク認識用カメラ14等で撮像した画像が表示できるようになっている。
【0032】
本実施形態で使用されるカバー部品19は、例えば銅合金、アルミ合金などの金属製で、図3に示すように、長方形の板状で、周端縁に複数の係合爪46が前記板状のカバー本体部48より90度より少し鋭角に折曲されて形成され、後述する枠部材52のテーパ面54に対応するようになっている。これらの係合爪46が係合手段に対応する。並んだ係合爪46のうち端に位置する係合爪46には円形のすそ野を持つ凸状の係合凸部50が形成されている。
【0033】
基板6の上面には、図5及び図8に示すように、被係合手段としての枠部材52が組み付けられている。枠部材52は、例えば銅合金などの金属製で一定の高さを有する矩形の枠状に形成され、周囲には下方に向かって外側に傾斜するテーパ面54が形成され、角部にはカバー部品19の係合凸部50に対応する円形の外縁を持つ凹状の係合凹部56が形成されている。枠部材52は、例えば、半田により基板3に接着されている。
【0034】
上記のように構成された電子部品装着装置2を使用して基板3に装着された電子部品40をカバー部品19でカバーする手順について、図4のフローチャート等に基づいて以下に説明する。
まず、制御装置18は、前工程であるスクリーン印刷工程で半田が表面に印刷された基板3を電子部品装着装置2に搬送し、図示はしないが、カバー部品19にカバーされる電子部品40とカバー部品19を基板3に組み付ける枠部材52とを搬送された基板3に装着する(ステップ101、以下「S101」と略記する)。
【0035】
そして、制御装置18は、前記電子部品40と枠部材52とが装着された基板3は図略のリフロー炉に搬送し、リフロー炉で加熱・冷却することで、電子部品40等と基板3とを接着していた半田を融解して、その後固化する(S102)。これにより、前記電子部品40及び枠部材52は基板3に組付け固定される。
【0036】
以下、工程を細かく区切って説明すると、制御装置18は、被カバー部品(電子部品)40及び枠部材52が組付けられた基板3を、電子部品装着装置2に搬入し、基板搬送装置4により所定搬送位置まで搬送する(S103)。
【0037】
所定搬送位置まで搬送された基板3は、図略の昇降装置により所定搬送位置より装着位置に上昇され、位置決めされて図略のクランプ装置によりクランプされる(基板搬送位置決め工程・S104)。
【0038】
次に、制御装置18は、図6に示すように、位置決めされた基板3の対角線上のコーナーに設けられた一対の参照マークmにマーク認識用カメラ14を位置決めし、参照マークmの位置座標を読み取る(S105)。これによって、予め制御装置18の記憶装置に記憶されている基板3の位置座標のデータとの対比において、基板3が基板搬送装置4によって位置決めされた位置の水平方向の位置ずれ(X方向、Y方向及び回転方向)を認識する。
【0039】
次に、制御装置18は、図7に示すように、枠部材52の対角上に対向するコーナー部52a,52bにマーク認識用カメラ14の中心部を夫々位置決めし、マーク認識用カメラ14が位置決めされた各コーナー部52a,52bの位置座標を読み取り(位置座標読取工程)、予め記憶装置に記憶されている枠部材52の位置座標のデータとの対比において、基板3が位置決めされた位置に対する位置ずれを認識する(位置ずれ認識工程・S106)。
【0040】
次に、制御装置18は、図8に示すように、押圧部32を有する吸着ノズル30により部品トレイ17よりカバー部品19を採取し、前記枠部材52の位置補正された位置座標に位置決め載置する(カバー部品位置決め載置工程・S107)。この際、制御装置18は電磁弁38により負圧流路36を負圧供給ポンプ34と連通させ、押圧部32の下端部の開口部でカバー部品19を吸着保持する。そして、図9に示すように、吸着ノズル30を下降させて位置決め位置で、電磁弁38により負圧流路36を遮断し、真空破壊をおこなって吸着ノズル30からカバー部品19を離脱させてカバー部品19を枠部材52に載置する。カバー部品19の係合爪46の先端部は、枠部材52の上端側縁部に接触して、対向する係合爪46によって枠部材52の上端側縁部を挟持した状態となる。
【0041】
次に、制御装置18は、図10に示すように、吸着ノズル30をカバー部品19の上方に上昇させ、続いて、図11に示すように、吸着ノズル30を下降させることで、カバー部品19の中央部を押圧する(押圧組付け工程・S108)。この押圧によりカバー部品19の中央部にある係合爪46の一部の先端部が、枠部材52の上端側縁部を越えてテーパ面54に達して係合爪46の弾性力によってテーパ面54に沿って下方にスライドし、短手方向に対向する係合爪46がテーパ面54を挟持した状態で係合する。
【0042】
次に、制御装置18は、図12に示すように、吸着ノズル30を上昇後、カバー部品19の一方の端部に移動させて位置決めし、図13に示すように、吸着ノズル30を下降させることで、カバー部品19の一方の端部を押圧部32で押圧する。この押圧により、カバー部品19の対向する係合爪46が前述と同様にして枠部材52のテーパ面54を挟持した状態で係合するとともに、係合爪46に設けられた係合凸部50が、枠部材52の係合凹部56に係合する。
【0043】
次に、制御装置18は、図14に示すように、吸着ノズル30を上昇後、カバー部品19の他方の端部に移動させて位置決めし、図15に示すように、吸着ノズル30を下降させることで、カバー部品19の他方の端部を押圧部32で押圧する。この押圧作業によって、カバー部品19の係合爪46が前述と同様にして枠部材52のテーパ面54に係合するとともに、係合爪46に設けられた係合凸部50が、枠部材52の係合凹部56に係合する。そして、カバー部品19の基板3への組付けを終了する。
【0044】
次に、制御装置18は、カバー部品19が組付けられた基板3をアンクランプして昇降装置で装着位置から搬送位置に降下させることで基板搬送装置4に受渡す(S109)。
【0045】
次に、制御装置18は、基板搬送装置4を駆動させてカバー部品19が組付けられた基板3を次工程に払い出す(S110)。
【0046】
上記のように構成された電子部品装着装置2を用いたカバー部品の組付け方法によると、部品移載装置12によって基板3の所定位置に位置決めされたカバー部品19を、位置決めされた直後に吸着ノズル30の押圧部32で押圧することで、位置決め後の機械の振動等によるカバー部品19の基板3に対する位置ずれを生じることなく、カバー部品19を押圧して基板3に組み付けることができる。カバー部品19は吸着により採取され、従来のクランプ爪のように、カバー部品19の寸法に規制されることなく部品移載装置12に多種類のノズルを準備する必要がないので、ノズルを貯留するノズルステーションの省スペース化を図ることができる。
【0047】
また、枠部材52の基板3における位置座標を読み取り、読み取られた枠部材52の位置座標より、カバー部品19が前記マーク認識用カメラ14によって位置決めされた基板3の位置に対する位置ずれを認識し、認識された位置ずれにより位置補正してカバー部品19を所定位置に位置決め載置する。これによって、基板3におけるカバー部品19を取り付けるべき所定位置が予め設定された位置座標からずれている場合にも、カバー部品19を基板3に位置ずれを補正して確実に組み付けることができる。
【0048】
また、押圧部32の下端に開口する負圧流路36を負圧供給ポンプ34に連通させてカバー部品19を吸着することで、押圧部32が設けられた吸着ノズル30によりカバー部品19を採取して位置決めし、負圧流路36を負圧供給ポンプ34と遮断することで吸着されたカバー部品19を押圧部32から離脱させて所定位置に載置し、直ちに押圧部32でカバー部品19を押圧して基板3に組付けることができる。
【0049】
また、部品移載装置12に設けられた二つのノズル28,30の一方には押圧部32が設けられているので、部品移載装置12により所定位置に位置決めされたカバー部品19を、部品移載装置12に装着されたノズル28,30を取り替える作業を必要とせずに直ちにカバー部品19を押圧することができる。また、各ノズル28,30には負圧供給ポンプ34に連通する負圧流路36が設けられているので、部品移載装置12に装着されたノズル28,30を取り替える作業を必要とせずに電子部品等の採取及び装着作業をすることができる。
【0050】
また、基板3にカバーされる電子部品40を囲むように立設された枠部材52の外周に設けられた被係合凹部56に、カバー部品19に設けられた複数の係合爪46に設けられた係合凸部50を係合させるという簡単な構成としたので、カバー部品位置決め載置工程で位置決め載置されたカバー部品19を、載置された直後に、押圧組付け工程において確実に基板3に組付けることができる。
【0051】
なお、上記実施形態において、上下動部材として2つ設けられた吸着ノズルの一方の吸着ノズル30に押圧部32を設けることとしたが、これに限定されず、例えば、図16に示すように、両方の吸着ノズル60,62の下端部に夫々大きさの異なる第1押圧部64及び第2押圧部66を設けてもよい。また、押圧部は必ずしも吸着ノズルと一体であるものに限定されず、例えば、図17に示すように、吸着ノズル68,70の一方の先端に吸着固定される押圧部材72でもよい。
【0052】
また、上下動部材は、2つに限定されず、例えば1つでもよく3つ以上のものでもよい。
【0053】
また、被係合手段として基板3に固定された枠部材52とし、係合手段として枠部材52に係合する係合爪46としたが、これに限定されず、例えば、被係合手段は基板に設けられた係合穴でもよく、係合手段は前記係合穴に係合する係合突起でもよい。
【0054】
斯様に、上記した実施の形態で述べた具体的構成は、本発明の一例を示したものにすぎず、本発明はそのような具体的構成に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の態様を採り得るものである。
【符号の説明】
【0055】
2…電子部品装着装置、3…基板、4…基板搬送装置、5…部品供給装置、12…部品移載装置、14…マーク認識用カメラ、19…カバー部品、24,26…上下動部材(ノズルホルダ)、28,30…上下動部材(吸着ノズル)、32…押圧部、34…負圧源、36…負圧流路、40…電子部品、46…係合手段(係合爪)、50…係合凸部、52…被係合手段(枠部材)、56…被係合凹部、60…上下動部材(吸着ノズル)、62…上下動部材(吸着ノズル)、64…押圧部(第1押圧部)、66…押圧部(第2押圧部)、68…上下動部材(吸着ノズル)、70…上下動部材(吸着部材)、72…押圧部(押圧部材)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を装着する基板を搬送して位置決めする基板搬送装置と、
前記搬送された基板の位置決めされた位置を認識するマーク認識用カメラと、
部品供給装置で採取した電子部品を基板の装着位置に位置決めして装着するとともに、装着された電子部品をカバーするカバー部品を採取して該電子部品をカバーする所定位置に位置決め載置する部品移載装置と、を備えた電子部品装着装置において、
前記所定位置に位置決めされた前記カバー部品を押圧する押圧部を有する上下動部材を、前記部品移載装置に上下方向に駆動可能に設け、
前記基板の前記所定位置に被係合手段を設けるとともに、前記カバー部品に前記被係合手段に係合する係合手段を設け、
前記基板搬送装置により基板を搬送して位置決めする基板搬送位置決め工程と、
前記基板搬送位置決め工程で位置決めされた前記基板の前記所定位置に、前記部品移載装置でカバー部品を吸着により採取して位置決め載置するカバー部品位置決め載置工程と、
前記部品移載装置で前記カバー部品を前記所定位置に位置決め載置した直後に、前記上下動部材を駆動させて前記カバー部品を前記押圧部で押圧することで、前記基板に設けられた前記被係合手段に前記カバー部品の前記係合手段を係合させる押圧組付け工程と、
を備えていることを特徴とする電子部品装着方法。
【請求項2】
請求項1において、前記基板搬送位置決め工程の後、前記カバー部品位置決め載置工程の前に、
前記マーク認識用カメラにより前記搬送されて位置決めされた基板の前記被係合手段の位置座標を読み取る位置座標読取工程と、
前記位置座標読取工程で読み取られた前記被係合手段の位置座標より前記カバー部品が位置決めされる前記所定位置の位置ずれを認識する位置ずれ認識工程と、を備え、
前記カバー部品位置決め載置工程は、前記位置ずれ認識工程で認識された位置ずれにより位置補正して前記カバー部品を位置決め載置することを特徴とする電子部品装着方法。
【請求項3】
請求項1において、前記押圧部には負圧源に断続的に連通させるとともに下面に開口する負圧流路が設けられ、
前記カバー部品位置決め載置工程において、前記押圧部の負圧流路に前記負圧源を連通した状態で前記カバー部品を吸着して前記所定位置に位置決め載置し、
前記押圧組付け工程において、前記押圧部の負圧流路に前記負圧源を遮断した状態で前記押圧部により前記所定位置に位置決めされたカバー部品を押圧することを特徴とする電子部品装着方法。
【請求項4】
請求項3において、前記部品移載装置には2つの軸状の上下動部材が設けられ、そのうち少なくとも一方の前記上下動部材には前記押圧部が設けられ、少なくとも一方の前記上下動部材には前記負圧源に連通する前記負圧流路が設けられていることを特徴とする電子部品装着方法。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項において、基板に設けられた前記被係合手段は、基板にカバーされる電子部品を囲むように立設され被係合凹部が外周に設けられた枠部材であり、
前記係合手段は、前記被係合凹部に係合する係合凸部が設けられた複数の係合爪であることを特徴とする電子部品装着方法。
【請求項6】
電子部品を装着する基板を搬送して位置決めする基板搬送装置と、
前記搬送された基板の位置決めされた位置を認識するマーク認識用カメラと、
部品供給装置で採取した電子部品を基板の装着位置に位置決めして装着するとともに、装着された電子部品をカバーするカバー部品を採取して該電子部品をカバーする所定位置に位置決めする部品移載装置と、を備えた電子部品装着装置において、
前記部品移載装置に上下動可能に設けられ、前記所定位置に位置決めされた前記カバー部品を押圧する押圧部を有する上下動部材と、
前記部品移載装置で前記カバー部品を吸着により採取して前記所定位置に位置決め載置する位置決め載置手段と、
前記部品移載装置で前記カバー部品を前記所定位置に位置決め載置した直後に、前記上下動部材を駆動させて前記カバー部品を前記押圧部で押圧することで、前記基板に前記カバー部品を係合させる押圧組付け手段と、
を備えていることを特徴とする電子部品装着装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−222035(P2012−222035A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−83631(P2011−83631)
【出願日】平成23年4月5日(2011.4.5)
【出願人】(000237271)富士機械製造株式会社 (775)
【Fターム(参考)】