説明

電気−油圧式ブレーキブースタ

ブレーキブースタ(11、83)は、運転者ブレーキペダル入力をブレーキマスタシリンダを作動させるための出力の力及び移動距離に増幅する。パワーユニット(55,129)は、ブーストを提供する高圧流体を形成し蓄える。入口ソレノイド作動バルブ(59、133、139)及び出口ソレノイド作動バルブ(81、135)は、増幅機構への加圧流体を調整する。一実施形態においては、単一のブーストチャンバ(21)が流体圧を提供し、マスタシリンダを作動させ、運転者入力とは逆の力を示すブレーキ圧を提供する。1つの移動センサ(29)が、入力ロッドとピストン(23)の位置及び運動をモニタし、第2の移動センサ(31)が、出力ピストン(15)の位置及び運動をモニタする。ECU(63、143)は、システムパラメータをモニタして、モータポンプ(77)、入口バルブ(59、133)、出口バルブ(81、135、139)、及び周辺装置を制御する。別の実施形態においては、ブレーキペダル入力に対抗する力が、出力ピストン(87)内に配置されて共に動くことのできる別個の加圧流体チャンバ(111)によって提供される。ブレーキ力指示を提供するために、ブーストチャンバの圧力及び任意選択的に出力ピストンの移動距離がモニタされる。ECU(143)は、入力移動距離(115)及びブーストチャンバの圧力(141)を含むシステムパラメータをモニタして、入口バルブ(133、139)、出口バルブ(135)、及び周辺装置を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パワーアシスト機能を有する車両用ブレーキシステムに関し、より具体的には、電気油圧式ブレーキブースタシステムに関する。本システムは、共通のブースト及び入力チャンバ、もしくはブーストピストン内に別個の入力チャンバを有することができる。
【背景技術】
【0002】
初期のパワーアシスト式ブレーキシステムは、動力源としてエンジンの吸気マニホールドを利用して真空作動されていた。最近では、油圧アシストシステムが普及してきた。油圧システムは通常、加圧流体源としてパワーステアリングポンプに依存するか、もしくは別個の専用流体ポンプを含む。油圧システムは、典型的には、入力シリンダ内に配置された運転者入力ピストンと、マスタブレーキシリンダを駆動するために別個の出力シリンダ内に配置されたパワー出力ピストンとを有するパワーアシストユニットすなわちブースタを含む。典型的には、入力ピストンの作動面に作用する圧力がモニタされ、これに応じて出力ピストンの作動面に加えられる圧力が設定される。入力ピストンと出力ピストンが移動する距離は、多くは無視される。
【0003】
ブレーキブースタシステムは、制動のために使用可能な最大流体圧力を加えるよう指令される場合がある。ブレーキペダル圧力をどのように加えても、マスタシリンダに加わる力を増大させることはできない。これに対してどのような措置もとられない場合には、運転者が、ブレーキペダルを踏み続けてもペダル運動に対する抵抗の増大を感じることができない。最後に、エンジン停止又はベルトのスリップ又は破断などにより、ブースト流体圧力が突発的に失われた場合でも、車両の制動は可能であるべきである。システムは従来の(非ブースト)制動モードへと復帰することが望ましい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
出力ピストン面の圧力を設定する際に、入力ピストンの移動距離を考慮することが望ましい。更にまた、出力ピストンの移動距離をモニタすることにより、出力圧力をその移動によって部分的に測定することができ、出力ピストンの移動距離に対する入力ピストンの移動距離の比の変化をブレーキシステムに組み込むことが可能になる。
【0005】
本発明は、運転者入力移動距離とブースト出力移動距離の両方の直線測定、単一のブーストチャンバを利用して両方の力を車両マスタシリンダに供給し反力を運転者入力に供給すること、又はブーストピストン内部に囲まれた圧力チャンバとは逆の別個の運転者入力を使用することを含むことができる、ブースト圧力システムを提供することによって、上記の問題点に対する解決策を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明はその1つの形態において、加圧流体源と、ほぼ円筒状の第1のボアと第2のボアとを有するブースタハウジングと、第1の円筒状ボア内に往復動可能に配置された運転者が操作可能なブレーキ入力ピストンと、第2の円筒状ボア内に往復動可能に配置された油圧駆動ブレーキマスタシリンダ作動出力ピストンとを有する車両用ブレーキブースタを備える。第2の円筒状ボアと出力ピストンとは、ブーストチャンバを定め、入力ピストンが第2のボアからブーストチャンバまで延びる。加圧流体導管が、加圧流体源をブーストチャンバに結合し、またブーストチャンバは、第2のボア、入力ピストン、出力ピストン、及び流体導管によって完全に定められる。
【0007】
本発明は別の実施形態において、ほぼ円筒状のボアを有するハウジングと、円筒状ボア内に往復動可能に配置された、油圧駆動ブレーキマスタシリンダ作動ブーストピストンとを有する車両用ブレーキブースタ含む。円筒状ボアとブーストピストンの作動面とは、ブーストチャンバを定める。ブーストピストン内には、ピストン作動面からブーストピストン内の途中まで延びるほぼ円筒状のボアがある。運転者操作可能なブレーキ入力ピストンが、ブーストチャンバを貫通して、ブーストピストンボア内に往復動可能に配置される。ブーストピストンボアと入力ピストンの作動面とは、入力チャンバを定める。加圧流体源と、該加圧流体源からブーストチャンバ及び入力チャンバに流体圧を選択的に供給するための手段とがある。
【0008】
本発明は、車両の運転者により加えられる油圧ブレーキ力を増幅する方法も含み、この方法においては、運転者が操作可能な入力ピストンの直線運動をモニタすることにより、運転者による入力ブレーキ力が感知される。増幅された油圧ブレーキ力は、出力ピストンの直線運動又は圧力をモニタすることによって感知される。加圧流体源からの流体は、ブーストチャンバに送られ、入力ピストンの移動距離に比例した距離だけ出力ピストンを動かして、運転者が加える入力ブレーキ力と関係のある感知された移動距離に比例して車両ブレーキマスタシリンダを作動させる。出力ピストンの移動距離に対する入力ピストンの移動距離の比は、変更することができる。
【0009】
本発明の1つの利点は、運転者のペダルフィールを改善するために、出力ピストンの移動距離に対する入力ピストンの移動距離の比を要求通りに選択的に変更できることである。
本発明の別の利点は、ブーストシステムには、油圧的又は電気的に故障した場合に完全にマニュアルモードに切り換えるフェイルセーフがあることである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
幾つかの図面を通して、対応する参照符号は対応する部品を表している。
次に図面、特に図1を参照すると、油圧式ブレーキブースタ11が断面図で示され、関連する油圧及び電気回路が概略ブロック図で示されている。ブースタは、パワー出力ピストン15を備えたハウジング13を含み、該ピストンは、ハウジングのほぼ円筒状のボア17内に往復動可能に取り付けられている。出力ピストンは、出力ロッド33により一般的な車両ブレーキシステムのマスタシリンダ(図示せず)に機械的に連結される。一方のピストン面19は、ハウジング内部のブーストチャンバ21内の油圧流体の圧力を受ける。ブーストピストン面19に作用するチャンバ21内の油圧の力に対して、スパイダ45によりハウジング13内に保持された付勢コイルスプリング37が対抗する。運転者が操作可能なペダル入力ピストン23はまた、ハウジング13内部の第2のほぼ円筒状のボア25内に往復動可能に取り付けられる。入力ピストンは、ソケット35により運転者が操作可能な一般的な車両ブレーキペダル(図示せず)に機械的に連結される。入力ピストン23は、ブーストチャンバ21内の油圧流体圧力を受けるピストン面27を有する。入力ピストン面27に作用するチャンバ21内の油圧力は、連結ロッド41を介して入力ピストンに結合されたリターンスプリング39によって補完又は強化される。リターンスプリング39は、ブレーキペダルを休止位置で保持するのに使用されている。入力ピストン23の外方への運動は、フランジ43がハウジング13と係合することによって制限され、他方、出力ピストン15の外方への運動は、該ピストンがハウジング13内に置かれた停止ピン24と係合することにより制限される。付勢コイルスプリング37又はリターンスプリング39は、連結ロッド41により両ピストン間の離隔(及びピストン15の右方向への動き)が維持された状態で、これらの各ピストンを図1に示す休止又は非作動位置に向けて付勢する。ボア25内における入力ピストン23の直線運動は、移動センサ29によって感知され、出力ピストン15の直線運動は、同様に移動センサ31によってモニタされる。チャンバ21からの流体漏れは、参照符号47及び49で示すような従来のシ−ルによって制御される。チャンバ21に対する唯一の流体接続は導管51を介している。
【0011】
油圧流体の供給は、リザーバ53に帰し、ポンプ57により加圧流体アキュムレータ55に選択的にポンプ輸送される。ソレノイド作動バルブ59は、ノーマルクローズであり、アキュムレータから導管51までの流体通路を遮断している。ノーマルオープンの第2のソレノイド作動バルブ61は、チャンバ21から導管51を介してリザーバ53までの流体排出路を形成する。
【0012】
移動センサ29及び31は、電子制御ユニット(ECU)63に2つの入力を提供する。ECU63はまた、車両のイグニッションが作動されたときにライン65上の作動(enabling)入力、及びライン67上の油圧流体レベル指示入力を受け取る。ECU63は、ソリッドステートスイッチ71及び73を選択的に作動させる出力信号を供給する。流体レベルが不十分であるといった機能不良は、スイッチ73を導通させてライン69を介してランプを点灯させることにより、車両の運転者に示すことができる。ECU63がスイッチ71を導通させると、ライン75上の車両バッテリ電圧と車両アースとの間に回路が確立され、モータ77を作動させて流体ポンプ57を駆動させる。ECU63はまた、バルブ59及び61を作動させるために、それぞれライン79及び81上でソレノイド作動信号を選択的に形成する。
【0013】
運転者は、図1で見て左方に向かって入力ピストン23を動かすことにより制動指令を開始し、この動きが移動センサ29によって感知される。次いで、ECU63は、バルブ61を閉じてブーストチャンバを隔離し、バルブ59を開いて高圧流体をアキュムレータ55からチャンバ21内に流入させる。これにより出力ピストン15を動かして、該ピストンがマスタシリンダの従来型ピストンを、移動センサ31によりモニタされる所定の位置に到達するまで左方に向かって押す。出力ピストン15の移動距離は、入力ロッドの移動距離を上回るように設定することができ、これによって運転者に良好なペダルフィールを与える比率変更機能を提供する。ブーストチャンバ21内の加圧流体はピストン面27及び入力ロッドに対して作用し、それぞれに応じて運転者にフィードバックを提供する。運転者が入力する力が小さくなると、これに応じて入力ピストン23は休止位置に向かって戻る。また、ECU63は、バルブ59及び61を交互に開閉して圧力の低下を生じさせることで、ブーストチャンバ21内の流体圧を低下させて応答する。これらのバルブの典型的なタイプのパルス幅変調(PWM)を用いて、圧力を制御することができる。油圧式又は電気式手段によるブーストが失われた場合には、入力ピストン23、ロッド41、及び出力ピストン15間の直接リンクによりマニュアル(人力)での実行が維持される。更に、バルブ59及び61の独立制御は、ブースタの自己作動を可能にし、これによりESP及びROMを含む典型的な最新式変調機能の働きが向上する。
【0014】
図2には、概略ブロック図の形態の関連する油圧及び電気回路と共に、油圧式ブレーキブースタ83の断面図が示されており、本発明による第2のブレーキシステムを定める。ブースタ83は、パワー出力ピストン87を備えたハウジング85を含み、該ピストンは、ハウジング内のほぼ円筒状のボア89内に往復動可能に取り付けられている。出力ピストン87は、出力ロッド91により従来の車両ブレーキシステムのマスタシリンダ(図示せず)に機械的に連結される。一方のピストン面93は、ハウジング85内部のブーストチャンバ95に存在する油圧流体圧を受ける。チャンバ95内の油圧の力は、出力ピストン87の面93に作用し、これに対して付勢コイルスプリング97が対抗する。運転者が操作可能なペダル入力ピストン99はまた、ハウジング85内部の第2のほぼ円筒状のボア101内に往復動可能に取り付けられる。この入力ピストンは、ロッド103により運転者が操作可能な一般的な車両ブレーキペダル(図示せず)に機械的に連結される。入力ピストン99は、チャンバ95を通り出力ピストン87内のほぼ円筒状のボア105に延びる。円筒状ボア89、101、105と入力及び出力ピストンとは、全て共通の軸線107を共有している。入力ピストン99は、別の入力チャンバ111内の油圧流体の圧力を受けるピストン面109を有しており、出力ピストン87と共に動く。入力ピストン面109に作用する入力チャンバ111内の油圧力は、ブレーキペダルを休止位置に向けて付勢しかつ反力を限定するリターンスプリング113によって補完又は強化される。入力ピストン99の直線運動は、移動センサ115によって感知される。出力ピストンの直線運動は、図1のセンサ31と同様に機能する移動センサ148によりモニタすることができる。チャンバ95からの流体漏れは、ハウジング85内に取り付けられたシ−ル117、及び出力ピストン87の外側円筒面上に置かれたシ−ル119のような、従来のシ−ルによって制御される。導管121を介したチャンバ95への流体接続、及びハウジング導管123及び出力ピストン導管125を介した入力チャンバ111への別個の流体接続がある。更に、チャンバ95は、ピストン99によって支持されたリップシール98が一方向流路を形成すると入力チャンバ111と接続され、チャンバ95内の流体圧が入力チャンバ111内の流体圧と均衡するようになる。ハウジング内におけるピストン87の全ての作動位置において、導管123及び125は、環状ピストン溝127を介して流体移送連通している。
【0015】
油圧流体は、流体源管路131から加圧流体アキュムレータ129に供給される。管路131は、図1に示すような専用ポンプ、パワーステアリングポンプ、又は他の任意の適当な流体圧源に接続することができる。ソレノイド作動バルブ133は、ノーマルクローズであり、アキュムレータからの流体通路を遮断している。第2のソレノイド作動バルブ135は、ノーマルオープンであり、チャンバ95から導管121を介してサンプ即ち他のリザーバ137までの流体排出路を形成する。第3のソレノイド作動バルブ139はまた、ノーマルオープンであり、入力チャンバ111から導管123、125及びバルブ135を介してサンプ137までの流体排出路を形成する。圧力センサ141は、チャンバ95内の流体圧力の指示を提供し、そのチャンバ圧力指示をライン145を介してECU143に供給する。ECU143はまた、ライン147を介してセンサ115から入力ピストンに関する移動センサ情報、及び任意選択的に、ライン149を介してセンサ148から出力ピストンに関する移動センサ情報を受け取ることができる。ECU143は、バルブ133、135、及び139のソレノイドを選択的に作動させるために、点線で示すように出力信号を供給する。
【0016】
図2の実施形態は、油圧駆動ブレーキマスタシリンダ作動ブーストピストン87が、円筒状ボア105内に往復動可能に配置され、円筒状ボアとブーストピストンの作動面93とがブーストチャンバを定める点では図1の実施形態と同様であるが、運転者操作可能なブレーキ入力ピストン87を受け入れるために、ブーストピストン内のほぼ円筒状のボアがピストン作動面93からピストンへ途中まで延び、ブレーキ入力ピストン87がブーストチャンバを通ってブーストピストンボア内に往復動可能に配置される点で図1の実施形態と幾分異なっている。ブーストピストンボアと入力ピストンの作動面109とが、入力チャンバ111を定める。管路131上にある加圧流体源からの流体圧力は、導管121を介してブーストチャンバへ、及び導管123及び125を介して入力チャンバへ選択的に供給される。前述したように、入力ピストンの動きをモニタするための移動センサ115があり、モニタされた入力ピストンの動きに応じて、流体がブーストチャンバへ選択的に供給される。電子制御ユニット143は、ブーストチャンバの圧力及び入力ピストンの移動をモニタし、ノーマルクローズソレノイド作動バルブ133を制御して、流体源131及び129をブーストチャンバに選択的に結合する。ノーマルオープンソレノイド作動バルブ139は、ノーマルクローズバルブ133から入力チャンバ111への加圧流体を選択的に捕捉し、及び加圧流体を入力チャンバから選択的に排出させるように電子制御ユニットによって制御される。圧力センサは、入力移動センサ115、148からの信号の関数としてブーストチャンバ内の流体圧力を測定し、この測定された流体圧に応じて、流体がブーストチャンバに選択的に供給される。電子制御ユニット143はまた、ブーストチャンバの圧力変化を伴わない入力ピストンの移動を感知すると、ノーマルオープンバルブ139を閉鎖して一定体積の流体を入力チャンバ111内に捕捉するように作動することでき、これによって入力ピストンの移動距離に対する出力ピストンの移動距離の比が1:1に固定される。ハウジング内の加圧流体導管121はノーマルクローズバルブ133が開放された時に加圧流体源をブーストチャンバ95に結合し、開いた時のノーマルクローズバルブ133、ノーマルオープンバルブ139、ハウジング孔123、出力ピストン孔125、及び該出力ピストンの位置に拘わりなくハウジング孔と出力ピストン孔とを結合している出力ピストンとハウジングボアとの間にある環状空間127を含む流体通路は、協働して加圧流体源から入力チャンバへ加圧流体を供給する。導管121は、ブーストチャンバに出入りする流体のための唯一の通路を提供する。ブーストシステムが故障した場合には、バルブ135及び139がノーマルオープン位置へ戻り、入力ピストン99がボア105の端部と係合できるようにされ、及びブレーキ圧力がアシストのないマニュアル操作状態に戻る。この実施形態の特徴は、移動センサ116もしくは圧力センサ141を通じたピストン87の移動が、移動センサ115によって測定されるピストン99の移動の関数として所望の制動を行っていることを同様に評価するECU143の能力にある。
【0017】
移動センサ115により感知される移動距離、及び移動センサ148により感知される移動距離、又はセンサ141により感知される圧力から得られたパワーピストン87の移動距離に基づいて、チャンバ95に供給された流体圧が所望の制動作用に対応していないことをECU143が判断した場合には、ソレノイド作動バルブ139を閉じて流体を入力チャンバ111内に捕捉するよう信号が送られる。その後、ロッド103に加えられた入力の力が、入力ピストン99を動かしてパワーピストン87と係合させ、チャンバ95に供給される加圧流体から得られる出力を補完する1:1のマニュアルによる力を提供する。ロッド103への入力の力が無くなると、バルブ139及び135がリザーバ137に対して開いた時に、リターンスプリング113及び97が、入力ピストン99を休止位置に移動させる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1の実施形態によるブレーキブースタシステムを一部断面で示し、一部を概略的に示した図である。
【図2】本発明の第2の実施形態によるブレーキブースタシステムを一部断面で示し、一部を概略的に示した図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用ブレーキブースタ(11、83)であって、
加圧流体源(55,129)と、
ほぼ円筒状の第1のボア(25、101)と第2のボア(17、89)とを有するブースタハウジング(13、85)と、
前記第1の円筒状ボア(25、101)内に往復動可能に配置された運転者操作可能なブレーキ入力ピストン(23、99)と、
前記第2の円筒状ボア(17、89)内に往復動可能に配置された油圧駆動ブレーキマスタシリンダ作動出力ピストン(15、87)と、
を備え、
前記第2の円筒状ボア(17、89)と前記出力ピストン(15、87)とがブーストチャンバ(21、95)を定め、前記入力ピストン(23、99)が前記第2のボア(17、89)から前記ブーストチャンバ(21、121)まで延びており、
前記ブースタが更に、
前記加圧流体源(55,129)を前記ブーストチャンバ(21、95)に結合するための加圧流体導管(51、121)を備え、
前記ブーストチャンバ(21、95)が前記第2のボア(17、89)、前記入力ピストン(23、99)、前記出力ピストン(15、87)、及び前記流体導管(51、121)によって完全に定められることを特徴とする車両用ブレーキブースタ(11、83)。
【請求項2】
前記入力ピストン(23、99)に対して車両の運転者によって引き起こされる運動をモニタするための入力ピストン移動センサ(29、115)を更に備える請求項1に記載のブレーキブースタ(11、83)。
【請求項3】
前記導管(51、121)を介した前記ブーストチャンバ(21、95)への前記加圧流体の供給を制御するために、前記加圧流体源(55,129)と前記導管(51、121)との間に置かれたノーマルクローズソレノイド作動バルブ(59、133)を更に備える請求項2に記載のブレーキブースタ(11、83)。
【請求項4】
前記ソレノイド作動バルブ(59、133)を選択的に作動させて前記ブーストチャンバ(21、95)に加圧流体を供給するために、前記移動センサ(29、115)からの移動表示に応答する電子制御ユニット(63、143)を更に備える請求項3に記載のブレーキブースタ(11、83)。
【請求項5】
前記ブーストチャンバ(21、95)から加圧流体を選択的に放出するために前記流体導管(51、121)に結合されたノーマルオープンソレノイド作動バルブ(61、135)を更に備える請求項4に記載のブレーキブースタ(11、83)。
【請求項6】
前記加圧流体源が、専用の流体ポンプ(57)と、ポンプ駆動用モータ(77)と、加圧流体アキュムレータ(55、129)とを含み、前記モータ(77)が、前記電子制御ユニット(63、143)により選択的に作動させる請求項1に記載のブレーキブースタ(11、83)。
【請求項7】
出力ピストンの位置表示を前記電子制御ユニット(63、143)に供給するための出力ピストン移動センサ(31、148)を更に備え、前記電子制御ユニット(63、143)が、ノーマルクローズソレノイド作動バルブ(59、133)の連通を制御して前記ブーストチャンバ(21、95)に加圧流体を供給し、運転者によって引き起こされる前記入力ピストン(23、99)に対する運動に対応した位置に前記出力ピストン(15、87)を移動させることを特徴とする請求項4に記載のブレーキブースタ(11、83)。
【請求項8】
前記電子制御ユニット(63、143)が、前記入力ピストン(23、99)の運動に対する前記出力ピストン(15、87)の運動の測定可能な比を設定する請求項7に記載のブレーキブースタ(11、83)。
【請求項9】
前記導管(51)が、ブーストチャンバ(21)に出入する流体のための唯一の通路を提供する請求項1に記載のブレーキブースタ(11、83)。
【請求項10】
前記入力ピストン(23、99)及び出力ピストン(15、87)が、ブーストチャンバ(21、95)内の流体圧力に応答する作動面(27、19、109、93)を含み、前記出力ピストンの作動面(19、93)の面積が、前記入力ピストンの作動面(27、109)の面積よりも実質的に大きいことを特徴とする請求項1に記載のブレーキブースタ(11、83)。
【請求項11】
車両用ブレーキブースタ(83)であって、
ほぼ円筒状のボア(89)を有するハウジング(85)と、
前記円筒状ボア(89)内に往復動可能に配置された、油圧駆動ブレーキマスタシリンダ作動ブーストピストン(87)と、
を備え、
前記円筒状ボア(89)と前記ブーストピストン(87)の作動面(93)とがブーストチャンバ(121)を定め、
前記ブースタが更に、
前記ピストン作動面(93)から前記ブーストピストン(87)の途中まで延びる前記ピストン(87)内のほぼ円筒状のボア(105)と、
前記ブーストチャンバ(121)を貫通して通り、前記ブーストピストンボア(105)内に往復動可能に配置された運転者操作可能なブレーキ入力ピストン(99)であって、前記ブーストピストンボア(105)と該入力ピストン(99)の作動面(109)とが入力チャンバ(111)を定めるブレーキ入力ピストン(99)と、
加圧流体源(129)と、
前記流体源(129)から前記ブーストチャンバ(95)及び前記入力チャンバ(111)に流体圧力を選択的に供給する手段(143、139、133)と、を備える車両用ブレーキブースタ(83)。
【請求項12】
前記入力ピストン(99)の運動をモニタするための第1の移動センサ(115)を更に備え、流体を前記ブーストチャンバ(95)へ選択的に供給する手段(143、139、133)が、前記モニタされた入力ピストン(99)の運動に従って機能する請求項11に記載のブレーキブースタ(83)。
【請求項13】
前記流体を供給する手段(143、139、133)が、ブーストチャンバ(95)の圧力と入力ピストン(99)の移動とをモニタするための電子制御ユニット(143)と、前記流体源から前記ブーストチャンバ(95)への前記加圧流体の供給を制御するために、前記電子制御ユニット(143)により制御されて、前記流体源(129)を前記ブーストチャンバ(95)に選択的に結合するノーマルクローズソレノイド作動バルブ(133)とを含む請求項11に記載のブレーキブースタ(83)。
【請求項14】
前記ノーマルクローズバルブ(133)から前記入力チャンバ(111)へ加圧流体を選択的に供給し、前記入力チャンバ(111)から加圧流体を選択的に排出させるために前記電子制御ユニット(143)により制御されるノーマルオープンソレノイド作動バルブ(135)を更に備える請求項13に記載のブレーキブースタ(83)。
【請求項15】
前記ブーストチャンバ(95)内の流体圧力を測定するための圧力センサ(141)を更に備え、前記ブーストチャンバへ流体を選択的に供給する手段(143、139、133)が、前記測定された流体圧力に応じて機能する請求項11に記載のブレーキブースタ(83)。
【請求項16】
前記供給手段(143、139、133)が、ブーストチャンバ(95)圧力と入力ピストン(99)移動距離とをモニタするための電子制御ユニット(143)を含み、前記電子制御ユニット(163)が、ブーストチャンバ(95)の圧力変化を伴わない入力ピストン(115)の移動を感知すると、前記ノーマルオープンバルブ(135)を閉じて一定体積の流体を前記入力チャンバ(95)内に捕捉し、これにより前記入力ピストン(99)の移動距離に対する出力ピストン(87)の移動距離の比を1:1に固定するように作動できる請求項15に記載のブレーキブースタ(83)。
【請求項17】
ために、前記ブーストチャンバ(95)内の流体を入力チャンバ(111)と連通させて、前記ブーストチャンバ(95)と前記入力チャンバ(111)との間を均衡させるシ−ル手段(98)を更に備える請求項16に記載のブレーキブースタ(83)。
【請求項18】
前記ノーマルクローズバルブ(133)が開いた時、前記加圧流体源(143、139、133、129)を前記ブーストチャンバ(95)に結合させる前記ハウジング内の加圧流体導管(121)と、開放いた時のノーマルクローズバルブ(133)、ノーマルオープンバルブ(135)、ハウジング孔(123)、出力ピストン孔(125)、及び該出力ピストン孔の位置に拘わりなく前記ハウジング孔(123)と前記出力ピストン孔(125)とを結合する出力ピストン(87)を含み、前記加圧流体源から入力チャンバへ加圧流体を供給する流体通路とを更に備える請求項11に記載のブレーキブースタ(83)。
【請求項19】
前記導管(121)が、前記ブーストチャンバ(95)に出入する流体のために唯一の通路を提供する請求項17に記載のブレーキブースタ(83)。
【請求項20】
前記ブーストチャンバ(95)内の流体圧力を測定するための圧力センサ(145)、前記ブーストピストン(87)の運動をモニタするための第2の移動センサ(148)、及び前記第2の移動センサ(148)からの入力によって測定され且つ確認される流体圧に従って前記ブーストチャンバ(95)へ流体を選択的に供給するための手段(143、139、133、129)を更に備える請求項12に記載のブレーキブースタ(83)。
【請求項21】
車両の運転者により加えられた油圧ブレーキ力を増幅する方法であって、
運転者が操作可能な入力ピストン(23、99)の直線運動をモニタする(29、115)ことにより、前記運転者による入力ブレーキ力を感知する段階と、
出力ピストン(15、87)の直線運動をモニタする(31、148)ことにより、前記増幅された油圧ブレーキ力を感知する段階と、
流体圧源(143、139、133、129)からブーストチャンバ(21、95)へ流体を送り、前記入力ピストン(26、99)が動いた距離に比例する距離だけ前記出力ピストン(15、87)を動かして、前記感知された運転者による入力ブレーキ力に比例して車両ブレーキマスタシリンダを作動させる段階と、
を含む方法。
【請求項22】
出力ピストンの移動距離に対する入力ピストンの移動距離の比を選択的に変更する追加の段階を含む請求項19に記載の方法。
【請求項23】
車両の運転者によって加えられた油圧ブレーキ力を増幅する方法であって、
運転者が操作可能な入力ピストン(23、99)の直線運動をモニタする(29、115)ことにより、前記運転者による入力ブレーキ力を感知する段階と、
出力ピストン(15、87)を動かすために、流体圧源(143、139、133、129)からブーストチャンバ(21、95)へ流体を送る段階と、
出力ピストン(15、87)の直線運動をモニタする(31、148)ことにより、前記増幅された油圧ブレーキ力を感知する段階と、
前記ブーストチャンバ(21、95)へ供給される流体の連通を制御して、前記出力ピストン(15、87)による移動距離が、車両ブレーキマスタシリンダを作動させて制動を加えるよう運転者によって加えられた入力に比例するようにする段階と、
を含む方法。
【請求項24】
1:1の比が達成されるように、前記出力ピストンに対する前記入力ピストン(23、99)の移動距離の比を変更する手段を更に含む請求項21に記載の方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用ブレーキブースタ(11、83)において、
加圧流体源(55,129)と、
ほぼ円筒状の第1のボア(25、101)と第2のボア(17、89)とを有するブースタハウジング(13、85)と、
前記第1の円筒状ボア(25、101)内に往復動可能に配置された運転者操作可能なブレーキ入力ピストン(23、99)と、
前記第2の円筒状ボア(17、89)内に往復動可能に配置された油圧駆動ブレーキマスタシリンダ作動出力ピストン(15、87)であって、前記第2の円筒状ボア(17、89)とこの出力ピストン(15、87)とがブーストチャンバ(21、95)を定め、前記入力ピストン(23、99)が前記第2のボア(17、89)から前記ブーストチャンバ(21、121)内まで延びている油圧駆動ブレーキマスタシリンダ作動出力ピストンと、
前記加圧流体源(55,129)を前記ブーストチャンバ(21、95)に結合するための加圧流体導管(51、121)であって、前記ブーストチャンバ(21、95)が前記第2のボア(17、89)、前記入力ピストン(23、99)、前記出力ピストン(15、87)、及び前記流体導管(51、121)によって完全に定められる加圧流体導管(51、121)と、
車両の運転者によって引き起こされる前記入力ピストン(23、99)の運動をモニタするための入力ピストン移動センサ(29、115)と、
前記導管(51、121)を介した前記ブーストチャンバ(21、95)への前記加圧流体の供給を制御するため、前記加圧流体源(55,129)と前記流体導管(51、121)との間に置かれたノーマルクローズソレノイド作動バルブ(59、133)と、
前記ソレノイド作動バルブ(59、133)を選択的に作動させて前記ブーストチャンバ(21、95)に加圧流体を供給するために、前記移動センサ(29、115)からの運動指示に応答する電子制御ユニット(63、143)と、
前記ブーストチャンバ(21、95)から加圧流体を選択的に放出するために前記流体導管(51、121)に結合されたノーマルオープンソレノイド作動バルブ(61、135)と、
を備えることを特徴とする車両用ブレーキブースタ(11、83)。
【請求項2】
前記加圧流体源が、専用の流体ポンプ(57)と、ポンプ駆動用モータ(77)と、加圧流体アキュムレータ(55、129)とを含み、前記モータ(77)が前記電子制御ユニット(63、143)により選択的に作動させられる請求項1に記載のブレーキブースタ(11、83)。
【請求項3】
出力ピストンの位置指示を前記電子制御ユニット(63、143)に供給するための出力ピストン移動センサ(31、148)を更に備え、前記電子制御ユニット(63、143)が、ノーマルクローズソレノイド作動バルブ(59、133)の連通を制御して、前記ブーストチャンバ(21、95)に加圧流体を供給し、運転者によって引き起こされる前記入力ピストン(23、99)の運動に対応した位置に前記出力ピストン(15、87)を移動させることを特徴とする請求項1に記載のブレーキブースタ(11、83)。
【請求項4】
前記電子制御ユニット(63、143)が、前記入力ピストン(23、99)の運動に対する前記出力ピストン(15、87)の運動の測定可能な比を設定する請求項3に記載のブレーキブースタ(11、83)。
【請求項5】
前記導管(51)が、ブーストチャンバ(21)に出入する流体のための唯一の通路を提供する請求項1に記載のブレーキブースタ(11、83)。
【請求項6】
前記入力ピストン(23、99)及び出力ピストン(15、87)が、ブーストチャンバ(21、95)内の流体圧に応答する作動面(27、19、109、93)を含み、前記出力ピストンの作動面(19、93)の面積が、前記入力ピストンの作動面(27、109)の面積よりも実質的に大きいことを特徴とする請求項1に記載のブレーキブースタ(11、83)。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2006−507986(P2006−507986A)
【公表日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−557132(P2004−557132)
【出願日】平成15年9月30日(2003.9.30)
【国際出願番号】PCT/US2003/030912
【国際公開番号】WO2004/050447
【国際公開日】平成16年6月17日(2004.6.17)
【出願人】(500087925)ロバート ボッシュ コーポレイション (5)
【Fターム(参考)】