電気光学装置及びその駆動方法、並びに電子機器
【課題】 製造コストを抑制して電気光学装置において高品質な画像表示を行う。
【解決手段】 シリアル−パラレル変換された画像信号が供給される画像信号線に一端が夫々接続される複数の分岐配線と、複数の分岐配線を介して供給される画像信号を、サンプリング信号に応じてデータ線に夫々供給する複数のサンプリングスイッチを含むサンプリング回路と、サンプリング信号を順次供給するデータ線駆動回路とを備えており、複数の分岐配線は、各分岐配線群について、一の分岐配線群の次にサンプリング回路によりサンプリングされる画像信号を供給する他の分岐配線群に隣接すると共に一の分岐配線群に属する一の分岐配線の抵抗値が一の分岐配線群に属する他の分岐配線の抵抗値と異なるように且つ該他の分岐配線の抵抗値が相互に同等になるように、形成されている。
【解決手段】 シリアル−パラレル変換された画像信号が供給される画像信号線に一端が夫々接続される複数の分岐配線と、複数の分岐配線を介して供給される画像信号を、サンプリング信号に応じてデータ線に夫々供給する複数のサンプリングスイッチを含むサンプリング回路と、サンプリング信号を順次供給するデータ線駆動回路とを備えており、複数の分岐配線は、各分岐配線群について、一の分岐配線群の次にサンプリング回路によりサンプリングされる画像信号を供給する他の分岐配線群に隣接すると共に一の分岐配線群に属する一の分岐配線の抵抗値が一の分岐配線群に属する他の分岐配線の抵抗値と異なるように且つ該他の分岐配線の抵抗値が相互に同等になるように、形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば液晶装置等の電気光学装置、該電気光学装置を駆動する駆動方法、並びにそのような電気光学装置を具備してなる例えば液晶プロジェクタ等の電子機器の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電気光学装置は、一般に、シリアル−パラレル変換された画像信号に基づいて駆動される。例えば、液晶装置において、基板上の画像表示領域に配線された複数のデータ線は所定の本数毎にブロック化されており、シリアル−パラレル変換された画像信号は、ブロック単位で、該ブロックに含まれるデータ線にサンプリングスイッチを介して供給される。これにより、所定の本数のデータ線が同時に、且つ複数のデータ線は所定の本数毎に順次駆動される。この場合、複数の画像信号線は、基板の周辺領域に配列され、更に画像信号線からサンプリングスイッチまでは分岐配線で接続される。ここで、複数の分岐配線の長さは、夫々が接続された画像信号線からサンプリング回路までの距離の差異に対応して相異なる。そこで、このような分岐配線の配線抵抗の差異による表示ムラの発生を防止する観点から、複数の分岐配線の配線抵抗値は夫々、これを支配する比較的高抵抗の配線部分の長さを互いに同等にすることなどにより、互いに同等の値に設定されている(特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、このように構成しても、相隣接する二つのブロックの境目では、相隣接するデータ線間の寄生容量に起因したプッシュダウン(即ち、画像信号電位の電圧降下)又はプッシュアップ(即ち、画像信号電位の電圧上昇)によって、輝度ムラの発生が認められる場合がある。その理由として、ブロック内で相隣接するデータ線間の場合と比べてブロックの境目で相隣接するデータ線間の方が、電圧遷移によるプッシュダウンやプッシュアップが大きいことが考察されている。そこで、特許文献2では、液晶装置の駆動回路において、このような相隣接する二つのブロックの境目での輝度ムラの発生を防止するように、プッシュダウンやプッシュアップを相殺或いは補償する電圧補正がなされた画像信号を用いる技術が提案されている。
【0004】
【特許文献1】特開平10−268350号公報
【特許文献2】特開2001−343923号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したような特許文献2によれば、駆動回路において、補正を行う際、シリアル−パラレル変換した後の画像信号に対して演算処理が行われる。よって、この演算処理を行うための回路が必要となるため、駆動回路を製造する際に、製造コストが増加する、という問題が生じる。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑み成されたものであり、製造コストを抑制して高品質な画像表示を行うことが可能な電気光学装置及びその駆動方法、並びに該電気光学装置を備えた各種電子機器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電気光学装置は上記課題を解決するために、基板上の画像表示領域に配線された複数の走査線及び複数のデータ線と、前記走査線及び前記データ線に夫々電気的に接続された複数の画素部と、前記複数のデータ線を、N本の前記データ線を1群とするデータ線群毎に駆動するためにN(但し、Nは2以上の自然数)個のシリアル−パラレル変換された画像信号が供給されるN本の画像信号線と、前記複数のデータ線の配列に対応して複数配列されており、前記画像信号線に一端が夫々接続される複数の分岐配線と、該複数の分岐配線の他端から夫々供給される前記画像信号を、サンプリング信号に応じて前記データ線に夫々供給する複数のサンプリングスイッチを含むサンプリング回路と、前記データ線群に対応する前記サンプリングスイッチ毎に、前記サンプリング信号を順次供給するデータ線駆動回路とを備えており、前記複数の分岐配線は、前記データ線群に対応するN本の分岐配線を一群とする各分岐配線群について、一の分岐配線群に属し、該一の分岐配線群の次に前記サンプリング回路によりサンプリングされる前記画像信号を供給する他の分岐配線群に隣接する一の分岐配線の抵抗値が、前記一の分岐配線群に属する他の分岐配線の抵抗値と異なるように形成されると共に、前記複数の分岐配線は、前記各分岐配線群について、前記他の分岐配線の抵抗値が相互に同等になるように形成されている。
【0008】
本発明の電気光学装置によれば、その駆動時には、シリアル−パラレル変換されたN個の画像信号が、N本の画像信号線に供給され、更に、データ線に対応して配列された分岐配線からサンプリング回路へと供給される。例えば、N個の画像信号は、駆動周波数の上昇を抑えつつ高精細な画像表示を実現すべく、外部回路によって、シリアルな画像信号が、3相、6相、12相、24相、・・・など、複数のパラレルな画像信号に変換されることによって生成される。
【0009】
このような画像信号の供給と並行して、データ線駆動回路によって、データ線群に対応するサンプリングスイッチ毎に、サンプリング信号が順次供給される。すると、サンプリング回路によって、複数のデータ線には、サンプリング信号に応じてデータ線群毎にN個の画像信号が順次供給される。よって、同一データ線群に属するデータ線は同時に駆動されることとなる。尚、サンプリングスイッチは、例えば、片チャネル型のTFTにより夫々構成され、ソースが分岐配線に接続され、ドレインがデータ線に接続され、ゲートにサンプリング信号が供給されることでオン状態とされる。
【0010】
このようにデータ線が駆動されると、各画素部では、例えば、走査線駆動回路から走査線を介して供給される走査信号に応じて、スイッチング動作を行う画素スイッチング素子を介して、データ線より画像信号が表示素子に供給される。これより、例えば表示素子である液晶素子は供給された画像信号に基づいて画像表示を行う。
【0011】
以上のように駆動が行われるので、複数のデータ線群のうち一のデータ線群に画像信号が供給されている状態で、この一のデータ線群に属すると共にこの一のデータ線群の次に駆動される他のデータ線群に隣接する一のデータ線の電位と、他のデータ線群に属するデータ線の電位とは、表示される画像の内容に応じて異なる場合が生じ得る。
【0012】
より具体的には、画像表示領域に配線された複数のデータ線について、該複数のデータ線のうち相隣接する二本のデータ線間には、寄生容量が存在している。そして、このように寄生容量を有する二本のデータ線に対応するサンプリングスイッチでは夫々、例えばそのドレイン側にあるデータ線の画像信号電位が、これと隣接するデータ線との寄生容量によって変化し、プッシュダウン(即ち、本来の画像信号電位より低い画像信号電位となってしまうこと、或いは次回のサンプリングの際に、本来より低い画像信号電位しかサンプリングできないこと)やプッシュアップ(即ち、本来の画像信号電位より高い画像信号電位となってしまうこと、或いは次回のサンプリングの際に、本来より高い画像信号電位がサンプリングされてしまうこと)が生じ得る。特に、本明細書では、サンプリングスイッチにて本来サンプリングされるべき画像信号電位からの、電圧降下分を「プッシュダウン量」と称し、電圧上昇分を「プッシュアップ量」と称して説明する。
【0013】
このようなプッシュアップ又はプッシュダウンが生じる場合、仮に何らの対策も施さねば、前述した従来技術にもあるように、画像表示領域に表示された表示画面において、データ線群の境目に輝度ムラが発生する。そして、輝度ムラの程度は、表示される画像の内容或いは相隣接するデータ線間における画像信号の電位差に依存し、また、プリチャージを行う場合には、プリチャージレベルと各画像信号の電位との相対関係にも依存する。
【0014】
しかるに本発明の電気光学装置によれば、一のデータ線群に対応する一の分岐配線群において、前記一のデータ線に対応する一の分岐配線は、抵抗値が一の分岐配線群に属する他の分岐配線と異なるように形成されると供に、他の分岐配線は、各々の抵抗値が互いに同等になるように形成されている。従って、上述したような寄生容量により前記一のデータ線に係るサンプリングスイッチでプッシュアップ量が同一データ線群に属する他のデータ線に比べて大きい場合には、この一のデータ線に対応する一の分岐配線の抵抗値を大きくすることで、当該サンプリングスイッチにおける過大なプッシュアップ量を小さくできる。或いは、プッシュダウン量が大きい場合には、この一のデータ線に対応する一の分岐配線の抵抗値を小さくすることで、これを当該サンプリングスイッチにおける過大なプッシュダウン量を小さくできる。何れの場合にも、プシュアップ量やプッシュダウン量の差異が低減されるように、予め設定された分だけ、前記一のデータ線に対応する一の分岐配線(即ち、一のデータ線群に対応する一の分岐配線群に属する複数の分岐配線のうち次に駆動される他のデータ線群に対応する他の分岐配線群に隣接する一の分岐配線)の抵抗値を、高く又は低くすれば足りる。
【0015】
尚、例えば、前記一の分岐配線の配線長又は配線幅や材料を、他の分岐配線と異ならせて形成することで、前記一の分岐配線の抵抗値を、他の分岐配線の抵抗値と異ならせることができる。この際、データ線群の境目においてたとえ輝度ムラが発生しても、この輝度ムラが視認されない程度に、前記一の分岐配線の抵抗値を、同一の分岐配線群に属する他の分岐配線の抵抗値に対して小さくするか又は大きくすればよい。
【0016】
加えて、同一の分岐配線群に属する他の分岐配線の抵抗値については、同一データ線群に属するデータ線の相互間で輝度ムラが発生しても、この輝度ムラが視認されない程度に、相互に同等に設定すればよい。
【0017】
以上の結果、相隣接するデータ線間の寄生容量に起因して、表示画面上に視認される程度の輝度ムラの発生を防止することが可能となる。その結果、電気光学装置において、高品質な画像表示を行うことができる。また、画像信号に対する演算処理を行うための回路が不要であるため、電気光学装置を低コストで生産することが可能となる。
【0018】
本発明の電気光学装置の一態様では、前記複数の分岐配線は、前記複数のデータ線のうち、前記一の分岐配線に対応する前記データ線と、前記他の分岐配線に対応する前記データ線との間におけるプッシュダウン量又はプッシュアップ量の差異を低減すべく予め設定された分だけ、前記一の分岐配線の抵抗値が異なるように形成されている。
【0019】
この態様によれば、上述したように、一のデータ線群に属する一のデータ線と、一のデータ線に隣接する他のデータ線群に属する他のデータ線との間の寄生容量によって、一のデータ線に係るサンプリングスイッチでプッシュアップ量が大きくなる場合には、予め設定された分だけ、一のデータ線に対応する一の分岐配線の抵抗値を大きくする。これにより、一のデータ線に係るサンプリングスイッチにおける過大なプッシュアップ量を小さくできる。或いは、前述の寄生容量によって、一のデータ線に係るプッシュダウン量が大きくなる場合には、予め設定された分だけ、一のデータ線に対応する一の分岐配線の抵抗値を小さくする。これにより、一のデータ線に係るサンプリングスイッチにおける過大なプッシュダウン量を小さくできる。
【0020】
この、複数の分岐配線は、前記一の分岐配線の抵抗値が異なるように形成されている態様では、前記複数の分岐配線は、前記一の分岐配線及び前記他の分岐配線の一端側に前記画像信号線から前記画素部において中間調の表示を行うための電圧を有する前記画像信号が供給された場合に、前記差異を低減すべく、前記一の分岐配線の抵抗値が異なるように形成されているように構成してもよい。
【0021】
このように構成すれば、画像表示領域において、例えば中間調のベタな一画面を表示する場合に、各データ線群において、該データ線群と、該データ線群の次に駆動される他のデータ線群との境目に、表示画面上に視認されるほどの輝度ムラが発生するのを防止することが可能となる。そして、実際に表示すべき画像は、真っ黒又は真っ白である場合は稀であるとともに、輝度ムラは中間調表示の際に視覚上目立つので、このように中間調の表示を行う際に、輝度ムラが目立たないようにする構成は、実践上大変有利である。尚、本発明に係る「中間調の表示」とは、階調について白と黒との間にある表示を意味する。
【0022】
尚、用途や仕様によっては、黒表示又は白表示を行うための電圧を有する前記画像信号が供給された場合に、前記差異を低減すべく、前記一の分岐配線の抵抗値が異なるように形成されてもよい。
【0023】
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記複数の分岐配線は夫々、低抵抗部分と該低抵抗部分より高抵抗である高抵抗部分とを有し、前記複数の分岐配線は、前記複数の分岐配線群の各々において、前記一の分岐配線における前記高抵抗部分の配線長が前記他の分岐配線における前記高抵抗部分の配線長と異なるように形成されると供に、前記他の分岐配線は、前記高抵抗部分の配線長が互いに同等となるように形成されている。
【0024】
この態様によれば、各分岐配線群において、この分岐配線群に対応するデータ線群の次に駆動されるデータ線群に対応する他の分岐配線群に隣接する一の分岐配線を構成する高抵抗部分の配線長を、即ち、分岐配線の抵抗値を律則する配線部分の配線長を、この一の分岐配線と同一の分岐配線群に属する他の分岐配線の高抵抗部分の配線長より長くすると供に、これら他の分岐配線は、各々の高抵抗部分の配線長が互いに同等となるように形成される。このように構成することにより、他の分岐配線の抵抗値を互いに同等とすると供に、一の分岐配線の抵抗値を他の分岐配線の抵抗値と比較して大きくすることが可能となる。
【0025】
他方、一の分岐配線の高抵抗部分の配線長を他の分岐配線の高抵抗部分の配線長より短くする供に、これら他の分岐配線は、各々の高抵抗部分の配線長が互いに同等となるように形成される。このように構成することにより、他の分岐配線の抵抗値を互いに同等とすると供に、一の分岐配線の抵抗値を他の分岐配線の抵抗値と比較して小さくすることが可能となる。
【0026】
尚、この場合、各分岐配線は、例えばAl(アルミニウム)等の低抵抗部分と、例えば導電性ポリシリコン等の高抵抗部分とから構成される。
【0027】
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記複数の分岐配線は、前記一の分岐配線として前記各分岐配線群の両縁に位置する二本の分岐配線の抵抗値が前記他の分岐配線の抵抗値と異なるように、形成されている。
【0028】
この態様によれば、複数のデータ線が、データ線駆動回路によってその配列方向に対して双方向に、データ線群毎に順次駆動されることによって、画像表示領域において画像表示を行う場合に、各データ線群において、該データ線群と、該データ線群の次に駆動される他のデータ線群との境目に、表示画面上に視認されるほどの輝度ムラが発生するのを防止することが可能となる。即ち、複数のデータ線がその配列方向に沿って双方向に駆動される場合には、各データ線群において、該データ線群の次に駆動されるデータ線群は、該データ線群を挟んで隣接する二つのデータ線群となる。よって、この態様では、複数の分岐配線は、各データ線群に属するデータ線のうち、該データ線群の両縁に位置するデータ線に対応する分岐配線の抵抗値が、これら二本の分岐配線と同一の分岐配線群に属する他の分岐配線と異なるように、形成される。
【0029】
この、各分岐配線群の両縁に位置する二本の分岐配線の抵抗値を異ならせる態様では、前記複数の分岐配線は、前記二本の分岐配線の抵抗値が相互に同等となるように、形成されているように構成してもよい。
【0030】
このように構成すれば、複数のデータ線を、データ線駆動回路によってその配列方向に対して双方向のいずれの方向に駆動する場合にも、各データ線群について、該データ線群に属するデータ線のうち、該データ線群の次に駆動される他のデータ線群に隣接する一のデータ線に係るサンプリングスイッチにおけるプッシュダウン量若しくはプッシュアップ量を同等の値とすることができる。
【0031】
本発明の電子機器は上記課題を解決するために、上述した本発明の電気光学装置(但し、その各種態様も含む)を具備する。
【0032】
本発明の電子機器は、上述した本発明の電気光学装置を具備してなるので、高品質な画像表示を行うことが可能な、投射型表示装置、テレビ、携帯電話、電子手帳、ワードプロセッサ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルなどの各種電子機器を実現できる。また、本発明の電子機器として、例えば電子ペーパなどの電気泳動装置、電子放出装置(Field Emission Display及びConduction Electron-Emitter Display)、これら電気泳動装置、電子放出装置を用いた装置としてDLP(Digital Light Processing)等を実現することも可能である。
【0033】
本発明の電気光学装置の駆動方法は上記課題を解決するために、基板上の画像表示領域に、複数の走査線及び複数のデータ線と、前記走査線及び前記データ線に夫々電気的に接続された複数の画素部とを備える電気光学装置を駆動するための駆動方法であって、前記複数のデータ線を、N本の前記データ線を1群とするデータ線群毎に駆動するためにN(但し、Nは2以上の自然数)個のシリアル−パラレル変換された画像信号をN本の画像信号線に供給する第1工程と、前記複数のデータ線の配列に対応して複数配列されており、前記画像信号線に一端が夫々接続される複数の分岐配線の他端から夫々供給される前記画像信号を、サンプリング信号に応じて前記データ線に夫々複数のサンプリングスイッチより供給する第2工程と、前記データ線群に対応する前記サンプリングスイッチ毎に、前記サンプリング信号を順次供給する第3工程とを備えており、前記第2工程において、(i)前記データ線群に対応するN本の分岐配線を一群とする各分岐配線群について、一の分岐配線群に属し、該一の分岐配線群の次に前記サンプリング回路によりサンプリングされる前記画像信号を供給する他の分岐配線群に隣接する一の分岐配線の抵抗値が、前記一の分岐配線群に属する他の分岐配線の抵抗値と異なるように形成されると共に、(ii)前記各分岐配線群について、前記他の分岐配線の抵抗値が相互に同等になるように形成された、前記複数の分岐配線を介して、前記画像信号が前記複数のサンプリングスイッチに夫々供給される。
【0034】
本発明の電気光学装置の駆動方法によれば、本発明の電気光学装置と同様に、電気光学装置において、高品質な画像表示を行うと共に、画像信号に対する演算処理を行うための回路が不要であるため、電気光学装置を低コストで生産することが可能となる。
【0035】
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施の形態から明らかにされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下では、本発明の実施の形態について図を参照しつつ説明する。以下の実施形態は、本発明の電気光学装置を液晶装置に適用したものである。
【0037】
<1;電気光学パネルの全体構成>
先ず、本発明の電気光学装置の一例たる液晶装置における、電気光学パネルの一例としての液晶パネルの全体構成について、図1及び図2を参照して説明する。ここに、図1は、TFTアレイ基板をその上に形成された各構成要素と共に対向基板の側から見た液晶パネルの概略的な平面図であり、図2は、図1のH−H'断面図である。ここでは、駆動回路内蔵型のTFTアクティブマトリクス駆動方式の液晶装置を例にとる。
【0038】
図1及び図2において、本実施形態に係る液晶パネル100では、TFTアレイ基板10と対向基板20とが対向配置されている。TFTアレイ基板10と対向基板20との間に液晶層50が封入されており、TFTアレイ基板10と対向基板20とは、画像表示領域10aの周囲に位置するシール領域に設けられたシール材52により相互に接着されている。
【0039】
シール材52は、両基板を貼り合わせるための、例えば紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂等からなり、製造プロセスにおいてTFTアレイ基板10上に塗布された後、紫外線照射、加熱等により硬化させられたものである。また、シール材52中には、TFTアレイ基板10と対向基板20との間隔(基板間ギャップ)を所定値とするためのグラスファイバ或いはガラスビーズ等のギャップ材が散布されている。
【0040】
シール材52が配置されたシール領域の内側に並行して、画像表示領域10aの額縁領域を規定する遮光性の額縁遮光膜53が、対向基板20側に設けられている。但し、このような額縁遮光膜53の一部又は全部は、TFTアレイ基板10側に内蔵遮光膜として設けられてもよい。
【0041】
画像表示領域10aの周辺に位置する周辺領域のうち、シール材52が配置されたシール領域の外側に位置する領域には、データ線駆動回路101及び外部回路接続端子102がTFTアレイ基板10の一辺に沿って設けられている。また、走査線駆動回路104は、この一辺に隣接する2辺のいずれかに沿い、且つ、前記額縁遮光膜53に覆われるようにして設けられている。尚、走査線駆動回路104を、データ線駆動回路101及び外部回路接続端子102が設けられたTFTアレイ基板10の一辺に隣接する2辺に沿って設けるようにしてもよい。この場合、TFTアレイ基板10の残る一辺に沿って設けられた複数の配線によって、二つの走査線駆動回路104は互いに接続されるようにする。
【0042】
また、対向基板20の4つのコーナー部には、両基板間の上下導通端子として機能する上下導通材106が配置されている。他方、TFTアレイ基板10にはこれらのコーナー部に対向する領域において上下導通端子が設けられている。これらにより、TFTアレイ基板10と対向基板20との間で電気的な導通をとることができる。
【0043】
図2において、TFTアレイ基板10上には、画素スイッチング用のTFTや走査線、データ線等の配線が形成された後の画素電極9a上に、配向膜が形成されている。他方、対向基板20上には、対向電極21の他、格子状又はストライプ状の遮光膜23、更には最上層部分に配向膜が形成されている。また、液晶層50は、例えば一種又は数種類のネマティック液晶を混合した液晶からなり、これら一対の配向膜間で、所定の配向状態をとる。
【0044】
なお、図1及び図2には図示しないが、TFTアレイ基板10上には、データ線駆動回路101や走査線駆動回路104等に加えて、後述するように画像信号線上の画像信号をサンプリングしてデータ線に供給するサンプリング回路,並びに複数のデータ線に所定電圧レベルのプリチャージ信号を画像信号に先行して各々供給するプリチャージ回路が形成されている。本実施形態では、サンプリング回路やプリチャージ回路のほか、製造途中や出荷時の当該電気光学装置の品質、欠陥等を検査するための検査回路等を形成してもよい。
【0045】
<2;電気光学装置の全体構成>
液晶装置の全体構成について図3及び図4を参照して説明する。ここに、図3は、液晶装置の全体構成を示すブロック図であり、図4は、液晶パネルの電気的な構成を示すブロック図である。
【0046】
図3に示すように、液晶装置は、液晶パネル100を備えると共に、外部回路として設けられた画像信号供給回路300、タイミング制御回路400、プリチャージ信号供給回路500、及び電源回路700を備える。
【0047】
タイミング制御回路400は、各部で使用される各種タイミング信号を出力するように構成されている。タイミング制御回路400の一部であるタイミング信号出力手段により、最小単位のクロックであり各画素を走査するためのドットクロックが作成され、このドットクロックに基づいて、Yクロック信号CLY、反転Yクロック信号CLYinv、Xクロック信号CLX、反転Xクロック信号XCLinv、YスタートパルスDY及びXスタートパルスDXが生成される。また、タイミング制御回路400は、プリチャージ用選択信号NRGを生成する。
【0048】
画像信号供給回路300には、外部から1系統の入力画像データVIDが入力される。画像信号供給回路300は、1系統の入力画像データVIDをシリアル−パラレル変換して、N相、本実施形態では12相(N=12)の画像信号VID1〜VID12を生成する。更に、画像信号供給回路300において、画像信号VID1〜VID12の各々の電圧が、所定の基準電位に対して正極性及び負極性に反転され、このように極性反転された画像信号VID1〜VID12が出力されるようにしてもよい。
【0049】
また、プリチャージ信号供給回路500は、プリチャージ信号NRSの電圧を、画像信号VIDk(但し、k=1、2、・・・、12)の電圧の極性に対応させて、基準電位に対して正極性及び負極性に反転して、プリチャージ信号NRSを供給する。
【0050】
また、電源回路700は、所定の共通電位LCCの共通電源を、図2に示す対向電極21に供給する。本実施形態において、対向電極21は、図2に示す対向基板20の下側に、複数の画素電極9aと対向するように形成されている。
【0051】
次に、液晶パネル100における電気的な構成について説明する。
【0052】
図4に示すように、液晶パネル100には、そのTFTアレイ基板10の周辺領域に、走査線駆動回路104、データ線駆動回路101、サンプリング回路200、並びにプリチャージ回路205を含む内部駆動回路が設けられている。
【0053】
走査線駆動回路104には、Yクロック信号CLY、反転Yクロック信号CLYinv、及びYスタートパルスDYが供給される。走査線駆動回路104は、YスタートパルスDYが入力されると、Yクロック信号CLY及び反転Yクロック信号CLYinvに基づくタイミングで、走査信号Y1、・・・、Ymを順次生成して出力する。
【0054】
データ線駆動回路101には、Xクロック信号CLX、反転Xクロック信号CLXinv、及びXスタートパルスDXが供給される。データ線駆動回路101は、XスタートパルスDXが入力されると、Xクロック信号CLX及び反転Xクロック信号XCLXinvに基づくタイミングで、サンプリング信号S1、・・・、Snを順次生成して出力する。
【0055】
サンプリング回路200は、Pチャネル型又はNチャネル型の片チャネル型TFTから構成されたサンプリングスイッチ202を複数備える。また、プリチャージ回路205は、Pチャネル型又はNチャネル型の片チャネル型TFT若しくは相補型のTFTから構成されたプリチャージスイッチ204を複数備える。図4に示すように、各データ線114の一端はサンプリングスイッチ202に接続されると共に、各データ線114の他端はプリチャージスイッチ204に接続されている。
【0056】
液晶パネル100は更に、そのTFTアレイ基板の中央を占める画像表示領域10aに、縦横に配線されたデータ線114及び走査線112を備え、それらの交点に対応する各画素部70に、マトリクス状に配列された液晶素子118の画素電極9a、及び画素電極9aをスイッチング制御するためのTFT116を備える。尚、本実施形態では特に、走査線112の総本数をm本(但し、mは2以上の自然数)とし、データ線114の総本数をn本(但し、nは2以上の自然数)として説明する。
【0057】
12相にシリアル−パラレル展開された画像信号VID1〜VID12は、N本、本実施形態では12本の画像信号線171を介して液晶パネル100に供給される。そして、n本のデータ線114は、以下に説明するように、画像信号線171の本数に対応する12本のデータ線114を1群とするデータ線群毎に、順次駆動される。
【0058】
データ線駆動回路101から、データ線群に対応するサンプリングスイッチ202毎にサンプリング信号Si(i=1、2、・・・、n)が順次供給され、サンプリング信号Siに応じて各サンプリングスイッチ202はオン状態となる。後述するように、各サンプリングスイッチ202は、分岐配線を介して画像信号線171に接続されている。
【0059】
よって、12本の画像信号線171から画像信号VID1〜VID12が、オン状態となったサンプリングスイッチ202を介して、データ線群に属するデータ線114に同時に、且つデータ線群毎に順次供給される。よって、データ線群に属するデータ線114は互いに同時に駆動されることとなる。従って、本実施形態では、n本のデータ線114をデータ線群毎に駆動するため、駆動周波数が抑えられる。
【0060】
また、プリチャージ回路205において、各プリチャージスイッチ204には、タイミング制御回路400によって生成されたプリチャージ選択用信号NRGが入力されると共に、プリチャージ信号供給回路500より供給されるプリチャージ信号NRSが入力される。各プリチャージスイッチ204には、各サンプリングスイッチ202に対するサンプリング信号Siの供給に先立って、プリチャージ選択用信号NRGが同時に供給され、各プリチャージスイッチ204は同時にオン状態となる。そして、各プリチャージスイッチ204を介して対応するデータ線114にプリチャージ信号NRSが供給される。このように各データ線114が、画像信号VIDkが供給されるタイミングに先立って所定の電位にプリチャージされることにより、各データ線114に対する画像信号VIDkの書き込みを比較的短時間で行うことが可能となる。
【0061】
図4中、一つの画素部70の構成に着目すれば、TFT116のソース電極には、画像信号VIDk(但し、k=1、2、3、・・・、12)が供給されるデータ線114が電気的に接続されている一方、TFT116のゲート電極には、走査信号Yj(但し、j=1、2、3、・・・、m)が供給される走査線112が電気的に接続されるとともに、TFT116のドレイン電極には、液晶素子118の画素電極9aが接続されている。ここで、各画素部70において、液晶素子118は、画素電極9aと対向電極21との間に液晶を挟持してなる。従って、各画素部70は、走査線112とデータ線114との各交点に対応して、マトリクス状に配列されることになる。
【0062】
走査線駆動回路104から出力される走査信号Y1、・・・、Ymによって、各走査線112は線順次に選択される。選択された走査線112に対応する画素部70において、TFT116に走査信号Yjが供給されると、TFT116はオン状態となり、当該画素部70は選択状態となる。液晶素子118の画素電極9aには、TFT116を一定期間だけそのスイッチを閉じることにより、データ線114より画像信号VIDkが所定のタイミングで供給される。これにより、液晶素子118には、画素電極9a及び対向電極21の各々の電位によって規定される印加電圧が印加される。液晶は、印加される電圧レベルにより分子集合の配向や秩序が変化することにより、光を変調し、階調表示を可能とする。ノーマリーホワイトモードであれば、各画素の単位で印加された電圧に応じて入射光に対する透過率が減少し、ノーマリーブラックモードであれば、各画素の単位で印加された電圧に応じて入射光に対する透過率が増加され、全体として液晶パネル100からは画像信号VID1〜VID12に応じたコントラストをもつ光が出射する。
【0063】
ここで、保持された画像信号がリークするのを防ぐために、蓄積容量119が、液晶素子118と並列に付加されている。例えば、画素電極9aの電圧は、ソース電圧が印加された時間よりも3桁も長い時間だけ蓄積容量119により保持されるので、保持特性が改善される結果、高コントラスト比が実現されることとなる。
【0064】
<3;サンプリング回路の機能的構成>
次に、データ線114の駆動に係る主要な構成について、より詳細に図5から図8を参照して説明する。図5は、データ線114の駆動に係る回路構成を示す図であり、図6は、分岐配線の抵抗値R[Ω]を横軸にとり、縦軸にプッシュダウン量[mV]をとって、両者の関係を表すグラフを示す図であり、図7は、分岐配線のTFTアレイ基板10上におけるレイアウトを示す図であり、更に図8は、図7のA−A’断面図である。尚、図5は、説明の便宜上、図4に示したデータ線駆動回路及びサンプリング回路を上下逆転させて図示している。
【0065】
以下では、n本のデータ線114が、その配列方向に沿って片方向に、データ線群毎に順次駆動されるものとし、データ線114の駆動に係る主要な構成について、データ線駆動回路101から第(i−1)番目、第i番目、及び第(i+1)番目に出力される3つのサンプリング信号Si−1、Si、Si+1に基づいて駆動される3つのデータ線群のうち、特に第i番目のサンプリング信号Siに基づいて駆動される第iデータ線群の構成に着目して説明する。
【0066】
図5において、第iデータ線群に属するデータ線114e(114e−1〜114e−12)の配列に対応して、12本の分岐配線E1〜E12が配列されている。12本の分岐配線E1〜E12の一端は画像信号線171に夫々電気的に接続されると共に、これら12本の分岐配線E1〜E12の他端は夫々サンプリングスイッチ202を介してデータ線114e−kに電気的に接続される。各サンプリングスイッチを構成するTFT202は、ソースが分岐配線Ekに接続されると共に、ドレインがデータ線114e−kに電気的に接続される。また、各TFT202のゲートは、制御配線X1〜X12を介してデータ線駆動回路101に電気的に接続されている。尚、制御配線X1〜X12には第i番目のサンプリング信号Siがデータ線駆動回路101から供給される。
【0067】
ここで、図4に示す複数のデータ線114には夫々、隣接する他のデータ線114との間に寄生容量が存在している。図5において、第iデータ線群に属するデータ線114eについて、隣接するデータ線114e間に、寄生容量C12−11、C11−10、C10−9、・・・、C3−2、C2−1が存在する。他方、第iデータ線群の両縁に位置する二本のデータ線114e(114e−1及び114e−12)と、この二本のデータ線114e−1及び114e−12のうち一方のデータ線114e−12と、この一方のデータ線114e−12に隣接する、第(i−1)番目のサンプリング信号Si−1に基づいて駆動される第(i−1)データ線群に属するデータ線114dとの間、及び二本のデータ線114e−1及び114e−12のうち他方のデータ線114e−1と、この他方のデータ線114e−1に隣接する、第(i+1)番目のサンプリング信号Si+1に基づいて駆動される第(i+1)データ線群に属するデータ線114fとの間には、寄生容量C1−12が存在する。
【0068】
よって、第(i−1)データ線群に属すると共に、第iデータ線群に隣接する一のデータ線114dの電位と、この一のデータ線114dに隣接し、第iデータ線群に属する他のデータ線114e−12の電位とが異なると、データ線114dに画像信号VIDkを書き込む前又は書き込む際に、寄生容量C1−12を介してデータ線114dに対して電位変動が生じる恐れがある。更に、データ線114dに画像信号を書き込んだ後に、寄生容量C1−12を介してデータ線114dに対して電位変動が生じる恐れがある。このように、データ線114e−12の存在によって、寄生容量C1−12を介してデータ線114dに対して、プッシュアップ又はプッシュダウンが生じ得る。
【0069】
また、第(i−1)データ線群と同様に、第iデータ線群において第(i+1)データ線群に隣接する一のデータ線114e−1と、この一のデータ線114e−1に隣接し、第(i+1)データ線群に属する他のデータ線114fとについても、データ線114e−1に画像信号を書き込む前、書き込む際、或いは書き込んだ後に、データ線114fの存在によって、寄生容量C1−12を介してデータ線114e−1に対して電位変動が生じ、この電位変動によりデータ線114e−1に対してプッシュアップ又はプッシュダウンが生じる恐れがある。
【0070】
本実施形態では、図5において、第iデータ線群に着目すれば、第iデータ線群に属するデータ線114eに対応する分岐配線E1〜E12を1群とする分岐配線群は、第(i+1)データ線群に隣接する一のデータ線114e−1に対応する分岐配線E1の抵抗値R1が、他の分岐配線E2、E3、・・・、E12の抵抗値R2、R3、R4、・・・、R12と異なるように、且つ他の分岐配線E2、E3、・・・、E12の抵抗値R2、R3、R4、・・・、R12が互いに同等となるように形成されている。尚、第(i−1)データ線群に対応する分岐配線群、及び第(i+1)データ線群に対応する分岐配線群は、第iデータ線群に対応する分岐配線群と同様に構成されている。
【0071】
ここで、上述したような寄生容量C1−12を介した電位変動により、データ線114e−1に係るプッシュアップ量又はプッシュダウン量は大きくなる。そして、どちらの場合においても、電気光学装置における画像表示時、第iデータ線群と第i+1データ線群の境目におい輝度ムラが発生する共に、画像表示領域10aに表示された表示画面において、発生した輝度ムラが視認される恐れがある。本実施形態では、第iデータ線群と第i+1データ線群の境目においてたとえ輝度ムラが発生しても、この輝度ムラが視認されない程度のものとするように、第iデータ線群に対応する分岐配線群において、分岐配線E1の抵抗値R1を、他の分岐配線E2、E3、・・・、E12に対して異ならせる。
【0072】
より具体的には、第(i+1)データ線群に隣接する一のデータ線114e−1に係るプッシュアップ量が、同一のデータ線群に属する他のデータ線114e−2〜114e−12と比較して大きくなる場合には、このようなプッシュアップ量の差異が低減されるように、一の分岐配線E1の抵抗値R1を、第iデータ線群に属する他の分岐配線E2、E3、・・・、E12の抵抗値R2、R3、・・・、R12に対して、予め設定された分だけ大きくする。他方、第iデータ線群において、一のデータ線114e−1に係るプッシュダウン量が、同一のデータ線群に属する他のデータ線114e−2〜114e−12と比較して大きくなる場合には、このようなプッシュダウン量の差異が低減されるように、一の分岐配線E1の抵抗値R1を、第iデータ線群に属する他の分岐配線E2、E3、・・・、E12の抵抗値R2、R3、・・・、R12に対して、予め設定された分だけ小さくする。
【0073】
以下に、一の分岐配線E1の抵抗値R1を、予め設定された分だけ大きくする場合の具体的な手段について、図6から図8を参照して説明する。
【0074】
図6は、第iデータ線群に対応する分岐配線群において、各分岐配線E1、E2、・・・、E12の抵抗値R[Ω]について、この抵抗値R[Ω]を変化させた場合の、対応するデータ線114eに係るプッシュダウン量[mV]の値を表すグラフを示す図である。尚、図6に示す抵抗値R[Ω]とプッシュダウン量[mV]との関係は、本発明の発明者らのシュミレーション結果に基づくものであり、サンプリングスイッチ202の特性や、分岐配線E1、E2、・・・、E12における寄生容量によって変化する。
【0075】
ここで、例えば、分岐配線E1、E2、・・・、E12の抵抗値R1、R2、R3、・・・、R12を400[Ω]とした場合、対応するデータ線114eに係るプッシュダウン量は120[mV]程度である。図6に示す抵抗値R[Ω]とプッシュダウン量[mV]との関係より、抵抗値R[Ω]を増加させると、プッシュダウン量[mV]も増加する。そこで、前述したように、第iデータ線群における他のデータ線114e−2〜114e−12と一のデータ線114e−1とのプッシュアップ量の差異を低減すべく、一のデータ線114e−1に係るプッシュダウン量を50[mV]増加させる場合には、同一の分岐配線群に属する他の分岐配線E2、E3、・・・、E12の抵抗値R2、R3、・・・、R12は400[Ω]としたまま、一のデータ線114e−1に対応する分岐配線E1の抵抗値R1を600[Ω]に設定すればよい。
【0076】
このように、分岐配線E1の抵抗値R1を、同一の分岐配線群に属する他の分岐配線E2、E3、・・・、E12より大きくすると共に、他の分岐配線E2、E3、・・・、E12の抵抗値R2、R3、・・・、R12を同等の値とするには、例えば、以下に説明するように各分岐配線E1、E2、E3、・・・、E12の配線長を調整すればよい。
【0077】
図7には、TFTアレイ基板10上における、第iデータ線群に対応する分岐配線E1、E2、E3、・・・、E12のレイアウトを示してある。本実施形態では、TFTアレイ基板10上において、画像信号線171は、例えば、データ線114eと同一材料の低抵抗のアルミニウム膜によって形成される。また、制御配線X1、X2、・・・、X12は、画像信号線171と交差する方向であってデータ線114eの延びる方向に配線され、例えばポリシリコン膜によって形成されている。また、各分岐配線E1、E2、E3、・・・、E12は、画像信号線171に電気的に接続される一端側よりデータ線114eの延びる方向に、配線されている。そして、各分岐配線E1、E2、E3、・・・、E12の一部はサンプリングスイッチ202のソース電極を形成し、第iデータ線群に属するデータ線114eの各々の一部はサンプリングスイッチ202のドレイン電極を形成し、各制御配線X1、X2、・・・、X12の一部はサンプリングスイッチ202のゲート電極を形成する。
【0078】
ここで、図5において、第(i+1)データ線群に隣接する一のデータ線114e−1に対応する分岐配線E1の構成について、図7に示すように、この分岐配線E1は、一端が画像信号線171に電気的に接続される中継用配線Ha1、及び中継配線Ha1の他端に、一端が電気的に接続され、その一部がサンプリングスイッチ202のソース電極を形成する補助中継用配線Hb1を含む。そして、中継用配線Ha1は、本発明に係る「高抵抗部分」の一例であり、例えばポリシリコン膜によって形成されている。また、補助中継用配線Hb1は、本発明に係る「低抵抗部分」の一例であり、例えばアルミニウム膜によって形成されている。尚、分岐配線E1と同一の分岐配線群に属する他の分岐配線E2、E3、・・・、E12は、分岐配線E1と同様の構成を有している。
【0079】
本実施形態では、第(i+1)データ線群に隣接する一のデータ線114e−1に対応する分岐配線E1において、中継用配線Ha1の配線長を、同一の分岐配線群に属する他の分岐配線E2、E3、・・・、E12における中継用配線Ha2、・・・、Ha10、Ha11、Ha12より大きい値L1とすることで、分岐配線E1の抵抗値R1を、他の分岐配線E2、E3、・・・、E12の抵抗値R2、R3、・・・、R12に対して増加させる。また、他の分岐配線E2、E3、・・・、E12における中継用配線Ha2、・・・、Ha10、Ha11、Ha12は、同等の配線長L2として形成されている。
【0080】
図8には、図7に示す分岐配線E1におけるA−A’断面図を示してある。尚、図8には、画像信号線171、中継用配線Ha1及び補助中継用配線Hb1の配置関係とその電気的な接続に係る構成を示してあり、各層・各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、該各層・各部材ごとに縮尺を異ならしめてある。
【0081】
図8において、分岐配線E1の中継用配線Ha1と、画像信号線171及び分岐配線E1の補助中継用配線Hb1とは、層間絶縁膜60によって層間絶縁される。そして、層間絶縁膜60の表面から、この層間絶縁膜60を貫通して中継用配線Ha1の表面に至るコンタクトホール62a及び62bが形成されている。中継用配線Ha1は、コンタクトホール62aを介して一端が画像信号線171に電気的に接続されると共に、コンタクトホール62bを介して他端が補助中継用配線Hb1の一端に電気的に接続される。ここで、中継用配線Ha1の配線長を値L1とするためには、この中継用配線Ha1の他端と補助中継用配線Hb1とを電気的に接続させるためのコンタクトホール62bのTFTアレイ基板10上における位置を変えればよい。本実施形態では、このコンタクトホール62bの位置を、分岐配線E1の抵抗値R1の増加分より割り出して、コンタクトホール62bを形成する。
【0082】
尚、画像信号線171、補助中継用配線Hb1、及び中継用配線Ha1の配置関係は、図8に示す構成に限定されない。例えば、TFTアレイ基板10上において、中継用配線Ha1が、画像信号線171及び補助中継用配線Hb1より上層側に形成されるようにしてもよい。
【0083】
また、図7において、同一の分岐配線群に属する、一の分岐配線E1と、他の分岐配線E2、E3、・・・、E12とは、配線長を上述したように異ならせるほかは、配線幅W1、W2、W3、・・・、W12は互いに同等の値として形成されている。
【0084】
このように、分岐配線E1の抵抗値R1を増加させると、対応するサンプリングスイッチ202のドレイン電流が低下する。その結果、プッシュアップに起因して生じる、一のデータ線114eに対応する画素部70への印加電圧の増加分が相殺されることとなる。
【0085】
他方、既に説明したように、第iデータ線群において、一のデータ線114e−1に係るプッシュダウン量が、同一のデータ線群に属する他のデータ線114e−2〜114e−12と比較して大きくなる場合には、図6から図8を参照して説明した手段と同様にして、例えば、一のデータ線114e−1に対応する分岐配線E1における中継用配線Ha1の配線長を、同一の分岐配線群に属する他の分岐配線E2、E3、・・・、E12に対して小さくすると共に、他の分岐配線E2、E3、・・・、E12における中継用配線Ha2、・・・、Ha10、Ha11、Ha12の配線長を夫々互いに同等の値とする。これにより、一のデータ線114e−1に対応する分岐配線E1の抵抗値R1を、他の分岐配線E2、E3、・・・、E12の抵抗値R2、R3、・・・、R12に対して小さくすることができる。よって、この場合、対応するサンプリングスイッチ202のドレイン電流が増加する。その結果、プッシュダウンに起因して生じる、一のデータ線114eに対応する画素部70への印加電圧の減少分が相殺される。
【0086】
よって、以上説明したような本実施形態によれば、隣接するデータ線114間の寄生容量に起因して、表示画面上に視認される程度の輝度ムラの発生を防止することが可能となる。その結果、電気光学装置において、高品質な画像表示を行うことができる。また、画像信号VIDkに対する演算処理を行うための回路が不要であるため、電気光学装置を低コストで生産することが可能となる。
【0087】
尚、以上説明した本実施形態では、図7及び図8において、第iデータ線群に対応する分岐配線E1〜E12の抵抗値R1〜R12は、これら分岐配線E1〜E12の高抵抗部分の配線長を夫々変えることに加えて若しくは代えて、これら分岐配線E1〜E12の配線幅W1〜W12を変えてもよいし、これら分岐配線E1〜E12の材料を夫々異ならせることによって、調整するようにしてもよい。
【0088】
<4;変形例>
上述した本実施形態の変形例について、以下に説明する。本変形例では、図5に示す第iデータ線群に属し、第(i+1)データ線群に隣接する一のデータ線114e−1に対応する分岐配線E1の抵抗値R1を次のような値に調整し、同一の分岐配線群に属する他の分岐配線E2、E3、・・・、E12の抵抗値R2、R3、・・・、R12に対して異ならせてある。
【0089】
即ち、一のデータ線114e−1に対応する分岐配線E1の抵抗値R1は、この分岐配線E1及び、一のデータ線114e−1に隣接する他のデータ線114f又は一のデータ線114e−1と同一のデータ線群に属する他のデータ線114e−2〜114e−12に対応する分岐配線F12又はE2〜E12の一端側に、画素部70において中間調の画像表示を行うための電圧を有する画像信号VID1及びVID12が画像信号線171から供給された場合に、一のデータ線114e−1に係るプッシュアップ量又はプッシュダウン量の、他のデータ線114e−2〜114e−12との差異を低減するように、他の分岐配線E2、E3、・・・、E12に対して異ならせてある。このように構成することにより、画像表示領域10aにおいて、例えば中間調のベタな一画面を表示する場合にも、各データ線群において、該データ線群と、該データ線群の次に駆動される他のデータ線群との境目に、表示画面上に視認されるほどの輝度ムラが発生するのを防止することが可能となる。
【0090】
更に、n本のデータ線114が、その配列方向に沿って双方向に、データ線群毎に順次駆動される場合には、図5において、第iデータ線群の次に駆動されるのは、第(i+1)データ線群若しくは第(i−1)データ線群となる。よって、この場合、第iデータ線群に対応する分岐配線群において、この分岐配線群の両縁に位置する二本の分岐配線E1及びE12の抵抗値R1及びR12が、同一の分岐配線群に属する他の分岐配線E3、E4、・・・、E11の抵抗値R3、R4、・・・、R11に対して異なるように、当該分岐配線群は形成されているのが好ましい。また、二本の分岐配線E1及びE12は、好ましくは、これら二本の分岐配線E1及びE12の抵抗値R1及びR12が互いに同等の値となるように、形成される。
【0091】
このように構成すれば、n本のデータ線114が、その配列方向に対して双方向のいずれの方向に駆動する場合にも、第iデータ線群において、第iデータ線群の次に駆動されるデータ線群に隣接する一のデータ線114eに係るプッシュダウン量若しくはプッシュアップ量を同等の値とすることができる。よって、n本のデータ線114が、その配列方向に対して双方向に、データ線群毎に順次駆動される場合に、各データ線群において、該データ線群と、該データ線群の次に駆動される他のデータ線群との境目に、表示画面上に視認されるほどの輝度ムラが発生するのを防止することが可能となる。
【0092】
<5;電子機器>
次に、上述した液晶装置を各種の電子機器に適用する場合について説明する。
【0093】
<5−1:プロジェクタ>
まず、この液晶装置をライトバルブとして用いたプロジェクタについて説明する。図9は、プロジェクタの構成例を示す平面配置図である。この図に示されるように、プロジェクタ1100内部には、ハロゲンランプ等の白色光源からなるランプユニット1102が設けられている。このランプユニット1102から射出された投射光は、ライトガイド1104内に配置された4枚のミラー1106および2枚のダイクロイックミラー1108によってRGBの3原色に分離され、各原色に対応するライトバルブ1110R、1110Bおよび1110Gに入射される。これら3つのライトバルブ1110R、1110Bおよび1110Gは夫々液晶装置を含む液晶モジュールを用いて構成されている。
【0094】
ライトバルブ1110R、1110Bおよび1110Gにおいて液晶パネル100は、画像信号供給回路300から供給されるR、G、Bの原色信号でそれぞれ駆動されるものである。そして、これらの液晶パネル100によって変調された光は、ダイクロイックプリズム1112に3方向から入射される。このダイクロイックプリズム1112においては、RおよびBの光が90度に屈折する一方、Gの光が直進する。したがって、各色の画像が合成される結果、投射レンズ1114を介して、スクリーン等にカラー画像が投写されることとなる。
【0095】
ここで、各ライトバルブ1110R、1110Bおよび1110Gによる表示像について着目すると、ライトバルブ1110Gによる表示像は、ライトバルブ1110R、1110Bによる表示像に対して左右反転することが必要となる。
【0096】
なお、ライトバルブ1110R、1110Bおよび1110Gには、ダイクロイックミラー1108によって、R、G、Bの各原色に対応する光が入射するので、カラーフィルタを設ける必要はない。
【0097】
<5−2:モバイル型コンピュータ>
次に、液晶装置を、モバイル型のパーソナルコンピュータに適用した例について説明する。図10は、このパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。図において、コンピュータ1200は、キーボード1202を備えた本体部1204と、液晶表示ユニット1206とから構成されている。この液晶表示ユニット1206は、先に述べた液晶装置1005の背面にバックライトを付加することにより構成されている。
【0098】
<5−3;携帯電話>
さらに、液晶装置を、携帯電話に適用した例について説明する。図11は、この携帯電話の構成を示す斜視図である。図において、携帯電話1300は、複数の操作ボタン1302とともに、反射型の液晶装置1005を備えるものである。この反射型の液晶装置1005にあっては、必要に応じてその前面にフロントライトが設けられる。
【0099】
尚、図9から図11を参照して説明した電子機器の他にも、液晶テレビや、ビューファインダ型、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた装置等などが挙げられる。そして、これらの各種電子機器に適用可能なのは言うまでもない。
【0100】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う電気光学装置及びその駆動方法、並びに該電気光学装置を備えてなる電子機器もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】液晶パネルの全体構成を示す平面図である。
【図2】図1のH−H’断面図である。
【図3】液晶装置の全体構成を示すブロック図である。
【図4】液晶パネルの電気的な構成を示すブロック図である。
【図5】データ線の駆動に係る回路構成を示す図である。
【図6】分岐配線の抵抗値R[Ω]を横軸にとり、縦軸にプッシュダウン量[mV]をとって、両者の関係を表すグラフを示す図である。
【図7】分岐配線のTFTアレイ基板上におけるレイアウトを示す図である。
【図8】図7のA−A’断面図である。
【図9】液晶装置を適用した電子機器の一例たるプロジェクタの構成を示す平面図である。
【図10】液晶装置を適用した電子機器の一例たるパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。
【図11】液晶装置を適用した電子機器の一例たる携帯電話の構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0102】
9a…画素電極、10a…画像表示領域、10…TFTアレイ基板、70…画素部、100…液晶パネル、101…データ線駆動回路、104…走査線駆動回路、112…走査線、114…データ線、171…画像信号線、200…サンプリング回路、202…サンプリングスイッチ、E1、E2、・・・、E10、E11、E12…分岐配線
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば液晶装置等の電気光学装置、該電気光学装置を駆動する駆動方法、並びにそのような電気光学装置を具備してなる例えば液晶プロジェクタ等の電子機器の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電気光学装置は、一般に、シリアル−パラレル変換された画像信号に基づいて駆動される。例えば、液晶装置において、基板上の画像表示領域に配線された複数のデータ線は所定の本数毎にブロック化されており、シリアル−パラレル変換された画像信号は、ブロック単位で、該ブロックに含まれるデータ線にサンプリングスイッチを介して供給される。これにより、所定の本数のデータ線が同時に、且つ複数のデータ線は所定の本数毎に順次駆動される。この場合、複数の画像信号線は、基板の周辺領域に配列され、更に画像信号線からサンプリングスイッチまでは分岐配線で接続される。ここで、複数の分岐配線の長さは、夫々が接続された画像信号線からサンプリング回路までの距離の差異に対応して相異なる。そこで、このような分岐配線の配線抵抗の差異による表示ムラの発生を防止する観点から、複数の分岐配線の配線抵抗値は夫々、これを支配する比較的高抵抗の配線部分の長さを互いに同等にすることなどにより、互いに同等の値に設定されている(特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、このように構成しても、相隣接する二つのブロックの境目では、相隣接するデータ線間の寄生容量に起因したプッシュダウン(即ち、画像信号電位の電圧降下)又はプッシュアップ(即ち、画像信号電位の電圧上昇)によって、輝度ムラの発生が認められる場合がある。その理由として、ブロック内で相隣接するデータ線間の場合と比べてブロックの境目で相隣接するデータ線間の方が、電圧遷移によるプッシュダウンやプッシュアップが大きいことが考察されている。そこで、特許文献2では、液晶装置の駆動回路において、このような相隣接する二つのブロックの境目での輝度ムラの発生を防止するように、プッシュダウンやプッシュアップを相殺或いは補償する電圧補正がなされた画像信号を用いる技術が提案されている。
【0004】
【特許文献1】特開平10−268350号公報
【特許文献2】特開2001−343923号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したような特許文献2によれば、駆動回路において、補正を行う際、シリアル−パラレル変換した後の画像信号に対して演算処理が行われる。よって、この演算処理を行うための回路が必要となるため、駆動回路を製造する際に、製造コストが増加する、という問題が生じる。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑み成されたものであり、製造コストを抑制して高品質な画像表示を行うことが可能な電気光学装置及びその駆動方法、並びに該電気光学装置を備えた各種電子機器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電気光学装置は上記課題を解決するために、基板上の画像表示領域に配線された複数の走査線及び複数のデータ線と、前記走査線及び前記データ線に夫々電気的に接続された複数の画素部と、前記複数のデータ線を、N本の前記データ線を1群とするデータ線群毎に駆動するためにN(但し、Nは2以上の自然数)個のシリアル−パラレル変換された画像信号が供給されるN本の画像信号線と、前記複数のデータ線の配列に対応して複数配列されており、前記画像信号線に一端が夫々接続される複数の分岐配線と、該複数の分岐配線の他端から夫々供給される前記画像信号を、サンプリング信号に応じて前記データ線に夫々供給する複数のサンプリングスイッチを含むサンプリング回路と、前記データ線群に対応する前記サンプリングスイッチ毎に、前記サンプリング信号を順次供給するデータ線駆動回路とを備えており、前記複数の分岐配線は、前記データ線群に対応するN本の分岐配線を一群とする各分岐配線群について、一の分岐配線群に属し、該一の分岐配線群の次に前記サンプリング回路によりサンプリングされる前記画像信号を供給する他の分岐配線群に隣接する一の分岐配線の抵抗値が、前記一の分岐配線群に属する他の分岐配線の抵抗値と異なるように形成されると共に、前記複数の分岐配線は、前記各分岐配線群について、前記他の分岐配線の抵抗値が相互に同等になるように形成されている。
【0008】
本発明の電気光学装置によれば、その駆動時には、シリアル−パラレル変換されたN個の画像信号が、N本の画像信号線に供給され、更に、データ線に対応して配列された分岐配線からサンプリング回路へと供給される。例えば、N個の画像信号は、駆動周波数の上昇を抑えつつ高精細な画像表示を実現すべく、外部回路によって、シリアルな画像信号が、3相、6相、12相、24相、・・・など、複数のパラレルな画像信号に変換されることによって生成される。
【0009】
このような画像信号の供給と並行して、データ線駆動回路によって、データ線群に対応するサンプリングスイッチ毎に、サンプリング信号が順次供給される。すると、サンプリング回路によって、複数のデータ線には、サンプリング信号に応じてデータ線群毎にN個の画像信号が順次供給される。よって、同一データ線群に属するデータ線は同時に駆動されることとなる。尚、サンプリングスイッチは、例えば、片チャネル型のTFTにより夫々構成され、ソースが分岐配線に接続され、ドレインがデータ線に接続され、ゲートにサンプリング信号が供給されることでオン状態とされる。
【0010】
このようにデータ線が駆動されると、各画素部では、例えば、走査線駆動回路から走査線を介して供給される走査信号に応じて、スイッチング動作を行う画素スイッチング素子を介して、データ線より画像信号が表示素子に供給される。これより、例えば表示素子である液晶素子は供給された画像信号に基づいて画像表示を行う。
【0011】
以上のように駆動が行われるので、複数のデータ線群のうち一のデータ線群に画像信号が供給されている状態で、この一のデータ線群に属すると共にこの一のデータ線群の次に駆動される他のデータ線群に隣接する一のデータ線の電位と、他のデータ線群に属するデータ線の電位とは、表示される画像の内容に応じて異なる場合が生じ得る。
【0012】
より具体的には、画像表示領域に配線された複数のデータ線について、該複数のデータ線のうち相隣接する二本のデータ線間には、寄生容量が存在している。そして、このように寄生容量を有する二本のデータ線に対応するサンプリングスイッチでは夫々、例えばそのドレイン側にあるデータ線の画像信号電位が、これと隣接するデータ線との寄生容量によって変化し、プッシュダウン(即ち、本来の画像信号電位より低い画像信号電位となってしまうこと、或いは次回のサンプリングの際に、本来より低い画像信号電位しかサンプリングできないこと)やプッシュアップ(即ち、本来の画像信号電位より高い画像信号電位となってしまうこと、或いは次回のサンプリングの際に、本来より高い画像信号電位がサンプリングされてしまうこと)が生じ得る。特に、本明細書では、サンプリングスイッチにて本来サンプリングされるべき画像信号電位からの、電圧降下分を「プッシュダウン量」と称し、電圧上昇分を「プッシュアップ量」と称して説明する。
【0013】
このようなプッシュアップ又はプッシュダウンが生じる場合、仮に何らの対策も施さねば、前述した従来技術にもあるように、画像表示領域に表示された表示画面において、データ線群の境目に輝度ムラが発生する。そして、輝度ムラの程度は、表示される画像の内容或いは相隣接するデータ線間における画像信号の電位差に依存し、また、プリチャージを行う場合には、プリチャージレベルと各画像信号の電位との相対関係にも依存する。
【0014】
しかるに本発明の電気光学装置によれば、一のデータ線群に対応する一の分岐配線群において、前記一のデータ線に対応する一の分岐配線は、抵抗値が一の分岐配線群に属する他の分岐配線と異なるように形成されると供に、他の分岐配線は、各々の抵抗値が互いに同等になるように形成されている。従って、上述したような寄生容量により前記一のデータ線に係るサンプリングスイッチでプッシュアップ量が同一データ線群に属する他のデータ線に比べて大きい場合には、この一のデータ線に対応する一の分岐配線の抵抗値を大きくすることで、当該サンプリングスイッチにおける過大なプッシュアップ量を小さくできる。或いは、プッシュダウン量が大きい場合には、この一のデータ線に対応する一の分岐配線の抵抗値を小さくすることで、これを当該サンプリングスイッチにおける過大なプッシュダウン量を小さくできる。何れの場合にも、プシュアップ量やプッシュダウン量の差異が低減されるように、予め設定された分だけ、前記一のデータ線に対応する一の分岐配線(即ち、一のデータ線群に対応する一の分岐配線群に属する複数の分岐配線のうち次に駆動される他のデータ線群に対応する他の分岐配線群に隣接する一の分岐配線)の抵抗値を、高く又は低くすれば足りる。
【0015】
尚、例えば、前記一の分岐配線の配線長又は配線幅や材料を、他の分岐配線と異ならせて形成することで、前記一の分岐配線の抵抗値を、他の分岐配線の抵抗値と異ならせることができる。この際、データ線群の境目においてたとえ輝度ムラが発生しても、この輝度ムラが視認されない程度に、前記一の分岐配線の抵抗値を、同一の分岐配線群に属する他の分岐配線の抵抗値に対して小さくするか又は大きくすればよい。
【0016】
加えて、同一の分岐配線群に属する他の分岐配線の抵抗値については、同一データ線群に属するデータ線の相互間で輝度ムラが発生しても、この輝度ムラが視認されない程度に、相互に同等に設定すればよい。
【0017】
以上の結果、相隣接するデータ線間の寄生容量に起因して、表示画面上に視認される程度の輝度ムラの発生を防止することが可能となる。その結果、電気光学装置において、高品質な画像表示を行うことができる。また、画像信号に対する演算処理を行うための回路が不要であるため、電気光学装置を低コストで生産することが可能となる。
【0018】
本発明の電気光学装置の一態様では、前記複数の分岐配線は、前記複数のデータ線のうち、前記一の分岐配線に対応する前記データ線と、前記他の分岐配線に対応する前記データ線との間におけるプッシュダウン量又はプッシュアップ量の差異を低減すべく予め設定された分だけ、前記一の分岐配線の抵抗値が異なるように形成されている。
【0019】
この態様によれば、上述したように、一のデータ線群に属する一のデータ線と、一のデータ線に隣接する他のデータ線群に属する他のデータ線との間の寄生容量によって、一のデータ線に係るサンプリングスイッチでプッシュアップ量が大きくなる場合には、予め設定された分だけ、一のデータ線に対応する一の分岐配線の抵抗値を大きくする。これにより、一のデータ線に係るサンプリングスイッチにおける過大なプッシュアップ量を小さくできる。或いは、前述の寄生容量によって、一のデータ線に係るプッシュダウン量が大きくなる場合には、予め設定された分だけ、一のデータ線に対応する一の分岐配線の抵抗値を小さくする。これにより、一のデータ線に係るサンプリングスイッチにおける過大なプッシュダウン量を小さくできる。
【0020】
この、複数の分岐配線は、前記一の分岐配線の抵抗値が異なるように形成されている態様では、前記複数の分岐配線は、前記一の分岐配線及び前記他の分岐配線の一端側に前記画像信号線から前記画素部において中間調の表示を行うための電圧を有する前記画像信号が供給された場合に、前記差異を低減すべく、前記一の分岐配線の抵抗値が異なるように形成されているように構成してもよい。
【0021】
このように構成すれば、画像表示領域において、例えば中間調のベタな一画面を表示する場合に、各データ線群において、該データ線群と、該データ線群の次に駆動される他のデータ線群との境目に、表示画面上に視認されるほどの輝度ムラが発生するのを防止することが可能となる。そして、実際に表示すべき画像は、真っ黒又は真っ白である場合は稀であるとともに、輝度ムラは中間調表示の際に視覚上目立つので、このように中間調の表示を行う際に、輝度ムラが目立たないようにする構成は、実践上大変有利である。尚、本発明に係る「中間調の表示」とは、階調について白と黒との間にある表示を意味する。
【0022】
尚、用途や仕様によっては、黒表示又は白表示を行うための電圧を有する前記画像信号が供給された場合に、前記差異を低減すべく、前記一の分岐配線の抵抗値が異なるように形成されてもよい。
【0023】
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記複数の分岐配線は夫々、低抵抗部分と該低抵抗部分より高抵抗である高抵抗部分とを有し、前記複数の分岐配線は、前記複数の分岐配線群の各々において、前記一の分岐配線における前記高抵抗部分の配線長が前記他の分岐配線における前記高抵抗部分の配線長と異なるように形成されると供に、前記他の分岐配線は、前記高抵抗部分の配線長が互いに同等となるように形成されている。
【0024】
この態様によれば、各分岐配線群において、この分岐配線群に対応するデータ線群の次に駆動されるデータ線群に対応する他の分岐配線群に隣接する一の分岐配線を構成する高抵抗部分の配線長を、即ち、分岐配線の抵抗値を律則する配線部分の配線長を、この一の分岐配線と同一の分岐配線群に属する他の分岐配線の高抵抗部分の配線長より長くすると供に、これら他の分岐配線は、各々の高抵抗部分の配線長が互いに同等となるように形成される。このように構成することにより、他の分岐配線の抵抗値を互いに同等とすると供に、一の分岐配線の抵抗値を他の分岐配線の抵抗値と比較して大きくすることが可能となる。
【0025】
他方、一の分岐配線の高抵抗部分の配線長を他の分岐配線の高抵抗部分の配線長より短くする供に、これら他の分岐配線は、各々の高抵抗部分の配線長が互いに同等となるように形成される。このように構成することにより、他の分岐配線の抵抗値を互いに同等とすると供に、一の分岐配線の抵抗値を他の分岐配線の抵抗値と比較して小さくすることが可能となる。
【0026】
尚、この場合、各分岐配線は、例えばAl(アルミニウム)等の低抵抗部分と、例えば導電性ポリシリコン等の高抵抗部分とから構成される。
【0027】
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記複数の分岐配線は、前記一の分岐配線として前記各分岐配線群の両縁に位置する二本の分岐配線の抵抗値が前記他の分岐配線の抵抗値と異なるように、形成されている。
【0028】
この態様によれば、複数のデータ線が、データ線駆動回路によってその配列方向に対して双方向に、データ線群毎に順次駆動されることによって、画像表示領域において画像表示を行う場合に、各データ線群において、該データ線群と、該データ線群の次に駆動される他のデータ線群との境目に、表示画面上に視認されるほどの輝度ムラが発生するのを防止することが可能となる。即ち、複数のデータ線がその配列方向に沿って双方向に駆動される場合には、各データ線群において、該データ線群の次に駆動されるデータ線群は、該データ線群を挟んで隣接する二つのデータ線群となる。よって、この態様では、複数の分岐配線は、各データ線群に属するデータ線のうち、該データ線群の両縁に位置するデータ線に対応する分岐配線の抵抗値が、これら二本の分岐配線と同一の分岐配線群に属する他の分岐配線と異なるように、形成される。
【0029】
この、各分岐配線群の両縁に位置する二本の分岐配線の抵抗値を異ならせる態様では、前記複数の分岐配線は、前記二本の分岐配線の抵抗値が相互に同等となるように、形成されているように構成してもよい。
【0030】
このように構成すれば、複数のデータ線を、データ線駆動回路によってその配列方向に対して双方向のいずれの方向に駆動する場合にも、各データ線群について、該データ線群に属するデータ線のうち、該データ線群の次に駆動される他のデータ線群に隣接する一のデータ線に係るサンプリングスイッチにおけるプッシュダウン量若しくはプッシュアップ量を同等の値とすることができる。
【0031】
本発明の電子機器は上記課題を解決するために、上述した本発明の電気光学装置(但し、その各種態様も含む)を具備する。
【0032】
本発明の電子機器は、上述した本発明の電気光学装置を具備してなるので、高品質な画像表示を行うことが可能な、投射型表示装置、テレビ、携帯電話、電子手帳、ワードプロセッサ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルなどの各種電子機器を実現できる。また、本発明の電子機器として、例えば電子ペーパなどの電気泳動装置、電子放出装置(Field Emission Display及びConduction Electron-Emitter Display)、これら電気泳動装置、電子放出装置を用いた装置としてDLP(Digital Light Processing)等を実現することも可能である。
【0033】
本発明の電気光学装置の駆動方法は上記課題を解決するために、基板上の画像表示領域に、複数の走査線及び複数のデータ線と、前記走査線及び前記データ線に夫々電気的に接続された複数の画素部とを備える電気光学装置を駆動するための駆動方法であって、前記複数のデータ線を、N本の前記データ線を1群とするデータ線群毎に駆動するためにN(但し、Nは2以上の自然数)個のシリアル−パラレル変換された画像信号をN本の画像信号線に供給する第1工程と、前記複数のデータ線の配列に対応して複数配列されており、前記画像信号線に一端が夫々接続される複数の分岐配線の他端から夫々供給される前記画像信号を、サンプリング信号に応じて前記データ線に夫々複数のサンプリングスイッチより供給する第2工程と、前記データ線群に対応する前記サンプリングスイッチ毎に、前記サンプリング信号を順次供給する第3工程とを備えており、前記第2工程において、(i)前記データ線群に対応するN本の分岐配線を一群とする各分岐配線群について、一の分岐配線群に属し、該一の分岐配線群の次に前記サンプリング回路によりサンプリングされる前記画像信号を供給する他の分岐配線群に隣接する一の分岐配線の抵抗値が、前記一の分岐配線群に属する他の分岐配線の抵抗値と異なるように形成されると共に、(ii)前記各分岐配線群について、前記他の分岐配線の抵抗値が相互に同等になるように形成された、前記複数の分岐配線を介して、前記画像信号が前記複数のサンプリングスイッチに夫々供給される。
【0034】
本発明の電気光学装置の駆動方法によれば、本発明の電気光学装置と同様に、電気光学装置において、高品質な画像表示を行うと共に、画像信号に対する演算処理を行うための回路が不要であるため、電気光学装置を低コストで生産することが可能となる。
【0035】
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施の形態から明らかにされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下では、本発明の実施の形態について図を参照しつつ説明する。以下の実施形態は、本発明の電気光学装置を液晶装置に適用したものである。
【0037】
<1;電気光学パネルの全体構成>
先ず、本発明の電気光学装置の一例たる液晶装置における、電気光学パネルの一例としての液晶パネルの全体構成について、図1及び図2を参照して説明する。ここに、図1は、TFTアレイ基板をその上に形成された各構成要素と共に対向基板の側から見た液晶パネルの概略的な平面図であり、図2は、図1のH−H'断面図である。ここでは、駆動回路内蔵型のTFTアクティブマトリクス駆動方式の液晶装置を例にとる。
【0038】
図1及び図2において、本実施形態に係る液晶パネル100では、TFTアレイ基板10と対向基板20とが対向配置されている。TFTアレイ基板10と対向基板20との間に液晶層50が封入されており、TFTアレイ基板10と対向基板20とは、画像表示領域10aの周囲に位置するシール領域に設けられたシール材52により相互に接着されている。
【0039】
シール材52は、両基板を貼り合わせるための、例えば紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂等からなり、製造プロセスにおいてTFTアレイ基板10上に塗布された後、紫外線照射、加熱等により硬化させられたものである。また、シール材52中には、TFTアレイ基板10と対向基板20との間隔(基板間ギャップ)を所定値とするためのグラスファイバ或いはガラスビーズ等のギャップ材が散布されている。
【0040】
シール材52が配置されたシール領域の内側に並行して、画像表示領域10aの額縁領域を規定する遮光性の額縁遮光膜53が、対向基板20側に設けられている。但し、このような額縁遮光膜53の一部又は全部は、TFTアレイ基板10側に内蔵遮光膜として設けられてもよい。
【0041】
画像表示領域10aの周辺に位置する周辺領域のうち、シール材52が配置されたシール領域の外側に位置する領域には、データ線駆動回路101及び外部回路接続端子102がTFTアレイ基板10の一辺に沿って設けられている。また、走査線駆動回路104は、この一辺に隣接する2辺のいずれかに沿い、且つ、前記額縁遮光膜53に覆われるようにして設けられている。尚、走査線駆動回路104を、データ線駆動回路101及び外部回路接続端子102が設けられたTFTアレイ基板10の一辺に隣接する2辺に沿って設けるようにしてもよい。この場合、TFTアレイ基板10の残る一辺に沿って設けられた複数の配線によって、二つの走査線駆動回路104は互いに接続されるようにする。
【0042】
また、対向基板20の4つのコーナー部には、両基板間の上下導通端子として機能する上下導通材106が配置されている。他方、TFTアレイ基板10にはこれらのコーナー部に対向する領域において上下導通端子が設けられている。これらにより、TFTアレイ基板10と対向基板20との間で電気的な導通をとることができる。
【0043】
図2において、TFTアレイ基板10上には、画素スイッチング用のTFTや走査線、データ線等の配線が形成された後の画素電極9a上に、配向膜が形成されている。他方、対向基板20上には、対向電極21の他、格子状又はストライプ状の遮光膜23、更には最上層部分に配向膜が形成されている。また、液晶層50は、例えば一種又は数種類のネマティック液晶を混合した液晶からなり、これら一対の配向膜間で、所定の配向状態をとる。
【0044】
なお、図1及び図2には図示しないが、TFTアレイ基板10上には、データ線駆動回路101や走査線駆動回路104等に加えて、後述するように画像信号線上の画像信号をサンプリングしてデータ線に供給するサンプリング回路,並びに複数のデータ線に所定電圧レベルのプリチャージ信号を画像信号に先行して各々供給するプリチャージ回路が形成されている。本実施形態では、サンプリング回路やプリチャージ回路のほか、製造途中や出荷時の当該電気光学装置の品質、欠陥等を検査するための検査回路等を形成してもよい。
【0045】
<2;電気光学装置の全体構成>
液晶装置の全体構成について図3及び図4を参照して説明する。ここに、図3は、液晶装置の全体構成を示すブロック図であり、図4は、液晶パネルの電気的な構成を示すブロック図である。
【0046】
図3に示すように、液晶装置は、液晶パネル100を備えると共に、外部回路として設けられた画像信号供給回路300、タイミング制御回路400、プリチャージ信号供給回路500、及び電源回路700を備える。
【0047】
タイミング制御回路400は、各部で使用される各種タイミング信号を出力するように構成されている。タイミング制御回路400の一部であるタイミング信号出力手段により、最小単位のクロックであり各画素を走査するためのドットクロックが作成され、このドットクロックに基づいて、Yクロック信号CLY、反転Yクロック信号CLYinv、Xクロック信号CLX、反転Xクロック信号XCLinv、YスタートパルスDY及びXスタートパルスDXが生成される。また、タイミング制御回路400は、プリチャージ用選択信号NRGを生成する。
【0048】
画像信号供給回路300には、外部から1系統の入力画像データVIDが入力される。画像信号供給回路300は、1系統の入力画像データVIDをシリアル−パラレル変換して、N相、本実施形態では12相(N=12)の画像信号VID1〜VID12を生成する。更に、画像信号供給回路300において、画像信号VID1〜VID12の各々の電圧が、所定の基準電位に対して正極性及び負極性に反転され、このように極性反転された画像信号VID1〜VID12が出力されるようにしてもよい。
【0049】
また、プリチャージ信号供給回路500は、プリチャージ信号NRSの電圧を、画像信号VIDk(但し、k=1、2、・・・、12)の電圧の極性に対応させて、基準電位に対して正極性及び負極性に反転して、プリチャージ信号NRSを供給する。
【0050】
また、電源回路700は、所定の共通電位LCCの共通電源を、図2に示す対向電極21に供給する。本実施形態において、対向電極21は、図2に示す対向基板20の下側に、複数の画素電極9aと対向するように形成されている。
【0051】
次に、液晶パネル100における電気的な構成について説明する。
【0052】
図4に示すように、液晶パネル100には、そのTFTアレイ基板10の周辺領域に、走査線駆動回路104、データ線駆動回路101、サンプリング回路200、並びにプリチャージ回路205を含む内部駆動回路が設けられている。
【0053】
走査線駆動回路104には、Yクロック信号CLY、反転Yクロック信号CLYinv、及びYスタートパルスDYが供給される。走査線駆動回路104は、YスタートパルスDYが入力されると、Yクロック信号CLY及び反転Yクロック信号CLYinvに基づくタイミングで、走査信号Y1、・・・、Ymを順次生成して出力する。
【0054】
データ線駆動回路101には、Xクロック信号CLX、反転Xクロック信号CLXinv、及びXスタートパルスDXが供給される。データ線駆動回路101は、XスタートパルスDXが入力されると、Xクロック信号CLX及び反転Xクロック信号XCLXinvに基づくタイミングで、サンプリング信号S1、・・・、Snを順次生成して出力する。
【0055】
サンプリング回路200は、Pチャネル型又はNチャネル型の片チャネル型TFTから構成されたサンプリングスイッチ202を複数備える。また、プリチャージ回路205は、Pチャネル型又はNチャネル型の片チャネル型TFT若しくは相補型のTFTから構成されたプリチャージスイッチ204を複数備える。図4に示すように、各データ線114の一端はサンプリングスイッチ202に接続されると共に、各データ線114の他端はプリチャージスイッチ204に接続されている。
【0056】
液晶パネル100は更に、そのTFTアレイ基板の中央を占める画像表示領域10aに、縦横に配線されたデータ線114及び走査線112を備え、それらの交点に対応する各画素部70に、マトリクス状に配列された液晶素子118の画素電極9a、及び画素電極9aをスイッチング制御するためのTFT116を備える。尚、本実施形態では特に、走査線112の総本数をm本(但し、mは2以上の自然数)とし、データ線114の総本数をn本(但し、nは2以上の自然数)として説明する。
【0057】
12相にシリアル−パラレル展開された画像信号VID1〜VID12は、N本、本実施形態では12本の画像信号線171を介して液晶パネル100に供給される。そして、n本のデータ線114は、以下に説明するように、画像信号線171の本数に対応する12本のデータ線114を1群とするデータ線群毎に、順次駆動される。
【0058】
データ線駆動回路101から、データ線群に対応するサンプリングスイッチ202毎にサンプリング信号Si(i=1、2、・・・、n)が順次供給され、サンプリング信号Siに応じて各サンプリングスイッチ202はオン状態となる。後述するように、各サンプリングスイッチ202は、分岐配線を介して画像信号線171に接続されている。
【0059】
よって、12本の画像信号線171から画像信号VID1〜VID12が、オン状態となったサンプリングスイッチ202を介して、データ線群に属するデータ線114に同時に、且つデータ線群毎に順次供給される。よって、データ線群に属するデータ線114は互いに同時に駆動されることとなる。従って、本実施形態では、n本のデータ線114をデータ線群毎に駆動するため、駆動周波数が抑えられる。
【0060】
また、プリチャージ回路205において、各プリチャージスイッチ204には、タイミング制御回路400によって生成されたプリチャージ選択用信号NRGが入力されると共に、プリチャージ信号供給回路500より供給されるプリチャージ信号NRSが入力される。各プリチャージスイッチ204には、各サンプリングスイッチ202に対するサンプリング信号Siの供給に先立って、プリチャージ選択用信号NRGが同時に供給され、各プリチャージスイッチ204は同時にオン状態となる。そして、各プリチャージスイッチ204を介して対応するデータ線114にプリチャージ信号NRSが供給される。このように各データ線114が、画像信号VIDkが供給されるタイミングに先立って所定の電位にプリチャージされることにより、各データ線114に対する画像信号VIDkの書き込みを比較的短時間で行うことが可能となる。
【0061】
図4中、一つの画素部70の構成に着目すれば、TFT116のソース電極には、画像信号VIDk(但し、k=1、2、3、・・・、12)が供給されるデータ線114が電気的に接続されている一方、TFT116のゲート電極には、走査信号Yj(但し、j=1、2、3、・・・、m)が供給される走査線112が電気的に接続されるとともに、TFT116のドレイン電極には、液晶素子118の画素電極9aが接続されている。ここで、各画素部70において、液晶素子118は、画素電極9aと対向電極21との間に液晶を挟持してなる。従って、各画素部70は、走査線112とデータ線114との各交点に対応して、マトリクス状に配列されることになる。
【0062】
走査線駆動回路104から出力される走査信号Y1、・・・、Ymによって、各走査線112は線順次に選択される。選択された走査線112に対応する画素部70において、TFT116に走査信号Yjが供給されると、TFT116はオン状態となり、当該画素部70は選択状態となる。液晶素子118の画素電極9aには、TFT116を一定期間だけそのスイッチを閉じることにより、データ線114より画像信号VIDkが所定のタイミングで供給される。これにより、液晶素子118には、画素電極9a及び対向電極21の各々の電位によって規定される印加電圧が印加される。液晶は、印加される電圧レベルにより分子集合の配向や秩序が変化することにより、光を変調し、階調表示を可能とする。ノーマリーホワイトモードであれば、各画素の単位で印加された電圧に応じて入射光に対する透過率が減少し、ノーマリーブラックモードであれば、各画素の単位で印加された電圧に応じて入射光に対する透過率が増加され、全体として液晶パネル100からは画像信号VID1〜VID12に応じたコントラストをもつ光が出射する。
【0063】
ここで、保持された画像信号がリークするのを防ぐために、蓄積容量119が、液晶素子118と並列に付加されている。例えば、画素電極9aの電圧は、ソース電圧が印加された時間よりも3桁も長い時間だけ蓄積容量119により保持されるので、保持特性が改善される結果、高コントラスト比が実現されることとなる。
【0064】
<3;サンプリング回路の機能的構成>
次に、データ線114の駆動に係る主要な構成について、より詳細に図5から図8を参照して説明する。図5は、データ線114の駆動に係る回路構成を示す図であり、図6は、分岐配線の抵抗値R[Ω]を横軸にとり、縦軸にプッシュダウン量[mV]をとって、両者の関係を表すグラフを示す図であり、図7は、分岐配線のTFTアレイ基板10上におけるレイアウトを示す図であり、更に図8は、図7のA−A’断面図である。尚、図5は、説明の便宜上、図4に示したデータ線駆動回路及びサンプリング回路を上下逆転させて図示している。
【0065】
以下では、n本のデータ線114が、その配列方向に沿って片方向に、データ線群毎に順次駆動されるものとし、データ線114の駆動に係る主要な構成について、データ線駆動回路101から第(i−1)番目、第i番目、及び第(i+1)番目に出力される3つのサンプリング信号Si−1、Si、Si+1に基づいて駆動される3つのデータ線群のうち、特に第i番目のサンプリング信号Siに基づいて駆動される第iデータ線群の構成に着目して説明する。
【0066】
図5において、第iデータ線群に属するデータ線114e(114e−1〜114e−12)の配列に対応して、12本の分岐配線E1〜E12が配列されている。12本の分岐配線E1〜E12の一端は画像信号線171に夫々電気的に接続されると共に、これら12本の分岐配線E1〜E12の他端は夫々サンプリングスイッチ202を介してデータ線114e−kに電気的に接続される。各サンプリングスイッチを構成するTFT202は、ソースが分岐配線Ekに接続されると共に、ドレインがデータ線114e−kに電気的に接続される。また、各TFT202のゲートは、制御配線X1〜X12を介してデータ線駆動回路101に電気的に接続されている。尚、制御配線X1〜X12には第i番目のサンプリング信号Siがデータ線駆動回路101から供給される。
【0067】
ここで、図4に示す複数のデータ線114には夫々、隣接する他のデータ線114との間に寄生容量が存在している。図5において、第iデータ線群に属するデータ線114eについて、隣接するデータ線114e間に、寄生容量C12−11、C11−10、C10−9、・・・、C3−2、C2−1が存在する。他方、第iデータ線群の両縁に位置する二本のデータ線114e(114e−1及び114e−12)と、この二本のデータ線114e−1及び114e−12のうち一方のデータ線114e−12と、この一方のデータ線114e−12に隣接する、第(i−1)番目のサンプリング信号Si−1に基づいて駆動される第(i−1)データ線群に属するデータ線114dとの間、及び二本のデータ線114e−1及び114e−12のうち他方のデータ線114e−1と、この他方のデータ線114e−1に隣接する、第(i+1)番目のサンプリング信号Si+1に基づいて駆動される第(i+1)データ線群に属するデータ線114fとの間には、寄生容量C1−12が存在する。
【0068】
よって、第(i−1)データ線群に属すると共に、第iデータ線群に隣接する一のデータ線114dの電位と、この一のデータ線114dに隣接し、第iデータ線群に属する他のデータ線114e−12の電位とが異なると、データ線114dに画像信号VIDkを書き込む前又は書き込む際に、寄生容量C1−12を介してデータ線114dに対して電位変動が生じる恐れがある。更に、データ線114dに画像信号を書き込んだ後に、寄生容量C1−12を介してデータ線114dに対して電位変動が生じる恐れがある。このように、データ線114e−12の存在によって、寄生容量C1−12を介してデータ線114dに対して、プッシュアップ又はプッシュダウンが生じ得る。
【0069】
また、第(i−1)データ線群と同様に、第iデータ線群において第(i+1)データ線群に隣接する一のデータ線114e−1と、この一のデータ線114e−1に隣接し、第(i+1)データ線群に属する他のデータ線114fとについても、データ線114e−1に画像信号を書き込む前、書き込む際、或いは書き込んだ後に、データ線114fの存在によって、寄生容量C1−12を介してデータ線114e−1に対して電位変動が生じ、この電位変動によりデータ線114e−1に対してプッシュアップ又はプッシュダウンが生じる恐れがある。
【0070】
本実施形態では、図5において、第iデータ線群に着目すれば、第iデータ線群に属するデータ線114eに対応する分岐配線E1〜E12を1群とする分岐配線群は、第(i+1)データ線群に隣接する一のデータ線114e−1に対応する分岐配線E1の抵抗値R1が、他の分岐配線E2、E3、・・・、E12の抵抗値R2、R3、R4、・・・、R12と異なるように、且つ他の分岐配線E2、E3、・・・、E12の抵抗値R2、R3、R4、・・・、R12が互いに同等となるように形成されている。尚、第(i−1)データ線群に対応する分岐配線群、及び第(i+1)データ線群に対応する分岐配線群は、第iデータ線群に対応する分岐配線群と同様に構成されている。
【0071】
ここで、上述したような寄生容量C1−12を介した電位変動により、データ線114e−1に係るプッシュアップ量又はプッシュダウン量は大きくなる。そして、どちらの場合においても、電気光学装置における画像表示時、第iデータ線群と第i+1データ線群の境目におい輝度ムラが発生する共に、画像表示領域10aに表示された表示画面において、発生した輝度ムラが視認される恐れがある。本実施形態では、第iデータ線群と第i+1データ線群の境目においてたとえ輝度ムラが発生しても、この輝度ムラが視認されない程度のものとするように、第iデータ線群に対応する分岐配線群において、分岐配線E1の抵抗値R1を、他の分岐配線E2、E3、・・・、E12に対して異ならせる。
【0072】
より具体的には、第(i+1)データ線群に隣接する一のデータ線114e−1に係るプッシュアップ量が、同一のデータ線群に属する他のデータ線114e−2〜114e−12と比較して大きくなる場合には、このようなプッシュアップ量の差異が低減されるように、一の分岐配線E1の抵抗値R1を、第iデータ線群に属する他の分岐配線E2、E3、・・・、E12の抵抗値R2、R3、・・・、R12に対して、予め設定された分だけ大きくする。他方、第iデータ線群において、一のデータ線114e−1に係るプッシュダウン量が、同一のデータ線群に属する他のデータ線114e−2〜114e−12と比較して大きくなる場合には、このようなプッシュダウン量の差異が低減されるように、一の分岐配線E1の抵抗値R1を、第iデータ線群に属する他の分岐配線E2、E3、・・・、E12の抵抗値R2、R3、・・・、R12に対して、予め設定された分だけ小さくする。
【0073】
以下に、一の分岐配線E1の抵抗値R1を、予め設定された分だけ大きくする場合の具体的な手段について、図6から図8を参照して説明する。
【0074】
図6は、第iデータ線群に対応する分岐配線群において、各分岐配線E1、E2、・・・、E12の抵抗値R[Ω]について、この抵抗値R[Ω]を変化させた場合の、対応するデータ線114eに係るプッシュダウン量[mV]の値を表すグラフを示す図である。尚、図6に示す抵抗値R[Ω]とプッシュダウン量[mV]との関係は、本発明の発明者らのシュミレーション結果に基づくものであり、サンプリングスイッチ202の特性や、分岐配線E1、E2、・・・、E12における寄生容量によって変化する。
【0075】
ここで、例えば、分岐配線E1、E2、・・・、E12の抵抗値R1、R2、R3、・・・、R12を400[Ω]とした場合、対応するデータ線114eに係るプッシュダウン量は120[mV]程度である。図6に示す抵抗値R[Ω]とプッシュダウン量[mV]との関係より、抵抗値R[Ω]を増加させると、プッシュダウン量[mV]も増加する。そこで、前述したように、第iデータ線群における他のデータ線114e−2〜114e−12と一のデータ線114e−1とのプッシュアップ量の差異を低減すべく、一のデータ線114e−1に係るプッシュダウン量を50[mV]増加させる場合には、同一の分岐配線群に属する他の分岐配線E2、E3、・・・、E12の抵抗値R2、R3、・・・、R12は400[Ω]としたまま、一のデータ線114e−1に対応する分岐配線E1の抵抗値R1を600[Ω]に設定すればよい。
【0076】
このように、分岐配線E1の抵抗値R1を、同一の分岐配線群に属する他の分岐配線E2、E3、・・・、E12より大きくすると共に、他の分岐配線E2、E3、・・・、E12の抵抗値R2、R3、・・・、R12を同等の値とするには、例えば、以下に説明するように各分岐配線E1、E2、E3、・・・、E12の配線長を調整すればよい。
【0077】
図7には、TFTアレイ基板10上における、第iデータ線群に対応する分岐配線E1、E2、E3、・・・、E12のレイアウトを示してある。本実施形態では、TFTアレイ基板10上において、画像信号線171は、例えば、データ線114eと同一材料の低抵抗のアルミニウム膜によって形成される。また、制御配線X1、X2、・・・、X12は、画像信号線171と交差する方向であってデータ線114eの延びる方向に配線され、例えばポリシリコン膜によって形成されている。また、各分岐配線E1、E2、E3、・・・、E12は、画像信号線171に電気的に接続される一端側よりデータ線114eの延びる方向に、配線されている。そして、各分岐配線E1、E2、E3、・・・、E12の一部はサンプリングスイッチ202のソース電極を形成し、第iデータ線群に属するデータ線114eの各々の一部はサンプリングスイッチ202のドレイン電極を形成し、各制御配線X1、X2、・・・、X12の一部はサンプリングスイッチ202のゲート電極を形成する。
【0078】
ここで、図5において、第(i+1)データ線群に隣接する一のデータ線114e−1に対応する分岐配線E1の構成について、図7に示すように、この分岐配線E1は、一端が画像信号線171に電気的に接続される中継用配線Ha1、及び中継配線Ha1の他端に、一端が電気的に接続され、その一部がサンプリングスイッチ202のソース電極を形成する補助中継用配線Hb1を含む。そして、中継用配線Ha1は、本発明に係る「高抵抗部分」の一例であり、例えばポリシリコン膜によって形成されている。また、補助中継用配線Hb1は、本発明に係る「低抵抗部分」の一例であり、例えばアルミニウム膜によって形成されている。尚、分岐配線E1と同一の分岐配線群に属する他の分岐配線E2、E3、・・・、E12は、分岐配線E1と同様の構成を有している。
【0079】
本実施形態では、第(i+1)データ線群に隣接する一のデータ線114e−1に対応する分岐配線E1において、中継用配線Ha1の配線長を、同一の分岐配線群に属する他の分岐配線E2、E3、・・・、E12における中継用配線Ha2、・・・、Ha10、Ha11、Ha12より大きい値L1とすることで、分岐配線E1の抵抗値R1を、他の分岐配線E2、E3、・・・、E12の抵抗値R2、R3、・・・、R12に対して増加させる。また、他の分岐配線E2、E3、・・・、E12における中継用配線Ha2、・・・、Ha10、Ha11、Ha12は、同等の配線長L2として形成されている。
【0080】
図8には、図7に示す分岐配線E1におけるA−A’断面図を示してある。尚、図8には、画像信号線171、中継用配線Ha1及び補助中継用配線Hb1の配置関係とその電気的な接続に係る構成を示してあり、各層・各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、該各層・各部材ごとに縮尺を異ならしめてある。
【0081】
図8において、分岐配線E1の中継用配線Ha1と、画像信号線171及び分岐配線E1の補助中継用配線Hb1とは、層間絶縁膜60によって層間絶縁される。そして、層間絶縁膜60の表面から、この層間絶縁膜60を貫通して中継用配線Ha1の表面に至るコンタクトホール62a及び62bが形成されている。中継用配線Ha1は、コンタクトホール62aを介して一端が画像信号線171に電気的に接続されると共に、コンタクトホール62bを介して他端が補助中継用配線Hb1の一端に電気的に接続される。ここで、中継用配線Ha1の配線長を値L1とするためには、この中継用配線Ha1の他端と補助中継用配線Hb1とを電気的に接続させるためのコンタクトホール62bのTFTアレイ基板10上における位置を変えればよい。本実施形態では、このコンタクトホール62bの位置を、分岐配線E1の抵抗値R1の増加分より割り出して、コンタクトホール62bを形成する。
【0082】
尚、画像信号線171、補助中継用配線Hb1、及び中継用配線Ha1の配置関係は、図8に示す構成に限定されない。例えば、TFTアレイ基板10上において、中継用配線Ha1が、画像信号線171及び補助中継用配線Hb1より上層側に形成されるようにしてもよい。
【0083】
また、図7において、同一の分岐配線群に属する、一の分岐配線E1と、他の分岐配線E2、E3、・・・、E12とは、配線長を上述したように異ならせるほかは、配線幅W1、W2、W3、・・・、W12は互いに同等の値として形成されている。
【0084】
このように、分岐配線E1の抵抗値R1を増加させると、対応するサンプリングスイッチ202のドレイン電流が低下する。その結果、プッシュアップに起因して生じる、一のデータ線114eに対応する画素部70への印加電圧の増加分が相殺されることとなる。
【0085】
他方、既に説明したように、第iデータ線群において、一のデータ線114e−1に係るプッシュダウン量が、同一のデータ線群に属する他のデータ線114e−2〜114e−12と比較して大きくなる場合には、図6から図8を参照して説明した手段と同様にして、例えば、一のデータ線114e−1に対応する分岐配線E1における中継用配線Ha1の配線長を、同一の分岐配線群に属する他の分岐配線E2、E3、・・・、E12に対して小さくすると共に、他の分岐配線E2、E3、・・・、E12における中継用配線Ha2、・・・、Ha10、Ha11、Ha12の配線長を夫々互いに同等の値とする。これにより、一のデータ線114e−1に対応する分岐配線E1の抵抗値R1を、他の分岐配線E2、E3、・・・、E12の抵抗値R2、R3、・・・、R12に対して小さくすることができる。よって、この場合、対応するサンプリングスイッチ202のドレイン電流が増加する。その結果、プッシュダウンに起因して生じる、一のデータ線114eに対応する画素部70への印加電圧の減少分が相殺される。
【0086】
よって、以上説明したような本実施形態によれば、隣接するデータ線114間の寄生容量に起因して、表示画面上に視認される程度の輝度ムラの発生を防止することが可能となる。その結果、電気光学装置において、高品質な画像表示を行うことができる。また、画像信号VIDkに対する演算処理を行うための回路が不要であるため、電気光学装置を低コストで生産することが可能となる。
【0087】
尚、以上説明した本実施形態では、図7及び図8において、第iデータ線群に対応する分岐配線E1〜E12の抵抗値R1〜R12は、これら分岐配線E1〜E12の高抵抗部分の配線長を夫々変えることに加えて若しくは代えて、これら分岐配線E1〜E12の配線幅W1〜W12を変えてもよいし、これら分岐配線E1〜E12の材料を夫々異ならせることによって、調整するようにしてもよい。
【0088】
<4;変形例>
上述した本実施形態の変形例について、以下に説明する。本変形例では、図5に示す第iデータ線群に属し、第(i+1)データ線群に隣接する一のデータ線114e−1に対応する分岐配線E1の抵抗値R1を次のような値に調整し、同一の分岐配線群に属する他の分岐配線E2、E3、・・・、E12の抵抗値R2、R3、・・・、R12に対して異ならせてある。
【0089】
即ち、一のデータ線114e−1に対応する分岐配線E1の抵抗値R1は、この分岐配線E1及び、一のデータ線114e−1に隣接する他のデータ線114f又は一のデータ線114e−1と同一のデータ線群に属する他のデータ線114e−2〜114e−12に対応する分岐配線F12又はE2〜E12の一端側に、画素部70において中間調の画像表示を行うための電圧を有する画像信号VID1及びVID12が画像信号線171から供給された場合に、一のデータ線114e−1に係るプッシュアップ量又はプッシュダウン量の、他のデータ線114e−2〜114e−12との差異を低減するように、他の分岐配線E2、E3、・・・、E12に対して異ならせてある。このように構成することにより、画像表示領域10aにおいて、例えば中間調のベタな一画面を表示する場合にも、各データ線群において、該データ線群と、該データ線群の次に駆動される他のデータ線群との境目に、表示画面上に視認されるほどの輝度ムラが発生するのを防止することが可能となる。
【0090】
更に、n本のデータ線114が、その配列方向に沿って双方向に、データ線群毎に順次駆動される場合には、図5において、第iデータ線群の次に駆動されるのは、第(i+1)データ線群若しくは第(i−1)データ線群となる。よって、この場合、第iデータ線群に対応する分岐配線群において、この分岐配線群の両縁に位置する二本の分岐配線E1及びE12の抵抗値R1及びR12が、同一の分岐配線群に属する他の分岐配線E3、E4、・・・、E11の抵抗値R3、R4、・・・、R11に対して異なるように、当該分岐配線群は形成されているのが好ましい。また、二本の分岐配線E1及びE12は、好ましくは、これら二本の分岐配線E1及びE12の抵抗値R1及びR12が互いに同等の値となるように、形成される。
【0091】
このように構成すれば、n本のデータ線114が、その配列方向に対して双方向のいずれの方向に駆動する場合にも、第iデータ線群において、第iデータ線群の次に駆動されるデータ線群に隣接する一のデータ線114eに係るプッシュダウン量若しくはプッシュアップ量を同等の値とすることができる。よって、n本のデータ線114が、その配列方向に対して双方向に、データ線群毎に順次駆動される場合に、各データ線群において、該データ線群と、該データ線群の次に駆動される他のデータ線群との境目に、表示画面上に視認されるほどの輝度ムラが発生するのを防止することが可能となる。
【0092】
<5;電子機器>
次に、上述した液晶装置を各種の電子機器に適用する場合について説明する。
【0093】
<5−1:プロジェクタ>
まず、この液晶装置をライトバルブとして用いたプロジェクタについて説明する。図9は、プロジェクタの構成例を示す平面配置図である。この図に示されるように、プロジェクタ1100内部には、ハロゲンランプ等の白色光源からなるランプユニット1102が設けられている。このランプユニット1102から射出された投射光は、ライトガイド1104内に配置された4枚のミラー1106および2枚のダイクロイックミラー1108によってRGBの3原色に分離され、各原色に対応するライトバルブ1110R、1110Bおよび1110Gに入射される。これら3つのライトバルブ1110R、1110Bおよび1110Gは夫々液晶装置を含む液晶モジュールを用いて構成されている。
【0094】
ライトバルブ1110R、1110Bおよび1110Gにおいて液晶パネル100は、画像信号供給回路300から供給されるR、G、Bの原色信号でそれぞれ駆動されるものである。そして、これらの液晶パネル100によって変調された光は、ダイクロイックプリズム1112に3方向から入射される。このダイクロイックプリズム1112においては、RおよびBの光が90度に屈折する一方、Gの光が直進する。したがって、各色の画像が合成される結果、投射レンズ1114を介して、スクリーン等にカラー画像が投写されることとなる。
【0095】
ここで、各ライトバルブ1110R、1110Bおよび1110Gによる表示像について着目すると、ライトバルブ1110Gによる表示像は、ライトバルブ1110R、1110Bによる表示像に対して左右反転することが必要となる。
【0096】
なお、ライトバルブ1110R、1110Bおよび1110Gには、ダイクロイックミラー1108によって、R、G、Bの各原色に対応する光が入射するので、カラーフィルタを設ける必要はない。
【0097】
<5−2:モバイル型コンピュータ>
次に、液晶装置を、モバイル型のパーソナルコンピュータに適用した例について説明する。図10は、このパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。図において、コンピュータ1200は、キーボード1202を備えた本体部1204と、液晶表示ユニット1206とから構成されている。この液晶表示ユニット1206は、先に述べた液晶装置1005の背面にバックライトを付加することにより構成されている。
【0098】
<5−3;携帯電話>
さらに、液晶装置を、携帯電話に適用した例について説明する。図11は、この携帯電話の構成を示す斜視図である。図において、携帯電話1300は、複数の操作ボタン1302とともに、反射型の液晶装置1005を備えるものである。この反射型の液晶装置1005にあっては、必要に応じてその前面にフロントライトが設けられる。
【0099】
尚、図9から図11を参照して説明した電子機器の他にも、液晶テレビや、ビューファインダ型、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた装置等などが挙げられる。そして、これらの各種電子機器に適用可能なのは言うまでもない。
【0100】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う電気光学装置及びその駆動方法、並びに該電気光学装置を備えてなる電子機器もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】液晶パネルの全体構成を示す平面図である。
【図2】図1のH−H’断面図である。
【図3】液晶装置の全体構成を示すブロック図である。
【図4】液晶パネルの電気的な構成を示すブロック図である。
【図5】データ線の駆動に係る回路構成を示す図である。
【図6】分岐配線の抵抗値R[Ω]を横軸にとり、縦軸にプッシュダウン量[mV]をとって、両者の関係を表すグラフを示す図である。
【図7】分岐配線のTFTアレイ基板上におけるレイアウトを示す図である。
【図8】図7のA−A’断面図である。
【図9】液晶装置を適用した電子機器の一例たるプロジェクタの構成を示す平面図である。
【図10】液晶装置を適用した電子機器の一例たるパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。
【図11】液晶装置を適用した電子機器の一例たる携帯電話の構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0102】
9a…画素電極、10a…画像表示領域、10…TFTアレイ基板、70…画素部、100…液晶パネル、101…データ線駆動回路、104…走査線駆動回路、112…走査線、114…データ線、171…画像信号線、200…サンプリング回路、202…サンプリングスイッチ、E1、E2、・・・、E10、E11、E12…分岐配線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上の画像表示領域に配線された複数の走査線及び複数のデータ線と、
前記走査線及び前記データ線に夫々電気的に接続された複数の画素部と、
前記複数のデータ線を、N本の前記データ線を1群とするデータ線群毎に駆動するためにN(但し、Nは2以上の自然数)個のシリアル−パラレル変換された画像信号が供給されるN本の画像信号線と、
前記複数のデータ線の配列に対応して複数配列されており、前記画像信号線に一端が夫々接続される複数の分岐配線と、
該複数の分岐配線の他端から夫々供給される前記画像信号を、サンプリング信号に応じて前記データ線に夫々供給する複数のサンプリングスイッチを含むサンプリング回路と、
前記データ線群に対応する前記サンプリングスイッチ毎に、前記サンプリング信号を順次供給するデータ線駆動回路と
を備えており、
前記複数の分岐配線は、前記データ線群に対応するN本の分岐配線を一群とする各分岐配線群について、一の分岐配線群に属し、該一の分岐配線群の次に前記サンプリング回路によりサンプリングされる前記画像信号を供給する他の分岐配線群に隣接する一の分岐配線の抵抗値が、前記一の分岐配線群に属する他の分岐配線の抵抗値と異なるように形成されると共に、
前記複数の分岐配線は、前記各分岐配線群について、前記他の分岐配線の抵抗値が相互に同等になるように形成されていること
を特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
前記複数の分岐配線は、前記複数のデータ線のうち、前記一の分岐配線に対応する前記データ線と、前記他の分岐配線に対応する前記データ線との間におけるプッシュダウン量又はプッシュアップ量の差異を低減すべく予め設定された分だけ、前記一の分岐配線の抵抗値が異なるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項3】
前記複数の分岐配線は、前記一の分岐配線及び前記他の分岐配線の一端側に前記画像信号線から前記画素部において中間調の表示を行うための電圧を有する前記画像信号が供給された場合に、前記差異を低減すべく、前記一の分岐配線の抵抗値が異なるように形成されていること
を特徴とする請求項2に記載の電気光学装置。
【請求項4】
前記複数の分岐配線は夫々、低抵抗部分と該低抵抗部分より高抵抗である高抵抗部分とを有し、
前記複数の分岐配線は、前記複数の分岐配線群の各々において、前記一の分岐配線における前記高抵抗部分の配線長が前記他の分岐配線における前記高抵抗部分の配線長と異なるように形成されると供に、前記他の分岐配線は、前記高抵抗部分の配線長が互いに同等となるように形成されていること
を特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項5】
前記複数の分岐配線は、前記一の分岐配線として前記各分岐配線群の両縁に位置する二本の分岐配線の抵抗値が前記他の分岐配線の抵抗値と異なるように、形成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項6】
前記複数の分岐配線は、前記二本の分岐配線の抵抗値が相互に同等となるように、形成されていることを特徴とする請求項5に記載の電気光学装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の電気光学装置を具備してなることを特徴とする電子機器。
【請求項8】
基板上の画像表示領域に、複数の走査線及び複数のデータ線と、前記走査線及び前記データ線に夫々電気的に接続された複数の画素部とを備える電気光学装置を駆動するための駆動方法であって、
前記複数のデータ線を、N本の前記データ線を1群とするデータ線群毎に駆動するためにN(但し、Nは2以上の自然数)個のシリアル−パラレル変換された画像信号をN本の画像信号線に供給する第1工程と、
前記複数のデータ線の配列に対応して複数配列されており、前記画像信号線に一端が夫々接続される複数の分岐配線の他端から夫々供給される前記画像信号を、サンプリング信号に応じて前記データ線に夫々複数のサンプリングスイッチより供給する第2工程と、
前記データ線群に対応する前記サンプリングスイッチ毎に、前記サンプリング信号を順次供給する第3工程と
を備えており、
前記第2工程において、(i)前記データ線群に対応するN本の分岐配線を一群とする各分岐配線群について、一の分岐配線群に属し、該一の分岐配線群の次に前記サンプリング回路によりサンプリングされる前記画像信号を供給する他の分岐配線群に隣接する一の分岐配線の抵抗値が、前記一の分岐配線群に属する他の分岐配線の抵抗値と異なるように形成されると共に、(ii)前記各分岐配線群について、前記他の分岐配線の抵抗値が相互に同等になるように形成された、前記複数の分岐配線を介して、前記画像信号が前記複数のサンプリングスイッチに夫々供給されること
を特徴とする電気光学装置の駆動方法。
【請求項1】
基板上の画像表示領域に配線された複数の走査線及び複数のデータ線と、
前記走査線及び前記データ線に夫々電気的に接続された複数の画素部と、
前記複数のデータ線を、N本の前記データ線を1群とするデータ線群毎に駆動するためにN(但し、Nは2以上の自然数)個のシリアル−パラレル変換された画像信号が供給されるN本の画像信号線と、
前記複数のデータ線の配列に対応して複数配列されており、前記画像信号線に一端が夫々接続される複数の分岐配線と、
該複数の分岐配線の他端から夫々供給される前記画像信号を、サンプリング信号に応じて前記データ線に夫々供給する複数のサンプリングスイッチを含むサンプリング回路と、
前記データ線群に対応する前記サンプリングスイッチ毎に、前記サンプリング信号を順次供給するデータ線駆動回路と
を備えており、
前記複数の分岐配線は、前記データ線群に対応するN本の分岐配線を一群とする各分岐配線群について、一の分岐配線群に属し、該一の分岐配線群の次に前記サンプリング回路によりサンプリングされる前記画像信号を供給する他の分岐配線群に隣接する一の分岐配線の抵抗値が、前記一の分岐配線群に属する他の分岐配線の抵抗値と異なるように形成されると共に、
前記複数の分岐配線は、前記各分岐配線群について、前記他の分岐配線の抵抗値が相互に同等になるように形成されていること
を特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
前記複数の分岐配線は、前記複数のデータ線のうち、前記一の分岐配線に対応する前記データ線と、前記他の分岐配線に対応する前記データ線との間におけるプッシュダウン量又はプッシュアップ量の差異を低減すべく予め設定された分だけ、前記一の分岐配線の抵抗値が異なるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項3】
前記複数の分岐配線は、前記一の分岐配線及び前記他の分岐配線の一端側に前記画像信号線から前記画素部において中間調の表示を行うための電圧を有する前記画像信号が供給された場合に、前記差異を低減すべく、前記一の分岐配線の抵抗値が異なるように形成されていること
を特徴とする請求項2に記載の電気光学装置。
【請求項4】
前記複数の分岐配線は夫々、低抵抗部分と該低抵抗部分より高抵抗である高抵抗部分とを有し、
前記複数の分岐配線は、前記複数の分岐配線群の各々において、前記一の分岐配線における前記高抵抗部分の配線長が前記他の分岐配線における前記高抵抗部分の配線長と異なるように形成されると供に、前記他の分岐配線は、前記高抵抗部分の配線長が互いに同等となるように形成されていること
を特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項5】
前記複数の分岐配線は、前記一の分岐配線として前記各分岐配線群の両縁に位置する二本の分岐配線の抵抗値が前記他の分岐配線の抵抗値と異なるように、形成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項6】
前記複数の分岐配線は、前記二本の分岐配線の抵抗値が相互に同等となるように、形成されていることを特徴とする請求項5に記載の電気光学装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の電気光学装置を具備してなることを特徴とする電子機器。
【請求項8】
基板上の画像表示領域に、複数の走査線及び複数のデータ線と、前記走査線及び前記データ線に夫々電気的に接続された複数の画素部とを備える電気光学装置を駆動するための駆動方法であって、
前記複数のデータ線を、N本の前記データ線を1群とするデータ線群毎に駆動するためにN(但し、Nは2以上の自然数)個のシリアル−パラレル変換された画像信号をN本の画像信号線に供給する第1工程と、
前記複数のデータ線の配列に対応して複数配列されており、前記画像信号線に一端が夫々接続される複数の分岐配線の他端から夫々供給される前記画像信号を、サンプリング信号に応じて前記データ線に夫々複数のサンプリングスイッチより供給する第2工程と、
前記データ線群に対応する前記サンプリングスイッチ毎に、前記サンプリング信号を順次供給する第3工程と
を備えており、
前記第2工程において、(i)前記データ線群に対応するN本の分岐配線を一群とする各分岐配線群について、一の分岐配線群に属し、該一の分岐配線群の次に前記サンプリング回路によりサンプリングされる前記画像信号を供給する他の分岐配線群に隣接する一の分岐配線の抵抗値が、前記一の分岐配線群に属する他の分岐配線の抵抗値と異なるように形成されると共に、(ii)前記各分岐配線群について、前記他の分岐配線の抵抗値が相互に同等になるように形成された、前記複数の分岐配線を介して、前記画像信号が前記複数のサンプリングスイッチに夫々供給されること
を特徴とする電気光学装置の駆動方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−39352(P2006−39352A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−221422(P2004−221422)
【出願日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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