説明

電気回路製造システム用製造数管理装置

【課題】 それぞれが基板に電気部品を実装して電気回路を製造する複数の製造ラインを備えた電気回路製造システムにおいて電気回路の製造数を管理するための製造数管理装置を、実用性の高いものにする。
【解決手段】 (a)製造される電気回路の製造予定数と、現時点までの製造完了数とを記憶する製造数記憶部42、および、(b)電気回路製造システムから随時送られてくる製造完了情報に基づいて、随時、その製造数記憶部に記憶されている製造完了数を更新する製造完了数更新部46に加え、(c)製造完了数が製造予定数に達しない電気回路を製造している複数の製造ラインのうちのいずれかにおいてその電気回路に代えて別の種類の電気回路を製造する割込製造に対処する割込製造対処部48を、製造数管理装置38に備えさせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気回路製造システムにおいて製造される電気回路の製造数を管理するための製造数管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気回路は、基板に電気部品を実装することによって製造され、その製造を行う一般の事業所では、複数の製造ラインによって電気回路の製造が行われる。電気回路の製造数の管理は、製造事業所において重要であり、下記特許文献に示す技術を始め、種々の技術が検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−134993号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数の製造ラインによって電気回路が製造される場合、いずれかの製造ラインに、現在製造しているものとは別の電気回路の製造が割り込まれることがある。この割込製造の際、電気回路の製造数を適切に管理することが特に重要であり、適切に管理できる製造数管理装置であれば、その装置の実用性は高い。本発明は、そのような実情に鑑みてなされたものであり、実用性の高い電気回路製造システム用製造数管理装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の電気回路製造システム用製造数管理装置は、それぞれが基板に電気部品を実装して電気回路を製造する複数の製造ラインを備えた電気回路製造システムにおいて電気回路の製造数を管理するための製造数管理装置であって、(a)製造される電気回路の製造予定数と、現時点までの製造完了数とを記憶する製造数記憶部と、(b)電気回路製造システムから随時送られてくる製造完了情報に基づいて、随時、前記製造数記憶部に記憶されている製造完了数を更新する製造完了数更新部と、(c)製造完了数が製造予定数に達しない電気回路を製造している前記複数の製造ラインのうちのいずれかにおいてその電気回路に代えて別の種類の電気回路を製造する割込製造に対処する割込製造対処部とを有するように構成される。
【発明の効果】
【0006】
本発明の電気回路製造システム用製造数管理装置は、製造数記憶部,製造完了数更新部に加え、上記割込製造対処部を有することで、割込製造に対しても適切な製造数の管理が可能となり、実用性が高いものとなる。
【発明の態様】
【0007】
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、それらの発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から何某かの構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。ちなみに、請求可能発明のいくつかの態様が、請求項に係る発明に相当する。
【0008】
具体的には、以下の各項において、(1)項と(10)項とを合わせたものが請求項1に相当し、(11)項〜(15)項が、それぞれ、請求項2〜6に相当する。
【0009】
(1)それぞれが基板に電気部品を実装して電気回路を製造する複数の製造ラインを備えた電気回路製造システムにおいて電気回路の製造数を管理するための製造数管理装置であって、
製造される電気回路の製造予定数と、現時点での製造完了数とを記憶する製造数記憶部と、
前記電気回路製造システムから随時送られてくる製造完了情報に基づいて、随時、前記製造数記憶部に記憶されている製造完了数を更新する製造完了数更新部と
を有する電気回路製造システム用製造数管理装置。
【0010】
本項の態様は、請求可能発明の前提となる態様であり、本項に以下の項のうちの1以上を合わせた態様が、請求可能発明の態様となる。
【0011】
本項の態様の製造数管理装置(以下、単に、「管理装置」と言う場合がある)が用いられる電気回路製造システム(以下、単に、「製造システム」若しくは「システム」と言う場合がある)は、「複数の製造ライン」を備えているが、必ずしも、はんだ印刷機,部品装着機,リフロー炉等の複数の機器の1つの列が1つの製造ラインを構成するものに限定されない。例えば、後に説明するように、1つの機器列に2つのレーンが形成され、各レーンにおいて、独立して回路部品の製造が行われるような構成を有するシステムの場合、それらのレーンの1つ1つが、製造ラインを構成することになる。
【0012】
本項の態様の管理装置は、例えば、コンピュータを主要構成要素とし、かつ、所定のプログラムの実行により機能を発揮するように構成すればよい。また、本管理装置は、機器列を構成するいずれかの機器と一体化されていてもよく、また、機器列とは別体とされていてもよい。その場合、システムを構成する機器列から、有線若しくは無線通信によって、上記製造完了情報を取得するように構成されていればよい。「製造完了情報」は、後に説明する製造予定数,製造完了数の記憶形態,更新処理の形態等に応じた適当な情報でありさえすればよく、具体的には、1の電気回路の製造完了に対して、その電気回路の種類を識別するための情報(回路種識別情報)と、その電気回路を製造した製造ラインを識別するための情報(ライン識別情報)との両方を含んでいてもよく、また、いずれか片方であってもよい。
【0013】
(2)前記製造数記憶部が、前記複数の製造ラインの各々に対応して、その各々ごとに、その各々が製造する電気回路の製造予定数と製造完了数とを記憶するように構成された(1)項に記載の電気回路製造システム用製造数管理装置。
【0014】
本項の態様は、製造数記憶部における製造予定数,製造完了数の記憶形態を限定した態様である。本項の態様によれば、製造予定数,製造完了数が製造ラインごとに記憶されるため、製造ラインごとの製造数管理が容易に行える。
【0015】
(3)前記製造完了数更新部が、前記複数の製造ラインのいずれからの製造完了情報であるか判断して、製造完了情報が送られてきた製造ラインに対応して前記製造数記憶部に記憶されているその製造ラインの製造完了数を更新するように構成された(2)項に記載の電気回路製造システム用製造数管理装置。
【0016】
本項の態様は、製造予定数,製造完了数が製造ラインごとに記憶される上記態様において、製造完了数の更新処理に関する限定を加えた態様である。本項の態様においては、少なくとも上記ライン識別情報を含んでいればよく、必ずしも、上記ライン識別情報と上記回路種識別情報との両方を含んでいることを要しない。
【0017】
(4)当該電気回路製造システム用製造数管理装置が、製造完了数が製造予定数に達しない製造ラインについてのそれら製造予定数および製造完了数の前記製造数記憶部からの削除を禁止するように構成された(2)項または(3)項に記載の電気回路製造システム用製造数管理装置。
【0018】
本項の態様によれば、製造が完了していない段階において、製造ラインごとの製造予定数および製造完了数が削除されることがないため、後に説明する割込製造が行われてそれが終了した場合における製造システムの製造の再開に容易に対処することが可能となる。特に、割込製造が行われる前の状態への復帰に、効果的に対処可能である。
【0019】
(5)前記製造数記憶部が、前記複数の製造ラインが製造する電気回路の種類の各々対応して、その種類の各々ごとに、その各々の種類の電気回路の製造予定数と製造完了数とを記憶するように構成された(1)項に記載の電気回路製造システム用製造数管理装置。
【0020】
本項の態様は、製造数記憶部における製造予定数,製造完了数の記憶形態を限定した態様である。本項の態様によれば、製造予定数,製造完了数が電気回路の種類(回路種)ごとに記憶されるため、回路種ごとの製造数管理が容易に行える。
【0021】
(6)前記製造完了数更新部が、前記複数の製造ラインからの製造完了情報に基づいて、どの種類の電気回路が製造されたかを判断して、その種類に対応して前記製造数記憶部に記憶されているその種類の電気回路の製造完了数を更新するように構成された(5)項に記載の電気回路製造システム用製造数管理装置。
【0022】
本項の態様は、製造予定数,製造完了数が回路種ごとに記憶される上記態様において、製造完了数の更新処理に関する限定を加えた態様である。本項の態様においては、上記製造完了情報は、必ずしも、上記ライン識別情報と上記回路種識別情報との両方を含んでいることを要しない。
【0023】
(7)前記製造完了数更新部が、製造完了情報が前記複数の製造ラインのいずれから送られてきたかに基づき、前記複数の製造ラインのいずれがどの種類の電気回路を製造してるかを関係付ける対製造ライン電気回路種関係情報を参照して、製造された電気回路の種類を判断し、その種類に対応して前記製造数記憶部に記憶されているその種類の電気回路の製造完了数を更新するように構成された(6)項に記載の電気回路製造システム用製造数管理装置。
【0024】
本項の態様は、製造完了数の更新処理にさらに限定を加えた態様である。本項の態様によれば、上記対製造ライン電気回路種関係情報を参照した更新処理が行われるため、上記製造完了情報は、少なくとも上記ライン識別情報を含んでいればよい。
【0025】
(8)当該電気回路製造システム用製造数管理装置が、製造完了数が製造予定数に達しない電気回路の種類についてのそれら製造予定数および製造完了数の前記製造数記憶部からの削除を禁止するように構成された(5)項ないし(7)項のいずれか1つに記載の電気回路製造システム用製造数管理装置。
【0026】
本項の態様によれば、製造が完了していない段階において、電気回路の回路種ごとの製造予定数および製造完了数が削除されることがないため、後に説明する割込製造が行われてそれが終了した場合おける製造システムの製造の再開に容易に対処することが可能となる。特に、割込製造が行われる前の状態への復帰に、効果的に対処可能である。
【0027】
(9)前記製造完了情報が、製造された電気回路のID情報を含んでおり、
前記製造完了数更新部が、前記ID情報に基づいて、前記製造数記憶部に記憶されている製造完了数を更新するように構成された(1)項ないし(8)項のいずれか1つに記載の電気回路製造システム用製造数管理装置。
【0028】
電気回路1つ1つのID情報は、一般にその電気回路の回路種の情報を含んでいることから、そのID情報を利用すれば、製造完了数の更新を効率的に行うことが可能となる。
【0029】
(10)当該電気回路製造システム用製造数管理装置が、
製造完了数が製造予定数に達しない電気回路を製造している前記複数の製造ラインのうちのいずれかにおいてその電気回路に代えて別の種類の電気回路を製造する割込製造に対処する割込製造対処部を、さらに有する(1)項ないし(9)項のいずれか1つに記載の電気回路製造システム用製造数管理装置。
【0030】
本項の態様によれば、割込製造に対しても適切な製造数の管理が可能となり、本項の態様の製造数管理装置は、それの実用性が高いものとなる。
【0031】
(11)前記製造数記憶部が、前記複数の製造ラインの各々に対応して、その各々ごとに、その各々が製造する電気回路の製造予定数と製造完了数とを記憶するように構成されるとともに、前記製造完了数更新部が、製造完了情報が送られてきた製造ラインに対応して前記製造数記憶部に記憶されているその製造ラインの製造完了数を更新するように構成されており、
前記割込製造対処部が、
割込製造が開始される際、前記複数の製造ラインのうちの割込製造が開始される製造ラインが製造する前記別の種類の電気回路の製造予定数を、新たに、その製造ラインに対応させて前記製造数記憶部に記憶させるとともに、その製造ラインに対応して記憶されていたその製造ラインの製造予定数と製造完了数とを、それぞれ、その製造ラインと同じ種類の電気回路を製造している別の製造ラインに対応して記憶されているその別の製造ラインの製造予定数と製造完了数とに追加するように構成された(10)項に記載の電気回路製造システム用製造数管理装置。
【0032】
本項の態様は、上述した製造ラインごとに製造予定数,製造完了数を記憶する態様において割込製造における処理に関する限定を加えた態様である。本項の態様によれば、製造ラインごとに製造予定数,製造完了数を管理している場合において、割込製造に効果的に対処できる。製造予定数,製造完了数が追加される上記別の製造ラインは、1つであってもよく、複数であってもよい。製造予定数,製造完了数を複数の別のラインに振り分ける場合は、平準化させることが望ましい。
【0033】
(12)前記割込製造対処部が、
割込製造が終了した際、前記複数の製造ラインのうちの割込製造が終了した製造ラインに対応して前記製造数記憶部に記憶されるべきその製造ラインの製造予定数および製造完了数として、その製造ラインが次に製造を予定する電気回路と同じ種類の電気回路を製造している別の製造ラインに対応して記憶されているその別の製造ラインの製造予定数の一部および製造完了数の一部をそれぞれ新たに記憶させるとともに、それら製造予定数の一部および製造完了数の一部を、その別の製造ラインに対応して記憶されているその別の製造ラインの製造予定数および製造完了数からそれぞれ減ずるように構成された(11)項に記載の電気回路製造システム用製造数管理装置。
【0034】
本項の態様は、割込製造が終了するときの処理に関する限定を加えた態様である。割込製造が終了した製造ラインが次に製造を行う電気回路は、割込製造が開始される前に行っていた種類の電気回路であってもよく、それとは別の種類の電気回路であってもよい。割込製造が開始される前の状態に製造システムを復帰させることが望ましいという観点からすれば、前に行っていた種類の電気回路であることが望ましい。また、上記別の製造ラインは、1つであっても、複数であってもよい。つまり、複数の別の製造ラインの各々から、その各々の製造予定数,製造完了数の一部が割り当てられるようにしてもよいのである。
【0035】
(13)前記割込製造対処部が、前記割込製造が終了した製造ラインに対応して新たに記憶させた前記製造予定数の一部および前記製造完了数の一部と、それらが減じられた前記別のラインの製造予定数および製造完了数とのそれぞれの差を、可及的に小さくするように構成された(12)項に記載の電気回路製造システム用製造数管理装置。
【0036】
本項の態様によれば、割込製造があったとしても、その割込製造を行った製造ラインと上記別の製造ラインとが、その後に製造する電気回路については、概して同じ時期に製造を終了させることができることになる。
【0037】
(14)前記製造数記憶部が、前記複数の製造ラインが製造する電気回路の種類の各々に対応して、その種類の各々ごとに、その各々の種類の電気回路の製造予定数と製造完了数とを記憶するように構成されるとともに、前記製造完了数更新部が、製造された電気回路の種類に対応して前記製造数記憶部に記憶されているその種類の電気回路の製造完了数を更新するように構成されており、
前記割込製造対処部が、
割込製造が開始される際、前記複数の製造ラインのうちの割込製造が開始される製造ラインが製造する前記別の種類の電気回路の製造予定数を、新たに、その種類の電気回路に対応させて前記製造数記憶部に記憶させるように構成された(10)項に記載の電気回路製造システム用製造数管理装置。
【0038】
本項の態様は、上述した回路種ごとに製造予定数,製造完了数を記憶する態様において割込製造における処理に関する限定を加えた態様である。本項の態様によれば、製造ラインごとに製造予定数,製造完了数を管理している場合において、割込製造に効果的に対処できる。
【0039】
(15)前記製造完了数更新部が、製造完了情報が前記複数の製造ラインのいずれから送られてきたかに基づき、前記複数の製造ラインのいずれがどの種類の電気回路を製造してるかを関係付ける対製造ライン電気回路種関係情報を参照して、製造された電気回路の種類を判断し、その種類に対応して前記製造数記憶部に記憶されているその種類の電気回路の製造完了数を更新するように構成されており、
前記割込製造対処部が、
割込製造が開始された若しくは終了した際、前記対製造ライン電気回路種関係情報のうち、前記複数の製造ラインのうちの割込製造が開始された若しくは終了した製造ラインと、その製造ラインが製造する電気回路の種類との関係付けを変更するように構成された(14)項に記載の電気回路製造システム用製造数管理装置。
【0040】
本項の態様によれば、上述した対製造ライン電気回路種関係情報を利用した更新処理を行う態様において、割込製造に簡便に対処することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】実施例の製造数管理装置およびそれが管理の対象とする電気回路製造システムに配備されている機器列を示す斜視図である。
【図2】機器列を構成する部品装着機の一部を示す斜視図である。
【図3】実施例の製造数管理装置の機能構成を示すブロック図である。
【図4】実施例の製造数管理装置のライン依拠処理モードにおける処理を説明するための製造数記憶部の記憶内容を示す概念図である。
【図5】実施例の製造数管理装置の回路種依拠処理モードにおける処理を説明するための製造数記憶部の記憶内容を示す概念図である。
【図6】回路種依拠処理モードにおいて作成されるライン−回路種対応マップを示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、請求可能発明を実施するための形態として、請求可能発明の実施例である電気回路製造システム用製造数管理装置を、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、請求可能発明は、下記実施例の他、前記〔発明の態様〕の項に記載された形態を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の形態で実施することができる。
【実施例】
【0043】
≪管理対象の電気回路製造システム≫
実施例の製造数管理装置が管理の対象とする電気回路製造システムは、図1に示すような機器列10が、複数列並べられている。1つの機器列10は、上流側から、基板投入器12,2つのはんだ印刷機14,基板振分器16,部品装着機18,リフロー炉20が、一列に配置されている。基板投入器12は、回路基板(以下、単に「基板」と言う場合がある)を当該機器列10に投入するための装置である。はんだ印刷機14は、基板の表面にクリームはんだをスクリーン印刷する。言い換えれば、スクリーンによって決まるはんだパターンを印刷する。後に説明するが、部品装着機18およびリフロー炉20には、基板を搬送するレーンが2つ設けられており、基板振分器16は、はんだが印刷された基板をそれら2レーンに振り分ける。部品装着機18は、1つのベース22に6つの部品装着装置24が配列され、それぞれの部品装着装置24は、基板の表面に電気部品(以下、単に「部品」と言う場合がある)を装着(載置)する。リフロー炉20は、部品が装着された基板を加熱してクリームはんだを溶融させた後、冷却してはんだを凝固させることによって、部品を基板に固定する。それらの機器による作業が順次行われることにより、基板に部品が実装されることになる。
【0044】
機器列10において主たる作業を行う部品装着機18を構成する部品装着装置24は、図2に示すように、基板を搬送・固定する基板搬送・固定装置26,それぞれが部品を供給する複数の部品フィーダによって構成された部品供給装置28,部品を保持する部品保持ヘッド30,部品保持ヘッド30を部品供給装置28と基板搬送・固定装置26との間で移動させるヘッド移動装置32を含んで構成されており、基板搬送・固定装置26によって搬送されて所定の作業位置に固定された基板に対して、部品保持ヘッド30が所定の部品を所定の装着位置に装着する。6つの部品装着装置24による装着作業が順次行われて、1つの基板に対する部品装着機18による部品装着作業が完了する。
【0045】
6つの部品装着装置24の各々の基板搬送・固定装置26は、一列に配置されている。各基板搬送・固定装置26は、互いに独立して作動する2対のコンベア34を主要構成要素として構成されており、2対のコンベア34の各々は、種々の幅の基板に対応して、コンベア幅を独立して変更可能とされている。このような構成により、部品装着機18は、2つのレーンを有し、その2つのレーンにおいて、互いに独立して、部品装着作業を行うことが可能とされている。つまり、2つのレーンにおいて、例えば、同じ種類の電気回路の部品装着作業を交互に行うことも、また、互いに異なる種類の電気回路の部品装着作業を交互に行うことも可能とされている。
【0046】
部品装着機18の2つのレーンに対応して、リフロー炉20も、2つのレーンを有している。2つのはんだ印刷機14のうちの一方は、2つのレーンの一方において部品装着作業が行われる基板に対するはんだ印刷作業を行い、他方は、2つのレーンの他方において部品装着作業が行われる基板に対するはんだ印刷作業を行う。基板投入器12から投入されて、上流側のはんだ印刷機14によってはんだ印刷作業が行われた基板は、下流側のはんだ印刷機14を通過して基板振分器16に送られ、また、下流側のはんだ印刷機14によってはんだ印刷作業が行われる基板は、上流側のはんだ印刷機14を通過して下流側のはんだ印刷機14によるはんだ印刷作業が行われた後、基板振分器16に送られる。基板振分器16に送られてきた基板は、基板振分器16によって、部品装着機18の2つのレーンに振り分けられる。
【0047】
上記のように構成された機器列10は、独立して実装作業可能な2つのレーンを有している。つまり、機器列10は、電気回路を製造するための独立した2つの製造ラインを有していると考えることができるのである。
【0048】
機器列10は、図1に示すように、自身を構成する機器を統括して制御する統括制御機36を有しており、2つのレーンの各々を搬送されて製造された電気回路、つまり、2つの製造ラインの各々によって製造された電気回路は、統括制御装置36によって把握される。具体的には、部品装着機18を構成する部品装着装置24の各々、および、2つのはんだ印刷機14の各々において、基板に付された基板ID識別子(例えば、QRコード)が読み取られ、その読取によって得られたID情報が統括制御器36に送られ、統括制御装置36は、そのID情報を認識する。そして、最下流側に配置された部品装着装置24による部品装着作業が終了した電気回路を、製造が完了した電気回路としてそれのID情報とともに認識するのである。なお、ID情報は、電気回路の種類(回路種)を示す回路種識別情報と、電気回路を順序付けして示すシリアルナンバー情報とを含んでいる。
【0049】
統括制御装置36は、製造が完了した1つの電気回路の上記ID情報と、その電気回路がいずれの製造ラインから受け取ったかについての情報、つまり、その電気回路がどの製造ラインで製造されたかを示すライン識別情報とを、製造完了情報として、当該製造システムに対して配備された製造数管理装置38に送信する。製造システムが有する複数の機器列10の各々の統括制御装置36は、LAN40によって製造数管理装置38に接続されており、製造数管理装置38は、各機器列10の各レーン、すなわち、各製造ラインによって製造された電気回路1つ1つについての製造完了情報を、随時、つまり、その1つ1つの電気回路の製造が完了したごとに、受信する。
【0050】
≪製造数管理装置の構成≫
製造数管理装置38は、コンピュータを主体とする装置であり、所定のプログラムの実行下で、図3のブロック図に示すような機能構成を有する装置とされる。具体的には、製造数記憶部42,登録・変更部44,製造完了数更新部46,割込製造対処部48,表示制御部50といった種々の機能部を有している。
【0051】
製造数記憶部42は、当該管理装置38の中心的な機能部であり、当該製造システムで製造されている種々の電気回路の製造予定数,現時点での製造完了数を記憶している。登録・変更部44は、ある種の電気回路の製造を新規に予定したり、既に製造を予定しているある種の電気回路の製造予定数を変更したり等した際に、製造数記憶部42に記憶されている製造予定数を追加・変更するための機能部である。この登録・変更部44は、当該管理装置38若しくは各機器列10が有する統括制御装置が備えるキーボード等(以下、それらを総称して「入力手段」という場合がある)を介して入力された情報に基づいて、追加・変更の処理を行う。製造完了数更新部46は、各機器列10の統括制御装置が備える上述の製造完了情報に基づき、その情報を受信した都度、製造数記憶部42に記憶されている製造完了数を更新する。つまり、随時、製造完了数の更新処理を行う。
【0052】
いずれかの機器列10のいずれかのレーン、すなわち、当該製造システムのいずれかの製造ラインにおいて、予定された製造数の電気回路の製造が完了していない段階で、別の電気回路の製造が割り込まれる場合がある。割込製造対処部48は、この割込製造に対処すべく、製造数記憶部42に記憶されている製造予定数および製造完了数を変更する処理を行う。この変更処理は、上記入力手段を介して入力された情報に基づいて行われる。表示制御部50は、製造数記憶部42に記憶されている製造予定数および製造完了数に基づいて、当該管理装置38および各機器列10が備えるディスプレイ等(以下、「表示手段」と総称する場合がある)に、それら製造予定数および製造完了数を表示させるための処理を行う。
【0053】
≪製造数管理装置による処理≫
本製造数管理装置38は、ユーザの任意の選択によって、製造数記憶部42における製造予定数,製造完了数の記憶形態、製造完了数更新部46による更新処理の形態等が互いに異なる2つの処理モードのいずれかで作動する。2つの処理モードの1つは、ライン依拠処理モードであり、もう1つの処理モードは回路種依拠処理モードである。以下に、それらのモードごとに、本製造数管理装置による処理を説明する。
【0054】
(I)ライン依拠処理モード
ライン依拠処理モードは、端的に言えば、製造ラインごとに製造数を管理するためのモードである。このモードでは、図4に示すように、製造数記憶部42において、製造ラインごとに、製造予定数,製造完了数が記憶される。入力手段を介して、新規に、1つの製造ラインに対してある種類の電気回路をある製造予定数製造する旨の情報が入力されたときに、登録・変更部44は、その情報に基づいて、その製造ラインに対応して製造数記憶部42に設定されている記憶領域に、その製造予定数を記憶させ、それに対応する記憶領域に、製造完了数として、“0”を記憶させる。図4(a)は、製造開始前の状態であり、機器列#1のAレーン,Bレーンの各々が、回路種 〔modela〕の電気回路がそれぞれ300ずつ製造予定であり、機器列#2のAレーン,Bレーンの各々が、回路種 〔modelb〕の電気回路がそれぞれ400ずつ製造予定である状態を示している。なお、本製造システムは、多数の機器列10を有しているが、以下の説明では、機器列#1,機器列#2が製造を予定する種類と異なる種類の電気回路を製造するものとして、それらについての説明は省略する。ちなみに、記憶されている内容は、表示制御部50の制御の下、当該製造数管理装置38の表示手段に、また、その内容のうち自身のレーンに関するものが、各機器列10の統括制御装置36の表示手段に、表示される。
【0055】
各機器列10において製造が開始されると、製造数管理装置38は、電気回路が1つ製造された都度、各機器列10の統括制御装置36から、いずれのレーンにおいて電気回路が製造されたかを示す上記ライン識別情報と、上記回路種識別情報として機能する上記ID情報とを、製造完了情報として受け取る。製造完了数更新部46は、その製造完了情報に基づいて、随時、ライン識別情報が示す製造ラインに対応して製造数記憶部42に記憶されているその製造ラインについての製造完了数を、“1”だけ増加させる。図4(b)は、そのような更新処理の結果として、機器列#1のAレーン,Bレーンの各々において、回路種 〔modela〕の電気回路が100ずつ製造され、機器列#2のAレーン,Bレーンの各々において、80ずつ製造された時点の製造数記憶部42の状態を示している。
【0056】
いずれかの製造ラインについての製造完了数が製造予定数に達した場合には、その製造ラインが製造していた電気回路の予定数の製造が完了した旨が、当該製造数管理装置38の表示手段に、また、その製造ラインであるレーンを有する機器列10の統括制御装置36の表示手段に、表示され、その製造ラインについて製造数記憶部42に記憶されていた製造予定数および製造完了数が削除される。つまり、本製造数管理装置38では、ある製造ラインの製造完了数が製造予定数に達した場合に、それら製造完了数および製造予定数の削除が許容されるのであり、裏を返せば、その製造ラインの製造完了数が製造予定数に達するまでは、それら製造完了数および製造予定数の削除は禁止されているのである。
【0057】
次に、いずれの製造ラインにおいても製造されていない種類の電気回路のいずれかの製造ラインへの割込製造に関する処理を説明する。例えば、図4(b)に示す状態において100の〔modelc〕の電気回路が、機器列#1のBレーンに割込製造されるとする。この割込製造の開始の際には、それまで、機器列#1のBレーンで製造していた〔modela〕の電気回路を製造している他の製造ライン、つまり、機器列#1のAレーンについて製造数記憶部42に記憶されている製造予定数および製造完了数に、その時点で機器列#1のBレーンについて記憶されている製造予定数および製造完了数が、それぞれ、加算される。つまり、図4(c)に示すように、機器列#1のAレーンに対応して設定されている記憶領域に、製造予定数,製造完了数が、それぞれ、“600”,“200”と記憶され、それとともに、機器列#1のBレーンに対応して設定されている記憶領域に、〔modelc〕の電気回路の製造予定数,製造完了数として、それぞれ“100”,“0”が、新たに記憶される(図4(c)において、網掛けを施した領域)。
【0058】
その割込製造が行われた状態で各製造ラインにおける製造が進行すれば、その進行に合わせて、各製造ラインの製造完了数が更新される。割込製造を行った機器列#1のBレーンの〔modelc〕の電気回路の製造完了数が“100”に達したときに、その割込製造が終了する。その状態における製造数記憶部42の記憶内容は、図4(d)に示す内容となっている。ちなみに、機器列#1のAレーンでは、320の〔modela〕の電気回路が、機器列#2のAレーン,Bレーンの各々では、170の〔modelb〕の電気回路が、それぞれ製造されている。
【0059】
上記割込製造が終了した時点において、その割込製造が行われた製造ラインにおいてその割込製造の前に製造していた種類の電気回路の製造が、他の製造ラインにおいて完了していないときには、本製造数管理装置38では、自動的に、その製造ラインが上記前に製造していた種類の電気回路の製造を再開させるための処理を行うようにされている。図4(c)に示す状態では、機器列#1のBレーンにおいて次に製造が予定されている〔modela〕の電気回路を製造している機器列#1のAレーンの製造予定数および製造完了数が、機器列#1のBレーンの製造予定数および製造完了数に振り分けられる。言い換えれば、その時点の機器列#1のAレーンに対応して設定されている記憶領域の製造予定数の一部および製造完了数の一部が、機器列#1のBレーンに対応して設定されている記憶領域に記憶され、機器列#1のAレーンに対応して設定されている記憶領域の製造予定数および製造完了数から、それら一部が減じられる。
【0060】
その際、機器列#1のBレーンの製造予定数および製造完了数と、機器列#1のAレーンの製造予定数および製造完了数とのそれぞれの差が、可及的に小さくなるように振り分けられる。つまり、〔modela〕の電気回路の製造が、2つの製造ラインにおいて平準化されるのである。具体的には、図4(e)に示すように、〔modela〕の電気回路について、機器列#1のAレーン,Bレーンの各々の製造予定数,製造完了数が、それぞれ、“300”,“160”とされる。割込製造の終了の際の処理が行われた後は、各製造ラインの製造の進行に伴って、先に説明した更新処理が行われる。
【0061】
(II)回路種依拠処理モード
回路種依拠処理モードは、端的に言えば、製造される電気回路の種類ごとに製造数を管理するためのモードである。このモードでは、図5に示すように、製造数記憶部42において、回路種ごとに、製造予定数,製造完了数が記憶される。入力手段を介して、新規に、ある種類の電気回路がいずれか1以上の製造ラインで製造を予定する旨の情報が入力された場合、登録・変更部42は、その情報に基づいて、各回路種に対応して製造数記憶部42に設定されている記憶領域に、その回路種の製造予定数を記憶させ、それに対応する記憶領域に、製造完了数として、“0”を記憶させる。ライン依拠処理モードと同様、機器列#1のAレーン,Bレーンの各々が、300ずつの〔modela〕の電気回路を製造し、機器列#2のAレーン,Bレーンの各々が、400ずつの〔modelb〕の電気回路を製造するものとした場合、製造開始前の状態では、図5(a)に示すように、〔modela〕の電気回路に対応する記憶領域に、“600”が、〔modelb〕の電気回路に対応する記憶領域に、“800”が、それぞれ記憶される。なお、以下の説明では、ライン依拠処理モードの説明と同様、機器列#1,機器列#2が製造を予定する種類と異なる種類の電気回路を製造するものとして、それらについての説明は省略する。また、それらの記憶されている内容が、表示制御部50の制御の下、当該製造数管理装置38の表示手段に、機器列10の各々の統括制御装置36の表示手段には、その各々が有するレーンにおいて製造されている電気回路についての内容が、それぞれ表示される。
【0062】
この回路種依拠処理モードでは、いずれの製造ラインがどの種類の電気回路を製造しているかを関係づける情報である対製造ライン電気回路種関係情報として、図6に示すライン−回路種対応マップが、上記入力手段を介して入力された情報に基づいて作成される。具体的には、図6(a)に示すように、機器列#1のAレーン,Bレーンでは、〔modela〕の電気回路が、機器列#2のAレーン,Bレーンでは、〔modelb〕の電気回路が、それぞれ製造されるのマップが作成される。
【0063】
各機器列10において製造が開始されると、製造数管理装置38は、電気回路が1つ製造された都度、各機器列10の統括制御装置36から、ライン依拠処理モードにおける製造完了情報と同様の製造完了情報を受け取る。製造完了数更新部46は、その製造完了情報に基づいて、随時、その情報が示す回路種に対応して製造数記憶部42に記憶されている製造完了数を、“1”だけ増加させる。具体的には、まず、製造完了情報がどの製造ラインから送られてきたかを示す情報に基づき、上記ライン−回路種対応マップを参照して、その製造ラインが製造している電気回路の回路種を特定し、その特定された回路種の電気回路に対応して記憶されている製造完了数を、カウントアップさせるのである。図5(b)は、そのような更新処理の結果として、ライン依拠処理モードで例示した時点と同じ時点、つまり、機器列#1のAレーン,Bレーンの各々において、〔modela〕の電気回路が100ずつ製造され、機器列#2のAレーン,Bレーンの各々において、80ずつ製造された時点の製造数記憶部42の状態を示している。
【0064】
いずれかの回路種の電気回路についての製造完了数が製造予定数に達した場合には、その電気回路の予定数の製造が完了した旨が、当該製造数管理装置38の表示手段に、また、その電気回路の製造を行っているレーンを有する機器列10の統括制御装置36の表示手段に、表示され、その電気回路に対応して製造数記憶部42に記憶されていた製造予定数および製造完了数が削除される。つまり、本製造数管理装置38では、ある回路種の電気回路の製造完了数が製造予定数に達した場合に、それら製造完了数および製造予定数の削除が許容されるのであり、裏を返せば、その回路種の電気回路の製造完了数が製造予定数に達するまでは、それら製造完了数および製造予定数の削除は禁止されているのである。
【0065】
ライン依拠処理モードにおいて例示したのと同じ割込製造が行われた場合には、図5(c)に示すように、製造数記憶部42に、回路種〔modelc〕の電気回路に対応した新たな記憶領域が設定され(図において、網掛けを施した領域)、その領域に、〔modelc〕の電気回路の製造予定数である“100”が記憶されるとともに、製造完了数“0”が記憶される。それとともに、上記ライン−回路種対応マップが、製造ラインとその製造ラインが製造する電気回路の回路種との関係付けが変更されるように、変更される。具体的には、図6(b)に示すように、機器列#1のBレーンが製造する電気回路の回路種が、〔modela〕から〔modelc〕に変更されるのである。
【0066】
上記割込製造が行われた状態で各製造ラインにおける製造が進行すれば、その進行に合わせて、各回路種の電気回路の製造完了数が更新される。割込製造を行った〔modelc〕の電気回路の製造完了数が“100”に達したときに、その割込製造が終了する。その状態における製造数記憶部42の記憶内容は、図5(d)に示す内容となっている。ちなみに、機器列#1のAレーンでは、〔modela〕の電気回路は、320、〔modelb〕の電気回路は、340、それぞれ製造されている。
【0067】
割込製造が終了した場合、割込製造の対象となった回路種の電気回路に対応して製造数記憶部42に設定されていた記憶領域は、削除される。具体的には、製造数記憶部42の記憶内容は、図5(e)に示すように変更される。また、割込製造が終了した時点において、その割込製造が行われた製造ラインでその割込製造の前に製造していた種類の電気回路の製造が、当該システムにおいて完了していないときには、自動的に、その製造ラインが上記前に製造していた種類の電気回路の製造を再開させるための処理を行うようにされている。その処理として、製造ラインとその製造ラインにおいて製造される電気回路の種類との関係付けを変更すべく、上記ライン−回路種対応マップの内容が、図6(b)に示す内容から図6(a)に示す内容に戻される。割込製造の終了の際の処理が行われた後は、各製造ラインの製造の進行に伴って、先に説明した更新処理が行われる。
【符号の説明】
【0068】
10:機器列 36:統括制御装置 38:製造数管理装置 42:製造数記憶部 46:製造完了数更新部 48:割込製造対処部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが基板に電気部品を実装して電気回路を製造する複数の製造ラインを備えた電気回路製造システムにおいて電気回路の製造数を管理するための製造数管理装置であって、
製造される電気回路の製造予定数と、現時点での製造完了数とを記憶する製造数記憶部と、
前記電気回路製造システムから随時送られてくる製造完了情報に基づいて、随時、前記製造数記憶部に記憶されている製造完了数を更新する製造完了数更新部と、
製造完了数が製造予定数に達しない電気回路を製造している前記複数の製造ラインのうちのいずれかにおいてその電気回路に代えて別の種類の電気回路を製造する割込製造に対処する割込製造対処部と
を有する電気回路製造システム用製造数管理装置。
【請求項2】
前記製造数記憶部が、前記複数の製造ラインの各々に対応して、その各々ごとに、その各々が製造する電気回路の製造予定数と製造完了数とを記憶するように構成されるとともに、前記製造完了数更新部が、製造完了情報が送られてきた製造ラインに対応して前記製造数記憶部に記憶されているその製造ラインの製造完了数を更新するように構成されており、
前記割込製造対処部が、
割込製造が開始される際、前記複数の製造ラインのうちの割込製造が開始される製造ラインが製造する前記別の種類の電気回路の製造予定数を、新たに、その製造ラインに対応させて前記製造数記憶部に記憶させるとともに、その製造ラインに対応して記憶されていたその製造ラインの製造予定数と製造完了数とを、それぞれ、その製造ラインと同じ種類の電気回路を製造している別の製造ラインに対応して記憶されているその別の製造ラインの製造予定数と製造完了数とに追加するように構成された請求項1に記載の電気回路製造システム用製造数管理装置。
【請求項3】
前記割込製造対処部が、
割込製造が終了した際、前記複数の製造ラインのうちの割込製造が終了した製造ラインに対応して前記製造数記憶部に記憶されるべきその製造ラインの製造予定数および製造完了数として、その製造ラインが次に製造を予定する電気回路と同じ種類の電気回路を製造している別の製造ラインに対応して記憶されているその別の製造ラインの製造予定数の一部および製造完了数の一部をそれぞれ新たに記憶させるとともに、それら製造予定数の一部および製造完了数の一部を、その別の製造ラインに対応して記憶されているその別の製造ラインの製造予定数および製造完了数からそれぞれ減ずるように構成された請求項2に記載の電気回路製造システム用製造数管理装置。
【請求項4】
前記割込製造対処部が、前記割込製造が終了した製造ラインに対応して新たに記憶させた前記製造予定数の一部および前記製造完了数の一部と、それらが減じられた前記別のラインの製造予定数および製造完了数とのそれぞれの差を、可及的に小さくするように構成された請求項3記載の電気回路製造システム用製造数管理装置。
【請求項5】
前記製造数記憶部が、前記複数の製造ラインが製造する電気回路の種類の各々に対応して、その種類の各々ごとに、その各々の種類の電気回路の製造予定数と製造完了数とを記憶するように構成されるとともに、前記製造完了数更新部が、製造された電気回路の種類に対応して前記製造数記憶部に記憶されているその種類の電気回路の製造完了数を更新するように構成されており、
前記割込製造対処部が、
割込製造が開始される際、前記複数の製造ラインのうちの割込製造が開始される製造ラインが製造する前記別の種類の電気回路の製造予定数を、新たに、その種類の電気回路に対応させて前記製造数記憶部に記憶させるように構成された請求項1に記載の電気回路製造システム用製造数管理装置。
【請求項6】
前記製造完了数更新部が、製造完了情報が前記複数の製造ラインのいずれから送られてきたかに基づき、前記複数の製造ラインのいずれがどの種類の電気回路を製造してるかを関係付ける対製造ライン電気回路種関係情報を参照して、製造された電気回路の種類を判断し、その種類に対応して前記製造数記憶部に記憶されているその種類の電気回路の製造完了数を更新するように構成されており、
前記割込製造対処部が、
割込製造が開始された若しくは終了した際、前記対製造ライン電気回路種関係情報のうち、前記複数の製造ラインのうちの割込製造が開始された若しくは終了した製造ラインと、その製造ラインが製造する電気回路の種類との関係付けを変更するように構成された請求項5に記載の電気回路製造システム用製造数管理装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−195476(P2012−195476A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−58953(P2011−58953)
【出願日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(000237271)富士機械製造株式会社 (775)
【Fターム(参考)】