電気接点開閉デバイスおよび消費電力抑制回路
【課題】アーク放電の発生を防止するとともに、材料費の低減および小型化を図ることができる電気接点開閉デバイス、消費電力抑制回路、直流モータ、パンタグラフ装置、コネクタおよびパルス発生装置を提供する。
【解決手段】負荷が電源に接続されている。通電用電気接点および過渡電流用電気接点が、互いに電気的に並列に接続され、時間差をつけて開閉可能である。コンデンサが、過渡電流用電気接点に対して直列に接続されている。通電用電気接点を開離するとき、電源からの過渡電流をコンデンサに流し、電源の内部抵抗や負荷による電圧降下を発生させて通電用電気接点の電圧上昇を抑えるよう過渡電流用電気接点を閉成しておく。
【解決手段】負荷が電源に接続されている。通電用電気接点および過渡電流用電気接点が、互いに電気的に並列に接続され、時間差をつけて開閉可能である。コンデンサが、過渡電流用電気接点に対して直列に接続されている。通電用電気接点を開離するとき、電源からの過渡電流をコンデンサに流し、電源の内部抵抗や負荷による電圧降下を発生させて通電用電気接点の電圧上昇を抑えるよう過渡電流用電気接点を閉成しておく。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気接点開閉デバイス、消費電力抑制回路、直流モータ、パンタグラフ装置、コネクタおよびパルス発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スイッチ、リレー、摺動接点などの機械的に開閉する電気接点開閉デバイスは、半導体方式のスイッチに比べて、開離状態での電気抵抗が大きいこと、閉成時の接触抵抗が小さいこと、制御部と開閉回路部との絶縁にすぐれていること、製造コストが比較的安いことなどの特徴がある。このため、情報機器、産業機器、自動車、家電などのあらゆる分野で、電源やアクチュエータ、センサ−などをふくむ回路の開閉に広く用いられている。また、これからも機械的なスイッチやリレーの生産量は増加を続けると言われている。
【0003】
従来の一般的な電気接点開閉デバイスでは、1つの電気回路の開閉に対し、1対の電気接点を有している。一対の電気接点が通電中に開離されると、各電気接点の接触面積が急激に低下するため、電流集中が生じ、そのポイントの電極が発熱で溶融するブリッジ現象が発生する。さらに電流が集中すると、金属蒸発にいたる。
【0004】
従来の電気接点開閉デバイスでは、開閉する電流が増大し、電源電圧が高くなり、そのの電流および電圧が、電気接点材料の種類によって決まる最小アーク放電電流(最小アーク電流)および最小アーク放電電圧(最小アーク電圧)を越えると、必ずアーク放電が発生する(例えば、非特許文献1乃至4参照)。電気接点間空間のアーク放電は、電極の発熱や接点物質の移動を伴い、特に大電流を開閉するリレーでは信頼性や寿命に限界があった。
【0005】
従来の電気接点開閉デバイスは、電気抵抗を下げるよう、銅材を基材として表面が金、銀、Pd、Pt、その他の低抵抗な金属で構成された一対の電極が対向する構造を有している。アーク放電を防ぐための方法として、融点が高く電気抵抗率が低く、さらに放電しにくい電極材料の開発や、雰囲気ガスの選択などの開発に力が注がれているが、決定的なものは開発されていない。アーク放電をできるだけ抑えるため、電極の加熱や熱伝導特性を悪くする方法もあったが、リレーなどの場合、励磁コイルに悪影響を与えるという問題があった。電気接点電極が機械的に複数に分割され、良好な接触の確率を高める工夫がされた電極も存在した。これは双子接点などと呼ばれ、電気接点電極とバネが2系統に分かれており、電気接点に異物が挟まるなどの接触障害を防ぐものであり、アーク放電を防止するものではなかった。また、2つの電気接点を有する電磁継電器の接点動作に時間差をつけ、閉成あるいは開離時に発生するアーク放電でも溶着しにくい電気接点と、接点抵抗の低い電気接点とを組み合わせて、前者を先に開閉する構造のものもある(特許文献1参照)。しかし、この場合もアーク放電の発生は起こり、本質的な問題の解決にはならない。
【0006】
大電流、高電圧を扱う電気接点は、アーク放電による故障発生を抑え、高性能、小形、低価格の電気接点開閉デバイスを実現するために、主に以下の5つの課題が検討されている。
(1)電気接点の溶着の抑制
(2)電気接点開離時の電極材料の転移抑制
(3)電極表面の化学反応(酸化、硫化等)による接触抵抗増大の抑制
(4)形状の小形化
(5)サージ発生の低減
【0007】
(1)の電気接点の溶着は、開離時の電流集中によって電極金属が溶融する事で発生するブリッジ現象および金属蒸発が直接的な原因である。しかし、アーク放電による電極表面の荒れや金属転移と密接に関係している。特に、一定方向のアーク放電の起こる直流で、顕著に発生する。(2)の電気接点開離時の電極材料の転移は、金属の溶融、蒸発と電極間でのアーク放電とが絡み合っておこる現象である。(3)の電極表面の化学反応による接触抵抗増大は、金属温度の上昇と、アーク放電などにより活性化されたガスとの化学反応が原因である。(4)は、リレーなどの電気接点開閉デバイスの小形化が難しいことによる。これは、大電流においてアーク放電を遮断するために開離時の電気接点ギャップを広く取る必要がある事、アーク放電により生じる凹凸のできた電気接点表面での良好な金属接触を実現するための大きな押力が必要な事などのために、アクチュエータが大型化することが原因である。(5)のサージ発生は、電気接点が大電流を遮断するとき、特に誘導性負荷時の急激な回路電流の遮断時の、不可避な現象とみなされている。駆動力の大きなアクチュエータで、速い接点開離速度で開閉すると、可動電極の共振現象などにより、電気接点接触時にバウンスが生じ、複雑なノイズの原因となっている。すなわち、定常アーク放電は、開離時の電気接点間で発生する金属蒸気を媒介とした放電から始まり、周囲気体によるガス相放電へと移行し、電極材料の消耗・転移・酸化などの特性劣化の要因となる。電気接点が抱える多くの問題は、いずれも、アーク放電の抑圧が、抜本的な問題解決手段である。
【0008】
電気接点開閉デバイスの他にも、電気モータの電機子や電車のパンタグラフにおいてもアーク放電現象が発生し、問題となっている。
電子化のすすむ自動車用電装部品などでは、許容電力を増大させ、配線による電力消費量を抑制するために高電圧化の流れは必須である。家庭でも、大電力化がすすみ、300V化が進行している。このため、電気接点のアーク放電対策はますます重要であり、対策が検討されている。
【0009】
現在は、アーク放電発生は不可避とみなされ、目標とする開閉回数の放電にも耐える電気接点構成、例えば電極の形状や合金金属の種類や金属膜の厚さなどの工夫で対応している。従来、最小アーク放電電流Imは、材料に依存する量として、表1のような値が知られている(非特許文献5参照)。一方、電圧にも同様に最小アーク放電電圧Vmの存在が知られている。表1に示すように、例えばAuを電気接点材料として用いた場合、最小アーク放電電流Imは0.38Aで最小アーク放電電圧Vmは15Vである。
【0010】
表1に、各種金属材料における最小アーク放電電流および最小アーク放電電圧を示す。
【表1】
【0011】
従来、発生したアーク放電を消去するため,電気接点間にコンデンサを並列接続する火花消弧回路が用いられている。すなわち、アーク放電により、電気接点間に発生した電流がコンデンサに分流して、最小アーク放電電流以下となり、アーク放電が消えるものである。例えば、電気接点間に1μFのコンデンサを付加することでAuのアーク放電は6A程度まで消弧される報告がなされている。しかし、電気接点間にコンデンサを挿入する事により、電気接点遮断後も交流に対するインピーダンスを持つため、使用する用途が直流に限定されるという問題がある。また、電気接点遮断時もコンデンサが電源の負荷となるため、電気接点開閉デバイスの単純な絶縁特性が阻害され、使用分野に限界があるという問題もある。さらに、コンデンサが充電された状態で、電気接点が閉成されると、瞬時にコンデンサから電気接点に電流が流れ、金属接点の溶着が起こる場合があるという問題もある。コンデンサに直列に抵抗を接続して、この悪影響を低減する試みもあるが、用途は限定的である。また、並列コンデンサの挿入によりアーク放電が抑圧される原理の理論的な検討が不十分であり、遮断する電流とコンデンサ容量との関係や、高速に変化する電流に対する適応も検討されていない。
【0012】
アーク放電の他に接点デバイスで問題となるのは開離時の電流集中により接触面近傍の温度が上昇し、金属が溶融したり、蒸発する問題がある。電気接点の接触電圧Vcから接触面近傍の最高温度Tmaxを推定できる理論「φ―Θ理論」がある(例えば、非特許文献5参照)。電流路両端の等温面温度を室温(T0=300k)とし、接触電圧をVcとし、ρλ=L・T(Wiedemann−Franzの法則)の成立を仮定すると、
Tmax=((Vc2/4L)+T02)1/2≦3200・Vc[K] …(1)
の近似式が得られる。ここで、電流路の材料の軟化点温度Ts、融点温度Tmおよび沸点温度Tbに相当する電位差は、それぞれ軟化電圧Vs、溶融電圧Vmおよび沸騰電圧Vbと呼ばれている。
【0013】
これらの問題を解決するために、電気接点間にコンデンサを並列接続した回路に対して、直列に別の電気接点を設け、各電気接点を連動して開閉可能に構成された消弧回路装置が提案されている(特許文献2参照)。
【0014】
【非特許文献1】高木相、「電気接点のアーク放電現象」、コロナ社、1995年
【非特許文献2】高橋篤夫、「接点アークの発生領域に関する研究」、日本工業大学研究報告、1976年、別巻第一号、p65
【非特許文献3】「リレー技術解説書」、富士通コンポーネント、2002年、p337
【非特許文献4】ハミルトン、シラーズ(A.Hamilton,R.W.Sillars),「スパーク・クエンチング・アット・リレー・コンタクト・インターラプティング・ディーシー・サーキット(SPARK QUENCHING AT RELAY CONTACTS INTERRUPTING D.C. CIRCUITS)」,ピー・アイ・イー・イー(P.IEE),(米国),1949,Vol.96,P64
【特許文献1】実開平6−70143号公報
【非特許文献5】ホルム(R.Holm)、「エレクトリック・コンタクト・セオリー・アンド・アプリケーション(Electric Contact Theory and Application)」,(米国),Springer−Verlag,New York,1967,4th ed.p283,p60
【特許文献2】特開平9−245586号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、特許文献2記載の消孤回路装置は、各電気接点が直列に接続されているため、電気接点が1つの場合に比べて、接触抵抗が2倍になり、エネルギー損失量や発熱量が2倍になる。このため、消費電力が増加するという課題がある。また、各電気接点が通電電流に耐える容量を必要とするため、各電気接点が大型になり、材料費が嵩むという課題がある。消孤のためのコンデンサには必ず電源電圧が印加されるため、耐圧性のコンデンサを使用する必要があり、材料費が嵩み、大型になるという課題がある。
【0016】
本発明は、このような課題に着目してなされたもので、アーク放電の発生を防止するとともに、消費電力を抑制することができ、材料費の低減および小型化を図ることができる電気接点開閉デバイス、消費電力抑制回路、直流モータ、パンタグラフ装置、コネクタおよびパルス発生装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するために、第1の本発明に係る電気接点開閉デバイスは、通電用電気接点と過渡電流用電気接点とコンデンサとを有し、前記通電用電気接点および前記過渡電流用電気接点は互いに電気的に並列に接続され、時間差をつけて開閉可能であり、前記コンデンサは前記過渡電流用電気接点に対して直列に接続されていることを、特徴とする。
【0018】
電源と抵抗やインダクタンスとから成り立つ複雑な回路であっても、鳳・テブナンの定理から、定電圧電源1と等価インピーダンス2の直列接続で表現できる。このため、図36に示すように、スイッチ動作の検討は、それらとスイッチ3を組み合わせたスイッチ回路の等価回路で行うことができる。電源1としては、直流、交流あるいは脈流や、それらを組み合わせたものが想定される。しかし、図37に示すように、電源1の時間変化に比べて、より時間的に急激な開閉動作時の過渡現象に着目すれば、総てを統一的に扱える。
【0019】
図38に示すように、理想的なスイッチ3、すなわち接触抵抗変化がゼロ→∞で、変化時間がゼロならば、スイッチングでの電力消費(発熱)はない。しかし、図39に示すように、実際のスイッチ3では、接触抵抗はゼロではなく、完全に開離するまでに抵抗値の時間変化が生じる。そのために、電気接点間で電力が消費される。図40に示すように、電流が遮断され、ほぼゼロの電極間電圧が電源電圧まで上昇する過程において、単一のスイッチ3では、a点からb点にコントロールされずに移行するので、電力の発生領域を経由する。また、図41に示すように、例えば電磁リレーでは、大電流を遮断するスイッチ3の開離時に、遮断電流と電源電圧の中間で定常アーク放電現象が発生し、電気接点間で大きな電力が消費される。このとき、インダクタンス分を無視すれば、電源抵抗や負荷抵抗と電気接点間抵抗がほぼ等しいとき、電源1が電気接点にもっとも大きな電力を供給することになる。
【0020】
第1の本発明に係る電気接点開閉デバイスでは、通電用電気接点および過渡電流用電気接点が時間差をつけて開閉可能であるため、通電用電気接点の開離動作中の接点間抵抗変化による電源からの過渡電流を、過渡電流用電気接点を介してコンデンサに流すことができる。これにより、電源の内部抵抗や負荷の抵抗、インダクタンスによる電圧降下を発生させ、通電用電気接点の電流遮断直後の電圧を上昇させない。この状態は、図40では、電圧がゼロに近い状態でa点からc点に移行することに対応する。
【0021】
通電用電気接点が完全に開離後、過渡電流用電気接点を開離することにより、瞬時に過渡電流がゼロとなり、通電用電気接点の電圧は上昇し、電源電圧に至る。この状態は、図40では、c点からb点に至ることに対応する。このように、第1の本発明に係る電気接点開閉デバイスは、開離時の通電用電気接点での消費電力を抑制することができる。また、通電用電気接点の電圧または電流を、最小アーク放電電圧または最小アーク放電電流以下にすることができるため、アーク放電の発生を防止することができる。
【0022】
図42に示すように、電磁雑音の発生源として、モータやランプなどのインダクティブな負荷などを流れる電流を遮断するとき、コンデンサなどの負荷に急速に電流を流し始めるときに、電流の急激な変化によってサージ雑音が発生する。第1の本発明に係る電気接点開閉デバイスでは、通電用電気接点の開離動作時に、過渡電流用電気接点を通してコンデンサに過渡電流を流すことにより、負荷を流れる電流が急激に低下するのを防ぎ、緩やかな変化にすることができる。これにより、サージ雑音を抑制することができる。
【0023】
第1の本発明に係る電気接点開閉デバイスでは、過渡電流用電気接点を閉成してコンデンサに電源電圧をかける時間を、通電用電気接点の開離時のみに設定すればよいため、耐圧性の低い小型のコンデンサを用いることができ、材料費の低減および小型化を図ることができる。また、通電用電気接点の開離時以外は、過渡電流用電気接点を開離しておくことにより、過渡電流用電気接点にほとんど電気が流れない。このため、過渡電流用電気接点に、電流遮断用の電気接点よりも小型のものを用いることができ、材料費の低減および小型化を図ることができる。
【0024】
第1の本発明に係る電気接点開閉デバイスは、前記通電用電気接点を開離するとき、前記過渡電流用電気接点を閉成しておく構成を有することが好ましい。この場合、通電用電気接点の開離動作中の接点間抵抗変化による電源からの過渡電流を、過渡電流用電気接点を介してコンデンサに流すことができる。これにより、電源の内部抵抗や負荷の抵抗、インダクタンスによる電圧降下を発生させ、通電用電気接点の電流遮断直後の電圧上昇を抑えるため、開離時の通電用電気接点での消費電力を抑制することができる。
【0025】
第1の本発明に係る電気接点開閉デバイスは、前記コンデンサに対して並列に電気抵抗またはスイッチが接続されていることが好ましい。この場合、電気抵抗またはスイッチにより、過渡電流用電気接点の開離後にコンデンサを初期化することができる。
【0026】
第1の本発明に係る電気接点開閉デバイスは、前記コンデンサの容量は前記通電用電気接点を開離するとき、前記通電用電気接点を流れる電流値が前記通電用電気接点の最小アーク放電電流値以下になる時点で、前記通電用電気接点間の電圧が最小アーク放電電圧値以下となるよう設定されていることが好ましい。この場合、通電用電気接点を開離するとき、通電用電気接点間の電流または電圧のいずれか一方が、必ず最小アーク放電電流値または最小アーク放電電圧値以下になっているため、アーク放電の発生を確実に防止することができる。
【0027】
第1の本発明に係る電気接点開閉デバイスは、前記コンデンサは前記通電用電気接点間の電圧が、前記通電用電気接点間の融点温度Tmまたは沸点温度Tbに対応する電圧V≒Tm/3200またはV≒Tb/3200を超えない容量に設定されていることを、特徴とする請求項1,2,3または4記載の電気接点開閉デバイス。この場合、(1)式より、通電用電気接点間の電圧が溶融電圧または沸騰電圧より低い電圧に抑えられるため、通電用電気接点を開離するとき、通電用電気接点でブリッジ現象や金属蒸発が発生するのを防止することができる。
【0028】
第1の本発明に係る電気接点開閉デバイスは、前記過渡電流用電気接点を前記通電用電気接点の開閉信号に基づいて機械的または電気的に開閉する手段を有することが好ましい。この場合、通電用電気接点の開閉信号をトリガとして、過渡電流用電気接点の開閉のタイミングを、機械的または電気的に任意に設定することができる。
【0029】
第1の本発明に係る電気接点開閉デバイスは、前記過渡電流用電気接点の代わりに整流回路を有し、前記整流回路は、前記通電用電気接点を開離したとき前記コンデンサに電荷を蓄えるよう前記コンデンサに流入する電流を整流してもよい。さらに、第1の本発明に係る電気接点開閉デバイスは、前記整流回路に対して直列に接続された過渡電流用電気接点を有してもよい。この場合、電源電圧の変動が通電用電気接点の開閉動作より高速のときにも、通電用電気接点が開離したときコンデンサに電荷を蓄えることができ、コンデンサに過渡電流以外の定常的な電流が流れるのを防止することができる。このため、過渡電流スイッチを電流ゼロの状態で開離することができる。また、整流回路により、直流電源の場合にコンデンサの電流方向の指定が不要になるため、電解コンデンサのような極性のあるコンデンサを使用することができる。
【0030】
第2の本発明に係る電気接点開閉デバイスは、通電用電気接点と過渡電流用電気接点とインダクタンスとを有し、前記通電用電気接点および前記過渡電流用電気接点は互いに電気的に並列に接続されて互いに時間差をつけて開閉する構成を有し、前記インダクタンスは前記過渡電流用電気接点に対して直列に接続されていることを、特徴とする。
【0031】
図43に示すように、図36に示す回路で、理想的なスイッチ3では、電力消費は生じない。しかし、図44に示すように、実際のスイッチ3では、接触抵抗はゼロではなく、完全に閉成するまでに抵抗値の時間変化が生じる。そのために、電気接点間で電力が消費される。第2の本発明に係る電気接点開閉デバイスでは、通電用電気接点および過渡電流用電気接点が時間差をつけて開閉可能であるため、過渡電流用電気接点を流れる電源の過渡電流を定常値に収束させ、通電用電気接点間の電圧がほぼゼロとなった状態で通電用電気接点を閉成することができる。これにより、閉成時の通電用電気接点での消費電力を抑制することができる。
【0032】
第2の本発明に係る電気接点開閉デバイスでは、通電用電気接点の閉成動作時に、過渡電流用電気接点を通してインダクタンスに過渡電流を流すことにより、負荷に急激に電流が流れるのを防ぎ、緩やかな変化にすることができる。これにより、サージ雑音を抑制することができる。
【0033】
第2の本発明に係る電気接点開閉デバイスは、前記通電用電気接点を閉成するとき、前記過渡電流用電気接点を閉成しておく構成を有することが好ましい。この場合、過渡電流用電気接点を流れる電源の過渡電流が定常値に収束し、通電用電気接点間の電圧がほぼゼロとなった状態で通電用電気接点を閉成することができる。これにより、閉成時の通電用電気接点での消費電力を抑制することができる。
【0034】
第1および第2の本発明に係る電気接点開閉デバイスは、前記通電用電気接点および前記過渡電流用電気接点は半導体スイッチから成ってもよい。この場合、高速に通電用電気接点および過渡電流用電気接点を開閉するときに効果的である。半導体スイッチは、トラジスタやFET、ダイオードなどから成る。特に、大電流を取り扱えるパワーMOSFETから成るとき、スイッチ閉成時および開離時の発熱を抑えることができる。
【0035】
第1の本発明に係る消費電力抑制回路は、電源と負荷と第1の本発明に係る電気接点開閉デバイスとを有し、前記負荷は前記電源に接続され、前記電気接点開閉デバイスは前記負荷に対して直列に接続され、前記通電用電気接点を開離するとき、前記電源からの過渡電流を前記コンデンサに流し、前記電源の内部抵抗や前記負荷による電圧降下を発生させて前記通電用電気接点の電圧上昇を抑えるよう前記過渡電流用電気接点を閉成しておく構成を有することを、特徴とする。
【0036】
第1の本発明に係る消費電力抑制回路は、通電用電気接点を開離するとき、過渡電流用電気接点を閉成しておくことにより、電源からの過渡電流をコンデンサに流し、電源の内部抵抗や負荷による電圧降下を発生させて通電用電気接点の電圧上昇を抑えるため、開離時の通電用電気接点での消費電力を抑制することができる。また、通電用電気接点の電圧または電流を、最小アーク放電電圧または最小アーク放電電流以下にすることができるため、アーク放電の発生を防止することができる。
【0037】
第1の本発明に係る消費電力抑制回路は、通電用電気接点の開離動作時に、過渡電流用電気接点を通してコンデンサに過渡電流を流すため、負荷を流れる電流が急激に低下するのを防ぎ、緩やかな変化にすることができる。これにより、サージ雑音を抑制することができる。
【0038】
第1の本発明に係る消費電力抑制回路では、過渡電流用電気接点を閉成してコンデンサに電源電圧をかける時間を、通電用電気接点の開離時のみに設定することにより、耐圧性の低い小型のコンデンサを用いることができ、材料費の低減および小型化を図ることができる。また、通電用電気接点の開離時以外は、過渡電流用電気接点を開離しておくことにより、過渡電流用電気接点にほとんど電気が流れない。このため、過渡電流用電気接点に、電流遮断用の電気接点よりも小型のものを用いることができ、材料費の低減および小型化を図ることができる。
【0039】
第2の本発明に係る消費電力抑制回路は、電源と負荷と第2の本発明に係る電気接点開閉デバイスとを有し、前記負荷は前記電源に接続され、前記電気接点開閉デバイスは前記負荷に対して直列に接続され、前記過渡電流用電気接点を閉成し、前記過渡電流用電気接点を流れる前記電源の過渡電流が定常値に収束した後、前記通電用電気接点を閉成する構成を有することを、特徴とする。
【0040】
第2の本発明に係る消費電力抑制回路は、過渡電流用電気接点を閉成し、過渡電流用電気接点を流れる電源の過渡電流が定常値に収束した後、通電用電気接点を閉成するため、閉成時の通電用電気接点での消費電力を抑制することができる。また、通電用電気接点の閉成動作時に、過渡電流用電気接点を通してインダクタンスに過渡電流を流すため、負荷に急激に電流が流れるのを防ぎ、緩やかな変化にすることができる。これにより、サージ雑音を抑制することができる。
【0041】
本発明に係る直流モータは、電源に接続された1対のブラシに、それぞれ電機子の両端に設けられた1対の整流子を交互に接触させて、磁界中に置かれた電機子に直流電流を流し、電磁力により電機子を回転させる直流モータであって、各整流子は前記ブラシに接触したとき互いに電気的に並列に接続されるよう、回転方向に並べて設けられた2つの接点と、回転方向に向かって後方側の接点に対して直列に接続されたコンデンサとを有することを、特徴とする。
【0042】
本発明に係る直流モータは、回転方向に向かって前方側の接点に接触していたブラシが、整流子の回転によりその接点から離れるとき、後方側の接点に接触するため、電源からの過渡電流をコンデンサに流すことができる。これにより、電源の内部抵抗などによる電圧降下を発生させて、ブラシと前方側の接点との間の電圧上昇を抑えるため、そこでのアーク放電の発生を防止することができ、消費電力を抑制することができる。
【0043】
本発明に係るパンタグラフ装置は、架線に接触して通電するためのパンタグラフ装置であって、1対のパンタグラフとコンデンサとを有し、各パンタグラフは前記架線に接触したとき、互いに電気的に並列に接続されるよう設けられ、前記コンデンサは一方のパンタグラフに対して直列に接続されていることを、特徴とする。
【0044】
本発明に係るパンタグラフ装置は、他方のパンタグラフが振動などにより架線から離れても、一方のパンタグラフが架線に接触していれば、架線からの過渡電流をコンデンサに流すことができる。これにより、架線の内部抵抗などによる電圧降下を発生させて、架線と他方のパンタグラフとの間の電圧上昇を抑えるため、そこでのアーク放電の発生を防止することができ、消費電力を抑制することができる。
【0045】
本発明に係るコネクタは、ソケットとプラグとを接続することにより、ソケットに接続されたソケット側導電線とプラグに接続されたプラグ側導電線とを導通させるコネクタであって、ソケット側分岐線とプラグ側分岐線とコンデンサとを有し、前記ソケット側導電線はソケット側通電用接点を有し、前記ソケット側分岐線は前記ソケット側導電線から分岐してソケット側過渡電流用接点を有し、前記プラグ側導電線はプラグ側通電用接点を有し、前記プラグ側分岐線は前記プラグ側導電線から分岐してプラグ側過渡電流用接点を有し、前記コンデンサは前記ソケット側分岐線または前記プラグ側分岐線に設けられ、前記ソケットを前記プラグに接続したとき前記ソケット側通電用接点と前記プラグ側通電用接点とが閉成し、前記ソケットを前記プラグに接続したとき、または前記ソケットを前記プラグから外すとき前記ソケット側過渡電流用接点と前記プラグ側過渡電流用接点とが閉成し、その閉成状態を維持したまま前記前記ソケット側通電用接点と前記プラグ側通電用接点とが開離して前記ソケットを前記プラグから外す構成を有することを、特徴とする。
【0046】
本発明に係るコネクタは、ソケットをプラグから外すとき、ソケット側過渡電流用接点とプラグ側過渡電流用接点とが閉成した状態で、ソケット側通電用接点とプラグ側通電用接点とを開離させるため、電源からの過渡電流をコンデンサに流すことができる。これにより、電源の内部抵抗などによる電圧降下を発生させてソケット側通電用接点とプラグ側通電用接点との間の電圧上昇を抑えるため、そこでのアーク放電の発生を防止することができ、消費電力を抑制することができる。
【0047】
本発明に係るパルス発生装置は、回転体と複数の回転電極と接触電極とコンデンサとを有し、各回転電極はそれぞれ絶縁体で隔てられ前記回転体の回転軸を中心として回転対称の位置に設けられ、各回転電極は前記回転体の回転方向前側に配置された前側電極片と回転方向後側に配置された後側電極片とから成り、前記前側電極片および前記後側電極片は電源に対し互いに電気的に並列に接続される構成を有し、前記接触電極は、前記回転体が回転するとき各回転電極に順次間欠的に接触し、各回転電極の前側電極片および後側電極片に対して前記前側電極片への接触、前記前側電極片および前記後側電極片への接触、前記後側電極片への接触の順で接触するよう設けられ、前記コンデンサは各後側電極片に対して直列に接続されていることを、特徴とする。
【0048】
本発明に係るパルス発生装置は、電流パルス列または電圧パルス列を発生することができ、インバータ装置などに使用可能である。接触電極が各回転電極の前側電極片および後側電極片に対して前側電極片への接触、前側電極片および後側電極片への接触、後側電極片への接触の順で接触するよう設けられているため、接触電極が前側電極片から離れるとき、電源からの過渡電流をコンデンサに流すことができる。これにより、電源の内部抵抗などによる電圧降下を発生させて、接触電極と前側電極片との間の電圧上昇を抑えるため、そこでのアーク放電の発生を防止することができ、消費電力を抑制することができる。
【0049】
なお、第1および第2の本発明に係る電気接点開閉デバイス、ならびに第1および第2の本発明に係る消費電力抑制回路では、過渡電流用電気接点を流れる電流波形、または直列に接続されるコンデンサやコイルの電圧波形を解析すれば、動作条件に近い状態での回路の特性を、図1に示すような等価回路として推定できる。この場合、通電用電気接点が閉成され回路が動作している時、過渡電流用電気接点での電流もコンデンサやコイルでの電圧も発生せず、その電流や電圧を検出する回路が影響を受けることも与えることもない。一方、通電用電気接点が開離され電流が遮断されている時、過渡電流用電気接点が開離しているので、同様に過渡電流用電気接点の電流もコンデンサやコイルの電圧も発生せず、その電流や電圧を検出する回路が影響を受けることも与えることもない。
【発明の効果】
【0050】
本発明によれば、アーク放電の発生を防止するとともに、材料費の低減および小型化を図ることができる電気接点開閉デバイス、消費電力抑制回路、直流モータ、パンタグラフ装置、コネクタおよびパルス発生装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0051】
以下、図面に基づき、本発明の実施の形態について説明する。
図1乃至図25は、本発明の第1の実施の形態の消費電力抑制回路を示している。
図1に示すように、消費電力抑制回路10は、電源11と電源および負荷等の等価インピーダンス12と電気接点開閉デバイス13とを有している。
【0052】
電源11は、直流または交流電源から成り、内部抵抗を有している。
電源および負荷等の等価インピーダンス12は、鳳・テブナンの定理から、電源11との直列接続で表現できる。
電気接点開閉デバイス13は、電源および負荷等の等価インピーダンス12に対して直列に接続され、通電用電気接点14と過渡電流用電気接点15と開閉手段(図示せず)とコンデンサ16とを有している。
【0053】
通電用電気接点14および過渡電流用電気接点15は、スイッチから成り、互いに電気的に並列に接続されている。通電用電気接点14および過渡電流用電気接点15は、時間差をつけて開閉可能である。
【0054】
図2に示すように、開閉手段は、過渡電流用電気接点15を通電用電気接点14の開閉信号に基づいて機械的または電気的に開閉するよう構成されている。開閉手段は、通電用電気接点14を開離(オフ)するとき過渡電流用電気接点15を閉成(オン)しておくようになっている。特に、図3に示すように、開離時にコンデンサ16への電圧印加レベルを電源電圧以下に低く抑えるよう、過渡電流用電気接点15を通電電流がほぼゼロになった直後に開離させるようになっている。
なお、開閉手段は、具体的には以下のように構成される。
【0055】
機械的に同期させる構成として、図4に示すように、開閉手段は、接点間の距離差、接点ばねの弾性差、接点の質量差などを利用して、通電用電気接点14の開閉動作と時間差で過渡電流用電気接点15を開閉するよう構成することができる。開閉手段は、回転形摺動接点では、図5に示すように構成されてもよい。
図5に示す構成で、電極Cは、右周りに回転して通電用電極Aに接触して通電する。さらに右回りに回転すると、狭い絶縁G付近で、通電用電極Aに接触したまま過渡電流用電極Bにも接触する。さらに回転して、過渡電流用電極Bに接触したまま通電用電極Aを開離する。
【0056】
また、図6に示すように、開閉手段は、押しボタンスイッチで、2個の機械バネ接点の接点位置を調整して構成されてもよい。この場合、図6(b)に示すように、定常アーク放電が抑圧されていることが確認できる。なお、開離時の過渡電流スイッチBは、コンデンサ16が完全に電源電圧で充電される以前にオフ状態に移行していることがわかる。
【0057】
電気的に同期させる構成として、図7に示すように、開閉手段は、汎用の電磁リレー2個を組み合わせて、一方を通電用電気接点14とし、他方を過渡電流用電気接点15として、電磁リレーの駆動電流を利用して構成することができる。この場合、図8に示すように、アーク放電が完全に抑圧されていることが確認できる。また、図9に示すように、100回動作後の電気接点表面の痕跡からも、定常アーク放電が抑圧されていることが確認できる。
【0058】
図1に示すように、コンデンサ16は、過渡電流用電気接点15に対して直列に接続されている。コンデンサ16は、通電用電気接点14を開離するとき、通電用電気接点14を流れる電流値が通電用電気接点14の最小アーク放電電流値以下になる時点で、通電用電気接点14間の電圧が最小アーク放電電圧値以下となるよう、容量が設定されている。一例では、以下のようにして設定される。
【0059】
図10に示すように、通電用電気接点14の開離動作時の接点間抵抗は、通電用電気接点14での電流集中による温度上昇のために、通電電流値に依存した過渡特性を示した後、完全開離した定常に至る。図11に示すように、接点間抵抗を測定し、この接点間抵抗を過渡的な変化をするR(t)として、図12に示す過渡電流解析用等価回路に組み込む。なお、電源電圧が交流でも直流と同様に扱える。図13に示すように、通電用電気接点14の開離動作中に電流が最小アーク放電電流以下となる時間と、電圧が最小アーク放電電圧以上となる時間との差Δtを求める。電気接点の材料によって異なる最小アーク放電電流値および最小アーク放電電圧値は、表1の材料定数から求める。この値が負であれば両者が同時に満足する時間領域はなく、アーク放電は発生しない。
【0060】
実際に、銀合金電極を使用した汎用電磁リレーで、図11のごとく測定したR(t)を用いて、図12の回路で図13のように電流、電圧を計算しΔtを求めた。図14に示すように、電流値とコンデンサ16の値を変えて計算したΔtの電流依存性と、電流値とコンデンサ16の値を替えて実際に多数回行った放電発生確認実験によるアーク放電発生確率の電流依存性とを比較すると、両者の傾向は類似している。これにより、このコンデンサ16の容量を設定する手法が妥当であると考えられる。
【0061】
さらに、コンデンサ16は、通電用電気接点14間の電圧が、通電用電気接点14間の融点温度Tmまたは沸点温度Tbに対応する電圧V≒Tm/3200またはV≒Tb/3200を超えない容量に設定されている。このように、コンデンサ16は、通電用電気接点14を開離するとき、通電用電気接点14でブリッジ現象や金属蒸発が発生するのを防止するよう、容量が設定されている。
【0062】
次に、作用について説明する。
なお、コンデンサ16と過渡電流用電気接点15の等価直列抵抗や等価インダクタンスなどは無視できるものとする。
図15に示すように、消費電力抑制回路10は、通電用電気接点14を開離するとき、開閉手段により、過渡電流用電気接点15を閉成しておくことにより、電源11からの過渡電流をコンデンサ16に流し、電源11の内部抵抗や電源および負荷等の等価インピーダンス12による電圧降下を発生させて通電用電気接点14の電圧上昇を抑えることができる。このとき、通電用電気接点14の電圧上昇は、電源および負荷等の等価インピーダンス12や電源11の内部抵抗、コンデンサ16の容量および通電用電気接点14の抵抗値の時間変化によって決まる。このため、通電用電気接点14の電圧上昇は、コンデンサ16の容量を変えることによって、任意の上昇曲線を設計することができる。
【0063】
通電用電気接点14が完全に開離後、開閉手段により、過渡電流用電気接点15を開離することにより、瞬時に過渡電流がゼロとなり、通電用電気接点14の電圧は上昇し、電源電圧に至る。このように、消費電力抑制回路10は、開離時の通電用電気接点14での消費電力を抑制することができる。また、通電用電気接点14を開離するとき、通電用電気接点14間の電流または電圧のいずれか一方が、必ず最小アーク放電電流値または最小アーク放電電圧値以下になるようコンデンサ16の容量を設定しているため、アーク放電の発生を確実に防止することができる。
【0064】
図16に示すように、消費電力抑制回路10は、通電用電気接点14の開離動作時に、過渡電流用電気接点15を通してコンデンサ16に過渡電流を流すことにより、電源および負荷等の等価インピーダンス12を流れる電流が急激に低下するのを防ぎ、緩やかな変化にすることができる。電源および負荷等の等価インピーダンス12などのインダクタンスをLとし、電流をIとすれば、サージ電圧Vは、V∝L(dI/dt)となり、サージ雑音を抑制することができる。図17に示すように、回路シミュレーションによる計算の結果、コンデンサ16を接続したとき、コンデンサ16を接続しないときに比べて、サージ電圧が1/5以下になる。これにより、サージ雑音の抑制効果を確認できる。
【0065】
図15に示すように、消費電力抑制回路10では、過渡電流用電気接点15を閉成してコンデンサ16に電源電圧をかける時間を、通電用電気接点14の開離時のみに設定しているため、耐圧性の低い小型の大容量コンデンサ16を用いることができ、材料費の低減および小型化を図ることができる。また、通電用電気接点14の開離時以外は、過渡電流用電気接点15を開離しておくため、過渡電流用電気接点15にほとんど電気が流れない。このため、過渡電流用電気接点15に、電流遮断用の電気接点よりも小型のものを用いることができ、材料費の低減および小型化を図ることができる。
【0066】
電気接点開閉デバイス13は、その原理を、電流を遮断する総てのスイッチに適用することができる。例えば、大電力用真空電流遮断器やインバータ用半導体スイッチなどにも適用することができる。
【0067】
なお、図18に示すように、消費電力抑制回路10は、コンデンサ16に対して並列に電気抵抗17またはスイッチ18が接続されていてもよい。この場合、電気抵抗17またはスイッチ18により、過渡電流用電気接点15の開離後にコンデンサ16を初期化することができる。なお、過渡電流用電気接点15およびコンデンサ16に対して直列に抵抗があれば過渡電流が制限される。さらに、過渡電流用電気接点15およびコンデンサ16に対して直列にインダクタンスがあれば、コンデンサ16への突入電流のために瞬間的なサージ電圧が発生し、ピコないしマイクロ秒程度の非常に短い高電圧が発生する場合が想定されるが、時間が短く、エネルギーも小さいため、電気接点開閉デバイス13の信頼性や寿命への影響は少ない。
【0068】
また、図19に示すように、消費電力抑制回路10は、過渡電流用電気接点15およびコンデンサ16に対して直列に接続された整流回路19を有し、整流回路19は、通電用電気接点14を開離したときコンデンサ16に電荷を蓄えるようコンデンサ16に流入する電流を整流するよう構成されていてもよい。整流回路19は、全波でも半波でもよい。整流回路19がない場合、図20に示すように、電源電圧の変動が通電用電気接点14や過渡電流用電気接点15の開閉動作より高速のとき、通電用電気接点14が開離しても、過渡電流用電気接点15やコンデンサ16には過渡電流以外の定常的な電流が流れ、過渡電流用電気接点15を電流ゼロの状態で開離できない場合が生じる。
【0069】
これに対して整流回路19を有する場合、図21に示すように、電源電圧の変動が通電用電気接点14の開閉動作より高速のときにも、通電用電気接点14が開離したときコンデンサ16に電荷を蓄えることができ、コンデンサ16に過渡電流以外の定常的な電流が流れるのを防止することができる。このため、過渡電流用電気接点15を電流ゼロの状態で開離することができる。また、整流回路19により、直流電源11の場合にコンデンサ16の電流方向の指定が不要になるため、電解コンデンサのような極性のあるコンデンサ16を使用することができる。
【0070】
図22に示す回路で測定を行った結果、図23に示すように、アーク放電が発生しない事が確認できる。また、図22に示す回路で電源11を直流50Vにした場合でも、図24に示すように、アーク放電が発生しない事が確認できる。図25に示すように、図19(a)に示す回路は、例えば3個組み合わせて3相交流へ適用することができる。
【0071】
図26乃至図28は、本発明の第2の実施の形態の消費電力抑制回路を示している。
図26に示すように、消費電力抑制回路20は、電源21と負荷22と電気接点開閉デバイス23とを有している。
【0072】
電源21は、直流または交流電源から成り、内部抵抗を有している。
負荷22は、電源21に接続されている。
電気接点開閉デバイス23は、負荷22に対して直列に接続され、通電用電気接点24と過渡電流用電気接点25とインダクタンス26とを有している。
【0073】
通電用電気接点24および過渡電流用電気接点25は、スイッチから成り、互いに電気的に並列に接続されている。通電用電気接点24および過渡電流用電気接点25は、時間差をつけて開閉可能である。
電気接点開閉デバイス23は、過渡電流用電気接点25を閉成し、過渡電流用電気接点25を流れる電源21の過渡電流が定常値に収束した後、通電用電気接点24を閉成する構成を有している。
インダクタンス26は、過渡電流用電気接点25に対して直列に接続されている。
【0074】
次に、作用について説明する。
図27に示すように、消費電力抑制回路20は、通電用電気接点24の閉成直前に過渡電流用電気接点25をオンにしてインダクタンス26を通電用電気接点24に接続すると、過渡電流値が定常値に収束し、その後、通電用電気接点24間の電圧はほぼゼロとなる。その状態で通電用電気接点24を閉成する。このとき、インダクタンス26の等価直列抵抗より接触抵抗を低くすれば、電流が通電用電気接点24を流れる。これにより、閉成時の通電用電気接点24での消費電力を抑制することができる。一方、過渡電流用電気接点25は、インダクタンス26の等価直列抵抗と通電用電気接点24の接触抵抗の比で決まる、ほぼゼロに近い電流値のときに、開離することができる。
【0075】
図28に示すように、消費電力抑制回路20は、通電用電気接点24の閉成動作時に、過渡電流用電気接点25を通してインダクタンス26に過渡電流を流すことにより、負荷22に急激に電流が流れるのを防ぎ、緩やかな変化にすることができる。負荷22などのインダクタンスをLとし、電流をIとすれば、サージ電圧Vは、V∝L(dI/dt)となり、サージ雑音を抑制することができる。
【0076】
電気接点開閉デバイス23は、その原理を、電流を遮断する総てのスイッチに適用することができる。例えば、大電力用真空電流遮断器やインバータ用半導体スイッチなどにも適用することができる。
【0077】
なお、図29に示すように、消費電力抑制回路10,20は、通電用電気接点14,24および過渡電流用電気接点15,25が半導体スイッチから成っていてもよい。この場合、高速に通電用電気接点14,24および過渡電流用電気接点15,25を開閉するときに効果的である。半導体スイッチは、トラジスタやFET、ダイオードなどから成る。特に、大電流を取り扱えるパワーMOSFETから成るとき、スイッチ閉成時および開離時の発熱を抑えることができる。この半導体スイッチによる構成は、実装や回路設計のみならず、素子設計にも新たな手法を提供することになると考えられる。図29に示す回路で測定を行った結果、図30に示す通電スイッチ閉成時、および、図31に示す通電スイッチ開離時のいずれの場合も、消費電力の低減およびサージ雑音の抑制の効果が確認できる。
【0078】
図32は、本発明の実施の形態の直流モータを示している。
図32に示すように、直流モータ30は、1対のブラシ31と電機子32と1対の整流子33とを有している。
ブラシ31は、カーボン製で、電源に接続されている。
電機子32は、コイルから成り、磁界中に置かれている。
【0079】
各整流子33は、電機子32の両端に設けられている。各整流子33は、各ブラシ31に交互に接触されて、電機子32に直流電流を流し、電磁力により電機子32を回転させるよう構成されている。各整流子33は、2つの接点34,35とコンデンサ36とを有している。各接点34,35は、ブラシ31に接触したとき互いに電気的に並列に接続されるよう、回転方向に並べて設けられている。コンデンサ36は、回転方向に向かって後方側の接点35に対して直列に接続されている。
【0080】
次に、作用について説明する。
直流モータ30は、図1に示す消費電力抑制回路10を応用したものであり、回転方向に向かって前方側の接点34と各ブラシ31とで通電用電気接点14を形成し、後方側の接点35と各ブラシ31とで過渡電流用電気接点15を形成している。
図32に示すように、直流モータ30は、回転方向に向かって前方側の接点34に接触していたブラシ31が、整流子33の回転によりその接点34から離れるとき、後方側の接点35に接触するため、電源からの過渡電流をコンデンサ36に流すことができる。これにより、電源の内部抵抗などによる電圧降下を発生させて、ブラシ31と前方側の接点34との間の電圧上昇を抑えるため、そこでのアーク放電の発生を防止することができ、消費電力を抑制することができる。
【0081】
図33は、本発明の実施の形態のパンタグラフ装置を示している。
図33に示すように、パンタグラフ装置40は、1対のパンタグラフ41,42とコンデンサ43とを有している。
各パンタグラフ41,42は、架線44に接触したとき、互いに電気的に並列に接続されるよう設けられている。
コンデンサ43は、一方のパンタグラフ42に対して直列に接続されている。
【0082】
次に、作用について説明する。
パンタグラフ装置40は、図1に示す消費電力抑制回路10を応用したものであり、架線44と他方のパンタグラフ41とで通電用電気接点14を形成し、架線44と一方のパンタグラフ42とで過渡電流用電気接点15を形成している。
図33に示すように、パンタグラフ装置40は、他方のパンタグラフ41がその弾性や構造により振動などで架線44から離れても、一方のパンタグラフ42が架線44に接触していれば、架線44からの過渡電流をコンデンサ43に流すことができる。これにより、架線44の内部抵抗などによる電圧降下を発生させて、架線44と他方のパンタグラフ41との間の電圧上昇を抑えるため、そこでのアーク放電の発生を防止することができ、消費電力を抑制することができる。
【0083】
図34は、本発明の実施の形態のコネクタを示している。
図34に示すように、コネクタ50は、ソケット51とプラグ52とソケット側分岐線53とプラグ側分岐線(図示せず)とコンデンサ54と電気抵抗55とを有している。
ソケット51は、ソケット側導電線56が接続されている。ソケット側導電線56は、先端にソケット側通電用接点57を有している。
プラグ52は、ソケット51に差し込んで接続可能で、プラグ側導電線58が接続されている。プラグ側導電線58は、先端にプラグ側通電用接点59を有している。プラグ52は、ソケット51に接続されたとき、プラグ側導電線58がソケット側導電線56と導通可能である。
【0084】
ソケット側分岐線53は、ソケット側通電用接点57の手前でソケット側導電線56から分岐し、先端にソケット側過渡電流用接点60を有している。
プラグ側分岐線は、プラグ側通電用接点59の手前でプラグ側導電線58から分岐し、先端にプラグ側過渡電流用接点61を有している。
コンデンサ54は、ソケット側分岐線53に設けられている。
電気抵抗55は、コンデンサ54に対して並列に設けられている。
【0085】
次に、作用について説明する。
コネクタ50は、図1に示す消費電力抑制回路10を応用したものであり、ソケット側通電用接点57とプラグ側通電用接点59とで通電用電気接点14を形成し、ソケット側過渡電流用接点60とプラグ側過渡電流用接点61とで過渡電流用電気接点15を形成している。
【0086】
図34に示すように、コネクタ50は、プラグ52をソケット51に差し込んで接続すると、ソケット側通電用接点57とプラグ側通電用接点59とが閉成する。これにより、ソケット側導電線56とプラグ側導電線58とが導通する。プラグ52をソケット51から外すとき、プラグ52をソケット51に対して回転させて、ソケット側過渡電流用接点60とプラグ側過渡電流用接点61とを閉成させ、その閉成状態を維持したままソケット側通電用接点57とプラグ側通電用接点59とを開離させる。このとき、電源からの過渡電流をコンデンサ54に流すことができる。これにより、電源の内部抵抗などによる電圧降下を発生させてソケット側通電用接点57とプラグ側通電用接点59との間の電圧上昇を抑えるため、そこでのアーク放電の発生を防止することができ、消費電力を抑制することができる。その状態で、ソケット51からプラグ52を引き抜いて外す。
【0087】
図35は、本発明の実施の形態のパルス発生装置70を示している。
図35に示すように、パルス発生装置70は、回転体71と複数の回転電極72と接触電極73と接続電極74とコンデンサ75と電気抵抗76とを有している。なお、パルス発生装置70は、図5の構成を応用したものである。
回転体71は、円板から成り、表面に絶縁体を有している。
各回転電極72は、それぞれ絶縁体で隔てられ、回転体71の表面に回転軸を中心として回転対称の位置に設けられている。各回転電極72は、回転体71の回転方向前側に配置された前側電極片Aと、回転方向後側に配置された後側電極片Bとから成っている。各回転電極72は、隣の回転電極72との間隔72aが、前側電極片Aと後側電極片Bとの間隔72bより広くなるよう配置されている。前側電極片Aは、後側電極片Bより回転体71の外周側に長く伸びて形成されている。各回転電極72の前側電極片Aは、それぞれ電気的に並列に接続されている。各回転電極72の後側電極片Bは、それぞれ電気的に並列に接続されている。前側電極片Aおよび後側電極片Bは、電源77に対し互いに電気的に並列に接続されている。
【0088】
接触電極73は、電源77の一方の端子に接続され、回転体71が回転するとき各回転電極72に順次間欠的に接触するよう設けられている。接触電極73は、各回転電極72に接触する幅73aが、各回転電極72の間隔72aよりも小さく、かつ前側電極片Aと後側電極片Bとの間隔72bよりも大きく形成されている。接触電極73は、各回転電極72の前側電極片Aおよび後側電極片Bに対して前側電極片Aへの接触、前側電極片Aおよび後側電極片Bへの接触、後側電極片Bへの接触の順で接触するようになっている。
【0089】
接続電極74は、電源77の他方の端子に接続され、回転体71が回転するとき各回転電極72の前側電極片Aに順次接触し、後側電極片Bに接触しないよう、回転体71の外周寄りに設けられている。接続電極74は、各回転電極72の前側電極片Aに接触する幅74aが、各回転電極72の前側電極片Aの間隔72cよりも大きく形成されている。接続電極74は、各回転電極72の前側電極片Aのいずれかに、常に接触するようになっている。
コンデンサ75は、各回転電極72の後側電極片Bに対して直列になるよう接続されている。
電気抵抗76は、コンデンサ75に対して並列に設けられている。
【0090】
次に、作用について説明する。
パルス発生装置70は、図1に示す消費電力抑制回路10を応用したものであり、前側電極片Aと接触電極73とで通電用電気接点を形成し、後側電極片Bと接触電極73とで過渡電流用電気接点を形成している。
パルス発生装置70は、電流パルス列または電圧パルス列を発生することができ、インバータ装置などに使用可能である。接触電極73が各回転電極72の前側電極片Aおよび後側電極片Bに対して前側電極片Aへの接触、前側電極片Aおよび後側電極片Bへの接触、後側電極片Bへの接触の順で接触するよう設けられているため、接触電極73が前側電極片Aから離れるとき、電源77からの過渡電流をコンデンサ75に流すことができる。これにより、電源77の内部抵抗などによる電圧降下を発生させて、接触電極73と前側電極片Aとの間の電圧上昇を抑えるため、そこでのアーク放電の発生を防止することができ、消費電力を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明の第1の実施の形態の消費電力抑制回路を示す電気回路図である。
【図2】図1と図26に示す消費電力抑制回路の(a)開閉手段による開閉信号の時間変化を示す波形図、(b)通電用電気接点の開閉状態の時間変化を示す波形図、(c)通電用電気接点閉成時の過渡電流用電気接点の開閉状態の時間変化を示す波形図、(d)通電用電気接点開離時の過渡電流用電気接点の開閉状態の時間変化を示す波形図である。
【図3】図1に示す消費電力抑制回路の通電用電気接点開離時の(a)電源電圧の時間変化を示す波形図、(b)通電用電気接点間の電流の時間変化を示す波形図、(c)過渡電流用電気接点の電流の時間変化を示す波形図である。
【図4】図1に示す消費電力抑制回路の開閉手段の(a)接点間距離を変更する例を示す原理説明図、(b)接点の弾性を変更する例を示す原理説明図、(c)接点の質量を変更する例を示す原理説明図である。
【図5】図1に示す消費電力抑制回路の開閉手段の回転形摺動接点を使用した例を示す原理説明図である。
【図6】図1に示す消費電力抑制回路の開閉手段の押しボタンスイッチを使用した例を示す(a)構成図、(b)通電スイッチ開離時の通電スイッチ間の電流および電圧の時間変化を示す波形図である。
【図7】図1に示す消費電力抑制回路の開閉手段の汎用電磁リレーを使用した例を示す(a)スイッチ回路図、(b)開閉手段の電気回路図である。
【図8】図7に示す回路の通電用電気接点開離時の通電用電気接点間の電流および電圧の時間変化を示す波形図である。
【図9】図7に示す回路の100回動作後の(a)通電用電気接点の表面状態図、(b)過渡電流用電気接点の表面状態図である。
【図10】図1に示す消費電力抑制回路の通電用電気接点開離時の接点間抵抗の過渡現象を示す波形図である。
【図11】汎用電磁リレーで測定した図10の接点間抵抗の過渡現象を示す波形図である。
【図12】図1に示す消費電力抑制回路の通電用電気接点を接点間抵抗に置き換えて過渡現象を解析するための電気回路図である。
【図13】図12に示す回路により計算した通電用電気接点開離時の電流および電圧と、Δtの計算方法とを示す原理説明図である。
【図14】図11の接点間抵抗を用いて計算したΔtと、実験により測定したアーク放電発生確率との電流依存性を示す(a)コンデンサがない場合、(b)コンデンサの容量が0.001マイクロFの場合、(c)コンデンサの容量が0.01マイクロFの場合、(d)コンデンサの容量が0.1マイクロFの場合のグラフである。
【図15】図1に示す消費電力抑制回路の通電用電気接点開離時の(a)通電用電気接点間の抵抗値の時間変化を示す波形図、(b)過渡電流用電気接点間の電流の時間変化を示す波形図、(c)負荷の両端の電圧の時間変化を示す波形図、(d)通電用電気接点間の電流の時間変化を示す波形図、(e)通電用電気接点間の電圧の時間変化を示す波形図、(f)通電用電気接点で消費される瞬時電力の時間変化を示す波形図である。
【図16】図1に示す消費電力抑制回路の通電用電気接点開離時の理想的な(a)通電用電気接点間の抵抗値の時間変化を示す波形図、(b)負荷の電流の時間変化を示す波形図、(c)通電用電気接点間の電圧の時間変化を示す波形図、(d)負荷の両端の電圧の時間変化を示す波形図である。
【図17】図1に示す消費電力抑制回路の通電用電気接点開離時の回路シミュレーションによる計算結果を示す(a)42V/1Aの回路でコンデンサに接続しないときの通電用電気接点間の電圧の時間変化を示す波形図、(b)42V/1Aの回路で0.001マイクロFのコンデンサに接続したときの通電用電気接点間の電圧の時間変化を示す波形図である。
【図18】図1に示す消費電力抑制回路のコンデンサに対して並列に電気抵抗またはスイッチを接続した変形例を示す電気回路図である。
【図19】図1に示す消費電力抑制回路の整流回路を有する変形例を示す(a)全波整流回路の場合の電気回路図、(b)半波整流回路の場合の電気回路図である。
【図20】交流電源の場合の、図1に示す消費電力抑制回路の通電用電気接点開離時の(a)電源電圧の時間変化を示す波形図、(b)通電用電気接点間の電流の時間変化を示す波形図、(c)通電用電気接点間の電圧の時間変化を示す波形図、(d)過渡電流用電気接点間の電流の時間変化を示す波形図である。図中の実線は交流電源、点線は直流電源をしめす。
【図21】図19(a)に示す回路の通電用電気接点開離時の(a)電源電圧の時間変化を示す波形図、(b)負荷の両端の電圧の時間変化を示す波形図、(c)通電用電気接点間の電圧の時間変化を示す波形図、(d)通電用電気接点間の電流の時間変化を示す波形図、(e)過渡電流用電気接点間の電流の時間変化を示す波形図、(f)過渡電流用電気接点間の電圧の時間変化を示す波形図である。図中の実線は交流電源、点線は直流電源をしめす。
【図22】図19(a)に示す回路の実施例を示す電気回路図である。
【図23】図22に示す回路の100Vの交流電源の場合の通電用電気接点開離時の(a)負荷の両端の電流の時間変化を示す波形図、(b)通電用電気接点間の電圧の時間変化を示す波形図、(c)通電用電気接点間の電流の時間変化を示す波形図である。
【図24】図22に示す回路の50Vの直流電源の場合の通電用電気接点開離時の通電用電気接点間の電流および電圧の時間変化を示す波形図である。
【図25】図19(a)に示す回路を3相交流への適用例を示す電気回路図である。
【図26】本発明の第2の実施の形態の消費電力抑制回路を示す電気回路図である。
【図27】図26に示す消費電力抑制回路の通電用電気接点閉成時の理想的な(a)通電用電気接点間の抵抗値の時間変化を示す波形図、(b)負荷の両端の電圧の時間変化を示す波形図、(c)通電用電気接点間の電圧の時間変化を示す波形図、(d)通電用電気接点間の電流の時間変化を示す波形図、(e)過渡電流用電気接点間の電流の時間変化を示す波形図、(f)通電用電気接点で消費される瞬時電力の時間変化を示す波形図である。
【図28】図26に示す消費電力抑制回路の通電用電気接点閉成時の理想的な(a)通電用電気接点間の抵抗値の時間変化を示す波形図、(b)負荷の両端の電流の時間変化を示す波形図、(c)通電用電気接点間の電圧の時間変化を示す波形図、(d)負荷の両端の電圧の時間変化を示す波形図である。
【図29】図1に示す消費電力抑制回路の半導体スイッチを使用した変形例を示す電気回路図である。
【図30】図29に示す回路の通電スイッチ閉成時の(a)過渡電流スイッチを使用しない場合の通電スイッチ間の電流および電圧の時間変化を示す波形図、(b)過渡電流スイッチを使用する場合の通電スイッチ間の電流および電圧の時間変化を示す波形図、(c)(a)および(b)の場合の通電スイッチで消費される瞬時電力の時間変化を示す波形図である。(a)、(b)中の上の波形が電流波形、下の波形が電圧波形である。
【図31】図29に示す回路の通電スイッチ開離時の(a)過渡電流スイッチを使用しない場合の通電スイッチ間の電流および電圧の時間変化を示す波形図、(b)過渡電流スイッチを使用する場合の通電スイッチ間の電流および電圧の時間変化を示す波形図、(c)(a)および(b)の場合の通電スイッチで消費される瞬時電力の時間変化を示す波形図である。(a)、(b)中の上の波形が電流波形、下の波形が電圧波形である。
【図32】本発明の実施の形態の直流モータを示す原理説明図である。
【図33】本発明の実施の形態のパンタグラフ装置を示す原理説明図である。
【図34】本発明の実施の形態のコネクタを示す(a)基本構造を示す構成図、(b)ソケットとプラグとが接触した時の状態を示す状態図、(c)ソケットとプラグとを切断する時の状態を示す状態図である。
【図35】本発明の実施の形態のパルス発生装置を示す原理説明図である。
【図36】一般的なスイッチ回路の等価回路を示す電気回路図である。
【図37】スイッチ閉成時の(a)交流電源の電源電圧の時間変化を示す波形図、(b)(a)の一部を拡大した波形図、(c)直流電源の電源電圧の時間変化を示す波形図である。
【図38】図36に示すスイッチ回路の理想的なスイッチで回路を開離したときの(a)スイッチ間の抵抗値の時間変化を示す波形図、(b)スイッチ間の電流の時間変化を示す波形図、(c)スイッチ間の電圧の時間変化を示す波形図、(d)スイッチで消費される瞬時電力の時間変化を示す波形図である。
【図39】図36に示すスイッチ回路の実際のスイッチで回路を開離したときの(a)スイッチ間の抵抗値の時間変化を示す波形図、(b)スイッチ間の電流の時間変化を示す波形図、(c)スイッチ間の電圧の時間変化を示す波形図、(d)スイッチで消費される瞬時電力の時間変化を示す波形図である。
【図40】スイッチ開閉時のスイッチ間の電流および電圧の時間変化を示す原理説明図である。
【図41】電磁リレーのスイッチ開離時の電力消費の例としてアーク放電を含むスイッチ間の電流および電圧の時間変化を示す波形図である。
【図42】サージ雑音の周波数分布を示す特性図である。
【図43】図36に示すスイッチ回路の理想的なスイッチで回路を閉成したときの(a)スイッチ間の抵抗値の時間変化を示す波形図、(b)スイッチ間の電流の時間変化を示す波形図、(c)スイッチ間の電圧の時間変化を示す波形図、(d)スイッチで消費される瞬時電力の時間変化を示す波形図である。
【図44】図36に示すスイッチ回路の実際のスイッチで回路を閉成したときの(a)スイッチ間の抵抗値の時間変化を示す波形図、(b)スイッチ間の電流の時間変化を示す波形図、(c)スイッチ間の電圧の時間変化を示す波形図、(d)スイッチで消費される瞬時電力の時間変化を示す波形図である。
【符号の説明】
【0092】
10 消費電力抑制回路
11 電源
12 電源および負荷等の等価インピーダンス
13 電気接点開閉デバイス
14 通電用電気接点
15 過渡電流用電気接点
16 コンデンサ
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気接点開閉デバイス、消費電力抑制回路、直流モータ、パンタグラフ装置、コネクタおよびパルス発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スイッチ、リレー、摺動接点などの機械的に開閉する電気接点開閉デバイスは、半導体方式のスイッチに比べて、開離状態での電気抵抗が大きいこと、閉成時の接触抵抗が小さいこと、制御部と開閉回路部との絶縁にすぐれていること、製造コストが比較的安いことなどの特徴がある。このため、情報機器、産業機器、自動車、家電などのあらゆる分野で、電源やアクチュエータ、センサ−などをふくむ回路の開閉に広く用いられている。また、これからも機械的なスイッチやリレーの生産量は増加を続けると言われている。
【0003】
従来の一般的な電気接点開閉デバイスでは、1つの電気回路の開閉に対し、1対の電気接点を有している。一対の電気接点が通電中に開離されると、各電気接点の接触面積が急激に低下するため、電流集中が生じ、そのポイントの電極が発熱で溶融するブリッジ現象が発生する。さらに電流が集中すると、金属蒸発にいたる。
【0004】
従来の電気接点開閉デバイスでは、開閉する電流が増大し、電源電圧が高くなり、そのの電流および電圧が、電気接点材料の種類によって決まる最小アーク放電電流(最小アーク電流)および最小アーク放電電圧(最小アーク電圧)を越えると、必ずアーク放電が発生する(例えば、非特許文献1乃至4参照)。電気接点間空間のアーク放電は、電極の発熱や接点物質の移動を伴い、特に大電流を開閉するリレーでは信頼性や寿命に限界があった。
【0005】
従来の電気接点開閉デバイスは、電気抵抗を下げるよう、銅材を基材として表面が金、銀、Pd、Pt、その他の低抵抗な金属で構成された一対の電極が対向する構造を有している。アーク放電を防ぐための方法として、融点が高く電気抵抗率が低く、さらに放電しにくい電極材料の開発や、雰囲気ガスの選択などの開発に力が注がれているが、決定的なものは開発されていない。アーク放電をできるだけ抑えるため、電極の加熱や熱伝導特性を悪くする方法もあったが、リレーなどの場合、励磁コイルに悪影響を与えるという問題があった。電気接点電極が機械的に複数に分割され、良好な接触の確率を高める工夫がされた電極も存在した。これは双子接点などと呼ばれ、電気接点電極とバネが2系統に分かれており、電気接点に異物が挟まるなどの接触障害を防ぐものであり、アーク放電を防止するものではなかった。また、2つの電気接点を有する電磁継電器の接点動作に時間差をつけ、閉成あるいは開離時に発生するアーク放電でも溶着しにくい電気接点と、接点抵抗の低い電気接点とを組み合わせて、前者を先に開閉する構造のものもある(特許文献1参照)。しかし、この場合もアーク放電の発生は起こり、本質的な問題の解決にはならない。
【0006】
大電流、高電圧を扱う電気接点は、アーク放電による故障発生を抑え、高性能、小形、低価格の電気接点開閉デバイスを実現するために、主に以下の5つの課題が検討されている。
(1)電気接点の溶着の抑制
(2)電気接点開離時の電極材料の転移抑制
(3)電極表面の化学反応(酸化、硫化等)による接触抵抗増大の抑制
(4)形状の小形化
(5)サージ発生の低減
【0007】
(1)の電気接点の溶着は、開離時の電流集中によって電極金属が溶融する事で発生するブリッジ現象および金属蒸発が直接的な原因である。しかし、アーク放電による電極表面の荒れや金属転移と密接に関係している。特に、一定方向のアーク放電の起こる直流で、顕著に発生する。(2)の電気接点開離時の電極材料の転移は、金属の溶融、蒸発と電極間でのアーク放電とが絡み合っておこる現象である。(3)の電極表面の化学反応による接触抵抗増大は、金属温度の上昇と、アーク放電などにより活性化されたガスとの化学反応が原因である。(4)は、リレーなどの電気接点開閉デバイスの小形化が難しいことによる。これは、大電流においてアーク放電を遮断するために開離時の電気接点ギャップを広く取る必要がある事、アーク放電により生じる凹凸のできた電気接点表面での良好な金属接触を実現するための大きな押力が必要な事などのために、アクチュエータが大型化することが原因である。(5)のサージ発生は、電気接点が大電流を遮断するとき、特に誘導性負荷時の急激な回路電流の遮断時の、不可避な現象とみなされている。駆動力の大きなアクチュエータで、速い接点開離速度で開閉すると、可動電極の共振現象などにより、電気接点接触時にバウンスが生じ、複雑なノイズの原因となっている。すなわち、定常アーク放電は、開離時の電気接点間で発生する金属蒸気を媒介とした放電から始まり、周囲気体によるガス相放電へと移行し、電極材料の消耗・転移・酸化などの特性劣化の要因となる。電気接点が抱える多くの問題は、いずれも、アーク放電の抑圧が、抜本的な問題解決手段である。
【0008】
電気接点開閉デバイスの他にも、電気モータの電機子や電車のパンタグラフにおいてもアーク放電現象が発生し、問題となっている。
電子化のすすむ自動車用電装部品などでは、許容電力を増大させ、配線による電力消費量を抑制するために高電圧化の流れは必須である。家庭でも、大電力化がすすみ、300V化が進行している。このため、電気接点のアーク放電対策はますます重要であり、対策が検討されている。
【0009】
現在は、アーク放電発生は不可避とみなされ、目標とする開閉回数の放電にも耐える電気接点構成、例えば電極の形状や合金金属の種類や金属膜の厚さなどの工夫で対応している。従来、最小アーク放電電流Imは、材料に依存する量として、表1のような値が知られている(非特許文献5参照)。一方、電圧にも同様に最小アーク放電電圧Vmの存在が知られている。表1に示すように、例えばAuを電気接点材料として用いた場合、最小アーク放電電流Imは0.38Aで最小アーク放電電圧Vmは15Vである。
【0010】
表1に、各種金属材料における最小アーク放電電流および最小アーク放電電圧を示す。
【表1】
【0011】
従来、発生したアーク放電を消去するため,電気接点間にコンデンサを並列接続する火花消弧回路が用いられている。すなわち、アーク放電により、電気接点間に発生した電流がコンデンサに分流して、最小アーク放電電流以下となり、アーク放電が消えるものである。例えば、電気接点間に1μFのコンデンサを付加することでAuのアーク放電は6A程度まで消弧される報告がなされている。しかし、電気接点間にコンデンサを挿入する事により、電気接点遮断後も交流に対するインピーダンスを持つため、使用する用途が直流に限定されるという問題がある。また、電気接点遮断時もコンデンサが電源の負荷となるため、電気接点開閉デバイスの単純な絶縁特性が阻害され、使用分野に限界があるという問題もある。さらに、コンデンサが充電された状態で、電気接点が閉成されると、瞬時にコンデンサから電気接点に電流が流れ、金属接点の溶着が起こる場合があるという問題もある。コンデンサに直列に抵抗を接続して、この悪影響を低減する試みもあるが、用途は限定的である。また、並列コンデンサの挿入によりアーク放電が抑圧される原理の理論的な検討が不十分であり、遮断する電流とコンデンサ容量との関係や、高速に変化する電流に対する適応も検討されていない。
【0012】
アーク放電の他に接点デバイスで問題となるのは開離時の電流集中により接触面近傍の温度が上昇し、金属が溶融したり、蒸発する問題がある。電気接点の接触電圧Vcから接触面近傍の最高温度Tmaxを推定できる理論「φ―Θ理論」がある(例えば、非特許文献5参照)。電流路両端の等温面温度を室温(T0=300k)とし、接触電圧をVcとし、ρλ=L・T(Wiedemann−Franzの法則)の成立を仮定すると、
Tmax=((Vc2/4L)+T02)1/2≦3200・Vc[K] …(1)
の近似式が得られる。ここで、電流路の材料の軟化点温度Ts、融点温度Tmおよび沸点温度Tbに相当する電位差は、それぞれ軟化電圧Vs、溶融電圧Vmおよび沸騰電圧Vbと呼ばれている。
【0013】
これらの問題を解決するために、電気接点間にコンデンサを並列接続した回路に対して、直列に別の電気接点を設け、各電気接点を連動して開閉可能に構成された消弧回路装置が提案されている(特許文献2参照)。
【0014】
【非特許文献1】高木相、「電気接点のアーク放電現象」、コロナ社、1995年
【非特許文献2】高橋篤夫、「接点アークの発生領域に関する研究」、日本工業大学研究報告、1976年、別巻第一号、p65
【非特許文献3】「リレー技術解説書」、富士通コンポーネント、2002年、p337
【非特許文献4】ハミルトン、シラーズ(A.Hamilton,R.W.Sillars),「スパーク・クエンチング・アット・リレー・コンタクト・インターラプティング・ディーシー・サーキット(SPARK QUENCHING AT RELAY CONTACTS INTERRUPTING D.C. CIRCUITS)」,ピー・アイ・イー・イー(P.IEE),(米国),1949,Vol.96,P64
【特許文献1】実開平6−70143号公報
【非特許文献5】ホルム(R.Holm)、「エレクトリック・コンタクト・セオリー・アンド・アプリケーション(Electric Contact Theory and Application)」,(米国),Springer−Verlag,New York,1967,4th ed.p283,p60
【特許文献2】特開平9−245586号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、特許文献2記載の消孤回路装置は、各電気接点が直列に接続されているため、電気接点が1つの場合に比べて、接触抵抗が2倍になり、エネルギー損失量や発熱量が2倍になる。このため、消費電力が増加するという課題がある。また、各電気接点が通電電流に耐える容量を必要とするため、各電気接点が大型になり、材料費が嵩むという課題がある。消孤のためのコンデンサには必ず電源電圧が印加されるため、耐圧性のコンデンサを使用する必要があり、材料費が嵩み、大型になるという課題がある。
【0016】
本発明は、このような課題に着目してなされたもので、アーク放電の発生を防止するとともに、消費電力を抑制することができ、材料費の低減および小型化を図ることができる電気接点開閉デバイス、消費電力抑制回路、直流モータ、パンタグラフ装置、コネクタおよびパルス発生装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するために、第1の本発明に係る電気接点開閉デバイスは、通電用電気接点と過渡電流用電気接点とコンデンサとを有し、前記通電用電気接点および前記過渡電流用電気接点は互いに電気的に並列に接続され、時間差をつけて開閉可能であり、前記コンデンサは前記過渡電流用電気接点に対して直列に接続されていることを、特徴とする。
【0018】
電源と抵抗やインダクタンスとから成り立つ複雑な回路であっても、鳳・テブナンの定理から、定電圧電源1と等価インピーダンス2の直列接続で表現できる。このため、図36に示すように、スイッチ動作の検討は、それらとスイッチ3を組み合わせたスイッチ回路の等価回路で行うことができる。電源1としては、直流、交流あるいは脈流や、それらを組み合わせたものが想定される。しかし、図37に示すように、電源1の時間変化に比べて、より時間的に急激な開閉動作時の過渡現象に着目すれば、総てを統一的に扱える。
【0019】
図38に示すように、理想的なスイッチ3、すなわち接触抵抗変化がゼロ→∞で、変化時間がゼロならば、スイッチングでの電力消費(発熱)はない。しかし、図39に示すように、実際のスイッチ3では、接触抵抗はゼロではなく、完全に開離するまでに抵抗値の時間変化が生じる。そのために、電気接点間で電力が消費される。図40に示すように、電流が遮断され、ほぼゼロの電極間電圧が電源電圧まで上昇する過程において、単一のスイッチ3では、a点からb点にコントロールされずに移行するので、電力の発生領域を経由する。また、図41に示すように、例えば電磁リレーでは、大電流を遮断するスイッチ3の開離時に、遮断電流と電源電圧の中間で定常アーク放電現象が発生し、電気接点間で大きな電力が消費される。このとき、インダクタンス分を無視すれば、電源抵抗や負荷抵抗と電気接点間抵抗がほぼ等しいとき、電源1が電気接点にもっとも大きな電力を供給することになる。
【0020】
第1の本発明に係る電気接点開閉デバイスでは、通電用電気接点および過渡電流用電気接点が時間差をつけて開閉可能であるため、通電用電気接点の開離動作中の接点間抵抗変化による電源からの過渡電流を、過渡電流用電気接点を介してコンデンサに流すことができる。これにより、電源の内部抵抗や負荷の抵抗、インダクタンスによる電圧降下を発生させ、通電用電気接点の電流遮断直後の電圧を上昇させない。この状態は、図40では、電圧がゼロに近い状態でa点からc点に移行することに対応する。
【0021】
通電用電気接点が完全に開離後、過渡電流用電気接点を開離することにより、瞬時に過渡電流がゼロとなり、通電用電気接点の電圧は上昇し、電源電圧に至る。この状態は、図40では、c点からb点に至ることに対応する。このように、第1の本発明に係る電気接点開閉デバイスは、開離時の通電用電気接点での消費電力を抑制することができる。また、通電用電気接点の電圧または電流を、最小アーク放電電圧または最小アーク放電電流以下にすることができるため、アーク放電の発生を防止することができる。
【0022】
図42に示すように、電磁雑音の発生源として、モータやランプなどのインダクティブな負荷などを流れる電流を遮断するとき、コンデンサなどの負荷に急速に電流を流し始めるときに、電流の急激な変化によってサージ雑音が発生する。第1の本発明に係る電気接点開閉デバイスでは、通電用電気接点の開離動作時に、過渡電流用電気接点を通してコンデンサに過渡電流を流すことにより、負荷を流れる電流が急激に低下するのを防ぎ、緩やかな変化にすることができる。これにより、サージ雑音を抑制することができる。
【0023】
第1の本発明に係る電気接点開閉デバイスでは、過渡電流用電気接点を閉成してコンデンサに電源電圧をかける時間を、通電用電気接点の開離時のみに設定すればよいため、耐圧性の低い小型のコンデンサを用いることができ、材料費の低減および小型化を図ることができる。また、通電用電気接点の開離時以外は、過渡電流用電気接点を開離しておくことにより、過渡電流用電気接点にほとんど電気が流れない。このため、過渡電流用電気接点に、電流遮断用の電気接点よりも小型のものを用いることができ、材料費の低減および小型化を図ることができる。
【0024】
第1の本発明に係る電気接点開閉デバイスは、前記通電用電気接点を開離するとき、前記過渡電流用電気接点を閉成しておく構成を有することが好ましい。この場合、通電用電気接点の開離動作中の接点間抵抗変化による電源からの過渡電流を、過渡電流用電気接点を介してコンデンサに流すことができる。これにより、電源の内部抵抗や負荷の抵抗、インダクタンスによる電圧降下を発生させ、通電用電気接点の電流遮断直後の電圧上昇を抑えるため、開離時の通電用電気接点での消費電力を抑制することができる。
【0025】
第1の本発明に係る電気接点開閉デバイスは、前記コンデンサに対して並列に電気抵抗またはスイッチが接続されていることが好ましい。この場合、電気抵抗またはスイッチにより、過渡電流用電気接点の開離後にコンデンサを初期化することができる。
【0026】
第1の本発明に係る電気接点開閉デバイスは、前記コンデンサの容量は前記通電用電気接点を開離するとき、前記通電用電気接点を流れる電流値が前記通電用電気接点の最小アーク放電電流値以下になる時点で、前記通電用電気接点間の電圧が最小アーク放電電圧値以下となるよう設定されていることが好ましい。この場合、通電用電気接点を開離するとき、通電用電気接点間の電流または電圧のいずれか一方が、必ず最小アーク放電電流値または最小アーク放電電圧値以下になっているため、アーク放電の発生を確実に防止することができる。
【0027】
第1の本発明に係る電気接点開閉デバイスは、前記コンデンサは前記通電用電気接点間の電圧が、前記通電用電気接点間の融点温度Tmまたは沸点温度Tbに対応する電圧V≒Tm/3200またはV≒Tb/3200を超えない容量に設定されていることを、特徴とする請求項1,2,3または4記載の電気接点開閉デバイス。この場合、(1)式より、通電用電気接点間の電圧が溶融電圧または沸騰電圧より低い電圧に抑えられるため、通電用電気接点を開離するとき、通電用電気接点でブリッジ現象や金属蒸発が発生するのを防止することができる。
【0028】
第1の本発明に係る電気接点開閉デバイスは、前記過渡電流用電気接点を前記通電用電気接点の開閉信号に基づいて機械的または電気的に開閉する手段を有することが好ましい。この場合、通電用電気接点の開閉信号をトリガとして、過渡電流用電気接点の開閉のタイミングを、機械的または電気的に任意に設定することができる。
【0029】
第1の本発明に係る電気接点開閉デバイスは、前記過渡電流用電気接点の代わりに整流回路を有し、前記整流回路は、前記通電用電気接点を開離したとき前記コンデンサに電荷を蓄えるよう前記コンデンサに流入する電流を整流してもよい。さらに、第1の本発明に係る電気接点開閉デバイスは、前記整流回路に対して直列に接続された過渡電流用電気接点を有してもよい。この場合、電源電圧の変動が通電用電気接点の開閉動作より高速のときにも、通電用電気接点が開離したときコンデンサに電荷を蓄えることができ、コンデンサに過渡電流以外の定常的な電流が流れるのを防止することができる。このため、過渡電流スイッチを電流ゼロの状態で開離することができる。また、整流回路により、直流電源の場合にコンデンサの電流方向の指定が不要になるため、電解コンデンサのような極性のあるコンデンサを使用することができる。
【0030】
第2の本発明に係る電気接点開閉デバイスは、通電用電気接点と過渡電流用電気接点とインダクタンスとを有し、前記通電用電気接点および前記過渡電流用電気接点は互いに電気的に並列に接続されて互いに時間差をつけて開閉する構成を有し、前記インダクタンスは前記過渡電流用電気接点に対して直列に接続されていることを、特徴とする。
【0031】
図43に示すように、図36に示す回路で、理想的なスイッチ3では、電力消費は生じない。しかし、図44に示すように、実際のスイッチ3では、接触抵抗はゼロではなく、完全に閉成するまでに抵抗値の時間変化が生じる。そのために、電気接点間で電力が消費される。第2の本発明に係る電気接点開閉デバイスでは、通電用電気接点および過渡電流用電気接点が時間差をつけて開閉可能であるため、過渡電流用電気接点を流れる電源の過渡電流を定常値に収束させ、通電用電気接点間の電圧がほぼゼロとなった状態で通電用電気接点を閉成することができる。これにより、閉成時の通電用電気接点での消費電力を抑制することができる。
【0032】
第2の本発明に係る電気接点開閉デバイスでは、通電用電気接点の閉成動作時に、過渡電流用電気接点を通してインダクタンスに過渡電流を流すことにより、負荷に急激に電流が流れるのを防ぎ、緩やかな変化にすることができる。これにより、サージ雑音を抑制することができる。
【0033】
第2の本発明に係る電気接点開閉デバイスは、前記通電用電気接点を閉成するとき、前記過渡電流用電気接点を閉成しておく構成を有することが好ましい。この場合、過渡電流用電気接点を流れる電源の過渡電流が定常値に収束し、通電用電気接点間の電圧がほぼゼロとなった状態で通電用電気接点を閉成することができる。これにより、閉成時の通電用電気接点での消費電力を抑制することができる。
【0034】
第1および第2の本発明に係る電気接点開閉デバイスは、前記通電用電気接点および前記過渡電流用電気接点は半導体スイッチから成ってもよい。この場合、高速に通電用電気接点および過渡電流用電気接点を開閉するときに効果的である。半導体スイッチは、トラジスタやFET、ダイオードなどから成る。特に、大電流を取り扱えるパワーMOSFETから成るとき、スイッチ閉成時および開離時の発熱を抑えることができる。
【0035】
第1の本発明に係る消費電力抑制回路は、電源と負荷と第1の本発明に係る電気接点開閉デバイスとを有し、前記負荷は前記電源に接続され、前記電気接点開閉デバイスは前記負荷に対して直列に接続され、前記通電用電気接点を開離するとき、前記電源からの過渡電流を前記コンデンサに流し、前記電源の内部抵抗や前記負荷による電圧降下を発生させて前記通電用電気接点の電圧上昇を抑えるよう前記過渡電流用電気接点を閉成しておく構成を有することを、特徴とする。
【0036】
第1の本発明に係る消費電力抑制回路は、通電用電気接点を開離するとき、過渡電流用電気接点を閉成しておくことにより、電源からの過渡電流をコンデンサに流し、電源の内部抵抗や負荷による電圧降下を発生させて通電用電気接点の電圧上昇を抑えるため、開離時の通電用電気接点での消費電力を抑制することができる。また、通電用電気接点の電圧または電流を、最小アーク放電電圧または最小アーク放電電流以下にすることができるため、アーク放電の発生を防止することができる。
【0037】
第1の本発明に係る消費電力抑制回路は、通電用電気接点の開離動作時に、過渡電流用電気接点を通してコンデンサに過渡電流を流すため、負荷を流れる電流が急激に低下するのを防ぎ、緩やかな変化にすることができる。これにより、サージ雑音を抑制することができる。
【0038】
第1の本発明に係る消費電力抑制回路では、過渡電流用電気接点を閉成してコンデンサに電源電圧をかける時間を、通電用電気接点の開離時のみに設定することにより、耐圧性の低い小型のコンデンサを用いることができ、材料費の低減および小型化を図ることができる。また、通電用電気接点の開離時以外は、過渡電流用電気接点を開離しておくことにより、過渡電流用電気接点にほとんど電気が流れない。このため、過渡電流用電気接点に、電流遮断用の電気接点よりも小型のものを用いることができ、材料費の低減および小型化を図ることができる。
【0039】
第2の本発明に係る消費電力抑制回路は、電源と負荷と第2の本発明に係る電気接点開閉デバイスとを有し、前記負荷は前記電源に接続され、前記電気接点開閉デバイスは前記負荷に対して直列に接続され、前記過渡電流用電気接点を閉成し、前記過渡電流用電気接点を流れる前記電源の過渡電流が定常値に収束した後、前記通電用電気接点を閉成する構成を有することを、特徴とする。
【0040】
第2の本発明に係る消費電力抑制回路は、過渡電流用電気接点を閉成し、過渡電流用電気接点を流れる電源の過渡電流が定常値に収束した後、通電用電気接点を閉成するため、閉成時の通電用電気接点での消費電力を抑制することができる。また、通電用電気接点の閉成動作時に、過渡電流用電気接点を通してインダクタンスに過渡電流を流すため、負荷に急激に電流が流れるのを防ぎ、緩やかな変化にすることができる。これにより、サージ雑音を抑制することができる。
【0041】
本発明に係る直流モータは、電源に接続された1対のブラシに、それぞれ電機子の両端に設けられた1対の整流子を交互に接触させて、磁界中に置かれた電機子に直流電流を流し、電磁力により電機子を回転させる直流モータであって、各整流子は前記ブラシに接触したとき互いに電気的に並列に接続されるよう、回転方向に並べて設けられた2つの接点と、回転方向に向かって後方側の接点に対して直列に接続されたコンデンサとを有することを、特徴とする。
【0042】
本発明に係る直流モータは、回転方向に向かって前方側の接点に接触していたブラシが、整流子の回転によりその接点から離れるとき、後方側の接点に接触するため、電源からの過渡電流をコンデンサに流すことができる。これにより、電源の内部抵抗などによる電圧降下を発生させて、ブラシと前方側の接点との間の電圧上昇を抑えるため、そこでのアーク放電の発生を防止することができ、消費電力を抑制することができる。
【0043】
本発明に係るパンタグラフ装置は、架線に接触して通電するためのパンタグラフ装置であって、1対のパンタグラフとコンデンサとを有し、各パンタグラフは前記架線に接触したとき、互いに電気的に並列に接続されるよう設けられ、前記コンデンサは一方のパンタグラフに対して直列に接続されていることを、特徴とする。
【0044】
本発明に係るパンタグラフ装置は、他方のパンタグラフが振動などにより架線から離れても、一方のパンタグラフが架線に接触していれば、架線からの過渡電流をコンデンサに流すことができる。これにより、架線の内部抵抗などによる電圧降下を発生させて、架線と他方のパンタグラフとの間の電圧上昇を抑えるため、そこでのアーク放電の発生を防止することができ、消費電力を抑制することができる。
【0045】
本発明に係るコネクタは、ソケットとプラグとを接続することにより、ソケットに接続されたソケット側導電線とプラグに接続されたプラグ側導電線とを導通させるコネクタであって、ソケット側分岐線とプラグ側分岐線とコンデンサとを有し、前記ソケット側導電線はソケット側通電用接点を有し、前記ソケット側分岐線は前記ソケット側導電線から分岐してソケット側過渡電流用接点を有し、前記プラグ側導電線はプラグ側通電用接点を有し、前記プラグ側分岐線は前記プラグ側導電線から分岐してプラグ側過渡電流用接点を有し、前記コンデンサは前記ソケット側分岐線または前記プラグ側分岐線に設けられ、前記ソケットを前記プラグに接続したとき前記ソケット側通電用接点と前記プラグ側通電用接点とが閉成し、前記ソケットを前記プラグに接続したとき、または前記ソケットを前記プラグから外すとき前記ソケット側過渡電流用接点と前記プラグ側過渡電流用接点とが閉成し、その閉成状態を維持したまま前記前記ソケット側通電用接点と前記プラグ側通電用接点とが開離して前記ソケットを前記プラグから外す構成を有することを、特徴とする。
【0046】
本発明に係るコネクタは、ソケットをプラグから外すとき、ソケット側過渡電流用接点とプラグ側過渡電流用接点とが閉成した状態で、ソケット側通電用接点とプラグ側通電用接点とを開離させるため、電源からの過渡電流をコンデンサに流すことができる。これにより、電源の内部抵抗などによる電圧降下を発生させてソケット側通電用接点とプラグ側通電用接点との間の電圧上昇を抑えるため、そこでのアーク放電の発生を防止することができ、消費電力を抑制することができる。
【0047】
本発明に係るパルス発生装置は、回転体と複数の回転電極と接触電極とコンデンサとを有し、各回転電極はそれぞれ絶縁体で隔てられ前記回転体の回転軸を中心として回転対称の位置に設けられ、各回転電極は前記回転体の回転方向前側に配置された前側電極片と回転方向後側に配置された後側電極片とから成り、前記前側電極片および前記後側電極片は電源に対し互いに電気的に並列に接続される構成を有し、前記接触電極は、前記回転体が回転するとき各回転電極に順次間欠的に接触し、各回転電極の前側電極片および後側電極片に対して前記前側電極片への接触、前記前側電極片および前記後側電極片への接触、前記後側電極片への接触の順で接触するよう設けられ、前記コンデンサは各後側電極片に対して直列に接続されていることを、特徴とする。
【0048】
本発明に係るパルス発生装置は、電流パルス列または電圧パルス列を発生することができ、インバータ装置などに使用可能である。接触電極が各回転電極の前側電極片および後側電極片に対して前側電極片への接触、前側電極片および後側電極片への接触、後側電極片への接触の順で接触するよう設けられているため、接触電極が前側電極片から離れるとき、電源からの過渡電流をコンデンサに流すことができる。これにより、電源の内部抵抗などによる電圧降下を発生させて、接触電極と前側電極片との間の電圧上昇を抑えるため、そこでのアーク放電の発生を防止することができ、消費電力を抑制することができる。
【0049】
なお、第1および第2の本発明に係る電気接点開閉デバイス、ならびに第1および第2の本発明に係る消費電力抑制回路では、過渡電流用電気接点を流れる電流波形、または直列に接続されるコンデンサやコイルの電圧波形を解析すれば、動作条件に近い状態での回路の特性を、図1に示すような等価回路として推定できる。この場合、通電用電気接点が閉成され回路が動作している時、過渡電流用電気接点での電流もコンデンサやコイルでの電圧も発生せず、その電流や電圧を検出する回路が影響を受けることも与えることもない。一方、通電用電気接点が開離され電流が遮断されている時、過渡電流用電気接点が開離しているので、同様に過渡電流用電気接点の電流もコンデンサやコイルの電圧も発生せず、その電流や電圧を検出する回路が影響を受けることも与えることもない。
【発明の効果】
【0050】
本発明によれば、アーク放電の発生を防止するとともに、材料費の低減および小型化を図ることができる電気接点開閉デバイス、消費電力抑制回路、直流モータ、パンタグラフ装置、コネクタおよびパルス発生装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0051】
以下、図面に基づき、本発明の実施の形態について説明する。
図1乃至図25は、本発明の第1の実施の形態の消費電力抑制回路を示している。
図1に示すように、消費電力抑制回路10は、電源11と電源および負荷等の等価インピーダンス12と電気接点開閉デバイス13とを有している。
【0052】
電源11は、直流または交流電源から成り、内部抵抗を有している。
電源および負荷等の等価インピーダンス12は、鳳・テブナンの定理から、電源11との直列接続で表現できる。
電気接点開閉デバイス13は、電源および負荷等の等価インピーダンス12に対して直列に接続され、通電用電気接点14と過渡電流用電気接点15と開閉手段(図示せず)とコンデンサ16とを有している。
【0053】
通電用電気接点14および過渡電流用電気接点15は、スイッチから成り、互いに電気的に並列に接続されている。通電用電気接点14および過渡電流用電気接点15は、時間差をつけて開閉可能である。
【0054】
図2に示すように、開閉手段は、過渡電流用電気接点15を通電用電気接点14の開閉信号に基づいて機械的または電気的に開閉するよう構成されている。開閉手段は、通電用電気接点14を開離(オフ)するとき過渡電流用電気接点15を閉成(オン)しておくようになっている。特に、図3に示すように、開離時にコンデンサ16への電圧印加レベルを電源電圧以下に低く抑えるよう、過渡電流用電気接点15を通電電流がほぼゼロになった直後に開離させるようになっている。
なお、開閉手段は、具体的には以下のように構成される。
【0055】
機械的に同期させる構成として、図4に示すように、開閉手段は、接点間の距離差、接点ばねの弾性差、接点の質量差などを利用して、通電用電気接点14の開閉動作と時間差で過渡電流用電気接点15を開閉するよう構成することができる。開閉手段は、回転形摺動接点では、図5に示すように構成されてもよい。
図5に示す構成で、電極Cは、右周りに回転して通電用電極Aに接触して通電する。さらに右回りに回転すると、狭い絶縁G付近で、通電用電極Aに接触したまま過渡電流用電極Bにも接触する。さらに回転して、過渡電流用電極Bに接触したまま通電用電極Aを開離する。
【0056】
また、図6に示すように、開閉手段は、押しボタンスイッチで、2個の機械バネ接点の接点位置を調整して構成されてもよい。この場合、図6(b)に示すように、定常アーク放電が抑圧されていることが確認できる。なお、開離時の過渡電流スイッチBは、コンデンサ16が完全に電源電圧で充電される以前にオフ状態に移行していることがわかる。
【0057】
電気的に同期させる構成として、図7に示すように、開閉手段は、汎用の電磁リレー2個を組み合わせて、一方を通電用電気接点14とし、他方を過渡電流用電気接点15として、電磁リレーの駆動電流を利用して構成することができる。この場合、図8に示すように、アーク放電が完全に抑圧されていることが確認できる。また、図9に示すように、100回動作後の電気接点表面の痕跡からも、定常アーク放電が抑圧されていることが確認できる。
【0058】
図1に示すように、コンデンサ16は、過渡電流用電気接点15に対して直列に接続されている。コンデンサ16は、通電用電気接点14を開離するとき、通電用電気接点14を流れる電流値が通電用電気接点14の最小アーク放電電流値以下になる時点で、通電用電気接点14間の電圧が最小アーク放電電圧値以下となるよう、容量が設定されている。一例では、以下のようにして設定される。
【0059】
図10に示すように、通電用電気接点14の開離動作時の接点間抵抗は、通電用電気接点14での電流集中による温度上昇のために、通電電流値に依存した過渡特性を示した後、完全開離した定常に至る。図11に示すように、接点間抵抗を測定し、この接点間抵抗を過渡的な変化をするR(t)として、図12に示す過渡電流解析用等価回路に組み込む。なお、電源電圧が交流でも直流と同様に扱える。図13に示すように、通電用電気接点14の開離動作中に電流が最小アーク放電電流以下となる時間と、電圧が最小アーク放電電圧以上となる時間との差Δtを求める。電気接点の材料によって異なる最小アーク放電電流値および最小アーク放電電圧値は、表1の材料定数から求める。この値が負であれば両者が同時に満足する時間領域はなく、アーク放電は発生しない。
【0060】
実際に、銀合金電極を使用した汎用電磁リレーで、図11のごとく測定したR(t)を用いて、図12の回路で図13のように電流、電圧を計算しΔtを求めた。図14に示すように、電流値とコンデンサ16の値を変えて計算したΔtの電流依存性と、電流値とコンデンサ16の値を替えて実際に多数回行った放電発生確認実験によるアーク放電発生確率の電流依存性とを比較すると、両者の傾向は類似している。これにより、このコンデンサ16の容量を設定する手法が妥当であると考えられる。
【0061】
さらに、コンデンサ16は、通電用電気接点14間の電圧が、通電用電気接点14間の融点温度Tmまたは沸点温度Tbに対応する電圧V≒Tm/3200またはV≒Tb/3200を超えない容量に設定されている。このように、コンデンサ16は、通電用電気接点14を開離するとき、通電用電気接点14でブリッジ現象や金属蒸発が発生するのを防止するよう、容量が設定されている。
【0062】
次に、作用について説明する。
なお、コンデンサ16と過渡電流用電気接点15の等価直列抵抗や等価インダクタンスなどは無視できるものとする。
図15に示すように、消費電力抑制回路10は、通電用電気接点14を開離するとき、開閉手段により、過渡電流用電気接点15を閉成しておくことにより、電源11からの過渡電流をコンデンサ16に流し、電源11の内部抵抗や電源および負荷等の等価インピーダンス12による電圧降下を発生させて通電用電気接点14の電圧上昇を抑えることができる。このとき、通電用電気接点14の電圧上昇は、電源および負荷等の等価インピーダンス12や電源11の内部抵抗、コンデンサ16の容量および通電用電気接点14の抵抗値の時間変化によって決まる。このため、通電用電気接点14の電圧上昇は、コンデンサ16の容量を変えることによって、任意の上昇曲線を設計することができる。
【0063】
通電用電気接点14が完全に開離後、開閉手段により、過渡電流用電気接点15を開離することにより、瞬時に過渡電流がゼロとなり、通電用電気接点14の電圧は上昇し、電源電圧に至る。このように、消費電力抑制回路10は、開離時の通電用電気接点14での消費電力を抑制することができる。また、通電用電気接点14を開離するとき、通電用電気接点14間の電流または電圧のいずれか一方が、必ず最小アーク放電電流値または最小アーク放電電圧値以下になるようコンデンサ16の容量を設定しているため、アーク放電の発生を確実に防止することができる。
【0064】
図16に示すように、消費電力抑制回路10は、通電用電気接点14の開離動作時に、過渡電流用電気接点15を通してコンデンサ16に過渡電流を流すことにより、電源および負荷等の等価インピーダンス12を流れる電流が急激に低下するのを防ぎ、緩やかな変化にすることができる。電源および負荷等の等価インピーダンス12などのインダクタンスをLとし、電流をIとすれば、サージ電圧Vは、V∝L(dI/dt)となり、サージ雑音を抑制することができる。図17に示すように、回路シミュレーションによる計算の結果、コンデンサ16を接続したとき、コンデンサ16を接続しないときに比べて、サージ電圧が1/5以下になる。これにより、サージ雑音の抑制効果を確認できる。
【0065】
図15に示すように、消費電力抑制回路10では、過渡電流用電気接点15を閉成してコンデンサ16に電源電圧をかける時間を、通電用電気接点14の開離時のみに設定しているため、耐圧性の低い小型の大容量コンデンサ16を用いることができ、材料費の低減および小型化を図ることができる。また、通電用電気接点14の開離時以外は、過渡電流用電気接点15を開離しておくため、過渡電流用電気接点15にほとんど電気が流れない。このため、過渡電流用電気接点15に、電流遮断用の電気接点よりも小型のものを用いることができ、材料費の低減および小型化を図ることができる。
【0066】
電気接点開閉デバイス13は、その原理を、電流を遮断する総てのスイッチに適用することができる。例えば、大電力用真空電流遮断器やインバータ用半導体スイッチなどにも適用することができる。
【0067】
なお、図18に示すように、消費電力抑制回路10は、コンデンサ16に対して並列に電気抵抗17またはスイッチ18が接続されていてもよい。この場合、電気抵抗17またはスイッチ18により、過渡電流用電気接点15の開離後にコンデンサ16を初期化することができる。なお、過渡電流用電気接点15およびコンデンサ16に対して直列に抵抗があれば過渡電流が制限される。さらに、過渡電流用電気接点15およびコンデンサ16に対して直列にインダクタンスがあれば、コンデンサ16への突入電流のために瞬間的なサージ電圧が発生し、ピコないしマイクロ秒程度の非常に短い高電圧が発生する場合が想定されるが、時間が短く、エネルギーも小さいため、電気接点開閉デバイス13の信頼性や寿命への影響は少ない。
【0068】
また、図19に示すように、消費電力抑制回路10は、過渡電流用電気接点15およびコンデンサ16に対して直列に接続された整流回路19を有し、整流回路19は、通電用電気接点14を開離したときコンデンサ16に電荷を蓄えるようコンデンサ16に流入する電流を整流するよう構成されていてもよい。整流回路19は、全波でも半波でもよい。整流回路19がない場合、図20に示すように、電源電圧の変動が通電用電気接点14や過渡電流用電気接点15の開閉動作より高速のとき、通電用電気接点14が開離しても、過渡電流用電気接点15やコンデンサ16には過渡電流以外の定常的な電流が流れ、過渡電流用電気接点15を電流ゼロの状態で開離できない場合が生じる。
【0069】
これに対して整流回路19を有する場合、図21に示すように、電源電圧の変動が通電用電気接点14の開閉動作より高速のときにも、通電用電気接点14が開離したときコンデンサ16に電荷を蓄えることができ、コンデンサ16に過渡電流以外の定常的な電流が流れるのを防止することができる。このため、過渡電流用電気接点15を電流ゼロの状態で開離することができる。また、整流回路19により、直流電源11の場合にコンデンサ16の電流方向の指定が不要になるため、電解コンデンサのような極性のあるコンデンサ16を使用することができる。
【0070】
図22に示す回路で測定を行った結果、図23に示すように、アーク放電が発生しない事が確認できる。また、図22に示す回路で電源11を直流50Vにした場合でも、図24に示すように、アーク放電が発生しない事が確認できる。図25に示すように、図19(a)に示す回路は、例えば3個組み合わせて3相交流へ適用することができる。
【0071】
図26乃至図28は、本発明の第2の実施の形態の消費電力抑制回路を示している。
図26に示すように、消費電力抑制回路20は、電源21と負荷22と電気接点開閉デバイス23とを有している。
【0072】
電源21は、直流または交流電源から成り、内部抵抗を有している。
負荷22は、電源21に接続されている。
電気接点開閉デバイス23は、負荷22に対して直列に接続され、通電用電気接点24と過渡電流用電気接点25とインダクタンス26とを有している。
【0073】
通電用電気接点24および過渡電流用電気接点25は、スイッチから成り、互いに電気的に並列に接続されている。通電用電気接点24および過渡電流用電気接点25は、時間差をつけて開閉可能である。
電気接点開閉デバイス23は、過渡電流用電気接点25を閉成し、過渡電流用電気接点25を流れる電源21の過渡電流が定常値に収束した後、通電用電気接点24を閉成する構成を有している。
インダクタンス26は、過渡電流用電気接点25に対して直列に接続されている。
【0074】
次に、作用について説明する。
図27に示すように、消費電力抑制回路20は、通電用電気接点24の閉成直前に過渡電流用電気接点25をオンにしてインダクタンス26を通電用電気接点24に接続すると、過渡電流値が定常値に収束し、その後、通電用電気接点24間の電圧はほぼゼロとなる。その状態で通電用電気接点24を閉成する。このとき、インダクタンス26の等価直列抵抗より接触抵抗を低くすれば、電流が通電用電気接点24を流れる。これにより、閉成時の通電用電気接点24での消費電力を抑制することができる。一方、過渡電流用電気接点25は、インダクタンス26の等価直列抵抗と通電用電気接点24の接触抵抗の比で決まる、ほぼゼロに近い電流値のときに、開離することができる。
【0075】
図28に示すように、消費電力抑制回路20は、通電用電気接点24の閉成動作時に、過渡電流用電気接点25を通してインダクタンス26に過渡電流を流すことにより、負荷22に急激に電流が流れるのを防ぎ、緩やかな変化にすることができる。負荷22などのインダクタンスをLとし、電流をIとすれば、サージ電圧Vは、V∝L(dI/dt)となり、サージ雑音を抑制することができる。
【0076】
電気接点開閉デバイス23は、その原理を、電流を遮断する総てのスイッチに適用することができる。例えば、大電力用真空電流遮断器やインバータ用半導体スイッチなどにも適用することができる。
【0077】
なお、図29に示すように、消費電力抑制回路10,20は、通電用電気接点14,24および過渡電流用電気接点15,25が半導体スイッチから成っていてもよい。この場合、高速に通電用電気接点14,24および過渡電流用電気接点15,25を開閉するときに効果的である。半導体スイッチは、トラジスタやFET、ダイオードなどから成る。特に、大電流を取り扱えるパワーMOSFETから成るとき、スイッチ閉成時および開離時の発熱を抑えることができる。この半導体スイッチによる構成は、実装や回路設計のみならず、素子設計にも新たな手法を提供することになると考えられる。図29に示す回路で測定を行った結果、図30に示す通電スイッチ閉成時、および、図31に示す通電スイッチ開離時のいずれの場合も、消費電力の低減およびサージ雑音の抑制の効果が確認できる。
【0078】
図32は、本発明の実施の形態の直流モータを示している。
図32に示すように、直流モータ30は、1対のブラシ31と電機子32と1対の整流子33とを有している。
ブラシ31は、カーボン製で、電源に接続されている。
電機子32は、コイルから成り、磁界中に置かれている。
【0079】
各整流子33は、電機子32の両端に設けられている。各整流子33は、各ブラシ31に交互に接触されて、電機子32に直流電流を流し、電磁力により電機子32を回転させるよう構成されている。各整流子33は、2つの接点34,35とコンデンサ36とを有している。各接点34,35は、ブラシ31に接触したとき互いに電気的に並列に接続されるよう、回転方向に並べて設けられている。コンデンサ36は、回転方向に向かって後方側の接点35に対して直列に接続されている。
【0080】
次に、作用について説明する。
直流モータ30は、図1に示す消費電力抑制回路10を応用したものであり、回転方向に向かって前方側の接点34と各ブラシ31とで通電用電気接点14を形成し、後方側の接点35と各ブラシ31とで過渡電流用電気接点15を形成している。
図32に示すように、直流モータ30は、回転方向に向かって前方側の接点34に接触していたブラシ31が、整流子33の回転によりその接点34から離れるとき、後方側の接点35に接触するため、電源からの過渡電流をコンデンサ36に流すことができる。これにより、電源の内部抵抗などによる電圧降下を発生させて、ブラシ31と前方側の接点34との間の電圧上昇を抑えるため、そこでのアーク放電の発生を防止することができ、消費電力を抑制することができる。
【0081】
図33は、本発明の実施の形態のパンタグラフ装置を示している。
図33に示すように、パンタグラフ装置40は、1対のパンタグラフ41,42とコンデンサ43とを有している。
各パンタグラフ41,42は、架線44に接触したとき、互いに電気的に並列に接続されるよう設けられている。
コンデンサ43は、一方のパンタグラフ42に対して直列に接続されている。
【0082】
次に、作用について説明する。
パンタグラフ装置40は、図1に示す消費電力抑制回路10を応用したものであり、架線44と他方のパンタグラフ41とで通電用電気接点14を形成し、架線44と一方のパンタグラフ42とで過渡電流用電気接点15を形成している。
図33に示すように、パンタグラフ装置40は、他方のパンタグラフ41がその弾性や構造により振動などで架線44から離れても、一方のパンタグラフ42が架線44に接触していれば、架線44からの過渡電流をコンデンサ43に流すことができる。これにより、架線44の内部抵抗などによる電圧降下を発生させて、架線44と他方のパンタグラフ41との間の電圧上昇を抑えるため、そこでのアーク放電の発生を防止することができ、消費電力を抑制することができる。
【0083】
図34は、本発明の実施の形態のコネクタを示している。
図34に示すように、コネクタ50は、ソケット51とプラグ52とソケット側分岐線53とプラグ側分岐線(図示せず)とコンデンサ54と電気抵抗55とを有している。
ソケット51は、ソケット側導電線56が接続されている。ソケット側導電線56は、先端にソケット側通電用接点57を有している。
プラグ52は、ソケット51に差し込んで接続可能で、プラグ側導電線58が接続されている。プラグ側導電線58は、先端にプラグ側通電用接点59を有している。プラグ52は、ソケット51に接続されたとき、プラグ側導電線58がソケット側導電線56と導通可能である。
【0084】
ソケット側分岐線53は、ソケット側通電用接点57の手前でソケット側導電線56から分岐し、先端にソケット側過渡電流用接点60を有している。
プラグ側分岐線は、プラグ側通電用接点59の手前でプラグ側導電線58から分岐し、先端にプラグ側過渡電流用接点61を有している。
コンデンサ54は、ソケット側分岐線53に設けられている。
電気抵抗55は、コンデンサ54に対して並列に設けられている。
【0085】
次に、作用について説明する。
コネクタ50は、図1に示す消費電力抑制回路10を応用したものであり、ソケット側通電用接点57とプラグ側通電用接点59とで通電用電気接点14を形成し、ソケット側過渡電流用接点60とプラグ側過渡電流用接点61とで過渡電流用電気接点15を形成している。
【0086】
図34に示すように、コネクタ50は、プラグ52をソケット51に差し込んで接続すると、ソケット側通電用接点57とプラグ側通電用接点59とが閉成する。これにより、ソケット側導電線56とプラグ側導電線58とが導通する。プラグ52をソケット51から外すとき、プラグ52をソケット51に対して回転させて、ソケット側過渡電流用接点60とプラグ側過渡電流用接点61とを閉成させ、その閉成状態を維持したままソケット側通電用接点57とプラグ側通電用接点59とを開離させる。このとき、電源からの過渡電流をコンデンサ54に流すことができる。これにより、電源の内部抵抗などによる電圧降下を発生させてソケット側通電用接点57とプラグ側通電用接点59との間の電圧上昇を抑えるため、そこでのアーク放電の発生を防止することができ、消費電力を抑制することができる。その状態で、ソケット51からプラグ52を引き抜いて外す。
【0087】
図35は、本発明の実施の形態のパルス発生装置70を示している。
図35に示すように、パルス発生装置70は、回転体71と複数の回転電極72と接触電極73と接続電極74とコンデンサ75と電気抵抗76とを有している。なお、パルス発生装置70は、図5の構成を応用したものである。
回転体71は、円板から成り、表面に絶縁体を有している。
各回転電極72は、それぞれ絶縁体で隔てられ、回転体71の表面に回転軸を中心として回転対称の位置に設けられている。各回転電極72は、回転体71の回転方向前側に配置された前側電極片Aと、回転方向後側に配置された後側電極片Bとから成っている。各回転電極72は、隣の回転電極72との間隔72aが、前側電極片Aと後側電極片Bとの間隔72bより広くなるよう配置されている。前側電極片Aは、後側電極片Bより回転体71の外周側に長く伸びて形成されている。各回転電極72の前側電極片Aは、それぞれ電気的に並列に接続されている。各回転電極72の後側電極片Bは、それぞれ電気的に並列に接続されている。前側電極片Aおよび後側電極片Bは、電源77に対し互いに電気的に並列に接続されている。
【0088】
接触電極73は、電源77の一方の端子に接続され、回転体71が回転するとき各回転電極72に順次間欠的に接触するよう設けられている。接触電極73は、各回転電極72に接触する幅73aが、各回転電極72の間隔72aよりも小さく、かつ前側電極片Aと後側電極片Bとの間隔72bよりも大きく形成されている。接触電極73は、各回転電極72の前側電極片Aおよび後側電極片Bに対して前側電極片Aへの接触、前側電極片Aおよび後側電極片Bへの接触、後側電極片Bへの接触の順で接触するようになっている。
【0089】
接続電極74は、電源77の他方の端子に接続され、回転体71が回転するとき各回転電極72の前側電極片Aに順次接触し、後側電極片Bに接触しないよう、回転体71の外周寄りに設けられている。接続電極74は、各回転電極72の前側電極片Aに接触する幅74aが、各回転電極72の前側電極片Aの間隔72cよりも大きく形成されている。接続電極74は、各回転電極72の前側電極片Aのいずれかに、常に接触するようになっている。
コンデンサ75は、各回転電極72の後側電極片Bに対して直列になるよう接続されている。
電気抵抗76は、コンデンサ75に対して並列に設けられている。
【0090】
次に、作用について説明する。
パルス発生装置70は、図1に示す消費電力抑制回路10を応用したものであり、前側電極片Aと接触電極73とで通電用電気接点を形成し、後側電極片Bと接触電極73とで過渡電流用電気接点を形成している。
パルス発生装置70は、電流パルス列または電圧パルス列を発生することができ、インバータ装置などに使用可能である。接触電極73が各回転電極72の前側電極片Aおよび後側電極片Bに対して前側電極片Aへの接触、前側電極片Aおよび後側電極片Bへの接触、後側電極片Bへの接触の順で接触するよう設けられているため、接触電極73が前側電極片Aから離れるとき、電源77からの過渡電流をコンデンサ75に流すことができる。これにより、電源77の内部抵抗などによる電圧降下を発生させて、接触電極73と前側電極片Aとの間の電圧上昇を抑えるため、そこでのアーク放電の発生を防止することができ、消費電力を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明の第1の実施の形態の消費電力抑制回路を示す電気回路図である。
【図2】図1と図26に示す消費電力抑制回路の(a)開閉手段による開閉信号の時間変化を示す波形図、(b)通電用電気接点の開閉状態の時間変化を示す波形図、(c)通電用電気接点閉成時の過渡電流用電気接点の開閉状態の時間変化を示す波形図、(d)通電用電気接点開離時の過渡電流用電気接点の開閉状態の時間変化を示す波形図である。
【図3】図1に示す消費電力抑制回路の通電用電気接点開離時の(a)電源電圧の時間変化を示す波形図、(b)通電用電気接点間の電流の時間変化を示す波形図、(c)過渡電流用電気接点の電流の時間変化を示す波形図である。
【図4】図1に示す消費電力抑制回路の開閉手段の(a)接点間距離を変更する例を示す原理説明図、(b)接点の弾性を変更する例を示す原理説明図、(c)接点の質量を変更する例を示す原理説明図である。
【図5】図1に示す消費電力抑制回路の開閉手段の回転形摺動接点を使用した例を示す原理説明図である。
【図6】図1に示す消費電力抑制回路の開閉手段の押しボタンスイッチを使用した例を示す(a)構成図、(b)通電スイッチ開離時の通電スイッチ間の電流および電圧の時間変化を示す波形図である。
【図7】図1に示す消費電力抑制回路の開閉手段の汎用電磁リレーを使用した例を示す(a)スイッチ回路図、(b)開閉手段の電気回路図である。
【図8】図7に示す回路の通電用電気接点開離時の通電用電気接点間の電流および電圧の時間変化を示す波形図である。
【図9】図7に示す回路の100回動作後の(a)通電用電気接点の表面状態図、(b)過渡電流用電気接点の表面状態図である。
【図10】図1に示す消費電力抑制回路の通電用電気接点開離時の接点間抵抗の過渡現象を示す波形図である。
【図11】汎用電磁リレーで測定した図10の接点間抵抗の過渡現象を示す波形図である。
【図12】図1に示す消費電力抑制回路の通電用電気接点を接点間抵抗に置き換えて過渡現象を解析するための電気回路図である。
【図13】図12に示す回路により計算した通電用電気接点開離時の電流および電圧と、Δtの計算方法とを示す原理説明図である。
【図14】図11の接点間抵抗を用いて計算したΔtと、実験により測定したアーク放電発生確率との電流依存性を示す(a)コンデンサがない場合、(b)コンデンサの容量が0.001マイクロFの場合、(c)コンデンサの容量が0.01マイクロFの場合、(d)コンデンサの容量が0.1マイクロFの場合のグラフである。
【図15】図1に示す消費電力抑制回路の通電用電気接点開離時の(a)通電用電気接点間の抵抗値の時間変化を示す波形図、(b)過渡電流用電気接点間の電流の時間変化を示す波形図、(c)負荷の両端の電圧の時間変化を示す波形図、(d)通電用電気接点間の電流の時間変化を示す波形図、(e)通電用電気接点間の電圧の時間変化を示す波形図、(f)通電用電気接点で消費される瞬時電力の時間変化を示す波形図である。
【図16】図1に示す消費電力抑制回路の通電用電気接点開離時の理想的な(a)通電用電気接点間の抵抗値の時間変化を示す波形図、(b)負荷の電流の時間変化を示す波形図、(c)通電用電気接点間の電圧の時間変化を示す波形図、(d)負荷の両端の電圧の時間変化を示す波形図である。
【図17】図1に示す消費電力抑制回路の通電用電気接点開離時の回路シミュレーションによる計算結果を示す(a)42V/1Aの回路でコンデンサに接続しないときの通電用電気接点間の電圧の時間変化を示す波形図、(b)42V/1Aの回路で0.001マイクロFのコンデンサに接続したときの通電用電気接点間の電圧の時間変化を示す波形図である。
【図18】図1に示す消費電力抑制回路のコンデンサに対して並列に電気抵抗またはスイッチを接続した変形例を示す電気回路図である。
【図19】図1に示す消費電力抑制回路の整流回路を有する変形例を示す(a)全波整流回路の場合の電気回路図、(b)半波整流回路の場合の電気回路図である。
【図20】交流電源の場合の、図1に示す消費電力抑制回路の通電用電気接点開離時の(a)電源電圧の時間変化を示す波形図、(b)通電用電気接点間の電流の時間変化を示す波形図、(c)通電用電気接点間の電圧の時間変化を示す波形図、(d)過渡電流用電気接点間の電流の時間変化を示す波形図である。図中の実線は交流電源、点線は直流電源をしめす。
【図21】図19(a)に示す回路の通電用電気接点開離時の(a)電源電圧の時間変化を示す波形図、(b)負荷の両端の電圧の時間変化を示す波形図、(c)通電用電気接点間の電圧の時間変化を示す波形図、(d)通電用電気接点間の電流の時間変化を示す波形図、(e)過渡電流用電気接点間の電流の時間変化を示す波形図、(f)過渡電流用電気接点間の電圧の時間変化を示す波形図である。図中の実線は交流電源、点線は直流電源をしめす。
【図22】図19(a)に示す回路の実施例を示す電気回路図である。
【図23】図22に示す回路の100Vの交流電源の場合の通電用電気接点開離時の(a)負荷の両端の電流の時間変化を示す波形図、(b)通電用電気接点間の電圧の時間変化を示す波形図、(c)通電用電気接点間の電流の時間変化を示す波形図である。
【図24】図22に示す回路の50Vの直流電源の場合の通電用電気接点開離時の通電用電気接点間の電流および電圧の時間変化を示す波形図である。
【図25】図19(a)に示す回路を3相交流への適用例を示す電気回路図である。
【図26】本発明の第2の実施の形態の消費電力抑制回路を示す電気回路図である。
【図27】図26に示す消費電力抑制回路の通電用電気接点閉成時の理想的な(a)通電用電気接点間の抵抗値の時間変化を示す波形図、(b)負荷の両端の電圧の時間変化を示す波形図、(c)通電用電気接点間の電圧の時間変化を示す波形図、(d)通電用電気接点間の電流の時間変化を示す波形図、(e)過渡電流用電気接点間の電流の時間変化を示す波形図、(f)通電用電気接点で消費される瞬時電力の時間変化を示す波形図である。
【図28】図26に示す消費電力抑制回路の通電用電気接点閉成時の理想的な(a)通電用電気接点間の抵抗値の時間変化を示す波形図、(b)負荷の両端の電流の時間変化を示す波形図、(c)通電用電気接点間の電圧の時間変化を示す波形図、(d)負荷の両端の電圧の時間変化を示す波形図である。
【図29】図1に示す消費電力抑制回路の半導体スイッチを使用した変形例を示す電気回路図である。
【図30】図29に示す回路の通電スイッチ閉成時の(a)過渡電流スイッチを使用しない場合の通電スイッチ間の電流および電圧の時間変化を示す波形図、(b)過渡電流スイッチを使用する場合の通電スイッチ間の電流および電圧の時間変化を示す波形図、(c)(a)および(b)の場合の通電スイッチで消費される瞬時電力の時間変化を示す波形図である。(a)、(b)中の上の波形が電流波形、下の波形が電圧波形である。
【図31】図29に示す回路の通電スイッチ開離時の(a)過渡電流スイッチを使用しない場合の通電スイッチ間の電流および電圧の時間変化を示す波形図、(b)過渡電流スイッチを使用する場合の通電スイッチ間の電流および電圧の時間変化を示す波形図、(c)(a)および(b)の場合の通電スイッチで消費される瞬時電力の時間変化を示す波形図である。(a)、(b)中の上の波形が電流波形、下の波形が電圧波形である。
【図32】本発明の実施の形態の直流モータを示す原理説明図である。
【図33】本発明の実施の形態のパンタグラフ装置を示す原理説明図である。
【図34】本発明の実施の形態のコネクタを示す(a)基本構造を示す構成図、(b)ソケットとプラグとが接触した時の状態を示す状態図、(c)ソケットとプラグとを切断する時の状態を示す状態図である。
【図35】本発明の実施の形態のパルス発生装置を示す原理説明図である。
【図36】一般的なスイッチ回路の等価回路を示す電気回路図である。
【図37】スイッチ閉成時の(a)交流電源の電源電圧の時間変化を示す波形図、(b)(a)の一部を拡大した波形図、(c)直流電源の電源電圧の時間変化を示す波形図である。
【図38】図36に示すスイッチ回路の理想的なスイッチで回路を開離したときの(a)スイッチ間の抵抗値の時間変化を示す波形図、(b)スイッチ間の電流の時間変化を示す波形図、(c)スイッチ間の電圧の時間変化を示す波形図、(d)スイッチで消費される瞬時電力の時間変化を示す波形図である。
【図39】図36に示すスイッチ回路の実際のスイッチで回路を開離したときの(a)スイッチ間の抵抗値の時間変化を示す波形図、(b)スイッチ間の電流の時間変化を示す波形図、(c)スイッチ間の電圧の時間変化を示す波形図、(d)スイッチで消費される瞬時電力の時間変化を示す波形図である。
【図40】スイッチ開閉時のスイッチ間の電流および電圧の時間変化を示す原理説明図である。
【図41】電磁リレーのスイッチ開離時の電力消費の例としてアーク放電を含むスイッチ間の電流および電圧の時間変化を示す波形図である。
【図42】サージ雑音の周波数分布を示す特性図である。
【図43】図36に示すスイッチ回路の理想的なスイッチで回路を閉成したときの(a)スイッチ間の抵抗値の時間変化を示す波形図、(b)スイッチ間の電流の時間変化を示す波形図、(c)スイッチ間の電圧の時間変化を示す波形図、(d)スイッチで消費される瞬時電力の時間変化を示す波形図である。
【図44】図36に示すスイッチ回路の実際のスイッチで回路を閉成したときの(a)スイッチ間の抵抗値の時間変化を示す波形図、(b)スイッチ間の電流の時間変化を示す波形図、(c)スイッチ間の電圧の時間変化を示す波形図、(d)スイッチで消費される瞬時電力の時間変化を示す波形図である。
【符号の説明】
【0092】
10 消費電力抑制回路
11 電源
12 電源および負荷等の等価インピーダンス
13 電気接点開閉デバイス
14 通電用電気接点
15 過渡電流用電気接点
16 コンデンサ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通電用電気接点と過渡電流用電気接点とコンデンサとを有し、
前記通電用電気接点および前記過渡電流用電気接点は互いに電気的に並列に接続され、時間差をつけて開閉可能であり、
前記コンデンサは前記過渡電流用電気接点に対して直列に接続されていることを、
特徴とする電気接点開閉デバイス。
【請求項2】
前記通電用電気接点を開離するとき、前記過渡電流用電気接点を閉成しておく構成を有することを、特徴とする請求項1記載の電気接点開閉デバイス。
【請求項3】
前記コンデンサに対して並列に電気抵抗またはスイッチが接続されていることを、特徴とする請求項1または2記載の電気接点開閉デバイス。
【請求項4】
前記コンデンサの容量は前記通電用電気接点を開離するとき、前記通電用電気接点を流れる電流値が前記通電用電気接点の最小アーク放電電流値以下になる時点で、前記通電用電気接点間の電圧が最小アーク放電電圧値以下となるよう設定されていることを、特徴とする請求項1,2または3記載の電気接点開閉デバイス。
【請求項5】
前記コンデンサは前記通電用電気接点間の電圧が、前記通電用電気接点間の融点温度Tmまたは沸点温度Tbに対応する電圧V≒Tm/3200またはV≒Tb/3200を超えない容量に設定されていることを、特徴とする請求項1,2,3または4記載の電気接点開閉デバイス。
【請求項6】
前記過渡電流用電気接点を前記通電用電気接点の開閉信号に基づいて機械的または電気的に開閉する手段を有することを、特徴とする請求項1,2,3,4または5記載の電気接点開閉デバイス。
【請求項7】
前記過渡電流用電気接点の代わりに整流回路を有し、前記整流回路は、前記通電用電気接点を開離したとき前記コンデンサに電荷を蓄えるよう前記コンデンサに流入する電流を整流することを、特徴とする請求項1,3,4または5記載の電気接点開閉デバイス。
【請求項8】
前記整流回路に対して直列に接続された過渡電流用電気接点を有することを、特徴とする請求項7記載の電気接点開閉デバイス。
【請求項9】
通電用電気接点と過渡電流用電気接点とインダクタンスとを有し、
前記通電用電気接点および前記過渡電流用電気接点は互いに電気的に並列に接続されて互いに時間差をつけて開閉する構成を有し、
前記インダクタンスは前記過渡電流用電気接点に対して直列に接続されていることを、
特徴とする電気接点開閉デバイス。
【請求項10】
前記通電用電気接点を閉成するとき、前記過渡電流用電気接点を閉成しておく構成を有することを、
特徴とする請求項9記載の電気接点開閉デバイス。
【請求項11】
前記通電用電気接点および前記過渡電流用電気接点は半導体スイッチから成ることを、特徴とする請求項1,2,3,4,5,6,8,9または10記載の電気接点開閉デバイス。
【請求項12】
電源と負荷と請求項1,2,3,4,5,6,8または11記載の電気接点開閉デバイスとを有し、
前記負荷は前記電源に接続され、
前記電気接点開閉デバイスは前記負荷に対して直列に接続され、前記通電用電気接点を開離するとき、前記電源からの過渡電流を前記コンデンサに流し、前記電源の内部抵抗や前記負荷による電圧降下を発生させて前記通電用電気接点の電圧上昇を抑えるよう前記過渡電流用電気接点を閉成しておく構成を有することを、
特徴とする消費電力抑制回路。
【請求項13】
電源と負荷と請求項9,10または11記載の電気接点開閉デバイスとを有し、
前記負荷は前記電源に接続され、
前記電気接点開閉デバイスは前記負荷に対して直列に接続され、前記過渡電流用電気接点を閉成し、前記過渡電流用電気接点を流れる前記電源の過渡電流が定常値に収束した後、前記通電用電気接点を閉成する構成を有することを、
特徴とする消費電力抑制回路。
【請求項14】
電源に接続された1対のブラシに、それぞれ電機子の両端に設けられた1対の整流子を交互に接触させて、磁界中に置かれた電機子に直流電流を流し、電磁力により電機子を回転させる直流モータであって、
各整流子は前記ブラシに接触したとき互いに電気的に並列に接続されるよう、回転方向に並べて設けられた2つの接点と、回転方向に向かって後方側の接点に対して直列に接続されたコンデンサとを有することを、
特徴とする直流モータ。
【請求項15】
架線に接触して通電するためのパンタグラフ装置であって、
1対のパンタグラフとコンデンサとを有し、
各パンタグラフは前記架線に接触したとき、互いに電気的に並列に接続されるよう設けられ、
前記コンデンサは一方のパンタグラフに対して直列に接続されていることを、
特徴とするパンタグラフ装置。
【請求項16】
ソケットとプラグとを接続することにより、ソケットに接続されたソケット側導電線とプラグに接続されたプラグ側導電線とを導通させるコネクタであって、
ソケット側分岐線とプラグ側分岐線とコンデンサとを有し、
前記ソケット側導電線はソケット側通電用接点を有し、
前記ソケット側分岐線は前記ソケット側導電線から分岐してソケット側過渡電流用接点を有し、
前記プラグ側導電線はプラグ側通電用接点を有し、
前記プラグ側分岐線は前記プラグ側導電線から分岐してプラグ側過渡電流用接点を有し、
前記コンデンサは前記ソケット側分岐線または前記プラグ側分岐線に設けられ、
前記ソケットを前記プラグに接続したとき前記ソケット側通電用接点と前記プラグ側通電用接点とが閉成し、前記ソケットを前記プラグに接続したとき、または前記ソケットを前記プラグから外すとき前記ソケット側過渡電流用接点と前記プラグ側過渡電流用接点とが閉成し、その閉成状態を維持したまま前記ソケット側通電用接点と前記プラグ側通電用接点とが開離して前記ソケットを前記プラグから外す構成を有することを、
特徴とするコネクタ。
【請求項17】
回転体と複数の回転電極と接触電極とコンデンサとを有し、
各回転電極はそれぞれ絶縁体で隔てられ前記回転体の回転軸を中心として回転対称の位置に設けられ、各回転電極は前記回転体の回転方向前側に配置された前側電極片と回転方向後側に配置された後側電極片とから成り、前記前側電極片および前記後側電極片は電源に対し互いに電気的に並列に接続される構成を有し、
前記接触電極は、前記回転体が回転するとき各回転電極に順次間欠的に接触し、各回転電極の前側電極片および後側電極片に対して前記前側電極片への接触、前記前側電極片および前記後側電極片への接触、前記後側電極片への接触の順で接触するよう設けられ、
前記コンデンサは各後側電極片に対して直列に接続されていることを、
特徴とするパルス発生装置。
【請求項1】
通電用電気接点と過渡電流用電気接点とコンデンサとを有し、
前記通電用電気接点および前記過渡電流用電気接点は互いに電気的に並列に接続され、時間差をつけて開閉可能であり、
前記コンデンサは前記過渡電流用電気接点に対して直列に接続されていることを、
特徴とする電気接点開閉デバイス。
【請求項2】
前記通電用電気接点を開離するとき、前記過渡電流用電気接点を閉成しておく構成を有することを、特徴とする請求項1記載の電気接点開閉デバイス。
【請求項3】
前記コンデンサに対して並列に電気抵抗またはスイッチが接続されていることを、特徴とする請求項1または2記載の電気接点開閉デバイス。
【請求項4】
前記コンデンサの容量は前記通電用電気接点を開離するとき、前記通電用電気接点を流れる電流値が前記通電用電気接点の最小アーク放電電流値以下になる時点で、前記通電用電気接点間の電圧が最小アーク放電電圧値以下となるよう設定されていることを、特徴とする請求項1,2または3記載の電気接点開閉デバイス。
【請求項5】
前記コンデンサは前記通電用電気接点間の電圧が、前記通電用電気接点間の融点温度Tmまたは沸点温度Tbに対応する電圧V≒Tm/3200またはV≒Tb/3200を超えない容量に設定されていることを、特徴とする請求項1,2,3または4記載の電気接点開閉デバイス。
【請求項6】
前記過渡電流用電気接点を前記通電用電気接点の開閉信号に基づいて機械的または電気的に開閉する手段を有することを、特徴とする請求項1,2,3,4または5記載の電気接点開閉デバイス。
【請求項7】
前記過渡電流用電気接点の代わりに整流回路を有し、前記整流回路は、前記通電用電気接点を開離したとき前記コンデンサに電荷を蓄えるよう前記コンデンサに流入する電流を整流することを、特徴とする請求項1,3,4または5記載の電気接点開閉デバイス。
【請求項8】
前記整流回路に対して直列に接続された過渡電流用電気接点を有することを、特徴とする請求項7記載の電気接点開閉デバイス。
【請求項9】
通電用電気接点と過渡電流用電気接点とインダクタンスとを有し、
前記通電用電気接点および前記過渡電流用電気接点は互いに電気的に並列に接続されて互いに時間差をつけて開閉する構成を有し、
前記インダクタンスは前記過渡電流用電気接点に対して直列に接続されていることを、
特徴とする電気接点開閉デバイス。
【請求項10】
前記通電用電気接点を閉成するとき、前記過渡電流用電気接点を閉成しておく構成を有することを、
特徴とする請求項9記載の電気接点開閉デバイス。
【請求項11】
前記通電用電気接点および前記過渡電流用電気接点は半導体スイッチから成ることを、特徴とする請求項1,2,3,4,5,6,8,9または10記載の電気接点開閉デバイス。
【請求項12】
電源と負荷と請求項1,2,3,4,5,6,8または11記載の電気接点開閉デバイスとを有し、
前記負荷は前記電源に接続され、
前記電気接点開閉デバイスは前記負荷に対して直列に接続され、前記通電用電気接点を開離するとき、前記電源からの過渡電流を前記コンデンサに流し、前記電源の内部抵抗や前記負荷による電圧降下を発生させて前記通電用電気接点の電圧上昇を抑えるよう前記過渡電流用電気接点を閉成しておく構成を有することを、
特徴とする消費電力抑制回路。
【請求項13】
電源と負荷と請求項9,10または11記載の電気接点開閉デバイスとを有し、
前記負荷は前記電源に接続され、
前記電気接点開閉デバイスは前記負荷に対して直列に接続され、前記過渡電流用電気接点を閉成し、前記過渡電流用電気接点を流れる前記電源の過渡電流が定常値に収束した後、前記通電用電気接点を閉成する構成を有することを、
特徴とする消費電力抑制回路。
【請求項14】
電源に接続された1対のブラシに、それぞれ電機子の両端に設けられた1対の整流子を交互に接触させて、磁界中に置かれた電機子に直流電流を流し、電磁力により電機子を回転させる直流モータであって、
各整流子は前記ブラシに接触したとき互いに電気的に並列に接続されるよう、回転方向に並べて設けられた2つの接点と、回転方向に向かって後方側の接点に対して直列に接続されたコンデンサとを有することを、
特徴とする直流モータ。
【請求項15】
架線に接触して通電するためのパンタグラフ装置であって、
1対のパンタグラフとコンデンサとを有し、
各パンタグラフは前記架線に接触したとき、互いに電気的に並列に接続されるよう設けられ、
前記コンデンサは一方のパンタグラフに対して直列に接続されていることを、
特徴とするパンタグラフ装置。
【請求項16】
ソケットとプラグとを接続することにより、ソケットに接続されたソケット側導電線とプラグに接続されたプラグ側導電線とを導通させるコネクタであって、
ソケット側分岐線とプラグ側分岐線とコンデンサとを有し、
前記ソケット側導電線はソケット側通電用接点を有し、
前記ソケット側分岐線は前記ソケット側導電線から分岐してソケット側過渡電流用接点を有し、
前記プラグ側導電線はプラグ側通電用接点を有し、
前記プラグ側分岐線は前記プラグ側導電線から分岐してプラグ側過渡電流用接点を有し、
前記コンデンサは前記ソケット側分岐線または前記プラグ側分岐線に設けられ、
前記ソケットを前記プラグに接続したとき前記ソケット側通電用接点と前記プラグ側通電用接点とが閉成し、前記ソケットを前記プラグに接続したとき、または前記ソケットを前記プラグから外すとき前記ソケット側過渡電流用接点と前記プラグ側過渡電流用接点とが閉成し、その閉成状態を維持したまま前記ソケット側通電用接点と前記プラグ側通電用接点とが開離して前記ソケットを前記プラグから外す構成を有することを、
特徴とするコネクタ。
【請求項17】
回転体と複数の回転電極と接触電極とコンデンサとを有し、
各回転電極はそれぞれ絶縁体で隔てられ前記回転体の回転軸を中心として回転対称の位置に設けられ、各回転電極は前記回転体の回転方向前側に配置された前側電極片と回転方向後側に配置された後側電極片とから成り、前記前側電極片および前記後側電極片は電源に対し互いに電気的に並列に接続される構成を有し、
前記接触電極は、前記回転体が回転するとき各回転電極に順次間欠的に接触し、各回転電極の前側電極片および後側電極片に対して前記前側電極片への接触、前記前側電極片および前記後側電極片への接触、前記後側電極片への接触の順で接触するよう設けられ、
前記コンデンサは各後側電極片に対して直列に接続されていることを、
特徴とするパルス発生装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図43】
【図44】
【図42】
【図2】
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【図9】
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【図11】
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【図15】
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【図18】
【図19】
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【図26】
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【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図43】
【図44】
【図42】
【国際公開番号】WO2005/041231
【国際公開日】平成17年5月6日(2005.5.6)
【発行日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−514913(P2005−514913)
【国際出願番号】PCT/JP2004/013554
【国際出願日】平成16年9月16日(2004.9.16)
【出願人】(303056623)
【Fターム(参考)】
【国際公開日】平成17年5月6日(2005.5.6)
【発行日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【国際出願番号】PCT/JP2004/013554
【国際出願日】平成16年9月16日(2004.9.16)
【出願人】(303056623)
【Fターム(参考)】
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