説明

電気機器の検査装置

【課題】 検査に要する時間を短くするとともに、検査による判断の信頼性を高くすることができる電気機器の検査装置を提供する。
【解決手段】 検査装置1は、タッチパネル3を備える。タッチパネル2には、検査対象電気機器に関する情報がタッチパネル3表示されている。また、スピーカ4を備えており、スピーカ4によっても検査対象電気機器に関する情報を出力している。さらに、タッチパネル3やスピーカ4によってチェック項目等を出力する。また、制御部20には検査者情報判断部23および所属会社情報記憶部24を備える入場管理システムが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工事現場などに持ち込む電気機器の検査などに用いられる電気機器の検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工事現場においては、種々の電気機器が様々な作業員によって使用される。これらの電気機器の性能を維持するとともに安全性を確保するためには、電気機器の適正や電気機器における故障発生の有無等を確認する必要がある。また、このような電気機器の適正等の確認のための検査を行い、この検査を行った結果、電気機器が適正であるとともに、故障の発生等のない場合には、使用可能のための検査に合格した電気機器であるとして、合格証が発行される。検査を行った作業員は、発行された合格証を検査した電気機器に対して貼り付ける。
【0003】
このような電気機器の検査および合格証の発行を行う技術として、従来、受付、検査、および受理証発行を行う電気器具の検査装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。この電気器具の検査装置は、外観検査の検査結果が入力可能とされている。外観検査は検査者の目視等によって行われ、外観検査の結果として合格の結果が入力された際に絶縁抵抗値を測定してその基準と比較する。その比較の結果、基準よりも測定値が大きい場合には、電気機器が適正であり、使用可能であると判定する。逆に基準よりも測定値が小さい場合には、電気機器が不適正であったり、使用不能であったりすると判定している。こうして、電気機器の検査を行うものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−40080号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1に開示された電気器具の検査装置においては、検査を行うにあたって、キーボードなどから必要な情報を入力するようにしている。このため、検査方法や検査手順が分かり難く、検査に要する時間が長くなるという問題があった。また、電気機器の外観検査を行うにあたり、チェック項目が文字のみであった。このため、チェック項目が分かり難く、検査による判断の信頼性に欠けるという問題があった。
【0006】
そこで、本発明の課題は、検査に要する時間を短くするとともに、検査による判断の信頼性を高くすることができる電気機器の検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決した本発明に係る電気機器の検査装置は、検査対象となる電気機器である検査対象電気機器に関する情報を表示するタッチパネルと、タッチパネルに表示させる表示情報を決定し、決定した表示情報をタッチパネルに表示させる表示制御手段と、検査対象電気機器に関する音声情報を出力する音声発生手段と、音声発生手段に出力させる音声情報を決定し、決定した音声情報を音声発生手段に出力させる音声制御手段と、電気機器を検査する検査者の入場を管理する入場管理システムと、備え、表示制御手段は、検査対象電気機器の検査を行う際の検査対象電気機器に関する検査対象電気機器表示情報をタッチパネルに表示させることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る電気機器の検査装置は、検査対象電気機器に関する情報を表示するタッチパネルを備えており、表示制御手段は、検査対象電気機器の検査を行う際の検査対象電気機器に関する検査対象電気機器表示情報をタッチパネルに表示させる。このため、検査方法や検査手順をタッチパネルによって表示することができるので、検査に要する時間を短く済ませることができる。また、タッチパネルとともに、音声発生手段を備えており、音声発生手段によっても検査対象電気機器に関する情報を出力している。このため、検査を行う際のチェック項目を確実に検査者に伝達することができるので、さらに効率よく短時間で検査を行うことができる。
【0009】
しかも、タッチパネルや音声発生手段によってチェック項目等を出力することにより、検査者に対してチェック項目を容易に判断させることができ、検査による判断の信頼性を高くすることができる。他方、検査者の入場を管理する入場管理システムを備えている。このため、検査者についての情報を早期に得ることができる。したがって、検査に要する時間をさらに短くすることができるとともに、検査による判断の信頼性を高くすることができる。
【0010】
ここで、表示制御手段は、検査対象電気機器の外観検査を行う際の検査対象電気機器の画像として、検査対象電気機器の使用適正状態の画像である使用適正画像と、検査対象電気機器の使用不適正状態の画像である使用不適正画像と、をタッチパネルに合わせて表示させる態様とすることができる。
【0011】
このように、検査対象電気機器の外観検査を行う際に、使用適正画像と使用不適正画像とを合わせて表示することにより、検査者は、検査対象電気機器の外観を容易に把握することができる。したがって、外観検査に要する時間を短くすることができるとともに、検査による判断の信頼性を高くすることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る電気機器の検査装置によれば、検査に要する時間を短くするとともに、検査による判断の信頼性を高くすることができることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係る電気機器の検査装置の外観を示す斜視図である。
【図2】電気機器の検査装置のブロック構成図である。
【図3】本実施形態に係る電気機器の検査装置における検査手順を示すフローチャートである。
【図4】電動工具の持ち込み検査の手順を示すフローチャートである。
【図5】外観検査を行う際のタッチパネルの表示画像を示す図である。
【図6】外観検査を行う際のタッチパネルの他の表示画像を示す図である。
【図7】溶接機の持ち込み検査の作業手順を示すフローチャートである。
【図8】月例検査の作業手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、各実施形態において、同一の機能を有する部分については同一の符号を付し、重複する説明は省略することがある。
【0015】
図1は、本発明の実施形態に係る電気機器の検査装置の外観を示す斜視図、図2は、電気機器の検査装置のブロック構成図である。図1および図2に示すように、本実施形態に係る電気機器の検査装置1は、図2に示す検査装置本体2を備えている。また、検査装置本体2には、タッチパネル3、スピーカ4、およびプリンタ5が接続されている。
【0016】
検査装置本体2には、検査部10および制御部20が設けられている。また、検査対象となる電気機器である検査対象電気機器としての丸のこ30は、図1に示すように、丸のこ本体31を備えている。丸のこ本体31には、電源ケーブル32が接続されており、電源ケーブル32の先端部には、差込プラグ(アース付電源コネクタ)33が取り付けられている。
【0017】
タッチパネル3には、制御部20から出力される表示信号に応じた所定のアイコンが表示される。タッチパネル3に表示されたアイコンに検査者が触れることにより、タッチパネル3から制御部20に操作信号が出力される。制御部20では、タッチパネル3から出力された操作信号に応じた処理を行う。
【0018】
また、タッチパネル3には、電気機器の検査に関連する種々の情報がタッチアイコンとともに表示される。ここで、タッチパネル3に表示されるタッチアイコンとして、入場管理を行う際には、所属会社アイコンや所属会社確定アイコンが表示される。また、検査者の確認を行う際には、検査者アイコンや検査者確定アイコンが表示される。
【0019】
さらに、電気機器の検査を行う際には、検査対象電気機器アイコンや検査対象電気機器確定アイコンが表示される。また、電気機器の外観検査を行う際には、外観検査のための電気機器の外観を示す外観写真や検査結果を入力するための外観検査結果確認アイコンが表示される。その他、操作の進行を補助するための進行補助アイコンが表示される。
【0020】
タッチパネル3は、タッチアイコンが操作されると、操作されたタッチアイコンの種類に応じた操作信号を検査装置本体2における制御部20に出力する。たとえば、スタートアイコンが操作された場合には、スタート信号を出力する。また、検査開始アイコンが操作された場合には、検査開始信号を出力する。
【0021】
また、所属会社アイコンが操作された場合には所属会社信号を出力し、所属会社確定アイコンが操作された場合には所属会社確定信号を出力する。同様に、検査者アイコンが操作された場合には、検査者信号を出力し、検査者確定アイコンが操作された場合には、検査者確定信号を出力する。さらに、検査対象電気機器アイコンが操作された場合には、検査対象電気機器信号を出力し、検査対象電気機器確定アイコンが操作された場合には、検査対象電気機器確定信号を出力する。また、外観検査結果確認アイコンが操作された場合には、外観検査結果信号を出力する。
【0022】
検査装置本体2における検査部10は、100V機器用アース付コンセント11、200V機器用アース付コンセント13、シャーシアース端子14、および測定部15を備えている。また、シャーシアース端子14には、シャーシアースコード16が接続されている。さらに、検査装置本体2には、溶接機の検査に用いる図示しない接続端子が設けられている。また、制御部20は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)を含むコンピュータを主体として構成されている。制御部20は、測定結果判断部21、受理証台帳記憶部22、検査者情報判断部23、所属会社情報記憶部24、電気機器情報記憶部25、および出力制御部27を備えている。
【0023】
検査部10における100V機器用アース付コンセント11、200V機器用アース付コンセント13、シャーシアース端子14、およびシャーシアースコード16は、検査装置本体2の外部に露出しており、100V機器用アース付コンセント11には、丸のこ30の差込プラグ33が接続可能とされている。また、100V機器用アース付コンセント11および200V機器用アース付コンセント13には、その他の電気機器の電源プラグ、電源コネクタなどが接続可能とされている。さらに、シャーシアース端子14に接続されているシャーシアースコード16は、丸のこ30の丸のこ本体31における金属部、たとえばシャーシに接続可能とされている。
【0024】
測定部15は、検査対象電気機器の電気的絶縁を測定することによる絶縁抵抗検査およびアース線の導通状態を測定することによるアース線導通検査を行う。測定部15は、絶縁抵抗検査を行う際の絶縁抵抗基準値を記憶している。また、電気抵抗として検査対象電気機器の充電部とシャーシとの間の絶縁抵抗およびシャーシとアース線の導通状態を測定する。絶縁抵抗検査は、測定した絶縁抵抗と絶縁抵抗基準値とを比較するによって行われる。また、アース線導通検査は、シャーシとアース線の電気的導通の有無を確認することによって行われる。
【0025】
また、測定部15は、検査対象電気機器における電源電圧検査、無負荷電圧検査、始動感度抵抗検査、および遅動時間検査を行う。電源電圧検査は、電源電圧を測定することによって行われる。また、無負荷電圧検査は、無負荷電圧を測定することによって行われる。さらに、始動感度抵抗検査は、始動感度抵抗を測定することによって行われる。そして、遅動時間検査は、遅動時間を測定することによって行われる。
【0026】
測定部15は、電源電圧検査を行う際の電源電圧基準範囲、無負荷電圧検査を行う際の無負荷電圧基準値、始動感度抵抗検査を行う際の始動感度抵抗基準値、および遅動時間検査を行う際の遅動時間基準値を記憶している。電源電圧検査は、測定した電源電圧と記憶している電源電圧基準値とを比較することによって行われる。また、無負荷電圧検査は、測定した無負荷電圧と記憶している無負荷電圧基準値とを比較することによって行われる。さらに、始動感度抵抗検査は、測定した始動感度抵抗と記憶している始動感度抵抗基準値とを比較することによって行われる。そして、遅動時間検査は、測定した遅動時間と記憶している遅動時間基準値とを比較することによって行われる。
【0027】
測定部15は、絶縁抵抗検査の結果に基づく絶縁抵抗信号およびアース線導通検査の結果に基づくアース線導通信号を合格信号または不合格信号として制御部20における測定結果判断部21に出力する。また、絶縁抵抗信号には、測定した絶縁抵抗および絶縁抵抗基準値が付加される。
【0028】
さらに、測定部15は、電源電圧検査の結果に基づく電源電圧信号、無負荷電圧検査の結果に基づく無負荷電圧信号、始動感度抵抗検査の結果に基づく始動感度抵抗信号、および遅動時間検査の結果に基づく遅動時間信号を合格信号または不合格信号として制御部20における測定結果判断部21に出力する。このとき、電源電圧信号、無負荷電圧信号、始動感度抵抗信号、および遅動時間信号には、それぞれ電源電圧基準値、無負荷電圧基準値、始動感度抵抗基準値、および遅動時間基準値がそれぞれ付加される。
【0029】
制御部20における測定結果判断部21には、測定部15から出力される絶縁抵抗信号およびアース線導通信号のほか、検査対象電気機器確定信号および外観検査結果信号がタッチパネル3から出力される。測定結果判断部21では、タッチパネル3から検査対象電気機器確定信号が出力された場合には、検査対象電気機器確定信号に対応する電気機器について、電気機器情報記憶部25に記憶されている電気機器情報を読み出す。電気機器情報には、電動工具に関する電動工具情報および溶接機に関する溶接機情報が含まれる。
【0030】
さらに、測定結果判断部21は、絶縁抵抗検査を行った際の絶縁抵抗を受理証台帳記憶部22に記録する。受理証台帳記憶部22は、入出力可能とされており、測定結果判断部21から出力された絶縁抵抗検査結果、アース線導通検査結果、および外観検査結果を検査対象電気機器の種類とともに時系列的に記憶している。また、測定結果判断部21は、絶縁抵抗検査結果に応じた最終検査結果信号を検査対象電気機器確定信号とともに出力制御部27に出力する。
【0031】
また、測定結果判断部21は、タッチパネル3から検査対象電気機器信号が出力された場合に、電気機器情報記憶部25に記憶されている電気機器情報を読み出す。電気機器情報記憶部25には、予め登録され、検査対象となりえる複数の電気機器に関する電気機器情報が記憶されている。測定結果判断部21は、これらの電気機器情報を順次読み出して、検査対象電気機器候補信号として出力制御部27に出力する。また、電気機器情報記憶部25に記憶される電気機器情報は随時追加可能とされている。
【0032】
検査者情報判断部23は、タッチパネル3からスタート信号が出力された場合には、その後にタッチパネル3から出力される信号に基づいて、持ち込み検査であるか月例検査であるかを判断し、その後、検査者情報確認処理を行う。検査者情報確認処理にあたり、検査者情報判断部23では、所属会社および検査者の確認を行う。ここで、所属会社の確認を行うにあたり、所属会社情報記憶部24には、予め登録された複数の所属会社に関する所属会社情報が記憶されている。検査者情報判断部23は、所属会社情報記憶部24に記憶されている所属会社情報を順次読み出して、所属会社候補信号として出力制御部27に出力する。また、タッチパネル3から所属会社確定信号が出力された場合には、検査者の確認を行う。さらに、タッチパネル3から検査者確定信号が出力された場合には、検査対象となる電気機器の確認を行う。これらの検査者情報判断部23および所属会社情報記憶部24等によって本発明の入場管理システムが構成されている。
【0033】
出力制御部27は、測定結果判断部21から出力された最終検査結果信号および検査対象電気機器確定信号に基づいて、タッチパネル3の表示内容、スピーカ4の出力内容、およびプリンタの印刷内容を決定する。出力制御部27は、決定したタッチパネル3の表示内容に基づく表示信号をタッチパネル3に出力する。また、決定したスピーカ4の発声内容に基づく発声信号をスピーカ4に出力する。さらに、決定した印刷内容に基づく印刷情報をプリンタ5に出力する。出力制御部27は、本発明の表示制御手段および音声制御手段を構成する。
【0034】
また、出力制御部27は、検査者情報判断部23から各種信号が出力された場合には、出力された各種信号に基づいて、タッチパネル3の表示内容およびスピーカ4の出力内容を決定する。そして、決定したタッチパネル3の表示内容に基づく表示信号をタッチパネル3に出力するとともに、決定したスピーカ4の発声内容に基づく発声信号をスピーカ4に出力する。
【0035】
タッチパネル3は、たとえば液晶パネルなどの表示装置の画像上にタッチパッドなどの位置入力装置が配置されて構成された表示装置と入力装置とを兼ね備えたものである。タッチパネル3は、検査者が表示装置の表面に触れた際の位置を位置入力装置が検出した際に、表示装置に表示された内容と検査者が触れた位置に応じた操作信号を検査装置本体2における制御部20に出力する。また、タッチパネル3は、制御部20の出力制御部27から出力された表示情報に基づいて、所定のアイコン等を表示する。
【0036】
スピーカ4は、タッチパネル3における筐体の側部に設けられており、音声を発する機能を有している。スピーカ4は、出力制御部27から出力された発声情報に基づいて、検査を行う手順を説明する所定の案内情報や、検査等に不具合が生じた場合等に出力する警告情報などの音声情報を出力する。
【0037】
プリンタ5は、タッチパネル3における筐体の表面側方位置に設けられており、所定の情報を印刷する機能を有している。プリンタ5は、出力制御部27から出力された印刷情報に基づいて、検査に適合した場合に発行される持込シールに対する所定の情報を印刷する。
【0038】
次に、本実施形態に係る電気機器の検査装置における電気機器の検査手順について説明する。図3は、本実施形態に係る電気機器の検査装置における検査手順を示すフローチャートである。
【0039】
図3に示すように、本実施形態に係る電気機器の検査装置においては、工事現場に電気機器を持ち込む際に行われる持込検査と、工事現場に持ち込んだ電気機器に対して毎月行う月例点検とを行うことができる。そこで、まず、検査者が行う検査が持ち込み検査であるか月例検査であるかを判断する(S1)。このとき、出力制御部27では、スタートアイコンをタッチパネル3に表示させる。
【0040】
検査者がこのスタートアイコンに触れると、タッチパネル3から制御部20に対して、スタート信号が出力される。制御部20では、スタート信号が出力された際に、持ち込み検査アイコンと月例点検アイコンをタッチパネル3に表示させる。ここで、検査者は、持ち込み検査を行う際には持ち込み検査アイコンに触れ、月例検査を行う際には、月例検査アイコンに触れる。タッチパネル3では、検査者が持ち込み検査アイコンに触れた場合には持ち込み検査信号を制御部20に出力し、月例検査アイコンに触れた場合には月例検査信号を制御部20に出力する。制御部20では、出力された信号に基づいて、持ち込み検査を行うか月例検査を行うかを判断する。
【0041】
その結果、持ち込み検査信号が出力されて持ち込み検査を行うと判断した場合には、検査者の個人識別が行われる(S2)が、その前段階として、電動工具の持ち込み検査を開始する際には、出力制御部27は、タッチパネル3に検査開始画面を表示させる。検査開始画面には、「持込機械検査システム(電動工具・溶接機)」「スタートをタッチして下さい。」のメッセージとともに、進行補助アイコンとしてスタートアイコンが表示される。
【0042】
検査者がスタートアイコンに触れると、検査開始信号が制御部20に出力される。制御部20では、検査開始信号が出力された後、出力制御部27において、スタート画面をタッチパネル3に表示させるとともに、スピーカに「検査を開始します」という音声を出力させる。タッチパネル3におけるスタート画面には、持込シールの発行や異常時の再検査の説明に関するメッセージを表示するとともに、「次へ」と記載される進行補助アイコンとしての継続アイコンが表示される。
【0043】
続いて、検査者が継続アイコンに触れると、検査者の個人識別が行われる(S2)。個人識別にあたり、出力制御部27は、タッチパネル3に所属会社選択画面を表示させる。所属会社選択画面には、「所属会社名を入力してください」というメッセージとともに、所属会社アイコンが表示される。所属会社アイコンは、50音表示の文字アイコンや文字入力部等によって構成される。検査者は、この文字アイコンに触れ、文字入力部に文字を表示させることにより、自らが所属する会社名を検索する。
【0044】
検査者が文字アイコンに触れると、所属会社信号としての文字信号が制御部20に出力される。制御部20における検査者情報判断部23では、所属会社情報記憶部24に記憶された所属会社の中から、文字信号に対応する頭文字の所属会社に関する所属会社情報を読み出し、所属会社候補信号として出力制御部27に出力する。出力制御部27では、所属会社候補信号として出力された所属会社名をアイコンにし、所属会社名アイコンとしてタッチパネル3に順次表示する。
【0045】
このとき、「確定」と記載された所属会社確定アイコンを表示するとともに、スピーカ4から所属会社の選択を促す音声を出力する。また、所属会社名が多数ある場合には、「次へ」と記載された継続アイコンを表示する。検査者は、タッチパネル3に表示される所属会社名を確認し、自らが所属する所属会社の名前が記載された所属会社名アイコンに触れる。その後、所属会社確定アイコンに触れることにより、所属会社名が確定する。
【0046】
さらに、すべての所属会社名が表示された際の最後の画面には「手入力」と表示された所属会社入力アイコンが表示される。検査者が所属会社入力アイコンに触れると、出力制御部27は、50音表示の文字アイコンおよび所属会社確定アイコンを表示する。そして、検査者が文字アイコンに触れて所属会社名を入力し、その後、所属会社確定アイコンに触れることにより、所属会社が確定する。
【0047】
検査者が、所属会社確定アイコンに触れて所属会社が確定すると、所属会社確定信号が制御部20に出力される。続いて、出力制御部27は、タッチパネル3に、「検査者名を入力してください」というメッセージが表示された検査者入力画面を表示させるとともに、スピーカ4から検査者名の入力を促す音声を出力する。検査者は、この文字アイコンに触れて、文字入力部に文字を表示させることにより、自分の名前を入力する。検査者が検査者アイコンに触れると、タッチパネル3は、検査者アイコンに応じた検査者信号を制御部20に出力する。制御部20における出力制御部27は、検査者信号が出力された後、検査者確定アイコンをタッチパネル3に表示させる。その後、検査者が検査者確定アイコンに触れることにより、タッチパネル3は、検査者確定信号を制御部20に出力し、検査者名が確定する。
【0048】
その後、所属会社名および検査者名がタッチパネル3に表示されるとともに、継続アイコンが表示される。ここで、検査者が継続アイコンに触れることにより個人識別が終了する。また、同時に「会社名からやり直す」「名前からやり直す」という文字が記載された2つのやり直しアイコンがタッチパネル3に表示される。これらの検査者がこれらのやり直しアイコンに触れることにより、所属会社名入力画面または検査者入力画面に戻る。
【0049】
こうして、個人識別が済んだ後、出力制御部27は、溶接機アイコンおよび電動工具アイコンをタッチパネル3に表示させる。また、スピーカ4に対して、アイコンの操作を促す音声を出力する。ここで、検査者は、溶接機の検査を行う際には溶接機アイコンに触れ、電動工具検査を行う際には電動工具アイコンに触れる。タッチパネル3では、検査者が溶接機アイコンに触れた場合には検査対象電気機器信号として溶接機信号を制御部20に出力し、電動工具アイコンに触れた場合には、検査対象電気機器信号として電動工具信号を制御部20に出力する。制御部20では、出力された信号に基づいて、検査対象電気機器が電動工具であるか溶接機であるかを判断する。
【0050】
その結果、タッチパネル3から電動工具信号が出力され、検査対象電気機器が電動工具であると判断した場合には、電動工具の持ち込み検査を行う(S4)。また、検査対象電気機器が溶接機であると判断した場合には、溶接機の持ち込み検査を行う(S5)。さらに、ステップS1において、月例検査を行うと判断した場合には、月例検査を行う(S6)。これらの検査・点検の詳細についてはそれぞれ後に説明する。こうして、電気機器の検査を終了する。
【0051】
続いて、電動工具の持ち込み検査の作業手順について説明する。図4は、電動工具の持ち込み検査の手順を示すフローチャートである。図4に示すように、電動工具の持ち込み検査では、最初に、電動工具の種類選択を行う(S11)。電動工具の種類選択を行うにあたり、制御部20における測定結果判断部21では、電気機器情報記憶部25に記憶された電動工具に関する電動工具情報を取得し、検査対象電気機器候補信号として出力制御部27に出力する。出力制御部27では、出力された電動工具情報に基づく電動工具をアイコンにしてタッチパネル3に順次表示する。また、スピーカ4から電動工具の選択を促す音声を出力する。検査者は、タッチパネル3に表示される電動工具名を確認し、検査対象となる電動工具が記載された電動工具名アイコンに触れる。ここで、電動工具名アイコンに代えて、電動工具画像を表示することもできるし、電動工具名アイコンに電動工具画像を付与して表示することもできる。
【0052】
また、検査対象となる電動工具が電動工具名アイコンとして表示されない場合には、50音表示の文字アイコンを表示し、電動工具名を入力させる。こうして、検査者が電動工具名アイコンに触れ、または電動工具名を入力した後、確定アイコンに触れることにより、検査対象電気機器となる電動工具を確定する。検査対象電気機器となる電動工具が確定すると、検査対象電気機器確定信号としての電動工具確定信号が制御部20に出力される。電動工具確定信号を出力された制御部20では、出力制御部27において、タッチパネル3に継続アイコンを表示する。そして、検査者が継続アイコンに触れることにより、外観検査に移行する。
【0053】
続いて、外観検査を行い、外観検査の結果が合格であるか不合格であるかを判断する(S12)。外観検査では、1つの項目あるいは複数の項目について検査し、すべての項目に合格した場合に合格と判断し、1つの項目でも不合格である場合には、検査に不合格であると判断する。
【0054】
外観検査を行うにあたり、測定結果判断部21は、出力された電動工具確定信号に応じた電動工具に関する情報を電気機器情報記憶部25から読み出し、出力制御部27に出力する。出力制御部27は、出力された電動工具に応じた情報をタッチパネル3に表示させる。さらに、出力制御部27は、タッチパネル3への表示と同時に、スピーカから検査を促す音声を出力させる。
【0055】
たとえば、選択された電動工具が図1に示す丸のこ30である場合について説明する。丸のこ30の外観検査では、複数の項目について検査する。図5に示すように、タッチパネル3は、丸のこ30の外観画像を表示する。この外観画像としては、丸のこ30の写真が用いられている。その他、外観画像として図面等を用いることもできる。
【0056】
また、丸のこ30の外観画像とともに、外観検査を行う際の注意事項を表示する。具体的には「本体や保護カバーに破損や改造、部品の不足はありませんか?」という文字情報を表示するとともに、丸のこ30の外観画像に対して各部品の名称を矢視する。さらには、特に注意するポイントに丸印を付し「特に重要!」の文字情報を表示して外観検査について検査者に注意を促す。また、「OK」と記された合格アイコンおよび「NG」と記された不合格アイコンを表示する。
【0057】
ここで、検査者が不合格アイコンに触れた場合には、外観検査に不合格となる。また、合格アイコンに触れた場合には、ここでの項目の検査については合格となり、次の検査に進む。
【0058】
次の検査では、電源ケーブルや差込プラグについての検査を行う。ここでは、図6に示すように、タッチパネル3には、「電源ケーブルや差込プラグに損傷はありませんか?」「差込プラグは、下記の○印のものですか?」との文字情報とともに、差込プラグの外観画像が表示される。差込プラグには複数の種類があり、工事現場で使用可能であるものと使用不可能であるものとがある。タッチパネル3は、使用適正画像である使用可の差込プラグの外観画像と使用不適正画像である使用不可の差込プラグの外観画像とを合わせて表示する。このように、使用可の差込プラグの外観画像と使用不可の差込プラグの外観画像とを合わせて表示することにより、検査者は、外観検査を迅速かつ精度よく行うことができる。
【0059】
外観検査を行った検査者は、外観検査がOKである場合にはタッチパネル3における合格アイコンに触れ、NGである場合には、不合格アイコンに触れる。タッチパネル3は、検査者が合格アイコンに触れた場合に、外観検査結果信号としての検査合格信号を制御部20に出力し、不合格アイコンに触れた場合に、外観検査結果信号としての検査不合格信号を制御部20に出力する。制御部20では、タッチパネル3から出力された信号に基づいて、外観検査の合否を判断する。
【0060】
その結果、外観検査がOKであると判断した場合には、アース線の検査であるアース線導通検査を行い、アース線導通検査の結果の合否を判断する(S13)。アース線導通検査を行うにあたり、出力制御部27は、タッチパネル3に検査装置1の外観画像を表示させるとともに、シャーシアースコード16を丸のこ本体31のシャーシに接続する作業を促す表示を行わせる。同時に、この作業を促す音声をスピーカ4に出力させる。
【0061】
シャーシアースコード16が丸のこ本体31のシャーシに接続されると、測定部15において、アース線導通検査が行われる。その結果、丸のこ本体31のシャーシとアース線との間の電気的接続が確認された場合には、アース線導通信号としての合格信号を測定結果判断部21に出力する。一方、丸のこ本体31のシャーシとアース線との間の電気的接続が確認されなかった場合には、アース線導通信号としての不合格信号を測定結果判断部21に出力する。
【0062】
測定結果判断部21では、合格信号が出力された場合に、アース線導通検査が合格であると判断する。アース線導通検査が合格であると判断した場合には、続いて、絶縁抵抗の検査である絶縁抵抗検査を行い、絶縁抵抗の検査の結果の合否を判断する(S14)。絶縁抵抗検査を行うにあたり、出力制御部27は、タッチパネル3に検査装置1の外観画像を表示させるとともに、丸のこ30の差込プラグ33をコンセント11に差し込む作業を促す表示を行わせる。同時に、この作業を促す音声をスピーカ4に出力させる。
【0063】
コンセント11に差込プラグ33が差し込まれると、測定部15において、絶縁抵抗検査が行われる。その結果、絶縁抵抗が絶縁抵抗基準値以上である場合には、絶縁抵抗信号としての合格信号を測定結果判断部21に出力する。一方、絶縁抵抗が絶縁抵抗基準値未満である場合には、絶縁抵抗信号としての不合格信号を測定結果判断部21に出力する。
【0064】
測定結果判断部21では、合格信号が出力された場合に、絶縁抵抗検査が合格であると判断する。絶縁抵抗検査が合格であると判断した場合には、すべての検査結果が合格であることとなる。このとき、測定結果判断部21は、検査を行った検査対象電気機器に対して管理番号を付与して受理証台帳記憶部22に記憶させるとともに、最終検査結果信号を出力制御部27に出力する。また、出力制御部27は、タッチパネル3に検査結果が合格である旨の文字情報を表示するとともに、スピーカ4に音声を出力させる。このとき同時に、タッチパネル3に持込シールの発行を行う旨の文字情報を表示するとともに継続アイコンを表示する。その後、検査者が継続アイコンに触れることにより、持込シールを発行する(S15)、受理証台帳記憶部22に対して持込データを記録する(S16)。
【0065】
出力制御部27は、印刷情報を決定してプリンタ5に対して印刷情報を出力する。この印刷情報には、検査対象電気機器の機器名、使用会社、取扱責任者、点検日、管理番号、現場名等の情報が含まれる。プリンタ5は、出力された印刷情報に応じて持込シールに対して印字を行う。そして、印字された持込シールを取出口から排出する。
【0066】
その一方で、測定結果判断部21は、絶縁抵抗検査、アース線導通検査、および外観検査の結果を受理証台帳記憶部22に記録する。これらの検査結果を記録する際には、検査対象電気機器の機器名、使用会社、取扱責任者、点検日などの各種情報も同時に受理証台帳記憶部22に記録する。こうして、持込シールの発行および持込データの記録が済んだら、出力制御部27は、持込シールの検査対象電気機器に対する貼付を促す表示をタッチパネル3に対して行わせるとともに音声出力をスピーカ4に行わせる。こうして、電気機器の検査を終了する。
【0067】
また、ステップS12において外観検査に不合格であると判断した場合には、検査対象電気機器の使用禁止および再点検整備処理を行う(S17)。また、ステップS13においてアース線の検査結果が不合格であると判断した場合、ステップS14において絶縁抵抗の検査結果が不合格であると判断した場合にも同様に、検査対象電気機器の使用禁止および再点検整備処理を行う(S17)。
【0068】
検査対象電気機器の使用禁止および再点検整備処理を行うにあたり、出力制御部27は、不合格となった内容および再検査を促す文字情報をタッチパネル3に表示させるとともに、スピーカ4に警告情報としての音声を出力させる。さらに、タッチパネル3に終了アイコンを表示する。検査者が終了アイコンに触れると、タッチパネル3から制御部20に対して終了信号が出力される。制御部20では、出力された終了信号に基づいて、検査を終了する。
【0069】
次に、溶接機の持ち込み検査の作業手順について説明する。図7は、溶接機の持ち込み検査の作業手順を示すフローチャートである。図7に示すように、溶接機の持ち込み検査では、まず、溶接機を選択し(S21)、外観検査を行う(S22)。次に、タッチパネル3から検査対象電気機器信号として溶接機信号が制御部20に出力される。
【0070】
続いて、溶接機への電源は200V機器用アース付コンセント13にアダプタを取り付けて供給し、検査装置本体2に設けられた接続端子を用い、アース線導通検査および絶縁抵抗検査を行う(S23)。これらの作業については、電動工具の場合と同様に行われる。
【0071】
続いて、電源電圧検査を行い電源電圧検査の結果の合否を判断する(S24)。電源電圧検査では、このときの接続状態における電源電圧を測定部15において測定する。測定部15は、測定した電源電圧が電源電圧基準範囲内である場合には、電源電圧信号としての合格信号を測定結果判断部21に出力し、電源電圧基準範囲を外れる場合には、電源電圧信号としての不合格信号を測定結果判断部21に出力する。測定結果判断部21では、出力された信号に基づいて電源電圧検査の結果の合否を判断する。
【0072】
測定結果判断部21では、合格信号が出力された場合に、電源電圧検査が合格であると判断する。電源電圧検査が合格であると判断した場合には、続いて、無負荷電圧検査を行い、無負荷電圧検査の結果の合否を判断する(S24)。無負荷電圧検査では、このときの接続状態における二次側出力を無負荷とした状態における電圧を測定部15において測定する。測定部15は、測定した無負荷電圧が無負荷電圧基準値を以下である場合には、無負荷電圧信号としての合格信号を測定結果判断部21に出力し、無負荷電圧基準値を超える場合には、無負荷電圧信号としての不合格信号を測定結果判断部21に出力する。測定結果判断部21では、出力された信号に基づいて無負荷電圧検査の結果の合否を判断する。
【0073】
測定結果判断部21では、合格信号が出力された場合に、無負荷電圧検査が合格であると判断する。無負荷電圧検査が合格であると判断した場合には、続いて、始動感度抵抗検査を行う(S25)。始動感度抵抗検査において、測定部15は、測定した始動感度抵抗が始動感度抵抗基準値以下である場合には、始動感度抵抗信号としての合格信号を測定結果判断部21に出力し、始動感度抵抗基準値を超える場合には始動感度抵抗信号としての不合格信号を測定結果判断部21に出力する。測定結果判断部21では、出力された信号に基づいて始動感度抵抗検査の結果の合否を判断する。
【0074】
測定結果判断部21では、合格信号が出力された場合に、始動感度抵抗検査が合格であると判断する。始動感度抵抗検査が合格であると判断した場合には、続いて、遅動時間検査を行う(S25)。遅動時間検査において、測定部15は、測定した遅動時間が遅動時間基準値以下である場合には、遅動時間信号としての合格信号を測定結果判断部21に出力し、遅動時間基準値を超える場合には遅動時間信号としての不合格信号を測定結果判断部21に出力する。測定結果判断部21では、出力された信号に基づいて遅動時間検査の結果の合否を判断する。
【0075】
測定結果判断部21では、合格信号が出力された場合に、遅動時間検査が合格であると判断する。測定結果判断部21は、遅動時間検査が合格であると判断した場合には、すべての検査結果が合格であると判断し、最終検査結果信号を出力制御部27に出力する。出力制御部27は、タッチパネル3に検査結果が合格である旨の文字情報を表示するとともに、スピーカ4に音声を出力させる。このとき同時に、タッチパネル3に持込シールの発行を行う旨の文字情報を表示するとともに継続アイコンを表示する。その後、検査者が継続アイコンに触れることにより、電撃防止装置検査表を兼ねた持込シールを発行する(S26)とともに、受理証台帳記憶部22に対して持込データを記録する(S27)。こうして、電気機器(溶接機)の検査を終了する。
【0076】
また、ステップS22において外観検査に不合格であると判断した場合には、検査対象電気機器の使用禁止および再点検整備処理を行う(S28)。また、ステップS23においてアース線の検査結果が不合格であると判断した場合または絶縁抵抗の検査結果が不合格であると判断した場合、ステップS24において電流電圧無負荷電圧検査の検査結果が不合格であると判断した場合、およびステップS25において始動感度抵抗遅動時間検査の検査結果が不合格であると判断した場合にも同様に、検査対象電気機器の使用禁止および再点検整備処理を行う(S27)。検査対象電気機器の使用禁止および再点検整備処理は、電動工具の場合におけるステップS16と同様に行われる。こうして、電気機器の検査を終了する。
【0077】
続いて、月例検査の手順について説明する。図8は、月例検査の作業手順を示すフローチャートである。ステップS1において、検査者が月例検査アイコンに触れると、月例検査が開始される。図8に示すように、月例検査が開始されると、管理番号の入力が行われる(S31)。管理番号の入力が行われるにあたり、制御部20における出力制御部27は、タッチパネル3に管理番号入力画面を表示させるとともに、スピーカ4に管理番号の入力を促す音声を出力させる。
【0078】
管理番号入力画面では、テンキー表示の数字アイコンや管理番号入力部を表示するとともに、継続アイコンが表示される。検査者は、数字アイコンに触れることにより、持ち込み検査を行った際に付与された管理番号を入力する。管理番号が入力されると、タッチパネル3から制御部20に管理番号信号が出力される。
【0079】
制御部20における測定結果判断部21では、入力された管理番号を受理証台帳記憶部22に記憶された管理番号と比較し、対応する管理番号が付与された電気機器の電気機器情報を呼び出し(S32)、出力制御部27に出力する。出力制御部27は、電気機器情報に応じて検査対象電気機器が電動工具であるか溶接機であるかを判断し、検査対象電気機器に応じた表示をタッチパネル3に行わせる。ここでは、検査対象電気機器が電動工具である場合について説明している。
【0080】
タッチパネル3に対する表示が行われると、外観検査が行われる(S33)。外観検査は、電動工具の持ち込み検査時におけるステップS12に示す外観検査と同様にして行われる。外観検査の結果が合格であると判断された場合には、アース線の検査の結果の合否を判断し(S34)、アース線の検査の結果が合格であると判断した場合には、絶縁抵抗の検査の結果の合否を判断する(S35)。これらの検査は、電動工具の持ち込み検査時におけるステップS13に示すアース線の検査およびステップS14に示す絶縁抵抗の検査と同様にして行われる。
【0081】
そして、絶縁抵抗の検査の結果が合格であると判断した場合には、点検データを受理証台帳記憶部22に記録する(S36)。ここで、点検データとしては、検査結果が良好であった旨を記録する。受理証台帳記憶部22に対する記録の手順についても、電動工具の持ち込み検査時のステップS16における持込データの記録の手順と同様にして行われる。また、出力制御部27は、タッチパネル3に検査結果が合格である旨の文字情報を表示するとともに、スピーカ4に音声を出力させる。こうして、月例検査を終了する。
【0082】
また、ステップS33において外観検査に不合格であると判断した場合には、点検データを受理証台帳記憶部22に記録する(S37)。ここで、点検データとしては、検査結果が不良であった旨を記録する。その後、検査対象電気機器の使用禁止および再点検整備処理を行う(S38)。検査対象電気機器の使用禁止および再点検整備処理は、電動工具の持ち込み検査時のステップS17における手順と同様にして行われる。
【0083】
また、ステップS34においてアース線の検査結果が不合格であると判断した場合、ステップS35において絶縁抵抗の検査結果が不合格であると判断した場合にも同様に、点検データを受理証台帳記憶部22に記録する(S37)。その後、検査対象電気機器の使用禁止および再点検整備処理を行う(S38)。こうして、月例検査を終了する。
【0084】
このように、本実施形態に係る電気機器の検査装置1は、タッチパネル3を備えており、検査対象電気機器に関する情報がタッチパネル3表示されている。このため、検査方法や検査手順をタッチパネル3に表示することができるので、検査に要する時間を短く済ませることができる。また、タッチパネル3とともに、スピーカ4を備えており、スピーカ4によっても検査対象電気機器に関する情報を出力している。このため、検査を行う際のチェック項目を確実に検査者に伝達することができるので、さらに効率よく短時間で検査を行うことができる。
【0085】
しかも、タッチパネル3やスピーカ4によってチェック項目等を出力することにより、検査者に対してチェック項目を容易に判断させることができ、検査による判断の信頼性を高くすることができる。さらには、制御部20には検査者情報判断部23および所属会社情報記憶部24を備える入場管理システムが設けられている。このため、検査者についての情報を早期に得ることができる。したがって、検査に要する時間をさらに短くすることができるとともに、検査による判断の信頼性を高くすることができる。
【0086】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。たとえば、上記実施形態では、検査者の入場を管理する入場管理システムを用いているが、検査者の入退場を管理する入退場システムを用いることもできる。また、上記実施形態では、外観検査の際に用いる外観画像として、予め記憶された電気機器情報に含まれる外観画像を用いているが、たとえば、外観検査を行う際に検査対象電気機器を撮影し、撮影した画像を電気機器情報記憶部25に記録し、不正の発見や正規画像との比較のための外観画像として用いることもできる。
【0087】
さらに、上記実施形態では、受理証台帳記憶部22に対して持込データを記録しているが、この持込データを参照可能とした態様とすることもできる。この場合、たとえば携帯電話等を用いて持込データを工事現場から離れた管理者等に送信可能とした態様とすることもできる。さらには、受理証台帳記憶部22に記録された持込データについて、携帯電話等の遠隔操作媒体を用いて遠隔管理可能とする態様とすることもできる。もちろん、電気機器情報記憶部25に記憶される情報についても携帯電話等の遠隔操作媒体を用いた遠隔管理を可能とする態様とすることもできる。
【0088】
他方、上記実施形態では、検査者の入場等については、検査者が自らの名前の入力によって確認するようにしているが、たとえば、検査者の入場を制限するとともに、正規の検査者に入場権限を与えるようにすることもできる。この場合、正規の検査者を認証する認証システムを用いることが好適となる。認証システムには、二次元バーコード、ICカード、パスワード、指紋、動脈等を用いることができる。
【符号の説明】
【0089】
1…検査装置
2…検査装置本体
3…タッチパネル
4…スピーカ
5…プリンタ
10…検査部
11…100V機器用アース付コンセント
13…200V機器用アース付コンセント
14…シャーシアース端子
16…シャーシアースコード
15…測定部
20…制御部
21…測定結果判断部
22…受理証台帳記憶部
23…検査者情報判断部
24…所属会社情報記憶部
25…電気機器情報記憶部
27…出力制御部
30…丸のこ
31…丸のこ本体
32…電源ケーブル
33…差込プラグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象となる電気機器である検査対象電気機器に関する情報を表示するタッチパネルと、
前記タッチパネルに表示させる表示情報を決定し、決定した表示情報を前記タッチパネルに表示させる表示制御手段と、
検査対象電気機器に関する音声情報を出力する音声発生手段と、
前記音声発生手段に出力させる音声情報を決定し、決定した音声情報を前記音声発生手段に出力させる音声制御手段と、
前記電気機器を検査する検査者の入場を管理する入場管理システムと、備え、
前記表示制御手段は、前記検査対象電気機器の検査を行う際の検査対象電気機器に関する検査対象電気機器表示情報を前記タッチパネルに表示させることを特徴とする電気機器の検査装置。
【請求項2】
前記表示制御手段は、前記検査対象電気機器の外観検査を行う際の検査対象電気機器の画像として、前記検査対象電気機器の使用適正状態の画像である使用適正画像と、前記検査対象電気機器の使用不適正状態の画像である使用不適正画像と、を前記タッチパネルに合わせて表示させる請求項1に記載の電気機器の検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−112383(P2011−112383A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−266529(P2009−266529)
【出願日】平成21年11月24日(2009.11.24)
【出願人】(000001373)鹿島建設株式会社 (1,387)
【Fターム(参考)】