説明

電気炊飯器

【課題】 学習機能を付設し、過去の情報を基に自動で炊飯条件を設定して炊飯を行い得るようにする。
【解決手段】 電気炊飯器において、炊飯後におけるご飯の炊き上がり状態を評価する評価手段と、該評価手段による評価の内容に応じて次回炊飯時の炊飯加熱条件を変更する炊飯条件変更手段とを付設して、ご飯の炊き上がり状態が評価手段により評価されると(例えば、「おこげが多すぎる」等の評価がなされると)、当該評価に応じて次回炊飯時の炊飯加熱条件が炊飯条件変更手段により変更される(例えば、加熱最高温度=炊上げ温度が下げられる)ようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、電気炊飯器に関するものであり、さらに詳しくは、学習機能を設けて、過去の情報を基に自動で炊飯条件を設定して炊飯を行い得るようにした電気炊飯器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、米飯を炊飯するとともに炊飯後において炊き上がったご飯をそのまま保温するようにした電気炊飯器が急速に普及しているが、このような電気炊飯器の普及に伴って消費者の嗜好も多様化し、単なる白米炊飯のみでなく、例えば玄米炊飯やおかゆ炊飯等の種々の炊飯、あるいは同じ白米炊飯であっても、「かため」、「やわらかめ」等に炊き分けることが要求される傾向にある。このような多様な消費者ニーズに応えるべく、種々の炊飯機能をもった電気炊飯器が開発され、既に多種のものが市場に出回っている。
【0003】
ところで、上記したような多機能電気炊飯器を使用するに当たっては、ユーザにより使用態様に偏りが生じることがある。例えば、「やわらかめ」のご飯を常食としているユーザの場合、学習機能により「やわらかめ」炊飯を常時選択できるようにしてやれば、極めて便利となる。このような学習機能をもった電気炊飯器も、既に提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開平5−15443号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に開示されている電気炊飯器の場合、ユーザが好みの炊飯機能を選択して炊飯を行う毎にその炊飯機能を順次計数記憶し、次回以降の炊飯操作に際しては、記憶された計数値の多いものが他のものに優先して表示部に表示されるようにしている。ところが、この場合、過去の情報のうちのいずれかを選択することはできるものの、学習機能により進化させてゆくことができない。例えば、次回炊飯時に炊飯加熱条件を変更することができない。
【0006】
本願発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、学習機能を付設し、過去の情報を基に自動で炊飯条件を設定して炊飯を行い得るようにすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明では、上記課題を解決するための第1の手段として、米と水とを収容する内鍋を取出自在に収納する炊飯器本体と、前記内鍋を加熱する加熱手段と、前記内鍋の温度を検出する温度センサーと、マイコン機能とを備えた電気炊飯器において、炊飯後におけるご飯の炊き上がり状態を評価する評価手段と、該評価手段による評価の内容に応じて次回炊飯時の炊飯加熱条件を変更する炊飯条件変更手段とを付設している。
【0008】
上記のように構成したことにより、ご飯の炊き上がり状態が評価手段により評価されると(例えば、「おこげが多すぎる」等の評価がなされると)、当該評価に応じて次回炊飯時の炊飯加熱条件が炊飯条件変更手段により変更される(例えば、加熱最高温度=炊上げ温度が下げられる)。従って、評価手段による評価に応じた適正な炊飯加熱条件での自動炊飯が可能となり、極めて便利である。
【0009】
本願発明では、さらに、上記課題を解決するための第2の手段として、上記第1の手段を備えた電気炊飯器において、前記炊飯条件変更手段を、炊飯後における前記評価手段による評価の都度作動させるように構成することもでき、そのように構成した場合、直前の炊飯時における評価に応じて適正な炊飯加熱条件での自動炊飯が可能となる。
【0010】
本願発明では、上記課題を解決するための第3の手段として、米と水とを収容する内鍋を取出自在に収納する炊飯器本体と、前記内鍋を加熱する加熱手段と、前記内鍋の温度を検出する温度センサーと、マイコン機能とを備えた電気炊飯器において、炊飯後におけるご飯の炊き上がり状態を評価する評価手段と、該評価手段による評価に基づいて次回炊飯セット時にユーザの味覚希望に合ったセット条件を表示する表示手段とを付設している。
【0011】
上記のように構成したことにより、ご飯の炊き上がり状態が評価手段により評価されると(例えば、「少し柔らかい」等の評価がなされると)、当該評価に応じて次回炊飯セット時にユーザの味覚希望に合ったセット条件(例えば、「水量を今回より50cc減らす」とのセット条件)が表示手段により表示されることとなる。従って、次回炊飯セット時においては当該表示を役立たせることができる。その結果、炊飯セット条件として常に適正なものを採用することができることとなる。
【0012】
本願発明では、上記課題を解決するための第4の手段として、米と水とを収容する内鍋を取出自在に収納する炊飯器本体と、前記内鍋を加熱する加熱手段と、前記内鍋の温度を検出する温度センサーと、マイコン機能とを備えた電気炊飯器において、炊飯後におけるご飯の炊き上がり状態を評価する評価手段と、該評価手段による評価を記憶する記憶手段とを付設するとともに、記憶手段が選択された場合には今回の炊飯加熱制御が記憶されるように構成している。
【0013】
上記のように構成したことにより、ご飯の炊き上がり状態が評価手段により評価されると(例えば、「少し柔らかい」等の評価がなされると)、当該評価は、記憶手段の選択に応じて記憶されるが、その時、今回の炊飯加熱制御も記憶されることとなる。従って、記憶手段に記憶された炊飯加熱制御によって次回の炊飯実行を行うことができる。
【0014】
本願発明では、さらに、上記課題を解決するための第5の手段として、上記第4の手段を備えた電気炊飯器において、前記記憶手段が選択されない場合には、前記評価手段による評価は自動で消去されるように構成することもでき、そのように構成した場合、不必要な情報は自動消去されることとなり、必要な記憶容量を確保することができる。
【0015】
本願発明では、上記課題を解決するための第6の手段として、米と水とを収容する内鍋を取出自在に収納する炊飯器本体と、前記内鍋を加熱する加熱手段と、前記内鍋の温度を検出する温度センサーと、マイコン機能とを備えた電気炊飯器において、炊飯後におけるご飯の炊き上がり状態を評価する評価手段と、該評価手段により評価された炊飯条件を呼び出す呼び出しモードとを付設するとともに、該呼び出しモードが選択された場合には、呼び出しモードにより呼び出された炊飯条件で炊飯実行されるように構成している。
【0016】
上記のように構成したことにより、ご飯の炊き上がり状態が評価手段により評価され、当該評価により評価された炊飯条件が呼び出しモードの選択により呼び出されると、呼び出しモードにより呼び出された炊飯条件で炊飯実行されることとなる。従って、評価手段により評価された炊飯条件を呼び出しモードの選択により適宜呼び出し、当該呼び出された炊飯条件で炊飯実行を行うことができる。
【0017】
本願発明では、上記課題を解決するための第7の手段として、米と水とを収容する内鍋を取出自在に収納する炊飯器本体と、前記内鍋を加熱する加熱手段と、前記内鍋の温度を検出する温度センサーと、マイコン機能とを備えた電気炊飯器において、炊飯時毎の合数判定結果と同じ合数で過去の評価が最も良かった炊飯条件を記憶する記憶手段と、該記憶手段により記憶された炊飯条件を自動で呼び出す呼び出し手段と、呼び出された炊飯条件に従って自動炊飯を行う炊飯実行手段とを付設している。
【0018】
上記のように構成したことにより、炊飯時毎の合数判定結果と同じ合数で過去の評価が最も良かった炊飯条件が呼び出され、この呼び出された炊飯条件に従って自動炊飯が行われることとなる。従って、合数毎のベストの炊飯条件での炊飯を行うことが可能となり、ユーザにとって最も好ましい状態での自動炊飯が可能となる。
【0019】
本願発明では、上記課題を解決するための第8の手段として、米と水とを収容する内鍋を取出自在に収納する炊飯器本体と、前記内鍋を加熱する加熱手段と、前記内鍋の温度を検出する温度センサーと、マイコン機能とを備えた電気炊飯器であって、炊飯時の合数判定結果を記憶する記憶手段を付設するとともに、該記憶手段に記憶された合数判定結果を次回炊飯時の合数判定とするように構成している。
【0020】
上記のように構成したことにより、通常、特定のユーザにおいては一定の合数での炊飯を繰り返すことが多いところから、炊飯時の合数判定結果を次回炊飯時の合数判定を行うまでの参考合数として利用することができる。従って、炊飯初期から所定の合数での炊飯を行うことができることとなり、炊飯時間の短縮を図ることができる。
【発明の効果】
【0021】
本願発明の第1の手段によれば、米と水とを収容する内鍋を取出自在に収納する炊飯器本体と、前記内鍋を加熱する加熱手段と、前記内鍋の温度を検出する温度センサーと、マイコン機能とを備えた電気炊飯器において、炊飯後におけるご飯の炊き上がり状態を評価する評価手段と、該評価手段による評価の内容に応じて次回炊飯時の炊飯加熱条件を変更する炊飯条件変更手段とを付設して、ご飯の炊き上がり状態が評価手段により評価されると(例えば、「おこげが多すぎる」等の評価がなされると)、当該評価に応じて次回炊飯時の炊飯加熱条件が炊飯条件変更手段により変更される(例えば、加熱最高温度=炊上げ温度が下げられる)ようにしたので、評価手段による評価に応じた適正な炊飯加熱条件での自動炊飯が可能となり、極めて便利であるという効果がある。
【0022】
本願発明の第2の手段におけるように、上記第1の手段を備えた電気炊飯器において、前記炊飯条件変更手段を、炊飯後における前記評価手段による評価の都度作動させるように構成することもでき、そのように構成した場合、直前の炊飯時における評価に応じて適正な炊飯加熱条件での自動炊飯が可能となる。
【0023】
本願発明の第3の手段によれば、米と水とを収容する内鍋を取出自在に収納する炊飯器本体と、前記内鍋を加熱する加熱手段と、前記内鍋の温度を検出する温度センサーと、マイコン機能とを備えた電気炊飯器において、炊飯後におけるご飯の炊き上がり状態を評価する評価手段と、該評価手段による評価に基づいて次回炊飯セット時にユーザの味覚希望に合ったセット条件を表示する表示手段とを付設して、ご飯の炊き上がり状態が評価手段により評価されると(例えば、「少し柔らかい」等の評価がなされると)、当該評価に応じて次回炊飯セット時にユーザの味覚希望に合ったセット条件(例えば、「水量を今回より50cc減らす」とのセット条件)が表示手段により表示されるようにしたので、次回炊飯セット時においては当該表示を役立たせることができることとなり、炊飯セット条件として常に適正なものを採用することができるという効果がある
本願発明の第4の手段によれば、米と水とを収容する内鍋を取出自在に収納する炊飯器本体と、前記内鍋を加熱する加熱手段と、前記内鍋の温度を検出する温度センサーと、マイコン機能とを備えた電気炊飯器において、炊飯後におけるご飯の炊き上がり状態を評価する評価手段と、該評価手段による評価を記憶する記憶手段とを付設するとともに、記憶手段が選択された場合には今回の炊飯加熱制御が記憶されるように構成して、ご飯の炊き上がり状態が評価手段により評価されると(例えば、「少し柔らかい」等の評価がなされると)、当該評価は、記憶手段の選択により記憶されるが、その時、今回の炊飯加熱制御も記憶されるようにしたので、記憶手段に記憶された炊飯加熱制御によって次回の炊飯実行を行うことができることとなり、ユーザにとって極めて便利なものとなる。
【0024】
本願発明の第5の手段におけるように、上記第4の手段を備えた電気炊飯器において、前記記憶手段が選択されない場合には、前記評価手段による評価は自動で消去されるように構成することもでき、そのように構成した場合、不必要な情報は自動消去されることとなり、必要な記憶容量を確保することができる。
【0025】
本願発明の第6の手段によれば、米と水とを収容する内鍋を取出自在に収納する炊飯器本体と、前記内鍋を加熱する加熱手段と、前記内鍋の温度を検出する温度センサーと、マイコン機能とを備えた電気炊飯器において、炊飯後におけるご飯の炊き上がり状態を評価する評価手段と、該評価手段により評価された炊飯条件を呼び出す呼び出しモードとを付設するとともに、該呼び出しモードが選択された場合には、呼び出しモードにより呼び出された炊飯条件で炊飯実行されるように構成して、ご飯の炊き上がり状態が評価手段により評価され、当該評価により評価された炊飯条件が呼び出しモードの選択により呼び出されると、呼び出しモードにより呼び出された炊飯条件で炊飯実行されるようにしたので、評価手段により評価された炊飯条件を呼び出しモードの選択により適宜呼び出し、当該呼び出された炊飯条件で炊飯実行を行うことができることとなり、ユーザにとって極めて便利なものとなる。
【0026】
本願発明の第7の手段によれば、米と水とを収容する内鍋を取出自在に収納する炊飯器本体と、前記内鍋を加熱する加熱手段と、前記内鍋の温度を検出する温度センサーと、マイコン機能とを備えた電気炊飯器において、炊飯時毎の合数判定結果と同じ合数で過去の評価が最も良かった炊飯条件を記憶する記憶手段と、該記憶手段により記憶された炊飯条件を自動で呼び出す呼び出し手段と、呼び出された炊飯条件に従って自動炊飯を行う炊飯実行手段とを付設して、炊飯時毎の合数判定結果と同じ合数で過去の評価が最も良かった炊飯条件が呼び出され、この呼び出された炊飯条件に従って自動炊飯が行われるようにしたので、合数毎のベストの炊飯条件での炊飯を行うことが可能となり、ユーザにとって最も好ましい状態での自動炊飯が可能となるという効果がある。
【0027】
本願発明の第8の手段によれば、米と水とを収容する内鍋を取出自在に収納する炊飯器本体と、前記内鍋を加熱する加熱手段と、前記内鍋の温度を検出する温度センサーと、マイコン機能とを備えた電気炊飯器であって、炊飯時の合数判定結果を記憶する記憶手段を付設するとともに、該記憶手段に記憶された合数判定結果を次回炊飯時の合数判定とするように構成して、通常、特定のユーザにおいては一定の合数での炊飯を繰り返すことが多いところから、炊飯時の合数判定結果を次回炊飯時の合数判定を行うまでの参考合数として利用することができるようにしたので、炊飯初期から所定の合数での炊飯を行うことができることとなり、炊飯時間の短縮を図ることができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、添付の図面を参照して、本願発明の好適な実施の形態について詳述する。
【0029】
この電気炊飯器は、図1に示すように、米と水とを収容する内鍋3を取出自在に収納し得るように構成され且つ空間部を有する二重構造の炊飯器本体1と、該炊飯器本体1の上部開口を開閉自在に覆蓋する蓋体2とを備えている。
【0030】
前記炊飯器本体1は、外側壁を構成する合成樹脂製の外ケース1aと、底壁を構成する合成樹脂製の底ケース1bと、肩部を構成する合成樹脂製の肩部材1cと、内周壁を構成する合成樹脂製の有底筒状の保護枠4とからなっている。なお、前記保護枠4内には、前記内鍋3が取り出し可能に収納されることとなっている。
【0031】
前記保護枠4の外周面側には、炊飯時における主加熱手段として作用する環状のメインIHコイルC1,C2,C3が保護枠4の底面、該底面から側周面に至る間の湾曲部および側周面にそれぞれ対応して配設されている。該メインIHコイルC1,C2,C3は、交番磁界(換言すれば、電磁波)を発生するものであり、該交番磁界の電磁誘導により前記内鍋3に誘導渦電流を発生させ、該誘導渦電流の抵抗熱を利用して加熱するものとされている。なお、内鍋3は、メインIHコイルC1,C2,C3により誘導渦電流を発生させることのできる材質(例えば、磁性体材料)により構成される。符号7はフェライトコアであり、メインIHコイルC1,C2による磁気が下方に存在する機器に対して影響を及ぼさないように遮閉する作用をなす。また、符号9は電源基板である。
【0032】
また、前記内鍋3の側面部外方に対応する保護枠4には、保温ヒータH1が配設されている。さらに、前記肩部材1cの内周縁部には、蓋体2側に設けられた放熱板15(後に詳述する)を加熱するための肩ヒータH2が配設されている。
【0033】
一方、前記蓋体2は、外面を構成する合成樹脂製の上板12と、内面を構成する真空二重構造の下板13とによって構成されている。該下板13は、上下2枚のドーナツ形状の金属板(例えば、ステンレス板)13a,13bの間の空間を真空空間とした構成とされている。この蓋体2は、前記肩部材1cの一側に形成されたヒンジピン11を介して炊飯器本体1に対して弧回動自在に取り付けられている。
【0034】
前記蓋体2の下面には、該蓋体2の閉止時に前記内鍋3の開口部を密閉するための熱良導体(例えば、アルミ合金)からなる放熱板15が取り付けられており、該放熱板15の周縁部は、蓋体2の閉蓋時に前記肩ヒータH2に圧接され、肩ヒータH2からの熱が放熱板15から放熱されることとなっている。符号14は放熱板15と蓋体下板13との間をシールするシールパッキン、16は放熱板15の下面に取り付けられた内蓋、17は放熱板15の周縁と内鍋3の開口部との間をシールするシールパッキン、18は蓋体2の閉止状態を保持するためのロック機構、20は各種操作キー、液晶表示装置等が設けられている操作パネル部である。
【0035】
前記操作パネル部20には、図2に示すように、液晶表示装置21、炊飯キー22a、予約キー22b、取消キー22c、保温キー22d、再加熱キー22e、メニューキー22f、時キー22g、分キー22hおよびLED23a,23b,23cが設けられている。該液晶表示装置21には、メニューキー22fの操作に応じて各種メニュー(「白米」、「早炊」、「玄米」、「おかゆ」、「炊込み」、「おこわ」、「無洗米」、「雑炊」、「ピラフ」および「蒸し」)、時刻、予約状況、再加熱表示、保温時間等が表示されている。
【0036】
ついで、図3に示す電気回路図に基づいて、本実施の形態にかかる電気炊飯器における電気的構成を説明する。なお、図1ないし図2に示された各部に対応する部分には同一の参照符号を付して示す。
【0037】
商用交流電源30からの電力は、内鍋3の異常加熱を検知して溶断する温度ヒューズ31および整流回路35を経てIHコイルC1〜C3に供給されることとなっている。符号36は平滑コンデンサ、38は共振コンデンサ、39はダイオードである。
【0038】
前記IHコイルC(具体的には、C1〜C3)には、マイクロコンピュータユニット(以下、マイコンと略称する)32からIGBTドライブ回路42を経た指令によりON/OFF制御されるパワートランジスタ37からの制御信号が与えられることとなっている。符号40は同期トリガ回路、41はPWM回路である。
【0039】
前記マイコン32は、所定のプログラムに従ってパワートランジスタ37および同期トリガ回路40の制御を行い、これによりIHコイルC(具体的には、C1〜C3)への通電を制御する。この通電制御は、前記温度センサーSからの出力信号に基づいて行なわれる。符号43は温度検知回路である。また、内鍋3のセット状態は、鍋検知用のリミットスイッチLSによって検知されることとなっており、該リミットスイッチLSからの検知信号は、鍋検知回路44を介してマイコン32に入力されることとなっている。
【0040】
図3において、符号24は肩ヒータ駆動回路、24aは肩ヒータH2への通電を制御するトランジスタ、33は保温ヒータ駆動回路、33aは保温ヒータH1への通電を制御するトランジスタ、45はブザー駆動回路、45aはブザーである。
【0041】
ついで、以下に示すフローチャートを参照して、本実施の形態にかかる電気炊飯器のAI制御(即ち、人工知能制御)について説明する。
(I) AI制御I(図4のフローチャート参照)
ステップS1においてメニューキー22fによるメニュー選択(例えば、「白米炊飯」)が行われ、ステップS2において白米炊飯が実行され、ステップS3において炊飯が終了したと判定されると、ステップS4においてご飯の炊き上がり状態についての評価(例えば、「おこげが多すぎる」か否かの判定)がなされ、ここで、肯定判定された場合には、ステップS5において次回炊飯時における炊き上げ温度が所定温度だけ下げられる。一方、ステップS4において否定判定された場合には、次回炊飯時における炊き上げ温度は変更されることなく、そのままステップS1へリターンされる。
【0042】
上記したように、ご飯の炊き上がり状態が評価されると(例えば、「おこげが多すぎる」等の評価がなされると)、当該評価に応じて次回炊飯時の炊飯加熱条件が炊飯条件変更手段により変更される(例えば、加熱最高温度=炊上げ温度が下げられる)ようにしたので、ご飯の炊き上がり状態の評価に応じた適正な炊飯加熱条件での自動炊飯が可能となり、極めて便利となる。
(II) AI制御II(図5のフローチャート参照)
ステップS1においてメニューキー22fによるメニュー選択(例えば、「白米炊飯」)が行われ、ステップS2において白米炊飯が実行され、ステップS3において炊飯が終了したと判定されると、ステップS4においてご飯の炊き上がり状態についての評価(例えば、「柔らかい」か否かの判定)がなされ、ここで、肯定判定された場合には、ステップS5において次回炊飯時における水量を50ccだけ減らすように、液晶表示装置21に表示される。一方、ステップS4において否定判定された場合には、次回の炊飯セット条件は変更されることなく、そのままステップS1へリターンされる。
【0043】
上記したように、ご飯の炊き上がり状態が評価されると(例えば、「少し柔らかい」等の評価がなされると)、当該評価に応じて次回炊飯セット時にユーザの味覚希望に合ったセット条件(例えば、「水量を今回より50cc減らす」とのセット条件)が液晶表示装置21により表示されることとなる。従って、次回炊飯セット時においては当該表示を役立たせることができる。その結果、炊飯セット条件として常に適正なものを採用することができることとなる。
(III) AI制御III(図7のフローチャート参照)
この場合、操作パネル部21に、図6に示すように、通常炊飯を選択する炊飯キー22aとは別に、学習炊飯モード(換言すれば、AIモード)を選択するための学習炊飯選択キー(以下、AIキーという)22iが設けられており、該AIキー22iにより学習炊飯モードが選択された場合には、学習機能および呼び出し機能が付加されることとなる。
【0044】
ステップS1においてメニューキー22fによるメニュー選択(例えば、「白米炊飯」)が行われ、ステップS2において白米炊飯が実行され、ステップS3において炊飯が終了したと判定されると、ステップS4においてご飯の炊き上がり状態についての評価がなされ、ステップS5においてAIキー22iがONされたか否かの判定がなされ、ここで肯定判定されると、ステップS6において当該評価およびその時の炊飯加熱制御が記憶手段により記憶されるが、ステップS5において否定判定された場合には、ステップS7において当該評価およびその時の炊飯加熱制御が記憶手段から自動消去される。ついで、ステップS8において前記評価の判定(例えば、「柔らかい」か否かの判定)がなされ、ここで、肯定判定された場合には、ステップS9において次回炊飯時における水量を50ccだけ減らすように、液晶表示装置21に表示される。一方、ステップS8において否定判定された場合には、次回の炊飯セット条件は変更されることなく、そのままステップS1へリターンされる。
【0045】
上記したように、ご飯の炊き上がり状態が評価手段により評価されると(例えば、「少し柔らかい」等の評価がなされると)、当該評価は、記憶手段の選択に応じて記憶されるが、その時、今回の炊飯加熱制御も記憶されることとなる。従って、記憶手段に記憶された炊飯加熱制御によって次回の炊飯実行を行うことができる。
(IV) AI制御IV(図8のフローチャート参照)
この場合、操作パネル部21に、図6に示すように、通常炊飯を選択する炊飯キー22aとは別に、AIモードを選択するためのAIキー22iが設けられており、該AIキー22iによりAIモードが選択された場合には、学習機能および呼び出し機能が付加されることとなる。
【0046】
ステップS1においてメニューキー22fによるメニュー選択(例えば、「白米炊飯」)が行われ、ステップS2において白米炊飯が実行され、ステップS3において炊飯が終了したと判定されると、ステップS4においてご飯の炊き上がり状態についての評価がなされ、ステップS5においてAIキー22iがONされたか否かの判定がなされ、ここで肯定判定されると、ステップS6において当該評価およびその時の炊飯加熱制御が記憶手段により記憶されるるが、否定判定されると、ステップS7において当該評価およびその時の炊飯加熱制御が記憶手段から自動消去される。ついで、ステップS8においてAIキー22iのON操作を繰り返すことにより、ステップS9において評価記憶されている炊飯条件が液晶表示装置21に呼び出され、ステップS10において当該炊飯条件に従って次回の炊飯が実行される。
【0047】
上記したように、ご飯の炊き上がり状態が評価手段により評価され、当該評価により評価された炊飯条件が呼び出しモードの選択により呼び出されると、呼び出しモードにより呼び出された炊飯条件で炊飯実行されることとなる。従って、評価手段により評価された炊飯条件を呼び出しモードの選択により適宜呼び出し、当該呼び出された炊飯条件で炊飯実行を行うことができる。
(V) AI制御V(図9のフローチャート参照)
この場合、操作パネル部21に、図6に示すように、通常炊飯を選択する炊飯キー22aとは別に、AIモードを選択するためのAIキー22iが設けられており、該AIキー22iによりAIモードが選択された場合には、学習機能および呼び出し機能が付加されることとなる。
【0048】
ステップS1においてメニューキー22fによるメニュー選択(例えば、「白米炊飯」)が行われ、ステップS2において白米炊飯が実行され、ステップS3において炊飯が終了したと判定されると、ステップS4においてその時の合数判定と炊飯条件とが記憶される。ついで、ステップS5においてAIキー22iがONされたか否かの判定がなされ、ここで肯定判定されると、ステップS6においてその時の合数判定結果と同じ合数で過去の評価が最も良かった炊飯条件が自動で呼び出され、ステップS7において当該炊飯条件に従って次回の炊飯が実行される。一方、ステップS5において否定判定された場合には、制御はそのまま終了される。
【0049】
なお、このときの合数判定は、手動設定、重量測定、自動判定(温度勾配等による)等を採用できる。
【0050】
上記したように、炊飯時毎の合数判定結果と同じ合数で過去の評価が最も良かった炊飯条件が呼び出され、この呼び出された炊飯条件に従って自動炊飯が行われることとなる。従って、合数毎のベストの炊飯条件での炊飯を行うことが可能となり、ユーザにとって最も好ましい状態での自動炊飯が可能となる。
(VI) AI制御VI(図10のフローチャート参照)
この場合、操作パネル部21に、図6に示すように、通常炊飯を選択する炊飯キー22aとは別に、AIモードを選択するためのAIキー22iが設けられており、該AIキー22iによりAIモードが選択された場合には、学習機能および呼び出し機能が付加されることとなる。
【0051】
ステップS1においてメニューキー22fによるメニュー選択(例えば、「白米炊飯」)が行われ、ステップS2において白米炊飯が実行され、ステップS3において炊飯が終了したと判定されると、ステップS4においてその時の合数判定結果が記憶される。ついで、ステップS5において次回炊飯の開始であるメニューキー22fによるメニュー選択(例えば、「白米炊飯」)が行われ、ステップS6においてAIキー22iがONされたか否かの判定がなされ、ここで肯定判定されると、ステップS7において前回の合数判定結果が自動で呼び出され、ステップS8においてこの合数判定結果を参考合数とする炊飯条件に従って次回の炊飯が実行される。ステップS6において否定判定された場合には、制御はそのまま終了する。
【0052】
なお、このときの合数判定は、手動設定、重量測定、自動判定(温度勾配等による)等を採用できる。
【0053】
上記したように、通常、特定のユーザにおいては一定の合数での炊飯を繰り返すことが多いところから、炊飯時の合数判定結果を次回炊飯時の合数判定を行うまでの参考合数として利用することができる。従って、炊飯初期から所定の合数での炊飯を行うことができることとなり、炊飯時間の短縮を図ることができる。
【0054】
ところで、前記AIキー22iのON操作により、炊飯メニュー、炊上げ時刻、保温時間の三つをセットにした過去の実績から一番多く使われた内容を呼び出すように構成することもできる。この時、炊飯メニューは、「白米」、「早炊き」、「無洗米」、「玄米」、「おかゆ」等の中の一つ、炊上げ時刻は、直後の炊飯又はタイマ予約時間で多く選択されたものの一つ、保温時間は、これまでの保温時間(炊飯終了後から取消キーONもしくは鍋取り外し)の平均値とされるが、炊上げ時刻と保温時間との情報は、炊飯メニューの情報に従属する。例えば、「白米」コースでの炊上げ時刻と保温時間の情報と「おかゆ」コースでの情報を一緒に扱わないようにする。
【0055】
なお、本願発明においては、重量判定手段にて得た米量および水量情報をマイコン32に記憶しておき、複数回炊飯実行を繰り返すことにより、ユーザが求める米量および水量の平均値を算出し、この算出平均値によりユーザの希望炊飯状態(例えば、水量が多い場合、ユーザはやわらかめのご飯を好むことが判る)を認識し、次回炊飯時に米量および水量を検知した時に、ユーザの希望に合った加熱条件で炊飯を行うことにより、米量および水量の間違いを補正するようにすることもできる。
【0056】
また、本願発明においては、炊飯可能状態待機後(即ち、内鍋3をセットした状態)に炊飯操作を行う(換言すれば、炊飯キー22aをON操作する)までの時間を複数回測定し、次回の内鍋セット時に複数回の測定結果の平均値が経過しても、炊飯操作が実行されない場合には、報知手段(例えば、ブザー45a)による報知を行い又は同時に強制的に炊飯実行するようにすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本願発明の実施の形態にかかる電気炊飯器の一部を断面とした側面図である。
【図2】本願発明の実施の形態にかかる電気炊飯器における操作パネル部の正面図である。
【図3】本願発明の実施の形態にかかる電気炊飯器における電気的要素の結線回路図である。
【図4】本願発明の実施の形態にかかる電気炊飯器におけるAI制御Iの内容を示すフローチャートである。
【図5】本願発明の実施の形態にかかる電気炊飯器におけるAIド制御IIの内容を示すフローチャートである。
【図6】本願発明の実施の形態にかかる電気炊飯器における操作パネル部の別例を示す正面図である。
【図7】本願発明の実施の形態にかかる電気炊飯器におけるAI制御IIIの内容を示すフローチャートである。
【図8】本願発明の実施の形態にかかる電気炊飯器におけるAI制御IVの内容を示すフローチャートである。
【図9】本願発明の実施の形態にかかる電気炊飯器におけるAI制御Vの内容を示すフローチャートである。
【図10】本願発明の実施の形態にかかる電気炊飯器におけるAI制御VIの内容を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0058】
1は炊飯器本体
2は蓋体
3は内鍋
11は加熱手段(IHコイル)
21は液晶表示装置
32はマイクロコンピュータ(マイコン)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
米と水とを収容する内鍋を取出自在に収納する炊飯器本体と、前記内鍋を加熱する加熱手段と、前記内鍋の温度を検出する温度センサーと、マイコン機能とを備えた電気炊飯器であって、炊飯後におけるご飯の炊き上がり状態を評価する評価手段と、該評価手段による評価の内容に応じて次回炊飯時の炊飯加熱条件を変更する炊飯条件変更手段とを付設したことを特徴とする電気炊飯器。
【請求項2】
前記炊飯条件変更手段を、炊飯後における前記評価手段による評価の都度作動させるように構成したことを特徴とする請求項1記載の電気炊飯器。
【請求項3】
米と水とを収容する内鍋を取出自在に収納する炊飯器本体と、前記内鍋を加熱する加熱手段と、前記内鍋の温度を検出する温度センサーと、マイコン機能とを備えた電気炊飯器であって、炊飯後におけるご飯の炊き上がり状態を評価する評価手段と、該評価手段による評価に基づいて次回炊飯セット時にユーザの味覚希望に合ったセット条件を表示する表示手段とを付設したことを特徴とする電気炊飯器。
【請求項4】
米と水とを収容する内鍋を取出自在に収納する炊飯器本体と、前記内鍋を加熱する加熱手段と、前記内鍋の温度を検出する温度センサーと、マイコン機能とを備えた電気炊飯器であって、炊飯後におけるご飯の炊き上がり状態を評価する評価手段と、該評価手段による評価を記憶する記憶手段とを付設するとともに、記憶手段が選択された場合には今回の炊飯加熱制御が記憶されるように構成したことを特徴とする電気炊飯器。
【請求項5】
前記記憶手段が選択されない場合には、前記評価手段による評価は自動で消去されるように構成したことを特徴とする請求項4記載の電気炊飯器。
【請求項6】
米と水とを収容する内鍋を取出自在に収納する炊飯器本体と、前記内鍋を加熱する加熱手段と、前記内鍋の温度を検出する温度センサーと、マイコン機能とを備えた電気炊飯器であって、炊飯後におけるご飯の炊き上がり状態を評価する評価手段と、該評価手段により評価された炊飯条件を呼び出す呼び出しモードとを付設するとともに、該呼び出しモードが選択された場合には、呼び出しモードにより呼び出された炊飯条件で炊飯実行されるように構成したことを特徴とする電気炊飯器。
【請求項7】
米と水とを収容する内鍋を取出自在に収納する炊飯器本体と、前記内鍋を加熱する加熱手段と、前記内鍋の温度を検出する温度センサーと、マイコン機能とを備えた電気炊飯器であって、炊飯時毎の合数判定結果と同じ合数で過去の評価が最も良かった炊飯条件を記憶する記憶手段と、該記憶手段により記憶された炊飯条件を自動で呼び出す呼び出し手段と、呼び出された炊飯条件に従って自動炊飯を行う炊飯実行手段とを付設したことを特徴とする電気炊飯器。
【請求項8】
米と水とを収容する内鍋を取出自在に収納する炊飯器本体と、前記内鍋を加熱する加熱手段と、前記内鍋の温度を検出する温度センサーと、マイコン機能とを備えた電気炊飯器であって、炊飯時の合数判定結果を記憶する記憶手段を付設するとともに、該記憶手段に記憶された合数判定結果を次回炊飯時の合数判定とするように構成したことを特徴とする電気炊飯器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−352(P2006−352A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−179226(P2004−179226)
【出願日】平成16年6月17日(2004.6.17)
【出願人】(000003702)タイガー魔法瓶株式会社 (509)
【Fターム(参考)】