説明

電源回路遮断装置

【課題】レバーの操作性を向上させつつ、一対の第2信号端子の製造コストを低減できる電源回路遮断装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る電源回路遮断装置1では、レバー30のコネクタ嵌合開始位置からコネクタ嵌合完了位置への回転では、一対の第1メイン端子13及び一対の第2メイン端子23の間がオン状態となった後に、一対の第1信号端子16及び一対の第2信号端子40の間がオン状態となり、レバー30のコネクタ嵌合完了位置からコネクタ嵌合開始位置への回転では、一対の第1信号端子16及び一対の第2信号端子40の間がオフ状態となった後に、一対の第1メイン端子13及び一対の第2メイン端子23の間がオフ状態となる。一対の第1信号端子16及び一対の第2信号端子40は、レバー30の回転支持軸方向の直交方向に沿う直線L上に沿った状態で配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レバー付きのコネクタハウジング間の嵌合及び離脱によって電源回路の接続や遮断を行う電源回路遮断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電気自動車(EV)やハイブリッド電気自動車(HEV)にあっては、電気系統のメンテナンス等での作業安全性を確保するため、電源部と負荷間との通電を遮断する電源回路遮断装置(サービスプラグ)について様々な提案がなされている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
この種の電源回路遮断装置として、本出願人は図12〜図15に示すものを提案した。具体的には、図12〜図14に示すように、電源回路遮断装置100は、第1コネクタハウジング110と、第1コネクタハウジング110に嵌合及び離脱する第2コネクタハウジング120と、第2コネクタハウジング120に回転可能に設けられ、且つ、回転によって第1コネクタハウジング110と第2コネクタハウジング120との間に嵌合力や離脱力を作用させるレバー130とを備えている。
【0004】
第1コネクタハウジング110の両側面には、一対のカムピン111が突設されている。第1コネクタハウジング110に設けられるコネクタ嵌合室110a内には、一対の第1メイン端子113(図13参照)が配置され、第1コネクタハウジング110に設けられる外部フード部115内には、一対の第1信号端子116が配置されている。
【0005】
第2コネクタハウジング120の両側面には、一対の回転軸121(図12参照)が突設されている。第2コネクタハウジング120内には、第1メイン端子113と嵌合及び離脱する一対の第2メイン端子122(図14参照)が設けられている。
【0006】
レバー130の両側面には、一対の回転受け溝131が形成されている。この一対の回転受け溝131に第2コネクタハウジング120の一対の回転軸121が軸支されている。これにより、レバー130は、第2コネクタハウジング120に回転自在に支持されている。また、レバー130の両側面には、一対のカム溝132が設けられている。この一対のカム溝132に第1コネクタハウジング110のカムピン111が挿入される。レバー130の側面部に設けられるフード部133内には、一対の第2信号端子134が配置されている。
【0007】
双方の第1メイン端子113及び第2メイン端子122によってメイン回路スイッチ(不図示)が構成されている。一方で、双方の第1信号端子116及び第2信号端子134によって信号回路スイッチ(不図示)が構成されている。
【0008】
以下において、上述した電源回路遮断装置100の電源回路の導通動作について説明する。第2コネクタハウジング120を第1コネクタハウジング110のコネクタ嵌合室(不図示)に挿入すると共に、レバー130のカム溝132の入口にカムピン111を挿入する。双方の第1コネクタハウジング110と第2コネクタハウジング120との間はコネクタ嵌合開始状態となる。
【0009】
レバー120がコネクタ嵌合開始位置からコネクタ嵌合完了位置側に回転すると、カムピン111がカム溝132内を移動し、第1コネクタハウジング110と第2コネクタハウジング120との間に嵌合力が作用して第2コネクタハウジング120が第1コネクタハウジング110のコネクタ嵌合室に徐々に挿入される。そして、一対の第1メイン端子113と一対の第2メイン端子122との間は、接触状態となる。これにより、コネクタ嵌合操作位置では、メイン回路スイッチ(不図示)がオン状態となる。
【0010】
レバー130が更に回転すると、一対の第1信号端子116と一対の第2信号端子134とが徐々に接触し、レバー130の操作完了位置では完全接触状態となる。これにより、レバー130の操作完了位置では、信号回路スイッチ(不図示)がオン状態となる。電源回路遮断装置100は、一対のメイン端子同士がオン状態となった後で、且つ、一対の信号端子同士がオン状態となった時点で初めて電源回路(不図示)が導通状態となる。
【0011】
また、電源回路遮断装置100の電源遮断動作は、レバー130を上記と逆操作することによって行うことができる。これにより、電源回路遮断装置100は、第1信号端子116及び第2信号端子134がオフ状態となった時点で電源回路(不図示)が遮断するため、その後、第1メイン端子113及び第2メイン端子122同士のオフ状態への切り換え時点では、アーク放電の発生を防止できる。
【0012】
ところで、上述した一対の第1信号端子116及び一対の第2信号端子134は、図13及び図14に示すように、レバー130の回転支持軸方向に沿ってそれぞれ間隔を置いて配置されている。具体的には、一対の第1信号端子116は、雌端子形状である。一方、一対の第2信号端子134は、雄端子形状である。この一対の第2信号端子134は、図15に示すように、連結プレート部135により一体に設けられており、該連結プレート部135の箇所で折曲されて対向配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2002−298704号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、上述した従来の電源回路遮断装置100では、一対の第1信号端子116及び一対の第2信号端子134は、レバー130の回転支持軸方向に沿ってそれぞれ間隔を置いて配置されている。このため、レバー130がコネクタ嵌合開始位置からコネクタ嵌合完了位置へ回転すると、一対の第1信号端子116に対して、互いに対向した一対の第2信号端子134が同時に接触する。従って、一対の第1信号端子116に一対の第2信号端子134が接触する際、レバー130を回転させるための力が増大するため、レバー130の操作性が低下してしまう恐れがあった。
【0015】
そこで、本発明は、レバーの操作性を向上させることができる電源回路遮断装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上述した課題を解決するため、本発明は、次のような特徴を有している。まず、本発明の第1の特徴は、一対の第1メイン端子(第1メイン端子13)及び一対の第1信号端子(第1信号端子16)が設けられる第1コネクタハウジング(第1コネクタハウジング10)と、前記一対の第1メイン端子に嵌合及び離脱する一対の第2メイン端子(第2メイン端子23)が設けられ、且つ、前記第1コネクタハウジングに嵌合及び離脱する第2コネクタハウジング(第2コネクタハウジング20)と、前記一対の第1信号端子に嵌合及び離脱する一対の第2信号端子(第2信号端子40)が設けられるとともに、前記第2コネクタハウジングに回転可能に設けられ、且つ、回転によって前記第1コネクタハウジングと前記第2コネクタハウジングとの間に嵌合力及び離脱力を作用させるレバー(レバー30)とを備え、前記レバーのコネクタ嵌合開始位置からコネクタ嵌合完了位置への回転では、前記一対の第1メイン端子及び前記一対の第2メイン端子の間がオン状態となった後に、前記一対の第1信号端子及び前記一対の第2信号端子の間がオン状態となり、前記レバーのコネクタ嵌合完了位置からコネクタ嵌合開始位置への回転では、前記一対の第1信号端子及び前記一対の第2信号端子の間がオフ状態となった後に、前記一対の第1メイン端子及び前記一対の第2メイン端子の間がオフ状態となる電源回路遮断装置(電源回路遮断装置1)であって、前記一対の第1信号端子及び前記一対の第2信号端子は、前記レバーの回転支持軸方向の直交方向に沿う直線(直線L)上にそれぞれ間隔を置いて配置されることを要旨とする。
【0017】
かかる特徴によれば、一対の第1信号端子及び一対の第2信号端子は、レバーの回転支持軸方向の直交方向に沿う直線上にそれぞれ間隔を置いて配置される。これにより、レバーがコネクタ嵌合開始位置からコネクタ嵌合完了位置へ回転すると、一方の第1信号端子と一方の第2信号端子とが接触し、その後に、他方の第1信号端子と他方の第2信号端子とが接触する。このため、レバーを回転させる力が分散して、レバーの操作性を向上させることができる。
【0018】
また、レバーがコネクタ嵌合完了位置からコネクタ嵌合開始位置へ回転すると、他方の第1信号端子と他方の第2信号端子との接触が解除され、その後に、一方の第1信号端子と一方の第2信号端子との接触が解除される。このため、一対の第1信号端子と一対の第2信号端子とによって構成される信号回路スイッチが、より早いタイミングでオフ状態となる。従って、一対の第1メイン端子と一対の第2メイン端子のとの間で発生するアーク放電を抑制できる。
【0019】
本発明の第2の特徴は、本発明の第1の特徴に係り、前記一対の第1信号端子及び前記一対の第2信号端子は、前記レバーの回転支持軸方向の直交方向に沿う直線上に沿った状態で配置されることを要旨とする。
【0020】
かかる特徴によれば、一対の第1信号端子及び一対の第2信号端子は、レバーの回転支持軸方向の直交方向に沿う直線上に沿った状態で配置される。これにより、従来のように一対の第2信号端子に折曲加工を施す必要がなくなるとともに、一対の第2信号端子間(連結部)を短くできるため、一対の第2信号端子の製造コストを低減させることができる。
【0021】
本発明の第3の特徴は、本発明の第1又は第2の特徴に係り、前記一対の第1メイン端子及び前記一対の第2メイン端子は、前記レバーの回転支持軸方向の直交方向に沿う直線上に沿った状態で、それぞれ間隔を置いて配置されることを要旨とする。
【0022】
かかる特徴によれば、一対の第1メイン端子及び一対の第2メイン端子は、レバーの回転支持軸方向の直交方向に沿う直線上に沿った状態で、それぞれ間隔を置いて配置される。これにより、レバーの回転支持軸方向に対する第1コネクタハウジングの幅及び第2コネクタハウジングの幅を狭くでき、電源回路遮断装置の自由度を増大させることができる。
【0023】
本発明の第4の特徴は、本発明の第1乃至第3の特徴に係り、前記レバーは、前記レバーの回転を操作可能な操作部(操作部33)を備え、前記操作部は、前記一対の第2信号端子の位置よりも回転先端側に設けられることを要旨とする。
【0024】
かかる特徴によれば、操作部は、一対の第2信号端子の位置よりも回転先端側に設けられる。これにより、レバーの回転支持軸方向に対するレバーの幅をより狭くでき、電源回路遮断装置の自由度を増大させることができる。
【0025】
本発明の第5の特徴は、本発明の第1乃至第3の特徴に係り、前記レバーは、前記レバーの回転を操作可能な操作部を備え、前記操作部は、前記一対の第2信号端子の位置における側方側に設けられることを要旨とする。
【0026】
かかる特徴によれば、操作部は、一対の第2信号端子の位置における側方側に設けられる。これにより、レバーの回転支持軸方向の直交方向に対するレバーの長さを短くでき、電源回路遮断装置の自由度を増大させることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明の特徴によれば、レバーの操作性を向上させつつ、一対の第2信号端子の製造コストを低減できる電源回路遮断装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】図1は、本実施形態に係る電源回路遮断装置1を示す分解斜視図である。
【図2】図2は、本実施形態に係る第1コネクタハウジング10と第2コネクタハウジング20との嵌合前を示す側面図である。
【図3】図3は、本実施形態に係る第1コネクタハウジング10と第2コネクタハウジング20との嵌合途中を示す側面図である。
【図4】図4は、本実施形態に係る第1コネクタハウジング10と第2コネクタハウジング20との嵌合状態を示す側面図である。
【図5】図5は、本実施形態に係る第1信号端子16を示す斜視図である。
【図6】図6は、本実施形態に係る第1コネクタハウジング10(第1信号端子16近傍)を示す平面図である。
【図7】図7は、本実施形態に係る第2信号端子40を示す斜視図・正面図である。
【図8】図8は、本実施形態に係るレバー30の一部(第2信号端子40近傍)を示す平面図である。
【図9】図9は、本実施形態に係る第1信号端子16と第2信号端子40との嵌合寸前を示す側面図である。
【図10】図10は、図9の拡大側面図である。
【図11】図11は、変更例に係るレバー30の一部(第2信号端子40近傍)を示す平面図である。
【図12】図12は、背景技術に係る電源回路遮断装置100を示す分解斜視図である。
【図13】図13は、背景技術に係る第1コネクタハウジング110を示す平面図である。
【図14】図14は、背景技術に係るレバー130の一部(第2信号端子134近傍)を示す平面図である。
【図15】図15は、背景技術に係る第2信号端子134を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
次に、本発明に係る電源回路遮断装置の実施形態について、図面を参照しながら説明する。具体的には、(1)電源回路遮断装置の構成、(2)信号端子の構成、(3)メイン端子の構成、(4)電源回路の構成、(5)作用・効果、(6)変更例、(7)その他の実施形態について説明する。
【0030】
なお、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には、同一または類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。
【0031】
したがって、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。
【0032】
(1)電源回路遮断装置の構成
まず、本実施形態に係る電源回路遮断装置1の構成について、図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る電源回路遮断装置1を示す分解斜視図である。図2は、本実施形態に係る第1コネクタハウジング10と第2コネクタハウジング20との嵌合前を示す側面図である。図3は、本実施形態に係る第1コネクタハウジング10と第2コネクタハウジング20との嵌合途中を示す側面図である。図4は、本実施形態に係る第1コネクタハウジング10と第2コネクタハウジング20との嵌合状態を示す側面図である。
【0033】
図1〜図4に示すように、電源回路遮断装置1は、第1コネクタハウジング10と、第1コネクタハウジング10に嵌合及び離脱する第2コネクタハウジング20と、第2コネクタハウジング20に回転可能に設けられ、且つ、回転によって第1コネクタハウジング10と第2コネクタハウジング20との間に嵌合力や離脱力を作用させるレバー30とを備えている。
【0034】
第1コネクタハウジング10の両側面には、一対のカムピン11が突設されている。第1コネクタハウジング10は、上面が開放されたコネクタ嵌合室10aを有する。コネクタ嵌合室10a内には、2つの内部端子フード部12が設けられている。この各内部端子フード部12内には、雌端子としての一対の第1メイン端子13がそれぞれ設けられている。
【0035】
第1コネクタハウジング10には、コネクタ嵌合室10aの外側に外部端子フード部15が設けられている。この外部端子フード部15は、上方が開口している。外部端子フード部15内には、雌端子としての一対の第1信号端子16が設けられている。
【0036】
外部端子フード部15の側壁には、一対の第1被係止部17が突設されている。第1被係止部17は、外部端子フード部15の側壁のスリット15aによって撓み変形容易になっている。
【0037】
第2コネクタハウジング20は、内部にヒューズ(不図示)が収容されたハウジング本体21を備えている。このハウジング本体21は、第1コネクタハウジング10のコネクタ嵌合室10aや外部端子フード部15内に嵌合及び離脱できる寸法及び形態に形成されている。ハウジング本体21には、一対の第1メイン端子13に嵌合及び離脱するとともに、雄端子としての板状体からなる一対の第2メイン端子23が設けられており、ハウジング本体21の両側面には、一対の回転支持軸24が突設されている。
【0038】
各第2メイン端子23は、ハウジング本体21より下方に突出している。各第2メイン端子23は、ヒューズ(不図示)を介して接続されている。なお、上述した第1コネクタハウジング10側の一対の第1メイン端子13と第2コネクタハウジング20側の一対の第2メイン端子23とによって、メイン回路スイッチSW1が構成されている。
【0039】
レバー30は、一対のアームプレート部31と、一対のアームプレート部31間を回転先端側でそれぞれ連結する連結部32と、レバー30の回転を操作可能な操作部33とを備えている。
【0040】
一対のアームプレート部31には、一対の回転受け部34が設けられている。この一対の回転受け部34には、第2コネクタハウジング20の一対の回転支持軸24が軸支されている。これにより、レバー30は、第2コネクタハウジング20に回転自在に支持されている。一対のアームプレート部31には、一対のカム溝35が形成されており、一対のアームプレート部31の回転先端側で且つ下方位置には、一対の第1ロック部37が配置されている。
【0041】
この一対のカム溝35には、第1コネクタハウジング10のカムピン11が挿入される。カム溝35は、図4に示すように、カムピン11の進入が可能な進入ストレート部35aと、進入ストレート部35aに連通し且つ回転受け部34の中心からの距離が徐々に変化する曲線部35bと、曲線部35bに連通し且つ回転受け部34の中心からの距離が一定である円弧部35cとを有する。
【0042】
レバー30は、カム溝35内をカムピン11が移動しつつレバーのコネクタ嵌合開始位置から、コネクタ嵌合操作位置を経てコネクタ嵌合完了位置までの間を回転する。なお、コネクタ嵌合開始位置では、進入ストレート部35aにカムピン11が位置する(図2参照)。コネクタ嵌合操作位置では、曲線部35bと円弧部35cの境界位置にカムピン11が位置する(図3参照)。コネクタ嵌合完了位置では、円弧部35cの最奥位置にカムピン11が位置する(図4参照)。
【0043】
つまり、レバー30のコネクタ嵌合開始位置とコネクタ嵌合操作位置との回転過程では、カムピン11が曲線部35bを移動可能であり、第1コネクタハウジング10と第2コネクタハウジング20との間に嵌合力又は離脱力が作用する。これにより、第1コネクタハウジング10と第2コネクタハウジング20と嵌合方向又は離脱方向に移動する。
【0044】
なお、レバー30がコネクタ嵌合完了位置にあると、カムピン11が円弧部35cに位置して、第1コネクタハウジング10と第2コネクタハウジング20との間に嵌合力又は離脱力が作用せず、第1コネクタハウジング10と第2コネクタハウジング20とが嵌合方向又は離脱方向に移動することはない。
【0045】
操作部33の下部には、フード部39が設けられている。フード部39は、下方に開口している。フード部39内には、一対の第1信号端子16に嵌合及び離脱するとともに、雄端子としての板状体からなる一対の第2信号端子40が設けられている。このような操作部33は、一対の第2信号端子40の位置よりも回転先端側に設けられている。なお、上述した第1コネクタハウジング10側の一対の第1信号端子16とレバー30側の一対の第2信号端子40とによって、信号回路スイッチSW2(図4参照)が構成されている。
【0046】
(2)信号端子の構成
次に、上述した第1信号端子16及び第2信号端子40の構成について、図面を参照しながら説明する。なお、図5は、本実施形態に係る第1信号端子16を示す斜視図である。図6は、本実施形態に係る第1コネクタハウジング10(第1信号端子16近傍)を示す平面図である。図7は、本実施形態に係る第2信号端子40を示す斜視図・正面図である。図8は、本実施形態に係るレバー30の一部(第2信号端子40近傍)を示す平面図である。
【0047】
図5に示すように、一対の第1信号端子16は、一対の板ばね接触子16aと、これに一体に連結された電線加締部16bとをそれぞれ備えている。一対の板ばね接触子16aは、先端側が共に内側にアール状に折り返され、この双方の折り返し箇所の間に入口側が広く奥側が幅狭である開口16cが形成されている。
【0048】
このような一対の第1信号端子16(開口16c)は、図6に示すように、レバー30の回転支持軸方向の直交方向に沿う直線L上に沿った状態で、それぞれ間隔を置いて配置されている。
【0049】
一方、図7に示すように、一対の第2信号端子40は、タブ状接触子40aと、これに一体に連結された支持部40bとを備えている。この支持部40b同士は、連結部40cによって互いに連結されている。タブ状接触子40aの先端で且つ第1信号端子16に先に接触する角部がテーパ面40dとされている。
【0050】
このような一対の第2信号端子40は、一対の第1信号端子16に嵌合及び離脱可能なように、図8に示すように、レバー30の回転支持軸方向の直交方向に沿う直線L上に沿った状態で、それぞれ間隔を置いて配置されている。
【0051】
(3)メイン端子の構成
次に、上述した第1メイン端子13及び第2メイン端子23の構成について、図面を参照しながら説明する。
【0052】
図6に示すように、一対の第1メイン端子13(第2メイン端子23が挿入される開口)は、レバー30の回転支持軸方向の直交方向に沿う直線L上に沿った状態で、それぞれ間隔を置いて配置されている。
【0053】
一方、図1〜4等に示すように、一対の第2メイン端子23についても、一対の第1メイン端子13に嵌合及び離脱可能なように、レバー30の回転支持軸方向の直交方向に沿う直線L(図8参照)上に沿った状態で、それぞれ間隔を置いて配置されている。
【0054】
(4)電源回路の構成
次に、上述した電源回路遮断装置1に関わる電源回路の構成を簡単に説明する。電源部(不図示)と負荷部(不図示)の間には、メイン回路スイッチSW1と、信号回路スイッチSW2によってオン・オフされるリレー(不図示)が直列接続されている。従って、メイン回路スイッチSW1と信号回路スイッチSW2が共にオン状態となって、電源回路はオン状態となる。それ以外のスイッチ状態では電源回路はオフ状態である。
【0055】
(4.1)電源回路の導通動作
次に、上述した電源回路遮断装置1による電源回路の導通動作について、図1〜図4及び図9,図10を参照しながら説明する。なお、図9は、本実施形態に係る第1信号端子16と第2信号端子40との嵌合寸前を示す側面図である。図10は、図9の拡大側面図である。
【0056】
まず、図1に示すように、レバー30のコネクタ嵌合開始位置として、第2コネクタハウジング20を第1コネクタハウジング10のコネクタ嵌合室10aに位置合わせする。そして、図2に示すように、第2コネクタハウジング20を第1コネクタハウジング10のコネクタ嵌合室10aに挿入するとともに、レバー30のカム溝35の進入ストレート部35aにカムピン11を挿入する。双方の第1コネクタハウジング10と第2コネクタハウジング20との間は、コネクタ仮嵌合状態となる。このとき、一対の第1メイン端子13及び一対の第2メイン端子23の間と、一対の第1信号端子16及び一対の第2信号端子40の間とが共にオフ状態である。
【0057】
次に、図3に示すように、レバー30がコネクタ嵌合開始位置からコネクタ嵌合完了位置側に回転する。すると、カムピン11がカム溝35内を移動し、第1コネクタハウジング10と第2コネクタハウジング20との間に嵌合力が作用して第2コネクタハウジング20が第1コネクタハウジング10のコネクタ嵌合室10aに徐々に挿入される。
【0058】
そして、レバー30がコネクタ嵌合操作位置まで回転すると、第1コネクタハウジング10と第2コネクタハウジング20との間が完全嵌合状態となる。コネクタ嵌合操作位置からコネクタ嵌合完了位置までの過程では、一対の第1メイン端子13及び一対の第2メイン端子23の間がオン状態となり、メイン回路スイッチSW1はオン状態となる。このとき、一対の第1信号端子16及び一対の第2信号端子40の間とが共にオフ状態である。
【0059】
図9及び図10に示すように、レバー30がコネクタ嵌合完了位置側にさらに回転すると、一方の第1信号端子16と一方の第2信号端子40と(図面左側)が接触し、その後、他方の第1信号端子16と他方の第2信号端子40と(図面右側が接触する。
【0060】
そして、図4に示すように、レバー30がコネクタ嵌合完了位置まで回転すると、第1ロック部37が第1被係止部17にロックされる。レバー30のコネクタ嵌合開始位置からコネクタ嵌合完了位置への回転では、一対の第1メイン端子13及び一対の第2メイン端子23の間がオン状態となった後に、一対の第1信号端子16と一対の第2信号端子40との接触がオン状態となり、信号回路スイッチSW2は、オン状態となる。なお、電源回路は、レバー30のコネクタ嵌合操作位置では非導通であり、レバー30がコネクタ嵌合完了位置になって初めて導通状態となる。
【0061】
(4.2)電源回路の電源遮断動作
次に、上述した電源回路遮断装置1による電源回路の電源遮断動作について、図1〜図4及び図9,図10を参照しながら説明する。
【0062】
まず、図4に示すように、レバー30がコネクタ嵌合完了位置にあって、レバー30を第1被係止部17と第1ロック部37との間のロック力より強い回転力でコネクタ嵌合開始位置側に回転する。すると、第1被係止部17と第1ロック部37と間のロックが外れてレバー30の回転が許容される。これにより、図3に示すように、レバー30がコネクタ完全嵌合操作位置で回転可能となる。
【0063】
このレバー30のコネクタ嵌合完了位置からコネクタ嵌合操作位置までの回転過程では、図9及び図10に示すように、他方の第1信号端子16と他方の第2信号端子40と(図面右側)の接触が解除され、その後、一方の第1信号端子16と一方の第2信号端子40と(図面左側)の接触が解除される。従って、レバー30のコネクタ嵌合操作位置では、信号回路スイッチSW2は、オフ状態となる。これにより、電源回路は、レバー30のコネクタ嵌合操作位置で非導通となる。
【0064】
次に、レバー30がコネクタ嵌合開始位置まで回転すると、カムピン11とカム溝35とによって、第1コネクタハウジング10と第2コネクタハウジング20との間に離脱力が作用して第2コネクタハウジング20が第1コネクタハウジング10のコネクタ嵌合室10aから徐々に引き出される。
【0065】
図2に示すように、レバー30のコネクタ嵌合開始位置では、第1コネクタハウジング10と第2コネクタハウジング20との間は、仮嵌合状態となる。双方の第1メイン端子13と第2メイン端子23との接触は、コネクタ嵌合操作位置からコネクタ嵌合開始位置までの過程で徐々に解除され、コネクタ嵌合開始位置では完全に非接触状態となる。つまり、レバー30のコネクタ嵌合完了位置からコネクタ嵌合開始位置への回転では、一対の第1信号端子16と一対の第2信号端子40との接触がオフ状態となった後に、一対の第1メイン端子13及び一対の第2メイン端子23の間がオフ状態となり、メイン回路スイッチSW1は、オフ状態となる。
【0066】
(5)作用・効果
以上説明した本実施形態では、一対の第1信号端子16及び一対の第2信号端子40は、レバー30の回転支持軸方向の直交方向に沿う直線L上にそれぞれ間隔を置いて配置される。これにより、レバー30がコネクタ嵌合開始位置からコネクタ嵌合完了位置へ回転すると、一方の第1信号端子16と一方の第2信号端子40とが接触し、その後に、他方の第1信号端子16と他方の第2信号端子40とが接触する。このため、レバー30を回転させる力が分散して、レバー30の操作性を向上させることができる。
【0067】
また、レバー30がコネクタ嵌合完了位置からコネクタ嵌合開始位置へ回転すると、他方の第1信号端子16と他方の第2信号端子40との接触が解除され、その後に、一方の第1信号端子16と一方の第2信号端子40との接触が解除される。このため、一対の第1信号端子16と一対の第2信号端子40とによって構成される信号回路スイッチSWが、より早いタイミングでオフ状態となる。従って、一対の第1メイン端子13と一対の第2メイン端子23のとの間で発生するアーク放電を抑制できる。
【0068】
本実施形態では、一対の第1信号端子16及び一対の第2信号端子40は、レバー30の回転支持軸方向の直交方向に沿う直線L上に沿った状態で配置される。これにより、従来のように一対の第2信号端子40に折曲加工を施す必要がなくなるとともに、一対の第2信号端子40間(連結部40c)を短くできるため、一対の第2信号端子40の製造コストを低減させることができる。
【0069】
本実施形態では、一対の第1メイン端子13及び一対の第2メイン端子23は、レバー30の回転支持軸方向の直交方向に沿う直線L上に沿った状態で、それぞれ間隔を置いて配置される。これにより、レバー30の回転支持軸方向に対する第1コネクタハウジング10の幅及び第2コネクタハウジング20の幅を狭くでき、電源回路遮断装置1の自由度を増大させることができる。
【0070】
本実施形態では、操作部33は、一対の第2信号端子40の位置よりも回転先端側に設けられる。これにより、レバー30の回転支持軸方向に対するレバー30の幅をより狭くでき、電源回路遮断装置1の自由度を増大させることができる。
【0071】
(6)変更例
次に、上述した実施形態に係る電源回路遮断装置1の変更例について、図面を参照しながら説明する。図11は、変更例に係るレバー30の一部(第2信号端子40近傍)を示す平面図である。なお、上述した実施形態に係る電源回路遮断装置1と同一部分には同一の符号を付して、相違する部分を主として説明する。
【0072】
上述した実施形態では、操作部33は、一対の第2信号端子40の位置よりも回転先端側に設けられている。これに対して、変更例では、図11に示すように、操作部33は、一対の第2信号端子40の位置における側方側(すなわち、レバー30の回転支持軸方向側)に設けられる。
【0073】
このような変更例では、操作部33は、一対の第2信号端子40の位置における側方側に設けられる。これにより、レバー30の回転支持軸方向の直交方向に対するレバー30の長さを短くでき、電源回路遮断装置1の自由度を増大させることができる。
【0074】
(7)その他の実施形態
上述したように、本発明の実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなる。
【0075】
例えば、本発明の実施形態は、次のように変更することができる。具体的には、一対の第1メイン端子13は、必ずしも直線L上に沿って配置される必要はなく、互いに対向するように配置されていてもよい。同様に、一対の第2メイン端子23についても、必ずしも直線L上に沿って配置される必要はなく、互いに対向するように配置されていてもよい。
【0076】
また、一対の第1信号端子16(開口16c)は、必ずしも直線L上に沿った状態で配置される必要はなく、該直線L上にそれぞれ間隔を置いて配置されていればよい。同様に、一対の第2信号端子40は、必ずしも直線L上に沿った状態で配置される必要はなく、該直線L上にそれぞれ間隔を置いて配置されていればよく、例えば、互いに対向配置されていてもよい。
【0077】
このように、本発明は、ここでは記載していない様々な実施の形態などを含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は、上述の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められる。
【符号の説明】
【0078】
1…電源回路遮断装置
10…第1コネクタハウジング
13…第1メイン端子
16…第1信号端子
20…第2コネクタハウジング
23…第2メイン端子
24…回転支持軸
30…レバー
40…第2信号端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の第1メイン端子及び一対の第1信号端子が設けられる第1コネクタハウジングと、
前記一対の第1メイン端子に嵌合及び離脱する一対の第2メイン端子が設けられ、且つ、前記第1コネクタハウジングに嵌合及び離脱する第2コネクタハウジングと、
前記一対の第1信号端子に嵌合及び離脱する一対の第2信号端子が設けられるとともに、前記第2コネクタハウジングに回転可能に設けられ、且つ、回転によって前記第1コネクタハウジングと前記第2コネクタハウジングとの間に嵌合力及び離脱力を作用させるレバーと
を備え、
前記レバーのコネクタ嵌合開始位置からコネクタ嵌合完了位置への回転では、前記一対の第1メイン端子及び前記一対の第2メイン端子の間がオン状態となった後に、前記一対の第1信号端子及び前記一対の第2信号端子の間がオン状態となり、
前記レバーのコネクタ嵌合完了位置からコネクタ嵌合開始位置への回転では、前記一対の第1信号端子及び前記一対の第2信号端子の間がオフ状態となった後に、前記一対の第1メイン端子及び前記一対の第2メイン端子の間がオフ状態となる電源回路遮断装置であって、
前記一対の第1信号端子及び前記一対の第2信号端子は、前記レバーの回転支持軸方向の直交方向に沿う直線上にそれぞれ間隔を置いて配置されることを特徴とする電源回路遮断装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電源回路遮断装置であって、
前記一対の第1信号端子及び前記一対の第2信号端子は、前記レバーの回転支持軸方向の直交方向に沿う直線上に沿った状態で配置されることを特徴とする電源回路遮断装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の電源回路遮断装置であって、
前記一対の第1メイン端子及び前記一対の第2メイン端子は、前記レバーの回転支持軸方向の直交方向に沿う直線上に沿った状態で、それぞれ間隔を置いて配置されることを特徴とする電源回路遮断装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3の何れかに記載の電源回路遮断装置であって、
前記レバーは、前記レバーの回転を操作可能な操作部を備え、
前記操作部は、前記一対の第2信号端子の位置よりも回転先端側に設けられることを特徴とする電源回路遮断装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項3の何れかに記載の電源回路遮断装置であって、
前記レバーは、前記レバーの回転を操作可能な操作部を備え、
前記操作部は、前記一対の第2信号端子の位置における側方側に設けられることを特徴とする電源回路遮断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−109944(P2013−109944A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−253839(P2011−253839)
【出願日】平成23年11月21日(2011.11.21)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】