説明

電源装置及び照明器具

【課題】光源としての放電ランプ又はLED素子に対して最適で安定した交流出力又は直流出力を供給することができる電源装置及び照明器具を提供する。
【解決手段】制御部20の光源判定部202により光源が放電ランプ30かLED照明灯32かを放電ランプ30のフィラメント302の抵抗値とLED照明灯32に設けられた抵抗素子34(35)の抵抗値から判定し、この判定結果により光源が放電ランプ30と判定されると、出力発生回路21によりインバータ回路を構成して高周波の交流出力を放電ランプ30に供給し、光源がLED照明灯32と判断されると、出力発生回路21により降圧チョッパを構成し、直流出力をLED照明灯32に供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源として放電ランプ及び発光ダイオード(LED素子)などの半導体発光素子を点灯可能にする電源装置及び照明器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電源装置には、蛍光ランプなどの放電ランプを光源として点灯するものが知られている。かかる電源装置は、インバータ回路を用いたインバータ式のものがあり、インバータ回路を構成するスイッチング素子のスイッチング周期(動作周波数)を制御することにより放電ランプを点灯するようにしている。
【0003】
一方、最近になって、光源としてLED素子を用いたLED照明灯が実用化されており、このようなLED照明灯を放電ランプに置き換えてインバータ方式の電源装置により点灯可能にする照明装置も考えられている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−103304号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1によると、電源装置には、放電ランプを点灯するインバータ方式のものがそのまま用いられ、電源装置より出力される高周波の交流電力をLED照明灯内部に組み込まれたダイオードブリッジ回路により直流電力に変換してLED素子を点灯させるようにしているため、安定した直流出力が確保できず、LED素子にちらつきなどが発生することがある。また、LED照明灯内部に、ダイオードブリッジ回路などの複雑な回路構成を幾つも組み込んでいることで、LED照明灯は、価格的に高価なものとなり、このような高価なLED照明灯を多数設置することになると経済的に不利になるという問題もあった。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、光源として接続される放電ランプ及び半導体発光素子に対して最適で安定した交流出力又は直流出力を供給することができる電源装置及び照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、
請求項1記載の発明は、交流出力及び直流出力を発生する出力発生手段と;前記出力生成手段より発生される出力により点灯される光源と;前記光源が放電ランプか半導体発光素子かを判定する光源判定手段と;前記光源判定手段の判定結果に基づいて前記出力生成手段より交流出力又は直流出力を発生させるように制御する制御手段と;を具備したことを特徴としている。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記出力発生手段は、電界効果トランジスタ又はスイッチング素子に並列にダイオードを接続したスイッチ部からなる第1及び第2のスイッチング手段をハーフブリッジに構成したインバータ回路を有し、前記制御手段は、前記出力発生手段の第1及び第2のスイッチング手段のスイッチ要素を交互にオンオフさせて交流出力を発生させ、前記第1のスイッチング手段のスイッチ要素をオンオフさせるとともに、前記第2のスイッチング手段のスイッチ要素をオフ又は前記第2のスイッチング手段を用いて同期することにより直流出力を発生させることを特徴としている。
【0009】
ここで、第1及び第2のスイッチング手段のスイッチ要素には、第1及び第2のスイッチング手段を構成する電界効果トランジスタ及びダイオードが並列接続されるスイッチング素子が含まれる。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記出力発生手段は、電界効果トランジスタ又はスイッチング素子に並列にダイオードを接続したスイッチ部からなる第1乃至第4のスイッチング手段をフルブリッジに構成したインバータ回路を有し、前記制御手段は、前記フルブリッジ構成の隣り合わない第1及び第4のスイッチング手段の組のスイッチ要素と、第2及び第3のスイッチング手段の組のスイッチ要素を交互にオンオフさせて交流出力を発生させ、前記フルブリッジ構成の隣り合う第3及び第4のスイッチング手段のうち第3のスイッチング手段のスイッチ要素をオフ、第4のスイッチング手段のスイッチ要素をオンにし、第1のスイッチング手段のスイッチ要素をオンオフさせるとともに、前記第2のスイッチング手段のスイッチ要素をオフ又は前記第2のスイッチング手段を用いて同期することにより直流出力を発生させることを特徴としている。
【0011】
請求項4記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の発明において、前記光源判定手段は、前記放電ランプのフィラメント抵抗及び前記半導体発光素子に接続された前記フィラメント抵抗に相当する抵抗素子の抵抗値から光源を判定することを特徴としている。
【0012】
請求項5記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の発明において、前記光源判定手段は、前記放電ランプ及び前記半導体発光素子の始動時の電圧又は電流の立ち上がりの状態から光源を判定することを特徴としている。
【0013】
請求項6記載の発明は、請求項2又は5記載の発明において、前記出力発生手段は、前記インバータ回路の出力側に接続される直流カット用のインピーダンス素子と、前記出力発生手段の直流出力の発生により前記インピーダンス素子を短絡するスイッチング素子を有することを特徴としている。
【0014】
請求項7記載の発明は、請求項1乃至6記載の電源装置と;前記電源装置を有する器具本体と:を具備したことを特徴とする照明器具である。
【発明の効果】
【0015】
請求項1記載の発明によれば、光源が放電ランプと判定されると、放電ランプに対して最適な高周波の交流出力を供給でき、一方、半導体発光素子と判定されると、半導体発光素子に対しても最適で安定した直流出力を供給できる。
【0016】
請求項2記載の発明によれば、出力発生手段としてハーフブリッジに構成したインバータ回路を用いて、放電ランプに対し最適な交流出力と、半導体発光素子に対して最適で安定した直流出力を発生することができる。
【0017】
請求項3記載の発明によれば、出力発生手段としてフルブリッジに構成したインバータ回路を用いて、放電ランプに対し最適な交流出力と、半導体発光素子に対して最適で安定した直流出力を発生することができる。
【0018】
請求項4、5記載の発明によれば、光源が放電ランプか半導体発光素子かを確実に判定でき、放電ランプに対し最適な交流出力を、半導体発光素子に対して最適で安定した直流出力をそれぞれ供給することができる。
【0019】
請求項6記載の発明によれば、出力発生手段の直流出力の発生により直流カット用のコンデンサを短絡することで半導体発光素子に対する直流出力を安定して供給できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1の実施の形態にかかる電源装置が適用される照明器具を示す斜視図。
【図2】第1の実施の形態にかかる電源装置の概略構成を示す図。
【図3】第1の実施の形態に用いられる調光制御部の概略構成を示す図。
【図4】第1の実施の形態の動作を説明するためのフローチャート。
【図5】本発明の第2の実施の形態にかかる電源装置の概略構成を示す図。
【図6】第2の実施の形態の放電ランプとLED照明灯の始動時の電圧及び電流の波形を示す図。
【図7】本発明の第3の実施の形態にかかる電源装置の概略構成を示す図。
【図8】第3の実施の形態の変形例のHIDランプとLED照明灯の始動時の電圧及び電流の波形を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図面に従い説明する。
【0022】
(第1の実施の形態)
まず、本発明の電源装置が適用される照明器具について簡単に説明する。
【0023】
図1において、1は器具本体で、この器具本体1は、円板状をした基台1aを有している。そして、この基台1a上に光源として直径の異なるリング状の放電ランプ2,3が同心状に配置され、これら放電ランプ2,3を覆うように乳白色のセード4が装着されている。ここでは、光源として放電ランプ2,3について述べているが、これら放電ランプ2,3に代えて、不図示の半導体発光素子であるLED素子を光源としたLED照明灯を基台1a上に配置することも可能にしている。器具本体1内部には、本発明の電源装置100が配置されている。なお、図示しないが、さらに反射板、端子および配線なども設けられることは勿論である。
【0024】
図2は、このように構成された照明器具の器具本体1内部に組み込まれる本発明の電源装置100の概略構成を示している。
【0025】
図2(a)において、10は交流電源で、この交流電源10は、不図示の商用電源からなっている。この交流電源10には、全波整流回路11の入力端子が接続されている。全波整流回路11は、交流電源10からの交流電力を全波整流した出力を発生する。全波整流回路11の正負極の出力端子間には、リップル電流平滑用のコンデンサ12が接続されている。
【0026】
コンデンサ12の両端には、電源手段として昇圧チョッパ回路13が接続されている。この昇圧チョッパ回路13は、全波整流回路12の正負極の出力端子間に昇圧用トランスを構成するインダクタ14及びスイッチング素子としての電界効果トランジスタ15の直列回路が接続され、電界効果トランジスタ15に並列に図示極性のフライホイールダイオード16を介して平滑用コンデンサである電解コンデンサ17が接続されている。また、電解コンデンサ17の両端には、電圧検出手段として抵抗18,19の直列回路が接続されている。抵抗18,19は、電解コンデンサ17の出力より分圧電圧を発生し、このうち抵抗19の端子電圧を制御部20に出力する。電界効果トランジスタ15は、制御部20での、抵抗19の端子電圧と予め用意される参照電圧との比較結果に基づいてオンオフ動作される。インダクタ14は、電界効果トランジスタ15のオンオフ動作に伴う電磁的エネルギーの蓄積及び放出によりフライホイールダイオード16を介して電解コンデンサ17に昇圧された出力を発生させる。制御部20については、後述する。
【0027】
昇圧チョッパ回路13には、出力発生手段としての出力発生回路21が接続されている。この出力発生回路21は、前記電解コンデンサ17に並列に、第1及び第2の電界効果トランジスタとして電界効果トランジスタ221、222の直列回路が接続されている。また、電界効果トランジスタ221、222は、それぞれのゲートが制御部20に接続され、制御部20により制御される。この場合、出力発生回路21は、制御部20からの指示により2通りの動作を行うもので、第1の動作は、直列接続された電界効果トランジスタ221、222により、交流出力手段としての所謂、ハーフブリッジ型のインバータ回路を構成し、これら電界効果トランジスタ221、222の交互のオンオフにより高周波の交流出力を発生する。また、第2の動作は、電界効果トランジスタ221、222のうち、一方の電界効果トランジスタ222をオフ(この場合、電界効果トランジスタ222は、ボディダイオードにより還流ダイオードとして動作される。)にし、他方の電界効果トランジスタ221により降圧チョッパを構成し、この電界効果トランジスタ221のオンオフによりチョッパ出力を発生する。この場合、電界効果トランジスタ222を用いて同期することにより直流出力を発生させる同期整流方式の降圧チョッパを構成するようにしてもよい。
【0028】
また、出力発生回路21は、電界効果トランジスタ222に並列にバラストチョークとしてのインダクタ23、コンデンサ24及び直流カット用のインピーダンス素子としてのコンデンサ25の直列回路が接続されている。コンデンサ25には、並列にスイッチ素子26が接続されている。このスイッチ素子26は、制御部20の指示によりオンオフされ、直流カット用のコンデンサ25の開放又は短絡を行う。
【0029】
ここで、出力発生回路21がハーフブリッジ型のインバータとして動作する場合は、電界効果トランジスタ221、222の交互のオンオフにより発生する高周波の交流出力に対してインダクタ23及びコンデンサ24は共振回路として動作される。また、出力発生回路21が降圧チョッパとして動作する場合は、電界効果トランジスタ221のオンオフにともなうインダクタ23での電磁的エネルギーの蓄積及び放出によりコンデンサ24両端に降圧された直流出力を発生する。
【0030】
インダクタ23とコンデンサ24の接続点には、インダクタ23の第1の補助巻線231、コンデンサ27を介して接続手段としてのメスコネクタ28の接続端子28aが接続され、また、インダクタ23とコンデンサ24の接続点には、メスコネクタ28の接続端子28bが接続されている。コンデンサ24、25の接続点には、インダクタ23の第2の補助巻線232、コンデンサ29を介してメスコネクタ28の接続端子28cが接続され、また、コンデンサ24、25の接続点には、メスコネクタ28の接続端子28dが接続されている。第1の補助巻線231及び第2の補助巻線232は、後述する蛍光ランプなどの放電ランプ30のフィラメント301、302の予熱を行う。
【0031】
メスコネクタ28には、他の接続手段として放電ランプ30のオスコネクタ31又はLED素子を有するLED照明灯32(図2(b)参照)のオスコネクタ33が接続される。図示例では、放電ランプ30(図1に示す放電ランプ2,3に相当)が接続されている。この場合、放電ランプ30は、一対のフィラメント301、302を有し、このうち一方のフィラメント301には、メスコネクタ28の接続端子28a、28bに対応するオスコネクタ31の接続端子31a、31bが接続され、他方のフィラメント302には、メスコネクタ28の接続端子28c、28dに対応するオスコネクタ31の接続端子31c、31dが接続されている。そして、放電ランプ30は、オスコネクタ31をメスコネクタ28に接続した状態で、それぞれの接続端子31a〜31dがメスコネクタ28の接続端子28a〜28dに各別に接続される。
【0032】
一方、LED照明灯32は、図2(b)に示すようにメスコネクタ28の接続端子28a、28bに対応するオスコネクタ33の接続端子33a、33b、メスコネクタ28の接続端子28c、28dに対応するオスコネクタ33の接続端子31c、31dをそれぞれ有している。そして、接続端子33a、33bの間には、放電ランプ30のフィラメント抵抗に相当する抵抗素子34が接続され、接続端子31c、31dの間にも放電ランプ30のフィラメント抵抗に相当する抵抗素子35が接続されている。また、接続端子33bと33dの間には、ダイオードブリッジからなる全波整流回路36の入力端子が接続されている。そして、全波整流回路36の正負極の出力端子間には、半導体発光素子として1個又は複数個直列接続されたLED素子37が接続されている。ここで、抵抗素子34(35)は、上述の放電ランプ30のフィラメント301(302)の抵抗値(フィラメント抵抗)に対応するもので、LED素子37の個数に応じた抵抗値が設定されている。例えば、LED素子37が1個の場合は、4.7kΩ、2個の場合は、10kΩ、3個の場合は、47kΩ、4個の場合は、100kΩとしている。
【0033】
そして、このようなLED照明灯32もオスコネクタ33をメスコネクタ28に接続した状態で、それぞれの接続端子31a〜31dがメスコネクタ28の接続端子28a〜28dに各別に接続される。
【0034】
なお、LED照明灯32を照明器具に取り付ける際に、メスコネクタ28に接続されるオスコネクタ33の接続方向が予め一方向に規制される構成ならば、全波整流回路36を省略することができる。
【0035】
メスコネクタ28の接続端子28dと直流カット用のコンデンサ25の間には、直列に負荷電流検出手段として電流検出回路38が接続されている。この電流検出回路38は、抵抗素子381と図示極性のダイオード383の直列回路と図示極性のダイオード382の並列回路より構成され、放電ランプ30(又はLED照明灯32)に流れる一方向の電流を負荷電流として検出する。
【0036】
メスコネクタ28の接続端子28cには、基準電圧Vcc(例えば+15V)が一方端に印加された抵抗素子39の他方端が接続されている。これら抵抗素子39と接続端子28cの接続点Pには、光源が放電ランプ30かLED照明灯32かを判定するのに用いられる放電ランプ30のフィラメント302又はLED照明灯32の抵抗素子34(抵抗素子35)のそれぞれの抵抗値(フィラメント抵抗)に応じた出力電圧VRが発生する。この出力電圧VRは、制御部20に入力される。
【0037】
制御部20は、電源装置全体を制御するもので、昇圧チョッパ回路制御部201、光源判定部202、出力発生回路制御部203、調光制御部204を有している。これら昇圧チョッパ回路制御部201、光源判定部202、出力発生回路制御部203、調光制御部204は、ソフトウェアから構成されている。勿論、ハードウェアにより構成することもできる。昇圧チョッパ回路制御部201は、予め不図示の参照電圧が記憶されていて、この参照電圧と抵抗19の端子電圧との比較結果に基づいて電界効果トランジスタ15のオンオフ動作を制御し、電界効果トランジスタ15のオンオフ動作に伴うインダクタ14での電磁的エネルギーの蓄積及び放出により電解コンデンサ17両端に昇圧された出力電圧を発生させる。
【0038】
光源判定部202は、抵抗素子39と接続端子28cの接続点Pに発生する出力電圧VRにより光源が放電ランプ30かLED照明灯32かを判定する。具体的には、放電ランプ30の場合、フィラメント302の抵抗値は10Ω程度で、接続点Pの出力電圧VRは1V以下である。これに対してLED照明灯32の場合は、例えば、LED素子37が1個で抵抗素子34(35)が抵抗値4.7kΩの場合、出力電圧VRは1.4V、LED素子37が2個で抵抗素子34(35)が抵抗値10kΩの場合、出力電圧VRは2.6V、LED素子37が3個で抵抗素子34(35)が抵抗値47kΩの場合、出力電圧VRは7.5V、LED素子37が4個で抵抗素子34(35)が抵抗値100kΩの場合、出力電圧VRは10.2Vとなる。これにより、光源判定部202では、予め大きさの異なる閾値値V1、V2(ただしV1<V2)を設定し、VR≦V1ならば、放電ランプ30と判定し、V1<VR≦V2ならば、LED照明灯32と判定し、さらにV2<VRならば、光源が接続されていない無負荷状態と判定する。
【0039】
出力発生回路制御部203は、電源投入直後、まず、出力発生回路21をハーフブリッジ型のインバータとして動作させる。また、光源判定部202の判定結果により、光源が放電ランプ30と判断されると、出力発生回路21のインバータ動作を継続させ、光源がLED照明灯32と判断されると出力発生回路21を降圧チョッパに切換えて動作させる。出力発生回路制御部203は、出力発生回路21をインバータ動作させる場合、電界効果トランジスタ221、222をハーフブリッジ型のインバータ回路に構成し、数十kHz〜200kHzの動作周波数で電界効果トランジスタ221、222を交互にオンオフさせて高周波の交流出力を発生させる。また、降圧チョッパとして動作させる場合は、電界効果トランジスタ221、222のうち、一方の電界効果トランジスタ222をオフにし、他方の電界効果トランジスタ221を調光制御部204から出力される制御信号に基づいてオンオフさせてチョッパ出力を発生させる。また、出力発生回路制御部203は、光源判定部202で光源がLED照明灯32と判断すると、スイッチ素子26をオン動作して直流カット用のコンデンサ25を短絡する。
【0040】
調光制御部204は、図3に示すように基準信号生成部2041及び比較器2042を有している。基準信号生成部2041は、外部の調光信号発生部40が接続され、この調光信号発生部40の調光信号により放電ランプ30(又はLED照明灯32)の全光点灯及び調光点灯のための基準信号を生成する。比較器2042は、一方端子に基準信号生成部2041で生成される基準信号が入力され、他方端子に電流検出回路38より検出される負荷電流が入力され、これらの比較結果を出力発生回路制御部203に対する制御信号として出力する。これにより、基準信号生成部2041で生成される基準信号に対して放電ランプ30(又はLED照明灯32)に流れる電流は、基準信号に近づくように制御され、定電流制御が行われる。
【0041】
次に、このように構成した実施の形態を図4に示すフローチャートに従い説明する。
【0042】
まず、ステップ401の不図示の電源スイッチによる電源オンにより、ステップ402に進み、昇圧チョッパ回路13による昇圧チョッパ動作が実行される。この場合、交流電源10の交流電力が全波整流回路11で全波整流され、昇圧チョッパ回路13に供給されると、制御部20の昇圧チョッパ回路制御部201では、予め用意された参照電圧と電圧検出手段の抵抗19の端子電圧との比較結果に基づいて電界効果トランジスタ15をオンオフ動作させる。これにより、電界効果トランジスタ15のオンオフ動作に伴うインダクタ14の電磁的エネルギーの蓄積及び放出によりフライホイールダイオード16を介して電解コンデンサ17に昇圧された出力電圧が発生する。
【0043】
次に、ステップ403に進み、最初、インバータ動作が実行される。このステップ403では、昇圧チョッパ回路13の出力電圧が出力発生回路21に入力される。出力発生回路21では、制御部20の出力発生回路制御部203により電界効果トランジスタ221、222がハーフブリッジ型のインバータ回路に構成され、同時に、出力発生回路制御部203より入力される駆動信号により電界効果トランジスタ221,222をオンオフし、電界効果トランジスタ222のドレインーソース間に高周波交流を発生する。
【0044】
この状態で、ステップ404において、光源を判定するためフィラメント抵抗に対応する出力電圧VRを検出する。そして、ステップ405に進んで、出力電圧VRより光源が放電ランプ30かLED照明灯32かを判定する。この場合、抵抗素子39と接続端子28cの接続点Pには、放電ランプ30のフィラメント302の抵抗値又はLED照明灯32の抵抗素子34(抵抗素子35)の抵抗値(フィラメント抵抗)に応じた出力電圧VRが発生し、この出力電圧VRが制御部20の光源判定部202に入力される。
【0045】
光源判定部202では、予め設定された閾値V1、V2を用いて光源が放電ランプ30かLED照明灯32かを判定する。いま、光源として放電ランプ30が接続されているものとすると、ステップ405でVp≦V1となって、放電ランプ30と判定される。
【0046】
この場合、ステップ407でスイッチ素子26をオン動作して直流カット用のコンデンサ25を開放する。この動作は、ステップ403のインバータ動作の際に行われており、ステップ407では、同様な動作を繰り返すことになる。
【0047】
次に、ステップ408に進み、ステップ403で述べたインバータ動作を継続させる。この場合も、出力発生回路21は、制御部20の出力発生回路制御部203により電界効果トランジスタ221、222によるハーフブリッジ型のインバータ回路が維持され、出力発生回路制御部203より入力される駆動信号により電界効果トランジスタ221,222をオンオフして高周波交流出力を発生する。
【0048】
出力発生回路21より出力される高周波交流出力は、インダクタ23及び共振用コンデンサ24に与えられ、これらインダクタ23及びコンデンサ24を共振回路として動作させる。この状態で、放電ランプ30のフィラメント301、302に第1の補助巻線231及び第2の補助巻線232より予熱電流が流れると、放電ランプ30のフィラメント301と302の間に所定の始動電圧が印加され、放電ランプ30が点灯される。
【0049】
次に、ステップ409で、電流検出回路38により放電ランプ30に流れる電流を負荷電流として検出する。そして、ステップ410でNo(電源オンのまま)ならば、ステップ411で定電流制御が実行される。この場合、出力発生回路制御部203には、調光信号発生部40の調光信号に基づいて調光制御部204の基準信号生成部2041で生成される基準信号と、電流検出回路26より検出されるランプ電流との比較結果に応じた制御信号が入力される。これにより、出力発生回路制御部203は、調光制御部204からの制御信号に応じた動作周波数により出力発生回路21の電界効果トランジスタ221,222をオンオフして高周波交流を発生させ、放電ランプ30を点灯させる。この場合、調光制御部204より出力発生回路制御部203に入力される制御信号は、基準信号とランプ電流との比較結果に応じたもので、フィードバック制御が行われているので、放電ランプ30のランプ電流は、常に基準信号に近づくように定電流制御が行われる(ステップ411)。
【0050】
この状態で、調光信号発生部40の調光信号により基準信号生成部2041で生成される基準信号を可変すると、調光制御部204より出力される制御信号が変化し、放電ランプ30が全光から調光の範囲で点灯制御される。この場合、出力発生回路21は、出力発生回路制御部203からの駆動信号のduty比50%の動作周波数で電界効果トランジスタ221,222をオンオフ動作しているが、この状態から、調光信号発生部40の調光信号により基準信号が変化して調光制御部204より出力される制御信号が変化されると、このときの変化に応じて出力発生回路制御部203からの駆動信号のduty比50%の動作周波数が変化される。これにより、放電ランプ30に供給される交流出力が制御され、放電ランプ30は、調光信号発生部40の調光信号に応じて全光から調光の範囲で点灯状態が制御される。
【0051】
その後、ステップ410で、電源オフによりYesと判断されると、出力発生回路21の高周波交流が停止し、放電ランプ30は消灯される。
【0052】
一方、光源としてLED照明灯32が接続されている場合、ステップ405でV1<VR≦V2となって、LED照明灯32と判定される。すると、ステップ413で、スイッチ素子26がオフ動作して直流カット用のコンデンサ25を短絡する。
【0053】
次に、ステップ414に進み、LED照明灯32を点灯するためのチョッパ動作に切換えられる。この場合、ステップ414では、昇圧チョッパ回路13の出力電圧が出力発生回路21に入力される。出力発生回路21では、制御部20の出力発生回路制御部203により、電界効果トランジスタ221、222のうち、一方の電界効果トランジスタ222をオフにし、他方の電界効果トランジスタ221を調光制御部204から出力される制御信号に基づいてオンオフさせる。これにより、電界効果トランジスタ221のオンオフ動作に伴うインダクタ23の電磁的エネルギーの蓄積及び放出によりコンデンサ24両端に降圧された出力電圧(直流出力)を発生し、この出力電圧によりLDE照明灯32が点灯される。
【0054】
次に、ステップ409で、電流検出回路38によりLDE照明灯32に流れる電流を負荷電流として検出する。そして、ステップ410でNo(電源オンのまま)ならば、ステップ411で定電流制御が実行される。この場合も、出力発生回路制御部203には、調光信号発生部40の調光信号に基づいて調光制御部204の基準信号生成部2041で生成される基準信号と、電流検出回路26より検出されるランプ電流との比較結果に応じた制御信号が入力される。これにより、出力発生回路制御部203は、調光制御部204からの制御信号に応じて出力発生回路21の電界効果トランジスタ221をオンオフして、この電界効果トランジスタ221のオンオフ動作に伴うインダクタ23での電磁的エネルギーの蓄積及び放出によりコンデンサ24両端に降圧された直流出力が発生し、LED照明灯32が点灯される。
【0055】
この場合も、調光制御部204より出力発生回路制御部203に入力される制御信号は、基準信号とランプ電流との比較結果に応じたもので、フィードバック制御が行われているので、LED照明灯32のランプ電流は、常に基準信号に近づくように定電流制御が行われる(ステップ411)。
【0056】
また、この状態でも、調光信号発生部40の調光信号により基準信号生成部2041で生成される基準信号を可変すると、調光制御部204より出力される制御信号が変化され、LED照明灯32が全光から調光の範囲で点灯制御される。この場合、出力発生回路21は、出力発生回路制御部203からの入力される所定のduty比で電界効果トランジスタ221をオンオフ動作しているが、この状態から調光信号発生部40の調光信号により基準信号が変化して調光制御部204より出力される制御信号が変化されると、この変化に応じて出力発生回路制御部203から入力されるduty比が変化される。これにより、LED照明灯32に供給される直流出力が制御され、LED照明灯32は、調光信号発生部40の調光信号に応じて全光から調光の範囲で点灯状態が制御される。
【0057】
その後、ステップ410で、電源オフによりYesと判断されると、出力発生回路21の直流出力が停止し、LED照明灯32は消灯される。
【0058】
さらに、ステップ405でV2<VRと判断された場合は、光源が接続されていない無負荷状態と判断し、ステップ406で、電源装置の出力を停止する。
【0059】
したがって、このようにすれば、光源判定部202により光源が放電ランプ30かLED照明灯32かを放電ランプ30のフィラメント302の抵抗値及びLED照明灯32に設けられた抵抗素子34(35)の抵抗値に応じて得られる出力電圧VRに基づいて判定し、この判定結果から光源が放電ランプ30と判定されると、出力発生回路21の電界効果トランジスタ221、222をハーフブリッジ型のインバータ回路に構成し、これら電界効果トランジスタ221、222の交互のオンオフにより発生する高周波の交流出力により放電ランプ30を点灯し、また、光源がLED照明灯32と判断されると、出力発生回路21により、電界効果トランジスタ221、222のうち、一方の電界効果トランジスタ222をオフし、他方の電界効果トランジスタ221により降圧チョッパを構成し、この電界効果トランジスタ221のオンオフにより発生する直流出力によりLED照明灯32を点灯するようにした。これにより、放電ランプ30に対して最適な高周波の交流出力を供給できるとともに、LED照明灯32に対しても最適で安定した直流出力を供給できるようになるので、従来のLED照明灯内部に組み込まれたダイオードブリッジ回路により交流電力を直流電力に変換してLED素子を点灯させるものと比べ、LED素子にちらつきなどが発生することない安定した点灯動作を得ることができる。
【0060】
また、LED照明灯32には、1個のダイオードブリッジからなる全波整流回路36(この全波整流回路36は、LED照明灯32の器具本体1への取り付けの際に電源装置に対する極性方向が予め決められている構成ならば省略できる)が設けられるのみで、従来のLED照明灯内部に複数のダイオードブリッジ回路などの複雑な回路構成を幾つも組み込んでいるものと比べ、価格的に安価にもでき、このようなLED照明灯を多数設置する場合の経済性も有利にできる。
【0061】
なお、上述では、直流カット用のコンデンサ25は、コンデンサ24と電界効果トランジスタ222の間に直列に接続されるようにしたが、インダクタ23と電界効果トランジスタ221の間に直列に接続するようにしてもよく、また、コンデンサ24と電界効果トランジスタ222の間及びインダクタ23と電界効果トランジスタ221の間にそれぞれ直列に接続するようにしてもよい。この場合も、これらコンデンサには、並列にスイッチ素子が接続され、光源がLED照明灯32と判定された場合に制御部20の指示によるスイッチ素子のオン動作により短絡される。
【0062】
また、上述では、電界効果トランジスタ221、222によりハーフブリッジ型のインバータ回路を構成する例を述べたが、これら電界効果トランジスタ221、222に代えて他のスイッチング素子を用いることもできる。この場合、電界効果トランジスタ222に該当する一方のスイッチング素子は、並列にダイオードを接続したスイッチ部で構成し、電界効果トランジスタ222と同じ動作を得られるようにすればよい。
【0063】
(変形例)
上述した第1の実施の形態では、外部の調光信号発生器40の調光信号により生成される基準信号に基づいて放電ランプ30(又はLED照明灯32)の全光点灯及び調光点灯をするようにしているが、光源がLED照明灯32の場合、調光点灯のため調光信号が入力されると、このときの調光信号の立ち上がりが遅いため、LED照明灯32のLED素子37が一瞬だけ明るく点灯することがあり所望する明るさから点灯できないことがある。
【0064】
そこで、この変形例では、光源がLED照明灯32の場合でも安定した調光点灯が得られるようにした。この場合、図2に示すように制御部20には、さらに遅延制御部205が設けられている。この遅延制御部205は、調光制御部204から制御信号が出力されると、所定時間、例えば0.5secだけ遅らせて出力発生回路制御部203を動作させる。
【0065】
その他は、図2と同様である。
【0066】
このようにすれば、光源がLED照明灯32と判定された場合、制御信号の出力から一定時間の後に制御信号に基づいた調光制御が有効になって、LED照明灯32の調光が行われるので、LED照明灯32での始動時の不快な明るさ(一瞬だけ明るく点灯)が無くなり所望する明るさから調光点灯することができる。
【0067】
ところで、この変形例の遅延制御部205では、調光制御部204から制御信号が出力され、光源判定部202で光源がLED照明灯32と判定されると、所定時間遅らせて出力発生回路制御部203を動作させるようにしたが、例えば、調光制御部204より出力される制御信号に対して積分回路を設けて、制御信号を徐々に大きしていくようにすれば、LED照明灯32を徐々に所望する明るさまで立ち上げる、所謂フェードインを演出することもできる。
【0068】
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態では、光源が放電ランプ30かLED照明灯32かを判定するのに、放電ランプ30のフィラメント302の抵抗値及びLED照明灯32に設けた抵抗素子34(35)の抵抗値に応じた出力電圧VRを検出するようにしたが、この第2の実施の形態では、放電ランプ30とLED照明灯32の場合で始動時の電圧又は電流の立ち上がり状態が異なる点に着目して光源を判定するようにした。
【0069】
図5(a)(b)は、本発明の第2の実施の形態の概略構成を示すもので、図2と同一部分には、同符号を付している。この場合、図5(b)に示すLED照明灯32は、メスコネクタ33の接続端子33aと33bの間、接続端子33cと33dの間がそれぞれ短絡されている。また、図5(a)では、出力発生回路21の電界効果トランジスタ221、222に直列に電力検出回路41が接続されている。この電力検出回路41は、電界効果トランジスタ221、222に直列接続される抵抗素子411を有し、この抵抗素子411に発生する電圧を放電ランプ30(又はLED照明灯32)の負荷電力として検出する。また、制御部20の光源判定部202は、電力検出回路41で検出される放電ランプ30とLED照明灯32の始動時の電圧及び電流の状態から、光源が放電ランプ30かLED照明灯32かを判定する。この場合、放電ランプ30の始動時のランプ電圧VLは、電界効果トランジスタ221、222のインバータ動作により、図6(a)に示すように予熱開始期間一定の大きさとなり、放電開始の直前にさらに大きくなったのち、放電開始とともに一定電圧に維持される。また、ランプ電流IL は、図6(b)に示すように予熱開始期間では流れず、放電ランプ30の放電開始とともに流れ始める。これに対してLED照明灯32は、始動時のランプ電圧は、図6(c)に示すように電界効果トランジスタ221、222のインバータ動作の直後にLED素子37の順方向電圧Vfでクランプされ、同時に、図6(d)に示すように一方向の電流Ifが流れ始める。このことから、光源判定部202では、始動直後に図6(c)に示すように順方向電圧Vfでクランプされるランプ電圧(図6(a)に示す放電ランプ30の始動時のランプ電圧VLに比べて小さい)を電力検出回路41の出力電圧から検出すると、光源がLED照明灯32であると判定し、また、順方向電圧Vfより十分に大きい図6(a)に示す始動時の放電ランプ30のランプ電圧VLを電力検出回路41の出力電圧から検出すると、光源が放電ランプ30であると判定する。
【0070】
出力発生回路制御部203は、光源判定部202の判断結果から光源が放電ランプ30と判断されると、電界効果トランジスタ221、222をハーフブリッジ型のインバータ回路に構成し、電界効果トランジスタ221、222を交互にオンオフさせて高周波の交流出力を発生させ、また、光源判定部202で光源がLED照明灯32と判断されると、電界効果トランジスタ221、222のうち、一方の電界効果トランジスタ222をオフし、他方の電界効果トランジスタ221をオンオフさせるチョッパ動作により直流出力を発生させる。
【0071】
これにより、以下、上述した第1の実施の形態と同様な動作を得られ、同様な効果を得ることができる。また、この第2の実施の形態によれば、電力検出回路41とともに、電流検出回路38が設けられているので、例えば、光源がLED照明灯32の場合は、電流検出回路38より検出される負荷電流と基準信号生成部2041で生成される基準信号の比較結果に基づいてLED照明灯32を定電流制御し、また、光源が放電ランプ30の場合は、電力検出回路41より検出される負荷電力と基準信号生成部2041で生成される基準信号の比較結果に基づいて放電ランプ30を定電力制御するようにもできる。
【0072】
なお、上述の実施の形態では、光源判定部202での光源の判定は、始動直後の電力検出回路41の出力電圧の状態から行うようにしたが、例えば、図6(d)に示すように始動直後に一方向の電流Ifが流れるのを電流検出回路38の検出出力から検知することで、光源がLED照明灯32であると判定し、その他の場合に、光源が放電ランプ30であると判定するようにもできる。
【0073】
(変形例)
上述した第2の実施の形態では、放電ランプ30及びLED照明灯32がそれぞれ1個の場合を述べたが、光源として複数個の放電ランプ又はLED照明灯が用いられる場合がある。この場合、複数の光源は、全て放電ランプのみ、又はLED照明灯のみであれば問題ないが、例えば、複数の放電ランプに中に1個のLED照明灯が接続されたり、この逆に複数のLED照明灯の中に1個の放電ランプが接続されるなど、所謂光源の混載が生じることがある。この変形例では、このような光源の混載を判定して電源装置の出力を強制的に停止する。
【0074】
この場合、制御部20の光源判定部202に、複数個直列に接続された放電ランプ30の直列個数に応じた点灯時の出力電圧(負荷電力)ピーク値を第1の基準値、複数個直列に接続されたLED照明灯32の直列個数に応じた点灯時の出力電圧(直流電圧)を第2の基準値としてそれぞれ設定する。ここで、第2の基準値であるLED照明灯32の点灯中の出力電圧(直流電圧)は、第1の基準値の放電ランプ30の点灯時の出力電圧(負荷電力)ピーク値以下である。
【0075】
このようにすれば、光源判定部202により、電力検出回路41の抵抗素子411に発生する出力電圧が第1の基準値以上であれば、複数個全てに放電ランプ30が接続されていると判定される。また、第1の基準値以下であれば、LED照明灯32が接続されていると判定されるが、さらに、第2の基準値を用いて混載の可能性が判定される。この場合、抵抗素子411に発生する出力電圧が第2の基準値を超えていれば、混載があると判定される。勿論、抵抗素子411に発生する出力電圧が第2の基準値であれば、複数個全てにLED照明灯32が接続されていると判定される。そして、光源判定部202において、混載があると判定されると、電源装置の出力が直ちに停止される。これにより、複数の放電ランプに対してLED照明灯が誤装着されたり、複数のLED照明灯に対しての放電ランプが誤装着されることがあっても、これら光源の混載を確実に判定することができ、電源装置の出力を適切に停止することができる。
【0076】
上述では、複数個直列接続された放電ランプ30及びLED照明灯32の場合を述べたが、複数個並列接続された放電ランプ30及びLED照明灯32の場合も、上述と同様にして光源の混載を確実に判定することができる。
【0077】
なお、光源判定部202では、光源が放電ランプ30と判断した状態から、電力検出回路41の抵抗素子411に発生する出力電圧の直流電圧成分を検出することで、混載の可能性を判定することもできる。この場合、光源判定部202には、出力電圧の直流電圧成分検出機能が用意されており、抵抗素子411に発生する出力電圧の直流電圧成分が所定以上ならば、放電ランプとLED照明灯が混載されている判定して出力を停止する。この場合、抵抗素子411に発生する出力電圧が直流電圧成分のみの場合は、複数個全てにLED照明灯が接続されている判定する。
【0078】
(第3の実施の形態)
第1及び第2の実施の形態では、ハーフブリッジ型のインバータ回路を用いた例を述べたが、この第3の実施の形態では、フルブリッジ型のインバータ回路を用いている。
【0079】
図7は、第3の実施の形態の概略構成を示すもので、図2と同一部分には同符号を付している。
【0080】
この場合、図7(b)に示すLED照明灯32は、図2(b)と全く同様に構成されている。また、図7(a)に示す出力発生回路21は、電解コンデンサ17に並列に、第1及び第2の電界効果トランジスタとして電界効果トランジスタ221、222の直列回路と、第3及び第4の電界効果トランジスタとして電界効果トランジスタ223、224の直列回路が並列に接続されている。また、電界効果トランジスタ221〜224は、それぞれのゲートが制御部20に接続され、制御部20により制御される。
【0081】
また、出力発生回路21は、制御部20からの制御信号により2通りの動作を行うもので、第1の動作は、電界効果トランジスタ221〜224により、交流出力手段としての所謂、フルブリッジ型のインバータ回路を構成し、これらフルブリッジ構成の隣り合わない電界効果トランジスタ、ここでは、電界効果トランジスタ221と224、電界効果トランジスタ222と223を組にし、これら各組を交互にオンオフさせることで高周波の交流出力を発生する。また、第2の動作は、フルブリッジ構成の隣り合う電界効果トランジスタ、ここでは、電界効果トランジスタ221と222、電界効果トランジスタ223と224を組にして一方の組の電界効果トランジスタ223をオフ、電界効果トランジスタ224をオン、他方の組の電界効果トランジスタ221と222のうち一方の電界効果トランジスタ222をオフ(この場合、電界効果トランジスタ222は、ボディダイオードにより還流ダイオードとして動作される。)するとともに、他方の電界効果トランジスタ素子221により降圧チョッパを構成し、この電界効果トランジスタ221のオンオフによりチョッパ出力を発生する。この場合も、電界効果トランジスタ222を用いて同期することにより直流出力を発生させる同期整流方式の降圧チョッパを構成するようにしてもよい。
【0082】
出力発生回路21は、電界効果トランジスタ221と222の接続点と電界効果トランジスタ223と224の接続点の間に、バラストチョークとしてのインダクタ23、コンデンサ24及び直流カット用のコンデンサ25の直列回路が接続されている。コンデンサ25には、並列にスイッチ素子26が接続されている。このスイッチ素子26は、制御部20の指示によりオンオフされ、コンデンサ25の開放、短絡を行う。
【0083】
この場合も、出力発生回路21がフルブリッジ構成のインバータとして動作する場合は、電界効果トランジスタ221と224の組と電界効果トランジスタ222と223の組の交互のオンオフにより発生する高周波の交流出力に対してインダクタ23及びコンデンサ24は共振回路として動作される。また、出力発生回路21が降圧チョッパとして動作する場合は、電界効果トランジスタ221のオンオフにともなうインダクタ23での電磁的エネルギーの蓄積及び放出によりコンデンサ24両端に降圧された直流出力を発生する。
【0084】
その他は、図2(b)と同様に構成されている。
【0085】
出力発生回路制御部203は、電源投入直後、まず、出力発生回路21をインバータとして動作させ、光源判定部202の判定結果から、光源が放電ランプ30と判断されると、出力発生回路21のインバータ動作を継続させる。また、出力発生回路制御部203は、光源がLED照明灯32と判断されると出力発生回路21を降圧チョッパとして動作させる。
【0086】
この場合、出力発生回路制御部203により、出力発生回路21をインバータ動作させる場合は、フルブリッジ構成の隣り合わないスイッチング素子、ここでは、電界効果トランジスタ221と224、電界効果トランジスタ222と223を組にし、これら各組を交互にオンオフさせることで高周波の交流出力を発生させる。また、出力発生回路制御部203により出力発生回路21を降圧チョッパとして動作させる場合は、フルブリッジ構成の隣り合う電界効果トランジスタ、ここでは、電界効果トランジスタ221と222、電界効果トランジスタ223と224を組にして一方の組の電界効果トランジスタ223をオフ、電界効果トランジスタ224をオン、他方の組の電界効果トランジスタ221と222の一方の電界効果トランジスタ222をオフするとともに他方の電界効果トランジスタ素子221のオンオフによりチョッパ出力を発生させる。
【0087】
その他の動作は、図2と同様である。
【0088】
したがって、このようにしても、第1の実施の形態と同様な効果を得ることができる。
【0089】
また、この第3の実施の形態によれば、電流検出回路38とともに、電力検出回路41が設けられているので、例えば、光源がLED照明灯32の場合は、電流検出回路38より検出される負荷電流と基準信号生成部2041で生成される基準信号の比較結果に基づいてLED照明灯32を定電流制御し、また、光源が放電ランプ30の場合は、電力検出回路41より検出される負荷電力と基準信号生成部2041で生成される基準信号の比較結果に基づいて放電ランプ30を定電力制御するようにもできる。
【0090】
また、上述では、電界効果トランジスタ221〜224によりフルブリッジ型のインバータ回路を構成する例を述べたが、これら電界効果トランジスタ221〜224に代えて他のスイッチング素子を用いることもできる。この場合、電界効果トランジスタ222に該当するスイッチング素子は、並列にダイオードを接続したスイッチ部で構成し、電界効果トランジスタ222と同じ動作を得られるようにすればよい。
【0091】
(変形例)
第3の実施の形態では、一般的な放電ランプ30について述べたが、イグナイタ等を組み合わせることで高圧放電灯(HIDランプ)にも適用できる。この場合、制御部20の光源判定部202では、電流検出回路38で検出されるHIDランプとLED照明灯の始動時の電流の状態から、光源がHIDランプかLED照明灯かを判定する。つまり、HIDランプの始動時のランプ電圧VL1は、出力発生回路21のインバータ動作により図8(a)に示すように一定の大きさとなり、所定時間後、イグナイタなどの動作により発生される高圧のパルス電圧Vpが印加され、この高圧のパルス電圧Vpの印加によるHIDランプの放電開始とともに、図8(b)に示すランプ電流IL1が流れ始める。これに対してLED照明灯は、始動とともに、図8(c)に示すように電流Ifが流れ始める。このことから、光源判定部202では、始動直後から流れ始める電流Ifを電流検出回路38の出力から検知することで光源がLED照明灯であると判定し、また、始動から所定時間遅れて(HIDランプの放電開始後)流れ始める図8(b)に示すランプ電流IL1を電流検出回路38の出力から検知することで光源がHIDランプであると判定する。
【0092】
このようにしても、第3の実施の形態と同様な効果を得ることができる。
【0093】
(第4の実施の形態)
ところで、従来の放電ランプ専用の電源装置では、放電ランプの通電時間とともにランプ劣化により明るさが低下することから、放電ランプの通電時間を任意の方法でカウントし、そのカウント結果からランプの明るさ低下を補うように放電ランプへの供給電力を可変して放電ランプの使用開始から寿命末期までランプの明るさを一定に保つようにした初期照度補正機能を有するものがある。このような初期照度補正機能は、放電ランプの使用開始時の余分な電力供給をカットしてランプの寿命末期までエネルギー消費を抑制するのに効果的である。
【0094】
この第4の実施の形態では、このような初期照度補正機能を付加したもので、図2に示す制御部20に、さらに通電時間カウンタ206が設けられている。この通電時間カウンタ206は、光源判定部202が放電ランプ30と判定した場合に、放電ランプ30の通電時間をカウントする。なお、通電時間カウンタ206は、放電ランプ30を器具から取り外すとリセットされ、また、新たに放電ランプ30が装着されると最初からカウントを始める。
【0095】
そして、通電時間カウンタ206のカウント値に応じて出力発生回路21のインバータ動作により供給される放電ランプ30への交流出力を調整する。この場合、放電ランプ30の寿命は12000時間程度で、時間経過とともにランプ光束が次第に低下していくが、このときの光束変化を表す電力カーブを用い、この電力カーブにしたがって放電ランプ30の明るさが十分の使用開始期間で、出力発生回路21より放電ランプ30に供給される交流出力を絞り、時間が経過して放電ランプ30の明るさが低下する寿命末期期間では、出力発生回路21より放電ランプ30に供給される交流出力を増加させる。
【0096】
このようにすれば、光源として放電ランプ30が判定されると、通電時間カウンタ206により放電ランプ30の通電時間がカウントされ、このカウント値に応じて出力発生回路21より放電ランプ30に供給される交流出力が最適に調整されるので、放電ランプ30の使用開始から寿命末期までランプの明るさを一定に保つことができる。
【0097】
なお、上述では、放電ランプ30に対してのみ初期照度補正を行う場合を述べたが、LED照明灯32に対しても同様にして初期照度補正を行うことができる。この場合は、上述の通電時間カウンタ206と別にLED照明灯32の通電時間をカウントする通電時間カウンタを設ける。また、LED照明灯32のLED素子37の寿命は40000時間程度であり、この時間経過とともに低下する光束変化を表す電力カーブを用い、この電力カーブにしたがってLED照明灯32に対して出力発生回路21より供給される直流出力を調整するようにすればよい。
【0098】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものでなく、実施段階では、その要旨を変更しない範囲で種々変形することが可能である。例えば、上述した実施の形態では、光源が放電ランプかLED照明灯かの判定を自動的に行うようにしたが、手動による切換えスイッチを用いることもできる。この場合、切換えスイッチは、図1で述べた器具本体1に設けられ、器具本体1に装着される放電ランプ又はLED照明灯により対応する位置に手動で切換えられる。また、上述した実施の形態では、光源として放電ランプ又はLED照明灯を点灯可能にした常用点灯用の電源装置の例を述べたが、例えば、非常点灯用の電源装置としても適用できる。この場合、電源装置内に蓄電池を内蔵しておき、商用電源の交流電源10が停電した場合に、電源を交流電源10から蓄電池に切換え、この蓄電池を電源として電源装置を駆動し、放電ランプ又はLED照明灯を点灯するようにする。
【0099】
さらに、上記実施の形態には、種々の段階の発明が含まれており、開示されている複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出できる。例えば、実施の形態に示されている全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題を解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出できる。
【符号の説明】
【0100】
1…器具本体、2.3…放電ランプ
4…セード、100…電源装置、10…交流電源、
11…全波整流回路、13…昇圧チョッパ回路
20…制御回路、201…昇圧チョッパ回路制御部、
202…光源判定部、203…出力発生回路制御部、
204…調光制御部、205…遅延制御部、
206…通電時間カウンタ、21…出力発生回路、
28…メスコネクタ、31、33…オスコネクタ
30…放電ランプ、32…LED照明灯
38…電流検出回路、40…調光信号発生部、41…電力検出回路、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流出力及び直流出力を発生する出力発生手段と;
前記出力生成手段より発生される出力により点灯される光源と;
前記光源が放電ランプか半導体発光素子かを判定する光源判定手段と;
前記光源判定手段の判定結果に基づいて前記出力生成手段より交流出力又は直流出力を発生させるように制御する制御手段と;
を具備したことを特徴とする電源装置。
【請求項2】
前記出力発生手段は、電界効果トランジスタ又はスイッチング素子に並列にダイオードを接続したスイッチ部からなる第1及び第2のスイッチング手段をハーフブリッジに構成したインバータ回路を有し、
前記制御手段は、前記出力発生手段の第1及び第2のスイッチング手段のスイッチ要素を交互にオンオフさせて交流出力を発生させ、前記第1のスイッチング手段のスイッチ要素をオンオフさせるとともに、前記第2のスイッチング手段のスイッチ要素をオフ又は前記第2のスイッチング手段を用いて同期することにより直流出力を発生させることを特徴とする請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記出力発生手段は、電界効果トランジスタ又はスイッチング素子に並列にダイオードを接続したスイッチ部からなる第1乃至第4のスイッチング手段をフルブリッジに構成したインバータ回路を有し、
前記制御手段は、前記フルブリッジ構成の隣り合わない第1及び第4のスイッチング手段の組のスイッチ要素と、第2及び第3のスイッチング手段の組のスイッチ要素を交互にオンオフさせて交流出力を発生させ、前記フルブリッジ構成の隣り合う第3及び第4のスイッチング手段のうち第3のスイッチング手段のスイッチ要素をオフ、第4のスイッチング手段のスイッチ要素をオンにし、第1のスイッチング手段のスイッチ要素をオンオフさせるとともに、前記第2のスイッチング手段のスイッチ要素をオフ又は前記第2のスイッチング手段を用いて同期することにより直流出力を発生させることを特徴とする請求項1に記載の電源装置。
【請求項4】
前記光源判定手段は、前記放電ランプのフィラメント抵抗及び前記半導体発光素子に接続された前記フィラメント抵抗に相当する抵抗素子の抵抗値から光源を判定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の電源装置。
【請求項5】
前記光源判定手段は、前記放電ランプ及び前記半導体発光素子の始動時の電圧又は電流の立ち上がりの状態から光源を判定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の電源装置。
【請求項6】
前記出力発生手段は、前記インバータ回路の出力側に接続される直流カット用のインピーダンス素子と、前記出力発生手段の直流出力の発生により前記インピーダンス素子を短絡するスイッチング素子を有することを特徴とする請求項2乃至5のいずれかに記載の電源装置。
【請求項7】
請求項1乃至6記載の電源装置と;前記電源装置を有する器具本体と:を具備したことを特徴とする照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−34847(P2011−34847A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−180856(P2009−180856)
【出願日】平成21年8月3日(2009.8.3)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】