説明

電源装置

【課題】1つのコンバータ回路を用いて、損失を抑制しながら、電圧制御のランプと電流制御のランプを駆動する。
【解決手段】コンバータ回路は、制御回路12によって定電圧制御される。また、制御回路12は負荷の過電流を防止するために、検出した負荷電流に基づいて過電流制御を行う。ハロゲンランプ13使用時には、過電流制御の閾値として、ハロゲンランプ13に流れるべきでない電流値を設定する。一方、負荷にLED14が接続された場合には、過電流制御の閾値としてLED14に通常流すべき電流値を設定する。これにより、LED14使用時には、常に電流制御されることになる。こうして、電圧制御のハロゲンランプと電流制御のLEDとを1つのコンバータ回路によって駆動することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電圧制御のランプと電流制御のランプとを使用する照明装置等の電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、屋内外の商業施設等の照明として、ハロゲンランプが採用されることがある。ハロゲンランプは、高い演色性を有し、寿命末期まで初期の光束・色温度を維持するという特性から、種々の照明装置に利用されている。また、近年、照射光に熱成分をほとんど含まず、熱に弱い対象物にも適応するという利点等から、照明用として、LED(発光ダイオード)も採用されるようになってきた。
【0003】
ハロゲンランプの電源装置としては、スイッチング電源を採用して定電圧制御を行うものが考えられる。これに対し、LEDの電源装置としては、特許文献1に記載のもの等がある。LEDの輝度はLEDに流れる電流値に応じて決まる。LEDに流れる電流と順方向電圧との関係は周囲温度の影響を受け、定電圧駆動してもLEDに流れる電流を一定にすることはできない。このため、LEDは定電流駆動する必要がある。特許文献1においては、このようなLEDを定電流駆動する電源装置が開示されている。
【特許文献1】特開2007−157423号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1において、当業者であれば、これらのハロゲンランプ及びLEDの両方を利用可能にすることも考えられる。しかしながら、ハロゲンランプとLEDとでは、制御方法が異なることから、これらのランプ用の共通化された電源回路は開発されていない。
【0005】
本発明は、1つのコンバータ回路を用いて効率を向上させると共に、定電圧駆動する第1のランプと定電流駆動する第2のランプとを点灯させることができる電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に係る電源装置は、直流電源からの直流電圧を所定の電圧に変換して出力端に供給する電圧出力回路と、前記出力端に接続される負荷に流れる負荷電流を検出する電流検出手段と、前記電圧出力回路の出力端の電圧に基づいて前記電圧出力回路をフィードバック制御して前記電圧出力回路に前記所定の電圧を発生させると共に、前記負荷電流が基準電流よりも大きくなると前記負荷電流が前記基準電流以下となるように、前記電圧出力回路を制御する制御手段と、前記出力端に前記負荷として電圧制御の第1の負荷が接続された場合には、前記制御手段に前記基準電流として前記第1の負荷に流れるべきでない過電流を設定して過電流を防止し、前記出力端に前記負荷として電流制御の第2の負荷が接続された場合には、前記制御手段に前記基準電流として前記第2の負荷に通常流れるべき電流を設定して定電流制御させる設定手段とを具備したものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、1つのコンバータ回路を用いて効率を向上させると共に、定電圧駆動する第1のランプと定電流駆動する第2のランプとを点灯させることができるという効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。図1は本発明の第1の実施の形態に係る電源装置を示す回路図である。
【0009】
電圧制御が必要な第1の負荷と電流制御が必要な第2の負荷とを駆動する電源装置としては、例えば、電圧制御を行うコンバータ回路と、電流制御を行うコンバータ回路との2つのコンバータ回路を用いる回路が考えられる。しかしながら、2つのコンバータ回路を用いた場合には、損失が大きくなるという欠点が生じる。そこで、本実施の形態においては、所定の電圧を出力する電圧出力回路として1つのコンバータ回路のみを採用し、負荷に応じて、コンバータ回路の制御を電圧制御と電流制御とで切換え可能にすることで、損失を抑制しながら、定電圧駆動による第1の負荷と定電流駆動による第2の負荷との駆動を可能にする。本実施の形態においては、電圧・電流制御を行うコンバータ回路として降圧チョッパ回路を採用した例について説明する。
【0010】
図1において、直流電源11は、基準電位点と正極性出力端との間に直流電圧を供給する。直流電源11の正極性出力端はトランジスタQ1のソースに接続され、トランジスタQ1のドレインはコイルL1の一端に接続される。コイルL1の一端はダイオードD1を介して基準電位点にも接続され、他端は平滑用のコンデンサC1を介して基準電位点に接続される。これらのトランジスタQ1、ダイオードD1、コイルL1及びコンデンサC1によって、降圧チョッパ回路が構成される。
【0011】
トランジスタQ1のゲートには、制御回路12から駆動信号が供給される。トランジスタQ1は駆動信号に応じてオン,オフし、コンデンサC1の両端には、駆動信号のオンデューティに応じた電圧が発生する。コンデンサC1の両端に発生する電圧が出力端子O1乃至O3に供給される。
【0012】
出力端子O1,O2相互間には、電圧制御が必要な第1の負荷として、例えば、ハロゲンランプ13がスイッチSW1を介して接続可能である。また、出力端子O1,O3相互間には、電流制御が必要な第2の負荷として、例えば、LED(発光ダイオード)14がスイッチSW2を介して接続可能である。スイッチSW1,SW2は連動してオン,オフし、一方がオンの場合には他方はオフである。
【0013】
出力端子O2は負荷電流検出用の抵抗R1を介して基準電位点に接続され、出力端子O3は負荷電流検出用の抵抗R2を介して基準電位点に接続される。抵抗R1,R2の抵抗値は夫々Ra,Rbである。
【0014】
制御回路12はGND端が基準電位点に接続され、出力端V0 から駆動信号をトランジスタQ1のゲートに出力する。制御回路12はコンデンサC1の端子電圧がF/B端にフィードバックされる。制御回路12は、F/B端にフィードバックされるコンデンサC1の端子電圧が所定の値となるように、駆動信号を発生する。これにより、コンデンサC1の両端に所定の定電圧を発生させることができる。
【0015】
更に、制御回路12は、過電流防止のための制御端CLM1,CLM2を備えている。制御回路12は負荷電流が過電流になると、負荷電流を所定の電流値に制限するように、駆動信号を制御する。即ち、制御回路12は、F/B端の入力に基づくフィードバック制御よりも制御端CLM1,CLM2の入力に基づく過電流制御を優先して実行する。制御端CLM1には、抵抗R1の両端電圧が印加される。また、制御端CLM2には、抵抗R2の両端電圧が印加される。
【0016】
いま、抵抗R1に流れる第1の負荷電流がIaであるものとする。制御端CLM1には第1の負荷電流に応じた電圧Ra・Iaが印加される。この電圧Ra・Iaが所定の閾値Vrefを超えようとすると、制御回路12は、この電圧Ra・Iaが閾値Vrefとなるように、即ち、負荷電流Iaが基準電流Iref1以下となるように過電流制御を行う。これにより、第1の負荷であるハロゲンランプ13に過電流が流れることを防止する。
【0017】
一方、第2の負荷であるLED14を接続した場合において、抵抗R2に流れる第2の負荷電流がIbであるものとする。制御端CLM2には第2の負荷電流に応じた電圧Rb・Ibが印加される。この電圧Rb・Ibが所定の閾値Vrefを超えようとすると、制御回路12は、この電圧Rb・Ibが閾値Vrefとなるように、電流制御を行う。この過電流制御を利用して、本実施の形態においては、LED14の通常使用時において流すべき電流に基づいて、過電流であるか否かの基準電流Iref2を設定する。過電流と判定されると、負荷電流を基準電流Iref2以内に抑制する過電流制御が働き、負荷を定電流制御することができる。
【0018】
即ち、LED14の通常使用時にLED14に流す電流値Ibと抵抗値Rbとの積Rb・IbがVrefとなるように抵抗R2の抵抗値Rbを設定することで、LED14の通常使用時において、電圧Rb・Ib≦Vrefとする定電流制御が行われる。
【0019】
なお、F/B端の入力に基づく制御回路12の定電圧制御によって、LED14の駆動時においては常に過電流制御が働く出力電圧が設定されており、LED14の駆動時には、電圧Rb・Ib=Vrefとする定電流制御が行われることになる。
【0020】
次に、このように構成された実施の形態の作用について図2及び図3を参照して説明する。図2は降圧チョッパ回路の出力電圧Vo及び出力電流(負荷電流)Ioを示す波形図である。図3は制御回路12の制御を説明するためのフローチャートである。
【0021】
いま、スイッチSW1がオンでスイッチSW2がオフであって、ハロゲンランプ13を点灯させるものとする。制御回路12はトランジスタQ1に駆動信号を供給して、トランジスタQ1をオンオフする。直流電源11からの直流電圧は、トランジスタQ1を介してコイルL1及びコンデンサC1に供給され、トランジスタQ1のオンデューティに応じた直流電圧が、コンデンサC1の両端に発生する。
【0022】
この直流電圧が出力端子O1,O2との間又は出力端子O1,O3との間に供給される。コンデンサC1の端子電圧は制御回路12のF/B端にフィードバックされており、制御回路12はF/B端にフィードバックされる電圧が所定の定電圧となるように駆動信号を発生する。このフィードバック制御によって、降圧チョッパ回路は定電圧制御される(ステップS1)。図2の定電圧制御期間に示すように、スイッチSW1をオンにしてハロゲンランプ13を点灯させる場合には、降圧チョッパ回路の出力は定電圧となって、ハロゲンランプ13は安定的に点灯する。
【0023】
制御回路12はステップS2,S3において、第1及び第2の負荷電流Ia,Ibを検出する。スイッチSW2はオフであり、第2の負荷電流Ibは0である。負荷電流Iaは抵抗R1の両端電圧によって検出することができ、抵抗R1の両端電圧は制御端CLM1に供給される。抵抗R1の両端電圧が所定の閾値Vrefよりも大きい場合、即ち、負荷電流Iaが基準電流Iref1よりも大きい場合には、制御回路12はステップS6に移行して、Ia・Ra≦Vrefとする過電流制御を行う。Ia<Iref1の場合には、制御回路12は、ステップS1に処理を戻して定電圧制御を繰返す。
【0024】
次に、LED14を点灯させるものとする。この場合には、コンデンサC1の充電電荷によってLED14に突入電流が流入することを防止するために、一端降圧チョッパ回路の動作を停止させて、出力を0Vにする。
【0025】
次に、スイッチSW1をオフ、スイッチSW2をオンにして、LED14を駆動する。制御回路12はステップS3において、第2の負荷電流Ibを検出する。負荷電流Ibは抵抗R2の両端電圧によって検出することができ、抵抗R2の両端電圧は制御端CLM2に供給される。抵抗R2の両端電圧が所定の閾値Vrefよりも大きい場合、即ち、負荷電流Ibが基準電流Iref2よりも大きい場合には、制御回路12はステップS7に移行して、Ib・Rb≦Vrefとする過電流制御を行う。
【0026】
LED14の通常使用時における負荷電流をIref2に設定しておくことで、LED14の使用時においては、常に負荷電流をIref2とする定電流制御が行われることになる。
【0027】
このように本実施の形態においては、電圧制御が必要な第1の負荷接続時には定電圧制御を行うと共に、過電流制御の基準値を第2の負荷を駆動時の電流値に設定することで、電流制御が必要な第2の負荷接続時において定電流制御を可能にする。1つのコンバータ回路を、接続された負荷に応じて定電圧制御と定電流制御とで切り換え可能にすることにより、損失を抑制しながら、定電圧駆動する第1の負荷と定電流駆動する第2の負荷とを駆動することができる。
【0028】
図4は本発明の第2の実施の形態を示す回路図である。図4において図1と同一の構成要素には同一符号を付して説明を省略する。また、図5は第2の実施の形態を説明するための波形図である。
【0029】
本実施の形態はコンデンサC1を省略すると共に、コイルL1と共にトランスTを構成するコイルL2、コンデンサC2、ダイオードD2及び抵抗R3,R4による電圧検出回路を付加した点が第1の実施の形態と異なる。
【0030】
一般的には、LED14に対する定電流制御時におけるコンバータ回路の出力電圧は、ハロゲンランプ13を点灯させるための出力定電圧よりも低い。このため、ハロゲンランプ13の点灯時にLED14の点灯に切換えると、コンデンサC1の充電電荷によってLED14に突入電流が流れてしまう。
【0031】
図5の出力電圧Vo1及び出力電流Io1はこの状態を示しており、スイッチSW1のオン状態からスイッチSW2のオン状態に切換えると、定電圧制御から定電流制御に切換わる。この切換え時に、出力電圧は次第に低下して、定電流制御時の出力電圧VFに変化する。一方、出力電流は、切り換え時の突入電流によって上昇し、次いで次第に低下して定電流制御時の定電流となる。この突入電流によってLED14が破壊されてしまうことがある。
【0032】
そこで、本実施の形態においては、突入電流を発生させるコンデンサC1を省略する。コンデンサC1を省略すると、コンバータ回路の出力電圧は高周波リップルが重畳されたものとなる。この場合でも、ハロゲンランプ13及びLED14の点灯は可能である。しかしながら、コンバータ回路の定電圧制御のための直流電圧を得ることができない。そこで、本実施の形態においては、トランス結合によって1次側のコイルL1に流れる電流を2次側のコイルL2において取り出す。
【0033】
コイルL2の負極性端は基準電位点に接続され、コイルL2の正極性端と負極性端との間にはダイオードD2及びコンデンサC2が直列接続される。コンデンサC2には抵抗R3,R4の直列回路が並列に接続される。ダイオードD2及びコンデンサC2によってコイルL2に発生する電圧が直流電圧に変換され、抵抗R3には、コイルL1の出力に基づく直流電圧が発生する。この抵抗R3に発生する直流電圧がフィードバック電圧として、制御回路12のF/B端に供給される。制御回路12はF/B端にフィードバックされる電圧が所定の定電圧となるように駆動信号を発生する。
【0034】
このように構成された実施の形態においては、コイルL1の出力端の電圧は、コイルL2、ダイオードD2、コンデンサC2及び抵抗R3,R4による電圧検出回路によって検出されて、制御回路12のF/B端に供給される。これにより、制御回路12はコンバータ回路の定電圧制御が可能である。図5の出力電圧Vo2に示すように、スイッチSW1がオンでハロゲンランプ13を点灯させる場合には、抵抗R3の両端電圧に基づくフィードバック制御によって、ハロゲンランプ13は定電圧駆動される。
【0035】
スイッチSW1がオフとなって、スイッチSW2がオンになると、電流Ibが基準電流Iref2よりも大きくなろうとして、制御回路12はIb・Rb=Vrefとする定電流制御を行う。この場合には、コンバータ回路の出力端にコンデンサが設けられていないので、スイッチSW1,SW2の切換え時において、LED14に突入電流が流入することはなく、図5に示すように、定電圧制御から定電流制御には瞬時に切換る。
【0036】
このように、本実施の形態においても、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。また、本実施の形態においては、使用するランプをハロゲンランプからLEDに瞬時に切換えた場合でも、LEDに突入電流が流れることはない。
【0037】
なお、上記実施の形態において、コンバータ回路の出力をトランス結合によって取り出してフィードバック電圧とする例について説明したが、コンバータ回路の出力を取得する方法は種々考えられる。例えば、コンデンサを省略することによりパルス出力回路として機能するコンバータ回路からのパルス出力の実効値を求め、この実効値をフィードバック制御に用いるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る電源装置を示す回路図。
【図2】降圧チョッパ回路の出力電圧Vo及び出力電流(負荷電流)Ioを示す波形図。
【図3】制御回路12の制御を説明するためのフローチャート。
【図4】本発明の第2の実施の形態を示す回路図。
【図5】第2の実施の形態を説明するための波形図。
【符号の説明】
【0039】
10…電源装置、11…直流電源、12…制御回路、13…ハロゲンランプ、14…LED、Q1…トランジスタ、D1…ダイオード、L1…コイル、C1…コンデンサ、R1,R2…抵抗。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電源からの直流電圧を所定の電圧に変換して出力端に供給する電圧出力回路と、
前記出力端に接続される負荷に流れる負荷電流を検出する電流検出手段と、
前記電圧出力回路の出力端の電圧に基づいて前記電圧出力回路をフィードバック制御して前記電圧出力回路に前記所定の電圧を発生させると共に、前記負荷電流が基準電流よりも大きくなると前記負荷電流が前記基準電流以下となるように、前記電圧出力回路を制御する制御手段と、
前記出力端に前記負荷として電圧制御の第1の負荷が接続された場合には、前記制御手段に前記基準電流として前記第1の負荷に流れるべきでない過電流を設定して過電流を防止し、前記出力端に前記負荷として電流制御の第2の負荷が接続された場合には、前記制御手段に前記基準電流として前記第2の負荷に通常流れるべき電流を設定して定電流制御させる設定手段と
を具備したことを特徴とする電源装置。
【請求項2】
前記電圧出力回路は、所定の電圧としてパルス電圧を発生し、
前記制御手段は、前記電圧出力回路の出力電圧に基づく直流電圧を検出して、前記電圧出力回路をフィードバック制御することを特徴とする請求項1に記載の電源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−261158(P2009−261158A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−108164(P2008−108164)
【出願日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【出願人】(000111672)ハリソン東芝ライティング株式会社 (995)
【Fターム(参考)】