説明

電源装置

【課題】スイッチのオン及び再オン時の突入電流を制限しつつ負荷との切り離しを確実・安全に行う。
【解決手段】直流電源1の一端に一端が接続されたスイッチ6と、負荷に並列に接続される平滑用の第1のコンデンサC2と、前記直流電源の他端と前記第1のコンデンサの他端間に接続された第1のスイッチ素子10と、前記スイッチと前記第1のコンデンサの一端との間に並列に挿入された第2のスイッチ素子12と第1の抵抗R7と、前記直流電源の一端と前記第1の抵抗との接続点の差分電圧を検出する差分電圧検出回路8と、前記スイッチのオンにより前記差分電圧が前記所定の電圧以下であると検出されると前記第1、第2のスイッチ素子をオンとし、一方、前記スイッチがオフとなり前記差分電圧が前記所定の電圧以上であると検出されると、前記第1、第2のスイッチ素子をオフにする第1、第2の駆動回路9、11を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電源装置に関し、特に、突入電流の抑制に好適とされる直流電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
直流電源装置においては、一般に、入力にメカニカル(機械式)スイッチを備え、入力電圧が高い時は、感電等の安全性を重視し、給電のプラス側、マイナス側の両方を切り離すためのブレーカを設ける場合がある。直流電源装置の入力回路は、電源平滑用のコンデンサとして容量の大きい電解コンデンサを備えている。電源投入時、すなわち、入力スイッチをオンに設定した時や、該入力スイッチをオン状態から一旦オフした後の再投入時に、当該電解コンデンサへ大きな充電電流が突入電流として流れる。突入電流を制限するための突入電流制限回路が用いられる。突入電流制限回路の回路構成として例えば特許文献1等の記載が参照される。
【0003】
<関連技術1>
図3は、突入電流制限回路を具備した直流電源装置の一例(関連技術1)を説明する図である。直流電源の正極と負極側を同時にオン・オフするスイッチ2A、2Bを、オン・オフした際に発生する突入電流を抑制するものである。図3において、直流電源1の正極、負極にそれぞれ接続されたスイッチ2A、2Bは、電源オン・オフのためのスイッチであり、一般的に、ブレーカが用いられる(スイッチ2A、2Bは共通にオン・オフされる)。C2は平滑用のコンデンサであり、電解コンデンサが用いられる。直流電源1の負極側に一端が接続されたスイッチ2Bの他端と負荷5間に挿入された抵抗Rsは突入電流を検出するための抵抗である。
【0004】
直流電源1の正極側に一端が接続されたスイッチ2Aの他端と負荷5間に挿入されたpチャネル型のMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor;MOS電界効果トランジスタ)Q2は、電解コンデンサC2の充電と直流電源1からの負荷5への給電のオン・オフを制御する。pnp型バイポーラトランジスタQ1のエミッタはスイッチ2AとMOSFET Q2の一端(ソース)の接続ノードに接続され、ベースは分圧抵抗R3、R4の接続ノードに接続され、コレクタはMOSFET Q2のゲートに接続されており、MOSFET Q2のオン・オフを制御する。
【0005】
抵抗R3の一端はスイッチ2AとMOSFET Q2のソースの接続ノードに接続され、抵抗R4の一端は、オペアンプ4の出力に接続されている。コンデンサC1は、MOSFET Q2のソースとゲート間(バイポーラトランジスタQ1のコレクタとエミッタ間)に接続され、MOSFET Q2のオンを所定の時定数で遅延させるコンデンサである。スイッチ2AとMOSFET Q2のソースの接続ノードと、スイッチ2Bと抵抗Rsの接続ノードの間には、定電流ダイオード(CRD:Current Regulative Diode)D1と、抵抗R1、R2とが直列に接続されている。定電流ダイオードD1は、直流電源1の電圧変動にかかわらず、抵抗R1、R2に流れる電流を一定とする。
【0006】
MOSFET Q2のソースとゲート間にはコンデンサC1と並列に抵抗R5が接続され、MOSFET Q2のゲートと、抵抗Rsと平滑用コンデンサC2の接続ノードには抵抗R6が接続されている。抵抗Rsの一端と抵抗R6の一端との接続ノードにアノードが接続されたツェナーダイオード3は基準電圧源である。
【0007】
オペアンプ4は、抵抗R1、R2の接続ノード(分圧点)に非反転入力端子(+)が接続され、一端でツェナーダイオード3のカソードに接続され、抵抗、コンデンサなどを含むインピーダンスZ1の他端に反転入力端子(−)が接続され、出力と反転入力端子間には、抵抗、コンデンサなどを含むインピーダンスZ2が接続され、出力が抵抗R4を介してバイポーラトランジスタQ1のベースに接続されている。オペアンプ4は、基準電圧3と抵抗Rsに流れる突入電流もしくは給電電流の電圧降下の和と、抵抗R1とR2の接続ノードの電圧を比較し、出力によりバイポーラトランジスタQ1のオン・オフの制御を行う。
【0008】
図3の回路動作を以下に説明する。スイッチ2(2A、2B)のオンにより、MOSFET Q2のゲート−ソース間に接続されたコンデンサC1は、抵抗R6を介して徐々に充電される。MOSFET Q2のゲート電圧が閾値電圧以下では、MOSFET Q2はオフ状態であり、直流電源1から平滑用コンデンサC2及び抵抗Rsに電流は流れない。
【0009】
コンデンサC1の充電が進み、MOSFET Q2のゲート電圧がそのソース電圧から|Vtp|(ただし、VtpはpチャネルMOSFETの閾値電圧(threshold voltage)、|Vtp|はVtpの絶対値)を差し引いた電圧以下となると(すなわち、MOSFET Q2のゲート−ソース間電圧の絶対値が閾値電圧の絶対値以上となると)、MOSFET Q2がオフからオンし始め、平滑用コンデンサC2に充電電流が流れる。この充電電流は抵抗Rsにも流れる。
【0010】
抵抗Rsの電圧降下分と、基準電圧3の和が、抵抗R1、R2の接続ノードの電圧よりも高くなると、オペアンプ4の出力は低電位となり、バイポーラトランジスタQ1にはベース電流が順方向に流れ始め、オフからオンとなる。
【0011】
バイポーラトランジスタQ1のオンにより、MOSFET Q2のゲート電圧が上昇し、そのゲート・ソース間電圧は、閾値電圧付近となり、MOSFET Q2のドレイン−ソース間の抵抗値が高くなる。この結果、平滑用コンデンサC2に流れる充電電流のピークが制限されることになる。
【0012】
その後、平滑用コンデンサC2は、ピーク電流以下に抑えられた充電電流で徐々に充電される。そして、平滑用コンデンサC2の充電が最終的に完了すると、抵抗Rsの電圧降下分と基準電圧3の和は、抵抗R1、R2の接続ノードの電圧よりも低くなり、オペアンプ4の出力は高電位となる。この結果、バイポーラトランジスタQ1は、そのベース電流が流れなくなるため、オフする。バイポーラトランジスタQ1のオフにより、MOSFET Q2はオンし、そのドレイン−ソース間が低抵抗となり、直流電源1から負荷5への給電が可能となる。
【0013】
図3に示した関連技術1では、抵抗Rsにより突入電流を検出した場合に、オン状態のMOSFET Q2を高抵抗又はオフとすることで平滑用コンデンサC2に流れる突入電流のピーク電流を制限している。スイッチ(2A、2B)がオフしてから再オンするまでの期間が短く、MOSFET Q2がオン状態のままでありながら、スイッチ(2A、2B)が再オンした場合にも、突入電流が流れなくなるようにしている。
【0014】
しかしながら、常時、抵抗Rsでの損失が発生しており、特に、消費電力が大きい負荷用の電源では、抵抗Rsの損失が無視できなくなる。このため、関連技術1の構成は、消費電力が相対的に大きくない負荷向け(小容量向け)の電源装置等に用途が限定されることになる。
【0015】
<関連技術2>
図4は、突入電流制限回路を具備した直流電源装置の別の構成例(関連技術2)を示す図である。図4の構成は、図3に示した関連技術1の構成(抵抗Rsにより突入電流を検出し、pチャネル型のMOSFET Q2のオン・オフを制御する構成)から、スイッチ2の負荷5に給電する電圧を監視し、MOSFET Q2のオン・オフを制御するように変更したものである。図4において、図3の抵抗Rs(直流電源1の負極側のスイッチ2Bに接続されている抵抗Rs)は設けられていない。
【0016】
図4を参照すると、MOSFET Q2のソースとドレイン間に抵抗R7(突入電流防止用抵抗)が接続されている。抵抗R7は、MOSFET Q2のオフ時に、平滑用コンデンサC2の充電を行う抵抗である。また図4の構成では、図3のオペアンプ4の代わりに、コンパレータ4(電圧コンパレータ)を備えている。電圧コンパレータ4の+入力端子は抵抗R1とR2に接続され、−入力端子はツェナーダイオード3のアノード端子に接続されている。コンパレータ4は、平滑用コンデンサC2の端子間電圧を抵抗R1とR2で分圧した分圧電圧と、基準電圧3とを電圧比較し、その出力(比較結果)により、pnp型のバイポーラトランジスタQ1のオン・オフの制御を行う。
【0017】
図4の回路動作を以下に説明する。スイッチ2A、2Bがオフからオンすると、コンパレータ4では、基準電圧3と、平滑用コンデンサC2の端子間電圧を抵抗R1とR2で分圧した電圧を比較し、バイポーラトランジスタQ1のオン・オフを制御する。
【0018】
スイッチ2A、2Bがオンした直後では、平滑用コンデンサC2が充電されていないため、抵抗R1、R2の分圧電圧は、基準電圧3よりも低く、コンパレータ4の出力は低電位(Lowレベル)となり、pnp型バイポーラトランジスタQ1にベース電流が流れ、オンとなる。バイポーラトランジスタQ1のオンにより、MOSFET Q2のゲート・ソース間電圧(絶対値)は、閾値電圧(絶対値)以下となるため、MOSFET Q2はオフ状態となる。この結果、平滑用コンデンサC2には、抵抗R7を介して、徐々に充電されることになる。
【0019】
抵抗R7を介しての充電により、平滑用コンデンサC2の端子電圧が上昇し、抵抗R1とR2で分圧した電圧が基準電圧3よりも高くなると、コンパレータ4の出力は高電位(Highレベル)となる。この結果、バイポーラトランジスタQ1はオフとなる。
【0020】
バイポーラトランジスタQ1のオフにより、コンデンサC1は抵抗R6を介して充電されることになる。コンデンサC1の端子間電圧は、MOSFET Q2のゲート・ソース間電圧に対応している。したがって、コンデンサC1の充電により、一定時間経過後に、MOSFET Q2のゲート・ソース間電圧(絶対値)は、閾値電圧(絶対値)以上となり、MOSFET Q2がオンする。MOSFET Q2がオンすることで負荷5に対して、直流電源1から低インピーダンスでの給電が可能となる。
【0021】
図4の構成では、スイッチ2A、2Bがオフのときに、平滑用コンデンサC2に電荷が蓄積されており(充電状態)、平滑用コンデンサC2の端子間電圧を抵抗R1とR2で分圧した電圧が、基準電圧3よりも高い場合には、コンパレータ4の出力は高電位となり、バイポーラトランジスタQ1はオフとなり、コンデンサC1は、抵抗R6を介して充電されることになる。この状態で、スイッチ2A、2Bが再オンすると、MOSFET Q2はこの時点でオン状態であるため、抵抗R7によって制限されない過大な突入電流が流れることになる。この結果、スイッチ2A、2Bの溶着や平滑用コンデンサC2の破損を生じることになる。
【0022】
このため、図4の構成では、スイッチ2A、2Bのオフから再オンまでの時間を相対的に長くするか、あるいは、スイッチ2A、2Bのオフ時に平滑用コンデンサC2を強制的に放電させるような回路を新たに設けることが必要となる。
【0023】
さらに図3、図4を参照して説明した構成に共通的な問題として、スイッチ2A、2Bのように、給電のプラス(正極)側とマイナス(負極)側の両方を切り離すスイッチの使用は、一方の接点の溶着あるいは故障等により、感電等の可能性がある、ということである。
【0024】
例えば、スイッチ2A、2Bのうち、例えば負極側のスイッチ2Bが過電流によって溶着しても、スイッチ2Aのオン・オフにより、負荷5への給電のオン・オフが可能である。機能的には、負荷5への給電のオン・オフは行えるものの、スイッチ2Bが溶着している場合には、スイッチ2A、2Bをオフしても、負極側の接点が導通状態であるため、負荷5に対してハイインピーダンスとならない。この状態で、負荷5に操作者が触れた場合、スイッチ2A、2Bがオフでも、導通状態の負極側の接点を経由して、人体に流れ、感電することになり、安全上問題となる。
【0025】
なお、特許文献2には、入力側電圧(Ein)の供給のオン・オフを切替える入力電圧スイッチと、電源への入力電流を制御する制限抵抗に並列に接続された第1のスイッチと、前記入力電圧スイッチと前記制限抵抗との間において前記入力側電圧に対して並列に接続され前記第1のスイッチを駆動する駆動手段と、前記駆動手段に直列に接続された第2のスイッチと、前記第2のスイッチのオン・オフを制御する制御手段と、を備え、入力側の電圧が所定値以上になるまでは前記制限抵抗を介して前記電源に電流を供給し、所定値以上となった場合には前記制限抵抗を介さずに前記電源に電流を供給する突入電流防止回路において、前記入力電圧スイッチがオンN時に、前記入力側電圧を入力とする前記制御手段は、所定の遅延時間の後に、前記第2のスイッチをオンし、その結果前記第1のスイッチがオンして前記制限抵抗が短絡され、前記入力電圧スイッチがOFF時に、前記制御手段は、前記第2のスイッチを直ちにオフして、初期状態に戻る、ように制御する、ことを特徴とする突入電流防止回路が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0026】
【特許文献1】特開2005−198357号公報
【特許文献2】特開平10−143259号公報(特許第2865085号)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0027】
以下に関連技術の分析を与える。
【0028】
関連技術1では、常時、抵抗Rsでの損失が発生しており、特に、消費電力が大きい負荷用の電源では、抵抗Rsの損失が無視できなくなる。このため、関連技術1の電源装置は、消費電力が相対的に大きくない負荷向け(小容量向け)の電源装置等に用途が限定されることになる。
【0029】
また、関連技術2では、スイッチ2A、2Bから出力される直流電源電圧(平滑用コンデンサC2の端子間電圧)を監視し、スイッチ2A、2Bがオフした後に、負荷での電力消費により入力電圧が低下し、検出電圧以下になった時にMOSFET Q2をオフとすることで、スイッチ2A、2Bの再オンにおいて、突入電流を抑制している。
【0030】
しかしながら、負荷での電力消費が相対的に少ない場合には、平滑用コンデンサC2の放電電流が少なくなり、スイッチ2A、2Bのオフ後の平滑用コンデンサC2の端子間電圧が検出電圧に下るまでの時間が長くなる。このため、スイッチ2A、2Bをオフしたのち短時間での再びスイッチ2A、2Bをオンした時に、MOSFET Q2がオン状態のままであるため、MOSFET Q2や平滑用コンデンサ等に突入電流が流れ、破損を招く場合がある。
【0031】
また、検出電圧を入力電圧の変動範囲の下限より低く設定することが必要とされる。このため、入力電圧範囲を広くした場合、定常時の入力電圧と、MOSFET Q2がオフする検出電圧までの電圧差が大きいため、スイッチ2A、2Bのオフから検出電圧にまで低下する時間はさらに長くなる。よって、突入電流による部品破損を防ぐために、スイッチ2A、2Bの再オン不可の時間をさらに長く設定することが必要とされる。
【0032】
このように、関連技術2においては、スイッチ2A、2Bのオフから再オンまでの時間を長くするか、あるいは、スイッチ2A、2Bのオフ時に平滑用コンデンサC2を強制的に放電させるような回路を新たに設けることが必要となる。
【0033】
負荷への電源供給を正極側と負極側の両方で切り離すためのスイッチ2A、2Bとして、例えばノンヒューズブレーカ(NFB:Non−Fuse Breaker)、配線用遮断器(MCCB:Molded Case Circuit Breaker)等が用いられているが、機械的な接点であるため、正極側または負極側のいずれかの接点が溶着もしくは機械的な故障により導通状態のままとなっても、他方の接点が正常である場合がある。この結果、スイッチ2A、2Bのオン・オフにより、負荷への給電のオン・オフが可能となってしまう。この時、一方のスイッチの接点が導通状態であるため、スイッチ2A、2Bがオフでも負荷への給電パスがハイインピーダンスとならず、特に、負荷に操作者が触れるような場合、導通状態のままの接点側から人体に電流が流れ、感電する。
【0034】
したがって、本発明の目的は、スイッチのオン、再オン時の突入電流を制限しつつ負荷との切り離しを確実・安全に行うことを可能とする電源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0035】
上記課題の少なくとも1つの解決を図る本発明は、特に制限されるものではないが、概略以下の構成とされる。本発明の一つの側面によれば、直流電源の一端に一端が接続されたスイッチと、負荷の一端と他端に一端と他端がそれぞれ接続される平滑用の第1のコンデンサと、前記直流電源の他端と前記第1のコンデンサの前記他端との間に接続された第1のスイッチ素子と、前記スイッチの他端と前記第1のコンデンサの前記一端との間に、並列に配置された第2のスイッチ素子及び第1の抵抗と、前記直流電源の前記一端の電圧と、前記第2のスイッチ素子と前記第1の抵抗の接続ノードの電圧との差分電圧が予め定められた所定の電圧以上であるか否かを検出する差分電圧検出回路と、前記スイッチのオン時、前記差分電圧検出回路において前記差分電圧が前記所定の電圧以下であると検出されると、前記第1スイッチ素子と前記第2のスイッチ素子をオンとし、前記スイッチのオフ時、前記差分電圧検出回路において前記差分電圧が前記所定の電圧以上であると検出されると、前記第1のスイッチ素子と前記第2のスイッチ素子をオフに設定する制御を行う駆動回路とを備えた電源装置が提供される。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、スイッチのオン及び再オン時の突入電流を制限しつつ負荷との切り離しを確実且つ安全に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の第1の実施形態の構成をブロックで示した図である。
【図2】本発明の第1の実施形態の回路構成の一例を示す図である。
【図3】関連技術1の回路構成を示す図である。
【図4】関連技術2の回路構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明の好ましい態様の1つによれば、直流電源装置は、直流電源(1)の一端に一端が接続されたスイッチ(6)と、負荷の一端と他端にそれぞれ一端と他端が接続される平滑用の第1のコンデンサ(C2)と、前記直流電源(1)の他端と、前記第1のコンデンサ(C2)の前記他端との間に接続された第1のスイッチ素子(10)と、前記スイッチ(6)の他端と、前記第1のコンデンサ(C2)の前記一端との間に、並列に挿入された第2のスイッチ素子(12)と第1の抵抗(R7)と、前記直流電源(1)の前記一端と、前記第1の抵抗(R7)と第2のスイッチ素子(12)との接続点の電圧の差分電圧が予め定められた所定の電圧以上であるか否かを検出する差分電圧検出回路(8)と、前記スイッチ(6)がオンしたときに、前記差分電圧検出回路(8)において前記差分電圧が予め定められた所定の電圧以下であることが検出されると、該検出結果を受けて、前記第1のスイッチ素子(10)と前記第2のスイッチ素子(12)をそれぞれオンとし、前記スイッチ(6)がオンからオフとなり、前記差分電圧検出回路(8)において前記差分電圧が前記所定の電圧以上であることが検出されると、該検出結果を受けて、前記第1のスイッチ素子(10)と前記第2のスイッチ素子(12)をオフに設定する制御を行う第1、第2の駆動回路(第1、第2の遅延機能付き駆動回路9、11)を備えている。さらに、スイッチ(6)の他端と、第2のスイッチ素子(12)の一端の間に負荷の短絡などの過電流保護のためのヒューズ(7)を備えた構成とされる。
【0039】
本発明の好ましい態様の1つによれば、第1、第2の駆動回路(第1、第2の遅延機能付き駆動回路9、11)は、前記スイッチ(6)がオフ状態からオンとなり、前記差分電圧検出回路(8)において前記差分電圧が前記所定の電圧以下であると検出されると、該検出結果を受けて、それぞれ、第1の遅延時間と第2の遅延時間を設けて、前記第1のスイッチ素子(10)と前記第2のスイッチ素子(12)をオフからオンとする。前記第2の遅延時間は、前記第1の遅延時間よりも長い。本発明の好ましい態様の1つによれば、第1、第2の駆動回路(第1、第2の遅延機能付き駆動回路9、11)は、前記スイッチ(6)がオン状態からオフしたときに、前記差分電圧検出回路(8)において前記差分電圧が前記所定の電圧以上であると検出されると、該検出結果を受けて、それぞれ、前記第1のスイッチ素子(10)と前記第2のスイッチ素子(12)をオンからオフとする。
【0040】
本発明の好ましい態様の1つによれば、第1のスイッチ素子(10)がオンした後、前記第1の抵抗(R7)による平滑用の第1のコンデンサ(C2)の充電が完了後に、第2のスイッチ素子(12)がオンするように第2の駆動回路(11)の第2の遅延時間を設定することで、スイッチ(6)のオン後、第1のスイッチ素子(10)がオンし、その後、第2のスイッチ素子(12)がオンすることとなり、スイッチ(6)と同時に第1のスイッチ素子(10)及び第2のスイッチ素子(12)がオンすることはない。
【0041】
本発明の好ましい態様の1つによれば、スイッチ(6)のオフ時に、負荷(5)への給電パスをハイインピーダンスとし、スイッチ(6)のオフ後の短い時間での再オン時における突入電流を抑制することができる。
【0042】
本発明の好ましい態様の1つにおいて、差分電圧検出回路(8)は、前記直流電源(1)の一端に第1端子が接続された第1のトランジスタ(Q3)と、前記第1の抵抗(R7)と前記第2のスイッチ素子(12)の前記スイッチ(6)側の接続ノードに一端が接続された第1のダイオード(D3)と、前記第1のトランジスタ(Q3)の制御端子(ベース)と前記第1のダイオード(D3)の他端との間に直列形態に接続された、第2のダイオード(D2)と第2の抵抗(R13)、又は、第2のダイオード(D2)を備えた構成としてもよい。
【0043】
本発明の好ましい態様の1つにおいて、第1の駆動回路(遅延機能付き駆動回路9)は、前記差分電圧検出回路(8)の前記第1のトランジスタ(Q3)の第2端子(コレクタ)と前記直流電源(1)の他端(負極)間に接続される第2、第3の抵抗(R9、R10)からなる第1の分圧抵抗と、前記第1のスイッチ素子(10)の制御端子と前記直流電源(1)の他端(負極)の間に一端が接続され、前記第1の分圧抵抗の分圧電圧を制御端子に受ける第2のトランジスタ(Q4)と、前記第1のスイッチ素子(10)の制御端子と前記直流電源(1)の他端(負極)の間に並列に接続された第4の抵抗(R11)と第2のコンデンサ(C3)と、前記差分電圧検出回路(8)の前記第1のダイオード(D3)の他端と前記第1のスイッチ素子(10)の制御端子の間に接続された第4の抵抗(R12)と、を備えた構成としてもよい。
【0044】
本発明の好ましい態様の1つにおいて、前記第2の駆動回路(遅延機能付き駆動回路11)は、前記差分電圧検出回路(8)の前記第1のトランジスタ(Q3)の第2端子と前記直流電源(1)の他端(負極)間に接続される発光ダイオード(13a)と、前記第1の抵抗(R7)と前記第2のスイッチ素子(12)の前記スイッチ(6)側の接続ノードと前記第2のスイッチ素子(12)の制御端子との間に並列に接続された、フォトトランジスタ(13b)と、第3のコンデンサ(C1)と、第5の抵抗(R5)と、前記第2のスイッチ素子(12)の制御端子と、前記第1のスイッチ素子(10)と前記第1のコンデンサ(C2)の他端の接続ノード間に接続された第6の抵抗(R6)と、を備えた構成としてもよい。
【0045】
本発明の一実施形態において、前記第1のスイッチ素子(10)は、前記平滑用の第1のコンデンサ(C2)の他端と前記直流電源(1)の他端(負極)間に接続されたMOSトランジスタ(Q5)、又は、第3のダイオード(D4)とMOSトランジスタ(Q5)の直列回路を備えた構成としてもよい。以下、実施形態について説明する。
【0046】
<基本構成>
図1は、本発明の基本構成をブロック図で示したものである。図1を参照すると、直流電源1の正極側に配設されたスイッチ6及びヒューズ7の直列回路と、平滑用コンデンサ(電解コンデンサ)C2と、直流電源1の負極側と平滑用コンデンサ(電解コンデンサ)C2の負極端子間に設けられた第1のスイッチ素子10と、スイッチ6とヒューズ7の直列回路の直流電源1に接続する側と反対側の一端と、平滑用コンデンサ(電解コンデンサ)C2の正極端子との間に接続され負荷5への突入電流を抑制する抵抗R7と、抵抗R7に並列に接続された第2のスイッチ素子12と、直流電源1の正極電圧と、第2のスイッチ素子12と抵抗R7の接続ノード(平滑用コンデンサC2、負荷5の正極側の電圧)の電圧の差分が、予め定められた所定の電圧以上であるか否かを検出する差分電圧検出回路8と、第1のスイッチ素子10をオン・オフする第1の遅延機能付き駆動回路9と、第2のスイッチ素子12をオン・オフする第2の遅延機能付き駆動回路11と、を備えている。
【0047】
スイッチ6のオン時、差分電圧検出回路8において、直流電源1の正極側の電圧と、第2のスイッチ素子12と抵抗R7との接続点の電圧の差分電圧が、予め定められた所定の電圧以下であることを検出すると、当該検出に応答して、第1の遅延機能付き駆動回路9は、所定の遅延時間(時定数)を設けて第1のスイッチ素子10をオンし、平滑用コンデンサC2と負荷5へ抵抗R7による電流制限を行いながら充電し、第2の遅延機能付き駆動回路11は、当該検出に応答して所定の遅延時間(時定数)を設けて、平滑用コンデンサC2の充電完了後、第2のスイッチ素子12をオンする。
【0048】
スイッチ6がオフのとき、差分電圧検出回路8において、負荷5の電力消費に伴う直流電源1の正極電圧と、第2のスイッチ素子12と抵抗R7との接続点の電圧の差分を検出し、該差分電圧が予め定められた所定値以上であることを検出すると、該検出に応答して、第1の遅延機能付き駆動回路9と第2の遅延機能付き駆動回路11は、それぞれ、第1のスイッチ素子10と第2のスイッチ素子12をオフする。
【0049】
図2は、本発明の一実施形態の構成を示す図であり、図1の各ブロックを素子レベル(トランジスタレベル)で示したものである。
【0050】
図2を参照すると、pnp型バイポーラトランジスタQ3、ダイオードD2、抵抗R13、ダイオードD3は、図1の差分電圧検出回路8を構成している。バイポーラトランジスタQ3のエミッタは直流電源1の一端(正極)とスイッチ6の一端の接続ノードに接続され、ベースはダイオードD2のアノードに接続されている。ダイオードD2のカソードは抵抗R13を介してダイオードD3のカソードに接続されている。ダイオードD3のアノードは、ヒューズ7のスイッチ6に接続する側と反対側の一端に接続されている。
【0051】
npn型バイポーラトランジスタQ4とコンデンサC3と抵抗R9、R10、R11、R12は、図1の第1の遅延機能付き駆動回路9を構成している。抵抗R9の一端はバイポーラトランジスタQ3のコレクタに接続され、抵抗R9の他端は抵抗R10の一端とバイポーラトランジスタQ4のベースの接続点に接続され、バイポーラトランジスタQ4のコレクタ、抵抗R11の一端、コンデンサC3の一端は、nチャネルMOSFET Q5のゲートに接続されるとともに、一端がダイオードD3のカソードに接続された抵抗R12の他端に接続されており、抵抗R10、バイポーラトランジスタQ4、抵抗R11の他端、コンデンサC3の他端、MOSFET Q5のソースは共通接続され、直流電源1の負極に接続されている。
【0052】
フォトカプラ13a、13b(発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)13aとフォトトランジスタ13bからなる)と、コンデンサC1と、抵抗R5、R6、R8は、第2の遅延機能付き駆動回路11を構成している。抵抗R8の一端はバイポーラトランジスタQ3のコレクタに接続され、抵抗R8の他端はLED13aのアノードに接続され、LED13aのカソードは直流電源1の負極に接続されている。また、フォトトランジスタ13b、コンデンサC1、抵抗R5は、ヒューズ7とMOSFET Q2のソースと抵抗R7の一端の接続ノードと、pチャネルMOSFET Q2のゲート間に並列に接続されており、抵抗R6の一端はpチャネルMOSFET Q2のゲートに接続され、他端はコンデンサC2の負極端子に接続されている。
【0053】
nチャネルMOSFET Q5とダイオードD4は、図1の第1のスイッチ素子10に対応し、ダイオードD4は、nチャネルMOSFET Q5のソース・ドレイン間の寄生ダイオードによる直流電源1の負極側から負荷5への流れ込みを防止するためのものであり、装置により、該電流が流れない場合は、不要となる。ダイオードD4のアノードは抵抗R6のpチャネルMOSFET Q2に接続される側と反対側の他端と平滑用コンデンサC2の負極側との接続ノードに接続され、カソードは、nチャネルMOSFET Q5のドレインに接続されている。
【0054】
pチャネルMOSFET Q2は、図1の第2のスイッチ素子12に対応し、ソースとドレイン間には抵抗R7が接続されている。
【0055】
<実施形態の動作>
次に、スイッチ6のオン・オフによるMOSFET Q2、Q5のオン・オフのタイミングの動作と、平滑用コンデンサC2と負荷5への突入電流の動作について以下に説明する。
【0056】
<スイッチがオフ状態>
スイッチ6がオフの時、平滑用のコンデンサC2及び負荷5へは、直流電源1から給電されないため、ダイオードD3のアノード電圧は0Vとなり、差分電圧検出回路8のバイポーラトランジスタQ3には、ダイオードD2、抵抗R13、R12、R11を介して、ベース電流が流れオンする。
【0057】
バイポーラトランジスタQ3のオンにより、第1の遅延機能付き駆動回路9では、バイポーラトランジスタQ4のベースに、直流電源電圧を抵抗R9、R10で分圧した電圧が印加され、バイポーラトランジスタQ4はオンとなる。
【0058】
バイポーラトランジスタQ4がオンとなると、バイポーラトランジスタQ4のコレクタに接続するnチャネルMOSFET Q5のゲートと、バイポーラトランジスタQ4のエミッタに接続するnチャネルMOSFET Q5のソースとの間が電気的に短絡され、nチャネルMOSFET Q5のゲート−ソース間電圧はnチャネルMOSFET Q5の閾値電圧以下となり、nチャネルMOSFET Q5はオフとなる。
【0059】
したがって、スイッチ6がオフの時は、nチャネルMOSFET Q5はオフとなり、平滑用のコンデンサC2と負荷5は、直流電源1からハイインピーダンスで切り離されることになる。なお、バイポーラトランジスタQ3のオンにより、第2の遅延機能付き駆動回路11では、フォトカプラ13a、13bがオンし、pチャネルMOSFET Q2(第2のスイッチ素子12)がオフする。LED13aが発光し、フォトダイオード13bで受光し、オン電流が流れ(導通し)、pチャネルMOSFET Q2のゲート・ソース間電圧は、閾値電圧以下となり、オフする。
【0060】
<スイッチをオフからオン>
次にスイッチ6をオフからオンにすると、直流電源1の正極と、ダイオードD3のアノードは、同電位となるため、差分電圧検出回路8では、バイポーラトランジスタQ3のベース−エミッタ間電圧VBEと、ダイオードD2の順方向電圧VF、抵抗R13の電圧降下の和が、ダイオードD3の順方向電圧VFにクランプされる。このため、バイポーラトランジスタQ3はオフする。
【0061】
バイポーラトランジスタQ3のオフにより、第1の遅延機能付き駆動回路9では、バイポーラトランジスタQ4がオフし、第2の遅延機能付き駆動回路11では、フォトカプラ13a、13bがオフする(LED13aに電流が流れず、発光しないため、フォトトランジスタ13bはオンしない)。
【0062】
バイポーラトランジスタQ3のオフにより、第1の遅延機能付き駆動回路9では、ダイオードD3、抵抗R12を介して、nチャネルMOSFFETQ5のゲート・ソース間に接続されているコンデンサC3を充電し、予め定められた所定時間(遅延時間)経過後、nチャネルMOSFET Q5のゲート・ソース間電圧が、閾値電圧以上になると、nチャネルMOSFET Q5はオンする。コンデンサC3の充電によるnチャネルMOSFET Q5がオンするまでの遅延時間を、スイッチ6のチャタリング時間(安定するまで接点がオン・オフを繰り返す)以上に設定することで、スイッチ6の溶着を防ぐことが可能となる。
【0063】
さらに、第2の遅延機能付き駆動回路11のフォトカプラ13bはオフしているため、nチャネルMOSFET Q5のオンにより、pチャネルMOSFET Q2のゲートに接続しているコンデンサC1を、抵抗R6を介して充電を開始するが、pチャネルMOSFET Q2のゲート−ソース間電圧(絶対値)が閾値電圧(絶対値)以下のため、pチャネルMOSFET Q2はオフのままとなり、平滑用コンデンサC2と負荷5は、抵抗R7を介して充電される。
【0064】
その後、予め定められた所定時間経過後、pチャネルMOSFET Q2のゲート・ソース間電圧(絶対値)は、コンデンサC1の充電により閾値電圧(絶対値)以上となり、pチャネルMOSFET Q2はオンする。
【0065】
コンデンサC1の充電によるpチャネルMOSFET Q2がオンまでの遅延時間を、抵抗R7を介しての平滑用コンデンサC2及び負荷5への充電が完了する時間以上に設定することで、pチャネルMOSFET Q2がオフからオンとなった時に流れる突入電流を少なくすることができる。
【0066】
以上から、スイッチ6をオフ状態からオンにすると、nチャネルMOSFET Q5がオンし、平滑用コンデンサC2と負荷5に対して、抵抗R7を介して充電電流が流れ、平滑用コンデンサC2の充電が完了後に、pチャネルMOSFET Q2がオンとなる。
【0067】
<スイッチをオンからオフ>
次に、スイッチ6をオンからオフにすると、直流電源1からの給電が断たれ、負荷5の電力消費により、平滑用コンデンサC2の端子間電圧が低下し、ダイオードD3のアノード電圧も低下することで、直流電源1の正極電圧とダイオードD3のアノード電圧の差が徐々に大きくなる。
【0068】
差分電圧検出回路8において、ダイオードD3のカソード電圧が低くなることにより、バイポーラトランジスタQ3、ダイオードD2、抵抗R13、R12を介して流れるベース電流が増加し、バイポーラトランジスタQ3はオンする。
【0069】
差分電圧検出回路8のバイポーラトランジスタQ3のオンにより、第1の遅延機能付き駆動回路9では、バイポーラトランジスタQ4がオンし、コンデンサC3を放電させ、nチャネルMOSFET Q5はゲート電圧の低下により、オフする。
【0070】
また、バイポーラトランジスタQ3のオンにより、第2の遅延機能付き駆動回路11では、フォトカプラ13a、13bがオンし、コンデンサC1を放電させるとともに、pチャネルMOSFET Q2のゲートの電位がソース電圧に対して閾値電圧(絶対値)以下となり、オフする。
【0071】
差分電圧検出回路8の抵抗R13は、バイポーラトランジスタQ3をオンするときの直流電源1と負荷5への給電電圧の差分電圧を設定するために用いられ、抵抗値が小さいほど、差分電圧を小さく設定することができる。抵抗13の抵抗値が0Ω(抵抗13の両端を短絡:抵抗13の削除)であれば、バイポーラトランジスタQ3がオンする差分電圧は、バイポーラトランジスタQ3のベース−エミッタ間電圧VBEと、ダイオードD2の順方向電圧VFの和となり、2V以下とすることが可能となる。
【0072】
検出可能な差分電圧が小さい場合、スイッチ6をオンからオフしたときに負荷5の電力消費によるダイオードD3のアノード電圧の低下を短い時間で検出し、MOSFET Q5、Q2をオフできることになる。
【0073】
<スイッチを再度オン>
その後、再度、スイッチ6をオンしても、前記したスイッチ6のオフからオンの動作と同じ動作となり、nチャネルMOSFET Q5がオンした後に、平滑用コンデンサC2及び負荷5への抵抗R7を介しての充電が行われ、当該充電完了後に、pチャネルMOSFET Q2がオンとなり、スイッチ6の短期間でのオン・オフに対して、平滑用コンデンサC2及び負荷5への過大な突入電流が流れることはない。
【0074】
すなわち、直流電源1と負荷5との接続を切り離すためのスイッチ6及びnチャネルMOSFET Q5と、負荷5と平滑用コンデンサC2の突入電流制限用の抵抗R7と並列に接続したpチャネルMOSFET Q2と、直流電源1と負荷5の差分電圧を検出する差分電圧検出回路8を設けることで、スイッチ6のオフ後に直流電源1の電圧と負荷5の電圧低下による差分電圧を検出し、MOSFET Q2、Q5を短時間でオフし、短い時間でのスイッチ6の再オンにおいても突入電流を抑制することができる。
【0075】
スイッチ6のオフにより、スイッチ6とnチャネルMOSFET Q5により、負荷5とはハイインピーダンスで切り離されることになり、負荷5に人が触れた場合でも、電流が流れることはなく、感電は回避される。
【0076】
また、MOSFET Q5、Q2のオフからオンにそれぞれ遅延時間を設けることで、スイッチ6のチャタリングや短時間でのオン・オフを繰り返し行ってもMOSFET Q5、Q2がオンすることなく、スイッチ6のオン後の一定時間経過後に、MOSFET Q5、Q2がオンし、突入電流の抑制やスイッチ6の溶着を防ぐことができる。
【0077】
なお、図1、図2において、差分電圧検出回路8は、直流電源1の正極電圧と、抵抗R7と第2のスイッチ素子12の一端(pチャネルMOSFET Q2のソース)の接続点(スイッチ6側の接続点)の電圧の差分電圧を検出しているが、直流電源1の正極電圧と、抵抗R7と第2のスイッチ素子12の他端(pチャネルMOSFET Q2のドレイン)の接続点(平滑用コンデンサC2の正極端子との接続点)の電圧の差分電圧を検出する構成としてもよい。
【0078】
また上記実施形態において、トランジスタ(バイポーラトランジスタとMOSFET)の極性は一例を示したものであり、本発明において、トランジスタの種別、極性等は、実施形態の開示に限定されるものでないことは勿論である。
【0079】
以下、上記特許文献2と上記実施形態との相違点について概説する。上記特許文献2においては、電源とは別にスイッチ手段をオン/オフ制御する制御手段(特許文献2図1のC)を具備しており、スイッチ1のオフによる制御手段Cの抵抗8、9による電圧レベルの低下を検出し、スイッチ4(リレー接点)の制御を行っており、電源内の平滑用コンデンサの端子間電圧VCとは無関係の制御動作となっている。
【0080】
本実施形態においては、差分電圧検出回路8は、スイッチ6がオフした時にスイッチ6の後段の電圧低下をスイッチ6の前段側の直流電源電圧との差分として検出を行い、差分電圧が予め定められた所定電圧以上になった時に、第1のスイッチ素子10と第2のスイッチ素子12をオフとすることで、スイッチ6の再オンにおいても突入電流を抑制している。本実施形態では、再オン時の突入電流を抑制するために、スイッチ6のオフ時における入力との相対的な差分電圧を検出している。特許文献2では、独立した電圧検出回路で絶対値としての電圧レベルを検出している。
【0081】
なお、上記の特許文献の各開示を、本書に引用をもって繰り込むものとする。本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態の変更・調整が可能である。また、本発明の請求の範囲の枠内において種々の開示要素の多様な組み合わせないし選択が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。
【符号の説明】
【0082】
1 直流電源
2、2A、2B スイッチ(ブレーカ)
3 基準電圧
4 コンパレータまたはオペアンプ
5 負荷
6 スイッチ
7 ヒューズ
8 差分電圧検出回路
9 第1の遅延機能付き駆動回路
10 第1のスイッチ素子
11 第2の遅延機能付き駆動回路
12 第2のスイッチ素子
13a、13b フォトカプラ
C1、C3 コンデンサ
C2 平滑用コンデンサ
D1、D2、D3 ダイオード
D4 逆流防止ダイオード
Q1、Q3、Q4 バイポーラトランジスタ
Q2、Q5 MOSFET
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R8、R9、R10、R11、R12、R13 抵抗
R7 突入電流防止用抵抗
Rs 検出抵抗
Z1、Z2 インピーダンス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電源の一端に一端が接続されたスイッチと、
負荷の一端と他端に一端と他端がそれぞれ接続される平滑用の第1のコンデンサと、
前記直流電源の他端と前記第1のコンデンサの前記他端との間に接続された第1のスイッチ素子と、
前記スイッチの他端と前記第1のコンデンサの前記一端との間に、並列に配置された第2のスイッチ素子及び第1の抵抗と、
前記直流電源の前記一端の電圧と、前記第2のスイッチ素子と前記第1の抵抗の接続ノードの電圧との差分電圧が予め定められた所定の電圧以上であるか否かを検出する差分電圧検出回路と、
前記スイッチのオン時、前記差分電圧検出回路において前記差分電圧が前記所定の電圧以下であると検出されると、前記第1スイッチ素子と前記第2のスイッチ素子をオンとし、
前記スイッチのオフ時、前記差分電圧検出回路において前記差分電圧が前記所定の電圧以上であると検出されると、前記第1のスイッチ素子と前記第2のスイッチ素子をオフに設定する制御を行う駆動回路と、
を備えたことを特徴とする電源装置。
【請求項2】
前記駆動回路が、前記差分電圧検出回路での検出結果を受ける前記第1、第2の遅延機能付き駆動回路を備え、
前記第1遅延機能付き駆動回路と前記第2の遅延機能付き駆動回路は、前記スイッチがオフ状態からオンとなり、前記差分電圧検出回路において前記差分電圧が前記所定の電圧以下と検出されると、それぞれ、第1の遅延時間と第2の遅延時間を設けて前記第1第1のスイッチ素子と前記第2のスイッチ素子をオフからオンとし、前記第2の遅延時間は前記第1の遅延時間よりも長い、ことを特徴とする請求項1記載の電源装置。
【請求項3】
前記第1遅延機能付き駆動回路と前記第2の遅延機能付き駆動回路は、前記スイッチがオン状態からオフしたときに、前記差分電圧検出回路において前記差分電圧が前記所定の電圧以上と検出されると、それぞれ、前記第1のスイッチ素子と前記第2のスイッチ素子をオンからオフとする、ことを特徴とする請求項2記載の電源装置。
【請求項4】
前記第2の遅延時間は、前記第1の抵抗を介して前記第1のコンデンサの充電完了に要する時間に対応している、ことを特徴とする請求項2記載の電源装置。
【請求項5】
前記第1の遅延時間は、前記スイッチのチャタリング時間以上に設定されている、ことを特徴とする請求項2又は4記載の電源装置。
【請求項6】
前記差分電圧検出回路が、
前記直流電源の前記一端に第1端子が接続された第1のトランジスタと、
前記第1の抵抗と前記第2のスイッチ素子との前記スイッチ側の接続ノードに一端が接続された第1のダイオードと、
前記第1のトランジスタの制御端子と前記第1のダイオードの他端との間に接続された、第2のダイオードと第2の抵抗の直列回路、又は、第2のダイオードを備えている、ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電源装置。
【請求項7】
前記第1の遅延機能付き駆動回路は、前記差分電圧検出回路の前記第1のトランジスタの第2端子と前記直流電源の前記他端との間に接続される、第2の抵抗と第3の抵抗からなる第1の分圧抵抗と、
前記第1のスイッチ素子の制御端子と前記直流電源の他端の間に接続され、前記第1の分圧抵抗の分圧電圧を制御端子に受ける第2のトランジスタと、
前記第1のスイッチ素子の制御端子と前記直流電源の他端の間に並列に接続された第4の抵抗と第2のコンデンサと、
前記差分電圧検出回路の前記第1のダイオードの他端と前記第1のスイッチ素子の制御端子の間に接続された第4の抵抗と、
を備えている、ことを特徴とする請求項6記載の電源装置。
【請求項8】
前記第2の遅延機能付き駆動回路は、前記差分電圧検出回路の前記第1のトランジスタの第2端子と前記直流電源の前記他端との間に接続される発光ダイオードと、
前記第1の抵抗と前記第2のスイッチ素子の前記スイッチ側の接続ノードと前記第2のスイッチ素子の制御端子との間に並列に接続された、フォトトランジスタと、第3のコンデンサと、第5の抵抗と、
前記第2のスイッチ素子の制御端子と、前記第1のスイッチ素子と前記第1のコンデンサの他端の接続ノード間に接続された第6の抵抗と、
を備えている、ことを特徴とする請求項6又は7に記載の電源装置。
【請求項9】
前記第1のスイッチ素子は、
MOSトランジスタ、
又は、
MOSトランジスタと第3のダイオードとの直列回路
を備え、
前記第2のスイッチ素子は、MOSトランジスタからなる、ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の電源装置。
【請求項10】
前記第1、第2のトランジスタは、バイポーラトランジスタからなる、ことを特徴とする請求項7記載の電源装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2012−157146(P2012−157146A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−13590(P2011−13590)
【出願日】平成23年1月26日(2011.1.26)
【出願人】(000232254)日本電気通信システム株式会社 (586)
【Fターム(参考)】