説明

電磁弁駆動装置

【課題】リーク故障時にリーク量に応じてブレーキ制御が継続できるようにする。
【解決手段】各種電磁弁のリーク量を検出し、リーク量が作動電流未満、かつ、作動維持電流以上であるような異常状態が発生していることを判定している。このような異常状態は、リーク故障の中でも、一旦、電磁弁のソレノイドへの通電を停止することで電磁弁をリーク故障が発生していない状態に戻すことができる状態である。このため、異常状態であることが判定されると、総括スイッチング素子である半導体スイッチング素子82をオフすることで、ソレノイドへの通電をオフしたのち、所定時間経過後に半導体スイッチング素子82を再びオンすることで、ブレーキ制御による個別スイッチング素子のオンオフ駆動を許可すれば、リーク量に応じてEBD制御を継続することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管路中の流体の流動を制御する電磁弁を駆動するための電磁弁駆動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両におけるブレーキ制御は、ブレーキ液圧制御用アクチュエータに備えられる電磁弁やポンプ駆動用のモータを駆動することによって行われている。このようなブレーキ制御に用いられるブレーキ液圧制御用アクチュエータでは、電磁弁を駆動するためのソレノイド(ソレノイドコイル)にリーク電流が流れるというリーク故障が発生することがある。リーク電流は、ソレノイドへの電流のオンオフを制御するための半導体スイッチング素子のリークや配線の短絡などによって発生する。このようなリーク電流については、例えば特許文献1にリーク検出・判定が可能な負荷駆動回路等によって検出することができる。
【0003】
このようなリーク故障が発生した場合、適切なブレーキ制御が行えなくなる可能性がある。このため、例えば、ブレーキ制御を行う装置が故障したことを示すウォーニングランプを点灯すると共に、電磁弁駆動を禁止することで、ブレーキ制御を禁止し、通常ブレーキ(ノーマルブレーキ)に戻している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−24815号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、リーク故障の程度、つまりリーク電流の大きさによっては、ブレーキ制御が行われることを禁止することまで要求されない場合がある。このような場合には、電磁弁駆動を禁止してブレーキ制御が行われることを禁止してしまうよりも、実行可能なブレーキ制御については実行できるようにする方が好ましい。例えば、ブレーキ制御が行われることが禁止されると、ポンプによるブレーキ液圧の吐出作用に基づくホイールシリンダ圧の加圧(以下、ポンプ加圧という)が必要な坂路発進補助制御やEBD(Electronic Brake force Distribution)制御(電子制動力配分制御)等のブレーキ制御についても実行できなくなるが、できる限りこれらの制御が実行できるようにすることが望まれる。
【0006】
本発明は上記点に鑑みて、リーク故障時にリーク量に応じてブレーキ制御が継続できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、複数の電磁弁(16〜18、21、22、36〜38、41、42)それぞれを駆動するための複数のソレノイドに対して直流電源(+B)からの通電のオンオフを総括して制御する共通の総括スイッチング素子(82)を備えていると共に、複数のソレノイド毎に設けられ、複数のソレノイドそれぞれに対する通電のオンオフを制御する個別スイッチング素子(83)とを備えてなる電磁弁駆動装置において、複数のソレノイドそれぞれのリーク電流の大きさであるリーク量が複数の電磁弁それぞれの弁体を移動させるのに必要とされる作動電流未満であり、かつ、複数の電磁弁それぞれの弁体の位置を維持することができる作動維持電流以上である異常状態を判定する判定手段(150、160、240、250)と、判定手段により異常状態であることが判定されると、総括スイッチング素子をオフすることで、複数の電磁弁それぞれの複数のソレノイドへの通電をオフしたのち、所定時間経過後に総括スイッチング素子を再びオンすることで、ブレーキ制御による個別スイッチング素子のオンオフ駆動を許可する制御手段(110、120、170、180、210、220、260、270)とを備えことを特徴としている。
【0008】
このように、ソレノイドのリーク量を検出し、リーク量が作動電流未満、かつ、作動維持電流以上であるような異常状態が発生していることを判定している。このような異常状態では、一旦、電磁弁のソレノイドへの通電を所定時間だけ停止すれば電磁弁の開閉状態はリーク故障が発生していない状態に戻る。そこで、上記異常状態であることが判定されると、総括スイッチング素子をオフさせて複数の電磁弁それぞれの複数のソレノイドへの通電をオフとし、所定時間経過後に総括スイッチング素子を再びオンさせる。こうして電磁弁の開閉状態をリーク故障が発生していない状態に戻した上で、上記異常状態であることが判定されたソレノイド以外のソレノイドに対応する個別スイッチング素子のオンオフによるブレーキ制御を許可する。これにより、リーク故障が発生したとしても、そのリーク量が上記異常状態の条件を満たす場合には、ブレーキ制御のすべてを禁止することなく、ブレーキ制御を継続することができる。
【0009】
例えば、電磁弁として、マスタシリンダ(13)と複数のホイールシリンダ(14、15、34、35)との間を接続する管路(A、E)の遮断状態および差圧状態を制御する差圧制御弁(16、36)と、複数のホイールシリンダそれぞれに対応して備えられ、該複数のホイールシリンダそれぞれの増圧を制御する増圧制御弁(17、18、37、38)と、複数のホイールシリンダそれぞれに対応して備えられ、該複数のホイールシリンダそれぞれの減圧を制御する減圧制御弁(21、22、41、42)とを有して構成される液圧ブレーキ装置が知られている。このような液圧ブレーキ装置では、増圧制御弁のオンオフによりEBD制御を実施することが考えられるが、EBD制御に際しては、差圧制御弁は開状態であり、減圧制御弁は閉状態であればよく、これらの差圧制御弁および減圧制御弁をオンオフさせる必要は無い。
【0010】
そこで、請求項2に記載の発明では、制御手段は、判定手段にて異常状態であることが判定されているソレノイドが後輪(RL、RR)の増圧制御弁以外の電磁弁に対応するものである場合には、ブレーキ制御として増圧制御弁のオンオフによるEBD制御を許可するようにしている。
【0011】
このように、リーク故障しているのがどの電磁弁か、つまり後輪の増圧制御弁以外の電磁弁であるか否かと、リーク量に基づいて、EBD制御を行うことを許可するか、禁止するかを決定することができる。これにより、リーク故障が発生した場合すべてにおいてEBD制御を禁止するのではなく、リーク量に応じてEBD制御を継続できるし、リーク故障したのがどの電磁弁であるかに応じてEBD制御を継続することも可能となる。
【0012】
また、電磁弁として、マスタシリンダと複数のホイールシリンダとの間を接続する管路の遮断状態および差圧状態を制御する差圧制御弁と、複数のホイールシリンダそれぞれに対応して備えられ、該複数のホイールシリンダそれぞれの増圧を制御する増圧制御弁と、複数のホイールシリンダそれぞれに対応して備えられ、該複数のホイールシリンダそれぞれの減圧を制御する減圧制御弁と、管路のうち差圧制御弁よりもホイールシリンダ側にブレーキ液をと出するポンプおよび該ポンプを駆動するモータとを有して構成される液圧ブレーキ装置が知られている。
【0013】
このような液圧ブレーキ装置では、差圧制御弁を差圧状態にしつつモータ(60)への通電を行ってポンプ(19、39)によるブレーキ液の吐出動作を行うことで、ブレーキ制御としてホイールシリンダをポンプ加圧して停車時の発進補助を行う坂路発進補助制御を実行することも考えられるが、この坂路発進補助制御に際しては、増圧制御弁は開状態であり、減圧制御弁は閉状態であればよく、これら増圧制御弁および減圧制御弁をオンオフさせる必要は無い。
【0014】
そこで、請求項3に記載の発明では、制御手段は、判定手段にて異常状態であることが判定されているソレノイドが差圧制御弁以外の電磁弁に対応するものである場合には、ブレーキ制御として坂路発進補助制御を許可するようにしている。
【0015】
このように、リーク量に基づいて、坂路発進補助制御を行うことを許可するか、禁止するかを決定することもできる。これにより、リーク故障が発生した場合すべてにおいて坂路発進補助制御を禁止するのではなく、リーク量に応じて坂路発進補助制御を継続することが可能となる。
【0016】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる電磁弁駆動装置によって駆動される各種電磁弁を含む車両用のブレーキ制御システム1の全体構成を示した図である。
【図2】各種電磁弁16〜18、21、22、36〜38、41、42やモータ60の駆動回路の一例を示した回路図である。
【図3】電磁弁のソレノイドに流す電流の大きさと電磁弁の作動状態を示した図である。
【図4】ブレーキ制御システム1のブレーキECU70が実行するEBD制御のフローチャートである。
【図5】ブレーキECU70が実行する坂路発進補助制御のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
【0019】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について説明する。図1は、本発明の第1実施形態にかかる電磁弁駆動装置によって駆動される各種電磁弁を含む車両用のブレーキ制御システム1の全体構成を示したものである。このブレーキ制御システム1によって、坂路発進補助制御や失陥制御等のブレーキ制御を行っている。以下、この図を参照して、ブレーキ制御システム1の構成について説明する。
【0020】
図1に示すように、ブレーキ制御システム1は、液圧回路が構成された液圧ブレーキ装置にて構成されている。図1において、ドライバがブレーキペダル11を踏み込むと、倍力装置12にて踏力が倍力され、M/C13に配設されたマスタピストン13a、13bを押圧する。これにより、これらマスタピストン13a、13bによって区画されるプライマリ室13cとセカンダリ室13dとに同圧のM/C圧が発生する。M/C圧は、ブレーキ液圧制御用アクチュエータ50を通じて各W/C14、15、34、35に伝えられる。なお、M/C13には、プライマリ室13cおよびセカンダリ室13dそれぞれと連通する通路を有するマスタリザーバ13eが備えられ、システム内のブレーキ液が常時適量となるようにされている。
【0021】
ブレーキ液圧制御用アクチュエータ50は、第1配管系統50aと第2配管系統50bとを有している。第1配管系統50aは、左前輪FLと右後輪RRに加えられるブレーキ液圧を制御し、第2配管系統50bは、右前輪FRと左後輪RLに加えられるブレーキ液圧を制御する。
【0022】
第1配管系統50aと第2配管系統50bとは、同様の構成であるため、以下では第1配管系統50aについて説明し、第2配管系統50bについては説明を省略する。
【0023】
第1配管系統50aは、上述したM/C圧を左前輪FLに備えられたW/C14及び右後輪RRに備えられたW/C15に伝達し、W/C圧を発生させる主管路となる管路Aを備える。
【0024】
また、管路Aは、連通状態と差圧状態に制御できる常開型の電磁弁で構成された第1差圧制御弁16を備えている。この第1差圧制御弁16は、ドライバがブレーキペダル11の操作を行う通常ブレーキ時(車両運動制御が実行されていない時)には連通状態となるように弁位置が調整されており、第1差圧制御弁16に備えられるソレノイドに電流が流されると、この電流値が大きいほど大きな差圧状態となるように弁位置が調整される。
【0025】
この第1差圧制御弁16が差圧状態のときには、W/C14、15側のブレーキ液圧がM/C圧よりも所定以上高くなった際にのみ、W/C14、15側からM/C13側へのみブレーキ液の流動が許容される。このため、常時W/C14、15側がM/C13側よりも所定圧力以上高くならないように維持される。
【0026】
管路Aは、この第1差圧制御弁16よりも下流になるW/C14、15側において、2つの管路A1、A2に分岐する。管路A1にはW/C14へのブレーキ液圧の増圧を制御する第1増圧制御弁17が備えられ、管路A2にはW/C15へのブレーキ液圧の増圧を制御する第2増圧制御弁18が備えられている。
【0027】
第1、第2増圧制御弁17、18は、連通・遮断状態を制御できる2位置電磁弁により構成されている。第1、第2増圧制御弁17、18は、第1、第2増圧制御弁17、18に備えられるソレノイドへの制御電流がゼロとされる時(非通電時)には連通状態となり、ソレノイドに制御電流が流される時(通電時)に遮断状態に制御されるノーマルオープン型となっている。
【0028】
管路Aにおける第1、第2増圧制御弁17、18及び各W/C14、15の間と調圧リザーバ20とを結ぶ減圧管路としての管路Bには、連通・遮断状態を制御できる2位置電磁弁により構成される第1減圧制御弁21と第2減圧制御弁22とがそれぞれ配設されている。そして、これら第1、第2減圧制御弁21、22はノーマルクローズ型となっている。
【0029】
調圧リザーバ20と主管路である管路Aとの間には還流管路となる管路Cが配設されている。この管路Cには調圧リザーバ20からM/C13側あるいはW/C14、15側に向けてブレーキ液を吸入吐出するモータ60によって駆動される自吸式のポンプ19が設けられている。モータ60は図示しないモータリレーに対する通電が制御されることで駆動される。
【0030】
そして、調圧リザーバ20とM/C13の間には補助管路となる管路Dが設けられている。この管路Dを通じ、ポンプ19にてM/C13からブレーキ液を吸入し、管路Aに吐出することで、ブレーキ制御時において、W/C14、15側にブレーキ液を供給し、対象となる車輪のW/C圧を加圧する。なお、ここでは第1配管系統50aについて説明したが、第2配管系統50bも同様の構成であり、第1配管系統50aに備えられた各構成と同様の構成を第2配管系統50bも備えている。具体的には、第1差圧制御弁16と対応する第2差圧制御弁36、第1、第2増圧制御弁17、18と対応する第3、第4増圧制御弁37、38、第1、第2減圧制御弁21、22と対応する第3、第4減圧制御弁41、42、ポンプ19と対応するポンプ39、リザーバ20と対応するリザーバ40、管路A〜Dと対応する管路E〜Hがある。
【0031】
また、ブレーキECU70は、ブレーキ制御システム1の制御系を司るもので、CPU、ROM、RAM、I/Oなどを備えた周知のマイクロコンピュータによって構成され、ROMなどに記憶されたプログラムに従って各種演算などの処理を実行する。このブレーキECU70によって各種電磁弁16〜18、21、22、36〜38、41、42やモータ60の駆動を行い、所定条件を満たした時に坂路発進補助制御やEBD制御等のブレーキ制御を行っている。
【0032】
図2は、各種電磁弁16〜18、21、22、36〜38、41、42やモータ60の駆動回路の一例を示した回路図である。なお、各種電磁弁16〜18、21、22、36〜38、41、42については、電磁弁駆動用のソレノイドを図示してある。
【0033】
この図に示されるように、モータ60および各種電磁弁16〜18、21、22、36〜38、41、42は、直流電源の電圧+B(例えば12V)に基づいて駆動され、ブレーキECU70によって例えばMOSFETからなる半導体スイッチング素子80〜83がオンオフ駆動されることによって制御される。
【0034】
モータ60のハイサイドおよびローサイドには、それぞれ半導体スイッチング素子80、81が備えられている。ハイサイド側の半導体スイッチング素子80は、イグニッションスイッチがオンされた後、基本的にはオンされる。このため、ローサイド側の半導体スイッチング素子81をオンオフさせることでモータ60への電流供給のオンオフを制御している。
【0035】
各種電磁弁16〜18、21、22、36〜38、41、42のハイサイド側には、総括的な1つの半導体スイッチング素子(総括スイッチング素子)82が備えられ、その半導体スイッチング素子82よりもローサイドにおいて各種電磁弁16〜18、21、22、36〜38、41、42が並列接続されている。すなわち、半導体スイッチング素子82は、直流電源から複数のソレノイドへの電源供給ラインのうちすべてのソレノイドが共有する共有部分に設けられている。第1、第2差圧制御弁16、36については、ソレノイドに対してシャント抵抗16a、36aが直列接続されており、このシャント抵抗16a、36aによってソレノイドに流れる電流値をモニタすることで、第1、第2差圧制御弁16、36が発生させている差圧値を監視できるようになっている。
【0036】
また、並列接続された各種電磁弁16〜18、21、22、36〜38、41、42への電流供給ラインそれぞれに半導体スイッチング素子83が備えられている。すなわち、半導体スイッチング素子83は、直流電源から複数のソレノイドへの電源供給ラインのうち各ソレノイドが個別に占有する占有部分に設けられる。ハイサイド側の半導体スイッチング素子82も、イグニッションスイッチがオンされた後、基本的にはオンされ、各電流供給ラインに備えられた半導体スイッチング素子83をオンオフさせることで各種電磁弁16〜18、21、22、36〜38、41、42への電流供給が行われる。
【0037】
なお、図2では、第1、第2差圧制御弁16、36のソレノイドに流れる電流をモニタできるシャント抵抗16a、36aについてしか図示していないが、各増圧制御弁17、18、37、38のソレノイドや各減圧制御弁21、22、41、42のソレノイドに流れる電流をモニタする手段も備えるようにしている。例えば、各増圧制御弁17、18、37、38のソレノイドや各減圧制御弁21、22、41、42のソレノイドの両端電圧を検出することでそこに流れる電流をモニタしても良いし、各ソレノイドに対してシャント抵抗を直列接続して電流をモニタしても良い。
【0038】
また、各半導体スイッチング素子80〜83には還流ダイオード80a〜83aが備えられており、半導体スイッチング素子80〜83がオンからオフに切替えたときに還流電流が流せるようにされている。また、第1、第2差圧制御弁16、36および各増圧制御弁17、18、37、38のソレノイドの両端間にも還流ダイオード90が接続されており、オンからオフに切替えた時に還流電流が流せるようにすることで、急激なオンオフが為されることにより発生する作動音を抑制できるようにしている。ただし、各減圧制御弁21、22、41、42のソレノイドには還流ダイオードが接続されていない。これは、ABS制御等の減圧時には、作動音の抑制よりも優先して、より各減圧制御弁21、22、41、42のオンオフ切替え速度を速くしたいためである。これにより、各減圧制御弁21、22、41、42をより早くオンオフ駆動することができる。
【0039】
以上のようにして、本実施形態にかかるブレーキ制御システム1が構成されている。次に、このようなブレーキ制御システム1のブレーキECU70が実行するブレーキ制御の一例として、EBD制御を実行する場合について説明する。なお、EBD制御の開始条件や具体的な前後制動力配分の設定方法については、従来と同様であり、リーク故障が発生したときのこれら各制御の実行の仕方が従来と異なる部分であるため、ここでは従来と異なる部分についてのみ説明する。
【0040】
EBD制御では、運転状況に合わせて、前後輪の制動力を最適に配分する制御を行う。このEBD制御では、前輪よりも先に後輪がロックすると不安定になることから、後輪の制動力を保持することで、後輪のW/C圧を増加させないようにして後輪先行ロックを防止する制御を行う。このため、EBD制御の開始条件を満たした時に、後輪RL、RRと対応する第2、第4増圧制御弁18、38のソレノイドへの通電をオンし、これらを遮断状態にする。
【0041】
このようなEBD制御を行うに際し、第2、第4増圧制御弁18、38がリーク故障していればEBD制御を行うことができないが、それ以外の電磁弁16、17、21、22、36、37、41、42がリーク故障していた場合には、リーク故障の程度によってEBD制御を実行することもできる。すなわち、第2、第4増圧制御弁18、38がリーク故障している場合、第2、第4増圧制御弁18、38の連通状態と遮断状態を適切に切替えることができないため、EBD制御を行うことができなくなる。これに対して、これら以外の電磁弁16、17、21、22、36、37、41、42がリーク故障していた場合には、リーク量(リーク電流の大きさ)に応じて、電磁弁16、17、21、22、36、37、41、42の弁位置をリーク故障が発生していない状態に戻せるか否かが決まる。そして、リーク故障が発生していない状態に戻せるのであれば、EBD制御を実行しても差し支えない。
【0042】
ここで、リーク量とリーク故障が発生していない状態に戻せるか否かの関係について説明する。図3は、電磁弁のソレノイドに流す電流の大きさと電磁弁の作動状態を示した図である。
【0043】
図3に示すように、電磁弁を駆動する際には、ソレノイドに対して作動電流、つまり電磁弁に備えられる弁体を移動させるのに必要とされる電流以上の大きさの電流を流すことにより電磁弁を駆動する。
【0044】
しかしながら、電磁弁を駆動したときに、電磁弁を駆動している状態を維持するためには、作動電流よりも小さな作動維持電流を流し続けるだけでよい。これは、電磁弁は磁気ヒステリシスを持っているためであり、電磁弁の弁体の位置とソレノイドに流す電流の関係はヒステリシスループを描き、弁体の位置を非通電の状態から動かす際に必要な電流(これが作動電流に相当する)と比較して、弁体を動かした後で同じ位置に弁体を保持しておくのに必要な電流(これが作動維持電流に相当)は小さい。
【0045】
このため、リーク量が作動電流未満であれば、一旦、電磁弁のソレノイドへの通電を停止すれば、再びリーク電流が流れても、作動電流に満たない作動維持電流程度の電流しか流れないため、弁体は移動せず、電磁弁をリーク故障が発生していない状態に戻すことが可能となる。一旦、電磁弁のソレノイドへの通電を停止するには、ハイサイドの半導体スイッチング素子82をオフすることで行うことができる。このように、リーク故障が発生したときに、リーク量が作動電流未満であれば、電磁弁を所定時間オフすることで、電磁弁をリーク故障が発生していない状態に戻すことができるため、EBD制御が行える状態に戻すことが可能となる。
【0046】
ただし、リーク量の検出に用いられるソレノイドの両端電圧もしくはシャント抵抗の両端電圧にはノイズが含まれているため、リーク電流が流れていなくても多少はリーク電流として認識される可能性がある。また、仮にリーク電流であったとしても、リーク量が作動保持電流未満であれば、電磁弁はリーク故障が発生していない状態に自然に戻るため、積極的に電磁弁を所定時間オフするという動作を行う必要も無い。したがって、リーク量が作動電流未満、かつ、作動維持電流以上であるような異常状態が発生していることを検出し、このような異常状態の場合に、一旦、ソレノイドへの通電を停止することで、電磁弁をリーク故障が発生していない状態に戻すことが可能となる。そして、所定時間経過後に再び半導体スイッチング素子82をオンすることで、ブレーキ制御による各半導体スイッチング素子83のオンオフ駆動を許可すれば、リーク量に応じてブレーキ制御を継続することが可能となる。
【0047】
このような知見に基づいて、以下のような制御を行っている。図4は、本実施形態にかかるブレーキ制御システム1のブレーキECU70が実行するEBD制御のフローチャートである。本図に示される処理は、イグニッションスイッチがオンしているときに所定の制御周期毎に実行される。
【0048】
まず、ステップ100では、リーク発生中であるか否かを判定する。具体的には、各種電磁弁16〜18、21、22、36〜38、41、42のリーク量を検出し、そのリーク量がリーク電流であると想定される程度の大きさであるか否かを判定している。ここで、否定判定されれば、リーク故障に対応する制御を実行する必要がないため、ステップ110に進み、EBD制御の要求が有るか否かを判定して、その要求があればステップ120に進んでEBD制御を開始し、その要求がなければそのまま処理を終了する。EBD制御の要求は、EBD制御の開始条件(例えば後輪のスリップ率が所定の閾値を超えた場合など)を満たした時に出され、その場合に後輪RL、RRと対応する第2、第4増圧制御弁18、38のソレノイドへの通電をオンして遮断状態にし、後輪RL、RRの制動力を保持することで後輪先行ロックを防止することができる。
【0049】
一方、ステップ100で肯定判定された場合には、ステップ130に進み、リーク発生中の電磁弁が後輪RL、RRに対応するもので、かつ、それが増圧制御弁であるか否か、つまり第2、第4増圧制御弁18、38であるか否かを判定する。すなわち、後輪RL、RRのW/C圧の保持に用いられる第2、第4増圧制御弁18、38がリーク故障した場合には、EBD制御を行うことができないが、それ以外の電磁弁がリーク故障したとしても、EBD制御を行うことが可能な場合がある。このため、リーク故障した電磁弁を特定し、それが第2、第4増圧制御弁18、38であれば、ステップ140に進む。そして、EBD制御を全制御禁止すると共に、図示しないウォーニングランプ(WL)を点灯させてEBD制御が行えないことをユーザに報知する。
【0050】
また、ステップ130で否定判定された場合には、ステップ150に進んでリーク量が作動電流以上であるか否かを判定する。ここで肯定判定された場合には、リーク故障する前の弁位置に一旦戻したとしても、再び半導体スイッチング素子82のソレノイドへの通電をオンしたときに、電磁弁に作動電流を超えるリーク電流が流れてリーク故障が発生することになる。このような場合には、リーク故障が発生した電磁弁が第2、第4増圧制御弁18、38以外であったとしても、EBD制御を行うことができない。したがって、ここで肯定判定された場合にはステップ140の処理を行い、否定判定された場合にステップ160に進む。
【0051】
ステップ160では、リーク量が作動維持電流未満であるか否かを判定する。ここで肯定判定された場合には、リーク電流ではなくノイズであるか、もしくは、リーク電流であったとしても電磁弁の状態が自然にリーク故障が発生していない状態に戻ることができる程度のリーク電流であるため、ステップ110に進んで、上記と同様の作動を行う。ここで否定判定された場合には、一旦、電磁弁のソレノイドへの通電を停止すれば、再びリーク電流が流れても、作動電流に満たない作動維持電流程度の電流しか流れないため、弁体は移動せず、電磁弁をリーク故障が発生していない状態に戻すことが可能である。
【0052】
したがって、ステップ170において半導体スイッチング素子82をオフからオンに切替えた経験が無いかを判定し、無ければステップ180に進んで半導体スイッチング素子82を所定時間オフしたのちオンに切替える。このような処理を行うことにより、電磁弁をリーク故障が発生していない状態に戻すことができる。そして、再び半導体スイッチング素子82をオンすることでリーク電流が流れても、作動電流に満たない作動維持電流程度の電流しか流れないため、弁体は移動せず、電磁弁をリーク故障が発生していない状態に戻したままの状態を維持できる。
【0053】
なお、このとき半導体スイッチング素子82をオフする時間として、電磁弁の弁位置をリーク電流が流れていないときの状態に戻すのに必要な時間以上に設定している。このため、半導体スイッチング素子82をオフしたときに、確実に電磁弁の弁位置をリーク電流が流れていないときの状態に戻すことができる。また、ステップ170において半導体スイッチング素子82をオフからオンに切替えた経験が無いか否かを判定しているが、有れば既に電磁弁の状態をリーク電流が流れる前に状態に戻すことが完了しているため、再びステップ180の処理を行うことはしない。
【0054】
これにより、EBD制御を実行できる状態に戻ることができるため、この後はステップ110に進み、EBD制御要求が有るか否かに基づいて上記と同様の処理を行う。
【0055】
以上説明したように、本実施形態では、各種電磁弁16〜18、21、22、36〜38、41、42のリーク量を検出し、リーク量が作動電流未満、かつ、作動維持電流以上であるような異常状態が発生していることを判定している。このような異常状態は、リーク故障の中でも、一旦、電磁弁のソレノイドへの通電を停止することで電磁弁をリーク故障が発生していない状態に戻すことができる状態である。このため、異常状態であることが判定されると、半導体スイッチング素子82をオフすることでソレノイドへの通電をオフしたのち、所定時間経過後に半導体スイッチング素子82を再びオンすることで、ブレーキ制御による個別スイッチング素子のオンオフ駆動を許可すれば、リーク量に応じてEBD制御を継続することが可能となる。
【0056】
また、本実施形態では、リーク故障しているのがどの電磁弁であるかと、リーク量に基づいて、EBD制御を行うことを許可するか、禁止するかを決定している。これにより、リーク故障が発生した場合すべてにおいてEBD制御を禁止するのではなく、リーク量に応じてEBD制御を継続できるし、リーク故障したのがどの電磁弁であるかに応じてEBD制御を継続することも可能となる。
【0057】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態では、第1実施形態に示したブレーキ制御システム1によってEBD制御ではなく、坂路発進補助制御を実行する場合において、リーク量に応じて坂路発進補助制御を行う場合について説明する。なお、坂路発進補助制御での具体的な制御方法については、従来と同様であり、リーク故障が発生したときの坂路発進補助制御の実行の仕方が従来と異なる部分であるため、ここでは従来と異なる部分についてのみ説明する。
【0058】
図5は、本実施形態にかかるブレーキ制御システム1のブレーキECU70が実行する坂路発進補助制御のフローチャートである。本図に示される処理は、イグニッションスイッチがオンしているときに所定の制御周期毎に実行される。
【0059】
まず、ステップ200では、図4のステップ100と同様の手法によりリーク発生中であるか否かを判定する。ここで、否定判定されれば、リーク故障に対応する制御を実行する必要がないため、ステップ210に進み、坂路発進補助制御の要求が有るか否かを判定して、その要求があればステップ220に進んで坂路発進補助制御を開始し、その要求がなければそのまま処理を終了する。坂路発進補助制御の要求は、坂路発進補助制御の開始条件(例えば上り坂で停車した場合など)を満たした時に出される。その場合には、第1、第2差圧制御弁16、36を差圧状態にすると共に、モータ60を駆動してポンプ加圧を行うことで、各車輪FL〜RRのW/C圧が加圧され、ユーザがブレーキペダル11を緩めても坂路からの車両がずり下がらないようにして良好に車両を発進させることが可能となる。
【0060】
一方、ステップ200で肯定判定された場合には、ステップ230に進み、リーク発生中の電磁弁が第1、第2差圧制御弁16、36であるか否かを判定する。すなわち、第1、第2差圧制御弁16、36がリーク故障した場合には、ポンプ加圧による坂路発進補助制御を行うことができないが、それ以外の電磁弁がリーク故障したとしても、坂路発進補助制御を行うことが可能な場合がある。このため、リーク故障した電磁弁を特定し、それが第1、第2差圧制御弁16、36であれば、ステップ240に進む。そして、坂路発進補助制御を全制御禁止すると共に、図示しないウォーニングランプ(WL)を点灯させて坂路発進補助制御が行えないことをユーザに報知する。
【0061】
一方、ステップ230で否定判定されれば、ステップ250に進んで図4のステップ150と同様に、リーク量が作動電流以上であるか否かを判定する。ここで肯定判定された場合には、リーク故障する前の弁位置に一旦戻したとしても、再び半導体スイッチング素子82のソレノイドへの通電をオンしたときに、電磁弁に作動電流を超えるリーク電流が流れてリーク故障が発生することになる。このような場合には、坂路発進補助制御を行うことができない。したがって、ステップ240に進んで坂路発進補助制御を全制御禁止すると共に、図示しないウォーニングランプ(WL)を点灯させて坂路発進補助制御が行えないことをユーザに報知する。
【0062】
また、ステップ250で否定判定された場合には、ステップ260に進み、図4のステップ160と同様に、リーク量が作動維持電流未満であるか否かを判定する。ここで肯定判定された場合には、リーク電流ではなくノイズであるか、もしくは、リーク電流であったとしても電磁弁の状態が自然にリーク故障が発生していない状態に戻ることができる程度のリーク電流であるため、ステップ210に進んで、上記と同様の作動を行う。ここで否定判定された場合には、一旦、電磁弁のソレノイドへの通電を停止すれば、再びリーク電流が流れても、作動電流に満たない作動維持電流程度の電流しか流れないため、弁体は移動せず、電磁弁をリーク故障が発生していない状態に戻すことが可能である。
【0063】
したがって、ステップ270において、図4のステップ170と同様に、半導体スイッチング素子82をオフからオンに切替えた経験が無いかを判定し、無ければステップ280に進んで、図4のステップ180と同様に、半導体スイッチング素子82を所定時間オフしたのちオンに切替える。このような処理を行うことにより、電磁弁をリーク故障が発生していない状態に戻すことができる。そして、再び半導体スイッチング素子82をオンすることでリーク電流が流れても、作動電流に満たない作動維持電流程度の電流しか流れないため、弁体は移動せず、電磁弁をリーク故障が発生していない状態に戻したままの状態を維持できる。
【0064】
これにより、坂路発進補助制御を実行できる状態に戻ることができるため、この後はステップ210に進み、坂路発進補助制御要求が有るか否かに基づいて上記と同様の処理を行う。
【0065】
以上説明したように、本実施形態でも、各種電磁弁16〜18、21、22、36〜38、41、42のリーク量を検出し、リーク量に基づいて、坂路発進補助制御を行うことを許可するか、禁止するかを決定している。そして、リーク量が作動電流未満であり、かつ、作動維持電流以上である場合には、一旦、電磁弁のソレノイドへの通電を停止することで、電磁弁をリーク故障が発生していない状態に戻すようにしている。これにより、リーク故障が発生した場合すべてにおいて坂路発進補助制御を禁止するのではなく、リーク量に応じてポンプ加圧を行うブレーキ制御の一形態である坂路発進補助制御を継続することが可能となる。
【0066】
(他の実施形態)
上記実施形態では、各種電磁弁16〜18、21、22、36〜38、41、42すべてのソレノイドに対する通電のオンオフを総括的に行う半導体スイッチング素子82を各種電磁弁16〜18、21、22、36〜38、41、42のハイサイドに備えるようにしている。しかしながら、これは単なる一例を示したに過ぎず、各種電磁弁16〜18、21、22、36〜38、41、42のローサイドに半導体スイッチング素子82を配置するようにしても良い。
【0067】
なお、各図中に示したステップは、各種処理を実行する手段に対応するものである。すなわち、図3や図4のステップ150、160、230、250の処理を実行する部分が判定手段、ステップ110、120、170、180、210、220、260、270の処理を実行する部分が制御手段に相当している。
【符号の説明】
【0068】
1…ブレーキ制御システム、16、36…第1、第2差圧制御弁、17、18、37、38…第1〜第4増圧制御弁、21、22、41、42…第1〜第4減圧制御弁、60…モータ、70…ブレーキECU、82…半導体スイッチング素子(総括スイッチング素子)、83…半導体スイッチング素子(個別スイッチング素子)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液圧ブレーキ装置の液圧回路に設けられ、ソレノイドに電流を流すことで駆動される複数の電磁弁(16〜18、21、22、36〜38、41、42)を駆動する電磁弁駆動装置において、
前記複数の電磁弁のソレノイドへの通電を行う直流電源(+B)と、
前記複数の電磁弁のソレノイドに対して前記直流電源からの通電のオンオフを総括して切り替える共通の総括スイッチング素子(82)と、
前記複数の電磁弁のソレノイド毎に設けられ、前記複数のソレノイドそれぞれに対する通電のオンオフを切り替える個別スイッチング素子(83)と、
前記複数のソレノイド毎に、当該ソレノイドに流れるリーク電流の大きさであるリーク量が、当該ソレノイドに対応する前記電磁弁の弁体を移動させるのに必要とされる作動電流未満であり、かつ、当該ソレノイドに対応する前記電磁弁の弁体の位置を維持することができる作動維持電流以上である異常状態を判定する判定手段(150、160、230、250)と、
前記判定手段により前記複数のソレノイドのいずれかについて前記異常状態であることが判定されると、前記総括スイッチング素子をオフさせて、前記複数のソレノイドへの通電をオフとし、所定時間経過後に前記総括スイッチング素子を再びオンさせた後に、前記判定手段により前記異常状態であることが判定されたソレノイド以外のソレノイドに対応する前記個別スイッチング素子のオンオフによるブレーキ制御を許可する制御手段(110、120、170、180、210、220、260、270)とを備えていることを特徴とする電磁弁駆動装置。
【請求項2】
前記液圧回路は、前記電磁弁として、マスタシリンダ(13)と複数のホイールシリンダ(14、15、34、35)との間を接続する管路(A、E)の遮断状態および差圧状態を制御する常開型の差圧制御弁(16、36)と、前記複数のホイールシリンダそれぞれに対応して備えられ、該複数のホイールシリンダそれぞれの増圧を制御する増圧制御弁(17、18、37、38)と、前記複数のホイールシリンダそれぞれに対応して備えられ、該複数のホイールシリンダそれぞれの減圧を制御する常閉型の減圧制御弁(21、22、41、42)とを有し、
前記制御手段は、前記判定手段にて前記異常状態であることが判定されているソレノイドが後輪(RL、RR)の前記増圧制御弁以外の電磁弁に対応するものである場合には、前記ブレーキ制御として前記増圧制御弁のオンオフによる電子制動力配分制御を許可することを特徴とする請求項1に記載の電磁弁駆動装置。
【請求項3】
前記液圧回路は、前記電磁弁として、マスタシリンダ(13)と複数のホイールシリンダ(14、15、34、35)との間を接続する管路(A、E)の遮断状態および差圧状態を制御する差圧制御弁(16、36)と、前記複数のホイールシリンダそれぞれに対応して備えられ、該複数のホイールシリンダそれぞれの増圧を制御する常開型の増圧制御弁(17、18、37、38)と、前記複数のホイールシリンダそれぞれに対応して備えられ、該複数のホイールシリンダそれぞれの減圧を制御する常閉型の減圧制御弁(21、22、41、42)と、前記管路のうち前記差圧制御弁よりも前記ホイールシリンダ側にブレーキ液を吐出するポンプ(19、39)および該ポンプを駆動するモータ(60)とを有し、前記差圧制御弁を差圧状態にしつつ前記モータへの通電を行って前記ポンプによるブレーキ液の吐出動作を行うことで、前記ブレーキ制御として前記ホイールシリンダをポンプ加圧して停車時の発進補助を行う坂路発進補助制御を実行でき、
前記制御手段は、前記判定手段にて前記異常状態であることが判定されているソレノイドが前記差圧制御弁以外の電磁弁に対応するものである場合には、前記ブレーキ制御として前記坂路発進補助制御を許可することを特徴とする請求項1または2に記載の電磁弁駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−20651(P2012−20651A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−159931(P2010−159931)
【出願日】平成22年7月14日(2010.7.14)
【出願人】(301065892)株式会社アドヴィックス (1,291)
【Fターム(参考)】