説明

電磁弁

本発明は、マグネットアッセンブリと、カプセル(6)と、該カプセル(6)内に配置されたアーマチュア(7)と、該カプセル(6)内へ押し込まれた弁インサート(1)と、該弁インサート(1)に設けられた内側孔内に可動に案内されたプランジャ(2)とを備えた電磁弁であって、プランジャ(2)が、シールシート(4.1)内へ密に進入するようになっており、弁インサート(1)が、調節可能なエアギャップ(11)を介してアーマチュア(7)から間隔を置いて配置されている形式のものに関する。本発明によれば、シールシート(4.1)が、カプセル(6)内に嵌め込まれたスリーブ(4)に配置されており、該スリーブ(4)が、少なくとも1つの開口(15,16.1)を有しており、該開口を通じて、マグネットアッセンブリにより生ぜしめられた磁束を調節するための調節エレメント(17.2)に作用して、これにより弁インサート(1)とアーマチュア(7)との間のエアギャップ(11)が可変であり、しかも前記調節エレメント(17.2)が、磁束を増大させるために弁インサート(1,1´,1´´)を軸方向でアーマチュア(7)へ接近する方向へ運動させるか、または磁束を減少させるために弁インサート(1,1´,1´´)を軸方向でアーマチュア(7)から離れる方向へ運動させるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景技術
本発明は、請求項1の上位概念部に記載の形式の電磁弁、すなわちマグネットアッセンブリと、カプセルと、該カプセル内に配置されたアーマチュアと、該カプセル内へ押し込まれた弁インサートと、該弁インサートに設けられた内側孔内に可動に案内されたプランジャとを備えた電磁弁であって、プランジャが、シールシート内へ密に進入するようになっており、弁インサートが、調節可能なエアギャップを介してアーマチュアから間隔を置いて配置されている形式の電磁弁に関する。
【0002】
図1には、たとえばアンチロックブレーキシステム(ABS)またはトラクションコントロールシステム(ASRシステム)またはエレクトロニックスタビリティプログラムシステム(ESPシステム)において使用される、特にハイドロリックユニットに用いられる慣用の電磁弁が図示されている。図1から判るように、慣用の電磁弁110は磁束5.1を発生させるためのマグネットアッセンブリ5を有している。このマグネットアッセンブリ5はハウジング5.2とコイル巻き線5.3とコイル枠体5.4とカバーディスク5.5とを有している。電磁弁110はさらに弁カートリッジを有しており、この弁カートリッジはカプセル60と弁インサート10とプランジャ20と戻しばね30とアーマチュア7とを有している。電磁弁110の製造時では、弁カートリッジのカプセル60と弁インサート10とがプレスによって互いに嵌着され、シール溶接部8により弁カートリッジはハイドロリック的に環境に対してシールされる。付加的に、弁インサート10は、当該ハイドロリック式システムに生じる圧力を吸収して、かしめ締結範囲(図示しない)に設けられたかしめ締結フランジ10.1を介して前記圧力を流体ブロックへ伝播させる。さらに、弁インサート10は、接合されたマグネットアッセンブリ5により導入された磁束5.1を軸方向でエアギャップ11を介してアーマチュア7の方向に案内する。さらに、弁インサート10は弁ボディ40を収容している。この弁ボディ40はシールシート41を有しており、このシールシート41には、電磁弁110のシール機能を変換するためにプランジャ20が密に進入する。さらに図1から判るように、プランジャ20と戻しばね30とは弁インサート10内に案内される。マグネットアッセンブリ5の下側の結合は、弁カートリッジの導磁性の弁インサート10にカバーディスク5.5を直接に押し被せることにより行われる。同じく弁インサート10に押し被されて溶接されたカプセル60は、弁インサート10にオーバラップして被せ嵌められた下側の範囲を有している。
【0003】
慣用の電磁弁110を調整するためには、一般に機能が調節される。すなわち、部分特性のばらつき、たとえばジオメトリ(幾何学的形状)、磁気特性等のばらつきをできるだけ最小限に抑えかつ補償するために較正(Kalibrierung)が実施される。このためには、たいてい外部からの接近性の良い構成部分、つまり外部からアクセスし易い構成部分が、所定の調節規定に従って互いに移動させられ、この場合、これらの構成部分は、たとえば相互作用し合う力の間の平衡を形成するために、終端位置において所望の機能が確保されるまで互いに移動させられる。調整のためには、運動させたい構成部分が外部からアクセスし易いことが望ましい。これにより、弁アッセンブリの最適化の際における部品統合のさらなる開発が制限され得る。すなわち、慣用の電磁弁110は弁下側部分12の組付けの前に、圧力負荷と磁力導入とを同時に行って較正される。磁束5.1の調節、ひいては磁力の調節は、弁ボディ40を軸方向に移動させることによってエアギャップ11を増大させるか、または減小させることにより行われる。
【0004】
本出願人による未公開のドイツ連邦共和国特許出願第102005044672.8号明細書には、弁インサートを一層単純に構成し得るようにするために弁インサートの前記機能を複数のコンポーネントに分配する電磁弁が記載されている。この電磁弁では、カプセルのオーバラップ範囲がかしめ締結範囲の方向に延長されて、かしめ締結範囲に設けられた弁ブシュによって流体ブロックとかしめ締結される。さらに、弁カートリッジの下側部分として、シールシートを備えたスリーブが、延長されたカプセルに嵌め込まれている。流体ブロック内へのカプセルの延長により、環境に対するシールおよび流体ブロックとのかしめ締結とが、有利には弁ブシュを介して行われ、弁インサートを介してはもはや行われない。これにより、弁インサートは負荷軽減され、かつ一層簡単に形成され得るようになる。さらに、弁インサートへのカプセルのシール溶接のための製造ステップを不要にすることができる。しかし、スリーブ状に互いに内外に嵌め合わされた構成部分によって、電磁弁の較正は実施困難となる。
【0005】
発明の利点
請求項1の特徴部に記載の特徴を有する本発明による電磁弁、すなわちシールシートが、カプセル内に嵌め込まれたスリーブに配置されており、該スリーブが、少なくとも1つの開口を有しており、該開口を通じて、マグネットアッセンブリにより生ぜしめられた磁束を調節するための調節エレメントが弁インサートに作用して、これにより弁インサートとアーマチュアとの間のエアギャップが可変であり、しかも前記調節エレメントが、磁束を増大させるために弁インサートを軸方向でアーマチュアへ接近する方向へ運動させるか、または磁束を減少させるために弁インサートを軸方向でアーマチュアから離れる方向へ運動させるようになっていることを特徴とする電磁弁には、従来のものに比べて次のような利点がある。すなわち、本発明の構成では、シールシートがスリーブ内に配置されており、このスリーブがカプセル内に嵌め込まれていて、少なくとも1つの開口を有しており、この開口を通じて、マグネットアッセンブリにより生ぜしめられた磁束を調節するための調節エレメントが弁インサートに作用する。これにより、弁インサートとアーマチュアとの間のエアギャップが可変となり、この場合、調節エレメントは磁束を高めるために弁インサートを軸方向でアーマチュアに接近する方向へ運動させるか、または磁束を減少させるために弁インサートを軸方向でアーマチュアから離れる方向へ運動させる。存在する開口を介して、アクセスし難い構成部分、つまり弁インサートに作用する本発明による調節エレメントは、スリーブ状に互いに内外に嵌合された構成部分を備えた電磁弁も大きな付加手間なしに簡単に較正されて機能調節され得ることを可能にするので有利である。本発明は、電磁弁の、機能統合により生じたジオメトリ的な特性を利用して、アクセスし難い内部構成部分を介しても較正および機能調節を可能にするので有利である。
【0006】
請求項2以下に記載の手段および改良形により、請求項1に記載の電磁弁の有利な改良が可能となる。
【0007】
カプセルが、弁ブシュを用いてかしめ締結範囲で流体ブロックとかしめ締結されていると特に有利である。これにより、弁インサートは著しく単純化される。弁インサートとアーマチュアとの間のエアギャップを調節するためには、プランジャが、スリーブのシールシート内へ密に進入する。すなわち、スリーブのシールシートは較正過程の間、閉じられている。
【0008】
本発明による電磁弁の別の有利な構成では、少なくとも1つの逆止弁座孔および/または少なくとも1つの半径方向孔が、スリーブに設けられた前記少なくとも1つの開口として使用される。調節エレメントは、たとえば摩擦接続および/または形状接続、すなわち係合に基づいた嵌合を介して、弁インサートに作用する。形状接続を形成するためには、弁インサートが、たとえば収容手段を有している。この収容手段は有利には環状溝として形成されており、該環状溝内に前記少なくとも1つの調節エレメントが係合する。
【0009】
本発明による電磁弁のさらに別の有利な構成では、少なくとも1つの調節エレメントが、弁インサートに固く結合されていて、第1の開口を通じて弁インサートに作用する。この場合、前記調節エレメントは、エアギャップの調節後に、第2の開口を通じて導入された工具、たとえば切断工具によって弁インサートから切断可能である。択一的に、前記少なくとも1つの調節エレメントはグリップペアとして形成されていてよい。その場合、このグリップペアは軸方向で2つの開口を通じてスリーブ内へ導入可能であり、かつ軸方向で弁インサートに作用する。
【0010】
本発明による電磁弁のさらに別の有利な構成では、少なくとも1つの調節エレメントが、半径方向で少なくとも1つの開口を通じて前記スリーブ内に導入可能であり、かつ軸方向に案内されて弁インサートに作用する。択一的な別の構成では、半径方向に導入された前記少なくとも1つの調節エレメントが、回転てこ式(rotatorisch hebelnd)に弁インサートに作用する。
【0011】
図面
以下に、本発明の有利な実施例ならびに分かり易くするために公知先行技術による慣用の実施例を図面につき詳しく説明する:
図1は、慣用の電磁弁を示す概略的な断面図であり、
図2は、本発明による電磁弁に用いられる弁カートリッジを示す概略的な断面図であり、
図3は、調節エレメントの第1実施例を有する、本発明による電磁弁に用いられる弁カートリッジを示す概略的な断面図であり、
図4は、調節エレメントの第2実施例を有する、本発明による電磁弁に用いられる弁カートリッジを示す概略的な断面図であり、
図5は、調節エレメントの第3実施例を有する、本発明による電磁弁に用いられる弁カートリッジを示す概略的な断面図であり、
図6は、調節エレメントの第4実施例および第5実施例を有する、本発明による電磁弁に用いられる弁カートリッジを示す概略的な断面図である。
【0012】
実施例の説明
図2には、かしめ締結範囲(図示しない)に設けられた弁ブシュ9を介して流体ブロックにかしめ締結されている、本発明による電磁弁に用いられる弁カートリッジ100が図示されている。図2から判るように、この弁カートリッジ100はカプセル6と、スリーブ4と、弁インサート1と、該弁インサート1に設けられた内側孔内に案内されたプランジャ2と、前記内側孔内で弁インサート1に支持されかつプランジャ2を戻す戻しばね3と、アーマチュア7とを有している。カプセル6は弁インサート1にオーバラップするように被せ嵌められていて、環境に対して密な弁構成部分として形成されている。図1に示した慣用の電磁弁110とは異なり、カプセル6はかしめ締結範囲の方向に延長されている。これにより、図1に示した慣用のシール溶接部8を不要にすることができる。さらに、流体力およびかしめ締結力はもはや弁インサート1によって吸収されずに、弁ブシュ9によって吸収されて、かしめ締結範囲(図示しない)を介して流体ブロックへ伝達される。カプセル6内では、図1に示した慣用の電磁弁110に比べて変更されていないアーマチュア7が作用しており、このアーマチュア7は機能の点で変えられていないプランジャ2を戻しばね3に抗して運動させる。弁カートリッジ100の下側の部分およびシールシート4.1はスリーブ4によって形成される。このスリーブ4はカプセル6内へ嵌め込まれている。さらに、図示の弁カートリッジ100はフラットフィルタ14とリングフィルタ16とを有している。フラットフィルタ14とリングフィルタ16とはスリーブ4に結合されている。さらに図2から判るように、スリーブ4は複数の半径方向孔16.1と、1つの逆止弁座孔15とを有している。この逆止弁座孔15は逆止弁ボール15.1と共に1つの逆止弁を形成している。本発明による電磁弁を形成するためには、たとえば図1に示した慣用のマグネットアッセンブリ5に相当するマグネットアッセンブリ(図示しない)が、弁カートリッジに被せ嵌められる。マグネットアッセンブリ(図示しない)によりカプセル6の壁を介して弁インサート1に導入された磁束は、弁インサート1によって軸方向でエアギャップ11を介してアーマチュア7の方向へ案内される。弁インサート1とアーマチュア7との間のエアギャップ11を変えることにより、磁束を調節し、ひいては磁力を調節することができる。
【0013】
以下に、図3〜図6につき、磁束を調節するために弁インサート1とアーマチュア7との間のエアギャップ11を変えるための方法を詳しく説明する。マグネットアッセンブリ(図示しない)により形成された磁束を調節するためには、調節エレメント17.1,17.2,17.3,17.4,17.5が、スリーブ4に設けられた少なくとも1つの開口15,16.1を通じて作用する。これにより、弁インサート1とアーマチュア7との間のエアギャップ11を変えることができる。すなわち、調節エレメント17.1〜17.5は、磁束を高めるために弁インサート1を軸方向でアーマチュア7に接近する方向へ運動させることができる。磁束を減少させるためには、調節エレメント17.2〜17.5は、弁インサート1を軸方向でアーマチュア7から離れる方向へ運動させることができる。
【0014】
図3には、弁カートリッジ101の別の概略的な断面図が示されている。この弁カートリッジ101は大体において、図2に示した弁カートリッジ100に相当しているが、図2に示した弁カートリッジ100とは異なり、弁カートリッジ101では、図2に示したフラットフィルタ14と逆止弁ボール15.1とがまだ組み付けられていないので、逆止弁座孔15を介して弁インサート1へのアクセス(到達)が可能となる。図3から判るように、ピン17.1として形成された調節エレメントが逆止弁座孔15を介して導入されて、弁インサート1を軸方向上方に向かって移動させ、これにより弁インサート1とアーマチュア7との間のエアギャップ11は減少され、生ぜしめられる磁束、ひいては磁力は増大される。エアギャップ11の増大、ひいてはこれにより生ぜしめられる磁束の減少ならびに磁力の減少は第1の調節エレメント17.1を用いても不可能である。したがって、弁カートリッジ100の組立て時にエアギャップ11を所定の最大値に調節しておくことができ、そして較正時に第1の調節エレメント17.1によって、十分な機能性が達成されるまで前記最大値を減少させることができる。引き続き、別の構成部分、たとえば逆止弁ボール15.1およびフラットフィルタ14を組み付けて、弁カートリッジ101を完成させることができる。弁カートリッジ101の較正は、圧力負荷13と磁力導入とを同時に行って行われ、つまり閉じられたシールシート4.1において行われる。
【0015】
図4には、弁カートリッジ102のさらに別の概略的な断面図が図示されている。この弁カートリッジ102は大体において、図2に示した弁カートリッジ100に相当しているが、しかし図2に示した弁カートリッジ100とは異なり弁カートリッジ102では、図2に示したフラットフィルタ14とリングフィルタ16と逆止弁ボール15.1とがまだ組み付けられていないので、逆止弁座孔15と複数の半径方向孔16.1とを介して弁インサート1´へのアクセス(到達)が可能となる。図4から判るように、別の相違点としては、弁カートリッジ102の弁インサート1´に、引張棒17.2として形成された調節エレメントが一体成形されている。この引張棒17.2として形成された調節エレメントは逆止弁座孔15を介して弁インサート1´に作用して、この弁インサート1´を軸方向下方へ向かって引っ張ることができる。これにより、弁インサート1´とアーマチュア7との間のエアギャップ11は増大され、生ぜしめられた磁束も磁力も減少される。エアギャップ11の縮小ならびに生ぜしめられる磁束の増大、ひいては磁力の増大は第2の調節エレメント17.2を用いて同じく可能となる。なぜならば、弁インサート1´は引張棒17.2を介して、エアギャップ11を減少させるために上方へ向かってアーマチュア7の方向へ押圧され得るからである。したがって、弁カートリッジ102の組付け時にエアギャップ11を、たとえば任意の値、有利には所定の最小値に調節しておき、そして較正時に第2の調節エレメント17.2によって、十分な機能性が達成されるまで前記最小値を増大させるか、もしくは減少させることができる。較正後に、引張棒17.2は、たとえば半径方向孔16.1を介してスリーブ4内に導入された切断工具19によって弁インサート1´から分離される。択一的には、リングフィルタ16、逆止弁ボール15.1およびフラットフィルタ14のような別の構成部分を組み付けて、弁カートリッジ102を完成させることができる。弁カートリッジ102の較正は、同じく圧力負荷13と磁力導入とを同時に行って実施され、すなわち閉じられたシールシート4.1において行われる。
【0016】
図5には、弁カートリッジ103のさらに別の概略的な断面図が図示されている。この弁カートリッジ103は大体において図2に示した弁カートリッジ100に相当しているが、しかし図2に示した弁カートリッジ100とは異なり、弁カートリッジ103のスリーブ4´は逆止弁ボール15.1を収容するための2つの逆止弁座孔15を有している。さらに弁カートリッジ103の弁インサート1´´は収容手段を有しており、この収容手段は環状溝18として形成されている。図示の弁カートリッジ103では、フラットフィルタ14と逆止弁ボール15.1とがまだ組み付けられていないので、逆止弁座孔15を介して弁インサート1´´へのアクセスもしくは到達が可能となる。図5から判るように、グリッパペア17.3として形成された調節エレメントが、逆止弁座孔15を介して形状接続、つまり係合に基づいた嵌合によって、弁インサート1´´内に導入された収容手段18に作用し得るようになっており、この場合、この調節エレメントは弁インサート1´´を軸方向下方へ向かって引き下げることができ、これによって弁インサート1´´とアーマチュア7との間のエアギャップ11は増大され、生ぜしめられる磁束が減少され、ひいては磁力が減少されるか、あるいは調節エレメントは弁インサート1´´を上方へ向かって移動させることができ、これによりエアギャップ11の減少、ひいては生ぜしめられる磁束の増大ならびに磁力の増大を得ることができる。したがって、弁カートリッジ103の組付け時にエアギャップ11を、たとえば任意の値、有利には最小限の値に調節しておくことができ、そして較正時に、十分な機能性が達成されるまで前記値を第3の調節エレメント17.3によって増大させるか、もしくは減少させることができる。引き続き、別の構成部分、たとえば逆止弁ボール15.1およびフラットフィルタ14を組み付け、これにより弁カートリッジ103を完成させることができる。弁カートリッジ103の較正は同じく、圧力負荷13と磁力導入とを同時に行って実施され、つまり較正は閉じられたシールシート4.11において行われる。択一的に、弁インサート1´´に設けられた環状の環状溝18を不要にすることができる。その場合、逆止弁座孔15を貫通したグリッパペア17.3は摩擦接続を介して弁インサート1´´へ作用することができる。しかし収容手段18は弁インサート1´´へのアクセスを容易にする。
【0017】
図6には、弁カートリッジ104のさらに別の概略的な断面図が図示されている。この弁カートリッジ104は大体において図2に示した弁カートリッジ100に相当しているが、図2に示した弁カートリッジ100とは異なり、弁カートリッジ104の弁インサート1´´は環状溝18として形成された収容手段を有している。弁カートリッジ104では、リングフィルタ16とフラットフィルタ14と逆止弁ボール15.1とがまだ組み付けられていないので、逆止弁座孔15と半径方向孔16.1とを介して弁インサート1´´へのアクセスもしくは到達が可能となっている。図6から判るように、グリッパもしくはピンとして形成された調節エレメント17.4,17.5は半径方向孔16.1を介して形状接続、つまり係合に基づいた嵌合によって、弁インサート1´´内に導入された収容手段18に作用することができ、この場合、調節エレメント17.4,17.5は弁インサート1´´を軸方向下方へ向かって押し下げ、これによって弁インサート1´´とアーマチュア7との間のエアギャップ11が増大され、生ぜしめられる磁束、ひいては磁力が減少されるか、または弁インサート1´´を軸方向上方へ向かって押し上げ、これによってエアギャップ11が減少され、生ぜしめられる磁束の増大、ひいては磁力の増大が得られる。したがって、弁カートリッジ104の組付け時に、エアギャップ11をたとえば任意の値、有利には最小値に調節しておくことができ、そして較正時に第4の調節エレメント17.4および/または第5の調節エレメント17.5によって、十分な機能性が達成されるまで前記値を増大させるか、もしくは減少させることができる。種々の可能な実施例を示すために、さらに図6から判るように、第4の調節エレメント17.4はてこ式の回転運動を介して弁インサート1´´に作用し、第5の調節エレメント17.5は純然たる軸方向に案内された運動を介して弁インサート1´´に作用する。引き続き、リングフィルタ16、逆止弁ボール15.1およびフラットフィルタ14のような別の構成部分を組み付けて、弁カートリッジ104を完成させることができる。弁カートリッジ104の較正は、同じく圧力負荷13と磁力導入とを同時に行って実施され、つまり較正は閉じられたシールシート4.1において行われる。
【0018】
上で説明した本発明の実施例では、有利には、弁インサートを軸方向に移動させるために、逆止弁座のための、スリーブに組み込まれた孔および/または半径方向の流出孔が使用される。これにより、残留エアギャップ、ひいては磁力を調節することができる。スリーブは機能統合の結果として弁主シールシートをも、1つまたは複数の逆止弁のためのシートをも支持している。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】慣用の電磁弁を示す概略的な断面図である。
【図2】本発明による電磁弁に用いられる弁カートリッジを示す概略的な断面図である。
【図3】調節エレメントの第1実施例を有する、本発明による電磁弁に用いられる弁カートリッジを示す概略的な断面図である。
【図4】調節エレメントの第2実施例を有する、本発明による電磁弁に用いられる弁カートリッジを示す概略的な断面図である。
【図5】調節エレメントの第3実施例を有する、本発明による電磁弁に用いられる弁カートリッジを示す概略的な断面図である。
【図6】調節エレメントの第4実施例および第5実施例を有する、本発明による電磁弁に用いられる弁カートリッジを示す概略的な断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マグネットアッセンブリ(5)と、カプセル(6)と、該カプセル(6)内に配置されたアーマチュア(7)と、該カプセル(6)内へ押し込まれた弁インサート(1,1´,1´´)と、該弁インサート(1,1´,1´´)に設けられた内側孔内に可動に案内されたプランジャ(2)とを備えた電磁弁であって、プランジャ(2)が、シールシート(4.1)内へ密に進入するようになっており、弁インサート(1,1´,1´´)が、調節可能なエアギャップ(11)を介してアーマチュア(7)から間隔を置いて配置されている形式のものにおいて、シールシート(4.1)が、カプセル(6)内に嵌め込まれたスリーブ(4,4´)に配置されており、該スリーブ(4,4´)が、少なくとも1つの開口(15,16.1)を有しており、該開口(15.16.1)を通じて、マグネットアッセンブリ(5)により生ぜしめられた磁束(5.1)を調節するための調節エレメント(17.1,17.2,17.3,17.4,17.5)が弁インサート(1,1´,1´´)に作用して、これにより弁インサート(1,1´,1´´)とアーマチュア(7)との間のエアギャップ(11)が可変であり、しかも前記調節エレメント(17.1,17.2,17.3,17.4,17.5)が、磁束(5.1)を増大させるために弁インサート(1,1´,1´´)を軸方向でアーマチュア(7)へ接近する方向へ運動させるか、または磁束(5.1)を減少させるために弁インサート(1,1´,1´´)を軸方向でアーマチュア(7)から離れる方向へ運動させるようになっていることを特徴とする電磁弁。
【請求項2】
カプセル(6)が、弁ブシュ(9)を用いてかしめ締結範囲で流体ブロックとかしめ締結されている、請求項1記載の電磁弁。
【請求項3】
プランジャ(2)が、弁インサート(1,1´,1´´)とアーマチュア(7)との間のエアギャップ(11)を調節するためにスリーブ(4)のシールシート(4.1)内へ密に進入する、請求項1または2記載の電磁弁。
【請求項4】
スリーブ(3)に設けられた前記少なくとも1つの開口が、少なくとも1つの逆止弁座孔(15)および/または少なくとも1つの半径方向孔(16.1)を有している、請求項1から3までのいずれか1項記載の電磁弁。
【請求項5】
調節エレメント(17.1,17.2,17.3,17.4,17.5)が、摩擦接続および/または形状接続、すなわち係合に基づいた嵌合を介して、弁インサート(1,1´,1´´)に作用する、請求項1から4までのいずれか1項記載の電磁弁。
【請求項6】
弁インサート(1,1´,1´´)が、形状接続を形成するために収容手段(18)を有しており、該収容手段(18)が、有利には環状溝として形成されており、該環状溝内に前記少なくとも1つの調節エレメント(17.3,17.4,17.5)が係合する、請求項5記載の電磁弁。
【請求項7】
少なくとも1つの調節エレメント(17.2)が、弁インサート(1´)に固く結合されていて、第1の開口(15)を通じて弁インサート(1´)に作用し、前記調節エレメント(17.2)が、エアギャップ(11)の調節後に、第2の開口(16.1)を通じて導入された工具(19)によって弁インサート(1´)から切断可能である、請求項1から6までのいずれか1項記載の電磁弁。
【請求項8】
少なくとも1つの調節エレメント(17.3)が、グリップペアとして形成されており、該グリップペアが、軸方向で2つの開口(15)を通じてスリーブ(4´)内へ導入可能であり、かつ軸方向で弁インサート(1´´)に作用する、請求項1から6までのいずれか1項記載の電磁弁。
【請求項9】
少なくとも1つの調節エレメント(17.5)が、半径方向で少なくとも1つの開口(16.1)を通じて前記スリーブ(4,4´)内に導入可能であり、かつ軸方向に案内されて弁インサート(1,1´´)に作用する、請求項1から6までのいずれか1項記載の電磁弁。
【請求項10】
少なくとも1つの調節エレメント(17.4)が、半径方向で少なくとも1つの開口(16.1)を通じて前記スリーブ(4,4´)内に導入可能であり、かつ回転てこ式に弁インサート(1,1´´)に作用する、請求項1から6までのいずれか1項記載の電磁弁。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−524780(P2009−524780A)
【公表日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−551673(P2008−551673)
【出願日】平成18年12月1日(2006.12.1)
【国際出願番号】PCT/EP2006/069222
【国際公開番号】WO2007/085315
【国際公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【出願人】(390023711)ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング (2,908)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
【Fターム(参考)】