説明

電線処理用保護具及びそれを備えた携帯通信機器

【課題】電線を保護及び固定した状態における外形をコンパクトにして、電気機器をコンパクトにする。
【解決手段】電線処理用保護具20を第1の弾性部材22と第2の弾性部材23と、これら第1の弾性部材22と第2の弾性部材23とを連結する連結片24とで構成する。第1の弾性部材22と第2の弾性部材23とを折り畳んだ状態で電線21を包むように第1及び第2凹形状溝26,27をそれぞれ設ける。連結片24を、第1の弾性部材22における、第1の弾性部材22と第2の弾性部材23との当接面30から離れた外周面に連設する。第1の弾性部材22における連結片24と第1の弾性部材22との結合部から当接面30との間の肉を切り欠いて連結辺収納用凹部25を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
電気機器の電流、特に電気信号を伝送する電線の保護及び固定するための電線処理用保護具及びそれを備えた携帯通信機器に関する。
【背景技術】
【0002】
電気機器、例えば携帯通信機器である携帯電話機においては、電源からの電流が各種電気回路部品に流れ、各種電気回路部品間には信号が伝送される。一般的に基板の上に電気回路部品を配置し、これら電気回路部品間には基板上でパターンが這わされ、基板上にない電気回路部品間は電線で結合し、信号を伝えるようになっている。基板上のパターンは電線に比べ多くの容積を必要とせず、コストも安価である。
【0003】
携帯電話機は、沢山の機能を搭載しつつも外形はコンパクトにすることが要望されている。電線を使用することは外形をコンパクトにするには不利であるが、同じ基板上にない電気回路部品間は電線で結合しなければならない。電線を使用した場合、コンパクト化のために電線の位置を決まった位置に固定しなければならない。この固定のために電線処理用保護具が使用され、この電線処理用保護具自身もコンパクトに設計されなければならない。
【0004】
電線処理用保護具は、例えば特許文献1では、電源コードと、電源コードの一部分に装着されるストレインリリーフブッシングと、ストレインリリーフブッシングを挿入固定する取付孔が開設され、電気機器のキャビネットに取り付けられる金属製の取付板とからなる電源コード保持装置において、前記取付孔の周面の少なくとも一部に、前記取付板の表面よりも裏面側に絞り込まれた絞り込み部を形成し、前記取付板の表面と前記絞り込み部の裏面との間、及び前記絞り込み部の内周面にて前記ストレインリリーフブッシングを保持するようにしている。
【0005】
また、特許文献2では、コネクタハウジング内に端子収容室を設け、この端子収容室に端子を収容し、この端子を相手嵌合部とワイヤバレル部とから構成し、コネクタハウジングに各一対のヒンジ部を介して上リヤホルダ及び下リヤホルダを設け、各リヤホルダには各ヒンジ部とは反対側の端面に開口部を有する電線用孔をそれぞれ設け、この各電線用孔の端面を押圧部として構成し、一対のリヤホルダが装着状態では電線Dの中心軸C方向にオフセットして配置され、且つ、各押圧部で電線Dをその中心軸Cが上下方向に折り曲げられた状態で支持自在にしている。
【0006】
ところで、特許文献3では、電線処理用保護具とは異なるが、略中心に孔を有する下底、略中心に孔を有する上底の周縁を、孔を有する周壁で連結して釦収容部を設けた円筒を、孔を通るように2分割した第1半円筒部分、第2半円筒部分と、この各半円筒部分の一方の周壁端を連結するヒンジ部と、各半円筒部分の他方の周壁端に設けられ、係止部へ自身の弾性で係合片が係合する係止手段とを備えたドライクリーニングの釦保護具が開示されている。
【特許文献1】特開平04−199595号公報
【特許文献2】特開2000−106243号公報
【特許文献3】特開平10−236569号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1では、取付板の表面と絞り込み部の裏面との間及び絞り込み部の内周面でストレインリリーフブツシングを保持したとき、連結片が外形の外に突出する。
【0008】
上記特許文献2では、コネクタハウジングは、ヒンジ部により結合され、ヒンジ部を折り曲げるとヒンジ部が外形の外に突出する。
【0009】
上記特許文献3では、各半円筒部分はヒンジ部で結合され、第1半円筒部分を第2半円筒部分に重ねるとヒンジ部が外形の外に突出する。
【0010】
上記のようなストレインリリーフブッシングやコネクタハウジングや釦保護具は、ヒンジ部を折り曲げるとヒンジ部が外形の外に突出するようになっている。このため、突出したヒンジ部が余計なスペースを必要とし、電気機器のコンパクト化を阻害するという問題がある。
【0011】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、電気機器の内部に使用する電線処理用保護具の折り畳む部分の構成に工夫を加えることにより、電線を保護及び固定した状態における外形をコンパクトにして、電気機器をコンパクトにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するために、第1の発明では、電気機器の電流を伝送する電線を該電気機器の内部において保護及び固定するための電線処理用保護具を対象とし、
第1の弾性部材と第2の弾性部材と、該第1の弾性部材と第2の弾性部材とを連結する連結片とで構成され、
上記第1の弾性部材と第2の弾性部材とは、該第1の弾性部材と第2の弾性部材とを折り畳んだ状態で上記電線を包む凹形状溝をそれぞれ有し、
上記連結片は、上記第1の弾性部材における、上記第1の弾性部材と第2の弾性部材との当接面から離れた外周面に連設され、
上記第1の弾性部材における上記連結片と第1の弾性部材との結合部から上記当接面との間には、肉が切り欠かれた連結辺収納用凹部が形成されている。
【0013】
上記の構成によると、第1の弾性部材と第2の弾性部材とを折り畳んだとき、連結片は第1の弾性部材の連結辺収納用凹部に入り込み、連結片は電線処理用保護具の外形の外に突出しない。このため、電線を保護及び固定した状態における外形がコンパクトになり、電気機器がコンパクトになる。
【0014】
第2の発明では、上記第1の弾性部材は、上記電線の延びる方向に上記第2の弾性部材よりも長く、該第1の弾性部材と第2の弾性部材とを折り畳んだときに、該第2の弾性部材の両端よりも長く飛び出すように形成されている。
【0015】
上記の構成によると、電線に接触させたくないものの側に第1の弾性部材を配置することで、保護及び固定された電線は、それらのものに接触しにくくなり、保護能力がさらに向上する。
【0016】
第3の発明では、上記第1の弾性部材と第2の弾性部材との外周の一部には、該第1の弾性部材と第2の弾性部材とを折り畳んだときに連続した一対の凹部が形成されるように肉が切り欠かれた保護具取付用凹部がそれぞれ形成され、
上記電気機器の内部の構造体には、上記一対の保護具取付用凹部に対応するように該保護具取付用凹部側に突出し、該一対の保護具取付用凹部を狭持する一対の保護具取付用爪部が形成されている。
【0017】
上記の構成によると、第1の弾性部材及び第2の弾性部材の一対の保護具取付用凹部を構造体の保護具取付用爪部で挟み込むことにより電線の位置決めがされると共に、しっかりと保護及び固定され、製品を組み立てる際や使用時に他の電気部品との干渉が避けられる。
【0018】
また、第4の発明では、上記保護具取付用突起の先端には、内側へ突出する保護具係止用鉤部が形成され、
上記保護具係止用鉤部に対応するように、上記保護具取付用凹部には、係止部が凹陥されている。
【0019】
上記の構成によると、保護具取付用爪部を保護具取付用凹部に挿入し、さらに押し込んでその先端の保護具係止用鉤部を係止部に係合させることで、さらに電線処理用保護具が構造部材から抜け落ち難くなる。
【0020】
第5の発明では、上記凹形状溝は、第1の弾性部材と第2の弾性部材とを折り畳んだときに、上記電線の一端が取付面よりも上方へ向かうように、傾斜して形成されている。
【0021】
上記の構成によると、電線の一端側を取付面から離れる方向に延ばすことができるので、電線が他の電子部品や基板と接触し難くなる。
【0022】
第6の発明では、電線処理用保護具は、シリコンゴムとする。
【0023】
上記の構成によると、シリコンゴムは、絶縁性に優れていると共に、耐オゾン性、耐光性等に優れている。また、柔軟性があるので、構造体の保護具取付用突起に挿入しやすく、離脱しにくくなる。
【0024】
第7の発明では、電線処理用保護具は、ゴム含有プラスチック樹脂とする。
【0025】
上記の構成によると、電線処理用保護具は、ゴム含有プラスチック樹脂、いわゆるエラストマーで形成され、柔軟性に富むと共に成形しやすく、様々な色を選択できる。
【0026】
第8の発明では、携帯通信機器は、本発明の電線処理用保護具を備えている。
【0027】
上記の構成によると、電線を保護及び固定した状態における電線処理用保護具の外形がコンパクトになるので、コンパクトな携帯通信機器が得られる。
【0028】
第9の発明では、表示部が設けられた第1の筐体と、
操作部を有する第2の筐体と、
上記第1の筐体と第2の筐体とを折り畳み自在に連結するヒンジ部とを備え、
上記第1の筐体は、回転機構を備え、該回転機構に上記表示部が縦長状態と横長状態とに切換操作可能に支持され、
上記電線処理用保護具は、上記回転機構の内部を通り、上記表示部と上記第2の筐体とを接続する電線を保護及び固定するように構成されている。
【0029】
上記の構成によると、縦長状態と横長状態との切換時には、表示部と第2の筐体とを接続する電線は、電線処理用保護具によってしっかりと保護及び固定されているので、回転機構内の部品と接触せず、摩耗等により損傷することはない。
【0030】
第10の発明では、上記一対の保護具取付用爪部に狭持された電線処理用保護具が、上記回転機構の連結用開口内に挿入され、縦長状態と横長状態とに切換操作する際に該連結用開口内を移動するように構成されている。
【0031】
上記の構成によると、連結用開口内に挿入された電線は、電線処理用保護具及び保護具取付用爪部によってしっかりと保護及び固定されているので、回転機構内の部品と接触せず、摩耗等により損傷することはない。
【発明の効果】
【0032】
以上説明したように、本発明によれば、電線を包む電線処理用保護具の第1の弾性部材における連結片と第1の弾性部材との結合部から、第2の弾性部材との当接面との間に連結辺収納用凹部を形成し、電線を包んだ状態で、連結片を連結辺収納用凹部に収納させている。このため、電線を保護する電線処理用保護具の外形から連結片が飛び出さないので、電気機器のコンパクト化を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
【0034】
図1は、本発明の実施形態に係る電気機器(携帯通信機器)としての携帯電話機1の開いた状態を右方向から見た斜視図である。図2は、図1の閉じた状態を右方向から見た斜視図である。
【0035】
図1及び図2に示すように、本実施形態の携帯電話機1は、第1の筐体2と、第2の筐体3とを有し、これらがヒンジ部4によって折り畳自在に結合されている。また、第1の筐体2には、回転機構5が設けられ、この回転機構5により、略矩形板状の表示部としての液晶表示部6が縦長状態と横長状態とに切換操作可能に支持されている。この液晶表示部6の表面側に液晶ディスプレイ6a、受話部7等が設けられ、裏面側にはサブ表示部11が設けられている。
【0036】
上記第2の筐体3の表面側には、送話部8、入力ボタン9、機能ボタン10等が設けられている。
【0037】
そして、電話やメールするときには図1のように開いた状態で行い、電話やメールが終われば図2のように閉じた状態で待機し、着信があればサブ表示部11に着信があったことを知らせる表示が出るようになっている。
【0038】
また、TVを見たり、メールを横長状態で行いたいときは、図示しないが、液晶表示部6を回転機構5によって横長状態に回転して行うようになっている。
【0039】
液晶表示部6内の液晶基板14と第2の筐体3内のメイン基板(図示せず)とは、回転機構5内を通る電線21で接続されている。電線21は、複数の細い信号線をまとめて被覆された略同じ太さの2本のものからなる。ただし、この太さは必ずしも同じである必要はない。
【0040】
図3は、本発明の電線処理用保護具20が設けられた液晶表示部6の内部を示す平面図である。図4は、図3のIV−IV線断面図である。図5は、マグネシウムフレーム15に取り付けられた電線処理用保護具20周辺が回転機構5側に挿入された様子を示す拡大断面図である。図6は、図4の一部拡大断面図である。
【0041】
第1の筐体2の内部には、構造体としてのマグネシウムフレーム15が設けられている。このマグネシウムフレーム15の裏面側に液晶表示部6の液晶基板14が嵌め込まれ、表面側に液晶ディスプレイ6aが嵌め込まれている。
【0042】
マグネシウムフレーム15は、液晶表示部6の外形よりも若干小さい略矩形薄板形状を有し、その液晶ディスプレイ6aと反対側(裏面側)に突出する一対の保護具取付用爪部16を備えている。この保護具取付用爪部16は、内側に突出する保護具係止用鉤部17を備えている。この保護具取付用爪部16は、液晶基板14の液晶側開口14aから突き抜け、上記回転機構5の連結用開口5a(図5にのみ示す)を通ってその内部に挿入され、第1の筐体2を縦長状態から横長状態に回転する際に、回転機構5の内部を移動するようになっている。
【0043】
上記2本の電線21は、第2の筐体3から延び、その先端に設けたコネクタ31が液晶基板14に接続されるようになっている。
【0044】
図7は、電線処理用保護具20をマグネシウムフレーム15に取り付けた様子を示す拡大斜視図である。図8は、電線21を電線処理用保護具20で覆った様子を示す斜視図である。図9は、図8のIX−IX線に相当する電線処理用保護具20の断面図である。図10は、電線処理用保護具20の開いた状態を示す斜視図である。図11は、電線処理用保護具20の背面図である。図12は、電線処理用保護具20の平面図である。図13は、図12におけるXIII方向矢視図である。
【0045】
電線処理用保護具20は、第1の弾性部材22と第2の弾性部材23とを備え、連結片24で繋がっている。本実施形態では、電線処理用保護具20は、シリコンゴムで形成されている。シリコンゴムは、絶縁性及び柔軟性に優れていると共に、耐オゾン性、耐光性等に優れている。
【0046】
上記連結片24は、上記第1の弾性部材22における、上記第1の弾性部材22と第2の弾性部材23との当接面30から離れた外周面に当接面30と平行になるように連設されている。第1の弾性部材22における連結片24と第1の弾性部材22との結合部から上記当接面30との間には、肉が切り欠かれた連結辺収納用凹部25が形成されている。この連結辺収納用凹部25により、第1の弾性部材22と第2の弾性部材23とを折り畳んだときに、連結片24が連結辺収納用凹部25に入り込んで、電線処理用保護具20の外形から飛び出さないようになっている。連結片24は、第1の弾性部材22と第2の弾性部材23とを、図示しない成形型で成形する際に同時に形成される。
【0047】
上記第1の弾性部材22は、2本の電線21を保護及び固定するように第1凹形状溝26を有する。この第1凹形状溝26は、水平に延びず、一端側から他端側へ傾斜して延び、他端は徐々に狭くなっている。
【0048】
上記第2の弾性部材23は、第1の弾性部材22と同様に第2凹形状溝27を有する。この第2凹形状溝27は、逆に一端側から始まり、他端側へ沈む傾斜が設けられている。このことで、図9に示すように、傾斜する2本の連続する空間が形成され、この空間内に2本の電線21が挟み込まれて電線処理用保護具20で覆われるようになっている。このことで、図9の右側に電線21のコネクタ31側が配設され、液晶基板14から離れる側の電線21が回転機構5側へ延び、最終的に第2の筐体3のメイン基板に接続されるようになっている。
【0049】
図11及び図12の斜線部に示すように、この斜線部の肉が切り欠かれ、電線処理用保護具20を固定するために保護具取付用凹部28が第1の弾性部材22と第2の弾性部材23との外周の対向する位置にそれぞれ凹陥されている。この保護具取付用凹部28に、上記マグネシウムフレーム15の保護具取付用爪部16が入り込んで、左右、前後方向の固定を行うようになっている。
【0050】
上記第2の弾性部材23の一対の保護具取付用凹部28を形成する壁部の角部は、肉が切り欠かれて係止部29が形成されている。この係止部29に上記保護具取付用爪部16の保護具係止用鉤部17が係合し、電線処理用保護具20の上下方向の固定を行うようになっている。
【0051】
−電線処理用保護具の組付手順−
図7に示すように、電線21を保護及び固定するために第1の弾性部材22の2つの第1凹形状溝26上に2本の電線21のコネクタ31側から所定距離離れた部分を載せ、連結片24を中心にして第2の弾性部材23を折り畳んで、第2凹形状溝27で電線21を覆い被せる。
【0052】
次いで、保護具取付用凹部28に保護具取付用爪部16を差し込む。このとき、保護具係止用鉤部17が、第2の弾性部材23に設けた係止部29に係合する。
【0053】
この保護具取付用爪部16によって狭持された電線処理用保護具20で電線21を保護及び固定する。電線21のコネクタ31が液晶基板14に接続され、電線処理用保護具20から液晶基板14と離れる側に傾斜して延びる部分が、回転機構5側に延び、最終的に第2の筐体3のメイン基板に接続される。
【0054】
−実施形態の効果−
したがって、本実施形態の電線21を包む電線処理用保護具20の第1の弾性部材22における連結片24と第1の弾性部材22との結合部から当接面30との間に連結辺収納用凹部25を形成し、電線21を包んだ状態で、連結片24を連結辺収納用凹部25に収納させている。このため、電線21を保護する電線処理用保護具20の外形から連結片24が飛び出さないので、携帯電話機1のコンパクト化を行うことができる。
【0055】
(その他の実施形態)
本発明は、上記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0056】
すなわち、上記実施形態では、電線処理用保護具20は、シリコンゴムで形成されているものとしたが、TPE(Thermoplastic-Elastomer)やTPEE(Thermoplastic-Polyester-Elastomer)などのゴム含有プラスチック樹脂(エラストマ)、又は通常のゴムで形成されていてもよい。エラストマは、柔軟性に富むと共に成形しやすく、様々な色を選択できる。
【0057】
上記実施形態では、電線21は、略同じ太さの2本のものとしたが、この太さは必ずしも同じである必要はない。この場合には、第1及び第2凹形状溝26,27の溝幅や深さをそれに合わせて変更すればよい。また、電線21は、2本のものでなくてもよく、1本や、3本以上であってもよい。この場合には、電線21の本数に合わせて凹形状溝を設ければよい。
【0058】
上記実施形態では、第1及び第2凹形状溝26,27は、傾斜するように設けているが、取付面に対して水平に設けてもよい。
【0059】
上記実施形態では、回転機構5を設けて第1の筐体2を縦長状態から横長状態に回転可能としているが、回転機構5を設けなくてもよい。また、ヒンジ部4を設けて第1の筐体2と第2の筐体3とを折り畳み自在に結合しているが、ストレートタイプの携帯電話機であってもよい。
【0060】
上記実施形態では、液晶ディスプレイ6aの例を示したが、表示部は、有機EL表示ディスプレイを備えていてもよい。
【0061】
上記実施形態では、電気機器は、携帯通信機器のうち、特に携帯電話機としたが、PHS、PC、モバイルツール、電子辞書、電卓、複写機等の携帯電子機器でもよい。
【0062】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物や用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0063】
以上説明したように、本発明は、電気機器、特に携帯電話機などの携帯通信機器の電流、特に電気信号を伝送する線の保護及び固定するための電線処理用保護具について有用である。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の実施形態に係る携帯電話機の開いた状態を右方向から見た斜視図である。
【図2】図1の閉じた状態を右方向から見た斜視図である。
【図3】電線処理用保護具が設けられた液晶表示部の内部を示す平面図である。
【図4】図3におけるIV−IV線断面図である。
【図5】マグネシウムフレームに取り付けられた電線処理用保護具周辺が回転機構側に挿入された様子を示す拡大断面図である。
【図6】図4の一部拡大断面図である。
【図7】電線処理用保護具をマグネシウムフレームに取り付けた様子を示す拡大斜視図である。
【図8】電線を電線処理用保護具で覆った様子を示す斜視図である。
【図9】図8のIX−IX線に相当する電線処理用保護具の断面図である。
【図10】電線処理用保護具の開いた状態を示す斜視図である。
【図11】電線処理用保護具の背面図である。
【図12】電線処理用保護具の平面図である。
【図13】図12におけるXIII方向矢視図である。
【符号の説明】
【0065】
1 携帯電話機(電気機器、携帯通信機器)
2 第1の筐体
3 第2の筐体
4 ヒンジ部
5 回転機構
5a 連結用開口
6 液晶表示部(表示部)
15 マグネシウムフレーム(構造体)
16 保護具取付用爪部
17 保護具係止用鉤部
20 電線処理用保護具
21 電線
22 第1の弾性部材
23 第2の弾性部材
24 連結片
25 連結辺収納用凹部
26 第1凹形状溝
27 第2凹形状溝
28 保護具取付用凹部
29 係止部
30 当接面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機器の電流を伝送する電線を該電気機器の内部において保護及び固定するための電線処理用保護具であって、
第1の弾性部材と第2の弾性部材と、該第1の弾性部材と第2の弾性部材とを連結する連結片とで構成され、
上記第1の弾性部材と第2の弾性部材とは、該第1の弾性部材と第2の弾性部材とを折り畳んだ状態で上記電線を包む凹形状溝をそれぞれ有し、
上記連結片は、上記第1の弾性部材における、上記第1の弾性部材と第2の弾性部材との当接面から離れた外周面に連設され、
上記第1の弾性部材における上記連結片と第1の弾性部材との結合部から上記当接面との間には、肉が切り欠かれた連結辺収納用凹部が形成されている
ことを特徴とする電線処理用保護具。
【請求項2】
請求項1に記載の電線処理用保護具において、
上記第1の弾性部材は、上記電線の延びる方向に上記第2の弾性部材よりも長く、該第1の弾性部材と第2の弾性部材とを折り畳んだときに、該第2の弾性部材の両端よりも長く飛び出すように形成されている
ことを特徴とする電線処理用保護具。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電線処理用保護具において、
上記第1の弾性部材と第2の弾性部材との外周の一部には、該第1の弾性部材と第2の弾性部材とを折り畳んだときに連続した一対の凹部が形成されるように肉が切り欠かれた保護具取付用凹部がそれぞれ形成され、
上記電気機器の内部の構造体には、上記一対の保護具取付用凹部に対応するように該保護具取付用凹部側に突出し、該一対の保護具取付用凹部を狭持する一対の保護具取付用爪部が形成されている
ことを特徴とする電線処理用保護具。
【請求項4】
請求項3に記載の電線処理用保護具において、
上記保護具取付用突起の先端には、内側へ突出する保護具係止用鉤部が形成され、
上記保護具係止用鉤部に対応するように、上記保護具取付用凹部には、係止部が凹陥されている
ことを特徴とする電線処理用保護具
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1つに記載の電線処理用保護具において、
上記凹形状溝は、第1の弾性部材と第2の弾性部材とを折り畳んだときに、上記電線の一端が取付面よりも上方へ向かうように、傾斜して形成されている
ことを特徴とする電線処理用保護具。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1つに記載の電線処理用保護具において、
シリコンゴムで構成されている
ことを特徴とする電線処理用保護具。
【請求項7】
請求項1乃至5のいずれか1つに記載の電線処理用保護具において、
ゴム含有プラスチック樹脂で構成されている
ことを特徴とする電線処理用保護具。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1つに記載の電線処理用保護具を備えたことを特徴とする携帯通信機器。
【請求項9】
請求項8の携帯通信機器において、
表示部が設けられた第1の筐体と、
操作部を有する第2の筐体と、
上記第1の筐体と第2の筐体とを折り畳み自在に連結するヒンジ部とを備え、
上記第1の筐体は、回転機構を備え、該回転機構に上記表示部が縦長状態と横長状態とに切換操作可能に支持され、
上記電線処理用保護具は、上記表示部と上記第2の筐体とを接続する電線を保護及び固定するように構成されている
ことを特徴とする携帯通信機器。
【請求項10】
請求項9の携帯通信機器において、
上記一対の保護具取付用爪部に狭持された電線処理用保護具が、上記回転機構の連結用開口内に挿入され、縦長状態と横長状態とに切換操作する際に該連結用開口内を移動するように構成されている
ことを特徴とする携帯通信機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−208135(P2007−208135A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−27411(P2006−27411)
【出願日】平成18年2月3日(2006.2.3)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】