説明

電線接続用コネクタ及びそれを用いたフロアー用ヒーターパネル

【課題】 配線接続時において、各挿入孔に電源線とアース線を間違えずに接続することができる電線接続用コネクタ及びそれを用いたフロアー用ヒーターパネルを提供すること。
【解決手段】 先端部に電源線用端子Taを装着した複数の電源線Ka,Ka…を挿入する複数の電源線用挿入孔と、同じく先端部にアース線用端子Teを装着したアース線Keを挿入するアース線用挿入孔を備えた電線接続用コネクタであって、前記電源線用端子Taとアース線用端子Teが、形状若しくは大きさまたはその両方を変化させてあり、前記電源線用挿入孔とアース線用挿入孔も、形状若しくは大きさまたはその両方を変化させてあり、電源線用端子Taは電源線用挿入孔にのみ挿入可能とし、アース線用端子Teはアース線用挿入孔にのみ挿入可能とした電線接続用コネクタ及びそれを用いたフロアー用ヒーターパネルとしたこと。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として、家屋やビル等の建築物において、フロアーに敷設されるヒーターパネルの中に配置されて、ヒーターパネルに配線接続する電線同士の接続若しくは分岐を行うのに適した電線接続用コネクタ及びそれを用いたフロアー用ヒーターパネルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
このような電線接続用コネクタとしては、特開平9−55239号公報に見られるように、厚みの小さい直方体状のケース体の内部に、2本の電源線とアース線の計3本の電線が挿入され、接続されるための3つの収容空間が形成され、この内部の3つの収容空間に通じる挿入孔が、1つの収容空間につきケース体の一側面からとその対称の面からの2箇所形成されている。内部の3つの収容空間にはそれぞれ、電線を電気的に接続するためのチャンネル帯板と、該チャンネル帯板にケース体の一側面からとその対称の面から挿入された電線をそれぞれ固定するための2体のスプリング板が取り付けられている。
【0003】
使用にあたっては、ヒーターパネル間の配線を結線したり、外部からの引き込み電線とヒーターパネルの配線を結線したりするために、ケース体の一側面側において、2本の電源線とアース線の3本の電線をそれぞれの挿入孔に挿入し、その対称の面側においても同様に、3本の各電線を対応する挿入孔に挿入して両者を接続する。そして、このような結線状態で、ヒーターパネルのパネル開口部にコネクタを設置した後、裏返しにしてヒーターパネルを敷き詰める。
【0004】
ところで、この電線接続用コネクタは、ケース体の内部においてスプリング板を横向きに寝かして収容しており、電線はスプリング板の位置に対して横に挿入されて、通電体に対して横方向に押圧固定される形態となるので、直方体状のケース体の垂直方向の厚みを小さくするのに寄与している。これにより、この電線接続用コネクタは、ヒーターパネルの中の狭隘な場所であっても取り付けることが可能となっている。
【特許文献1】特開平9−55239号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、2本の電源線とアース線の各電線を挿入するためのケース体の一側面側の3つの挿入孔とその対称の面側の3つの挿入孔、並びに、ケース体内部の3つの収容空間はそれぞれ等価に形成されているので、各電線はどの挿入孔にも自由に挿入することができ、このために、ケース体の一側面側の挿入孔に挿入する電線とその対称の面側の対応する挿入孔に挿入する電線の種類を間違えて接続して通電不良が発生することがあった。この間違えて接続された状態は、施工工事の最終段階になって通電を行うときに初めて判明するので、コネクタに電線を正しく接続し直すためには敷き詰めたヒーターパネルを取り外す必要があり、そのために、コスト、労力が嵩み、作業効率が非常に悪くなってしまうという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、配線接続時において、各挿入孔に電源線とアース線を間違えずに接続することができる電線接続用コネクタ及びそれを用いたフロアー用ヒーターパネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題を解決するために講じた本発明の構成を、実施例を示す図面に使用した符号を用いて説明すると、本発明は、先端部に電源線用端子Taを装着した複数の電源線Ka,Ka…を挿入する複数の電源線用挿入孔10a,10a…と、同じく先端部にアース線用端子Teを装着したアース線Keを挿入するアース線用挿入孔10eを備えた電線接続用コネクタであって、前記電源線用端子Taとアース線用端子Teが、形状若しくは大きさまたはその両方を変化させてあり、前記電源線用挿入孔10aとアース線用挿入孔10eも、形状若しくは大きさまたはその両方を変化させてあり、電源線用端子Taは電源線用挿入孔10aにのみ挿入可能とし、アース線用端子Teはアース線用挿入孔10eにのみ挿入可能としてある構成とした電線接続用コネクタであり、また、このような構成とした電線接続用コネクタを用いたフロアー用ヒーターパネルである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の電線接続用コネクタ、または、それを用いたフロアー用ヒーターパネルによると、電源線用挿入孔とアース線用挿入孔が、形状若しくは大きさまたはその両方を変化させてある構成としたことから、従来は等価に形成されていた電源線用挿入孔とアース線用挿入孔を形状若しくは大きさまたはその両方で区別することができるとともに、電源線用端子とアース線用端子も形状若しくは大きさまたはその両方を変化させて、電源線用端子は電源線用挿入孔にのみ挿入可能であり、アース線用端子はアース線用挿入孔にのみ挿入可能である構成としたことから、電源線とアース線の誤挿入を確実に防止することができる。これにより、電源線とアース線のそれぞれを確実に正しい箇所に接続して施工工事を進めることができ、従来のように、施工工事の最終段階で、配線の間違いに気づいて工事をやり直す虞がなく、安心して施工工事を進めることができるとともに、作業効率を大幅にアップさせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の電線接続用コネクタ、または、それを用いたフロアー用ヒーターパネルを実施するにあたって、電源線用端子Taは、通電用先端部61aと、電源線Kaが圧着される圧着部62aから構成され、同様にアース線用端子Teも、通電用先端部61eと、アース線Keが圧着される圧着部62eから構成され、電源線用挿入孔10aは、開口端側から、電源線用端子Taの圧着部62aを収容する圧着部収容部11aと、電源線用端子Taの先端部61aを挿通させる端子挿通部12aが連続して形成され、同様にアース線用挿入孔10eも、開口端側から、アース線用端子Teの圧着部62eを収容する圧着部収容部11eと、アース線用端子Teの先端部61eを挿通させる端子挿通部12eが連続して形成されている構成で実施することができる。このとき、例えば、電源線用端子Taの圧着部62aは、圧着部収容部11aには収容できるが、圧着部収容部11eには収容できない形状若しくは大きさとしてあり、アース線用端子Teの先端部61eは、端子挿通部12eには挿通できるが、端子挿通部12aには挿通できない形状若しくは大きさとしてある構成で実施したりして、電源線用端子Taの先端部61a及び圧着部62a,アース線用端子Teの先端部61e及び圧着部62eを利用することにより、電源線Kaとアース線Keの誤挿入を防止することができる。
【0010】
また、アース線Keは、先端部に取り付けられたアース線用端子Teのさらに外周に端子カバーCが取り付けられ、前記端子カバーCの側面から挿入方向に突出する係合体72が形成され、アース線用挿入孔10eの隣には、別の凹入部15が形成され、該凹入部15は、アース線Keをアース線用挿入孔10eから挿入したときに、係合体72と係合する突出体16が凹入内部に形成されている構成とすると、コネクタへの挿入接続時に、電源線Kaとアース線Keを一目で容易に区別することができるとともに、端子カバーCの係合体72と凹入部15内の突出体16が係合する位置関係を利用して、アース線Keを所定のアース線用挿入孔10eに正しく接続でき、電源線Kaとアース線Keの誤挿入を防止することに寄与することができる。その他、アース線Keに取り付けられたアース線用端子Teを保護して、安全に取り扱うことができるとともに、係合体72と突出体16を係合させることにより、コネクタに対して端子カバーCを固定して、端子カバーC及び内部のアース線Keの抜け方向への移動を防止することができる。
【0011】
この際、突出体16は、凹入奥側に向かって大きくなる傾斜状に形成されている構成で実施すると、端子カバーCを装着したアース線Keをアース線用挿入孔10eに挿入していくときに、端子カバーCの係合体72は、突出体16の傾斜面に沿って徐々に変位しながら最終的に突出体16と係合するので、端子カバーCの係合体72が折れることなく、端子カバーCをアース線用挿入孔10eにスムーズに嵌め込むことができる。
【0012】
電源線Kaあるいはアース線Keの挿入方向に傾斜して電源線Kaあるいはアース線Keに対して線接触する端縁部分を備えた電線押圧爪部42と、電源線Kaあるいはアース線Keに対して面接触する平面部分を備えた電線押圧爪部43を有する弾性体4をコネクタ内部に有する構成とすると、電線押圧爪部43の平面部分は、電源線Kaあるいはアース線Keを面接触して押圧固定することができ、電線押圧爪部42の端縁部分は、挿入接続された電源線Kaあるいはアース線Keに引き抜き方向への力が作用した場合に、電源線Kaあるいはアース線Keにくい込んで、電源線Kaあるいはアース線Keの抜け方向への移動を阻止することができる。
【実施例】
【0013】
以下、本発明の実施例を図示例と共に説明する。図1乃至図9は本発明の一実施例の電線接続用コネクタを示し、図1は斜視図、図2は断面図、図3は分解断面図、図4はコネクタに電線を接続した状態の断面図、図5は弾性体4(スプリング板41)の斜視図、図6は端子カバーの斜視図、図7はコネクタの側面の寸法図、図8(a),(b)は電源線の寸法図、図9(a),(b)はアース線の寸法図である。また、図10及び図11は、本発明の一実施例であるフロアー用ヒーターパネルPを示し、図10はヒーターパネルPと外部ケーブルとの接続状態を示す図、図11はヒーターパネルP同士の配線の接続状態を示す図である。
【0014】
該実施例の電線接続用コネクタは、ヒーターパネルの中に配置され、ヒーターパネルに配線接続する電線同士を接続するため、より詳しくは、本実施例においては、2本の電源線Ka,Kaと1本のアース線Keをそれぞれ接続するために使用される。図3に示すように、コネクタ本体1と、コネクタ本体1に嵌め合わされるカバー体2と、コネクタ本体1の内部に収容され、電源線Ka同士あるいはアース線Ke同士を電気的に接続することができる通電体3と、コネクタ本体1内に挿入された電源線Kaあるいはアース線Keを通電体3に対して弾性的に固定するための弾性体4(スプリング板41)と、防水シールSとから構成されている。
【0015】
図1に示すように、コネクタ本体1は、厚みが薄く形成された略直方体状のケースであって、絶縁性の高い合成樹脂材で成形されている。また、内部の接続状況がわかるように無色透明に形成されている。図3のコネクタ本体1の左側において、上側2つは、電源線Kaを挿入する電源線用挿入孔10a,10aであって、一番下側は、アース線Keを挿入するアース線用挿入孔10eである。電源線用挿入孔10aは、開口端側に断面視方形状の圧着部収容部11aが形成され、その奥側にはこれに連続して、圧着部収容部11aよりやや孔サイズ(孔断面積)の小さい断面視円形状となりそこから奥側に向かってテーパー状に径小となった後、さらに奥側に向かって断面視円形状で一定の径で続く端子挿通部12aが形成されている。アース線用挿入孔10eは、開口端側に、圧着部収容部11aよりも孔サイズ(孔断面積)が小さい断面視方形状の圧着部収容部11eが形成され、その奥側にはこれに連続して、圧着部収容部11eよりやや孔サイズ(孔断面積)の小さい断面視方形状となりそこから奥側に向かってテーパー状に径小となった後、さらに奥側に向かって断面視方形状で一定の径で続く端子挿通部12eが形成されている。
【0016】
ここで、本実施例のコネクタの電源線用挿入孔10a及びアース線用挿入孔10eの実寸値を示すと、図7に示すように、圧着部収容部11aの孔サイズは、縦幅m=6.6(mm)、横幅n=5.2(mm)、圧着部収容部11eの孔サイズは、縦幅p=4(mm)、横幅q=4(mm)、端子挿通部12aの最小部分の孔サイズは、内径r=2.2(mm)、端子挿通部12eの最小部分の孔サイズは、縦幅s=2.2(mm)、横幅t=2.6(mm)である。
【0017】
端子挿通部12a,12eのさらにその奥側には、通電体3を収容するために電線挿入方向に延びる直方体状の収容空間13が、3体それぞれ同じ大きさで形成されている。電源線Kaが挿入される一番上の収容空間13と真ん中の収容空間13の間には、隔壁14が、図中、右方向に突出して形成され、真ん中の収容空間13と一番下のアース線Keが挿入される収容空間13の間には、前者よりも幅方向に厚みの大きい隔壁14が、図中、右方向に突出して形成されている。
【0018】
また、図3に示す位置関係において、コネクタ本体1のアース線用挿入孔10eの下方隣には凹入部15が形成され、その上方の開口端から、凹入内奥側に向かって傾斜しながら大きく突出する突出体16が形成されている。また、図中、右側において、上下部分に側壁17,17が右側に突出するように取り付けられ、その先端部を突出方向とは逆の方向で、かつ、内方に、傾斜しながら大きく突出していく係合突起18が形成されている。この側壁17,17に挟まれた空間がカバー体2を嵌め込むための嵌め込みスペース19となる。
【0019】
カバー体2は、コネクタ本体1と同様に、絶縁性の高い合成樹脂材で成形され、また、内部の接続状況がわかるように無色透明に形成されている。図3に示すように、コネクタ本体1の嵌め込みスペース19に嵌め込むことができ、図中、左側の嵌め込み前端側は、コネクタ本体1の、図中、右方向に突出して形成された隔壁14,14と噛み合う凹凸構造21が形成されている。コネクタ本体1の隔壁14,14は、幅方向に異なる厚みで形成されているので、カバー体2の凹凸構造21との噛み合いは1通りに決まり、カバー体2の嵌め込み向きは必然的に決まる。
【0020】
図中、右側の嵌め込み後端側は、コネクタ本体1の左側と同様に、上側2つが、電源線Kaを挿入する電源線用挿入孔10a,10aであって、一番下側が、アース線Keを挿入するアース線用挿入孔10eである。これら電源線用挿入孔10a,10a及びアース線用挿入孔10eは、コネクタ本体1の左側の電源線用挿入孔10a,10a及びアース線用挿入孔10eとそれぞれ同様の形状で、電源線用挿入孔10aは、開口端側から圧着部収容部11a、端子挿通部12a、収容空間13と連続しており、アース線用挿入孔10eは、開口端側から圧着部収容部11e、端子挿通部12e、収容空間13と連続している。凹入部15は、アース線用挿入孔10eの上方隣に形成され、その下方の開口端から、凹入内奥側に向かって傾斜しながら大きく突出する突出体16が形成されている。カバー体2をコネクタ本体1に嵌め込んだ状態において、カバー体2の右側に形成された電源線用挿入孔10a,10a及びアース線用挿入孔10eは、後述する収容空間13に収容した通電体3内の電線挿入位置に対応させて、コネクタ本体1の左側に形成された電源線用挿入孔10a,10a及びアース線用挿入孔10eよりも、やや下方にずれた位置に形成されている。
【0021】
また、図中、上下部分の側壁には、嵌め込み方向とは逆向きに傾斜状に外方に向かって突出し、コネクタ本体1の側壁17,17の係合突起18,18と係合する突出部22,22が形成されている。側壁17,17の係合突起18,18とカバー体2の突出部22,22はともに傾斜状に形成されていて、カバー体2をコネクタ本体1に嵌め込むときに当接するように形成されており、嵌め込みの抵抗を小さくして、スムーズに嵌め込みができるようになっている。カバー体2をコネクタ本体1に嵌め込むに従って、突出部22,22が徐々に側壁17の係合突起18を外方に変位させ、突出部22が側壁17の係合突起18を通過後は、外方に変位していた側壁17の係合突起18が弾性的に内方に復元して、突出部22,22と係合突起18,18が係合する。
【0022】
通電体3は、帯板状の底壁31と、その長尺の両側縁部から直に立ち上げられた左右の立ち上がり壁32,32から構成され、断面形状コの字型に形成されている。素材は、導電性のものであれば任意であるが、本実施例においては、タフピッチ銅にスズメッキを施してある。図2及び図3に示すように、通電体3は、長尺部を左右方向にして、コの字型の開口部を紙面手前側に向くように配置すると、左の端部に近い場所に、底部の一部を2箇所、図中、下の立ち上がり壁32の方に立ち上げた2体の固定爪33,33が形成され、左の端部に近い場所にも同様に、底部の一部を2箇所、図中、上の立ち上がり壁32の方に立ち上げた2体の固定爪33,33が形成されている。この固定爪33と立ち上がり壁32の間には、弾性体4の厚み分のスペースがあり、後述するように、弾性体4を挟み込んで固定できるようにしてある。
【0023】
スプリング板41は、ステンレス製の帯状の薄板から、図5に示すように、電線挿入奥側の端部を直の状態より緩やかに折り曲げて、その先端部が電線挿入奥側に傾斜するようにして、(傾斜)電線押圧爪部42を形成してあり、平坦部44を挟んで、電線挿入手前側を電線挿入奥側に略Uターン状に折り返して第1折り返し部45を形成し、さらに先端部を略U字型の内部方向に折り返して第2折り返し部46を形成し、(略U字型の)電線押圧爪部43を形成してある。
【0024】
これらの部材の組み立てにあたっては、図3に示すように、スプリング板41は、通電体3の左右の取り付け箇所にそれぞれ、(傾斜)電線押圧爪部42が左右それぞれの電源線用挿入孔10aあるいはアース線用挿入孔10eから見て電線挿入奥側となるような向きとして、通電体3の2つの固定爪33,33と立ち上がり壁32の間に平坦部44を挟み込んで取り付ける。スプリング板41を取り付けた通電体3をコネクタ本体1の収容空間13内に、図中右の開口部から入れる。そして、防水シールSを開口部に装着した後、カバー体2を奥まで嵌め込んで、ケース本体1の隔壁14,14とカバー体2の凹凸構造21の凹部を噛み合わせ、かつ、ケース本体1の側壁17,17の係合突起18とカバー体2の突出部22を係合させて、カバー体2がケース本体1から抜けないようにして、図1及び図2に示すような組み立て状態となる。
【0025】
電源線Ka及びアース線Keはそれぞれ、収縮チューブ51内に単線の芯52が挿通されており、その先端部は裸の芯52を剥き出しの状態にしてある。電源線Kaの先端部の芯52には電源先用端子Taが取り付けられ、アース線Keの芯52にはアース線用端子Teが取り付けられる。電源線用端子Taは、通電用の先端部61aと、該先端部61aの後端側に、両側から突出して上方に向かって反り上げられている構造を備えている圧着部62aとからなり、同様にアース線用端子Teも、通電用の先端部61eと、該先端部61eの後端側に、両側から突出して上方に向かって反り上げられている構造を備えている圧着部62eとからなる。電源線Kaに電源線用端子Taを取り付けるにあたっては、電源線用端子Taの圧着部62aに電源線Kaの芯52を添えて所定の工具で圧着部62aを押圧圧着させて電源線Kaと固着させる。アース線Keにアース線用端子Teを取り付ける場合も同様である。電源線用端子Taの先端部61aは円柱棒状であり、他方、アース線用端子Teの先端部61eは平板状であって、先端部61aよりも挿入方向に長く形成されている。また、アース線用端子Teの先端部61eには、後端側の一部が切り込まれて、後端側に向かって傾斜して立ち上がっている立ち上げ部63が形成されている。
【0026】
本実施例においては、アース線用端子Teの先端部61eが長く形成され、圧着部62eは圧着部収納部11eまで届かず、圧着部収納部11eに入らないので、この圧着部62eも含めてアース線用端子Teのうちアース線用挿入孔10eに入らない部分を保護するために、図4に示すように、アース線用端子Teには専用の端子カバーCが取り付けられ、アース線用端子Teの外周は、その先端部61aの挿入端側を除いて端子カバーCで覆われている。該端子カバーCの内部側は、後端側から先端側に向かって、収縮チューブ51とアース線用端子Teの圧着部62eを覆う大径部分Pと、アース線用端子Teの先端部61eを覆う中径部分Qと、先端部61eを覆い、コネクタの圧着部収容部11eに収容される小径部分Rとが連続する中空体構造である。大径部分Pから中径部分Qの境界部分の内側面は傾斜状に形成され、その挿入先端側の終端が内部側に突出して係合段部71を構成し、該係合段部71は、アース線用端子Teを端子カバーC内に挿入したときに、前述したアース線用端子Teの立ち上げ部63と係合する。
【0027】
このアース線用端子Teへの端子カバーCの装着の作用をより詳しく説明する。アース線用端子Teを端子カバーC内に挿入していくと、アース線用端子Teの立ち上げ部63が係合段部71の傾斜面に当接し、さらにアース線用端子Teを挿入していくと、係合段部71の傾斜面によって立ち上げ部63が挿入方向と反対側に弾性的に押し返され、さらにアース線用端子Teを挿入して立ち上げ部63が係合段部71を通過すると、立ち上げ部63が元の立ち上げ状態に弾性的に復帰して、立ち上げ部63と係合段部71が係合し、端子カバーCからアース線用端子Teが抜け方向へ移動するのを防止する。
【0028】
図6に示すように、端子カバーCの外側面からは、差し込み方向の先端側に向けて突出した係合体72が形成され、該係合体72は、端子カバーCの外側面から外方向に突出した後、差し込み方向に向けて延びる小幅部が続く2枚の係合板73とその小幅部の先端を繋ぐ係合部74から構成されている。後述するように、端子カバーCを装着したアース線Keをアース線用挿入孔10eから挿入すると、係合体72の係合部74がコネクタ本体1の凹入部15内の突出体16と係合して、コネクタ本体1から端子カバーCが抜け方向へ移動するのが防止される。なお、本実施例では、前述したようにアース線用端子Teの保護とアース線Keの抜け移動防止のために、アース線用端子Teに端子カバーCが取り付けられているが、言うまでもなく、本発明に必ずしも必須の要素ではなく、アース線用端子Teの先端部61eの長さを本実施例よりも短くして、アース線用端子Teの圧着部62eが圧着部収容部11eにきちんと収容されるようにし、端子カバーCが必要のない構成で実施することもできる。
【0029】
ここで、本実施例における電源線Kaに取り付けられた電源線用端子Ta、並びに、アース線Keに取り付けられたアース線用端子Te及び端子カバーCの実寸値を示すと、図8(a),(b)に示すように、電源線Kaに取り付けられた電源線用端子Taの先端部61aの直径c=1.5(mm)、圧着部62aのサイズは、縦幅a=4.4(mm)、横幅b=3(mm)であり、図9(a),(b)に示すように、アース線Keに取り付けられたアース線用端子Teの平板状の先端部61eの幅d=2.4(mm)、端子カバーCの小径部分Rの外部サイズは、縦e=3.8(mm)、横f=3.8(mm)、端子カバーCの中径部分Q及び大径部分Pの外部サイズは、縦g=6.8(mm)、横h=5.8(mm)である。
【0030】
このように、端子カバーCの小径部分Rの外部サイズは、縦e=3.8(mm)、横f=3.8(mm)であって、孔サイズが縦幅p=4(mm)、横幅q=4(mm)である圧着部収容部11eの孔よりも小さく形成されている、すなわち、e<p、f<qであるので、端子カバーCの小径部分Rは当然圧着部収容部11eに挿入できるようになっており、他方、端子カバーCの中径部分Q及び大径部分Pの外部サイズは、縦g=6.8(mm)、横h=5.8(mm)であって、孔サイズが縦幅p=4(mm)、横幅q=4(mm)である圧着部収容部11eの孔よりも大さく形成されている、すなわち、g>p、h>qであるので、端子カバーCの中径部分Q及び大径部分Pに相当する箇所は圧着部収容部11eには入らず、この箇所がコネクタと当接することにより、端子カバーCの圧着部収容部11eへのこれ以上の挿入が防止される。
【0031】
また、電源線Kaに取り付けられた状態において電源線用端子Taの圧着部62aのサイズは、縦幅a=4.4(mm)、横幅b=3(mm)であり、孔サイズが縦幅m=6.6(mm)、横幅n=5.2(mm)である圧着部収容部11aの孔には、a<m、b<nであるので、入るが、孔サイズが縦幅p=4(mm)、横幅q=4(mm)である圧着部収容部11eの孔には、a>p(かつa>q)であるので、入らず、電源線Kaを間違えてアース線用挿入孔10eに挿入してしまうことがない。また逆に、アース線Keに取り付けられたアース線用端子Teの先端部61eの幅は、d=2.4(mm)であって、最小部分の横幅tが2.6(mm)である端子挿通部12eの孔には、d<tであるので、挿通できるが、最小部分の内径rが2.2(mm)である端子挿通部12aの孔には、d>rであるので、挿通できず、アース線Keを間違えて電源線用挿入孔10aに挿入してしまうこともない。
【0032】
このように、電源線用挿入孔10aとアース線用挿入孔10eの大きさあるいは形状を変えることにより、電源線用挿入孔10aとアース線用挿入孔10eを容易に判別することができるとともに、電源線用端子Taが電源線Kaに取り付けられた状態において、電源線用端子Taの圧着部62aは、電源線用の圧着部収容部11aには入るが、アース線用の圧着部収容部11eには入らないような大きさ、形状で形成され、他方、アース線Keに取り付けられたアース線用端子Teの先端部61eは、アース線用の端子挿通部12eには入るが、電源線用の端子挿通部12aには入らないような大きさ、形状で形成してあることにより、電源線Kaとアース線Keの誤挿入を防止することができる。
【0033】
次に、このように構成されたケース本体1及びカバー体2の電源線用挿入孔10a及びアース線用挿入孔10eに対して電源線Kaあるいはアース線Keを挿入したときの電源線Kaあるいはアース線Keと弾性体4(スプリング板41)との作用について説明する。まず、電源線Kaを挿入するにあたっては、電源線Kaの先端に取り付けられた電源線用端子Taの先端部61aの挿入端が、圧着部収容部11aから端子挿通部12aを通って電線押圧爪部43に達すると、略U字形に折り返された電線押圧爪部43のU字の間隔を縮める方向に弾性的に収縮させる。さらに電源線Kaを挿入して、その挿入端が電線押圧爪部42に達すると、電線挿入奥側に傾斜するように折り曲げられた電線押圧爪部42を弾性的に電線挿入方向(伸ばし方向)に押し上げていく。
【0034】
電源線用端子Taの圧着部62aが圧着部収容部11aに収容されるまで電源線Kaを奥まで挿入して、電源線Kaの挿入が完了した状態では、電線押圧爪部42は、その先端の端縁部分42aが電源線Kaに対して弾性的に線接触で押圧しており、電線押圧爪部43は、その第2折り返し部25あるいはその近辺が電源線Kaに対して弾性的に面接触で押圧していて、通電体3に対して電源線Kaの電気的接続を確実に行うことができる。
【0035】
また、このような状態から、挿入された電源線Kaに対して引き抜き方向の力が加わっても、電線挿入奥側に傾斜した電線押圧爪部42の端縁部分42aが電源線Kaにくい込んで、電源線Kaは抜け止め作用を受けるので、濫りに電源線Kaが抜けることを防止することができる。
【0036】
次に、アース線Keを挿入接続するときの作用について説明する。前述したようにアース線の先端には、先端部61eが挿入方向にやや長めに形成されているアース線用端子Teを圧着させて取り付けており、さらに、アース線用端子Teに端子カバーCを装着して、アース線用端子Teの先端部61eの挿入端を除いて端子カバーCで外部を覆ってある。アース線用端子Teの先端部61eの挿入端が、圧着部収容部11eから端子挿通部12eを通って挿入されたとき、先端部61eの挿入端と電線押圧爪部43との作用は、前述の電源線Kaの挿入時の作用と同様であるが、先端部61eの挿入端は、電線挿入奥側の電線押圧爪部42には届かないように形成されている。電線挿入手前側のU字型の電線押圧爪部43のみでアース線Keを通電体3に対して固定し、アース線Keを引き抜くことができる余地を残したものである。
【0037】
また、端子カバーCの先端が圧着部収容部11eに挿入されていくと、端子カバーCの側面から突出した係合体72の係合部74が、圧着部収容部11eの隣に形成された凹入部15内の突出体16の傾斜面に当接して、突出体16の傾斜面に沿って係合体72は弾性的に外方向に変位して、係合部74が突出体16の傾斜面を通過した後は、係合体72は弾性的に内方向に復帰して、コネクタ本体1の凹入部15内の突出体16と係合する。これにより、アース線Keに引き抜き方向の外力がかかっても端子カバーCの引き抜き方向への移動が阻止されている。
【0038】
次に、本発明のフロアー用ヒーターパネルの一実施例として、このような構成のコネクタが取り付けられるヒーターパネルPについて説明すると、ヒーターパネルPは、一枚あたりの大きさが300mm×1800mm、厚さ12mmであって、表面には、化粧板が施され、裏面には、図10及び図11に示すように、ヒーターパネルPにコネクタを取り付けるための窪み状のパネル開口部81が形成され、側面には、ヒーターパネルPを縦方向に繋ぐときの配線経路となる縦継用溝82と、ヒーターパネルPを横方向に繋ぐときの配線経路となる横継用溝83が形成され、それぞれパネル開口部81につながっている構成とされている。
【0039】
施工にあたっては、ヒーターパネルPの内部からの2本の電源線Ka,Kaと1本のアース線KeをコネクタAの一側面側のそれぞれの箇所に挿入接続し、コネクタAの反対側の側面には、図10に示すように、外部から引き込んだ2本の電源線Ka,Kaと1本のアース線Keを、縦継用溝82(あるいは横継用溝83でもよい)を通して挿入接続したり、図11に示すように、他のヒーターパネルPからの2本の電源線Ka,Kaと1本のアース線Keを、縦継用溝82(あるいは横継用溝83でもよい)を通して挿入接続したりする。
【0040】
ヒーターパネルPを縦方向に繋ぐ施工は、図11に示すように、まず施工の終わっているヒーターパネルP1の内部の2本の電源線Ka,Kaと1本のアース線Keを、縦継用溝82を通してパネル内からパネル外に出しておき、施工を行うヒーターパネルP2を裏返して施工の終わっているヒーターパネルP1の上に重ねる。次にヒーターパネルP2の内部からの2本の電源線Ka,Kaと1本のアース線KeをコネクタAの一側面側のそれぞれの箇所に挿入接続し、ヒーターパネルP1のパネル外に出しておいた2本の電源線Ka,Kaと1本のアース線Keを、ヒーターパネルP2の縦継用溝82を通してヒーターパネルP2内に入れて、コネクタAのもう一方の側面側のそれぞれの箇所に挿入接続する。そして、コネクタAをパネル開口部81の所定の位置に取り付けて、図の矢印の方向にヒーターパネルP2を反転させて、ヒーターパネルP1とヒーターパネルP2を接続し、ヒーターパネルP2を敷設する。なお、図示はしていないが、ヒーターパネルPを横方向に繋ぐ施工についても、2本の電源線Ka,Kaと1本のアース線Keをそれぞれ横継用溝83を通して結線することにより、同様の手順で行うことができる。
【0041】
以上本発明の代表例と思われる実施例について説明したが、本発明の電線接続用コネクタ及びフロアー用ヒーターパネルは、上述の実施例にのみ限定されるものではなく、その他本発明にいう前記の構成要件を備え、かつ本発明にいう目的を達成し、本発明にいう効果を有する範囲内において適宜改変して実施することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明の電線接続用コネクタ及びそれを用いたフロアー用ヒーターパネルは、アース線の電源線との間で取り付け場所を間違えることがなく、施工工事を大幅にやり直す等の大事に至ることがないので、従来品に替わって電線の配線接続に使用されることになると思われる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】電線接続用コネクタの斜視図。
【図2】同断面図。
【図3】同分解断面図。
【図4】同電線を差し込んだ状態の断面図。
【図5】同弾性体4(スプリング板41)の斜視図。
【図6】同端子カバーの斜視図。
【図7】コネクタの側面の寸法図。
【図8(a)】電源線の寸法図。
【図8(b)】電源線の寸法図。
【図9(a)】アース線の寸法図。
【図9(b)】アース線の寸法図。
【図10】ヒーターパネルP及び該ヒーターパネルPと外部ケーブルとの接続状態を示す図。
【図11】ヒーターパネルP及び該ヒーターパネルP同士の配線の接続状態を示す図。
【符号の説明】
【0044】
1 コネクタ本体
2 カバー体
3 通電体
4 弾性体
10a 電源線用挿入孔
10e アース線用挿入孔
11a (電源線用の)圧着部収容部
11e (アース線用の)圧着部収容部
12a (電源線用の)端子挿通部
12e (アース線用の)端子挿通部
13 収容空間
14 隔壁
15 凹入部
16 突出体
17 側壁
18 係合突起
19 嵌め込みスペース
21 凹凸構造
22 突出部
31 底壁
32 立ち上がり壁
33 固定爪
41 スプリング板
42 (傾斜)電線押圧爪部
43 (略U字型の)電線押圧爪部
44 平坦部
45 第1折り返し部
46 第2折り返し部
51 チューブ
52 芯
61a (電源線用端子の)先端部
61e (アース線用端子の)先端部
62a (電源線用端子の)圧着部
62e (アース線用端子の)圧着部
63 立ち上げ部
71 係合段部
72 係合体
73 係合板
74 係合部
81 パネル開口部
82 縦継用溝
83 横継用溝
K 電線
Ka 電源線
Ke アース線
T 端子
Ta 電源線用端子
Te アース線用端子
C 端子カバー
S 防水シール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端部に電源線用端子(Ta)を装着した複数の電源線(Ka),(Ka)…を挿入する複数の電源線用挿入孔(10a),(10a)…と、同じく先端部にアース線用端子(Te)を装着したアース線(Ke)を挿入するアース線用挿入孔(10e)を備えた電線接続用コネクタであって、
前記電源線用端子(Ta)とアース線用端子(Te)が、形状若しくは大きさまたはその両方を変化させてあり、
前記電源線用挿入孔(10a)とアース線用挿入孔(10e)も、形状若しくは大きさまたはその両方を変化させてあり、
電源線用端子(Ta)は電源線用挿入孔(10a)にのみ挿入可能とし、アース線用端子(Te)はアース線用挿入孔(10e)にのみ挿入可能としてある電線接続用コネクタ。
【請求項2】
前記アース線(Ke)は、先端部に取り付けられたアース線用端子(Te)のさらに外周に端子カバー(C)が取り付けられ、
前記端子カバー(C)の側面から挿入方向に突出する係合体(72)が形成され、
アース線用挿入孔(10e)の隣には、別の凹入部(15)が形成され、
該凹入部(15)は、アース線(Ke)をアース線用挿入孔(10e)から挿入したときに、係合体(72)と係合する突出体(16)が凹入内部に形成されている請求項1に記載の電線接続用コネクタ。
【請求項3】
前記突出体(16)は、凹入奥側に向かって大きくなる傾斜状に形成されている請求項2に記載の電線接続用コネクタ。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかに記載の電線接続用コネクタを用いたフロアー用ヒーターパネル。











【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8(a)】
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【図8(b)】
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【図9(a)】
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【図9(b)】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−12529(P2007−12529A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−194190(P2005−194190)
【出願日】平成17年7月1日(2005.7.1)
【出願人】(591028773)株式会社ニチフ端子工業 (23)
【出願人】(000204985)大建工業株式会社 (419)
【Fターム(参考)】