説明

電話受付案件処理システム

【課題】 受付途中の緊急案件を受付担当者と他の管理者が共有可能な電話受付案件処理システムを提供する。
【解決手段】 構内交換機2、複数の受付端末3、補助画面表示端末6、受付端末3にネットワーク接続し、補助画面表示端末3に対する画面表示を制御する補助画面制御サーバ4を備え、受付端末3は、内蔵の電話機能によって受信電話の通話内容に基づく案件受付画面上への案件データ入力を受け付け可能に構成され、補助画面制御サーバ4は、受信電話の少なくとも着信電話番号に基づいて、当該受信電話の緊急性を判断して、当該受信電話が緊急案件であると判断した場合に、当該受信電話を受信した受付端末3の案件受付画面上の画面表示を、補助画面表示端末6にも表示するように、受付端末3からの画面表示出力を補助画面表示端末6に接続する制御が可能に構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構内交換機と複数の電話機能付きコンピュータ端末とを相互に接続してCTI(Computer Telephony Integration)システムを構築して、顧客からの種々の問合せ、異常事態の通報、緊急出動要請等を受付処理する電話受付案件処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
上述した電話受付案件処理システムは、ガス供給事業者等において、電話による顧客からの種々の問合せ、異常通報、緊急出動要請等の要求を受け付ける電話受付センター内に構築され、ACD装置(Automatic Call Distribution:着信呼自動分配装置)やテレフォニーサーバで構成される着信呼分配装置を、例えば、構内交換機に備え、待ち受け状態にある受付端末(電話機能付きコンピュータ端末等)に顧客からの着信電話(着信呼または着呼)を自動分配し、受付案件管理用のサーバ装置が電話に応答する受付担当者の受付端末の表示画面上に例えば顧客管理データベースから抽出した顧客情報を表示制御することにより、受付担当者が顧客情報を目視把握しながら適切に応答でき、且つ、所定の受付案件内容を上記表示画面上に簡易に登録できるように構成されている。更に、上述の電話受付案件処理システムとして、受付担当者が、受付端末の電話機能(送受話機能)により、外部の通報者から所定の異常通報電話番号に着信した電話を、構内交換機を経由して特定の異常通報受付用の受付端末で受信し、通報者から受付案件内容である異常通報情報を聴取して異常通報受付端末の上記表示画面上に入力し、例えば、受け付けた異常通報に対して緊急出動等が必要な場合に、その入力情報と共に緊急出動命令等を発信するように構成されたシステムがある。また、上記異常通報受付端末以外に、異常通報電話番号以外に着信した受信電話に対応する一般受付端末が設けられ、一般受付端末として、受付担当者が、受付端末の電話機能により、外部の顧客等から掛けられた電話を受け、顧客からの問合せや連絡を聴取して一般受付端末の上記表示画面上に入力するものがある。例えば、下記特許文献1及び2に開示されている構成のものがある。
【特許文献1】特開2002−16706号公報
【特許文献2】特開2002−16722号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記電話受付案件処理システムにおいて、ガス漏洩等の異常通報を受け付けた場合は、当該異常通報に基づく緊急出動案件を受付端末において受け付けた受付担当者が、通報者と応対して異常通報情報を聴取して、受付端末の表示画面上から入力し、受付案件管理用サーバが管理する受付案件データベースに登録するとともに、当該緊急案件に対して、作業車両を作業現場に出動させる作業車両管理者の出動指令及び管理業務が、同時平行して進行する。かかる作業車両管理者の出動指令及び管理業務は、緊急性を要するため、受付担当者が緊急案件を受け付けている最中から、その作業を開始する必要があり、受け付け途中の緊急案件の内容を共有できる仕組みが求められていた。
【0004】
そこで、緊急案件が受付案件データベースに登録されると、作業車両管理者の指令端末から同案件を閲覧することは可能であるが、未登録の緊急案件の内容は指令端末から閲覧できないため、作業車両管理者と受付担当者が未登録の緊急案件の内容を共有できるようにするために、最も簡単な方法として、受付担当者が大声で周囲に緊急案件受信を報知するとともに、その電話応対を大声で行うことで未登録の緊急案件の内容をある程度共有することができる。また、例えば、受付担当者の受付端末を設置する机を、作業車両管理者の指令端末を設置する机の前方に配置したり、更には、受付端末を設置する机の配置個所と指令端末を設置する机の配置個所に段差を設けたりして、作業車両管理者が受付端末の画面を見渡せるようなレイアウト上の工夫により、未登録の緊急案件の内容を、作業車両管理者と受付担当者間で画面情報も含めて共有することができる。しかしながら、受付端末の台数が多い場合には、上記レイアウト上の工夫等の対応では、十分な対応が不可能であり、作業車両管理者と受付担当者が未登録の緊急出動案件の内容を共有できる根本的な対応策が求められていた。
【0005】
本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたものであり、構内交換機と複数の電話機能付きコンピュータ端末とを相互に接続してなるCTIシステムにおいて、受付途中の緊急案件を受付担当者と他の管理者が共有可能な電話受付案件処理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するための本発明に係る電話受付案件処理システムの第一の特徴構成は、構内交換機と、前記構内交換機に接続された複数の電話機能付きコンピュータ端末と、補助画面表示端末と、前記複数の電話機能付きコンピュータ端末にネットワーク接続し、前記補助画面表示端末に対する画面表示を制御する補助画面制御サーバとを備えてなる電話受付案件処理システムであって、前記電話機能付きコンピュータ端末は、前記電話機能によって受信した受信電話の通話内容に基づく案件受付画面上への案件データ入力を受け付け可能に構成され、前記補助画面制御サーバは、前記受信電話の少なくとも着信電話番号に基づいて、前記受信電話の緊急性を判断して、前記受信電話が緊急案件であると判断した場合に、前記受信電話を受信した前記電話機能付きコンピュータ端末の前記案件受付画面上の画面表示を、前記補助画面表示端末にも表示するように、前記電話機能付きコンピュータ端末からの前記画面表示の表示出力を前記補助画面表示端末に接続する制御が可能に構成されている点にある。
【0007】
上記電話受付案件処理システムの第一の特徴構成によれば、例えばガス漏洩等の異常通報や緊急出動要請を専門に受け付けるために用意された電話番号に通報者からの電話が着信した場合に、構内交換機が当該着信電話を所定の電話機能付きコンピュータ端末(受付端末)に接続すると、受付担当者は、電話機能付きコンピュータ端末で当該着信電話を受信し、受信電話の通話内容(通報者に対する電話応対内容)で得られた異常通報情報を案件データとして案件受付画面上へ入力することができる。更に、補助画面制御サーバが、当該受信電話の着信電話番号が、緊急案件受付専用の電話番号である場合には、当該受信電話が緊急通報であって緊急案件に該当すると判断して、当該受信電話を受信した電話機能付きコンピュータ端末の案件受付画面上に表示されている案件データを含む画面表示を電話機能付きコンピュータ端末から補助画面表示端末に出力するように当該画面表示データの入出力を制御するので、補助画面表示端末の表示画面上で、電話機能付きコンピュータ端末の案件受付画面上に表示されているのと同じ表示画面を閲覧することができる。この結果、当該電話機能付きコンピュータ端末を操作している受付担当者以外の作業者や管理者が、補助画面表示端末の表示画面上で受付進行中の緊急案件の内容を、受付担当者と同時にリアルタイムで共有することが可能となる。また、緊急案件の電話受信の直後から、受付担当者以外の作業者や管理者が、緊急案件の状況把握が可能となるので、緊急出動等の作業指示及び管理が早期に行え、現場到着までの時間を短縮できる。更に、補助画面表示端末の表示画面を介して、受付担当者から受付担当者以外の作業者や管理者への意思の疎通が図れるため、受付担当者の使用する受付端末と指示担当者の使用する指示端末間のレイアウト上の制約が緩和され、システムのレイアウト構成の自由度が高くなる。
【0008】
同第二の特徴構成は、上記第一の特徴構成に加え、前記補助画面表示端末は、前記受信電話の発信地域別に少なくとも1台ずつ設けられており、前記補助画面制御サーバは、前記受信電話の前記着信電話番号に基づいて、前記発信地域を判定し、前記受信電話を受信した前記電話機能付きコンピュータ端末の前記案件受付画面上の画面表示を、前記発信地域に対応する前記補助画面表示端末に表示するように、前記電話機能付きコンピュータ端末からの前記画面表示の表示出力を前記補助画面表示端末に接続する制御を行う点にある。
【0009】
上記電話受付案件処理システムの第二の特徴構成によれば、緊急案件受付専用の電話番号が、発信地域別に用意されている場合に、緊急案件の受信電話の着信電話番号に基づいて発信地域を判定して、その発信地域に対応する補助画面表示端末に当該緊急案件を受信した電話機能付きコンピュータ端末の案件受付画面上の画面表示を表示できるので、当該緊急案件に対して緊急出動を指示する場合の指示系統が地域別に分割されている場合等において、当該指示担当者は、担当地域の補助画面表示端末に緊急案件の画面表示が出力された場合に、自己の担当する地域において緊急案件が発生したことが即座に認識できるとともに、その内容を補助画面表示端末の表示画面上から把握することができる。
【0010】
同第三の特徴構成は、上記第一または第二の特徴構成に加え、前記電話機能付きコンピュータ端末と前記補助画面表示端末の夫々が、前記受信電話の発信地域別にグループ化して少なくとも1台ずつ設けられている点にある。
【0011】
上記電話受付案件処理システムの第三の特徴構成によれば、電話機能付きコンピュータ端末の台数が多い大規模な電話受付案件処理システムにおいて、電話機能付きコンピュータ端末の画面表示データの電話機能付きコンピュータ端末から補助画面表示端末への入出力制御がグループ単位で行えるため、当該入出力制御が簡単化でき、且つ、当該制御に用いる信号切替装置を簡単化できる。
【0012】
同第四の特徴構成は、上記何れか一つの特徴構成に加え、前記補助画面制御サーバは、前記受信電話の前記着信電話番号と着信からの経過時間に基づいて、前記受信電話の緊急性を判断する点にある。
【0013】
上記電話受付案件処理システムの第四の特徴構成によれば、例えば、緊急案件受付専用の電話番号に非緊急案件の電話が着信した場合に、緊急案件の受付担当者が、当該受信電話を非緊急案件の受付担当者の電話機能付きコンピュータ端末に転送した場合等において、受信電話の着信から転送までの経過時間が短いため、非緊急案件の着信から転送までに要する所要時間以上経過している案件だけを緊急案件であると判断することで、当該非緊急案件を予めスクリーニングでき、不要な非緊急案件を補助画面表示端末に表示出力するのを回避できる。
【0014】
同第五の特徴構成は、上記何れか一つの特徴構成に加え、前記補助画面表示端末に対応する補助音声出力装置を備え、前記補助画面制御サーバは、前記補助画面表示端末に前記案件受付画面上の画面表示を表示する前記電話機能付きコンピュータ端末における通話の音声信号を、前記補助音声出力装置に出力する点にある。
【0015】
同第六の特徴構成は、上記第五の特徴構成に加え、前記複数の電話機能付きコンピュータ端末が受信した前記受信電話の通話を各別に録音する通話録音装置を備え、前記補助画面制御サーバは、前記補助画面表示端末に前記案件受付画面上の画面表示を表示する前記電話機能付きコンピュータ端末における通話の音声信号を、前記通話録音装置から選別して前記補助音声出力装置に出力する点にある。
【0016】
上記電話受付案件処理システムの第五または第六の特徴構成によれば、受付担当者以外の作業者や管理者が、電話機能付きコンピュータ端末が受信した受付進行中の緊急案件の通話内容を音声として把握できるため、通報者の切迫度、緊急度がより具体的に実感でき、補助画面表示端末に表示出力された案件内容と併せて、受付進行中の緊急案件の内容を正確且つ総合的に把握できる。
【0017】
特に、第六の特徴構成によれば、通話録音装置から音声信号を出力することで、各電話機能付きコンピュータ端末から音声信号を個別に出力する必要がないので、通話録音を具備できるとともに、システム構成を簡単化できる。
【0018】
同第七の特徴構成は、上記何れか一つの特徴構成に加え、前記補助画面制御サーバは、前記補助画面表示端末の表示画面上に、前記受信電話を受信した前記電話機能付きコンピュータ端末の識別情報、前記受信電話の受信時刻、及び、前記受信電話の通話経過時間の少なくとも1つを表示する点にある。
【0019】
上記電話受付案件処理システムの第七の特徴構成によれば、受付担当者以外の作業者や管理者が、受付進行中の緊急案件の内容に加えて、当該案件の付加的な情報を同時に認識することができ、当該緊急案件に対する緊急出動等の指示や管理がより迅速且つ正確に行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明に係る電話受付案件処理システム(以下、適宜「本発明システム」という。)の実施の形態につき、図面に基づいて説明する。尚、本実施形態では、ガス供給事業者が、ガス漏洩やガス出不良等の異常通報や、供給管の削除や一部削除等の現場作業を伴うガス供給停止の依頼等の都市ガス供給に関する電話通報を受信して、その受信案件に対して作業車両を出動させる等の指示や管理を行う場合における、前記通報に対する電話受付業務を支援する電話受付案件処理システムを例に説明する。また、本発明システムは、都市ガス事業者のガス供給地域を、例えば、府県別や需要世帯数の規模に応じて複数の担当地区に分割した各地区単位毎に、或いは、全ガス供給地域を一元的に中央で管理するように、所定の受付センター内に設けられている。
【0021】
本発明システム1は、図1に示すように、構内交換機2、複数の受付端末3、補助画面制御サーバ4、画像切替装置5、複数の補助画面表示端末6、通話録音装置7、音声切替装置8、複数の補助音声出力装置9、受付案件管理サーバ10、受付案件データベース11、顧客データベースサーバ12、及び、顧客データベース13を備えて構成されている。
【0022】
構内交換機2は、公衆電話回線14から予め設定された複数の着信電話番号への電話(音声信号)を一括して受信するとともに、当該着信電話を受付端末3に自動分配する着信呼自動分配機能を有し、複数の受付端末3と電話配線を介して各別に接続する。また、構内交換機2は、受付端末3に自動分配した音声信号を通話録音装置7に出力する。
【0023】
本実施形態では、着信電話番号として、ガス漏洩等の異常通報用の着信電話番号と、一般通報用の着信電話番号を区別して用意してあり、また、異常通報用の着信電話番号は、予め区分した発信地域別に少なくとも1つずつ用意してある。また、受付端末3は、総数が数10台以上を想定した場合、上記発信地域別に予めグループ分けしてある。従って、構内交換機2は、ある異常通報用の着信電話番号への着信電話は、当該着信電話番号に対応する発信地域に割り当てられた受付端末3の中の空き端末へ自動分配し、空き端末がない場合は、他の発信地域に割り当てられた受付端末3の中の空き端末へ自動分配する。
【0024】
各受付端末3は、電話ボード内蔵のパソコンで構成される電話機能付きコンピュータ端末であり、ハンズフリーの送受話装置(図示せず)が付属している。受付端末3は、電話機として機能するとともに、付属の表示画面上に、案件データ入力用のマンマシンインターフェースとしての案件受付画面を表示し、マウス、キーボード、タブレット等の入力装置(図示せず)からの受付担当者による入力操作により当該案件受付画面上へのデータ入力が可能に構成されている。各受付端末3、補助画面制御サーバ4、及び、受付案件管理サーバ10は、LAN(ローカルエリアネットワーク)15を介して相互にデータ送受信可能に接続されている。案件受付画面を介して受付端末3に入力された案件データは、入力が完了すると受付案件管理サーバ10に出力され、受付案件管理サーバ10によって受付案件データベース11に登録される。受付案件データベース11に一旦登録された案件データは、LAN15を介して任意の受付端末3にダウンロードして閲覧可能となる。受付端末3の案件データ入力は、受付端末3を構成するコンピュータハードウェア上でのソフトウェア処理により実現され、従来の電話受付案件処理システムにおける受付端末に装備されているものと同様の機能である。本実施形態では、詳細に説明しないが、受付端末3は、受付案件に対する作業指令を行う指令端末としても機能するように構成することで、指令端末としてダウンロードした案件データに基づいて作業指令書の作成や指令の送達等が可能となる。
【0025】
補助画面制御サーバ4は、受付端末3が構内交換機2から自動分配された着信電話を受信すると、受付端末3から出力される受信データを受け取る。受信データは、受付端末3の端末識別番号と当該受信電話の着信電話番号を備えて構成される。補助画面制御サーバ4は、受信データの中の着信電話番号が、異常通報用の着信電話番号に該当するか否かを判定し、異常通報用の着信電話番号に該当する場合、受信データの中の端末識別番号に対応する受付端末3からリアルタイムで出力される案件受付画面の画像信号が、上記着信電話番号に対応する発信地域に割り当てられた補助画面表示端末6に接続するように画像切替装置5を制御する。
【0026】
画像切替装置5は、複数の入力信号端子と複数の出力信号端子を備え、外部からの制御によって、任意の入力信号端子に入力した信号を任意の出力信号端子から出力するように、入力信号端子と出力信号端子間の信号経路を切り替えるスイッチング装置である。複数の入力信号端子には、複数の受付端末3からリアルタイムで出力される案件受付画面の画像信号が各別に入力し、複数の出力信号端子は複数の補助画面表示端末6の画像入力端子に各別に接続する。入力信号端子と出力信号端子間の接続切替の制御は、補助画面制御サーバ4からの制御信号によって行われる。尚、画像切替装置5は、入力信号端子数が少なくとも受付端末3の総数以上で、出力信号端子数が補助画面表示端末6の総数以上となるように構成される。
【0027】
補助画面表示端末6は、大型の液晶プロジェクタ装置等で構成され、その横に補助音声出力装置9が設置されている。スピーカ内蔵のプロジェクタ装置の場合は、当該スピーカが補助音声出力装置9として機能する。複数の補助画面表示端末6と対応する複数の補助音声出力装置9は、予め発信地域別に少なくとも1台ずつ設けられている。尚、補助画面表示端末6及び補助音声出力装置9は、大型のプロジェクタ装置等ではなく、受付端末3と同じパソコン等のコンピュータ端末で構成しても構わない。
【0028】
通話録音装置7は、ハードディスクドライブのような不揮発性の磁気記録媒体を備え、構内交換機2に着信した電話の音声信号の入力を各別に受け付け、例えば所定のサンプリングレートで量子化して当該記録媒体にディジタル記録する。尚、音声信号の録音は必ずしもディジタル記録でなく、アナログ方式の録音でも構わない。また、通話録音装置7は、構内交換機2から出力された音声信号を更に、音声切替装置8に着信電話別に出力する。
【0029】
音声切替装置8は、画像切替装置5と同様に、複数の入力信号端子と複数の出力信号端子を備え、外部からの制御によって、任意の入力信号端子に入力した信号を任意の出力信号端子から出力するように、入力信号端子と出力信号端子間の信号経路を切り替えるスイッチング装置である。複数の入力信号端子には、通話録音装置7からリアルタイムで出力される着信電話の音声信号が各別に入力し、複数の出力信号端子は複数の補助音声出力装置9の音声入力端子に各別に接続する。入力信号端子と出力信号端子間の接続切替の制御は、補助画面制御サーバ4からの制御信号によって行われる。尚、音声切替装置8は、入力信号端子数が少なくとも受付端末3の総数以上で、出力信号端子数が補助音声出力装置9の総数以上となるように構成される。尚、音声切替装置8の接続切替制御は、画像切替装置5の接続切替制御に追従して同時に行われる。
【0030】
受付案件管理サーバ10は、受付案件データベース11に検索可能に記憶される各受付案件データの登録、変更、検索、閲覧、削除等のデータベース操作を制御及び管理するデータベースサーバである。受付案件管理サーバ10が、受付案件データベース11への登録用の入力画面である案件受付画面を、LAN15を経由してアクセスしてきた受付端末3に対してWEB形式で出力する場合は、受付端末3は当該WEB形式の案件受付画面を内蔵のブラウザソフトを起動して表示することで、案件データの入力が可能となる。また、受付端末3は、受付案件データベース11に適合した案件受付画面と案件データ入力専用のプログラムをインストールしておき、当該プログラムを起動して案件受付画面を表示し、案件データの入力を行うようにしても構わない。受付案件管理サーバ10及び受付案件データベース11は、従来の電話受付案件処理システムにおける同種の受付案件管理サーバ及び受付案件データベースを使用可能である。
【0031】
顧客データベースサーバ12は、顧客データベース13に検索可能に記憶される顧客情報(顧客番号、氏名、電話番号、住所等)の登録、変更、検索、閲覧、削除等のデータベース操作を制御及び管理するデータベースサーバである。構内交換機2により、発信者番号通知サービスを利用した着信電話の発信元電話番号が取得されたときは、当該着信電話を自動分配された受付端末3は、顧客データベースサーバ12にアクセスして、取得された発信元電話番号をキーに着信電話の発信者の顧客情報を検索して、必要な案件データ作成に必要な顧客情報を自動的に取得して案件受付画面の該当する入力個所に自動的に入力することが可能となる。
【0032】
尚、受付案件管理サーバ10、受付案件データベース11、顧客データベースサーバ12、及び、顧客データベース13は、本発明の本旨ではないので、詳細な説明は割愛する。
【0033】
次に、構内交換機2の異常通報用の着信電話番号に異常通報電話が着信した場合の各部の動作について時系列に沿って、図2のフローチャートを参照して、簡単に説明する。
【0034】
先ず、構内交換機2において、異常通報用の着信電話番号に異常通報電話が着信する(#10)。次に、構内交換機2は、着信呼自動分配機能を作動させて、着信電話番号に対応する発信地域に予め割り当てられている受付端末3の中から空き端末を検索して、当該空き端末に着信電話を自動分配する(#11)。空き端末であった受付端末3が、担当する発信地域からの異常通報電話を受信する(#20)。
【0035】
引き続き、構内交換機2が、発信者番号通知サービスを利用した着信電話の発信元電話番号を取得し(#12)、受付端末3が顧客データベースサーバ12にアクセスして、取得された当該発信元電話番号をキーに着信電話の発信者の顧客情報を検索して、必要な案件データ作成に必要な顧客情報を自動的に取得して案件受付画面の該当する入力個所に自動的に入力する(#21)。構内交換機2は、その後、受付端末3による受付担当者の通報者との電話応対が終了するまで、回線を接続し(#13)、当該電話応対が終了すると回線が切断される(#14)。
【0036】
受付端末3が、担当する発信地域からの異常通報電話を受信すると(#20)、受付端末3の端末識別番号と当該受信電話の着信電話番号を少なくとも備えて構成される受信データを補助画面制御サーバ4に出力し(#22)、受付担当者は、受付端末3の電話機能を用いて通報者との電話応対を行い異常通報に関する情報収集を行う(#23)。また、案件受付画面上に顧客情報が自動取得されると(#21)、受付担当者は、ステップ#22の通報者からの情報収集と平行して、案件受付画面上へ収集した情報、その他の案件データの入力操作を行う(#24)。
【0037】
補助画面制御サーバ4は、受付端末3から出力された受信データを受け取ると、受信データの着信電話番号が異常通報用の着信電話番号であるか否かによって受信電話の緊急性を判定する(#30)。緊急案件でないと判定されると(#31)、補助画面制御サーバ4は画像切替装置5と音声切替装置8に対する制御を行わずに、当該受信電話に対する処理を終了する。逆に、緊急案件であると判定されると(#31)、補助画面制御サーバ4は画像切替装置5と音声切替装置8に対する制御を行い、受付端末3から出力される案件受付画面の画像信号を、受信データの着信電話番号または端末識別番号に対応する発信地域に割り当てられた補助画面表示端末6に出力するとともに、通話録音装置7から出力される通報者との電話応対の音声信号を、画像信号の出力先の補助画面表示端末6と対応する補助音声出力装置9に出力する(#32)。従って、ステップ#23及び#24における電話応対と案件データの入力の様子が、補助画面表示端末6と補助音声出力装置9によって再生され、受付担当者以外の作業者や管理者が当該状況を同時に把握することが可能となる。
【0038】
ステップ#23での通報者との電話応対が終了すると、通報者との電話回線が切断し(#14)、受付端末3は受信電話から開放され、空き端末状態に戻る(#25)。また、受付担当者が、受付端末3の案件受付画面上での案件データの入力操作を終了すると、案件データの受付案件データベース11への登録を行う(#26)。受付端末3の受信電話との接続が切断状態になるか(#25)、または、案件データの入力操作を完了するか(#26)、何れか早い方のタイミングで、補助画面制御サーバ4は画像切替装置5と音声切替装置8に対する制御を停止し、画像信号の補助画面表示端末6への出力と音声信号の補助音声出力装置9への出力が停止する(#33)。この結果、補助画面表示端末6における案件受付画面の画面表示と、補助音声出力装置9における音声信号の音声出力が停止する。
【0039】
以上説明したステップ#10〜#33の処理が、新たな電話通報が着信する毎に実行される。
【0040】
以下に、別の実施形態につき説明する。
【0041】
〈1〉上記実施形態では、図2に示す受付端末3の処理において、着信電話を受信すると(#20)、即座に受信データを補助画面制御サーバ4に出力し(#22)、補助画面制御サーバ4がその受信データに基づいて即座に受信電話の緊急性を判定する場合を説明したが、例えば、受付端末3が着信電話を受信した後、一定時間(例えば、数10秒程度)経過後に受信データを補助画面制御サーバ4に出力するようにしても構わない。従って、着信電話が異常通報でないため、一般通報用の受付端末に転送された場合には、最初に着信電話を受信した異常通報用の受付端末は空き端末となって、処理が終了するとともに、補助画面制御サーバ4は受信データの入力がないため待機状態のまま何の処理も実行しない。この結果、補助画面制御サーバ4は、着信からの経過時間が上記一定時間以上の受信電話について緊急性を判断することになる。
【0042】
また、受付端末3が着信電話を受信した後、一定時間経過後に受信データを補助画面制御サーバ4に出力する代わりに、補助画面制御サーバ4が受信データの入力後、一定時間(例えば、数10秒程度)経過後に受信電話の緊急性を判定するようにしても構わない。この結果、補助画面制御サーバ4は、着信からの経過時間が上記一定時間以上の受信電話について緊急性を判断することになる。この場合、受付端末3が着信電話を一定時間経過前に一般通報用の受付端末に転送した場合は、空き端末状態となって、補助画面制御サーバ4が、仮に着信電話番号だけから緊急案件であると判定して画像切替装置5と音声切替装置8に対する制御を開始しようとしても、当該制御の開始が中止される。
【0043】
〈2〉上記実施形態において、受付端末3は、案件受付画面上に、自己の受付端末の識別情報、受信電話の受信時刻、及び、受信電話の通話経過時間の少なくとも1つを表示するようにするのが好ましい。この場合、受信電話が緊急案件である場合は、同様の情報が補助画面表示端末6にも表示され、案件データ以外の追加情報も、受付担当者以外の者も含めて共有することができる。尚、受付端末の識別情報としては、端末番号の他、その端末を操作している受付担当者名でもよい。
【0044】
〈3〉上記実施形態において、本発明システムが、音声切替装置8と複数の補助音声出力装置9を備えて構成される場合を説明したが、音声切替装置8と複数の補助音声出力装置9を具備しない構成であっても構わない。この場合、補助画面制御サーバ4は音声切替装置8に対する制御は行わない。
【0045】
また、上記実施形態では、音声切替装置8に入力される音声信号は、通話録音装置7から出力される音声信号であったが、これに代えて、当該音声信号を各受付端末3から音声切替装置8に入力するようにしても構わない。
【0046】
〈4〉上記実施形態において、画像切替装置5及び音声切替装置8は、夫々1台で構成するものを想定したが、複数の受付端末3と複数の補助画面表示端末6が、予め区分された送信地域別に分類され、夫々が何れかの送信地域に割り当てられているので、画像切替装置5及び音声切替装置8を、夫々1台の入出力信号端子数の多いスイッチング装置で構成するのではなく、複数の入出力信号端子数の少ない小規模のスイッチング装置で構成するようにしても構わない。この場合、1台のスイッチング装置で、1または2以上の送信地域を担当するようにすればよい。また、1つの送信地域に対して、2台以上のスイッチング装置を割り当てて、画像切替装置5及び音声切替装置8を構成しても構わない。
【0047】
〈5〉上記実施形態において、複数の受付端末3と複数の補助画面表示端末6が、予め区分された送信地域別に分類されている場合を想定して説明したが、複数の受付端末3と複数の補助画面表示端末6は、必ずしも送信地域別に分類しなくても構わない。
【0048】
〈6〉上記実施形態において、補助画面表示端末6が複数台の場合を想定して説明したが、1台であっても構わない。
【0049】
また、1台の補助画面表示端末6に、画面分割等によって、複数の受付端末3からの案件受付画面の画面表示を行うようにしても構わない。
【0050】
〈7〉上記実施形態では、補助画面制御サーバ4は画像切替装置5と音声切替装置8に対する制御は、受付端末3の受信電話との接続が切断状態になるか、或いは、案件データの入力操作が完了するか、何れか早い方のタイミングで停止する場合を説明したが、当該制御の停止は、受付端末3の受信電話との接続が切断状態になるか、或いは、案件データの入力操作が完了するかの何れか一方だけで行っても構わない。更に、受付端末3からの入力操作或いは補助画面制御サーバ4からの入力操作によって、強制的に中断或いは再開できるように構成するのも好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明に係る電話受付案件処理システムの一実施形態を示すブロック図
【図2】本発明に係る電話受付案件処理システムの各部の処理手順の一例を示すフローチャート
【符号の説明】
【0052】
1: 本発明に係る電話受付案件処理システム
2: 構内交換機
3: 受付端末(電話機能付きコンピュータ端末)
4: 補助画面制御サーバ
5: 画像切替装置
6: 補助画面表示端末
7: 通話録音装置
8: 音声切替装置
9: 補助音声出力装置
10: 受付案件管理サーバ
11: 受付案件データベース
12: 顧客データベースサーバ
13: 顧客データベース
14: 公衆電話回線
15: LAN


【特許請求の範囲】
【請求項1】
構内交換機と、前記構内交換機に接続された複数の電話機能付きコンピュータ端末と、補助画面表示端末と、前記複数の電話機能付きコンピュータ端末にネットワーク接続し、前記補助画面表示端末に対する画面表示を制御する補助画面制御サーバとを備えてなる電話受付案件処理システムであって、
前記電話機能付きコンピュータ端末は、前記電話機能によって受信した受信電話の通話内容に基づく案件受付画面上への案件データ入力を受け付け可能に構成され、
前記補助画面制御サーバは、前記受信電話の少なくとも着信電話番号に基づいて、前記受信電話の緊急性を判断して、前記受信電話が緊急案件であると判断した場合に、前記受信電話を受信した前記電話機能付きコンピュータ端末の前記案件受付画面上の画面表示を、前記補助画面表示端末にも表示するように、前記電話機能付きコンピュータ端末からの前記画面表示の表示出力を前記補助画面表示端末に接続する制御が可能に構成されていることを特徴とする電話受付案件処理システム。
【請求項2】
前記補助画面表示端末は、前記受信電話の発信地域別に少なくとも1台ずつ設けられており、
前記補助画面制御サーバは、前記受信電話の前記着信電話番号に基づいて、前記発信地域を判定し、前記受信電話を受信した前記電話機能付きコンピュータ端末の前記案件受付画面上の画面表示を、前記発信地域に対応する前記補助画面表示端末に表示するように、前記電話機能付きコンピュータ端末からの前記画面表示の表示出力を前記補助画面表示端末に接続する制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の電話受付案件処理システム。
【請求項3】
前記電話機能付きコンピュータ端末と前記補助画面表示端末の夫々が、前記受信電話の発信地域別にグループ化して少なくとも1台ずつ設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の電話受付案件処理システム。
【請求項4】
前記補助画面制御サーバは、前記受信電話の前記着信電話番号と着信からの経過時間に基づいて、前記受信電話の緊急性を判断することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の電話受付案件処理システム。
【請求項5】
前記補助画面表示端末に対応する補助音声出力装置を備え、
前記補助画面制御サーバは、前記補助画面表示端末に前記案件受付画面上の画面表示を表示する前記電話機能付きコンピュータ端末における通話の音声信号を、前記補助音声出力装置に出力することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の電話受付案件処理システム。
【請求項6】
前記複数の電話機能付きコンピュータ端末が受信した前記受信電話の通話を各別に録音する通話録音装置を備え、
前記補助画面制御サーバは、前記補助画面表示端末に前記案件受付画面上の画面表示を表示する前記電話機能付きコンピュータ端末における通話の音声信号を、前記通話録音装置から選別して前記補助音声出力装置に出力することを特徴とする請求項5に記載の電話受付案件処理システム。
【請求項7】
前記補助画面制御サーバは、前記補助画面表示端末の表示画面上に、前記受信電話を受信した前記電話機能付きコンピュータ端末の識別情報、前記受信電話の受信時刻、及び、前記受信電話の通話経過時間の少なくとも1つを表示することを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の電話受付案件処理システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−50177(P2006−50177A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−227411(P2004−227411)
【出願日】平成16年8月4日(2004.8.4)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【Fターム(参考)】