説明

電話装置および電話助言システム

【課題】電話を受け取った本人に、必要に応じて助言を与えることのできる電話装置および電話助言システムを提供する。
【解決手段】電話装置に着信があると(ステップS241:Y)、通知された電話番号が電話帳に登録されていない場合(ステップS244:N)、通話内容の録音が開始され、更に電話の対応者が老人等の補助が必要な者の場合には(ステップS249:Y)、通話が終了した時点で助言者の助言が与えられる補助処理が実行される(ステップS252)。通話内容によって脈拍が異常に高くなったような場合には(ステップS250:Y)、医者等に通知される(ステップS253)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電話を用いた詐欺の被害を防止するために好適な電話装置および電話助言システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電話を使用した詐欺として「振り込め詐欺」というものがある。これは、たとえば電話で身内や警察官、弁護士をかたり、相手を信用させて口座に金を振り込ませ、金を騙し取るものである。したがって、「振り込め詐欺」を防止するためには、電話をとった者が誰から電話が掛かってきたかを正しく認識する必要がある。
【0003】
このために利用できるサービスとして、電話を掛けてきた相手に関する情報を電話を受ける者に通知するサービスが存在している。このサービスでは、発呼側の電話機の電話番号を表わした情報が着呼側の電話機に送られる。したがって、この電話番号を電話機に表示することで、電話を受ける者が、たとえば孫の電話番号を知っているとすると、その孫からの電話であるかどうかを判別することができる。また、予め電話番号と名前を対にして登録しておくことのできる電話帳を備えた電話機でたとえば自分の孫の名前と電話番号を登録しておけば、自分の孫以外からの電話であるという表示内容にもかかわらず孫と称して掛けてきた電話に対して疑問を感じることになる。したがって、特に携帯電話機のような個人の所有する電話端末から電話を掛けてきた場合には、電話を受けるものが発信者側の電話機に関する情報を確認することで、「振り込め詐欺」の被害にあう可能性が低減することになる。
【0004】
しかしながら、「振り込め詐欺」を行おうとする者が、発信側の電話番号の通知を行わない状態に設定して電話を掛けてきた場合には、発信者自身あるいは発信元の電話番号が分からないままに電話を受けることになり、上記のサービスを受けることができない。そこで、このような場合には、発信者にあらかじめ記憶されているメッセージを送出してその応答を行わせ、相手の音声をチェックすることで電話に出るべきかを判断するようにした提案が、第1の提案として行われている(たとえば特許文献1参照)。
【0005】
また、一般的な迷惑電話に対処するために、電話機に特別の装置を付加することで、監視センタに通話内容を送信したり、監視センタ側で通話内容を録音するようにする提案が、第2の提案として行われている(たとえば特許文献2参照)。第2の提案では、反復的に繰り返される迷惑電話の被害者が監視センタに通話内容を保管するようにしている。具体的には、通話内容の録音が終了したときに、電話を受けた者は通話内容を監視センタに送信するか否かの決定を行い、送信すると決定した録音内容を監視センタに送信している。監視センタを含めた形の三者通話の形態を採って、同様の決定を行った内容を監視センタ側が録音してもよい。
【特許文献1】特開2001−230856号公報(第0017段落、図1)
【特許文献2】特開2002−199128号公報(第0036、第0045段落、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このうち第1の提案によれば、電話を取る際に発信者自身あるいは発信元の電話番号が分からない状態のときに、必ず発信者を確認するためのメッセージを送出することになる。ところが、発信元が公衆電話や出先の会社からの電話のように、発信元の電話機を表わす情報自体で発信者を確定できない場合が現実には非常に多い。したがって、このような場合のすべてについて発信者を確認するためのメッセージを送出してその応答を待つことは、相手に対して失礼な場合があり、また、相手に電話代の負担を掛ける意味でも好ましくない。更に、「振り込め詐欺」の場合には、自分の孫等の人物に成りすまして電話を掛けてくる。したがって、相手の音声を聞いて、ただならぬ状況であると錯覚してしまえば、詐欺を行おうとする者の思うままになる可能性が大きくなる。したがって、第1の提案は「振り込め詐欺」のような電話に対して効果がない場合が多い。
【0007】
次に、第2の提案は、嫌がらせ等の迷惑電話に対処するためのものなので、相手の通話自体にプライベートな内容を含むことが多い。このため、迷惑電話に配慮した第2の提案で、監視センタはあくまでも録音を保管する機関として捉えられている。この第2の提案では、監視センタの係員であっても通話内容を勝手に聞けないように録音に関してパスワードの設定が行われており、アクセスの主体は、あくまでも迷惑電話を受けた本人である。これは、監視センタ自体が、時として大量となる迷惑電話の記録を証拠として保管できる外部記憶装置としての機能を果たすものだからである。
【0008】
したがって、第2の提案も「振り込め詐欺」のような単発的な電話を基にした詐欺行為に対してほとんど効果がないものと考えられる。なぜなら、電話を受けた本人が「迷惑な電話」であると認識しなければ監視センタに通話内容を保管する手続きを行うことはないからである。また、この第2の提案のように通話内容を保管しただけでは、振り込み自体を防止することができないからである。
【0009】
もちろん、第2の提案でも、管理センタに保管された情報に基づいて被害状況に関する適切な措置を講ずることを迷惑電話を受けた本人が希望する場合に、管理センタに常駐する専門家にパスワードを教えて相談を行うことができる。また、受信した迷惑電話の内容から緊急を要する事態が想定されるような場合には、迷惑電話を受けた本人のもとに警備員、警察官、相談員などを急行させる措置をとることも可能である。
【0010】
しかしながら、このような内容の第2の提案は、「振り込め詐欺」に適用することは現実に難しい。なぜなら、詐欺は被害者を欺くことによって成立するものである以上、詐欺を行おうとする者から電話を受けた本人が騙されていれば、管理センタに常駐する専門家にパスワードを教えて相談することはない。また、本人保護の前提となる管理センタを利用する手続き自体も事前に行っていないのが通常であると想定される。更に、詐欺を行おうとする者から電話を受けた本人がこれに騙されるのであれば、警察を呼ぶこともないし、警察を呼ぶために管理センタに通話内容を事前に保管する必要もない。
【0011】
このように従来では、発信元の電話番号や発信者の確認を行うサービスを受ける以外に、「振り込め詐欺」を防止する有力な手段が存在しなかった。したがって、このサービスを契約していない場合および契約を行っていても、自分の電話機の電話帳に相手の名前とともに登録している電話番号あるいは個人的に記憶している電話番号以外の電話に対しては、通話相手を声でしか判別することができないという現実があった。
【0012】
以上、「振り込め詐欺」を例にとって説明を行ったが、これに限るものではない。身内の事故あるいは大きな事件といったような精神的な動揺を引き起こす電話に対する本人の保護を図るだけでなく、老人や障害者あるいは年少者等の正確な判断を行うことが困難な者にとっても、電話という閉じた世界の中で、通話相手の話の内容によっては、電話を受けた本人が自分のためにならない行動を誘発されることは往々にしてあり得ることである。たとえば、老後の資金を安全性が高いと聞かされて非常にリスクの高い商品に投資するといった場合を例として挙げることができる。
【0013】
そこで本発明の目的は、電話を受け取った本人に、必要に応じて助言を与えることのできる電話装置および電話助言システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1記載の発明では、(イ)電話の通話内容に対して助言を行う補助者の連絡先を登録する補助者連絡先登録手段と、(ロ)掛かってきた電話の通話内容を補助者連絡先登録手段に登録されている連絡先に送出する通話内容送出手段と、(ハ)この通話内容送出手段によって送出した通話内容に対する連絡先の補助者から助言を受信する助言受信手段とを電話装置に具備させる。
【0015】
すなわち請求項1記載の発明では、電話の通話内容に対して助言を行う際の補助者の連絡先を補助者連絡先登録手段で登録しておく。そして、掛かってきた電話の通話内容を補助者連絡先登録手段に登録されている連絡先に送出し、助言受信手段によってその通話内容に対する助言を受信するようにしている。したがって、この電話装置に電話が掛かってきた場合には、通話内容に対する助言を受けることが可能になり、通話内容のみから電話を受け取った本人が意思決定を行うよりも、不利益を受けることを効果的に防止することができる。
【0016】
請求項2記載の発明では、(イ)電話の通話内容に対して助言を行う補助者の連絡先を登録する補助者連絡先登録手段と、(ロ)補助者に助言を求めることが不要な電話の通話相手の電話番号を登録する助言不要電話番号登録手段と、(ハ)電話が掛かってきたとき、その電話番号が助言不要電話番号登録手段に登録された電話番号のいずれかに一致するか否かを判別する助言不要電話番号一致有無判別手段と、(ニ)この助言不要電話番号一致有無判別手段で一致していないあるいは判別できないとされた電話の通話内容を補助者連絡先登録手段に登録されている連絡先に送出する通話内容送出手段と、(ホ)この通話内容送出手段によって送出した通話内容に対する連絡先の補助者から助言を受信する助言受信手段とを電話装置に具備させる。
【0017】
すなわち請求項2記載の発明では、電話の通話内容に対して助言を行う際の補助者の連絡先を補助者連絡先登録手段で登録しておく。また、補助者に助言を求めることが不要な電話の通話相手の電話番号を助言不要電話番号登録手段で登録しておく。そして、電話が掛かってきたとき、その電話番号が助言不要電話番号登録手段に登録されていなかったり、その電話番号自体が判別できないような場合に限定して、電話の通話内容を補助者連絡先登録手段に登録されている連絡先に送出するようにして、その通話内容に対する助言を受信するようにしている。したがって、この電話装置に電話が掛かってきた場合には、助言が不要であることが確定的なものを除いて、通話内容に対する助言を受けることが可能になり、通話内容のみから電話を受け取った本人が意思決定を行うよりも、不利益を受けることを効果的に防止することができる。
【0018】
請求項3記載の発明では、(イ)電話の通話内容に対して助言を行う補助者の連絡先を登録する補助者連絡先登録手段と、(ロ)電話が掛かってきたときの応答者を判別する応答者判別手段と、(ハ)この応答者判別手段の判別結果に応じて補助者連絡先登録手段に登録されている補助者に対して通話内容を送出すべきであるか否かを判別する送出可否判別手段と、(ニ)この送出可否判別手段が送出を可と判別したとき、掛かってきたその電話の通話内容を補助者連絡先登録手段に登録されている連絡先に送出する通話内容送出手段と、(ホ)この通話内容送出手段によって送出した通話内容に対する連絡先の補助者から助言を受信する助言受信手段とを電話装置に具備させる。
【0019】
すなわち請求項3記載の発明では、電話の通話内容に対して助言を行う際の補助者の連絡先を補助者連絡先登録手段で登録しておく。また、電話に応答する者を判別する応答者判別手段を電話装置に備えさせるようにしており、応答者判別手段の判別結果に応じて補助者連絡先登録手段に登録されている補助者に対して通話内容を送出すべきであるか否かを判別するようにしている。そして、電話が掛かってきたとき、補助者が補助をする必要がある者が電話に応答する場合に限定して、電話の通話内容を補助者連絡先登録手段に登録されている連絡先に送出するようにして、その通話内容に対する助言を受信するようにしている。したがって、仮に「振り込め詐欺」を行おうとする者が電話をしてきたときに、これに騙されないような者を除いて、通話内容に対する助言を受けることが可能になる。このため、助言者は助言の必要な者に絞って助言を与えることができ、これらの者が単独で意思決定を行うよりも、不利益を受けることを効果的に防止することができる。
【0020】
請求項4記載の発明では、(イ)電話の通話内容に対して助言を行う補助者の連絡先を登録する補助者連絡先登録手段と、(ロ)電話を掛けるたびにこれらの電話番号を記憶する電話番号記憶手段と、(ハ)電話が掛かってきたとき、その電話番号が電話番号記憶手段に記憶された電話番号のいずれにも一致しないか否かを判別する電話履歴一致有無判別手段と、(ニ)この電話履歴一致有無判別手段で一致していないとされた電話の通話内容を補助者連絡先登録手段に登録されている連絡先に送出する通話内容送出手段と、(ホ)この通話内容送出手段によって送出した通話内容に対する連絡先の補助者から助言を受信する助言受信手段とを電話装置に具備させる。
【0021】
すなわち請求項4記載の発明では、電話の通話内容に対して助言を行う際の補助者の連絡先を補助者連絡先登録手段で登録しておく。また、過去に発信した電話番号を電話番号記憶手段に記憶しておき、電話が掛かってきたときにはこれらの電話番号のいずれにも一致していない電話番号であるかどうかを判別することにしている。そして、「振り込め詐欺」を行おうとする者の電話番号のように電話装置側から過去に発信することのまずない電話番号の電話機から電話が掛かってきた場合には、電話の通話内容を補助者連絡先登録手段に登録されている連絡先に送出するようにして、その通話内容に対する助言を受信するようにしている。したがって、突発的に見知らぬ相手から掛かってきたような電話に絞って、通話内容に対する助言を受けることが可能になる。このため、助言者は助言の必要な者に絞って助言を与えることができ、これらの者が単独で意思決定を行うよりも、不利益を受けることを効果的に防止することができる。
【0022】
請求項5記載の発明では、(イ)電話の通話内容に対して助言を行う補助者の連絡先を登録する補助者連絡先登録手段と、(ロ)電話が掛かってきたとき、補助者連絡先登録手段にその内容を連絡することを指示する連絡指示スイッチと、(ハ)この連絡指示スイッチが押されたとき、掛かってきた電話の通話内容を補助者連絡先登録手段に登録されている連絡先に送出する通話内容送出手段と、(ニ)この通話内容送出手段によって送出した通話内容に対する連絡先の補助者から助言を受信する助言受信手段とを電話装置に具備させる。
【0023】
すなわち請求項5記載の発明では、電話の通話内容に対して助言を行う際の補助者の連絡先を補助者連絡先登録手段で登録しておく。また、電話装置には、補助者連絡先登録手段にその内容を連絡することを指示する連絡指示スイッチが配置されている。したがって、電話装置の使用者はこの連絡指示スイッチを押すことで、掛かってきた電話の通話内容を補助者連絡先登録手段に登録されている連絡先に送出し、通話内容に対する助言を得ることができる。このため、掛かってきた電話に対応した者が通話内容に基づいて単独で意思決定を行うよりも、不利益を受けることを効果的に防止することができる。
【0024】
請求項6記載の発明では、(イ)電話の通話内容に対して助言を行う者の連絡先を登録する補助者連絡先登録手段と、(ロ)電話を受ける者の通常の脈拍を登録する脈拍登録手段と、(ハ)電話を受ける者の脈拍を測定する脈拍測定手段と、(ニ)電話が掛かってきたときの応答者の脈拍登録手段に登録された脈拍と脈拍測定手段が測定した脈拍を比較して測定した値が異常であるかどうかを判別する脈拍異常有無判別手段と、(ホ)この脈拍異常有無判別手段が脈拍を異常であると判別したとき、脈拍が異常であることを補助者連絡先登録手段に登録されている連絡先に送出する通話内容送出手段とを電話装置に具備させる。
【0025】
すなわち請求項6記載の発明では、電話の通話内容に対して助言を行う際の補助者の連絡先を補助者連絡先登録手段で登録しておく。また、電話に応答する者の応答時の脈拍をチェックするようにして、電話の内容等によって脈拍に異常が認められたときには、脈拍が異常であることを補助者連絡先登録手段に登録されている連絡先に送出することにしている。これにより、単に通話内容で体調が危険になった場合だけでなく、何らかの病気の進行によって体調が危険になったときにも、その状況を他人に連絡して適切な処置を採らせることが可能になる。
【0026】
請求項11記載の発明では、(イ)電話が掛かってきたときのその電話番号が予め登録した電話番号と一致するか否かを判別する電話番号一致有無判別ステップと、(ロ)この電話番号一致有無判別ステップで電話番号が一致しなかったとき、電話の通話内容を受信して助言を行う補助者の電話番号に対して通話内容を送出する通話内容送出ステップと、(ハ)この通話内容送出ステップで通話内容を補助者に送出した時点で回線を保持してその補助者から通話内容に対する助言があるかどうかを確認する助言確認ステップと、(ニ)この助言確認ステップで助言があるとされたとき通話内容の当事者を補助者と通話させるために呼び出す呼出ステップとを電話助言システムに具備させる。
【0027】
すなわち請求項11記載の発明では、電話の通話内容に対して助言を行う際の補助者の連絡先を補助者連絡先登録手段で登録しておき、掛かってきた電話の電話番号が予め登録した電話帳等の電話番号と一致しなかったときには、電話の通話内容を受信して助言を行う補助者の電話番号に対して通話内容を送出して、その状態で回線を保持して助言があれば呼び出して、通話内容の当事者を補助者と通話させることにした。これにより、助言者が電話を掛け直すことなく直ちに助言を与えることができ、たとえば「振り込め詐欺」の電話によって振り込みに出かける前に助言を受け取ることができる。
【発明の効果】
【0028】
以上説明したように本発明によれば、掛かってきた電話に応じて通話内容を助言可能な者に送ることにしたので、貴重な助言を得ることができる。したがって、判断に困る重要な事や、疲労等によって判断能力を欠いているような場合であっても、電話を受け取った者に不利益が生じるのを効果的に防止することができる。また、ビジネスとしてこのようなサービスを、身寄りのない老人や一人で生活している外国人等に提供することも可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下実施例につき本発明を詳細に説明する。
【実施例1】
【0030】
図1は、本発明の一実施例における電話装置の外観を表わしたものである。本実施例の電話装置101は、装置本体102のハンドセット103に個人識別と脈拍の検出を行う個人識別兼脈拍検出装置104が取り付けられている。その他の外観は通常の電話機と同一の構成となっており、液晶等からなる表示部105と、テンキー等の複数のキーからなるダイヤルキー部106および幾つかのファンクションキーからなるファンクションキー部107を備えている。
【0031】
図2は、この電話装置の回路構成の概要を表わしたものである。電話装置101は、CPU(中央処理装置)111を備えている。CPU111は、データバス等のバス112を通じて電話装置101内の各部と接続されている。このうち、ROM113は、この電話装置101内の各部を制御するためのプログラム等の固定的なデータを格納したリード・オンリ・メモリである。RAM114はCPU111が各種制御を実行する際に必要となるデータを一時的に格納するランダム・アクセス・メモリである。このRAM114の一部は、たとえば電池(図示せず)によってバックアップされた不揮発性メモリ領域を構成している。この不揮発性メモリ領域には、電話帳を登録する電話帳登録領域115と、電話装置101の使用者の情報を登録して管理するための使用者情報登録領域116と、助言を求めたり異常の通知を行う先の補助者を登録するための補助者登録領域117が設けられている。本実施例では、使用者情報登録領域116として登録する使用者の情報として、電話を使用する当事者が誰であるかを判別するための当事者判別情報と、助言を求めたり異常の通知を行う先の補助者を登録するための補助者登録情報と、各使用者の脈拍の異常を検出するために平常時の脈拍の範囲を記憶しておく使用者脈拍情報が登録されるようになっている。
【0032】
電話装置101のバス112には、この他に、図1に示したダイヤルキー部106およびファンクションキー部107のキー情報を受け付けるデータ入力部118と、発信者の電話番号の検出を行う発信者番号検出部119と、着信を検出する着信検出部120と、発呼を制御する発呼制御部121、ハンドセット103に取り付けられたスピーカ122およびマイクロフォン123と接続されると共に通話の録音および再生を制御する音声制御部124と、図1に示した個人識別兼脈拍検出装置104を構成し、手の平の静脈等によって個人を識別する個人識別部125および脈拍を測定する脈拍測定部126と、定型化された文章の電子メールを自動的に送信する電子メール通信部127がそれぞれ接続されている。本実施例で電子メール通信部127は、掛かってきた電話に出ている対応者の体調が悪くなったような所定の場合に、脈拍等の体調を表わすデータを付加して予め定められた宛先に定型文化された電子メールを送信する手段である。
【0033】
ところで、本実施例では、あらかじめこの電話装置101を使用する可能性のある者を登録するようにしている。たとえば家族が電話装置101を共通で使用する場合には、その家族全員が登録してもよいが、特にその中でも通話内容の判断に何らかの補助が必要とされる高齢者や年少者等の登録が行われることが好ましい。このような者は、使用者情報登録領域116に自分に関する情報の登録を行うと共に保護を要する旨の指定を行っておく。これにより、補助者登録領域117に登録されている補助者に助言を求めたり、緊急時の対応を委ねることができる。このために、本実施例では音声制御部124を用いて通話内容をRAM114の領域に記憶するようになっており、必要な場合には録音内容を補助者登録領域117に登録されている補助者に電話で送信して、助言を求めることができるようになっている。
【0034】
もちろん、使用者情報登録領域116に登録した電話装置101の使用者に掛かってきた電話のすべての通話内容を、補助者に送信する必要はない。本実施例で補助者への送信を除外する場合を列挙すると次のようになる。
(1)電話帳登録領域115に登録されている電話番号の電話機から発信してきた場合。電話帳登録領域115に登録されている電話番号の電話機から電話を掛ける者は、身内の者やなじみの者である場合が多い。したがって、このような者は「振り込め詐欺」のように電話を受け取った側の者に大きな不利益を及ぼすことが考えにくいからである。
(2)電話に応答した者が使用者情報登録領域116に補助を要する旨の指定を行っていないこと。電話に対応しただけで、これらの者すべての情報が補助者に送信されることは、プライバシの保護の観点から問題を発生させる場合があるので、補助を要する旨の指定を行っている老人等に限定してこれらの者の通話内容を補助者に送ることにしている。本実施例では複数の者が共同使用する可能性のある固定電話機を例に挙げているが、固定電話機であっても特定の一人が使用することがほぼ確定している場合や、携帯電話機、PHS(Personal Handy-phone System)あるいはPDA(Personal Digital Assistant)のように個人単位で使用することが通常の通信端末の場合には、電話が掛かってきた時点で、対応者をチェックしてその者が補助を要する旨の指定を行っているか否かの判別をその都度行う必要はない。電話装置101の所有者自体で補助を要するか否かを判別することができるからである。
(3)通話を行っているときの電話の応対者の脈拍が正常の範囲を超えていないこと。使用者情報登録領域116に電話の応対者の脈拍が登録されている場合には、これを参照して正常の範囲を超えているときに、通話内容を補助者に送ることにしている。ただし、電話の応対者の脈拍が登録されている場合であってもいない場合であっても、脈拍が異常に高い場合や、脈拍の上昇が顕著な場合には、あらかじめ定めた病院の担当部署や老人ホーム等の看護担当者あるいはセキュリティ会社の担当部署に通知が行くようになっていてもよい。
【0035】
図3は、図2に示した補助者登録領域に対する補助者の登録処理の流れを表わしたものである。以下の説明では、図1に示した電話装置101をある家族の老夫婦A、Bおよび若夫婦C、Dが使用するものとする。家族は、電話装置101を購入した際に、たとえば若夫婦のうちの男性Cがダイヤルキー部106あるいはファンクションキー部107を操作して、補助者登録モードに設定する(ステップS201:Y)。本実施例では補助者として、電話の通話内容の補助を行う助言者と、通話時の健康状態に異常が見られたときにチェックを行う医療関係者の2種類を設定することができる。助言者は、家族、親戚や日常交友があり信頼できる知人、友人といった無料で選択できる者だけでなく、有料で、すなわちビジネスで請け負う者を指定することもできる。公共機関の相談員であってもよい。医療関係者は行き付けの医師等の医療に専門に従事するものであることが好ましいが、脈拍等の医学的知識を有する友人や、緊急時の対応が採れる家族や親戚であってもよい。この場合にも、電話に対する応答をビジネスで請け負う者を指定することもできる。
【0036】
補助者登録モードで、男性Cは表示部105にその時点で表示されるメニュー画面から「助言者登録」と「医療関係者登録」のいずれかを選択することができる(ステップS202、S203)。「助言者登録」を選択した場合(ステップS202:Y)、無料で助言を得る者に限定するとすると、男性Cは家族のいずれかが電話の内容で迷った際の助言者となる者の氏名と、連絡先としての勤務先や自己の個人端末等の電話番号および優先度を入力する(ステップS204)。たとえば、老夫婦A、Bの助言者として男性Cを入力する。助言者が一人だけの場合で、かつ「医療関係者登録」の必要がない場合には、登録のための処理を終了する(ステップS205:Y)。この場合には、補助者登録領域117に男性Cのみが登録されることになる(ステップS206)。
【0037】
これに対して、助言者として男性Cの他に女性Dも登録を行っている方が安全な場合には、登録のための処理を終了せずに(ステップS205:N)、再びステップS202に戻って助言者を追加登録する。このようにして、助言者は助言を行いうる家族の全員を登録したり、更に友人や親戚の者、あるいはビジネスでそのような助言を行う弁護士等の専門家を登録することもできる。ただし、ビジネスで助言を行う弁護士等の専門家については、助言に対する報酬を別途定めておく必要がある。
【0038】
本実施例で助言者の登録処理の過程では、特に老人Aについての助言者とか、老人Bについての助言者というように補助者を補助を受ける者に対応付けて登録する必要はない。もちろん、各個人が助言者を別々に指定したり、優先順位を変えるような登録形態も可能である。
【0039】
男性Cは家族の各人を想定しながら助言者を一人あるいは複数人入力したら、必要に応じて「医療関係者登録」のステップに進む(ステップS203:Y)。本実施例では通話中に脈拍が急上昇したり、異常な値を示していたときに医療関係者に連絡するためにこの登録を行うようにしている。したがって、たとえば老夫婦A、Bにこのような症状が見られる危険性が少ない場合には、特に医療関係者を登録する必要がない。また、必要に応じて医療関係者に連絡を行う者としてマンションの管理人や多少、医療に詳しい友人の氏名、電話番号、電子メールのアドレス、アクセス先が複数ある場合の選択のための優先度を入力してもよい。このような入力が終了したら(ステップS207)、追加の入力があれば(ステップS205:N)、再びステップS202あるいはステップS203の処理に戻ることになる。すべての入力が終了した場合には(ステップS205:Y)、ステップS206に進んで補助者登録領域117に補助者全員の登録が行われる。なお、補助者の変更や削除も行うことができるが、本実施例ではその具体的な図示および説明を省略する。
【0040】
図4は、本実施例の電話装置の使用者情報登録処理の流れを表わしたものである。この使用者情報登録処理は、すでに説明したように補助者の必要となる可能性のある者の情報を使用者情報登録領域116に登録する処理である。先の例では老夫婦A、Bの使用者情報が中心となる。もちろん、家族全員をここに登録しておいて、脈拍が異常になったような場合の安全性を図ることもできる。
【0041】
図1に示したダイヤルキー部106あるいはファンクションキー部107を操作して、使用者情報登録モードに設定したら(ステップS221:Y)、登録を行おうとする者はこの時点で表示されるメニュー画面から「新規登録」と「更新」のいずれかを選択する(ステップS222、S223)。新規登録が選択された場合には(ステップS222:Y)、たとえば老人Aの名前あるいは略語を入力して(ステップS224)、その老人Aにハンドセット103(図1)を握らせて個人識別部125(図2)で静脈パターンを検出する(ステップS225)。個人識別部125は、周知の光学系を使用してハンドセット103を握った状態での手の静脈パターンを検出する。検出の精度は、家族のそれぞれを判別できる程度でよい。したがって、セキュリティ上の要請で個人を判別するような高精度の判別は必要ない。
【0042】
静脈パターンの検出が行われたら、老人Aがハンドセット103を握った状態で脈拍の測定を行う(ステップS226)。脈拍もその個人の大体の値が分かればよい。正常時の脈拍の値が分かっている場合には、ダイヤルキー部106を操作してその値を代わりに入力してもよい。ただし、電話に応答する際の脈拍の推移を測定するには、ハンドセット103を握った状態で脈拍を調べておくことが好ましい。新規登録についての以上の処理が終了したら、図2に示した使用者情報登録領域116に老人Aの情報を登録して(ステップS227)、処理を終了する(エンド)。
【0043】
これに対して、更新登録が選択された場合には(ステップS223:Y)、既に登録されている名前の一覧が表示部105に表示され(ステップS228)、更新を行う名前の選択が行われたら(ステップS229:Y)、ステップS225と同様の静脈パターンの検出(ステップS230)と脈拍の測定が行われる(ステップS231)。そして、図2に示した使用者情報登録領域116にその者の使用者情報を上書きする形で更新が行われる(ステップS232)。
【0044】
なお、図2に示した電話帳登録領域115に対する電話帳の登録については、広く行われている電話帳の登録と特に相違しないので、その処理についての図示および説明を省略する。電話装置101を家族で使用する場合には各電話番号と名前の対となった家族全体としての電話帳の登録が行われることになる。
【0045】
図5は、このような電話装置に電話が掛けられてきた場合の制御の内容を表わしたものである。図2と共に説明を行う。CPU111は、着信検出部120が着信を検出するのを監視している(ステップS241)。着信が検出されると(Y)、CPU111は発信者番号検出部119を用いて、着信した電話について発信者番号が検出できるかどうかを判別する(ステップS242)。発信者番号が検出された場合には(Y)、これが発信者番号を通知しない非通知状態となっているかどうかをチェックする(ステップS243)。非通知状態となっていなければ(N)、検出した発信者の電話番号が電話帳登録領域115に登録されているかどうかをチェックする(ステップS244)。登録されている場合には(Y)、呼出音に応答して電話装置101の使用者としての家族がハンドセット103を持ち上げて、通話が開始される(ステップS245)。この場合には、通話が終了した時点で(ステップS246:Y)、一連の処理が終了する(エンド)。
【0046】
一方、ステップS242で発信者番号検出部119が発信者番号を検出することができなかった場合(N)、ステップS243で電話番号を非通知とされていた場合(Y)、および電話番号が非通知とされていなくてもその電話番号が電話帳登録領域115に登録されていなかった場合には(ステップS244:N)、ハンドセット103が持ち上げられて通話が開始されると(ステップS247)、音声制御部124は通話の録音を開始する(ステップS248)。録音内容としての音声データは圧縮されて、日付、通知された電話番号ならびに脈拍測定部126の測定した電話の対応者の脈拍といった関連データと共にRAM114の所定の一時記憶領域に順次格納される。
【0047】
録音が開始されたら、CPU111はハンドセット103を握っている電話の対応者を個人識別部125で検出して、判別された者が補助が必要であるかどうかをチェックする(テップS249)。補助が必要なことが指定された老人Aのような対応者の場合には(Y)、脈拍測定部126で測定した脈拍を通話終了まで監視する(ステップS250、S251)。そして、脈拍に異常がない状態で通話が終了した場合には(ステップS205:N、S251:Y)、補助処理を実行する(ステップS252)。ここで補助処理とは、次に説明するように補助者に録音内容を通知して助言を求める処理である。なお、脈拍を通話終了まで監視するようにしたのは、通話の進展によって脈拍が変動する場合があるのと、電話の対応者が途中で交代する場合を考慮したものである。
【0048】
通話内容に対応者に動揺を来たすものがあったり、対応者の健康が突然悪くなったように、通話が終了するまでに対応者の脈拍に異常が見られた場合には(ステップS250:Y)、通話と並行した状態で電子メールを用いた通知処理が実行される(ステップS253)。ここで通知処理とは、電子メールを用いて医療関係者として指定された者の携帯電話機等の宛先にアラームが通知される処理である。この通知処理では、電子メール通信部127を用いて、「医療関係者登録」の行われたメールアドレスに、脈拍の値や通話を行っている対応者の判別結果と共に、編集された音声データがファイルとして送出される。
【0049】
たとえば「振り込め詐欺」のための電話が掛かってきて、対応した老人Aが通話内容に興奮して脈拍の異常を来たした場合、この時点で、電話の当事者には電話装置101から、「対応者の脈拍が異常値を示しているため、現在の状況を医療関係者に連絡します。」という音声メッセージが流れることになる。したがって、多くの場合、電話を掛けてきた「振り込め詐欺」を行おうとした者は、第三者に通知されることを恐れて詐欺行為を途中で断念することになる。当事者間で通話が終了した時点で補助処理が実行される(ステップS252)。
【0050】
図6は、補助処理の具体的な内容を表わしたものである。補助処理では、まず、図5のステップS248で開始した録音を停止し(ステップS271)、補助者登録領域117に登録された補助者のうちの助言者に対して発信する(ステップS272)。このとき、助言者が複数登録されている場合には最も優先度の高い者に電話を掛ける。応答があれば(ステップS273:Y)、録音内容を、これに付加された情報と共に再生する(ステップS274)。この図では省略しているが、最も優先度の高い者の電話機で呼び出しに応答がなかった場合には、次に優先度の高い電話番号に電話するといった優先度に応じた呼び出しの制御が行われる。録音内容に付加された情報とは、録音の対象となった電話番号や通話を行った対応者が判明している場合のその氏名等である。再生が終了したら(ステップS275:Y)、助言者の電話に対して、助言を依頼する定型文からなるメッセージを送出して、これに対応する操作キー(図示せず)の操作を依頼する(ステップS276)。
【0051】
操作キーの操作の依頼があると、助言者は直ちに助言をしようとする場合には、自身の使用している図示しない電話機のたとえば数字の“1”キーを押して助言があることを電話装置101に伝える(ステップS277:Y)。助言がない旨の操作を行ったとき、あるいは助言者が後で電話を掛け直すために電話を切ったときには(ステップS277:N)、通話内容が助言者に伝達したこの状態で補助処理が終了する(エンド)。
【0052】
これに対して、助言者からその場で老人A等の電話の対応者に助言を行う旨の意思が伝えられた場合には(ステップS277:Y)、電話装置101の呼出音が出力される(ステップS278)。これは、老人A等の電話の対応者を電話装置101に呼び戻すためである。この呼出音に対して老人A等の家族が応答したら(ステップS279:Y)、助言者とその家族の間で通話が開始される(ステップS280)。その家族が通話内容の当事者であれば、助言者が直接、その者に対して助言を行うことができる。その家族が通話内容の当事者ではない場合には、当事者が呼ばれて助言者と話をするか、電話に出た家族が事情を理解して当事者に助言者の助言を伝達することになる。このとき、家族は必要に応じてステップS274で電話装置101が助言者に送った録音内容を再度、聞くことができる。このようにして「振り込め詐欺」を始めとした電話を受けた本人が不利となるような行為を未然に阻止させることができる。通話が終了した時点で(ステップS281:Y)、補助処理が終了する(エンド)。
【0053】
一方、ステップS278で呼出音が出力されたとき、所定の時間t1が経過しても呼び出しに応答しなかった場合には(ステップS279:N、S282:Y)、電話装置101からメッセージを録音する旨の依頼が助言者側に送出される(ステップS283)。そして、録音が開始され(ステップS284)、通話(録音)が終了した時点で(ステップS281:Y)、補助処理が終了することになる(エンド)。
【0054】
再び図5に戻って着信による通話処理の残りを説明する。ステップS249で補助が必要とされなかった場合(N)について説明する。このような場合とは、電話の対応者を個人識別部125で検出した結果として、たとえば若夫婦C、Dのように補助が必要とされる者でないことが判別された場合である。この場合には、通話が終了した時点で(ステップS254:Y)、ステップS248で開始された録音を消去する処理が行われて(ステップS255)、すべての処理が終了する(エンド)。
【0055】
なお、通常、健康に問題がない若夫婦C、D等のように補助者登録領域117に登録を行わないでいるものであっても、病気になる等によって通話時の脈拍が異常になる場合もある。このような者に対して脈拍測定部126の測定した値を通常の大人の脈拍の異常とされる値と対応付けて、ステップS253で説明したような「医療関係者登録」のあった宛先に電子メールを用いた通知処理が行われるようになっていてもよい。
【0056】
また、以上説明した実施例では電話装置101に個人識別兼脈拍検出装置104を配置したが、これに限るものではない。たとえば、電話が掛かってきたときに、その発信側の電話番号が非通知あるいは判別できない状態であったり、通知された電話番号が電話帳に登録されていないことのみを条件として、録音を開始し、これを助言者として登録した者の電話番号に送信するようにしてもよい。
【0057】
更に、助言者の連絡先は電話機(電話番号)に限る必要はない。録音した音声データをファイルとして電子メールでパーソナルコンピュータ等の通信端末に送信するようにしてもよい。また、補助者を加えた電話あるいはインターネットを利用した三者会議を開催して、補助者が助言等の必要な発言を行う機会を与えるようにしてもよい。
【0058】
また、実施例では個人の識別に静脈のパターンを使用したが、ハンドセット、各種キー等の手の指に触れる箇所で指紋を検出してこれによって個人を識別してもよい。その他の個人識別のための従来技術を応用できることも当然である。
【0059】
<発明の第1の変形例>
【0060】
図7は、本発明の第1の変形例における電話装置の回路構成の概要を表わしたものである。図7で図2と同一部分に同一の符号を付しており、これらの説明を適宜省略する。第1の変形例の電話装置101Aは、RAM114Aの中に発信履歴領域301が新たに配置されている。図2における使用者情報登録領域116は存在しない。また、図2における個人識別兼脈拍検出装置104に相当する個人識別部125および脈拍測定部126も設けられていない。電話装置101AのROM113Aには、不審な電話に対する使用者の保護を、発信履歴を活用して図る制御プログラムが格納されている。
【0061】
図8は、この第1の変形例における着信による通話処理の概要を表わしたものである。図8で図5と同一部分には同一の符号を付しており、これらの説明を適宜省略する。この第1の変形例では、ステップS401で検出した発信者の電話番号が電話帳登録領域115に登録されていないと判別された場合に(N)、その電話番号が発信履歴領域301に格納されている電話装置101Aの過去に発信した電話番号のいずれかに一致しているかどうかの判別が行われる(ステップS402)。いずれかの電話番号に一致すれば(Y)、ステップS245に進んで、通常の通話処理が開始される。
【0062】
これに対して、電話装置101Aの過去に発信した電話番号のいずれにも一致しない場合には、たとえば「振り込め詐欺」のための電話が掛けられた可能性がある。したがって、この場合には(ステップS402:N)、ステップS247による通話処理に進み、ステップS248で通話内容が録音されることになる。そして、通話が終了したら(ステップS403:Y)、既に説明した補助処理が行われることになる(ステップS252、図6)。なお、この第1の変形例では、ステップS401で検出した発信者の電話番号が電話帳登録領域115に登録されている場合には(Y)、発信履歴を調べる必要なく、通常の通話処理が開始されるようになっている(ステップS245)。
【0063】
このように第1の変形例では、電話装置101A側が電話を掛けた電話番号は、電話装置101Aに掛かってきた電話番号と比べて安全性の高いものであるという経験的な事実に基づいて、「振り込め詐欺」を行おうとする者や突発的に掛けてくるセールス等の電話による不利益な行為を有効に防止することができる。
【0064】
<発明の第2の変形例>
【0065】
図9は、本発明の第2の変形例における電話装置の回路構成の概要を表わしたものである。図9で図7と同一部分に同一の符号を付しており、これらの説明を適宜省略する。第2の変形例の電話装置101Bは、図7におけるファンクションキー部107の中の一つのキーが補助者に通話内容を通知するための通知キー321を構成している。また、RAM114Bには補助者登録領域117が設けられているが、先の実施例の電話帳登録領域115や使用者情報登録領域116ならびに第1の変形例の発信履歴領域301は設けられていない。もちろん、本発明と直接関係しない電話機としての本来的な用途のために電話帳登録領域115や発信履歴領域301を設けることは自由である。
【0066】
図10は、この第2の変形例における着信による通話処理の概要を表わしたものである。図10で図8と同一部分には同一の符号を付しており、これらの説明を適宜省略する。この第2の変形例では、着信検出部120が着信を検出したら(ステップS241:Y)、通話が開始される(ステップS421)。そして、通話が終了するまでに通知キー321が押されなかった場合には(ステップS422:N、S423:Y)、着信による通常の通話処理として処理が終了する(エンド)。
【0067】
これに対して、通話が終了する前に電話の対応者が通知キー321を押した場合には(ステップS423:N、S422:Y)、図8のステップS247移行の処理が開始されて、その対応者に対する助言を得るための処理が行われることになる(ステップS247〜S252)。
【0068】
この第2の変形例では、補助者として登録した家族の前記した男性Cの留守中に電話装置101Bに電話が掛かってきたような場合、留守を預かる者が通知キー321を押すことで、男性Cに通話内容が伝達されるという利点もある。
【0069】
この第2の変形例では通知キー321を使用した最も簡単な制御を説明したが、実施例および第1の変形例で示した補助処理のための加重要件を適宜付け加えることができることは言うまでもない。
【0070】
なお、以上説明した実施例および変形例では共同使用する固定型の電話機を基にした電話装置について説明したが、携帯電話機、PHS等の個人端末を基にした電話装置についても本発明を適用することができることは当然である。また、実施例および変形例では、音声データの保存や補助者に対する送信を自身の電話装置から行うことを前提としたが、基地局や電話装置のアクセス可能なネットワーク上のサーバ等の記憶手段や録音再生手段が電話装置の一部として構成されてもよいことは当然である。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の一実施例による電話装置の斜視図である。
【図2】本実施例の電話装置の回路構成の概要を表わしたブロック図である。
【図3】図2に示した補助者登録領域に対する補助者の登録処理の流れ図である。
【図4】本実施例の電話装置の使用者情報登録処理を表わした流れ図である。
【図5】本実施例で着信による通話処理の概要を表わした流れ図である。
【図6】本実施例でステップS252の補助処理の具体的な内容を表わした流れ図である。
【図7】本発明の第1の変形例における電話装置の回路構成の概要を表わしたブロック図である。
【図8】第1の変形例における着信による通話処理の概要を表わした流れ図である。
【図9】本発明の第2の変形例における電話装置の回路構成の概要を表わしたブロック図である。
【図10】第2の変形例における着信による通話処理の概要を表わした流れ図である。
【符号の説明】
【0072】
101、101A、101B 電話装置
103 ハンドセット
104 個人識別兼脈拍検出装置
107 ファンクションキー部
111 CPU
113、113A、113B ROM
114、114A、114B RAM
115 電話帳登録領域
116 使用者情報登録領域
117 補助者登録領域
124 音声制御部
125 個人識別部
126 脈拍測定部
127 電子メール通信部
301 発信履歴領域
321 通知キー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電話の通話内容に対して助言を行う補助者の連絡先を登録する補助者連絡先登録手段と、
掛かってきた電話の通話内容を補助者連絡先登録手段に登録されている連絡先に送出する通話内容送出手段と、
この通話内容送出手段によって送出した通話内容に対する前記連絡先の補助者から助言を受信する助言受信手段
とを具備することを特徴とする電話装置。
【請求項2】
電話の通話内容に対して助言を行う補助者の連絡先を登録する補助者連絡先登録手段と、
前記補助者に助言を求めることが不要な電話の通話相手の電話番号を登録する助言不要電話番号登録手段と、
電話が掛かってきたとき、その電話番号が前記助言不要電話番号登録手段に登録された電話番号のいずれかに一致するか否かを判別する助言不要電話番号一致有無判別手段と、
この助言不要電話番号一致有無判別手段で一致していないあるいは判別できないとされた電話の通話内容を前記補助者連絡先登録手段に登録されている連絡先に送出する通話内容送出手段と、
この通話内容送出手段によって送出した通話内容に対する前記連絡先の補助者から助言を受信する助言受信手段
とを具備することを特徴とする電話装置。
【請求項3】
電話の通話内容に対して助言を行う補助者の連絡先を登録する補助者連絡先登録手段と、
電話が掛かってきたときの応答者を判別する応答者判別手段と、
この応答者判別手段の判別結果に応じて前記補助者連絡先登録手段に登録されている補助者に対して通話内容を送出すべきであるか否かを判別する送出可否判別手段と、
この送出可否判別手段が送出を可と判別したとき、掛かってきたその電話の通話内容を前記補助者連絡先登録手段に登録されている連絡先に送出する通話内容送出手段と、
この通話内容送出手段によって送出した通話内容に対する前記連絡先の補助者から助言を受信する助言受信手段
とを具備することを特徴とする電話装置。
【請求項4】
電話の通話内容に対して助言を行う補助者の連絡先を登録する補助者連絡先登録手段と、
電話を掛けるたびにこれらの電話番号を記憶する電話番号記憶手段と、
電話が掛かってきたとき、その電話番号が前記電話番号記憶手段に記憶された電話番号のいずれにも一致しないか否かを判別する電話履歴一致有無判別手段と、
この電話履歴一致有無判別手段で一致していないとされた電話の通話内容を前記補助者連絡先登録手段に登録されている連絡先に送出する通話内容送出手段と、
この通話内容送出手段によって送出した通話内容に対する前記連絡先の補助者から助言を受信する助言受信手段
とを具備することを特徴とする電話装置。
【請求項5】
電話の通話内容に対して助言を行う補助者の連絡先を登録する補助者連絡先登録手段と、
電話が掛かってきたとき、前記補助者連絡先登録手段にその内容を連絡することを指示する連絡指示スイッチと、
この連絡指示スイッチが押されたとき、前記掛かってきた電話の通話内容を前記補助者連絡先登録手段に登録されている連絡先に送出する通話内容送出手段と、
この通話内容送出手段によって送出した通話内容に対する前記連絡先の補助者から助言を受信する助言受信手段
とを具備することを特徴とする電話装置。
【請求項6】
電話の通話内容に対して助言を行う者の連絡先を登録する補助者連絡先登録手段と、
電話を受ける者の通常の脈拍を登録する脈拍登録手段と、
電話を受ける者の脈拍を測定する脈拍測定手段と、
電話が掛かってきたときの応答者の前記脈拍登録手段に登録された脈拍と脈拍測定手段が測定した脈拍を比較して測定した値が異常であるかどうかを判別する脈拍異常有無判別手段と、
この脈拍異常有無判別手段が脈拍を異常であると判別したとき、脈拍が異常であることを前記補助者連絡先登録手段に登録されている連絡先に送出する通話内容送出手段
とを具備することを特徴とする電話装置。
【請求項7】
前記補助者連絡先登録手段には複数の補助者の電話番号が登録されていることを特徴とする請求項1〜請求項6いずれかに記載の電話装置。
【請求項8】
前記補助者連絡先登録手段には複数の補助者のメールアドレスが登録されていることを特徴とする請求項1〜請求項6いずれかに記載の電話装置。
【請求項9】
前記助言受信手段の受信した助言内容を録音する助言内容録音手段を具備することを特徴とする請求項1〜請求項6いずれかに記載の電話装置。
【請求項10】
前記補助者を電話による会議に参加させる補助者会議参加手段を具備することを特徴とする請求項7記載の電話装置。
【請求項11】
電話が掛かってきたときのその電話番号が予め登録した電話番号と一致するか否かを判別する電話番号一致有無判別ステップと、
この電話番号一致有無判別ステップで電話番号が一致しなかったとき、電話の通話内容を受信して助言を行う補助者の電話番号に対して通話内容を送出する通話内容送出ステップと、
この通話内容送出ステップで通話内容を補助者に送出した時点で回線を保持してその補助者から前記通話内容に対する助言があるかどうかを確認する助言確認ステップと、
この助言確認ステップで助言があるとされたとき前記通話内容の当事者を前記補助者と通話させるために呼び出す呼出ステップ
とを具備することを特徴とする電話助言システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−197376(P2006−197376A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−8049(P2005−8049)
【出願日】平成17年1月14日(2005.1.14)
【出願人】(000197366)NECアクセステクニカ株式会社 (1,236)
【Fターム(参考)】