説明

電車線離線検知装置及び電車線離線検知方法

【課題】パンタグラフの擦り板が電車線から離線した位置を容易に検出することができる離線検知方法を提供する。
【解決手段】検知装置10は、パンタグラフの擦り板と電車線の接触点に向けてカメラ18Aと照度センサ20Aが設置される。また、−側の電車線においても、パンタグラフの擦り板と電車線の接触点に向けてカメラ18Bと照度センサ20Bが設置される。照度センサには、出力値を比較し、出力差が一定以上の場合に警報出力するコンパレータ26Aが接続され、同様に−側の照度センサにも、出力値を比較し、出力差が一定以上の場合に警報出力するコンパレータ26Bが接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モノレールや電気鉄道などの軌道に沿って、車輌に電力を供給するために設置される電車線における保守や点検作業に関し、特にパンタグラフを有する集電装置と電車線の接触状態を点検し、離線位置を検出するための電車線離線検知装置及び電車線離線検知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道やモノレールなどの車輌に電力を供給する電車線は、新規敷設時及び日常的な摩耗や腐食による、集電装置を構成するパンタグラフの擦り板に対する離線の有無について点検が行われる。例えば、擦り板の離線は次の事象を引き起こす。
【0003】
A)離線するとその瞬間にアークが発生し、このアーク持続時間によっては硬銅製の電車線を軟化させ、局所的な異常摩耗や、上空架線においては破断に至る。
【0004】
B)集電不良により車輌の瞬間的な停電が起こり、車輌内電子機器などに動作不良が起きる。
【0005】
C)アーク発生時のスパーク音が周辺への騒音となる。
【0006】
以上のことから走行区間の電車線全線において、離線を低減するように保守、是正を行う必要があるため、離線箇所を特定する必要がある。下記に、従来の離線検知方法とその問題点について述べる。
【0007】
a)パンタグラフ側電圧降下の検出による離線検知方法
離線により瞬間的に車輌側のパンタグラフ電圧が降下する現象を捉え、正常に集電している他車輌との電圧差により検出する方法である。この方法では、集電不良を補うため複数パンタグラフ間を高圧母線で繋いでいる最近の車輌には用いることができない。
【0008】
b)パンタグラフ側電流値降下の検出による離線検知方法
パンタグラフから出る給電ケーブルにクランプメータなどの電流計を設置し、電流値の瞬時低下から離線を検知する方法である。この方法では、前述のような高圧母線が通されている場合でも母線よりもパンタグラフ側に電流計を設置すれば検出が可能である。しかし、電車がモータによらず惰性で走行しているときは電流値が極度に低くなるため、この区間では検出が困難になる。
【0009】
c)地上から夜間写真撮影により検出する離線検知方法
路線側方にカメラを設置し夜間に長時間露光で車輌通過の間撮影し、アーク発生箇所が電車線近傍の光の点となることから検知する方法である。この方法では、アーク発生場所の特定が一目瞭然であるが、周囲の照明が障害となること、山間部や橋梁部などではカメラ設置が困難であることなど特定の条件下でなければ実施できない。更に、一度に撮影できる範囲も限られていることから全線に渡る検知には向いていない。
【0010】
d)照度センサや光センサを用いた明るさ検出による離線検知方法
車上にパンタグラフと電車線の接触箇所の方向へ向けた照度センサや光センサを設置し、アーク光によるセンサの出力から検知する方法である。この方法では、c)と同様に夜間走行又はトンネル区間など周囲が十分に暗い状況でなければ検出は困難である。
【0011】
e)ビデオカメラ撮影と画像解析による離線検知方法
パンタグラフと電車線の接触点を車輌に搭載したカメラにより連続的にビデオ撮影及び記録し、その画像を明るさあるいは色合いを基準に連続的に比較分析することによりアークを検知する方法である。この方法においても、c)と同様に比較分析可能となる一定以上の周囲の暗さが必要であり、周囲照度が連続的に変化する場合などは検出が難しいという問題がある。
【0012】
以上の検出方法では、c)の地上から観察する場合を除き、そのままではアーク発生箇所の特定が難しいので、走行車輌の始点と速度から時間を基準にアーク検知箇所と関連づけて位置を特定したり、懸垂式の電車線では、その間隔をおいて設置されている支柱をカウントしアーク検知箇所の範囲を特定したりしている。
【0013】
前者の位置特定方法では、車輌から速度信号を取り出す必要があり、速度と時間の演算により正確な位置特定を行うことができるが、線路設備には100m単位の路線距離表示しかないため、作業者が現地で巻き尺等により正確な位置を計測しなければならず、離線位置の特定には手間がかかる。
【0014】
後者の方法では、架線支柱はほぼ10m間隔で設置されているため比較的狭い範囲で離線発生位置の特定が可能であるが、支柱の形状や設置距離が異なる場合に検出困難となる場合があるなどの問題がある。また、直接壁面から懸架されているトンネル区間やモノレールなどには適用することができない。
【0015】
なお、特許文献1には、トロリ線の摩耗量を検知する検知装置が開示されている。この検知装置は、トロリ線が銅被覆鋼製であることに着目し、トロリ線とパンタグラフとが摺動して生起されたアーク放電の光を分光器により波長分散し、鉄に固有な波長を持つ光を検出した際に摩耗が銅芯線にまで到達したことを検知する。この検知装置は、トロリ線の摩耗は検出できるものの、その位置を全線において特定する手段を有していない。また、特許文献2には、パンタグラフのアーク検出装置が開示されているが、これもまた、その位置を全線において特定する手段を有していない。
【特許文献1】特開平9−5035号公報
【特許文献2】特開平11−46402号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の目的は、上記のような各離線検出方法における問題点を克服し、電車のパンタグラフの擦り板が電車線から離線した位置を容易に検出することができる電車線離線検知装置及び電車線離線検知方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
請求項1に記載の発明は、前記目的を達成するために、電車に搭載されるとともに、電車のパンタグラフの擦り板が電車線から離線することを検知する検知部と、前記電車に搭載されるとともに、人工衛星からの位置情報に基づき電車の現在位置を取得する測位用受信機と、前記検知部によって離線を検知した際に、前記測位用受信機によって受信された電車の現在位置を記録部に記録させる制御部と、を備えることを特徴としている。
【0018】
請求項1に記載の発明によれば、検知部によって離線を検知すると、その時に測位用受信機によって受信された人工衛星からの位置情報を、制御部が記録部に記録する。よって、離線位置は、記録部に記録された位置情報を読み出すことにより容易に特定できる。なお、人工衛星からの位置情報は、誤差が2〜3mm程度なので、特定された離線位置において、実際の離線位置の検出に手間取ることはない。
【0019】
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記擦り板と前記電車線との接触点を撮像する撮像手段を備え、前記制御部は、前記検知部によって離線を検知した際に、前記撮像手段によって撮像された画像に離線検知情報を付加して記録部に記録させることを特徴とする。
【0020】
請求項2に記載の発明によれば、検知部によって離線を検知した際に、撮像手段によって撮像された画像に離線検知情報を付加して記録部に記録させたので、後で行う離線時の画像検索が容易になる。また、その画像を読み出すことにより、その離線箇所の離線状況を視覚的に確認できる。また、点検補修後に同箇所を撮影することにより、それらの画像が比較検証資料となる。点検補修後の同箇所の画像は、測位用受信機によって受信されている前記位置情報に基づき、その離線位置に位置した際に撮像手段で前記接触点を撮像することにより容易に得ることができる。
【0021】
請求項3に記載の発明は、請求項2において、前記制御部は、前記測位用受信機が取得した現在位置の緯度経度情報を、前記撮像手段によって連続的に撮像された画像に対応させて記録部に記録させることを特徴とする。
【0022】
請求項3に記載の発明によれば、測位用受信機が取得した現在位置の緯度経度情報を、撮像手段によって連続的に撮像された画像に対応させて制御部が記録部に記録させる。このように、撮像手段によって画像を連続的に撮像することにより、離線箇所だけではなく、路線全線の所定間距離毎に位置する任意の位置の電車線の状態を容易に確認することができる。
【0023】
請求項4に記載の発明は、請求項1、2又は3において、前記制御部は、前記検知部の離線検知の信号出力に、前記測位用受信機で得られた位置情報を対応させて表示部に出力し、該表示部は、あらかじめ記憶されている地図情報に離線検知位置を重畳して表示することを特徴とする。
【0024】
請求項4に記載の発明によれば、表示部は、あらかじめ記憶されている地図情報に離線検知位置を重畳して表示するので、オペレータは離線箇所を容易に特定できるとともに、離線箇所をリアルタイムに確認することができる。
【0025】
請求項5に記載の発明は、請求項1、2、3又は4において、前記検知部は、1箇所の離線観測点に対し2つの照度検出器又は分光高度計などの光または明るさをその強度に応じて検出する検出手段を備え、一方の検出手段は、前記擦り板と前記電車線の接触点の明るさを検出する位置に設置され、他方の検出手段は、離線観測点から発せられる離線によるアークの光を直接受け入れず、かつその周囲の明るさを検出する位置に設置され、前記検知部は、双方の検出手段が検出した明るさ又は光強度を比較手段により比較させ、一定以上の差がある時に離線検知信号を出力することを特徴とする。
【0026】
請求項5に記載の検知部に係る発明は、離線によって発生するアーク光に着目し、アーク光の明るさを検出する一方の検出手段と、アーク光を直接受け入れず、かつその周囲の明るさを検出する他方の検出手段と、双方の検出手段が検出した明るさ又は光強度を比較して、その出力に一定以上の差(経験値)がある時に離線検知信号を出力する比較手段とを有している。これにより、周囲に照度変化が生じてもアーク光を周囲の光から判別できるので、離線を確実に検知することができる。
【0027】
請求項6に記載の発明は、請求項5において、前記電車は、跨座式モノレール、又は懸垂式モノレールであり、前記検出手段は、前記パンタグラフを覆うカバーの内側に配置されていることを特徴とする。
【0028】
請求項6に記載の発明によれば、検出手段は、モノレール特有のパンタグラフを覆う台車カバー(通称:スカート)の内側に、すなわち、明るさの暗い環境に設置されているが、検出手段として照度検出器を使用すると、照度検出器は例えば1000lx程度の周囲照度環境で紫外光を検知できるため、暗い環境下でも紫外線の強いにアーク光を十分に識別検知することができる。また、このような暗い環境下に検出手段を配置することにより、周囲の光を検出する他方の検出手段の出力値の変動を抑えることができるので、比較手段における比較制御アルゴリズム回路の設計が容易になる。
【0029】
以上の如く、本発明に係る電車線離線検知装置によれば、周囲照度が変化する場合にも離線位置を検出でき、車輌の給電形式に依らず、惰性走行時でも離線位置を検出でき、かつ離線発生位置の特定を電車線懸架形態や支柱形状などによらず簡便に行うことができる。
【0030】
請求項7に記載の方法発明は、前記目的を達成するために、請求項1〜6のうちいずれか一つの電車線離線検知装置を用いて、電車のパンタグラフの擦り板が電車線から離線した位置を検知することを特徴とする。
【発明の効果】
【0031】
本発明に係る電車線離線検知装置によれば、周囲照度が変化する場合にも離線位置を検出でき、車輌の給電形式に依らず、惰性走行時でも離線位置を検出でき、かつ離線発生位置の特定を電車線懸架形態や支柱形状などによらず簡便に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下添付図面に従って、本発明に係る電車線離線検知装置の好ましい実施の形態について詳説する。
【0033】
図1は、実施の形態の電車線離線検知装置10の全体構成を示すブロック図が示されている。この電車線離線検知装置10は、跨座式モノレール交通の電車線離線検知を目的としたものであり、+側の電車線12A側において、パンタグラフ14Aの擦り板16Aと電車線12Aの接触点(離線観測点)に向けてカメラ(撮像手段)18Aと照度センサ(検知部:検出手段)20Aが設置されるとともに、前記接触点から発光するアーク光22Aを直接捉えず、かつパンタグラフ14Aの周囲の照度を捉えるようにした照度センサ24Aが設置される。またこれと同様に、−側の電車線12Bにおいても、パンタグラフ14Bの擦り板16Bと電車線12Bの接触点に向けてカメラ(撮像手段)18Bと照度センサ(検出手段)20Bが設置されるとともに、前記接触点から発光するアーク光22Bを直接捉えず、かつパンタグラフ14Bの周囲の照度を捉えるようにした照度センサ24Bが設置される。
【0034】
更に、+側の2台の照度センサ20A、24Aには、出力値を比較し、出力差(経験値)が一定以上の場合に警報出力するコンパレータ(比較手段)26Aが接続され、同様に−側の2台の照度センサ20B、24Bにも、出力値を比較し、出力差(経験値)が一定以上の場合に警報出力するコンパレータ(比較手段)26Bが接続される。これらのコンパレータ26A、26Bからの警報出力は、パソコン(制御部)34に出力され、またこのパソコン34には、カメラ18A、18B及び車窓用カメラ28の画像を連続記録する記録装置30とGPS装置(測位用受信機)32とが接続されている。
【0035】
車窓用カメラ28は、モノレール前方の景色を撮像するように運転席に設置されている。また、GPS装置32は、GPSアンテナ36とGPSユニット38とから構成され、GPSアンテナ36で受信した人工衛星(不図示)からの位置情報に基づき、GPSユニット38がGPSアンテナ36の現在位置(緯度経度)を算出する周知の全地球測位システムである。GPSアンテナ36は、離線位置を検出するために、擦り板16A、16Bに近接配置することが好ましいが、人工衛星からの位置情報を障害なく受信するため、及び擦り板16A、16Bの位置を特定するために、車輛の天井部であって擦り板16A、16Bの真上に設置することが好ましい。
【0036】
GPS装置32が接続されたパソコン34には、モノレール路線を平面的に表した電子図面ファイル(地図)を取り込むことができるプログラムが内包されている。更に、そのプログラムには、電子地図上の任意点に予めGPS装置32から取得した緯度経度の座標データを入力することで、路線上の各点を座標として認識できる機能を備えている。また、そのプログラムは、GPS装置32から得た自位置情報を、パソコン34のディスプレイ34Aに表示された、図2の地図34B上に点Oとして表し、さらに図1のコンパレータ26A、26Bから出力された警報信号にリンクして離線位置の座標を記録、管理し、ディスプレイ34Aの地図34B上に表示することができる。なお、ディスプレイ34Aには、地図34Bの他、点Oの緯度経度、日付、時間、モノレール速度が表示される。
【0037】
このパソコン34のディスプレイ34Aに表示された地図34Bを含む画像P1は、カメラ18A、18B、車窓用カメラ28の画像とともに記録装置30に転送される。そして、記録装置30に接続されたモニタ40のディスプレイ40Aに、擦り板16Aと電車線12Aの接触点の画像P2、擦り板16Bと電車線12Bの接触点の画像P3に加え、運転席からの景観画像P4と併せて4画面同時に表示されるとともに、4画面同時に記録装置30に連続記録される。この景観画像P4は、おおよその位置認識に役立たせることができる。なお、モニタ40のディスプレイ40A中の符号42は走行レール(桁)であり、符号44A、44Bは、走行タイヤである。
【0038】
モノレールのパンタグラフ14A、14Bは、図3(A)、(B)、(C)で示す車輌50の床下の台車カバー52A、52Bの内側に設置されており、ある程度の暗さ環境にあるが、台車カバー52A、52Bと走行レール42との間には隙間があり走行区間の外光の入光度合いにより照度は常に変化する環境にある。しかし照度センサ20A、20Bは、1000lx程度の周囲照度環境でUV光を検知できるものであるため、このような環境でも紫外線の強いアーク光22A、22Bを十分に識別検知することが可能である。また万が一、照度センサ20A、20Bが離線を誤認した場合でもカメラ18A、18Bにて撮像された画像P2、P3をモニタ40で目視することにより容易に判断が可能である。
【0039】
更に、図1のパソコン34では地図34B上に点O(ポイント)として離線地点を記録することができるので、後に離線箇所の補修作業へ向かう際も、GPS装置32の持つ数メートル(2〜3m)精度で容易に現地へたどり着くことができ、さらに座標を電子管理しているため、ハンディタイプのGPS装置(不図示)に座標を受け渡し、そのGPS装置を作業者が携帯することで、地図なしでも現地にたどり着くことが容易となる。
【0040】
繰り返し説明すると、実施の形態の電車線離線検知装置10によれば、コンパレータ26A、及び/またはコンパレータ26Bからの警報信号がパソコン34に出力されると、パソコン34は、その時にGPS装置32によって受信された人工衛星からの位置情報を、記録装置30に記録する。よって、離線位置は、記録装置30に記録された位置情報を読み出すことにより容易に特定できる。
【0041】
また、コンパレータ26A、及び/またはコンパレータ26Bによって離線を検知すると、パソコン34は、カメラ18A、18Bによって撮像された接触点の画像P2、P3に離線検知情報を付加して記録装置30に記録させたので、後に行う離線時の画像検索が容易になる。また、その画像を読み出すことにより、その離線箇所の離線状況を視覚的に確認できる。また、点検補修後に同箇所を撮影することにより、それらの画像が比較検証資料となる。点検補修後の同箇所の画像は、GPS装置32によって受信されている位置情報に基づき、その離線位置に位置した際にカメラ18A、18Bで前記接触点を撮像することにより容易に得ることができる。
【0042】
更に、GPS装置32が取得した現在位置の緯度経度情報を、カメラ18A、18Bによって連続的に撮像された画像に対応させてパソコン34が記録装置30に記録させれば、離線箇所だけではなく、路線全線の所定間距離毎に位置する任意の位置の電車線12A、12Bの状態を容易に確認することができる。
【0043】
また、パソコン34のディスプレイ34Aは、あらかじめ記憶されている地図情報に離線検知位置(点O)を重畳して表示するので、オペレータは離線箇所を容易に特定できるとともに、離線箇所をリアルタイムに確認することができる。
【0044】
以上の如く、実施の形態の電車線離線検知装置10及び離線検知方法によれば、周囲照度が変化する場合にも離線位置を検出でき、車輌の給電形式に依らず、惰性走行時でも離線位置を検出でき、かつ離線発生位置の特定を電車線懸架形態や支柱形状などによらず簡便に行うことができる。
【0045】
なお、実施の形態の電車線離線検知装置10では、アーク光22A、22Bの検知用として照度センサ20A、20Bを用いていたが、分光光度計などを使用し、紫外線や銅火花特有の光線波長を検出するようにしても良い。
【0046】
また、照度センサ20A、20Bを用いる場合にも、アーク光検出を阻害しない程度の照明を擦り板16A、16Bと電車線12A、12Bの接触部に当て、周囲照度の安定化を図ることで、アーク光検知精度の向上を図ることができる。
【0047】
更に、実施の形態では、跨座式モノレールについて説明したが、これに限定されるものではなく、懸垂式モノレールについても、実施の形態の電車線離線検知装置10を適用することができる。懸垂式モノレールの場合は、走行レールを覆う筒状のカバー内にパンタグラフを含む集電装置が設置されているので、このカバーの内側に実施の形態のカメラ18A、18B、照度センサ20A、20B、24A、24Bを設置すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明による電車線離線検知装置の好ましい実施例の機器構成図
【図2】図1の電車線離線検知装置の電子地図及びGPSデータのパソコン画面表示例を示した説明図
【図3】跨座式モノレールの説明図であってカバーに対するカメラ及び照度センサの取付位置を示した説明図
【符号の説明】
【0049】
10…電車線離線検知装置、12A、12B…電車線、14A、14B…パンタグラフ、16A、16B…擦り板、18A、18B…カメラ、20A、20B…照度センサ、22A、22B…アーク光、24A、24B…照度センサ、26A、26B…コンパレータ、28…車窓用カメラ、30…記録装置、32…GPS装置、34…パソコン、40…モニタ、50…車輌、52A、52B…台車カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電車に搭載されるとともに、電車のパンタグラフの擦り板が電車線から離線することを検知する検知部と、
前記電車に搭載されるとともに、人工衛星からの位置情報に基づき電車の現在位置を取得する測位用受信機と、
前記検知部によって離線を検知した際に、前記測位用受信機によって受信された電車の現在位置を記録部に記録させる制御部と、
を備えることを特徴とする電車線離線検知装置。
【請求項2】
前記擦り板と前記電車線との接触点を撮像する撮像手段を備え、
前記制御部は、前記検知部によって離線を検知した際に、前記撮像手段によって撮像された画像に離線検知情報を付加して記録部に記録させることを特徴とする請求項1に記載の電車線離線検知装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記測位用受信機が取得した現在位置の緯度経度情報を、前記撮像手段によって連続的に撮像された画像に対応させて記録部に記録させることを特徴とする請求項2に記載の電車線離線検知装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記検知部の離線検知の信号出力に、前記測位用受信機で得られた位置情報を対応させて表示部に出力し、該表示部は、あらかじめ記憶されている地図情報に離線検知位置を重畳して表示することを特徴とする請求項1、2又は3のうちいずれか一つに記載の電車線離線検知装置。
【請求項5】
前記検知部は、1箇所の離線観測点に対し2つの照度検出器又は分光高度計などの光または明るさをその強度に応じて検出する検出手段を備え、
一方の検出手段は、前記擦り板と前記電車線の接触点の明るさを検出する位置に設置され、
他方の検出手段は、離線観測点から発せられる離線によるアークの光を直接受け入れず、かつその周囲の明るさを検出する位置に設置され、
前記検知部は、双方の検出手段が検出した明るさ又は光強度を比較手段により比較させ、一定以上の差がある時に離線検知信号を出力することを特徴とする請求項1、2、3又は4のうちいずれか一つに記載の電車線離線検知装置。
【請求項6】
前記電車は、跨座式モノレール、又は懸垂式モノレールであり、
前記検出手段は、前記パンタグラフを覆うカバーの内側に配置されていることを特徴とする請求項5に記載の電車線離線検知装置。
【請求項7】
請求項1〜6のうちいずれか一つの電車線離線検知装置を用いて、電車のパンタグラフの擦り板が電車線から離線した位置を検知することを特徴とする電車線離線検知方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−288893(P2007−288893A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−112278(P2006−112278)
【出願日】平成18年4月14日(2006.4.14)
【出願人】(000005452)株式会社日立プラントテクノロジー (1,767)
【Fターム(参考)】