説明

露光ユニット、画像形成ユニット及び画像形成装置

【課題】発光部の取り付け精度を向上させるとともに、画像形成装置の製造の容易化、小型化を図る。
【解決手段】露光ユニット240は、複数の像担持体201Y〜201Kを有する画像形成装置1に設けられ、像担持体の各々を露光する複数の発光素子列242を有する。複数の発光素子列242を単一の支持部材241が支持し、複数の発光素子列242の各々が対応する像担持体を露光するように、画像形成装置1のフレーム220、ひいては本体に取り付け可能に構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、像担持体を露光して像担持体上に潜像を形成する露光ユニット、この露光ユニットを具備し転写材に画像を形成する画像形成ユニット、及びこの画像形成ユニットを具備する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
予め所定の電位に帯電した像担持体(感光体)を画像情報に応じて露光して静電潜像を形成し、この静電潜像をトナーにより現像し、顕画化されたトナー像を記録紙などの転写材に転写、加熱定着して画像を得る、いわゆる電子写真プロセスを応用した画像形成装置に用いられる露光装置として、レーザダイオードを光源とした光ビームをポリゴンミラーと呼称される回転多面鏡を介して像担持体上を走査して静電潜像を形成する方式と、発光ダイオード(LED)や有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)材料を用いて構成した発光素子をライン状に配置した発光素子列を用いて各発光部を個別に点灯(ON/OFF)制御して像担持体上に静電潜像を形成する方式が知られている。
【0003】
さらに、近年の画像のカラー化に伴い、像担持体を複数備えて、シアン像、マゼンタ像、イエロー像、好ましくはブラック像の各色のトナー像をそれぞれの像担持体に形成し、各像担持体の転写位置にて転写材に各色像を重ねて転写することによりフルカラー画像を形成するタンデム方式の多重画像形成装置も提案されている。かかるタンデム方式の多重画像形成装置は各色ごとにそれぞれの画像形成部を有するため、高速化に有利である。
【0004】
また、特許文献1には、装置本体に対して着脱可能な像担持体カートリッジに対して複数の像担持体が相互に位置決めされて取り付けられた画像形成装置が開示されている。この画像形成装置においては、像担持体カートリッジに取り付けられた各像担持体に対して現像手段が着脱可能に構成されており、かつ、前記像担持体カートリッジの前記複数の像担持体各々に対応する位置それぞれに位置決めされて書き込み手段(露光装置)が取り付けられている。この画像形成装置も上述したように複数の画像形成部を備えるものである。
【0005】
ところで、上述したような複数の画像形成部を備える画像形成装置にあっては、異なる画像形成部で形成された各画像の位置あわせ(レジストレーション)を如何に良好に行うかは重要な技術的課題である。転写材に転写された4色の画像形成位置のずれは、最終的には色ずれとしてまたは色調の変化として現れてくるからである。
【0006】
上記画像形成の際の位置ずれの種類としては、転写材に対して走査方向(主走査方向)の位置ずれ(図33(a))、走査線書き込み方向(副走査方向)の位置ずれ(図33(b))、斜め方向の位置ずれである走査傾き(スキュー)ずれ(図33(c))、倍率誤差のずれ(図33(d))があり、実際にはこの4種類のずれが組み合わさったずれが現れる。
【0007】
上記画像ずれの主原因は、主走査方向位置ずれの場合は各画像形成部における各画像書き込みタイミングすなわち1本の走査線における走査開始タイミングのずれである。副走査方向位置ずれの場合は各画像形成部における最初の走査線の書き出しタイミングのずれである。また、走査傾きずれの場合は走査光学系の取り付け角度がずれまたは像担持体ドラムの回転軸の角度ずれであり、倍率誤差によるずれの場合は各画像形成部に対する走査光学系から像担持体までの光路長の誤差による走査線長さのずれによるものである。
【0008】
主走査方向位置ずれ及び副走査方向位置ずれについては、各色の走査タイミングを調整してずれ量を補正する。走査傾きずれは、ずれ量(スキュー量)に応じてラインを分割管理しラインシフトを行いながら補正する。倍率誤差ずれに関しては、発光素子を用いた画像形成装置においてはほとんど発生することはない。
【特許文献1】特開2003−043776号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、LED等の発光素子を光源として有する露光装置を使用した一般的な画像形成装置においては、各色(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)のトナー像形成のプロセス各々について、互いに独立した各色の露光装置が、各々の位置決め手段によって位置決めされ、配置されている。従って、装置内の温度上昇等の原因により各露光装置において個別に位置ずれが発生し得る。このような事態に対応するためには、印字中に色ずれ補正タイミングを設けなくてはならず、制御が複雑化する可能性がある。
【0010】
特許文献1の画像形成装置においては、像担持体(感光体)カートリッジのフレームに、書き込み手段としての露光装置が、4色のトナー像に対応して4組取り付けられた構成が開示されている。しかしながら、この構成においても、各露光装置を対応する像担持体に対し正確に位置決めするためには、露光装置ごとに個別に位置決めを行なう必要があり、作業性が悪化する可能性がある。また、製造時から使用時の間に露光装置ごとに個別に位置ずれが生じる可能性も高くなり、より作業性が悪化する可能性もある。
【0011】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、画像形成装置において、複数の像担持体を露光する複数の発光部の位置決めを容易にし、位置ずれも減少させ得る露光ユニット、画像形成ユニット及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、第1に、複数の像担持体を有する画像形成ユニットに設けられ、前記像担持体の各々を露光する複数の発光部を具備する露光ユニットであって、前記複数の発光部を支持した支持部材を、前記複数の発光部の各々が対応する前記像担持体を露光するように、前記画像形成ユニットに取り付け可能に構成した露光ユニットが提供されるものである。
【0013】
この構成により、発光部を支持する支持部材の数を減らすことが可能となる。また、複数の発光部間の取り付け精度を均一にするとともに取り付け精度を向上させ、周囲の温度上昇に伴う位置ずれも減少させることが可能となる。また、製造時における発光部の取り付け位置調整を容易にすることが可能となる。
【0014】
本発明は、第2に、上記第1に記載の露光ユニットであって、前記支持部材が、単一の成形部材により構成された露光ユニットが提供されるものである。
【0015】
この構成により、上記第1に記載の露光ユニットの効果を容易に達成することが可能となる。
【0016】
本発明は、第3に、上記第1に記載の露光ユニットであって、前記支持部材が、板状の金属板金である露光ユニットが提供されるものである。
【0017】
この構成によっても、上記第1に記載の露光ユニットの効果を容易に達成することが可能となる。
【0018】
本発明は、第4に、上記第1に記載の露光ユニットであって、前記支持部材を熱膨張係数が11.8×10-6/℃以下の材料で構成した露光ユニットが提供されるものである。
【0019】
この構成により、周囲の温度上昇に伴う位置ずれを確実に減少させることが可能となる。
【0020】
本発明は、第5に、上記第1に記載の露光ユニットであって、前記複数の発光部の各々が、互いに独立した複数の基板上に形成され、当該複数の基板が前記支持部材上に固定された露光ユニットが提供されるものである。
【0021】
この構成により、上記第1に記載の露光ユニットの効果を維持しつつ、基板面積が不必要に増大するのを防止することが可能となる。
【0022】
本発明は、第6に、上記第5に記載の露光ユニットであって、前記複数の基板のうち一つの基板の前記支持部材への取り付け位置を基準に、他の基板の前記支持部材への取り付け位置が決定された露光ユニットが提供されるものである。
【0023】
この構成により、複数の基板の取り付け位置が明確となり、取り付け精度を容易に向上させることが可能となる。
【0024】
本発明は、第7に、上記第6に記載の露光ユニットであって、前記複数の発光部の各々に対応するように、前記支持部材に取り付けられた結像レンズを更に備え、前記結像レンズ通過後の前記発光部の光の結像位置を基準に、前記他の基板の前記支持部材への取り付け位置が決定された露光ユニットが提供されるものである。
【0025】
この構成により、結像レンズ通過後の発光部の光の結像位置を取り付け位置決めに使用することとなり、複数の基板の取り付け精度をより向上させることが可能となる。
【0026】
本発明は、第8に、上記第5に記載の露光ユニットであって、前記複数の基板を前記支持部材の同一面上に固定した露光ユニットが提供されるものである。
【0027】
この構成により、上記第1に記載の露光ユニットの効果を維持しつつ、複数の基板の支持部材への取り付けを容易にすることが可能となる。
【0028】
本発明は、第9に、上記第1に記載の露光ユニットであって、少なくとも二つの前記発光部が、単一の基板上に形成され、当該基板が前記支持部材上に固定された露光ユニットが提供されるものである。
【0029】
この構成により、単一の基板内で発光部の位置精度を確保することができ、組立時の調整を簡略化することが可能となる。
【0030】
本発明は、第10に、上記第9に記載の露光ユニットであって、総ての発光部が、単一の基板上に形成された露光ユニットが提供されるものである。
【0031】
この構成により、上記第9に記載の露光ユニットの効果をより確実に達成することが可能となる。
【0032】
本発明は、第11に、上記第5から第10のいずれかに記載の露光ユニットであって、 前記基板の光取出し面を前記支持部材に接触させて固定した露光ユニットが提供されるものである。
【0033】
この構成により、複数の発光部の取り付け精度をより向上させ、周囲の温度上昇に伴う位置ずれもより減少させることが可能となる。
【0034】
本発明は、第12に、上記第5から第10のいずれかに記載の露光ユニットであって、前記基板の光取り出し面の少なくとも長手方向の一辺を、略全長にわたって前記支持部材に接触させて固定した露光ユニットが提供されるものである。
【0035】
この構成によっても、上記第11に記載の露光ユニットと同等の効果を達成することが可能となる。
【0036】
本発明は、第13に、上記第1に記載の露光ユニットであって、前記支持部材は前記複数の発光部の各々に対応する位置に折り曲げ部を有し、この折り曲げ部に結像レンズを更に備える露光ユニットが提供されるものである。
【0037】
この構成により、結像レンズを容易に支持部材に取り付けることが可能となる。
【0038】
本発明は、第14に、上記第13に記載の露光ユニットであって、前記結像レンズによる光伝送方向は総て同じである露光ユニットが提供されるものである。
【0039】
この構成により、各結像レンズのMTF(Modulation Transfer Function)を均一にすることが可能となる。
【0040】
本発明は、第15に、上記第1から14のいずれかに記載の露光ユニットであって、 前記発光部は発光素子を列状に配置した発光素子列で構成され、当該発光素子列を構成する発光素子が発光ダイオードである露光ユニットが提供されるものである。
【0041】
この構成により、発光部を容易に製造することが可能となる。
【0042】
本発明は、第16に、上記第1から14のいずれかに記載の露光ユニットであって、前記発光部は発光素子を列状に配置した発光素子列で構成され、当該発光素子列を構成する発光素子が有機エレクトロルミネッセンス素子である露光ユニットが提供されるものである。
【0043】
この構成により、発光部を容易に製造することが可能となる。
【0044】
本発明は、第17に、上記第1から16のいずれかに記載の露光ユニットを含む画像形成ユニットが提供されるものである。
【0045】
この構成により、発光部を支持する支持部材の数を減らすことが可能となる。また、複数の発光部間の取り付け精度を均一にするとともに取り付け精度を向上させ、周囲の温度上昇に伴う位置ずれも減少させることが可能となる。また、製造時における発光部の取り付け位置調整を容易にすることが可能となる。したがって、画像形成ユニットひいては画像形成装置を小型化するとともに、その製造を容易にすることが可能となる。
【0046】
本発明は、第18に、上記第17に記載の画像形成ユニットであって、前記複数の発光部が、前記支持部材から見て前記像担持体と同じ側に配置された画像形成ユニットが提供されるものである。
【0047】
この構成により、支持部材から見て像担持体の反対側に他の部品を配置することが可能となる。
【0048】
本発明は、第19に、上記第17に記載の画像形成ユニットであって、前記複数の発光部が、前記支持部材から見て前記像担持体の反対側に配置された画像形成ユニットが提供されるものである。
【0049】
この構成により、支持部材から見て像担持体と同じ側に他の部品を配置することが可能となる。
【0050】
本発明は、第20に、上記第17に記載の画像形成ユニットであって、前記露光ユニットが、前記複数の像担持体に対し相対的に位置調整可能な状態で前記画像形成ユニットに取り付けられた画像形成ユニットが提供されるものである。
【0051】
この構成により、画像形成ユニットの製造時における発光部の取り付け位置調整をより容易にすることが可能となる。
【0052】
本発明は、第21に、上記第17に記載の画像形成ユニットであって、前記像担持体に色材を供給して、前記像担持体上に形成された潜像を現像する現像ローラと、前記現像ローラへ供給される色材を攪拌混合する攪拌部と、を更に備え、前記支持部材が、前記現像ローラと前記攪拌部との間に取り付けられる画像形成ユニットが提供されるものである。
【0053】
この構成により、画像形成ユニットひいては画像形成装置をより小型化することが可能となる。
【0054】
本発明は、第22に、上記第21に記載の画像形成ユニットであって、前記現像ローラ及び前記攪拌部を複数組備え、各組が前記複数の像担持体の各々に対応した画像形成ユニットが提供されるものである。
【0055】
この構成により、複数の単色画像の重ね合わせによって得られる合成画像を形成する画像形成ユニットひいては画像形成装置を小型化することが可能となる。
【0056】
本発明は、第23に、上記第22に記載の画像形成ユニットであって、前記複数の攪拌部の各々が、異なる色の現像剤を収容する画像形成ユニットが提供されるものである。
【0057】
この構成により、複数の単色画像の重ね合わせによって得られる合成画像を形成する画像形成ユニットひいては画像形成装置を小型化することが可能となる。
【0058】
本発明は、第24に、複数の像担持体を有する画像形成ユニットに取り付けられ、当該像担持体に光を照射可能な露光ユニットであって、単一の成形部材により構成された支持部材と、発光部を備え、前記支持部材上に略一体的に固定された基板と、を備える露光ユニットが提供されるものである。
【0059】
この構成により、発光部を支持する支持部材の数を減らすことが可能となる。また、複数の発光部間の取り付け精度を均一にするとともに取り付け精度を向上させ、周囲の温度上昇に伴う位置ずれも減少させることが可能となる。また、製造時における発光部の取り付け位置調整を容易にすることが可能となる。
【0060】
上述の露光ユニット、画像形成ユニットを用いた画像形成装置においては、画像形成ユニットを一体として当該画像形成装置に取り付けるように構成することができる。このような構成においては、製造工程を簡易化することが可能となる。
【発明の効果】
【0061】
本発明によれば、画像形成装置の小型化、製造容易化が可能な露光ユニット、画像形成ユニット及び画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0062】
以下、本発明の実施形態を、図面を用いて説明する。
【0063】
(画像形成装置の作用の概要説明)
まず、図1を用いて、電子写真プロセスを応用した画像形成装置の画像形成プロセスの概要を簡単に説明する。図1は、画像形成装置の画像形成プロセスに関係する主要部分の概念図であり、転写材たる記録紙に所定の画像を形成するものである。尚、画像が形成される転写材には、普通紙、OHPシート、コート紙、再生紙などの記録媒体が含まれる。
【0064】
図1の例では、帯電器を用いて、像担持体(感光体)の表面電位を−650V(帯電電位VO)に設定し、さらに露光ユニットを用いて、図示しないホスト装置などから送信された印刷データに基づき画像形成部分に相当する像担持体の一部を露光し、印刷部分に対応する静電潜像を像担持体上に生成する。この部分の電位(露光電位VL)は例えば−50Vに設定される。また、現像ユニットにおいて、潜像を現像させるための現像バイアス電位(現像剤を用いて静電潜像を可視化する際に、現像ユニット内に設けられた現像ローラ(図18等の符号266を参照)に印加する電圧)VBを例えば−250Vに設定すると、露光電位VLと現像バイアス電位VBの電位差に基づき、現像ローラからトナーが移動し、静電潜像を現像し、像担持体上にトナー像を生成する。転写ユニットにより、像担持体のトナー像が用紙カセットから搬送されてきた記録紙に転写され、転写された像が、定着ローラ及び加熱ローラより記録紙に定着され画像を形成する。
【0065】
なお、図1では帯電器として、タングステンワイヤ等に高電圧を印加してコロナ放電を行い、更に像担持体の表面電位を像担持体側に設けられたグリッドの電位で制御する、所謂スコロトロンチャージャを示しているが、後述するようにローラ帯電器を用いてもよい。
【0066】
尚、図1においては、像担持体上の不要な帯電を除くため、除電器1〜3が示されている。除電器1は現像ユニットと転写ユニットの間に配置され、主に図2以降に示すような複数の像担持体を有するタンデム型の画像形成装置に使用されるものである。除電器1は上流側の像担持体において転写材上に付着されたトナーが、当該像担持体に逆に転写する、いわゆる逆転写現象を防止することを主とした役割とする。除電器2は転写ユニットとクリーニング部の間に配置され、クリーニング部によるトナーのクリーニング性を向上させることとを主とした役割とする。除電器3は帯電器の前に配置され、像担持体である感光体を光暴露することで表面電位を一律に、例えば−50Vに初期化する役割とし、一般的に画像形成装置で設けられているものである。
【0067】
(全体構成の説明)
図2は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置1の断面図を示す。画像形成装置1は、筐体10、本体フレーム30、用紙カセット20、印刷エンジン100、排紙トレイ40、コントローラ50、表示部60、カートリッジ70を備える。
【0068】
筐体10は樹脂などにより形成され、画像形成装置1の外枠を構成し、各部材を収納する。本体フレーム30は金属フレーム、樹脂フレーム(例えばガラスフレーク等を約20%混入したポリカーボネイト、ABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン)を材料として成型される)などにより構成され、筐体10の内側から筐体10そのものを支持する他、後述するように印刷エンジン100の印刷エンジンメインユニット200や、その他の筐体10の内部の部材を支持する役割を果たす。用紙カセット20、排紙トレイ40は通常の画像形成装置に用いられているものであり、ユーザが手で筐体に対し、着脱可能なものである。印刷時には、転写材たる記録紙Rは、用紙カセット20、印刷エンジン100、排紙トレイ40の順に、矢印で表された搬送方向Dに沿って搬送される。
【0069】
コントローラ50は、外部から種々のデータ(文字コード、描画命令など)を受け取り、描画データを作成したり、印刷エンジン100を制御するためのハードウェア、ソフトウェアを含む。表示部60は、液晶表示装置等より構成され、筐体10の一部からユーザに視覚可能に露出しており、各種のステータスなどを表示する。
【0070】
カートリッジ70は、上述した現像に供するトナー(色材)を収納する容器である。カートリッジ70には、イエロー(Y)トナー用のイエローカートリッジ70Y、マゼンダ(M)トナー用のマゼンダカートリッジ70M、シアン(C)トナー用のシアンカートリッジ70C、ブラック(K)トナー用のブラックカートリッジ70Kの4つが含まれる。各カートリッジ70は、トナーの不足に応じて個別に交換可能であり、ユーザはトナーの不足したカートリッジ70を筐体10から取り外し、新しいカートリッジを筐体10に取り付けることが可能である。カートリッジ70は、図示せぬチューブを介して現像ユニット260(図18)の攪拌部262(攪拌ユニット261)にトナーを供給する(図21、図23の矢印参照)。
【0071】
次に本発明の主要部分に関連した印刷エンジン100を説明する。印刷エンジン100は、実際に印刷を行う機構部分であり、記録紙Rの給紙から始まって、後述するように像担持体への帯電および露光、現像、記録紙へのトナー転写、定着など、物理的な印刷工程そのものを担当する部分である。
【0072】
印刷エンジン100は、給紙ローラ110、印刷エンジンメインユニット200、定着器130、排出ローラ140を含む。給紙ローラ110は、用紙カセット20から記録紙Rを、印刷エンジンメインユニット200に向けて搬出するローラである。印刷エンジンメインユニット200は、像の記録紙Rへの定着以外の作像プロセス(所謂カールソンプロセス)を行なう。なお、印刷エンジンメインユニット200は、本明細書における画像形成ユニットに対応している。定着器130はプレッシャローラ131と、当該プレッシャローラ131に従動し、記録紙Rを加熱する加熱ローラ132を含む。この加熱作用とプレッシャローラ131による圧力により、像が記録紙Rに定着され、形成される。排出ローラ140は画像の形成された記録紙Rを排紙トレイ40に排出する。
【0073】
印刷エンジンメインユニット200は印刷エンジン100の主要部分をなすものであり、一体のユニットとして筐体10の内側に構成された画像形成装置1の本体フレーム30に直接的に取り付けられているが、他の部材を介して間接的に取り付けてもよい。印刷エンジンメインユニット200は、それ自体を前もって組立完成後、筐体10内に取り付け可能である。印刷エンジンメインユニット200は、主に画像形成工程のうち、転写材に対する露光、現像、画像転写を担う部分に相当する。
【0074】
図3〜図7に示すように、印刷エンジンメインユニット200は、像担持体(感光体)201(201Y,201M,201C, 201K)、レジストローラ202、帯電ローラ(帯電器)203、ブラシクリーナ(クリーニング部)204、導光体205、搬送ガイド(転写材案内部材)206、フレーム220、露光ユニット240、現像ユニット260、転写ユニット280を含む。製造工程においては、外枠をなすフレーム220を組付け基準位置を規定する部材として、他の部材が組み付けられ、印刷エンジンメインユニット200が単体で製造可能である。
【0075】
図3に示すように、印刷エンジンメインユニット200は、副走査方向サイズ=165mm、主走査方向サイズ=385mm、高さ=70mmと非常にコンパクトなものである。後に詳述するように、この印刷エンジンメインユニット200には電子写真方式でカラー画像を形成するための、定着工程を除く総ての構成要素が含まれている。実質的に画像形成に際して精度を要する総ての要素を一体的に(かつコンパクトに)構成することで剛性を大幅に向上することが可能となる。更にこのように高い剛性を有するユニットを本体フレーム30(図2)に取り付けることで、画像形成装置本体側(筐体を含む)の歪みを是正することも可能となり、画質向上のみならず例えば外形をデザイナの意図したものに、より合致させるといったような二次的な効果もある。
【0076】
本実施形態においては、画像形成装置本体(本体フレーム30)に画像形成ユニット(印刷エンジンメインユニット200)が取り付けられ、この画像形成ユニットに画像形成に関与する他のユニット(露光ユニット240(図8等参照)、現像ユニット260(図18等参照)、転写ユニット280(図30等参照))が取り付けられており(これらの各ユニットについては後に詳述する)、いわゆる入子構造として構成されていることが大きな特徴となっている。
【0077】
図7に示すようにフレーム220は、各々金属部材などで形成された第1のサブフレーム221、第2のサブフレーム222、平行に配列して対向した当該二つのサブフレームを接続する定着器前ガイド223から構成される。そして、第1のサブフレーム221、第2のサブフレーム222各々には、像担持体201を位置決めする感光体軸221a,222a(図7には、222aのみ図示)、後述する現像ユニット260の現像ローラ266を位置決めする現像ローラ位置決め穴221b,222bが形成されている。さらに第1のサブフレーム221、第2のサブフレーム222各々には、後述する転写材押さえローラ(転写材規制部材)224(図14参照)を位置決めする転写材押さえローラ位置決め穴221c,222cが形成されている。すなわち、第1のサブフレーム221、第2のサブフレーム222は、像担持体201、現像ローラ266、転写材押さえローラ224を所定の位置に位置決めする位置決め部材として機能する。
【0078】
レジストローラ202は、印刷エンジンメインユニット200における第1の駆動ローラであって、搬送路P(図5)に沿って、記録紙Rを像担持体201における転写位置に搬送する部材である。レジストローラ202は、搬送されてきた記録紙Rをその位置で一時的に停止させ、記録紙Rの斜行を防止するとともに、コントローラ50によって制御された所定のタイミングで駆動を開始し、記録紙Rを搬送路Pに沿って搬送する。また、レジストローラ202は搬送位置および搬送速度の精度を高めるために金属シャフトにより構成することが好ましく、記録紙Rの搬送方向において、実質的に記録紙Rの位置を規制している。尚、本実施形態では、レジストローラ202の下方に、レジストローラ202に従動する対向ローラ202aが設けられ、レジストローラ202と対向ローラ202aで記録紙Rを挟持して搬送する。このようにレジストローラ202と対向ローラ202aは、搬送路Pにおいて印刷エンジンメインユニット200の入口側ニップ手段として機能する。
【0079】
帯電ローラ203は、図1において説明したように、コントローラ50の制御に従い、像担持体201に所定の電位(帯電電位VO)を印加し、像担持体201を帯電させる。そして、露光ユニット240がコントローラ50からの印刷データに基づき、像担持体201を露光し、この部分の電位を所定の電位(露光電位VL)に設定することにより、印刷部分(トナー付着部分)に対応する静電潜像を像担持体201上に生成する。
【0080】
そして、現像ユニット260において、潜像を現像させるための現像バイアス電位(現像剤を用いて静電潜像を可視化する際に、現像ローラ266(図18参照)に印加する電圧)VBを設定すると、露光電位VLと現像バイアス電位VBの電位差に基づくクーロン力が作用し、現像ローラ266の表面に供給された現像剤(トナーとキャリアの混合物)のうちトナーのみが移動し、静電潜像を現像し、トナー像を生成する。転写ユニット280により、像担持体201のトナー像が用紙カセット20から搬送されてきた記録紙Rに転写される。
【0081】
像担持体201には、イエロー(Y)トナー用の像担持体201Y、マゼンダ(M)トナー用の像担持体201M、シアン(C)トナー用の像担持体201C、ブラック(K)トナー用の像担持体201Kの4つが含まれ、各像担持体201上に形成された各々の色のトナー像が記録紙Rに転写される。上述した帯電から転写までのプロセスが各々の像担持体201上で実行され、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色トナー像が、記録紙R上に重畳して転写される。
【0082】
総ての像担持体201から記録紙Rに転写されたトナー像が、定着器130より記録紙Rに定着され、この結果、カラー画像が記録紙R上に形成される。
【0083】
ブラシクリーナ(クリーニング部)204は、図1のクリーニング部の役割を果たし、転写工程を経た後に像担持体201上に残留した不要なトナーを除去する。導光体205は光を導く一体の樹脂部材によって構成され、図1に示した除電器1(転写前除電)および除電器3(帯電前除電)に使用される光を導く役割を果たす。導光体205については後に詳細に説明する。
【0084】
図8〜図12に露光ユニット240を示す。図1の概念図でも説明したように、露光ユニット240は、後述するように複数の発光素子から構成される発光素子列を設けた基板を支持する部材であり、その発光素子列(発光部)から出射される光により像担持体201を露光し、露光電位VLを有する静電潜像を像担持体201上に生成する。露光ユニット240の詳細は後に説明する。
【0085】
図18〜図29に現像ユニット260を示す。図1の概念図でも説明したように、現像ユニット260は、露光ユニット260内に設けられた現像ローラ266に潜像を現像させるための現像バイアス電位VBを設定し、露光電位VLと現像バイアス電位VBの電位差に基づき、露光ユニット240により形成された静電潜像上にトナーを移動させ、静電潜像を現像し、トナー像を生成する。現像ユニット260の詳細は後に説明する。
【0086】
図30、図31に転写ユニット280を示す。図1の概念図でも説明したように、転写ユニット280により、像担持体201のトナー像が用紙カセット20から搬送されてきた記録紙Rに転写され、転写された像が、定着ローラ131及び加熱ローラ132より記録紙Rに定着され画像を形成する。また、転写ユニット280の下面(搬送路P側の面)には、樹脂などにより構成された搬送ガイド(転写材案内部材)206(図14、図31参照)が配置されている。転写ユニット280の詳細は後に説明する。
【0087】
印刷エンジンメインユニット200は、図7のフレーム220に上述した露光ユニット240、現像ユニット260が組みつけられた状態(図4)から、転写ユニット280が上に被せられ、完成する(図3、図5、図6)。図5の断面図に示すように、現像ユニット260は、露光ユニット240を貫通した状態で固定されている。本例では、図3に示すように、印刷エンジンメインユニット200の下側の現像ユニット260の主走査方向両端部において、本体取付ビス穴269a、本体取付位置決め穴269bを有する本体取付プレート(取付部)269が設けられている。完成した印刷エンジンメインユニット200は、筐体10の内側に設けられた本体フレーム30(図2)に、本体取付プレート269の本体取付位置決め穴269bによって取付け位置を規制されたうえで、本体取付ビス穴269aを貫通するビスが本体フレーム30にねじ締めされることにより、本体取付プレート269ひいては印刷エンジンメインユニット200が本体フレーム30に固定される。
【0088】
本実施形態に係る印刷エンジンメインユニット200は電子写真プロセスの主要な構成要素を一体的に構成したものであるから、画像形成時の各色の位置ずれに関しては印刷エンジンメインユニット200の内部で、その精度を確保することが可能となる。従って印刷エンジンメインユニット200の画像形成装置1への取付位置については、高い精度が要求されることはない。また、印刷エンジンメインユニット200内の各部材(像担持体201など)が、印刷エンジンメインユニット200内において正しく位置決めされていれば(上述したように主として位置決めの基準となる部材は第1のサブフレーム221と第2のサブフレーム222)、印刷エンジンメインユニット200を筐体10内に組み込む際に煩雑な位置決め調整を行なう必要はなくなり、画像形成装置1の製造を簡易なものとすることができる。尚、図4(a)においては、本体取付プレート269の図示は省略されている。
【0089】
(露光ユニットの説明)
次に露光ユニット240の詳細を、図8〜12を用いて説明する。露光ユニット240は、基本的に図8に示すように、複数の像担持体201Y〜201Kの各々を露光する複数の発光部としての複数の発光素子列(光源列)242(242Y,242M,242C,242K)を具備するものである。そして、当該複数の発光素子列を支持した支持部材241を、発光素子列の各々が対応する像担持体201を露光するように、画像形成装置1の本体、特に本実施形態では、図3〜図6に示すように、フレーム220の第1のサブフレーム221、第2のサブフレーム222に、ビス243を用いて取り付け可能に構成している。
【0090】
発光素子列242Y〜242Kは、複数の発光素子(光源)244を、露光ユニット240の主走査方向(記録紙Rが搬送される方向と直角を成す方向であり、支持部材の長手方向でもある)に列状に配置して構成され(図32参照)、対応する像担持体201Y〜201Kを各々露光する。発光素子としては、発光ダイオード(LED;Light Emitting Diode)や有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL;Organic Electroluminescence)等の固体発光素子が挙げられる。正確には、発光素子列242Y〜242Kは、後述する基板245上に形成されている。
【0091】
本実施形態において、支持部材241は、所定材料の圧延、鍛造、射出等の成形による単一の成形部材により構成されている。特に本実施形態において、支持部材241は、板状の金属板金より構成されている。画像形成装置1内部の温度上昇の程度(画像形成装置1のおかれる雰囲気温度に対しおよそ20℃程度上昇する)、および各色の位置ずれ量がもたらす人の視覚特性上の影響(理論上は1/4画素とされる)、形成される個々の画素の解像度(基本解像度は600〜1200dpi程度だが、例えば133線/インチなど所定の線数のスクリーンに変換される)などを考慮すると、支持部材の材料としては、熱膨張係数が11.8×10-6/℃以下のものを選択するのが望ましい。
【0092】
上述した構成により、発光素子列を支持する支持部材241の数を減らすことが可能となり、発光素子列242Y〜242K間の取り付け精度を均一にするとともに取り付け精度を向上させることもできる。さらには、周囲の温度上昇に伴う発光素子列の位置ずれも減少させることが可能となり、露光ユニット240の製造時における発光素子列の取り付け位置調整を容易にすることが可能となる。
【0093】
図8の例では、複数の発光素子列242Y〜242Kの各々は、互いに独立した複数の基板245(245Y〜245K)上に、TFT製造プロセス(本実施形態では、発光素子列242の点灯/消灯、発光光量を制御するための回路をTFTで構成している)および通常の有機EL製造プロセス(本実施形態では、上述のTFT回路および陽極を形成した基板245上に、いわゆる湿式プロセスを用いて有機発光材料を塗布し、その後に乾式プロセスを用いて金属陰極を形成して発光素子を作成する)を経て形成されている。基板245の長手方向(支持部材の長手方向)、すなわち上述した主走査方向に、複数の発光素子244が列状に配置されている(図19、図32参照)。そして、複数の発光素子244によって構成される発光素子列242は、封止ガラス246により、各基板245上で封止されている。このような複数の基板245が支持部材241上に接着剤を介し固定されている。このように発光素子列を基板個別に作成することにより、基板面積が不必要に増大し、コストが上昇するのを防止することができる。
【0094】
発光素子列242間の距離、すなわち基板245間の距離を正確に測定し、支持部材241の正確な位置に基板245を固定することは重要である。そこで、図9に示すように、例えば一つの基板245Yの支持部材241への取り付け位置を基準に、他の基板245M〜245Kの取り付け位置を決定することが望ましい。この構成により、複数の基板の取り付け位置が明確となり、取り付け精度を容易に向上させることが可能となる。
【0095】
基板の取り付け位置は、図9に示すように、列間の距離により定まる列位置P1と、一番端の基準発光素子の位置間の距離により定まる基準素子位置P2の二つの要素からなり、この二つを定めることにより、基板245の位置を確定する。この確定のプロセスとしては、図示しない治具を用いて、発光素子を発光させ、P1、P2を定め、基板245Y〜245Kを支持部材241上に接着剤で固定することが考えられる。
【0096】
また、露光ユニット240は、複数の発光素子列242Y〜242Kの各々に対応するように、支持部材241に取り付けられた結像レンズ247Y〜247Kを更に備える。結像レンズは、光路OP1(図8)で示されているように、発光素子列242から出射される光を、像担持体201に正立等倍の像として結像させる役割を果たす(即ちイメージ伝送を行う光学系である)。本実施形態では、支持部材241の発光素子列242、基板245の各々に対応する位置に折り曲げ部241aが形成され、この折り曲げ部に結像レンズ247が接着されている。また、折り曲げ部241aを形成する元材料が存在した主平面241bの対応部分には開口241cが形成されている。発光素子列242から出射された光は開口241cを通過して結像レンズ247に届く。この構成により、結像レンズ247を支持部材241に容易に取り付けることが可能となる。
【0097】
また、結像レンズ247による光伝送方向は総て同じであることが好ましい。支持部材241は所定の金型を用いた板金加工によって成型されるが、その加工工程において複数回の押し当て工程を経て折り曲げを行うことで、折り曲げ部241aと主平面241bのなす角度を、総ての折り曲げ部241aにおいて略同一とすることができる。総ての折り曲げ部241aの角度を略同一とすることで、対となる結像レンズ247と像担持体201までの距離が総ての光学系で同一となり、結果的に光学系のMTF(Modulation Transfer Function)を均一にすることが可能となる。結像レンズ247の例としてはセルフォック(日本板硝子株式会社の登録商標)レンズが挙げられるが特に限定はされない。
【0098】
またMTFは結像レンズ247表面と、これと対になる像担持体201の像結像位置における離間距離(即ち結像レンズ247の焦点距離との誤差)に大きく影響される。この観点に立つと、印刷エンジンメインユニット200の製造工程において、図8(b)に示すように各結像レンズ247の光軸中心(即ち結像レンズ247の副走査方向におけるセンタ位置)上における結像レンズ247表面と各像担持体201の間隔Ls_oを等しく調整するとよい。
【0099】
このような本実施形態の態様を踏まえて、支持部材241の各折り曲げ部241aに結像レンズ247を固定するプロセスを説明する。まず、既に説明した工程によって複数の基板245が固定された支持部材241を、図示しない治具にセッティングする。この治具では後工程で像担持体201が配置される位置に二次元アレイからなる光センサ(例えばCCDを用いたエリアセンサ)が設けられている。この状態で基板245に形成された発光素子を発光させると、発光素子から出射された光は、結像レンズ247によって光センサ上に結像する。光センサ上に結像された光スポットに基づいて面内光量分布が計測され、結果的に潜像が形成される(より厳密に言えば、潜像の三次元的な電位分布と現像電位の関係に基づきトナー付着することになる)光スポットの実効面積を観測することができる。この面積が予め定められた値になるように、各結像レンズ247と光センサの間隔を調整することで、結像レンズ247の取付け位置を確定することができる。なお治具には光センサは少なくとも2箇所に設けられており、例えば主走査方向の両端部ないしはその近傍に位置する発光素子について光量分布を計測することで、結像レンズ247の主走査方向における両端の位置を決定することで、結像レンズ247の全体としての位置が確定する。
【0100】
結像レンズ247は直径0.6mm程度の複数の棒レンズを図8に示す主走査方向に一列ないし複数列並べた構成を有しており、一つの発光素子から出射された光は、複数の棒レンズを経由して光センサ上に結像する。従って結像レンズ247と光センサの間隔が結像レンズ247の焦点距離から外れるに従って、光センサ上に結像される光スポットは複数に分解する。このような観点から、最初は離れた位置から徐々に結像レンズ247を光センサに近づけていき、複数の光スポットが一つに収束した時点をもって結像レンズ247の固定位置を判断するようにしてもよい。更に光スポットの面積が最小となる位置に結像レンズ247を固定するようにしてもよい。
【0101】
尚、図9の基板245の取り付け方法は、結像レンズ247を取り付ける前の発光素子の発光を基準として定められるものである。しかしながら、実使用状態では結像レンズ247通過後の光が像担持体201に照射される。そこで、図10に示すように、結像レンズ247通過後の光の結像位置を基準に、基板の支持部材241への取り付け位置を決定してもよい。図示の様に発光素子列242Yを基準とし、(1)発光素子列242Yと発光素子列242Mの距離、(2)発光素子列242Yと発光素子列242Cの距離、(3)発光素子列242Yと発光素子列242Kの距離を順次測定、位置決めし、総ての基板の位置決めを行うことができる。この構成により、結像レンズ247通過後の光の結像位置を取り付け位置決めに使用することとなり、より実装状態に即した基板の取り付けを行うことができる。更に、このようにすることで、基板245および結像レンズ247の取付け位置を確定するプロセスを、単一の治具を用いて行うことが可能となり、製造時のタクトタイムを短縮することが可能となる。
【0102】
また、複数の基板245Y〜245Kが支持部材241上の同一平面、共通平面である主平面241b(より正しくは、図8に示す241bの裏面)に接着剤で固定されている。この構成により、複数の基板の支持部材241への取り付けを容易にすることが可能となる。
【0103】
また、露光ユニット240の他の実施形態を図11に示す。本実施形態では、図8〜10のものと異なり、単一の基板245上に総ての発光素子列242Y〜242Kが形成されている。言い換えると、少なくとも二つの発光素子列が、単一の基板245上に形成され、基板が支持部材241上に接着剤にて固定されている。この構成により、単一の基板245内で発光素子列の位置精度を確保することができ、組立時の調整を簡略化することが可能となる。
【0104】
図8の例でも図11の例でも、基板245(245Y〜245K)の光取出し面が、支持部材241に接触させて固定されている。特に発光素子として有機EL素子を用いた場合、有機EL素子を形成する面とは逆の面を光取出し面とするために(ボトムエミッション構造)、基板245はガラス基板を用いることが多い。光取り出し面は主平面241b(正確には、その裏面)に接触した基板245の面であり、図示の例では光路OP1に垂直な面である。ガラス基板の表面は極めて平滑性が高いことから、この構成により、基板245の支持部材241への固定度が増し、取り付け精度をより向上させるとともに、周囲の温度上昇に伴う位置ずれ等もより減少させることが可能となる。
【0105】
更に基板245がガラス基板の場合は光を透過することから、UV硬化型の接着剤を用い、UV光をガラス基板側から照射することで、短時間で接着を行うことが可能となる。また硬化した際の硬度を優先するのであれば、熱硬化性の接着剤を用いて基板245を支持部材241に取り付けてもよいし、この際に仮止め用としてUV硬化型の接着剤を用いてもよい。
【0106】
また、特に図8の例では、基板245の光取り出し面うち、少なくとも長手方向(支持部材241の長手方)の一辺を、略全長にわたって支持部材241に接触させて固定させている。すなわち、開口241cに相当する部分では、基板245は支持部材241に接触していない。ただしこの構成によっても、基板245は全長にわたって支持部材241に接着されることから、結果として支持部材241への固定度が増し、取り付け精度をより向上させるとともに、周囲の温度上昇に伴う位置ずれ等もより減少させることが可能となる。
【0107】
言い換えると、本発明の露光ユニット240は、単一の成形部材により構成された支持部材241に、発光素子列242を備えた基板245を、略一体的に固定したものである。ここでの「略一体的」とは、基板245が支持部材241とは別に、撓み、反り、歪み、ねじれなどの実際上弊害があるような物理的な変形を生じさせることがない程度に、基板245と支持部材241が一体的に構成されていることをいい、図8および図11の双方の構成を含む。この観点では、上述した結像レンズ247についても同様に、支持部材241に略一体的に構成されている。
【0108】
上述してきた構成によって、発光素子が形成された1ないし複数の基板245、および光学系としての結像レンズ247を含む露光ユニット240は、外部応力に対して極めて高い剛性を持つ。これによって、露光ユニット240は単一の部材として印刷エンジンメインユニット200に組み込むことが可能となる。
【0109】
尚、図8〜図11の例では、基板245が支持部材241から見て像担持体201の反対側(例えば図8に示す主平面241bの裏面)に配置されている。この構成では、支持部材241から見て像担持体201と同じ側に他の部品を配置する空間を確保することが可能となる。一方、図12の例では、基板245が支持部材241から見て像担持体201と同じ側(図8(a),(b)に示す主平面241b)に配置されている。この構成では、支持部材241から見て像担持体201の反対側に他の部品を配置する空間を確保することが可能となる。
【0110】
この場合に、基板245の発光素子が形成された面(即ち封止ガラス246が配置された面)を支持部材241に接着することとなる。封止ガラス246が配置された面は、通常、発光素子のみならずTFT回路等も形成されているため、接着位置Pcntはこれらの構成要素を含まない位置とすべきである。またこの際に、封止ガラス246等、基板245において突出した部分が開口241cに対応するような位置関係とすればよい。
【0111】
また、図12に示す構成は、有機EL素子が形成された面を光取出し面とする、いわゆるトップエミッション構造を採用した場合に有利となる。トップエミッション構造の場合は、基板245における光取出し面(即ち封止ガラス246が配置された面)の裏面側には駆動回路等の構造物を設けないため、この面には凹凸が存在せず、平坦なガラス面を呈している。そこで、この平坦面を支持部材241に接着すればよい。この構成では支持部材241に開口241を設ける必要はないが、支持部材241に折り曲げ部241aを構成することで、結像レンズ247の取り付け位置が確保され、更に支持部材241全体としての剛性が高まることを考慮すると、開口241cを積極的に設けることが望ましい。
【0112】
そして、本発明の露光ユニット240は、上述した通り、支持部材241を、発光素子列242Y〜242Kの各々が、対応する像担持体201Y〜201Kを露光するように、画像形成装置1の本体、特に本実施形態では、図3〜図6に示すように、フレーム220の第1のサブフレーム221、第2のサブフレーム222に、ビス243を用いて取り付け可能に構成している(ただし、サブフレーム221側のビス位置は図示していない)。ビス243の締め付け位置には副走査方向(図3参照)に若干の遊びが設けてあり、図示しない治具等を用いて最終調整を行う際に、ビスの締め付け度合いなどを調整することにより、支持部材241、ひいては露光ユニット240全体を、像担持体201に対し相対的に位置調整可能である。
【0113】
特許文献1などに開示された従来の画像形成装置においては、発光素子列に代表される発光部(露光装置自体でも良い)を複数組備え、各発光部が固有の像担持体に対応している場合、発光部ごとに個別に位置決めを行なう必要があり、作業性が悪化する可能性があった。また、製造時から使用時の間に発光部ごとに個別に位置ずれが生じる可能性も高くなり、より作業性が悪化する可能性もあった。
【0114】
他方本発明においては、複数の発光素子列242Y〜242Kより構成される複数組の発光部が一体の支持部材241に支持されており、支持部材241を、像担持体201を持つ印刷エンジンメインユニット200に取り付ける一度の取り付け作業で、複数組の発光部と像担持体の位置調整を行うことができる。したがって作業性を大幅に向上させることができる。
【0115】
また、支持部材241を、像担持体201を持つ印刷エンジンメインユニット200、ひいては画像形成装置1の本体に取り付けた後も、ビス243を調整することにより、発光部の像担持体に対する相対的な取り付け位置を容易に調整することが可能となる。
【0116】
さて、支持部材241に発光素子列242を形成した基板245、および結像レンズ247を取り付ける工程(露光ユニットの製造工程)は、印刷エンジンメインユニット200の製造工程、あるいは、画像形成装置1の製造工程から完全に独立させることが可能である。
【0117】
上述してきた内容から容易に理解されるように、この露光ユニット製造工程によって複数の像担持体201を同時に露光することが可能な、マルチライン構成の露光ユニット240が提供されることになる。
【0118】
(搬送機構の説明)
続いて、図13〜図17を用いて、印刷エンジンメインユニット200から定着器130にかけての記録紙Rの搬送機構について説明する。
【0119】
図5にも示したように、印刷エンジンメインユニット200においては、像担持体201と、その上方に設けられた転写ユニット280、特に転写ユニット280の下面に設けられた搬送ガイド206の間には、記録紙Rを搬送する搬送路Pが定義(画定)される。尚、記録紙Rは、レジストローラ202と対向ローラ202aに挟持されて搬送されるので、レジストローラ202と対向ローラ202aによって形成されるニップも搬送路の一部をなす。
【0120】
図13は、従来のタンデム型の画像形成装置において、記録紙Rの搬送時に発生し得る問題を概念的に示したものである。タンデム型の画像形成装置、特に像担持体201から搬送される記録紙Rに直接的にトナー像を転写する構成のものにおいては、一般的に複数の像担持体201Y〜201Kが記録紙Rの搬送方向に並べられている。ところが、記録紙R搬送中の記録紙Rと像担持体201Y〜201Kとの接触による摩擦、各像担持体の外周速度の違い等種々の要因のため、像担持体201Y〜201Kの間で記録紙Rのたわみが発生する場合がある。
【0121】
図13で示した様に、複数箇所でたわみが発生した場合、たわみの量、すなわち、たわんだ記録紙Rの像担持体201の間の搬送方向の長さ(たわみ量として搬送ガイド206から鉛直方向のたわみ量で定義しても良い)は、各個所で異なることが多い。このような場合、像担持体と記録紙Rが接触し、像担持体201Y〜201Kからトナー像が転写される転写位置までに到達する距離(記録紙Rの像担持体201の間の搬送方向の長さ)が、記録紙R上で相対的にずれることになり、記録紙R上での各色毎の単色画像の位置ずれ(転写位置ずれ、色ずれなどともいう)が発生する。このような現象は記録紙R上に最終的に形成されるカラー画像の劣化を招くこととなる。
【0122】
そこで、本発明の実施形態においては、図14に示すように、転写材押さえローラ(転写材規制部材)224を、搬送路P中の隣接する像担持体201の中間位置に設けている。この転写材押さえローラ224は、前述したように、図7に示した第1のサブフレーム221、第2のサブフレーム222各々の転写材押さえローラ位置決め穴221c,222cに回転可能に固定され、位置決めされている(図7点線)。
【0123】
実際には、転写材押さえローラ224は、記録紙Rの搬送位置を規制することにより、実質的に記録紙Rの搬送路Pを定義付ける作用をもしている。
【0124】
そして、転写材押さえローラ224は、搬送路Pに沿って搬送される記録紙Rを、像担持体201Y〜201Kが配置された側、図14では下側(搬送ガイド206から離れる方向)に付勢するように構成している。この構成により、像担持体201Y〜201K間での記録紙Rのたわみ等が防止され、像担持体201Y〜201K間でのトナー像の転写位置ずれを防止することが可能となる。
【0125】
また、上記構成は次のようにも規定される。すなわち、隣接する像担持体201に形成されたトナー像が転写材としての記録紙Rに転写され、単色画像が記録紙Rに転写される二つの転写位置によって転写面を定義する。このとき、転写材押さえローラ224の少なくとも一部が、当該転写面よりも像担持体201Y〜201Kの回転中心軸に近い規制位置まで突出している。図14の例では像担持体201Y,201M各々の転写位置PT1,PT2で転写面PLが定義され、転写材押さえローラ224の下端が、像担持体201Y,201Mの回転中心軸に近い規制位置PRまで突出している。また、転写位置PT1,PT2は転写ユニット280中の転写ワイヤ282に対し、対応する像担持体(この場合は、像担持体201Y,同201M)の最も近い部分において規定される。転写ユニット280の詳細は後に説明する。
【0126】
上述の転写位置は、実際には画面の奥行き方向に並んだ、露光ユニット240の発光素子列方向(主走査方向、図3参照)と略同一方向に沿った直線により定義されるものである。
【0127】
ここで、どれだけ記録紙Rを、像担持体201Y〜201Kが配置された側に付勢させるか、いわゆる記録紙Rの付勢量(即ち転写材押さえローラ224の搬送路Pへの突出量)が問題となる。そして、付勢量の決め方の一つとして、記録紙Rが搬送中に、転写押さえローラ224の作用なしで、自発的に(即ち坪量によって規定される自重によって)たわんだときに生ずるたわみ量よりも大きく、付勢量を確保することが考えられる。このたわみ量は、記録紙Rの重量と、各像担持体201Y〜201Kによる記録紙Rに作用する吸着力と、記録紙Rの剛度(コシ)により決定されるものであるため、画像形成装置で印刷可能な記録紙Rの種類を考慮した上で、付勢量を設定すればよい。
【0128】
なお記録紙Rのたわみ量は、記録紙Rが含有する水分によって変化することが知られている。このような事情があるため、この付勢量は画像形成装置が置かれる環境なども考慮したうえ、たわみ量の最大値を基準として決定される。
【0129】
しかしながら一方で、このようにたわみ量の最大値を基準として転写材押さえローラ224の付勢量を設定した場合に、例えば坪量が大きくコシが強い記録紙Rが搬送されたような場合に、転写材押さえローラ224が通紙の際の阻害要因となる虞が考えられる。この対策として本実施形態では、後述のように転写材押さえローラ224の記録紙R当接部を曲面で構成するようにしているが、より弊害を取り除くために、例えば転写材押さえローラ224を板ばね等の弾性体を介して支持する構成としてもよい。
【0130】
更に、印刷エンジンメインユニット200の構成上、転写材押さえローラ224は第1のサブフレーム221、第2のサブフレーム222に支持された状態(図7参照)では同一平面に配置され、かつその近傍には他の構成要素は存在しない(図14)から、例えば3本の転写材押さえローラ224を一体のサブユニットとして構成し、これを所定のアクチュエータ(例えば積層型ピエゾ素子や、所定の駆動源に接続された偏芯カム等)によってDr_1またはDr_2の両方向に変位可能に構成してもよい。この場合は、搬送される記録紙Rのたわみ量を、記録紙Rを搬送する際の図示しない駆動源に対する投入電力等、画像形成装置内に設けられた湿度センサ等によって推定したうえで、転写材押さえローラ224をDr_1、Dr_2のいずれかに変位させる。例えば湿度が大きい場合は方向Dr_2側に、記録紙Rの剛性が大きい場合(このとき記録紙Rを搬送する駆動源に投入される電力は一般に大きくなる)は方向Dr_1に変位させるように上述のアクチュエータを制御すればよい。このときの制御量の決定には、例えば入力値を複数の範囲に分けてテーブルを参照する方法を用いてもよいし、ファジィ推論などを用いてもよい。
【0131】
上述の様に付勢量を設定することにより、図14で示したように、記録紙Rは常に図14の下側、すなわち像担持体201Y〜201Kが配置された側に、転写材押さえローラ224の積極的な作用により付勢されながら搬送されることとなる。したがって、図13に示したように、記録紙Rの自発的な(自然な)たわみにより、像担持体201の間の搬送方向の長さは、各個所(像担持体201が四つの場合は三箇所)で異なることにならず、転写材押さえローラ224の積極的な作用により与えられた付勢量に基づき、記録紙の隣接する像担持体201間の搬送方向長さは総ての箇所で略同一となる。それ故、像担持体201間でのトナー像の転写位置ずれを防止することが可能となる。
【0132】
また、転写面PLから規制位置PRまでの距離が、上述した記録紙Rのたわみ量よりも大きくなるよう、転写材押さえローラ224のサイズを設計しても同様な効果を得ることができる。
【0133】
少なくとも搬送された記録紙Rの先端が接触する位置、すなわち、搬送ガイド206の主面から規制位置PR近傍における転写材押さえローラ224の外面は、曲面より構成することが好ましい。このように構成することにより、たわみなどを防止しつつ、記録紙を滑らかに搬送することが可能となる。例えば、転写材押さえローラ224を、金属シャフトの如き断面円形状の軸部材により構成してもよい。ただし、その形状、素材は特に限定されるものではない。
【0134】
像担持体(感光体)201から記録紙Rが離隔するメカニズムでは、一般には記録紙Rのコシの強さが支配的に作用するので、記録紙Rが像担持体201から離隔する際は、記録紙Rの先端は必ず像担持体201の側を向いている(搬送ガイド206とは離れる方向を向いている)。従って転写材押さえローラ224として金属シャフトなどを用いた際に、搬送ガイド206の主面と、金属シャフトで構成される転写材押さえローラ224が交わる角度(図14の「法線」)が垂直であったとしても特に問題が発生することはない。
【0135】
上述したように、転写材押さえローラ224は、位置決め部材としての第1のサブフレーム221、第2のサブフレーム222に固定されたものであり、このような構成により、像担持体201と転写材押さえローラ224の間の相対位置精度を向上させることが可能となる。
【0136】
また、記録紙Rの搬送路Pの全体のうち、搬送ガイド206は、像担持体201Y〜202Kに対応した部分の略全長を定義付けるものである。そして、転写材押さえローラ224は、記録紙Rを搬送路Pを挟んで像担持体201Y〜202Kと対向する側であって、搬送ガイド206よりも像担持体201に近い側に付勢している。
【0137】
本実施形態で説明した転写材押さえローラ224に必要なのは「像担持体201の間にあって、搬送されてきた記録紙Rの移送距離を像担持体201の間で均一化する」という機能である。このことから容易に理解されるように、転写材押さえローラ224はローラである必然性はなく、例えば記録紙Rとの最初の当接位置の形状をテーパー状とした部材を用いてもよい。このテーパーは平面的に設けてもよいし、所定の曲面としてもよい。
【0138】
また、図7、図14に示すように、搬送ガイド206の搬走路P下流側であって、定着器130の上流側には、第1のサブフレーム221、第2のサブフレーム222を接続する定着器前ガイド223が設けられている。図15(a)は定着器前ガイド223の全体斜視図であり、両端部に位置決めボス223aと、固定ビス穴223cが設けられている。図15(b)に示すように、位置決めボス223aによって、第1のサブフレーム221、第2のサブフレーム222に対し相対的に位置決めされ、これらのサブフレームを挟んで固定ビス223bが固定ビス穴223cにねじ込まれ、定着器前ガイド223が、第1のサブフレーム221、第2のサブフレーム222各々に接続固定される。この定着器前ガイド223は、図14で示したように記録紙Rを下側に向かせつつ、定着器130へ案内する。
【0139】
また、レジストローラ202、定着器130における加熱ローラ132を駆動するプレッシャローラ131(図14では対となったローラ131a,131b)等の回転する記録紙Rの搬送用の駆動ローラ、像担持体201Y〜202Kなどの回転部材の外周速度(周速)を調整することによっても、たわみの発生を抑制し、画像の位置ずれを抑制することができる。一般的には搬送路Pの下流側にある回転部材の外周速度を、上流側の回転部材の外周速度以上、または上流側の回転部材の外周速度より大きく設定することにより、このような効果を発生させることができると考えられる。このような構成を採れば、より下流側にあたる記録紙の部位ほど大きな張力がかかり、たわみが生じにくくなるものと考えられるからである。例えば、レジストローラ202の外周速度をVr、像担持体201Y,201M,201C,201K各々の外周速度をVy,Vm,Vc,Vk、プレッシャローラ131の外周速度をVpとすると、(1)Vr≦Vy=Vm=Vc=Vk≦Vpの関係、または(2)Vr≦Vy≦Vm≦Vc≦Vk≦Vpの関係が成立するよう、各部材を制御することが好ましい。なお(2)に示す関係は像担持体201の外径を徐々に増加させることでも得られる。
【0140】
上記(1)、(2)の関係の一つの観点から、複数の像担持体201のうち、第1の像担持体(例えば201Y)の外周速度を、記録紙Rの搬送路Pに沿って第1の像担持体より下流側に設けられた第2の像担持体(201Mから201K)の外周速度に等しいか、または当該第2の像担持体の外周速度より小さく設定することが導かれる。
【0141】
上記(1)、(2)の関係の他の観点から、記録紙Rの搬送路Pに沿って総ての像担持体201Y〜201Kより上流側に設けられ、記録紙Rを搬送することで実質的に記録紙Rの位置を規制するローラを第1の駆動ローラとした場合(図14の例ではレジストローラに相当)、第1の駆動ローラの外周速度が、隣接する像担持体201Yの外周速度に等しいか、または像担持体201Yの外周速度より小さく設定することが導かれる。
【0142】
上記(1)、(2)の関係の更に他の観点から、記録紙Rの搬送路Pに沿って総ての像担持体201Y〜201Kより下流側に設けられ、記録紙Rに形成された少なくとも一の単色画像を記録紙Rに定着させる加熱ローラ132を記録紙Rを挟んで駆動する第2の駆動ローラとした場合(図14の例ではプレッシャローラ131aおよび同131b)、第2の駆動ローラの外周速度が、隣接する像担持体201Kの外周速度に等しいか、または像担持体201Kの外周速度より大きく設定することが導かれる。
【0143】
上述したように、転写材押さえローラ224の如き転写材規制部材の採用、駆動ローラ(レジストローラ202、プレッシャローラ131a、131b)と像担持体201の外周速度の設定のいずれかの構成を用いて、記録紙Rのたわみのばらつきを抑え、画像転写位置ずれを防止し、カラー画像の品質を確保することができる。また、これらの構成を組み合わせることもでき、このような組合せの構成により、より確実に品質を確保することが可能となる。
【0144】
ところで、上述した記録紙Rのたわみ以外にも転写位置ずれを引き起こす要因は存在する。例えば、各部材における形状、寸法誤差、部材間の形状、寸法誤差が搬送の速度に影響を及ぼし、転写位置ずれを引き起こす場合がある。
【0145】
例えば、上述した駆動ローラのごとき自ら回転して記録紙Rの如き転写材を搬送する部材にあっては、一定の搬送速度を確保するためには、断面が完全な円形形状となることが望ましい。しかしながら、実際の製造にあたって完全な円形形状をもつローラを製造することは困難である。このことは、第1、第2の二つの駆動ローラ(レジストローラ202、プレッシャローラ131)についてもあてはまる。
【0146】
このような断面が完全円形状でない二つの駆動ローラが実装された場合、搬送中の転写材の上流側、下流側では独立して周期的な(たとえばサイン波的な)速度変動が生ずることとなる。このような現象は転写材の両端での搬送速度の変化をまねき、ひいては転写位置ずれを招くおそれがある。
【0147】
そこで、本発明の実施形態においては、図14に示すように、搬送路Pに沿って搬送される記録紙Rに像担持体201上に形成された像を転写する部分を作像部と捉え(像担持体201Y〜201K、露光ユニット240、転写ユニット280等の総称)、搬送路Pの上流側で記録紙Rを作像部に搬入する第1の駆動ローラ(図14の例ではレジストローラ202)と、搬送路Pの下流側で記録紙Rを作像部から搬出する第2の駆動ローラ(プレッシャローラ131a,131b)と把握し、第1の駆動ローラの外径と第2の駆動ローラの外径を略等しく構成している。
【0148】
両ローラは記録紙Rの搬送を実質的に司る部材(ニップ手段)であるが、これらの外径を略等しくすることにより、両ローラの外周速度変化の位相のずれは一定のまま維持されることとなる。したがって、所定位置、すなわち、転写位置での両ローラの外周速度差が一定となることにより、安定した像の転写が可能となる。
【0149】
尚、第1の駆動ローラの外径と第2の駆動ローラの外径のみならず、二つの駆動ローラの外周速度変化の位相をも略一致させるように構成することもできる。具体的には、駆動ローラを印刷エンジンメインユニット200に組み付けた後に、治具によって駆動ローラを外部の駆動源(図示しないモータ等)に接続して回転させる。当然、このモータやモータの駆動力を駆動ローラまで伝達する伝達系は、完成品としての画像形成装置と同じ仕様となっている。そしてこの際の駆動ローラの回転速度変動を計測し、複数の駆動ローラの速度変動の位相が一致するように、例えば駆動ローラと、その直前のギアとの位置関係(噛み合わせ位置)を調整すればよい。
【0150】
また、本実施形態では、第1の駆動ローラとしてのレジストローラ202に加え、対向ローラ202aを設け、これら二つのローラでレジストローラ対を構成している。この構成により、記録紙Rを確実に作像部内に搬送することができる。
【0151】
また、本実施形態では、作像部によって記録紙上に転写された画像を定着する定着器130を有し、第2の駆動ローラとしてのプレッシャローラ131によって定着器130を構成し、かつ駆動するように構成している。さらに本実施形態では、少なくとも二つのプレッシャローラ131a,131bを設けることにより、画像の定着に必要なニップ量をより多く確保することとしている。このように複数のプレッシャローラ131a,131bを有し、その両方で記録紙Rを挟持搬送することで、加熱ローラ132から記録紙Rおよび記録紙R上に形成されたトナー像に十分な熱が供給され、適切な定着がなされる。
【0152】
尚、従来の画像形成装置では、転写ベルトのような中間媒体が像担持体と記録紙の如き転写材の間に設けられ、一度像担持体から画像が転写ベルトに転写され、その後転写ベルトから転写材に転写される構成のものが多かった。このような従来の構成における転写ベルトと、本発明での転写材は区別されるものであり、本発明の記録紙Rの如き転写材では、最終的に定着される画像(トナー像)が像担持体から直接転写される。
【0153】
尚、上述した二つの駆動ローラの外径を略等しくし、回転周期を同一にする構成は、本願で図示したように、作像部において像担持体201Y〜201Kを搬送路に沿って配置したタンデム式のものに限られず、像担持体201が一つのいわゆるモノクロの画像形成装置、あるいは中間転写媒体を有し、これを複数回にわたって回転させ、単色画像を中間転写媒体上に合成してカラー画像を形成する画像形成装置(いわゆる4パス型のカラー画像形成装置)においても適用可能である。タンデム式であり、複数の像担持体201を有する図14の画像形成装置に適用される場合、搬走路Pに沿って総ての像担持体201Y〜202Kより上流側に記録紙Rの位置を実質的に規制するレジストローラ202を設け、さらに搬走路Pに沿って総ての像担持体201Y〜202Kより下流側に、各像担持体上に形成された単色画像の転写により記録紙R上に形成された画像を加熱して記録紙R上に定着する加熱ローラ132と、当該加熱ローラ132との間で記録紙Rを挟持して搬送するプレッシャローラ131とを設ける。そして、レジストローラ202とプレッシャローラ131の外径が略等しく設定されている。
【0154】
また、タンデム型の画像形成装置において生じ得る他の問題要因がある。図16はこのような要因を説明する概念図である。点線、実線で示したように、レジストローラ202の断面が完全円形状でない場合、外周速度変動が生ずる。そして、特に点線で示した場合の様に、レジストローラ202の外周長が各像担持体間のピッチと異なる場合、各像担持体201Y〜201Kにおける外周速度、ひいては記録紙Rの搬送速度が異なることとなる。したがって、転写位置のずれが発生することとなり、画像品位が劣化することとなる。
【0155】
そこで、さらに本実施形態では、第1の駆動ローラ(レジストローラ202)の外周長ひいては第2の駆動ローラ(プレッシャローラ131a,131b)の外周長が、既述したようなたわみ量を考慮した記録紙Rの搬送中の長さに相当する搬送方向長さに略等しく設定されている。すなわち、図14では、像担持体201Y,201M各々の転写位置PT1,PT2間の記録紙Rの長さが、レジストローラ202及びプレッシャローラ131a,131bの外周長に略等しい。
【0156】
なお、第1の駆動ローラ(レジストローラ202)の外周長ひいては第2の駆動ローラ(プレッシャローラ131a,131b)の外周長を、既述したようなたわみ量を考慮した記録紙Rの搬送中の長さの整数倍となるように構成しても同等の効果を得ることができる。よってこのとき、転写位置PT1,PT2間の記録紙Rの長さが、レジストローラ202及びプレッシャローラ131a,131bの外周長の整数倍に略等しい。
【0157】
このような構成にしたことにより、図16の実線で示したように、レジストローラ202の断面が完全円形状でなく、外周速度変動が生じている状況であっても、レジストローラ202の外周長と、各像担持体間における記録紙Rの搬送方向長さとを略等しく設定することにより、各像担持体201Y〜201Kにおける外周速度、ひいては記録紙Rの搬送速度を略同一に揃えるが可能となる。これにより、転写位置のずれを防止することができ、画像品位の劣化を防止することができる。
【0158】
尚、現実の印刷処理過程においては、上述の思想における、像担持体201間における搬送方向の記録紙Rの長さ(転写材の長さ)は、複数の像担持体の配置ピッチと等しいとみなすことができる。現実の印刷過程において、記録紙Rの搬送方向の長さに比して、下方へのたわみ量は微々たるものだからである。したがって、現実の設計においては、レジストローラ202及びプレッシャローラ131a,131bの外周長に略等しくなるよう、像担持体201の配置ピッチを設定することができる。すなわち、図14の例では、レジストローラ外周長≒プレッシャローラ外周長≒ピッチA≒ピッチB≒ピッチCが成立する。ここで、ピッチAは像担持体201Yと201Mの配置ピッチ、ピッチBは像担持体201Mと201Cの配置ピッチ、ピッチCは像担持体201Cと201Kの配置ピッチであり、各配置ピッチは、二つの像担持体の回転中心軸間の距離により定められる。
【0159】
既に説明したように、駆動ローラの外周長の整数倍が像担持体の配置ピッチと略等しくても同じ効果が得られることから、レジストローラ外周長×N≒プレッシャローラ外周長×M≒ピッチA≒ピッチB≒ピッチC(ただし、N,Mは1以上の整数)の関係を満足するように構成してもよい。
【0160】
更に本実施形態では、図17に示すように、第1の駆動ローラとしてのレジストローラ202の回転軸がいわゆる外周受け構造を有するよう構成されている。すなわち、レジストローラ202の両端部が、フレーム220の第1のサブフレーム221、第2のサブフレーム222に組みつけられた軸受け221d,222dの中心部を貫通し(図7参照)、当該軸受けによってその外周が受け止められている。軸受け221d,222dの突起221e,222eはサブフレームの対応する所定の凹部と嵌合し、軸受け自体が回転してしまうのを防止する。この構成により、レジストローラ202の回転に伴うぶれは軸受け側で規制されることとなり、レジストローラ202の中心軸から外周面までの長さの誤差(要は半径の誤差)に起因するぶれを防止することができ、転写位置のずれを防止することが可能となる。尚、プレッシャローラ131a,131bの回転軸についても同様な外周受け構造を採用することが好ましい。
【0161】
また、上記構成の更に下流に着目すると、搬送路Pの終端には記録紙Rを外部へ排出する排出ローラ140が設けられている(図2の例では排出ローラ対)。排出ローラ140は定着が完了した記録紙Rを画像形成装置1の外部に送り出すものである。排出ローラ140の駆動が上流の像形成プロセスに影響を与えないように、グリップ力は少なくともプレッシャローラ131と加熱ローラ132のグリップ力より小さくすることが望ましい。
【0162】
(現像ユニットの説明)
続いて、図18〜図29を用いて、本実施形態の現像ユニット260について説明する。現像ユニット260は、図2のカートリッジ70Y〜70Kの各々から図示せぬチューブを介してトナーの供給を受け、各像担持体201Y〜201K上の潜像(静電潜像)を現像剤のトナーにより現像し、トナー像(単色画像)を生成する役割を果たす。
【0163】
図18に示すように、現像ユニット260は、基本的に、像担持体201に現像剤を供給する現像部を構成する現像ローラ266と、当該現像ローラ266へ供給される現像剤を攪拌する複数の攪拌部262を構成する攪拌ユニット261とを含む。そして、後述するように、本実施形態では、現像ローラ266と、攪拌ユニット261(攪拌部262)の相対位置が変更可能に構成されている。なお本実施形態では、現像剤がトナーとキャリアから構成され、そのうちのトナーのみが現像に寄与する、いわゆる2成分現像を採用している。
【0164】
図19に、現像ユニット260の上半分を構成する現像ローラ266(266Y,266M,266C,266K)及び当該現像ローラの少なくとも一部を収容する現像ローラケース267(267Y,267M,267C,267K)を示す(図27参照)。図19では明示されていないものの、現像ローラケース267は、後述する導光体205の一部から構成されている。導光体205、現像ローラケース267は光透過性樹脂から構成されており、第1の光出射口267aからは、トナー像の記録紙Rへの転写前の除電光が出射され(図1の除電器1に相当)、第2の光出射口267bからは、像担持体201のブラシクリーニング204によるクリーニング後の除電光が出射される(図1の除電器3に相当)。
【0165】
既述したように、基板245には像担持体201の露光用の光を出射する発光素子244が、露光用発光素子として設けられている(図8等参照)。さらに、図19に示すように、基板245には、光路OP2で示される除電光出射用の除電用発光素子244aが主走査方向、すなわち露光用発光素子244の配列方向に沿って配置されている。露光用発光素子244と異なり、除電用発光素子244aは、微小素子を配置することなく、単一の発光素子として構成してもよい。ただし、なんらかの原因により発光素子が発光しなくなったことを考慮して、除電用発光素子244aは複数の発光素子で構成することが望ましい。
【0166】
除電用発光素子244aも露光用発光素子244と同様に封止ガラス246によって封止されている。本実施形態ではひとつの封止ガラス246によって露光用発光素子244と除電用発光素子244aの両方を封止するように構成したが、それぞれの発光素子を独立して封止してもよい。
【0167】
図では基板245と現像ローラケース267は接触させているが、設計上の制約等があれば、これらを若干の間隔を空けて配置してもかまわない。基本的に除電用発光素子244aを構成する有機EL素子から出射された光は等方に出射されるが、発光素子の正面の輝度は最も高いから、仮に両者の間に隙間があっても、殆どの光が現像ローラケース267に入射されることになる。
【0168】
基板245のP_lin_sに示す位置(即ち基板245の副走査方向)に発光素子を形成し、更にP_lin_sで示す位置から現像ローラケース267に光を入射するように構成してもよい。ただしこの場合は光の伝播経路が複雑となるので、光減衰の影響を考慮して発光素子(有機EL素子)を、より高輝度で発光させる必要がある。このような場合では、発光素子を連続して点灯するのではなく、間歇的にON/OFFを繰り返すように駆動するのが望ましい。
【0169】
もちろん上述した、除電用発光素子244aを基板245の主走査方向に沿って配置した場合についても間歇駆動を行うことが望ましい。
【0170】
現像ローラ266は、図19、図20に示すように、その両端部の偏心カム266a、現像ローラシャフト266b、ポリスライダー(カム抜けとめ部材)266cを介して、現像ローラケース267に固定されている。すなわち、現像ローラシャフト266bが現像ローラケース267の両端部の図示せぬ貫通孔を貫通しており、ケースの外側において、ポリスライダー266cが偏心カム266aを現像ローラケース267の両端部に押し付けることにより、現像ローラ266と現像ローラケース267が一体的に固定されている。本実施形態では、四組の現像ローラ266と現像ローラケース267の組合せ(266Y,267Y〜266K,267K)で同じ構成が採用されている。
【0171】
次に、現像ユニット260の下半分、複数の攪拌部を構成する攪拌ユニット261を図23に示す。図21〜図23に示すように、攪拌ユニット261は、下カバー261aと上カバー261bの間に、四組の現像ローラ266、現像ローラケース267に対応して、四組の搬送スクリュー263a,263bが収納されて構成されている。搬送スクリューの数は合計8本となる。
【0172】
下カバー261aは、長手方向に形成された複数の仕切り壁261eを有し、仕切り壁262eによって仕切られた空間に搬送スクリュー263a,263bが収納され、第一の攪拌部262a、第二の攪拌部262bが定義される。第一の攪拌部262a、第二の攪拌部262bの組合せにより、一つの現像ローラに対応する一つの攪拌部262が構成される。そして、攪拌ユニット261は、複数の攪拌部262を一体に形成して構成されており、結果的に現像ユニットの部品点数を削減することが可能となっている。
【0173】
搬送スクリュー263a,263bは、図21に示すように、下カバー261aの側面に取り付けられた駆動ギヤ264により互いに逆方向に回転するものであり、図21に示すように、外部から供給されたトナーを攪拌ユニット260の平面内において互いに逆方向に搬送することにより、新たに供給されたトナーと既に攪拌ユニット261に入っている、例えばフェライト等によって構成されるキャリア(トナーとキャリアをまとめて現像剤と呼称する)を平面内で循環的に移動させ、攪拌するものである。この攪拌によってトナーとキャリアは互いに摩擦され、トナーが所定の電位に帯電される。なお、本実施形態ではトナーは負帯電のものを用いている。
【0174】
図23は、図21の下カバー261aに上カバー261bが取り付けられた、攪拌ユニット261の全体斜視図である。上カバー261bには、図1に示したイエローカートリッジ70Y、マゼンダカートリッジ70M、シアンカートリッジ70C、ブラックカートリッジ70Kの各々から供給されたトナーを図示せぬチューブを介して内部に導くためのトナー導入口261c(261cY,261cM,262cC,261cK)が形成されている。さらに上カバー261bには、攪拌された現像剤を現像ローラ266に導くための現像剤供給口261dが形成されている。
【0175】
そして、本実施形態では、図24、図25に示すように、攪拌ユニット261と、現像ローラケース267が調整部材たる発泡ウレタンスポンジ268を介して接続されている。この発泡ウレタンスポンジ268は、現像剤が飛散するのを防止するシールとしての役割を果たすとともに、攪拌ユニット261と現像ローラケース267の組付け、すなわち相対位置を変更する必要がある場合、両者のずれを吸収する役割を果たす。すなわち、現像ローラケース267と攪拌ユニット261の相対位置、ひいては現像ローラ266と攪拌ユニット261の相対位置が、発泡ウレタンスポンジ268を介して変更可能である。
【0176】
本実施形態では、既に説明したように現像方式として2成分現像を採用している。2成分現像方式では、現像ローラ266の内部には所定の磁極を配置したマグネットローラ(図示せず)が設けられており、現像ローラ266の表面にマグネットローラの磁力によって形成されるキャリア(材料はフェライト等の磁性体)の穂立ちを介してトナーを像担持体201に供給する。画像の濃度は実際に現像される(即ち現像ローラ266の表面から像担持体201に移動する)トナー量によって決まるから、像担持体201と現像ローラ266との間の位置(距離)には高い精度が要求される。したがって、像担持体201と現像ローラ266の位置関係を製造の最終段階で調整する必要が生じる場合もある。このような場合、もし現像ローラ266と攪拌ユニット261、すなわち現像ローラケース267と攪拌ユニット261が完全に一体化され、相対位置が変更可能でない場合、両者、すなわち現像ユニット260のほぼ全体を移動させる必要が生じ、製造工程の負担が増し、画像形成装置の小型化は困難となる。
【0177】
しかしながら、本実施形態の現像ユニット260では、上述したように現像ローラケース267と攪拌ユニット261との相対位置、ひいては現像ローラ266と攪拌ユニット261との相対位置が、調整部材たる発泡ウレタンスポンジ268を介して変更可能であるため、像担持体201と現像ローラ266の位置調整を高精度に(±数50μmのオーダー)行なった後、攪拌ユニット261をラフに(±500μm程度)位置を調整して取り付ければよい。したがって製造工程の負担が減り、画像形成装置の小型化を達成することもできる。そして位置を確定した現像ローラケース267と攪拌ユニット261を接着剤等で固定する。
【0178】
また、上述したように、現像ローラ266は、その両端部の偏心カム266a、現像ローラシャフト266b、ポリスライダー266cを介して、現像ローラケース267に対し固定されている。現像ローラケース267と攪拌ユニット261との相対位置が変更可能であるので、製造工程において、像担持体201及び攪拌ユニット261を予め定められた部分に取り付け、その後、現像ローラケース267の位置を変更し、像担持体201との距離(相対位置)を設定することができる。
【0179】
現像ローラ266は、現像ローラケース267の作用を介して、像担持体201との位置関係が変更され、固定される。このような作用は、現像ローラ266と像担持体201との位置関係を規制する規制部材として機能する偏心カム266aにより達成される。偏心カム266aは、図20(b)〜(d)に示すようにスライド穴266d、位置変動吸収穴266eを有する。このスライド穴266dには、図3に示すように、第1のサブフレーム221、第2のサブフレーム222各々に形成された突起221f(図7参照)が挿入される。また、位置変動吸収穴266eは、図7に示した現像ローラ位置決め穴221b,222bよりその径が大きい。さらに当接面266fがスライド穴266dの外側に、スライド穴に略平行に形成され、当接面266fは図4に示すように、フレーム220に組み込まれた状態で像担持体201の両端の端部金具201aに当接している。外側中心線L1の交点は、当接面266fを基準とした場合の偏心カム266aの中心を示し、穴中心線L2の交点は、現像ローラ位置決め穴221b,222bの中心を示す。
【0180】
上記の構成にて、製造工程において現像ローラ262と像担持体201の距離を調整する場合、偏心カム266aを図20(b)のRx方向に回転させる。このとき、スライド穴266dには、突起221fが挿入された状態で、偏心カム266aはR方向に回転する。すると、外側中心線L1の交点と穴中心線L2の交点が異なることから、偏心カム266a、現像ローラシャフト266b、ひいては現像ローラ266及び現像ローラケース267が、像担持体201に対し接近または像担持体から離間することとなり、像担持体との距離(相対位置)の調整を行なうことができる。
【0181】
第一の攪拌部262a、第二の攪拌部262bの組合せにより、一つの現像ローラに対応する一つの攪拌部262が構成されるとして捉えた場合、図18に示すように、第一の攪拌部262a、第二の攪拌部262bは、収容する現像剤を攪拌するのに適合した円筒形の構成を有し、第一の攪拌部262aは現像ローラ266を挟んで像担持体201とは逆の位置に設けられ、第二の攪拌部262bと第一の攪拌部262aは、複数の現像ローラの配置方向(図18の水平方向)と略平行に接続されている。したがって、現像ローラの配置方向に対して垂直な方向(図18の上下方向)に関して、攪拌部を小型化することができる。
【0182】
図28に現像ユニット260の別実施形態を示す。本実施形態では、図18の例と異なり、攪拌部の一部(図18の例では第1の攪拌部262a)が複数の像担持体201が配置される方向の位置において、隣接する像担持体201の下部に延在する。図28の例では、例えば像担持体201Kの第一の攪拌部262aが、複数の像担持体が配置される方向の位置において、隣接する像担持体201Cの下部に延在する。この構成により、攪拌部262aは隣接する像担持体の下部に延在することにより、複数の像担持体201が配置される方向における領域を有効利用することができる。この構成は搬送路Pの下流側に何らかの構造物が配置された場合(例えば図1において、排紙トレイ40が印刷エンジンメインユニット200の側に迫ってくるような構成をとった場合)に、画像形成装置の全体レイアウトを変更するようなケースで有用となる。
【0183】
また、図18、図28の例では、第一の攪拌部262a(263a)、第二の攪拌部262b(263b)は略水平に取り付けられており、現像剤を攪拌する際に傾斜がなくなるため、現像剤の攪拌を容易に行うことができる。
【0184】
なお、本実施形態では現像ユニット260を像担持体201の下部に配置する構成に基づいて説明してきたが、これらの位置関係は変更しても構わない。例えば上述した構成の天地を入れ替え、複数の像担持体201の上部に現像ユニット260を配置してもよい。ただしこの場合には、攪拌部262から現像部である現像ローラ266への現像剤の供給を規制する規制手段の配置が必要である。また、上述の構成を90゜回転させた構成とすることも可能である。この場合は攪拌部262を構成する第一の攪拌部262aと第二の攪拌部262bが上下の関係となるから、一の攪拌部(例えば第一の攪拌部262a)で搬送される現像剤を他の攪拌部(例えば第二の攪拌部262b)に渡す部分(図21で現像剤がUターンされる部分)に搬送能力を確保する手段が必要となる。これは例えばUターン部分に磁石等を配置し、搬送される現像剤を上部の攪拌部に搬送するような構成とすることができる。更に、現像ユニット260と像担持体201の関係については、現像ユニット260の斜め下に複数の像担持体201を配置するように構成してもよい。
【0185】
また、本実施形態の画像形成装置1を別の観点から把握すると、現像ユニット260と図8〜図12の露光ユニット240との関係に注目した場合、露光ユニット260の支持部材241が、現像ローラ266と攪拌部262(攪拌ユニット261)との間に取り付けられると把握される。すなわち、図18、図28のように、露光ユニット240を構成する支持部材241には点線Hの部分に示したように、各現像ローラ266、ローラケース267に対応して、現像ユニット260が貫通するための貫通穴が設けられている。この構成により、発光素子列242を支持する支持部材241が、現像ローラ266と攪拌部262との間に設けられることとなり、攪拌部は、像担持体201に対して露光する露光ユニット240の位置を考慮せずに配置することが可能となり、画像形成装置1を小型化することができる。尚、この貫通穴は、図8〜図12では省略されている。
【0186】
さらに本実施形態においては、現像ローラ266に付着する現像剤の量を調整する現像ブレード248が支持部材241に固定されている(図8〜図12では省略)。現像ブレード248は通常SUS等で構成される金属板を所定の角度に折り曲げて構成され、支持部材241の主平面241bに接着剤、ビス等を用いて固定されている。この構成により、余計な部材を用いず露光ユニット240の支持部材241を利用して現像ブレード248を固定することができる。
【0187】
尚、現像ブレード248を支持部材241ではなく、位置決め部材としての第1のサブフレーム221、第2のサブフレーム222にも固定してもよい。すなわち、図7において、サブフレーム221の下端に形成された現像ブレード挿入口221gから現像ブレード248を挿入し、現像ブレード挿入口221gに隣接して形成された現像ブレード取付ビス穴221hにビスを挿入し、現像ブレードが固定される。図示はしていないがビス穴によって固定される現像ブレードには、現像ブレード取付ビス穴221hに対応する位置に取付穴248aが設けられ(図26参照)、この取付穴248aは、現像ブレード248の取付位置を調整するために、若干大きめに設定されている。
【0188】
上述の実施形態の組み立て時においては、通常、現像ブレード248を第1のサブフレーム221、第2のサブフレーム222に仮止めしておき、調整工程で現像ブレード248の位置を合わせこみ、その後に本締め、接着剤で最終的に固定する。現像ブレード248を支持部材241に固定する形態の場合も同じ工程を経て固定される。図26では図示の便宜のため、攪拌ユニット261の上のサブフレームや露光ユニットは省略されている
【0189】
なお、現像ブレード248を攪拌ユニット261の上カバー261b上に設けるように構成してもよい。この場合は現像ユニット260の製造工程の中に現像ブレード248の取付け工程が設けられることとなるので、サブシステム化の観点で機能分担がより明確となり、製造工程における品質マネジメントの点で有利となる。
【0190】
更に本実施形態の現像ユニットには、攪拌部262に収容される現像剤の濃度を検出する濃度検出センサ265(265Y〜265K)が更に設けられている。図18、図27(b)に示すように、濃度検出センサ265は攪拌部の底部に取り付けられており、図21のB部に相当する。すなわち、濃度検出センサ265は、仕切り壁261eによって現像剤導入口261c(図23)の経路とは仕切られた別の経路に位置しており、トナーとキャリアが十分混合された状態下で濃度を測定することができる。また、別経路であっても現像剤導入口261cの近くにあるため、補給すべき現像剤量の精度を向上させることができる。
【0191】
図29に示すように、濃度検出センサ265は攪拌部の底部に取り付けられる突起形状の現像剤混合比検出部265aを有する。現像剤混合比検出部265aは、攪拌部の搬送路内のキャリアとトナーの混合比(濃度)を検出する、キャリア量が多い場合は出力電圧が大きくなり、キャリア量が少ない場合は出力電圧が小さくなる(図29(b)参照)。
【0192】
この構成により、攪拌部に収容される現像剤の濃度を検出することができるので、例えば攪拌部に収容されるトナーの量が減少したときに、トナーを適切に供給することが可能となり、質の高い画像形成を行うことができる。さらに、濃度検出センサ265は攪拌部底部に取り付けられており、濃度検出センサ265を設置することによる現像ユニットの大型化を抑制することができる。
【0193】
尚、上述の例では、現像部として現像ローラ266を用いた例を示した。しかしながらこのような構成では、攪拌部と現像ローラが相当程度に離間した場合、現像ローラに十分な現像剤を供給できない事態が懸念される。このような場合、現像ローラ266の代わりにベルトを介して現像剤を像担持体201に供給しても良く、このような構成を現像部に適用することも可能である。したがって、現像部の構成としては像担持体201に現像剤を適切に供給できるものであればよく、現像ローラには限定されない。
【0194】
(転写ユニットの説明)
次に図30、図31を用いて転写ユニット280を説明する。図1においても説明したように、転写ユニット280は、像担持体201上のトナー像を転写材たる記録紙Rに転写させる役割を果たす。転写ユニット280は、図18等にも示されているように、記録紙Rの搬送路P上に設けられている。尚、転写ユニット280の下面に搬送ガイド206が取り付けられ、転写材押さえローラ224とともに、搬送路Pを画定している。
【0195】
転写ユニット280は、転写フレーム281、ワイヤガイド283、転写ワイヤ282を有する。転写フレーム281の両端部にワイヤガイド283(283a,283b)が取り付けられ、例えばタングステンなどで構成された単一の転写ワイヤ282が、ワイヤガイド283に回転可能に取り付けられたワイヤコロ284に巻きつけられながら、転写フレーム281の平面内内側に張り巡らされている。ワイヤコロ284には高さ調整ボス287が設けられ、このボスを操作することのより、ワイヤの高さ(ワイヤと像担持体の距離)を調整することが可能である。したがって、製造工程において転写ユニット280の像担持体に対する作用を簡易に調整することができる。
【0196】
また、転写ワイヤ282の端部には、コントローラ50から供給される高圧電位である転写バイアスを転写ワイヤ282に接続する高圧端子286、テンションバネ285が取り付けられている。テンションバネ285が引っ張られた状態で、高圧端子286が転写フレーム281の外側に止められることにより、転写ワイヤ282には所定の張力が付与されている。
【0197】
本実施形態の転写方式はいわゆるコロトロン方式とよばれるものであり、転写ワイヤ282からコロナ放電を行い、感光体201上に形成されたトナー像を、記録紙Rに転写させるものである。各像担持体201Y〜201Kに個別に対応して放電がなされるべきであり、放電により形成される電界が隣接した像担持体における転写に影響を与えることを防止する必要がある。このため、仕切り板281aが転写フレーム281に形成されており、各像担持体の転写位置を含む空間を仕切っている。図14では、転写位置PT1と対応するワイヤ282の部分を含む空間と、転写位置PT2と対応するワイヤ282の部分を含む空間が、仕切り板281aにより仕切られており、一方のワイヤの部分が他方の転写位置へ与える影響が抑制される。
【0198】
図31は、転写ユニット280に記録紙Rの吸着機能を持たせた例を示す。転写ユニット280の直上に吸気ファン271が吸気ダクト272を介して配置されている。吸気ファン271が作動すると、吸気ダクト272の吸気穴272aを介して搬送路Pを通過する記録紙Rに吸着力が作用し、記録紙Rは、搬送ガイド206側に負圧を付与された状態で、搬送路Pを通過する。このような作用により、転写材押さえローラ224がない場合において、記録紙Rのたわみ量を事実上ゼロにすることができ、転写位置ずれを防止することが可能となる。
【0199】
(露光ユニットの除電機能の説明)
最後に、図32を用いて、本実施形態の露光ユニット240の応用例を説明する。露光ユニット240の構成は既述しているが、本実施形態では、露光ユニット240に像担持体201の余計な帯電を除くための除電器の機能を付加した例、特に図19に示した形態とは異なる実施形態を説明する。
【0200】
既述した露光ユニット240の発光素子列242の発光素子244は、露光ユニット240の本来の役割である露光、すなわち像担持体201上に静電潜像を形成する露光用発光素子244として使用されるものである。この構成に加え、本実施形態では、露光用発光素子244が形成された基板245と同一の基板245上に、像担持体201の電荷を除電する除電用発光素子244aを設けることとしている。この構成により、同一基板に露光用発光素子と共に除電用発光素子が設けられ、画像形成装置1に取り付けられる部品点数及びコストを削減し、画像形成装置1の小型化を図ることができる。
【0201】
特に本実施形態では、露光用発光素子および除電用発光素子は有機ELによって構成されており、基板上に駆動回路と有機EL素子を一体として形成できるため、構造、製造工程がシンプルであり、小型化、低コスト化を図ることができる。発光素子をLEDで構成した場合も同様の効果が期待できる。
【0202】
図32(b)に示すように、除電用発光素子244aは、基板245上に形成された発光素子列242の両端、さらには発光素子列242の延長線上、すなわち露光用発光素子244の配列方向の延長線上に配置されている。そして、本実施形態では、除電用発光素子244aが発光した光を各像担持体へ導くために、導光体205を使用している。導光体205は、アクリル樹脂(光透過性樹脂)やガラス等の透明材料、透光性材料により形成されており、除電用発光素子244aから出射される光を所定位置に導くものである。この構成により、露光用発光素子244と除電用発光素子244aは、基板245上の同じ配列方向で配置すればよく、一連の有機EL素子製造プロセスにおいて、例えば電極を形成するためのフォトマスクに、除電用発光素子244aに対応する領域を設けるだけで、露光用発光素子と同時に形成することができる。このため除電用発光素子244aの製造コストは実質的にゼロである。また、画像形成装置に取り付けられる部品点数及びコストを削減し、画像形成装置の小型化を図ることができる。
【0203】
図19(b)、図32(b)に示すように、除電用発光素子244aが発光した除電光は光路OP2を進行し、導光体205の一部から構成された現像ローラケース267の第1の光出射口267a、第2の光出射口267bから出射される。第1の光出射口267aからは、トナー像の記録紙Rへの転写前の除電光が出射され(図1の除電器1に相当)、第2の光出射口267bからは、像担持体201のブラシクリーナ204によるクリーニング後の除電光が出射される(図1の除電器3に相当)。すなわち、導光体205は、除電用発光素子244aが発光した光を、像担持体201の複数の異なる部分へ導く役割を果たす。この構成により、像担持体201は、複数の異なる部分で除電されるので、独立した除電器が不要となり、画像形成装置をより小さく構成することが可能となる。
【0204】
詳述すると、複数の像担持体201Y〜201Kの各々の周囲には、帯電器としての帯電ローラ203、露光ユニット240、現像ユニット260、及び転写ユニット280が設けられている。そして、導光体205は、除電用発光素子244aから出射された光を、複数の像担持体について、現像ユニット260と転写ユニット280との間へ第1の光出射口267aより、及び、転写ユニット280と帯電ローラ203との間へ第2の光出射口267bより導く。したがって、複数の像担持体を有してカラー画像を形成するタンデム式の画像形成装置においても、画像形成装置に取り付けられる部品点数及びコストを削減し、画像形成装置の小型化を図ることができる。
【0205】
特に本実施形態においては導光体205は一体の部材により構成され、当該一体の部材のみで除電用発光素子244aが発光した光を、複数の像担持体201Y〜201Kの各々へ導く構成を採っている。この構成により、複数の像担持体に対して除電用発光素子244aからの光を出射する導光体205が一つの部品で実現されるので、画像形成装置に取り付けられる部品点数及びコストを削減し、画像形成装置の小型化を図ることができる。
【0206】
なお、基板245上には、図32(b)に図示する2箇所の近傍に複数の除電用発光素子244aを設けてもよい。そしてこれらの除電用発光素子244aを異なる電極に対応させ、外部から選択的にON/OFFを制御可能に構成することが望ましい。既に述べたように基板245にはTFT回路が形成されているから、このような選択的なスイッチング回路は簡単に構成することが可能である。除電工程は像担持体である感光体を光暴露して表面電位を一律に減衰させることが目的であるから、除電用発光素子244aには極めて大きな発光光量が求められる。しかしながら、有機EL素子は大きな光量で発光させると、経時的に発光効率が低下し、発光輝度が低下することが知られている。従って上述したように、基板245上に予め複数の除電用発光素子244aを用意しておき、例えばコントローラ50(図1)によって計測した累積発光時間に基づいて除電用発光素子244aを切り替えて使用することで、常に必要な光量を確保することが可能となる。また導光体205の一部にフォトダイオード等で構成されるフォトセンサ(図示せず)を設けておき、フォトセンサの出力に応じて、除電用発光素子244aを切り替えたり、除電用発光素子244aを駆動する駆動電流を制御するようにしてもよい。
【0207】
なお導光体205は、除電用発光素子244aから出射された光を効率よく伝播する必要がある。図示するように導光体205は比較的複雑な形状を有することから、単独の材料のみで構成した場合は光伝送効率の点で課題がある。そこで、導光体205を所定の硝材で構成しておき、これをイオン交換によって外面に向かうほど光の屈折率が低くなるようにするとよい。これによって導光体205中を伝播する光は導光体205の内部の屈折率差によって、いわゆる全反射に類似するモードで伝播するようになり、極めて高い伝送効率を確保することが可能となる。
【0208】
また、第1の光出射口267a、第2の光出射口267b(いずれも図19参照)を除いて、導光体205の全体に対して内面ミラー加工を施すようにしてもよい。この場合、光は鏡面反射によって導光体205の内部を伝播するため、伝送効率は落ちるが、低コストで加工できるというメリットがある。
【0209】
また、除電用発光素子244aの近傍、またはその他の部分に、画像形成装置1の表示部60(図2)の光源(液晶表示装置ではバックライト光源、あるいは画像形成装置のステータスを示すインジケータとしての光源)となる表示用発光素子を設けることもできる。この構成により、露光用発光素子と同一基板に除電用発光素子244aのみならず表示用発光素子も設けられるので、画像形成装置の小型化を図ることができる。この際、別の導光体を用いて表示用発光素子が発光した光を表示部60へ導いてもよい。この構成により、更なる部品点数及びコストの削減、画像形成装置の小型化を図ることができる。
【0210】
本発明の各種実施形態を説明したが、本発明は前記実施形態において示された事項に限定されず、明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者がその変更・応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0211】
以上のように本発明にかかる露光ユニットによれば、発光部を支持する支持部材の数を減らすとともに、発光部の取り付け精度を向上させることが可能となる。また、画像形成装置の製造の容易化、小型化を図ることが可能となる。
【0212】
よって、本発明にかかる露光ユニットは、電子写真プロセスを用いた複写機、MFP(マルチファンクションプリンタ)、プリンタ、ファクシミリ装置等に応用可能である。更に有機EL素子はRGB三原色が極めて容易に得られることから、印画紙を直接露光するタイプの商用フォトプリンタ、民生用フォトプリンタなどへの応用が考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0213】
【図1】画像形成装置の作用を示す概念図
【図2】本発明の一実施形態の画像形成装置の断面図
【図3】印刷エンジンメインユニットの斜視図
【図4】(a)は、印刷エンジンメインユニットの転写ユニットを取り外した状態の斜視図であり、(b)は同状態の正面図であり、(c)は同状態の側面図
【図5】印刷エンジンメインユニットの断面図
【図6】幅方向中央で切断した印刷エンジンメインユニットの斜視図
【図7】印刷エンジンメインユニットのフレームの斜視図
【図8】(a)は露光ユニットの斜視図であり、(b)は(a)の露光ユニットの断面図
【図9】露光ユニットの支持部材に発光素子基板を取り付ける際の基板の位置決め方法を説明する図
【図10】(a)は露光ユニットの正面図を用いて、露光ユニットの支持部材に発光素子基板を取り付ける際の基板の位置決め方法を説明する図であり、(b)は(a)の露光ユニットの断面図を用いた説明図
【図11】(a)は露光ユニットの他の実施形態の斜視図であり、(b)は(a)の露光ユニットの断面図
【図12】(a)は露光ユニットのさらに他の実施形態の斜視図であり、(b)は(a)の露光ユニットの上部部分の拡大図であり、(c)は(a)の露光ユニットの正面図であり、(d)は(c)の露光ユニットのA−A線に沿った断面図
【図13】記録紙のたわみにともなう転写位置ずれの発生を説明する概念図
【図14】本発明の一実施形態の画像形成装置の搬送機構の概念図
【図15】(a)は定着器前ガイドの全体斜視図であり、(b)は図7の点線A部分の拡大図
【図16】レジストローラの外周速度の周期変動を示す図
【図17】レジストローラの外周受け構造を示す図であり、(a)は軸受けが装着されたレジストローラの端部の拡大図であり、(b)は軸受けの斜視図
【図18】印刷エンジンメインユニットにおける現像ユニットを特に示した側面図
【図19】(a)は現像ローラ、現像ローラケースの斜視図であり、(b)は断面図
【図20】現像ローラ端部の規制部材として機能する偏心カム等の説明図
【図21】現像ユニットの攪拌湯ユニットの下カバーおよび内部に収納された搬送スクリューを示す斜視図
【図22】搬送スクリューの斜視図
【図23】図21の状態に上カバーを取り付けることにより、完成した攪拌ユニットの斜視図
【図24】現像ユニットにおいて、上部の現像ローラケースと下部の攪拌ユニットを互いに取り付け、または分離する状態を示す側面図
【図25】現像ユニットにおいて、上部の現像ローラケースと下部の攪拌ユニットを互いに取り付け、または分離する状態を示す斜視図
【図26】完成した現像ユニットの斜視図
【図27】(a)は図26のC−C線に沿った現像ユニットの断面図であり、(b)は完成した現像ユニットの底面図
【図28】現像ユニットの別実施形態の側面図
【図29】(a)濃度検出センサの斜視図であり、(b)は印刷エンジン動作時間と濃度検出センサ出力の関係を示すグラフ
【図30】(a)は転写ユニットの斜視図であり、(b)は転写ユニットの端部の裏面図、断面図
【図31】(a)は吸気ファンを有する転写ユニットの斜視図であり、(b)は当該転写ユニットの断面図であり、(c)は転写ユニットの裏面図
【図32】(a)は導光体を有する露光ユニットの斜視図であり、(b)は(a)のA−A線に沿った断面図
【図33】画像形成位置ずれの説明図
【符号の説明】
【0214】
1 画像形成装置
10 筐体
20 用紙カセット
30 本体フレーム
40 排紙トレイ
50 コントローラ
60 表示部
70 カートリッジ
100 印刷エンジン
110 給紙ローラ
130 定着器
131 プレッシャローラ
132 加熱ローラ
140 排出ローラ
200 印刷エンジンメインユニット
201 像担持体
202 レジストローラ
203 帯電ローラ
204 ブラシクリーナ
205 導光体
206 搬送ガイド
220 フレーム
221 第1のサブフレーム
222 第2のサブフレーム
223 定着器前ガイド
224 転写材押さえローラ
240 露光ユニット
241 支持部材
242 発光素子列
243 ビス
244 発光素子
245 基板
246 封止ガラス
247 結象レンズ
248 現像ブレード
260 現像ユニット
261 攪拌ユニット
262 攪拌部
263 搬送スクリュー
264 駆動ギヤ
265 濃度検出センサ
266 現像ローラ
267 現像ローラケース
268 発泡ウレタンスポンジ
269 本体取付プレート
271 吸気ファン
272 吸気ダクト
280 転写ユニット
281 転写フレーム
282 転写ワイヤ
283 ワイヤガイド
284 ワイヤコロ
285 テンションバネ
286 高圧端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の像担持体を有する画像形成ユニットに設けられ、前記像担持体の各々を露光する複数の発光部を具備する露光ユニットであって、
前記複数の発光部を支持した支持部材を、前記複数の発光部の各々が対応する前記像担持体を露光するように、前記画像形成ユニットに取り付け可能に構成した露光ユニット。
【請求項2】
請求項1記載の露光ユニットであって、
前記支持部材が、単一の成形部材により構成された露光ユニット。
【請求項3】
請求項1記載の露光ユニットであって、
前記支持部材が、板状の金属板金である露光ユニット。
【請求項4】
請求項1記載の露光ユニットであって、
前記支持部材を構成する材料の熱膨張係数が11.8×10-6/℃以下である露光ユニット。
【請求項5】
請求項1記載の露光ユニットであって、
前記複数の発光部の各々が、互いに独立した複数の基板上に形成され、当該複数の基板が前記支持部材上に固定された露光ユニット。
【請求項6】
請求項5記載の露光ユニットであって、
前記複数の基板のうち一つの基板の前記支持部材への取り付け位置を基準に、他の基板の前記支持部材への取り付け位置が決定された露光ユニット。
【請求項7】
請求項6記載の露光ユニットであって、
前記複数の発光部の各々に対応するように、前記支持部材に取り付けられた結像レンズを更に備え、
前記結像レンズ通過後の前記発光部の光の結像位置を基準に、前記他の基板の前記支持部材への取り付け位置が決定された露光ユニット。
【請求項8】
請求項5記載の露光ユニットであって、
前記複数の基板を前記支持部材の同一面上に固定した露光ユニット。
【請求項9】
請求項1記載の露光ユニットであって、
少なくとも二つの前記発光部が、単一の基板上に形成され、当該基板が前記支持部材上に固定された露光ユニット。
【請求項10】
請求項9記載の露光ユニットであって、
総ての発光部が、単一の基板上に形成された露光ユニット。
【請求項11】
請求項5から10のいずれか1項記載の露光ユニットであって、
前記基板の光取出し面を前記支持部材に接触させて固定した露光ユニット。
【請求項12】
請求項5から8のいずれか1項記載の露光ユニットであって、
前記基板の光取り出し面の少なくとも長手方向の一辺を、略全長にわたって前記支持部材に接触させて固定した露光ユニット。
【請求項13】
請求項1記載の露光ユニットであって、
前記支持部材は前記複数の発光部の各々に対応する位置に折り曲げ部を有し、この折り曲げ部に結像レンズを更に備える露光ユニット。
【請求項14】
請求項13記載の露光ユニットであって、
前記結像レンズによる光伝送方向は総て同じである露光ユニット。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか1項記載の露光ユニットであって、
前記発光部は発光素子を列状に配置した発光素子列で構成され、当該発光素子列を構成する発光素子が発光ダイオードである露光ユニット。
【請求項16】
請求項1から14のいずれか1項記載の露光ユニットであって、
前記発光部は発光素子を列状に配置した発光素子列で構成され、当該発光素子列を構成する発光素子が有機エレクトロルミネッセンス素子である露光ユニット。
【請求項17】
前記複数の像担持体と、請求項1から16のいずれか1項記載の露光ユニットを含む画像形成ユニット。
【請求項18】
請求項17記載の画像形成ユニットであって、
前記複数の発光部が、前記支持部材から見て前記像担持体と同じ側に配置された画像形成ユニット。
【請求項19】
請求項17記載の画像形成ユニットであって、
前記複数の発光部が、前記支持部材から見て前記像担持体の反対側に配置された画像形成ユニット。
【請求項20】
請求項17記載の画像形成ユニットであって、
前記露光ユニットが、前記複数の像担持体に対し相対的に位置調整可能な状態で前記画像形成ユニットに取り付けられた画像形成ユニット。
【請求項21】
請求項17記載の画像形成ユニットであって、
前記像担持体に色材を供給して、前記像担持体上に形成された潜像を現像する現像ローラと、
前記現像ローラへ供給される色材を攪拌混合する攪拌部と、を更に備え、
前記支持部材が、前記現像ローラと前記攪拌部との間に取り付けられる画像形成ユニット。
【請求項22】
請求項21記載の画像形成ユニットであって、
前記現像ローラ及び前記攪拌部を複数組備え、各組が前記複数の像担持体の各々に対応した画像形成ユニット。
【請求項23】
請求項22記載の画像形成ユニットであって、
前記複数の攪拌部の各々が、異なる色の現像剤を収容する画像形成ユニット。
【請求項24】
複数の像担持体を有する画像形成ユニットに取り付けられ、当該像担持体に光を照射可能な露光ユニットであって、
単一の成形部材により構成された支持部材と、
発光部を備え、前記支持部材上に略一体的に固定された基板と、
を備える露光ユニット。
【請求項25】
請求項24記載の露光ユニットであって、
互いに独立した複数の基板を備え、
複数の発光部の各々が、前記複数の基板の各々に形成された露光ユニット。
【請求項26】
請求項24記載の露光ユニットであって、
少なくとも二つの前記発光部が、単一の基板上に形成された露光ユニット。
【請求項27】
請求項26記載の露光ユニットであって、
総ての発光部が、前記単一の基板上に形成された露光ユニット。
【請求項28】
請求項24から27のいずれか1項記載の露光ユニットであって、
前記基板の光取出し面を前記支持部材に接触させて固定した露光ユニット。
【請求項29】
請求項24から27のいずれか1項記載の露光ユニットであって、
前記基板の光取出し面の少なくとも長手方向の一辺を、略全長にわたって前記支持部材に接触させて固定した露光ユニット。
【請求項30】
請求項24から27のいずれか1項記載の露光ユニットであって、
前記発光部を複数の発光素子を列状に配置した発光素子列で構成した露光ユニット。
【請求項31】
前記複数の像担持体と、請求項24から30のいずれか1項記載の露光ユニットを含む画像形成ユニット。
【請求項32】
請求項31記載の画像形成ユニットであって、
前記露光ユニットが、前記複数の像担持体に対し相対的に位置調整可能な状態で前記画像形成ユニットの本体に取り付けられた画像形成ユニット。
【請求項33】
請求項17から23、請求項31、32のいずれか1項記載の画像形成ユニットを具備する画像形成装置。
【請求項34】
請求項1から16、24から30のいずれか1項記載の露光ユニットを設けた画像形成ユニットを具備する画像形成装置。
【請求項35】
請求項33または請求項34に記載の画像形成装置であって、
前記画像形成ユニットは一体として、前記画像形成装置に取り付けるように構成した画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【公開番号】特開2008−68450(P2008−68450A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−247156(P2006−247156)
【出願日】平成18年9月12日(2006.9.12)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】