露光装置
【課題】複数枚の個別基板となる領域が形成された基板を露光する際に、短い露光タクトで高精度且つ高解像度の露光を行うことができる露光装置を提供する。
【解決手段】露光装置1には、光源11とマスク12とを透過した露光光が入射され、正立等倍像を基板上に結像させる複数個のマイクロレンズが所定の規則性をもって配置されたマイクロレンズアレイ13が設けられている。そして、基板2が所定位置に到達したときに、光源11からパルス的にレーザ光を照射して、基板を順次露光し、基板の露光対象領域の全域が露光された後、マイクロレンズアレイ13とマスク12との相対的な位置関係を、マイクロレンズ131の行ピッチだけ、列方向に順次切り替えて、次順の露光を行う。
【解決手段】露光装置1には、光源11とマスク12とを透過した露光光が入射され、正立等倍像を基板上に結像させる複数個のマイクロレンズが所定の規則性をもって配置されたマイクロレンズアレイ13が設けられている。そして、基板2が所定位置に到達したときに、光源11からパルス的にレーザ光を照射して、基板を順次露光し、基板の露光対象領域の全域が露光された後、マイクロレンズアレイ13とマスク12との相対的な位置関係を、マイクロレンズ131の行ピッチだけ、列方向に順次切り替えて、次順の露光を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話用の液晶ディスプレイパネル等に使用されるガラス基板等を露光する露光装置に関し、特に、個別基板となる領域が複数形成された基板を1方向に移動させながら、1又は複数の個別基板となる領域ごとに露光光を照射して一括露光するステッパ方式の露光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、大型液晶ディスプレイパネル等に使用される例えばガラス基板等の露光には、レンズスキャニング方式、ミラープロジェクション方式及びプロキシミティ方式等の露光装置が使用されている。そして、大型のマスク上に形成されたパターンの透過光を、複数の投影光学系(マルチレンズ)に入射させて基板上に分割して結像させ、一度の露光により、基板上の複数の領域を露光することが行われている。このような露光方法は、3μm以上の解像力を必要とする基板の露光に採用されている。
【0003】
しかしながら、例えば携帯電話用の液晶ディスプレイパネル等に使用されるガラス基板等、使用される基板が小さい場合においては、2μm以下と高い解像力が必要とされるため、上記のようなマルチレンズを使用した露光方法を採用することができない。よって、半導体用基板等の露光に使用されるステッパ方式の露光装置が使用されている(例えば、特許文献1及び2)。
【0004】
ステッパ方式の露光装置においては、マスクに形成された各パターンの透過光は、縮小光学系に透過された後に、基板に照射される。従来、携帯電話用の液晶ディスプレイパネル等に使用されるガラス基板は、例えば1.5m角の大型の基板から製造され、露光の際には、1又は複数枚の個別のガラス基板となる領域ごとに複数回露光される。そして、複数回の露光により個別基板となる領域の全てが露光された基板は、後の工程において、分割されて、複数枚のガラス基板が製造される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−235515号公報
【特許文献2】国際公開第2005/038518号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来技術においては、以下のような問題点がある。即ち、ステッパ方式の露光装置においては、パターンの透過光は、縮小光学系に透過されて基板に照射される。よって、露光光の1回の照射(1ショット)で露光できる範囲は例えば130乃至150mm四方程度まで狭くなる。よって、1.5m角の基板の個別基板となる複数の領域の全面を露光するためには、上記狭い範囲の露光を例えば30回以上繰り返す必要があり、露光タクトが長期化するという問題点がある。
【0007】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、複数枚の個別基板となる領域が形成された基板を露光する際に、短い露光タクトで高精度且つ高解像度の露光を行うことができる露光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る露光装置は、パルス的にレーザ光を発光する光源と、露光パターンが形成されたマスクと、正立等倍像を基板上に結像させる複数個のマイクロレンズが行方向の第1方向に整列し列方向の第2方向に所定の行ピッチで複数行設けられたマイクロレンズアレイと、前記光源からのレーザ光を前記マスクを通して前記マイクロレンズアレイに導く光学系と、前記基板を前記第2方向に移動させる駆動装置と、前記マイクロレンズアレイと前記マスクとの相対的な位置関係を前記マイクロレンズの前記行ピッチだけ前記第2方向に順次切り替える切替装置と、前記駆動装置による前記基板の移動と前記切替装置による前記マイクロレンズアレイと前記マスクとの相対的位置関係の切替と前記レーザ光の照射タイミングとを制御する制御装置とを有することを特徴とする。
【0009】
上述の露光装置において、例えば前記マイクロレンズアレイは、1回の前記レーザ光の照射で、マイクロレンズの数に応じた複数個の矩形の領域を露光するものであり、前記矩形の領域は、碁盤目状の位置に第1方向に相互間に間隔をおいて第1方向に所定の列ピッチで配置され、第1行の前記領域の配置位置は、前記第1方向に、1又は複数個の位置を隔てて、所定の列ピッチで配置され、前記第1行に対して第2方向に隣接する第2行の前記領域は、前記第1行の領域の前記間隔の位置に対応する位置に、前記第1方向に、前記列ピッチをおいて配置され、更に、前記第2行に対して第2方向に隣接する第3行の前記領域は、前記第1行及び前記第2行に共通する間隔の位置がある場合はその位置に対応する位置に、前記共通する間隔の位置がない場合は前記第1行の前記領域に対応する位置に、前記第1方向に、前記列ピッチをおいて配置され、以下同様にして各行に対して、前段の全ての行に共通する領域間の間隔が無くなるまで前記第1方向の配置位置をずらせて後段の行の領域が配置され、全ての行に共通する領域間の間隔がなくなったときに、第1方向に関し第1行と同一の配置位置に前記領域が配置されて再度順次複数行の前記領域が配置される。
【0010】
前記マイクロレンズアレイは、例えば、前記複数個のマイクロレンズが行方向の第1方向に整列し列方向の第2方向に所定の行ピッチで複数行設けられた4枚のマイクロレンズアレイ単体と、遮光性の材料からなり複数個の矩形の光透過部が前記マイクロレンズの位置に対応するように設けられた遮光部材と、を有し、前記遮光部材が2枚のマイクロレンズアレイ単体と2枚のマイクロレンズアレイ単体との間の倒立等倍像の結像位置に配置され、各マイクロレンズと光透過部とが光軸を同一にして配置されている。
【0011】
例えば、前記制御装置は、前記マイクロレンズアレイと前記マスクとの相対的位置関係を維持したまま、前記基板を第2方向の正方向に移動させて前記基板の露光対象領域全体を露光した後、前記切替装置により前記マイクロレンズアレイと前記マスクとの相対的な位置関係を第2方向に前記行ピッチだけずらせて切り替えた後、前記基板を第2方向の逆方向に移動させて前記基板の露光対象領域全体を露光し、更に、前記切替装置により前記マイクロレンズアレイと前記マスクとの相対的な位置関係を第2方向に前記行ピッチだけずらせて切り替えた後、前記基板を第2方向の正方向に移動させて前記基板の露光対象領域全体を露光するという工程を繰り返して、前記基板の露光対象領域全体に前記マスクの露光パターンを転写する。
【0012】
例えば、前記マスクには、前記第2方向に前記行ピッチでマスク位置のマスク指標が複数個設けられており、前記マイクロレンズアレイには、前記マスク指標を利用して前記マスクとの相対的位置合わせに使用される指標検出用マイクロレンズが設けられており、前記露光装置は、前記マスク位置の前記マスク指標を検出する第1の検出部を有し、前記切替装置は、先ず、前記指標検出用マイクロレンズにより前記マスクの第1のマスク指標を検出した状態で、前記マスクと前記マイクロレンズアレイとの位置関係を固定し、この状態で前記制御装置が前記基板を前記マイクロレンズアレイに対して第2方向の正方向に移動させ、次に、前記指標検出用マイクロレンズにより前記マスクにおける前記第1のマスク指標より第2方向に行ピッチだけずれた第2のマスク指標を検出するように、前記マイクロレンズアレイと前記マスクとの位置関係を切り替えた後、その位置関係を固定し、この状態で前記制御装置が前記基板を前記マイクロレンズアレイに対して第2方向の逆方向に移動させ、更に、前記指標検出用マイクロレンズにより前記マスクにおける前記第2のマスク指標より第2方向に行ピッチだけずれた第3のマスク指標を検出するように、前記マイクロレンズアレイと前記マスクとの位置関係を切り替えた後、その位置関係を固定し、この状態で前記制御装置が前記基板を前記マイクロレンズアレイに対して第2方向の正方向に移動させるという工程を繰り返して、前記基板の露光対象領域全体に前記マスクの露光パターンを転写する。
【0013】
例えば、前記基板には、採取すべき個別基板に対応する個別露光領域が、第2方向に配置されており、前記個別露光領域間には、基板位置を検出するための基板指標が設けられており、前記露光装置は、前記基板指標を検出して前記基板の第2方向の位置を検出する第2の検出部を有し、前記制御装置は、前記第2の検出部による基板位置の検出タイミングで、前記光源からレーザ光を出射してパルス露光するように構成することができる。
【0014】
この場合に、前記制御装置は、前記駆動装置を介して、前記基板を前記第2方向に一定の速度で移動させ、前記第2の検出部により前記基板指標を検出した時に、前記光源からレーザ光を出射してパルス露光するように制御することができる。
【0015】
又は、前記制御装置は、前記駆動装置を介して、前記基板をレーザ光の照射時の低速移動時と、非露光時の高速移動時と、前記低速移動時と前記高速移動時との加減速時とを繰り返すように前記基板の移動を制御し、前記低速移動時又は前記加減速時の前記低速移動時の近傍の期間であって、前記第2の検出部が前記基板指標を検出可能な期間の特定の時点で、前記光源からレーザ光を出射してパルス露光するように制御することができる。
【0016】
更に、前記第1方向における前記マスクの位置を検出する第3の検出部と、前記第1方向における前記基板の位置を検出する第4の検出部と、前記第3の検出部及び前記第4の検出部による検出結果に基づいて、前記第1方向における前記マスクの位置が前記基板に対して所定の位置からずれている場合に、前記第1方向における前記マスク及び前記マイクロレンズアレイの位置を補正するマスク位置制御装置と、を有するように構成することもできる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、マイクロレンズアレイによりマスクの露光パターンを正立等倍像で基板表面に露光し、このとき、基板を移動させつつパルス状の露光を繰り返すことにより、基板の全ての露光対象領域を露光し、その後、マイクロレンズアレイとマスクとの位置関係を行ピッチだけずらせて、基板を移動させつつ前記マスクの露光パターンの別の領域を露光する。このようにして、マイクロレンズアレイとマスクとを行ピッチだけずらして露光領域の全域を露光していくことにより、マスクの露光パターンの全域を基板に露光して転写することができる。マイクロレンズアレイの解像力は高いので、ステッパを使用することなく、高解像力の画像を、短い露光タクトで、基板に露光することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】(a)は本発明の実施形態に係る露光装置において、光源、マスク及びマイクロレンズアレイの配置を示す側面図、(b)は基板を示す平面図である。
【図2】(a)は、本発明の実施形態に係る露光装置のマスクを示す平面図、(b)は同じくマイクロレンズアレイを示す平面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る露光装置の構成を示すブロック図である。
【図4】(a)、(b)はマイクロレンズの配置を一例として示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係る露光装置において、基板に第1の露光領域を形成する際のマスクとマイクロレンズアレイとの位置関係を示す図である。
【図6】(a)は本発明の実施形態に係る露光装置において、第1の露光領域の形成工程を示す側面図、(b)は基板に形成された露光領域を1枚の個別基板となる領域について示す図である。
【図7】本発明の実施形態に係る露光装置において、基板に第2の露光領域を形成する際のマスクとマイクロレンズアレイとの位置関係を示す図である。
【図8】(a)は本発明の実施形態に係る露光装置において、第2の露光領域の形成工程を示す側面図、(b)は基板に形成された露光領域を1枚の個別基板となる領域について示す図である。
【図9】本発明の実施形態に係る露光装置において、基板に第3の露光領域を形成する際のマスクとマイクロレンズアレイとの位置関係を示す図である。
【図10】(a)は本発明の実施形態に係る露光装置において、第3の露光領域の形成工程を示す側面図、(b)は基板に形成された露光領域を1枚の個別基板となる領域について示す図である。
【図11】本発明の実施形態に係る露光装置において、基板に第4の露光領域を形成する際のマスクとマイクロレンズアレイとの位置関係を示す図である。
【図12】(a)は本発明の実施形態に係る露光装置において、第4の露光領域の形成工程を示す側面図、(b)は基板に形成された露光領域を1枚の個別基板となる領域について示す図である。
【図13】本発明の第2実施形態に係る露光装置において、ステージの移動速度を示すグラフ図である。
【図14】本発明の第3及び第4実施形態に係る露光装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付の図面を参照して本発明の実施形態について具体的に説明する。図1(a)は、本発明の実施形態に係る露光装置において、光源、マスク及びマイクロレンズアレイの配置を示す側面図、図1(b)は基板を示す平面図である。図2(a)は、本発明の実施形態に係る露光装置のマスクを示す平面図、図2(b)は同じくマイクロレンズアレイを示す平面図である。また、図3は本発明の実施形態に係る露光装置の構成を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態の露光装置1は、露光対象の基板2が載置されるステージ10と、パルスレーザ光の露光光を出射する光源11と、光源11からの露光光が入射され基板2の個別基板となる領域に投影されるパターン122が設けられたマスク12と、パターン122を透過した露光光が入射されパターン122を基板2に正立等倍像として結像するマイクロレンズアレイ13と、を有している。露光装置には、光源11からのレーザ光をマスク12を通してマイクロレンズアレイ13に導く例えば全反射ミラー等の光学系も設けられている。図1に示すように、ステージ10は、ステージ駆動部14により1方向に往復移動できるように構成されており、ステージ駆動部14によりステージ10が移動されることにより、ステージ10上に載置された基板2が搬送される。本実施形態においては、ステージ駆動部14は、ステージ10及び基板2を図1におけるスキャン方向(第2方向)に一定の速度で移動させる。
【0020】
露光対象の基板2は、例えば1.5m角のガラス基板用材料からなる板材であり、図1(b)に示すように、個別のガラス基板となる領域21が、スキャン方向(以下、第2方向とも称する)及びこれに垂直の方向(以下、第1方向とも称する)に並ぶように、複数箇所に設けられている。このガラス基板となる領域は、相互に隣接するように設けられていてもよく、適長離隔して設けられていてもよいが、本実施形態においては、図1(b)に示すように、基板2には、個別基板となる領域21が第2方向に沿って複数設けられており、個別基板となる各領域21は、第2方向に適長離隔して設けられている。本実施形態においては、各個別基板となる領域21間には、N字形状のマーク2a(基板指標)が設けられており、基板2を第2方向に移動させながら、マーク2aを露光装置に設けられたラインCCD等の検出部22(第2の検出部)により検出することにより、光源11からレーザ光を照射させるタイミングを決定する。例えば検出部22としてのラインCCDは、基板2の下方にスキャン方向に垂直な方向(第1方向)に延びるように配置されており、この上方をN字形状のマーク2aの斜辺の中心が通過したことをラインCCDが検出したときに、後述する光源制御部は、光源11からパルスレーザ光の露光光を出射させる。
【0021】
本実施形態の光源11は、例えば紫外光からなるレーザ光を出射する光源であり、レーザ光を1回につき5n秒乃至7n秒程度の短時間、パルス状に出射するパルスレーザ光源である。露光装置1には、光源制御部15が設けられており、光源制御部15により光源11からの露光光の出射が制御されている。例えば、光源制御部15は、検出部22に接続されており、検出部22による検出結果に基づいて光源11から露光光を出射させるタイミングを制御したり、マスク12、マイクロレンズアレイ13又は基板2の位置が所定の位置からずれている場合には、光源11から露光光を出射させないように制御する。光源11から出射されたパルスレーザ光は、マスク12に入射される。
【0022】
図2(a)に示すように、マスク12は、例えば枠体120の中央にパターン形成部121が設けられており、パターン形成部121の中央には、光源11から出射されたパルスレーザ光が入射され個別基板となる領域21に結像されるパターン122が設けられている。枠体120は、例えば図示しない支持部材により支持されており、支持部材がマスク駆動部16により第2方向に沿って移動されることにより、マスク12が第2方向に沿って移動される。マスク駆動部16によるマスク12の移動は、例えばマスク位置制御部17により制御されている。
【0023】
本実施形態においては、パターン122が設けられた領域は、例えば携帯情報端末(PDA、Personal Digital Assistant)用又はスマートフォン等の携帯端末用の液晶ディスプレイに使用されるガラス基板の大きさに合わせて形成されており、例えば基板2のスキャン方向に平行な第2方向の長さが、例えば100mm程度であり、1枚の個別基板となる領域の長さと等しいか、又は若干長くなるように設けられている。また、パターン122が設けられた領域は、スキャン方向に垂直な第1方向の幅が100mm程度であり、1枚以上の個別基板となる領域の幅と等しいか、又は若干長くなるように設けられている。なお、本実施形態におけるガラス基板の大きさ及び用途は一例であり、本発明は、このような用途の部材を製造する場合の露光に限定されるものではなく、高解像力を必要とする部材を製造する場合の露光に広く適用することができる。
【0024】
図2(a)に示すように、マスク12には、第1方向におけるパターン形成部121の側部に、例えば十字形状のマスク指標123が複数個設けられており、各マスク指標123は、第2方向に並ぶように設けられている。第2方向におけるマスク指標123間の距離は、例えば後述するマイクロレンズアレイ13の第2方向におけるマイクロレンズ131間の距離と等しい。本実施形態においては、マスク指標123は、パターン形成部121の両側部に、夫々4個ずつ指標123a乃至123dが設けられている。詳細は後述するが、マスク指標123は、基板2に1層目の露光領域を形成する際に、CCDカメラ等の第1の検出部19により検出され、マスク12の位置がマイクロレンズアレイ13に対して所定の位置関係にあるか否かの判定に使用される。そして、第1の検出部19によりマスク指標123が検出された場合には、光源11に接続された光源制御部15は、所定のタイミングで光源11から露光光を出射させる。
【0025】
また、図2(a)に示すように、マスク12のパターン形成部121には、スリット124が設けられており、第2方向に延びる2本のスリットと、このスリットの互いに反対側の端部間を結ぶように、第1方向に対して傾斜して設けられた1本のスリットにより、N字形状が形成されている。このスリット124は、基板2に2層目以降の露光領域を形成する際に、マスク位置のアライメントに使用される。
【0026】
マイクロレンズアレイ13は、1枚の遮光部材132と4枚のマイクロレンズ単体130とにより構成されており、図1に示すように、遮光部材132の上方に2枚のマイクロレンズ単体130が配置され、遮光部材132の下方に他の2枚のマイクロレンズ単体130が配置されている。そして、マスク12のパターン122を透過した露光光は、例えば全反射ミラー等の光学系を通して上方の2枚のマイクロレンズ単体130に入射され、倒立等倍像として結像される。この倒立等倍像が結像される位置に遮光部材132が設けられており、遮光部材132に設けられた光透過部を透過した露光光が下方の2枚のマイクロレンズ単体130に入射され、基板2に正立等倍像が結像される。
【0027】
遮光部材132は、例えばクロム等の遮光性を有する材料からなる板材であり、その中央には、矩形の光透過部の開口132aが複数個設けられている。そして、この矩形の開口132aは、以下の規則性をもって配列されている。即ち、複数個の開口132aは、碁盤目状の位置に第1方向に相互間に間隔をおいて第1方向に所定の列ピッチで配置され、第1行の矩形領域の配置位置は、第1方向に、1又は複数個の位置を隔てて、所定の列ピッチで配置され、第1行に対して第2方向に隣接する第2行の矩形領域は、第1行の矩形領域の間隔の位置に対応する位置に、第1方向に、第1行と同一の列ピッチをおいて配置され、更に、第2行に対して第2方向に隣接する第3行の矩形領域は、第1行及び第2行に共通する間隔の位置がある場合はその位置に対応する位置に、共通する間隔の位置がない場合は第1行の矩形領域に対応する位置に、第1方向に、第1行と同一の列ピッチをおいて配置され、以下同様にして各行に対して、前段の全ての行に共通する領域間の間隔が無くなるまで第1方向の配置位置をずらせて後段の行の領域が配置され、全ての行に共通する領域間の間隔がなくなったときに、第1方向に関し第1行と同一の配置位置に矩形領域が配置されて再度順次複数行の矩形領域が配置されている。
【0028】
本実施形態においては、図2(b)に示すように、矩形の開口132aは、基板2のスキャン方向に垂直の第1方向に沿って列をなし、第2方向に沿って開口132aの列が複数列設けられている。そして、第2方向に隣接する開口132aの列は、第2方向における開口132aの長さずつ離隔するように設けられている。そして、各開口132aの列は、隣接する列間で第2方向に位置がずれるように設けられている。即ち、各開口132aとこれに隣接する列の開口132a間の遮光部とが第2方向に並ぶように設けられており、隣接する2列において、複数個の開口132aは第1方向に沿って千鳥状に設けられている。よって、本実施形態においては、第2方向に並ぶ開口132a同士は、4個の開口132aの長さずつ離隔して設けられている。本実施形態におけるマスク12は、第2方向に移動可能に構成されており、よって、マスク12の移動に伴って、パターン122の透過光がマイクロレンズアレイ13に照射される領域も第2方向に移動する。本実施形態においては、遮光部材132の大きさはマスク12の透過光が照射される領域の全可動範囲よりも大きくなるように設けられている。よって、マイクロレンズアレイ13に透過された露光光のみが、基板2に照射される。
【0029】
4枚のマイクロレンズ単体130は、例えば石英等の光透過性の材料からなる板材が所定位置にて上方及び下方に球面状に突出したものであり、この突出部分がマイクロレンズ131となる。複数個のマイクロレンズ131は、遮光部材132の開口132aに対応するように配置されている。
【0030】
図4(a)及び図4(b)は、マイクロレンズ及び遮光部材の配置を一例として示す図である。図4に示すように、各マイクロレンズ102は、例えば平面視で円形又は楕円形である。よって、各マイクロレンズ102に矩形の露光光を透過させる場合、遮光部材101に設ける矩形の開口101aは、平面視で、マイクロレンズ102を投影した円形又は楕円形に内接する矩形の場合に大きさが最大である。よって、図4(a)に示すように、マイクロレンズ102を基板のスキャン方向に垂直な方向に並ぶように設けた場合、開口101a間の領域103には、露光光が透過されない。また、マイクロレンズ102同士を最も近接させて配置した図4(b)の場合においては、マイクロレンズ102同士は、第1方向に隙間なく配置されているものの、凸レンズの曲率等の影響により、実際には、開口101a間の領域には、露光光が透過されない領域が発生し、基板上に形成される露光領域の境界部分に継ぎむらが発生してしまう。
【0031】
本実施形態においては、図2(b)に示すように、各マイクロレンズ131及び遮光部材の開口132aは、基板2のスキャン方向の第2方向及びこれに垂直な第1方向に適長離隔するように配置されており、第2方向には、全ての行に共通する領域間の間隔がないように配置されている。そして、マイクロレンズアレイとマスクとの相対的位置関係を行ピッチだけ第2方向に切り替えて、順次露光していくことにより、図4に示す配置のような露光領域間の継ぎむらの発生を防止できる。
【0032】
図2(b)に示すように、本実施形態においては、マイクロレンズアレイ13には、第1方向における遮光部材132の側部にも、矩形の開口132bが設けられており、例えば、マイクロレンズ単体130における開口132bに対応する位置にも、マイクロレンズが設けられている。第2方向における開口132bの間隔は、マスク指標123の間隔と同じになるように設けられている。また、露光装置1には、開口132bの下方に、例えばCCDカメラ等の(第1の)検出部19が設けられており、開口132bを介してマスク指標123を検出できるように構成されている。即ち、マスク12とマイクロレンズアレイ13との位置関係が、露光時の所定の位置関係にある場合、第1の検出部19により開口132bを介してマスク指標123が検出され、マスク12とマイクロレンズアレイ13との相対位置関係が正確であることが検出される。第1の検出部19は、光源制御部15に接続されている。そして、光源制御部15は、第1の検出部19によりマスク指標123が検出された場合には、基板2が搬送されている間に、所定のタイミングで光源11から露光光を出射させ、第1の検出部19がマスク指標123を検出できない場合には、マスク12又はマイクロレンズアレイ13の位置がずれていると判定し、露光光を出射させない。
【0033】
これにより、指標123aが開口132bを介して、第1の検出部19により検出されたときには、光源11からは、所定のタイミングで露光光が出射され、マスク12の透過光は、マイクロレンズアレイ13の上方に配置された2枚のマイクロレンズ単体131に入射され、遮光部材132の位置に倒立等倍像が結像される。そして、露光光は、遮光部材132の開口132aで矩形に透過され、遮光部材132の下方に配置されたマイクロレンズ単体130の各マイクロレンズ131に透過され、基板2の位置に正立等倍像が結像される。
【0034】
本実施形態においては、基板2の全面露光の際に、マイクロレンズアレイ13に対するマスク12の相対的位置ごとに、露光工程を分ける。即ち、マイクロレンズアレイ13に対するマスク12の1の相対的位置関係を維持したまま、基板2をスキャン方向に移動させながら、基板2が所定位置に到達したときに、光源11からパルスレーザ光の露光光を出射させ、1枚の個別基板となる領域21については、1回の露光光の照射により、瞬間的に1の露光領域の形成を完了させる。これを繰り返すことにより、個別基板となる領域21の全てについて、所定領域を露光する。その後、マスク駆動部16によりマスク12を移動させ、マイクロレンズアレイ13に対するマスク12の相対的位置を変更する。その後、ステージ駆動部14によりステージ10を逆方向に移動させながら、次順の露光領域の形成を行う。これを順次4回繰り返す。これにより、本実施形態においては、1枚の個別基板となる領域21については、全面を4回の露光光の照射により露光することができ、露光タクトが非常に短い。
【0035】
なお、本実施形態においては、露光タクトを4回に分けた場合のみを説明するが、露光タクトを5回以上に分けた場合においても、本実施形態と同様の効果が得られる。
【0036】
次に、本実施形態の露光装置の動作について説明する。本実施形態においては、露光装置1により、基板2に1層の露光領域を形成する。図5乃至図12は、本発明の実施形態に係る露光装置による露光工程をその工程順に示す図であり、図5、図7、図9、図11は、基板に1層目の露光領域を順次形成していく際のマスクとマイクロレンズアレイとの位置関係を示す図、図6、図8、図10、図12は、各露光工程とこれにより基板に形成された露光領域を1枚の個別基板となる領域について示す図である。
【0037】
露光装置1による露光を開始する際には、先ず、ステージ10上の所定の位置に基板2が載置され、必要に応じて、第1及び第2の方向における基板2の位置等が調節される。
【0038】
ステージ10上の所定の位置に基板2が設置されたら、ステージ10がステージ駆動部14によりスキャン方向の第2方向に一定速度で移動される。これにより、ステージ10上に載置された基板2は、ステージ10と共に一定速度で第2方向に移動し、マイクロレンズアレイ13の下方へと搬送されていく。マスク位置制御部17は、先ず、マスク駆動部16によりマスク12を移動させ、マイクロレンズアレイ13に対するマスク12の相対的位置を第1の位置に設定する。なお、以下の説明において、第1乃至第4の位置とは、マイクロレンズアレイ13に対するマスク12の相対的位置関係が露光時の所定の位置関係にあり、ずれがない場合を意味する。
【0039】
マイクロレンズアレイ13に対して、マスク12が所定の位置に移動されたかは、片側4個のマスク指標123のうち第1の位置に対応して設けられた十字状の指標123aの位置により、確認される。即ち、マイクロレンズアレイ13に対するマスク12の相対的位置が所定の位置にある場合には、図5に示すように、第1の位置に対応して設けられた指標123aが、マイクロレンズアレイ13の開口132bから観察できる位置にあり、これを第1の検出部19により検出することができる。しかし、マイクロレンズアレイ13に対するマスク12の相対的位置が所定の位置からずれている場合には、指標123aを第1の検出部19により検出することができない。この場合には、第1の検出部19は、指標123aを検出できなかった信号を光源制御部15に送信する。そして、第1の検出部19から送信された信号に基づいて、光源制御部15は、光源11から露光光を出射させない。
【0040】
基板2の位置は、個別基板となる領域21に夫々対応して設けられたマーク2aの位置により知見される。本実施形態においては、図1(b)に示すように、基板2の下方には、ラインCCD等の(第2の)検出部22が第1方向に延びるように配置されており、この検出部22により例えばN字形状のマーク2aの斜辺を検出する。即ち、マーク2aの斜辺は、第2方向への基板2の移動に伴い、ラインCCD上における通過位置が、第1方向に移動していく。このように、マーク2aの第1方向における通過位置を検出部22により検出すれば、基板2の露光対象領域の位置を正確に知ることができる。そして、例えばマーク2aの斜辺の中心がラインCCD上を通過したことが検出されたときに、光源11からパルスレーザ光の露光光を出射させれば、露光対象領域の位置に対して、露光光の照射位置を精度よく合わせることができる。なお、基板2の位置を補助的に知見するために、例えばステージ10に第2方向に沿って複数個の指標が設けられ、この指標がエンコーダ等のステージ位置検出部20により検出されるように構成されていてもよい。
【0041】
光源11から出射された露光光は、例えば全反射ミラー等の光学系を通して、マスク12のパターン122の全面に入射し、パターン122に透過される。パターン122を透過した露光光は、先ず、マイクロレンズアレイ13の上方の2枚のマイクロレンズ単体130に入射する。そして、遮光部材132の位置に、パターン122の倒立等倍像が結像される。図5に示すように、遮光部材132には、第1方向及び第2方向に適長離隔して、複数個の開口132aが設けられており、遮光部材132は、クロム等の遮光性の材料により構成されているため、図6(a)に示すように、開口132aの透過光のみが、下方の2枚のマイクロレンズ単体130に入射する。そして、2枚のマイクロレンズ単体130に透過された露光光は、基板2の個別基板となる領域21に正立等倍像として結像される。これにより、図6(b)に示すように、個別基板となる領域21上に、開口132aの配列に対応するように、第1の露光領域21aが形成される。
【0042】
第1の位置における露光光の照射の際にも、第1の露光領域21aに必要な解像力の誤差範囲で、ステージ10の移動は継続されている。例えば、第2方向における第1の露光領域21aの解像力の誤差範囲を例えば0.1μm以下に収める場合、露光光のパルス幅が1μ秒である場合には、ステージ10の移動速度を100mm/秒以下とする。
【0043】
このようにして、個別基板となる領域21が一括露光された後、ステージ10の移動は継続され、やがて、スキャン方向の第2方向に隣接する個別基板となる領域21がマイクロレンズアレイ13の下方へと搬送されていく。この場合においても、上記と同様に、例えばマーク2aの斜辺の中心がラインCCD上を通過したことが検出されたときに、光源制御部15は、光源11からパルスレーザ光の露光光を出射させる。これにより、上記の場合と同様に、個別基板となる領域21上には、開口132aの配列に対応するように、第1の露光領域21aが形成される。以上の工程が繰り返されることにより、基板2の個別基板となる領域21の全てに、所定領域の第1の露光領域21aが精度よく形成される。
【0044】
次に、マスク位置制御部17は、マスク駆動部16によりマスク12を移動させ、マイクロレンズアレイ13に対するマスク12の相対的位置を第2の位置に設定する。本実施形態においては、第1の位置から第2の位置への移動距離は、第2方向におけるマイクロレンズ131の行ピッチである。マスク12が所定の位置に移動されたかは、第2の位置に対応して設けられた十字状のマスクの指標123bの位置により、確認される。即ち、マイクロレンズアレイ13に対するマスク12の相対的位置が所定の位置にある場合には、図7に示すように、第2の位置に対応して設けられた指標123bが、マイクロレンズアレイ13の開口132bから観察できる位置にあり、これを第1の検出部19により検出することができる。しかし、マイクロレンズアレイ13に対するマスク12の相対的位置が所定の位置からずれている場合には、指標123bを第1の検出部19により検出することができない。この場合には、第1の検出部19は、指標123bを検出できなかった信号を光源制御部15に送信する。そして、第1の検出部19から送信された信号に基づいて、光源制御部15は、光源11から露光光を出射させない。
【0045】
第2の位置においては、図8(a)に示すように、ステージ駆動部14は、ステージ10を第1の位置の場合とは逆方向に移動させる。第2の位置における露光の際にも、基板2の位置は、個別基板となる領域21に隣接して設けられたマーク2aの位置により知見される。即ち、基板2の下方に設けられたラインCCD等の(第2の)検出部22により、N字形状のマーク2aの斜辺を検出する。このように、マーク2aの第1方向における通過位置を検出部22により検出することにより、基板2の露光対象領域の位置を正確に知ることができる。マイクロレンズアレイ13に対するマスク12の相対的位置が第2の位置にあるときには、露光光の照射領域は、第2方向に行ピッチだけずらす。よって、第2の位置においては、マーク2aの斜辺における中心位置から第1方向に所定ピッチずれた部分がラインCCD上を通過したことが検出されたときに、光源11からパルスレーザ光の露光光を出射させる。
【0046】
そして、光源11から出射された露光光は、例えば全反射ミラー等の光学系を通して、マスク12のパターン122の全面に入射し、パターン122に透過され、マイクロレンズアレイ13の上方の2枚のマイクロレンズ単体130に入射する。そして、遮光部材132の位置に、パターン122の倒立等倍像が結像される。図7に示すように、遮光部材132には、第1方向及び第2方向に適長離隔して、複数個の開口132aが設けられており、遮光部材132は、クロム等の遮光性の材料により構成されているため、図8(a)に示すように、開口132aの透過光のみが、下方の2枚のマイクロレンズ単体130に入射し、2枚のマイクロレンズ単体130に透過された露光光は、基板2の個別基板となる領域21に正立等倍像として結像される。これにより、図8(b)に示すように、個別基板となる領域21上の第1の露光領域21aに隣接する領域に、開口132aの配列に対応するように、第2の露光領域21bが形成される。
【0047】
このようにして、1の個別基板となる領域21が露光された後、ステージ10が一定速度で移動されると、やがて、スキャン方向の第2方向に隣接する次順の個別基板となる領域21がマイクロレンズアレイ13の下方へと搬送されていく。そして、マーク2aの斜辺の所定部分がラインCCD上を通過したことが検出されたときに、光源制御部15は、光源11からパルスレーザ光の露光光を出射させる。そして、個別基板となる領域21上には、開口132aの配列に対応するように、第2の露光領域21bが形成される。以上の工程が繰り返されることにより、個別基板となる領域21の全てに、所定領域の第2の露光領域21bが形成される。
【0048】
以降、同様にして、マスク12の移動及びステージ10の移動方向の反転と、ステップ露光とが繰り返されることにより、図9及び図10に示すように、第2の露光領域21bに隣接するように第3の露光領域21cが形成され、図11及び図12に示すように、第3の露光領域21cに隣接するように第4の露光領域21dが形成される。そして、本実施形態においては、マイクロレンズアレイ13の各マイクロレンズ131及び遮光部材の開口132aは、第2方向には、全ての行に共通する領域間の間隔がないように配置されている。よって、露光領域間の境界に継ぎむらは発生せず、高精度の露光が可能となる。そして、マイクロレンズアレイとマスクとの相対的位置関係を行ピッチだけ第2方向に切り替えて、順次露光しているため、4回の露光により、個別基板となる領域21の全面が露光される。
【0049】
以上のように、本実施形態の露光装置は、マイクロレンズアレイ13によりマスク12の露光パターン122を正立等倍像で基板2の表面に露光し、このとき、基板2を移動させつつパルス状の露光を繰り返すことにより、基板2の全ての露光対象領域を露光し、その後、マイクロレンズアレイ13とマスク12との位置関係を行ピッチだけずらせて、基板を移動させつつ前記マスクの露光パターンの別の領域を露光する。このようにして、マイクロレンズアレイ13とマスク12とを行ピッチだけずらして露光領域の全域を露光していくことにより、マスク12の露光パターン122の全域を基板2に露光して転写することができる。
【0050】
そして、本実施形態においては、露光パターン122の結像にマイクロレンズアレイ13を使用している。このマイクロレンズアレイ13の解像力は高いので、ステッパを使用することなく、高解像力の画像を、短い露光タクトで、基板に露光することができる。
【0051】
なお、本実施形態においては、基板2には、個別基板となる領域21が第1の方向に1枚形成されている場合について説明したが、第1の方向に個別基板となる領域21が複数形成されている場合においても、マスク12及びマイクロレンズアレイ13を複数の領域21の大きさに合わせて設ければ、本実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0052】
次に、本発明の第2実施形態に係る露光装置について説明する。第1実施形態に係る露光装置は、ステージ駆動部14により、ステージ10及び基板2を第2方向に一定の速度で移動させたが、本実施形態に係る露光装置は、ステージ駆動部14によるステージ10及び基板2の第2方向の移動速度を適宜変化させ、これにより、露光タクトを更に短縮できる。図13は、本第2実施形態に係る露光装置において、ステージの移動速度を示すグラフ図である。1回の露光光の照射後にステージ10が移動され、次の露光対象領域が露光光の照射予定位置に到達するまでは、露光光を出射する必要はなく、単に基板2を搬送するだけである。よって、次の露光対象領域が、露光光の照射位置にある程度近くなるまでは、ステージ10を移動させる速度を大きくして移動時間を短縮することにより、露光タクトを短くできる。例えばステージ10の移動速度は、図13に示すように200mm/秒程度まで大きくすることができる。例えば図13に示す例においては、1の露光領域から次の露光予定領域までは190mmピッチ離れており、この距離を第1実施形態のように20mm/秒の一定速度で移動させた場合、移動時間だけで9.5秒かかるが、本実施形態のようにステージ10を加減速することにより、190mmの距離を例えば1.4秒で移動させることができる。
【0053】
この場合に、ステージ10及び基板2の移動速度に所定の閾値を設け、ステージ10及び基板2の移動速度を適宜変化させることが好ましい。即ち、基板2を高速で移動させた場合、露光に必要な解像力の許容誤差を超えて露光領域が形成されてしまうことが考えられる。ステージ10及び基板2の移動速度の閾値は、露光に必要な解像力の許容誤差の範囲により変化するが、例えば第2方向における長さが2μmの露光領域を形成する際に、解像力の許容誤差範囲を0.2μmとする場合においては、露光光の照射時におけるステージ10の移動速度を20mm/秒以下とする。
【0054】
移動速度の変更は、例えば露光光の照射位置と基板2上の露光予定領域との間の距離に応じて行う。この場合には、露光装置に例えば第2方向に延びるようなラインCCD等の検出部を設け、個別基板となる領域21に夫々対応するように設けられたN字形状のマーク2aの位置を第2方向に沿って検出できるように構成する。そして、第2方向に延びるラインCCDによる検出結果に基づき、基板2の露光予定領域が露光光の照射位置から所定距離以上離れているときには、ステージ10の移動速度を所定の閾値以上とし、基板2の露光予定領域が露光光の照射位置に所定距離まで近づいたときにステージ10を減速させ、これにより、露光予定領域が露光光の照射予定位置に到達したときのステージ10の移動速度を前記閾値以下となるように、移動速度を制御する。図13に示す例においては、ステージ制御部18は、1の露光領域を形成した後、ステージ10を加速させ、加速を開始してから0.5秒後のステージの移動速度を200mm/秒とする。そして、ステージ10の移動速度を0.4秒間保持する。これにより、次の露光領域が露光光の照射予定位置に到達するまでの距離が40mmとなる。ステージ制御部18は、基板2の露光予定領域がこの地点まで近づいたら、ステージ10を減速させ、次の露光領域が0.5秒後に露光光の照射予定位置に到達したときのステージ10の移動速度を20mm/秒とする。
【0055】
そして、光源制御部15により、露光光を出射するタイミングを制御する。即ち、光源制御部15は、第2の検出部22の検出結果に基づき、露光予定の領域がマイクロレンズアレイ13の透過光の結像領域に到達した瞬間に、光源11からパルスレーザ光を出射させる。即ち、この露光光の出射のタイミングは、第2方向におけるN字形状のマーク2aの位置に応じて決定される。これにより、露光に必要な解像力の許容誤差範囲内で、各露光領域を精度良く形成することができる。
【0056】
以上のように、本実施形態においては、必要に応じてステージ10及び基板2の移動速度を大きくすることにより、露光タクトを大きく短縮することができ、移動速度を露光予定領域と露光光の照射予定位置との距離に応じて変化させることにより、高精度の露光が可能である。
【0057】
なお、本実施形態の露光装置においては、検出部22は、ステージ制御部18に接続されていてもよく、検出部22による検出結果に基づき、ステージ10の移動速度をフィードバック制御できるように構成すれば、露光精度は更に向上する。
【0058】
次に、本発明の第3実施形態に係る露光装置について説明する。本実施形態においては、第1実施形態に係る露光装置において、図14に示すように、露光装置には、2層目以降の露光用パターンが形成されたマスク12aが設けられている。本実施形態においても、第1方向に延びるように設けられたラインCCD等の検出部22は、2層目以降の露光領域を形成する際に、各基板となる領域21に対応するように形成されたN字形状のマーク2aを検出し、光源制御部15は、検出部22による検出結果に基づいて、所定のタイミングで光源11からパルスレーザ光の露光光を出射させる。
【0059】
本実施形態のように、基板2に2層目以降の露光を行う場合において、1層目の露光と同じ基板指標を使用して露光光の出射のタイミングを決定することにより、形成される2層目以降の露光領域は、1層目の露光領域に対する相対的位置がずれることなく全ての層で一致する。よって、特に第2方向において、高い露光精度を維持することができる。
【0060】
なお、本実施形態においても、第2実施形態と同様に、必要に応じてステージ10及び基板2の移動速度を変化させることにより、2層目以降の露光において、露光タクトが飛躍的に向上する。
【0061】
次に、本発明の第4実施形態に係る露光装置について説明する。本実施形態においては、図14に示す露光装置において、第1方向に延びるラインCCD等の検出部22は、個別基板となる領域21の夫々に対応して設けられたN字形状のマーク2aについて、その第1方向における位置も検出できるように構成されている。即ち、本実施形態においては、検出部22は、マーク2aの第2方向に延びる2辺間の中心位置を検出することにより、第1方向における個別基板となる領域21の位置を検出する。同様に、検出部22は、マスク12aのN字形状のスリット124についても、第1方向における中心位置を検出できるように構成されている。そして、2層目以降のパターンの形成の際に、例えばラインCCDが検出したスリット124の位置が個別基板となる領域21に対してずれている場合には、マスク12a及びマイクロレンズアレイ13の位置を、第1方向にずれた量だけ、補正できるように構成されている。
【0062】
基板2に対してパターンを複数層転写する場合においては、マスクを取り換えたり、搬送に伴って基板2が第1方向に蛇行する場合等が考えられる。しかし、本実施形態のように、基板2に形成されたマーク2aを基準として、マスク及びマイクロレンズアレイ13の位置を補正することにより、2層目以降のパターンを形成する場合においても、第1方向において、高い露光精度を確実に維持することができる。
【0063】
なお、本実施形態においては、第1方向における基板2の位置を検出する検出部とマスク12aの位置を検出するラインCCD等の検出部22が1箇所だけに設けられている場合を説明したが、検出部22は夫々の方向に対応するように個別に設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0064】
1:露光装置、11:光源、12:マスク、13:マイクロレンズアレイ、14:ステージ駆動部、15:光源制御部、16:マスク駆動部、17:マスク位置制御部、18:ステージ制御部、19:第1の検出部、20:ステージ位置検出部、21:基板となる領域、22:検出部
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話用の液晶ディスプレイパネル等に使用されるガラス基板等を露光する露光装置に関し、特に、個別基板となる領域が複数形成された基板を1方向に移動させながら、1又は複数の個別基板となる領域ごとに露光光を照射して一括露光するステッパ方式の露光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、大型液晶ディスプレイパネル等に使用される例えばガラス基板等の露光には、レンズスキャニング方式、ミラープロジェクション方式及びプロキシミティ方式等の露光装置が使用されている。そして、大型のマスク上に形成されたパターンの透過光を、複数の投影光学系(マルチレンズ)に入射させて基板上に分割して結像させ、一度の露光により、基板上の複数の領域を露光することが行われている。このような露光方法は、3μm以上の解像力を必要とする基板の露光に採用されている。
【0003】
しかしながら、例えば携帯電話用の液晶ディスプレイパネル等に使用されるガラス基板等、使用される基板が小さい場合においては、2μm以下と高い解像力が必要とされるため、上記のようなマルチレンズを使用した露光方法を採用することができない。よって、半導体用基板等の露光に使用されるステッパ方式の露光装置が使用されている(例えば、特許文献1及び2)。
【0004】
ステッパ方式の露光装置においては、マスクに形成された各パターンの透過光は、縮小光学系に透過された後に、基板に照射される。従来、携帯電話用の液晶ディスプレイパネル等に使用されるガラス基板は、例えば1.5m角の大型の基板から製造され、露光の際には、1又は複数枚の個別のガラス基板となる領域ごとに複数回露光される。そして、複数回の露光により個別基板となる領域の全てが露光された基板は、後の工程において、分割されて、複数枚のガラス基板が製造される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−235515号公報
【特許文献2】国際公開第2005/038518号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来技術においては、以下のような問題点がある。即ち、ステッパ方式の露光装置においては、パターンの透過光は、縮小光学系に透過されて基板に照射される。よって、露光光の1回の照射(1ショット)で露光できる範囲は例えば130乃至150mm四方程度まで狭くなる。よって、1.5m角の基板の個別基板となる複数の領域の全面を露光するためには、上記狭い範囲の露光を例えば30回以上繰り返す必要があり、露光タクトが長期化するという問題点がある。
【0007】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、複数枚の個別基板となる領域が形成された基板を露光する際に、短い露光タクトで高精度且つ高解像度の露光を行うことができる露光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る露光装置は、パルス的にレーザ光を発光する光源と、露光パターンが形成されたマスクと、正立等倍像を基板上に結像させる複数個のマイクロレンズが行方向の第1方向に整列し列方向の第2方向に所定の行ピッチで複数行設けられたマイクロレンズアレイと、前記光源からのレーザ光を前記マスクを通して前記マイクロレンズアレイに導く光学系と、前記基板を前記第2方向に移動させる駆動装置と、前記マイクロレンズアレイと前記マスクとの相対的な位置関係を前記マイクロレンズの前記行ピッチだけ前記第2方向に順次切り替える切替装置と、前記駆動装置による前記基板の移動と前記切替装置による前記マイクロレンズアレイと前記マスクとの相対的位置関係の切替と前記レーザ光の照射タイミングとを制御する制御装置とを有することを特徴とする。
【0009】
上述の露光装置において、例えば前記マイクロレンズアレイは、1回の前記レーザ光の照射で、マイクロレンズの数に応じた複数個の矩形の領域を露光するものであり、前記矩形の領域は、碁盤目状の位置に第1方向に相互間に間隔をおいて第1方向に所定の列ピッチで配置され、第1行の前記領域の配置位置は、前記第1方向に、1又は複数個の位置を隔てて、所定の列ピッチで配置され、前記第1行に対して第2方向に隣接する第2行の前記領域は、前記第1行の領域の前記間隔の位置に対応する位置に、前記第1方向に、前記列ピッチをおいて配置され、更に、前記第2行に対して第2方向に隣接する第3行の前記領域は、前記第1行及び前記第2行に共通する間隔の位置がある場合はその位置に対応する位置に、前記共通する間隔の位置がない場合は前記第1行の前記領域に対応する位置に、前記第1方向に、前記列ピッチをおいて配置され、以下同様にして各行に対して、前段の全ての行に共通する領域間の間隔が無くなるまで前記第1方向の配置位置をずらせて後段の行の領域が配置され、全ての行に共通する領域間の間隔がなくなったときに、第1方向に関し第1行と同一の配置位置に前記領域が配置されて再度順次複数行の前記領域が配置される。
【0010】
前記マイクロレンズアレイは、例えば、前記複数個のマイクロレンズが行方向の第1方向に整列し列方向の第2方向に所定の行ピッチで複数行設けられた4枚のマイクロレンズアレイ単体と、遮光性の材料からなり複数個の矩形の光透過部が前記マイクロレンズの位置に対応するように設けられた遮光部材と、を有し、前記遮光部材が2枚のマイクロレンズアレイ単体と2枚のマイクロレンズアレイ単体との間の倒立等倍像の結像位置に配置され、各マイクロレンズと光透過部とが光軸を同一にして配置されている。
【0011】
例えば、前記制御装置は、前記マイクロレンズアレイと前記マスクとの相対的位置関係を維持したまま、前記基板を第2方向の正方向に移動させて前記基板の露光対象領域全体を露光した後、前記切替装置により前記マイクロレンズアレイと前記マスクとの相対的な位置関係を第2方向に前記行ピッチだけずらせて切り替えた後、前記基板を第2方向の逆方向に移動させて前記基板の露光対象領域全体を露光し、更に、前記切替装置により前記マイクロレンズアレイと前記マスクとの相対的な位置関係を第2方向に前記行ピッチだけずらせて切り替えた後、前記基板を第2方向の正方向に移動させて前記基板の露光対象領域全体を露光するという工程を繰り返して、前記基板の露光対象領域全体に前記マスクの露光パターンを転写する。
【0012】
例えば、前記マスクには、前記第2方向に前記行ピッチでマスク位置のマスク指標が複数個設けられており、前記マイクロレンズアレイには、前記マスク指標を利用して前記マスクとの相対的位置合わせに使用される指標検出用マイクロレンズが設けられており、前記露光装置は、前記マスク位置の前記マスク指標を検出する第1の検出部を有し、前記切替装置は、先ず、前記指標検出用マイクロレンズにより前記マスクの第1のマスク指標を検出した状態で、前記マスクと前記マイクロレンズアレイとの位置関係を固定し、この状態で前記制御装置が前記基板を前記マイクロレンズアレイに対して第2方向の正方向に移動させ、次に、前記指標検出用マイクロレンズにより前記マスクにおける前記第1のマスク指標より第2方向に行ピッチだけずれた第2のマスク指標を検出するように、前記マイクロレンズアレイと前記マスクとの位置関係を切り替えた後、その位置関係を固定し、この状態で前記制御装置が前記基板を前記マイクロレンズアレイに対して第2方向の逆方向に移動させ、更に、前記指標検出用マイクロレンズにより前記マスクにおける前記第2のマスク指標より第2方向に行ピッチだけずれた第3のマスク指標を検出するように、前記マイクロレンズアレイと前記マスクとの位置関係を切り替えた後、その位置関係を固定し、この状態で前記制御装置が前記基板を前記マイクロレンズアレイに対して第2方向の正方向に移動させるという工程を繰り返して、前記基板の露光対象領域全体に前記マスクの露光パターンを転写する。
【0013】
例えば、前記基板には、採取すべき個別基板に対応する個別露光領域が、第2方向に配置されており、前記個別露光領域間には、基板位置を検出するための基板指標が設けられており、前記露光装置は、前記基板指標を検出して前記基板の第2方向の位置を検出する第2の検出部を有し、前記制御装置は、前記第2の検出部による基板位置の検出タイミングで、前記光源からレーザ光を出射してパルス露光するように構成することができる。
【0014】
この場合に、前記制御装置は、前記駆動装置を介して、前記基板を前記第2方向に一定の速度で移動させ、前記第2の検出部により前記基板指標を検出した時に、前記光源からレーザ光を出射してパルス露光するように制御することができる。
【0015】
又は、前記制御装置は、前記駆動装置を介して、前記基板をレーザ光の照射時の低速移動時と、非露光時の高速移動時と、前記低速移動時と前記高速移動時との加減速時とを繰り返すように前記基板の移動を制御し、前記低速移動時又は前記加減速時の前記低速移動時の近傍の期間であって、前記第2の検出部が前記基板指標を検出可能な期間の特定の時点で、前記光源からレーザ光を出射してパルス露光するように制御することができる。
【0016】
更に、前記第1方向における前記マスクの位置を検出する第3の検出部と、前記第1方向における前記基板の位置を検出する第4の検出部と、前記第3の検出部及び前記第4の検出部による検出結果に基づいて、前記第1方向における前記マスクの位置が前記基板に対して所定の位置からずれている場合に、前記第1方向における前記マスク及び前記マイクロレンズアレイの位置を補正するマスク位置制御装置と、を有するように構成することもできる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、マイクロレンズアレイによりマスクの露光パターンを正立等倍像で基板表面に露光し、このとき、基板を移動させつつパルス状の露光を繰り返すことにより、基板の全ての露光対象領域を露光し、その後、マイクロレンズアレイとマスクとの位置関係を行ピッチだけずらせて、基板を移動させつつ前記マスクの露光パターンの別の領域を露光する。このようにして、マイクロレンズアレイとマスクとを行ピッチだけずらして露光領域の全域を露光していくことにより、マスクの露光パターンの全域を基板に露光して転写することができる。マイクロレンズアレイの解像力は高いので、ステッパを使用することなく、高解像力の画像を、短い露光タクトで、基板に露光することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】(a)は本発明の実施形態に係る露光装置において、光源、マスク及びマイクロレンズアレイの配置を示す側面図、(b)は基板を示す平面図である。
【図2】(a)は、本発明の実施形態に係る露光装置のマスクを示す平面図、(b)は同じくマイクロレンズアレイを示す平面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る露光装置の構成を示すブロック図である。
【図4】(a)、(b)はマイクロレンズの配置を一例として示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係る露光装置において、基板に第1の露光領域を形成する際のマスクとマイクロレンズアレイとの位置関係を示す図である。
【図6】(a)は本発明の実施形態に係る露光装置において、第1の露光領域の形成工程を示す側面図、(b)は基板に形成された露光領域を1枚の個別基板となる領域について示す図である。
【図7】本発明の実施形態に係る露光装置において、基板に第2の露光領域を形成する際のマスクとマイクロレンズアレイとの位置関係を示す図である。
【図8】(a)は本発明の実施形態に係る露光装置において、第2の露光領域の形成工程を示す側面図、(b)は基板に形成された露光領域を1枚の個別基板となる領域について示す図である。
【図9】本発明の実施形態に係る露光装置において、基板に第3の露光領域を形成する際のマスクとマイクロレンズアレイとの位置関係を示す図である。
【図10】(a)は本発明の実施形態に係る露光装置において、第3の露光領域の形成工程を示す側面図、(b)は基板に形成された露光領域を1枚の個別基板となる領域について示す図である。
【図11】本発明の実施形態に係る露光装置において、基板に第4の露光領域を形成する際のマスクとマイクロレンズアレイとの位置関係を示す図である。
【図12】(a)は本発明の実施形態に係る露光装置において、第4の露光領域の形成工程を示す側面図、(b)は基板に形成された露光領域を1枚の個別基板となる領域について示す図である。
【図13】本発明の第2実施形態に係る露光装置において、ステージの移動速度を示すグラフ図である。
【図14】本発明の第3及び第4実施形態に係る露光装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付の図面を参照して本発明の実施形態について具体的に説明する。図1(a)は、本発明の実施形態に係る露光装置において、光源、マスク及びマイクロレンズアレイの配置を示す側面図、図1(b)は基板を示す平面図である。図2(a)は、本発明の実施形態に係る露光装置のマスクを示す平面図、図2(b)は同じくマイクロレンズアレイを示す平面図である。また、図3は本発明の実施形態に係る露光装置の構成を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態の露光装置1は、露光対象の基板2が載置されるステージ10と、パルスレーザ光の露光光を出射する光源11と、光源11からの露光光が入射され基板2の個別基板となる領域に投影されるパターン122が設けられたマスク12と、パターン122を透過した露光光が入射されパターン122を基板2に正立等倍像として結像するマイクロレンズアレイ13と、を有している。露光装置には、光源11からのレーザ光をマスク12を通してマイクロレンズアレイ13に導く例えば全反射ミラー等の光学系も設けられている。図1に示すように、ステージ10は、ステージ駆動部14により1方向に往復移動できるように構成されており、ステージ駆動部14によりステージ10が移動されることにより、ステージ10上に載置された基板2が搬送される。本実施形態においては、ステージ駆動部14は、ステージ10及び基板2を図1におけるスキャン方向(第2方向)に一定の速度で移動させる。
【0020】
露光対象の基板2は、例えば1.5m角のガラス基板用材料からなる板材であり、図1(b)に示すように、個別のガラス基板となる領域21が、スキャン方向(以下、第2方向とも称する)及びこれに垂直の方向(以下、第1方向とも称する)に並ぶように、複数箇所に設けられている。このガラス基板となる領域は、相互に隣接するように設けられていてもよく、適長離隔して設けられていてもよいが、本実施形態においては、図1(b)に示すように、基板2には、個別基板となる領域21が第2方向に沿って複数設けられており、個別基板となる各領域21は、第2方向に適長離隔して設けられている。本実施形態においては、各個別基板となる領域21間には、N字形状のマーク2a(基板指標)が設けられており、基板2を第2方向に移動させながら、マーク2aを露光装置に設けられたラインCCD等の検出部22(第2の検出部)により検出することにより、光源11からレーザ光を照射させるタイミングを決定する。例えば検出部22としてのラインCCDは、基板2の下方にスキャン方向に垂直な方向(第1方向)に延びるように配置されており、この上方をN字形状のマーク2aの斜辺の中心が通過したことをラインCCDが検出したときに、後述する光源制御部は、光源11からパルスレーザ光の露光光を出射させる。
【0021】
本実施形態の光源11は、例えば紫外光からなるレーザ光を出射する光源であり、レーザ光を1回につき5n秒乃至7n秒程度の短時間、パルス状に出射するパルスレーザ光源である。露光装置1には、光源制御部15が設けられており、光源制御部15により光源11からの露光光の出射が制御されている。例えば、光源制御部15は、検出部22に接続されており、検出部22による検出結果に基づいて光源11から露光光を出射させるタイミングを制御したり、マスク12、マイクロレンズアレイ13又は基板2の位置が所定の位置からずれている場合には、光源11から露光光を出射させないように制御する。光源11から出射されたパルスレーザ光は、マスク12に入射される。
【0022】
図2(a)に示すように、マスク12は、例えば枠体120の中央にパターン形成部121が設けられており、パターン形成部121の中央には、光源11から出射されたパルスレーザ光が入射され個別基板となる領域21に結像されるパターン122が設けられている。枠体120は、例えば図示しない支持部材により支持されており、支持部材がマスク駆動部16により第2方向に沿って移動されることにより、マスク12が第2方向に沿って移動される。マスク駆動部16によるマスク12の移動は、例えばマスク位置制御部17により制御されている。
【0023】
本実施形態においては、パターン122が設けられた領域は、例えば携帯情報端末(PDA、Personal Digital Assistant)用又はスマートフォン等の携帯端末用の液晶ディスプレイに使用されるガラス基板の大きさに合わせて形成されており、例えば基板2のスキャン方向に平行な第2方向の長さが、例えば100mm程度であり、1枚の個別基板となる領域の長さと等しいか、又は若干長くなるように設けられている。また、パターン122が設けられた領域は、スキャン方向に垂直な第1方向の幅が100mm程度であり、1枚以上の個別基板となる領域の幅と等しいか、又は若干長くなるように設けられている。なお、本実施形態におけるガラス基板の大きさ及び用途は一例であり、本発明は、このような用途の部材を製造する場合の露光に限定されるものではなく、高解像力を必要とする部材を製造する場合の露光に広く適用することができる。
【0024】
図2(a)に示すように、マスク12には、第1方向におけるパターン形成部121の側部に、例えば十字形状のマスク指標123が複数個設けられており、各マスク指標123は、第2方向に並ぶように設けられている。第2方向におけるマスク指標123間の距離は、例えば後述するマイクロレンズアレイ13の第2方向におけるマイクロレンズ131間の距離と等しい。本実施形態においては、マスク指標123は、パターン形成部121の両側部に、夫々4個ずつ指標123a乃至123dが設けられている。詳細は後述するが、マスク指標123は、基板2に1層目の露光領域を形成する際に、CCDカメラ等の第1の検出部19により検出され、マスク12の位置がマイクロレンズアレイ13に対して所定の位置関係にあるか否かの判定に使用される。そして、第1の検出部19によりマスク指標123が検出された場合には、光源11に接続された光源制御部15は、所定のタイミングで光源11から露光光を出射させる。
【0025】
また、図2(a)に示すように、マスク12のパターン形成部121には、スリット124が設けられており、第2方向に延びる2本のスリットと、このスリットの互いに反対側の端部間を結ぶように、第1方向に対して傾斜して設けられた1本のスリットにより、N字形状が形成されている。このスリット124は、基板2に2層目以降の露光領域を形成する際に、マスク位置のアライメントに使用される。
【0026】
マイクロレンズアレイ13は、1枚の遮光部材132と4枚のマイクロレンズ単体130とにより構成されており、図1に示すように、遮光部材132の上方に2枚のマイクロレンズ単体130が配置され、遮光部材132の下方に他の2枚のマイクロレンズ単体130が配置されている。そして、マスク12のパターン122を透過した露光光は、例えば全反射ミラー等の光学系を通して上方の2枚のマイクロレンズ単体130に入射され、倒立等倍像として結像される。この倒立等倍像が結像される位置に遮光部材132が設けられており、遮光部材132に設けられた光透過部を透過した露光光が下方の2枚のマイクロレンズ単体130に入射され、基板2に正立等倍像が結像される。
【0027】
遮光部材132は、例えばクロム等の遮光性を有する材料からなる板材であり、その中央には、矩形の光透過部の開口132aが複数個設けられている。そして、この矩形の開口132aは、以下の規則性をもって配列されている。即ち、複数個の開口132aは、碁盤目状の位置に第1方向に相互間に間隔をおいて第1方向に所定の列ピッチで配置され、第1行の矩形領域の配置位置は、第1方向に、1又は複数個の位置を隔てて、所定の列ピッチで配置され、第1行に対して第2方向に隣接する第2行の矩形領域は、第1行の矩形領域の間隔の位置に対応する位置に、第1方向に、第1行と同一の列ピッチをおいて配置され、更に、第2行に対して第2方向に隣接する第3行の矩形領域は、第1行及び第2行に共通する間隔の位置がある場合はその位置に対応する位置に、共通する間隔の位置がない場合は第1行の矩形領域に対応する位置に、第1方向に、第1行と同一の列ピッチをおいて配置され、以下同様にして各行に対して、前段の全ての行に共通する領域間の間隔が無くなるまで第1方向の配置位置をずらせて後段の行の領域が配置され、全ての行に共通する領域間の間隔がなくなったときに、第1方向に関し第1行と同一の配置位置に矩形領域が配置されて再度順次複数行の矩形領域が配置されている。
【0028】
本実施形態においては、図2(b)に示すように、矩形の開口132aは、基板2のスキャン方向に垂直の第1方向に沿って列をなし、第2方向に沿って開口132aの列が複数列設けられている。そして、第2方向に隣接する開口132aの列は、第2方向における開口132aの長さずつ離隔するように設けられている。そして、各開口132aの列は、隣接する列間で第2方向に位置がずれるように設けられている。即ち、各開口132aとこれに隣接する列の開口132a間の遮光部とが第2方向に並ぶように設けられており、隣接する2列において、複数個の開口132aは第1方向に沿って千鳥状に設けられている。よって、本実施形態においては、第2方向に並ぶ開口132a同士は、4個の開口132aの長さずつ離隔して設けられている。本実施形態におけるマスク12は、第2方向に移動可能に構成されており、よって、マスク12の移動に伴って、パターン122の透過光がマイクロレンズアレイ13に照射される領域も第2方向に移動する。本実施形態においては、遮光部材132の大きさはマスク12の透過光が照射される領域の全可動範囲よりも大きくなるように設けられている。よって、マイクロレンズアレイ13に透過された露光光のみが、基板2に照射される。
【0029】
4枚のマイクロレンズ単体130は、例えば石英等の光透過性の材料からなる板材が所定位置にて上方及び下方に球面状に突出したものであり、この突出部分がマイクロレンズ131となる。複数個のマイクロレンズ131は、遮光部材132の開口132aに対応するように配置されている。
【0030】
図4(a)及び図4(b)は、マイクロレンズ及び遮光部材の配置を一例として示す図である。図4に示すように、各マイクロレンズ102は、例えば平面視で円形又は楕円形である。よって、各マイクロレンズ102に矩形の露光光を透過させる場合、遮光部材101に設ける矩形の開口101aは、平面視で、マイクロレンズ102を投影した円形又は楕円形に内接する矩形の場合に大きさが最大である。よって、図4(a)に示すように、マイクロレンズ102を基板のスキャン方向に垂直な方向に並ぶように設けた場合、開口101a間の領域103には、露光光が透過されない。また、マイクロレンズ102同士を最も近接させて配置した図4(b)の場合においては、マイクロレンズ102同士は、第1方向に隙間なく配置されているものの、凸レンズの曲率等の影響により、実際には、開口101a間の領域には、露光光が透過されない領域が発生し、基板上に形成される露光領域の境界部分に継ぎむらが発生してしまう。
【0031】
本実施形態においては、図2(b)に示すように、各マイクロレンズ131及び遮光部材の開口132aは、基板2のスキャン方向の第2方向及びこれに垂直な第1方向に適長離隔するように配置されており、第2方向には、全ての行に共通する領域間の間隔がないように配置されている。そして、マイクロレンズアレイとマスクとの相対的位置関係を行ピッチだけ第2方向に切り替えて、順次露光していくことにより、図4に示す配置のような露光領域間の継ぎむらの発生を防止できる。
【0032】
図2(b)に示すように、本実施形態においては、マイクロレンズアレイ13には、第1方向における遮光部材132の側部にも、矩形の開口132bが設けられており、例えば、マイクロレンズ単体130における開口132bに対応する位置にも、マイクロレンズが設けられている。第2方向における開口132bの間隔は、マスク指標123の間隔と同じになるように設けられている。また、露光装置1には、開口132bの下方に、例えばCCDカメラ等の(第1の)検出部19が設けられており、開口132bを介してマスク指標123を検出できるように構成されている。即ち、マスク12とマイクロレンズアレイ13との位置関係が、露光時の所定の位置関係にある場合、第1の検出部19により開口132bを介してマスク指標123が検出され、マスク12とマイクロレンズアレイ13との相対位置関係が正確であることが検出される。第1の検出部19は、光源制御部15に接続されている。そして、光源制御部15は、第1の検出部19によりマスク指標123が検出された場合には、基板2が搬送されている間に、所定のタイミングで光源11から露光光を出射させ、第1の検出部19がマスク指標123を検出できない場合には、マスク12又はマイクロレンズアレイ13の位置がずれていると判定し、露光光を出射させない。
【0033】
これにより、指標123aが開口132bを介して、第1の検出部19により検出されたときには、光源11からは、所定のタイミングで露光光が出射され、マスク12の透過光は、マイクロレンズアレイ13の上方に配置された2枚のマイクロレンズ単体131に入射され、遮光部材132の位置に倒立等倍像が結像される。そして、露光光は、遮光部材132の開口132aで矩形に透過され、遮光部材132の下方に配置されたマイクロレンズ単体130の各マイクロレンズ131に透過され、基板2の位置に正立等倍像が結像される。
【0034】
本実施形態においては、基板2の全面露光の際に、マイクロレンズアレイ13に対するマスク12の相対的位置ごとに、露光工程を分ける。即ち、マイクロレンズアレイ13に対するマスク12の1の相対的位置関係を維持したまま、基板2をスキャン方向に移動させながら、基板2が所定位置に到達したときに、光源11からパルスレーザ光の露光光を出射させ、1枚の個別基板となる領域21については、1回の露光光の照射により、瞬間的に1の露光領域の形成を完了させる。これを繰り返すことにより、個別基板となる領域21の全てについて、所定領域を露光する。その後、マスク駆動部16によりマスク12を移動させ、マイクロレンズアレイ13に対するマスク12の相対的位置を変更する。その後、ステージ駆動部14によりステージ10を逆方向に移動させながら、次順の露光領域の形成を行う。これを順次4回繰り返す。これにより、本実施形態においては、1枚の個別基板となる領域21については、全面を4回の露光光の照射により露光することができ、露光タクトが非常に短い。
【0035】
なお、本実施形態においては、露光タクトを4回に分けた場合のみを説明するが、露光タクトを5回以上に分けた場合においても、本実施形態と同様の効果が得られる。
【0036】
次に、本実施形態の露光装置の動作について説明する。本実施形態においては、露光装置1により、基板2に1層の露光領域を形成する。図5乃至図12は、本発明の実施形態に係る露光装置による露光工程をその工程順に示す図であり、図5、図7、図9、図11は、基板に1層目の露光領域を順次形成していく際のマスクとマイクロレンズアレイとの位置関係を示す図、図6、図8、図10、図12は、各露光工程とこれにより基板に形成された露光領域を1枚の個別基板となる領域について示す図である。
【0037】
露光装置1による露光を開始する際には、先ず、ステージ10上の所定の位置に基板2が載置され、必要に応じて、第1及び第2の方向における基板2の位置等が調節される。
【0038】
ステージ10上の所定の位置に基板2が設置されたら、ステージ10がステージ駆動部14によりスキャン方向の第2方向に一定速度で移動される。これにより、ステージ10上に載置された基板2は、ステージ10と共に一定速度で第2方向に移動し、マイクロレンズアレイ13の下方へと搬送されていく。マスク位置制御部17は、先ず、マスク駆動部16によりマスク12を移動させ、マイクロレンズアレイ13に対するマスク12の相対的位置を第1の位置に設定する。なお、以下の説明において、第1乃至第4の位置とは、マイクロレンズアレイ13に対するマスク12の相対的位置関係が露光時の所定の位置関係にあり、ずれがない場合を意味する。
【0039】
マイクロレンズアレイ13に対して、マスク12が所定の位置に移動されたかは、片側4個のマスク指標123のうち第1の位置に対応して設けられた十字状の指標123aの位置により、確認される。即ち、マイクロレンズアレイ13に対するマスク12の相対的位置が所定の位置にある場合には、図5に示すように、第1の位置に対応して設けられた指標123aが、マイクロレンズアレイ13の開口132bから観察できる位置にあり、これを第1の検出部19により検出することができる。しかし、マイクロレンズアレイ13に対するマスク12の相対的位置が所定の位置からずれている場合には、指標123aを第1の検出部19により検出することができない。この場合には、第1の検出部19は、指標123aを検出できなかった信号を光源制御部15に送信する。そして、第1の検出部19から送信された信号に基づいて、光源制御部15は、光源11から露光光を出射させない。
【0040】
基板2の位置は、個別基板となる領域21に夫々対応して設けられたマーク2aの位置により知見される。本実施形態においては、図1(b)に示すように、基板2の下方には、ラインCCD等の(第2の)検出部22が第1方向に延びるように配置されており、この検出部22により例えばN字形状のマーク2aの斜辺を検出する。即ち、マーク2aの斜辺は、第2方向への基板2の移動に伴い、ラインCCD上における通過位置が、第1方向に移動していく。このように、マーク2aの第1方向における通過位置を検出部22により検出すれば、基板2の露光対象領域の位置を正確に知ることができる。そして、例えばマーク2aの斜辺の中心がラインCCD上を通過したことが検出されたときに、光源11からパルスレーザ光の露光光を出射させれば、露光対象領域の位置に対して、露光光の照射位置を精度よく合わせることができる。なお、基板2の位置を補助的に知見するために、例えばステージ10に第2方向に沿って複数個の指標が設けられ、この指標がエンコーダ等のステージ位置検出部20により検出されるように構成されていてもよい。
【0041】
光源11から出射された露光光は、例えば全反射ミラー等の光学系を通して、マスク12のパターン122の全面に入射し、パターン122に透過される。パターン122を透過した露光光は、先ず、マイクロレンズアレイ13の上方の2枚のマイクロレンズ単体130に入射する。そして、遮光部材132の位置に、パターン122の倒立等倍像が結像される。図5に示すように、遮光部材132には、第1方向及び第2方向に適長離隔して、複数個の開口132aが設けられており、遮光部材132は、クロム等の遮光性の材料により構成されているため、図6(a)に示すように、開口132aの透過光のみが、下方の2枚のマイクロレンズ単体130に入射する。そして、2枚のマイクロレンズ単体130に透過された露光光は、基板2の個別基板となる領域21に正立等倍像として結像される。これにより、図6(b)に示すように、個別基板となる領域21上に、開口132aの配列に対応するように、第1の露光領域21aが形成される。
【0042】
第1の位置における露光光の照射の際にも、第1の露光領域21aに必要な解像力の誤差範囲で、ステージ10の移動は継続されている。例えば、第2方向における第1の露光領域21aの解像力の誤差範囲を例えば0.1μm以下に収める場合、露光光のパルス幅が1μ秒である場合には、ステージ10の移動速度を100mm/秒以下とする。
【0043】
このようにして、個別基板となる領域21が一括露光された後、ステージ10の移動は継続され、やがて、スキャン方向の第2方向に隣接する個別基板となる領域21がマイクロレンズアレイ13の下方へと搬送されていく。この場合においても、上記と同様に、例えばマーク2aの斜辺の中心がラインCCD上を通過したことが検出されたときに、光源制御部15は、光源11からパルスレーザ光の露光光を出射させる。これにより、上記の場合と同様に、個別基板となる領域21上には、開口132aの配列に対応するように、第1の露光領域21aが形成される。以上の工程が繰り返されることにより、基板2の個別基板となる領域21の全てに、所定領域の第1の露光領域21aが精度よく形成される。
【0044】
次に、マスク位置制御部17は、マスク駆動部16によりマスク12を移動させ、マイクロレンズアレイ13に対するマスク12の相対的位置を第2の位置に設定する。本実施形態においては、第1の位置から第2の位置への移動距離は、第2方向におけるマイクロレンズ131の行ピッチである。マスク12が所定の位置に移動されたかは、第2の位置に対応して設けられた十字状のマスクの指標123bの位置により、確認される。即ち、マイクロレンズアレイ13に対するマスク12の相対的位置が所定の位置にある場合には、図7に示すように、第2の位置に対応して設けられた指標123bが、マイクロレンズアレイ13の開口132bから観察できる位置にあり、これを第1の検出部19により検出することができる。しかし、マイクロレンズアレイ13に対するマスク12の相対的位置が所定の位置からずれている場合には、指標123bを第1の検出部19により検出することができない。この場合には、第1の検出部19は、指標123bを検出できなかった信号を光源制御部15に送信する。そして、第1の検出部19から送信された信号に基づいて、光源制御部15は、光源11から露光光を出射させない。
【0045】
第2の位置においては、図8(a)に示すように、ステージ駆動部14は、ステージ10を第1の位置の場合とは逆方向に移動させる。第2の位置における露光の際にも、基板2の位置は、個別基板となる領域21に隣接して設けられたマーク2aの位置により知見される。即ち、基板2の下方に設けられたラインCCD等の(第2の)検出部22により、N字形状のマーク2aの斜辺を検出する。このように、マーク2aの第1方向における通過位置を検出部22により検出することにより、基板2の露光対象領域の位置を正確に知ることができる。マイクロレンズアレイ13に対するマスク12の相対的位置が第2の位置にあるときには、露光光の照射領域は、第2方向に行ピッチだけずらす。よって、第2の位置においては、マーク2aの斜辺における中心位置から第1方向に所定ピッチずれた部分がラインCCD上を通過したことが検出されたときに、光源11からパルスレーザ光の露光光を出射させる。
【0046】
そして、光源11から出射された露光光は、例えば全反射ミラー等の光学系を通して、マスク12のパターン122の全面に入射し、パターン122に透過され、マイクロレンズアレイ13の上方の2枚のマイクロレンズ単体130に入射する。そして、遮光部材132の位置に、パターン122の倒立等倍像が結像される。図7に示すように、遮光部材132には、第1方向及び第2方向に適長離隔して、複数個の開口132aが設けられており、遮光部材132は、クロム等の遮光性の材料により構成されているため、図8(a)に示すように、開口132aの透過光のみが、下方の2枚のマイクロレンズ単体130に入射し、2枚のマイクロレンズ単体130に透過された露光光は、基板2の個別基板となる領域21に正立等倍像として結像される。これにより、図8(b)に示すように、個別基板となる領域21上の第1の露光領域21aに隣接する領域に、開口132aの配列に対応するように、第2の露光領域21bが形成される。
【0047】
このようにして、1の個別基板となる領域21が露光された後、ステージ10が一定速度で移動されると、やがて、スキャン方向の第2方向に隣接する次順の個別基板となる領域21がマイクロレンズアレイ13の下方へと搬送されていく。そして、マーク2aの斜辺の所定部分がラインCCD上を通過したことが検出されたときに、光源制御部15は、光源11からパルスレーザ光の露光光を出射させる。そして、個別基板となる領域21上には、開口132aの配列に対応するように、第2の露光領域21bが形成される。以上の工程が繰り返されることにより、個別基板となる領域21の全てに、所定領域の第2の露光領域21bが形成される。
【0048】
以降、同様にして、マスク12の移動及びステージ10の移動方向の反転と、ステップ露光とが繰り返されることにより、図9及び図10に示すように、第2の露光領域21bに隣接するように第3の露光領域21cが形成され、図11及び図12に示すように、第3の露光領域21cに隣接するように第4の露光領域21dが形成される。そして、本実施形態においては、マイクロレンズアレイ13の各マイクロレンズ131及び遮光部材の開口132aは、第2方向には、全ての行に共通する領域間の間隔がないように配置されている。よって、露光領域間の境界に継ぎむらは発生せず、高精度の露光が可能となる。そして、マイクロレンズアレイとマスクとの相対的位置関係を行ピッチだけ第2方向に切り替えて、順次露光しているため、4回の露光により、個別基板となる領域21の全面が露光される。
【0049】
以上のように、本実施形態の露光装置は、マイクロレンズアレイ13によりマスク12の露光パターン122を正立等倍像で基板2の表面に露光し、このとき、基板2を移動させつつパルス状の露光を繰り返すことにより、基板2の全ての露光対象領域を露光し、その後、マイクロレンズアレイ13とマスク12との位置関係を行ピッチだけずらせて、基板を移動させつつ前記マスクの露光パターンの別の領域を露光する。このようにして、マイクロレンズアレイ13とマスク12とを行ピッチだけずらして露光領域の全域を露光していくことにより、マスク12の露光パターン122の全域を基板2に露光して転写することができる。
【0050】
そして、本実施形態においては、露光パターン122の結像にマイクロレンズアレイ13を使用している。このマイクロレンズアレイ13の解像力は高いので、ステッパを使用することなく、高解像力の画像を、短い露光タクトで、基板に露光することができる。
【0051】
なお、本実施形態においては、基板2には、個別基板となる領域21が第1の方向に1枚形成されている場合について説明したが、第1の方向に個別基板となる領域21が複数形成されている場合においても、マスク12及びマイクロレンズアレイ13を複数の領域21の大きさに合わせて設ければ、本実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0052】
次に、本発明の第2実施形態に係る露光装置について説明する。第1実施形態に係る露光装置は、ステージ駆動部14により、ステージ10及び基板2を第2方向に一定の速度で移動させたが、本実施形態に係る露光装置は、ステージ駆動部14によるステージ10及び基板2の第2方向の移動速度を適宜変化させ、これにより、露光タクトを更に短縮できる。図13は、本第2実施形態に係る露光装置において、ステージの移動速度を示すグラフ図である。1回の露光光の照射後にステージ10が移動され、次の露光対象領域が露光光の照射予定位置に到達するまでは、露光光を出射する必要はなく、単に基板2を搬送するだけである。よって、次の露光対象領域が、露光光の照射位置にある程度近くなるまでは、ステージ10を移動させる速度を大きくして移動時間を短縮することにより、露光タクトを短くできる。例えばステージ10の移動速度は、図13に示すように200mm/秒程度まで大きくすることができる。例えば図13に示す例においては、1の露光領域から次の露光予定領域までは190mmピッチ離れており、この距離を第1実施形態のように20mm/秒の一定速度で移動させた場合、移動時間だけで9.5秒かかるが、本実施形態のようにステージ10を加減速することにより、190mmの距離を例えば1.4秒で移動させることができる。
【0053】
この場合に、ステージ10及び基板2の移動速度に所定の閾値を設け、ステージ10及び基板2の移動速度を適宜変化させることが好ましい。即ち、基板2を高速で移動させた場合、露光に必要な解像力の許容誤差を超えて露光領域が形成されてしまうことが考えられる。ステージ10及び基板2の移動速度の閾値は、露光に必要な解像力の許容誤差の範囲により変化するが、例えば第2方向における長さが2μmの露光領域を形成する際に、解像力の許容誤差範囲を0.2μmとする場合においては、露光光の照射時におけるステージ10の移動速度を20mm/秒以下とする。
【0054】
移動速度の変更は、例えば露光光の照射位置と基板2上の露光予定領域との間の距離に応じて行う。この場合には、露光装置に例えば第2方向に延びるようなラインCCD等の検出部を設け、個別基板となる領域21に夫々対応するように設けられたN字形状のマーク2aの位置を第2方向に沿って検出できるように構成する。そして、第2方向に延びるラインCCDによる検出結果に基づき、基板2の露光予定領域が露光光の照射位置から所定距離以上離れているときには、ステージ10の移動速度を所定の閾値以上とし、基板2の露光予定領域が露光光の照射位置に所定距離まで近づいたときにステージ10を減速させ、これにより、露光予定領域が露光光の照射予定位置に到達したときのステージ10の移動速度を前記閾値以下となるように、移動速度を制御する。図13に示す例においては、ステージ制御部18は、1の露光領域を形成した後、ステージ10を加速させ、加速を開始してから0.5秒後のステージの移動速度を200mm/秒とする。そして、ステージ10の移動速度を0.4秒間保持する。これにより、次の露光領域が露光光の照射予定位置に到達するまでの距離が40mmとなる。ステージ制御部18は、基板2の露光予定領域がこの地点まで近づいたら、ステージ10を減速させ、次の露光領域が0.5秒後に露光光の照射予定位置に到達したときのステージ10の移動速度を20mm/秒とする。
【0055】
そして、光源制御部15により、露光光を出射するタイミングを制御する。即ち、光源制御部15は、第2の検出部22の検出結果に基づき、露光予定の領域がマイクロレンズアレイ13の透過光の結像領域に到達した瞬間に、光源11からパルスレーザ光を出射させる。即ち、この露光光の出射のタイミングは、第2方向におけるN字形状のマーク2aの位置に応じて決定される。これにより、露光に必要な解像力の許容誤差範囲内で、各露光領域を精度良く形成することができる。
【0056】
以上のように、本実施形態においては、必要に応じてステージ10及び基板2の移動速度を大きくすることにより、露光タクトを大きく短縮することができ、移動速度を露光予定領域と露光光の照射予定位置との距離に応じて変化させることにより、高精度の露光が可能である。
【0057】
なお、本実施形態の露光装置においては、検出部22は、ステージ制御部18に接続されていてもよく、検出部22による検出結果に基づき、ステージ10の移動速度をフィードバック制御できるように構成すれば、露光精度は更に向上する。
【0058】
次に、本発明の第3実施形態に係る露光装置について説明する。本実施形態においては、第1実施形態に係る露光装置において、図14に示すように、露光装置には、2層目以降の露光用パターンが形成されたマスク12aが設けられている。本実施形態においても、第1方向に延びるように設けられたラインCCD等の検出部22は、2層目以降の露光領域を形成する際に、各基板となる領域21に対応するように形成されたN字形状のマーク2aを検出し、光源制御部15は、検出部22による検出結果に基づいて、所定のタイミングで光源11からパルスレーザ光の露光光を出射させる。
【0059】
本実施形態のように、基板2に2層目以降の露光を行う場合において、1層目の露光と同じ基板指標を使用して露光光の出射のタイミングを決定することにより、形成される2層目以降の露光領域は、1層目の露光領域に対する相対的位置がずれることなく全ての層で一致する。よって、特に第2方向において、高い露光精度を維持することができる。
【0060】
なお、本実施形態においても、第2実施形態と同様に、必要に応じてステージ10及び基板2の移動速度を変化させることにより、2層目以降の露光において、露光タクトが飛躍的に向上する。
【0061】
次に、本発明の第4実施形態に係る露光装置について説明する。本実施形態においては、図14に示す露光装置において、第1方向に延びるラインCCD等の検出部22は、個別基板となる領域21の夫々に対応して設けられたN字形状のマーク2aについて、その第1方向における位置も検出できるように構成されている。即ち、本実施形態においては、検出部22は、マーク2aの第2方向に延びる2辺間の中心位置を検出することにより、第1方向における個別基板となる領域21の位置を検出する。同様に、検出部22は、マスク12aのN字形状のスリット124についても、第1方向における中心位置を検出できるように構成されている。そして、2層目以降のパターンの形成の際に、例えばラインCCDが検出したスリット124の位置が個別基板となる領域21に対してずれている場合には、マスク12a及びマイクロレンズアレイ13の位置を、第1方向にずれた量だけ、補正できるように構成されている。
【0062】
基板2に対してパターンを複数層転写する場合においては、マスクを取り換えたり、搬送に伴って基板2が第1方向に蛇行する場合等が考えられる。しかし、本実施形態のように、基板2に形成されたマーク2aを基準として、マスク及びマイクロレンズアレイ13の位置を補正することにより、2層目以降のパターンを形成する場合においても、第1方向において、高い露光精度を確実に維持することができる。
【0063】
なお、本実施形態においては、第1方向における基板2の位置を検出する検出部とマスク12aの位置を検出するラインCCD等の検出部22が1箇所だけに設けられている場合を説明したが、検出部22は夫々の方向に対応するように個別に設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0064】
1:露光装置、11:光源、12:マスク、13:マイクロレンズアレイ、14:ステージ駆動部、15:光源制御部、16:マスク駆動部、17:マスク位置制御部、18:ステージ制御部、19:第1の検出部、20:ステージ位置検出部、21:基板となる領域、22:検出部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルス的にレーザ光を発光する光源と、
露光すべきパターンが形成されたマスクと、
正立等倍像を基板上に結像させる複数個のマイクロレンズが行方向の第1方向に整列し列方向の第2方向に所定の行ピッチで複数行設けられたマイクロレンズアレイと、
前記光源からのレーザ光を前記マスクを通して前記マイクロレンズアレイに導く光学系と、
前記基板を前記第2方向に移動させる駆動装置と、
前記マイクロレンズアレイと前記マスクとの相対的な位置関係を前記マイクロレンズの前記行ピッチだけ前記第2方向に順次切り替える切替装置と、
前記駆動装置による前記基板の移動と前記切替装置による前記マイクロレンズアレイと前記マスクとの相対的位置関係の切替と前記レーザ光の照射タイミングとを制御する制御装置と、
を有することを特徴とする露光装置。
【請求項2】
前記マイクロレンズアレイは、1回の前記レーザ光の照射で、マイクロレンズの数に応じた複数個の矩形の領域を露光するものであり、
前記矩形の領域は、碁盤目状の位置に第1方向に相互間に間隔をおいて第1方向に所定の列ピッチで配置され、
第1行の前記領域の配置位置は、前記第1方向に、1又は複数個の位置を隔てて、所定の列ピッチで配置され、
前記第1行に対して第2方向に隣接する第2行の前記領域は、前記第1行の領域の前記間隔の位置に対応する位置に、前記第1方向に、前記列ピッチをおいて配置され、
更に、前記第2行に対して第2方向に隣接する第3行の前記領域は、前記第1行及び前記第2行に共通する間隔の位置がある場合はその位置に対応する位置に、前記共通する間隔の位置がない場合は前記第1行の前記領域に対応する位置に、前記第1方向に、前記列ピッチをおいて配置され、
以下同様にして各行に対して、前段の全ての行に共通する領域間の間隔が無くなるまで前記第1方向の配置位置をずらせて後段の行の領域が配置され、全ての行に共通する領域間の間隔がなくなったときに、第1方向に関し第1行と同一の配置位置に前記領域が配置されて再度順次複数行の前記領域が配置されることを特徴とする請求項1に記載の露光装置。
【請求項3】
前記マイクロレンズアレイは、前記複数個のマイクロレンズが行方向の第1方向に整列し列方向の第2方向に所定の行ピッチで複数行設けられた4枚のマイクロレンズアレイ単体と、遮光性の材料からなり複数個の矩形の光透過部が前記マイクロレンズの位置に対応するように設けられた遮光部材と、を有し、前記遮光部材が2枚のマイクロレンズアレイ単体と2枚のマイクロレンズアレイ単体との間の倒立等倍像の結像位置に配置され、各マイクロレンズと光透過部とが光軸を同一にして配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の露光装置。
【請求項4】
前記制御装置は、前記マイクロレンズアレイと前記マスクとの相対的位置関係を維持したまま、前記基板を第2方向の正方向に移動させて前記基板の露光対象領域全体を露光した後、前記切替装置により前記マイクロレンズアレイと前記マスクとの相対的な位置関係を第2方向に前記行ピッチだけずらせて切り替えた後、前記基板を第2方向の逆方向に移動させて前記基板の露光対象領域全体を露光し、更に、前記切替装置により前記マイクロレンズアレイと前記マスクとの相対的な位置関係を第2方向に前記行ピッチだけずらせて切り替えた後、前記基板を第2方向の正方向に移動させて前記基板の露光対象領域全体を露光するという工程を繰り返して、前記基板の露光対象領域全体に前記マスクの露光パターンを転写することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の露光装置。
【請求項5】
前記マスクには、前記第2方向に前記行ピッチでマスク位置のマスク指標が複数個設けられており、
前記マイクロレンズアレイには、前記マスク指標を利用して前記マスクとの相対的位置合わせに使用される指標検出用マイクロレンズが設けられており、
前記露光装置は、前記マスク位置の前記マスク指標を検出する第1の検出部を有し、
前記切替装置は、
先ず、前記指標検出用マイクロレンズにより前記マスクの第1のマスク指標を検出した状態で、前記マスクと前記マイクロレンズアレイとの位置関係を固定し、この状態で前記制御装置が前記基板を前記マイクロレンズアレイに対して第2方向の正方向に移動させ、
次に、前記指標検出用マイクロレンズにより前記マスクにおける前記第1のマスク指標より第2方向に行ピッチだけずれた第2のマスク指標を検出するように、前記マイクロレンズアレイと前記マスクとの位置関係を切り替えた後、その位置関係を固定し、この状態で前記制御装置が前記基板を前記マイクロレンズアレイに対して第2方向の逆方向に移動させ、
更に、前記指標検出用マイクロレンズにより前記マスクにおける前記第2のマスク指標より第2方向に行ピッチだけずれた第3のマスク指標を検出するように、前記マイクロレンズアレイと前記マスクとの位置関係を切り替えた後、その位置関係を固定し、この状態で前記制御装置が前記基板を前記マイクロレンズアレイに対して第2方向の正方向に移動させるという工程を繰り返して、前記基板の露光対象領域全体に前記マスクの露光パターンを転写することを特徴とする請求項4に記載の露光装置。
【請求項6】
前記基板には、採取すべき個別基板に対応する個別露光領域が、第2方向に配置されており、前記個別露光領域間には、基板位置を検出するための基板指標が設けられており、
前記露光装置は、前記基板指標を検出して前記基板の第2方向の位置を検出する第2の検出部を有し、
前記制御装置は、前記第2の検出部による基板位置の検出タイミングで、前記光源からレーザ光を出射してパルス露光することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の露光装置。
【請求項7】
前記制御装置は、前記駆動装置を介して、前記基板を前記第2方向に一定の速度で移動させ、
前記第2の検出部により前記基板指標を検出した時に、前記光源からレーザ光を出射してパルス露光することを特徴とする請求項6に記載の露光装置。
【請求項8】
前記制御装置は、前記駆動装置を介して、前記基板をレーザ光の照射時の低速移動時と、非露光時の高速移動時と、前記低速移動時と前記高速移動時との加減速時とを繰り返すように前記基板の移動を制御し、
前記低速移動時又は前記加減速時の前記低速移動時の近傍の期間であって、前記第2の検出部が前記基板指標を検出可能な期間の特定の時点で、前記光源からレーザ光を出射してパルス露光することを特徴とする請求項6に記載の露光装置。
【請求項9】
更に、前記第1方向における前記マスクの位置を検出する第3の検出部と、
前記第1方向における前記基板の位置を検出する第4の検出部と、
前記第3の検出部及び前記第4の検出部による検出結果に基づいて、前記第1方向における前記マスクの位置が前記基板に対して所定の位置からずれている場合に、前記第1方向における前記マスク及び前記マイクロレンズアレイの位置を補正するマスク位置制御装置と、を有することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の露光装置。
【請求項1】
パルス的にレーザ光を発光する光源と、
露光すべきパターンが形成されたマスクと、
正立等倍像を基板上に結像させる複数個のマイクロレンズが行方向の第1方向に整列し列方向の第2方向に所定の行ピッチで複数行設けられたマイクロレンズアレイと、
前記光源からのレーザ光を前記マスクを通して前記マイクロレンズアレイに導く光学系と、
前記基板を前記第2方向に移動させる駆動装置と、
前記マイクロレンズアレイと前記マスクとの相対的な位置関係を前記マイクロレンズの前記行ピッチだけ前記第2方向に順次切り替える切替装置と、
前記駆動装置による前記基板の移動と前記切替装置による前記マイクロレンズアレイと前記マスクとの相対的位置関係の切替と前記レーザ光の照射タイミングとを制御する制御装置と、
を有することを特徴とする露光装置。
【請求項2】
前記マイクロレンズアレイは、1回の前記レーザ光の照射で、マイクロレンズの数に応じた複数個の矩形の領域を露光するものであり、
前記矩形の領域は、碁盤目状の位置に第1方向に相互間に間隔をおいて第1方向に所定の列ピッチで配置され、
第1行の前記領域の配置位置は、前記第1方向に、1又は複数個の位置を隔てて、所定の列ピッチで配置され、
前記第1行に対して第2方向に隣接する第2行の前記領域は、前記第1行の領域の前記間隔の位置に対応する位置に、前記第1方向に、前記列ピッチをおいて配置され、
更に、前記第2行に対して第2方向に隣接する第3行の前記領域は、前記第1行及び前記第2行に共通する間隔の位置がある場合はその位置に対応する位置に、前記共通する間隔の位置がない場合は前記第1行の前記領域に対応する位置に、前記第1方向に、前記列ピッチをおいて配置され、
以下同様にして各行に対して、前段の全ての行に共通する領域間の間隔が無くなるまで前記第1方向の配置位置をずらせて後段の行の領域が配置され、全ての行に共通する領域間の間隔がなくなったときに、第1方向に関し第1行と同一の配置位置に前記領域が配置されて再度順次複数行の前記領域が配置されることを特徴とする請求項1に記載の露光装置。
【請求項3】
前記マイクロレンズアレイは、前記複数個のマイクロレンズが行方向の第1方向に整列し列方向の第2方向に所定の行ピッチで複数行設けられた4枚のマイクロレンズアレイ単体と、遮光性の材料からなり複数個の矩形の光透過部が前記マイクロレンズの位置に対応するように設けられた遮光部材と、を有し、前記遮光部材が2枚のマイクロレンズアレイ単体と2枚のマイクロレンズアレイ単体との間の倒立等倍像の結像位置に配置され、各マイクロレンズと光透過部とが光軸を同一にして配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の露光装置。
【請求項4】
前記制御装置は、前記マイクロレンズアレイと前記マスクとの相対的位置関係を維持したまま、前記基板を第2方向の正方向に移動させて前記基板の露光対象領域全体を露光した後、前記切替装置により前記マイクロレンズアレイと前記マスクとの相対的な位置関係を第2方向に前記行ピッチだけずらせて切り替えた後、前記基板を第2方向の逆方向に移動させて前記基板の露光対象領域全体を露光し、更に、前記切替装置により前記マイクロレンズアレイと前記マスクとの相対的な位置関係を第2方向に前記行ピッチだけずらせて切り替えた後、前記基板を第2方向の正方向に移動させて前記基板の露光対象領域全体を露光するという工程を繰り返して、前記基板の露光対象領域全体に前記マスクの露光パターンを転写することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の露光装置。
【請求項5】
前記マスクには、前記第2方向に前記行ピッチでマスク位置のマスク指標が複数個設けられており、
前記マイクロレンズアレイには、前記マスク指標を利用して前記マスクとの相対的位置合わせに使用される指標検出用マイクロレンズが設けられており、
前記露光装置は、前記マスク位置の前記マスク指標を検出する第1の検出部を有し、
前記切替装置は、
先ず、前記指標検出用マイクロレンズにより前記マスクの第1のマスク指標を検出した状態で、前記マスクと前記マイクロレンズアレイとの位置関係を固定し、この状態で前記制御装置が前記基板を前記マイクロレンズアレイに対して第2方向の正方向に移動させ、
次に、前記指標検出用マイクロレンズにより前記マスクにおける前記第1のマスク指標より第2方向に行ピッチだけずれた第2のマスク指標を検出するように、前記マイクロレンズアレイと前記マスクとの位置関係を切り替えた後、その位置関係を固定し、この状態で前記制御装置が前記基板を前記マイクロレンズアレイに対して第2方向の逆方向に移動させ、
更に、前記指標検出用マイクロレンズにより前記マスクにおける前記第2のマスク指標より第2方向に行ピッチだけずれた第3のマスク指標を検出するように、前記マイクロレンズアレイと前記マスクとの位置関係を切り替えた後、その位置関係を固定し、この状態で前記制御装置が前記基板を前記マイクロレンズアレイに対して第2方向の正方向に移動させるという工程を繰り返して、前記基板の露光対象領域全体に前記マスクの露光パターンを転写することを特徴とする請求項4に記載の露光装置。
【請求項6】
前記基板には、採取すべき個別基板に対応する個別露光領域が、第2方向に配置されており、前記個別露光領域間には、基板位置を検出するための基板指標が設けられており、
前記露光装置は、前記基板指標を検出して前記基板の第2方向の位置を検出する第2の検出部を有し、
前記制御装置は、前記第2の検出部による基板位置の検出タイミングで、前記光源からレーザ光を出射してパルス露光することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の露光装置。
【請求項7】
前記制御装置は、前記駆動装置を介して、前記基板を前記第2方向に一定の速度で移動させ、
前記第2の検出部により前記基板指標を検出した時に、前記光源からレーザ光を出射してパルス露光することを特徴とする請求項6に記載の露光装置。
【請求項8】
前記制御装置は、前記駆動装置を介して、前記基板をレーザ光の照射時の低速移動時と、非露光時の高速移動時と、前記低速移動時と前記高速移動時との加減速時とを繰り返すように前記基板の移動を制御し、
前記低速移動時又は前記加減速時の前記低速移動時の近傍の期間であって、前記第2の検出部が前記基板指標を検出可能な期間の特定の時点で、前記光源からレーザ光を出射してパルス露光することを特徴とする請求項6に記載の露光装置。
【請求項9】
更に、前記第1方向における前記マスクの位置を検出する第3の検出部と、
前記第1方向における前記基板の位置を検出する第4の検出部と、
前記第3の検出部及び前記第4の検出部による検出結果に基づいて、前記第1方向における前記マスクの位置が前記基板に対して所定の位置からずれている場合に、前記第1方向における前記マスク及び前記マイクロレンズアレイの位置を補正するマスク位置制御装置と、を有することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の露光装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−181452(P2012−181452A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−45576(P2011−45576)
【出願日】平成23年3月2日(2011.3.2)
【出願人】(500171707)株式会社ブイ・テクノロジー (283)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月2日(2011.3.2)
【出願人】(500171707)株式会社ブイ・テクノロジー (283)
【Fターム(参考)】
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