説明

青紫色レーザー光吸収材料

【課題】青紫色レーザー光付近の波長領域(400〜420nm)に有効な吸収能を有する化合物を含有した青紫色レーザー光吸収材料、およびそれを用いた保護具、半導体基板用樹脂封止材を提供する。
【解決手段】基材となる合成樹脂100質量部に対して、下記一般式(1)、


(式中、Rは炭素原子数1〜12の直鎖又は分岐のアルキル基等を表す。)で表されるトリアジン系化合物0.001〜20質量部を配合してなることを特徴とする青紫色レーザー光吸収材料である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定のトリアジン系化合物を含有する青紫色レーザー光吸収材料、およびそれを用いた保護具、半導体基板用樹脂封止材に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、医療分野においてレーザー光を用いた光化学治療(Photodynamic Therapy:PDT)が普及し始めている。レーザー装置は、止血を伴う切開が可能であることから、出血を伴う口腔内外科的治療用の歯科医療分野において特に広く普及している。
【0003】
現在、歯科医療分野においては、AlGaAs系やInGaAs系半導体レーザーが最も多く使用されているが、近年、その切断能力と治癒速度の早さ等の観点から、GaN系青紫色半導体レーザー(波長:405nm)が注目されている。さらに、歯科分野においては、青紫色半導体レーザーは、切開以外にも歯周病原菌等の殺菌やホワイトニング(歯の漂白)といった治療への応用が進められている。
【0004】
波長405nmの光は、眼の網膜や水晶体等へ支障を与え、白内障や角膜炎を引き起こすことが知られており、該レーザー光から眼を保護する保護具が用いられる。また、該保護具においては、まぶしさを軽減する目的で400〜500nmの波長を完全にカットする材料が有用とされている。
【0005】
一方、電気機器分野においても、レーザー光装置の開発に伴う技術発展は目覚しいものがある。従来、CD−R/RW、DVD−R/RW等の媒体の書き込み及び読み取りには、いわゆる赤色レーザー光が普及していたが、近年、より鮮明・高精細で、データ量の大きな画像や動画の記録が要求されるようになり、大量のデータを記録するために、高密度の記録を可能にした青紫色レーザーを用いたブルーレイディスク(Blu−ray Disc)や、HD‐DVD(High Definition Digital Versatile Disc)と呼ばれる次世代光ディスクが開発されるようになった。
【0006】
また、電気機器に用いられる半導体基板には、半導体素子の保護、防湿、絶縁用途を目的として、半導体基板用樹脂封止材が用いられ、特許文献1には、封止樹脂としてシリコーン樹脂を用いる手法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−130768号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、まぶしさを軽減する目的で400〜500nmの波長を完全にカットする材料を上記保護具に用いた場合、保護具の使用により室内での視界が暗くなり、コントラスト感度が低下して作業に支障をきたす等といった問題が生じることがあった。そのため青紫色半導体レーザー波長を含む有害な紫外線だけをカットし、かつ、450nm以上の波長領域に大きな吸収を有しないことにより室内でも視界の明るさを充分に確保できる材料が望まれている。
【0009】
また、電気機器分野においても、光ディスクに使用される青紫色レーザーが、電気機器に用いられる半導体基板の封止樹脂を劣化させ、半導体装置の耐久性等の動作品質が低下するという問題があり、電気機器に用いられる半導体基板用樹脂封止材のさらなる改良が求められていた。
【0010】
そこで本発明の目的は、青紫色レーザー光付近の波長領域(400〜420nm)に有効な吸収能を有する化合物を含有した青紫色レーザー光吸収材料、およびそれを用いた保護具、半導体基板用樹脂封止材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、特定の構造を有するトリアジン系化合物が青紫色レーザー光波長に顕著に有効な吸収能を発揮することを見出し本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち、本発明の青紫色レーザー光吸収材料は、基材となる合成樹脂100質量部に対して、下記一般式(1)、
【化1】

(式中、Rは炭素原子数1〜12の直鎖又は分岐のアルキル基、炭素原子数3〜8のシクロアルキル基、炭素原子数2〜8のアルケニル基、炭素原子数6〜18のアリール基、炭素原子数7〜18のアルキルアリール基又は炭素原子数7〜18のアリールアルキル基を表す。但し、これらのアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、アルキルアリール基又はアリールアルキル基は、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、炭素原子数1〜12のアルキル基又はアルコキシ基で置換されていてもよく、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、エステル基、アミド基又はイミノ基で中断されていてもよい。また、上記の置換及び中断は組み合わされてもよい。Rは炭素原子数1〜8のアルキル基又は炭素
原子数2〜8のアルケニル基を表す。)で表されるトリアジン系化合物0.001〜20質量部を配合してなることを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明の青紫色レーザー光吸収材料は、前記トリアジン系化合物が下記一般式(2)、
【化2】

(式中、Rは炭素原子数1〜12の直鎖又は分岐のアルキル基を表す。但し、これらのアルキル基はヒドロキシ基、ハロゲン原子又はアルコキシ基で置換されていてもよく、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、エステル基、アミド基又はイミノ基で中断されていてもよい。)で表されることが好ましい。
【0014】
また、本発明の保護具は前記青紫色レーザー光吸収材料を用いたものであり、前記合成樹脂がポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、シクロオレフィン系樹脂およびノルボルネン系樹脂からなる群から選ばれる1種以上であることが好ましい。
【0015】
さらにまた、本発明の半導体基板用樹脂封止材は、前記青紫色レーザー光吸収材料を用いたものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明により、青紫色レーザー光の吸収能に優れた光吸収材料、およびそれを用いた保護具、半導体基板用樹脂封止材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施例1及び比較例1で作製したPC樹脂配合系でのUV透過率曲線を表すグラフである。
【図2】実施例2及び比較例3で作製したPMMA樹脂配合系でのUV透過率曲線を表すグラフである。
【図3】実施例3及び比較例3で作製したNBE樹脂配合系でのUV透過率曲線
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に用いられるトリアジン系化合物は、下記一般式(1)で表される。

(式中、Rは炭素原子数1〜12の直鎖又は分岐のアルキル基、炭素原子数3〜8のシクロアルキル基、炭素原子数〜8のアルケニル基、炭素原子数6〜18のアリール基、炭素原子数7〜18のアルキルアリール基又は炭素原子数7〜18のアリールアルキル基を表す。但し、これらのアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、アルキルアリール基又はアリールアルキル基は、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、炭素原子数1〜12のアルキル基又はアルコキシ基で置換されていてもよく、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、エステル基、アミド基又はイミノ基で中断されていてもよい。また、上記の置換及び中断は組み合わされてもよい。Rは炭素原子数1〜8のアルキル基又は炭素原子数2〜8のアルケニル基を表す。)
【0019】
前記一般式(1)においてRで表される炭素原子数1〜12の直鎖又は分岐のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、第二ブチル、第三ブチル、アミル、第三アミル、ヘキシル、オクチル、第二オクチル、第三オクチル、2−エチルヘキシル、デシル、ウンデシル、ドデシル等の直鎖又は分岐のアルキル基が挙げられる。炭素原子数3〜8のシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル基等が挙げられ、中でもヘキシル基が、本発明の目的である青紫色レーザー光の吸収特性に優れるため好ましい。
【0020】
で表される炭素原子数1〜8のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、第二ブチル、第三ブチル、イソブチル、アミル、第三アミル、ヘキシル、オクチル、第三オクチル等が挙げられ、中でもメチル基が、本発明の目的である青紫色レーザー光の吸収特性に優れるため好ましい。
【0021】
及びRで表される炭素原子数2〜8のアルケニル基としては、直鎖及び分岐のプロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニルが不飽和結合の位置によらず挙げられる。
【0022】
で表される炭素原子数6〜18のアリール基としては、例えば、フェニル、ナフチル、ビフェニル等が挙げられ、炭素原子数7〜18のアルキルアリール基としては、例えば、メチルフェニル、ジメチルフェニル、エチルフェニル、オクチルフェニル等が挙げられ、炭素原子数7〜18のアリールアルキル基としては、例えば、ベンジル、2−フェニルエチル、1−メチル−1−フェニルエチル等が挙げられる。また、置換基や中断を有するアリール基としては、4−メチルフェニル、3−クロロフェニル、4−ベンジルオキシフェニル、4−シアノフェニル、4−フェノキシフェニル、4−グリシジルオキシフェニル、4−イソシアヌレートフェニル等が挙げられる。
【0023】
上記エステル基は、カルボン酸とアルコールが脱水縮合して形成される基であり、上記アミド基はカルボン酸とアミンの脱水縮合により形成される基である。
【0024】
また、炭素原子数が1〜12の上記アルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、ヘキサオキシ、オクトキシ、ノニルオキシ、デシルオキシ、ウンデシルオキシ、ドデシルオキシ基が挙げられる。
【0025】
置換基または中断を有していてもよいRのアルキル基、シクロアルキル基としては、2−ヒドロキシプロピル、2−メトキシエチル、3−スルホニル−2−ヒドロキシプロピル、4−メチルシクロヘキシル等が挙げられる。
【0026】
本発明の一般式(1)で表されるトリアジン系化合物は、好ましくは下記一般式(2)で表されるトリアジン系化合物で表される。

(式中、Rは炭素原子数1〜12の直鎖又は分岐のアルキル基を表す。但し、これらのアルキル基はヒドロキシ基、ハロゲン原子又はアルコキシ基で置換されていてもよく、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、エステル基、アミド基又はイミノ基で中断されていてもよい。)
【0027】
上記一般式(2)で表されるRにおける炭素原子数1〜12の直鎖又は分岐のアルキル基としては、前記一般式(1)におけるRが表す直鎖又は分岐のアルキル基と同じ基が挙げられる。また、アルコキシ基は上記アルコキシ基と同様である。
【0028】
本発明の青紫色レーザー光吸収材に用いられる前記一般式(1)又は(2)で表される化合物としては、例えば、下記の化合物No.1〜No.4等の化合物が挙げられる。
【0029】

【0030】

【0031】

【0032】

【0033】
本発明の前記一般式(1)で表されるトリアジン系化合物の使用量は、基材樹脂となる合成樹脂100質量部に対して、0.001〜20質量部であり、好ましくは0.01〜10質量部、より好ましくは0.1〜5質量部である。使用量が0.001質量部未満であると、充分な青色レーザー光吸収能力が発揮できず、使用量が20質量部超であると、合成樹脂物性の低下や、ブリード等により外観を損なう等の問題を生じる。
【0034】
本発明に用いられる合成樹脂は、特に限定されず、例えば、高密度ポリエチレン、アイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、ヘミアイソタクチックポリプロピレン、ポリブテン−1、ポリ3−メチル−1−ブテン、ポリ3−メチル−1−ペンテン、ポリ4−メチル−1−ペンテン、エチレン/プロピレンブロック又はランダム共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、オレフィン−マレイミド共重合体などのポリオレフィン系樹脂及びこれらの重合体を与えるモノマーの共重合体;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩素化ポリエチレン、ポリフッ化ビニリデン、塩化ゴム、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−エチレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン−酢酸ビニル三元共重合体、塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−マレイン酸エステル共重合体、塩化ビニル−シクロヘキシルマレイミド共重合体等の含ハロゲン樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−1,2−ジフェノキシエタン−4,4’−ジカルボキシレート、ポリヘキサメチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリスチレン、ハイインパクトポリスチレン(HIPS)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、塩素化ポリエチレンアクリロニトリルスチレン(ACS)、スチレンアクリロニトリル(SAN)、アクリロニトリルブチルアクリレートスチレン(AAS)、ブタジエンスチレン、スチレンマレイン酸、スチレンマレイミド、エチレンプロピレンアクリロニトリルスチレン(AES)、ブタジエンメタクリル酸メチルスチレン(MBS)等のスチレン系樹脂;ポリカーボネート、分岐ポリカーボネート等のポリカーボネート系樹脂;ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリカプロラクタム(ナイロン6)、ナイロン6Tなどの芳香族ジカルボン酸や脂環式ジカルボン酸を使用したポリアミド等のポリアミド系樹脂;ポリフェニレンオキシド(PPO)樹脂;変性ポリフェニレンオキシド樹脂;ポリフェニレンサルフィド(PPS)樹脂;ポリアセタール(POM);変性ポリアセタール;ポリスルホン;ポリエーテルスルホン;ポリエーテルケトン;ポリエーテルイミド;ポリオキシエチレン;石油樹脂;クマロン樹脂;ノルボルネン樹脂等のシクロオレフィン樹脂、シクロオレフィン−オレフィン共重合樹脂;ポリ酢酸ビニル樹脂;ポリビニルアルコール樹脂;ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂;ポリカーボネートとスチレン系樹脂とのポリマーアロイ;ポリビニルアルコール樹脂;ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース(TAC)、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース、ニトロセルロース等のセルロース系樹脂;液晶ポリマー(LCP);シリコン樹脂;ウレタン樹脂;脂肪族ジカルボン酸、脂肪族ジオール、脂肪族ヒドロキシカルボン酸もしくはその環状化合物からの脂肪族ポリエステル、さらにはこれらがジイソシアネートなどにより分子量が増加した脂肪族ポリエステル等の生分解性樹脂;及びこれらのリサイクル樹脂等が挙げられる。さらにフェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられる。さらに天然ゴム(NR)、ポリイソプレンゴム(IR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、ブチルゴム(IIR)、クロロプレンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、シリコーンゴム等のゴム系高分子化合物が挙げられ、中でも保護具(眼鏡又はゴーグル)としては、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリエチレンナフタレート系樹脂、アクリル樹脂が透明性、耐久性に優れるため好適であり、封止樹脂用としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂又はシリコーン樹脂等が絶縁効果に優れるため好適である。また、これらの合成樹脂は単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。
【0035】
本発明の青紫色レーザー光吸収材料には、用途に応じて通常用いられる酸化防止剤(フェノール系、リン系またはチオエーテル系等)、他の紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、可塑剤、帯電防止剤、加工助剤等の添加剤を併用することができる。
【0036】
上記フェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ第三ブチル−p−クレゾール、2,6−ジフェニル−4−オクタデシロキシフェノール、ジステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホネート、1,6−ヘキサメチレンビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アミド〕、4,4’−チオビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−第三ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−第三ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ第三ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4−第二ブチル−6−第三ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−第三ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−アクリロイルオキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェノール、ステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、チオジエチレングリコールビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサメチレンビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、ビス〔3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−第三ブチルフェニル)ブチリックアシッド〕グリコールエステル、ビス〔2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェニル〕テレフタレート、1,3,5−トリス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル〕イソシアヌレート、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−{(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、トリエチレングリコールビス〔(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート〕、トコフェロール等が挙げられる。
【0037】
上記リン系酸化防止剤としては、例えば、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス〔2−第三ブチル−4−(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニルチオ)−5−メチルフェニル〕ホスファイト、トリデシルホスファイト、オクチルジフェニルホスファイト、ジ(デシル)モノフェニルホスファイト、ジ(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ第三ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4,6−トリ第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラ(トリデシル)イソプロピリデンジフェノールジホスファイト、テトラ(トリデシル)−4,4’−n−ブチリデンビス(2−第三ブチル−5−メチルフェノール)ジホスファイト、ヘキサ(トリデシル)−1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタントリホスファイト、テトラキス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ビフェニレンジホスホナイト、9,10−ジハイドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)−2−エチルヘキシルホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)−オクタデシルホスファイト、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)フルオロホスファイト、トリス(2−〔(2,4,8,10−テトラキス第三ブチルジベンゾ〔d,f〕〔1,3,2〕ジオキサホスフェピン−6−イル)オキシ〕エチル)アミン、2−(1,1−ジメチルエチル)−6−メチル−4−[3−[[2,4,8,10−トラキス(1,1−ジメチルエチル)ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン−6−イル]オキシ]プロピル]フェノール、2−エチル−2−ブチルプロピレングリコールと2,4,6−トリ第三ブチルフェノールのホスファイト等が挙げられる。
【0038】
上記チオエーテル系酸化防止剤としては、チオジプロピオン酸ジラウリル、チオジプロピオン酸ジミリスチル、チオジプロピオン酸ジステアリル等のジアルキルチオジプロピオネート類及びペンタエリスリトールテトラ(β−ドデシルメルカプトプロピオネート)等のポリオールのβ−アルキルメルカプトプロピオン酸エステル類が挙げられる。
【0039】
本発明に用いられる他の紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、他のトリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤及びベンゾエート系紫外線吸収剤等が挙げられる。
【0040】
上記ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ第三ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−第三ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−第三オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−第三ブチル−5’−カルボキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス(4−第三オクチル−6−ベンゾトリアゾリル)フェノール等の2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類が挙げられる。
【0041】
上記他のトリアジン系紫外線吸収剤としては、2−(2−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−s−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシフェニル)−4,6−ジフェニル−s−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−プロポキシ−5−メチルフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−s−トリアジン、2−[2−ヒドロキシ−4−(3−ドデシルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)フェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−s−トリアジン、2−[2−ヒドロキシ−4−(3−トリデシルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)フェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−s−トリアジン、2−[2−ヒドロキシ−4−[3−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシプロピルオキシ]フェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−s−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシフェニル)−4,6−ジビフェニル−s−トリアジン、2−[2−ヒドロキシ−4−[1−(i−オクチルオキシカルボニル)エチルオキシ]フェニル]−4,6−ジビフェニル−s−トリアジン、2,4−ビス(2−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)−6−(2,4−ジメチルフェニル)−s−トリアジン、2,4−ビス(4−ブトキシ−2−ヒドロキシフェニル)−6−(2,4−ジブトキシフェニル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)−s−トリアジン等のトリアリールトリアジン類等が挙げられる。
【0042】
上記ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、5,5’−メチレンビス(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン)等の2−ヒドロキシベンゾフェノン類が挙げられる。
【0043】
上記ベンゾエート系紫外線吸収剤としては、フェニルサリシレート、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4−ジ第三ブチルフェニル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2,4−ジ第三アミルフェニル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等が挙げられる。
【0044】
上記ヒンダードアミン系光安定剤としては、例えば、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルステアレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルステアレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルブタンテトラカルボキシレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−ブチル−2−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノール/コハク酸ジエチル重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/ジブロモエタン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−モルホリノ−s−トリアジン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−第三オクチルアミノ−s−トリアジン重縮合物、1,5,8,12−テトラキス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1,5,8,12−テトラキス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1,6,11−トリス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イルアミノウンデカン、1,6,11−トリス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イルアミノウンデカン等のヒンダードアミン化合物が挙げられる。
【0045】
これらの酸化防止剤、他の紫外線吸収剤及びヒンダードアミン系光安定剤は、基材樹脂への溶解性に優れた構造が好ましく、また、加工時や使用時の熱で揮散しにくい高分子量の構造のものが好ましく、分子量500以上、より好ましくは分子量700以上であり、重合性基や反応性基を導入して高分子量化したり、合成樹脂に組み込んだものでもよい。これらの使用量は、上記合成樹脂100質量部に対して、好ましくは0.01〜10質量部、より好ましくは、0.05〜5質量部である。
【0046】
上記可塑剤としては、特に限定されないが、例えばリン酸エステル系可塑剤やポリエステル系可塑剤が挙げられ、これらは、単独或いは2種以上混合して用いることができる。
【0047】
上記リン酸エステル系可塑剤としては、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート等が挙げられる。
【0048】
上記ポリエステル系可塑剤としては、脂肪族二塩基酸や芳香族二塩基酸とジオール化合物からなる鎖状ポリエステルやヒドロキシカルボン酸の鎖状ポリエステルが挙げられる。
【0049】
上記脂肪族二塩基酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フマル酸、2,2−ジメチルグルタル酸、スベリン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、ジグリコール酸、イタコン酸、マレイン酸、2,5−ノルボルネンジカルボン酸等が挙げられ、芳香族二塩基酸としてはフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、ターフェニルジカルボン酸等が挙げられる。
【0050】
上記ジオール化合物としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチルプロパンジオール、1,3−ジメチルプロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−2−ブチルプロパンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、チオジエチレングリコール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等が挙げられる。
【0051】
上記ヒドロキシカルボン酸としては、4−ヒドロキシルメチルシクロヘキサンカルボン酸、ヒドロキシトリメチル酢酸、6−ヒドロキシカプロン酸、グリコール酸、乳酸等が挙げられる。
【0052】
他のポリエステル系可塑剤として、3価以上のポリオールとモノカルボン酸化合物のポリエステルが挙げられる。3価以上のポリオールとしては、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールやその縮合物であるジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール等が挙げられる。また、これらポリオールにエチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加したポリエーテルポリオールでもよい。
【0053】
上記モノカルボン酸としては、安息香酸、p−メチル安息香酸、m−メチル安息香酸、ジメチル安息香酸、p−tert−ブチル安息香酸、p−メトキシ安息香酸、p−クロロ安息香酸、ナフチル酸、ビフェニルカルボン酸等の芳香族カルボン酸;シクロヘキサンカルボン酸等の脂環式カルボン酸;酢酸、プロピオン酸、2−エチルヘキサン酸等の脂肪族酸が挙げられる。モノカルボン酸は単独でも混合でもよい。
【0054】
上記帯電防止剤としては、例えば、脂肪酸第四級アンモニウムイオン塩、ポリアミン四級塩等のカチオン系帯電防止剤;高級アルコールリン酸エステル塩、高級アルコールEO付加物、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、アニオン型のアルキルスルホン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルコールエチレンオキシド付加物硫酸エステル塩、高級アルコールエチレンオキシド付加物リン酸エステル塩等のアニオン系帯電防止剤;多価アルコール脂肪酸エステル、ポリグリコールリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル等のノニオン系帯電防止剤;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン等の両性型アルキルベタイン、イミダゾリン型両性活性剤等の両性帯電防止剤が挙げられる。かかる帯電防止剤は単独で用いてもよく、また、2種類以上の帯電防止剤を組み合わせて用いてもよい。
【0055】
本発明の保護具は、青紫色レーザー光などを使用するときに、身体、特に目を保護するものとして用いられ、形態や大きさは特に限定されない。保護具の形態としては、例えば、眼鏡、ゴーグル、シールド、直接装着用もしくはヘルメット装着用防災面などが挙げられる。
【0056】
本発明の半導体基板用樹脂封止材は、半導体素子の保護、防湿、絶縁といった目的のために、各種半導体パッケージの封止に用いられるものである。形状としては、熱硬化や熱可塑タイプ、一液や二液タイプといった液状であっても、固形であってもよい。
【実施例】
【0057】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0058】
[実施例1]
PC(ポリカーボネート)樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、製品名E−2000)100質量部に上記化合物No.1を1質量部配合し、260℃で射出成型により厚さ1mmの試験板を成形した。得られた試験板の250〜600nmにおける透過率を測定した。透過率曲線データを図1に示す。
【0059】
[比較例1]
前記実施例1において、上記化合物No.1を配合しない以外は、同様の成形法により試験板を作製し、透過率の測定を行った。透過率曲線データを図1に示す。
【0060】
[実施例2]
PMMA(アクリル)樹脂(三菱レイヨン(株)製、製品名アクリペットVH000)100質量部に上記化合物No.1を1質量部配合し、220℃で射出成型により厚さ1mmの試験板を成形した。得られた試験板の200〜500nmにおける透過率を測定した。透過率曲線データを図2に示す。
【0061】
[比較例2]
前記実施例2において、上記化合物No.1を配合しない以外は、同様の成形法により試験板を作製し、透過率の測定を行った。透過率曲線データを図2に示す。
【0062】
[実施例3−1]
NBE(ノルボルネン)樹脂(JSR(株)製、製品名ARTON F5023)100質量部に上記化合物No.1を1質量部配合し、300℃で射出成型により厚さ1mmの試験板を成形した。得られた試験板の250〜600nmにおける透過率を測定した。透過率曲線データを図3に示す。
【0063】
[実施例3−2]
前記実施例3−1において、上記化合物No.1を3質量部に変えた以外は、同様の成形条件において試験板を作製し、同様の透過率測定を行った。透過率曲線データを図3に示す。
【0064】
[比較例3]
前記実施例3において、上記化合物No.1を配合しない以外は、同様の成形法により試験板を作製し、透過率の測定を行った。透過率曲線データを図3に示す。
【0065】
上記各実施例の結果から、本発明にかかる、合成樹脂に特定のトリアジン系化合物を配合してなる試験版は青紫色レーザー光波長付近(400〜420nm)を大幅にカットすることが明らかになった。また、各実施例の試験版は、450nm以上の波長領域に大きな吸収を有しなかった。
【0066】
上記実施例で示されたような本発明の青紫色レーザー光吸収材料の性質により、青紫色レーザー光を大幅にカットし、かつ、室内でも視界の明るさを充分に確保できる青紫色レーザー光吸収用保護具(眼鏡又はゴーグル)を提供することが可能となる。また、照射される青紫色レーザー光波長の大部分を吸収することから、青紫色レーザー光に起因する劣化への耐性に優れた半導体基板用樹脂封止材を提供することができる。
【0067】
従って、本発明にかかる、合成樹脂に特定のトリアジン系化合物を配合してなる青紫色レーザー光吸収材料は、優れた性能を有する青紫色レーザー光吸収用保護具(眼鏡又はゴーグル)及び半導体基板用樹脂封止材を提供できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材となる合成樹脂100質量部に対して、下記一般式(1)、
【化1】

(式中、Rは炭素原子数1〜12の直鎖又は分岐のアルキル基、炭素原子数3〜8のシクロアルキル基、炭素原子数2〜8のアルケニル基、炭素原子数6〜18のアリール基、炭素原子数7〜18のアルキルアリール基又は炭素原子数7〜18のアリールアルキル基を表す。但し、これらのアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、アルキルアリール基又はアリールアルキル基は、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、炭素原子数1〜12のアルキル基又はアルコキシ基で置換されていてもよく、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、エステル基、アミド基又はイミノ基で中断されていてもよい。また、上記の置換及び中断は組み合わされてもよい。Rは炭素原子数1〜8のアルキル基又は炭素
原子数2〜8のアルケニル基を表す。)で表されるトリアジン系化合物0.001〜20質量部を配合してなることを特徴とする青紫色レーザー光吸収材料。
【請求項2】
前記トリアジン系化合物が下記一般式(2)、
【化2】

(式中、Rは炭素原子数1〜12の直鎖又は分岐のアルキル基を表す。但し、これらのアルキル基はヒドロキシ基、ハロゲン原子又はアルコキシ基で置換されていてもよく、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、エステル基、アミド基又はイミノ基で中断されていてもよい。)で表される請求項1に記載の青紫色レーザー光吸収材料。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の青紫色レーザー光吸収材料を用いた保護具。
【請求項4】
前記合成樹脂がポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、シクロオレフィン系樹脂およびノルボルネン系樹脂からなる群から選ばれる1種以上である請求項3記載の保護具。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の青紫色レーザー光吸収材料を用いた半導体基板用樹脂封止材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−26519(P2011−26519A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−175926(P2009−175926)
【出願日】平成21年7月28日(2009.7.28)
【出願人】(000000387)株式会社ADEKA (987)
【Fターム(参考)】