説明

静電放電保護回路及び電子システム

【課題】
静電放電保護回路及び電子システムを提供する。
【解決手段】
入出力パッドに接続され、静電放電電流を減衰し、減衰電流を発生する減衰ユニット、及び前記減衰電流を放出するのに用いられる放電ユニットを含む静電放電保護回路。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保護装置に関し、特に、静電放電保護を備える保護装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体製造プロセスの進化に伴って、静電放電による素子へのダメージは集積回路の製品にとって、最も重要な信頼の問題の1つとなってきている。通常、いくつかの種類の静電放電(ESD)試験を用いて静電放電イベントを模擬するもので、比較的一般的に知られている静電放電試験には、マシンモデル(machine model、MM)とヒューマンボディモデル(human body model、HBM)の2種類がある。一般の商業用の集積回路は、ある程度のHBMとMMの耐性を備えていなければ販売することができない。
【0003】
静電放電保護は、集積回路にはなくてはならない機能である。特にサイズがディープサブミクロンのレベルにまで縮小していくにつれて、金属酸化膜半導体のゲート酸化幕も薄くなっていき、集積回路は、静電放電の現象により、更にダメージを受け易くなる。一般の工業標準では、集積回路製品の入出力ピン(I/Opin)は、2000ボルト以上のヒューマンボディモデルの静電放電試験と、200ボルト以上のマシンモデルの静電放電試験を通過できなければならない。そのため、集積回路の製品には、静電放電保護装置が全ての入出力パッド(pad)の付近に設置されて、内部のコア回路が静電放電電流のダメージを受けないように保護しなくてはならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
静電放電保護回路及び電子システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
入出力パッドに接続され、減衰ユニットと放電ユニットを含む静電放電保護回路を提供する。減衰ユニットは、静電放電電流を減衰し、減衰電流を発生する。放電ユニットは、前記減衰電流を放出するのに用いられる。
【0006】
本発明は、入出力パッド、コア回路と、前記入出力パッドと前記コア回路との間に接続された静電放電保護回路を含む電子システム。静電放電保護回路は、減衰ユニットと放電ユニットを含む。減衰ユニットは、静電放電電流を減衰し、減衰電流を発生する。放電ユニットは、前記減衰電流を放出するのに用いられる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の静電放電保護回路及び電子システムによれば、内部のコア回路が静電放電電流のダメージを受けないように保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の電子システムの概略図である。
【図2】本発明の静電放電保護回路の可能な実施例である。
【図3】本発明の静電放電保護回路のもう1つの可能な実施例である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明についての目的、特徴、長所が一層明確に理解されるよう、以下に実施形態を例示し、図面を参照にしながら、詳細に説明する。
【実施例】
【0010】
図1は、本発明の電子システムの概略図である。電子システム100は、PDA、携帯電話、デジタルカメラ、テレビ、GPS、カーディスプレイ、航空機用ディスプレイ、レジタルフォトフレーム、ノート型パソコン、またはデスクトップ型パソコンであることができる。本実施例では、電子システム100は、入出力パッド110、コア回路120と、静電放電保護回路130を含む。
【0011】
入出力パッド110は、外部回路(図示されていない)からの信号、または外部回路に伝送する信号を受けることができる。コア回路120は、関連する機能の実行に用いられる。例えば、コア回路120がパネル回路である時、関連する機能が画像を表示する。コア回路120がDC−DCコンバータである時、関連する機能は、電圧を変換する。
【0012】
静電放電保護回路130は、入出力パッド110とコア回路120との間に接続される。静電放電保護回路130は、入出力パッド110からの静電放電電流を放出して、コア回路120が静電放電電流のダメージを受けないように防ぐ。本実施例では、静電放電保護回路130は、減衰ユニット131と放電ユニット132を含む。減衰ユニット131は、静電放電電流IESD1を減衰し、減衰電流IESD2を発生する。放電ユニット132は、減衰電流IESD2を放出してコア回路120が静電放電電流のダメージを受けないように防ぐ。
【0013】
図2は、本発明の静電放電保護回路の可能な実施例である。図に示されるように、減衰ユニット131は、ダイオードリング(diode
ring)を含む。ダイオードリングは、入出力パッド110と放電ユニット132の間に接続される。本実施例では、ダイオードリングはダイオード211と212を含む。ダイオード211の陰極は、放電ユニット132に接続され、陽極は入出力パッド110に接続される。ダイオード212の陰極は、入出力パッド110に接続され、陽極は放電ユニット132に接続される。
【0014】
入出力パッド110の静電放電電圧が正の時、ダイオード211が導通されて静電放電電流IESD1を減衰する。同様に、入出力パッド110の静電放電電圧が負の時、ダイオード212が導通されることができる。ダイオードが導通された時、等価インピーダンスを提供することができる。ダイオードが提供した等価インピーダンスによってトレースのインピーダンスを上げ、トレース上の電流を減衰することができる。
【0015】
本発明の実施例に基づくと、減衰ユニット131の等価インピーダンスは、1〜10000オームであることができ、200〜2000オームであることもでき、300〜600オームであることもできる。例えば、ダイオードが導通された時、等価インピーダンスは、約500オームである。静電放電電流IESD1が7.63アンペアの時、ダイオードの減衰によって、電流が約3.24アンペア減衰されることができる。よって電流減衰率は約57.81%である。静電放電電流IESD1が−8.28アンペアの時、ダイオードの減衰によって、電流が約−3.40アンペア減衰されることができる。よって電流減衰率は約58.93%である。また、本実施例では、放電ユニット132は、ダイオード221と222を含む。ダイオード221と222は、電力線231と232の間に直列接続される。ノーマルモード(静電放電イベントが発生していない)では、電力線231は、高電圧動作VDDを受け、電力線232は、低電圧動作GNDを受ける。静電放電イベントが入出力パッド110で発生した時、減衰電流IESD2は、ダイオード221または222を経て電力線231または232に放出される。よって、静電放電電流がコア回路120に進入するのを防ぐことができる。
【0016】
図3は、本発明の静電放電保護回路のもう1つの可能な実施例である。図3は、図2に類似している。異なる箇所は、図3の減衰ユニット131は、レジスタ311である。レジスタ311のインピーダンスを制御することによって、減衰レベルを制御することができる。例えば、静電放電電流IESD1が変わらず、レジスタ311のインピーダンスが増加された場合、減衰ユニット131より発生された減衰電流IESD2は、減少される。他の実施例では、減衰ユニット131は、例えば、金属酸化膜半導体(MOS)トランジスタなどの他の素子によって構成されることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0017】
本発明は、保護装置に関し、特に、静電放電保護を備える保護装置に関するものである。
【符号の説明】
【0018】
100 電子システム
110 入出力パッド
120 コア回路
130 静電放電保護回路
131 減衰ユニット
132 放電ユニット
211、212、221、222 ダイオード
231、232 電力線
311 レジスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入出力パッドに接続され、
静電放電電流を減衰し、減衰電流を発生する減衰ユニット、及び
前記減衰電流を放出するのに用いられる放電ユニットを含む静電放電保護回路。
【請求項2】
減衰ユニットは、前記入出力パッドと前記放電ユニットの間に接続されるダイオードリングを含む請求項1に記載の静電放電保護回路。
【請求項3】
前記ダイオードリングは、
その陰極が前記放電ユニットに接続され、その陽極が前記入出力パッドに接続された第1ダイオード、及び
その陰極が前記入出力パッドに接続され、その陽極が前記放電ユニットに接続された第2ダイオードを含む請求項2に記載の静電放電保護回路。
【請求項4】
前記減衰ユニットは、前記入出力パッドと前記放電ユニットとの間に接続されたレジスタである請求項1に記載の静電放電保護回路。
【請求項5】
前記減衰ユニットは、前記入出力パッドと前記放電ユニットとの間に接続された金属酸化膜半導体(MOS)トランジスタである請求項1に記載の静電放電保護回路。
【請求項6】
前記減衰ユニットの等価インピーダンスは、200〜2000オームである請求項1に記載の静電放電保護回路。
【請求項7】
入出力パッド、
コア回路、及び
前記入出力パッドと前記コア回路との間に接続された静電放電保護回路を含み、前記静電放電保護回路は、
静電放電電流を減衰し、減衰電流を発生する減衰ユニット、及び
前記減衰電流を放出するのに用いられる放電ユニットを含む電子システム。
【請求項8】
前記減衰ユニットは、前記入出力パッドと前記放電ユニットとの間に接続されたダイオードリングを含む請求項7に記載の電子システム。
【請求項9】
前記コア回路は、パネル回路である請求項7に記載の電子システム。
【請求項10】
電子システムは、PDA、携帯電話、デジタルカメラ、テレビ、GPS、カーディスプレイ、航空機用ディスプレイ、レジタルフォトフレーム、ノート型パソコン、またはデスクトップ型パソコンである請求項7に記載の電子システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−272621(P2009−272621A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−103849(P2009−103849)
【出願日】平成21年4月22日(2009.4.22)
【出願人】(503141075)統寶光電股▲ふん▼有限公司 (155)
【Fターム(参考)】