説明

静電駆動機を備えたインクジェットヘッド、静電駆動機を備えたインクジェットヘッド製造方法、静電駆動機を備えたインクカートリッジ、及び静電駆動機を備えたインクジェットプリンタ

【課題】ヘッドの構造を小型化し、ダイアフラム駆動体の静電力を大きくして少ない電圧でも大きい変位を得ることができてインク排出圧力が増加される、静電駆動機を備えたインクジェットヘッドを提供すること。
【解決手段】静電駆動機を備えたインクジェットヘッド及びその製造方法が提示される。両方向に、複数の第1突出部と第2突出部が形成される梳き櫛形象の固定子と、一端部がダイアフラムに結合される第1部材及び第2部材を含むが、第1部材には第1突出部に対向して第1突出部に接触しないで噛合する複数の第3突出部が形成されて、第2部材には第2突出部に対向して第2突出部に接触しないで噛合する複数の第4突出部が形成される移動子を含む静電駆動機を備えたインクジェットヘッドは、ヘッドの構造を小型化することができるし、ダイアフラム駆動体の静電力を大きくして少ない電圧でも大きい変位を得ることができてインク排出圧力が増加される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタヘッドに関し、より詳しくは、静電駆動機を備えたインクジェットヘッド、静電駆動機を備えたインクジェットヘッド製造方法、静電駆動機を備えたインクカートリッジ、及び静電駆動機を備えたインクジェットプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットヘッドの駆動方式には、熱転写(thermal)方式と圧電方式がある。この中、熱転写方式は、ヘッドのチャンバ内に熱を供給するヒーターを装着して、短い時間内によほど大きい熱エネルギーを供給し、これによりチャンバ内のインクに気泡(bubble)が形成されることによってインクがノズルを通じて噴射される方式で駆動されるが、熱エネルギーによって発生される気泡の圧力による繰り返される衝撃のため耐久性に問題があり、インク液滴の大きさを調節しにくいし、印刷速度を増加させることに限界がある。
【0003】
一方、圧電方式は、ヘッドのチャンバに圧力を加えることができるようにダイアプラムに圧電物質を附着して、電圧が印加されると力を発生させる圧電特性を利用するし、これによりチャンバに圧力を提供することでインクを押し出す方式で駆動されるし、印加される電圧による力を発生させてチャンバ内に圧力を加える方式なので速度面において性能が優秀であるから広く使われている。
【0004】
図1は、従来の圧電方式インクジェットヘッドの断面図である。図1を参照すれば、従来の圧電方式インクジェットヘッドは、基板7と、ダイアプラム8と、圧電素子9と、隔壁10と、ノズル板1で構成される。このように構成される圧電方式のインクジェットヘッドは、駆動信号発生器4から上記圧電素子9に駆動信号を印加すると圧電素子9は機械的に伸縮されるし、このような圧電素子9の伸縮作用によってインクチャンバ2内のインク5がノズル3の外に押されてインク液滴6が吐出される。
【0005】
しかし、圧電方式インクジェットヘッドは、高価の圧電素子を使うから価格が高くて、圧電素子を電極、絶縁層、保護層などとよく調和させなければならないのでその製造工程が難しくて収率の低調な問題点がある。
【0006】
上記のような問題点を解決するため、静電力を利用したインクジェットヘッドが使われている。このようなインクジェットプリンタヘッドは製作の簡単性、低消費電力及び単純な動作原理などの利点があるからインクジェットヘッド方式の一つに急浮上している。
【0007】
図2は、従来の静電型インクジェットヘッドの断面図であって、ダイアフラムを備えたインクジェットヘッドを開示しているアメリカ特許第5894316号のFig.1を示すものである。図2を参照すれば、従来の静電型インクジェットヘッドは一側面に電極12の設置されるガラス板11と、上記ガラス板11と一定間隔を置いて設置される下部基板13と、上記下部基板13の上面に設置されてインクの吐出通路になるノズル15が形成されている上部基板16と、上記上部基板16と下部基板13の間に介され上記下部基板13の両側面にそれぞれ設置される中央基板14と、これらに取り囲まれてインクが保存されるチャンバであるインクチャンバ17で構成される。上記ガラス板11に設置されている電極12に対向して上記下部基板13には、図2に表示されている間隔Gを間に置いてもう一つの電極が設置される。
【0008】
このように構成される静電型インクジェットヘッドは、電源が印加されれば2個の電極に相互違う電荷が帯電されて、これらの間に相互引き寄せる引力が作用する。したがって、インクを保存するチャンバに設置されている電極が他の電極12の方に引き寄せられることになる。電源が遮断されると、引き寄せられた電極はまた元々の状態に戻って、インクチャンバの中に入っているインクに圧力を加えることになる。この圧力によってインクがノズルを通じて外部に放出されることになる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このような静電型インクジェットプリンタヘッドでは、圧力が加えられるインクチャンバを一定の大きさ以上に形成しなければならないし、静電力を増加させて引き寄せられる電極である薄膜の剛性を低めるためには電極の相互対向する面積を広くしなければならない。このようになると、ノズル当り占める面積が大きくなるのでノズル間隔が広くなってプリンタの解像度を高めるのに限界があり、製造費用も上昇する短所がある。また、電極を形成するため、別途の金属を増着しなければならないので製造工程が複雑になる問題点がある。
【0010】
静電型インクジェットヘッドのインク排出圧力を進めるための従来技術としては、第一、大韓民国登録特許公報第10−0242157号('静電駆動型インクジェットヘッド')を挙げられる。しかし、上記発明は、フィンガーが一つ方向にだけ突出されているし、一つの静電駆動機によってダイアフラムを加圧するし、静電駆動機がダイアフラムにだけ固定される構造であって静電力を増加させることに限界があるという問題がある。
【0011】
第二、日本公開特許公報第2003−276194号('静電アクチュエータ、液滴吐出ヘッド及びインクジェット記録装置')を挙げることができる。しかし、上記発明は、フィンガーが一つ方向にだけ突出されているし、駆動体が、フレームによって別途の構成要素として区画されていないし、相互対向する平板である可動電極と固定電極を七重積層させて静電力を増加させたものであって、電極間の距離に構わず大きい変位を得ることができることではないという限界がある。
【0012】
本発明は、静電型インクジェットヘッドの構造を小型化することができるし、ダイアフラム駆動体の静電力を大きくして少ない電圧でも大きい変位を得ることができ、インク排出圧力の増加された静電駆動機を備えたインクジェットヘッド及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一側面によれば、複数の第1突出部が櫛の歯形象に形成される一つ以上の固定子と、第1突出部に対向する部分に上記第1突出部に接触しないで噛合する複数の第2突出部が形成される一つ以上の移動子と、移動子の一端部が結合されるダイアフラムを含む静電駆動機を備えたインクジェットヘッドが提供される。
【0014】
移動子は固定子を内部に収容する閉区画形象であることが望ましい。
【0015】
また、両方向に複数の第1突出部と第2突出部が形成される梳き櫛形象の固定子と、一端部がダイアフラムに結合される第1部材及び第2部材を含むが、第1部材には第1突出部に対向して第1突出部に接触しないで噛合する複数の第3突出部が形成されて、第2部材には第2突出部に対向して第2突出部に接触しないで噛合する複数の第4突出部が形成される移動子とを含む静電駆動機を備えたインクジェットヘッドが提供される。
【0016】
移動子は、第1部材と第2部材の両端部がそれぞれ相互結合されて固定子を内部に収容する閉区画を形成することができる。
【0017】
閉区画は、六角形形象であることができるし、第1突出部と第1部材間の最短距離、または第2突出部と第2部材間の最短距離は、第1突出部と第3突出部間の間隔または、第2突出部と第4突出部間の間隔の大きさより大きい方が望ましい。
【0018】
第1突出部ないし第4突出部の中の一つ以上の突出方向での断面の形象は直四角形であることができる。第1突出部ないし第4突出部の中の二つ以上は同じ形態に形成されることができる。
【0019】
固定子または移動子は、単結晶シリコンを含むことができるし、MEMS(Micro Electro Mechanical System)工程によって製造されるのが望ましい。
【0020】
また、固定子及びこれを収容する移動子を含む静電駆動機を収容するフレームと、フレームに収容されて、一つ以上の面にダイアフラムを含むインクチャンバと、インクチャンバの一側に形成されるインクノズルと、インクチャンバに結合されるインク注入口をともに含むが、静電駆動機の一端部はダイアフラムに結合されるのが望ましい。
【0021】
インクチャンバは、多角形の断面を有して、多角形の各辺にはダイアフラムが選択的に含まれているし、それぞれのダイアフラムには静電駆動機が結合されるのが望ましい。ダイアフラムには複数の静電駆動機が結合されることができる。
【0022】
また、上記静電駆動機を備えたインクジェットヘッドを含むインクカートリッジ及び、上記インクカートリッジと固定子または移動子に電源を印加する駆動回路を含む静電駆動機を備えたインクジェットプリンタが提供される。
【0023】
また、加工されたSOI基板の上に加工されたガラス基板を結合した後、その上に配線として使うメタルパターンを形成して、固定子と移動子を含む静電駆動機を備えたインクジェットヘッドを製造するが、加工されたSOI基板は、(a−1)酸化膜層を含んでいるSOI(Silicon on Insulator)基板の上にPRコーティング層を形成する段階、(a−2)PRコーティング層に静電駆動機のパターンを形成(PR patterning)する段階、(a−3)段階(a−2)から形成されたパターンによってSOI基板のシリコン層を、酸化膜層が始まる部分まで蝕刻する段階、及び(a−4)dilute HF溶液を利用して酸化膜層の中、移動子が形成される部分の酸化膜層を湿式蝕刻する(wet etching)段階を含むSOI基板加工方法によって形成されるし、加工されたガラス基板は、(b−1)ガラス基板の上面にDFR(Dry FilmResistor)を熱圧着して附着する段階、(b−2)ガラス基板の下面の中、移動子に対応される部分に空洞(cavity)を乾式蝕刻する段階、及び(b−3)ガラス基板の中、固定子に対応する部分を穿孔する段階を含むガラス基板加工方法によって形成される静電駆動機を備えたインクジェットヘッド製造方法が提供される。
【0024】
加工されたSOI基板と加工されたガラス基板の結合は両極接合(anodic bonding)によって成り立つことができる。段階(a−3)は、ICP乾式蝕刻方法(dry etching)によって成り立つことができる。段階(b−2)の蝕刻または、段階(b−3)の穿孔は、噴砂法(sandblaster)によって成り立つことができる。
【発明の効果】
【0025】
このような構成を有する本発明によれば、インクジェットヘッドの静電駆動機の固定子及び移動子の大きさを小さく形成することができるし、固定子と移動子間の間隔が数μm以下であるのでプリンタヘッドのノズル一つに対する圧力チャンバ及びダイアフラムなどヘッド部の大きさを数百μmほどに製作することができて全体的なヘッド構造を小型化することができる。
【0026】
また、一つ以上の櫛の歯形象体に設計された静電駆動機によって静電力が大きくできるので、少ない電圧でもダイアフラムの変位やインクチャンバの容積減少率が大きくできてインク排出圧力を増加させることができるし、これによって粘度の高いインクの吐出が可能になる。一方、フレームの厚さ、電圧、真空度などの設計変数を調節することで要する吐出現象によってヘッドを自由に設計することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明による静電駆動機を備えたインクジェットヘッド及びその製造方法の望ましい実施例に対して添付図面を参照しながら詳しく説明する事にし、添付図面を参照して説明するにおいて、図面符号に構わず同一であるか対応する構成要素は同じ参照番号を付与してこれに対する重複される説明は略する事にする。また、本発明の望ましい実施例を詳しく説明することの前に、先ず一般的な原理に対して説明する事にする。
【0028】
図3は、本発明の望ましい第1実施例による静電駆動機を備えたインクジェットヘッドの断面図であって、図4は図3のA部分に対する拡大図であり、図5は図4のB−B′に対する断面図である。図3ないし図5を参照すれば、静電駆動機100、固定子110、第1突出部112、第2突出部114、移動子120、第1部材122、第2部材124、第3突出部126、第4突出部128、インクチャンバ130、ダイアフラム132、インクノズル134、インク注入口136、インク液滴138、フレーム200が示されている。
【0029】
第1実施例による静電駆動機を備えたインクジェットヘッドは、六角形模様の静電駆動機100の一端部がインクチャンバ130のダイアフラム132に固定されていて、静電駆動機100の固定子110と移動子120に電圧を印加すれば相互間に引き寄せる静電力が発生して、静電駆動機100の形象が変化し、これによりダイアフラム132を加圧することになってインクチャンバ130の容積が減少して、インクチャンバ130内のインクをインクノズル134を通じて噴射することになるし、電圧を印加しないと静電駆動機100の復元力によってダイアフラム132が元々の位置に戻ることになるのでインクチャンバ130の容積が増加してインク流入口を通じてインクが流入されインクチャンバ130に満たされることを特徴とする。
【0030】
本発明の静電駆動機を備えたインクジェットヘッドは、従来の熱転写方式または圧電方式より数十kHz以上もっと高い周波数で作動することができるし、製造工程も簡単なので生産性側面において有利な效果を有する。
【0031】
図3に示されているように、静電駆動機100は、n+1個の第1突出部112及び第2突出部114が両方向に突出される梳き櫛形象の固定子110と、第1突出部112に対向してn個の第3突出部126及び、第2突出部114に対向してn個の第4突出部128がそれぞれ突出されている六角形模様のフレームから成り立った移動子120で構成されて、このような固定子110及び移動子120は単結晶シリコンから成り立っていて、固定子110及び移動子120に電圧を印加すると相互間に引き寄せる方向に静電力が発生される。
【0032】
印加された電圧と発生される静電力及び変位の関係は、式(2)、式(3)のとおりである。すなわち、固定子110に式(1)のような電圧(V)を印加して移動子120を接地にすれば、式(2)、式(3)のような静電力(Fe)が発生する。
【0033】
【数1】

【0034】
【数2】

【0035】
【数3】

【0036】
ここで、
Vd:電圧のmean値(volt)
Va:交流電圧の大きさ(amplitude、volt)
ωt:共振周波数x時間(Hz second)
C:静電容量(F)
L:初期位置(図4参照)
H:移動子の端と固定子との距離(図4参照)
w:櫛形象体の幅(図5参照)
【0037】
また、これより、式(4)が成り立つことになって、式(4)から分かるように静電力によって移動子120が固定子110の方に変形した距離は、固定子110と移動子120の距離に無関係になる。
【0038】
【数4】

【0039】
ここで、
C:静電容量(F)
x:移動子が動いた距離(図4参照)
ε:誘電率
t:移動子の厚さ(図5参照)
g:第1突出部と第3突出部または、第2突出部と第4突出部の間隔(図5参照)
【0040】
図4及び図5を参照して∂C/∂xを定性的に求める過程をより詳しく説明する。櫛の歯形象の移動子が初期位置のLからX位移動すれば、この時移動子に垂直した電気力線によって発生される静電容量は式(5)のように計算される。
【0041】
【数5】

【0042】
式(5)から分かるように、Hがgに比べて充分に大きい場合、移動子の櫛の歯構造の端部から発生した静電容量は一定であるだろう。したがって、∂C/∂xは式(4)のようにXに無関係に線形的になる。
【0043】
本実施例の静電駆動機100は、固定子110と移動子120で構成されて、固定子110には突出部が櫛の歯形象に形成されていて、移動子120は六角形形象の閉区画でありその内部に固定子110を収容し、固定子に形成された突出部に噛合する複数の突出部を含む。
【0044】
より望ましくは、本実施例の静電駆動機100は固定子110と移動子120で構成されて、固定子110は両方向に突出部が形成された梳き櫛形象であり、移動子120は2個の部材で構成され固定子110の突出部に噛合することの突出部が形成される六角形形象の区画を形成する。
【0045】
すなわち、固定子110は両方向に複数の第1突出部112と第2突出部114が形成された梳き櫛形象であって、その位置が固定されている。移動子120は第1部材122と第2部材124で構成されて、第1部材122と第2部材の両端部はそれぞれ相互結合されて固定子110をその内部に収容する閉区画を形成する。
【0046】
図3を参照すれば、固定子110から上方に突出されたものが第1突出部112、下方に突出されたものが第2突出部114であり、移動子120から上部に位したのが第1部材122、下部に位したのが第2部材124であって、第1突出部112に対向する第1部材122の部分から第1突出部112に向けて突出されたものが第3突出部126であり、第2突出部114に対向する第2部材124の部分から第2突出部114に向けて突出されたものが第4突出部128である。
【0047】
但し、このように番号を付与した順序は本発明の詳細な説明のために付けたことであり、本発明の各構成要素が必ずしも上記のような番号の手順に限定されるものではない。
【0048】
本発明の静電駆動機100は、式(4)から分かるように、固定子110と移動子120間の距離(101)よりは突出部間の間隔、すなわち、第1突出部112と第3突出部126または、第2突出部114と第4突出部128の間隔102によって静電力の大きさが決まるので、固定子110と移動子120間の距離101に関係なく、電位差(V)によって移動子120が動く変位(x)を調節することができるし、これにより移動子120の変位が大きくなれば静電駆動機100がダイアフラム132を加圧して変形させる距離を大きく設計することができる。
【0049】
したがって、第1突出部112と第3突出部126、または第2突出部114と第4突出部128は、その側面間の距離、すなわち、間隔102を充分に近く形成する方が良いし、これによって固定子110と移動子120間の距離101は、平たい面の対向している従来のヘッド構造に比べて少し安定的である。これにより製造が容易くなって、ヘッド作動の信頼性が向上される。
【0050】
本実施例は、第1突出部112と第3突出部126、または第2突出部114と第4突出部128をそれぞれ一つ以上形成して側面が相互近接するように逸れて配置することでその效果を導出することができるが、より望ましくは櫛の歯(comb)のような構造になるよう複数の突出部を形成するのが良い。
【0051】
すなわち、固定子110の両方向に櫛の歯形象で複数の第1突出部112と第2突出部114を形成し、これに対応して移動子120に櫛の歯形象で複数の第3突出部126と第4突出部128が、ギアーのかみあうように噛合されれば固定子110と移動子120において静電力の作用する部分の面積が極大化されるから本発明の效果を導出するのに一番效率的である。
【0052】
勿論、このように櫛の歯構造が相互噛合されるように配置する際、静電力の発生のため相互電気的に接触しないように、すなわち絶縁されなければならない。
【0053】
移動子120の第1部材122と第2部材124は両端部で相互結合されなければならないので、全体的に六角形形象の閉区画が形成されるが、本発明における移動子120の形象は必ずしも六角形に限定されるものではなく、楕円形または、一部を曲線に形成することができることは勿論である。
【0054】
移動子120の全体的な形象は、固定子110と移動子120間に静電気的引力が作用する場合移動子120の動きによって移動子120の全体的な形象の変化、特に図3で移動子120の横方向への変形の程度が一番大きいように形成するのが望ましい。このようにして、静電力を利用してインクチャンバ130のダイアフラム132をより效率的に加圧することができるのである。
【0055】
本発明によるインクジェットヘッドは、固定子110と移動子120間の距離、即第1突出部112と第1部材122間の最短距離または、第2突出部114と第2部材124間の最短距離と無関係に静電力を発生するので、上記最短距離を充分に大きくして移動子120が動く変位を極大化することができる。
【0056】
前記のように、本実施例では、第1突出部112と第3突出部126間の間隔または、第2突出部114と第4突出部128間の間隔が静電力の大きさを決めるのに重要なことなので、第1突出部112と第1部材122間の最短距離または第2突出部114と第2部材124間の最短距離は、第1突出部112と第3突出部126間の間隔または第2突出部114と第4突出部128間の間隔の大きさより大きくすることができる。
【0057】
通常的に、突出部の厚さ及び間隔が数μm程度である時、固定子110と移動子120間の距離(上記最短距離)はその以上に形成することができる。このように固定子110と移動子120間の距離を大きくすることで、移動子120が動く変位を極大化することができるし、これによって、静電駆動機100がダイアフラム132を加圧する力が増加して結果的にインク排出圧力を増加させることができるようになる。
【0058】
突出部112、114、126、128の突出方向の断面の形象は直四角形の方が良い。しかし、本発明が、突出部の断面の形象が必ずしも直四角形であることに限定されるものではなく、三角形、台形、半円形、楕円形、鐘形など静電力を増加させるため面積を極大化することができる形象を含めることは勿論である。
【0059】
ただし、移動子120の第1部材122及び第2部材124は、静電力によって動く部材なのでその移動過程で器具的に問題を起こせる形象よりは直四角形の方が望ましい。また、本発明は、平行で対向する二つの電極の間から発生する静電力を利用することなので、三角形や台形のように突出部間の間隔が部位によって違うことの形象よりは直四角形のように平行に対向する面を一番多く確保することができる形象が望ましい。
【0060】
突出部112、114、126、128はそれぞれ複数に形成されるし、それぞれの形態は必ずしも同じである必要はない。すなわち、第1部材122または第2部材124の中央部位と端部で第3突出部126または第4突出部128の形態を異にすることができるし、より大きい静電力を得るために多様な形態に形成することができることは勿論である。
【0061】
ただし、設計及び製造の便宜上、各突出部が同一の形態に繰り返されるように形成するのが望ましい。第1突出部112と第3突出部126、または第2突出部114と第4突出部128もまたその形態を違うように形成することができるが、前記のように、設計及び製造の便宜上各突出部の形態を同じに形成するのが望ましい。
【0062】
また、本発明の静電駆動機100は、固定子110の上下方向に対称されるように位している移動子120が固定子110に対する静電気的引力によって動くようになって、静電駆動機100の形象が図3のように横方向に伸長されることによってダイアフラム132を加圧することになる構造なので、第1突出部112と第2突出部114、そして第3突出部126と第4突出部128をそれぞれ対称に形成するのが静電駆動機100の変形において一番效率的である。
【0063】
また、本発明の櫛の歯形静電駆動機100はすべての構造がMEMS(Micro Electro Mechanical System)工程によって製造されるのが望ましい。MEMS、すなわち、マイクロ電子機械システムは、電子機械素子を肉眼では見えないほど小さなマイクロ規模に製作する技術であって、とても小さな機械構造物を製作するすべての分野に応用される技術である。
【0064】
MEMS技術は、微細加工技術をマイクロ単位のマイクロセンサーや駆動機及び電気機械的構造物の製作に応用したことで、既存の半導体工程、特に集積回路技術を応用した微細加工技術に該当する。このようなMEMS加工技術で製作された微細機械はμm以下の精密度まで具現することができる。本発明の固定子110及び移動子120間の間隔は数μm以下の大きさに製造されるべきであって、静電力によって機械的に駆動される部分なので、前記のMEMS工程によって製造されるのが良い。
【0065】
ただし、本発明が静電駆動機100の製造工程をMEMSに限定するのではなく、当業者にとって自明な範囲内で発明の效果を導出することができるすべての製造工程を含めることは勿論である。
【0066】
固定子110と移動子120はそれぞれ一体に形成した方が良く、単結晶シリコンで製造するのが望ましい。ただし、本発明が固定子110と移動子120のこの材質に限定されるのではなく、本発明の效果を導出することができる当業者にとって自明な範囲内で電気的、機械的特性を満足する別の材質を含めることは勿論である。
【0067】
図6は、本発明の望ましい第1実施例による静電駆動機を備えたインクジェットヘッドに電圧が印加された場合の断面図である。図6を参照すれば、静電駆動機100、固定子110、第1突出部112、第2突出部114、移動子120、第1部材122、第2部材124、第3突出部126、第4突出部128、インクチャンバ130、ダイアフラム132、インクノズル134、インク注入口136、インク液滴138、フレーム200が示されている。
【0068】
本実施例によるインクジェットヘッドは、フレーム200内部に静電駆動機100とインクチャンバ130が収容されて、静電駆動機100の一端部はインクチャンバ130のダイアフラム132に固定される。インクチャンバ130は静電駆動機100の他端部の対応部分に形成され、加圧によって変形可能なダイアフラム132と、フレーム200と結合される部分にダイアフラム132の加圧によってインクが噴射されるインクノズル134と、インク注入口136で構成される。静電駆動機100は櫛の歯構造の固定子110と移動子120から成り立つことは前記のとおりである。
【0069】
図6のように、本発明による静電駆動機100を備えたインクジェットヘッドは、固定子110と移動子120に電圧が印加されれば印加される電圧の二乗に比例して生成される静電力によって移動子120が動くことになる。すなわち、図6で、静電駆動機100の縦方向の大きさが減ることになって、これによって静電駆動機100の横方向の大きさが増えることになる。これにより静電駆動機100に結合されたインクチャンバ130のダイアフラム132に圧力が加えられることになって、インクチャンバ130の容積が減ることになるのでインクチャンバ130に満たされているインクがインクノズル134を通じて噴射される。
【0070】
印加された電圧が解除されて移動子120が元々の形態に復元されれば、インクチャンバ130の容積がまた元々どおり増えるようになるのでインク供給源(未図示)からインク流入口を通じてインクが供給されてインクチャンバ130内に満たされる。
【0071】
固定子110と移動子120に電圧が印加されて、図6で、静電駆動機100の横方向の大きさが伸長されれば、静電駆動機100の両端部に圧力が加えられることになる。この時、静電駆動機100からの圧力を最大限インクチャンバ130のダイアフラム132に伝達するためには、静電駆動機100の他端部をフレーム200に固定させることができる。フレーム200は変形されないので静電駆動機100はダイアフラム132の方だけに伸縮されて、静電力による圧力がダイアフラム132だけに伝達されることになる。
【0072】
ただし、静電駆動機100がダイアフラム132の方だけに変形される場合、移動子120が固定子110の方だけに動くのではなくダイアフラム132の方にも動くようになる。これによって、固定子110の第1突出部112と移動子120の第3突出部126、または固定子110の第2突出部114と移動子120の第4突出部128が相互接触する可能性もある。したがって、この場合には静電駆動機100の一端部だけダイアフラム132に結合させ、他端部は自由に動けるようにした方が良い。
【0073】
しかし、静電駆動機100の他端部を自由端にする場合、静電駆動機100がダイアフラム132を加圧することの反作用として移動子120がダイアフラム132の反対方向に動く恐れもあるので、静電駆動機100の他端部を、弾性があるか変形可能な部材を介してフレーム200と結合させるとか、静電駆動機100が最大限伸長された場合には静電駆動機100の他端部がフレーム200と接するように設計するのが望ましい。
【0074】
本発明の静電駆動機100は六角形などで形成された閉区画の形象が、変形されることによってダイアフラム132を加圧する方式なので、移動子120の動いた距離はダイアフラム132の変形された距離と必ずしも同一ではない。したがって、固定子110の第1突出部112と移動子120の第3突出部126、または固定子110の第2突出部114と移動子120の第4突出部128が相互接触されない範囲で、ダイアフラム132が変形される変位でも充分に本発明の效果を導出することができる場合には、静電駆動機100の他端部をフレーム200に固定させることができる。
【0075】
図7は、本発明の望ましい第2実施例による静電駆動機を備えたインクジェットヘッドの断面図であり、図8は本発明の望ましい第3実施例による静電駆動機を備えたインクジェットヘッドの断面図である。図7を参照すれば、固定子1101、第1突出部1121、第2突出部1141、移動子1201、第1部材1221、第2部材1241、第3突出部1261、第4突出部1281が示されていて、図8を参照すれば、固定子1102、1103、第1突出部1122、第2突出部1142、移動子1202、第1部材1222、第2部材1242、第3突出部1262、第4突出部1282が示されている。
【0076】
本発明による静電駆動機の移動子が、第1実施例のように必ずしも六角形などの閉区画を形成することに限定されるものではない。すなわち、移動子が必ず閉区画を形成しなければならないことではなく、移動子の第1部材と第2部材が相互分離している場合及び、固定子が二つの部分に分離されていて各固定子に対向して移動子が位している場合も本発明に含まれることは勿論である。
【0077】
図7の第2実施例のように、移動子の第1部材1221と第2部材1241が相互分離されている場合にも各部材の一端部がダイアフラム132に結合されていれば、固定子1101と移動子1201間の静電気的引力によって移動子1201が固定子1101の方に移動することになるので移動子1201の一端部がダイアフラム132に変形を誘発させるし、このようなダイアフラム132の変形及び復元によってダイアフラム132がインクチャンバ130を加圧することになってインクが吐出されられるのである。
【0078】
また、図3のように、固定子が両方向に複数の突出部が形成される梳き櫛形象ではなく、図8の第3実施例のように、固定子が分離された複数の部材1102、1103にて形成された場合にも、それぞれの固定子1102、1103に対向して移動子1222、1242を設置しその一端部をダイアフラム132に結合させるようにすれば、固定子と移動子間の静電気的引力によって移動子1222、1242が固定子1102、1103の方に移動することになるので前述したことと同じに移動子1222、1242の一端部がダイアフラム132に変形を誘発させてダイアフラムがインクチャンバ130を加圧することになる。
【0079】
勿論、より望ましくは、複数の移動子のそれぞれの一端部がダイアフラムの一つ地点で結合されるようにすれば、移動子がダイアフラムに加える変形力が集中されられるので、より效率的にインクチャンバを加圧することができるし、その望ましい一実施例が図3のように、移動子を六角形の閉区画に形成することであるのは上述したとおりである。
【0080】
図9は、本発明の望ましい第4実施例による静電駆動機を備えたインクジェットヘッドの断面図であり、図10は、本発明の望ましい第4実施例による静電駆動機を備えたインクジェットヘッドに電圧が印加された場合の断面図である。図9及び図10を参照すれば、静電駆動機100a、100b、100c、固定子110a、第1突出部112a、第2突出部114a、移動子120a、第1部材122a、第2部材124a、第3突出部126a、第4突出部128a、インクチャンバ130a、ダイアフラム132a、132b、132c、インクノズル134a、インク注入口136a、フレーム200aが示されている。
【0081】
図9を参照して第4実施例によるインクジェットヘッドの構造を説明すれば、フレーム200a内部にインクチャンバ130aを収容し、インクチャンバ130aの各辺にダイアフラム132a、132b、132cを形成し、各ダイアフラム132a、132b、132cには第1実施例から説明した静電駆動機100を結合させる。図9には、四角形のインクチャンバ130aの一つ辺はインク注入口にするし、残り三つの辺はダイアフラム132a、132b、132cに形成し、各ダイアフラム132a、132b、132cに静電駆動機を結合したので総三つの静電駆動機100a、100b、100cが結合されている。インクチャンバ130aの一端部(図9では垂直上方)にはインクノズル134aを形成して、ダイアフラム132a、132b、132cを加圧することによってインクノズル134aを通じてインクが排出されるようにした。
【0082】
第4実施例は、フレーム200a内に収容されるインクチャンバ130aに複数のダイアフラム132a、132b、132cを形成し、各ダイアフラムに静電駆動機100を結合して、各静電駆動機100a、100b、100cの変形がダイアフラム132a、132b、132cを加圧することになるので全体的には、インクチャンバ130aの容積は、静電駆動機が一つの時よりもっと大きく減ることになる。これにより、インクチャンバ130aから吐出されるインクの量が多くなるか、従来には静電力の限界によって使えなかった粘度の高いインクが使えるようになる。一方、インクチャンバ130aに加えられる圧力を小さくして少ない量のインクを噴射するとか、粘度が低いインクを噴射しようとする場合には静電駆動機100に印加する電位差などを調節して静電気力を小さくすればよい。
【0083】
したがって、前記のインクジェットヘッド及びこれを使ったインクカートリッジ及びインクジェットプリンタは、より多い量のインクを噴射して印刷することができるし、粘度の高いインクを使って印刷することもできるので、適用性が向上される。勿論、前述したように、少ない量のインクや粘度が低いインクを使おうとする場合には電位差などを調節することができるので使用上の問題は発生しない。
【0084】
インクチャンバ130aを多角形の断面を有するように製作して、その多角形の各辺にダイアフラム132a、132b、132cを形成し、各ダイアフラムに静電駆動機を結合するのが望ましくて、上記多角形は、辺が多いほど多くの静電駆動機が結合されるから、製造の難易度、時間及び費用、要求されるインクの排出圧力などを考慮して充分に多い数の辺を有する多角形のインクチャンバ130aを形成するのがより望ましい。
【0085】
ただし、本発明におけるインクチャンバの断面の形象は必ずしも多角形に限定されるものではなく、円、楕円、閉曲線などの曲線の含まれた形象も含めることは勿論である。インクチャンバの断面を曲線形象に形成した場合、各ダイアフラムの両端部に該当する部分は、静電駆動機からの圧力が效率的にインクチャンバに伝達されるようにすべく、固定されることが望ましい。
【0086】
一方、各ダイアフラムには必ずしも一つの静電駆動機が結合されなければならないというものではなく、一つのダイアフラムに複数の静電駆動機が結合されることもできる。
【0087】
一つのダイアフラムに複数の静電駆動機をそれぞれ結合した場合、静電駆動機の伸長された変位は合算されないが、1地点でダイアフラムを加圧するより、2以上の地点でダイアフラムを加圧することになるので、結果的にインクチャンバの容積の減少程度は増加することになる。第1実施例の場合にもダイアフラムに複数の静電駆動機を結合させてインク排出圧力を増加させられることは勿論である。
【0088】
本発明は、固定子と移動子で構成されて、固定子と移動子にそれぞれ形成された櫛の歯構造の突出部が噛合された六角形形象の静電駆動機を備えたインクジェットヘッドに関するものであって、本発明の範囲は、上記静電駆動機を備えたインクジェットヘッドだけではなく、上記インクジェットヘッドが使われるインクカートリッジとインクジェットプリンタまで含む。
【0089】
第4実施例でも、固定子110aと移動子120aに電圧が印加されれば印加される電圧の二乗に比例して生成される静電力によって移動子120aが動くことになる。すなわち、静電駆動機100a、100b、100cにおいて固定子110aまたは移動子120aから突出部が突出された方向を幅方向であると言って、幅方向に垂直した方向を長さ方向であるとしたら、移動子120aの動きによって静電駆動機100の幅方向の大きさは減って長さ方向の大きさは増えることになる。
【0090】
これにより、静電駆動機に結合されたインクチャンバのダイアフラム132a、132b、132cに圧力が加えられることになって、インクチャンバの容積が減ることになるのでインクチャンバに満たされているインクがインクノズル134aを通じて噴射される。第4実施例の場合には、3個の静電駆動機100a、100b、100cを使ったので第1実施例よりインク排出圧力がもっと大きくなる。
【0091】
印加された電圧が解除されて移動子120aが元々の形態に復元されれば、インクチャンバ130aの容積がまた元々どおり増えるようになるのでインク供給源(未図示)からインク流入口を通じてインクが供給されてインクチャンバ130a内に満たされる。
【0092】
図11は、本発明の望ましい一実施例による静電駆動機を備えたインクジェットヘッドの製造工程を示すフローチャートであって、図12は、本発明の望ましい一実施例による静電駆動機を備えたインクジェットヘッドの製造方法を示す順序図である。図11を参照すれば、SOI基板300、酸化膜層302、シリコン層304、ガラス基板306、メタルパターン312が示されている。
【0093】
本発明による静電駆動機は、前述したように、MEMS技術を利用して容易くて精密に製造することができる。本実施例による静電駆動機の製造工程を説明すれば、先ずSOI基板を加工する。
【0094】
加工されたSOI基板は、酸化膜層302の上にシリコン層304の形成されているSOI(Silicon Insulator)基板300の上にPRコーティング層(未図示)を形成した後、PRコーティング層に静電駆動機の固定子110と移動子122、124のパターンを形成(PR patterning)して(図11の(a−1))、形成されたパターンにしたがってSOI基板300aのシリコン層304aを酸化膜層302の始まる部分まで蝕刻し(図11の(a−2))、酸化膜層302aの中で移動子122、124部分の酸化膜層302aを蝕刻する(図11の(a−3))SOI基板加工方法にて形成される。
【0095】
次に、ガラス基板を加工する。加工されたガラス基板は、ガラス基板306の上面にDFR(Dry Film Resistor)(未図示)を附着して(図11の(b−1))、ガラス基板306aの下面の中、加工されたSOI基板300bに形成されている移動子122、124に対応される部分に空洞308(cavity)を蝕刻し(図11の(b−2))、ガラス基板306bの中、固定子110に対応される部分を穿孔する(図11の(b−3))ガラス基板加工方法によって形成される。
【0096】
SOI基板とガラス基板を加工した後、加工されたSOI基板300b上に加工されたガラス基板306bを結合してその上に配線として使うメタルパターン312を形成して静電駆動機を製造する。
【0097】
シリコン層304aの蝕刻は、ICP乾式蝕刻方法(dry etching)など当業者にとって自明な方式が使われることができるし、酸化膜層302aの中移動子122、124部分の酸化膜層302aに対する蝕刻はdilute HF溶液を利用して湿式蝕刻する(wet etching)など当業者にとって自明な方式が使われることができる。
【0098】
一方、ガラス基板306の上面にDFRを附着することは、熱圧着方法など当業者にとって自明な方式が使われることができるし、ガラス基板306aの下面部分に空洞308(cavity)を蝕刻することとガラス基板306bを穿孔することは噴砂法(sandblaster)など当業者にとって自明な方式が使われることができる。
【0099】
また、加工されたSOI基板300bと加工されたガラス基板306bの結合は両極接合(anodic bonding)など当業者にとって自明な方式が使われることができることは勿論である。
【0100】
前述したように、望ましい加工方法を利用してMEMS技術にしたがってインクジェットヘッドの製造方法を図12のように順序図に示せば、SOI(Silicon on insulator)基板の上にPRコーティングをし(402)、ICP乾式蝕刻方法(dry etching)を利用して酸化膜(約3μm)の始まる部分までシリコン層(約40μm)をエッチングし(404)、dilute HF溶液を利用して酸化膜層を湿式エッチングした後(406)、ガラス基板にDFR(Dry Film Resistor)を熱圧着方法を利用して付けて(408)、噴砂法(sandblaster)を利用してガラス基板に空洞(cavity)を乾式エッチングして(410)、噴砂法(sandblaster)を利用してガラス基板に穿孔した後(412)、段階406から作られたSOI基板の上に段階412から作られたガラス基板を両極接合(anodic bonding)にて結合して(414)、接合されたガラス基板上に配線として使うメタルパターンを形成する(416)。
【0101】
本発明の技術思想が上述した実施例によって具体的に記述されたが、上述した実施例はその説明のためのことであってその制限のためではないし、本発明の技術分野の通常の専門家であれば、本発明の技術思想の範囲内で多様な実施例が可能であることは理解できるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】従来の圧電方式インクジェットヘッドの断面図である。
【図2】従来の静電型インクジェットヘッドの断面図である。
【図3】本発明の望ましい第1実施例による静電駆動機を備えたインクジェットヘッドの断面図である。
【図4】図3のA部分に対する拡大図である。
【図5】図4のB−B′に対する断面図である。
【図6】本発明の望ましい第1実施例による静電駆動機を備えたインクジェットヘッドに電圧の印加された場合の断面図である。
【図7】本発明の望ましい第2実施例による静電駆動機を備えたインクジェットヘッドの断面図である。
【図8】本発明の望ましい第3実施例による静電駆動機を備えたインクジェットヘッドの断面図である。
【図9】本発明の望ましい第4実施例による静電駆動機を備えたインクジェットヘッドの断面図である。
【図10】本発明の望ましい第4実施例による静電駆動機を備えたインクジェットヘッドに電圧の印加された場合の断面図である。
【図11】本発明の望ましい一実施例による静電駆動機を備えたインクジェットヘッドの製造工程を示すフローチャートである。
【図12】本発明の望ましい一実施例による静電駆動機を備えたインクジェットヘッドの製造方法を示す順序図である。
【符号の説明】
【0103】
100 静電駆動機
110 固定子
112 第1突出部
114 第2突出部
120 移動子
122 第1部材
124 第2部材
126 第3突出部
128 第4突出部
130 インクチャンバ
132 ダイアフラム
134 インクノズル
136 インク注入口
138 インク液滴
200 フレーム
1101 固定子
1121 第1突出部
1141 第2突出部
1201 移動子
1221 第1部材
1241 第2部材
1261 第3突出部
1281 第4突出部
1102 固定子
1103 固定子
1122 第1突出部
1142 第2突出部
1202 移動子
1222 第1部材
1242 第2部材
1262 第3突出部
1282 第4突出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第1突出部が櫛の歯形象に形成される一つ以上の固定子と、
上記第1突出部に対向する部分に上記第1突出部に接触しないで噛合する複数の第2突出部が形成される一つ以上の移動子と、
上記移動子の一端部が結合されるダイアフラムを含む
静電駆動機を備えたインクジェットヘッド。
【請求項2】
上記移動子は、上記固定子を内部に収容する閉区画形象である
請求項1に記載の静電駆動機を備えたインクジェットヘッド。
【請求項3】
両方向に複数の第1突出部と第2突出部が形成される梳き櫛形象の固定子と、
一端部がダイアフラムに結合される第1部材及び第2部材を含むが、上記第1部材には上記第1突出部に対向して上記第1突出部に接触しないで噛合する複数の第3突出部が形成されて、上記第2部材には上記第2突出部に対向して上記第2突出部に接触しないで噛合する複数の第4突出部が形成される移動子を含む
静電駆動機を備えたインクジェットヘッド。
【請求項4】
上記移動子は、上記第1部材と上記第2部材の両端部がそれぞれ相互結合されて上記固定子を内部に収容する閉区画を形成する
請求項3に記載の静電駆動機を備えたインクジェットヘッド。
【請求項5】
上記閉区画は、六角形または楕円形象である
請求項2または請求項4に記載の静電駆動機を備えたインクジェットヘッド。
【請求項6】
上記第1突出部と上記第1部材間の最短距離または上記第2突出部と上記第2部材間の最短距離は、上記第1突出部と上記第3突出部間の間隔または上記第2突出部と上記第4突出部間の間隔の大きさより大きい
請求項3に記載の静電駆動機を備えたインクジェットヘッド。
【請求項7】
上記第1突出部ないし上記第4突出部の中のある一つ以上の突出方向への断面の形象は直四角形である
請求項3に記載の静電駆動機を備えたインクジェットヘッド。
【請求項8】
上記第1突出部ないし上記第4突出部の中のある二つ以上は、同一の形態に形成される
請求項3に記載の静電駆動機を備えたインクジェットヘッド。
【請求項9】
上記固定子または上記移動子は、単結晶シリコンを含む
請求項1または請求項3に記載の静電駆動機を備えたインクジェットヘッド。
【請求項10】
上記固定子または上記移動子は、MEMS(Micro Electro Mechanical System)工程によって製造される
請求項1または請求項3に記載の静電駆動機を備えたインクジェットヘッド。
【請求項11】
上記固定子及びこれを収容する上記移動子を含む静電駆動機を収容するフレームと、
上記フレームに収容されて、一つ以上の面にダイアフラムを含むインクチャンバと、
上記インクチャンバの一側に形成されるインクノズルと、
上記インクチャンバに結合されるインク注入口をともに含むが、
上記静電駆動機の一端部は上記ダイアフラムに結合される
請求項1または請求項3に記載の静電駆動機を備えたインクジェットヘッド。
【請求項12】
上記インクチャンバは多角形の断面を有して、上記多角形の各辺にはダイアフラムが選択的に含まれているし、上記それぞれのダイアフラムには上記静電駆動機が結合される
静電駆動機を備えたインクジェットヘッド。
【請求項13】
上記ダイアフラムには複数の静電駆動機が結合される
請求項12に記載の静電駆動機を備えたインクジェットヘッド。
【請求項14】
請求項11に記載のインクジェットヘッドを含む
静電駆動機を備えたインクカートリッジ。
【請求項15】
請求項14に記載のインクカートリッジと、
上記固定子または上記移動子に電源を印加する駆動回路を含む
静電駆動機を備えたインクジェットプリンタ。
【請求項16】
加工されたSOI基板の上に加工されたガラス基板を結合した後、その上に配線として使うメタルパターンを形成して固定子と移動子を含む静電駆動機を備えたインクジェットヘッドを製造するが、
上記加工されたSOI基板は、
(a−1)酸化膜層を含んでいるSOI(Silicon on Insulator)基板の上にPRコーティング層を形成する段階、
(a−2)上記PRコーティング層に上記静電駆動機のパターンを形成(PR patterning)する段階、
(a−3)上記段階(a−2)から形成されたパターンによって上記SOI基板のシリコン層を上記酸化膜層の始まる部分まで蝕刻する段階、及び
(a−4)dilute HF溶液を利用して上記酸化膜層の中で上記移動子が形成される部分の酸化膜層を湿式蝕刻する(wet etching)段階を含むSOI基板加工方法にて形成されて、
上記加工されたガラス基板は、
(b−1)ガラス基板の上面にDFR(Dry Film Resistor)を熱圧着して附着する段階、
(b−2)上記ガラス基板の下面の中、上記移動子に対応される部分に空洞(cavity)を乾式蝕刻する段階、及び
(b−3)上記ガラス基板の中で上記固定子に対応する部分を穿孔する段階を含むガラス基板加工方法によって形成される
静電駆動機を備えたインクジェットヘッド製造方法。
【請求項17】
上記加工されたSOI基板と上記加工されたガラス基板の結合は両極接合(anodic bonding)によって成り立つ
請求項16に記載の静電駆動機を備えたインクジェットヘッド製造方法。
【請求項18】
上記段階(a−3)はICP乾式蝕刻方法(dry etching)によって成り立つ
請求項16に記載の静電駆動機を備えたインクジェットヘッド製造方法。
【請求項19】
上記段階(b−2)の蝕刻または上記段階(b−3)の穿孔は、噴砂法(sandblaster)によって成り立つ
請求項16に記載の静電駆動機を備えたインクジェットヘッド製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−248220(P2006−248220A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−27786(P2006−27786)
【出願日】平成18年2月3日(2006.2.3)
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)
【Fターム(参考)】