説明

非対称ビスウレア誘導体でテクスチュア化された化粧料組成物

【課題】特定の化粧料組成物を満足できるようにゲル化することができ、かつ室温においてその組成物のオイル中に溶解されることのできる新しいゲル化剤の提供。
【解決手段】生理学的に許容される媒体中に少なくとも1の液状脂肪相を含む、液状脂肪相を有する化粧料組成物であって、前記液状脂肪相が定義された式の少なくとも1の非対称ビスウレア化合物でテクスチュア化されている化粧料組成物。さらに、それを含んでなるケラチン物質、特に皮膚をケアする及び/又はメイクアップするための化粧方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料の分野に関し、より詳細には、非対称ビスウレア化合物でテクスチュア化された液状脂肪相を有する化粧料組成物に関する。
【0002】
オイルを構造化し、オイルに所望されるテクスチュア又は粘度を与えるために、オルガノゲル化剤を使用することが当業者に公知である。オルガノゲル化剤は、オイル中の分子相互作用を変化させ、物理的及び/又は化学的性質を変化させる。しかし、これらのオルガノゲル化分子のオイル又はオイルの混合物への溶解はしばしば高温を必要とし、これは追加の加熱コストを発生させ、特に熱に敏感な分子の存在と両立しない可能性がある。さらに、これらの条件下で得られたゲルは、必ずしも要求される経時的安定性を有するわけではない。
【背景技術】
【0003】
ウレア、より特にビスウレアを含む化合物が良好なオルガノゲル化剤であることは、当業者に公知である。有機溶媒のためのゲル化剤としてビスウレアを記載すところのFeringa等、Chem.Eur.J.、1997年、第3巻、1238〜1243ページ又はHanabusa等、Chem.Lett.、1996、885〜886ページが例えば挙げられ得る。同様に、Andrew D.Hamiltonは、Tetrahedron Letters、第39巻(1998)7447〜7450ページにおいて種々の有機溶媒、例えば酢酸エチルをゲル化できるビスウレア分子に基づくオルガノゲル化剤を記載している。
【0004】
ある種の対称又は非対称のビスウレアのオルガノゲル化剤としての使用は、国際公開第02/47628号パンフレット及び特開平第2003−064346号公報においてもまた考えられた。これらの公報は、対称及び/又は非対称ビスウレアを化粧料又は非化粧料媒体をゲル化するために使用することを特に記載する。しかし、これらの公報に記載された対称及び非対称ビスウレアは室温において、及び/又はすべてのオイルに溶解するわけではない。特定の化粧料組成物を満足できるようにゲル化することができ、かつ室温においてその組成物のオイル中に溶解されることのできるゲル化剤を特定するために、多くの試験が前もって行われなければならない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
すなわち、類似の化学構造の分子を組み合わせる限り、それぞれ室温において少なくとも1、及び有利にはいくつかの異なる化粧オイルをゲル化するために効果的であることが分かっているオルガノゲル化分子の配合物であって、普遍的であると言われ得る配合物に対する需要がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的は、正確には、これらの要件を満足する新規な非対称ビスウレアを提案することである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
従って、その特徴の一つに従うと、本発明は、生理学的に許容され得る媒体中に、少なくとも1の液状脂肪相を含む化粧料組成物であって、該相が有効量の、式(I)の少なくとも1の化合物でテクスチュア化されていることを特徴とする化粧料組成物に関する。
【0008】
【化1】

ここで、A,R及びRは以下に定義されるとおりである。
【0009】
意外なことに、本発明者らは、本発明に従って考慮されている非対称ビスウレア化合物は、前述された需要を満足する選択のゲル化剤であることを見出した。
【0010】
その別の特徴に従うと、本発明は化粧料組成物を構造化するために上述された少なくとも1の非対称ビスウレア化合物の使用方法に関する。
【0011】
さらに別のその特徴に従うと、本発明は、ケラチン物質、特に体又は顔の皮膚、爪、睫、及び毛髪をメイクアップする及び/又はケアするための化粧的(従って非治療的)方法に関し、該方法は処理されるべき表面への上述された少なくとも1の非対称ビスウレア化合物を含む化粧料組成物の施与を含む。
【0012】
ビスウレア
上述されたように、より特に本発明に従って考慮されているビスウレア化合物は、下記の一般式(I)、又はそれらの塩又は異性体に相当する。
【0013】
【化2】


ここで
Aは下記式の基である、
【0014】
【化3】


ここでRは水素原子又は直鎖又は分岐状のC〜Cアルキル基であり、
n及びmは、互いに独立して0又は1に等しく、
*は、一般式(I)の化合物の残基の2つの窒素原子への基Aの結合の位置を表す、
は、飽和又は不飽和の、非環状で分岐状のC〜C15の炭素に基づく基であり、場合によってO,S,F及びN及び/又はカルボニル、及びそれらの組み合わせから選択された1〜3のヘテロ原子を含んでいてもよい、
はRと異なり、直鎖、分岐状、又は環状、飽和又は不飽和のC〜C24アルキル基であって、場合によりO,S,F及びNから選択された1〜3のヘテロ原子を含んでいてもよく、場合により
1,2又は3のヒドロキシル基
エステル基(−COOR)、ここでRは、1〜8、特に1〜6、又は2〜4でさえの炭素原子を含む直鎖又は分岐状のアルキル基である、
5〜12の炭素原子を含む、飽和、不飽和、又は芳香族環状基、特に、C〜Cのアルキル及びトリフルオロメチル基から選択された、同一又は異なっていてもよい1以上の基で置換されたフェニル基、又はモルホリン誘導体、及び/又は
1以上の直鎖又は分岐状のC〜Cアルキル基、
で置換されていてもよい。
【0015】
特に、n及びmは等しく、より特に零に等しく、Rは、下で定義される基R’である。すなわち、好ましくはAは以下の基を表す。
【0016】
【化4】


ここでR’は、直鎖又は分岐状のC〜Cアルキル基であり、*は、一般式(I)の化合物の残基の2つの窒素原子への基Aの結合位置を示す。
【0017】
本発明の一つの変形に従うと、一般式(I)の化合物はAとして以下から選択された少なくとも1つの基を含む。
【0018】
【化5】

ここでR’及び*は上記の通りである。
【0019】
特にR’は、メチル基であり、この場合、基Aは以下の基を表す。
【0020】
【化6】

*は上記の通りである。
【0021】
特に、化合物は、Aが2,4−トルエン及び2,6−トルエンの混合物であって、(2,4異性体)/(2,6異性体)の比が95/5〜80/20あるようなものである。
本発明の一つの実施態様に従うと、一般式(I)の化合物はRとして、分岐状のC〜C15基を含む。
本発明の一つの実施態様に従うと、一般式(I)の化合物はRとして、以下から選択された基を含む。
【0022】
【化7】

ここで*は、一般式(I)の化合物の残基の窒素への基Rの結合の位置を示す。
【0023】
下記の実施例から分かるように、一般式(I)の分子中の2つの基の内の1及び/又は他の存在は、対応する非対称のビスウレア誘導体に、本発明の意味内で普遍的な性質を与えるのに特に有利であることが分かる。
【0024】
と異なるRに関しては、以下から有利に選択され得る。
【0025】
【化8】

ここで*は、一般式(I)の化合物の残基の窒素への基Rの結合の位置を示す。
【0026】
本発明に最も特に適する化合物の非制限的な例として、より特に以下の化合物が挙げられ得る。
【0027】
【化9】

【0028】
【化10】

【0029】
【化11】

【0030】
【化12】

【0031】
表現「本発明の文脈において特に適する」は、一般式(I)の化合物は、単独で又は種々の割合における混合物として、複数の化粧料オイルに室温において溶解することができる化合物を意味し、考慮下の該オイル又はオイルの混合物をゲル化させ、すなわち所望される物理的及び/又は化学的性質を与えるために効果的であることが分かる化合物を意味する。
【0032】
本発明の目的のために、用語「効果的な量」は、本発明に従う組成物において考慮下のオイル又はオイルの混合物のテクスチュア化を得るために、必要かつ十分な量を意味する。
【0033】
このテクスチュア化は、粘度の増加により特に反映され、該増加は、一般式(I)の少なくとも1の化合物の導入のためであり得る。
【0034】
例えば、本発明に従う組成物は、液状脂肪相の合計重量に対して、0.0001重量%〜5重量%の非対称のビスウレア、特に0.001重量%〜1重量%又は0.004重量%〜0.5重量%の少なくとも1の非対称のビスウレアを含み得る。
【0035】
明らかな理由から、この効果的な量は、第一に、ビスウレア誘導体、位置異性体の置換基R及び/又はRの性質、及び純粋な形で使用されるか、又は式(I)の他のビスウレア誘導体との混合物として使用されるか否かに依存して、第二にオイル相の性質に依存して、かなり変化しやすい。
【0036】
特に製造方法に関連する理由から、一般式(I)の非対称ビスウレア誘導体は、本発明の文脈において、式(I)の誘導体同士の混合物、及び/又は式(I)の誘導体と対称ビスウレア誘導体の2つ対応する形との混合物の形で使用され得る。本発明の目的のために、用語「対称ビスウレア」は、同じ基R及びRを有する一般式(I)に従うビスウレアを意味する。
【0037】
一般的に、本発明に従う一般式(I)の化合物は、下記式の少なくとも1のジイソシアネート
【0038】
【化13】

と、下記式の少なくとも2の異なる1級アミンとの間の反応から誘導される。
【0039】
【化14】

ここでA,R及びRは上記の通りである。
【0040】
適切であれば、特に95/5又は80/20の割合における、種々のジイソシアネートは基A上の置換基Rの位置異性体であり得る。
【0041】
用語「少なくとも2の異なる1級アミン」は、他の1級アミンR−NH、ここでRは、R及びRのために提案された定義に対応する、がそこに添加され得ることを意味する。
【0042】
反応のために使用されるアミンの数は、2以上であり得、例えば2〜20、より特に3〜10であり得る。組成物の製造及びそのようにして得られた混合物の同定を容易にするために、2つのアミンの使用に制限されることは有利である。
【0043】
好ましくは、使用されるアミンは、1当量のジイソシアネートに対して、全体として2〜3当量、特に2.1〜2.5当量であり、又は2.2当量でさえある。
【0044】
2つの1級アミンのみが反応に使用されるときは特に、モル比n(R)/n(R)は、1/99〜99/1、より特に5/95〜95/5であり得、又は10/90〜90/10でさえあり得る。ここでn(R)は、
【0045】
【化15】

のモル数に相当し、
n(R)は、
【0046】
【化16】


ここで、R及びRは上記の通りである、
のモル数に相当する。
【0047】
反応は、一般的に不活性な雰囲気下、例えばアルゴン下で、無水の媒体中で行われ、反応媒体温度は、例えば50℃より下に、又は15℃〜40℃の間でさえ、好ましくは18℃〜25℃の間に維持される。
【0048】
ジイソシアネートは、無水溶媒、例えばテトラヒドロフラン,2−メチルテトラヒドロフラン,N−メチルピロリドン,酢酸ブチル、又はメチルエチルケトン中で、1〜30重量%、好ましくは2〜20重量%、4〜10重量%さえの範囲であり得る濃度まで溶解され得る。
【0049】
アミンを含む溶液は一般的にジイソシアネートと同じ溶媒中で、0.1%〜99.9%重量%の範囲の濃度に調製される。反応媒体の温度は、優先的に40℃を超えるべきではなく、すなわちアミンの濃度及びアミンを含む溶液の添加速度は、この必要性に合わせて優先的に調節されるべきである。反応媒体は、例えば30分から12時間攪拌しながら放置され得る。反応の進行は、赤外分光法により(特に2250〜2280cm−1のNCO吸収帯の消失を観察することにより)監視され得る。例えば、反応の終点において、反応媒体は、大量の(特にHClでpH3〜4の)酸性水に注がれる。次に得られた沈殿は、濾過除去され、例えば数回特に水で洗浄され、減圧下で乾燥され、特に真空下で凍結乾燥される。
【0050】
その結果として、この反応の後に、以下の2つの形の少なくとも1つが、式(I)の期待された非対称誘導体と共に得られる。
【0051】
【化17】

ここでA,R及びRは上記の通りであり、Aは式(I),(II)及び(III)におけるのと同じであり、Rは式(I)及び(III)におけるのと同じであり、Rは式(I)及び(II)におけるのと同じである。
【0052】
沈殿は、式(I)の期待される化合物に相当し、NMR分光法(H及び/又は13C)及び/又はHPLCにより同定され得、考慮下の油性媒体をテクスチュア化するためにそのままの形で使用され得る。
【0053】
反応の終点において、ビスウレア(I),(II)及び(III)の混合物が単離され、所望される油性媒体をゲル化するためにそのままの形で使用され得る。
【0054】
この場合、式(I)の化合物は、一般式(II)及び(III)の化合物と共に混合物の形で液状脂肪相において使用される。
【0055】
ビスウレアの混合物は、テクスチュア化されるべき液状脂肪相に、50℃以下、又は30℃以下でさえの温度において、特に室温において有利に可溶性である。
【0056】
液状脂肪相
本発明に従う組成物は、例えば非シリコーンオイル及び/又はシリコーンオイルを含むオイル相を含み得る。
【0057】
本特許出願の目的のために、用語「液状脂肪相」は、室温(25℃)及び大気圧(760 mm Hg)において液状であって、室温において液状であるところの1以上の相互に相溶性である脂肪質物質(オイルとしてもまた公知である)からなる脂肪相を意味する。
【0058】
オイル相は、組成物の1〜99.99重量%を占め得、又は組成物の10〜90重量%、特に20〜50重量%を占め得る。
【0059】
液状脂肪相は、上記のビスウレア化合物を溶解させる、又はゲル化されるのに適する又は適しないオイルを含み得る。当業者は、ビスウレアの所望される溶解及び液状脂肪相のゲル化を得るように、オイル及び該オイルの液状脂肪相中におけるそれぞれの割合を注意して選択する。
【0060】
a.シリコーンオイル
本発明の一つの変形に従うと、液状脂肪相は少なくとも1のシリコーンオイルを含む。
【0061】
本発明の液状脂肪相において使用され得るシリコーンオイルは、室温において液状である直鎖の非揮発性ポリジメチルシロキサン(PDMS);ポリアルキルメチルシロキサン、特にアルキル,アルコキシ又はフェニル基を含むポリジメチルシロキサン、該基はペンダント状、及び/又はシリコーン鎖の末端にあり、これらの基はそれぞれ2〜24の炭素原子を含む;ジメチコーンコポリオール,アルキルメチコーンコポリオール;フェニルシリコーン,例えばフェニルトリメチコーン,フェニルジメチコーン,フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン,ジフェニルジメチコーン,ジフェニルメチルジフェニルトリシロキサン,2−フェニルエチルトリメチルシロキシシリケート,セチルジメチコーン,アルキルグリセリルエーテル基を含むシリコーン、アミド側鎖基を含むシリコーン及びジラウロイルトリメチロールプロパンシロキシシリケート;ペンダント又は鎖の末端にある、1〜12の炭素原子を含む基であって、その水素原子の全部又は一部がフッ素原子で置換されているフルオロシリコーン、例えばアルキル及びパーフルオロアルキル基を含むシリコーン、オキシエチレン/オキシプロピレン(OE/OP)側鎖基及びパーフルオロ基を含むシリコーン、パーフルオロ側鎖基及びグリセロール化された側鎖基を含むシリコーン、及びパーフルオロアルキルメチルフェニルシロキサン,及びそれらの混合物でもまたあり得る。
【0062】
好ましくは、シリコーンオイルは揮発性の環状シリコーン、例えばD4,D5又はD6,及びフェニルトリメチコーン,及びそれらの混合物から選択され得る。
【0063】
液状脂肪相は有利に少なくとも5重量%、例えば10重量%〜90重量%のシリコーンオイルを含み得る。
【0064】
b.エステルオイル
本発明の一つの変形に従うと、液状脂肪相のオイルの少なくとも1つは、「エステルオイル」であり、モノカルボン酸とモノアルコール及びポリアルコールとのエステルから選択される。
【0065】
有利に、該エステルは、下の式(IV)に対応する、
−CO−O−R(IV)
ここでRは1〜40の炭素原子、好ましくは7〜19の炭素原子の直鎖又は分岐のアルキル基であって、場合により1以上のエチレン性二重結合を含んでいてもよく、場合により置換されていてもよいアルキル基を表す。
【0066】
は、1〜40の炭素原子、好ましくは3〜30の炭素原子、よりよくは3〜20の炭素原子の直鎖又は分岐状のアルキル基であって、場合により1以上のエチレン性二重結合を含んでいてもよく、場合により置換されていてもよいアルキル基を表す。
【0067】
用語「場合により置換されていてもよい」は、R及び/又はRは、O,N及びSから選択された1以上のヘテロ原子を含む基、例えばアミノ、アミン、アルコキシ、又はヒドロキシルから選択された1以上の置換基を有していてもよいことを意味する。
【0068】
+ Rにおける炭素の数は、9以上であり得る。
【0069】
基Rの例は、酢酸、プロピオン酸、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノレン酸、リノール酸、オレオステアリン酸、アラキドン酸、及びエルカ酸、及びそれらの混合物からなる群から選択された脂肪酸、好ましくは高級脂肪酸から由来するものである。
【0070】
本発明の組成物の脂肪相において使用され得るエステルの例は、例えばプルセリンオイル(オクタン酸セトステアリル)、イソノナン酸イソノニル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、ステアリン酸2−オクチルドデシル、エルカ酸2−オクチルドデシル、イソステアリン酸イソステアリル、及びヘプタン酸、オクタン酸、デカン酸、又はリシノール酸のアルコール又はポリアルコール例えば脂肪族アルコールのエステルである。
【0071】
好ましくは、Rは4〜14の炭素原子、好ましくはポリマーの8〜10の炭素原子の無置換の分岐状アルキル基であり、Rは、5〜15の炭素原子、及び好ましくは9〜11の炭素原子の無置換の分岐状アルキル基である。合計で3〜10の炭素原子を含むエステル、例えば酢酸エチル及び/又は酢酸ブチルが挙げられ得る。
【0072】
イソプロピルN−ラウロイルサルコシネート(味の素社製のEldew 205−SL)もまた、本発明の一つの特徴に従って有利であり得る。
【0073】
有利に、液状脂肪相は、0.5重量%〜100重量%、好ましくは1重量%〜80重量%、より好ましくは2重量%〜50重量%、及びさらによりよく3〜40重量%のエステルオイルを含む。
【0074】
c. 非シリコーンオイル
本発明に従う組成物の液状脂肪相は、上記のエステルオイルとは異なる1以上の非シリコーンオイルをもまた含み得る。これらの非シリコーンオイルは炭化水素に基づくオイル及び揮発性エーテルの群から選択され得る。
【0075】
非シリコーンオイルは、フルオロオイル、例えばパーフルオロポリエーテル、パーフルオロアルカン、例えばパーフルオロデカリン、パーフルオロアダマンタン、パーフルオロアルキルホスフェートモノエステル、ジエステル、及びトリエステル及びフッ素化エステルオイルからもまた選択され得る。
【0076】
液状脂肪相は、他の非シリコーンオイル、例えば極性オイルをもまた含み得る。例えば
グリセロールの脂肪酸エステルからなる、トリグリセリド含有量の高い、炭化水素をベースとする植物オイルであって、該脂肪酸は種々の鎖長を有し得、これらの鎖はおそらく直鎖又は分岐状であり、かつ飽和又は不飽和である;これらのオイルは、特に小麦胚芽油、コーン油、ヒマワリ油、シア油、ひまし油、スイートアーモンド油、マカデミア油、アプリコット油、大豆油、菜種油、綿実油、アルファルファ油、ケシの実油、かぼちゃ油、ゴマ種油、サマースカッシュ油(marrow oil)、アボガド油、ヘーゼルナッツ油、グレープシード油、黒スグリ油、月見草油、キビ油、大麦油、キノア油、オリーブ油、ライ麦油、サフラワー油、ククイナッツ油、パッションフラー油、又はジャコウバラ油;又はカプリル/カプリン酸トリグリセリド、例えばStearines Dubois社により販売されるもの、またDynamit Nobel社によりMiglyol 810、812、及び818の名前の下で販売されるもの、
〜C40合成エーテル
〜C32脂肪族アルコール、例えばオレイルアルコール又はオクチルドデカノール、
〜C32脂肪酸、例えばリノール酸又はリノレン酸、及び
それらの混合物
である。
【0077】
液状脂肪相は、合成又は鉱物起源の非極性オイル、例えば直鎖又は分岐状の炭化水素又はフルオロ炭化水素、例えば液状パラフィン(例えばC〜C16のイソパラフィン、イソドデカン、又はイソヘキサデカン)及びそれらの誘導体、石油ゼリー、ポリデセン及び水素化ポリイソブテン、例えばパーレアム、スクワラン、及びそれらの混合物をもまた含み得る。
【0078】
最も特に、液状脂肪相は、以下のリスト、
〜C32,好ましくはC〜C28、より良くはC12〜C26のモノアルコール、優先的にはオクチルドデカノール;
〜C32,好ましくはC〜C28よりよくはC12〜C26分岐状アルカン,優先的に式−(CH−CH(CH)n−(ここでn=4〜8)のパーレアム、及びイソドデカン;
直鎖のC13〜C48,好ましくはC18〜C40、よりよくはC20〜C32アルカン;
6〜30の炭素原子,特に8〜28、よりよくは10〜24の炭素原子及びO及びNから選択された4つのヘテロ原子を含むエステル及び/又はアミドから選択された2つの官能基を含む二官能性オイル、好ましくは、アミド及びエステル官能基は鎖に存在する、及び
それらの混合物、
から選択された少なくとも1の親油性化合物を含む。
【0079】
一般的に,非シリコーンオイルは、液状脂肪相の合計重量の5%〜95%、よりよくは20%〜75%に相当する。
【0080】
言うまでもないが、シリコーンオイルと炭素に基づくオイルの混合物、特に上記のリストから選択された少なくとも1の親油性化合物とシリコーンオイル(フェニルトリメチコーン,PDMS又は揮発性シリコーン)との混合物が使用され得る。
【0081】
他の脂肪物質
本発明に従う組成物は、ワックス及びペースト状化合物から選択され得る少なくとも1の固体脂肪物質をもまた含み得る。
【0082】
本発明の目的のために、用語「ワックス」は、30℃以上、よりよくは45℃より高く、かつ120℃までであり得る融点を有し、可逆な固体/液体の相変化を有する、室温(25℃)において固体である親油性化合物を意味する。
【0083】
ワックスは炭化水素に基づくワックス、フルオロワックス、及び/又はシリコーンワックスであり得、植物、鉱物、動物、及び/又は合成起源であることができる。
【0084】
本発明の第一組成物において使用され得るワックスとして、蜜蝋、カルナウバロウ、キャンデリラワックス、パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、セレシンワックス又はオゾケライト:合成ワックス、例えばポリエチレンワックス又はフィッシャートロプシュワックス、及びシリコーンワックス、例えば16〜45の炭素原子を含むアルキル又はアルコキシジメチコーンが挙げられ得る。
【0085】
組成物は、マイクロワックスとしても公知であるマイクロ化されたワックスをもまた含み得る。
【0086】
指針として、本発明に従う組成物は組成物の合計重量に対して0.1重量%〜50重量%、よりよくは1重量%〜30重量%のワックスを含み得る。
【0087】
より特に、本発明に従う組成物は、組成物の合計重量に対して0.1重量%〜40重量%,特に0.1重量%〜30重量%、より特に0.5重量%〜25重量%の固体脂肪物質を含み得る。
【0088】
水性相
適切な場合には、組成物は、基本的に水からなっていても、いなくてもよいところの、少なくとも1の水性相を含み得る。
【0089】
組成物は、水と、水と混和する有機溶媒(水中の混和性が25℃において50重量%より高い)、例えば1〜5の炭素原子を有する低級モノアルコール、例えばエタノール又はイソプロパノール、2〜8の炭素原子を有するグリコール、例えばプロピレングリコール、エチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、又はジプロピレングリコール、C〜Cのケトン、C〜Cのアルデヒド、との混合物をもまた含むことができる。
【0090】
水性相(水及び任意的に水と混和する有機溶媒でもよい)は該組成物の合計重量に関して1〜95重量%、特に3〜80重量%、特に5〜60重量%の含有量において存在することができる。
【0091】
本発明の別の実施態様に従うと、調製は水なしである。
【0092】
染料
一つの実施態様に従うと、本発明に従う組成物は、少なくとも1の有機又は無機染料、特に顔料又は真珠層タイプを含み得る。
【0093】
別の実施態様に従うと、本発明に従う組成物は、脂溶性染料、疎水性染料、顔料、真珠層及び特別な光学効果を有する物質、及びそれらの混合物から選択された少なくとも1の染料をもまた含み得る。
【0094】
用語「真珠層」は、虹色であってもなくてもよい任意の形態の着色された粒子であって、特にある種の軟体動物によりその殻の中で生産、あるいは合成され、光干渉により色効果を有する粒子を意味すると理解されるべきである。
【0095】
この染料は、組成物の合計重量に対して0.01重量%〜50重量%、特に0.5重量%〜40重量%、より特に5重量%〜25重量%、特に0.01重量%〜20重量%、特に0.1重量%〜10重量%さらに2%〜5重量%さえの割合で存在し得る。
【0096】
他の添加剤
本発明の組成物は、考慮下の分野において一般的に使用される任意の成分をもまた含み得る。
【0097】
言うまでもなく、本発明に従う組成物の有利な性質が、想定される添加により悪影響を及ぼされないように、あるいは実質的に及ぼされないように、当業者は、任意的な成分及び/又はその量を選択するように気をつける。
【0098】
特に、化粧的又は皮膚科学的に活性な剤、フィラー、ビタミン、一般式(I)に対応するもの以外の増粘剤、一般式(I)に対応するもの以外のゲル化剤、微量元素、柔軟化剤、金属イオン封鎖剤、香料、酸性化又は塩基性化剤、保存料、サンスクリーン、界面活性剤、抗酸化剤、脱毛抑制剤、抗フケ剤、噴射剤、及びセラミド、又はそれらの混合物が挙げられ得る。
【0099】
本発明に従う組成物は特に、懸濁物、分散物、溶液、特に有機溶液、ゲル、エマルジョン、特に水中油(O/W)型又は油中水(W/O)型、又はマルチ(W/O/W又はポリオール/O/W又はO/W/O)型エマルジョンの形態、又はクリーム、ペースト、ムース、特にイオン性又は非イオン性の脂質のベシクル性分散物、2相又は多相ローション、スプレー、粉末、スティック、又は棒の形態であり得る。
【0100】
当業者は、第一に、使用される成分の性質、特に支持体へのそれらの溶解度を、そして第二に、組成物の意図された用途を考慮して、その常識に基づいて適切な剤形及びそれを製造する方法を選択し得る。
【0101】
本発明に従う組成物は、メイクアップ組成物であり得、特に顔色調整製品、例えばファンデーション、メイクアップルージュ、又はアイシャドウ;口唇製品例えば口紅又は口唇ケア製品;コンシーラー製品;頬紅、マスカラ若しくはアイライナー;眉毛メイクアップ製品、口唇ペンシル若しくはアイペンシル;爪製品例えば爪マニュキア又は爪ケア製品;ボディメイクアップ製品;毛髪メイクアップ製品(毛髪のマスカラ又は毛髪ラッカー)であり得る。
【0102】
本発明に従う組成物は、顔、首、手、又は体を保護する又はケアするための組成物、特に抗しわ又は抗疲労組成物、皮膚を輝かせるための組成物、保湿又は処理する組成物;抗太陽又は人工日焼け組成物であり得る。
【0103】
本発明に従う組成物は、毛髪製品、特にヘアスタイルを保持するため、又は毛髪を形づくるための毛髪製品であり得る。毛髪組成物は、好ましくはシャンプー、ゲル、毛髪セットローション、ブロー乾燥ローション、又は固定化する及びスタイリングするための組成物、例えばラッカー又はスプレーである。ローションは、組成物を気化された形態で、又はムースの形態で施与するために、種々の形態で、特に噴霧器又はポンプディスペンサーボトル又はエアロゾル容器中に包装され得る。
【0104】
言うまでもなく、本発明の組成物は、化粧料的又は皮膚科学的に許容されるものであるべきであり、すなわちヒトの皮膚、外皮、又は口唇に施与され得る生理学的に許容される非毒性の媒体を含むべきである。本発明の目的のために、用語「化粧的に許容される」は、気持ちのよい外観、香り、及び感触の組成物を意味する。
【0105】
本発明に従う組成物は、化粧料又は皮膚科学において一般的に使用される公知の方法により製造され得る。
【0106】
本発明の課題は、化粧的なトリートメント方法、特に、ケラチン物質、特に体又は顔の皮膚、爪、毛髪、及び/又は睫をメイクアップすること、クレンジングすること、太陽から保護すること、形づけること、染色すること又はケアするための方法でもあり、該方法は、上で定義された化粧料組成物の、トリートメントされるべき表面への施与を含む。
【0107】
下に与えられる実施例は、本発明の分野の非制限的な例として提示される。
【0108】
物質及び方法
他に示されない限り、下の各実施例における考慮下の一般式(I)の化合物は、下に記載された同じ方法に従って製造された。
【0109】
試薬に使用された具体的な量は、下の実施例において特定される。
【0110】
トルエンジイソシアネートの無水THF溶液に、アミン混合物の無水THF溶液が添加される。添加はアルゴン雰囲気下、室温において行われ、添加の速度は、反応媒体の温度が50℃、より優先的には40℃を超えないような速度である。イソシアネートの消失は、2250〜2280cm−1の間の吸収帯の消失により、IR分光法で監視される。ジイソシアネートが完全に反応したら、反応混合物は、塩酸でpH3に酸性化された水の中へ注がれる。得られた沈殿は濾過除去され、数回水で洗浄され、最後に真空下で乾燥される、又は凍結乾燥される。白色の粉末が得られ、モル収率は80%〜99%であり、分析後(質量分光計に接続されたHPLC)、そのままの形で使用される。
【0111】
下に与えられる実施例は、使用される出発ジイソシアネート異性体のモル比、反応混合物において使用されるアミンの化学的性質、及び/又は出発混合物中の1のアミンの他のアミンに対する割合が異なる。
【実施例】
【0112】
実施例1
反応混合物は、2,4異性体及び2,6異性体の95/5の比における混合物からなる50 g(0.28mol)のトルエンジイソシアネート及び80 mol%の2−エチルヘキシルアミン(m=63.6g及びn=0.49mol)及び20 mol%のtert−ブチルアミン(m=9 g及びn=0.12mol)からなるアミンの混合物を含む。得られた白色の粉末の組成物は、質量分光計に接続されたHPLCにより測定され、期待された割合における以下の生成物の混合物を実際含む。
【0113】
【化18】

【0114】
実施例2
反応混合物は、2,4異性体及び2,6異性体の80/20の比における混合物からなるトルエンジイソシアネート(m=50 g及びn=0.28 mol)及び80mol%の2−エチルヘキシルアミン(m=63.6 g及びn=0.49mol)及び20 mol%のtert−ブチルアミン(m=9 g及びn=0.12mol)からなるアミンの混合物を含む。得られた白色の粉末の組成物は、実施例1で得られた生成物と同じ混合物を異なる割合で含む(質量分光計に接続されたHPLCにより確認)。
【0115】
実施例3
反応混合物は、2,4異性体及び2,6異性体の95/5の比における混合物であるトルエンジイソシアネート(m=15 g及びn=86 mmol)及び80mol%の2−エチルヘキシルアミン(m=1.8 g及びn=139 mmol)及び20 mol%の3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピルアミン(m=6.5g及びn=35 mmol)からなるアミンの混合物を含む。得られた白色の粉末の組成物は、質量分光計に接続されたHPLCにより測定され、期待された割合において、以下の生成物の混合物を実際含む。
【0116】
【化19】

【0117】
実施例4
反応混合物は、2,4異性体及び2,6異性体の95/5の比における混合物であるトルエンジイソシアネート(m=0.52 g及びn=3 mmol)及び50mol%の2−エチルヘキシルアミン(m=0.39 g及びn=3 mmol)及び50 mol%の3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピルアミン(m=0.56g及びn=3 mmol)からなるアミンの混合物を含む。得られた白色の粉末の組成物は、実施例3から得られた生成物と同じ混合物を含むが、異なる割合で含む(質量分光計に接続されたHPLCにより確認)。
【0118】
実施例5
反応混合物は、2,4異性体及び2,6異性体の95/5の比における混合物であるトルエンジイソシアネート(m=0.72 g及びn=4.1 mmol)及び50mol%のtert−ブチルアミン(m=0.31 g及びn=4.2 mmol)及び50 mol%の3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピルアミン(m=0.79g及びn=4.2 mmol)からなるアミンの混合物を含む。得られた白色の粉末の組成物は、下の生成物の混合物を含んでいた。
【0119】
【化20】

【0120】
【化21】

【0121】
実施例6
反応混合物は、2,4異性体及び2,6異性体の95/5の比における混合物であるトルエンジイソシアネート(m=2.44 g及びn=14 mmol)及び50mol%の2−エチルヘキシルアミン(m=1.8 g及びn=14 mmol)及び50 mol%のtert−ブチルアミン(m=1.02 g及びn=14 mmol)からなるアミンの混合物を含む。得られた白色の粉末の組成物は、実施例1の混合物と同じ混合物を含むが、異なる割合で含む(質量分光計に接続されたHPLCにより確認)。
【0122】
実施例7
反応混合物は、2,4異性体及び2,6異性体の95/5の比における混合物であるトルエンジイソシアネート(m=50 g及びn=0.287 mol)及び50mol%の2−エチルヘキシルアミン(m=40.8 g及びn=0.316 mol)及び50 mol%のエチル3−アミノブチレート(m=41.4 g及びn=0.316mol)からなるアミンの混合物を含む。得られた白色の粉末の組成物は、下の生成物の混合物を含んでいた。
【0123】
【化22】

【0124】
実施例8:3つのアミンの混合物から出発する実施例
反応混合物は、2,4異性体及び2,6異性体の95/5の比における混合物であるトルエンジイソシアネート(m=1.9 g;n=11 mmol)及び80 mol%の2−エチルヘキシルアミン(m=2.2g;n=17 mmol)、10 molの3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピルアミン(m=0.37 g;n=2 mmol)、及び10 mol%のtert−ブチルアミン(m=0.15g;n=2 mmol)からなるアミンの混合物を含む。
【0125】
実施例9:
下の対称誘導体が比較のために合成された。
【0126】
【化23】

【0127】
実施例10
実施例 1,2,3,5及び8に従って得られた化合物及び、実施例9の比較化合物A,B,C及びDの混合物が、溶媒のリストに関して室温においてゲル化性のために1重量%及び10重量%の割合において試験される。
【0128】
これをするために、ある量の試験される化合物又は混合物が、ある量の溶媒に導入される。もし化合物又は化合物の混合物が室温においてその溶媒に溶解するならば、及び適切であれば、もしこの溶媒の粘度を増加させるならば、ゲル化性は十分であると判断される。
【0129】
本発明に従う化合物を含む実施例 1,2,3,5及び8の混合物のみが、フェニルトリメチコーンに10重量%までの濃度で、室温において可溶であり、これらの溶媒の粘度を増加させることが分かることに留意されたい。
【0130】
他方、比較例A,B及びCの対称誘導体はフェニルトリメチコーン中に80℃においてさえ1重量%で可溶でないことが分かる。
【0131】
同様に、実施例 1,2,3,5及び8の混合物は、イソドデカン、オクチルドデカノール、イソノニルイソノナノエート、及びパーレアムオイルに1重量%で室温において可溶であり、これらの溶媒の粘度のかなりの増加もたらすことが観察される。
【0132】
他方、比較例A,B及びCの対称誘導体は、80℃においてさえ、オクチルドデカノール、イソノニルイソノナノエート、又はパーレアムオイルに可溶でないことが分かる。
【0133】
さらに、実施例 A,B,C及びDの対称誘導体の混合物は、媒体の粘度を増加させない。
【0134】
例えば、実施例1は、イソドデカン、イソノニルイソノナノエート、及びパーレアムオイルに1重量%で室温において可溶であり、媒体の粘度を増加させる。他方、この結果は、80質量%の比較例Aと20質量%の比較例Bを混合することによっては80℃まで加熱しても観察されない。
【0135】
実施例 6及び7の混合物は、室温において3重量%で酢酸ブチルに可溶であり、この濃度においてこのエステルオイルの粘度を増加させる。同じ結果は、酢酸エチル中の実施例6の混合物で得られる。
【0136】
他方、実施例9の比較例 A,B及びDの対称誘導体は、酢酸エチル及び酢酸ブチルに3重量%において不溶のままである。
【0137】
【表1】

【0138】
完全に満足できる化粧料の品質を有するマスカラが得られる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生理学的に許容される媒体中に少なくとも1の液状脂肪相を含む、液状脂肪相を有する化粧料組成物において、前記液状脂肪相が、有効量の式(I)の少なくとも1の化合物、又はそれらの塩又は異性体でテクスチュア化されている化粧料組成物、

ここで
Aは下記式の基である、

ここでRは水素原子又は直鎖又は分岐状のC〜Cアルキル基であり、
n及びmは、互いに独立して0又は1に等しく、
*は、一般式(I)の化合物の残基の2つの窒素原子への基Aの結合の位置を表す、
は、飽和又は不飽和の、非環状で分岐状のC〜C15アルキル基であり、場合によってO,S,F及びNから選択された1〜3のヘテロ原子、及び/又はカルボニル、及びそれらの組み合わせを含んでいてもよい、
はRと異なり、直鎖、分岐状、又は環状、飽和又は不飽和のC〜C24アルキル基であって、場合によりO,S,F及びNから選択された1〜3のヘテロ原子を含んでいてもよく、場合により
1,2又は3のヒドロキシル基
エステル基(−COOR)、ここでRは、1〜8の炭素原子を含む直鎖又は分岐状のアルキル基である、
5〜12の炭素原子を含む、飽和、不飽和、又は芳香族環状基、及び/又は
1以上の直鎖又は分岐状のC〜Cアルキル基
で置換されていてもよい。
【請求項2】
基Aが下記式の基である、請求項1に記載の組成物。

*は、一般式(I)の化合物の残基の2つの窒素原子への基Aの結合の位置を表す。
【請求項3】
基Rが下記から選択される、請求項1又は2のいずれか1項に記載の組成物。

*は、一般式(I)の化合物の残基の窒素原子への基Rの結合の位置を表す。
【請求項4】
基Rが下記から選択される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。

*は、一般式(I)の化合物の残基の窒素原子への基Rの結合の位置を表す。
【請求項5】
式(I)の化合物が下記から選択される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。







【請求項6】
液状脂肪相が、オクチルドデカノール、パーレアム、イソドデカン、イソノニルイソノナノエート、フェニルトリメチコーン、イソプロピルN−ラウロイルサルコシネート(Eldew 205)、酢酸エチル、及び酢酸ブチル、及び/又はそれらの混合物から選択された少なくとも1のオイルを含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
一般式(I)の前記化合物が、下記式の少なくとも1つのジイソシアネート

と下記式の少なくとも2つの異なる1級アミン


ここでA、R、及び Rは、請求項1〜4のいずれか1項で記載された通りである、
との反応から誘導される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
液状脂肪相の合計重量に対して、0.5重量%未満の一般式(I)の化合物を含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の一般式(I)の化合物を、化粧料組成物を構造化するために使用する方法。
【請求項10】
ケラチン物質、特に皮膚をケアする及び/又はメイクアップするための化粧方法において、処理されるべき表面への請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物の施与を含む化粧方法。

【公開番号】特開2007−161710(P2007−161710A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−334062(P2006−334062)
【出願日】平成18年12月12日(2006.12.12)
【出願人】(595100370)ロレアル (108)
【氏名又は名称原語表記】L′OREAL
【Fターム(参考)】