説明

非常用ディーゼル発電設備及び非常用ディーゼル発電設備の運転方法

【課題】始動期間をさらに短縮することができる非常用ディーゼル発電設備を提供する。
【解決手段】非常用ディーゼル発電設備1はディーゼル機関2及び発電機13を有する。ディーゼル機関2は、所内電源及び外部電源からの電流の供給が断たれたとき、空気貯槽19内の圧縮空気をシリンダ3内に供給して始動される。潤滑油供給ポンプ39は、その圧縮空気の供給により駆動され、潤滑油タンク30内の潤滑油を軸受11,12,16,17に供給する。軸受11,12はディーゼル機関2の、シリンダ3内のビストン6の往復動により回転するクランク軸10を支持し、軸受16,17は、クランク軸10に連結される、発電機13のロータ14を支持する。空気駆動発電機48は、上記の圧縮空気によって駆動され、電力を発生する。この電力は、潤滑油加熱器40の電気ヒータ52に供給され、各軸受に供給される潤滑油を加熱する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非常用ディーゼル発電設備及び非常用ディーゼル発電設備の運転方法に係り、特に、原子力発電プラントに適用するのに好適な非常用ディーゼル発電設備及び非常用ディーゼル発電設備の運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発電プラントである原子力発電プラントは、この原子力発電プラントからの電力(所内電源)及び他の発電プラントからの電力(外部電源)が途絶えた停電状態において非常用電源として用いる非常用ディーゼル発電設備を備えている。この非常用ディーゼル発電設備は、その停電状態において電力を発生し、原子力発電プラントにその電力を供給する。非常用ディーゼル発電設備の一例が特開2007−92640号公報に記載されている。
【0003】
特開2007−92640号公報に記載された非常用ディーゼル発電設備は、ディーゼル機関及び発電機を有し、ディーゼル機関と発電機を軸受で支持されるクランク軸で連結している。原子力発電プラントが運転されて電力を発生しているとき、非常用ディーゼル発電設備は電力を発生する必要がないので待機状態にある。非常用ディーゼル発電設備では、この待機状態においても、停電時におけるディーゼル機関の始動期間を短縮するために、潤滑油プライミングポンプを駆動して上記の軸受に潤滑油を供給している。潤滑油プライミングポンプは所内電源によって駆動される。原子力発電プラントの運転が停止されて所内電源が使用できない場合には、潤滑油プライミングポンプは外部電源によって駆動される。
【0004】
非常用ディーゼル発電設備は、所内電源が停電になったときに駆動されるが、ディーゼル機関の始動を補助するための圧縮空気を蓄えた空気貯槽を備えている。所内電源が停電したとき、空気貯槽内の圧縮空気がディーゼル機関のシリンダ内に供給され、圧縮空気の膨張力によりピストンを作動させる。燃料油がシリンダ内に供給されて着火が始まり、ディーゼル機関が始動する。このとき、外部電源も停電した場合には、潤滑油プライミングポンプが駆動されず、軸受への潤滑油の供給ができなくなる。
【0005】
軸受への潤滑油の供給停止を避けるために、非常用ディーゼル発電設備は、空気貯槽内の圧縮空気を用いて駆動する潤滑油供給ポンプを有している。所内電源が停電して非常用ディーゼル発電設備を駆動させるとき、外部電源が停電状態になっていときには、空気貯槽内の圧縮空気をその潤滑油供給ポンプに供給して潤滑油供給ポンプを駆動し、軸受に潤滑油を供給する。この潤滑油供給ポンプの構造は、特開2007−92640号公報の図2に示されている。
【0006】
【特許文献1】特開2007−92640号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
軸受に供給する潤滑油は、ディーゼル機関の始動時間を短縮するために、非常用ディーゼル発電設備を待機状態においても加熱する必要がある。このため、その待機状態においては、所内電源(または外部電源)に接続される電気ヒータを設置し、この電気ヒータにより潤滑油を加熱することが提案されている。
【0008】
特開2007−92640号公報に記載された非常用ディーゼル発電設備は、軸受に供給する潤滑油の加熱装置を備えていない。上記の電気ヒータを潤滑油の供給配管に設置することが考えられる。しかしながら、この場合でも、所内電源が停電して非常用ディーゼル発電設備を駆動させるとき、外部電源が停電状態になっているときには、圧縮空気により駆動された潤滑油供給ポンプにより軸受に供給される潤滑油の温度が設定温度よりも低下する。このため、ディーゼル機関の始動に要する時間が長くなる。
【0009】
本発明の目的は、始動期間をさらに短縮することができる非常用ディーゼル発電設備及び非常用ディーゼル発電設備の運転方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記した目的を達成する本発明の特徴は、ディーゼル機関と、ディーゼル機関の回転軸に連結されるロータを有する第1発電機と、圧縮空気を用いてディーゼル機関を始動させる始動装置と、その回転軸を支持する第1軸受及びロータを支持する第2軸受に潤滑油を供給し、その回転軸の回転によって駆動されて潤滑油を昇圧する第1潤滑油供給ポンプを有する潤滑油供給装置と、ディーゼル機関を始動させる際に、圧縮空気により駆動され、第1及び第2軸受に供給される潤滑油を昇圧する第2潤滑油供給ポンプと、ディーゼル機関を始動させる際に、圧縮空気により駆動される第2発電機と、第2発電機で発生した電力が供給され、第2潤滑油供給ポンプによって第1及び第2軸受に供給される潤滑油を加熱する加熱装置とを備えたことにある。
【0011】
圧縮空気により駆動される第2発電機が設けられているので、所内電源及び外部電源が停電したときに、この第2発電機によって発電することができる。この発電によって発生した電力は加熱装置に供給され、第1及び第2軸受に供給される潤滑油が加熱装置によって加熱される。圧縮空気により駆動される第2潤滑油供給ポンプを設置しているので、所内電源及び外部電源の停電時において、加熱装置で加熱された潤滑油を、第2潤滑油供給ポンプによって、第1及び第2軸受に供給することができる。このため、ディーゼル機関をより早く始動させることができ、非常用ディーゼル発電設備の始動期間をさらに短縮することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、非常用ディーゼル発電設備の始動期間をさらに短縮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の好適な一実施例である非常用ディーゼル発電設備を、図1を用いて説明する。本実施例の非常用ディーゼル発電設備1は、ディーゼル機関2、発電機(第1発電機)13、始動空気系(始動装置)18、燃料油系(燃料油供給装置)21、冷却水系(冷却水供給装置)24、潤滑油系(潤滑油供給装置)29及び始動補助装置37を備えており、原子力発電プラントである沸騰水型原子力発電プラントに設けられている。
【0014】
ディーゼル機関2は、シリンダ3、ピストン6、ピストンロッド7及びクランク軸10を有する。シリンダ3は入口側のシリンダ冷却室4及び出口側のシリンダ冷却室5を有する。シリンダ3内に配置されるピストン6がピストンロッド7に連結され、ピストンロッド7は軸受11,12で支持されるクランク軸10に連結される。シリンダ3には、さらに、吸気パイプ8及び排気パイプ9が接続される。
【0015】
発電機13は、ロータ14及びステータ15を有する。ロータ14は、軸受16,17で支持され、クランク軸10に連結されている。始動空気系18は圧縮空気が蓄えられた空気貯槽19を有する。空気貯槽19は開閉弁63が設けられた空気配管20によってシリンダ3に接続される。燃料油系21は燃料油を蓄える燃料タンク22を有する。燃料タンク22は開閉弁62が設けられた燃料配管23によりシリンダ3に接続される。燃料タンク22はシリンダ3よりも高い位置に配置され、燃料タンク22内の燃料油が重力によりシリンダ3内に供給できるようになっている。
【0016】
冷却水系24は、清水が充填された清水タンク25及び清水ポンプ26を有している。清水タンク25には、冷水が流れる伝熱管である冷却器60が設けられる。清水タンク25に接続された清水供給管27がシリンダ冷却室4に接続される。清水ポンプ26が清水供給管27に設けられる。シリンダ冷却室4に連絡されるシリンダ冷却室5に接続された清水戻り管28が清水タンク25に接続される。清水ポンプ26は、クランク軸10に連結されており、クランク軸10の回転によって回転される。
【0017】
潤滑油系29は、潤滑油タンク30、潤滑油ポンプ(第1潤滑油供給ポンプ)31、冷却器32及び逆止弁33を有する。潤滑油供給管34が潤滑油タンク30と冷却器32を接続する。潤滑油ポンプ31が潤滑油供給管34に設けられる。冷却器32に接続された潤滑油供給管35が、クランク軸10を支持する軸受11,12及びロータ14を支持する軸受16,17に接続される。逆止弁33が潤滑油供給管35に設けられる。軸受11,12,16,17に接続された潤滑油戻り管36が、潤滑油タンク30に接続される。潤滑油ポンプ31も、クランク軸10に連結されており、クランク軸10の回転によって回転される。
【0018】
始動補助装置37は、潤滑油補助装置38及び空気駆動発電機(第2発電機)48を有する。潤滑油補助装置38は、電気ヒータ52が設置された潤滑油加熱器40、潤滑油供給ポンプ(第2潤滑油供給ポンプ)39及び逆止弁41を有する。潤滑油供給ポンプ39は、特開2007−92640号公報の図2に示す構成を有している。潤滑油加熱器40に接続された潤滑油供給管43が潤滑油タンク30に接続される。潤滑油加熱器40は潤滑油供給管44によって潤滑油供給ポンプ39に接続される。逆止弁41を設けた潤滑油供給管45が、潤滑油供給ポンプ39と潤滑油供給管35を接続する。開閉弁42が設けられた空気供給管46が空気貯槽19と潤滑油供給ポンプ39を接続する。電気ヒータ(加熱装置)52が潤滑油加熱器40に設置されている。
【0019】
空気駆動発電機48を、図2に基づいて説明する。空気駆動発電機48は、ケーシング49、空気タービン50、回転軸51、回転子52及び固定子53を有している。空気タービン50、回転軸51、回転子52及び固定子53は、ケーシング49内に配置される。回転軸51は、ケーシング49に設置された軸受54によって支持される。空気タービン50及び回転子52が回転軸51に取り付けられる。ケーシング49に設置された環状の固定子53は回転子52の周囲を取り囲んでいる。回転子52の界磁には永久磁石が使用されるので、回転子52に対する励磁電源は不要となる。
【0020】
ケーシング49に設置されたシール部材55は、ケーシング49内の、空気タービン50が配置された空間と回転子52及び固定子53が配置された空間をシールしている。空気貯槽19に接続された空気供給管57が、ケーシング49の、空気タービン50の空気入口側に接続される。開閉弁56が空気供給管57に設置される。空気排出管58が、ケーシング49の、空気タービン50の空気排出側に接続される。空気駆動発電機48は支持部材59によって架台61に設置される。
【0021】
開閉弁42,56,62,63は、制御装置64で開閉が制御される。この制御装置64にはバッテリが接続されている。
【0022】
非常用ディーゼル発電設備1が待機状態にあるときには、ディーゼル機関2が作動していないので、クランク軸10が回転していなく清水ポンプ26及び潤滑油タンク30も停止している。このため、非常用ディーゼル発電設備1の待機時には、潤滑油が軸受11,12,16,17に供給されていない。
【0023】
沸騰水型原子力発電プラントの運転が停止されて所内電源が停電になり、外部電源も停電になっているとき、非常用ディーゼル発電設備1が起動される。非常用ディーゼル発電設備1の起動について説明する。
【0024】
所内電源及び外部電源が停電状態になったとき、制御装置64に停電信号が入力される。制御装置64は、停電信号を入力したとき、開閉弁42,56,62,63に開信号をそれぞれ出力し、閉じているこれらの開閉弁を開く。制御装置64は、開閉弁42,56に同時に開信号を出力し、その後、開閉弁62及び開閉弁63の順に開信号を出力する。
【0025】
開閉弁56が開くと、空気貯槽19内の圧縮空気が空気供給管57を通って空気駆動発電機48内に供給される。空気タービン50が、この圧縮空気によって回転され、回転子52を回転させる。空気タービン50を回転させた圧縮空気は空気排出管58に排出される。回転子52の回転によって発電され、発生した電力が固定子53から取り出される。この電力が電気ヒータ52に供給される。このため、所内電源及び外部電源が停電になったときには、後述するように、潤滑油供給ポンプ39が駆動され、潤滑油タンク30内の潤滑油が潤滑油加熱器40に導かれる。この潤滑油は、潤滑油加熱器40内において、空気駆動発電機48で発電された電力が供給される電気ヒータ52によって設定温度まで加熱される。空気駆動発電機48内に設置されたシール部材55は、空気タービン50に供給された圧縮空気がケーシング47内の、回転子52及び固定子53が配置された空間に漏洩することを防止している。
【0026】
開閉弁42が開くので、空気貯槽19内の圧縮空気が空気供給管46を通って潤滑油供給ポンプ39に供給され、潤滑油供給ポンプ39が駆動される。これにより、潤滑油タンク30内の潤滑油が、潤滑油加熱器40に導かれ、前述したように、設定温度に加熱される。電気ヒータ52によって設定温度に加熱された潤滑油が、潤滑油供給管44によって潤滑油加熱器40から潤滑油供給ポンプ39に供給され、潤滑油供給ポンプ39によって昇圧される。この潤滑油は、潤滑油供給管45,35を通って軸受11,12,16,17にそれぞれ供給される。軸受11,12,16,17から排出された潤滑油は、潤滑油戻り管36を通って潤滑油タンク30に戻される。潤滑油タンク30内の潤滑油は、潤滑油供給管43を通って潤滑油加熱器40に導かれ、電気ヒータ52で加熱される。潤滑油タンク30、潤滑油加熱器40、潤滑油供給ポンプ39、軸受11,12,16,17及び潤滑油タンク30を流れる潤滑油の循環流は、潤滑油供給ポンプ39が駆動している間、発生する。潤滑油供給ポンプ39の駆動によって潤滑油が軸受11,12,16,17に供給されるので、ディーゼル機関2が始動する前に、クランク軸10と軸受11,12の間、及びロータ14と軸受16,17の間に、電気ヒータ52で暖められた潤滑油の膜を形成することができる。
【0027】
潤滑油供給ポンプ39が駆動された後に制御装置64から出力された開信号に基づいて開閉弁63が開く。開閉弁63が開くと、空気貯槽19内の圧縮空気が空気配管20を通ってシリンダ3内に供給される。シリンダ3内に供給された圧縮空気は、シリンダ3内で膨張し、ピストン6を作動させる。ピストン6の往復動がピストンロッド7によってクランク軸10に伝えられ、クランク軸10が回転する。
【0028】
クランク軸10の回転後に制御装置64から開閉弁62に開信号が出力される。この開信号により開閉弁62が開くので、燃料タンク22内の燃料油が、重力の作用により、燃料配管23を通ってシリンダ3内に供給される。シリンダ3内には、吸気パイプ8を通して燃焼空気が供給される。シリンダ3内で燃料油が着火され、ディーゼル機関2が始動する。その後、ディーゼル機関2は燃料油の供給によって駆動される。シリンダ3内で発生した排気ガスは、排気パイプ9を通して外部に排出される。
【0029】
クランク軸10の回転によって、クランク軸10に連結されたロータ14が回転し、ステータ15から発生した電力が取り出される。この電力は、沸騰水型原子力発電プラントの必要な箇所に供給される。
【0030】
ディーゼル機関2が始動してクランク軸10が回転されたとき、開閉弁42,56,63が閉じられる。このため、空気貯槽19からシリンダ3への圧縮空気の供給が停止される。空気貯槽19から潤滑油供給ポンプ39への圧縮空気の供給が停止され、潤滑油供給ポンプ39の駆動が停止される。さらに、空気貯槽19から空気駆動発電機48への圧縮空気の供給が停止され、空気駆動発電機48の駆動が停止される。これにより、空気駆動発電機48から電気ヒータ52への電流の供給が停止される。
【0031】
潤滑油供給ポンプ39が停止された後における潤滑油の軸受11,12,16,17への供給は、潤滑油ポンプ31によって行われる。クランク軸10に連結された潤滑油ポンプ31は、クランク軸10の回転によって駆動される。潤滑油タンク30内の潤滑油は、潤滑油ポンプ31で昇圧されて潤滑油供給管34により冷却器32に導かれる。冷却器32で所定温度に冷却された潤滑油は、潤滑油供給管35を経て軸受11,12,16,17に供給される。軸受11,12,16,17から排出された潤滑油は、潤滑油戻り管36を通って潤滑油タンク30に戻される。クランク軸10及びロータ14の回転によって軸受11,12,16,17の温度が上昇するので、軸受11,12,16,17には冷却器32による冷却で温度が低下した潤滑油を供給する必要がある。
【0032】
ディーゼル機関2が始動してクランク軸10が回転されたとき、シリンダ3を冷却する必要がある。このシリンダ3の冷却は、冷却水系24によって行われる。クランク軸10に連結された清水ポンプ26は、クランク軸10の回転によって駆動される。冷却器60で冷却された、清水タンク25内の清水は、清水ポンプ26によって昇圧され、シリンダ冷却室4に供給される。この清水は、シリンダ冷却室4からシリンダ冷却室5に流出し、清水戻り管28によって清水タンク25に戻される。シリンダ3は、シリンダ冷却室4及びシリンダ冷却室5に供給された清水によって冷却される。
【0033】
本実施例は、非常用ディーゼル発電設備の待機状態では潤滑油が軸受11,12,16,17に供給されなく、所内電源及び外部電源が停電になったときに、圧縮空気によって潤滑油供給ポンプ39が駆動されて潤滑油を軸受11,12,16,17に供給することができ、ディーゼル機関2の始動前に、軸受11,12,16,17に油膜を形成することができる。このため、従来技術に設けられて待機状態において軸受11,12,16,17に潤滑油を供給する潤滑油プライミングポンプが不要になり、非常用ディーゼル発電設備をコンパクト化することができる。
【0034】
本実施例では、所内電源及び外部電源からの電流の供給が停止されたとき、圧縮空気が空気駆動発電機48に供給され、空気駆動発電機48によって電力が発生する。この電力が電気ヒータ52に供給されるので、軸受11,12,16,17に供給する潤滑油を設定温度に加熱することができる。このため、軸受11,12,16,17の温度が上昇し、ディーゼル機関2の始動時間をさらに短縮することができる。
【0035】
本実施例では、非常用ディーゼル発電設備の待機時において、電気ヒータ52に電流が供給されず、潤滑油が加熱されない。このため、非常用ディーゼル発電設備の待機時における非常用ディーゼル発電設備での消費電力が0になる。
【0036】
本実施例の非常用ディーゼル発電設備1は、加圧水型原子力発電プラント等の他の原子力発電プラントに適用することができる。さらに、本実施例の非常用ディーゼル発電設備1は、火力発電プラント及び化学プラントにも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の好適な一実施例である非常用ディーゼル発電設備の構成図である。
【図2】図1に示す空気駆動発電機の構成図である。
【符号の説明】
【0038】
1…非常用ディーゼル発電設備、2…ディーゼル機関、3…シリンダ、6…ピストン、10…クランク軸、11,12,16,17…軸受、13…発電機、14…ロータ、15…ステータ、18…始動空気系、19…空気貯槽、21…燃料油系、22…燃料タンク、24…冷却水系、25…清水タンク、26…清水ポンプ、29…潤滑油系、30…潤滑油タンク、31…潤滑油ポンプ、37…始動補助装置、38…潤滑油補助装置、39…潤滑油供給ポンプ、40…潤滑油加熱器、48…空気駆動発電機、49…ケーシング、50…空気タービン、52…回転子、53…固定子。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディーゼル機関と、前記ディーゼル機関の回転軸に連結されるロータを有する第1発電機と、圧縮空気を用いて前記ディーゼル機関を始動させる始動装置と、前記回転軸を支持する第1軸受及び前記ロータを支持する第2軸受に潤滑油を供給し、前記回転軸の回転によって駆動されて前記潤滑油を昇圧する第1潤滑油供給ポンプを有する潤滑油供給装置と、前記ディーゼル機関を始動させる際に、圧縮空気により駆動され、前記第1及び第2軸受に供給される前記潤滑油を昇圧する第2潤滑油供給ポンプと、前記ディーゼル機関を始動させる際に、圧縮空気により駆動される第2発電機と、前記第2発電機で発生した電力が供給され、前記第2潤滑油供給ポンプによって前記第1及び第2軸受に供給される前記潤滑油を加熱する加熱装置とを備えたことを特徴とする非常用ディーゼル発電設備。
【請求項2】
前記ディーゼル機関を始動させる前記圧縮空気、前記第2潤滑油供給ポンプを駆動させる前記圧縮空気、及び前記第2発電機を駆動させる前記圧縮空気を蓄える貯槽を備えた請求項1に記載の非常用ディーゼル発電設備。
【請求項3】
前記圧縮空気を前記ディーゼル機関に供給する第1配管に設けられた第1弁、前記圧縮空気を前記第2潤滑油供給ポンプに供給する第2配管に設けられた第2弁、及び前記圧縮空気を前記第2発電機に供給する第3配管に設けられた第3弁を制御する制御装置を設けた請求項1または2に記載の非常用ディーゼル発電設備。
【請求項4】
ディーゼル機関と、前記ディーゼル機関の回転軸に連結されるロータを有する第1発電機と、圧縮空気を用いて前記ディーゼル機関を始動させる始動装置と、前記回転軸を支持する第1軸受及び前記ロータを支持する第2軸受に潤滑油を供給し、前記回転軸の回転によって駆動されて前記潤滑油を昇圧する第1潤滑油供給ポンプを有する潤滑油供給装置とを備えた非常用ディーゼル発電設備の運転方法において、
前記ディーゼル機関を始動させる際に、圧縮空気により第2潤滑油供給ポンプを駆動してこの第2潤滑油供給ポンプで昇圧された前記潤滑油を前記第1及び第2軸受に供給し、
前記ディーゼル機関を始動させる際に、圧縮空気により第2発電機を駆動して電力を発生させ、
前記第2潤滑油供給ポンプによって前記第1及び第2軸受に供給される前記潤滑油を加熱する加熱装置に前記第2発電機から電力を供給し、
前記加熱された潤滑油が前記第1及び第2軸受に供給された後、前記ディーゼル機関を始動させることを特徴とする非常用ディーゼル発電設備の運転方法。
【請求項5】
前記ディーゼル機関を始動させる前記圧縮空気、前記第2潤滑油供給ポンプを駆動させる前記圧縮空気、及び前記第2発電機を駆動させる前記圧縮空気が1つの貯槽から供給される請求項4に記載の非常用ディーゼル発電設備の運転方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2010−77856(P2010−77856A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−245697(P2008−245697)
【出願日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(507250427)日立GEニュークリア・エナジー株式会社 (858)
【Fターム(参考)】