説明

非平面的形状の表面に材料を成膜する方法

ここに開示している方法は、非平面的形状の表面に材料を成膜する方法である。この方法は、処理チャンバの搬送経路に沿って非平面的形状サブストレートを搬送しているときに、その非平面的形状サブストレートを回転させることにより達成される。従って、非平面的形状サブストレートは回転させられると同時に処理チャンバの中を搬送され、その回転によって、非平面的形状サブストレートの表面領域の全体に成膜が行われるようにすることも、その表面領域のうちの成膜処理を施そうとする任意の目標領域に成膜が行われるようにすることも可能であり、また必要とされる均一な成膜が行われるようにすることができる。或いはまた、非平面的形状サブストレートの表面領域のうちの所定パターンを成す領域に成膜が行われるようにすることもできる。この方法を実施することによって、様々な非平面的形状の半導体デバイスを製造することができ、製造可能な非平面的形状の半導体デバイスには例えば、非平面的形状の発光ダイオードや、非平面的形状の光電池などがあり、またそれらだけに限定されず更にその他の非平面的形状の半導体デバイスも製造可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連特許出願:本件特許出願は本件特許出願の同時係属出願である米国仮特許出願第60/922290号(出願日:2007年4月5日、発明の名称:METHOD OF DEPOSITING MATERIALS ON A NON-PLANAR SURFACE(非平面的形状の表面に材料を成膜する方法))に基づき、米国特許法第119条(e)に規定された優先権を主張するものであり、同米国仮特許出願の内容はこの言及をもって本願開示に組込まれたものとする。
【0002】
本発明は半導体処理装置及び半導体処理方法に関する。より詳しくは、本発明は搬送という形態と回転という形態との両方を用いて、非平面的形状の表面に半導体処理を施すことに関するものである。
【背景技術】
【0003】
従来から存在する数多く半導体処理方法では一般的に、平面内の移動を行うことで個々の処理工程を実行するようにしていた。その具体例として、例えば集積回路(IC)の製造は殆どの場合、平面内の移動を行うように構成した機器により行われていた。なぜそのようにしていたかといえば、それは、従来の一般的なICはその殆どが、実質的に平面的形状の構造を有するものであったからである。そのため、成膜工程、ドープ工程、割断工程などの所要の工程は略々常に、ICなどの半導体デバイスを平面内においてx方向ないしy方向に移動させることにより行われていた。
【0004】
この方式によれば、半導体処理工程をアセンブリライン上で実行することができ、即ち様々なデバイスやサブストレートを、半導体製造設備の個々の処理装置の中を通過させて移動させつつ(搬送しつつ)半導体処理工程を実行することができる。尚、ここでいう半導体処理工程には例えば様々な成膜工程などが含まれ、成膜工程の種類としては、物理成膜、化学成膜、反応性スパッタ成膜、それに、分子ビームエピタキシー成膜などがある。また、それら様々な種類の成膜方法の夫々について、幾つもの変形方法が存在するが、それら変形方法も全て、本明細書でいうところの半導体処理工程に含まれる。
【0005】
以上に例示した半導体処理技術はいずれも公知の技術であり、平面的形状の構造を有する半導体デバイスを製造するために、一般的に採用されているものである。それら技術を用いることによって、平面的形状のサブストレート及び/またはICに形成すべき様々な層を、容易に、しかも低コストで形成することができる。ただしそれが可能であるのは、製造しようとする半導体デバイスが実質的に平面的形状を有するものである場合に限られる。
【0006】
そのため、例えば成膜、蒸着、割断などをはじめとする現時点で一般的に採用されている様々な半導体製造技術ないし半導体処理工程には、周知のごとく、実質的に平面的形状を有するサブストレートに対してでなければ良好に適用できないという制約が通常付随している。その具体例として図1Aに、従来のスパッタ成膜チャンバ10の一例を示した。スパッタ成膜は、ブロック状のソース材料12にスパッタリング作用を及ぼしてそのソース材料12をサブストレート11上へ飛散させ、それによってサブストレート11上に薄膜を成膜する方法である。スパッタ成膜は通常、真空中で実行される。スパッタリング作用により飛散させられて気相を形成した原子は、熱力学的平衡状態にはなく、そのため、真空チャンバ内に存在するあらゆる表面に堆積しようとする性質を有する。その真空チャンバ内にサブストレート(ウェーハなど)を搬入しておけば、そのサブストレートの表面をソース材料12の薄膜で被覆することができる。また、スパッタ成膜は、通常、アルゴンなどの不活性ガスをプラズマ化したプラズマガスと、ターゲット材料(例えば半導体材料、金属材料、バッファ材料など)とを用いて実行される。
【0007】
薄膜を成膜するためのもう1つの一般的な方法として、蒸着という方法があり、これを図1Bに示した。ソース材料12に高熱を作用させて蒸発させ、そのソース材料を真空中へ発散させる。真空中であるため、その蒸気の粒子はターゲットであるサブストレートへ直行し、そこで凝縮し、固体状態に戻る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1A】実質的に平面的形状を有する半導体サブストレート上に材料を成膜するための従来のスパッタチャンバを示した図である。
【図1B】従来の蒸着成膜チャンバを示した図である。
【図2】本開示に関する非平面的形状サブストレートの具体例を示した図である。
【図3A】本開示に関する処理チャンバに具体例の非平面的形状サブストレートが搬入されるところを示した図である。
【図3B】本願開示に関する回転手段の具体例を示した図である。
【図4】非平面的形状サブストレートを搬送経路に沿って搬送しつつ回転させているところを示した処理チャンバの具体例の断面図である。
【図5A】非平面的形状サブストレートの回転方向と搬送方向との組合せ方についての具体例を示した図である。
【図5B】非平面的形状サブストレートの回転方向と搬送方向との組合せ方についての具体例を示した図である。
【図6A】本発明の別の実施の形態を示した図である。
【図6B】図6Aに示した別の実施の形態の別の特徴を示した図である。
【図7】非平面的形状サブストレート上に材料を成膜する方法のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、半導体デバイスの製造に際して、半導体材料をはじめとする様々な材料を非平面的形状の表面に成膜するための方法及び装置について説明する。非平面的形状の半導体サブストレート上に材料を成膜するという状況は、いくらでもあり得る状況である。尚、本件特許出願の明細書並びに特許請求の範囲において使用する「サブストレート」という用語は、一般的に半導体製造に用いられる様々な材料を実際にその表面に成膜するところの基礎となる物体を意味することもあれば、既にその表面に一種類または幾種類かの材料が成膜された製造途中のデバイスを意味することもある。また、本件特許出願の明細書並びに特許請求の範囲において使用する「非平面的形状」という用語は、実質的に平面的形状ではない(即ち、2次元的で実質的に比較的平坦であるといえる表面の面内に延在しているのではない)あらゆるサブストレートを意味するものである。
【0010】
非平面的形状の表面の具体例としては、円弧状構造部分を有する表面や、夫々に異なった2次元平面内に存在している複数の平坦表面が互いに接合して成る表面などがある。また、様々な非平面的形状の表面のうちには「開表面」(即ち「シート状」の表面)も含まれ、「閉表面」(例えば、円柱体の表面や、管状体の表面など)も含まれる。更に、閉表面のうちには、中実体の表面(例えば、円柱体の表面)も含まれ、中空の空間を画成している表面(例えば、管状体の内面)も含まれ、更に、凹部を画成している表面(例えば、円筒体の内面)も含まれる。また、このような閉表面の断面形状は任意であり、その具体例としては、例えば、彎曲構造部分を画成しているもの、円弧状構造部分を画成しているもの、それに、直線状構造部分を構成しているものがあり、また、そのような構造部分を様々に組合せた構造部分を構成しているものなどがある。それら断面形状のうちには、曲線的形状(例えば円形、楕円形など)も含まれ、直線的形状(例えば正方形、長方形、三角形、正n角形、非正n角形など)も含まれる。以上に示した非平面的形状の幾つかの例は、あくまでも具体例を提示することを目的としたものである。以上に示した形状以外にも本発明が適用可能な数多くの非平面的形状が存在しており、それら様々な形状も本明細書の開示に含まれるものである。また、それら様々な形状には、円形や卵形などのように滑らかな曲面を成す形状や、複数のそのような滑らかな曲面を組合せたものも含まれる。また、それら形状は直線的な形状としてもよく、例えば、三角形、四角形、五角形、それに六角形などをはじめとする、任意の数の直線的な表面を有するものとしてもよい。或いはまた、その断面形状は、直線的な表面、円形の表面、或いはその他の曲面を任意に組合せたものとしてもよい。
【0011】
以下に説明する本開示は、管状サブストレート上に半導体材料を成膜する場合についての説明である。ただし、当業者には容易に理解されるように、本開示に含まれる教示は、様々な種類の非平面的形状の表面に半導体材料以外のその他の様々な有用な材料を成膜する場合にもただちに適用し得るものである。更に、以下の教示は半導体材料を成膜する場合についてのものであるが、当業者には容易に理解されるように、本発明の教示は、様々な非平面的形状の表面に材料を成膜することを必要とする様々な技術にもただちに適用し得るものであり、それら技術の具体例としては、例えば、非平面的形状の光電池の製造、非平面的形状のLEDの製造、金メッキ、クロムメッキ、等々があり、またそれらに限定されず更にその他の様々な技術がある。以下に提示する本発明の詳細な説明は、あくまでも具体例を提示するためのものであり、本発明は以下の詳細な説明において提示するものだけに限定されない。当業者であれば、以下の開示を参照することにより、本発明のその他の実施例にも容易に想到し得るのは当然のことである。
【0012】
これより、添付図面に示した本発明の実施の形態について、詳細に説明して行く。尚、添付図面は必ずしも完璧な縮尺図ではない。また、全ての図面並びに以下の詳細な説明の全体を通して、同一の要素ないし対応する要素には、同一の参照符号を付すようにした。更に、図面及び説明を簡明で理解の容易なものとするために、本明細書で説明する実施の形態の様々な構成部分のうち、周知の構成部分については、その全てを示すことはせず、図示を省略し、ないしは説明を省略したものもある。ただし、当然のことながら、実用となる実施の形態を開発する過程では、開発者に固有の目標項目を達成するために、その実施の形態に即した数多くの様々な判断を迫られ、それら目標項目には、例えば、用途に適合させること、安全基準を満たすこと、それに、営業上の制約条件に即したものとすることなどがある。これら固有の目標項目は、実施の形態ごとに様々に異なるものであり、また開発者ごとに様々に異なるものである。ただし、それら開発のための努力は、本開示を参照した当業者にとっては通常の技術業務の範疇内のものである。
【0013】
図2に示したのは、非平面的形状サブストレート上に半導体材料を成膜するための方法及び/または装置の具体例である。非平面的形状サブストレート205は、その断面形状即ち断面の輪郭形状に関して何らの制約もなく、いかなる断面形状であってもよい。以下の説明においては、その説明が容易なように、サブストレートの断面形状が円形である場合に即して本発明について説明して行くが、ただし、サブストレートの断面形状は円形だけに限られず、その他のいかなる非平面的形状であってもよい。図示した実施の形態においては、非平面的形状サブストレート205はその内部が中空であり、即ち陥凹部を有するものである。複数の非平面的形状サブストレート205は、その各々に少なくとも1本ずつのマンドレル215が挿入される。マンドレル215は、非平面的形状サブストレート205の中空部分である陥凹部に挿入される。様々な実施の形態のうちには、マンドレル215を非平面的形状サブストレート205の中空部分に嵌合したときに、マンドレル215と非平面的形状サブストレート205との接触箇所216が十分な接触面積を有するようにして、両者間に不都合な滑りが生ぜず、それによって非平面的形状サブストレート205をその長手軸心を中心として回転させるための十分な大きさのトルクを伝達できるようにしたものがある。もし仮に、両者間に滑りが生じるようであると、非平面的形状サブストレート205が意図した通りに回転せず不都合が生じるおそれがある。マンドレル215が回転するとサブストレート205も回転する。マンドレルの接触面は滑らかな面としてもよい。或いは、1つの具体例として、マンドレルの中空部分即ち陥凹部分に凹凸パターンを形成すると共に、その凹凸パターンに「固定係合する」凹凸パターンをマンドレルに形成するようにしてもよい。この具体例では、サブストレートとマンドレルとが互いに「噛合」することになる。固定係合するための凹凸パターンの1つの具体例を挙げるならば、例えば、「歯車形」の凹凸パターンと、その歯車形の凹凸パターンが嵌合する相補的な歯車形の凹凸パターンとを形成すれば、それらが嵌合することで固定係合状態が得られる。
【0014】
図3Aに示したように、処理を実行する際には、非平面的形状サブストレート205をトレイ210上に載置する。同図は、具体例のチャンバ300の中へ搬入しようとする非平面的形状サブストレート205を、トレイ210に担持させたところを示したものであり、この具体例のチャンバ300は、チャンバ構造とした成膜システムにおけるそのチャンバである。様々な実施の形態のうちには、非平面的形状サブストレートをトレイ210に載置して取付けたときに、その非平面的形状サブストレートの表面頂部がトレイ210の上端面より高くなるようにしたものがある。無論、トレイに取付けたサブストレートの表面頂部がトレイの上端面より高くなるようにすることは必須の事項ではない。トレイの上端面が、そのトレイに取付けたサブストレートの表面頂部より高くなるようにしてもよく、そのトレイに取付けたサブストレートの表面頂部より低くなるようにしてもよく、そのトレイに取付けたサブストレートの表面頂部と同じ高さになるようにしてもよい。また当然のことながら、トレイに取付けた複数のサブストレートのうちの幾つかが、そのトレイの上縁面の高さに対して所定の相対高さにくるようにすると共に、別の幾つかがそのトレイの上縁面の高さに対してそれとは異なった所定の相対高さにくるようにしてもよい。
【0015】
図示した具体例の成膜チャンバ300は、例えば、スパッタ成膜システム、反応性スパッタ成膜システム、蒸着成膜システム、或いはそれらシステムを組合せて成る複合システムにおけるチャンバなどであって、それらシステムはいずれも、その内部でサブストレート上に材料を成膜する少なくとも1つのチャンバと、少なくとも1つのターゲット成膜材料とを用いるシステムである。或いはまた、図示した具体例の成膜チャンバ300は、例えば、サブストレート上に薄膜を形成し、即ち、薄膜を成長させるために使用するその他の任意の種類のチャンバなどである場合もある。更に、このチャンバ内の雰囲気は、半導体プロセスを実行可能な様々な雰囲気であって、その雰囲気の温度、圧力、及び化学成分は様々に設定される(場合によっては真空チャンバに見られるように、物質が存在しない雰囲気とされることもある)。
【0016】
様々な実施の形態のうちには、チャンバ構造とした成膜システムのそのチャンバが搬入部と搬出部とを備えているようにして、それら搬入部と搬出部との間をつなぐ経路が、非平面的形状サブストレート205をそれに沿って搬送するところの搬送経路を画成しているようにしたものがある。そのチャンバ内へのトレイ210の搬入は、作業員が手作業で行うようにしてもよく、自動システムが行うようにしてもよく、その他の適当な搬入手段が行うようにしてもよい。様々な実施の形態のうちには、チャンバ300に搬入されたトレイ210をチャンバ300内で搬送する際に、マンドレル215が非平面的形状サブストレート205をその長手軸心を中心として回転させ始めるようにしたものがある。チャンバ内を通過させてトレイを搬送するには、例えば直線搬送用駆動機構212などを用いるが、ただし、処理システム内を通過させてサブストレートを搬送するための手段はそれだけに限られず、任意の手段を用いることができる。
【0017】
1つの実施の形態として、磁力を利用してトレイ210を直線搬送用駆動機構212に連結するようにしたものがある。そのような実施の形態では、トレイ210が、チャンバ300に物理的に接触しないようにすることも可能であり、そうすることで成膜の均一性を向上させることができる。
【0018】
図3Bに示したのは、チャンバ300の内部を通過させて非平面的形状サブストレート205を搬送しているときに、その非平面的形状サブストレート205を回転させるための回転機構の具体例である。この具体例ではマンドレル215に歯車滑車システム220が作用的に連結されている。様々な実施の形態のうちには、歯車滑車システム220が複数の歯221を備えているようにしたものがある。直線搬送用駆動機構212は、それら複数の歯221に対応して、それら複数の歯221に噛合する複数の歯213(図3A)を備えている。様々な実施の形態のうちには、トレイを搬送方向に搬送すると、歯車滑車システム220の歯221が直線搬送用駆動機構212の歯213に噛合するようにしてあり、それによって、搬送経路に沿って搬送される非平面的形状サブストレート205を歯車滑車システム220が回転させることができるようにしたものがある。こうして非平面的形状サブストレート205を回転させることによって、その非平面的形状サブストレート205の全表面領域に半導体材料を成膜することも可能である。或いはまた、これとは別構成の実施の形態として、非平面的形状サブストレート205の全表面領域のうちの任意の所定表面部分だけに成膜がなされるようにすることも可能である。更に別構成の実施の形態として、非平面的形状サブストレート205の表面領域に任意の所定パターンでの成膜がなされるようにすることも可能である。また更に別の実施の形態として、例えば歯車滑車システムの歯221と同様の歯を、マンドレル215に固設するようにしてもよい。
【0019】
更に別の実施の形態として、2組の歯車滑車システムを装備し、それら歯車滑車システムによって、ただ1本だけのマンドレルを駆動するのではなく、多数のマンドレルを同時に駆動するようにしてもよい。或いはまた、磁力システムを用いてマンドレルを回転させるようにしてもよい。そのようにした実施の形態では、回転機構を回転させるための回転力は、上で説明した歯車滑車システムのように機械的に連結された回転力取出源から得るのではなく、異なった方法で回転力を得ることになる。例えば、マンドレルには磁性体を機械的に連結しておく。また、外部に磁石を装備してその磁石を回転させるようにする。この外部の磁石の回転は、磁界を媒介として磁性体の回転を発生させ、そしてその磁性体の回転が、マンドレル及びサブストレートへ機械的に伝達される。
【0020】
更に別の実施の形態として、駆動機構に連結したスリーブを装備し、そのスリーブの中へサブストレートを挿入して嵌合するような実施の形態としてもよい。この場合、そのスリーブからサブストレートの外周面へ回転力が伝達される。
【0021】
更に別の実施の形態として、サブストレートの端部を複数のローラで挟むようにしてもよい。この実施の形態では、それらローラからサブストレートの端部の外周面へ回転力が伝達される。最後の2通りの実施の形態では、サブストレートの端部には材料が成膜されない場合もあり、なぜならば、ローラなどがその部位に接触するからである。しかしながら、様々な用途のうちには、たとえサブストレートの端部に材料が成膜されなくても、成膜の目的が必ずしも全て阻害されはしないような用途もあり、そのような用途では、サブストレートの外周面に回転力を伝達して回転させるという方式も、完全に適当な方式となり得る。
【0022】
以上の説明から当業者には容易に理解されるように、回転のための手段ないし方法としては、以上に提示した以外のその他の手段ないし方法を組込むことも可能であり、またひいては、チャンバ300の中を通過させて非平面的形状サブストレート205を搬送する際にその非平面的形状サブストレート205を回転させるという、最終目的と達成するための手段ないし方法としても、以上に提示した以外のその他の様々な手段ないし方法を組込むことができる。それゆえ本開示は、サブストレートを回転させるためのそれら様々な種類の機構を包含すると解釈されるべきものである。
【0023】
図4に示したのは、第1成膜チャンバの1つの具体例の断面図であり、この第1成膜チャンバは、上述したチャンバ300のごときチャンバである。またここでは1つの具体例として、この第1成膜チャンバは、銅−インジウム−ガリウム−セレン化物(CIGS)をスパッタ成膜するための成膜システムの第1チャンバであるものとする。吹込口310を介してチャンバ300の中へ、アルゴンなどの不活性ガスをプラズマ化したプラズマガス305が吹き込まれる。チャンバ300の中へ吹き込まれたプラズマガス305は、そのガスの分子がスパッタターゲット315に衝突する。ここでは1つの具体例として、スパッタターゲット315はセレン、スパッタターゲット316は銅、スパッタターゲット317はガリウムであるものとする。不活性ガスのプラズマガス305がそれらスパッタターゲット315、316、317へ吹き付けられると、それらターゲット材料の分子が熱平衡状態から逸脱し、チャンバ300の中に存在する全ての表面を被覆し始める。様々な実施の形態のうちには、チャンバ300の中を通過させて複数の非平面的形状サブストレート205を搬送しているときに、それら非平面的形状サブストレート205をそれらの長手軸を中心として連続的に回転させるようにし、それによってそれら非平面的形状サブストレート205の外周面の全表面領域がスパッタターゲット315、316、317の分子で被覆されるようにしたものがある。非平面的形状サブストレートの回転速度並びに非平面的形状サブストレートをチャンバ300内で搬送する搬送速度は、スパッタターゲットの材料の種類、雰囲気温度、プラズマガス305の温度及び運動エネルギ、非平面的形状サブストレート205上に成膜しようとする被覆層の目標厚さ、及びその他の関連ファクタに応じて適宜設定すればよい。
【0024】
制御及び管理システムを用いて、搬送速度及び回転速度を制御及び管理するようにしてもよい。搬送速度及び回転速度は、固定速度としてもよく、可変速度としてもよい。搬送速度と回転速度との関係は、固定関係としてもよく、例えば上で示した歯車滑車システムを使用している場合にはそれが固定関係となる。一方、搬送速度と回転速度との関係を、可変関係とし、及び/または、制御するようにしてもよく、例えば上で示した磁力を利用して連動させる方式を採用している場合には、磁石の回転速度を変化させることでそれが可能となる。搬送速度と回転速度とは、互いに関連させて変化させるようにしてもよく、それらを個別に変化させるようにしてもよい。複数のサブストレートの各々を個別に回転させている場合には、それらサブストレートの回転速度を互いに同一とすることもでき、互いに異なったものとすることもできる。サブストレートの回転はアナログ的な連続回転とすることもでき、間欠的なステップ回転とすることもできる。搬送はアナログ的な連続搬送とすることもでき、間欠的なステップ搬送とすることもできる。更に、サブストレートの回転と搬送とは、それらを個別にアナログ的なものとすることもでき、それらを個別に間欠的なものとすることもでき、また更にその他の組合せとすることもできる。
【0025】
図5A及び図5Bに示したのは、非平面的形状サブストレート205をチャンバ300に搬入してその中を通過させて搬送する際の、その非平面的形状サブストレート300の回転方向と搬送方向との組合せ方についての2通りの具体例である。様々な実施の形態のうちには、トレイ210に取付けたマンドレル215によって、非平面的形状サブストレート205をその長手軸心を中心として回転させるようにしたものがある。図5Aでは、非平面的形状サブストレート205を縦方向に回転させつつ、チャンバ300の中を搬送するようにしている。図5Bでは、非平面的形状サブストレート205を横方向に回転させつつ、チャンバ300の中を搬送するようにしている。これら2通りの具体例のいずれにおいても、複数の非平面的形状サブストレート205を、チャンバ300の中を通過させて搬送するのと並行して、及び/または、搬送するのと同時に、回転させるようにしている。
【0026】
図6Aに示したのは、本発明の更に別の実施の形態である。この実施の形態では、非平面的形状サブストレート205を1本ずつ、個別に処理チャンバ300の中へ搬入する。この実施の形態では、チャンバ300が、密閉可能なドア302を備えている。またここでは、1つの具体例として、処理チャンバ300はCIGSスパッタ成膜チャンバであるものとする。ただしこの処理チャンバ300は、所与の用途に必要とされる処理を実施するのに適した任意のチャンバとなし得るものである。図示した実施の形態では、非平面的形状サブストレート205の中空部分にマンドレル215が挿入されて固定されている。様々な実施の形態のうちには、マンドレル215を非平面的形状サブストレート205の中空部分に嵌合したときに、マンドレル215と非平面的形状サブストレート205との接触箇所216が十分な接触面積を有するようにして、両者間に不都合な滑りが生ぜず、それによって非平面的形状サブストレート205をその長手軸心を中心として回転させるための十分な大きさのトルクを伝達できるようにしたものがある。もし仮に、両者間に滑りが生じるようであると、非平面的形状サブストレート205が意図した通りに回転せず不都合が生じるおそれがある。マンドレル215は非平面的形状サブストレート205の外部へ突出している。この実施の形態では、チャンバ300の搬入部610が、チャンバ300の中をチャンバ300の長手方向に延在している一対のトラック620に連なった一対の受入口615を備えている。それら受入口615の形状は、非平面的形状サブストレート205に固定されているマンドレル215が丁度嵌り込む形状とすることが好ましい。マンドレル215を受入口615に嵌め込んだならば、直線搬送用駆動機構によってチャンバ300の長手方向の搬送が開始される。様々な実施の形態のうちには、非平面的形状サブストレート205の全表面にスパッタターゲットの分子があたるようにするために非平面的形状サブストレート205をその長手軸心を中心として回転させることも、併せて直線搬送用駆動機構に行わせるようにしたものがある。既述の如く、非平面的形状サブストレート205の搬送速度並びに回転速度はいずれも、非平面的形状サブストレート205上に成膜しようとする薄膜の目標厚さ、チャンバ300内の雰囲気温度、スパッタ用のプラズマガスの運動エネルギ、それに、スパッタターゲットの材料の物理特性などに応じて適宜設定すればよい。図6Bには、回転しながらチャンバ300の搬送経路に沿って搬送されて行く非平面的形状サブストレート205を示した。
【0027】
図7に示したのは、非平面的形状サブストレートに材料を成膜する方法のブロック図である。ステップ601では、処理チャンバを用意する。ここでいう処理チャンバとは、例えば、スパッタ成膜チャンバ、反応性スパッタ成膜チャンバ、或いは更にその他の種類の様々な成膜チャンバであって、意図する用途に必要とされる任意の成膜チャンバである。ステップ602では、非平面的形状サブストレートをその長手軸心を中心として回転させる手段を用意する。様々な実施の形態のうちには、ステップ602と次のステップ603とを並行して実行するようにしたものもある。ステップ603では、非平面的形状サブストレートを搬送経路に沿って搬送する。ここでいう搬送経路とは、処理チャンバの搬入部と搬出部とをつなぐ経路である。非平面的形状サブストレートを搬送経路に沿って搬送する際には、縦方向にして搬送するようにしてもよく、横方向にして搬送するようにしてもよい。ステップ604では、少なくとも1つの半導体処理工程を実行する。様々な実施の形態のうちには、少なくとも1つの半導体処理工程を実行するステップ604を、上述したステップ602及び603と同時に実行するようにしたものもある。
【0028】
その作用について説明すると、本発明は、処理チャンバの搬送経路に沿って非平面的形状サブストレートを搬送しているときに、その非平面的形状サブストレートを回転させるものであり、それによって、非平面的形状の半導体デバイスの製造に利用し得るものとなっている。非平面的形状サブストレートの回転並びに搬送は公知の様々な適宜手段を用いて実行すればよく、適宜手段としては、例えば、直線搬送用駆動機構と歯車滑車機構とを組合せた手段などがあり、またこれだけに限定されずその他にも様々な手段がある。このように回転運動と搬送運動とを組合わせることによって、非平面的形状サブストレートに処理を施す際にその非平面的形状サブストレートの外周面に材料を成膜できるようにしている。これとはまた別の用途として、回転運動と搬送運動とを組合せた処理システムを、粉体塗装、クロームメッキ、或いはその他の金属メッキなどの用途に適用することも可能である。半導体関連の用途としては、管状のサブストレートに処理を施すことによって、管体状即ち非平面的形状の発光ダイオード(LED)を製造するという用途にも利用可能である。更に別の具体例として、管状のサブストレートに処理を施すことによって、非平面的形状の光電池を製造するという用途にも利用可能である。このような形状の光電池は太陽光の入射面積をより大きくすることができ、それによって発生電流をより大きくすることができる。
【0029】
ここに開示している方法は、非平面的形状の表面に材料を成膜する方法である。この方法を実施するには、処理チャンバの搬送経路に沿って非平面的形状サブストレートを搬送しているときに、その非平面的形状サブストレートを回転させる。従って、非平面的形状サブストレートは回転させられると同時に処理チャンバの中を搬送され、その回転によって、非平面的形状サブストレートの表面領域の全体に成膜が行われるようにすることも、その表面領域のうちの成膜処理を施そうとする任意の目標領域に成膜が行われるようにすることも可能であり、また必要とされる均一な成膜が行われるようにすることができる。或いはまた、非平面的形状サブストレートの表面領域のうちの所定パターンを成す領域に成膜が行われるようにすることもできる。この方法を実施することによって、様々な非平面的形状の半導体デバイスを製造することができ、製造可能な非平面的形状の半導体デバイスには例えば、非平面的形状の発光ダイオードや、非平面的形状の光電池などがあり、またそれらだけに限定されず更にその他の非平面的形状の半導体デバイスも製造可能である。
【0030】
本発明の第1の局面では、サブストレートに半導体処理を施す方法において、搬入部及び搬出部を備え、それら搬入部及び搬出部は少なくとも1つのサブストレートを通過させることができるように構成された半導体処理チャンバを用意し、前記半導体処理チャンバ内を通る搬送経路に沿って前記少なくとも1つのサブストレートを搬送し、前記半導体処理チャンバ内を通る前記搬送経路に沿って前記少なくとも1つのサブストレートを搬送しているときに当該サブストレートを回転させ、前記少なくとも1つのサブストレートを前記搬送経路に沿って搬送しつつ回転させるのと並行して当該サブストレートに半導体処理を施すことで、当該サブストレートの表面領域の少なくとも一部に当該半導体処理が施されるようにすることを特徴としている。様々な実施の形態のうちには、前記サブストレートを非平面的形状サブストレートとしたものがある。前記搬入部と前記搬出部との間をつなぐ経路が前記搬送経路である。前記少なくとも1つのサブストレートをその他の複数のサブストレートと共に1つのトレイ上に載置することで処理能力の増大を計っている。種別及び処理温度、成膜材料、成膜目標厚さ、前記処理チャンバ内の雰囲気温度、前記処理チャンバ内の真空状態の度合、及び成膜目標領域から成るリストに含まれる変数に応じて回転速度を設定する。種別及び処理温度、成膜材料、成膜目標厚さ、前記処理チャンバ内の雰囲気温度、前記処理チャンバ内の真空状態の度合、及び成膜目標領域から成るリストに含まれる変数に応じて搬送速度を設定する。前記半導体処理は、スパッタ成膜、反応性スパッタ成膜、及び蒸着成膜を包含し、しかもそれらだけに限定されないリストに含まれる処理である。様々な実施の形態のうちには、前記半導体処理チャンバが、成膜チャンバから成るようにしたものがある。様々な実施の形態のうちには、前記回転が、前記少なくとも1つのサブストレートを長手軸心を中心として回転させることから成るようにしたものがある。
【0031】
本発明の別の局面では、半導体デバイスを製作する方法において、搬入部及び搬出部を備え、それら搬入部及び搬出部は少なくとも1つの非平面的形状サブストレートを通過させることができるように構成された半導体処理チャンバを用意し、前記半導体処理チャンバ内を通過させるべく前記少なくとも1つの非平面的形状サブストレートを搬送し、その際に、前記少なくとも1つの非平面的形状サブストレートを回転させると共に、前記半導体処理チャンバ内を通る搬送経路に沿って前記少なくとも1つの非平面的形状サブストレートを搬送し、前記半導体処理チャンバ内を通過させて前記少なくとも1つの非平面的形状サブストレートを搬送するのと並行して当該非平面的形状サブストレートに半導体材料の薄膜を成膜し、当該薄膜は当該非平面的形状サブストレートの周面の少なくとも75%を包含するものとすることを特徴としている。前記搬入部と前記搬出部との間をつなぐ経路が前記搬送経路である。前記少なくとも1つの非平面的形状サブストレートをその他の複数の非平面的形状サブストレートと共に1つのトレイ上に載置することで処理能力の増大を計っている。種別及び処理温度、成膜材料、成膜目標厚さ、前記処理チャンバ内の雰囲気温度、前記処理チャンバ内の真空状態の度合、及び成膜目標領域から成るリストに含まれる変数に応じて回転速度を設定する。種別及び処理温度、成膜材料、成膜目標厚さ、前記処理チャンバ内の雰囲気温度、前記処理チャンバ内の真空状態の度合、及び成膜目標領域から成るリストに含まれる変数に応じて搬送速度を設定する。様々な実施の形態のうちには、前記半導体処理チャンバが、成膜チャンバから成るようにしたものがある。様々な実施の形態のうちには、前記回転が、前記少なくとも1つのサブストレートを長手軸心を中心として回転させることから成るようにしたものがある。
【0032】
本発明の別の局面では、非平面的形状の表面に材料を成膜する方法において、搬入部及び搬出部を備え、それら搬入部及び搬出部は少なくとも1つの非平面的形状サブストレートを通過させることができるように構成された成膜チャンバを用意し、前記成膜チャンバ内を通る搬送経路に沿って前記少なくとも1つの非平面的形状サブストレートを搬送し、前記成膜チャンバ内を通る前記搬送経路に沿って前記少なくとも1つの非平面的形状サブストレートを搬送しているときに当該非平面的形状サブストレートを回転させ、前記少なくとも1つの非平面的形状サブストレートを前記搬送経路に沿って搬送しつつ回転させるのと並行して当該非平面的形状サブストレートに少なくとも1つの半導体材料成膜処理を施すことで、当該非平面的形状サブストレートの表面領域の少なくとも一部に当該半導体材料成膜処理が施されるようにすることを特徴としている。前記搬入部と前記搬出部との間をつなぐ経路が前記搬送経路である。前記少なくとも1つの非平面的形状サブストレートをその他の複数の非平面的形状サブストレートと共に1つのトレイ上に載置することで処理能力の増大を計っている。種別及び処理温度、成膜材料、成膜目標厚さ、前記処理チャンバ内の雰囲気温度、前記処理チャンバ内の真空状態の度合、及び成膜目標領域から成るリストに含まれる変数に応じて回転速度を設定する。種別及び処理温度、成膜材料、成膜目標厚さ、前記処理チャンバ内の雰囲気温度、前記処理チャンバ内の真空状態の度合、及び成膜目標領域から成るリストに含まれる変数に応じて搬送速度を設定する。様々な実施の形態のうちには、前記回転が、前記少なくとも1つのサブストレートを長手軸心を中心として回転させることから成るようにしたものがある。
【0033】
更に別の局面では、非平面的形状サブストレートに半導体処理を施すための装置において、搬入部及び搬出部を備え、それら搬入部及び搬出部は少なくとも1つの非平面的形状サブストレートを通過させることができるように構成された半導体処理チャンバと、前記半導体処理チャンバ内を通る搬送経路に沿って前記少なくとも1つの非平面的形状サブストレートを搬送する手段と、前記半導体処理チャンバ内を通る前記搬送経路に沿って前記少なくとも1つの非平面的形状サブストレートが搬送されているときに当該非平面的形状サブストレートを回転させる手段と、前記少なくとも1つの非平面的形状サブストレートが前記搬送経路に沿って搬送されつつ回転させられるのと並行して当該非平面的形状サブストレートに半導体処理を施すことで、当該非平面的形状サブストレートの表面領域の少なくとも一部に当該半導体処理が施されるようにする手段とを備えたことを特徴としている。前記搬入部と前記搬出部との間をつなぐ経路が前記搬送経路である。前記少なくとも1つの非平面的形状サブストレートがその他の複数の非平面的形状サブストレートと共に1つのトレイ上に載置されることで処理能力の増大が計られている。種別及び処理温度、成膜材料、成膜目標厚さ、前記処理チャンバ内の雰囲気温度、前記処理チャンバ内の真空状態の度合、及び成膜目標領域から成るリストに含まれる変数に応じて回転速度が設定されている。種別及び処理温度、成膜材料、成膜目標厚さ、前記処理チャンバ内の雰囲気温度、前記処理チャンバ内の真空状態の度合、及び成膜目標領域から成るリストに含まれる変数に応じて搬送速度が設定されている。前記半導体処理は、スパッタ成膜、反応性スパッタ成膜、及び蒸着成膜を包含するリストに含まれる処理である。様々な実施の形態のうちには、前記半導体処理チャンバが、成膜チャンバから成るようにしたものがある。様々な実施の形態のうちには、前記回転が、前記少なくとも1つのサブストレートを長手軸心を中心として回転させることから成るようにしたものがある。
【0034】
更に別の局面では、非平面的形状サブストレートに半導体処理を施すための装置において、搬入部及び搬出部を備え、それら搬入部及び搬出部は少なくとも1つの非平面的形状サブストレートを通過させることができるように構成された半導体処理チャンバと、前記半導体処理チャンバ内を通る搬送経路に沿って前記少なくとも1つの非平面的形状サブストレートを搬送する搬送機構と、前記半導体処理チャンバ内を通る前記搬送経路に沿って前記少なくとも1つの非平面的形状サブストレートが搬送されているときに当該非平面的形状サブストレートを回転させる回転機構と、前記少なくとも1つの非平面的形状サブストレートが前記搬送経路に沿って搬送されつつ回転させられるのと並行して当該非平面的形状サブストレートに半導体処理を施すことで、当該非平面的形状サブストレートの表面領域の少なくとも一部に当該半導体処理が施されるようにする、前記半導体処理チャンバに装備された半導体処理モジュールとを備えたことを特徴としている。前記搬入部と前記搬出部との間をつなぐ経路が前記搬送経路である。前記少なくとも1つの非平面的形状サブストレートがその他の複数の非平面的形状サブストレートと共に1つのトレイ上に載置されることで処理能力の増大が計られている。種別及び処理温度、成膜材料、成膜目標厚さ、前記処理チャンバ内の雰囲気温度、前記処理チャンバ内の真空状態の度合、及び成膜目標領域から成るリストに含まれる変数に応じて回転速度が設定されている。種別及び処理温度、成膜材料、成膜目標厚さ、前記処理チャンバ内の雰囲気温度、前記処理チャンバ内の真空状態の度合、及び成膜目標領域から成るリストに含まれる変数に応じて搬送速度が設定されている。前記半導体処理は、スパッタ成膜、反応性スパッタ成膜、及び蒸着成膜を包含するリストに含まれる処理である。様々な実施の形態のうちには、前記半導体処理チャンバが、成膜チャンバから成るようにしたものがある。様々な実施の形態のうちには、前記回転が、前記少なくとも1つのサブストレートを長手軸心を中心として回転させることから成るようにしたものがある。
【0035】
また別の局面では、半導体処理チャンバにおいて、少なくとも1つのサブストレートを当該半導体処理チャンバ内を搬送方向に通過させて搬送する手段と、前記少なくとも1つのサブストレートが搬送されているときにその搬送と並行して当該サブストレートを回転させる手段とを備えたことを特徴としている。
【0036】
本件特許出願に関する以上の説明においては、具体的な実施の形態に即して説明すると共に細部構造についての説明も含めたが、このように説明したのは、非平面的形状の表面に材料を成膜する方法の原理の理解を容易にすることを意図したものである。様々な図面に示し、ないしは本明細書において説明した構成要素の多くは、別の構成要素に交換することも可能であり、それゆえ以上の説明は、そのような交換を施した構成をも包含していると理解されるべきものである。従って具体的な実施の形態並びに細部構造について言及した本明細書における説明は、本明細書と共に提出する特許請求の範囲に記載するところの権利範囲を限定するものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サブストレートに半導体処理を施す方法において、
a.搬入部及び搬出部を備え、それら搬入部及び搬出部は少なくとも1つのサブストレートを通過させることができるように構成された半導体処理チャンバを用意し、
b.前記半導体処理チャンバ内を通る搬送経路に沿って前記少なくとも1つのサブストレートを搬送し、
c.前記半導体処理チャンバ内を通る前記搬送経路に沿って前記少なくとも1つのサブストレートを搬送しているときに当該サブストレートを回転させ、
d.前記少なくとも1つのサブストレートを前記搬送経路に沿って搬送しつつ回転させるのと並行して当該サブストレートに半導体処理を施すことで、当該サブストレートの表面領域の少なくとも一部に当該半導体処理が施されるようにする、
各処理を備える、方法。
【請求項2】
前記サブストレートは非平面的形状サブストレートである、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記搬入部と前記搬出部との間をつなぐ経路が前記搬送経路である、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つのサブストレートをその他の複数のサブストレートと共に1つのトレイ上に載置することで処理能力の増大を図る、請求項1記載の方法。
【請求項5】
種別及び処理温度、成膜材料、成膜目標厚さ、前記処理チャンバ内の雰囲気温度、前記処理チャンバ内の真空状態の品質、及び成膜目標領域から成るリストに含まれる変数に応じて回転速度を設定する、請求項1記載の方法。
【請求項6】
種別及び処理温度、成膜材料、成膜目標厚さ、前記処理チャンバ内の雰囲気温度、前記処理チャンバ内の真空状態の品質、及び成膜目標領域から成るリストに含まれる変数に応じて搬送速度を設定する、請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記半導体処理は、スパッタ成膜、反応性スパッタ成膜、及び蒸着成膜から成るリストに含まれる処理である、請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記半導体処理チャンバは、成膜チャンバから成る、請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記回転は、前記少なくとも1つのサブストレートを長手軸心を中心として回転させることから成る、請求項1記載の方法。
【請求項10】
半導体デバイスを製作する方法において、
a.搬入部及び搬出部を備え、それら搬入部及び搬出部は少なくとも1つの非平面的形状サブストレートを通過させることができるように構成された半導体処理チャンバを用意し、
b.前記半導体処理チャンバ内を通過させるべく前記少なくとも1つの非平面的形状サブストレートを搬送し、その際に、
i.前記少なくとも1つの非平面的形状サブストレートを回転させると共に、
ii.前記半導体処理チャンバ内を通る搬送経路に沿って前記少なくとも1つの非平面的形状サブストレートを搬送し、
c.前記半導体処理チャンバ内を通過させて前記少なくとも1つの非平面的形状サブストレートを搬送するのと並行して当該非平面的形状サブストレートに半導体材料の薄膜を成膜し、当該薄膜は当該非平面的形状サブストレートの周面の少なくとも75%を包含するものとする、
各処理を備える、方法。
【請求項11】
前記搬入部と前記搬出部との間をつなぐ経路が前記搬送経路である、請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つの非平面的形状サブストレートをその他の複数の非平面的形状サブストレートと共に1つのトレイ上に載置することで処理能力の増大を図る、請求項10記載の方法。
【請求項13】
種別及び処理温度、成膜材料、成膜目標厚さ、前記処理チャンバ内の雰囲気温度、前記処理チャンバ内の真空状態の品質、及び成膜目標領域から成るリストに含まれる変数に応じて回転速度を設定する、請求項10記載の方法。
【請求項14】
種別及び処理温度、成膜材料、成膜目標厚さ、前記処理チャンバ内の雰囲気温度、前記処理チャンバ内の真空状態の品質、及び成膜目標領域から成るリストに含まれる変数に応じて搬送速度を設定する、請求項10記載の方法。
【請求項15】
前記半導体処理チャンバは、成膜チャンバから成る、請求項10記載の方法。
【請求項16】
前記回転は、前記少なくとも1つの非平面的形状サブストレートを長手軸心を中心として回転させることから成る、請求項10記載の方法。
【請求項17】
非平面的形状の表面に材料を成膜する方法において、
a.搬入部及び搬出部を備え、それら搬入部及び搬出部は少なくとも1つの非平面的形状サブストレートを通過させることができるように構成された成膜チャンバを用意し、
b.前記成膜チャンバ内を通る搬送経路に沿って前記少なくとも1つの非平面的形状サブストレートを搬送し、
c.前記成膜チャンバ内を通る前記搬送経路に沿って前記少なくとも1つの非平面的形状サブストレートを搬送しているときに当該非平面的形状サブストレートを回転させ、
d.前記少なくとも1つの非平面的形状サブストレートを前記搬送経路に沿って搬送しつつ回転させるのと並行して当該非平面的形状サブストレートに少なくとも1つの半導体材料成膜処理を施すことで、当該非平面的形状サブストレートの表面領域の少なくとも一部に当該半導体材料成膜処理が施されるようにする、
各処理を備える、方法。
【請求項18】
前記搬入部と前記搬出部との間をつなぐ経路が前記搬送経路である、請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記少なくとも1つの非平面的形状サブストレートをその他の複数の非平面的形状サブストレートと共に1つのトレイ上に載置することで処理能力の増大を図る、請求項17記載の方法。
【請求項20】
種別及び処理温度、成膜材料、成膜目標厚さ、前記処理チャンバ内の雰囲気温度、前記処理チャンバ内の真空状態の品質、及び成膜目標領域から成るリストに含まれる変数に応じて回転速度を設定する、請求項17記載の方法。
【請求項21】
種別及び処理温度、成膜材料、成膜目標厚さ、前記処理チャンバ内の雰囲気温度、前記処理チャンバ内の真空状態の品質、及び成膜目標領域から成るリストに含まれる変数に応じて搬送速度を設定する、請求項17記載の方法。
【請求項22】
前記回転は、前記少なくとも1つの非平面的形状サブストレートを長手軸心を中心として回転させることから成る、請求項17記載の方法。
【請求項23】
非平面的形状サブストレートに半導体処理を施すための装置において、
a.搬入部及び搬出部を備え、それら搬入部及び搬出部は少なくとも1つの非平面的形状サブストレートを通過させることができるように構成された半導体処理チャンバと、
b.前記半導体処理チャンバ内を通る搬送経路に沿って前記少なくとも1つの非平面的形状サブストレートを搬送する手段と、
c.前記半導体処理チャンバ内を通る前記搬送経路に沿って前記少なくとも1つの非平面的形状サブストレートが搬送されているときに当該非平面的形状サブストレートを回転させる手段と、
d.前記少なくとも1つの非平面的形状サブストレートが前記搬送経路に沿って搬送されつつ回転させられるのと並行して当該非平面的形状サブストレートに半導体処理を施すことで、当該非平面的形状サブストレートの表面領域の少なくとも一部に当該半導体処理が施されるようにする手段と、
を備えた装置。
【請求項24】
前記搬入部と前記搬出部との間をつなぐ経路が前記搬送経路である、請求項23記載の装置。
【請求項25】
前記少なくとも1つの非平面的形状サブストレートがその他の複数の非平面的形状サブストレートと共に1つのトレイ上に載置されることで処理量の増大が図られている、請求項23記載の装置。
【請求項26】
種別及び処理温度、成膜材料、成膜目標厚さ、前記処理チャンバ内の雰囲気温度、前記処理チャンバ内の真空状態の品質、及び成膜目標領域から成るリストに含まれる変数に応じて回転速度が設定されている、請求項23記載の装置。
【請求項27】
種別及び処理温度、成膜材料、成膜目標厚さ、前記処理チャンバ内の雰囲気温度、前記処理チャンバ内の真空状態の品質、及び成膜目標領域から成るリストに含まれる変数に応じて搬送速度が設定されている、請求項23記載の装置。
【請求項28】
前記半導体処理は、スパッタ成膜、反応性スパッタ成膜、及び蒸着成膜から成るリストに含まれる処理である、請求項23記載の装置。
【請求項29】
前記半導体処理チャンバは、成膜チャンバから成る、請求項23記載の装置。
【請求項30】
前記回転は、前記少なくとも1つの非平面的形状サブストレートを長手軸心を中心として回転させることから成る、請求項23記載の装置。
【請求項31】
非平面的形状サブストレートに半導体処理を施すための装置において、
a.搬入部及び搬出部を備え、それら搬入部及び搬出部は少なくとも1つの非平面的形状サブストレートを通過させることができるように構成された半導体処理チャンバと、
b.前記半導体処理チャンバ内を通る搬送経路に沿って前記少なくとも1つの非平面的形状サブストレートを搬送する搬送機構と、
c.前記半導体処理チャンバ内を通る前記搬送経路に沿って前記少なくとも1つの非平面的形状サブストレートが搬送されているときに当該非平面的形状サブストレートを回転させる回転機構と、
d.前記少なくとも1つの非平面的形状サブストレートが前記搬送経路に沿って搬送されつつ回転させられるのと並行して当該非平面的形状サブストレートに半導体処理を施すことで、当該非平面的形状サブストレートの表面領域の少なくとも一部に当該半導体処理が施されるようにする、前記半導体処理チャンバに装備された半導体処理モジュールと、
を備えた装置。
【請求項32】
前記搬入部と前記搬出部との間をつなぐ経路が前記搬送経路である、請求項31記載の装置。
【請求項33】
前記少なくとも1つの非平面的形状サブストレートがその他の複数の非平面的形状サブストレートと共に1つのトレイ上に載置されることで処理量の増大が図られている、請求項31記載の装置。
【請求項34】
種別及び処理温度、成膜材料、成膜目標厚さ、前記処理チャンバ内の雰囲気温度、前記処理チャンバ内の真空状態の品質、及び成膜目標領域から成るリストに含まれる変数に応じて回転速度が設定されている、請求項31記載の装置。
【請求項35】
種別及び処理温度、成膜材料、成膜目標厚さ、前記処理チャンバ内の雰囲気温度、前記処理チャンバ内の真空状態の品質、及び成膜目標領域から成るリストに含まれる変数に応じて搬送速度が設定されている、請求項31記載の装置。
【請求項36】
前記半導体処理は、スパッタ成膜、反応性スパッタ成膜、及び蒸着成膜から成るリストに含まれる処理である、請求項31記載の装置。
【請求項37】
前記半導体処理チャンバは、成膜チャンバから成る、請求項31記載の装置。
【請求項38】
前記回転は、前記少なくとも1つの非平面的形状サブストレートを長手軸心を中心として回転させることから成る、請求項31記載の装置。
【請求項39】
半導体処理チャンバにおいて、
a.少なくとも1つのサブストレートを当該半導体処理チャンバ内を搬送方向に通過させて搬送する手段と、
b.前記少なくとも1つのサブストレートが搬送されているときにその搬送と並行して当該サブストレートを回転させる手段と、
を備えた半導体処理チャンバ。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【公表番号】特表2010−523818(P2010−523818A)
【公表日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−502089(P2010−502089)
【出願日】平成20年3月24日(2008.3.24)
【国際出願番号】PCT/US2008/003886
【国際公開番号】WO2008/123930
【国際公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【出願人】(509096577)ソルインドラ,インコーポレーテッド (7)
【Fターム(参考)】