説明

非接触型搬送保持具および非接触型搬送保持装置

【課題】非接触型搬送保持具および非接触型搬送保持装置の提供。
【解決手段】内側に一端が閉じ他端が開放された円筒状空間部12を有し円筒部13と底部14を有するボデー11と、ボデー11の円筒部13に形成され円筒状空間部12の側面を構成する円筒状のボデー内周面15と、ボデーの底部14に形成され円筒状空間部12の底面を構成する平坦なボデー底面16と、ボデーの円筒状空間部12の開放側端部に形成された平坦なボデー開放側端面17と、ボデー内周面15のボデー底面側端部に形成され円筒状空間部12にガスを接線成分をもたせて導入する1つ以上のガス導入口18と、を有する非接触型搬送保持具10。円筒状空間部12にガスを供給すると円筒状空間部12内に負圧が生じて、被搬送物を吸引保持する。被搬送物とボデー開放側端面17との間にはガスの流出隙間があるので、被搬送物は非接触保持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被搬送物を、被接触で保持し搬送する非接触型搬送保持具と、該非接触型搬送保持具が組み付けられた非接触型搬送保持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2004−059660号公報は、図16に示すように、内側に一端が閉じ他端が開放された円錐状空間部3を有し側壁部4と底部5を有するボデー2と、ボデー2の側壁部に形成され円錐状空間部の側面を構成する円錐状のボデー内周面6と、ボデー2の底壁に形成され円錐状空間部3の底面を構成する平坦なボデー底面7と、ボデーの円錐状空間部の開放側端部に形成された平坦なボデー開放側端面8と、ボデー底面7の外周部に形成され円錐状空間部3に半径方向にかつ軸方向に対して斜め外方に傾けてガスを導入するガス導入口9とを有する非接触型搬送保持具1を開示している。
非接触型搬送保持具1においては、ガス導入口9を通して円錐状空間部3にガスを半径方向に導入し、導入したガスをボデー開放側端面8と被搬送物50との間の隙間Gを通して外部に半径方向に流出させる。ガスは円錐状空間部3の中央部のエアを引きずって持ち去り、これによって円錐状空間部3の中央部に負圧Vを形成し、被搬送物50を負圧で吸引保持する。この吸引保持では、ボデー開放側端面8と被搬送物50との間にガス流出用の隙間Gが存在するため、被搬送物50は非接触型搬送保持具1に対して非接触である。
非接触型搬送保持具1を搬送用ロボットに取り付けることにより非接触型搬送保持装置が構成される。
【特許文献1】特開2004−059660号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
図16に示した従来技術には、つぎの問題点がある。
(i)ガスを円錐状空間部3に半径方向に導入するため、円錐状空間部3に十分な渦流を生成することができない。その結果、円錐状空間部3の中央部に形成される負圧が弱く、被搬送物50を吸引保持する保持力が比較的小さい。したがって、重量物の非接触搬送に適さない。
(ii)円錐状空間部3が底部5から離れる方向にいくにしたがって径が拡大しているため、円錐状空間部3の半径方向中央部でかつ被搬送物直近に形成される負圧領域が、底部近傍の負圧領域に比べて、半径方向に拡がっており、負圧が弱く、被搬送物を吸引保持する保持力が比較的小さい。
(iii) 円錐状空間部3に導入されたガスが、テーパ状のボデー内周面6に沿って半径方向に流れるので、ガスは軸方向成分をもって被搬送物50の保持具対向面50aに当たり、被搬送物50に保持具1から離れる方向に離反力Fを加える。この力Fは、円錐状空間部3に生じる負圧吸引力Fvより小さい。しかし、被搬送物50にガス流力の軸方向成分の離反力Fと、吸引保持力Fvとが、互いに反対方向に働くので、ボデー開放側端面8と被搬送物50との微小な隙間Gが振動的に変化することがあり、保持力が不安定になることがある。
(iv)円錐状空間部3に中央部に生じる負圧領域の中心軸芯が半径方向に位置決めされていないので、被搬送物50が非接触型搬送保持具1に対して剪断方向に(非接触型搬送保持具1の軸方向と直交する方向に)位置ずれすると、被搬送物50を元の位置に戻そうとする力(半径方向アライメント力)が働かないか、たとえ働いたとしても、元の位置までは戻せず、半径方向アライメント性能がないか、あるいは若干あったとしても半径方向アライメント性能が低い。
(v)吸引保持力Fvを強めるために、円錐状空間部3へのガス導入量を増やすと、それに比例してガス流の軸方向成分による被搬送物離反力Fが増大して保持力が不安定になるので、保持力の安定性を維持したまま負圧を増大させることができない。
【0004】
本発明の第1の目的は、被搬送物を吸引保持する保持力が従来装置に比べて大きく、上記(i)、(ii)の課題を解決できる、非接触型搬送保持具および非接触型搬送保持装置を提供することにある。
本発明の第2の目的は、第1の目的に加えて、被搬送物を吸引保持する保持力が従来装置に比べて安定した、上記(iii) の課題を解決できる、非接触型搬送保持具および非接触型搬送保持装置を提供することにある。
本発明の第3の目的は、第1の目的に加えて、アライメント性能がある、上記(iv)の課題を解決できる、非接触型搬送保持具および非接触型搬送保持装置を提供することにある。
本発明の第4の目的は、被搬送物を吸引保持する保持力の安定性を維持したまま負圧による被搬送物吸引保持力を増大させることができ、静止精度を高めることができる、上記(v)の課題を解決できる、非接触型搬送保持具および非接触型搬送保持装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成する本発明の非接触型搬送保持具および非接触型搬送保持装置はつぎの通りである。
(1) 内側に一端が閉じ他端が開放された円筒状空間部を有し円筒部と底部を有するボデーと、
前記ボデーの円筒部に形成され前記円筒状空間部の側面を構成する円筒状のボデー内周面と、
前記ボデーの底部に形成され前記円筒状空間部の底面を構成する平坦なボデー底面と、
前記ボデーの前記円筒状空間部の開放側端部に形成された平坦なボデー開放側端面と、
前記ボデー内周面のボデー底面側端部に形成され前記円筒状空間部にガスを接線成分をもたせて導入する1つ以上のガス導入口と、
前記ガス導入口に接続されたガス供給通路と、
を有する非接触型搬送保持具。
(2) 前記ガス導入口の軸芯はボデー底面に平行かまたは円筒状空間部の開放端側に傾斜している(1)記載の非接触型搬送保持具。
(3) 前記ボデーの底部の中心部には該底部に対して垂直に該底部から離れる方向に延びる円柱状の凸部が形成されている(1)または(2)記載の非接触型搬送保持具。
(4) 前記凸部の高さは、前記ボデー底面と前記ボデー開放側端面との間の距離以下である(1)〜(3)の何れか1つに記載の非接触型搬送保持具。
(5) 前記凸部の高さは、前記ボデー底面と前記ボデー開放側端面との間の距離以下で、前記凸部は前記円筒状空間部内のガスの一部を吸引するための吸引通路となる中空部を有する(1)または(2)記載の非接触型搬送保持具。
(6) 前記凸部は先端に端面を有し、該凸部の端面に前記中空部と円筒状空間部とを連通する1以上の溝部を有する(5)記載の非接触型搬送保持具。
(7) 前記ガス導入口は複数設けられている(1)〜(6)の何れか1つに記載の非接触型搬送保持具。
(8) 前記ガス導入口が一対、前記円筒状空間部の軸芯に対して互いに対称に設けられている(1)〜(7)の何れか1つに記載の非接触型搬送保持具。
(9) 前記ボデー内周面と前記ボデー開放側端面との間には、前記ボデー開放側端面に近づくほど径が大きくなるテーパ面が設けられており、前記ボデー内周面と前記ボデー開放側端面とは該テーパ面を介して接続している(1)〜(8)の何れか1つに記載の非接触型搬送保持具。
(10) (1)〜(9)の何れか1つに記載の前記非接触型搬送保持具が非接触型搬送保持装置の被搬送物保持面に1つ以上配置されている、非接触型搬送保持装置。
(11) 前記非接触型搬送保持装置が搬送用ロボットであり、前記被搬送物保持面が搬送用ロボットのアームの先端にハンドに代わって取り付けられている、ハンド代用プレートの表面である(10)記載の非接触型搬送保持装置。
(12) 前記非接触型搬送保持装置が搬送用ロボットであり、前記被搬送物保持面が搬送用ロボットのハンドの表面である(10)記載の非接触型搬送保持装置。
(13) 前記非接触型搬送保持装置が、ハンディタイプの搬送装置であるバキュームピンセットであり、前記被搬送物保持面がバキュームピンセットの被搬送物保持面であり、前記非接触型搬送保持具がバキュームピンセットの被搬送物保持面に、吸着口の代わりに設けられているている(10)記載の非接触型搬送保持装置。
(14) 前記非接触型搬送保持装置が、被搬送物の搬送経路に配置された往復動される台車と、該台車上で該台車の往復動方向と直交する方向に移動可能なスライダーと、スライダー上に搭載され被搬送物を被接触で吸着保持するハンドと、を有し、前記被搬送物保持面が前記ハンドの上面である(10)記載の非接触型搬送保持装置。
(15) 前記非接触型搬送保持装置が、ロボットハンドで、該ロボットハンドの被搬送物保持面に複数の前記非接触型搬送保持具が配置されており、前記複数の一部の非接触型搬送保持具の吸着をオンにすると被搬送物が気流のみで回転し、前記複数の全部の非接触型搬送保持具の吸着をオンにすると被搬送物の回転が停止するようになっている(10)記載の非接触型搬送保持装置。
(16) 前記非接触型搬送保持装置が、回転駆動部と、回転駆動部で回転される回転テーブルと、被搬送物に設けられたノッチを読み取るセンサーとを有し、前記被搬送物保持面が回転テーブルの被搬送物保持面であり、前記非接触型搬送保持具が回転テーブルの被搬送物保持面に配置されている(10)記載の非接触型搬送保持装置。
【発明の効果】
【0006】
上記(1)、(7)、(8)の非接触型搬送保持具および上記(10)〜(16)の非接触型搬送保持装置によれば、ボデー内周面のボデー底面側端部に形成され円筒状空間部にガスを接線成分をもたせて導入するガス導入口を設けたので、円筒状空間部に旋回流を発生させることができ、それによって、円筒状空間部の中央部の負圧を強めることができる。その結果、被搬送物を吸引保持する保持力を従来装置に比べて大きくすることができる。これによって、上記(i)の課題が解決され、本発明の第1の目的が達成される。
また、ボデーが内側に(円錐状ではない)円筒状空間部を有するので、円筒状空間部が底部から離れる方向にいくにしたがって径が拡大せず、負圧領域が半径方向に拡がらない。その結果、円筒状空間部の半径方向中央部で被搬送物直近に形成される負圧が、円錐状空間部の場合に比べて強く、被搬送物を吸引保持する保持力が円錐状空間部の場合に比べて強まる。これによって、上記(ii)の課題が解決され、本発明の第1の目的が達成される。
【0007】
上記(2)、(7)、(8)の非接触型搬送保持具および上記(10)〜(16)の非接触型搬送保持装置によれば、ガス導入口の軸芯はボデー底面に平行かまたは円筒状空間部の開放端側に傾斜しているので、円筒状空間部内の旋回流はボデー底面に平行かまたは円筒状空間部の開放端側に傾斜しており、被搬送物の面に直交する流れ成分は小さい。その結果、ガス流の、被搬送物の面に直交する流れ成分による被搬送物の非接触型搬送保持具からの離反力は小さく、吸引力による被搬送物保持性能が安定する。これによって、上記(iii)の課題が解決され、本発明の第2の目的が達成される。
【0008】
上記(3)、(4)の非接触型搬送保持具および上記(10)〜(16)の非接触型搬送保持装置によれば、ボデーの底部の中心部に、底部に対して垂直に底部から離れる方向に延びる円柱状の凸部が形成されているので、円筒状空間部の旋回流の中心位置が底部側で凸部中心位置となり、安定化される。そして、被搬送物が非接触型搬送保持具に対して非接触型搬送保持具の軸方向と直交する方向に位置ずれすると、旋回流の軸芯が凸部を中心にして傾き、負圧吸引力の傾きの搬送保持具の軸方向と直交する方向の成分が、被搬送物を元の位置に戻そうとする力として働く。これによって、被搬送物の負圧作用点を元の位置(凸部に対向する位置)まで戻そうとする力が働き、半径方向アライメント性能が生じる。これによって、本発明の第3の目的が達成される。
【0009】
上記(5)、(6)の非接触型搬送保持具および上記(10)〜(16)の非接触型搬送保持装置によれば、凸部が負圧通路となる中空部を有するので、導入ガスの旋回流によって円筒状空間部の半径方向中央部で被搬送物直近に形成される負圧を、旋回流による負圧形成と独立に、強めることができる。吸引圧を強めるために凸部中空部から吸引を補足することにより、被搬送物の静止精度を高めるとともに、静止作動を導入ガスの旋回流のみによる場合に比べて高速化できる。その結果、導入ガスの旋回流による被搬送物を吸引保持する保持力の安定性を維持したまま、凸部の負圧通路によって形成される円筒状空間部の半径方向中央部の負圧により、被搬送物吸引保持力を増大させることができる。これによって、本発明の第4の目的が達成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の非接触型搬送保持具の実施例の構成、作用、効果を、図1〜図6を参照して説明する。
【0011】
図1〜図6に示すように、本発明の非接触型搬送保持具10は、内側に軸方向一端が閉じ軸方向他端が開放された円筒状空間部12を有し円筒部13と底部14を有するボデー11と、ボデー11の円筒部13に形成され円筒状空間部12の側面を構成する円筒状のボデー内周面15と、ボデー11の底部14に形成され円筒状空間部12の底面を構成する平坦なボデー底面16と、ボデー11の円筒状空間部12の開放側端部に形成された平坦なボデー開放側端面17と、ボデー内周面15のボデー底面側端部に形成され円筒状空間部12にガスを接線成分をもたせて導入する1つ以上のガス導入口18と、ガス導入口18に接続されたガス供給通路19と、を有する。
【0012】
被搬送物50は、ボデー開放側端面17に対向する面を有し、円筒状空間部12内に生じた負圧によって、ボデー開放側端面17に非接触で、非接触型搬送保持具10によって、吸引保持される。
【0013】
より詳しくは、非接触型搬送保持具10の円筒状空間部12にガス導入口18からガスが導入されると、円筒状空間部12内に旋回流Sが生じて円筒状空間部12内にの中央部に負圧が生じ、この負圧によって被搬送物50が非接触型搬送保持具10に吸引保持される。円筒状空間部12内の旋回流Sは、ボデー開放側端面17と被搬送物50との間の隙間Gを通して円筒状空間部12の外部に放出される。隙間Gの存在により被搬送物50は非接触型搬送保持具10に非接触である。また、円筒状空間部12内のガス流れは旋回流Sのため、隙間Gを通過するときに、ガス流れはボデー開放側端面17にほぼ平行である。
【0014】
ボデー内周面15は円筒状空間部12の軸芯と平行かほぼ平行である。ここで、「ほぼ平行」には、円筒状空間部12の軸芯に対して±5度以下の傾斜を含む。±5度以下の傾斜の場合は、円錐面の場合におけるような負圧領域を拡大、縮小する作用がほとんど生じない。ボデー底面16は、後で説明する中央部の凸部20を除き、円筒状空間部12の軸芯に直交する平坦面とされている。
【0015】
ガス導入口18の軸芯はボデー底面16に平行かまたはボデー底面16から円筒状空間部12の開放端側に傾斜している。この傾斜はボデー底面16に対して10度以下の傾斜とされる。10度以下とする理由は、10度を越えると流れの軸方向成分による被搬送物50の離反力が無視できない程度に大きくなるからである。
ガス導入口18は円筒状空間部12に対して接線方向成分をもって円筒状空間部12に開口している。「接線方向成分をもって」には、接線方向と半径方向との中間方向に導入される場合を含む。さらに定量的には、図2に示すように、導入ガス流れEの方向と、導入ガス流れの方向と直交する半径方向線Rとは、円筒状のボデー内周面15の径以下で、以下に述べる凸部20の外径以上の点Jで直交する。
【0016】
ガス導入口18は、1つ以上、設けられる。図2はガス導入口18が1つ設けられる場合を示しており、図4、図6はガス導入口18が2つ設けられる場合を示している。ガス導入口18の数は、3以下であることが望ましい。ガス導入口18の数は、もっとも望ましくは、2である。たとえば、ガス導入口18は、一対、凸部の中心Cを対称の中心として、互いに対称に設けられている。
【0017】
ガス導入口18の導入口径方向の高さ(ガス導入口18の直径)Dは、凸部20の高さH以下であることが望ましい。これによって、ガス導入口18から円筒状空間部12に導入されたガスは、凸部20を旋回の中心とした旋回流Sを、効果的に生じる。旋回流Sはボデー底面16と平行か、または円筒状空間部12の開放端側に傾斜している。
【0018】
ボデー11の底部14の半径方向中央部には、円筒状空間部12の軸芯と軸芯を一致させて、底部14に対して垂直に、底部14から離れる方向に延びる円柱状の凸部20が形成されている。凸部20の先端面21は、ボデー底面16に対して平行は平坦面であってもよいし、あるいは円筒状空間部12の開放端側に向かって凸の湾曲面であってもよい。
【0019】
凸部20の高さH(ボデー底面16に直交する方向の凸部20の高さ)は、ボデー底面16とボデー開放側端面17との間の、ボデー底面16に直交する方向の、距離B以下である。そのため、凸部20の先端面21と被搬送物50との間には、必ず隙間Gcが存在する。この隙間Gcの高さは、ボデー開放側端面17と被搬送物50との間の隙間Gの高さ以上である(図3)。
【0020】
図5、図6に示すように、凸部20は、円筒状空間部12内のガスの一部を吸引するための吸引通路となる中空部22を有していてもよい。中空部22は、負圧通路25により負圧源に接続される。
凸部20が中空部22を有する場合、凸部20の先端面21には中空部22と円筒状空間部12とを連通する複数の溝部23が形成される。中空部22は吸引装置に連通している。溝部23が存在することによって、被搬送物50が凸部20の先端面21に吸着接触することなく、溝部23を通してエアが中空部22に急進される。
凸部20が中空部22を有する場合、円筒状空間部12内の中央部の負圧は、旋回流Sにより生じる負圧のみの場合に比べて、中空部22を通しての吸引により生じる負圧が加わるため、負圧は強まる。
【0021】
ボデー内周面15とボデー開放側端面17との間には、ボデー開放側端面17に近づくほど径が大きくなるテーパ面24が設けられており、ボデー内周面15とボデー開放側端面17とはテーパ面24を介して互いに接続している。テーパ面24はボデー軸芯に対して45°±10°の角度をもって交差する傾斜面とされている。また、テーパ面24の面に沿った長さは5〜15mmであることが望ましい。
【0022】
つぎに、本発明の非接触型搬送保持具10の作用、効果を説明する。
本発明の非接触型搬送保持具10では、ボデー内周面15のボデー底面16側端部に、円筒状空間部12にガスを接線成分をもたせて導入するガス導入口18を設けたので、円筒状空間部12に旋回流Sを発生させることができ、それによって、円筒状空間部12の中央部に強い負圧(大気圧より低い圧力)を生成させることができる。旋回流は円筒状空間部12内の外周部にも内周部にも生じるが、図1〜図6には、旋回流のうち内周部に近い部分の旋回流のみを示してある。旋回流Sによる負圧は、従来の半径方向流による負圧に比べて高負圧である。その結果、被搬送物50を負圧Vにより吸引保持する保持力が従来装置に比べて大きくなる。ボデー開放側端面17と被搬送物50との間の隙間Gには、正圧P(大気圧より高い圧力)が働くが、負圧Vによる被搬送物50吸引力の方が、隙間Gに働く正圧Pによる被搬送物50離反力より大きいので、被搬送物50は非接触型搬送保持具10に吸引保持される。ボデー開放側端面17と被搬送物50との間には円筒状空間部12から外部にガスが流出する隙間が存在するので、被搬送物50はボデー開放側端面17の端面に非接触である。非接触のため被搬送物50が非接触型搬送保持具10に接触して傷つくことはない。
【0023】
この負圧吸引搬送は、被搬送物50が非接触型搬送保持具10の上方に水平状態に位置しても、下方に水平状態に位置してもあっても、非接触型搬送保持具10に対して垂直状態または斜め状態にあっても働く。その結果、被搬送物50を水平姿勢で搬送することができるのみならず、被搬送物50を垂直姿勢を含む任意の角度で搬送でき、反転した背面搬送をすることも可能である。
【0024】
また、ボデー11が内側に(円錐状ではない)円筒状空間部12を有するので、円筒状空間部12が底部14から離れる方向にいくにしたがって径が拡大せず、負圧領域が半径方向に拡がらない。その結果、円筒状空間部12の半径方向中央部で被搬送物直近に形成される負圧が、円錐状空間部の場合に比べて強く、被搬送物50を吸引保持する保持力が円錐状空間部の場合に比べて強まる。
【0025】
また、ガス導入口18の軸芯はボデー底面16に平行かまたは円筒状空間部の開放端側に10度以下の角度をもって傾斜しているので、円筒状空間部12内の旋回流Sはボデー底面16に平行かまたは円筒状空間部12の開放端側に傾斜している。そのため、旋回流Sの被搬送物50の非接触型搬送保持具10に対向する面50aに直交する流れ成分は小さい。その結果、ガス流の、被搬送物50の面50aに直交する流れ成分による被搬送物50の非接触型搬送保持具10からの離反力は小さく、旋回流Sによって生じた負圧の吸引力による被搬送物保持性能が安定する。
【0026】
非接触型搬送保持具10では、被搬送物50の面50aに当たる流体が、面50aに沿った方向となり、かつ継続的であるため、被搬送物50の微振動および超微振動が大幅に減少し、また横ズレ、縦ズレも大幅に減少する。その結果、搬送時に要求される、搬送精度、位置決め精度および静止精度が、極めて高くなり、さらに騒音(ノイズ)も大幅に減少する。
【0027】
ボデー底部14の中心部に、底部14に対して垂直に底部14から離れる方向に延びる円柱状の凸部20が形成されているので、円筒状空間部12内の旋回流Sの中心位置が、底部側で凸部20の中心位置となり、安定化する。そして、被搬送物50が非接触型搬送保持具10に対して非接触型搬送保持具10の軸方向と直交する方向に位置ずれすると、旋回流Sの軸芯が底部14の凸部20を中心にして傾き、負圧吸引力Vの傾きの搬送保持具10の軸方向と直交する方向の成分が、被搬送物50を元の位置に戻そうとする力として働く。これによって、被搬送物50の負圧作用点を元の位置(凸部20に対向する位置)まで戻そうとする力が働き、アライメント性能(被搬送物50の中心を凸部20に対向する位置まで戻そうとする性能)が生じる。これによって、本発明の第3の目的が達成される。
【0028】
また、凸部20が負圧通路となる中空部22を有する場合は、中空部22によって円筒状空間部12内の中空部頂面21近傍に形成される負圧が、導入ガスの旋回流Sによって円筒状空間部12の半径方向中央部で被搬送物50の直近に形成される負圧を、旋回流Sによる負圧形成と独立に、強めることができる。凸部中空部22から吸引を補足することにより、凸部中空部22による吸引負圧は、被搬送物50の静止精度を高めるとともに、被搬送物50を静止させる静止作動を、導入ガスの旋回流Sのみによる場合に比べて早めることができる。その結果、導入ガスの旋回流Sによる被搬送物50を吸引保持する保持力の安定性を維持したまま、凸部20の負圧通路22によって形成される円筒状空間部12の半径方向中央部の負圧により、被搬送物吸引保持力を増大させることができる。これによって、本発明の第4の目的が達成される。溝部23があるため、凸部20の先端面21に被搬送物50が吸着接触することがない。溝部23がないと、いったん被搬送物50が凸部20の先端面21に吸着接触してしまうと、負圧を解除しない限り被搬送物50が凸部20の先端面21から離れなくなる。
【0029】
つぎに、上記の非接触型搬送保持具10を適用した種々の非接触型搬送保持装置30を、図7−図10を参照して、説明する。
非接触型搬送保持装置30は、被搬送物50の平坦な面50aに対向する平坦な被搬送物保持面31を有し、この被搬送物保持面31に非接触型搬送保持具10が、1つ以上配置されている。通常、非接触型搬送保持具10は、非接触型搬送保持装置30に埋め込まれた状態で配置されている。非接触型搬送保持具10の平坦なボデー開放側端面17と、平坦な被搬送物保持面31とは、同一平面内かあるいはほぼ同一平面内にあり、被搬送物50の平坦な面50aに対向する。非接触型搬送保持具10の平坦なボデー開放側端面17および平坦な被搬送物保持面31と、被搬送物50の平坦な面50aとの間には、隙間Gがあり、被搬送物50は、被搬送物保持面31とボデー開放側端面17に、非接触で吸引保持され搬送される。非接触型搬送保持装置30の被搬送物保持面31は、上方または斜め上方に向けられていてもよいし、下方または斜め下方に向けられていてもよいし、鉛直姿勢をとっていてもよい。
【0030】
〔非接触型搬送保持装置30の例1〕
図7、図8に示すように、非接触型搬送保持装置30は,搬送用ロボット(たとえば、6軸の汎用ロボットを搬送用に用いた搬送用ロボット)のアームの先端にハンドに代わって取り付けられている、ハンド代用プレート30Aである。被搬送物保持面31は、ハンド代用プレート30Aの、被搬送物に対向する表面である。非接触型搬送保持具10は、被搬送物保持面31に1つ以上配置されている。
ハンド代用プレート30Aは平面視でU字状部分を有している。
ハンド代用プレート30AのU字状部分に平面視で被搬送物50の外形と相似形で被搬送物50の外形より若干大きな形状(たとえば、被搬送物50の外形が円形である場合は円形、ただし矩形や正方形でもよい。以下円形の場合で説明する)の段差(後退する段差)が設けられており、この段差の上面が被搬送物保持面31となっている。段差の側面は、被搬送物50が所定量以上、被搬送物保持面31と平行な方向に位置ずれしないように位置を規制する位置規制面32を構成している。位置規制面は32は被搬送物保持面31およびボデー開放側端面17との間に延び、被搬送物保持面31およびボデー開放側端面17と直交する。位置規制面32と被搬送物50との間にはガス供給通路19からの空気が流れるので、位置規制面32と被搬送物50とは非接触である。
被搬送物50は、薄板である。被搬送物50が半導体ウエハである場合は、厚さは、通常厚さウエハで0.8mm、極薄ウエハで100ミクロン以下であり、直径はたとえば15cm−30cmである。
【0031】
非接触型搬送保持具10にはガス供給通路19を通してガスが供給される。非接触型搬送保持具10が凸部20を有し、凸部20に中空部22が形成されている場合は、中空部22は負圧通路25を介して負圧源に接続される。負圧源はロボット30に搭載されてもよいし、あるいはロボット30とは別置きにされてもよい。図7、図8中、INはガスの供給を示し、OUTは負圧源への接続を示す。
【0032】
上記非接触型搬送保持装置30においては、被搬送物50を、水平搬送のみならず、垂直ならびに任意の角度で搬送できる。その結果、被搬送物の搬送姿勢を一方向に固定される従来の搬送に比べて、搬送スペースを大幅に、たとえば5分の1程度に減少させることができる。
また、非接触搬送のため、被搬送物50に損傷を与えることがないほか、接触による汚染を防ぐことができ、最終製品の歩留まりを大幅に向上させることができる。
【0033】
〔非接触型搬送保持装置30の例2〕
上記の例1で用いた図7、図8を準用する。図7、図8に示すように、非接触型搬送保持装置30は搬送用ロボット(たとえば、6軸の汎用ロボットを搬送用に用いた搬送用ロボット)のハンド30B自体である。被搬送物保持面31は、搬送用ロボット30のハンド30B自体の、被搬送物に対向する表面である。非接触型搬送保持具10は、被搬送物保持面31に1つ以上配置されている。
ハンド30Bは平面視でU字状部分を有している。
ハンド30BのU字状部分に平面視で円形状の段差(後退する段差)が設けられており、円形状の段差の上面が被搬送物保持面31となっている。円形状の段差の側面は、円形状の被搬送物50が所定量以上、被搬送物保持面31と平行な方向に位置ずれしないように位置規制する位置規制面32を構成している。位置規制面は32は被搬送物保持面31およびボデー開放側端面17との間に延び、被搬送物保持面31およびボデー開放側端面17と直交する。位置規制面32と被搬送物50との間にはガス供給通路19からの空気が流れるので、位置規制面32と被搬送物50とは非接触である。
その他の構成、作用、効果は上記の例1と同じである。
【0034】
〔非接触型搬送保持装置30の例3〕
図9、図10に示すように、非接触型搬送保持装置30は、ハンディタイプの搬送装置(バキュームピンセット30Cと呼ばれている)である。被搬送物保持面31は、バキュームピンセット30Cの被搬送物保持面である。非接触型搬送保持具10は、バキュームピンセット30Cの被搬送物保持面31に、1つ以上、吸着口の代わりに設けられている。
【0035】
バキュームピンセット30Cは、図9に示すように、平面視でU字状部分33と、U字状部分の両脚にわたって延びる橋部分34と、U字状部分33からU字状部分と反対方向に延びる柄部分35(手でバキュームピンセット30Cを持つときこの部分をもつ)とを有するか、またはU字状部分33(橋部分34がない)と柄部分35を有するか、またはI字状部分(U字状部分33がない)と柄部分35を有する。バキュームピンセット30CのU字状部分33またはI字状部分には、平面視で被搬送物の外形より若干大きな形状(たとえば、円形状、ただし、正方形や矩形でもよい)の段差(後退する段差)が設けられており、円形状の段差の上面が被搬送物保持面31となっている。段差の側面は、円形状の被搬送物50が所定量以上、被搬送物保持面31と平行な方向に位置ずれしないように位置規制する位置規制面32を構成している。非接触型搬送保持具10は、被搬送物保持面31の中心線の左右に互いに対称に配置される。橋部分34がある場合には、被搬送物保持面31の中心位置である橋部分34の中心位置にも配置される。
被搬送物50は、円形状の薄板である。被搬送物50が半導体ウエハである場合は、厚さは、通常厚さウエハで0.8mm、極薄ウエハで100ミクロン以下であり、直径はたとえば15−30cmである。
【0036】
非接触型搬送保持具10にはガス供給通路19を通してガスが供給される。非接触型搬送保持具10が凸部20を有し、凸部20に中空部22が形成されている場合は、中空部22は負圧通路(ホース)25を介して負圧源に接続される。図中、INはガスの供給を示し、OUTは負圧源へのガスの吸引を示す。
【0037】
上記非接触型搬送保持装置30においては、被搬送物50を、水平搬送のみならず、垂直ならびに任意の角度で搬送できる。
また、非接触搬送のため、被搬送物50に損傷を与えることがないほか、接触による汚染を防ぐことができ、最終製品の歩留まりを大幅に向上させることができる。
【0038】
〔非接触型搬送保持装置30の例4〕
図11、図12に示すように、非接触型搬送保持装置30は、シャトル型の非接触型搬送保持装置30Dである。シャトル型の非接触型搬送保持装置30Dは、被搬送物50の搬送経路に配置された、モーターやシリンダーやリニアモーター等により往復動される、台車36と、台車36上で、台車36の往復動方向と直交する方向に移動可能で、モーターやシリンダーやリニアモーター等により移動されるスライダー37と、スライダー37に搭載されたハンド38(例1−3のハンドに相当する部材)と、を有する。ハンド38の被搬送物50対向面が、被搬送物保持面31を構成している。
台車36は搬送経路上のA位置39、B位置30間を往復する(シャトル搬送)。
スライダー37はA位置39において、台車36の往復動方向と直交する方向に、A位置とa加工位置41との間に往復動し、B位置40において、台車36の往復動方向と直交する方向に、B位置とb加工位置42との間に往復動する。
スライダー37はa加工位置41から供給された被搬送物50をA位置39に搬送する。台車36はシャトル経路に沿って、被搬送物50をA位置39からB位置40に搬送する。スライダー37は、被搬送物50をB位置40からb加工位置42に搬送する。被搬送物50はa加工位置41、b加工位置42で、順次加工されていく。被搬送物50はハンド38上で非接触吸着保持されて搬送される。ハンド38はスライダー37上で、水平、垂直、斜め姿勢をとることができる。
【0039】
上記非接触型搬送保持装置30においては、被搬送物50を、水平搬送のみならず、垂直ならびに任意の角度で搬送できる。
また、非接触搬送のため、被搬送物50に損傷を与えることがないほか、接触による汚染を防ぐことができ、最終製品の歩留まりを大幅に向上させることができる。
【0040】
〔非接触型搬送保持装置30の例5〕
図13に示すように、非接触型搬送保持装置30は、被搬送物50の回転方向アライメントが可能なロボットハンド30Eからなる。ロボットハンド30Eの被搬送物50対向面が、被搬送物保持面31を構成している。ロボットハンド30Eの構成は、上記例1−例3のロボットハンド30A−30Cと同じでよい。
ロボットハンド30Eの被搬送物保持面31に、複数の非接触型搬送保持具10が配置されている。複数の一部(半数)の非接触型搬送保持具10の円筒状空間部12内の旋回流の方向と複数の一部以外(残りの半数)の非接触型搬送保持具10の円筒状空間部12内の旋回流の方向とを、ガス導入口18の方向を逆にすることにより、逆に設定しておく。これによって、複数の一部の非接触型搬送保持具10の吸着をオンにすると、被搬送物50が非接触型搬送保持具の円筒状空間部12からの流出気流のみで、非接触型搬送保持具10の中心を回転の中心として回転駆動し、複数の全部の非接触型搬送保持具10の吸着をオンにすると被搬送物50の回転が停止する。
【0041】
ロボットハンド30Eには、被搬送物50の外周縁の上方または下方の位置に、センサー33が設けられており、被搬送物50の外周縁にはノッチ44が形成されている。被搬送物50が回転されてセンサー43の位置に来た時に、被搬送物50の回転を停止させ、被搬送物50を回転方向に位置出しする。
【0042】
従来のような、モーターによる被搬送物50の回転によらずに、気流のみで被搬送物50を回転させることができ、回転方向のアライメントを行うことができる。
【0043】
〔非接触型搬送保持装置30の例6〕
図14、図15に示すように、非接触型搬送保持装置30が回転方向の位置決めと中心位置出しがきるアライナー30Fからなる。アライナー30Fは、回転駆動部45と、回転駆動部45によって回転される回転テーブル46と、被搬送物50に設けられたノッチ48を読み取るセンサー47とを有する。回転テーブル46の上面には複数の非接触型搬送保持具10が設けられており、回転テーブル46の上面および/または非接触型搬送保持具10のボデー開放側端面17が、被搬送物保持面31を構成する。図15において、ノッチ48は、オリエンテーションフラットでもよい。また、非搬送物50の外形は円形であってもよいし、あるいは円形以外であってもよい。
【0044】
例6では、被搬送物50は回転駆動部45によって回転される回転テーブル46の上面の非接触型搬送保持具10に吸引保持され、回転テーブル46とともに回転する。被搬送物50に設けられたノッチ48がセンサー47位置に来た時に、回転テーブル46の回転を止め、被搬送物50の回転を止める。これによって、被搬送物50の回転方向の位置決めができる。センサー47を被搬送物50の周縁部上方に、回転方向に位置を隔てて2ヵ所に設けておく。各センサー47位置でノッチ48の中心軸線を延長すると2本のノッチ48の中心軸線は被搬送物50の回転中心で交差するから、回転テーブル46上の吸引保持されている被搬送物50の回転中心も求めることができる。求めた回転中心と回転テーブル46中心とを比較することにより、被搬送物50の回転中心が回転テーブル46中心に位置しているか否かを判定することができる。
【0045】
上記非接触型搬送保持装置30においては、被搬送物50を、水平搬送のみならず、垂直ならびに任意の角度で搬送できる。
また、非接触搬送のため、被搬送物50に損傷を与えることがないほか、接触による汚染を防ぐことができ、最終製品の歩留まりを大幅に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の非接触型搬送保持具で、ガス導入口が1つ設けられる場合の、断面図である。
【図2】図1の非接触型搬送保持具の平面図である。
【図3】本発明の非接触型搬送保持具で、ガス導入口が複数設けられる場合で、かつ凸部が中空部を有さない場合の、断面図である。
【図4】図3の非接触型搬送保持具の平面図である。
【図5】本発明の非接触型搬送保持具で、ガス導入口が複数設けられる場合で、かつ凸部が中空部を有する場合の、断面図である。
【図6】図5の非接触型搬送保持具の平面図である。
【図7】本発明の非接触型搬送保持具が装着された、ロボットハンド代用プレートまたはロボットハンド自体からなる非接触型搬送保持装置(例1または例2)の平面図である。
【図8】図7の非接触型搬送保持装置の断面図である。
【図9】本発明の非接触型搬送保持具が装着された、ハンディタイプの非接触型搬送保持装置(例3)の平面図である。
【図10】図9の非接触型搬送保持装置の断面図である。
【図11】本発明の非接触型搬送保持具が装着された、シャトル搬送型の非接触型搬送保持装置の平面図である。
【図12】図11の非接触型搬送保持装置の正面図である。
【図13】本発明の非接触型搬送保持具が装着された、ロボットハンド上での被搬送物の回転方向アライメントが可能な非接触型搬送保持装置の平面図である。
【図14】本発明の非接触型搬送保持具が装着された、被搬送物の回転方向アライメントおよび中心位置割り出し可能な非接触型搬送保持装置の正面図である。
【図15】図14の非接触型搬送保持装置の平面図である。
【図16】特開2004−059660号公報に開示の非接触型搬送保持装置の断面図である。
【符号の説明】
【0047】
10 非接触型搬送保持具
11 ボデー
12 円筒状空間部
13 円筒部
14 底部
15 ボデー内周面
16 ボデー底面 17 ボデー開放側端面
18 ガス導入口
19 ガス供給通路
20 凸部
21 先端面
22 中空部(負圧通路)
23 溝部
24 テーパ面
25 負圧通路
30、30A、30B、30C、30D、30E、30F 非接触型搬送保持装置
31 被搬送物保持面
32 位置規制面
33 U字状部分
34 橋部分
35 柄部分
36 台車
37 スライダー
38 ハンド
39 A位置
40 B位置
41 a加工位置
42 b加工位置
43 センサー
44 ノッチ
45 回転駆動部
46 回転テーブル
47 センサー
48 ノッチ
50 被搬送物
50a 面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側に一端が閉じ他端が開放された円筒状空間部を有し円筒部と底部を有するボデーと、
前記ボデーの円筒部に形成され前記円筒状空間部の側面を構成する円筒状のボデー内周面と、
前記ボデーの底部に形成され前記円筒状空間部の底面を構成する平坦なボデー底面と、
前記ボデーの前記円筒状空間部の開放側端部に形成された平坦なボデー開放側端面と、
前記ボデー内周面のボデー底面側端部に形成され前記円筒状空間部にガスを接線成分をもたせて導入する1つ以上のガス導入口と、
前記ガス導入口に接続されたガス供給通路と、
を有する非接触型搬送保持具。
【請求項2】
前記ガス導入口の軸芯はボデー底面に平行かまたは円筒状空間部の開放端側に傾斜している請求項1記載の非接触型搬送保持具。
【請求項3】
前記ボデーの底部の中心部には該底部に対して垂直に該底部から離れる方向に延びる円柱状の凸部が形成されている請求項1または請求項2記載の非接触型搬送保持具。
【請求項4】
前記凸部の高さは、前記ボデー底面と前記ボデー開放側端面との間の距離以下である請求項1〜請求項3の何れか1項記載の非接触型搬送保持具。
【請求項5】
前記凸部の高さは、前記ボデー底面と前記ボデー開放側端面との間の距離以下で、前記凸部は前記円筒状空間部内のガスの一部を吸引するための吸引通路となる中空部を有する請求項1または請求項2記載の非接触型搬送保持具。
【請求項6】
前記凸部は先端に端面を有し、該凸部の端面に前記中空部と円筒状空間部とを連通する1以上の溝部を有する請求項5記載の非接触型搬送保持具。
【請求項7】
前記ガス導入口は複数設けられている請求項1〜請求項6の何れか1項記載の非接触型搬送保持具。
【請求項8】
前記ガス導入口が一対、前記円筒状空間部の軸芯に対して互いに対称に設けられている請求項1〜請求項7の何れか1項記載の非接触型搬送保持具。
【請求項9】
前記ボデー内周面と前記ボデー開放側端面との間には、前記ボデー開放側端面に近づくほど径が大きくなるテーパ面が設けられており、前記ボデー内周面と前記ボデー開放側端面とは該テーパ面を介して接続している請求項1〜請求項8の何れか1項記載の非接触型搬送保持具。
【請求項10】
被搬送物保持面を有し、該被搬送物保持面に非接触型搬送保持具が1つ以上配置されている非接触型搬送保持装置であって、
前記非接触型搬送保持具が、
内側に一端が閉じ他端が開放された円筒状空間部を有し円筒部と底部を有するボデーと、
前記ボデーの円筒部に形成され前記円筒状空間部の側面を構成する円筒状のボデー内周面と、
前記ボデーの底部に形成され前記円筒状空間部の底面を構成する平坦なボデー底面と、
前記ボデーの前記円筒状空間部の開放側端部に形成された平坦なボデー開放側端面と、
前記ボデー内周面のボデー底面側端部に形成され前記円筒状空間部にガスを接線成分をもたせて導入する1つ以上のガス導入口と、
前記ガス導入口に接続されたガス供給通路と、
を有する非接触型搬送保持装置。
【請求項11】
前記非接触型搬送保持装置が搬送用ロボットであり、前記被搬送物保持面が搬送用ロボットのアームの先端にハンドに代わって取り付けられている、ハンド代用プレートの表面である請求項10記載の非接触型搬送保持装置。
【請求項12】
前記非接触型搬送保持装置が搬送用ロボットであり、前記被搬送物保持面が搬送用ロボットのハンドの表面である請求項10記載の非接触型搬送保持装置。
【請求項13】
前記非接触型搬送保持装置が、ハンディタイプの搬送装置であるバキュームピンセットであり、前記被搬送物保持面がバキュームピンセットの被搬送物保持面であり、前記非接触型搬送保持具がバキュームピンセットの被搬送物保持面に、吸着口の代わりに設けられている請求項10記載の非接触型搬送保持装置。
【請求項14】
前記非接触型搬送保持装置が、被搬送物の搬送経路に配置された往復動される台車と、該台車上で該台車の往復動方向と直交する方向に移動可能なスライダーと、を有し、前記被搬送物保持面が前記スライダーの上面である請求項10記載の非接触型搬送保持装置。
【請求項15】
前記非接触型搬送保持装置が、ロボットハンドで、該ロボットハンドの被搬送物保持面に複数の前記非接触型搬送保持具が配置されており、前記複数の一部の非接触型搬送保持具の円筒状空間部内の旋回流の方向と前記複数の一部以外の非接触型搬送保持具の円筒状空間部内の旋回流の方向とを逆に設定し、前記複数の一部の非接触型搬送保持具の吸着をオンにすると被搬送物が非接触型搬送保持具の円筒状空間部からの流出気流のみで回転し、前記複数の全部の非接触型搬送保持具の吸着をオンにすると被搬送物の回転が停止するようになっている請求項10記載の非接触型搬送保持装置。
【請求項16】
前記非接触型搬送保持装置が、回転駆動部と、回転駆動部で回転される回転テーブルと、被搬送物に設けられたノッチを読み取るセンサーとを有し、前記被搬送物保持面が回転テーブルの被搬送物保持面であり、前記非接触型搬送保持具が回転テーブルの被搬送物保持面に配置されている請求項10記載の非接触型搬送保持装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−119562(P2009−119562A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−296554(P2007−296554)
【出願日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【出願人】(304008289)
【Fターム(参考)】