説明

非接触式情報端末装置

【課題】アンテナを介して受信した電磁波に基づいて負電源電圧を発生させて当該搭載されたディプレション型FETを的確に駆動させることができる非接触式情報端末装置を提供すること。
【解決手段】無線タグ装置Tagは、内部回路をディプレッション型TFTによって構成しているため、リーダ・ライタにて発生された磁界のエネルギーから正電圧とともに負電圧も抽出するようになっており、抽出された正負の電圧に基づいて各ディプレッション型TFTを的確に駆動させている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディプレッション型電解効果FETを用いた非接触式情報端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、工場における部品の自動搬送システム、小売店での物品管理、あるいは図書館での蔵書管理等に、部品や本など他の物品との識別を行うための情報を有し、かつ、非接触式のインタフェースを持つタグ、いわゆる、無線タグ装置(以下、「RFID(Radio Frequency IDentification)」タグ装置ともいう。)が一般的に普及され始めている。
【0003】
また、会社や研究所の入り口や駅の改札口などにおいては、個人情報を記録した非接触式のインタフェースを持つIDカード、いわゆる、IC(Integrated Circuit)カード(以下、「非接触型ICカード」という。)を用いて人の出入りを管理するシステムもその利便性から導入が進んでいる。
【0004】
そして、これらの無線タグおよび非接触型ICカードは、無線通信を利用して読み書き装置(以下、「リーダ・ライタ」という。)と通信可能になっており、ネットワーク社会の進展に伴い、あらゆる分野にて今後ますます発展していくものと考えられている。
【0005】
このような、非接触型ICカードや無線タグなどの磁界を用いてリーダ・ライタとのデータの送受信を非接触にて行う情報端末装置(以下、「非接触式情報端末装置」という。)は,装置自体に電源を有していない。
【0006】
このため、リーダ・ライタが備える送受信アンテナの送信コイルに電流を流すことによって磁界を発生させ、当該磁界が非接触型ICカードやRFIDタグ装置が備える送受信アンテナとしての受信コイルを通過するときに、磁束に応じて発生される誘起電圧を電源として駆動するようになっている。
【0007】
すなわち,非接触型ICカードやRFIDタグは、リーダ・ライタの送信コイルから送られる磁界のエネルギーを受信コイルで受けて、駆動に必要な電力を得るようになっている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第3940014号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このような非接触式情報端末装置は、利便性や拡張性の観点から、小型化、高度化および各種の処理の高速化が求められているとともに、その低価格化も要求されており、これらの要求は、この非接触式情報端末装置を構成する各種の電子回路にも求められている。
【0010】
特に、非接触式情報端末装置に用いられる半導体電子回路としては、簡易に製造できるとともに優良な出力特性を有するものが望まれており、例えば、ポリシリコンTFT(Thin Film Transistor:電界効果トランジスタ)や酸化膜TFTによって構成されたものが望まれている。
【0011】
しかしながら、これらのTFTは、0Vから電源電圧VDDの最大電圧の間の電圧がそのゲートに印加されることによって駆動するために、ヒステリシスやバイヤスストレスの影響によって、外部電圧が印可されるゲートのしきい値電圧がマイナスになる場合がある。
【0012】
そして、これらのTFTは、ゲートのしきい値電圧がマイナスになると、最小電圧である0Vが印加された場合であってもTFTが駆動することとなり、すなわち、常にTFTがオン状態となり、正常な出力特性を得ることができなくなる。
【0013】
また、エンハンス型のFETにおけるゲート絶縁膜がスパッタなどによって低温にて生成されている場合に、このゲート絶縁膜の膜質の電圧特性が低下するとともに、印刷などによってさらに低温によって酸化膜TFTを生成する場合には、正電圧における良好な出力特性を得ることはさらに難しい。
【0014】
このようなTFTを的確に駆動させる方法としては、ゲートに印可する入力電圧をマイナス側にレベルシフトさせてTFTを的確に駆動させる必要があるが、このためには、マイナスの電源(負電源)をこれらのTFTを有する半導体電子回路に供給する必要がある。
【0015】
すなわち、このようなTFTを用いた半導体電子回路を搭載した非接触式情報端末装置においては、正常に動作させるために、各半導体電子回路に供給するためのマイナスの電源(負電源)を取得する必要がある。
【0016】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、ディプレッション型FETを用いた電子回路を用いることによって簡易に製造することができるとともに、アンテナを介して受信した電磁波に基づいて負電源電圧を発生させて当該搭載されたディプレション型FETを的確に駆動させることができる非接触式情報端末装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、磁界を用いて読み書き装置とのデータの送受信を非接触にて行う非接触式情報端末装置であって、前記読み書き装置によって発生された磁界に応じて誘起電圧を発生するアンテナ回路と、前記発生された誘起電圧に基づいて直流電源電圧を抽出する整流回路と、所定の情報が記憶される記憶手段であって、前記整流回路から出力された直流電源電圧に基づいて動作する記憶手段と、を備え、前記整流回路が、前記発生された誘起電圧に基づいて正電源として直流正電圧を抽出するための半波整流を行うディプレッション型の第1トランジスタと、前記発生された誘起電圧に基づいて負電源として直流負電圧を抽出するための半波整流を行うディプレッション型の第2トランジスタと、第1トランジスタとグランドの間に接続され、平滑化用に用いられる第1平滑コンデンサと、第2トランジスタとグランドの間に接続され、平滑化用に用いられる第2平滑コンデンサと、を備える構成を有している。
【0018】
この構成により、請求項1に記載の発明は、直流正電圧とともに直流負電圧を共振回路に生じた誘起電圧から生成することができるので、当該直流負電圧によって装置全体を駆動することができる。
【0019】
したがって、請求項1に記載の発明は、各内部回路にディプレッション型トランジスタを用いることができるので、各内部回路が印刷などによって低温で生成された場合であっても高速駆動が可能でかつ良好な出力特性を得ることができるとともに、装置内の全てのトランジスタをディプレッション型トランジスタによって構成させれば装置自体を簡易に製造することができる。
【0020】
また、請求項1に記載の発明は、トランジスタがディプレッション型であり、その駆動可能電圧が広くなるので、誘起電圧から読み書き装置から送信された信号を効率的に得ることができるとともに、直流正電圧および直流負電圧を効率的に生成することができる。
【0021】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の非接触式情報端末装置において、前記第1トランジスタおよび前記第2トランジスタを含め当該非接触式情報端末装置に用いられる全てのトランジスタがn型のトランジスタにて構成されている。
【0022】
この構成により、請求項2に記載の発明は、製造時に単一のプロセスによってトランジスタを生成することができるので、さらに装置自体を簡易に製造することができる。
【0023】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の非接触式情報端末装置において、電圧増幅回路を有し、前記整流回路にて生成された直流正電圧を定電圧に変換する第1定電圧出力回路と、電圧増幅回路を有し、前記整流回路にて生成された直流負電圧を定電圧に変換する第2定電圧出力回路と、を備える構成を有している。
【0024】
この構成により、請求項3に記載の発明は、直流正電圧とともに直流負電圧においても安定した電圧を内部回路に提供することができるので、トランジスタなどの内部回路の各素子における耐圧を超過させることをなくそれらの破損を防止することができるとともに、安定化される直流正電圧および直流負電圧に合わせて各回路を生成することができる。
【0025】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の何れか一項に記載の非接触式情報端末装置において、前記各電圧増幅回路が、複数の第3トランジスタおよび拡散抵抗器から構成され、前記整流回路から出力された直流正電圧および直流負電圧の電圧レベルの差を増幅して出力する差動増幅回路と、前記差動増幅回路から出力された電圧の電圧レベルを増幅して出力する出力増幅回路と、を備え、前記差動増幅回路および出力増幅回路に設けられた前記トランジスタのすべてがディプレッション型であるとともに、前記出力増幅回路が、一以上の第4トランジスタから構成され、前記差動増幅回路から出力された電圧の電圧レベルをシフトするレベルシフト回路ユニットと、一以上の第5トランジスタから構成され、前記レベルシフトされた電圧の電圧レベルを反転増幅する増幅回路ユニットと、を有し、前記差動増幅されて、かつ、レベルシフトされた電圧が前記増幅回路ユニットの少なくとも一の前記第5トランジスタのゲートに入力される構成を有している。
【0026】
この構成により、請求項4に記載の発明は、出力増幅回路における増幅回路ユニットのトランジスタのゲートにレベルシフトされた電圧を印加することができるので、増幅回路ユニットにおけるトランジスタをディプレッション型で構成することが可能となり、第1定電圧出力回路および第2定電圧出力回路をディプレッション型トランジスタにて構成することができる。
【0027】
したがって、請求項4に記載の発明は、第1定電圧出力回路および第2定電圧出力回路にディプレッション型トランジスタを用いることができるので、装置内の全てのトランジスタをディプレッション型トランジスタによって構成させることが可能となる。
【0028】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4の何れか一項に記載の非接触式情報端末装置において、前記整流回路から出力された電圧を用いて前記記憶手段の制御する制御手段を更に備え、前記制御手段が、一以上の第6トランジスタから構成され、前記整流回路から出力された電圧レベルをシフトするレベルシフト回路ユニットと、一以上の第7トランジスタから構成され、レベルシフトされた電圧を用いて所定の論理演算を実行する電子回路ユニットと、を備え、前記レベルシフト回路ユニットおよび前記電子回路ユニットに設けられた前記トランジスタのすべてがディプレッション型であるとともに、前記レベルシフトされた電圧が前記電子回路ユニットの少なくとも一の前記第7トランジスタのゲートに入力される構成を有している。
【0029】
この構成により、請求項5に記載の発明は、ディプレッション型のトランジスタを有する制御回路においても直流正電圧とともに直流負電圧によって駆動することができるので、印刷などによって低温で生成された場合であっても高速駆動が可能でかつ良好な出力特性を得ることができる。
【0030】
また、請求項6に記載の発明は、請求項1乃至4の何れか一項に記載の非接触式情報端末装置において、前記アンテナ回路が、前記誘起電圧を発生させるアンテナコイルと、前記アンテナコイルと共振回路を構成する共振用コンデンサと、前記アンテナコイルおよび前記共振用コンデンサによって形成される共振回路に並列に接続され、前記読み書き装置を基準とした当該非接触式情報端末装置の負荷の値を変化させる負荷変調に用いられる負荷変調用コンデンサおよびスイッチングトランジスタと、前記スイッチングトランジスタを制御するための電圧レベルをシフトさせるレベルシフト回路ユニットと、を有し、前記スイッチングトランジスタがディプレッション型である構成を有している。
【0031】
この構成により、請求項6に記載の発明は、アンテナ回路におけるディプレッション型のスイッチングトランジスタに、当該トランジスタが適切に駆動する範囲にある制御するための電圧を入力することができるので、当該ディプレッション型のスイッチングトランジスタを的確に駆動することができる。
【0032】
したがって、請求項6に記載の発明は、当該スイッチングトランジスタにおける負荷変調用コンデンサの共振用コンデンサとの並列接続の切り換えを行うことができるので、読み書き装置を基準としたアンテナ回路の負荷(インピーダンス)を的確に変化させることができる。
【0033】
この結果、請求項6に記載の発明は、アンテナ回路のインピーダンスの変化に伴って負荷変調における変調度を大きくすることができるので、的確に所定のデータを読み書き装置に送信することができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明は、各内部回路にディプレッション型トランジスタを用いた電子回路を用いることができるので、各内部回路が印刷などによって低温で生成された場合であっても高速駆動が可能でかつ良好な出力特性を得ることができるとともに、装置自体を簡易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明に係る無線タグ装置の一実施形態の構成を示すブロック図である。
【図2】一般的なインバータ回路の構成を示すブロック図である。
【図3】一般的なインバータ回路について説明するための図であり、(a)は、一般的なインバータ回路の入力電圧VIN−ドレイン電流Iの特性を示すグラフ、および、(b)は、一般的なインバータ回路における電圧の出力特性を示すグラフである。
【図4】本発明の課題を説明するための図であり、(a)は、ゲート電圧のしきい値シフトした場合の一般的なインバータ回路の入力電圧VIN−ドレイン電流Iの特性を示すグラフ、および、(b)は、そのときの一般的なインバータ回路における電圧の出力特性を示すグラフである。
【図5】一実施形態における第1レギュレータ(第2レギュレータ)の構成を示すブロック図である。
【図6】一実施形態におけるオペアンプの構成を示すブロック図である。
【図7】一実施形態における制御回路(インバータ回路)の構成を示すブロック図である。
【図8】一実施形態における制御回路(NAND回路)の構成を示すブロック図である。
【図9】一実施形態における制御回路(NOR回路)の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本願の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0037】
なお、以下に説明する実施形態は、無線通信を利用してリーダ・ライタと通信をし、当該リーダ・ライタによって所定の情報の読み書きが行われる無線タグ装置に本発明の非接触式情報端末装置を適用した場合の実施形態である。
【0038】
まず、図1〜図4の各図を用いて本実施形態の無線タグ装置の概略構成とその原理について説明する。
【0039】
なお、図1は、本実施形態における無線タグ装置の構成を示すブロック図であり、一般的なインバータ回路の構成を示すブロック図である。
【0040】
また、図3は、一般的なインバータ回路について説明するための図であり、(a)は、一般的なインバータ回路の入力電圧VIN−ドレイン電流Iの特性を示すグラフ、および、(b)は、一般的なインバータ回路における電圧の出力特性を示すグラフである。
【0041】
またさらに、図4は、本発明の課題を説明するための図であり、(a)は、ゲート電圧のしきい値シフトした場合の一般的なインバータ回路の入力電圧VIN−ドレイン電流Iの特性を示すグラフ、および、(b)は、そのときの一般的なインバータ回路における電圧の出力特性を示すグラフである。
【0042】
図1に示す本実施形態の無線タグ装置Tagは、近距離無線通信(Near Field Comunication)を行う端末装置であって、当該無線タグ装置Tagに記憶された識別情報その他の情報の読み書きを行うリーダ・ライタ(図示しない)と通信を行うようになっている。
【0043】
また、この無線タグ装置Tagは、リーダ・ライタにて発生された磁界を介して信号(情報)の授受を行うとともに、装置自体に電源を有していないため、このリーダ・ライタにて発生された磁界のエネルギーを電力に変換して電源として用いるようになっている。
【0044】
特に、本実施形態の無線タグ装置Tagは、後述するように、内部回路をディプレッション型TFTによって構成しているため、リーダ・ライタにて発生された磁界のエネルギーから正電圧とともに負電圧も抽出するようになっており、抽出された正負の電圧に基づいて各ディプレッション型TFTを的確に駆動させている。
【0045】
具体的には、本実施形態の無線タグ装置Tagは、図1に示すように、リーダ・ライタにて発生された磁界に基づいて誘起電圧を発生させるアンテナ回路(受信回路を含む)Antと、発生された誘起電圧を整流し、正電圧とともに負電圧を抽出する整流回路Recと、整流された正電圧を安定化する第1レギュレータReg1と、整流された負電圧を安定化する第2レギュレータReg2と、を有している。
【0046】
また、本実施形態の無線タグ装置Tagは、負荷変調によって所定のデータをリーダ・ライタに送信する送信回路SCと、所定のデータが記憶されるメモリ回路Memと、受信した磁界に基づいてリーダ・ライタが送信した信号を取り出す検波回路Dtcと、取り出された信号に基づいて各部を制御する制御回路Cntと、を有している。
【0047】
なお、例えば、本実施形態のアンテナ回路Antおよび送信回路SCは、本発明のアンテナ回路を構成し、整流回路Recは、本発明の整流回路を構成する。
【0048】
また、例えば、本実施形態のメモリ回路Memは、本発明の記憶手段を構成し、第1レギュレータReg1および第2レギュレータReg2は、本発明の第1定電圧出力回路および第2定電圧出力回路を構成する。
【0049】
本実施形態の無線タグ装置Tagは、上述したように、第1レギュレータReg1、第2レギュレータReg2、送信回路SCおよび制御回路Cntなどの各内部回路を構成するTFTに、エンハンス型より簡易に製造可能で、かつ、良好な駆動特性を有し、低温にて作製された場合であってもその特性が低下しないディプレション型のTFTを用いるようになっている。
【0050】
しかしながら、ディプレッション型FETは、ゲート電圧のしきい値がマイナスになるので、たとえ、ゲートに的確に入力電圧が印加されたとしても電圧のかけ方によっては、当該FETにおいて良好な出力特性を得ることができない。
【0051】
通常、図2に示すインバータ回路において、図3(a)に示すように、FETのゲートにプラスの入力電圧が印加され、当該FETのゲートのしきい値電圧がプラス側に存在する場合には(すなわち、エンハンス型FETの場合には)、このインバータ回路は、図3(b)に示すような出力特性を有することになる。
【0052】
しかしながら、このようなインバータ回路において、入力電圧が印加されるトランジスタのゲートのしきい値電圧がマイナス側にシフトされるディプレッション型トランジスタにて構成された場合には、図4(a)に示すように、プラスの入力電圧が入力されたとしても、FETのゲートにおけるスイッチング動作が適切に可動しなくなるので、このインバータ回路は、図4(b)に示すような出力特性を有することになり、的確に駆動しているとは言えない。
【0053】
そこで、本実施形態の無線タグ装置Tagは、各内部回路において、ディプレッション型FETを用いるために、当該ディプレッション型FETが配設される前段に、当該ディプレッション型FETのゲートのしきい値電圧に合わせてマイナス側にシフトさせるレベルシフト回路ユニットを備えるようになっている。
【0054】
そして、本実施形態の無線タグ装置Tagは、各レベルシフト回路ユニットを的確に駆動させるために、当該各レベルシフト回路ユニットの駆動に必要な正電圧および負電圧を第1レギュレータReg1および第2レギュレータReg2によって生成するようになっている。
【0055】
このような構成を有することによって、本実施形態の無線タグ装置Tagは、各FETが印刷などによって低温で生成された場合であっても高速駆動が可能でかつ良好な出力特性を得ることができるとともに、装置内のFETをディプレッション型FETによって構成し、装置自体を簡易に製造することができるようになっている。
【0056】
次に、上述した図1を用いて本実施形態の無線タグ装置Tagの具体的な構成とその動作について説明する。
【0057】
アンテナ回路(本実施形態においては受信回路を含む)Antは、リーダ・ライタから発生された磁界、すなわち、リーダ・ライタから送信された搬送波を受信するようになっており、電磁誘導により交流の誘起電圧を発生させ、当該発生された誘起電圧を整流回路Recおよび検波回路Dtcにそれぞれ出力するようになっている。
【0058】
特に、このアンテナ回路Antは、アンテナコイルA10と、当該アンテナコイルA10と並列に接続された共振用コンデンサC10と、を有し、予め設定された特定の周波数(例えば、13.56MHz)に発生される誘起電圧の出力が最大となる、すなわち、共振するようになっている。
【0059】
整流回路Recは、アンテナ回路Antの後段に接続されており、アンテナ回路Antにて発生された誘起電圧に基づいてプラスおよびマイナスの半波整流を行うことによって直流正電圧および直流負電圧を抽出し、当該抽出した直流正電圧および直流負電圧をメモリ回路Memおよび制御回路Cntに出力するようになっている。
【0060】
具体的には、本実施形態の整流回路Recは、同一プロセスにて作製可能な2つのディプレッションタイプのn型TFTと、2つの平滑コンデンサによって構成されている。
【0061】
例えば、本実施形態の整流回路Recは、直流正電圧を抽出するための整流回路用第1n型FET51と、直流正電圧を抽出する際に用いられる平滑化用の整流回路用第1平滑コンデンサC20と、直流負電圧を抽出するための整流回路用第2n型FET52と、直流正電圧を抽出する際に用いられる平滑化用の整流回路用第2平滑コンデンサC30と、有している。
【0062】
整流回路用第1n型FET51は、ディプレッションタイプのn型FETであって、例えば、ポリシリコンTFT、酸化物TFTまたは有機トランジスタによって構成される。
【0063】
また、この整流回路用第1n型FET51は、アンテナ回路Antの一端に接続され、電圧が印加されるゲートと、当該ゲートと短絡接続されてこのゲートとともにアンテナ回路Antの一端に接続されるドレインと、整流回路用第1平滑コンデンサC20の一端に接続されるとともに正電圧を第1レギュレータReg1に出力する端子に接続されるソースと、とから構成される。
【0064】
整流回路用第1平滑コンデンサC20は、整流回路用第1n型FET51のソースとグランドの間に接続され、第1レギュレータReg1に出力される整流された正電圧を平滑化するようになっている。
【0065】
整流回路用第2n型FET52は、整流回路用第1n型FET51と同様に、ディプレッションタイプのn型FETであって、例えば、ポリシリコンTFT、酸化物TFTまたは有機トランジスタによって構成される。
【0066】
また、この整流回路用第2n型FET52は、整流回路用第2平滑コンデンサC30の一端に接続されるとともに負電圧を整流回路用第2レギュレータReg2に出力する端子に接続されるゲートと、整流回路用第1n型FET51のドレインとともにアンテナ回路Antの一端に接続されるドレインと、当該ゲートと短絡接続されてこのゲートとともに整流回路用第2平滑コンデンサC30の一端と第2レギュレータReg2に出力する端子に接続されるソースと、とから構成される。
【0067】
整流回路用第2平滑コンデンサC30は、整流回路用第2n型FET52のソースとグランドの間に接続され、第2レギュレータReg2に出力される整流された負電圧を平滑化するようになっている。
【0068】
第1レギュレータReg1は、整流回路Recにて整流された正電圧が入力される外部入力端子TIと、当該整流回路Recにて整流された負電圧が入力されるVSS端子と、を有している。
【0069】
また、この第1レギュレータReg1は、電源電圧VSSとしての負電圧を利用しつつ、入力された正電圧を安定化させてメモリ回路Memおよび制御回路Cntに出力するようになっている。
【0070】
なお、本実施形態における第1レギュレータReg1の詳細については、第2レギュレータReg2の詳細とともに後述する。
【0071】
第2レギュレータReg2は、整流回路Recにて整流された負電圧が入力される外部入力端子TIと、当該整流回路Recにて整流された正電圧が入力されるVSS端子と、を有している。
【0072】
また、この第2レギュレータReg2は、電源電圧VSSとしての正電圧を利用しつつ、入力された負電圧を安定化させてメモリ回路Memおよび制御回路Cntに出力するようになっている。
【0073】
なお、本実施形態における第2レギュレータReg2の詳細については、上述したように、第1レギュレータReg1の詳細とともに後述する。
【0074】
検波回路Dtcには、アンテナ回路Antから出力された誘起電圧が入力されるようになっており、この検波回路Dtcは、入力された誘起電圧からリーダ・ライタによって送信された送信データを抽出するようになっている。また、この検波回路Dtcは、抽出された送信データを制御回路Cntに出力するようになっている。
【0075】
送信回路SCは、制御回路Cntの制御に基づいて、アンテナ回路Antのインピーダンスを変化させて当該アンテナ回路Antにおける反磁界を発生させることによってリーダ・ライタに情報を伝達する負荷変調を制御するようになっている。
【0076】
具体的には、本実施形態の送信回路SCは、インピーダンスを変化させるための負荷変調用コンデンサC40と、インピーダンスの変化を切り換えるスイッチングFETと、制御回路Cntからの制御の下、スイッチングFET53のゲートに印加される電圧のレベルシフトを行う送信回路用レベルシフト回路ユニット54から構成される。
【0077】
なお、本実施形態における送信回路SCの構成とその動作の詳細については、後述する。
【0078】
メモリ回路Memには、マスクROM(Read Only Memory)などの他の無線タグ装置Tagと識別される識別情報その他の読み取り専用の情報が予め記憶されているとともに、EEPEROM(Electrically Erasable Programmble Read Only Memory)やFeRAM(Ferroelectric Random Access Memory)などのリーダ・ライタとの通信に基づいて読み書きされる所定の情報が記憶されるようになっている。
【0079】
また、このメモリ回路Memは、記制御回路Cntの制御の下、所定の情報が読み出しまたは書き込みされるように構成される。
【0080】
なお、本実施形態のメモリ回路Memには、読み取り専用の情報と読み書きされる所定の情報とが記憶されるようになっているが、いずれかの情報のみ記憶されるようにしてもよい。
【0081】
制御回路Cntは、メモリ回路MemとバスBによって接続され、検波回路Dtcによって取得された情報に基づいてメモリ回路Memおよび送信回路SCを制御するようになっており、例えば、メモリ回路Memへの情報の書き込みまたはメモリ回路Memからの情報の読み出し、送信回路SCを介してメモリ回路Memから読み出した情報の送信、および、それらに伴う種々の制御を行うようになっている。
【0082】
また、この制御回路Cntは、例えば、インバータ回路、NAND回路またはNOR回路などの種々の論理回路によって構成されるとともに、無線タグ装置Tagの機能に沿った回路を構成するようになっている。
【0083】
そして、この制御回路Cntは、第1レギュレータReg1および第2レギュレータReg2から出力された正電圧および負電圧を用いてインバータ回路、NAND回路またはNOR回路などの種々の論理回路を駆動するようになっている。
【0084】
なお、本実施形態における制御回路Cntを構成する種々の論理回路の詳細について後述する。
【0085】
次に、図5を用いて本実施形態における第1レギュレータReg1と第2レギュレータReg2の詳細について説明する。
【0086】
なお、図5は、本実施形態における第1レギュレータReg1と第2レギュレータReg2の構成を示すブロック図である。
【0087】
本実施形態の第1レギュレータReg1は、図5に示すように、オペアンプOPと、定電圧出力を行うために入力された直流正電圧の出力を制御するための出力制御用n型FET310と、オペアンプOPへ入力するため電圧を調整するための入力電圧調整用n型FET320と、オペアンプOPへ入力するため電圧を調整するための入力電圧調整用抵抗器330と、出力する電圧の調整を行う出力調整用コンデンサ340と、から構成される。
【0088】
オペアンプOPは、第1の入力電圧(例えば、基準電圧)が入力される第1入力端子T10−1と、第2の入力電圧(例えば、出力変動のモニタリング電圧)が入力される第2入力端子T10−2と、プラスの電源電圧VDDが入力されるVDD端子と、マイナスの電源電圧VSSが入力されるVSS端子と、グランドに接地されるグランド端子と、増幅した電圧を出力する出力端子T20と、の5端子を有している。
【0089】
第1入力端子T10−1には、入力電圧調整用第1抵抗器を介して外部入力端子TIに接続されるようになっており、第1入力端子T10−1は、入力電圧調整用第2抵抗器を介して外部出力端子TOに接続されるようになっている。
【0090】
また、VDD端子には、外部入力端子TIが接続されるとともに、このVSS端子には、外部からの電源電圧VSSが印加されるようになっている。
【0091】
なお、本実施形態における第1レギュレータReg1に用いられるオペアンプの詳細については後述する。
【0092】
出力制御用n型FET310は、オペアンプOPを構成する各ディプレッション型FETと同一プロセスにて作製可能なディプレッションタイプのn型のFETであって、オペアンプOPの出力電圧が印加されるゲートと、外部入力端子TIに接続されるドレインと、外部出力端子TOに接続されるソースと、とから構成される。
【0093】
例えば、本実施形態の入力電圧調整用n型FET320は、オペアンプOPを構成する各ディプレッション型FETと同一プロセスにて作製可能なディプレッションタイプのn型のFETであって、30mmの幅と、7.1μmの長さを有するチャンネルを備えている。
【0094】
入力電圧調整用n型FET320は、外部入力端子TIと接続されるゲートと、入力電圧調整用第1抵抗器を介して外部入力端子TIおよびゲートに接続されるドレインと、グランドに接地されるソースと、から構成される。
【0095】
例えば、本実施形態の入力電圧調整用n型FET320は、ディプレッションタイプのn型のFETであって、50μmの幅と、20μmの長さを有するチャンネルを備えている。
【0096】
入力電圧調整用第1抵抗器330−1は、オペアンプOPを構成する各拡散抵抗器と同一プロセスにて作製可能なn型拡散抵抗器であって、外部入力端子TIと入力電圧調整用n型FET320の間に直列に接続されており、例えば、200kΩの抵抗値を有している。
【0097】
入力電圧調整用第2抵抗器330−2および入力電圧調整用第3抵抗器330−3は、オペアンプOPを構成する各拡散抵抗器と同一プロセスにて作製可能なn型拡散抵抗器であって、出力制御用n型FET310のドレインとグランド端子との間に直列に接続され、入力電圧調整用第2抵抗器330−2と入力電圧調整用第3抵抗器330−3とが接続された接続点がオペアンプOPの第2入力端子T10−2に接続されるようになっている。
【0098】
例えば、本実施形態の入力電圧調整用第2抵抗器330−2は、300kΩの抵抗値を有するとともに、入力電圧調整用第3抵抗器330−3は、500kΩの抵抗値を有している。
【0099】
出力調整用コンデンサ340は、例えば、100pFの容量を有し、外部出力端子TOとグランドとの間に直列に接続されており、外部出力端子TOから出力される電圧を調整するための平滑コンデンサとして用いられるようになっている。
【0100】
本実施形態の第2レギュレータReg2は、入力電圧として負電圧を用いるとともに、電源電圧VSSに正電圧を用いる点を除きその他の構成は、第1レギュレータReg1と同様の構成を有している。
【0101】
すなわち、第2レギュレータReg2のオペアンプOPは、第1の電圧が入力される第1入力端子T10−1と、第2の電圧が入力される第2入力端子T10−2と、マイナスの電源電圧VDDが入力されるVDD端子と、プラスの電源電圧VSSが入力されるVSS端子と、グランドに接地されるグランド端子と、増幅した電圧を出力する出力端子T20と、の5端子を有している。
【0102】
なお、本実施形態における第2レギュレータReg2の他の構成は、第1レギュレータReg1と同一なので、その説明を省略する。
【0103】
次に、図6を用いて本実施形態の第1レギュレータReg1および第2レギュレータReg2に用いられるオペアンプの詳細について説明する。
【0104】
なお、図6は、本実施形態におけるオペアンプOPの構成を示すブロック図である。
【0105】
本実施形態のオペアンプOPは、図6に示すように、複数のディプレッション型FETおよび拡散抵抗器から構成され、入力された2つの入力電圧の差を増幅する差動増幅回路210と、当該オペアンプOPにバイアス電源供給を行うバイアス回路220と、位相補償用コンデンサ230と、差動増幅回路210によって差動増幅された入力電圧の電圧レベルをさらに増幅して外部に出力するソース接地増幅回路240と、から構成される。
【0106】
特に、本実施形態のオペアンプOPは、差動増幅回路210とともにソース接地増幅回路240も複数のディプレッション型FETによって構成するようになっている。
【0107】
そして、本実施形態のソース接地増幅回路240は、差動増幅回路210から出力された電圧の電圧レベルをシフトするオペアンプ用レベルシフト回路ユニット250と、レベルシフトされた電圧の電圧レベルを反転増幅する増幅回路ユニット260とを有している。
【0108】
すなわち、本実施形態のオペアンプOPは、上述したように、ディプレッション型FETを用いるために、当該増幅回路ユニット260への入力電圧をゲートのしきい値電圧に合わせてマイナス側にシフトさせるオペアンプ用レベルシフト回路ユニット250を備え、当該増幅回路ユニット260をディプレッション型FETにて構成して高速に駆動可能で、かつ、良好な出力特性を有するオペアンプOPを提供するようになっている。
【0109】
具体的には、差動増幅回路210は、2つのディプレッション型の入力用n型FET、212と、出力調整用の第1拡散抵抗器213と、電流源として機能する電流源用n型FETと、から構成される。
【0110】
第1n型FET211は、ディプレッションタイプのFETであって、ポリシリコンTFT、酸化物TFTまたは有機トランジスタによって構成される。
【0111】
また、この第1n型FET211は、第1の入力電圧が印加される第1入力端子T10−1に接続されるゲートと、電源電圧VDDに接続されるドレインと、第2n型FET212のソースとともに電流源用n型FET214にされるソースと、とから構成される。
【0112】
第2n型FET212は、第1n型FET211と同様に、ディプレッションタイプのFETであって、ポリシリコンTFT、酸化物TFTまたは有機トランジスタによって構成され、第1n型FET211とカレントミラーを構成するようになっている。
【0113】
また、この第2n型FET212は、第2の入力電圧が印加される第2入力端子T10−2に接続されるゲートと、電源電圧VDDに接続されるドレインと、第1n型FET211のソースとともに電流源用n型FET214にされるソースと、とから構成される。
【0114】
第1拡散抵抗器213は、n型の拡散抵抗器であって、各n型FETと同一プロセスにて作製可能になっている。また、この第1拡散抵抗器213は、電源電圧VDDと第2n型FET212のドレインと接続されている。
【0115】
なお、差動増幅回路210の出力端は、第1拡散抵抗器213と第2n型FET212のドレインの間に構成されている。
【0116】
電流源用n型FET214は、第1n型FET211および第2n型FET212と同様に、ディプレッションタイプのFETであって、ポリシリコンTFT、酸化物TFTまたは有機トランジスタによって構成され、バイアス用n型FET121とカレントミラーを構成するようになっている。
【0117】
また、この電流源用n型FET214は、電源電圧VDDに後述する第2拡散抵抗器222を介して接続されるゲートと、第1n型FET211および第2n型FET212のソースに接続されるドレインと、グラウンドに接地されるソースと、とから構成される。
【0118】
本実施形態のバイアス回路220は、差動増幅回路210とカレントミラーに構成されており、第2拡散抵抗器222と、バイアス用n型FET121と、から構成される。
【0119】
なお、本実施形態のバイアス回路220は、電流源用n型FET214と連動してリファレンス電圧を(電源電圧VDD/2)の中間電位より差動増幅回路210における第1n型FET211および第2n型FET212のしきい値電圧値分だけ差し引いた値を用いるようになっている。
【0120】
これにより、ディプレッション型の第1n型FET211および第2n型FET212を飽和領域にて動作させることができるので、各FETの能力を最大限に生かすことができるようになっている。
【0121】
第2拡散抵抗器222は、第1拡散抵抗器213と同様に、n型の拡散抵抗器であって、各n型FETと同一プロセスにて作製可能になっている。また、この第1拡散抵抗器213は、電源電圧VDDとバイアス用n型FET121のドレインと接続されている。
【0122】
バイアス用n型FET121は、第1n型FET211および第2n型FET212と同様に、ディプレッションタイプのFETであって、ポリシリコンTFT、酸化物TFTまたは有機トランジスタによって構成される。
【0123】
このバイアス用n型FET221は、第2拡散抵抗器222および電流源用n型FET214接続されるゲートと、ゲート短絡接続するとともに第2拡散抵抗器222とに接続されるドレインと、グラウンドに接地されるソースと、とから構成される。
【0124】
本実施形態の位相補償用コンデンサ230は、差動増幅回路210ユニットの出力端とグランド間に接続され、当該オペアンプOPの発振を抑制するために用いられている。
【0125】
本実施形態のソース接地増幅回路240は、2つのディプレッション型FETから構成され、入力電圧の電圧レベルをマイナス方向にシフトするオペアンプ用レベルシフト回路ユニット250と、2つのディプレッション型FETから構成され、レベルシフトされた電圧の電圧レベルを反転増幅させる増幅回路ユニット260と、から構成される。
【0126】
オペアンプ用レベルシフト回路ユニット250は、図1に示すように、差動増幅回路210から出力された電圧のレベルをマイナス方向にシフトさせて、増幅回路ユニット260に出力するようになっている。
【0127】
また、このオペアンプ用レベルシフト回路ユニット250は、差動増幅回路210およびバイアス回路220を構成する各ディプレッション型FETと同一プロセスにて作製可能な第3n型FET251および第4n型FET252の2つのn型FETと、電源電圧VDDを調整するための複数の印加電圧調整用拡散抵抗器R1、R2と、から構成される。
【0128】
第3n型FET251は、差動増幅回路210およびバイアス回路220を構成する各ディプレッション型FETと同様に、ディプレッションタイプのFETであって、ポリシリコンTFT、酸化物TFTまたは有機トランジスタによって構成される。
【0129】
また、この第3n型FET251は、差動増幅回路210の出力端に接続され、当該差同族回路から出力された電圧が印加されるゲートと、電源電圧VDDに接続されるドレインと、第2n型FET212のゲートおよびドレインに接続されるとともに、オペアンプ用レベルシフト回路ユニット250の出力端に接続されるソースと、とから構成される。
【0130】
第4n型FET252は、差動増幅回路210およびバイアス回路220を構成する各ディプレッション型FETと同様に、ディプレッションタイプのFETであって、ポリシリコンTFT、酸化物TFTまたは有機トランジスタによって構成される。
【0131】
また、この第4n型FET252は、電源電圧VDDに第2拡散抵抗器222を介して接続されるゲートと、第3n型FET251のソースおよびオペアンプ用レベルシフト回路ユニット250における出力端に接続されるドレインと、電源電圧VSSに接続されるソースと、から構成される。
【0132】
複数の印加電圧調整用拡散抵抗器Rは、第1拡散抵抗器213および第2拡散抵抗器222と同様に、n型の拡散抵抗器であって、各n型FETと同一プロセスにて作製可能になっている。
【0133】
例えば、本実施形態の印加電圧調整用拡散抵抗器Rは、2つの拡散抵抗器R1、R2であって、これらの拡散抵抗器R1、R2は、直列に電源電圧VSSと第4n型FET252のソースと接続されている。また、一の拡散抵抗器R1の第1端点と他の拡散抵抗器R2の第2端点が接続されるとともに、一の拡散抵抗器R1の第2端点と他の拡散抵抗器R2の第1端点が接続されており、一の拡散抵抗器R1の第2端点と他の拡散抵抗器R2の第1端点には電源電圧VSSが接続されている。
【0134】
そして、オペアンプOPの生成後に、オペアンプ用レベルシフト回路ユニット250の特性に基づいて、拡散抵抗器R1、R2の接続を変更して電源電圧VSSを調整、すなわち、抵抗器を間引くことによって電源電圧VSSを調整するようになっている。
【0135】
本実施形態の増幅回路ユニット260は、オペアンプ用レベルシフト回路ユニット250から出力された電圧の電圧レベルを反転増幅させて出力端子T20に出力するようになっている。
【0136】
そして、この増幅回路ユニット260は、差動増幅回路210およびバイアス回路220を構成する各ディプレッション型FETと同一プロセスにて作製可能な第5n型FET261および第3拡散抵抗器262から構成される。
【0137】
第5n型FET261は、差動増幅回路210およびバイアス回路220を構成する各ディプレッション型FETと同様に、ディプレッションタイプのFETであって、ポリシリコンTFT、酸化物TFTまたは有機トランジスタによって構成される。
【0138】
また、この第5n型FET261は、オペアンプ用レベルシフト回路ユニット250から出力された電圧が印加されるゲートと、増幅回路ユニット260における出力端子T20に接続されるドレインと、グランドに接地されるソースから構成される。
【0139】
第3拡散抵抗器262は、第1拡散抵抗器213および第2拡散抵抗器222と同様に、n型の拡散抵抗器であって、各n型FETと同一プロセスにて作製可能になっている。
【0140】
また、この第3拡散抵抗器262は、電源電圧VDDと第5n型FET261のドレインと接続され、増幅回路ユニット260の出力を調整するようになっている。
【0141】
次に、上述の図1を用いて本実施形態における送信回路SCの構成とその動作の詳細について説明する。
【0142】
本実施形態の送信回路SCは、上述したように、インピーダンスを変化させるための負荷変調用コンデンサC40と、インピーダンスの変化を切り換えるスイッチングFET53と、制御回路Cntからの制御の下、スイッチングFET53のゲートに印加される電圧のレベルシフトを行う送信回路用レベルシフト回路ユニット54から構成される。
【0143】
この送信回路SCは、スイッチングFET53にディプレッション型のFETを用いている。したがって、上述したように、このスイッチングFET53を的確に駆動させるために、送信回路用レベルシフト回路ユニット54をその前段に設けている。
【0144】
負荷変調用コンデンサC40は、スイッチングFET53とともにアンテナ回路AntのアンテナコイルA10および共振用コンデンサC10と並列に接続されており、アンテナ回路Antの一端に接続された第1端子と、スイッチングFET53のドレインに接続される第2端子とを有している。
【0145】
そして、この負荷変調用コンデンサC40は、スイッチングFET53の駆動に伴ってアンテナ回路Antのインピーダンスを変化させるために用いられている。
【0146】
スイッチングFET53は、他の内部回路におけるディプレッション型FETと同一プロセスにて作製可能に、ディプレッションタイプのn型のFETによって構成されており、各ディプレッション型FETと同様に、ポリシリコンTFT、酸化物TFTまたは有機トランジスタによって構成される。
【0147】
また、このスイッチングFET53は、送信回路用レベルシフト回路ユニット54から出力された電圧が印加されるゲートと、負荷変調用コンデンサC40の第1端子に接続されるドレインと、アンテナ回路Antの他端とともにグランドに接地されるソースから構成される。
【0148】
送信回路用レベルシフト回路ユニット54は、制御回路Cntから出力された電圧の電圧レベルをマイナス側にレベルシフトするようになっており、上述のオペアンプ用レベルシフト回路ユニット250と同様に、他のディプレッション型FETと同一プロセスにて作製可能な2つのn型FETと、電源電圧VSSを調整するための複数の印加電圧調整用拡散抵抗器R1、R2と、から構成される。
【0149】
なお、本実施形態の送信回路用レベルシフト回路ユニット54は、オペアンプ用レベルシフト回路ユニット250と同一であるため、その詳細の説明は省略する。
【0150】
次に、図7〜図9の各図を用いて本実施形態における制御回路Cntを構成する種々の論理回路の詳細について説明する。
【0151】
なお、図7は、本実施形態におけるインバータ回路の構成を示すブロック図であり、図8は、本実施形態におけるNAND回路の構成を示すブロック図である。また、図9は、本実施形態におけるNORの構成を示すブロック図である。
【0152】
本実施形態の制御回路Cntは、上述のように、インバータ回路、NAND回路またはNOR回路などの種々の論理回路によって構成するとともに、無線タグ装置Tagの機能に沿った回路を構成するようになっている。
【0153】
ここでは、例示としてインバータ回路、NAND回路またはNOR回路について説明するが、制御回路Cntの構成する回路はこれらに限らない。
【0154】
(インバータ回路)
まず、図7を用いて本実施形態のレベルシフト回路ユニット110とインバータ回路ユニット120からなるインバータ回路100−1について説明する。
【0155】
本実施形態のインバータ回路100−1は、図7に示すように、2つのディプレッション型FETから構成され、入力電圧の電圧レベルをマイナス方向にシフトするレベルシフト回路ユニット110と、2つのディプレッション型FETから構成され、レベルシフトされた入力電圧を用いて論理出力を反転させるインバータ回路ユニット120と、を備えている。
【0156】
レベルシフト回路ユニット110は、図7に示すように、入力端子10を介して入力された入力電圧の電圧レベルをマイナス方向にシフトさせて、インバータ回路ユニット120に出力するようになっている。
【0157】
また、このレベルシフト回路ユニット110は、同一プロセスにて作製可能な第1n型FET111および第2n型FET112の2つのn型FETから構成される。
【0158】
第1n型FET111は、ディプレッションタイプのFETであって、ポリシリコンTFT、酸化物TFTまたは有機トランジスタによって構成され、例えば、100μmの幅と、10μmの長さを有するチャンネルを備えている。
【0159】
また、この第1n型FET111は、入力端子10に接続され、入力電圧が印加されるゲートと、電源電圧VDDに接続されるドレインと、第2n型FET112のゲートおよびドレインに接続されるとともに、レベルシフト回路ユニット110における出力端(すなわち、インバータ回路ユニット120の入力端)に接続されるソースと、とから構成される。
【0160】
なお、本実施形態においては、この電源電圧VDDは、予め定められた所定の電圧値を有し、例えば、第1n型FET111のドレインには+10Vの電圧が印加されるようになっている。
【0161】
また、第2n型FET112は、第1n型FET111と同様に、ディプレッションタイプのFETであって、ポリシリコンTFT、酸化物TFTまたは有機トランジスタによって構成され、例えば、100μmの幅と、10μmの長さを有するチャンネルを備えている。
【0162】
そして、この第2n型FET112は、第1n型FETのソースに接続され、レベルシフト回路ユニット110における出力端に接続されるゲートと、当該ゲートおよび第1n型FET111のソースと短絡接続されるドレインと、マイナスの電源電圧VSSに接続されるソースと、から構成される。
【0163】
本実施形態のインバータ回路ユニット120は、レベルシフト回路ユニット110から出力された電圧に基づいて入力端子10から入力された入力電圧に基づく論理出力を反転させて出力端子20に出力するようになっている。
【0164】
また、このインバータ回路ユニット120は、レベル回路ユニットにおける第1n型FET111および第2n型FET112と同一プロセスにて作製可能な第3n型FET121および第4n型FET122の2つのn型FETから構成される。
【0165】
第3n型FET121は、第1n型FET111および第2n型FET112と同様に、ディプレッションタイプのFETであって、ポリシリコンTFT、酸化物TFTまたは有機トランジスタによって構成され、例えば、100μmの幅と、10μmの長さを有するチャンネルを備えている。
【0166】
また、この第3n型FET121は、レベルシフト回路ユニット110から出力された電圧が印加されるゲートと、出力端子20に接続されるドレインと、グランドに接地されるソースと、から構成される。
【0167】
第4n型FET122は、第1n型FET111、第2n型FET112および第3n型FET121と同様に、ディプレッションタイプのFETであって、ポリシリコンTFT、酸化物TFTまたは有機トランジスタによって構成され、例えば、100μmの幅と、10μmの長さを有するチャンネルを備えている。
【0168】
また、この第4n型FET122は、出力端子20に接続されるゲートと、電源電圧VDDに接続されるドレインと、ゲートに短絡接続され、当該ゲートとともに出力端子20に接続されるソースと、から構成される。
【0169】
(NAND回路)
次に、図8を用いて本実施形態のNAND回路100−2について説明する。
【0170】
本実施形態のNAND回路100−2は、図8に示すように、例えば3入力1出力の否定論理積出力を行うデジタル回路であって、各入力に設けられた第1レベルシフト回路ユニット110−1、第2レベルシフト回路ユニット110−2および第3レベルシフト回路ユニット110−3と、レベルがシフトされた各入力電圧に基づいて否定論理積出力の演算を行うNAND回路ユニット130と、から構成される。
【0171】
各第1、第2および第3レベルシフト回路ユニット110は、上記インバータ回路100−1と同様に、第1入力端子10−1、第2入力端子10−2および第3入力端子10−3のそれぞれを介して入力された各入力電圧の入力レベルをマイナス側にシフトさせてNAND回路ユニット130に出力するようになっている。
【0172】
また、各第1、第2および第3レベルシフト回路ユニット110は、上記インバータ回路100−1と同様に、それぞれ、同一プロセスにて作製可能な第1n型FET111および第2n型FET112の2つのn型FETから構成される。
【0173】
NAND回路ユニット130は、第1、第2および第3レベルシフト回路ユニット110から出力された各電圧に基づいて3入力の入力電圧に基づく否定論理和の演算結果を出力端子20に出力するようになっている。
【0174】
また、NAND回路ユニット130は、各入力に対応した3個の第3n型FET121と、電源電圧VDDの負荷を調整するための単一の第4n型FET122と、を有している。
【0175】
各第3n型FET121は、第4n型FET122のソースとグラウンド基準電位との間に直列に配設されている。
【0176】
また、この各第3n型FET121は、各レベルシフト回路ユニット110の出力にそれぞれ接続されるゲートを有し、各レベルシフト回路ユニット110から出力された出力電圧に基づいて対応するドレイン−ソース間を通電するようになっている。
【0177】
第4n型FET122は、ゲートと、当該ゲートと短絡接続されるとともに出力端子20および一の第3n型FET121のドレインに接続されるソースと、電源電圧VDDが基準電圧として印加されるドレインと、を有し、この電源電圧VDDの電圧の負荷を調整するために用いられている。
【0178】
(NOR回路)
次に、図9を用いて本実施形態のNOR回路100−3について説明する。
【0179】
本実施形態のNOR回路100−3は、図9に示すように、例えば3入力1出力の否定論理和出力を行うデジタル回路であって、各入力に設けられた第1レベルシフト回路ユニット110−1、第2レベルシフト回路ユニット110−2および第3レベルシフト回路ユニット110−3と、レベルがシフトされた入力電圧に基づいて否定論理積出力の演算を行うNOR回路ユニット140と、から構成される。
【0180】
各第1、第2および第3レベルシフト回路ユニット110は、上記インバータ回路100−1と同様に、第1入力端子10−1、第2入力端子10−2および第3入力端子10−3のそれぞれを介して入力された各入力電圧の入力レベルをマイナス側にシフトさせてNOR回路ユニット140に出力するようになっている。
【0181】
また、各第1、第2および第3レベルシフト回路ユニット110は、上記インバータ回路100−1と同様に、それぞれ、同一プロセスにて作製可能な第1n型FET111および第2n型FET112の2つのn型FETから構成される。
【0182】
NOR回路ユニット140は、第1、第2および第3レベルシフト回路ユニット110から出力された各電圧に基づいて3入力の入力電圧に基づく否定論理積の演算結果を出力端子20に出力するようになっている。
【0183】
また、このNOR回路ユニット140は、各入力に対応した3個の第3n型FET121と、電源電圧VDDの負荷を調整するための単一の第4n型FET122と、を有している。
【0184】
各第3n型FET121は、第4n型FET122のソースとグラウンド基準電位との間に並列に配設されている。
【0185】
また、この各第3n型FET121は、各レベルシフト回路ユニット110の出力にそれぞれ接続されるゲートを有し、各レベルシフト回路ユニット110から出力された出力電圧に基づいて出力端子20とグラインド接地間を短絡するようになっている。
【0186】
また、第4n型FET122は、ゲートと、当該ゲートと短絡接続されるとともに出力端子20および各第3n型FET121のドレインに接続されるソースと、電源電圧VDDが基準電圧として印加されるドレインと、を有し、この電源電圧VDDの電圧の負荷を調整するために用いられている。
【0187】
以上のように、本実施形態の無線タグ装置Tagは、直流正電圧とともに直流負電圧をアンテナコイルA10に生じた誘起電圧から生成することができるので、当該直流負電圧によって装置全体を駆動することができる。
【0188】
したがって、本実施形態の無線タグ装置Tagは、各内部回路にディプレッション型FETを用いることにより、印刷などによって低温で生成された場合であっても高速駆動が可能でかつ良好な出力特性を得ることができるとともに、装置自体を簡易に製造することができる。
【0189】
特に、本実施形態の無線タグ装置Tagは、各内部回路におけるFETをディプレッションタイプのn型にて構成することができるので、製造時に単一のプロセスによってFETを生成することができる。
【0190】
また、本実施形態の無線タグ装置Tagは、直流正電圧とともに直流負電圧においても安定した電圧を各内部回路に提供することができるので、FETなどの内部回路の各素子における耐圧を超過させることをなくそれらの破損を防止することができるとともに、安定化される直流正電圧および直流負電圧に合わせて各回路を生成することができるので、装置の製造プロセスも簡単になる。
【0191】
さらに、本実施形態の無線タグ装置Tagは、送信回路SCにおけるディプレッション型のスイッチングFET53に、当該トランジスタが適切に駆動する範囲にある制御するための電圧を入力することができるので、当該ディプレッション型のスイッチングFET53を的確に駆動することができる。
【0192】
そして、本実施形態の当該スイッチングトランジスタにおける負荷変調用コンデンサC40の共振用コンデンサC10との並列接続の切り換えを行うことができるので、リーダ・ライタを基準としたデータ送受信回路の負荷(インピーダンス)を的確に変化させることができる。
【0193】
したがって、本実施形態の無線タグ装置Tagは、送信回路SCのインピーダンスの変化に伴って負荷変調における変調度を大きくすることができるので、的確に所定のデータをリーダ・ライタに送信することができるとともに、ディプレッション型のスイッチングFET53によってその駆動可能電圧が広くなるので、誘起電圧からリーダ・ライタリーダ・ライタから送信された信号を効率的に得ることができるとともに、直流正電圧および直流負電圧を効率的に生成することができる。
【符号の説明】
【0194】
Tag … 無線タグ装置
Ant … アンテナ回路
Rec … 整流回路
Reg1 … 第1レギュレータ
Reg2 … 第2レギュレータ
Mem … メモリ回路
Cnt … 制御回路
B … バス
A10 … アンテナコイル
C10 … 共振用コンデンサ
C20 … (整流回路用)第1平滑コンデンサ
C30 … (整流回路用)第2平滑コンデンサ
C40 … 負荷変調用コンデンサ
R1、R2 … 印加電圧調整用拡散抵抗器
TI … 外部入力端子
TO … 外部出力端子
T10 … 入力端子
T20 … 出力端子
OP … オペアンプ
10 … 入力端子
20 … 出力端子
51 … (整流回路用)第1n型FET
52 … (整流回路用)第2n型FET
53 … スイッチングFET
54 … (送信回路用)レベルシフト回路ユニット
100−1 … インバータ回路
100−2 … NAND回路
100−3 … NOR回路
110 … レベルシフト回路ユニット
111 … 第1n型FET
112 … 第2n型FET
120 … インバータ回路
121 … 第3n型FET
122 … 第4n型FET
130 … NAND回路ユニット
140 … NOR回路ユニット
210 … 差動増幅回路
211 … 第1n型FET
212 … 第2n型FET
213 … 第1拡散抵抗器
214 … 電流源用n型FET
220 … バイアス回路
221 … バイアス用n型FET
222 … 第2拡散抵抗器
230 … 位相補償用コンデンサ
240 … ソース接地増幅回路
250 … オペアンプ用レベルシフト回路ユニット
251 … 第3n型FET
252 … 第4n型FET
260 … 増幅回路ユニット
261 … 第5n型FET
262 … 第3拡散抵抗器
300 … レギュレータ
310 … 出力制御用n型FET
320 … 入力電圧調整用n型FET
330 … 入力電圧調整用抵抗器
340 … 出力調整用コンデン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁界を用いて読み書き装置とのデータの送受信を非接触にて行う非接触式情報端末装置であって、
前記読み書き装置によって発生された磁界に応じて誘起電圧を発生するアンテナ回路と、
前記発生された誘起電圧に基づいて直流電源電圧を抽出する整流回路と、
所定の情報が記憶される記憶手段であって、前記整流回路から出力された直流電源電圧に基づいて動作する記憶手段と、
を備え、
前記整流回路が、
前記発生された誘起電圧に基づいて正電源として直流正電圧を抽出するための半波整流を行うディプレッション型の第1トランジスタと、
前記発生された誘起電圧に基づいて負電源として直流負電圧を抽出するための半波整流を行うディプレッション型の第2トランジスタと、
第1トランジスタとグランドの間に接続され、平滑化用に用いられる第1平滑コンデンサと、
第2トランジスタとグランドの間に接続され、平滑化用に用いられる第2平滑コンデンサと、
を備えることを特徴とする非接触式情報端末装置。
【請求項2】
請求項1に記載の非接触式情報端末装置において、
前記第1トランジスタおよび前記第2トランジスタを含め当該非接触式情報端末装置に用いられる全てのトランジスタがn型のトランジスタにて構成されていることを特徴とする非接触式情報端末装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の非接触式情報端末装置において、
電圧増幅回路を有し、前記整流回路にて生成された直流正電圧を定電圧に変換する第1定電圧出力回路と、
電圧増幅回路を有し、前記整流回路にて生成された直流負電圧を定電圧に変換する第2定電圧出力回路と、
を備えることを特徴とする非接触式情報端末装置。
【請求項4】
請求項3に記載の非接触式情報端末装置において、
前記各電圧増幅回路が、
複数の第3トランジスタおよび拡散抵抗器から構成され、前記整流回路から出力された直流正電圧および直流負電圧の電圧レベルの差を増幅して出力する差動増幅回路と、
前記差動増幅回路から出力された電圧の電圧レベルを増幅して出力する出力増幅回路と、
を備え、
前記差動増幅回路および出力増幅回路に設けられた前記トランジスタのすべてがディプレッション型であるとともに、
前記出力増幅回路が、
一以上の第4トランジスタから構成され、前記差動増幅回路から出力された電圧の電圧レベルをシフトするレベルシフト回路ユニットと、
一以上の第5トランジスタから構成され、前記レベルシフトされた電圧の電圧レベルを反転増幅する増幅回路ユニットと、を有し、
前記差動増幅されて、かつ、レベルシフトされた電圧が前記増幅回路ユニットの少なくとも一の前記第5トランジスタのゲートに入力されることを特徴とする非接触式情報端末装置。
【請求項5】
請求項1乃至3の何れか一項に記載の非接触式情報端末装置において、
前記整流回路から出力された直流電源電圧に基づいて動作する記憶手段を制御する制御手段を更に備え、
前記制御手段が、
一以上の第6トランジスタから構成され、前記整流回路から出力された電圧レベルをシフトするレベルシフト回路ユニットと、
一以上の第7トランジスタから構成され、レベルシフトされた電圧を用いて所定の論理演算を実行する電子回路ユニットと、
を備え、
前記レベルシフト回路ユニットおよび前記電子回路ユニットに設けられた前記トランジスタのすべてがディプレッション型であるとともに、前記レベルシフトされた電圧が前記電子回路ユニットの少なくとも一の前記第7トランジスタのゲートに入力されることを特徴とする非接触式情報端末装置。
【請求項6】
請求項1乃至4の何れか一項に記載の非接触式情報端末装置において、
前記アンテナ回路が、
前記誘起電圧を発生させるアンテナコイルと、
前記アンテナコイルと共振回路を構成する共振用コンデンサと、
前記アンテナコイルおよび前記共振用コンデンサによって形成される共振回路に並列に接続され、前記読み書き装置を基準とした当該非接触式情報端末装置の負荷の値を変化させる負荷変調に用いられる負荷変調用コンデンサおよびスイッチングトランジスタと、
前記スイッチングトランジスタを制御するための電圧レベルをシフトさせるレベルシフト回路ユニットと、
を有し、
前記スイッチングトランジスタがディプレッション型であることを特徴とする非接触式情報端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−40890(P2011−40890A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−184787(P2009−184787)
【出願日】平成21年8月7日(2009.8.7)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】