非水電解液電池
【課題】開裂弁が正常に動作してガスの蓄積を防止する構造を有し、異常時のガス放出特性に優れた安全な非水電解液二次電池を提供する。
【解決手段】扁平形捲回式の捲回群102と、正極集電板104と、負極集電板105とを内蔵する電池缶101において、電池缶101の両端部に開裂弁を有し、捲回群102の一方の端部に配置した正極集電板104に正極タブ405を束ねて溶接し、もう一方の端部に配置した負極集電板105に負極タブ406を束ねて溶接し、かつ、電池缶101の扁平面に平行な面で電池缶101を二分割した一方の領域には、正極タブ405を溶接した正極側のタブ接合部601及び負極側の開口部602が設けてあり、電池缶101の扁平面に平行な面で電池缶101を二分割したもう一方の領域には、負極タブ406を溶接した負極側のタブ接合部601及び正極側の開口部602が設けてある。
【解決手段】扁平形捲回式の捲回群102と、正極集電板104と、負極集電板105とを内蔵する電池缶101において、電池缶101の両端部に開裂弁を有し、捲回群102の一方の端部に配置した正極集電板104に正極タブ405を束ねて溶接し、もう一方の端部に配置した負極集電板105に負極タブ406を束ねて溶接し、かつ、電池缶101の扁平面に平行な面で電池缶101を二分割した一方の領域には、正極タブ405を溶接した正極側のタブ接合部601及び負極側の開口部602が設けてあり、電池缶101の扁平面に平行な面で電池缶101を二分割したもう一方の領域には、負極タブ406を溶接した負極側のタブ接合部601及び正極側の開口部602が設けてある。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非水電解液電池に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン電池においては、過充電や短絡等による異常加熱状況下における単電池(セル)の発火・破裂することを防止するため、開裂弁を設けてある。ところが、異常加熱状況下においては、電池缶内における化学反応に伴って生じる内圧上昇によって捲回群や電池缶が変形し、ガス放出経路が塞がれるという問題が生じる場合がある。
【0003】
特許文献1には、ガスが安全弁を介して電池外に容易に散逸するようにして安全性を確保することを目的として、熱硬化性樹脂製よりなる電極押さえ板を配置した電池が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、ガス排出弁のガス排出機能に支障が生じないようにすることを目的として、金属板を塑性加工してなり集電板と電極端子機構とを連結するリード部材の表面と対向する位置にガス排出弁を取り付けた角形電池が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−163079号公報
【特許文献2】特開2005−267945号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
電気自動車などの電源として用いられる電池は出力と安全性との両立が不可欠となっている。捲回式リチウムイオン二次電池においては、電極箔端部を束ねて溶接する構造になっている。しかし、特に扁平捲回式のリチウムイオン二次電池においては、捲回電極群の内部の電極間で発生したガスが蓄積し、捲回電極群の扁平部が変形して破損することにより、ガスが一気に捲回電極群の外部に噴出するおそれがある。
【0007】
本発明の目的は、異常状況下で開裂弁が正常に動作してガスの蓄積を防止する構造を有し、異常時のガス放出特性に優れた安全な非水電解液二次電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の非水電解液電池は、正極リード及び負極リードを有する扁平形捲回式の電極捲回群と、この電極捲回群に電気的に接続された正極集電板及び負極集電板と、前記電極捲回群、前記正極集電板及び前記負極集電板を内蔵した電池缶とを含み、前記正極集電板は、前記正極リードを溶接した正極溶接部と正極開口部とを有し、前記負極集電板は、前記負極リードを溶接した負極溶接部と負極開口部とを有し、前記正極開口部は、前記負極溶接部によって前記負極集電板の側が閉塞している前記電極捲回群の領域に発生するガスを前記電池缶の外部に放出する正極側ガス排出経路であり、前記負極開口部は、前記正極溶接部によって前記正極集電板の側が閉塞している前記電極捲回群の領域に発生するガスを前記電池缶の外部に放出する負極側ガス排出経路であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、扁平型や角型の電池缶の変形に影響されることなく、ガス放出経路を確保することができ、異常発熱時における電池の安全性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施例1の捲回群の構成を示す部分展開図である。
【図2A】実施例1の捲回群を示す上面図である。
【図2B】実施例1の捲回群を示す側面図である。
【図3A】実施例1の捲回群及び正極集電板の接合工程を示す斜視図である。
【図3B】実施例1の捲回群及び正極集電板の接合工程を示す斜視図である。
【図4】電池の構成を示す分解斜視図である。
【図5A】電池の構成を示す断面図である。
【図5B】電池の構成を示す断面図である。
【図6】組立後の電池を示す斜視図である。
【図7A】実施例1の電池を示す断面図である。
【図7B】実施例1の電池の正極集電板を示す正面図である。
【図7C】実施例1の電池の負極集電板を示す正面図である。
【図8A】正常な状態の扁平型電池缶を示す断面図である。
【図8B】膨張した扁平型電池缶を示す断面図である。
【図9】膨張した扁平型電池缶からのガス排出経路を示す正面図である。
【図10】図9のガス排出経路の反対側のガス排出経路を示す正面図である。
【図11A】実施例2の捲回群を示す上面図である。
【図11B】実施例2の捲回群を示す側面図である。
【図12A】実施例2の捲回群及び正極集電板の接合工程を示す斜視図である。
【図12B】実施例2の捲回群及び正極集電板の接合工程を示す斜視図である。
【図12C】実施例2の捲回群及び正極集電板の接合工程を示す模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、車載用途等に使用される高出力、大容量の非水電解液電池に関し、特に扁平形や角形の扁平捲回式リチウムイオン電池に適用できる非水電解液電池に関するものである。
【0012】
本発明の非水電解液電池は、電池缶の両側端面に開裂弁を有し、内部に扁平形捲回式の電極捲回群を有する二次電池であって、電極捲回群の片側端面で正極電極箔を束ねて溶接するとともに、他方の片側端面で負極電極箔を束ねて溶接し、且つ、一方の溶接部は、電極捲回群の捲回中心となる平面に対して片側に設けられ、且つ、他方の集電板の溶接部は捲回中心平面に対して逆側に配置するものである。これにより、電極捲回群の内部で発生したガスの排出経路を確保する。
【0013】
本発明の非水電解液電池は、電池缶や捲回群の変形を抑制するような部品を電池缶内に配置する必要がない。また、本発明の非水電解液電池は、大電流充放電に適し、かつ、異常時のガス放出特性に優れ、安全である。
【0014】
以下、本発明の一実施形態に係る非水電解液電池について説明する。
【0015】
前記非水電解液電池は、正極リード及び負極リードを有する扁平形捲回式の電極捲回群と、この電極捲回群に電気的に接続された正極集電板及び負極集電板と、電極捲回群、正極集電板及び負極集電板を内蔵した電池缶とを含み、電極捲回群の捲回軸に交わる電池缶の両方の端面部に開裂弁を有する二次電池である。そして、正極集電板及び負極集電板は、捲回軸に交わる位置に配置され、正極集電板は、正極リードを溶接した正極溶接部と正極開口部とを有し、負極集電板は、負極リードを溶接した負極溶接部と負極開口部とを有する。正極開口部は、負極溶接部によって負極集電板の側が閉塞している電極捲回群の領域に発生するガスを正極集電板の側の開裂弁を介して電池缶の外部に放出する正極側ガス排出経路であり、負極開口部は、正極溶接部によって正極集電板の側が閉塞している電極捲回群の領域に発生するガスを負極集電板の側の開裂弁を介して電池缶の外部に放出する負極側ガス排出経路である。
【0016】
前記非水電解液電池は、電池缶の扁平面に平行な面で電池缶を二分割した一方の領域には、正極溶接部及び負極開口部が設けてあり、前記面で電池缶を二分割したもう一方の領域には、負極溶接部及び正極開口部が設けてある。
【0017】
前記非水電解液電池において、正極溶接部は、正極集電板の正極開口部を設けた平板部に設けてあり、負極溶接部は、負極集電板の負極開口部を設けた平板部に設けてある。
【0018】
前記非水電解液電池において、正極溶接部は、正極集電板の正極開口部を設けた平板部に接合された接合板に設けてあり、負極溶接部は、負極集電板の負極開口部を設けた平板部に接合された接合板に設けてある。
【0019】
前記非水電解液電池において、正極リード及び負極リードは、電極捲回群の捲回軸方向の両端部に設けられた複数のリード片である。
【0020】
前記非水電解液電池において、正極リードは、電極捲回群の捲回軸方向の一方の端部に設けられた正極未塗工部であり、負極リードは、電極捲回群の捲回軸方向のもう一方の端部に設けられた負極未塗工部である。
【0021】
以下、図面を用いて実施例について説明する。
【実施例1】
【0022】
図1は、非水電解液電池に適用される捲回群の構成例を示す部分展開図である。
【0023】
本図において、捲回群102(電極捲回群)は、アルミニウム箔基材の両面に正極合剤を塗布した帯状の正極401と、銅箔基材の両面に負極合剤を塗布した帯状の負極402とを2枚のセパレータ403を介して重ね合わせて、板状の巻芯404の周りに捲回して構成されている。
【0024】
正極401の幅方向の片側端部は、正極合剤が塗布されずにアルミニウム箔基材が露出しており、さらに、該片側端部には、短冊状の正極タブ405(正極リード片)が複数形成されている。一方、負極402の幅方向の片側端部も、負極合剤が塗布されずに銅箔基材が露出しており、該端部にも、短冊状の負極タブ406(負極リード片)が形成されている。正極タブ405と負極タブ406とは、互いに反対側に形成されている。正極タブ405及び負極タブ406はそれぞれ、幅2mm〜10mm、長さ15mm〜50mmが好適である。
【0025】
図2A及び2Bは、捲回群102の構成を示したものである。図2Aは、上面図であり、図2Bは、側面図である。
【0026】
これらの図において、捲回群102の一方の端部(図中の左側)からは、正極タブ405(正極リード片)が突出しており、捲回群102の他方の端部(図中の右側)からは、負極タブ406(負極リード片)が突出している。図2Aに示すように、捲回群102の両端部から突出した正極タブ405及び負極タブ406の幅Aは、巻芯404の幅Bよりも狭くすることが好ましい。一方、図2Bに示すように、正極タブ405と負極タブ406とは、捲回群102の捲回中心平面である巻芯404を挟んで互いに反対側に配置されている(すなわち、正極タブ405と負極タブ406とは、捲回群102の扁平面に平行で、かつ、捲回群102を二分割する面を挟んで互いに反対側に配置されている)。
【0027】
図3A及び3Bは、捲回群102と正極集電板104との接合方法を示したものである。なお、負極側においても同様のプロセスが用いられることから、ここでは説明を省略する。
【0028】
捲回群102の端部に対向する正極集電板104の平板部の外形は、捲回群102の長円形の端面部の外形より小さく、巻芯404の端面部の外形よりも大きく、厚さ0.5〜5mmの概略長円形の板である。正極集電板104の端部には、正極端子109が溶接等で固定されている。
【0029】
まず、図3Aに示すように、正極集電板104を捲回群102の扁平部と平行に配置し、正極タブ405(正極リード片)の束を正極集電板104の裏面に配置したタブ接合部601に押し付け、密着した状態で溶接する。ここで、溶接後の正極側のタブ接合部601を正極溶接部と呼ぶことにする。同様に、溶接後の負極側のタブ接合部は、負極溶接部と呼ぶ。
【0030】
次に、図3Bに示すように、正極集電板104を捲回群102の扁平部に対して垂直に配置し、正極集電板104の開口部602(正極開口部)の両端に配置された集電板凸部603を巻芯404の溝407に嵌合することにより、正極集電板104を巻芯404に固定する。
【0031】
以上のようにして、捲回群102の片側端面に正極タブ405が束ねて溶接される。負極側においても、正極側と同様に、負極タブ(負極リード)が負極集電板に束ねて溶接されている。一方の集電板の溶接部は、電極捲回群を巻芯404の表側と裏側とに二分割した場合の片側(表側)の電極捲回群の端部に設けられ、且つ、他方の集電板の溶接部は、逆側(裏側)の電極捲回群の端部に配置されている。
【0032】
尚、本図においては、説明のため、正極タブ405を必要以上に長く描いているが、集電板凸部603を溝407に嵌合する余裕があればよいので、図示よりも短くてよい。
【0033】
次に、非水電解液電池の組立工程の例を説明する。
【0034】
図4は、電池の構成を示す分解斜視図である。
【0035】
先ず、横断面形状が扁平な長方形、長円形もしくは角形の電池缶101を作製する。また、正極集電板104及び負極集電板105にそれぞれ、正極電極端子109及び負極端子110を溶接等で接続する。正極集電板104及び負極集電板105には、開口部602(正極開口部及び負極開口部)が配置してあり、セルの内圧上昇時の排気経路になっている。正極集電板104及び負極集電板105にそれぞれ、正極タブ405及び負極タブ406を溶接する。そして、捲回群102を捲回した巻芯404の溝407に集電板凸部603を嵌合する。
【0036】
次に、樹脂成型によって作製された絶縁カバー111を正極集電板104及び負極集電板105に被せ、捲回群102と正極集電板104と負極集電板105と絶縁カバー111とが一体となったものを電池缶101内に挿入する。絶縁カバー111は、電極用開口部303及びガス放出用開口部302を備えている。
【0037】
正極側封口板116の内側には、正極端子109のガスケット112(樹脂製)を取り付け、電池缶101の端部に正極側封口板116を溶接する。負極側封口板103の内側にも同様にして、負極端子110のガスケット112(樹脂製)を取り付け、電池缶101の端部に負極側封口板103を溶接する。溶接は、電子ビーム又はレーザーによって行う。正極側封口板116及び負極側封口板103はそれぞれ、電極端子用開口部304を備え、その中央部には、開裂弁108を備えている。正極側封口板116は、電解液注入用の注液孔301も備えている。
【0038】
次に、ガスケット115を正極側封口板116及び負極側封口板103の外側に取り付け、ナット113によって固定する。
【0039】
最後に、低湿度環境下で正極側封口板116の注液孔301から電解液を注入し、注液栓107で封止して電池の組立を終了する。
【0040】
図5A及び5Bは、本実施例の非水電解液電池の例を示す構成断面図である。図5Aは、電池の扁平面に平行な断面を示したものであり、図5Bは、電池の扁平面に垂直な断面を示したものである。
【0041】
これらの図において、非水電解液電池100は、横断面の形状が扁平な長方形、長円形もしくは角形の電池缶101内に捲回群102を電解液とともに収容し、正極側封口板116及び負極側封口板103で両端部を封口して構成されている。電池缶101、正極側封口板116及び負極側封口板103は、アルミニウムもしくはステンレス製のものが用いられる。正極側封口板116には、アルミニウム製の正極端子109が設けられ、負極側封口板103には、銅製の負極端子110が設けられている。正極端子109及び負極端子110はそれぞれ、アルミニウム製の正極集電板104及び銅製の負極集電板105に溶接等で接続されている。
【0042】
正極集電板104及び負極集電板105は、捲回群102が捲き付けられた筒状又は板状の巻芯404に嵌合されている。巻芯404は、樹脂整形によって作製され、熱可塑性樹脂であれば、ポリプロピレンやポリフェニレンスルフィド等が用いられ、熱硬化性樹脂であれば、フェノール樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル等が用いられるが、電気絶縁性と耐熱性とを有していれば特に限定されるものではない。
【0043】
負極側封口板103の中央部には、開裂弁108が設けてある。正極側封口板116には、開裂弁108に加えて注液栓107が設けてある。
【0044】
正極側封口板116と正極集電板104との間、及び負極側封口板103と負極集電板105との間にはそれぞれ、絶縁カバー111が、集電板を覆うようにして配置されている。絶縁カバー111は、正極端子109及び負極端子110及び開裂弁108に対応する位置に開口部を有している。
【0045】
正極端子109及び負極端子110の内側(電池缶101の内側)には、樹脂製のガスケット112が設けてあり、正極端子109及び負極端子110の外側(電池缶101の外側)には、ガスケット115が設けてある。これらのガスケット112、115は、ナット113によって正極側封口板116及び負極側封口板103の外側から固定されている。絶縁カバー111及び2種類のガスケット112、115は、樹脂成型によって作製されることが好ましく、熱可塑性樹脂であれば、ポリプロピレンやポリフェニレンスルフィド等が用いられ、熱硬化性樹脂であれば、フェノール樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル等が用いられるが、これも電気絶縁性と耐熱性とを有していれば特に限定されるものではない。
【0046】
正極タブ405及び負極タブ406は、群をなして形成されており、それぞれ、扁平型の捲回群102の両端部から突出している。正極タブ405及び負極タブ406は、正極集電板104及び負極集電板105にそれぞれ束ねて溶接されている。
【0047】
図5Bに示すように、正極タブ405及び負極タブ406は、捲回群102の巻芯(図4における巻芯404)に対して互いに反対側となる捲回群102の扁平部に設けてあり、且つ、巻芯に対して逆側(反対側)に配置されるように溶接されている。これにより、正極タブ405及び負極タブ406はそれぞれ、捲回群102の正極集電板104の側及び負極集電板105の側について半分の領域を閉塞させている。また、ガス排出経路114(正極側ガス排出経路及び負極側ガス排出経路)が巻芯の両側に設けられることとなり、電池の異常により電池内でガスが発生した際に、電池缶101が変形した場合でもガス放出経路114を確保することができる。
【0048】
図6は、組立後の電池の外観形状を示す斜視図である。
【0049】
電池缶101に溶接された正極側封口板116は、注液栓107及び開裂弁108を有するとともに、正極側封口板116から突出した正極端子109をナット113で固定した構成を有している。
【0050】
以下、正極集電板及び負極集電板の構造について図7A〜7Cを用いて説明する。
【0051】
図7Aは、巻芯の平面部に対して直交する断面を示したものであり、図7B及び図7Cはそれぞれ、正極集電板及び負極集電板の正面を示したものである。
【0052】
正極集電板104は、概略長円形であり、平板部の外形が捲回群102の長円形の端面部の外形より小さく、巻芯404の端面部の外形よりも大きく、厚さが0.5〜5mmの板であり、捲回群102の捲回軸に対して垂直に配置されている。
【0053】
正極集電板104の端部には、正極端子109が溶接してある。また、正極集電板104は、捲回群102(電池缶101の内側)に対向する面に二つの集電板凸部603を有し、巻芯404と嵌合してある。正極タブ405は、正極集電板104の捲回群102に対向する面のうち、正極集電板104の長軸で二分割した一方の領域に設けたタブ接合部601に溶接されている。正極集電板104の長軸で二分割したもう一方の領域には、開口部602が設けてある。この開口部602は、電池の開裂弁(図4の開裂弁108)に対して、30%〜200%の開口面積を有している。
【0054】
一方、負極集電板105も、概略長円形であり、平板部の外形が捲回群102の長円形の端面部の外形より小さく、巻芯404の端面部の外形よりも大きく、厚さが0.5〜5mmの板であり、捲回群102の捲回軸に対して垂直に配置されている。
【0055】
負極集電板105の端部には、負極端子110が溶接してある。また、負極集電板105は、捲回群102に対向する面に二つの集電板凸部603を有し、巻芯404と嵌合してある。負極タブ406は、負極集電板105の捲回群102に対向する面のうち、負極集電板105の長軸で二分割した一方の領域に設けたタブ接合部601に溶接されている。負極集電板104の長軸で二分割したもう一方の領域には、開口部602が設けてある。この開口部602は、電池の開裂弁108(図4の開裂弁108)に対して、30%〜200%の開口面積を有している。
【0056】
図7B及び図7Cに示すように、正極集電板104及び負極集電板105におけるそれぞれの開口部602は、捲回群102(又は電池缶101)の扁平面に平行な面で捲回群102(又は電池缶101)を二分割したそれぞれの領域に設けてある。すなわち、正極集電板104における開口部602が設けられた領域は、負極集電板105における開口部602が設けられた領域とは異なる。また、正極集電板104におけるタブ接合部601が設けられた領域も、負極集電板105におけるタブ接合部601が設けられた領域とは異なる。なお、開口部602は、上記の領域の一方からはみ出していてもよく、その領域に発生するガスを排出することができればよい。
【0057】
図8A及び8Bは、異常加熱状態での扁平型電池の内部で等方的に圧力が上昇する前後における電池缶中央部の状態を示したものである。図8Aは、電池缶101が膨張する前の状態を示したものであり、図8Bは、異常加熱状態で膨張した状態を示したものである。
【0058】
本実施例の電池の構造上、等方的に内圧がかかると、電池缶101の扁平面に垂直な方向に電池缶101が膨張する力が働き、電池缶101の扁平面に平行な方向には電池缶101を圧縮する力が働く。巻芯404の座屈強度が充分高ければ、異常加熱状態となった電池缶より発生するガスは、その発生源が電池内部のいかなる場所であっても図中のIもしくはIIの領域に集中することになる。
【0059】
図9は、微小短絡によって異常加熱状態になった場合の正極側のガス排出経路114の例を示したものである。
【0060】
電池缶101の扁平面に垂直な方向において、電池缶101の扁平面に平行な面で電池缶101を二分割した一方の領域(図中、巻芯404の下方の領域)で微小短絡が生じた場合、その領域で発生したガスは、正極集電板104の開口部602を通過し、絶縁カバー111のガス放出用開口部302を通過し、ガス放出用開口部302の外側に設けてある開裂弁(図4の開裂弁108)から効率よく排出される。
【0061】
図10は、図9に示す正極側のガス排出経路の反対側に位置する負極側のガス排出経路を示したものである。
【0062】
電池缶101の扁平面に垂直な方向において、電池缶101の扁平面に平行な面で電池缶101を二分割した一方の領域(図中、巻芯404の上方の領域)で微小短絡が生じた場合、その領域で発生したガスは、負極集電板105の開口部602を通過し、絶縁カバー111のガス放出用開口部302を通過し、ガス放出用開口部302の外側に設けてある開裂弁(図4の開裂弁108)から効率よく排出される。
【0063】
以上のように、本実施例によれば、ガス排出経路を捲回群の巻芯404の両側に配置することができ、電池缶の変形時においても、効率よくガスを排出することができる。
【0064】
なお、本実施例においては、複数のリード片(タブ)を用いて正極リード及び負極リードを形成しているが、これに限定されるものではなく、捲回群の扁平面に平行で、かつ、分割されていない(一連の)リード片を用いてもよい。
【実施例2】
【0065】
非水電解液電池の別の集電構造を説明する。尚、集電構造以外は、実施例1と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0066】
図11A及び11Bは、捲回群102の上面図および側面図を示したものである。
【0067】
これらの図において、捲回群102の一方の端部には、正極合剤を塗工していない正極未塗工部1101(正極の未塗工部)が設けてあり、もう一方の端部には、負極合剤を塗工していない負極未塗工部1102(負極の未塗工部)が設けてある。
【0068】
本実施例においては、実施例1とは異なり、複数に分割された正極タブ及び負極タブを設けていない。
【0069】
図12A及び12Bは、捲回群102と正極集電板1103との接合工程を示したものである。図12Aは、接合前の状態を示したものであり、図12Bは、接合後の状態を示したものである。尚、負極側においても同様のプロセスが用いられることから、ここでは説明を省略する。
【0070】
図12Aにおいて、正極集電板1103は、厚さが0.5〜5mmのアルミ製の略長円形の板(正極集電板の平板部)であって、この板に対して垂直方向に長方形状の板1201(図中、点線で示してある。接合板とも呼ぶ)を設けてあり、この長方形状の板1201の端部に二つの突起部1104を設けたものである。突起部1104は、巻芯に設けられた溝407と嵌合するためのものである。
【0071】
本実施例においても、実施例1と同様に、正極集電板1103の端部には、正極端子109が溶接等によって固定されており、ガス排出用の開口部602が設けてある。
【0072】
まず、正極集電板1103を捲回群102の端面(端部)に平行に配置し、巻芯の溝407に嵌合することにより固定する。次に、正極未塗工部1101を正極集電板1103から突出する長方形状の板1201の片面のタブ接合部601に押し付け、溶接する。
【0073】
同様にして、負極側は、巻芯の表側に位置する正極側のタブ接合部601の裏側に位置する負極集電板のタブ接合部に負極未塗工部を押し付けて溶接する。
【0074】
図12Cは、捲回群と集電板との接合工程を示す断面図である。
【0075】
本図は、正極未塗工部1101をタブ接合部601に溶接した後であって、負極未塗工部1102を負極集電板1105に溶接する前の状態を示したものである。
【0076】
負極側の溶接においては、治具1501を負極集電板1105の開口部602から挿入し、この治具1501を用いて、負極集電板1105(負極集電板の平板部)に対して垂直方向に配置した長方形状の板1201を支持し、矢印1502の方向から溶接する。これにより、正極側の溶接部の反対側に負極未塗工部1102を溶接することができる。
【0077】
以上のように、本実施例においては、捲回群102の扁平面の片側に正極未塗工部1101を束ねて溶接するとともに、扁平面の他の側に負極未塗工部1102を束ねて溶接することができる。結果として、正極未塗工部1101の一部は、正極リードとなり、負極未塗工部1102の一部は、負極リードとなる。
【0078】
本実施例によれば、複数のタブを設けた電極タブ構造を形成することなく、ガス排出経路を捲回群102の扁平面の両側に配置することができ、電池缶の変形時においても、効率よくガスを排出することができる。また、生産性を向上するとともに、コストを低減することが可能となる。
【0079】
本実施例においては、分割されていない(一連の)正極未塗工部1101及び負極未塗工部1102をそれぞれ、正極リード及び負極リードとしたが、これに限定されるものではなく、本実施例においても、実施例1のように複数のリード片を用いて正極リード及び負極リードを形成してもよい。
【符号の説明】
【0080】
100:非水電解液電池、101:電池缶、102:捲回群、103:負極側封口板、104:正極集電板、105:負極集電板、107:注液栓、108:開裂弁、109:正極端子、110:負極端子、111:絶縁カバー、112:ガスケット、113:ナット、114:ガス排出経路、115:ガスケット、116:正極側封口板、301:注液孔、302:ガス放出用開口部、303:電極用開口部、304:電極用開口部、401:正極、402:負極、403:セパレータ、404:巻芯、405:正極タブ、406:負極タブ、407:溝、601:タブ接合部、602:開口部、603:集電板凸部、1101:正極未塗工部、1102:負極未塗工部、1103:正極集電板、1104:突起部、1105:負極集電板、1201:板。
【技術分野】
【0001】
本発明は、非水電解液電池に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン電池においては、過充電や短絡等による異常加熱状況下における単電池(セル)の発火・破裂することを防止するため、開裂弁を設けてある。ところが、異常加熱状況下においては、電池缶内における化学反応に伴って生じる内圧上昇によって捲回群や電池缶が変形し、ガス放出経路が塞がれるという問題が生じる場合がある。
【0003】
特許文献1には、ガスが安全弁を介して電池外に容易に散逸するようにして安全性を確保することを目的として、熱硬化性樹脂製よりなる電極押さえ板を配置した電池が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、ガス排出弁のガス排出機能に支障が生じないようにすることを目的として、金属板を塑性加工してなり集電板と電極端子機構とを連結するリード部材の表面と対向する位置にガス排出弁を取り付けた角形電池が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−163079号公報
【特許文献2】特開2005−267945号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
電気自動車などの電源として用いられる電池は出力と安全性との両立が不可欠となっている。捲回式リチウムイオン二次電池においては、電極箔端部を束ねて溶接する構造になっている。しかし、特に扁平捲回式のリチウムイオン二次電池においては、捲回電極群の内部の電極間で発生したガスが蓄積し、捲回電極群の扁平部が変形して破損することにより、ガスが一気に捲回電極群の外部に噴出するおそれがある。
【0007】
本発明の目的は、異常状況下で開裂弁が正常に動作してガスの蓄積を防止する構造を有し、異常時のガス放出特性に優れた安全な非水電解液二次電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の非水電解液電池は、正極リード及び負極リードを有する扁平形捲回式の電極捲回群と、この電極捲回群に電気的に接続された正極集電板及び負極集電板と、前記電極捲回群、前記正極集電板及び前記負極集電板を内蔵した電池缶とを含み、前記正極集電板は、前記正極リードを溶接した正極溶接部と正極開口部とを有し、前記負極集電板は、前記負極リードを溶接した負極溶接部と負極開口部とを有し、前記正極開口部は、前記負極溶接部によって前記負極集電板の側が閉塞している前記電極捲回群の領域に発生するガスを前記電池缶の外部に放出する正極側ガス排出経路であり、前記負極開口部は、前記正極溶接部によって前記正極集電板の側が閉塞している前記電極捲回群の領域に発生するガスを前記電池缶の外部に放出する負極側ガス排出経路であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、扁平型や角型の電池缶の変形に影響されることなく、ガス放出経路を確保することができ、異常発熱時における電池の安全性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施例1の捲回群の構成を示す部分展開図である。
【図2A】実施例1の捲回群を示す上面図である。
【図2B】実施例1の捲回群を示す側面図である。
【図3A】実施例1の捲回群及び正極集電板の接合工程を示す斜視図である。
【図3B】実施例1の捲回群及び正極集電板の接合工程を示す斜視図である。
【図4】電池の構成を示す分解斜視図である。
【図5A】電池の構成を示す断面図である。
【図5B】電池の構成を示す断面図である。
【図6】組立後の電池を示す斜視図である。
【図7A】実施例1の電池を示す断面図である。
【図7B】実施例1の電池の正極集電板を示す正面図である。
【図7C】実施例1の電池の負極集電板を示す正面図である。
【図8A】正常な状態の扁平型電池缶を示す断面図である。
【図8B】膨張した扁平型電池缶を示す断面図である。
【図9】膨張した扁平型電池缶からのガス排出経路を示す正面図である。
【図10】図9のガス排出経路の反対側のガス排出経路を示す正面図である。
【図11A】実施例2の捲回群を示す上面図である。
【図11B】実施例2の捲回群を示す側面図である。
【図12A】実施例2の捲回群及び正極集電板の接合工程を示す斜視図である。
【図12B】実施例2の捲回群及び正極集電板の接合工程を示す斜視図である。
【図12C】実施例2の捲回群及び正極集電板の接合工程を示す模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、車載用途等に使用される高出力、大容量の非水電解液電池に関し、特に扁平形や角形の扁平捲回式リチウムイオン電池に適用できる非水電解液電池に関するものである。
【0012】
本発明の非水電解液電池は、電池缶の両側端面に開裂弁を有し、内部に扁平形捲回式の電極捲回群を有する二次電池であって、電極捲回群の片側端面で正極電極箔を束ねて溶接するとともに、他方の片側端面で負極電極箔を束ねて溶接し、且つ、一方の溶接部は、電極捲回群の捲回中心となる平面に対して片側に設けられ、且つ、他方の集電板の溶接部は捲回中心平面に対して逆側に配置するものである。これにより、電極捲回群の内部で発生したガスの排出経路を確保する。
【0013】
本発明の非水電解液電池は、電池缶や捲回群の変形を抑制するような部品を電池缶内に配置する必要がない。また、本発明の非水電解液電池は、大電流充放電に適し、かつ、異常時のガス放出特性に優れ、安全である。
【0014】
以下、本発明の一実施形態に係る非水電解液電池について説明する。
【0015】
前記非水電解液電池は、正極リード及び負極リードを有する扁平形捲回式の電極捲回群と、この電極捲回群に電気的に接続された正極集電板及び負極集電板と、電極捲回群、正極集電板及び負極集電板を内蔵した電池缶とを含み、電極捲回群の捲回軸に交わる電池缶の両方の端面部に開裂弁を有する二次電池である。そして、正極集電板及び負極集電板は、捲回軸に交わる位置に配置され、正極集電板は、正極リードを溶接した正極溶接部と正極開口部とを有し、負極集電板は、負極リードを溶接した負極溶接部と負極開口部とを有する。正極開口部は、負極溶接部によって負極集電板の側が閉塞している電極捲回群の領域に発生するガスを正極集電板の側の開裂弁を介して電池缶の外部に放出する正極側ガス排出経路であり、負極開口部は、正極溶接部によって正極集電板の側が閉塞している電極捲回群の領域に発生するガスを負極集電板の側の開裂弁を介して電池缶の外部に放出する負極側ガス排出経路である。
【0016】
前記非水電解液電池は、電池缶の扁平面に平行な面で電池缶を二分割した一方の領域には、正極溶接部及び負極開口部が設けてあり、前記面で電池缶を二分割したもう一方の領域には、負極溶接部及び正極開口部が設けてある。
【0017】
前記非水電解液電池において、正極溶接部は、正極集電板の正極開口部を設けた平板部に設けてあり、負極溶接部は、負極集電板の負極開口部を設けた平板部に設けてある。
【0018】
前記非水電解液電池において、正極溶接部は、正極集電板の正極開口部を設けた平板部に接合された接合板に設けてあり、負極溶接部は、負極集電板の負極開口部を設けた平板部に接合された接合板に設けてある。
【0019】
前記非水電解液電池において、正極リード及び負極リードは、電極捲回群の捲回軸方向の両端部に設けられた複数のリード片である。
【0020】
前記非水電解液電池において、正極リードは、電極捲回群の捲回軸方向の一方の端部に設けられた正極未塗工部であり、負極リードは、電極捲回群の捲回軸方向のもう一方の端部に設けられた負極未塗工部である。
【0021】
以下、図面を用いて実施例について説明する。
【実施例1】
【0022】
図1は、非水電解液電池に適用される捲回群の構成例を示す部分展開図である。
【0023】
本図において、捲回群102(電極捲回群)は、アルミニウム箔基材の両面に正極合剤を塗布した帯状の正極401と、銅箔基材の両面に負極合剤を塗布した帯状の負極402とを2枚のセパレータ403を介して重ね合わせて、板状の巻芯404の周りに捲回して構成されている。
【0024】
正極401の幅方向の片側端部は、正極合剤が塗布されずにアルミニウム箔基材が露出しており、さらに、該片側端部には、短冊状の正極タブ405(正極リード片)が複数形成されている。一方、負極402の幅方向の片側端部も、負極合剤が塗布されずに銅箔基材が露出しており、該端部にも、短冊状の負極タブ406(負極リード片)が形成されている。正極タブ405と負極タブ406とは、互いに反対側に形成されている。正極タブ405及び負極タブ406はそれぞれ、幅2mm〜10mm、長さ15mm〜50mmが好適である。
【0025】
図2A及び2Bは、捲回群102の構成を示したものである。図2Aは、上面図であり、図2Bは、側面図である。
【0026】
これらの図において、捲回群102の一方の端部(図中の左側)からは、正極タブ405(正極リード片)が突出しており、捲回群102の他方の端部(図中の右側)からは、負極タブ406(負極リード片)が突出している。図2Aに示すように、捲回群102の両端部から突出した正極タブ405及び負極タブ406の幅Aは、巻芯404の幅Bよりも狭くすることが好ましい。一方、図2Bに示すように、正極タブ405と負極タブ406とは、捲回群102の捲回中心平面である巻芯404を挟んで互いに反対側に配置されている(すなわち、正極タブ405と負極タブ406とは、捲回群102の扁平面に平行で、かつ、捲回群102を二分割する面を挟んで互いに反対側に配置されている)。
【0027】
図3A及び3Bは、捲回群102と正極集電板104との接合方法を示したものである。なお、負極側においても同様のプロセスが用いられることから、ここでは説明を省略する。
【0028】
捲回群102の端部に対向する正極集電板104の平板部の外形は、捲回群102の長円形の端面部の外形より小さく、巻芯404の端面部の外形よりも大きく、厚さ0.5〜5mmの概略長円形の板である。正極集電板104の端部には、正極端子109が溶接等で固定されている。
【0029】
まず、図3Aに示すように、正極集電板104を捲回群102の扁平部と平行に配置し、正極タブ405(正極リード片)の束を正極集電板104の裏面に配置したタブ接合部601に押し付け、密着した状態で溶接する。ここで、溶接後の正極側のタブ接合部601を正極溶接部と呼ぶことにする。同様に、溶接後の負極側のタブ接合部は、負極溶接部と呼ぶ。
【0030】
次に、図3Bに示すように、正極集電板104を捲回群102の扁平部に対して垂直に配置し、正極集電板104の開口部602(正極開口部)の両端に配置された集電板凸部603を巻芯404の溝407に嵌合することにより、正極集電板104を巻芯404に固定する。
【0031】
以上のようにして、捲回群102の片側端面に正極タブ405が束ねて溶接される。負極側においても、正極側と同様に、負極タブ(負極リード)が負極集電板に束ねて溶接されている。一方の集電板の溶接部は、電極捲回群を巻芯404の表側と裏側とに二分割した場合の片側(表側)の電極捲回群の端部に設けられ、且つ、他方の集電板の溶接部は、逆側(裏側)の電極捲回群の端部に配置されている。
【0032】
尚、本図においては、説明のため、正極タブ405を必要以上に長く描いているが、集電板凸部603を溝407に嵌合する余裕があればよいので、図示よりも短くてよい。
【0033】
次に、非水電解液電池の組立工程の例を説明する。
【0034】
図4は、電池の構成を示す分解斜視図である。
【0035】
先ず、横断面形状が扁平な長方形、長円形もしくは角形の電池缶101を作製する。また、正極集電板104及び負極集電板105にそれぞれ、正極電極端子109及び負極端子110を溶接等で接続する。正極集電板104及び負極集電板105には、開口部602(正極開口部及び負極開口部)が配置してあり、セルの内圧上昇時の排気経路になっている。正極集電板104及び負極集電板105にそれぞれ、正極タブ405及び負極タブ406を溶接する。そして、捲回群102を捲回した巻芯404の溝407に集電板凸部603を嵌合する。
【0036】
次に、樹脂成型によって作製された絶縁カバー111を正極集電板104及び負極集電板105に被せ、捲回群102と正極集電板104と負極集電板105と絶縁カバー111とが一体となったものを電池缶101内に挿入する。絶縁カバー111は、電極用開口部303及びガス放出用開口部302を備えている。
【0037】
正極側封口板116の内側には、正極端子109のガスケット112(樹脂製)を取り付け、電池缶101の端部に正極側封口板116を溶接する。負極側封口板103の内側にも同様にして、負極端子110のガスケット112(樹脂製)を取り付け、電池缶101の端部に負極側封口板103を溶接する。溶接は、電子ビーム又はレーザーによって行う。正極側封口板116及び負極側封口板103はそれぞれ、電極端子用開口部304を備え、その中央部には、開裂弁108を備えている。正極側封口板116は、電解液注入用の注液孔301も備えている。
【0038】
次に、ガスケット115を正極側封口板116及び負極側封口板103の外側に取り付け、ナット113によって固定する。
【0039】
最後に、低湿度環境下で正極側封口板116の注液孔301から電解液を注入し、注液栓107で封止して電池の組立を終了する。
【0040】
図5A及び5Bは、本実施例の非水電解液電池の例を示す構成断面図である。図5Aは、電池の扁平面に平行な断面を示したものであり、図5Bは、電池の扁平面に垂直な断面を示したものである。
【0041】
これらの図において、非水電解液電池100は、横断面の形状が扁平な長方形、長円形もしくは角形の電池缶101内に捲回群102を電解液とともに収容し、正極側封口板116及び負極側封口板103で両端部を封口して構成されている。電池缶101、正極側封口板116及び負極側封口板103は、アルミニウムもしくはステンレス製のものが用いられる。正極側封口板116には、アルミニウム製の正極端子109が設けられ、負極側封口板103には、銅製の負極端子110が設けられている。正極端子109及び負極端子110はそれぞれ、アルミニウム製の正極集電板104及び銅製の負極集電板105に溶接等で接続されている。
【0042】
正極集電板104及び負極集電板105は、捲回群102が捲き付けられた筒状又は板状の巻芯404に嵌合されている。巻芯404は、樹脂整形によって作製され、熱可塑性樹脂であれば、ポリプロピレンやポリフェニレンスルフィド等が用いられ、熱硬化性樹脂であれば、フェノール樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル等が用いられるが、電気絶縁性と耐熱性とを有していれば特に限定されるものではない。
【0043】
負極側封口板103の中央部には、開裂弁108が設けてある。正極側封口板116には、開裂弁108に加えて注液栓107が設けてある。
【0044】
正極側封口板116と正極集電板104との間、及び負極側封口板103と負極集電板105との間にはそれぞれ、絶縁カバー111が、集電板を覆うようにして配置されている。絶縁カバー111は、正極端子109及び負極端子110及び開裂弁108に対応する位置に開口部を有している。
【0045】
正極端子109及び負極端子110の内側(電池缶101の内側)には、樹脂製のガスケット112が設けてあり、正極端子109及び負極端子110の外側(電池缶101の外側)には、ガスケット115が設けてある。これらのガスケット112、115は、ナット113によって正極側封口板116及び負極側封口板103の外側から固定されている。絶縁カバー111及び2種類のガスケット112、115は、樹脂成型によって作製されることが好ましく、熱可塑性樹脂であれば、ポリプロピレンやポリフェニレンスルフィド等が用いられ、熱硬化性樹脂であれば、フェノール樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル等が用いられるが、これも電気絶縁性と耐熱性とを有していれば特に限定されるものではない。
【0046】
正極タブ405及び負極タブ406は、群をなして形成されており、それぞれ、扁平型の捲回群102の両端部から突出している。正極タブ405及び負極タブ406は、正極集電板104及び負極集電板105にそれぞれ束ねて溶接されている。
【0047】
図5Bに示すように、正極タブ405及び負極タブ406は、捲回群102の巻芯(図4における巻芯404)に対して互いに反対側となる捲回群102の扁平部に設けてあり、且つ、巻芯に対して逆側(反対側)に配置されるように溶接されている。これにより、正極タブ405及び負極タブ406はそれぞれ、捲回群102の正極集電板104の側及び負極集電板105の側について半分の領域を閉塞させている。また、ガス排出経路114(正極側ガス排出経路及び負極側ガス排出経路)が巻芯の両側に設けられることとなり、電池の異常により電池内でガスが発生した際に、電池缶101が変形した場合でもガス放出経路114を確保することができる。
【0048】
図6は、組立後の電池の外観形状を示す斜視図である。
【0049】
電池缶101に溶接された正極側封口板116は、注液栓107及び開裂弁108を有するとともに、正極側封口板116から突出した正極端子109をナット113で固定した構成を有している。
【0050】
以下、正極集電板及び負極集電板の構造について図7A〜7Cを用いて説明する。
【0051】
図7Aは、巻芯の平面部に対して直交する断面を示したものであり、図7B及び図7Cはそれぞれ、正極集電板及び負極集電板の正面を示したものである。
【0052】
正極集電板104は、概略長円形であり、平板部の外形が捲回群102の長円形の端面部の外形より小さく、巻芯404の端面部の外形よりも大きく、厚さが0.5〜5mmの板であり、捲回群102の捲回軸に対して垂直に配置されている。
【0053】
正極集電板104の端部には、正極端子109が溶接してある。また、正極集電板104は、捲回群102(電池缶101の内側)に対向する面に二つの集電板凸部603を有し、巻芯404と嵌合してある。正極タブ405は、正極集電板104の捲回群102に対向する面のうち、正極集電板104の長軸で二分割した一方の領域に設けたタブ接合部601に溶接されている。正極集電板104の長軸で二分割したもう一方の領域には、開口部602が設けてある。この開口部602は、電池の開裂弁(図4の開裂弁108)に対して、30%〜200%の開口面積を有している。
【0054】
一方、負極集電板105も、概略長円形であり、平板部の外形が捲回群102の長円形の端面部の外形より小さく、巻芯404の端面部の外形よりも大きく、厚さが0.5〜5mmの板であり、捲回群102の捲回軸に対して垂直に配置されている。
【0055】
負極集電板105の端部には、負極端子110が溶接してある。また、負極集電板105は、捲回群102に対向する面に二つの集電板凸部603を有し、巻芯404と嵌合してある。負極タブ406は、負極集電板105の捲回群102に対向する面のうち、負極集電板105の長軸で二分割した一方の領域に設けたタブ接合部601に溶接されている。負極集電板104の長軸で二分割したもう一方の領域には、開口部602が設けてある。この開口部602は、電池の開裂弁108(図4の開裂弁108)に対して、30%〜200%の開口面積を有している。
【0056】
図7B及び図7Cに示すように、正極集電板104及び負極集電板105におけるそれぞれの開口部602は、捲回群102(又は電池缶101)の扁平面に平行な面で捲回群102(又は電池缶101)を二分割したそれぞれの領域に設けてある。すなわち、正極集電板104における開口部602が設けられた領域は、負極集電板105における開口部602が設けられた領域とは異なる。また、正極集電板104におけるタブ接合部601が設けられた領域も、負極集電板105におけるタブ接合部601が設けられた領域とは異なる。なお、開口部602は、上記の領域の一方からはみ出していてもよく、その領域に発生するガスを排出することができればよい。
【0057】
図8A及び8Bは、異常加熱状態での扁平型電池の内部で等方的に圧力が上昇する前後における電池缶中央部の状態を示したものである。図8Aは、電池缶101が膨張する前の状態を示したものであり、図8Bは、異常加熱状態で膨張した状態を示したものである。
【0058】
本実施例の電池の構造上、等方的に内圧がかかると、電池缶101の扁平面に垂直な方向に電池缶101が膨張する力が働き、電池缶101の扁平面に平行な方向には電池缶101を圧縮する力が働く。巻芯404の座屈強度が充分高ければ、異常加熱状態となった電池缶より発生するガスは、その発生源が電池内部のいかなる場所であっても図中のIもしくはIIの領域に集中することになる。
【0059】
図9は、微小短絡によって異常加熱状態になった場合の正極側のガス排出経路114の例を示したものである。
【0060】
電池缶101の扁平面に垂直な方向において、電池缶101の扁平面に平行な面で電池缶101を二分割した一方の領域(図中、巻芯404の下方の領域)で微小短絡が生じた場合、その領域で発生したガスは、正極集電板104の開口部602を通過し、絶縁カバー111のガス放出用開口部302を通過し、ガス放出用開口部302の外側に設けてある開裂弁(図4の開裂弁108)から効率よく排出される。
【0061】
図10は、図9に示す正極側のガス排出経路の反対側に位置する負極側のガス排出経路を示したものである。
【0062】
電池缶101の扁平面に垂直な方向において、電池缶101の扁平面に平行な面で電池缶101を二分割した一方の領域(図中、巻芯404の上方の領域)で微小短絡が生じた場合、その領域で発生したガスは、負極集電板105の開口部602を通過し、絶縁カバー111のガス放出用開口部302を通過し、ガス放出用開口部302の外側に設けてある開裂弁(図4の開裂弁108)から効率よく排出される。
【0063】
以上のように、本実施例によれば、ガス排出経路を捲回群の巻芯404の両側に配置することができ、電池缶の変形時においても、効率よくガスを排出することができる。
【0064】
なお、本実施例においては、複数のリード片(タブ)を用いて正極リード及び負極リードを形成しているが、これに限定されるものではなく、捲回群の扁平面に平行で、かつ、分割されていない(一連の)リード片を用いてもよい。
【実施例2】
【0065】
非水電解液電池の別の集電構造を説明する。尚、集電構造以外は、実施例1と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0066】
図11A及び11Bは、捲回群102の上面図および側面図を示したものである。
【0067】
これらの図において、捲回群102の一方の端部には、正極合剤を塗工していない正極未塗工部1101(正極の未塗工部)が設けてあり、もう一方の端部には、負極合剤を塗工していない負極未塗工部1102(負極の未塗工部)が設けてある。
【0068】
本実施例においては、実施例1とは異なり、複数に分割された正極タブ及び負極タブを設けていない。
【0069】
図12A及び12Bは、捲回群102と正極集電板1103との接合工程を示したものである。図12Aは、接合前の状態を示したものであり、図12Bは、接合後の状態を示したものである。尚、負極側においても同様のプロセスが用いられることから、ここでは説明を省略する。
【0070】
図12Aにおいて、正極集電板1103は、厚さが0.5〜5mmのアルミ製の略長円形の板(正極集電板の平板部)であって、この板に対して垂直方向に長方形状の板1201(図中、点線で示してある。接合板とも呼ぶ)を設けてあり、この長方形状の板1201の端部に二つの突起部1104を設けたものである。突起部1104は、巻芯に設けられた溝407と嵌合するためのものである。
【0071】
本実施例においても、実施例1と同様に、正極集電板1103の端部には、正極端子109が溶接等によって固定されており、ガス排出用の開口部602が設けてある。
【0072】
まず、正極集電板1103を捲回群102の端面(端部)に平行に配置し、巻芯の溝407に嵌合することにより固定する。次に、正極未塗工部1101を正極集電板1103から突出する長方形状の板1201の片面のタブ接合部601に押し付け、溶接する。
【0073】
同様にして、負極側は、巻芯の表側に位置する正極側のタブ接合部601の裏側に位置する負極集電板のタブ接合部に負極未塗工部を押し付けて溶接する。
【0074】
図12Cは、捲回群と集電板との接合工程を示す断面図である。
【0075】
本図は、正極未塗工部1101をタブ接合部601に溶接した後であって、負極未塗工部1102を負極集電板1105に溶接する前の状態を示したものである。
【0076】
負極側の溶接においては、治具1501を負極集電板1105の開口部602から挿入し、この治具1501を用いて、負極集電板1105(負極集電板の平板部)に対して垂直方向に配置した長方形状の板1201を支持し、矢印1502の方向から溶接する。これにより、正極側の溶接部の反対側に負極未塗工部1102を溶接することができる。
【0077】
以上のように、本実施例においては、捲回群102の扁平面の片側に正極未塗工部1101を束ねて溶接するとともに、扁平面の他の側に負極未塗工部1102を束ねて溶接することができる。結果として、正極未塗工部1101の一部は、正極リードとなり、負極未塗工部1102の一部は、負極リードとなる。
【0078】
本実施例によれば、複数のタブを設けた電極タブ構造を形成することなく、ガス排出経路を捲回群102の扁平面の両側に配置することができ、電池缶の変形時においても、効率よくガスを排出することができる。また、生産性を向上するとともに、コストを低減することが可能となる。
【0079】
本実施例においては、分割されていない(一連の)正極未塗工部1101及び負極未塗工部1102をそれぞれ、正極リード及び負極リードとしたが、これに限定されるものではなく、本実施例においても、実施例1のように複数のリード片を用いて正極リード及び負極リードを形成してもよい。
【符号の説明】
【0080】
100:非水電解液電池、101:電池缶、102:捲回群、103:負極側封口板、104:正極集電板、105:負極集電板、107:注液栓、108:開裂弁、109:正極端子、110:負極端子、111:絶縁カバー、112:ガスケット、113:ナット、114:ガス排出経路、115:ガスケット、116:正極側封口板、301:注液孔、302:ガス放出用開口部、303:電極用開口部、304:電極用開口部、401:正極、402:負極、403:セパレータ、404:巻芯、405:正極タブ、406:負極タブ、407:溝、601:タブ接合部、602:開口部、603:集電板凸部、1101:正極未塗工部、1102:負極未塗工部、1103:正極集電板、1104:突起部、1105:負極集電板、1201:板。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極リード及び負極リードを有する扁平形捲回式の電極捲回群と、この電極捲回群に電気的に接続された正極集電板及び負極集電板と、前記電極捲回群、前記正極集電板及び前記負極集電板を内蔵した電池缶とを含み、前記電極捲回群の捲回軸に交わる前記電池缶の両方の端面部に開裂弁を有する二次電池であって、前記正極集電板及び前記負極集電板は、前記捲回軸に交わる位置に配置され、前記正極集電板は、前記正極リードを溶接した正極溶接部と正極開口部とを有し、前記負極集電板は、前記負極リードを溶接した負極溶接部と負極開口部とを有し、前記正極開口部は、前記負極溶接部によって前記負極集電板の側が閉塞している前記電極捲回群の領域に発生するガスを前記正極集電板の側の前記開裂弁を介して前記電池缶の外部に放出する正極側ガス排出経路であり、前記負極開口部は、前記正極溶接部によって前記正極集電板の側が閉塞している前記電極捲回群の領域に発生するガスを前記負極集電板の側の前記開裂弁を介して前記電池缶の外部に放出する負極側ガス排出経路であることを特徴とする非水電解液電池。
【請求項2】
前記電池缶の扁平面に平行な面で前記電池缶を二分割した一方の領域には、前記正極溶接部及び前記負極開口部が設けてあり、前記面で前記電池缶を二分割したもう一方の領域には、前記負極溶接部及び前記正極開口部が設けてあることを特徴とする請求項1記載の非水電解液電池。
【請求項3】
前記正極溶接部は、前記正極集電板の前記正極開口部を設けた平板部に設けてあり、前記負極溶接部は、前記負極集電板の前記負極開口部を設けた平板部に設けてあることを特徴とする請求項2記載の非水電解液電池。
【請求項4】
前記正極溶接部は、前記正極集電板の前記正極開口部を設けた平板部に接合された接合板に設けてあり、前記負極溶接部は、前記負極集電板の前記負極開口部を設けた平板部に接合された接合板に設けてあることを特徴とする請求項2記載の非水電解液電池。
【請求項5】
前記正極リード及び前記負極リードは、前記電極捲回群の前記捲回軸方向の両端部に設けられた複数のリード片であることを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に記載の非水電解液電池。
【請求項6】
前記正極リードは、前記電極捲回群の前記捲回軸方向の一方の端部に設けられた正極未塗工部であり、前記負極リードは、前記電極捲回群の前記捲回軸方向のもう一方の端部に設けられた負極未塗工部であることを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に記載の非水電解液電池。
【請求項1】
正極リード及び負極リードを有する扁平形捲回式の電極捲回群と、この電極捲回群に電気的に接続された正極集電板及び負極集電板と、前記電極捲回群、前記正極集電板及び前記負極集電板を内蔵した電池缶とを含み、前記電極捲回群の捲回軸に交わる前記電池缶の両方の端面部に開裂弁を有する二次電池であって、前記正極集電板及び前記負極集電板は、前記捲回軸に交わる位置に配置され、前記正極集電板は、前記正極リードを溶接した正極溶接部と正極開口部とを有し、前記負極集電板は、前記負極リードを溶接した負極溶接部と負極開口部とを有し、前記正極開口部は、前記負極溶接部によって前記負極集電板の側が閉塞している前記電極捲回群の領域に発生するガスを前記正極集電板の側の前記開裂弁を介して前記電池缶の外部に放出する正極側ガス排出経路であり、前記負極開口部は、前記正極溶接部によって前記正極集電板の側が閉塞している前記電極捲回群の領域に発生するガスを前記負極集電板の側の前記開裂弁を介して前記電池缶の外部に放出する負極側ガス排出経路であることを特徴とする非水電解液電池。
【請求項2】
前記電池缶の扁平面に平行な面で前記電池缶を二分割した一方の領域には、前記正極溶接部及び前記負極開口部が設けてあり、前記面で前記電池缶を二分割したもう一方の領域には、前記負極溶接部及び前記正極開口部が設けてあることを特徴とする請求項1記載の非水電解液電池。
【請求項3】
前記正極溶接部は、前記正極集電板の前記正極開口部を設けた平板部に設けてあり、前記負極溶接部は、前記負極集電板の前記負極開口部を設けた平板部に設けてあることを特徴とする請求項2記載の非水電解液電池。
【請求項4】
前記正極溶接部は、前記正極集電板の前記正極開口部を設けた平板部に接合された接合板に設けてあり、前記負極溶接部は、前記負極集電板の前記負極開口部を設けた平板部に接合された接合板に設けてあることを特徴とする請求項2記載の非水電解液電池。
【請求項5】
前記正極リード及び前記負極リードは、前記電極捲回群の前記捲回軸方向の両端部に設けられた複数のリード片であることを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に記載の非水電解液電池。
【請求項6】
前記正極リードは、前記電極捲回群の前記捲回軸方向の一方の端部に設けられた正極未塗工部であり、前記負極リードは、前記電極捲回群の前記捲回軸方向のもう一方の端部に設けられた負極未塗工部であることを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に記載の非水電解液電池。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【公開番号】特開2012−169209(P2012−169209A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−30914(P2011−30914)
【出願日】平成23年2月16日(2011.2.16)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成19年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 次世代自動車用高性能蓄電システム技術開発 要素技術開発 高出力可能な高エネルギー密度型リチウムイオン電池の研究開発委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(505083999)日立ビークルエナジー株式会社 (438)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月16日(2011.2.16)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成19年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 次世代自動車用高性能蓄電システム技術開発 要素技術開発 高出力可能な高エネルギー密度型リチウムイオン電池の研究開発委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(505083999)日立ビークルエナジー株式会社 (438)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]