説明

非自己免疫性2型糖尿病および/またはX症候群の処置のための化合物

本発明は、式(I)
【化1】


[式中、R=H、CHもしくはOCHであり;R=H、OH、CH、OCH、O−グルコースもしくはベンゾイルオキシであり;R=Hであり;R=HもしくはOHであり;R=HもしくはOCHであり;R=H、CH、OCH、シンナモイルオキシもしくは(3,4,5−トリメトキシ)−ベンゾイルオキシであり;R=H、OH、CHもしくはOCHであり;またはRおよびRは共にO−CH−O基を形成し;R=HもしくはOCH3であり;R10=HもしくはN−アセチル,N−メチル−2−アミノエチルである]の化合物;非自己免疫性2型糖尿病および/またはX症候群の処置のための医薬品としてのそれらの使用、それらを含有する食物および薬学的組成物ならびにヒトを含む動物における非自己免疫性2型糖尿病および/またはX症候群の処置のための方法に関し、前記方法は、有効量の式(I)の化合物を、それを必要とするヒトを含む動物に投与する工程を含んでなる。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、非自己免疫性2型糖尿病および/またはX症候群の処置のための医薬品としての使用のための以下に規定する式I
【化1】


の化合物、それらを含有する食物および薬学的組成物ならびにヒトを含む動物における非自己免疫性2型糖尿病および/またはX症候群の処置のための方法に関し、前記方法は、有効量の式Iの化合物を、それを必要とするヒトを含む動物に投与する工程を含んでなる。本発明は、さらに、式Iの化合物、特に、以下に規定する化合物I−2、I−7、I−8、I−9、I−13、I−14、I−15、I−17およびI−19ならびに医薬品としてのそれらの使用に関する。
【0002】
本発明に関して、「処置」はまた、同時処置ならびに防止および制御を包含する。
【0003】
本発明の最も好適な実施態様を図1に示す。
【0004】
本発明に関する動物は、ヒトを含む哺乳動物であり得る。
【0005】
ヒト以外の哺乳動物の好適な例には、イヌ、ネコ、モルモット、(ジャック)ウサギ、ノウサギ、フェレット、ウマ、ならびに反芻動物(ウシ、ヒツジおよびヤギ)がある。
MST/15.06.2006
【0006】
糖尿病は、複数の原因因子から誘導される代謝疾患の複合体を定義し、通常、タンパク質および脂肪代謝障害に関連するグルコース代謝障害によって特徴付けられる。これは、非処置のまま放置すれば合併症をもたらす空腹時および食後血清グルコースレベルの上昇を生じる。
【0007】
4つの異なる形態の糖尿病(1)1型糖尿病、(2)2型糖尿病、(3)妊娠中の初期に開始し、認識されるいわゆる妊娠糖尿病、および(4)主に遺伝子欠損に基づく他のいくつかの形態が公知である。糖尿病の2つの主な形態は1型および2型糖尿病であり、そのうち2型糖尿病は最も一般的な形態である。
【0008】
2型糖尿病は、高血糖、高コレステロール血症および高脂血症と関連する。2型糖尿病におけるインスリン非感受性は、肝臓、筋肉および脂肪組織によるグルコース利用の減少、および血中グルコースレベルの増加をもたらす。制御されていない高血糖は、眼、心臓、血管、腎臓および神経のような多様な器官の機能不全ならびに減退と関連し、従って、腎症、神経障害、網膜症、下肢および足部の潰瘍形成、脂肪性肝疾患、高血圧症、循環器系疾患、ならびに脳血管疾患(脳卒中)を含む小血管ならびに大血管疾患、いわゆる糖尿病合併症の危険性の増加による死亡率の増加および早期の死亡をもたらす。最近の証拠により、厳格な血糖コントロールが2型糖尿病におけるこれらの合併症の防止における主な要因であることが示された。従って、薬物または治療レジメンによる至適な血糖コントロールは、2型糖尿病の処置のための重要なアプローチである。
【0009】
2型糖尿病は、疾患の初期段階ではインスリンの適切な産生が使用のために利用可能であるが、特に、末梢組織におけるグルコースのインスリン仲介による利用および代謝において、インスリン作用において欠損が存在する主に成人において生じる糖尿病の形態である。2型糖尿病に関連する多様な組織における変化は、臨床徴候が検出される前であっても存在する。
【0010】
2型糖尿病の治療は、はじめに、食事および生活スタイルの変化に関与する。これらの方策が、適切な血糖コントロールを維持することができない場合、患者は、経口血糖降下剤および/または外因性インスリンで処置される。2型糖尿病の処置のための現在の経口薬理学的薬剤の例として、インスリン分泌を強化するもの(スルホニル尿素系薬剤)、肝臓におけるインスリンの作用を改善するもの(ビグアナイド系薬剤)、インスリン抵抗性改善剤(チアゾリジンジオン類)および消化管におけるグルコースの取り込みを阻害するために作用する薬剤(α−グルコシダーゼインヒビター類)が挙げられる。しかし、現在市販されている薬剤は、一般的に、膵細胞機能の進行的消失から生じる高血糖における進行的悪化により、長期間において適切な血糖コントロールを維持することができない。標的血糖レベルを維持できる患者の割合は経時的に顕著に減少し、付加的/代替的薬理学的薬剤の投与が必要とされる。さらに、薬物は、好ましくない副作用をもたらすおそれがあり、高い1次および2次失敗率に関連する。
【0011】
従って、2型糖尿病の防止、制御および/または処置、ならびに上記のようなそれ/それらに関連する身体合併症の防止のために最小の副作用を伴う化合物が必要とされている。多くの患者は、高用量の薬物に関連する副作用を最小限にし、付加的な臨床便益を得ることができる代替的治療に興味がある。2型糖尿病は、インスリンの産生を担う膵細胞および循環器系に有意な損傷が生じるまで通常認識されない進行性かつ慢性の疾患である。従って、また、危険性のあるヒト、特に、2型糖尿病を発達する高い危険性のある高齢者、しかしまた、肥満の小児における2型糖尿病の発達を防止するために使用され得る栄養補助食品の開発に対する興味も増加している。2型糖尿病は、しばしば、高トリグリセリド血症または異常脂質血症のようなX症候群由来の徴候(「メタボリックシンドローム」)に関連するため、本発明に従う化合物はまた、X症候群の処置または防止にも有用である。
【0012】
今回、本発明者らは、式I
【化2】


[式中、RはH、CHもしくはOCHであり;
=H、OH、CH、OCH、O−グルコースもしくはベンゾイルオキシであり;
=Hであり;
=HもしくはOHであり;
=HもしくはOCHであり;
=H、CH、OCH、シンナモイルオキシもしくは(3,4,5−トリメトキシ)−ベンゾイルオキシであり;
=H、OH、CHもしくはOCHであり;
またはRおよびRは共にO−CH−O基を形成し;
=HもしくはOCHであり;
10=HもしくはN−アセチル,N−メチル−2−アミノエチルである]
の化合物が、ヒトを含む動物、特に、ヒトを含む哺乳動物における非自己免疫性2型糖尿病および/またはX症候群の防止、制御ならびに/あるいは処置における有効な薬剤であり得、そのため、それらをそれに対して使用することができることを見出した。
【0013】
これらの化合物の治療効果として、以下のものを挙げることができるが、これらに限定されない。従って、本発明は、以下を目的とする上記で規定されるような式Iの化合物の使用に関する。
●血糖レベルを管理するのを助けること、即ち、血糖レベルの均衡を保つことによって、身体を助けること;特に、糖尿病を伴うヒトにおいて均衡を保たれた血中グルコースレベルを保持することを助けること;細胞によるグルコース取り込みを増強し、糖レベルを減少し、従って、耐糖能を改善または回復することによって援助すること;血中グルコースレベルを降下させること;血糖応答を最適化すること;耐糖能を正常化すること;即ち、式Iの化合物は、α−グルコシダーゼインヒビター、高血糖処置および/または制御剤ならびに血中グルコース低下剤であり得る;
●甘味への欲求を減少すること;
●膵β細胞機能を維持または改善し、従って、健康な膵機能を促進すること;即ち、式Iの化合物は、膵β細胞機能改善薬である;
●例えば、インスリン感受性を回復/増強することを助けることによって、インスリン感受性を処置または制御すること;即ち、式Iの化合物は、インスリン抵抗性改善薬であり得る;
●非自己免疫性2型糖尿病を遅延、防止または制御し、従って、また、上記のもののような糖尿病に伴う障害/合併症を防止すること;即ち、式Iの化合物は、糖尿病2型防止剤であり得る;
●脂肪細胞を活性化し、従って、インスリン感受性を増加すること;
●脂肪分解性内臓脂肪貯蔵部から皮下脂肪への脂肪の分配、従って、循環器系疾患のような肥満関連病状の危険性を減少すること;
●遊離脂肪酸(FFA)の循環を減少し、従って、肥満のヒトのインスリン感受性を改善すること;
●内皮機能を維持すること;
●血液中トリグリセリドレベルを降下させること;血中脂質レベルを調整/調節することによって、健康/正常な血中脂質バランスおよび健康/正常な血中脂質プロファイルを維持し、従って、血中脂質プロファイルを最適化すること;コレステロールおよび血中脂質を代謝することによって、血中脂質レベルの上昇および高い血中コレステロールレベルを処置すること;高脂血症患者におけるコレステロールレベルを減少することを助けること;異常脂質血症を改善すること;即ち、式Iの化合物は、血中脂質降下剤であり得る。
【0014】
本発明の化合物は、特に、前糖尿病、耐糖能異常(IGT)、または肥満を伴う個体のようなこの疾患を発達する高い危険性にあるそれらの個体における非自己免疫性2型糖尿病の防止を目的とする。
【0015】
式I[式中、
=HもしくはOCH、好ましくは、R=Hであり、あるいは
=H、OCHもしくはベンゾイルオキシ、好ましくは、R=HもしくはOCHであり、あるいは
=Hであり、あるいは
=H、OCHもしくはシンナモイルオキシであり、R=H、CH、OCH、好ましくは、R=HもしくはOCHであり、または
およびRは共にO−CH−O基を形成し、あるいは
=Hであり、あるいは
10=Hである]
の化合物が好適である。
【0016】
式I[式中、R、RおよびRはすべて水素である]の化合物はなおさらに好適である。
【0017】
式I[式中、
=HもしくはOCH、好ましくは、R=Hであり、ならびに
=H、OCHもしくはベンゾイルオキシ、好ましくは、R=HもしくはOCHであり、ならびに
=Hであり、ならびに
=H、OCHもしくはシンナモイルオキシであり、R=H、CH、OCH、好ましくは、R=HもしくはOCHであり、
またはRおよびRは共にO−CH−O基を形成し、ならびに
=Hであり、ならびに
10=Hである]
の化合物は特に好適である。
【0018】
本発明の他の好適な実施態様では、式Iの化合物は、化合物I−1〜I−19からなる群から選択され、ここで、化合物I−1〜I−19におけるR〜R10基は、添付の表0において示されるような意味を有する。
【0019】
この群から、表0において規定される化合物I−2、I−7、I−8、I−9、I−13、I−14、I−15、I−17およびI−19からなる群から選択される式Iの化合物が特に好適であり、図1において示されるような式I−13、I−14およびI−15の化合物が最も好適である。
【0020】
式I−13の化合物は、式中、R=R=R=R=Hであり、R=R=OCHであり、RおよびRは共にO−CH−O基を形成し、およびR10=N−アセチル,N−メチル−2−アミノエチルであるものであり;式I−14の化合物は、式中、R=R=R=R=R=R10=Hであり、R=OCHであり、およびR=シンナモイルオキシであるものであり;ならびに式I−15の化合物は、式中、R=R=R=R=R=R10=Hであり、R=R=OCHであり、およびR=ベンゾイルオキシであるものである。
【0021】
「式Iの化合物」という用語はまた、植物材料または抽出物の全重量に基づいて、好ましくは、少なくとも50重量%の量、より好ましくは、少なくとも70重量%の量、さらにより好ましくは、少なくとも90重量%の量で式Iのそのような化合物を含有する植物の任意の材料または抽出物を包含する。本発明に関して使用される「植物の材料」および「植物材料」という用語は、植物の任意の部分を意味する。
【0022】
式I−13の化合物は、パパベル・シュード・オリエンタレ(Papaver pseudo−orientale)から単離してもよい。式I−13およびI−15の化合物は、ケシ植物から単離してもよい。式I−14およびI−15の化合物は、例えば、カンゾウ(Glycyrrhiza glabra)(リコリス)から単離してもよい。
【0023】
本発明はまた、α−グルコシダーゼインヒビターのようなグルコース取り込みのインヒビター、高血糖処置および/または制御剤、血中グルコース降下剤、血中脂質降下剤、インスリン抵抗性改善剤、膵β細胞機能改善薬、肝グルコース産生のインヒビター、インスリン様物質ならびに/あるいはインスリン放出のエンハンサーとしての使用のための上記で規定される式Iの化合物に関する。
【0024】
本発明はさらに、非自己免疫性2型糖尿病および/またはX症候群の処置のための組成物の製造について上記で規定される式Iの化合物の使用に関する。組成物は、好ましくは、α−グルコシダーゼインヒビターのようなグルコース取り込みのインヒビター、高血糖処置および/または制御剤、血中グルコース降下剤、血中脂質降下剤、インスリン抵抗性改善剤、膵β細胞機能改善薬、肝グルコース産生のインヒビター、インスリン様物質ならびに/あるいはインスリン放出のエンハンサーとして使用される。
【0025】
本発明のさらなる目的は、規定され、上記で示される選好を伴う少なくとも式Iの化合物を含有する食物組成物である。
【0026】
「食物組成物」という用語は、臨床栄養物もまた、および栄養補助食品もまた含む任意のタイプの(強化された)食物、(強化された)(動物)飼料および飲料ならびに対応する添加物:食品添加物、飲料添加物、飼料添加物を含んでなる。機能性食物/飼料、即ち、ビタミンまたはさらなる特定の健康的便益を提供するための他の製剤で増強されている食物/飼料、ならびにニュートラシューティカル、即ち、栄養価を有する丸剤または他の医薬製品もまた包含される。
【0027】
本発明に従う食物組成物は、(ゴム、タンパク質、加工澱粉のような)保護ハイドロコロイド、結合剤、フィルム形成剤、カプセル化剤/材料、壁/殻材料、マトリックス化合物、コーティング剤、乳化剤、界面活性剤、可溶化剤(オイル、脂肪、蝋、レシチンなど)、吸着剤、キャリア、充填剤、共同化合物(co−compounds)、分散剤、湿潤剤、加工助剤(溶媒)、流動剤、味マスキング剤、加重剤、ゼリー化剤(jellyfying agents)、ゲル形成剤、抗酸化剤および抗微生物剤をさらに含んでなり得る。
【0028】
本発明のもう1つの目的は、規定され、上記で示される選好を伴う少なくとも1つの式Iの化合物および従来の薬学的キャリアを含有する薬学的組成物である。
【0029】
薬学的に許容可能なキャリアならびにR〜R10の規定および上記の選好を伴う少なくとも1つの式Iの化合物の他に、本発明に従う薬学的組成物は、従来の薬学的添加物および助剤、水、任意の起源のゼラチン、植物ゴム、リグニンスルホン酸塩、タルク、糖、澱粉、アラビアゴム、植物油、ポリアルキレングリコールを含むがそれらに限定されない賦形剤または希釈剤、風味付け剤、保存剤、安定剤、乳化剤、緩衝液、潤滑剤、着色剤、湿潤剤、充填剤などをさらに含有し得る。キャリア材料は、経口/非経口/注入投与に適切な有機または無機の不活なキャリア材料であり得る。
【0030】
本発明に従う食物および薬学的組成物は、ヒト身体を含む動物身体に、特に、経口投与に慣例である任意の形態、例えば、食物もしくは飼料、食物もしくは飼料プレミックス、強化された食物もしくは飼料、錠剤、丸剤、顆粒、ドラジェ、カプセル、ならびに粉末および錠剤のような発泡性処方(のための添加物/補充物)のような固体形態、または例えば、飲料、ペーストおよび油状懸濁液としての溶液、乳液もしくは懸濁液のような液体形態で投与するのに適切である任意のガレノス(galenic)形態であってもよい。ペーストは、ハードまたはソフトシェルカプセルに充填してもよく、それによって、カプセルは、例えば、(魚、ブタ、家禽、ウシ)ゼラチン、植物タンパク質もしくはリグニンスルホン酸塩のマトリックスを特徴とする。他の適用形態についての例には、経皮、非経口または注入可能な投与のための形態がある。食物および薬学的組成物は、制御された(遅延型)放出処方の形態であってもよい。
【0031】
強化された食物の例には、シリアルバー、ケーキおよびクッキーのようなベーカリー品目がある。
【0032】
飲料は、非アルコールおよびアルコール飲料、ならびに飲料水および液体食物に添加されるべき液体調製物を包含する。非アルコール飲料は、例えば、ソフトドリンク、スポーツドリンク、果汁、レモネード、ニアウォーター飲料(即ち、低カロリー含量の水ベースの飲料)、茶および乳汁に基づく飲料である。液体食物は、例えば、スープおよび乳製品である。
【0033】
従って、R〜R10の規定および上記の選好を伴う式Iの化合物ならびに植物材料または抽出物の全量に基づいて、好ましくは、少なくとも50重量%の量、より好ましくは、少なくとも70重量%の量、さらにより好ましくは、少なくとも90重量%の量でそれらを含有する植物材料および植物抽出物(の混合物)およびそれらを含有する食物/薬学的組成物は、ヒトを含む動物の処置に適切である。
【0034】
従って、本発明は、ヒトを含む動物における非自己免疫性2型糖尿病および/またはX症候群の処置のための方法に関し、前記方法は、上記で規定される有効量の式Iの化合物をそれを必要とするヒトを含む動物に投与する工程を含んでなる。
【0035】
本発明に関する動物は、ヒトを含む哺乳動物であり得る。
【0036】
ヒト以外の哺乳動物の好適な例には、イヌ、ネコ、モルモット、(ジャック)ウサギ、ノウサギ、フェレット、ウマ、ならびに反芻動物(ウシ、ヒツジおよびヤギ)がある。
【0037】
ヒトについて、本発明の目的のためのR〜R10の規定および上記の選好を伴う式Iの化合物の適切な1日用量は、体重1kgあたり0.01mg〜1日あたり体重1kgあたり50mgの範囲内であり得る。体重1kgあたり0.1〜25mgの1日用量がより好適であり得、および体重1kgあたり0.3〜7mgの1日用量が特に好適であり得る。従って、式Iのそのような化合物を含有する植物材料または植物抽出物の量を算出することができる。
【0038】
ヒトについての固体用量単位の製剤では、R〜R10の規定および上記の選好を伴う式Iの化合物は、0.25mg〜1000mg、好ましくは、用量単位あたり2mg〜200mgの量で適切に存在し得る。
【0039】
食物組成物、特に、ヒトのための食物および飲料では、R〜R10の規定および上記の選好を伴う式Iの化合物は、食物または飲料の全重量に基づいて、0.5mg/kg〜100g/kg、好ましくは、5mg/kg〜10g/kg、より好ましくは50mg/kg〜2g/kgの量で適切に存在し得る。
【0040】
本発明の好適な実施態様における食物および飲料では、R〜R10の規定および上記の選好を伴う式Iの化合物の量は、1回分あたり0.7〜4000mgであり得る。
【0041】
ヒトを除く動物について、本発明の目的のためのR〜R10の規定および上記の選好を伴う式Iの化合物の適切な1日用量は、体重1kgあたり0.001mg〜1日あたり体重1kgあたり2000mgの範囲内であり得る。体重1kgあたり0.01〜1000mgの1日用量がより好適であり、および体重1kgあたり0.1mg〜500mgの1日用量が特に好適である。
【0042】
本発明はさらに、R〜R10の規定および上記の選好を伴う式Iの化合物、特に、表0において規定される化合物I−2、I−7、I−8、I−9、I−13、I−14、I−15、I−17およびI−19、ならびに医薬品としてのそれらの使用に関する。
【0043】
これより、本発明を、以下の実施例によってさらに例示する。
【0044】
[実施例]
以下の略称を使用する:
BW=体重
DMEM=ダルベッコの改変イーグル培地
DMSO=ジメチルスルホキシド
FBS=ウシ胎児血清
2−DG=2−デオキシグルコース
3[H]−2−DG=トリチウム化2−デオキシグルコース
HBS=ハンクス緩衝塩類溶液
oil Red O=Solvent Red 27(CAS番号1320−06−5)
PBS=リン酸緩衝溶液
OD=光学密度
SEM=平均の標準誤差
FFA=遊離脂肪酸
GUA=脂肪細胞のグルコース取り込み
【0045】
[実施例1:脂肪細胞のグルコース取り込みに対する式I−13の化合物の効果]
C3H10T1/2細胞(ATCC CCL−226)を、10%FBS培地を補充したDMEMにおいて、コンフルエンスに達するまで5日間増殖させ、インスリン、デキサメタゾンおよび3−イソブチル−1−メチルキサンチンの混合物で誘導して、脂肪細胞に分化させた。誘導の開始の9日後、細胞を、表1に示されるような異なる濃度で、式I−13の化合物で48時間、処置した。放射性2−デオキシグルコース(HBS中10μM2−DG+0.5μCi/mlの3[H]−2−DG)を使用し、インスリンの非存在下でグルコース取り込みを測定して、グルコース取り込みを決定した。用量依存的様式における式I−13の化合物での48時間処置によって、基礎グルコース取り込みを増加させた(表1)。陽性対照として、シグリタゾンを、表1に示される濃度で使用した。
【0046】
[実施例2:脂肪細胞のグルコース取り込みに対する式I−15の化合物の効果]
C3H10T1/2細胞の増殖、誘導および処置は、式I−13の化合物の代わりに式I−15の化合物を異なる濃度で使用したことを除いて、正確に実施例1に記載のとおりであった。表1に示されるように、基礎グルコース取り込みの増加を検出することができた。
【0047】
【表1】

【0048】
対照:化合物処置細胞と同じ濃度のDMSOで48時間処置され100%と設定されたC3H10T1/2細胞
【0049】
[実施例3:脂肪細胞の分化に対する式I−13の化合物の効果]
C3H10T1/2細胞を、実施例1に記載のようにコンフルエンスに達するまで増殖させ、次いで、インスリン単独(陰性対照)でかまたは48時間ごとの新鮮培地および化合物による再供給を伴うインスリンおよび異なる濃度の式I−13の化合物の混合物(表2を参照のこと)で10日間処置した。10日間の処置後、次のとおりに細胞をoil Red Oで染色した:細胞を2×PBSで洗浄し、10%ホルマリンにおいて室温で1時間、固定化した。ホルマリンの除去後、200μlのoil Red O染色溶液(0.5%w/v oil Red Oストック溶液および水の3:2混合物)を各ウェルに適用した。細胞を20分間、室温でインキュベートし、2×PBSで2回洗浄し、oil Red O抽出のために300μlのイソプロパノール/ウェルと共に10分間、インキュベートした。540nmでの吸光度(平均OD)を測定することによって、oil Red Oの定量化を決定した。インスリンおよび式I−13の化合物によるC3H10T1/2細胞の同時処置は、より多量のoil Red O染色によって表されるように、インスリン単独より細胞の脂肪細胞へのより高い分化を生じた(表2)。
【0050】
【表2】

【0051】
[実施例4:脂肪細胞の分化に対する式I−14の化合物の効果]
式I−13の化合物の代わりに式I−14の化合物を使用したことを除いて、実施例4に記載のとおりにC3H10T1/2細胞を増殖させ、処置した。oil Red Oアッセイを使用する脂肪細胞分化の測定を、実施例4に記載のとおりに実施した。インスリンおよび式I−14の化合物によるC3H10T1/2細胞の同時処置は、インスリン単独より細胞の脂肪細胞へのより高い分化を生じた(表3)。
【0052】
[実施例5:脂肪細胞の分化に対する式I−15の化合物の効果]
式I−13の化合物の代わりに式I−15の化合物を使用したことを除いて、実施例4に記載のとおりにC3H10T1/2細胞を増殖させ、処置した。oil Red Oアッセイを使用する脂肪細胞分化の測定を、実施例4に記載のとおりに実施した。インスリンおよび式I−15の化合物によるC3H10T1/2細胞の同時処置は、インスリン単独より細胞の脂肪細胞へのより高い分化を生じた(表3)。
【0053】
【表3】

【0054】
[実施例6:耐糖能に対する式I−13の化合物の効果]
耐糖能に対する式I−13の化合物の効力を、C57BLKS/J db/dbマウス(n=10/群)、重度の高血糖を伴う後期2型糖尿病のモデルでの14日間の研究において試験した。
【0055】
雄性db/dbマウスを、Jackson Laboratory(Bar Harbor、メイン州、米国)から入手した。8週齢の成獣マウスを実験に使用した。マウスを、床敷を伴うプラスチックケージに個々に収容し、標準的なげっ歯類用食物および水道水を自由に摂取させた。飼育室を、温度(24℃)、湿度(55%)、および照明(12時間の明暗サイクル)について、管理した。動物を無作為に2つの群に分け、式I−13の化合物を、群のうちの一方に、14日間、200mg/kg BW/日の用量で経口的投与した。14日間の処置後、グルコースの濃度を、給餌動物、即ち、食物を制限しなかった動物由来の血液において決定した。10日間の処置の期間後、経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)を実施した。OGTTのために、マウスを1晩絶食させ、次いで、1gグルコース/kg BW溶液を経口的に投与した。血中グルコースレベルの決定のために、グルコースチャレンジの前および15、30、45、60、90、120、150、180分後に血液サンプルを採取し、次いで、曲線下面積(AUC)を決定した。血中グルコースを、グルコース分析装置(Glu−cotrend Premium,Roche Diagnostics,Rotkreuz、スイス)によって測定した。血中グルコースレベルおよびOGTT測定のためのAUCを表4に示す。給餌動物(上記を参照のこと)のグルコースおよび遊離脂肪酸(FFA)レベルは、式I−13の化合物での14日間の処置後に低下した。式I−13の化合物での10日間の処置後、絶食動物、即ち、1晩の絶食を伴う動物(上記を参照のこと)のグルコースレベルは、非処置の対照群と比較して減少した。OGTT試験中、式I−13の化合物で処置した動物における血中グルコースレベルは、対照群と比較した場合、すべての時間ポイントにおいてより低かった。従って、式I−13の化合物は、10日目に、OGTT(1gグルコース/kg体重)のグルコースAUCを有意に減少した。
【0056】
【表4】

【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の最も好適な実施態様を示す。
【図2】表0:式I−1〜I−23の化合物
【図3】表0:式I−1〜I−23の化合物(図2の続き)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非自己免疫性2型糖尿病および/またはX症候群の処置のための医薬品としての使用のための式I
【化1】


[式中、RはH、CHもしくはOCHであり;
=H、OH、CH、OCHもしくはベンゾイルオキシであり;
=Hであり;
=HもしくはOHであり;
=HもしくはOCHであり;
=H、CH、OCH、シンナモイルオキシもしくは(3,4,5−トリメトキシ)−ベンゾイルオキシであり;
=H、OH、CHもしくはOCHであり;
またはRおよびRは共にO−CH−O基を形成し;
=HもしくはOCHであり;
10=HもしくはN−アセチル,N−メチル−2−アミノエチルである]
の化合物。
【請求項2】
前記化合物は、化合物I−1〜I−19の群から選択され、ここで、化合物I−1〜I−19におけるR〜R10基は、以下の意味:
【表1】


を有する、請求項1に記載の式Iの化合物。
【請求項3】
請求項2に記載の化合物I−2、I−7、I−8、I−9、I−13、I−14、I−15、I−17およびI−19からなる群から選択される、請求項2に記載の式Iの化合物。
【請求項4】
それは化合物I−13〜I−15の群から選択され、ここで、式I−13の化合物は、式中、R=R=R=R=H、R=R=OCHであり、RおよびRが共にO−CH−O基を形成し、R10=N−アセチル,N−メチル−2−アミノエチルであるものであり;
式I−14の化合物は、式中、R=R=R=R=R=R10=Hであり、R=OCHであり、およびR=シンナモイルオキシであるものであり;ならびに
式I−15の化合物は、式中、R=R=R=R=R=R10=Hであり、R=R=OCHであり、およびR=ベンゾイルオキシであるものである
請求項1に記載の式Iの化合物。
【請求項5】
式中、
=HもしくはOCHであり、あるいは
=H、OCHもしくはベンゾイルオキシであり、あるいは
=Hであり、あるいは
=H、OCHもしくはシンナモイルオキシであり、R=H、CH、OCHであり、またはRおよびRは共にO−CH−O基を形成し、あるいは
=Hである、
請求項1に記載の式Iの化合物。
【請求項6】
、RおよびRはすべて水素である、請求項1または4に記載の式Iの化合物。
【請求項7】
式中、
=HもしくはOCHであり、ならびに
=H、OCHもしくはベンゾイルオキシであり、ならびに
=Hであり、ならびに
=H、OCHもしくはシンナモイルオキシであり、R=H、CH、OCHであり、またはRおよびRは共にO−CH−O基を形成し、ならびに
=Hである、
請求項1に記載の式Iの化合物。
【請求項8】
式中、
=HもしくはOCH、好ましくは、=Hであり、または
=HもしくはOCHであり、または
=HもしくはOCHであり、または
10=Hである、
請求項1、4または5のいずれか一項に記載の式Iの化合物。
【請求項9】
式中、
=HもしくはOCH、好ましくは、=Hであり、および
=HもしくはOCHであり、および
=HもしくはOCHであり、および
10=Hである、
請求項1、4、5または6のいずれか一項に記載の式Iの化合物。
【請求項10】
α−グルコシダーゼインヒビターなどのグルコース取り込みのインヒビター、高血糖処置および/または制御剤、血中グルコース降下剤、血中脂質降下剤、インスリン抵抗性改善剤、膵β細胞機能改善薬、肝グルコース産生のインヒビター、インスリン様物質(insulin mimetic)ならびに/あるいはインスリン放出のエンハンサーとしての請求項1に記載の使用のための請求項1〜9のいずれか一項に記載の式Iの化合物。
【請求項11】
非自己免疫性2型糖尿病およびX症候群の処置のための組成物の製造のための請求項1〜9のいずれか一項に記載の式Iの化合物の使用。
【請求項12】
前記組成物は、α−グルコシダーゼインヒビターなどのグルコース取り込みのインヒビター、高血糖処置および/または制御剤、血中グルコース降下剤、血中脂質降下剤、インスリン抵抗性改善剤、膵β細胞機能改善薬、肝グルコース産生のインヒビター、インスリン様物質ならびに/あるいはインスリン放出のエンハンサーとして使用される、請求項11に記載の使用。
【請求項13】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の少なくとも式Iの化合物を含有する食物組成物。
【請求項14】
式Iの化合物は、請求項4に記載の式I−13〜I−15の化合物からなる群から選択される、請求項13に記載の食物組成物。
【請求項15】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の少なくとも1つの式Iの化合物および従来の薬学的キャリアを含有する薬学的組成物。
【請求項16】
式Iの化合物は、請求項4に記載の式I−13〜I−15の化合物からなる群から選択される、請求項15に記載の薬学的組成物。
【請求項17】
ヒトを含む動物における非自己免疫性2型糖尿病および/またはX症候群の処置のための方法であって、請求項1〜9のいずれか一項に記載の有効量の式Iの化合物を、それを必要とするヒトを含む動物に投与する工程を含んでなる方法。
【請求項18】
前記動物はヒト、愛玩動物または家畜である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の式Iの化合物。
【請求項20】
医薬品としての使用のための請求項1〜9のいずれか一項に記載の式Iの化合物。
【請求項21】
請求項2に記載の化合物I−2、I−7、I−8、I−9、I−13、I−14、I−15、I−17およびI−19。
【請求項22】
医薬品としての使用のための請求項2に記載の化合物I−2、I−7、I−8、I−9、I−13、I−14、I−15、I−17およびI−19。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−543903(P2008−543903A)
【公表日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−517424(P2008−517424)
【出願日】平成18年6月23日(2006.6.23)
【国際出願番号】PCT/EP2006/006049
【国際公開番号】WO2006/136429
【国際公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(503220392)ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ. (873)
【Fターム(参考)】