説明

鞍乗型車両

【課題】バッテリ容量を検出することを目的とした機構を構成することなく、自動二輪車の周囲環境に応じて、エンジンが駆動できるかを検出する装置を提供することにある。
【解決手段】ECU60は、メインスイッチ66がオフからオンに変わったことを検出するスイッチ検出部603と、メインスイッチ66がオフからオンに変わったことをスイッチ検出部603で検出すると、燃料ポンプ54を駆動する駆動制御部601と、エンジン44の始動を検出する始動検出部604と、燃料ポンプ54が駆動された後であって、始動検出部604がエンジン44の始動を検出する前に、バッテリ64の電圧を検出する電圧検出部602と、電圧検出部602の検出した電圧値が第1の閾値以下の場合に、警告灯62に警告指示を与える警告制御部605とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鞍乗型車両に関し、さらに詳しくは、バッテリからエンジン制御システムに電力が供給される鞍乗型車両に関する。
【背景技術】
【0002】
鞍乗型車両の一種である自動二輪車が知られている。自動二輪車には、エンジンを制御するためのエンジン制御システムを備えたものがある。エンジン制御システムには、例えば、燃料タンク、燃料ポンプおよびインジェクタが含まれている。エンジン制御システムは、バッテリから電力が供給されて、燃料ポンプ等を駆動する。バッテリからの電力供給はエンジン制御部(ECU:エンジンコントロールユニット)によって制御されている。電力消費やバッテリの劣化等によって、バッテリの容量が減少すると、エンジンを駆動することができなくなる。エンジンの駆動ができなくなるのを避けるため、バッテリの容量不足を判断し、警告を行う警告装置を備えた自動二輪車が提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の自動二輪車は、エンジン制御部にバッテリの容量を検出する検出部品を備えている。検出部品に電力を供給して、検出された結果が所定の値よりも低ければ警告を行う。検出部品は分圧抵抗を有している。検出の際に分圧抵抗の中間点(1/4分圧点)の電圧値が検出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−190793号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の自動二輪車では、バッテリ容量を検出することを目的とした検出部品を設ける必要があるため、コストが高くなる。特許文献1に記載の自動二輪車では、検出部品を設置するスペースが必要となる。
【0006】
図11はバッテリの垂下特性を示す図である。図11では縦軸はバッテリ電圧を示し、横軸は負荷電流を示す。図11に示すようにバッテリの充電状態が良く、かつバッテリが劣化していない状態では、負荷電流が大きくなったとしても、バッテリ電圧の低下量は少ない。しかし、バッテリの充電状態が悪い場合には、負荷電流の上昇に伴って、バッテリ電圧がバッテリの充電状態が良い場合よりも大きく低下する。バッテリが劣化している場合には、バッテリの充電状態が良い場合であっても負荷電流の上昇に伴い、バッテリ電圧が大きく低下する。図11の例であれば、負荷電流が小さいときには充電状態が悪いバッテリよりも電圧が高いが、負荷電流が高いときには充電状態が悪いバッテリよりもバッテリ電圧が低い。
【0007】
このため、例えばエンジン制御部にのみ電力を供給している状態や、バッテリ容量を検出するための検出部品のみに電力を供給した状態のように、負荷電圧が低い状態でバッテリ電圧を検出したとしても、燃料ポンプや点火コイル等の負荷の大きな部品に電力を供給した際のバッテリ電圧とは異なっている場合がある。
【0008】
さらに、エンジン制御システムに含まれる燃料ポンプ等を始動させるのに必要な電力は、温度や個体差、経年変化などの自動二輪車の周囲環境により異なる。しかし、特許文献1の構成では、分圧抵抗の中間点の電圧値で判断しているため、自動二輪車の周囲環境とは無関係である。
【0009】
本発明の課題は、バッテリ容量を検出することを目的とした検出部品を設置することなく、エンジンの始動時に近い状態で、エンジンが駆動できるか否かを検出する装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0010】
本発明に係る鞍乗型車両は、エンジンと、エンジンを駆動させるエンジン制御システムと、エンジン制御システムに電力を供給するバッテリと、バッテリからエンジン制御システムへ電力の供給が可能な供給可能状態と、バッテリからエンジン制御システムへの電力供給が遮断される遮断状態とを切り替えるメインスイッチと、警告部と、制御部と、を備えている。エンジン制御システムは、燃料タンクと、燃料タンクの燃料に圧力をかけて送り出す燃料ポンプと、燃料ポンプから送り出された燃料をエンジンに供給するインジェクタとを有している。制御部は、メインスイッチがオフからオンに変わったことを検出するスイッチ検出部と、メインスイッチがオフからオンに変わったことをスイッチ検出部で検出すると、燃料ポンプを駆動する駆動制御部と、エンジンの始動を検出する始動検出部と、燃料ポンプが駆動された後であって、始動検出部がエンジンの始動を検出する前に、バッテリの電圧を検出する電圧検出部と、電圧検出部の検出した電圧値が第1の閾値以下の場合に、警告部に警告指示を与える警告制御部とを有している。
【0011】
エンジン制御システムに含まれる燃料ポンプがエンジン始動の可否を検出する検出部品の役割を兼ねている。このため、エンジンが始動できるか否かを判断するための特別な検出部品を別途設ける必要が無い。
【0012】
燃料ポンプに電力を供給した後の電圧値で警告を行うか否かを判断するために、エンジン制御システム以外の構成に電力を供給して電圧値を検出する場合よりも、エンジンの始動時に近い状態で、エンジンが駆動できるか否かを判断できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態による自動二輪車の全体構成を示す左側面図である。
【図2】フロントカバーの背面を示す外観図である。
【図3】ハンドルの背面を示す外観図である。
【図4】エンジンおよびエンジン制御システムの概略図である。
【図5】エンジン制御システムの構成を示す回路図である。
【図6】自動二輪車の走行及びエンジン始動の際のバッテリ電圧と、バッテリ電圧検出タイミングを示すチャートの図である。
【図7】エンジンの始動が出来るか否かの実験結果を示している図である。
【図8】エンジンの始動動作を示すフローチャートを示す図である。
【図9】ECUおよびエンジン制御システムを駆動させる際のタイミングチャートを示す図である。
【図10】他の実施形態に係るECUおよびエンジン制御システムを駆動させる際のタイミングチャートを示す図である。
【図11】バッテリの垂下特性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
バッテリの電圧が所定の値以下に低下すると、自動二輪車のエンジンを始動させることができなくなる。エンジンが始動不能になるのを防止するため、特許文献1では、バッテリ容量を検出する検出部品を配置し、バッテリ容量が予め定めた閾値以下になると警告するようにしている。
【0015】
しかしながら、特許文献1の構成では、検出部品を配置するため、製造コストが高くなるとともに、検出部品を設置するスペースが必要となる。
【0016】
エンジン制御システムに含まれる燃料ポンプ等を駆動させるのに必要な電力は、温度や個体差、経年変化などの自動二輪車の周囲環境により異なる。しかし、特許文献1の構成では、分圧抵抗の中間点の電圧値で判断しているため、自動二輪車の周囲環境が考慮されていない。
【0017】
本願発明者は、エンジンの始動前、すなわちメインスイッチがOFFからONに変わった際に、燃料ポンプに電力を供給し、エンジンの始動の準備が行われることに着目した。
【0018】
本願発明者は、エンジンの始動の準備の際に、エンジン制御システムに含まれる燃料ポンプに電力が供給された後のバッテリ電圧を検出し、検出されたバッテリ電圧の値によりエンジンの始動が可能か否かを判断することを思いついた。これにより、バッテリ容量を検出するための検出部品を設置する必要が無く、コストが高くなるのを防止できる。
【0019】
ここで、例えば自動二輪車の周囲の温度が低い環境でスタータモータ(セルモータ)によりエンジンを始動するためには、自動二輪車の周囲の温度が高い環境でスタータモータによりエンジンを始動する場合よりも、高いバッテリ電圧が必要である。自動二輪車の周囲の温度が低い環境で燃料ポンプを駆動するためには、自動二輪車の周囲の温度が高い環境で燃料ポンプを駆動する場合よりも、燃料ポンプを駆動させる際の摩擦抵抗が大きいため、高いバッテリ電圧が必要である。すなわち、エンジンと燃料ポンプはともに周囲の温度が低い場合の方が駆動に必要なバッテリ電圧が高くなる。本願発明の構成では、エンジンの始動時に駆動する燃料ポンプに電力を供給してバッテリ電圧を検出している。このため、エンジンの始動時に近い状態で、エンジンが始動できるか否かを判断できる。
【0020】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に係る自動二輪車10について説明する。下記の実施形態では、自動二輪車10として、スクーター形式の自動二輪車を例に説明する。図中同一又は相当部分には同一符号を付してその部材についての説明は繰り返さない。
【0021】
[第1の実施形態]
〈全体構成〉
図1に本発明に係る自動二輪車10の全体左側面図を示す。なお、以下の説明において前後左右と方向を示す場合、後述する自動二輪車10のシート22に着座した乗員から見た前後左右の方向を意味するものとする。以下、図中矢印Fは、自動二輪車10の前方向を、矢印Uは、自動二輪車10の上方向を、矢印Lは、自動二輪車10の左方向を示す。
【0022】
自動二輪車10は、車両本体12、自動二輪車10の前部に設けられた前輪14、自動二輪車10の後部に設けられた後輪16およびキックペダル11を備えている。
【0023】
車両本体12は、主に、車体フレーム18、ハンドル20、シート22およびパワーユニット24を備えている。
【0024】
車体フレーム18は、パワーユニット24およびシート22などを支持する。パワーユニット24はエンジン44および駆動系を含んでいる。図1では車体フレーム18を破線で示している。車体フレーム18はヘッドパイプ19を有している。ヘッドパイプ19にはステアリングシャフトが回転自在に挿入されている。ステアリングシャフトの上端にはハンドル20が取り付けられている。ステアリングシャフトの両端にフロントフォーク26が取り付けられている。フロントフォーク26の下端には前輪14が回転自在に取り付けられている。車体フレーム18は鉄鋼などの剛性の高い金属によって形成されている。
【0025】
車体フレーム18は車体カバー28によって覆われている。車体カバー28は樹脂製である。車体カバー28は、フットボード30、フロントカバー32、ハンドルカバー34、フロントフェンダー36、リアフェンダー37およびサイドカバー38を有している。
【0026】
フットボード30はシート22の下方に設けられる。フットボード30は前後方向に延びている。
【0027】
フロントカバー32はシート22の前方に位置している。フロントカバー32はヘッドパイプ19を覆うように設けられる。フロントカバー32にはヘッドライト42が配置されている。
【0028】
ハンドルカバー34はハンドル20の一部を覆う。ハンドルカバー34はフロントカバー32の上方に設けられている。
【0029】
フロントフェンダー36は前輪14の上方に配置されている。フロントフェンダー36はフロントカバー32の下方に配置されている。フロントフェンダー36はフロントカバー32よりも前方に突出するように設けられている。リアフェンダー37は後輪16の上方に配置されている。
【0030】
サイドカバー38はシート22の下方に設けられている。サイドカバー38は後輪16の上方に位置している。サイドカバー38はシート22の下方から後方に延びている。
【0031】
ハンドル20はシート22に着座した乗員の前方に配置されている。ハンドル20は左右方向に延びる。ハンドル20の両端には乗員が握持可能なグリップが配置されている。
【0032】
シート22はパワーユニット24の上方に配置されている。シート22の下方にはヘルメット等の物を収納可能な収納スペースが設けられている。
【0033】
パワーユニット24は後輪16の近傍に配置されている。パワーユニット24が備えるCVTケース89が車体カバー28から露出している。
【0034】
キックペダル11は、パワーユニット24の側方に配置されている。キックペダル11はパワーユニット24に接続されている。キックペダル11はシート22の下方に配置されている。
【0035】
〈フロントカバー背面の構成〉
図2は、フロントカバー32の背面を示す図である。
【0036】
フロントカバー32の背面には自動二輪車10を始動するためのイグニッションキーの差し込み部33が設けられている。
【0037】
より詳細には、差し込み部33は、フロントカバー32の背面に配置されている。差し込み部33はフロントカバー32の上部に配置されている。
【0038】
〈ハンドルおよびハンドルカバーの構成〉
図3は、ハンドル20およびハンドルカバー34を後方かつ上方から見た外観図である。
【0039】
ハンドルカバー34には、スピードメータ341およびエンジン回転速度メータ342が取り付けられている。
【0040】
スピードメータ341は、現在の速度を表示するメータである。エンジン回転速度メータ342は、エンジンの回転速度を表示するメータである。スピードメータ341には警告灯62が配置されている。なお、警告灯62は本実施形態ではスピードメータ341に配置したが、エンジン回転速度メータ342等、別の位置に配置されていてもよい。
【0041】
ハンドルカバー34の右端部には、スタータボタン35が配置されている。ハンドルカバー34の左端部には、ウィンカースイッチ37が配置されている。
【0042】
スタータボタン35はエンジン44を始動するためのボタンである。ウィンカースイッチ37は乗員が進む方向のウィンカーを点灯させる。
【0043】
〈エンジンおよびエンジンを駆動するシステムの構成〉
図4は、エンジン44およびエンジン制御システム50を示す模式図である。
【0044】
エンジン制御システム50は、エンジン44の駆動を制御する。エンジン制御システム50は、燃料タンク52、燃料ポンプ54、インジェクタ56、点火コイル58および点火プラグ59を備えている。
【0045】
燃料タンク52は、燃料、例えばガソリンを収納する。
【0046】
燃料ポンプ54は、燃料タンク52の内部に収納されている。燃料ポンプ54は、電動式の装置である。燃料ポンプ54は、燃料タンク52内の燃料に圧力をかけて、インジェクタ56に燃料を送り出す。燃料ポンプ54には、燃料タンク52内の燃料が流入する際に不純物を取り除くフィルタが設けられている。
【0047】
燃料ポンプ54は、燃料タンク52の外部に配置されていてもよい。この場合には、燃料タンク52と燃料ポンプ54とに接続されたホースが設けられる。
【0048】
インジェクタ56は、エンジン44に必要な量の燃料を供給する。インジェクタ56は、燃料ホース55によって燃料ポンプ54と接続されている。インジェクタ56は電動式の装置であり、後述するエンジン制御部60によって電子制御される。インジェクタ56の先端には複数の穴が設けられており、これらの穴からエンジン44に燃料が供給される。
【0049】
点火コイル58は、必要なタイミングで点火プラグ59を点火させる。点火コイル58は、1次コイルおよび1次コイルと同軸上に配置された2次コイルを有している。点火コイル58は、1次コイルに1次電流を流し、1次電流を遮断することで2次コイルに電気が誘起され、電圧が昇圧される。
【0050】
エンジン44は、クランクシャフト41、スタータモータ43(セルモータ)、クランクケース45、ピストン46、シリンダ47、吸気バルブ48および排気バルブ49を備えている。
【0051】
クランクシャフト41は、エンジン44で発生した動力を伝達する。クランクシャフト41は、ピストン46の往復運動を回転運動に変換する。クランクシャフト41は図4の紙面に直交する方向に延びている。クランクシャフト41は、ギア機構111を介してキックペダル11(図1参照)に接続されている。キックペダル11が踏み込まれると、キックペダル11の動力はギア機構111を介してクランクシャフト41に伝達され、クランクシャフト41を回転させる。これにより、エンジン44の始動を行うことができる。
【0052】
スタータモータ43は、スタータボタン35の操作により電力が供給されて回転する。スタータモータ43はギア431を介してクランクシャフト41に接続されている。スタータボタン35が押され、スタータモータ43が回転すると、クランクシャフト41が回転する。自動二輪車10は、キックペダル11によるエンジンの始動と、スタータモータ43によるエンジン44の始動の2種類の始動方法を有している。スタータモータ43からクランクシャフト41に動力を伝達する構成や、キックペダル11からクランクシャフト41に動力を伝達する構成は本実施形態の構成に限定されない。例えば、キックペダル11からクランクシャフト41に動力を伝達するギア機構のギアの数やスタータボタン35の位置等は、本実施形態の構成と異なっていてもよい。本発明は燃料ポンプ54を備えた構成であればよく、エンジン44を始動する方法として、キックペダル11による方法のみやスタータモータ43による方法のみであってもよい。
【0053】
クランクケース45はクランクシャフト41を内部に収納する。クランクケース45には、クランクシャフト41の角度状態を検出するクランク角センサ451が取り付けられている。
【0054】
ピストン46は、コンロッド461を介してクランクシャフト41に接続されている。ピストン46は、シリンダ47の内部を往復運動可能である。ピストン46は、コンロッド461にピストンピン462を介して接続されている。
【0055】
シリンダ47はクランクケース45に取り付けられている。シリンダ47は、ピストン46の運動方向をガイドする。シリンダ47とピストン46とによって燃焼室471がシリンダ47の矢印A側に形成されている。シリンダ47には、エンジン44の温度を検出するエンジン温度センサ472が取り付けられている。シリンダ47の矢印A側の先端には複数の孔が設けられている。シリンダ47は、矢印A側の先端で排気ポート481および吸気ポート473に接続されている。排気ポート473には、酸素センサ474が設けられている。吸気ポート481には、スロットルボディ482が設けられている。スロットルボディ482は、吸気圧センサ483、吸気温センサ484およびスロットルバルブ485を有している。
【0056】
吸気バルブ48は、燃焼室471に混合気を送り込む時に駆動する。吸気バルブ48はシリンダ47の先端に設けられた孔に配置されている。
【0057】
排気バルブ49は、燃焼室471から燃焼ガスを送り出す時に駆動する。排気バルブ49は吸気バルブ48よりも小さい。排気バルブ49は、シリンダ47の先端に設けられた孔に配置されている。
【0058】
図5は、エンジン制御システム50の回路図である。
【0059】
エンジン制御システム50に含まれる燃料ポンプ54およびインジェクタ56は、エンジン制御部60(以下、ECU60とする)に接続されている。ECU60には警告灯62や多数のセンサ611が接続されている。多数のセンサ611には、例えば、吸気圧センサ483や吸気温センサ484等が含まれている(図4参照)。ECU60には、ECU60等に電力を供給するバッテリ64がメインスイッチ66を介して接続されている。バッテリ64は、鉛蓄電池である。バッテリ64には、スタータモータ43、リレー70、スタートボタン35、発電機74およびレギュレータ76が接続されている。メインスイッチ66はイグニッションキーによりONとOFFとが切り替えられる。
【0060】
ECU60は、多数のセンサから情報を取得し、エンジン44等の駆動を制御する。ECU60は、駆動制御部601、電圧検出部602、スイッチ検出部603、始動検出部604および警告制御部605を有している。
【0061】
駆動制御部601は、燃料ポンプ54、インジェクタ56および点火コイル58の電力供給をそれぞれ制御する。
【0062】
電圧検出部602は、バッテリ64の電圧を検出する。電圧検出部602がバッテリ電圧を検出するタイミングについて、図6を参照して説明する。
【0063】
図6は自動二輪車10の走行、停止および始動の際のバッテリ電圧の変化を示す。図6の実線Cは、バッテリ64の充電状態が良好であり、かつ劣化していない場合のバッテリ電圧の変化を表す。図6の実線Dは、バッテリ64が劣化した状態のバッテリ電圧の変化を示す。図6におけるC−1の区間では、自動二輪車10は走行している。C−2の時点で自動二輪車10が停止する。C−3の時点で、ECU60にバッテリ64から電力が供給されて、ECU60が起動する。C−4の時点で、燃料ポンプ54に電力が供給され始める。C−5の時点で、燃料ポンプ54の駆動が安定する。C−6の区間では、燃料ポンプ54の駆動は安定している。C−7の時点で、エンジン44の駆動によりバッテリ64が充電され始め、その後も充電されている。
【0064】
自動二輪車10が走行している状態(C−1)からエンジン44が停止する(C−2)と、バッテリ電圧は下降する。エンジン44を停止させた状態からメインスイッチ66をONに変え、ECU60を起動させる(C−3)。このとき、ECU60に対して電流が流れるのに伴って、バッテリ電圧が下がる。その後、燃料ポンプ54を起動させる(C−4)と大きくバッテリ電圧が下がる。これは、燃料ポンプ54を始動させるためにはECU60を駆動させる場合よりも負荷電流が大きいためである。その後、燃料ポンプ54の駆動が安定する(C−5)と、バッテリ電圧は安定の状態(C−6)が続く。本実施形態では、この安定状態(C−6)で電圧検出部602はバッテリ電圧を検出する。具体的には、燃焼ポンプ54の起動から安定状態(C−6)になるまでの時間T(本実施形態では、例えば100ミリ秒)を実験的に求めておいて、燃料ポンプ54の起動時から100ミリ秒経過後のバッテリ電圧を検出する。この実施形態においては、バッテリ電圧を安定状態で検出したが、これに限らず、例えば、燃料ポンプ54の起動時等で検出してもよい。ここでは、発電機74が発電を行った後にバッテリ電圧を検出することは困難であるため、発電機74による発電が行われる前にバッテリ電圧が検出される。
【0065】
その後、キックペダル11が踏み込まれて、エンジン44が始動する。このとき、エンジン44の駆動に伴ってバッテリ64が充電され、バッテリ電圧が上昇する(C−7)。バッテリ電圧の上昇が終わると、バッテリ電圧が安定する。
【0066】
図5を参照して、ECU60の構成の説明に戻る。
【0067】
スイッチ検出部603は、メインスイッチ66がOFFからONに変わったことを検出する。
【0068】
始動検出部604はエンジン44の始動を検出する。具体的には、始動検出部604は、クランク角センサ451により検出されたクランクシャフト41の角度についての情報からエンジン44の始動を検出する。
【0069】
警告制御部605は、電圧検出部602で検出されたバッテリ64の電圧が予め定められた警告閾値以下の場合に警告灯62に警告指示を与える。本実施形態においては、警告閾値を9Vに設定している。警告制御部605は、警告灯62を予め設定された時間の間、点灯させる。本実施形態では、警告制御部605は、例えば、警告灯62を約30秒点灯させる。
【0070】
ここで、エンジン44の始動が検出された後に電圧検出部602で検出されたバッテリ電圧が閾値以下であっても、警告制御部605は、警告指示を行わない。エンジン44の始動が検出される前に電圧検出部602で検出されたバッテリ電圧が閾値以下の場合には、その後エンジン44が始動したとしても、警告制御部605は、警告指示を行う。
【0071】
警告制御部605が警告指示を与えるか否かの判断基準である警告閾値は、スタータモータ43によるエンジン44の始動が出来ない範囲であって、かつキックペダル11による始動ができる電圧値の範囲で予め設定されている。ここで、警告閾値については、これに限られず、例えばスタータモータ43でのエンジン始動が可能な範囲で設定してもよく、キックペダル11でエンジン44の始動ができない可能性がある範囲であってもよい。さらにユーザが使用環境に応じて設定できるようにしてもよい。
【0072】
図7はある実験環境のもとで計測されたエンジンの始動が出来るか否かの実験結果を示している。図7において、○はエンジンの始動が可能である実験結果を示し、×はエンジンの始動が出来ない実験結果を示している。図7において、破線Gは、スタータモータ43によるエンジン44の始動が可能な場合と不能な場合との境界を示す。破線Gよりも上側の領域では、スタータモータ43によるエンジン44の始動が可能である。破線Hは、警告閾値を示している。破線Hよりも下側では警告制御部605による警告指示が行われる。破線Iは、キックペダル11によるエンジン44の始動が可能な場合と不能な場合との境界を示す。破線Iよりも下側の領域では、キックペダル11によるエンジン44の始動が不可能である。枠Jで囲まれた範囲は、スタータモータ43でエンジン44の始動が可能な実験結果が得られた領域を示す。枠Kで囲まれた範囲は、バッテリ64が過放電・劣化の状態である領域を示す。一点鎖線枠Rで囲まれた範囲は、スタータモータ43によるエンジン44の始動は不可能であるが、キックペダル11によるエンジン44の始動は可能な実験結果が得られた領域を示す。二点鎖線枠Mで囲まれた範囲は、スタータモータ43およびキックペダル11のいずれでもエンジン44の始動が出来ない実験結果が得られた領域を示す。
【0073】
図7に示すように、ECU60の電圧検出部602が検出した電圧が11V以上の範囲では、スタータモータ43によるエンジン44の始動とキックペダル11によるエンジン44の始動の双方ともに可能である。ECU60の電圧検出部602が検出した電圧が7V〜11Vの範囲では、スタータモータ43によるエンジン44の始動はできないが、キックペダル11によるエンジン44の始動は可能である。図7には示していないが、ECU60の電圧検出部602が検出した電圧が11V未満の範囲では、スタータモータ43によるエンジンの始動は不能となっている。ECU60の電圧検出部602が検出した電圧が7V未満の範囲では、スタータモータ43によるエンジン44の始動とキックペダル11によるエンジン44の始動の双方ともに不可能である。過放電を起こしたバッテリや劣化したバッテリであっても、バッテリ電圧が7V以上であればキックペダル11によるエンジン44の始動は可能である。キックペダル11によるエンジン44の始動が完全に不可能になる前に、ユーザにバッテリ64の交換を促す警告をするように警告閾値を9Vに設定している。本実施形態では警告閾値を9Vに設定したが、本発明はこれに限らず、9V以外の値、例えば8Vや、9.5V、11V等であってもよい。
【0074】
図5を参照して、ECU60の周囲の構成を説明する。
【0075】
警告灯62は、警告制御部605から警告指示を受けて点灯する。
【0076】
バッテリ64はECU60に電力を供給する。バッテリ64は、エンジン44を駆動させる時に、ECU60からの指示により燃料ポンプ54、インジェクタ56および点火コイル58に電力を供給する。バッテリ64はスタータボタン35が押された場合にスタータモータ43に電力を供給して、スタータモータ43を駆動する。バッテリ64の近傍には短絡を保護するためのヒューズ641が取り付けられている。
【0077】
リレー70はコイルおよびスイッチを有している。リレー70は、コイルに電流が流れると、電磁石となってスイッチ引き寄せ、スイッチをONにする。
【0078】
スタートボタン35は、リレー70のコイルにバッテリ64からの電力を供給する状態と遮断状態とを切り替える。
【0079】
発電機74は、クランクシャフト41に取り付けられている。発電機74は、クランクシャフト41の回転により発電を行う。
【0080】
レギュレータ76は、出力される電圧を最適に制御する。レギュレータ76は、発電機74に接続されている。
【0081】
〈動作〉
図8はエンジン44の始動動作を示すフローチャートである。次に図8を参照してエンジン始動動作について説明する。
【0082】
イグニッションキーの回転によりメインスイッチ66がOFFからONに変わったか否かがスイッチ検出部603によって判断される(ステップ1)。ユーザがイグニッションキーを差し込み部33に差し込んで、回転させることで、メインスイッチ66がOFFからONに変わる。メインスイッチ66がOFFからONに変わっていない場合(ステップ1でNO)には、ONに変わるまで待機する。メインスイッチ66がOFFからONに変わった場合(ステップ1でYES)には、バッテリ64からECU60に電力が供給される。ECU60は、メインスイッチ66がOFFにされるまでバッテリ64から電力が供給される。
【0083】
ECU60に電力が供給されると、駆動制御部601はバッテリ64から燃料ポンプ54に電力を供給する制御を行う(ステップ2)。燃料ポンプ54にはバッテリ64から続けて電力が供給される。このとき、ECU60はバッテリ電圧を検出する(ステップ3)。エンジン44がすでに始動しているか否かが判断される(ステップ4)。エンジン44が始動している場合(ステップ4のYES)には、エンジン始動動作を終了する。エンジン44が始動している場合には、警告の動作が行われない。このため、エンジン44の始動に伴いバッテリ電圧が上昇する際にバッテリ電圧を検出するのを避けることができる。エンジン44が始動していない場合(ステップ4のNO)には、バッテリ電圧が9Vよりも大きいか否かが判断される(ステップ5)。バッテリ電圧が9Vよりも大きい場合(ステップ5でYES)には、ステップ7に進む。バッテリ電圧が9V以下の場合(ステップ5でNO)には、警告灯62が点灯する(ステップ6)。警告灯62は約30秒点灯する。警告灯62は約30秒後には消灯するため、警告灯62を点灯させるためにバッテリ電圧を低下させるのを防止できる。
【0084】
この状態で、ユーザによってキックペダル11が踏み込まれるか、又はスタータボタン35が押されると、クランクシャフト41が回転し、エンジン44が始動する(ステップ7)。ECU60によりバッテリ64がインジェクタ56に電力を供給する制御が行われ、適切なタイミングでインジェクタ56から燃焼室471に燃料が供給される。その後、ECU60によりバッテリ64が点火コイル58に電力を供給する制御が行われ、適切なタイミングで点火プラグ59を点火させる。点火プラグ59の点火により燃焼室471の内部の空気と燃料との混合気が爆発し、クランクシャフト41が回転する。
【0085】
図9はECUおよびエンジン制御システム50を駆動させる際のタイミングチャートである。図9では、横軸は時間を示している。ECUや燃料ポンプの右に記載したボックスは、それぞれバッテリ64から電力が供給されているタイミングを示している。
【0086】
メインスイッチ66がOFFからONに変わると、ECU60に電力が供給される。その後、燃料ポンプ54に電力が供給される。この状態で、バッテリ電圧の検出が行われる。すなわち、メインスイッチ66がOFFからONに変わった後であり、かつエンジン始動動作が行われる前に、バッテリ電圧を検出する動作は行われる。スタータモータ43の始動又はキックペダル11が踏み込まれて、エンジン始動操作が行われると、インジェクタ56に電力が供給される。インジェクタ56から燃焼室471に燃料供給される。その後、点火コイル58に電力が供給される。点火プラグ59により燃焼室471の内部の混合気に点火される。その後、インジェクタ56と点火コイル58への電力の供給および遮断が繰り返される。
【0087】
〈第1の実施形態の特徴〉
以下に本実施形態の特徴を説明する。
【0088】
上記の実施形態では、エンジン制御システム50に含まれる燃料ポンプ54に電力を供給した後のバッテリ電圧値を用いて警告を行うため、エンジン44を始動できるかを判断するための特別な検出部品を用いずに、エンジン44の始動の可否を判断できる。
【0089】
また、エンジン44の始動前にエンジン44の始動の可否が判断されるため、エンジン44によるバッテリ64の充電が行われていない状態で、実際にエンジン44を始動する際のバッテリ64の電圧値に近い状態でエンジン44の始動の可否が判断できる。
【0090】
上記の実施形態では、燃料ポンプ54に電力を供給した後のバッテリ電圧値で警告を行うか否かを判断するため、エンジン制御システム50以外の構成に電力を供給して電圧値を検出する場合よりも、判断精度が高くなる。すなわち、自動二輪車10の周囲環境により始動負荷が変化する燃料ポンプ54に電力を供給しているため、自動二輪車10の周囲環境を加味してエンジン44の始動の可否を判断することができる。
【0091】
上記の実施形態では、警告閾値がエンジン44の始動が不可能な場合のバッテリ電圧値よりも大きな値に設定されているため、エンジン44が始動不能になる前にユーザに警告することができる。
【0092】
上記の実施形態では、ECU60および燃料ポンプ54にバッテリ64からの電力が供給され、燃料ポンプ54の駆動が安定した状態でバッテリ電圧を検出しているため、バッテリ電圧の検出精度良くなる。
【0093】
上記の実施形態では、始動検出部604がエンジン44の始動を検出するとバッテリ電圧の検出を停止するため、エンジン44の始動に伴いバッテリ電圧が上昇する際に電圧を検出するのを避けることができる。
【0094】
上記の実施形態では、警告灯62の点灯時間が定められているため、点灯によるバッテリ電圧の低下を抑制できる。
【0095】
[第2の実施形態]
第1の実施形態では、エンジン44の始動の可否を検出する動作において、ECU60に電圧が供給された後に、ECU60はバッテリ64から燃料ポンプ54に電力を供給する制御を行ったが、第2の実施形態では、ECU60に電力が供給された後に、ECU60はバッテリ64から燃料ポンプ54および点火コイル58に電力を供給する制御を行う。この差異点以外の第2の実施形態の構成は第1の実施形態と同じ構成であるため、説明を省略する。
【0096】
図10で示すタイミングチャートのようにエンジン44の始動動作が行われる。図10では、横軸は時間を示している。ECU電源や燃料ポンプの右に記載したボックスは、それぞれバッテリ64から電力が供給されているタイミングを示している。バッテリ電圧を検出する動作は、メインスイッチ66がOFFからONに変わった後であり、かつエンジン始動動作が行われる前に行われる。
【0097】
メインスイッチ66がONになると、バッテリ64からECU60に電力が供給される。バッテリ64から電力が供給されて、ECU60は燃料ポンプ54および点火コイル58にバッテリ64から電力が供給される制御を行う。燃料ポンプ54および点火コイル58に電力が供給された後(具体的には、例えば燃料ポンプ54の起動から100ミリ秒経過後)に、バッテリ電圧が検出される。予め実験等に基づいて定められたエンジン44の始動が可能な電圧の始動可能値(閾値)よりも小さなバッテリ電圧値であれば、警告灯62を点灯させる。
【0098】
エンジン44の起動が可能か否かの判断が終了した後、バッテリ64から点火コイル58への電力の供給が遮断される。このとき、点火コイル58への電力供給は、点火プラグ59を点火しないように、緩やかに、言い換えると時間をかけて徐々に減少させる。
【0099】
その後、スタータモータ43による始動又はキックペダル11によりエンジン44が始動すると、インジェクタ58に電力が供給されて、燃焼室471に燃料が供給される。燃焼室471に燃料が供給された後、点火コイル58に電力が供給される。点火プラグ59により燃焼室471の内部の混合気に点火される。その後、インジェクタ56と点火コイル58への電力の供給および遮断が繰り返される。
【0100】
〈第2の実施形態の特徴〉
第2の実施形態の構成では、バッテリ64からECU60に電力が供給された後であって、エンジン44の始動前に、バッテリ64から燃料ポンプ54および点火コイル58に電力が供給された状態でバッテリ電圧が検出されるため、よりエンジン44を始動させる状態に近い状態でエンジン44の起動が可能か否かを判断する。このため、エンジン44の起動が可能か否かの判断の精度が上昇する。
【0101】
また、エンジン44の始動前では、点火コイル58への電力供給が緩やかに遮断されるため、点火プラグ59が点火しない。
【0102】
[他の実施形態]
上記の実施形態では、自動二輪車について説明したが、本発明はこれに限らず、3又は4輪の鞍乗型車両等であっても適用できる。
【符号の説明】
【0103】
10 自動二輪車(鞍乗型車両)
11 キックペダル
41 クランクシャフト
43 スタータモータ(セルモータ)
44 エンジン
50 エンジン制御システム
52 燃料タンク
54 燃料ポンプ
56 インジェクタ
58 点火コイル
60 エンジン制御部(ECU)(制御部)
62 警告灯(警告部)
64 バッテリ
66 メインスイッチ
111 ギア機構
601 駆動制御部
602 電圧検出部
603 スイッチ検出部
604 始動検出部
605 警告制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと、
前記エンジンを駆動させるエンジン制御システムと、
前記エンジン制御システムに電力を供給するバッテリと、
前記バッテリから前記エンジン制御システムへ電力の供給が可能な供給可能状態と、前記バッテリから前記エンジン制御システムへの電力供給が遮断される遮断状態とを切り替えるメインスイッチと、
警告部と、
制御部と、を備え、
前記エンジン制御システムは、
燃料タンクと、
前記燃料タンクの燃料に圧力をかけて送り出す燃料ポンプと、
前記燃料ポンプから送り出された燃料を前記エンジンに供給するインジェクタとを有し、
前記制御部は、
前記メインスイッチがオフからオンに変わったことを検出するスイッチ検出部と、
前記メインスイッチがオフからオンに変わったことを前記スイッチ検出部で検出すると、前記燃料ポンプを駆動する駆動制御部と、
前記エンジンの始動を検出する始動検出部と、
前記燃料ポンプが駆動された後であって、前記始動検出部が前記エンジンの始動を検出する前に、前記バッテリの電圧を検出する電圧検出部と、
前記電圧検出部の検出した電圧値が第1の閾値以下の場合に、前記警告部に警告指示を与える警告制御部とを有する、
鞍乗型車両。
【請求項2】
請求項1に記載の鞍乗型車両であって、
前記エンジンに設けられたクランクシャフトに動力を伝達するギア機構および前記ギア機構に接続されたキックペダルをさらに備え、
前記第1の閾値は、前記キックペダルによる前記エンジンの始動可能な値として予め設定された電圧値よりも大きな電圧値に設定されている、
鞍乗型車両。
【請求項3】
請求項2に記載の鞍乗型車両であって、
前記バッテリから電力が供給されると、前記クランクシャフトを回転させるセルモータをさらに備え、
前記第1の閾値は、前記セルモータによる前記エンジンの始動が不能であり、かつ前記キックペダルによる前記エンジンの始動が可能な電圧値の範囲内で予め設定されている、
鞍乗型車両。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の鞍乗型車両であって、
前記制御部は、前記メインスイッチがオフからオンに変わると前記バッテリから電力が供給され、
前記駆動制御部は、前記制御部に前記バッテリから電力が供給された後に、前記燃料ポンプの駆動を制御する、
鞍乗型車両。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の鞍乗型車両であって、
前記電圧検出部は、前記燃料ポンプが駆動された時点から第1の時間経過後に電圧を検出する、鞍乗型車両。
【請求項6】
請求項5に記載の鞍乗型車両であって、
前記第1の時間は、前記燃料ポンプの駆動が開始された時点から前記燃料ポンプの電流が安定するまでの時間として予め設定された時間である、鞍乗型車両。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の鞍乗型車両であって、
前記エンジン制御システムは、前記バッテリから電力が供給される点火コイルを有する点火装置をさらに有し、
前記駆動制御部は、さらに前記点火コイルの駆動を制御可能であり、
前記警告制御部は、前記燃料ポンプおよび前記点火コイルに電力が供給された後に、前記電圧検出部の検出した電圧値が第2の閾値以下の場合に前記警告部に警告指示を与える、
鞍乗型車両。
【請求項8】
請求項7に記載の鞍乗型車両であって、
前記駆動制御部は、前記燃料ポンプを駆動するタイミングで、前記点火コイルを駆動する、鞍乗型車両。
【請求項9】
請求項1から8のいずれかに記載の鞍乗型車両であって、
前記電圧検出部は、前記始動検出部が前記エンジンの始動を検出した場合には、電圧の検出動作を停止する、
鞍乗型車両。
【請求項10】
請求項1から9のいずれかに記載の鞍乗型車両であって、
前記警告部は警告を第3の時間経過後に停止する、鞍乗型車両。
【請求項11】
請求項1から10のいずれかに記載の鞍乗型車両であって、
前記警告部は警告灯を有する、
鞍乗型車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−2305(P2013−2305A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−131409(P2011−131409)
【出願日】平成23年6月13日(2011.6.13)
【出願人】(000010076)ヤマハ発動機株式会社 (3,045)
【Fターム(参考)】