説明

音叉型屈曲振動子

【課題】 製造時における音叉腕部や溝部の寸法ズレ等が生じた場合であっても、電界効率の向上及び等価直列抵抗の改善を図ることができるとともに、安定した周波数特性を得ることのできる小型の音叉型屈曲振動子を提供することである。
【解決手段】 音叉基部22と、この音叉基部22から平行して延びる一対の音叉腕部23,24と、この音叉腕部23,24の表面を長手方向に凹設した溝部25,26とを備えた音叉型屈曲振動子21において、前記溝部25,26には、長手方向に沿って前記音叉基部22から延びる補強壁部33を形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電界効率の向上、振動漏れの抑制及び等価直列抵抗の低減化を図るための構造を備えた小型の音叉型屈曲振動子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の音叉型屈曲振動子は、図15及び図16に示すように、音叉基部12から延びる一対の音叉腕部13,14を有し、この音叉腕部13,14の表面に励振電極19,20を形成することによって、所定の振動周波数を得るようになっている。また、前記音叉腕部13,14の表面に溝部15,16を形成し、この溝部15,16の内周面に励振電極19,20を形成することで、電界効率の向上及び等価直列抵抗(R1)の改善を図るようにした構造の音叉型の屈曲振動子11も知られている(特許文献1参照)。
【0003】
通常、このような音叉型の屈曲振動子11に備わる音叉腕部13,14の腕幅W11は、80〜100μm程度であるため、前記溝部15〜18を形成した場合であっても、加工する際のエッチング残りや設計寸法からのズレによる振動姿態への影響も少なく、諸特性が大幅に悪化することはほとんどなかった。
【特許文献1】特開2007−60729号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記音叉腕部13,14の腕幅W11が70μm以下の寸法になると、前記溝部15,16を形成することによって、電界効率の向上やR1の改善は図られるものの、Q値が改善されなかったり、衝撃試験による周波数ズレが発生したりするなど特性が不安定になることがある。これは、単に前記腕幅の寸法が小さくなったことで、エッチング残りや設計寸法からのズレによる影響が大きくなっただけではなく、その製造後における各部の寸法によって、もはや音叉モードの振動を発生し得ない振動姿態になっていることに起因していることが考えられる。
【0005】
これを証明するため、2つのサンプル(振動子A,振動子B)を用いて比較実験を行った。ここで、振動子Aは、音叉腕部13,14の腕幅W11が100μm、腕長L11が1553μm、腕厚t11が100μm、溝幅W12が76μm、溝長L12が86μm、溝厚t12が45μmである。また、振動子Bは、音叉腕部13,14の腕幅W11が60μm、腕長L11が1140μm、腕厚t11が100μm、溝幅W12が50μm、溝長L12が800μm、溝厚t12が45μmである。
【0006】
前記屈曲振動子11のメインの振動を発生する振動方向はX軸方向である。しかし、エッチング残りや設計寸法からのズレの影響でX軸方向に振動するとともに、不要方向の振動成分も発生する。この不要振動成分は、音叉基部全体にねじり方向の応力を発生させるため、振動エネルギーが漏れ、Q値の低下や衝撃時の周波数ズレとなる。
【0007】
以下の表1は、前記寸法ズレがZ´/X振幅比に及ぼす影響を測定したものである。この測定は、ANSYS11を用いて行われた。ここでのZ´/X振幅比とは、X軸方向屈曲振動単一モードにおけるZ´軸方向成分のことであり、X軸方向屈曲モード(音叉メインモード)とZ´軸方向屈曲モード(スプリアス)の振幅比のことではない。
【0008】
【表1】

【0009】
振動子Bにおいて、寸法ズレがある場合にZ´/X振幅比が大きくなっているのは、腕幅W11,W12が小さく設計されているためと考えられる。また、振動子B程度の寸法の場合、腕幅W11,W12を小さくすることで電界効率を改善してR1値を低減しているため、腕幅W11,W12を大きくすることはできない。このため、腕幅W11が60μm程度の屈曲振動子を安定した特性で製造することは困難であった。
【0010】
以上の実験結果からもわかるように、小型化によって音叉腕部自体の寸法が小さくなった場合、設計あるいは製造時における僅かな寸法ズレによって、振動漏れが発生しやすくなり、結果として電界効率や等価直列抵抗が悪化する。このため、小型化には限界があり、安定した製品を提供できないといった問題がある。
【0011】
そこで、本発明の目的は、製造時における音叉腕部や溝部の寸法ズレ等が生じた場合であっても、電界効率の向上及び等価直列抵抗の改善を図ることができるとともに、安定した周波数特性を得ることのできる小型の音叉型屈曲振動子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明の音叉型屈曲振動子は、音叉基部と、この音叉基部から平行して延びる一対の音叉腕部と、この音叉腕部の表面を長手方向に凹設した溝部とを備えた音叉型屈曲振動子において、前記溝部には、長手方向に沿って前記音叉基部から延びる補強壁部が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の音叉型屈曲振動子によれば、前記音叉腕部に溝部を設けるだけではなく、この溝部に補強壁部を設けることで、前記音叉腕部や溝部の僅かな寸法ズレが生じた場合であっても、従来どおりの電界効率の向上、等価直列抵抗(R1)及びQ値を得ることができる。
【0014】
また、前記補強壁部が音叉基部から音叉腕部の基端となる溝部内に突出するように形成されているため、音叉腕部の基端部が特に補強されることなり、Z´軸方向などの本来の音叉振動では不要な方向の振動漏れが生じることがない。これによって、本来の音叉振動であるX軸方向の振動のみとなり、安定した周波数特性が得られる。
【0015】
また、前記補強壁部は、エッチング加工などによって、前記溝部の形成と同時に行うことができるので、形成が容易で、溝長に応じて補強壁部の長さを設定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の音叉型屈曲振動子の実施形態を添付図面に基づいて説明する。本実施形態の音叉型屈曲振動子は、電気軸をX軸、機械軸をY軸、光軸をZ軸とした水晶原石の直交座標系においてカットされた水晶板を音叉型に加工して形成されている。また、前記音叉型屈曲振動子では、XYZからなる三次元の直交座標系のX−Y平面(Z板)をX軸回転で−7〜+7度回転させたXY´Z´の座標系の水晶板が用いられ、中心の振動周波数が32.768KHzに設定されている。
【0017】
図1及び図2は、本実施形態における音叉型屈曲振動子(以下、屈曲振動子という)21の全体形状を示したものであり、図3及び図4は、前記屈曲振動子21のA−A断面及びB−B断面を示したものである。この屈曲振動子21は、図示しないケーシング内に固定される矩形状の音叉基部22と、この音叉基部22から平行に延びる一対の音叉腕部23,24とを備えている。また、前記音叉腕部23,24の外表面には、前記音叉基部22から延びる極性の異なる励振電極29,30が形成されている。前記音叉腕部23の表面及び裏面には励振電極29が形成され、音叉腕部24の表面及び裏面には励振電極30が形成される。
【0018】
前記音叉腕部23,24は、音叉基部22の一端からY軸方向に延び、X軸方向に平行する一対の細長い四角柱体であり、表面側(+Z面)及び裏面側(−Z面)にそれぞれのY軸方向に沿って溝部25,26が設けられる。この溝部25,26は音叉腕部23,24の+Z面を長手(Y軸)方向と−Z面を長手(Y軸)方向に沿って設けられる。前記溝部25,26は、略同一の溝幅W22、溝長L22及び溝厚t22によって形成されている。
【0019】
また、前記溝部25,26には、電界効率を高めるために、前記音叉腕部23,24の外側面の電極と対向する電極を溝部25,26の内側面に設けている。この溝部25,26は、前記音叉腕部23,24の縁部32の幅が均一であるか、若しくは音叉基部22に近づくにつれて太くあるいは音叉基部22に近づくにつれて細くなるように凹設され、音叉腕部23,24の表面及び裏面の振動の中心である中立線31を中心として左右対称となるように形成される。前記溝部25,26の溝幅W22は約50μmで、溝厚t22は、表面及び裏面から形成した場合に貫通しないように、音叉腕部23,24の腕厚t21の1/2未満に設定される。また、励振電極29,30は、前記溝部25,26を設けた領域全体をカバーすると共に、溝部25,26の凹み面に沿うように形成される。
【0020】
図5は、前記屈曲振動子21の音叉振動をY軸側から見たときの理想的な振動姿態を示したものである。このように、音叉腕部23,24の往復振動がX軸方向成分のみとなった場合に、R1及びQの改善効果が最大限に高まる。これに対して、図6(a),(b)のように、音叉腕部23,24にZ´方向成分の振動が生じたり、図6(c),(d)のように、音叉腕部23,24の中心部において、Z´方向成分の歪みが生じたりすると、前記R1及びQが悪化し、振動特性に影響を及ぼすものと考えられる。
【0021】
本発明の特徴的なところは、前記溝部25,26内の一部に補強壁部33を形成したことによって、図5に示したようなX軸方向成分のみの理想的な振動姿態を得ることにある。補強壁部33は、前記音叉基部22の一端から各溝部25,26内に突出し、中立線31に沿って形成されている。このような補強壁部33を前記各溝部25,26の音叉基部22側に設けることで、音叉振動の基点となる部分のZ’軸方向の屈曲剛性が高まり、振動ブレが生じなくなる。さらに、溝部25,26の内面電極と対向する音叉腕側面電極との間隔は補強部33の有無にかかわらず一定となっているため、電界効率の低下を生じることがなく等価直列抵抗(R1)の改善効果が得られることとなる。
【0022】
上記音叉腕部23,24の代表的な設計例は、腕幅W21が60μm、腕長L21が1140μm、溝長L22が800μm、腕厚t21が100μm、溝幅W22が50μm、溝厚t22が40μmに対して、壁幅W23が10μm、壁長L23が400μmである。
【0023】
以下、図15及び図16に示したような溝部15,16のみが形成された音叉腕部13,14を備えた屈曲振動子11と、図1に示したような補強壁部33を溝部25,26に有する音叉腕部23,24からなる屈曲振動子21とを比較して説明する。なお、比較対象となる前記屈曲振動子11,21は、補強壁部33以外の設計寸法は同一としている。前記補強壁部33のない音叉腕部13,14を有する屈曲振動子11であっても、各部の寸法を設計値どおりに誤差なく製造可能であるとするならば、図5に示したような理想的な振動姿態が得られ、諸特性に影響を及ぼすことがないが、実際には製造上のバラツキをなくすことは不可能である。特に小型の屈曲振動子の場合、表裏の外形パターニングのズレなどによって、図6(a)〜(d)に示したような不規則な振動姿態となり、これによって、諸特性に大きな影響を及ぼすことが実験によって判明している。例えば、音叉腕部の腕幅は60μmが設計値であるが、+Z´方向からの腕幅が60μmで、−Z´方向からの腕幅が58μmであった場合、R1及びQの劣化が実験によって確認されている。図7は、音叉腕部における表裏の幅寸法のズレ|ΔW|に対するR1の劣化現象を示したものである。この実験結果から、ズレ量1.5μmを閾値として、それ以上ではR1値の劣化が顕著となっている。
【0024】
これに対して、補強壁部33が設けられている音叉腕部23,24を有する屈曲振動子21では、前記音叉腕部23,24における表裏の幅寸法のズレ|ΔW|に対するR1の関係を調査した結果、図8に示すように、R1値が大幅に改善されていることが確認された。このように改善された理由としては、製造誤差が生じた場合であっても、図6(a)〜(d)に示したような、Z´軸方向の不要な振幅が抑制され、図5に示したようなX軸成分のみの理想的な振動姿態が得られるようになったことにある。これは、本発明及び従来例のいずれにおいても、設計値どおりの寸法に加工されると、Z´軸方向の振幅が抑えられることが判明されている。FEM解析ソフトであるANSYS11を用いて、ΔW=2μmのときのZ´振幅/X振幅比を本発明によるものと、従来例によるものとを比較した結果を次に示す。本発明の屈曲振動子21では9.4%であるのに対し、従来例の屈曲振動子11では58.9%と大幅に悪化している。これは、後述する図14に示すように、Z´方向への振動成分が音叉基部22からケース52に伝わり、振動漏れとなって諸特性に影響を及ぼしているものと考えられる。
【0025】
また、前述したように、製造誤差を有する場合にZ´/X振幅比が大きくなる現象は、図9に示すように、音叉振動の主モード周波数と、スプリアス周波数が近接しているときに顕著となる。つまり、周波数差Δfは、音叉腕部の厚みなどの設計寸法を変えることによって調整することは可能であるが、製造コストや製品価格などを考慮すると、厚みが100μm前後の製造寸法が妥当であり、また、パッケージサイズも小型化される傾向にあることから大幅な変更は実現できないのが現状である。
【0026】
前述したように、電界効率の向上化を図るために溝部を有して形成された音叉腕部にあっては、その溝部の加工寸法や加工精度によって、メインの音叉振動であるX軸方向からZ´軸方向にシフトした方向の振動が生じる場合がある。このような不要な振動成分が発生すると、本来の音叉振動に影響を及ぼし等価直列抵抗が大きくなるといった問題があったが、本発明のように、前記溝部内の一部に補強壁部を設けることで、このような問題が解消され、良好且つ安定した振動特性を得ることが可能となった。
【実施例】
【0027】
以下に、前記補強壁部33を設けた場合の屈曲振動子21の設計例を示す。補強壁部L23、W23の最適寸法は、W21、L21、L22、t21、W22、t22との関係で変わるため、その都度設計が必要になる。
(設計例1)
音叉腕部23,24の腕幅W21が50〜70μm、腕長L21が900〜1250μm、腕厚t21が60〜120μmに形成された場合、
溝部25,26の溝幅W22は、腕幅W21より2〜20μm細く、溝長L22は腕長L21の30〜80%、溝厚t22は腕厚t21の20〜50%であり、
補強壁部33の壁幅W23は3〜40μm、壁長L23は溝長L22の10%以上である。
(設計例2)
音叉腕部23,24の腕幅W21が30〜50μm、腕長L21が500〜1000μm、腕厚t21が30〜80μmに形成された場合、
溝部25,26の溝幅W22は、腕幅W21より2〜20μm細く、溝長L22は腕長L21の30〜80%、溝厚t22は腕厚t21の20〜50%であり、
補強壁部33の壁幅W23は3〜40μm、壁長L23は溝長L22の10%以上である。
【0028】
前記補強壁部33は、前記音叉基部22から溝部25,26内に突出して設けられることが重要な要素であり、W21、L21、L22、t21、W22、t22の設計寸法によっては、図10に例示するように、壁長L23は溝長L22の少なくとも1/10程度以上あれば、ブレや不要な振動を抑えることが可能である。
したがって、図11に示す屈曲振動子41のように、溝部45,46の溝長L22と同じ壁長を有するように補強壁部47を形成することもできる。このように、前記補強壁部47を溝部45,46の長手方向の一端から他端までの間に連続して形成することで、音叉腕部43,44の強度が増し、Z´軸方向の不要な振動モードを大幅に低減させることが可能となるとともに、溝の幅が略一様となるため溝加工時のエッチング深さ管理が容易になるという利点がある。
【0029】
また、図12に示すように、前記補強壁部33は溝部25,26内に形成されていればよく、その高さ(壁厚)t23は、それぞれの溝部25,26の溝厚t22と同じでなく、それ以下であっても諸特性に影響を及ぼすようなブレや不要な振動を抑える効果が得られる。なお、上記実施形態では、音叉腕部23,24の上面及び下面の両方に溝部25,26を設けたが、より薄型化及び小型化に対応するため、図13に示したように、音叉腕部23,24の上面側あるいは下面側のいずれか一方の面に溝部25,26及び補強壁部33を設けることによっても、従来のような溝部のみで補強壁部のないタイプの屈曲振動子に比べて、ブレや不要な振動の発生を抑えることができる。
【0030】
図14は、上記構造の音叉腕部23,24を有する音叉型の屈曲振動子51を気密封止可能なケース52内に封止したデバイス50の実装例を示したものである。前記屈曲振動子51は、図1〜図4に示した音叉基部22及び一対の音叉腕部23,24と、前記音叉基部22から延びる一対の支持腕部53を有して構成されている。前記支持腕部53は、その先端部分で前記音叉基部22及び音叉腕部23,24をケース52内に支持するとともに、ケース52内に設けられている端子電極部54との導通を図っている。このように、前記支持腕部53を長く延ばすことによって、前記ケース52が受ける衝撃が直接音叉腕部23,24に伝わらないようにするとともに、この音叉腕部23,24で生じた音叉振動の漏れを防止することができる。特に、前記音叉腕部23,24の腕幅を細くすることによって、小型化を図る構造の屈曲振動子51の場合に大きな効果が得られる。
【0031】
上記構造の屈曲振動子21は、水晶原石から所定のカット角の水晶基板を切り出す水晶基板形成工程、前記水晶基板の表面及び裏面に耐エッチング用の金属被膜を形成する金属レジスト形成工程、前記金属被膜の上に感光樹脂を塗布するフォトレジスト形成工程、前記感光樹脂の上に屈曲振動子の外形となるフォトマスクを装着し、露光・現像を行うフォトリソグラフィー工程、前記金属被膜をエッチングする金属エッチング工程、前記フォトマスクパターンに沿って水晶基板をエッチングする水晶エッチング工程を経ることによって形成され、最後に溝部や補強壁部の側面を含む屈曲振動子の表面に励振電極加工が施される。
【0032】
前記フォトマスクは、音叉基部22と、この音叉基部22から平行に延びる一対の音叉腕部23,24とによって形成される音叉型外形部と、前記音叉腕部23,24に形成される溝部25,26及び補強壁部33がパターン化されており、一回のフォトリソグラフィー工程において、前記音叉腕部23,24の外形形状と溝部25,26及び補強壁部33とが同時にパターニングされるか、音叉腕部23,24の外形形状が第一の加工となり溝部25,26及び補強壁部33とが第二の加工という2段階に加工される。
【0033】
また、前記水晶エッチング工程では、パターニングされた前記音叉腕部23,24の外形形状と溝部25,26及び補強壁部33とを同一のウェットエッチングプロセス条件の下で厚み方向に侵食を施すか、音叉腕部23,24の外形形状が第一の加工となり溝部25,26及び補強壁部33とが第二の加工という2段階に加工される。この水晶エッチング工程において、前記音叉腕部23,24の外形部は水晶基板の厚み方向を完全に抜き加工し、前記補強壁部33を残した溝部25,26は音叉腕部の厚みの1/2未満の範囲で表面及び裏面から侵食させる。
【0034】
前記水晶エッチング工程によって形成された音叉腕部23,24の側面、前記補強壁部33を含む溝部25,26の内側面には、加熱蒸着法やスパッタ法等によって励振電極が形成される。
【0035】
本実施形態では、水晶基板のエッチングに化学的なウェットエッチングを用いたが、水晶基板のカット角や厚み等に応じてプラズマなどの物理現象を利用したドライエッチングやパウダービームを用いて行うことも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の音叉型屈曲振動子の斜視図である。
【図2】上記音叉型屈曲振動子の平面図である。
【図3】図1の音叉型屈曲振動子のA−A断面図である。
【図4】図1の音叉型屈曲振動子のB−B断面図である。
【図5】音叉腕部における理想的な振動成分による振動姿態を示す説明図である。
【図6】音叉腕部における不要な振動成分を含む振動姿態を示す説明図である。
【図7】従来の音叉型屈曲振動子のR1特性を示すグラフである。
【図8】本発明の補強壁部を有した音叉型屈曲振動子のR1特性を示すグラフである。
【図9】音叉のメイン振動とその周辺のスプリアス振動の振幅比を表すグラフである。
【図10】補強壁部が溝部内に最小の壁長を有して形成された音叉型屈曲振動子の斜視図である。
【図11】補強壁部が溝部の長手方向の一端から他端までの間に連続して形成された音叉型屈曲振動子の斜視図である。
【図12】補強壁部が溝部の深さより低く形成された音叉腕部の断面図である。
【図13】溝部及び補強壁部が上面の一方にのみ有する構造の音叉腕部の断面図である。
【図14】本発明の音叉型屈曲振動子を収容したデバイスの平面図である。
【図15】従来の音叉型屈曲振動子の斜視図である。
【図16】上記従来の音叉型屈曲振動子のC−C断面図である。
【符号の説明】
【0037】
21 音叉型屈曲振動子
22 音叉基部
23,24 音叉腕部
25,26 溝部
29,30 励振電極
31 中立線
32 縁部
33 補強壁部
41 屈曲振動子
42 音叉基部
43,44 音叉腕部
45,46 溝部
47 補強壁部
50 デバイス
51 屈曲振動子
52 ケース
53 支持腕部
54 端子電極部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
音叉基部と、この音叉基部から平行して延びる一対の音叉腕部と、この音叉腕部の表面を長手方向に凹設した溝部とを備えた音叉型屈曲振動子において、
前記溝部には、長手方向に沿って前記音叉基部から延びる補強壁部が形成されていることを特徴とする音叉型屈曲振動子。
【請求項2】
前記溝部が前記一対の音叉腕部のそれぞれの上面及び下面に形成され、これら溝部の全てに前記補強壁部が形成される請求項1記載の音叉型屈曲振動子。
【請求項3】
前記補強壁部は、前記溝部の長手方向と直交する溝幅の略中央部に設けられる請求項1又は2に記載の音叉型屈曲振動子。
【請求項4】
前記補強壁部は、前記溝部の長手方向の一端から他端までの間に連続して形成される請求項1乃至3のいずれかに記載の音叉型屈曲振動子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−60347(P2009−60347A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−225380(P2007−225380)
【出願日】平成19年8月31日(2007.8.31)
【出願人】(000237444)リバーエレテック株式会社 (24)
【Fターム(参考)】