説明

音楽再生装置および音楽再生方法

【課題】 ユーザが歌ったメロディからユーザ所望の楽曲を的確に選択することができるようにする。
【解決手段】 音楽再生装置1は、音楽の一部または全部のメロディを示すメロディデータ22に関連付けてその音楽の音楽データ21を記憶した楽曲データ記憶部11と、ユーザ音声の音声入力信号からメロディを抽出するメロディ抽出部14と、メロディ抽出部14により抽出されたメロディのキーを所定のキーへ変換するとともに、楽曲データ記憶部11を検索し、キー変換したメロディを有する音楽データを検出する検索部16と、検索部16により検出された音楽データ21から音楽信号を再生する再生部12とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音楽再生装置および音楽再生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の音楽再生装置では、再生する楽曲を選局する場合に、ユーザによる操作に基づいて曲番号を選択したり、リスト内のいずれかの楽曲を選択したりしている(例えば特許文献1参照)。また、ユーザが曲の一部を歌った音声を採取し、その音声を分析して、楽曲を選択する技術も提案されている(例えば特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平3−290693号公報(特許請求の範囲欄など)
【特許文献2】特開平2−54300号公報(特許請求の範囲欄など)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、音声を入力するユーザの歌唱力はまちまちであり、ユーザが曲の一部を歌った音声を採取し、その音声を分析してユーザが歌ったメロディを特定しても、そのメロディからユーザ所望の楽曲を選択するのは難しい。
【0005】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、ユーザが歌ったメロディからユーザ所望の楽曲を的確に選択することができる音楽再生装置および音楽再生方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明では以下のようにした。
【0007】
本発明に係る音楽再生装置の1つは、音声入力信号から抽出されたメロディを取得し、そのメロディのキーを所定のキーへ変換するキー変換手段と、音楽の一部または全部のメロディを示すメロディデータに関連付けてその音楽の音楽データを記憶した所定の記憶部を検索し、キー変換手段によりキーを変換されたメロディを有する音楽データを検出する検索部と、検索部により検出された音楽データを所定の記憶部から出力させる出力部とを備える。
【0008】
また、本発明に係る音楽再生装置の1つは、ユーザ音声の音声入力信号からメロディを抽出するメロディ抽出部と、メロディ抽出部により抽出されたメロディのキーを所定のキーへ変換するキー変換手段と、音楽の一部または全部のメロディを示すメロディデータに関連付けてその音楽の音楽データを記憶した楽曲データ記憶部と、楽曲データ記憶部を検索し、キー変換手段によりキーを変換されたメロディを有する音楽データを検出する検索部と、検索部により検出された音楽データから音楽信号を再生する再生部とを備える。
【0009】
また、本発明に係る音楽再生装置の1つは、本発明に係る他の音楽再生装置のいずれかに加え、キー変換手段を次のようにしたものである。この装置では、キー変換手段は、各音楽データに関連付けられたメロディデータに基づき当該メロディデータのキーを特定し、その特定したキーへ、メロディ抽出部により抽出されたメロディのキーを変換する。
【0010】
また、本発明に係る音楽再生装置の1つは、本発明に係る他の音楽再生装置のいずれかに加え、検索部を次のようにしたものである。この装置では、検索部は、キー変換手段によりキー変換されたメロディと楽曲データ記憶部に記憶されているメロディデータのメロディとの類似度を計算し、その類似度に基づいて、メロディ抽出部により抽出されキー変換されたメロディを有する音楽データを検出する。
【0011】
また、本発明に係る音楽再生装置の1つは、本発明に係る他の音楽再生装置のいずれかに加え、ユーザ音声の音声入力信号から所定の語彙の言葉を検出する音声認識部と、再生部による音楽信号の再生の開始後に音声認識部により所定の語彙の言葉が検出された場合、再生部によるその音楽信号の再生を中止させ、別の音楽データから音楽信号を再生させる制御部とを備える。
【0012】
また、本発明に係る音楽再生装置の1つは、本発明に係る他の音楽再生装置のいずれかに加え、検索部および制御部を次のようにしたものである。この装置では、検索部は、キー変換されたメロディと記憶されているメロディデータのメロディとの類似度を計算し、制御部は、類似度の最も高いメロディデータに関連付けられた音楽データを再生部に再生させ、再生部による音楽信号の再生の開始後に音声認識部により所定の語彙が検出された場合、次に類似度の高いメロディデータに関連付けられた音楽データから音楽信号を再生させる。
【0013】
また、本発明に係る音楽再生装置の1つは、本発明に係る他の音楽再生装置のいずれかに加え、ユーザの音声入力を促す音声を出力させる音声出力制御部と、ユーザ音声の音声入力信号から所定の語彙の言葉を検出する音声認識部と、音声認識部により所定の第1の語彙の言葉が検出された場合、カラオケの音楽信号を再生部に再生させ、音声認識部により所定の第2の語彙の言葉が検出された場合、歌手の音声を含む音楽信号を再生部に再生させる制御部とを備える。
【0014】
また、本発明に係る音楽再生装置の1つは、本発明に係る他の音楽再生装置のいずれかに加え、キー変換手段による変換の前後のキーの差分だけ音楽データのキーをずらす音楽キー変換手段を備える。
【0015】
また、本発明に係る音楽再生装置の1つは、本発明に係る他の音楽再生装置のいずれかに加え、再生部による音楽信号の再生中に、メロディ抽出部により抽出されたメロディのキーへ、音楽データのキーをずらす音楽キー変換手段を備える。
【0016】
本発明に係る音楽再生方法の1つは、ユーザ音声の音声入力信号からメロディを抽出するステップと、音楽の一部または全部のメロディを示すメロディデータに関連付けてその音楽の音楽データを記憶した所定の記憶部を検索し、抽出したメロディを有する音楽データを検出するステップと、検出された音楽データから音楽信号を再生するステップとを備える。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ユーザが歌ったメロディからユーザ所望の楽曲を的確に選択することができる音楽再生装置および音楽再生方法を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0019】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る音楽再生装置の構成を示すブロック図である。図1では、音楽再生装置1に、マイクロホン2、スピーカ3および表示装置4が接続される。
【0020】
音楽再生装置1において、楽曲データ記憶部11は、音楽の一部または全部のメロディを示すメロディデータに関連付けてその音楽の音楽データを記憶した半導体メモリ、ハードディスクドライブなどのデータ格納装置である。
【0021】
図2は、実施の形態1に係る音楽再生装置における楽曲データ記憶部11に記憶された楽曲データを示すブロック図である。楽曲データ記憶部11には、各楽曲について、PCM(Pulse Code Modulation )、MP3(MPEG Audio layer 3)などで音楽信号をコーディングして得られた音楽データ21と、メロディデータ22とが互いに関連付けられて記憶される。音楽データ21とメロディデータ22は、楽曲ごとに楽曲データ23として格納される。なお、メロディデータ22は、楽曲のイントロ部分、サビ部分あるいは全体について、楽曲のボーカル部分の各音の高さ、長さなどの情報を有する。また、音楽データ21は、MIDI(Musical Instrument Digital Interface)データでもよい。
【0022】
また、再生部12は、楽曲データ記憶部11から音楽データ21を読み出しその音楽データ21から音楽信号を再生する回路、処理装置などである。音楽データ21がMIDIデータである場合、再生部12は、予め内蔵された音源データを、MIDIデータによる指示に従って再生して音楽信号を生成する。なお、再生部12は、楽曲データ記憶部11から音楽データ21を出力させる出力部として機能する。また、アンプ13は、再生部12により再生された音楽信号とマイクロホン2から供給される音声信号とを混合し、混合後の信号を増幅しスピーカ3へ出力する回路である。
【0023】
また、メロディ抽出部14は、ユーザ音声の音声入力信号からメロディを抽出する回路、処理装置等である。メロディ抽出部14は、マイクロホン2からのアナログ音声信号をサンプリングして波形データとし、波形データからパワーデータとピッチデータを抽出し、パワーデータおよびピッチデータの時系列データからメロディを特定する。
【0024】
また、音声認識部15は、マイクロホン2から供給される音声信号を解析し、ユーザ音声の音声入力信号から所定の語彙における言葉を検出する回路、処理装置等である。音声認識部15は、音声信号をサンプリングして音声データとし、雑音を除去した後、図示せぬ単語データベースを参照して、この音声データから音声認識処理により得られる可能性のあるすべての単語の候補と各候補の尤度(スコア)を特定し、最も尤度の高い単語を選択し、音声データをテキストデータに変換する。さらに、音声認識部15は、このテキストデータに対して形態素解析を行い、このテキストデータを品詞ごとに分類し、分類された品詞のうちの名詞や動詞のうち、所定の言葉が存在するか否かを判定する。
【0025】
また、検索部16は、メロディ抽出部14により抽出されたメロディのキーを所定のキーへ変換するキー変換手段として機能するとともに、楽曲データ記憶部11を検索し、制御部17によりキーを変換されたメロディを有する音楽データ21を検出する回路、処理装置等である。なお、キーを変換するとは、メロディ全体の音の高さを一定量高くしたり低くしたりすることという。なお、ユーザの音声入力によるメロディの全部をメロディデータの一部または全部として有する音楽データがない場合には、ユーザの音声入力によるメロディの一部をメロディデータの一部または全部として有する音楽データが検出される。
【0026】
また、制御部17は、各部を制御する回路等であって、メロディ抽出部14により抽出されたメロディデータを検索部16に供給し検索を実行させたり、検索部16により検出された音楽データ21を再生部12に再生させる回路、処理装置などである。また、制御部17は、表示装置4に各種情報を表示させる。
【0027】
なお、メロディ抽出部14、音声認識部15、検索部16および制御部17は、上述の機能を記述したプログラムを記憶したメモリおよびそのプログラムを実行するマイクロプロセッサで実現することができる。
【0028】
次に、上記装置の動作について説明する。図3は、実施の形態1に係る音楽再生装置1の動作を説明するフローチャートである。
【0029】
まず、制御部17は、図示せぬ操作部に対して所定の操作があるか否かを監視しており、所定の操作が発生した場合、音声入力に対する自動音声認識を開始し(ステップS1)、図示せぬタイマをセットして所定の時間の計時を開始する(ステップS2)。
【0030】
次に、制御部17は、タイマにより計時される所定の時間内に、マイクロホン2に対する音声入力があるか否かを監視する(ステップS3,S4)。その際、制御部17は、マイクロホン2からの音声信号のレベルを監視する。この時間内に音声入力がない場合には、音楽再生装置1はこの処理を終了する。
【0031】
一方、制御部17は、マイクロホン2からの音声信号が検出されると、音声入力があったと判定し、メロディ抽出部14にその音声信号のサンプリングを開始させる(ステップS5)。そして、サンプリングから一定時間が経過するか、あるいは音声入力が終了したら、音声再生装置1は、メロディ抽出部14によるサンプリングを終了させる(ステップS6)。メロディ抽出部14は、サンプリングしたユーザの音声からメロディを抽出する。
【0032】
メロディ抽出部14により抽出されたメロディの情報は、制御部17に供給される。制御部17は、そのメロディの情報を検索部16に供給し、そのメロディを検索キーとして、楽曲データ23を検索させる。
【0033】
検索部16は、ユーザが入力したメロディの情報を受け取ると、そのメロディのキーを変換し(ステップS7)、楽曲データ23の検索を開始する。ユーザが入力したメロディのキー変換は、所定の基準キーへ変換するようにしてもよいし、楽曲データ23に楽曲のキーを予めデータとして含めておき、そのキーの高さに応じて、楽曲のキーに一致するようにユーザが入力したメロディのキー変換を行うようにしてもよい。
【0034】
そして、検索部16は、楽曲データ23を1つ選択し、ユーザの音声によるメロディと、その楽曲データ23のメロディデータ22とを比較し(ステップS8)、ユーザの音声によるメロディに対して一致部分がメロディデータ22に存在するか否かを判定する(ステップS9)。
【0035】
検索部16は、ユーザの音声によるメロディに対して一致部分が存在しない場合には、ユーザの音声によるメロディをすべてのメロディデータ22と比較したか否かを判定する(ステップS10)。ユーザの音声によるメロディをすべてのメロディデータ22と比較していない場合には、検索部16は、比較していない別のメロディデータ22を選択し(ステップS11)、ユーザの音声によるメロディと、選択した別のメロディデータと22を比較する(ステップS8)。検索部16がすべてのメロディデータ22と比較したと判定した場合には、制御部17は、ユーザの音声によるメロディに該当する楽曲がない旨のメッセージの表示を表示装置4に行わせ(ステップS12)、この処理を終了する。なお、ステップS12において、楽曲データ記憶部11に予め記憶された案内用音声データを再生部12に再生させ、ユーザの音声によるメロディに該当する楽曲がない旨の音声を出力させるようにしてもよい。
【0036】
このようにして、一致部分のあるメロディデータが検出されるか、すべてのメロディデータとの比較が完了するまで、音楽再生装置1は、検索を継続する。
【0037】
そして、一致部分のあるメロディデータ22が検出されると、検索部16は、そのメロディデータ22を含む楽曲データ23(あるいはそのメロディデータ22に関連付けられた音楽データ21)の情報を制御部17に通知する。制御部17は、その楽曲データ23の音楽データ21の再生を、再生部12に開始させる(ステップS13)。
【0038】
再生後、制御部17は、音声認識部15により検出されるユーザの音声入力を監視し、「この曲は違う」旨の音声入力が発生したと判定した場合には(ステップS14)、その音楽データ21の再生を中止させ、ステップS11へ移行し、検索部16に、ユーザの音声入力によるメロディとさらに別のメロディデータ22との比較を再度行わせ、ユーザの入力したメロディに該当する別の楽曲データ23(別の音楽データ21)の検出を試みる。
【0039】
そして、検索部16により別の楽曲データが検出された場合には、制御部17は、その楽曲データ23の音楽データ21の再生を、再生部12に開始させる(ステップS13)。
【0040】
「この曲は違う」旨の音声入力が発生しない場合には、制御部17は、再生部12による再生を継続させ、その音楽データ21の最後まで再生を行わせ、その音楽データ21の最後まで再生が完了すると、この処理を終了する(ステップS15)。
【0041】
以上のように、上記実施の形態1に係る音楽再生装置1は、音楽の一部または全部のメロディを示すメロディデータ22に関連付けてその音楽の音楽データ21を記憶した楽曲データ記憶部11と、ユーザ音声の音声入力信号からメロディを抽出するメロディ抽出部14と、メロディ抽出部14により抽出されたメロディのキーを所定のキーへ変換するとともに、楽曲データ記憶部11を検索し、キー変換したメロディを有する音楽データ21を検出する検索部16と、検索部16により検出された音楽データ21から音楽信号を再生する再生部12とを備える。
【0042】
これにより、ユーザが音声入力したメロディが適宜キー変換された後、その変換後のメロディとメロディデータ22とを比較するため、ユーザが歌ったメロディからユーザ所望の楽曲を的確に選択することができる。
【0043】
また、上記実施の形態1に係る音楽再生装置1は、ユーザ音声の音声入力信号から所定の語彙の言葉を検出する音声認識部15と、再生部12による音楽信号の再生の開始後に音声認識部15により所定の語彙の言葉(「この曲は違う」等)が検出された場合、再生部12によるその音楽信号の再生を中止させ、別の音楽データ21から音楽信号を再生させる制御部17とを備える。
【0044】
これにより、ユーザの音声入力だけで、誤って選曲された音楽の再生が停止され、ユーザによる操作を軽減することができる。特にカラオケの場合には、ユーザはマイクロホン2を持っているので、音声入力を簡単に行え、誤選曲された音楽の再生を簡単に停止させることができる。
【0045】
実施の形態2.
本発明の実施の形態2に係る音楽再生装置1は、上述の実施の形態1に係る音楽再生装置に加え、検索時にキー変換した分だけ、音楽データ再生時の音楽データ21のキーを変更するようにしたものである。
【0046】
実施の形態2に係る音楽再生装置1は、実施の形態1に係る音楽再生装置1と同様の構成を有する。ただし、制御部17は、検索部16によるユーザの音声入力のメロディに対するキー変換時のキーの変更幅の情報を再生部12に供給する。そして、再生部12は、音楽キー変換手段として機能し、音楽データ21を再生する際に、そのキーの変更幅の情報に基づいて、再生される音楽信号のキーを調整する。つまり、メロディデータ22のメロディより、ユーザが入力した音声のメロディが高い場合には、再生部12は、音楽データ22の再生信号のキーを高くする。その際、制御部17は、ユーザが音声入力したメロディ、およびメロディデータ22の該当部分について、それぞれ音程差の平均を計算し、その平均値の差の分だけ、音楽データ21のキーを調整する。
【0047】
なお、実施の形態2に係る音楽再生装置1のその他の構成および動作については実施の形態1の場合と同様であるので、その説明を省略する。
【0048】
以上のように、上記実施の形態2によれば、再生部12は、検索部16によるユーザ音声入力に対するキー変換の前後のキーの差分だけ音楽データ21のキーをずらす。これにより、カラオケの場合、キー調整が不要となり、ユーザが歌いやすいカラオケ音楽が再生される。
【0049】
実施の形態3.
本発明の実施の形態3に係る音楽再生装置1Aは、上述の実施の形態1または2に係る音楽再生装置1にエージェント機能を追加したものである。
【0050】
図4は、本発明の実施の形態3に係る音楽再生装置1Aの構成を示すブロック図である。図4において、楽曲データ記憶部11Aは、楽曲データ記憶部11と同様の記憶部であって、音楽の一部または全部のメロディを示すメロディデータ22に関連付けてその音楽のカラオケ音楽データ21Aおよび音声入り音楽データ21Bを記憶した半導体メモリ、ハードディスクドライブなどのデータ格納装置である。
【0051】
図5は、実施の形態3に係る音楽再生装置1Aにおける楽曲データ記憶部11Aに記憶された楽曲データを示すブロック図である。楽曲データ記憶部11Aには、各楽曲について、PCM、MP3などで音楽信号をコーディングして得られた音楽データ21A,21Bと、メロディデータ22とが互いに関連付けられて記憶される。音楽データ21A,21Bとメロディデータ22は、楽曲ごとに楽曲データ23Aとして格納される。カラオケ音楽データ21Aは、例えばMIDIデータとされていてもよい。
【0052】
また、制御部17Aは、制御部17と同様の機能の他、エージェント機能を有する。このエージェント機能は、音声合成部41および再生部12を制御して、ユーザの音声入力を促す音声を出力させる音声出力制御部としての機能、並びに音声認識部15により所定の第1の語彙の言葉(「カラオケ」等)が検出された場合、カラオケ音楽データ21Aに基づきカラオケの音楽信号を再生部12に再生させ、音声認識部15により所定の第2の語彙の言葉(「音楽」等)が検出された場合、音声入り音楽データ21Bに基づき歌手の音声を含む音楽信号を再生部12に再生させる機能を含む。
【0053】
また、音声合成部41は、制御部17Aの指令に応じて、エージェントの音声データを合成する回路、処理装置等である。
【0054】
なお、図4に示すその他の構成要素については、実施の形態1(図1)のものと同様であるので、その説明を省略する。
【0055】
次に、上記装置の動作について説明する。
【0056】
実施の形態3では、制御部17Aは、まず、図示せぬ操作部に対して所定の操作があるか否かを監視し、所定の操作が発生した場合、ユーザの音声入力を促す音声データ(「カラオケと音楽のどちらにしますか?」等)を音声合成部41に合成させ、その音声データを再生部12に再生させる。
【0057】
その後、制御部17Aは、音声認識部15により認識されるユーザの音声を監視し、音声認識部15により所定の第1の語彙の言葉(「カラオケ」等)、あるいは所定の第2の語彙の言葉(「音楽」等)が検出されたかを判定する。
【0058】
さらに、その後、ユーザにメロディの音声入力を促す音声データ(「御希望の曲のメロディを歌ってください」等)を音声合成部41に合成させ、その音声データを再生部12に再生させる。この後、音楽再生装置1Aは、上述の実施の形態1でのステップS1からの処理を行う。
【0059】
そして、音楽再生装置1Aの制御部17Aは、検索部16により、ユーザが入力されたメロディに該当するメロディデータ22が検出されると、先に、音声認識部15により所定の第1の語彙の言葉(「カラオケ」等)が検出された場合、カラオケ音楽データ21Aに基づきカラオケの音楽信号を再生部12に再生させ、音声認識部15により所定の第2の語彙の言葉(「音楽」等)が検出された場合、音声入り音楽データ21Bに基づき歌手の音声を含む音楽信号を再生部12に再生させる。
【0060】
なお、音楽再生装置1Aのその他の動作については、実施の形態1に係る音楽再生装置1の動作と同様であるので、その説明を省略する。
【0061】
また、実施の形態3において、上述した音声によるエージェントに加えて、擬人化したエージェントの画像を表示装置4に表示するようにしてもよい。
【0062】
以上のように、上記実施の形態3に係る音楽再生装置1Aは、ユーザ音声の音声入力信号から所定の語彙の言葉を検出する音声認識部14と、ユーザの音声入力を促す音声を出力させるとともに、音声認識部14により所定の第1の語彙の言葉(カラオケ楽曲を選択するための言葉群の1つ)が検出された場合、カラオケの音楽信号を再生部12に再生させ、音声認識部14により所定の第2の語彙の言葉(音声入り楽曲を選択するための言葉群の1つ)が検出された場合、歌手の音声を含む音楽信号を再生部12に再生させる制御部17とを備える。
【0063】
これにより、ユーザが親しみ易く、所望の音楽(カラオケ楽曲か音声入り楽曲)を簡単に選択することができる。
【0064】
なお、上述の各実施の形態は、本発明の好適な例であるが、本発明は、これらに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変形、変更が可能である。
【0065】
例えば、上述の各実施の形態に係る音楽再生装置の代わりに、携帯電話機とサーバとを有するシステムにおいて、携帯電話機によりユーザの歌声(音声入力)を採取し、サーバにより上述の各実施の形態に係る音楽再生装置1の処理と同様の処理を行ってその歌声に対応する音楽データ(着信時に再生される音楽データなど)を特定し、サーバからその音楽データを携帯電話機へダウンロードするようにしてもよい。その場合、サーバに、楽曲データ記憶部11、メロディ抽出部14、音声認識部15、検索部16、制御部17を設け、サーバへ音声信号を送信し、サーバから音楽データをダウンロードするようにしてもよいし、あるいは、携帯電話機に、メロディ抽出部14および音声認識部15を設け、サーバに、楽曲データ記憶部11、検索部16および制御部17を設け、サーバへユーザの入力したメロディの情報を送信し、サーバから音楽データをダウンロードするようにしてもよい。
【0066】
また、上述の各実施の形態において、音楽データ21からメロディデータ22を抽出する回路や装置を設けるようにしてもよい。その場合には、例えば音楽データのうちのボーカル部分の音声を抜き出しその部分のメロディをメロディ抽出部14により抽出すればよい。
【0067】
また、上記各実施の形態において、検索部16は、キー変換したメロディと楽曲データ記憶部11に記憶されているメロディデータ22のメロディとの類似度を計算し、その類似度に基づいて、所望の音楽データ21を検出するようにしてもよい。その場合、類似度は、例えば、メロディ内の各音の音程の差などに基づいて計算される。
【0068】
また、上記各実施の形態において、検索部16が、キー変換されたメロディと楽曲データ記憶部11に記憶されている複数の、あるいはすべてのメロディデータ22のメロディとの類似度を計算し、制御部17は、類似度の最も高いメロディデータ22に関連付けられた音楽データを再生部に再生させ、再生部12による音楽信号の再生の開始後に音声認識部15により所定の語彙の言葉(「この曲は違う」等)が検出された場合、次に類似度の高いメロディデータ22に関連付けられた音楽データ21から音楽信号を再生させるようにしてもよい。
【0069】
なお、再生中に、メロディ抽出部14がユーザ音声の音声入力信号からメロディを抽出し、制御部17,17Aは、再生部12を制御して、再生中に抽出されたメロディのキーに音楽信号のキーが合うように、再生される音楽データのキーをずらすようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、例えば、カラオケ装置に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】図1は、本発明の実施の形態1に係る音楽再生装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、実施の形態1に係る音楽再生装置における楽曲データ記憶部に記憶された楽曲データを示すブロック図である。
【図3】図3は、実施の形態1に係る音楽再生装置の動作を説明するフローチャートである。
【図4】図4は、本発明の実施の形態3に係る音楽再生装置の構成を示すブロック図である。
【図5】図5は、実施の形態3に係る音楽再生装置における楽曲データ記憶部に記憶された楽曲データを示すブロック図である。
【符号の説明】
【0072】
1,1A 音楽再生装置
11,11A 楽曲データ記憶部
12 再生部(再生部,出力部,音楽キー変換手段)
14 メロディ抽出部
15 音声認識部
16 検索部(キー変換手段,検索部)
17,17A 制御部(制御部,音声出力制御部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声入力信号から抽出されたメロディを取得し、そのメロディのキーを所定のキーへ変換するキー変換手段と、
音楽の一部または全部のメロディを示すメロディデータに関連付けてその音楽の音楽データを記憶した所定の記憶部を検索し、上記キー変換手段によりキーを変換されたメロディを有する音楽データを検出する検索部と、
上記検索部により検出された音楽データを上記所定の記憶部から出力させる出力部と、
を備えることを特徴とする音楽再生装置。
【請求項2】
ユーザ音声の音声入力信号からメロディを抽出するメロディ抽出部と、
上記メロディ抽出部により抽出されたメロディのキーを所定のキーへ変換するキー変換手段と、
音楽の一部または全部のメロディを示すメロディデータに関連付けてその音楽の音楽データを記憶した楽曲データ記憶部と、
上記楽曲データ記憶部を検索し、上記キー変換手段によりキーを変換されたメロディを有する音楽データを検出する検索部と、
上記検索部により検出された音楽データから音楽信号を再生する再生部と、
を備えることを特徴とする音楽再生装置。
【請求項3】
前記キー変換手段は、各音楽データに関連付けられたメロディデータに基づき当該メロディデータのキーを特定し、その特定したキーへ、上記メロディ抽出部により抽出されたメロディのキーを変換することを特徴とする請求項1または請求項2記載の音楽再生装置。
【請求項4】
前記検索部は、前記キー変換手段によりキー変換されたメロディと前記楽曲データ記憶部に記憶されているメロディデータのメロディとの類似度を計算し、その類似度に基づいて、前記メロディ抽出部により抽出されキー変換されたメロディを有する音楽データを検出することを特徴とする請求項1または請求項2記載の音楽再生装置。
【請求項5】
ユーザ音声の音声入力信号から所定の語彙の言葉を検出する音声認識部と、
前記再生部による音楽信号の再生の開始後に上記音声認識部により所定の語彙の言葉が検出された場合、前記再生部によるその音楽信号の再生を中止させ、別の音楽データから音楽信号を再生させる制御部と、
を備えることを特徴とする請求項2記載の音楽再生装置。
【請求項6】
前記検索部は、キー変換されたメロディと記憶されているメロディデータのメロディとの類似度を計算し、
前記制御部は、上記類似度の最も高いメロディデータに関連付けられた音楽データを前記再生部に再生させ、前記再生部による音楽信号の再生の開始後に上記音声認識部により所定の語彙が検出された場合、次に類似度の高いメロディデータに関連付けられた音楽データから音楽信号を再生させること、
を特徴とする請求項5記載の音楽再生装置。
【請求項7】
ユーザの音声入力を促す音声を出力させる音声出力制御部と、
ユーザ音声の音声入力信号から所定の語彙の言葉を検出する音声認識部と、
上記音声認識部により所定の第1の語彙の言葉が検出された場合、カラオケの音楽信号を前記再生部に再生させ、上記音声認識部により所定の第2の語彙の言葉が検出された場合、歌手の音声を含む音楽信号を前記再生部に再生させる制御部と、
を備えることを特徴とする請求項1または請求項2記載の音楽再生装置。
【請求項8】
前記キー変換手段による変換の前後のキーの差分だけ前記音楽データのキーをずらす音楽キー変換手段を備えることを特徴とする請求項1または請求項2記載の音楽再生装置。
【請求項9】
前記再生部による音楽信号の再生中に、前記メロディ抽出部により抽出されたメロディのキーへ、前記音楽データのキーをずらす音楽キー変換手段を備えることを特徴とする請求項2記載の音楽再生装置。
【請求項10】
ユーザ音声の音声入力信号からメロディを抽出するステップと、
音楽の一部または全部のメロディを示すメロディデータに関連付けてその音楽の音楽データを記憶した所定の記憶部を検索し、抽出した上記メロディを有する音楽データを検出するステップと、
検出された上記音楽データから音楽信号を再生するステップと、
を備えることを特徴とする音楽再生方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−276560(P2006−276560A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−96869(P2005−96869)
【出願日】平成17年3月30日(2005.3.30)
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】