説明

顔向き検出装置

【課題】検出精度の向上及び演算負荷の低減の少なくとも一方につながる新たな顔向き検出装置を提供する。
【解決手段】顔向き検出装置12は、特徴部抽出手段24により抽出された複数の特徴部の中から人物100の鼻孔124を抽出する鼻孔抽出手段24を有する。鼻孔抽出手段24は、複数の特徴部のうち最も移動量の大きい特徴部を鼻孔124として抽出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、人物(車両の乗員等)の顔向きを検出する顔向き検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、化粧等を施した場合でも、顔画像から眼部を精度良く検出する装置を提供するため、顔画像において特定部位のエッジを検出し、当該エッジに基づいて眼の状態を判定する技術が記載されている(要約)。特許文献1では、判定した眼部の状態を、視線方向の計測及び覚醒度の推定に用いることが念頭に置かれている([0002])。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−140270号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように、特許文献1では、視線方向の計測や覚醒度の推定のために眼部を精度良く検出することが企図されているが、検出精度や演算負荷の点で未だ改善する余地がある。
【0005】
この発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、検出精度の向上及び演算負荷の低減の少なくとも一方につながる新たな顔向き検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る顔向き検出装置は、人物の画像(以下「人物画像」という。)から前記人物の顔端を検出する顔端検出手段と、前記顔端検出手段により検出された前記顔端に基づいて前記人物の頭部回転軸を算出する頭部回転軸算出手段と、前記人物画像から所定の大きさを持った複数の特徴部を抽出する特徴部抽出手段と、前記特徴部抽出手段により抽出された複数の特徴部の中から前記人物の鼻孔を抽出する鼻孔抽出手段と、前記鼻孔抽出手段により抽出された前記鼻孔と前記頭部回転軸算出手段により算出された前記頭部回転軸に応じて前記人物の左右の顔向きを検出する顔向き検出手段とを備え、前記鼻孔抽出手段は、前記複数の特徴部のうち最も移動量の大きい特徴部を前記鼻孔として抽出することを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、鼻孔を用いて乗員の顔向きを検出する。このため、例えば、眼部を検出する従来技術に加えてこの発明を用いることで顔向き検出又は視線方向の検出の精度を向上させることが可能となる。また、乗員が眼鏡又はサングラスをかけている場合でも顔向きの検出が可能となる。従って、乗員が眼鏡又はサングラスをかけている場合に検出不能となる可能性がある視線方向の検出の場合と比べて適用場面を広げることが可能となる。また、左右の顔向きを変化させる場合、目、眉、口及び髭と比較して、鼻孔は頭部回転軸から相対的に離れた位置にあるため、顔向きの変化に伴う移動量が相対的に大きくなる。このため、鼻孔を用いることにより、左右の顔向きの変化を高精度に検出することが可能となる。
【0008】
さらに、この発明によれば、人物画像から顔端を検出し、検出した顔端に基づいて頭部回転軸を算出する。また、人物画像から複数の特徴部を抽出し、抽出した複数の特徴部のうち最も移動量が大きいものを鼻孔として抽出する。そして、算出した頭部回転軸と抽出した鼻孔とを用いて左右の顔向きを検出する。これにより、左右の顔向きに関する新たな検出方法を提供することができる。加えて、複数の特徴部の検出方法や各特徴部の移動量の演算方法によっては、処理負荷を軽減することが可能となる。
【0009】
前記特徴部抽出手段は、所定の大きさを持ち且つ所定輝度より低い複数の低輝度領域を前記複数の特徴部として前記人物画像から抽出する低輝度領域抽出手段を備え、前記鼻孔抽出手段は、前記低輝度領域抽出手段により抽出された前記複数の低輝度領域のうち最も移動量の多い低輝度領域を前記鼻孔として抽出してもよい。
【0010】
人物画像において所定の大きさを持った低輝度領域は、当該所定の大きさによって限定されたものとなる。例えば、人種によっては、瞳孔、眉及び髭等がそのもの自体の色として低輝度であり、また、鼻孔及び口(口の中)等が陰の発生により低輝度となる。このように抽出対象となる低輝度領域は、限定されたものとすることが可能であると共に、輝度に応じた2値化をした上での処理が可能となる。このため、比較的単純且つ高精度な処理を行うことが可能となる。
【0011】
前記低輝度領域抽出手段は、前記顔端検出手段により検出された前記顔端の内側を鼻孔候補抽出領域とし、該鼻孔候補抽出領域内だけで所定の大きさを持った複数の低輝度領域を抽出してもよい。これにより、鼻孔の抽出領域を限定することができるため、演算負荷を低減し、処理速度を向上することが可能となる。
【0012】
前記顔向き検出装置は、さらに、車両に搭載されて前記車両の乗員が操作可能な複数の車載機器と、前記乗員の顔を撮像可能な撮像手段と、前記顔向き検出手段により検出された前記顔向きに基づいて前記複数の車載機器のうちいずれかの車載機器を特定する車載機器特定手段とを備え、前記顔端検出手段は、前記撮像手段が撮像した前記乗員の顔画像を前記人物画像として前記乗員の顔端を検出し、前記車載機器特定手段は、前記顔向き検出手段により検出された前記顔向きに基づいて前記車載機器を特定してもよい。
【0013】
乗員が操作を意図する車載機器のある方向に顔を向けて当該車載機器を操作対象機器として特定する車両では、車載機器の操作のために頭部の回転角度が比較的大きくなる場合が多いといえる。このため、鼻孔の検出精度を上げ易くなるため、この発明を適用することにより、顔向きの検出精度を向上することが可能となる。
【0014】
この発明に係る顔向き検出装置は、人物の頭部を撮像する撮像部と、前記頭部の画像(以下「頭部画像」という。)から前記頭部の左右のエッジを検出するエッジ検出部と、前記左右のエッジを用いて前記頭部画像における前記頭部の回転軸の位置を特定する回転軸特定部と、前記頭部画像において所定輝度よりも低い閾値を下回る領域又は前記所定輝度よりも高い閾値を上回る領域である複数の特徴領域を抽出する特徴領域抽出部と、前記複数の特徴領域それぞれについて前記頭部の回転に伴う変位量を演算する変位量算出部と、前記複数の特徴領域のうち前記変位量が最も大きい領域(以下「最大変位領域」という。)を特定する最大変位領域特定部と、前記顔を正面からみたときの前記顔における上下方向の中心線を前記最大変位領域に基づいて特定する中心線特定部と、前記頭部画像における前記回転軸と前記中心線との相対的な位置関係に基づいて前記顔の向きを算出する顔向き算出部とを備えることを特徴とする。
【0015】
この発明によれば、顔向きの新たな検出方法を提供することができる。また、この発明では、いわゆるパターンマッチングを使用しないため、演算負荷を軽減できる可能性がある。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、鼻孔を用いて乗員の顔向きを検出する。このため、例えば、眼部を検出する従来技術に加えてこの発明を用いることで顔向き検出又は視線方向の検出の精度を向上させることが可能となる。また、乗員が眼鏡又はサングラスをかけている場合でも顔向きの検出が可能となる。従って、乗員が眼鏡又はサングラスをかけている場合に検出不能となる可能性がある視線方向の検出の場合と比べて適用場面を広げることが可能となる。また、左右の顔向きを変化させる場合、目、眉、口及び髭と比較して、鼻孔は頭部回転軸から相対的に離れた位置にあるため、顔向きの変化に伴う移動量が相対的に大きくなる。このため、鼻孔を用いることにより、左右の顔向きの変化を高精度に検出することが可能となる。
【0017】
さらに、この発明によれば、人物画像から顔端を検出し、検出した顔端に基づいて頭部回転軸を算出する。また、人物画像から複数の特徴部を抽出し、抽出した複数の特徴部のうち最も移動量が大きいものを鼻孔として抽出する。そして、算出した頭部回転軸と抽出した鼻孔とを用いて左右の顔向きを検出する。これにより、左右の顔向きに関する新たな検出方法を提供することができる。加えて、複数の特徴部の検出方法や各特徴部の移動量の演算方法によっては、処理負荷を軽減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】この発明の一実施形態に係る顔向き検出装置としての車載機器操作装置を搭載した車両の全体ブロック図である。
【図2】前記車両のフロントウィンドウ周辺の外観図である。
【図3】前記車両のステアリングホイールの外観正面図である。
【図4】前記車両のドアミラーの外観斜視図である。
【図5】前記フロントウィンドウ周辺を5つの領域に区切った状態を示す図である。
【図6A】オーディオ装置の音量を変える場合の運転者の第1動作例を示す図である。
【図6B】オーディオ装置の音量を変える場合の運転者の第2動作例を示す図である。
【図6C】オーディオ装置の音量を変える場合の運転者の第3動作例を示す図である。
【図7A】ヘッドアップディスプレイ(HUD)を表示し、車速や燃費を確認する場合の運転者の第1動作例を示す図である。
【図7B】前記HUDを表示し、車速や燃費を確認する場合の運転者の第2動作例を示す図である。
【図7C】前記HUDを表示し、車速や燃費を確認する場合の運転者の第3動作例を示す図である。
【図8A】助手席側ウィンドウを開閉する場合の運転者の第1動作例を示す図である。
【図8B】助手席側ウィンドウを開閉する場合の運転者の第2動作例を示す図である。
【図8C】助手席側ウィンドウを開閉する場合の運転者の第3動作例を示す図である。
【図9】各車載機器の選択方法と操作方法の一覧を表示する図である。
【図10】各機能のボタン割当一覧を表示する図である。
【図11】各車載機器を選択又は操作するフローチャートである。
【図12】シリンダ法の概要を説明するための説明図である。
【図13】電子制御装置(以下「ECU」という。)が運転者の注視方向を検知するフローチャートである。
【図14A】顔画像の取得を行う様子を示す図である。
【図14B】特徴点の抽出を行う様子を示す図である。
【図14C】顔端の検出、並びに顔(頭部)の回転軸、乗員カメラの光軸と前記回転軸がなす角度及び顔(頭部)の半径の算出を行う様子を示す図である。
【図14D】鼻孔候補抽出領域の絞り込みを行う様子を示す図である。
【図14E】鼻孔候補の抽出を行う様子を示す図である。
【図14F】鼻孔の検出、及び顔を正面からみたときの上下方向の中心線の算出を行う様子を示す図である。
【図15】顔向きθの算出方法を説明するための平面図である。
【図16】顔が回転したときにおける目及び鼻孔の移動量及び形状変化を説明するための説明図である。
【図17】前記ECUが操作対象機器を選択するフローチャートである。
【図18】運転者の注視方向が中央方向である場合に操作対象機器を選択するフローチャートである。
【図19】運転者の注視方向が正面方向である場合に操作対象機器を選択するフローチャートである。
【図20】運転者の注視方向が右方向である場合に操作対象機器を選択するフローチャートである。
【図21】運転者の注視方向が左方向である場合に操作対象機器を選択するフローチャートである。
【図22】前記ECUが操作対象機器を操作するフローチャートである。
【図23】ナビゲーション装置の操作を行うフローチャートである。
【図24】オーディオ装置の操作を行うフローチャートである。
【図25】エアコンディショナの操作を行うフローチャートである。
【図26】HUDの操作を行うフローチャートである。
【図27】ハザードランプの操作を行うフローチャートである。
【図28】運転者用のシートの操作を行うフローチャートである。
【図29】後方ライトの操作を行うフローチャートである。
【図30】運転席側ウィンドウの操作を行うフローチャートである。
【図31】助手席側ウィンドウの操作を行うフローチャートである。
【図32】図5の第1変形例として、フロントウィンドウ周辺を3つの領域に区切った状態を示す図である。
【図33】図5の第2変形例として、フロントウィンドウ周辺を8つの領域に区切った状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
1.全体的な構成の説明
[1−1.全体構成]
図1は、この発明の一実施形態に係る顔向き検出装置としての車載機器操作装置12(以下「操作装置12」ともいう。)を搭載した車両10の全体ブロック図である。図2は、車両10のフロントウィンドウ11周辺の外観図である。図1及び図2に示すように、操作装置12は、乗員カメラ14と、ステアリングホイール16に設けられた十字キー18と、複数の車載機器20と、複数のパイロットランプ22a〜22d(以下「パイロットランプ22」と総称する。)と、電子制御装置24(以下「ECU24」という。)とを有する。図2からもわかるように、本実施形態の車両10は、いわゆる右ハンドル車である。代わりに、左ハンドル車であっても同様の構成を採用することができる。
【0020】
[1−2.乗員カメラ14]
図2に示すように、乗員カメラ14は、図示しないステアリングコラムにおいて運転者の正面に設置され、運転者の顔(頭部)の画像(以下「顔画像」又は「頭部画像」という。)を取得する。乗員カメラ14の位置は、これに限らず、例えば、インストルメントパネル59のいずれかの場所に配置してもよい。また、乗員カメラ14は、単一の方向から撮像するものに限らず、複数の方向から撮像するもの(いわゆるステレオカメラ)であってもよい。さらに、乗員カメラ14は、カラーカメラ又はモノクロカメラのいずれであってもよい。
【0021】
[1−3.十字キー18]
運転者は、十字キー18を用いて操作対象となる車載機器20(以下「操作対象機器」という。)の特定及び特定した車載機器20の操作入力を行うことができる。図3に示すように、十字キー18は、中央ボタン30、上ボタン32、下ボタン34、左ボタン36及び右ボタン38を有する。なお、図2における十字キー18は、拡大して表示されている。十字キー18の操作方法については、後述する。
【0022】
[1−4.複数の車載機器20]
本実施形態において、複数の車載機器20(図1)には、ナビゲーション装置40と、オーディオ装置42と、エアコンディショナ44と、ヘッドアップディスプレイ46(以下「HUD46」という。)と、ハザードランプ48と、運転者用のシート50と、ドアミラー52と、後方ライト54と、運転席側ウィンドウ56と、助手席側ウィンドウ58とが含まれる。
【0023】
図4に示すように、後方ライト54はドアミラー52下部にある発光ダイオード(LED)で車両10の側面後方を照らすものである。
【0024】
[1−5.パイロットランプ22a〜22d]
本実施形態では、4つのパイロットランプ22a〜22dが設けられている。すなわち、図2に示すように、中央に設けられたパイロットランプ22aと、正面に設けられたパイロットランプ22bと、右側に設けられたパイロットランプ22cと、左側に設けられたパイロットランプ22dとが含まれる。パイロットランプ22a〜22dは、後述する複数の車載機器群A〜D(又は「グループA〜D」ともいう。)のいずれが選択されているかを示す。
【0025】
[1−6.ECU24]
ECU24は、車載機器操作装置12(本実施形態では、特に、各車載機器20)を制御するものであり、図1に示すように、入出力装置60、演算装置62及び記憶装置64を備える。演算装置62は、注視方向検出機能70と、車載機器群特定機能72と、個別車載機器特定機能74と、車載機器制御機能76とを備える。
【0026】
本実施形態では、これらの機能70、72、74、76を用いることにより、各車載機器20を簡易に制御することができる。すなわち、運転者は、操作対象とする車載機器20(以下「操作対象機器」という。)が存在する車幅方向に顔を向けると共に、十字キー18を操作することにより、操作対象機器を制御することが可能である。なお、後述するように、その他の方法により操作対象機器を特定及び制御することもできる。
【0027】
注視方向検出機能70は、運転者(乗員)の顔向きに基づいて、運転者の注視方向を検出する機能である。これに加えて、視線方向(眼球向き)を用いてもよい。車載機器群特定機能72は、注視方向検出機能70が検出した注視方向に存在する車載機器群(グループA〜D)を特定する機能である。個別車載機器特定機能74は、車載機器群特定機能72に特定された車載機器群に含まれる複数の車載機器20の中から運転者の操作に応じて操作対象機器を特定する機能である。車載機器制御機能76は、個別車載機器特定機能74により特定された操作対象機器を、運転者の操作入力に応じて制御する機能である。
【0028】
2.本実施形態の制御の概要
上記のように、本実施形態では、運転者は、操作対象機器が存在する車幅方向に顔を向けると共に、十字キー18を操作することにより、操作対象機器を制御することが可能である。
【0029】
当該制御を実現するため、本実施形態では、まず乗員カメラ14が撮像した運転者の顔画像に基づいて顔向きを検出し、これらに基づいて車幅方向における注視方向を判定する。その後、十字キー18の操作に基づいて高さ方向(上下方向)を特定する。これにより、操作対象機器を特定する。
【0030】
本実施形態において、車幅方向における注視方向としては、図5に示す5つの方向を設定している。すなわち、フロントウィンドウ11周辺を5つの領域A1〜A5に区切っている。より具体的には、中央方向の領域A1、正面方向の領域A2、右方向の領域A3、左方向の領域A4及びその他の方向の領域A5である。これらの各方向(グループA〜D)に対し、各車載機器20が割り当てられている。
【0031】
中央方向の領域A1には、ナビゲーション装置40、オーディオ装置42及びエアコンディショナ44(グループA)が割り当てられている。なお、図5等において、「ナビ」は「ナビゲーション装置」を意味し、「オーディオ」は「オーディオ装置」を意味し、「エアコン」は「エアコンディショナ」を意味する。
【0032】
正面方向の領域A2には、HUD46、ハザードランプ48及びシート50(グループB)が割り当てられている。なお、図5等において、「ハザード」は「ハザードランプ」を意味する。右方向の領域A3には、ドアミラー52、後方ライト54及び運転席側ウィンドウ56(グループC)が割り当てられ、左方向の領域A4には、ドアミラー52、後方ライト54及び助手席側ウィンドウ58(グループD)が割り当てられている。その他の方向の領域A5には何らの車載機器20も割り当てられていない。なお、本実施形態では、左右のドアミラー52は同時に展開及び格納させる。また、左右の後方ライト54は同時に操作する。
【0033】
ECU24(注視方向検出機能70)は、乗員カメラ14からの顔画像に基づき、顔向きを検出し、これらを用いて運転者の注視方向を判定する。そして、ECU24(車載機器群特定機能72)は、判定した注視方向に基づいて車載機器群(グループA〜D)を特定する。次いで、十字キー18のうち押し下げられたボタン(ボタン30、32、34、36、38のいずれか)に応じて、操作対象機器を特定する。その後、十字キー18の操作に応じて操作対象機器を操作する。
【0034】
3.本実施形態における操作対象機器の選択方法と動作例
[3−1.オーディオ装置42の音量を変える場合]
図6A〜図6Cは、オーディオ装置42の音量を変える場合の運転者100の第1〜第3動作例を示す。まず、図6Aに示すように、運転者100は、5つの領域A1〜A5のうち、オーディオ装置42のある領域A1(中央方向)に顔を向ける。これにより、ECU24は、後述する注視方向判定技術を用いて車載機器群(グループA)を特定する。なお、図6A中の矢印Xは、運転者100の注視方向を示している(その他の図においても同様である。)。なお、ここにいう注視方向Xは、基本的に、顔向きに基づくものであり、必要に応じて視線方向(眼球の向き)で補正することもできる(詳細は後述する。)。
【0035】
図6Bにおいて、運転者100は、各車載機器20の位置関係(上から、ナビゲーション装置40、オーディオ装置42及びエアコンディショナ44)に対応した位置にある十字キー18を押し下げ、操作対象機器を決定する。すなわち、十字キー18のうちオーディオ装置42に対応するのは中央ボタン30なので、運転者100は、中央ボタン30を押し下げる。これにより、グループAが選択され、中央のパイロットランプ22aが点灯する。
【0036】
図6Cにおいて、運転者100は、十字キー18を操作することで、オーディオ装置42の音量を調整する。すなわち、上ボタン32を押す度に音量レベルが1増加し、下ボタン34を押す度に音量レベルが1減少する。この際、運転者100は、対象領域(グループAに対応する中央方向の領域A1)や車載機器20(ここでは、オーディオ装置42)を見る必要はなく、前方を見ながらでも操作対象機器(オーディオ装置42)の操作が可能である。操作対象機器の操作を終了するには、中央ボタン30を押し下げる。
【0037】
[3−2.HUD46を表示し、車速や燃費を確認する場合]
図7A〜図7Cは、HUD46を表示し、車速や燃費を確認する場合の運転者100の第1〜第3動作例を示す。まず、図7Aに示すように、運転者100は、5つの領域A1〜A5のうち、HUD46のある領域A2(正面方向)に顔を向ける。これにより、ECU24は、注視方向判定技術を用いて車載機器群B(グループB)を特定する。
【0038】
図7Bにおいて、運転者100は、各車載機器20の位置関係(上から、HUD46、ハザードランプ48及びシート50)に対応した位置にある十字キー18を押し下げ、操作対象機器を決定する。すなわち、十字キー18のうちHUD46に対応するのは上ボタン32なので、運転者100は、上ボタン32を押し下げる。これにより、正面のパイロットランプ22bが点灯する。
【0039】
図7Cにおいて、運転者100は、十字キー18を操作することで、HUD46の表示を切り替える。すなわち、上ボタン32を押す度に、HUD46の表示が、車速110→走行距離112→燃費114→車速110の順に切り替わる。反対に、下ボタン34を押す度に、HUD46の表示が、車速110→燃費114→走行距離112→車速110の順に切り替わる。車速110、走行距離112及び燃費114以外の表示(例えば、ガソリン量、バッテリの残容量又は走行可能距離)を行ってもよい。この際、運転者100は、対象領域(グループBに対応する正面方向の領域A2)や車載機器20(ここでは、HUD46)を見る必要はなく、前方を見ながらでもHUD46の操作が可能である。操作対象機器の操作を終了するには、中央ボタン30を押し下げる。これにより、HUD46が消灯する。
【0040】
[3−3.助手席側ウィンドウ58を開閉する場合]
図8A〜図8Cは、助手席側ウィンドウ58を開閉する場合の運転者100の第1〜第3動作例を示す。まず、図8Aに示すように、運転者100は、5つの領域A1〜A5のうち、助手席側ウィンドウ58のある領域A4(左方向)に顔を向ける。これにより、注視方向判定技術を用いて車載機器群D(グループD)を特定する。
【0041】
図8Bにおいて、運転者100は、各車載機器20の位置関係(上から、ドアミラー52、後方ライト54及び助手席側ウィンドウ58)に対応した位置にある十字キー18を押し下げ、操作対象機器を決定する。すなわち、十字キー18のうち助手席側ウィンドウ58に対応するのは上ボタン32及び下ボタン34なので、運転者100は、上ボタン32又は下ボタン34を押し下げる。これにより、左側のパイロットランプ22dが点灯する。
【0042】
なお、ドアミラー52及び後方ライト54の位置関係は上下に存在するが、助手席側ウィンドウ58については基準位置をどこに置くかにより、ドアミラー52及び後方ライト54との上下関係が逆転する。ここでは、助手席側ウィンドウ58の図示しない駆動部の位置を基準としたが、別の場所を基準位置とすることもできる。これに伴い、ドアミラー52、後方ライト54及び助手席側ウィンドウ58と各ボタンの対応関係は変更してもよい。但し、通常、ドアミラー52の展開及び格納が略水平方向に行われるのに対し、助手席側ウィンドウ58の開閉が略垂直方向に行われるため、それぞれの可動方向を考慮すると、ドアミラー52に左ボタン36及び右ボタン38を割り当て、助手席側ウィンドウ58に上ボタン32及び下ボタン34を割り当てる方が直感的な操作を行い易い。
【0043】
図8Cにおいて、運転者100は、十字キー18を操作することで、助手席側ウィンドウ58を開閉する。すなわち、下ボタン34を押す度に、助手席側ウィンドウ58が開き、上ボタン32を押す度に、助手席側ウィンドウ58が閉じる。この際、運転者100は、車載機器20(ここでは、助手席側ウィンドウ58)を見る必要はなく、前方を見ながらでも操作対象機器(助手席側ウィンドウ58)の操作が可能である。操作対象機器の操作を終了するには、中央ボタン30を押し下げる。
【0044】
4.車載機器20の選択方法と動作方法のまとめ
図9は、各車載機器20の選択方法と操作方法の一覧を表示し、図10は、各機能のボタン割当一覧を表示する。運転者100は、図9及び図10に沿った操作をすることにより、操作対象機器を簡易に操作することができる。
【0045】
5.具体的なフローチャート
[5−1.全体フロー]
図11は、各車載機器20を選択又は操作するフローチャートである。ステップS1において、ECU24は、乗員カメラ14が取得した運転者100の顔画像に基づいて運転者100の注視方向Xを検知する。ステップS2において、ECU24は、十字キー18のいずれかのボタンが押し下げられたか否かを判定する。いずれのボタンも押し下げられていない場合(S2:NO)、今回の処理を終える。いずれかのボタンが押し下げられた場合(S2:YES)、ステップS3において、ECU24は、現在、操作対象機器が選択中であるか否かを判定する。操作対象機器が選択中でない場合(S3:NO)、ステップS4において、ECU24は、運転者100による操作に応じて操作対象機器を選択する。操作対象機器が選択中である場合(S3:YES)、ステップS5において、ECU24は、運転者100による操作に応じて操作対象機器を制御する。
【0046】
[5−2.運転者100の注視方向Xの検知(図11のS1)]
(5−2−1.概要)
運転者100の注視方向Xの検出は、運転者100の顔向きを検出することで行う。換言すると、検出した顔向きをそのまま注視方向Xとして用いる。後述するように、当該顔向きの検出に加え、運転者100の視線方向を検知し、顔向きを補正する又は場合によっては、顔向きの代わりに視線方向を注視方向Xとして用いることもできる。
【0047】
本実施形態において、ECU24(注視方向検出機能70)は、シリンダ法を用いて運転者100の顔向きθ(図15参照)を検知する。図12は、シリンダ法の概要を説明するための説明図である。シリンダ法では、顔80(頭部)を円柱(シリンダ)形状に見立てて顔向きθを検出する。すなわち、シリンダ法では、乗員カメラ14から出力された顔画像90(図14A)に基づき、顔80の回転軸Aと、顔80の半径rと、正面視における顔80の上下方向の中心線Lとを求め、これらに基づいて顔向きθを算出する(詳細は後述する。)。ここでの顔向きθは、広義の意味で用いられており、顔80の正面側のみならずその他の部分(例えば、後頭部)を含んでもよい。
【0048】
(5−2−2.処理の全体)
図13は、ECU24が注視方向Xを検知するフローチャート(図11のS1の詳細)である。図14A〜図14Fは、注視方向Xを検知する際の様子を示す図である。図15は、顔向きθの算出方法を説明するための平面図である。
【0049】
ステップS11において、ECU24は、乗員カメラ14から運転者100の顔画像90を取得する(図14A参照)。なお、本実施形態における運転者100は黄色人種を想定している。このため、運転者100は、瞳孔、眉及び髭等がそのもの自体の色として例えば黒色である。ステップS12において、ECU24は、エッジ処理を行い、顔画像90中の特徴点を抽出する(図14B参照)。特徴点は、後述する顔端E1、E2の候補となるものである。
【0050】
ステップS13において、ECU24は、顔端E1、E2を検出する(図14C参照)。顔端E1は、顔画像90における顔80の右側の端部である。換言すると、運転者100側から見て左側の端部である。顔端E2は、顔画像90における顔80の左側の端部である。換言すると、運転者100側から見て右側の端部である。本実施形態において、顔端E1、E2の検出は、顔画像90において最も右側の部位を顔端E1とし、最も左側の部位を顔端E2とする。なお、図14Cに示すように、本実施形態の顔端E1、E2は、顔画像90において最も左側又は右側の1つのドットではなく、当該最も左側又は右側の1つのドットを含む上下方向の直線として構成される。但し、顔端E1、E2を1つのドット又は領域として定義することもできる。
【0051】
ステップS14において、ECU24は、顔画像90{画像平面P(図15参照)}における顔80の回転軸Aの位置を算出する(図14C参照)。ここにいう回転軸Aは、図12に示すように、顔80をシリンダ形状と仮定することによって設定される軸である。回転軸Aは、顔画像90(画像平面P)において顔端E1、E2の中心に位置する直線として定義される。
【0052】
ステップS15において、ECU24は、乗員カメラ14の光軸Aoと回転軸Aとがなす角度α(図15参照)を算出する。図14Cに示すように、角度αは、光軸Aoを含む垂直方向の直線と回転軸Aとの距離により算出可能である。このため、ECU24は、前記直線と回転軸Aとの距離を算出することで角度αを求める。
【0053】
ステップS16において、ECU24は、顔80の半径rを算出する(図14C参照)。図12に示すように、顔80はシリンダ形状であると仮定されるため、顔端E1、E2間の距離の半分を半径rとして演算することができる。
【0054】
ステップS17において、ECU24は、鼻孔候補抽出領域Rを絞り込む(図14D参照)。鼻孔候補抽出領域Rは、鼻孔124が存在する可能性のある領域であり、顔80(頭部)のうち髪の毛を除いた部分として定義される。
【0055】
ステップS18において、ECU24は、鼻孔候補抽出領域R内について2値化処理を行い、鼻孔124の候補となる部位を抽出する(図14E参照)。すなわち、顔80のうち肌に相当する部位の輝度よりも低い値について輝度閾値を設定し、当該輝度閾値を上回る部位については白色とし、当該輝度閾値を下回る部位については黒色とする。なお、鼻孔候補抽出領域R以外の範囲については、黒色とする。これにより、2値化処理後の顔画像90では、眉120、目122(瞳孔)、鼻孔124、髭126及び口128が黒色領域(低輝度領域)となる。これらの黒色領域が鼻孔124の候補として抽出される。また、黒色領域を抽出する際は、黒色領域の大きさ(面積)に面積閾値(下限値)を設けておき、当該下限値を下回るものについては、鼻孔124の候補とはしないことができる。同様に、黒色領域の大きさ(面積)に別の面積閾値(上限値)を設けておき、当該上限値を上回るものについては、鼻孔124の候補とはしないこともできる。
【0056】
ステップS19において、ECU24は、これらの黒色領域の中から鼻孔124を検出する。本実施形態において、鼻孔124の検出は、次のように行う。すなわち、ECU24は、一定時間を空けた少なくとも2枚の顔画像90について各黒色領域を検出する。そして、左右方向における各黒色領域の移動量を測定する(図14F参照)。ここでの移動量は、複数の顔画像90における差として定義可能であるので、実質的に、各黒色領域の移動速度を示すこととなる。ここで、黒色領域の移動量(移動速度)及び形状変化について検討する。
【0057】
図16は、顔80が回転したときにおける目122及び鼻孔124の移動量及び形状変化を説明するための説明図である。図16に示すように、顔向きθが変化する場合、目122よりも鼻孔124の移動量の方が大きくなる。これは、目122と比べて、鼻孔124の方が顔80の回転軸Aから遠いため、顔80の回転角が同一でも鼻孔124の軌跡が描く円弧の方が、目122の軌跡が描く円弧よりも長くなるためである。また、目122と比べて、鼻孔124(鼻)の方が立体的な形状を有している。このため、顔向きθが変化した場合、目122よりも鼻孔124の方が形状変化が大きくなる(図16参照)。鼻孔124を、眉120、髭126及び口128と比較した場合も同様である(図14F参照)。
【0058】
そこで、本実施形態では、2値化後の顔画像90において単位時間当たりの移動量が最も大きいものを鼻孔124として特定する。なお、上記のように形状変化の相違を踏まえ、形状変化(黒色領域の面積変化)のみをもって又は移動量及び形状変化の両方を用いて鼻孔124を特定することもできる。
【0059】
図13に戻り、ステップS20において、ECU24は、2値化後の顔画像90における中心線Lの位置を特定する(図14F参照)。上記のように、中心線Lは、顔80を正面から見た際の上下方向の中心線である(図12も参照)。中心線Lの特定は、ステップS19で検出した鼻孔124の位置を用いて行う。例えば、顔画像90(画像平面P)において、2つの鼻孔124の中心位置を通る上下方向の線を中心線Lとして用いることができる。
【0060】
ステップS21において、ECU24は距離dを算出する。距離dは、図15における中心線Lと点Sを結ぶ距離である。なお、図15は平面図であるため、中心線Lは、図15において点として示される。また、点Sは、乗員カメラ14と回転軸Aを結ぶ線分と、中心線Lから画像平面Pと平行に引いた半直線との交点である。
【0061】
距離dの算出は、次のように行う。まず、線分LSに対して回転軸Aから垂直に引いた直線と線分LSとの交点をQとおく。そして、線分LQと線分SQそれぞれの長さを求めることで線分LSの長さ、すなわち、距離dを求める。
【0062】
線分LQの長さは、画像平面Pにおける中心線Lの射影Lpと回転軸Aの射影Apとの距離(ドット数)を測定することにより算出することができる。
【0063】
線分SQの長さについては、上記のように線分LQの長さがわかると、直角三角形ALQについて辺AL、LQ(長さ)がわかることとなり、三平方の定理より辺AQを求めることができる。また、図15において、乗員カメラ14と回転軸Aを結ぶ線分と光軸Aoとがなす角αは、角QASと等しい。そうすると、tanα=SQ/AQとなるから線分SQの長さを求めることができる。
【0064】
そして、線分LQと線分SQの長さを足すことで距離dを算出することができる。なお、後述するように、距離dを用いなくても、半径r及び線分LQの長さがわかれば、顔向きθを算出することが可能である。
【0065】
図13に戻り、ステップS22において、ECU24は、顔向きθ(図15参照)を算出する。具体的には、90°−αをβと定義するとき、次の式(1)及び式(2)から導き出される式(3)を用いて顔向きθを演算する。
【0066】
【数1】

【0067】
なお、式(1)は、正弦定理から導かれるものであり、式(2)は、式(1)を変形したものである。
【0068】
以上のような方法を採ることにより、顔向きθを求めることができる。
【0069】
[5−3.操作対象機器の選択(図11のS4)]
(5−3−1.概要)
図17は、ECU24が操作対象機器を選択するフローチャートである。ステップS111において、ECU24は、図11のステップS1で特定した運転者100の注視方向Xが、中央、正面、右、左又はその他のいずれであるかを確認する。
【0070】
運転者100の注視方向Xが中央方向(領域A1)である場合、ステップS112において、ECU24は、中央方向の車載機器群、すなわち、ナビゲーション装置40、オーディオ装置42及びエアコンディショナ44からなるグループAを特定し、グループAの中から操作対象機器を選択する。
【0071】
運転者100の注視方向Xが正面方向(領域A2)である場合、ステップS113において、ECU24は、正面方向の車載機器群、すなわち、HUD46、ハザードランプ48及びシート50からなるグループBを特定し、グループBの中から操作対象機器を選択する。
【0072】
運転者100の注視方向Xが右方向(領域A3)である場合、ステップS114において、ECU24は、右方向の車載機器群、すなわち、ドアミラー52、後方ライト54及び運転席側ウィンドウ56からなるグループCを特定し、グループCの中から操作対象機器を選択する。
【0073】
運転者100の注視方向Xが左方向(領域A4)である場合、ステップS115において、ECU24は、左方向の車載機器群、すなわち、ドアミラー52、後方ライト54及び助手席側ウィンドウ58からなるグループDを特定し、グループDの中から操作対象機器を選択する。
【0074】
運転者100の注視方向Xがその他の方向(領域A5)である場合、ECU24は、いずれの車載機器20も選択せずに今回の処理を終える。
【0075】
(5−3−2.中央方向)
図18は、運転者100の注視方向Xが中央方向(領域A1)である場合に操作対象機器を選択するフローチャートである。ステップS121において、ECU24は、十字キー18のうち押し下げられたボタンが中央ボタン30、上ボタン32、下ボタン34又はその他のいずれであるかを判定する。
【0076】
押し下げられたボタンが上ボタン32である場合、ステップS122において、ECU24は、ナビゲーション装置40を選択し、中央のパイロットランプ22aを点灯させる。続くステップS123において、ECU24は、ナビゲーション装置40を操作対象機器として設定する。
【0077】
押し下げられたボタンが中央ボタン30である場合、ステップS124において、ECU24は、オーディオ装置42を選択し、中央のパイロットランプ22aを点灯させる。続くステップS125において、ECU24は、オーディオ装置42を操作対象機器として設定する。
【0078】
押し下げられたボタンが下ボタン34である場合、ステップS126において、ECU24は、エアコンディショナ44を選択し、中央のパイロットランプ22aを点灯させる。続くステップS127において、ECU24は、エアコンディショナ44を操作対象機器として設定する。
【0079】
押し下げられたボタンが上ボタン32、中央ボタン30及び下ボタン34のいずれでもない場合、ECU24は、今回の処理を終える。
【0080】
(5−3−3.正面方向)
図19は、運転者100の注視方向Xが正面方向(領域A2)である場合に操作対象機器を選択するフローチャートである。ステップS131において、ECU24は、十字キー18のうち押し下げられたボタンが中央ボタン30、上ボタン32又は下ボタン34のいずれであるかを判定する。
【0081】
押し下げられたボタンが上ボタン32である場合、ステップS132において、ECU24は、HUD46を選択し、正面のパイロットランプ22bを点灯させる。続くステップS133において、ECU24は、HUD46をオンにする。これにより、フロントウィンドウ11にHUD46が表示される。ステップS134において、ECU24は、HUD46を操作対象機器として設定する。
【0082】
押し下げられたボタンが中央ボタン30である場合、ステップS135において、ECU24は、ハザードランプ48を選択し、中央のパイロットランプ22aを点灯させる。続くステップS136において、ECU24は、ハザードランプ48を点滅させる。ステップS137において、ECU24は、ハザードランプ48を操作対象機器として設定する。
【0083】
押し下げられたボタンが下ボタン34である場合、ステップS138において、ECU24は、シート50を選択し、中央のパイロットランプ22aを点灯させる。続くステップS139において、ECU24は、シート50を操作対象機器として設定する。
【0084】
押し下げられたボタンが上ボタン32、中央ボタン30及び下ボタン34のいずれでもない場合、ECU24は、今回の処理を終える。
【0085】
(5−3−4.右方向)
図20は、運転者100の注視方向Xが右方向(領域A3)である場合に操作対象機器を選択するフローチャートである。ステップS141において、ECU24は、十字キー18のうち押し下げられたボタンが中央ボタン30、上ボタン32、下ボタン34、左ボタン36又は右ボタン38のいずれであるかを判定する。
【0086】
押し下げられたボタンが上ボタン32又は下ボタン34である場合、ステップS142において、ECU24は、運転席側ウィンドウ56を選択し、右側のパイロットランプ22cを点灯させる。続くステップS143において、ECU24は、運転席側ウィンドウ56を開閉する。すなわち、下ボタン34が押し下げられている場合、運転席側ウィンドウ56を開き、上ボタン32が押し下げられている場合、運転席側ウィンドウ56を閉じる。ステップS144において、ECU24は、運転席側ウィンドウ56を操作対象機器として設定する。
【0087】
押し下げられたボタンが左ボタン36である場合、ステップS145において、ECU24は、ドアミラー52の状態(展開又は格納)を確認する。ドアミラー52が格納状態である場合、今回の処理を終える。ドアミラー52が展開状態である場合、ステップS146において、ECU24は、左右両方のドアミラー52を選択し、右側のパイロットランプ22cを点灯させる。
【0088】
ステップS147において、ECU24は、左右のドアミラー52を格納する。ステップS148において、ECU24は、左右のドアミラー52を選択して、右側のパイロットランプ22cを消灯する。
【0089】
押し下げられたボタンが右ボタン38である場合、ステップS149において、ECU24は、ドアミラー52の状態(展開又は格納)を確認する。ドアミラー52が展開状態である場合、今回の処理を終える。ドアミラー52が格納状態である場合、ステップS150において、ECU24は、左右両方のドアミラー52を選択し、右側のパイロットランプ22cを点灯させる。
【0090】
ステップS151において、ECU24は、左右のドアミラー52を展開する。ステップS152において、ECU24は、左右のドアミラー52を選択して、右側のパイロットランプ22cを消灯する。
【0091】
押し下げられたボタンが中央ボタン30である場合、ステップS153において、ECU24は、後方ライト54を選択し、右側のパイロットランプ22cを点灯させる。続くステップS154において、ECU24は、後方ライト54を点灯させる。ステップS155において、後方ライト54を操作対象機器として設定する。
【0092】
(5−3−5.左方向)
図21は、運転者100の注視方向Xが左方向(領域A4)である場合に操作対象機器を選択するフローチャートである。ステップS161において、ECU24は、十字キー18のうち押し下げられたボタンが上ボタン32、中央ボタン30、下ボタン34、右ボタン38又は左ボタン36のいずれであるかを判定する。
【0093】
押し下げられたボタンが上ボタン32又は下ボタン34である場合、ステップS162において、ECU24は、助手席側ウィンドウ58を選択し、左側のパイロットランプ22dを点灯させる。続くステップS163において、ECU24は、助手席側ウィンドウ58を開閉する。すなわち、下ボタン34が押し下げられている場合、助手席側ウィンドウ58を開き、上ボタン32が押し下げられている場合、助手席側ウィンドウ58を閉じる。ステップS164において、ECU24は、助手席側ウィンドウ58を操作対象機器として設定する。
【0094】
押し下げられたボタンが左ボタン36である場合、ステップS165において、ECU24は、ドアミラー52の状態(展開又は格納)を確認する。ドアミラー52が展開状態である場合、今回の処理を終える。ドアミラー52が格納状態である場合、ステップS166において、ECU24は、左右両方のドアミラー52を選択し、左側のパイロットランプ22dを点灯させる。
【0095】
ステップS167において、ECU24は、左右のドアミラー52を展開する。ステップS168において、ECU24は、左右のドアミラー52を選択して、左側のパイロットランプ22dを消灯する。
【0096】
押し下げられたボタンが右ボタン38である場合、ステップS169において、ECU24は、ドアミラー52の状態(展開又は格納)を確認する。ドアミラー52が格納状態である場合、今回の処理を終える。ドアミラー52が展開状態である場合、ステップS170において、ECU24は、左右のドアミラー52を選択し、左側のパイロットランプ22dを点灯させる。
【0097】
ステップS171において、ECU24は、左右のドアミラー52を格納する。ステップS172において、ECU24は、左右のドアミラー52を選択して、左側のパイロットランプ22dを消灯する。
【0098】
押し下げられたボタンが中央ボタン30である場合、ステップS173において、ECU24は、後方ライト54を選択し、左側のパイロットランプ22dを点灯させる。続くステップS174において、ECU24は、後方ライト54を点灯させる。ステップS175において、後方ライト54を操作対象機器として設定する。
【0099】
[5−4.操作対象機器の操作(図11のS5)]
(5−4−1.概要)
図22は、ECU24が操作対象機器を操作するフローチャートである。ステップS181において、ECU24は、図11のステップS4により選択中の操作対象機器を確認する。選択中の操作対象機器がナビゲーション装置40である場合、ステップS182において、ECU24は、ナビゲーション装置40の操作を行う。選択中の操作対象機器がオーディオ装置42である場合、ステップS183において、ECU24は、オーディオ装置42の操作を行う。選択中の操作対象機器がエアコンディショナ44である場合、ステップS184において、ECU24は、エアコンディショナ44の操作を行う。
【0100】
選択中の操作対象機器がHUD46である場合、ステップS185において、ECU24は、HUD46の操作を行う。選択中の操作対象機器がハザードランプ48である場合、ステップS186において、ECU24は、ハザードランプ48の操作を行う。選択中の操作対象機器がシート50である場合、ステップS187において、ECU24は、シート50の操作を行う。選択中の操作対象機器が後方ライト54である場合、ステップS188において、ECU24は、後方ライト54の操作を行う。選択中の操作対象機器が運転席側ウィンドウ56である場合、ステップS189において、ECU24は、運転席側ウィンドウ56の操作を行う。選択中の操作対象機器が助手席側ウィンドウ58である場合、ステップS190において、ECU24は、助手席側ウィンドウ58の操作を行う。
【0101】
(5−4−2.ナビゲーション装置40の操作)
図23は、ナビゲーション装置40の操作を行うフローチャートである。ステップS201において、ECU24は、十字キー18のうち押し下げられたボタンが中央ボタン30、上ボタン32、下ボタン34、左ボタン36又は右ボタン38のいずれであるかを判定する。
【0102】
押し下げられたボタンが上ボタン32又は下ボタン34である場合、ステップS202において、ECU24は、ナビゲーション装置40の表示の縮尺を変更する。すなわち、上ボタン32が押し下げられている場合、縮尺を拡大し、下ボタン34が押し下げられている場合、縮尺を縮小する。
【0103】
押し下げられたボタンが左ボタン36又は右ボタン38である場合、ステップS203において、ECU24は、ナビゲーション装置40の表示方向を切り替える。すなわち、左ボタン36が押し下げられた場合、表示方向を北向きとし、右ボタン38が押し下げられた場合、表示方向を車両10の進行方向とする。
【0104】
押し下げられたボタンが中央ボタン30である場合、ステップS204において、ECU24は、中央のパイロットランプ22aを消灯させる。続くステップS205において、ECU24は、操作対象機器の選択を終了する。
【0105】
(5−4−3.オーディオ装置42の操作)
図24は、オーディオ装置42の操作を行うフローチャートである。ステップS211において、ECU24は、十字キー18のうち押し下げられたボタンが中央ボタン30、上ボタン32、下ボタン34、左ボタン36又は右ボタン38のいずれであるかを判定する。
【0106】
押し下げられたボタンが上ボタン32又は下ボタン34である場合、ステップS212において、ECU24は、オーディオ装置42の音量を調整する。すなわち、上ボタン32が押し下げられている場合、音量を増大させ、下ボタン34が押し下げられている場合、音量を減少させる。
【0107】
押し下げられたボタンが左ボタン36又は右ボタン38である場合、ステップS213において、ECU24は、オーディオ装置42の選曲又は選局を切り替える。すなわち、左ボタン36が押し下げられている場合、前の楽曲又は前の放送局に切り替え、右ボタン38が押し下げられている場合、次の楽曲又は次の放送局に切り替える。
【0108】
押し下げられたボタンが中央ボタン30である場合、ステップS214において、ECU24は、中央のパイロットランプ22aを消灯させる。続くステップS215において、ECU24は、操作対象機器の選択を終了する。
【0109】
(5−4−4.エアコンディショナ44の操作)
図25は、エアコンディショナ44の操作を行うフローチャートである。ステップS221において、ECU24は、十字キー18のうち押し下げられたボタンが中央ボタン30、上ボタン32、下ボタン34、左ボタン36又は右ボタン38のいずれであるかを判定する。
【0110】
押し下げられたボタンが上ボタン32又は下ボタン34である場合、ステップS222において、ECU24は、エアコンディショナ44の設定温度を調整する。すなわち、上ボタン32が押し下げられている場合、設定温度を増加させ、下ボタン34が押し下げられている場合、設定温度を減少させる。
【0111】
押し下げられたボタンが左ボタン36又は右ボタン38である場合、ステップS223において、ECU24は、エアコンディショナ44の設定風量を調整する。すなわち、左ボタン36が押し下げられている場合、設定風量を減少させ、右ボタン38が押し下げられている場合、設定風量を増加させる。
【0112】
押し下げられたボタンが中央ボタン30である場合、ステップS224において、ECU24は、中央のパイロットランプ22aを消灯させる。続くステップS225において、ECU24は、操作対象機器の選択を終了する。
【0113】
(5−4−5.HUD46の操作)
図26は、HUD46の操作を行うフローチャートである。ステップS231において、ECU24は、十字キー18のうち押し下げられたボタンが中央ボタン30、上ボタン32、下ボタン34又はその他のいずれであるかを判定する。
【0114】
押し下げられたボタンが上ボタン32又は下ボタン34である場合、ステップS232において、ECU24は、HUD46の表示情報を切り替える。例えば、上ボタン32が押し下げられている場合、車速110→走行距離112→燃費114→車速110→走行距離112、、、のように表示情報を切り替える(図7C参照)。下ボタン34が押し下げられている場合、車速110→燃費114→走行距離112→車速110→燃費114、、、のように表示情報を切り替える。
【0115】
押し下げられたボタンが中央ボタン30である場合、ステップS233において、ECU24は、正面のパイロットランプ22bを消灯させる。続くステップS234において、ECU24は、HUD46をオフにする。ステップS235において、ECU24は、操作対象機器の選択を終了する。
【0116】
押し下げられたボタンがその他のボタン(左ボタン36又は右ボタン38)である場合、そのまま今回の処理を終える。
【0117】
(5−4−6.ハザードランプ48の操作)
図27は、ハザードランプ48の操作を行うフローチャートである。ステップS241において、ECU24は、十字キー18のうち押し下げられたボタンが中央ボタン30又はその他のボタンのいずれであるかを判定する。
【0118】
押し下げられたボタンが中央ボタン30である場合、ステップS242において、ECU24は、ハザードランプ48を消灯する。続くステップS243において、ECU24は、正面のパイロットランプ22bを消灯させる。ステップS244において、ECU24は、操作対象機器の選択を終了する。
【0119】
押し下げられたボタンがその他のボタン(上ボタン32、下ボタン34、左ボタン36又は右ボタン38)である場合、そのまま今回の処理を終える。
【0120】
(5−4−7.シート50の操作)
図28は、運転者100用のシート50の操作を行うフローチャートである。ステップS251において、ECU24は、十字キー18のうち押し下げられたボタンが中央ボタン30、上ボタン32、下ボタン34、左ボタン36又は右ボタン38のいずれであるかを判定する。
【0121】
押し下げられたボタンが上ボタン32又は下ボタン34である場合、ステップS252において、ECU24は、シート50の前後スライド調整を行う。すなわち、上ボタン32が押し下げられている場合、シート50を前進させ、下ボタン34が押し下げられている場合、シート50を後退させる。
【0122】
押し下げられたボタンが左ボタン36又は右ボタン38である場合、ステップS253において、ECU24は、シート50のリクライニング角度を調整する。すなわち、左ボタン36が押し下げられている場合、リクライニング角度を減少させ、右ボタン38が押し下げられている場合、リクライニング角度を増大させる。
【0123】
押し下げられたボタンが中央ボタン30である場合、ステップS254において、ECU24は、正面のパイロットランプ22bを消灯させる。続くステップS255において、ECU24は、操作対象機器の選択を終了する。
【0124】
(5−4−8.後方ライト54の操作)
図29は、後方ライト54の操作を行うフローチャートである。ステップS261において、ECU24は、十字キー18のうち押し下げられたボタンが中央ボタン30又はその他のボタンのいずれであるかを判定する。
【0125】
押し下げられたボタンが中央ボタン30である場合、ステップS262において、ECU24は、後方ライト54を消灯させる。続くステップS263において、ECU24は、点灯中の右側又は左側のパイロットランプ22c、22dを消灯させる。続くステップS264において、ECU24は、操作対象機器の選択を終了する。
【0126】
押し下げられたボタンがその他のボタン(上ボタン32、下ボタン34、左ボタン36又は右ボタン38)である場合、そのまま今回の処理を終える。
【0127】
(5−4−9.運転席側ウィンドウ56の操作)
図30は、運転席側ウィンドウ56の操作を行うフローチャートである。ステップS271において、ECU24は、十字キー18のうち押し下げられたボタンが中央ボタン30、上ボタン32、下ボタン34又はその他のボタンのいずれであるかを判定する。
【0128】
押し下げられたボタンが上ボタン32又は下ボタン34である場合、ステップS272において、ECU24は、運転席側ウィンドウ56を開閉する。すなわち、下ボタン34が押し下げられている場合、運転席側ウィンドウ56を開き、上ボタン32が押し下げられている場合、運転席側ウィンドウ56を閉じる。
【0129】
押し下げられたボタンが中央ボタン30である場合、ステップS273において、ECU24は、右側のパイロットランプ22cを消灯させる。続くステップS274において、ECU24は、操作対象機器の選択を終了する。
【0130】
押し下げられたボタンがその他のボタン(左ボタン36又は右ボタン38)である場合、そのまま今回の処理を終える。
【0131】
(5−4−10.助手席側ウィンドウ58の操作)
図31は、助手席側ウィンドウ58の操作を行うフローチャートである。ステップS281において、ECU24は、十字キー18のうち押し下げられたボタンが中央ボタン30、上ボタン32、下ボタン34又はその他のボタンのいずれであるかを判定する。
【0132】
押し下げられたボタンが上ボタン32又は下ボタン34である場合、ステップS282において、ECU24は、助手席側ウィンドウ58を開閉する。すなわち、下ボタン34が押し下げられている場合、助手席側ウィンドウ58を開き、上ボタン32が押し下げられている場合、助手席側ウィンドウ58を閉じる。
【0133】
押し下げられたボタンが中央ボタン30である場合、ステップS283において、ECU24は、左側のパイロットランプ22dを消灯させる。続くステップS284において、ECU24は、操作対象機器の選択を終了する。
【0134】
押し下げられたボタンがその他のボタン(左ボタン36又は右ボタン38)である場合、そのまま今回の処理を終える。
【0135】
6.本実施形態の効果
以上説明したように、本実施形態によれば、鼻孔124を用いて運転者100の顔向きθを検出する。このため、例えば、眼部を検出する従来技術(特許文献1)に加えて本実施形態を用いることで顔向き検出又は視線方向の検出の精度を向上させることが可能となる。また、運転者100が眼鏡又はサングラスをかけている場合でも顔向きθの検出が可能となる。従って、運転者100が眼鏡又はサングラスをかけている場合に検出不能となる可能性がある視線方向の検出の場合と比べて適用場面を広げることが可能となる。また、顔向きθを変化させる場合、眉120、目122、髭126及び口128と比較して、鼻孔124は回転軸Aから相対的に離れた位置にあるため、顔向きθの変化に伴う移動量が相対的に大きくなる。このため、鼻孔124を用いることにより、顔向きθの変化を高精度に検出することが可能となる。
【0136】
さらに、本実施形態によれば、顔画像90から顔端E1、E2を検出し、検出した顔端E1、E2に基づいて回転軸Aを算出する。また、顔画像90から複数の特徴部を抽出し、抽出した複数の特徴部のうち最も移動量が大きいものを鼻孔124として抽出する。そして、算出した回転軸Aと抽出した鼻孔124とを用いて顔向きθを検出する。これにより、顔向きθに関する新たな検出方法を提供することができる。加えて、複数の特徴部の検出方法や各特徴部の移動量の演算方法によっては、処理負荷を軽減することが可能となる。
【0137】
本実施形態において、ECU24は、特徴部の抽出の際、顔画像90から所定の大きさを持った複数の黒色領域を前記複数の特徴部として抽出し、抽出した複数の黒色領域のうち最も移動量の多い黒色領域を鼻孔124として抽出する。
【0138】
顔画像90において所定の大きさを持った黒色領域(低輝度領域)は、当該所定の大きさによって限定されたものとなる。例えば、人種によっては、眉120、目122(瞳孔)及び髭126等がそのもの自体の色として黒色(又は低輝度)であり、また、鼻孔124及び口128(口の中)等が陰の発生により黒色(又は低輝度)となる。このように抽出対象となる黒色領域は、限定されたものとすることが可能であると共に、輝度に応じた2値化をした上での処理が可能となる。このため、比較的単純且つ高精度な処理を行うことが可能となる。
【0139】
本実施形態において、ECU24は、検出した顔端E1、E2の内側を鼻孔候補抽出領域Rとし、鼻孔候補抽出領域R内だけで所定の大きさを持った複数の黒色領域を抽出する。これにより、鼻孔124の抽出領域を限定することができるため、演算負荷を低減し、処理速度を向上することが可能となる。
【0140】
本実施形態において、ECU24は、乗員カメラ14が撮像した顔画像90から顔端E1、E2を検出し、検出した顔向きθに基づいて車載機器20を特定する。運転者100が操作を意図する車載機器20のある方向に顔80を向けて当該車載機器20を操作対象機器として特定する車両10では、車載機器20の操作のために顔80の回転角度が比較的大きくなる場合が多いといえる。このため、鼻孔124の検出精度を上げ易くなるため、本実施形態を適用することにより、顔向きθの検出精度を向上することが可能となる。
【0141】
7.変形例
なお、この発明は、上記実施形態に限らず、この明細書の記載内容に基づき、種々の構成を採り得ることはもちろんである。例えば、以下の構成を採用することができる。
【0142】
[7−1.搭載対象及び搭載用途]
上記実施形態では、操作装置12を車両10に搭載したが、これに限らず、別の対象に搭載してもよい。例えば、操作装置12を船舶や航空機等の移動体に用いることもできる。また、移動体に限らず、対象者の注視方向を特定することを要する装置であれば、その他の装置であってもよい。
【0143】
上記実施形態では、操作装置12における顔向きθの検出を操作対象機器の特定に用いたが、対象者の注視方向を特定することを要する装置であれば、これに限らない。例えば、運転者100の脇見検知に用いることもできる。
【0144】
[7−2.注視方向Xの検出]
注視方向Xの検出対象としての乗員は、運転者100に限らず、その他の乗員(助手席に座っている乗員、後部座席に座っている乗員等)であってもよい。
【0145】
上記実施形態では、フロントウィンドウ11周辺を5つの領域A1〜A5に区切ったが(図5)、領域の数は、これに限らない。例えば、図32のように、フロントウィンドウ11周辺を3つの領域A11〜A13に区切ることもできる。或いは、図33のように、フロントウィンドウ11周辺を8つの領域A21〜A28に区切ることもできる。
【0146】
上記実施形態では、注視方向Xの検出を車幅方向(運転者100にとっての左右方向)の顔向きθの検出として取り扱ったが、シリンダ法を用いることができるもの{換言すると、顔80の回転軸Aを中心とした顔80の回転角度(すなわち、顔向きθ)を検出するもの}であれば、これに限らず、上下方向又は斜め方向についても用いることができる。
【0147】
上記実施形態では、鼻孔124の抽出に際し、特徴点として黒色領域を抽出したが(図13のS18、図14E)、鼻孔124の抽出に当たっては、必ずしも黒色領域の抽出を伴う必要はない。例えば、図13のステップS12(エッジ処理)で抽出した各部のエッジ自体から鼻孔124を抽出することも可能である。
【0148】
上記実施形態では、顔向きθの算出に上記式(3)を用いたが、顔向きθを算出できるものであれば、これに限らない。例えば、図15において、顔80の半径rと線分LQを算出すれば、sinθ=LQ/rより顔向きθを算出することも可能である。なお、図15において、画像平面P上における回転軸Aの射影Apと中心線Lの射影Lpの位置関係がわかれば、運転者100が左右のいずれを向いているかの判定をすることが可能である。さらに、半径rと線分LQ等を算出することにより顔向きθを演算することができる。或いは、半径rは予め所定の値を設定しておくことも可能である。
【0149】
上記実施形態では、注視方向Xの検出のために鼻孔124を検出したが、鼻孔124の検出に限らず、移動量が大きいものであって顔80の中心線Lを検出可能なもの(例えば、眼鏡、まつげ)を用いることも可能である。
【0150】
[7−3.操作対象機器の特定]
上記実施形態では、車両10の車幅方向の特定を顔向きθに基づいて行い、車両10の高さ方向の特定を十字キー18の操作により行ったが、車幅方向の特定を顔向きθに基づいて行うものであれば、これに限らない。例えば、車幅方向の顔向きθに加え、視線方向を合わせて検出して顔向きθを補正し又は顔向きθが検出できない場合(例えば、マスクをして鼻孔124が検出できない場合)に利用してもよい。或いは、例えば、車両10の高さ方向の特定を視線方向に基づいて行うこともできる。或いは、高さ方向に含まれる車載機器20を1つのみ設定し、車幅方向の特定に伴って車載機器20を特定するようにすることもできる。
【0151】
上記実施形態では、図11、図13、図17〜図21のフローチャートを用いて操作対象機器を特定したが、車両10の車幅方向において車載機器群(グループA〜D)を特定すると共に、車両10の高さ方向において操作対象機器を特定するものであれば、操作対象機器の特定方法は、これに限らない。例えば、図11のフローチャートでは、ステップS2において十字キー18においていずれかのボタンが押し下げられたか否かを判定しているが、当該判定は省略すること(例えば、図17のステップS111と組み合わせること)もできる。また、図18〜図21のフローチャートでは、選択した操作対象機器に対応させてパイロットランプ22を点灯させたが、パイロットランプ22を点灯させなくてもよい。
【0152】
[7−4.操作手段]
上記実施形態では、操作対象機器を特定するために運転者100(乗員)が操作する手段(操作手段)として、十字キー18を用いたが、車両機器群(グループA〜D)において上下方向に配置されている車載機器20を特定又は選択することができるものであれば、これに限らない。例えば、上記実施形態の十字キー18は、中央ボタン30、上ボタン32、下ボタン34、左ボタン36及び右ボタン38を有していたが、上ボタン32及び下ボタン34のみの構成又は中央ボタン30、上ボタン32及び下ボタン34のみの構成であってもよい。或いは、各ボタンが連結されている構成(例えば、特開2010−105417号公報の図4に示されるような十字ボタン)であってもよい。また、上記実施形態の十字キー18の各ボタンは、いわゆるプッシュ式スイッチの類であったが(図3参照)、スライドスイッチ、レバースイッチ等その他の種類のスイッチであってもよい。
【0153】
上記実施形態では、十字キー18が、車載機器群(グループA〜D)において操作対象機器を特定するための手段と、特定した操作対象機器を操作するための手段との両方を兼ねていたが、特定した操作対象機器を操作するための手段は別に設けることもできる。
【0154】
上記実施形態では、十字キー18をステアリングホイール16に設けたが、十字キー18を設ける位置は、これに限らない。例えば、ステアリングコラムやインスツルメントパネルのいずれかの位置に設けることもできる。
【0155】
[7−5.車載機器20及び車載機器群]
上記実施形態では、複数の車載機器20として、ナビゲーション装置40、オーディオ装置42、エアコンディショナ44、HUD46、ハザードランプ48、シート50、ドアミラー52、後方ライト54、運転席側ウィンドウ56及び助手席側ウィンドウ58を挙げたが、車両10の乗員が操作可能な複数の車載機器が車幅方向に配置されていれば、これに限らない。このため、各領域A1〜A5に配置される車載機器は1つであってもよい。
【符号の説明】
【0156】
10…車両
12…車載機器操作装置(顔向き検出装置)
14…乗員カメラ(撮像手段、撮像部) 20…車載機器
24…ECU(顔端検出手段、頭部回転軸算出手段、特徴部抽出手段、鼻孔抽出手段、顔向き検出手段、低輝度領域抽出手段、エッジ検出部、回転軸特定部、特徴領域抽出部、変位速度算出部、高速変位領域特定部、中心線特定部、顔向き算出部)
72…車載機器群特定機能(車載機器特定手段)
80…顔(頭部) 90…顔画像(人物画像、頭部画像)
100…運転者(人物、乗員) 124…鼻孔
A…顔の回転軸(頭部回転軸) Ao…光軸
E1、E2…顔端(左右のエッジ) L…顔の中心線
R…鼻孔候補抽出領域 α…第1角度
θ…顔向き

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人物の画像(以下「人物画像」という。)から前記人物の顔端を検出する顔端検出手段と、
前記顔端検出手段により検出された前記顔端に基づいて前記人物の頭部回転軸を算出する頭部回転軸算出手段と、
前記人物画像から所定の大きさを持った複数の特徴部を抽出する特徴部抽出手段と、
前記特徴部抽出手段により抽出された複数の特徴部の中から前記人物の鼻孔を抽出する鼻孔抽出手段と、
前記鼻孔抽出手段により抽出された前記鼻孔と前記頭部回転軸算出手段により算出された前記頭部回転軸に応じて前記人物の左右の顔向きを検出する顔向き検出手段と
を備え、
前記鼻孔抽出手段は、前記複数の特徴部のうち最も移動量の大きい特徴部を前記鼻孔として抽出する
ことを特徴とする顔向き検出装置。
【請求項2】
請求項1記載の顔向き検出装置において、
前記特徴部抽出手段は、所定の大きさを持ち且つ所定輝度より低い複数の低輝度領域を前記複数の特徴部として前記人物画像から抽出する低輝度領域抽出手段を備え、
前記鼻孔抽出手段は、前記低輝度領域抽出手段により抽出された前記複数の低輝度領域のうち最も移動量の多い低輝度領域を前記鼻孔として抽出する
ことを特徴とする顔向き検出装置。
【請求項3】
請求項2記載の顔向き検出装置において、
前記低輝度領域抽出手段は、前記顔端検出手段により検出された前記顔端の内側を鼻孔候補抽出領域とし、該鼻孔候補抽出領域内だけで所定の大きさを持った複数の低輝度領域を抽出する
ことを特徴とする顔向き検出装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の顔向き検出装置において、
車両に搭載されて前記車両の乗員が操作可能な複数の車載機器と、
前記乗員の顔を撮像可能な撮像手段と、
前記顔向き検出手段により検出された前記顔向きに基づいて前記複数の車載機器のうちいずれかの車載機器を特定する車載機器特定手段と
を備え、
前記顔端検出手段は、前記撮像手段が撮像した前記乗員の顔画像を前記人物画像として前記乗員の顔端を検出し、
前記車載機器特定手段は、前記顔向き検出手段により検出された前記顔向きに基づいて前記車載機器を特定する
ことを特徴とする顔向き検出装置。
【請求項5】
人物の頭部を撮像する撮像部と、
前記頭部の画像(以下「頭部画像」という。)から前記頭部の左右のエッジを検出するエッジ検出部と、
前記左右のエッジを用いて前記頭部画像における前記頭部の回転軸の位置を特定する回転軸特定部と、
前記頭部画像において所定輝度よりも低い閾値を下回る領域又は前記所定輝度よりも高い閾値を上回る領域である複数の特徴領域を抽出する特徴領域抽出部と、
前記複数の特徴領域それぞれについて前記頭部の回転に伴う変位量を演算する変位量算出部と、
前記複数の特徴領域のうち前記変位量が最も大きい領域(以下「最大変位領域」という。)を特定する最大変位領域特定部と、
前記顔を正面からみたときの前記顔における上下方向の中心線を前記最大変位領域に基づいて特定する中心線特定部と、
前記頭部画像における前記回転軸と前記中心線との相対的な位置関係に基づいて前記顔の向きを算出する顔向き算出部と
を備えることを特徴とする顔向き検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図14C】
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【図14D】
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【図14E】
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【図14F】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【公開番号】特開2013−69181(P2013−69181A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−208336(P2011−208336)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】