説明

顔料分散組成物、それを含有する着色感光性樹脂組成物及び感光性樹脂転写材料、並びにそれらを用いたカラーフィルタ及び液晶表示装置

【課題】ナノメートルサイズで、安定かつ良好な分散性を示す有機顔料微粒子を含有する顔料分散組成物、着色感光性樹脂組成物、及び感光性転写材料を提供する。また、その良好な顔料分散組成物を用いて作製した、コントラストの高いカラーフィルタ及び液晶表示装置を提供する。
【解決手段】顔料分散組成物に含まれる顔料粒子の60%以上の粒子が、粒子の輪郭の最大曲率半径と最小曲率半径との比(最大曲率半径/最小曲率半径)が40以下を示すナノ粒子である顔料分散組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はナノメートルサイズの有機顔料微粒子を含有する顔料分散組成物、着色感光性樹脂組成物、及び感光性樹脂転写材料、並びに鮮明な色調と高い着色力とコントラストとを有するカラーフィルタおよび液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示装置(LCD)の画質は向上してきており、普及ディスプレイであるCRT(ブラウン管)との代替が広い用途で進みつつある。そして色再現範囲や輝度など、要求品質はさらに高まり、これに応えるために、カラーフィルタの性能改良が不可欠であり、鍵を握る部材となっている。これは、カラーフィルタが、LCDパネル等の表示画像に着色する役割を果たし、LCDパネルの色特性を直接左右するからである。
【0003】
カラーフィルタの要求特性として、高光透過性、色純度、高コントラスト、低反射化などが挙げられる。特にコントラストが低いと光が減衰して表示画面が暗くなったり、明暗が不明瞭になったりする。そのため高コントラストが望まれる。そしてその上、RGBを組み合わせて得られる色の再現域が広く、各純度が高いことも望まれる。しかし、カラーフィルタのコントラストを向上させると、色純度が低下して色再現域が減少したり、品質安定性が低下する場合がある。
【0004】
ここで、液晶カラーディスプレイやビデオカメラ等に使用されるカラーフィルタについてさらに詳しくいうと、基盤上に赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の各着色画素部が形成される。これら各着色画素部には、近年その優れた特性から有機顔料が用いられるようになってきており、有機顔料を分散した樹脂の薄膜が基板に設けられた構造とされる。このとき着色画素部を形成するために光硬化性顔料組成物として用いることがあり、その組成物は、有機顔料を分散した顔料分散液と、光硬化性化合物と、必要に応じて樹脂とを加えることで調製されている。そして、カラーフィルタを作製する際に使用する有機顔料としては、顔料分散組成物としたときの貯蔵安定性に優れ、カラーフィルタ着色画素部の塗膜としたときにコントラストに優れるものが要求される。
【0005】
有機顔料の分散は、通常、ロールミル、ボールミル、アトライター等の各種の分散機を用いて工業的に行われている(特許文献1)。しかしながらこれまでは、顔料粒子が平板状になったり角ばったりして、その組成物は高粘度を示すことが多く、貯蔵中にゲル化して使用不能となることがある。また、そのような顔料粒子から作製したカラーフィルタは一般的にコントラストが低い。
【0006】
【特許文献1】特開2000−239554号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、安定かつ良好な分散性を有する角がなく形の丸い有機顔料粒子を用いた顔料分散組成物、または該粒子を用いて作製できる高コントラストなカラーフィルタ及び液晶表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は下記の手段により達成された。
(1)顔料分散組成物に含まれる顔料粒子の60%以上の粒子が、粒子の輪郭の最大曲率半径と最小曲率半径との比(最大曲率半径/最小曲率半径)が40以下を示すナノ粒子であることを特徴とする顔料分散組成物。
(2)前記顔料がアゾ化合物顔料、フタロシアニン化合物顔料、キナクリドン化合物顔料、インドリン化合物顔料、シアニン化合物顔料、メロシアニン化合物顔料、フラーレン化合物顔料、多環芳香族化合物顔料、またはポリジアセチレン化合物顔料であることを特徴とする(1)項に記載の顔料分散組成物。
(3)前記顔料ナノ粒子の数平均粒径が100nm以下であることを特徴とする(1)または(2)項に記載の顔料分散組成物。
(4)前記顔料ナノ粒子が、該顔料を良溶媒に溶解させた顔料溶液と、前記良溶媒と相溶性でありかつ前記顔料に対しては貧溶媒となる溶媒とを混合して形成した顔料ナノ粒子であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載の顔料分散組成物。
(5)質量平均分子量10000以上の高分子化合物を含有することを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1項に記載の顔料分散組成物。
(6)前記高分子化合物が下記一般式(1)で表されることを特徴とする(5)項に記載の顔料分散組成物。
【化1】

〔式中、Rは、(m+n)価の連結基を表し、Rは単結合あるいは2価の連結基を表す。Aは、酸性基、窒素原子を有する塩基性基、ウレア基、ウレタン基、配位性酸素原子を有する基、炭素数4以上の炭化水素基、アルコキシシリル基、エポキシ基、イソシアネート基、および水酸基からなる群より選ばれる基を有する1価の有機基、または置換基を有してもよい有機色素構造もしくは複素環を含有する1価の有機基を表す。ただし、n個のAは互いに同一であっても、異なっていてもよい。Pは高分子化合物残基を表す。mは1〜8の数を表し、nは2〜9の数を表し、m+nは3〜10を満たす。〕
【0009】
(7)カラーフィルタ中に含まれる全顔料粒子の10%以上の粒子が、粒子の輪郭の最大曲率半径と最小曲率半径との比(最大曲率半径/最小曲率半径)が40以下を示すナノ粒子であることを特徴とするカラーフィルタ。
(8)カラーフィルタにおける赤色画素部に含まれる顔料粒子の60%以上が、粒子の輪郭の最大曲率半径と最小曲率半径との比(最大曲率半径/最小曲率半径)が40以下のナノ粒子であることを特徴とする(7)項に記載のカラーフィルタ。
(9)カラーフィルタにおける緑色画素部に含まれる顔料粒子の40%以上が、粒子の輪郭の最大曲率半径と最小曲率半径との比(最大曲率半径/最小曲率半径)が40以下のナノ粒子であることを特徴とする(7)項に記載のカラーフィルタ。
(10)カラーフィルタにおける青色画素部の顔料粒子の5%以上が、粒子の輪郭の最大曲率半径と最小曲率半径との比(最大曲率半径/最小曲率半径)が40以下のナノ粒子であることを特徴とする(7)項に記載のカラーフィルタ。
(11)前記顔料ナノ粒子の数平均粒径が100nm以下であることを特徴とする(7)〜(10)のいずれか1項に記載のカラーフィルタ。
(12)前記顔料ナノ粒子が、該顔料を良溶媒に溶解させた顔料溶液と、前記良溶媒と相溶性でありかつ前記顔料に対しては貧溶媒となる溶媒とを混合して形成した顔料ナノ粒子であることを特徴とする(7)〜(11)のいずれか1項に記載のカラーフィルタ。
(13)質量平均分子量10000以上の高分子化合物を含有することを特徴とする(7)〜(12)のいずれか1項に記載のカラーフィルタ。
(14)前記高分子化合物が下記一般式(1)で表されることを特徴とする(13)項に記載のカラーフィルタ。
【化2】

〔式中、Rは、(m+n)価の連結基を表し、Rは単結合あるいは2価の連結基を表す。Aは、酸性基、窒素原子を有する塩基性基、ウレア基、ウレタン基、配位性酸素原子を有する基、炭素数4以上の炭化水素基、アルコキシシリル基、エポキシ基、イソシアネート基、および水酸基からなる群より選ばれる基を有する1価の有機基、または置換基を有してもよい有機色素構造もしくは複素環を含有する1価の有機基を表す。ただし、n個のAは互いに同一であっても、異なっていてもよい。Pは高分子化合物残基を表す。mは1〜8の数を表し、nは2〜9の数を表し、m+nは3〜10を満たす。〕
【0010】
(15)(1)〜(6)のいずれか1項に記載の顔料分散組成物と、バインダーと、モノマー又はオリゴマーと、光重合開始剤または光重合開始剤系とを少なくとも含む着色感光性樹脂組成物。
(16)前記着色感光性樹脂組成物がインクジェット用インクであることを特徴とする(15)項に記載の着色感光性樹脂組成物。
(17)仮支持体上に、(15)または(16)項に記載の着色感光性樹脂組成物を含む感光性樹脂層を設けたことを特徴とする感光性樹脂転写材料。
(18)(7)〜(14)のいずれか1項に記載のカラーフィルタを備えたことを特徴とする液晶表示装置。
【発明の効果】
【0011】
本発明のナノ粒子を含有した顔料分散組成物は、粒子同士の相互作用が少なく安定であり、分散安定性に優れる。また該ナノ粒子を含有したカラーフィルタは高いコントラストを有し、優れた画像表示性能を発揮しうる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の顔料分散組成物は角のない顔料ナノ粒子を含有し、全顔料粒子の60%以上が前記角のない顔料ナノ粒子である。本発明において「角のない粒子」とは、電子顕微鏡で撮影した各粒子の投影輪郭の最大曲率半径と最小曲率半径の比(最大曲率半径/最小曲率半径)が40以下の粒子をいう。ここで、顔料粒子の撮影方法は特に限定されないが、電子顕微鏡による撮影方法が好ましく、透過型電子顕微鏡による撮影方法がより好ましい。あるいは原子間力顕微鏡で位相差像を計測して粒子画像を得ることができる。顔料形状の計測は、電子顕微鏡画像から画像処理装置を用いて粒子の投影輪郭を画像化したものを用いる。具体的には、粒子輪郭を周囲長に応じて25分割し、得られた個々の線分に対してその線分を弧で近似したときに最もよく一致する円の半径を求める。これらの円の半径で最大のものを最大曲率半径、最小のものを最小曲率半径と定義する。
上記角のない顔料ナノ粒子の製造方法は、気相法、粉砕法、再沈法、レーザーアブレーション法などの方法から、顔料種や目的性能に応じて好ましい方法を適宜選択することができる。微細で粒径分布の揃った、分散安定性に優れる顔料微粒子を得る点から、後述する微粒子析出法によることが好ましい。
【0013】
本発明の顔料分散組成物においては、上述のとおり「角のない顔料ナノ粒子」が組成物中の全顔料粒子の数の60%以上を占めるが、65%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましい。
本発明のカラーフィルタは「角のない顔料ナノ粒子」を10%以上含んでおり、20%以上含有することが好ましく、30%以上含有することがより好ましい。このカラーフィルタ中での含有率に上限は特にないが、90%以下であることが実際的である。
【0014】
そして「角のない顔料ナノ粒子」の含有率をカラーフィルタの各色の画素についていうと、赤色画素においては60%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましい。緑色画素においては40%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましい。青色画素においては5%以上であることが好ましく、15%以上であることがより好ましい。
【0015】
本発明の顔料分散組成物において用いられる顔料は特に限定されないが、具体的に例えば、有機顔料、有機色素、フラーレン、ポリジアセチレン、ポリイミドなどの高分子有機材料、芳香族炭化水素もしくは脂肪族炭化水素(例えば、配向性を有する芳香族炭化水素もしくは脂肪族炭化水素、または昇華性を有する芳香族炭化水素もしくは脂肪族炭化水素)などからなる粒子が挙げられ、有機顔料、有機色素、または高分子有機材料が好ましく、有機顔料が特に好ましい。また、有機粒子は、単独で用いても、複数であっても、これらを組み合わせたものであってもよい。
【0016】
有機顔料は、色相的に限定されるものではなく、例えば、ペリレン、ペリノン、キナクリドン、キナクリドンキノン、アントラキノン、アントアントロン、ベンズイミダゾロン、ジスアゾ縮合、ジスアゾ、アゾ、インダントロン、フタロシアニン、トリアリールカルボニウム、ジオキサジン、アミノアントラキノン、ジケトピロロピロール、チオインジゴ、イソインドリン、イソインドリノン、ピラントロンもしくはイソビオラントロン化合物顔料、またはそれらの混合物などが挙げられる。
【0017】
更に詳しくは、たとえば、C.I.ピグメントレッド190(C.I.番号71140)、C.I.ピグメントレッド224(C.I.番号71127)、C.I.ピグメントバイオレット29(C.I.番号71129)等のペリレン化合物顔料、C.I.ピグメントオレンジ43(C.I.番号71105)、もしくはC.I.ピグメントレッド194(C.I.番号71100)等のペリノン化合物顔料、C.I.ピグメントバイオレット19(C.I.番号73900)、C.I.ピグメントバイオレット42、C.I.ピグメントレッド122(C.I.番号73915)、C.I.ピグメントレッド192、C.I.ピグメントレッド202(C.I.番号73907)、C.I.ピグメントレッド207(C.I.番号73900、73906)、もしくはC.I.ピグメントレッド209(C.I.番号73905)のキナクリドン化合物顔料、C.I.ピグメントレッド206(C.I.番号73900/73920)、C.I.ピグメントオレンジ48(C.I.番号73900/73920)、もしくはC.I.ピグメントオレンジ49(C.I.番号73900/73920)等のキナクリドンキノン化合物顔料、C.I.ピグメントイエロー147(C.I.番号60645)等のアントラキノン化合物顔料、C.I.ピグメントレッド168(C.I.番号59300)等のアントアントロン化合物顔料、C.I.ピグメントブラウン25(C.I.番号12510)、C.I.ピグメントバイオレット32(C.I.番号12517)、C.I.ピグメントイエロー180(C.I.番号21290)、C.I.ピグメントイエロー181(C.I.番号11777)、C.I.ピグメントオレンジ62(C.I.番号11775)、もしくはC.I.ピグメントレッド185(C.I.番号12516)等のベンズイミダゾロン化合物顔料、C.I.ピグメントイエロー93(C.I.番号20710)、C.I.ピグメントイエロー94(C.I.番号20038)、C.I.ピグメントイエロー95(C.I.番号20034)、C.I.ピグメントイエロー128(C.I.番号20037)、C.I.ピグメントイエロー166(C.I.番号20035)、C.I.ピグメントオレンジ34(C.I.番号21115)、C.I.ピグメントオレンジ13(C.I.番号21110)、C.I.ピグメントオレンジ31(C.I.番号20050)、C.I.ピグメントレッド144(C.I.番号20735)、C.I.ピグメントレッド166(C.I.番号20730)、C.I.ピグメントレッド220(C.I.番号20055)、C.I.ピグメントレッド221(C.I.番号20065)、C.I.ピグメントレッド242(C.I.番号20067)、C.I.ピグメントレッド248、C.I.ピグメントレッド262、もしくはC.I.ピグメントブラウン23(C.I.番号20060)等のジスアゾ縮合化合物顔料、C.I.ピグメントイエロー13(C.I.番号21100)、C.I.ピグメントイエロー83(C.I.番号21108)、もしくはC.I.ピグメントイエロー188(C.I.番号21094)等のジスアゾ化合物顔料、C.I.ピグメントレッド187(C.I.番号12486)、C.I.ピグメントレッド170(C.I.番号12475)、C.I.ピグメントイエロー74(C.I.番号11714)、C.I.ピグメントイエロー150(C.I.番号48545)、C.I.ピグメントレッド48(C.I.番号15865)、C.I.ピグメントレッド53(C.I.番号15585)、C.I.ピグメントオレンジ64(C.I.番号12760)、もしくはC.I.ピグメントレッド247(C.I.番号15915)等のアゾ化合物顔料、C.I.ピグメントブルー60(C.I.番号69800)等のインダントロン化合物顔料、C.I.ピグメントグリーン7(C.I.番号74260)、C.I.ピグメントグリーン36(C.I.番号74265)、C.I.ピグメントグリーン37(C.I.番号74255)、C.I.ピグメントブルー16(C.I.番号74100)、C.I.ピグメントブルー75(C.I.番号74160:2)、C.I.ピグメントブルー15:6(C.I.番号74160)、もしくはC.I.ピグメントブルー15:3(C.I.番号74160)等のフタロシアニン化合物顔料、C.I.ピグメントブルー56(C.I.番号42800)、もしくはC.I.ピグメントブルー61(C.I.番号42765:1)等のトリアリールカルボニウム化合物顔料、C.I.ピグメントバイオレット23(C.I.番号51319)、もしくはC.I.ピグメントバイオレット37(C.I.番号51345)等のジオキサジン化合物顔料、C.I.ピグメントレッド177(C.I.番号65300)等のアミノアントラキノン化合物顔料、C.I.ピグメントレッド254(C.I.番号56110)、C.I.ピグメントレッド255(C.I.番号561050)、C.I.ピグメントレッド264、C.I.ピグメントレッド272(C.I.番号561150)、C.I.ピグメントオレンジ71、もしくはC.I.ピグメントオレンジ73等のジケトピロロピロール化合物顔料、C.I.ピグメントレッド88(C.I.番号73312)等のチオインジゴ化合物顔料、C.I.ピグメントイエロー139(C.I.番号56298)、C.I.ピグメントオレンジ66(C.I.番号48210)等のイソインドリン化合物顔料、C.I.ピグメントイエロー109(C.I.番号56284)、C.I.ピグメントイエロー185(C.I.番号56290)、もしくはC.I.ピグメントオレンジ61(C.I.番号11295)等のイソインドリノン化合物顔料、C.I.ピグメントオレンジ40(C.I.番号59700)、もしくはC.I.ピグメントレッド216(C.I.番号59710)等のピラントロン化合物顔料、C.I.ピグメントイエロー138等のキノフタロン系顔料、またはC.I.ピグメントバイオレット31(60010)等のイソビオラントロン化合物顔料が挙げられる。なかでも、キナクリドン化合物顔料、ジケトピロロピロール化合物顔料、ジオキサジン化合物顔料、フタロシアニン化合物顔料、またはアゾ化合物顔料であることが好ましく、ジケトピロロピロール化合物顔料、ジオキサジン化合物顔料、フタロシアニン化合物顔料がより好ましい。
【0018】
本発明の顔料分散組成物においては、2種類以上の有機顔料または有機顔料の固溶体を組み合わせて用いることもでき、また通常の染料と組み合わせて用いることもできる。
本発明の顔料分散組成物において顔料の含有率は、1〜60質量%であることが好ましく、2〜50質量%であることがより好ましい。
また本発明のカラーフィルタにおいては、2種類以上の有機顔料または有機顔料の固溶体を組み合わせて用いることもでき、また通常の染料と組み合わせて用いることもできる。発明のカラーフィルタにおいて有機顔料の含有率は、その着色層中、全固形分量に対して10〜70質量%とすることが好ましく、30〜60質量%とすることがより好ましい。
本発明のカラーフィルタの上記着色層は、上記有機顔料(a)と、重合性基を有するモノマーもしくはオリゴマー(b)と、水溶性ポリマー(c)とを含有する顔料分散物において、前記重合性モノマーもしくはオリゴマー(b)を重合させた重合固化物よりなることが好ましい。このとき顔料分散物に、バインダー(d)や重合開始剤又は重合開始剤系(e)を含有させることも好ましい。着色層の厚さは特に限定されないが、0.5〜5.0μmであることが好ましく、1.0〜3.0μmであることがより好ましい。着色層の面積は特に限定されないが、例えば微細化画素とするときには、400〜90000μmとすることが好ましく、1000〜15000μmとすることがより好ましい。
【0019】
本発明の顔料分散組成物は顔料微粒子を含有していれば、その他の化合物を含有していても、含有していなくてもよいが、モノマーもしくはオリゴマーと、バインダーと、重合開始剤又は重合開始剤系とを組み合わせて着色感光性樹脂組成物とすることが好ましい。
【0020】
モノマーもしくはオリゴマーとして重合性基を有することが好ましく、エチレン性不飽和二重結合を2個以上有し、光の照射によって付加重合するものであることが好ましい。そのようなものとしては、分子中に少なくとも1個の付加重合可能なエチレン性不飽和基を有し、沸点が常圧で100℃以上の化合物を挙げることができる。その例としては、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート及びフェノキシエチル(メタ)アクリレートなどの単官能アクリレートや単官能メタクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)シアヌレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパンやグリセリン等の多官能アルコールにエチレンオキシド又はプロピレンオキシドを付加した後(メタ)アクリレート化したもの等の多官能アクリレートや多官能メタクリレートを挙げることができる。また、特開平10−62986号公報に一般式(1)および(2)に記載のように、多官能アルコールにエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加させた後(メタ)アクリレート化した化合物も好適なものとして挙げられる。
【0021】
更に特公昭48−41708号公報、特公昭50−6034号公報及び特開昭51−37193号公報に記載されているウレタンアクリレート類;特開昭48−64183号公報、特公昭49−43191号公報及び特公昭52−30490号公報に記載されているポリエステルアクリレート類;エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸の反応生成物であるエポキシアクリレート類等の多官能アクリレー卜やメタクリレートを挙げることができる。
これらの中で、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートが好ましい。
また、この他、特開平11−133600号公報に記載の「重合性化合物B」も好適なものとして挙げることができる。
【0022】
これらの重合性モノマーもしくはオリゴマーは分子量200〜1000のものが好ましく、単独でも、二種類以上を混合して用いてもよい。
本発明の着色感光性組成物中の含有率は、特に限定されないが、5〜50質量%であることが一般的であり、10〜40質量%であることが好ましい。この量が多すぎると現像性の制御が困難になり製造適性上問題となる。少なすぎると露光時の硬化力が不足する。
【0023】
バインダーとしては酸性基を有するバインダーが好ましく、インクジェットインクないし着色感光性樹脂組成物の調製時に添加してもよい。前記顔料分散物を製造する際、または後述する顔料微粒子形成時に添加することも好ましい。有機顔料溶液および有機顔料溶液を添加して顔料微粒子を生成させるための貧溶媒の両方もしくは一方にバインダーを添加することもできる。またはバインダー溶液を別系統で顔料微粒子形成時に添加することも好ましい。
【0024】
バインダーとしては、側鎖にカルボン酸基やカルボン酸塩基などの極性基を有するアルカリ可溶性のポリマーが好ましい。その例としては、特開昭59−44615号公報、特公昭54−34327号公報、特公昭58−12577号公報、特公昭54−25957号公報、特開昭59−53836号公報及び特開昭59−71048号公報に記載されているようなメタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等を挙げることができる。また側鎖にカルボン酸基やカルボン酸塩などを有するセルロース誘導体も挙げることができ、またこの他にも、水酸基を有するポリマーに環状酸無水物を付加したものも好ましく使用することができる。また、特に好ましい例として、米国特許第4,139,391号明細書に記載のベンジル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸との共重合体や、ベンジル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸と他のモノマーとの多元共重合体を挙げることができる。これらの極性基を有するバインダーポリマーは、単独で用いてもよく、或いは通常の膜形成性のポリマーと併用する組成物の状態で使用してもよく、顔料微粒子100質量部に対する添加量は10〜200質量部が一般的であり、25〜100質量部が好ましい。
【0025】
また架橋効率を向上させるために、重合性基を側鎖に有してもよく、UV硬化性樹脂や、熱硬化性樹脂等も有用である。これらの重合性基を含有するポリマーの例を以下に示すが、COOH基、OH基、アンモニウム基等のアルカリ可溶性基と炭素−炭素不飽和結合が含まれていれば下記に限定されない。OH基を有する例えば2−ヒドロキシエチルアクリレートと、COOH基を含有する例えばメタクリル酸と、およびこれらと共重合可能なアクリル系もしくはビニル系化合物等のモノマーとの共重合体に、OH基と反応性を有するエポキシ環と炭素−炭素不飽和結合基を有する化合物、例えばグリシジルアクリレートのような化合物を反応させて得られる化合物等が使用できる。OHとの反応ではエポキシ環の他に酸無水物、イソシアネート基を有し、アクリロイル基を有する化合物も使用できる。また特開平6−102669号、特開平6−1938号に開示されるエポキシ環を有する化合物にアクリル酸のような不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物に、飽和もしくは不飽和多塩基酸無水物を反応させて得られる反応物も使用できる。COOHのようなアルカリ可溶化基と炭素−炭素不飽和基を併せ持つ化合物として例えばダイヤナールNRシリーズ(三菱レイヨン株式会社製)、Photomer6173(COOH含有Polyurethane acrylic oligomer。Diamond Shamrock Co. Ltd.,製)、ビスコートR−264、KSレジスト106(いずれも大阪有機化学工業株式会社製)、サイクロマーPシリーズ、プラクセル CF200シリーズ(いずれもダイセル化学工業株式会社製)、Ebecryl3800(ダイセルユーシービー株式会社製)などが挙げられる。
【0026】
更に、バインダー樹脂として、側鎖の一部に水溶性の原子団を有する有機高分子重合体を用いることができる。上記バインダー樹脂は、モノマーに対して相溶性のある線状有機高分子重合体であり、且つ、有機溶剤およびアルカリ可溶性(好ましくは弱アルカリ水溶液で現像できるもの)であることが好ましい。上記アルカリ可溶性樹脂としては、側鎖にカルボン酸を有するポリマー、例えば、特開昭59−44615号、特公昭54−34327号、特公昭58−12577号、特公昭54−25957号、特開昭59−53836号、特開昭59−71048号公報に記載されているようなメタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等があり、また同様に側鎖にカルボン酸を有する酸性セルロース誘導体が挙げられる。上記アルカリ可溶性樹脂としては、その他、水酸基を有するポリマーに酸無水物を付加させたものなどが有用である。特にこれらの中でも、具体的には、ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体やベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/および他のモノマーとの多元共重合体が好ましい。上記アルカリ可溶性樹脂としては、少なくとも(i)無水マレイン酸(MAA)、アクリル酸(AA)、メタクリル酸(MA)、およびフマル酸(FA)から選ばれた少なくとも一種の酸成分モノマーと、(ii)アルキルポリオキシエチレン(メタ)アクリレートと、および(iii)ベンジル(メタ)アクリレートとからなる共重合体(以下「共重合体A」という場合がある。)を用いることができる。
上記共重合体Aの組み合わせとしては、(i)酸成分モノマー、(ii)アルキルポリオキシエチレン(メタ)アクリレート(Acr(EO)n:CH(OC)nOCOC(R)=CH)、および(iii)ベンジル(メタ)アクリレート(Bz(M)A)の組成質量比は好ましくは10〜25/5〜25/50〜85、より好ましくは15〜20/5〜20/60〜80が好ましい。また、上記共重合体のGPCによるポリスチレン換算質量平均分子量(Mw)としては好ましくは3,000〜50,000、より好ましくは5,000〜30,000である。
【0027】
(i)酸成分モノマーの組成質量比が上記範囲にあると、アルカリ可溶性および溶剤への溶解性が低下しにくい。また、(ii)アルキルポリオキシエチレン(メタ)アクリレート(Acr(EO)n:CH(OC)nOCOC(R)=CH)の組成質量比が上記範囲にあると、組成物の基板上への液の広がりやすく、また着色剤の分散性が低下しにくいため、本発明の効果を有効に達成することができる。(iii)ベンジル(メタ)アクリレート(Bz(M)A)の組成質量比が上記範囲にあると、着色剤の分散安定性や組成物中への溶解性や塗布膜のアルカリ現像適性が低下しにくい。
(ii)アルキルポリオキシエチレン(メタ)アクリレート(Acr(EO)n:CH(OC)nOCOC(R)=CH)のポリオキシエチレン(EO)nの繰り返し数nは、2〜15が好ましく、2〜10が更に好ましく、4〜10が特に好ましい。上記繰り返し数nが、前記範囲にあると、アルカリ現像液で現像した後に現像残渣が発生しにくく、組成物の塗布液としての流動性が低下し、塗布ムラを生じるのを防止でき、塗布膜厚の均一性や省液性が低下するのを防止できる。
これらの極性基を有するバインダーポリマーは、単独で用いてもよく、或いは通常の膜形成性のポリマーと併用する組成物の状態で使用してもよく、顔料微粒子100質量部に対する添加量は10〜200質量部が一般的であり、25〜100質量部が好ましい。
【0028】
バインダーが高分子化合物である場合、該高分子化合物中の酸性基の数に特に制限はないが、1分子中に含まれる繰り返し単位の数を100とした時、酸性基を有する繰り返し単位が5〜100であることが好ましく、10〜100であることがより好ましい。また、(1)カルボキシル基を有する化合物から導かれた繰り返し単位と、前記(2)カルボン酸エステル基を有する化合物から導かれた繰り返し単位との重合比率としていえば、繰り返し単位(1)のモル%が5〜40であることが好ましく、繰り返し単位(2)が40〜90であることが好ましく、繰り返し単位(1)または(2)以外の繰り返し単位が25以下であることが好ましい。また酸性基を有するアルカリ可溶性のバインダーの高分子化合物の分子量は3000〜1000000が好ましく、4000〜200000がより好ましく、5000〜80000が特に好ましい。
【0029】
本発明の着色感光性樹脂組成物中、バインダーの含有率は、特に限定されないが、15〜50質量%が一般的であり、20〜45質量%が好ましい。この量が多すぎると組成物の粘度が高くなりすぎ製造適性上問題となる。少なすぎると塗布膜の形成上問題がある。
【0030】
光重合開始剤又は光重合開始剤系(本発明において、光重合開始剤系とは複数の化合物の組み合わせで光重合開始の機能を発現する重合開始組成物をいう。)としては、米国特許第2367660号明細書に開示されているビシナルポリケタルドニル化合物、米国特許第2448828号明細書に記載されているアシロインエーテル化合物、米国特許第2722512号明細書に記載のα−炭化水素で置換された芳香族アシロイン化合物、米国特許第3046127号明細書及び同第2951758号明細書に記載の多核キノン化合物、米国特許第3549367号明細書に記載のトリアリールイミダゾール二量体とp−アミノケトンの組み合わせ、特公昭51−48516号公報に記載のベンゾチアゾール化合物とトリハロメチル−s−トリアジン化合物、米国特許第4239850号明細書に記載されているトリハロメチル−トリアジン化合物、米国特許第4212976号明細書に記載されているトリハロメチルオキサジアゾール化合物等を挙げることができる。特に、トリハロメチル−s−トリアジン、トリハロメチルオキサジアゾール及びトリアリールイミダゾール二量体が好ましい。
【0031】
また、この他、特開平11−133600号公報に記載の「重合開始剤C」や、オキシム系として、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、O−ベンゾイル−4’−(ベンズメルカプト)ベンゾイル−ヘキシル−ケトキシム、2,4,6−トリメチルフェニルカルボニル−ジフェニルフォスフォニルオキサイド、ヘキサフルオロフォスフォロ−トリアルキルフェニルホスホニウム塩等も好適なものとしてあげることができる。
【0032】
これらの光重合開始剤又は光重合開始剤系は、単独でも、2種類以上を混合して用いてもよいが、特に2種類以上を用いることが好ましい。少なくとも2種の光重合開始剤を用いると、表示特性、特に表示のムラが少なくできる。
【0033】
本発明の着色感光性樹脂組成物において光重合開始剤又は光重合開始剤系の含有量は特に限定されないが、0.5〜20質量%が一般的であり、1〜15質量%が好ましい。この量が多すぎると感度が高くなりすぎ制御が困難になる。少なすぎると露光感度が低くなりすぎる。
【0034】
着色感光性組成物は水溶性ポリマーを含有していてもよく、水溶性ポリマーは25℃の純水に対する溶解度が100以上のものが好ましく、50以上のものがより好ましく、100以上のものが特に好ましい。また、カラーフィルタに影響を及ぼしにくい、水溶液の状態で中性であるものが好ましい。具体的には、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシドなどの合成高分子化合物、およびこれらの共重合体を用いることができる。これらの高分子化合物の中では、ポリビニルピロリドンが特に好ましい。これら水溶性ポリマーは、1種類のみで用いても、2種以上を組み合わせてもよい。
【0035】
水溶性ポリマーの分子量は特に制限されないが、好ましくは数平均分子量Mnが1,000〜2,000,000であり、5,000〜1,000,000がより好ましく、10,000〜500,000がさらに好ましく、10,000〜100,000が特に好ましい。
【0036】
本発明の着色感光性樹脂組成物において、水溶性ポリマーの含有率は、0.1質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましく、1質量%以上であることが特に好ましい。
【0037】
上記成分の他に、更に有機溶媒を用いてもよい。有機溶媒の例としては、特に限定されないが、エステル類、例えば酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、アルキルエステル類、乳酸メチル、乳酸エチル、オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチル、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、3−オキシプロピオン酸メチル、3−オキシプロピオン酸エチルなどの3−オキシプロピオン酸アルキルエステル類;3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸メチル、2−オキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸プロピル、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸メチル、2−オキソブタン酸エチル等;エーテル類、例えばジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、等;ケトン類、例えばメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロヘキサノール、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等;芳香族炭化水素類、例えばトルエン、キシレシ等が挙げられる。これら溶剤のうち、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エチルセロソルブアセテート、乳酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート等が本発明における溶剤として好ましく用いられる。これらの溶剤は、単独で用いてもあるいは2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0038】
また沸点が180℃〜250℃である溶剤を必要によって使用することができる。これらの高沸点溶剤としては、次のものが例示される。ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、3,5,5−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン、ブチルラクテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコール−n−プロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジエチルエーテル、2−エチルヘキシルアセテート、3−メトキシ−3−メチルブチルアセテート、γブチルラクトン、トリプロピレングリコールメチルエチルアセテート、ジプロピレングリコール−n−ブチルアセテート、プロピレングリコールフェニルエーテルアセテート、1,3−ブタンジオールジアセテート。
溶媒の含有量は、特に限定されないが着色感光性樹脂組成物中10〜95質量%であることが好ましい。
【0039】
従来用いられてきたカラーフィルタにおいては、高い色純度を実現するために各画素の色が濃くなり、画素の膜厚のムラが、そのまま色ムラとして認識されるという問題があった。そのため、画素の膜厚に直接影響する、膜厚変動の良化が求められていた。
本発明のカラーフィルタにおいては、均一な膜厚に制御でき、膜厚変動による色ムラを効果的に防止するという観点から、カラーフィルタ用インクジェットインク中に適切な界面活性剤を含有させることが好ましい。
上記界面活性剤としては、特開2003−337424号公報、特開平11−133600号公報に開示されている界面活性剤が、好適なものとして挙げられる。界面活性剤の含有率は、特に限定されないが、5質量%以下であることが好ましい。
【0040】
本発明の着色感光性樹脂組成物は、熱重合防止剤を含むことが好ましい。該熱重合防止剤の例としては、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2−メルカプトベンズイミダゾール、フェノチアジン等が挙げられる。熱重合防止剤の含有量は、特に限定されないが、着色感光性樹脂組成物中、1質量%以下であることが好ましい。
【0041】
本発明の着色感光性樹脂組成物は、必要に応じて紫外線吸収剤を含有することができる。紫外線吸収剤としては、特開平5−72724号公報記載の化合物のほか、サリシレート系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系、ニッケルキレート系、ヒンダードアミン系などが挙げられる。
具体的には、フェニルサリシレート、4−t−ブチルフェニルサリシレート、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3’,5’−ジ−t−4’−ヒドロキシベンゾエート、4−t−ブチルフェニルサリシレート、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、2,2’−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、ニッケルジブチルジチオカーバメート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピリジン)−セバケート、4−t−ブチルフェニルサリシレート、サルチル酸フェニル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン縮合物、コハク酸−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリデニル)−エステル、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、7−{[4−クロロ−6−(ジエチルアミノ)−5−トリアジン−2−イル]アミノ}−3−フェニルクマリン等が挙げられる。紫外線吸収剤の含有量は、特に限定されないが、着色感光性樹脂組成物中5質量%以下であることが好ましい。
【0042】
本発明の着色感光性樹脂組成物をインクジェットインクとして用いるとき、その粘度の変動幅が±5%以内になるようインク温度を制御することが好ましい。射出時の粘度は5〜25mPa・sであることが好ましく、8〜22mPa・sであることがより好ましく、10〜20mPa・sであることが特に好ましい(本発明において粘度は、特に断らない限り25℃のときの値である。)。前記射出温度の設定以外に、インクに含有させる成分の種類と添加量を調節することで、粘度の調整をすることができる。前記粘度は、例えば、円錐平板型回転粘度計やE型粘度計などの通常の装置により測定することができる。
また、射出時のインクの表面張力は15〜40mN/mであることが、画素の平坦性向上の観点から好ましい(本発明において表面張力は、特に断らない限り23℃のときの値である。)。より好ましくは、20〜35mN/m、最も好ましくは、25〜30mN/mである。表面張力の調整は、界面活性剤の添加や、溶剤の種類により調整することができる。前記表面張力は、例えば、表面張力測定装置(協和界面科学株式会社製、CBVP−Z)や、全自動平衡式エレクトロ表面張力計ESB−V(協和科学社製)などの公知の測定器を用いて白金プレート方法により測定することができる。
【0043】
上記カラーフィルタ用インクジェットインクとして吹き付ける方法としては、帯電したインクを連続的に噴射し電場によって制御する方法、圧電素子を用いて間欠的にインクを噴射する方法、インクを加熱しその発泡を利用して間欠的に噴射する方法等、各種の方法を採用できる。
また、各画素形成のために用いるインクジェット法に関しては、インクを熱硬化させる方法、光硬化させる方法、あらかじめ基板上に透明な受像層を形成しておいてから打滴する方法など、通常の方法を用いることができる。
【0044】
インクジェットヘッド(以下、単にヘッドともいう。)には、通常のものを適用でき、コンティニアスタイプ、ドットオンデマンドタイプが使用可能である。ドットオンデマンドタイプのうち、サーマルヘッドでは、吐出のため、特開平9−323420号に記載されているような稼動弁を持つタイプが好ましい。ピエゾヘッドでは、例えば、欧州特許A277,703号、欧州特許A278,590号などに記載されているヘッドを使うことができる。ヘッドはインクの温度が管理できるよう温調機能を持つものが好ましい。射出時の粘度は5〜25mPa・sとなるよう射出温度を設定し、粘度の変動幅が±5%以内になるようインク温度を制御することが好ましい。また、駆動周波数としては、1〜500kHzで稼動することが好ましい。
【0045】
また、各画素を形成した後、加熱処理(いわゆるベーク処理)する加熱工程を設けることができる。即ち、光照射により光重合した層を有する基板を電気炉、乾燥器等の中で加熱する、あるいは赤外線ランプを照射する。加熱の温度及び時間は、感光性濃色組成物の組成や形成された層の厚みに依存するが、一般に充分な耐溶剤性、耐アルカリ性、及び紫外線吸光度を獲得する観点から、約120℃〜約250℃で約10分〜約120分間加熱することが好ましい。
このようにして形成されたカラーフィルタのパターン形状は特に限定されるものではなく、一般的なブラックマトリックス形状であるストライプ状であっても、格子状であっても、さらにはデルタ配列状であってもよい。
【0046】
カラーフィルタ用インクジェットインクを用いた画素形成工程の前に、予め隔壁を作成し、該隔壁に囲まれた部分にインクを付与する作製方法が好ましい。この隔壁はどのようなものでもよいが、カラーフィルタを作製する場合は、ブラックマトリクスの機能を持った遮光性を有する隔壁(以下、単に「隔壁」とも言う。)であることが好ましい。該隔壁は通常のカラーフィルタ用ブラックマトリクスと同様の素材、方法により作製することができる。例えば、特開2005−3861号公報の段落番号[0021]〜[0074]や、特開2004−240039号公報の段落番号[0012]〜[0021]に記載のブラックマトリクスや、特開2006−17980号公報の段落番号[0015]〜[0020]や、特開2006−10875号公報の段落番号[0009]〜[0044]に記載のインクジェット用ブラックマトリクスなどが挙げられる。
【0047】
上記の着色感光性樹脂組成物を塗布膜とすることができ、その厚さは適宜定めることができるが、0.5〜5.0μmであることが好ましく、1.0〜3.0μmであることがより好ましい。この着色感光性樹脂組成物を用いた塗布膜においては、そこに含まれる重合性モノマー又はオリゴマーを重合させて着色感光性樹脂組成物の重合膜とし、それを有するカラーフィルタを作製することができる(カラーフィルタの作製については後述する。)。重合性モノマー又は重合性オリゴマーの重合は、光照射により光重合開始剤又は光重合開始剤系を作用させて行うことができる。
【0048】
尚、上記塗布膜は、着色感光性樹脂組成物を、通常の塗布方法により塗布し乾燥することによって形成することができるが、液が吐出する部分にスリット状の穴を有するスリット状ノズルによって塗布することが好ましい。具体的には、特開2004−89851号公報、特開2004−17043号公報、特開2003−170098号公報、特開2003−164787号公報、特開2003−10767号公報、特開2002−79163号公報、特開2001−310147号公報等に記載のスリット状ノズル、及びスリットコータが好適に用いられる。
【0049】
着色感光性樹脂組成物の基板への塗布方法は、1〜3μmの薄膜を均一に高精度に塗布できるという点からスピン塗布が優れており、カラーフィルタの作製に広く一般的に用いることができる。しかし、近年においては、液晶表示装置の大型化および量産化に伴って、製造効率および製造コストをより高めるために、スピン塗布よりも広幅で大面積な基板の塗布に適したスリット塗布がカラーフィルタの作製に採用されるようになってきている。尚、省液性という観点からもスリット塗布はスピン塗布よりも優れており、より少ない塗布液量で均一な塗膜を得ることができる。ここで、基板は透明基板であることが好ましく、表面に酸化ケイ素皮膜を有するソーダガラス板、低膨張ガラス、石英ガラス板等のガラス板を用いることができる。また、ポリエチレンテレフタレート、トリ酢酸セルロース、ポリスチレン、ポリカーボネイト等の樹脂フィルムを用いてもよい。
【0050】
スリット塗布は、先端に幅数十ミクロンのスリット(間隙)を有し且つ矩形基板の塗布幅に対応する長さの塗布ヘッドを、基板とのクリアランス(間隙)を数10〜数100ミクロンに保持しながら、基板と塗布ヘッドとに一定の相対速度を持たせて、所定の吐出量でスリットから供給される塗布液を基板に塗布する塗布方式である。このスリット塗布は、(1)スピン塗布に比して液ロスが少ない、(2)塗布液の飛びちりがないため洗浄処理が軽減される、(3)飛び散った液成分の塗布膜への再混入がない、(4)回転の立ち上げ停止時間がないのでタクトタイムが短縮化できる、(5)大型の基板への塗布が容易である、等の利点を有する。これらの利点から、スリット塗布は大型画面液晶表示装置用のカラーフィルタの作製に好適であり、塗布液量の削減にとっても有利な塗布方式として期待されている。
【0051】
スリット塗布は、スピン塗布よりも遥かに大面積の塗布膜を形成するため、幅の広いスリット出口から塗布液を吐出する際、コータと被塗布物との間にある程度の相対速度を保つ必要がある。このため、スリット塗布方式に用いる塗布液には良好な流動性が求められる。また、スリット塗布には、塗布ヘッドのスリットから基板に供給される塗布液の諸条件を、塗布幅全般に渡って一定に保持することが特に求められる。塗布液の流動性や粘弾性特性等の液物性が不充分であると、塗布ムラが生じやすく、塗布幅方向に塗布厚を一定に保つのが困難になり、均一な塗布膜を得ることができないという問題が生じてしまう。
【0052】
これらのことから、ムラがなく均一な塗布膜を得るために塗布液の流動性や粘弾性特性を改良しようとする試みが多くなされている。しかし、上述したようにポリマーの分子量を低下させたり、溶剤への溶解性に優れたポリマーを選択したり、蒸発速度をコントロールするために溶剤を種々選択したり、界面活性剤を利用するなどの手段が提案されているが、いずれも上記の諸問題を改良するには充分ではなかった。
【0053】
感光性樹脂転写材料は、前述の着色感光性樹脂組成物を用いた感光性樹脂を設けて作製することができ、特開平5−72724号公報に記載されている感光性樹脂転写材料、すなわち一体型となったフィルムを用いて形成することが好ましい。該一体型フィルムの構成の例としては、仮支持体/熱可塑性樹脂層/中間層/感光性樹脂層/保護フィルムを、この順に積層した構成が挙げられる。
【0054】
仮支持体としては、可撓性を有し、加圧、若しくは加圧及び加熱下においても著しい変形、収縮若しくは伸びを生じないものであることが必要である。そのような仮支持体の例としては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、トリ酢酸セルロースフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム等を挙げることができ、中でも2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが特に好ましい。
【0055】
熱可塑性樹脂層に用いる成分としては、特開平5−72724号公報に記載されている有機高分子物質が好ましく、ヴイカーVicat法(具体的にはアメリカ材料試験法エーエステーエムデーASTMD1235によるポリマー軟化点測定法)による軟化点が約80℃以下の有機高分子物質より選ばれることが特に好ましい。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、エチレンと酢酸ビニル或いはそのケン化物の様なエチレン共重合体、エチレンとアクリル酸エステル或いはそのケン化物、ポリ塩化ビニル、塩化ビニルと酢酸ビニル及びそのケン化物の様な塩化ビニル共重合体、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニリデン共重合体、ポリスチレン、スチレンと(メタ)アクリル酸エステル或いはそのケン化物の様なスチレン共重合体、ポリビニルトルエン、ビニルトルエンと(メタ)アクリル酸エステル或いはそのケン化物の様なビニルトルエン共重合体、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸ブチルと酢酸ビニル等の(メタ)アクリル酸エステル共重合体、酢酸ビニル共重合体ナイロン、共重合ナイロン、N−アルコキシメチル化ナイロン、N−ジメチルアミノ化ナイロンの様なポリアミド樹脂等の有機高分子が挙げられる。
【0056】
感光性樹脂転写材料においては、複数の塗布層の塗布時、及び塗布後の保存時における成分の混合を防止する目的から、中間層を設けることが好ましい。該中間層としては、特開平5−72724号公報に「分離層」として記載されている、酸素遮断機能のある酸素遮断膜を用いることが好ましく、この場合、露光時感度がアップし、露光機の時間負荷が減り、生産性が向上する。
該酸素遮断膜としては、低い酸素透過性を示し、水又はアルカリ水溶液に分散又は溶解するものが好ましく、通常のものの中から適宜選択することができる。これらの内、特に好ましいのは、ポリビニルアルコールとポリビニルピロリドンとの組み合わせである。
【0057】
感光性樹脂層の上には、貯蔵の際の汚染や損傷から保護するために薄い保護フィルムを設けることが好ましい。保護フィルムは仮支持体と同じか又は類似の材料からなってもよいが、感光性樹脂層から容易に分離されねばならない。保護フィルム材料としては例えばシリコーン紙、ポリオレフィン若しくはポリテトラフルオロエチレンシートが適当である。
【0058】
感光性樹脂転写材料は、仮支持体上に熱可塑性樹脂層の添加剤を溶解した塗布液(熱可塑性樹脂層用塗布液)を塗布し、乾燥することにより熱可塑性樹脂層を設け、その後熱可塑性樹脂層上に熱可塑性樹脂層を溶解しない溶剤からなる中間層材料の溶液を塗布、乾燥し、その後感光性樹脂層を、中間層を溶解しない溶剤で塗布、乾燥して設けることにより作製することができる。
また、前記の仮支持体上に熱可塑性樹脂層及び中間層を設けたシート、及び保護フィルム上に感光性樹脂層を設けたシートを用意し、中間層と感光性樹脂層が接するように相互に貼り合わせることによっても、更には、前記の仮支持体上に熱可塑性樹脂層を設けたシート、及び保護フィルム上に感光性樹脂層及び中間層を設けたシートを用意し、熱可塑性樹脂層と中間層が接するように相互に貼り合わせることによっても、作製することができる。
【0059】
感光性樹脂転写材料において、感光性樹脂層の膜厚としては、1.0〜5.0μmが好ましく、1.0〜4.0μmがより好ましく、1.0〜3.0μmが特に好ましい。また、特に限定されるわけではないが、その他の各層の好ましい膜厚としては、仮支持体は15〜100μm、熱可塑性樹脂層は2〜30μm、中間層は0.5〜3.0μm、保護フィルムは4〜40μmが、一般的に好ましい。
【0060】
尚、上記作製方法における塗布は、通常の塗布装置等によって行うことができるが、スリット状ノズルを用いた塗布装置(スリットコータ)によって行うことが好ましい。スリットコータの好ましい具体例等は、前記と同様である。
【0061】
本発明のカラーフィルタは、用途に応じて単一の色相のみを持つものであっても、あるいは赤色、青色、緑色のように3種の異なる色相を持つものでもよい。そして、基板上における着色層のパターン及びその形成方法については特に限定されない。
本発明のカラーフィルタは、コントラストに優れたものとして用いることができる。本発明においてコントラストとは、2枚の偏光板の間において、偏光軸が平行のときと、垂直のときとの透過光量の比を表す(「1990年第7回色彩光学コンファレンス、512色表示10.4”サイズTFT−LCD用カラーフィルタ、植木、小関、福永、山中」等参照。)。
カラーフィルタのコントラストが高いということは液晶と組み合わせたときの明暗のディスクリミネーションが大きくできるということを意味しており、液晶ディスプレイがCRTに置き換わるためには非常に重要な性能である。本発明のカラーフィルタのコントラストは、単色で、3000以上であることが好ましく、5000以上であることがより好ましく、7000以上であることが特に好ましい。R画素、G画素、B画素を有し、必要によりブラックマトリックスを設けたカラーフィルタでは、3000以上であることが好ましく、5000以上であることがより好ましく、6000以上であることが特に好ましい。本発明は、このような高コントラストを実現できる特徴がある。
【0062】
本発明のカラーフィルタは、テレビ用として用いる場合は、F10光源による、レッド(R)、グリーン(G)、及びブルー(B)のそれぞれ全ての単色の色度が、下表に記載の値(以下、本発明において「目標色度」という。)との差(ΔE)で5以内の範囲であることが好ましく、更に3以内であることがより好ましく、2以内であることが特に好ましい。
【0063】
x y Y
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
R 0.656 0.336 21.4
G 0.293 0.634 52.1
B 0.146 0.088 6.90
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【0064】
本発明において色度は、顕微分光光度計(オリンパス光学社製;OSP100又は200)により測定し、F10光源視野2度の結果として計算して、xyz表色系のxyY値で表す。また、目標色度との差は、La表色系の色差で表す。
【0065】
本発明のカラーフィルタは、基板上に感光性樹脂層を形成し、露光して現像することを色の数だけ繰り返す方法などの方法によって製造することができる。尚、必要に応じて、その境界をブラックマトリックスで区分した構造とすることもできる。
上記の製造方法において、基板上に上記感光性樹脂層を形成する方法としては、(a)上記の各着色感光性樹脂組成物を通常の塗布装置等によって塗布する方法、及び(b)前述の感光性樹脂転写材料を用い、ラミネーターによって貼り付ける方法などが挙げられる。
【0066】
本発明のカラーフィルタを製造する際、着色感光性樹脂組成物の塗布には、通常の塗布装置を用いることができるが、中でも特に、既に説明した、スリットコータを好適に用いることができる。尚、スリットコータの好ましい具体例等は、前記と同様である。感光性樹脂層を塗布により形成する場合、その膜厚としては、1.0〜3.0μmが好ましく、1.0〜2.5μmがより好ましく、1.5〜2.5μmが特に好ましい。
【0067】
感光性樹脂転写材料を用い、フィルム状に形成した感光性樹脂層を、後述する基板上に、加熱及び/又は加圧した、ローラー又は平板で、圧着又は加熱圧着することによって、貼り付けることができる。具体的には、特開平7−110575号公報、特開平11−77942号公報、特開2000−334836号公報、特開2002−148794号公報に記載のラミネーター及びラミネート方法が挙げられるが、低異物の観点で、特開平7−110575号公報に記載の方法を用いるのが好ましい。
本発明のカラーフィルタは、感光性樹脂層を着色感光性樹脂組成物の塗布によって形成する場合において該感光性樹脂層上に更に酸素遮断膜を設けることができ、これにより露光感度をアップすることができる。該酸素遮断膜としては、既に説明したものと同様のものが挙げられる。尚、特に限定されるわけではないが、酸素遮断膜の膜厚としては、0.5〜3.0μmが一般的に好ましい。
【0068】
上記基板上に形成された感光性樹脂層の上方に所定のマスクを配置し、その後該マスク、熱可塑性樹脂層、及び中間層を介してマスク上方から露光し、次いで現像液による現像を行う、という工程を色の数だけ繰り返すことにより、カラーフィルタを得ることができる。
ここで、前記露光の光源としては、感光性樹脂層を硬化しうる波長域の光(例えば、365nm、405nmなど)を照射できるものであれば適宜選定して用いることができる。具体的には、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ等が挙げられる。露光量としては、通常5〜200mJ/cm程度であり、好ましくは10〜100mJ/cm程度である。
【0069】
また、前記現像液としては、特に制約はなく、特開平5−72724号公報に記載のものなど、通常の現像液を使用することができる。尚、現像液は感光性樹脂層が溶解型の現像挙動をするものが好ましく、例えば、pKa=7〜13の化合物を0.05〜5mol/Lの濃度で含むものが好ましいが、更に水と混和性を有する有機溶剤を少量添加してもよい。
水と混和性を有する有機溶剤としては、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、ブタノール、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ベンジルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、乳酸エチル、乳酸メチル、ε−カプロラクタム、N−メチルピロリドン等を挙げることができる。該有機溶剤の濃度は0.1質量%〜30質量%が好ましい。
また、上記現像液には、更に通常の界面活性剤を添加することができる。界面活性剤の濃度は0.01質量%〜10質量%が好ましい。
【0070】
現像の方式としては、パドル現像、シャワー現像、シャワー&スピン現像、ディプ現像等の方法を用いることができる。
ここで、上記シャワー現像について説明すると、露光後の感光性樹脂層に現像液をシャワーにより吹き付けることにより、未硬化部分を除去することができる。尚、現像の前に感光性樹脂層の溶解性が低いアルカリ性の液をシャワーなどにより吹き付け、熱可塑性樹脂層、中間層などを除去しておくことが好ましい。また、現像の後に、洗浄剤などをシャワーにより吹き付け、ブラシなどで擦りながら、現像残渣を除去することが好ましい。
現像液の液温度は20℃〜40℃が好ましく、また、現像液のpHは8〜13が好ましい。
【0071】
尚、本発明のカラーフィルタを製造する際、特開平11−248921号公報、特許3255107号公報に記載のように、カラーフィルタを形成する着色感光性樹脂組成物を重ねることで土台を形成し、その上に透明電極を形成し、更に分割配向用の突起を重ねることでスペーサを形成することが、コストダウンの観点で好ましい。
着色感光性樹脂組成物を順次塗布して重ねる場合は、塗布液のレベリングのため重ねるごとに膜厚が薄くなってしまう。このため、K(ブラック)・R・G・Bの4色を重ね、更に分割配向用突起を重ねることが好ましい。一方、熱可塑性樹脂層を有する転写材料を用いる場合は、厚みが一定に保たれるため、重ねる色は3又は2色とすることが好ましい。
また上記土台のサイズは、転写材料を重ねてラミネートする際の感光性樹脂層の変形を防止し一定の厚みを保持する観点から、25μm×25μm以上が好ましく、30μm×30μm以上が特に好ましい。
【0072】
本発明の液晶表示装置は、コントラストに優れる本発明のカラーフィルタを用い、黒のしまり等の描写力に優れる。ノートパソコン用ディスプレイやテレビモニター等の大画面の液晶表示装置等としても好適に用いることができる。
【0073】
本発明の顔料分散組成物に含まれる顔料ナノ粒子は、有機顔料を良溶媒に溶解した有機顔料溶液と、前記良溶媒に対しては相溶性を有し、有機顔料に対しては貧溶媒となる溶媒(以下、この溶媒を[有機顔料の貧溶媒]もしくは単に[貧溶媒]などということもある。)とを混合することにより生成させた微粒子であることがより好ましい(以下、この方法を「微粒子析出法」ということもある。)。なお、上記貧溶媒と良溶媒の組み合わせは有機顔料の溶解度に十分な差があることが必要であり、顔料に合わせて好ましいものを選択する必要があるが、この工程を可能にする組み合わせであればいかなる選択も可能である。
【0074】
有機顔料の貧溶媒は、有機顔料を溶解する良溶媒と相溶するもしくは均一に混ざるものであれば特に限定されない。有機顔料の貧溶媒としては、有機顔料の溶解度が0.02質量%以下であることが好ましく、0.01質量%以下であることがより好ましい。有機顔料の貧溶媒への溶解度にとくに下限はないが、通常用いられる有機顔料を考慮すると0.000001質量%以上が実際的である。この溶解度は酸またはアルカリの存在下で溶解された場合の溶解度であってもよい。また、良溶媒と貧溶媒との相溶性もしくは均一混合性は、良溶媒の貧溶媒に対する溶解量が30質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましい。良溶媒の貧溶媒に対する溶解量に特に上限はないが、任意の割合で混じり合うことが実際的である。
【0075】
貧溶媒としては、例えば、水性溶媒(例えば、水、水性アルコール、塩酸、又は水酸化ナトリウム水溶液)、アルコール化合物溶媒、ケトン化合物溶媒、エーテル化合物溶媒、芳香族化合物溶媒、二硫化炭素溶媒、脂肪族化合物溶媒、ニトリル化合物溶媒、ハロゲン化合物溶媒、エステル化合物溶媒、イオン性液体、これらの混合溶媒などが挙げられ、水性溶媒、アルコール化合物溶媒、ケトン化合物溶媒、エーテル化合物溶媒、エステル化合物溶媒、またはこれらの混合物がこの好ましく、水性溶媒、アルコール化合物溶媒またはエステル化合物溶媒がより好ましい。
【0076】
アルコール化合物溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール、1−メトキシ−2−プロパノールなどが挙げられる。ケトン化合物溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンが挙げられる。エーテル化合物溶媒としては、例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどが挙げられる。芳香族化合物溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエンなどが挙げられる。脂肪族化合物溶媒としては、例えば、ヘキサンなどが挙げられる。ニトリル化合物溶媒としては、例えば、アセトニトリルなどが挙げられる。ハロゲン化合物溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、トリクロロエチレンなどが挙げられる。エステル化合物溶媒としては、例えば、酢酸エチル、乳酸エチル、2−(1−メトキシ)プロピルアセテートなどが挙げられる。イオン性液体としては、例えば、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムとPFとの塩などが挙げられる。
【0077】
良溶媒は用いる有機顔料を溶解することが可能で、前記貧溶媒と相溶するもしくは均一に混ざるものであれば特に限定されない。有機顔料の良溶媒への溶解性は有機顔料の溶解度が0.2質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましい。有機顔料の良溶媒への溶解度に特に上限はないが、通常用いられる有機顔料を考慮すると50質量%以下であることが実際的である。この溶解度は酸またはアルカリの存在下で溶解された場合の溶解度であってもよい。貧溶媒と良溶媒との相溶性もしくは均一混合性の好ましい範囲は前述のとおりである。
【0078】
良溶媒としては、例えば、水性溶媒(例えば、水、水性アルコール、塩酸、又は水酸化ナトリウム水溶液)、アルコール化合物溶媒、アミド化合物溶媒、ケトン化合物溶媒、エーテル化合物溶媒、芳香族化合物溶媒、二硫化炭素溶媒、脂肪族化合物溶媒、ニトリル化合物溶媒、スルホキシド化合物溶媒、ハロゲン化合物溶媒、エステル化合物溶媒、イオン性液体、これらの混合溶媒などが挙げられ、水性溶媒、アルコール化合物溶媒、ケトン化合物溶媒、エーテル化合物溶媒、スルホキシド化合物溶媒、エステル化合物溶媒、アミド化合物溶媒、またはこれらの混合物が好ましく、水性溶媒、アルコール化合物溶媒、エステル化合物溶媒、スルホキシド化合物溶媒またはアミド化合物溶媒が好ましく、水性溶媒、スルホキシド化合物溶媒またはアミド化合物溶媒がさらに好ましく、スルホキシド化合物溶媒またはアミド化合物溶媒が特に好ましい。
【0079】
スルホキシド化合物溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキド、ヘキサメチレンスルホキシド、スルホランなどが挙げられる。アミド化合物溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、1−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリジノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、2−ピロリジノン、ε−カプロラクタム、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロパンアミド、ヘキサメチルホスホリックトリアミドなどが挙げられる。
【0080】
また、良溶媒に有機顔料を溶解した有機顔料溶液の濃度としては、溶解時の条件における有機顔料の良溶媒に対する飽和濃度乃至これの1/100程度の範囲が好ましい。
有機顔料溶液の調製条件に特に制限はなく、常圧から亜臨界、超臨界条件の範囲を選択できる。常圧での温度は−10〜150℃が好ましく、−5〜130℃がより好ましく、0〜100℃が特に好ましい。
【0081】
ここで良溶媒の具体例として列挙したものと貧溶媒として列挙したものとで共通するものもあるが、良溶媒及び貧溶媒として同じものを組み合わせることはなく、採用する各有機顔料との関係で良溶媒に対する溶解度が貧溶媒に対する溶解度より高ければよく、例えばその溶解度差が0.2質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましい。良溶媒と貧溶媒に対する溶解度の差に特に上限はないが、通常用いられる有機材料を考慮すると50%以下であることが実際的である。
【0082】
上記微粒子析出法においては有機顔料は良溶媒中に均一に溶解されることが好ましく、酸性でもしくはアルカリ性で溶解することも好ましい。一般に分子内にアルカリ性で解離可能な基を有する顔料の場合はアルカリ性が、アルカリ性で解離する基が存在せず、プロトンが付加しやすい窒素原子を分子内に多く有するときは酸性が用いられる。例えば、キナクリドン、ジケトピロロピロール、ジスアゾ縮合化合物顔料はアルカリ性で溶解することが好ましく、フタロシアニン化合物顔料は酸性で溶解することが好ましい。
【0083】
アルカリ性で溶解させる場合に用いられる塩基は、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、もしくは水酸化バリウムなどの無機塩基、またはトリアルキルアミン、ジアザビシクロウンデセン(DBU)、金属アルコキシドなどの有機塩基であるが、好ましくは無機塩基である。
【0084】
使用される塩基の量は、顔料を均一に溶解可能な量であり、特に限定されないが、無機塩基の場合、好ましくは有機顔料に対して1.0〜30モル当量であり、より好ましくは1.0〜25モル当量であり、さらに好ましくは1.0〜20モル当量である。有機塩基の場合、好ましくは有機顔料に対して1.0〜100モル当量であり、より好ましくは5.0〜100モル当量であり、さらに好ましくは20〜100モル当量である。
【0085】
酸性で溶解させる場合に用いられる酸は、硫酸、塩酸、もしくは燐酸などの無機酸、または酢酸、トリフルオロ酢酸、シュウ酸、メタンスルホン酸、もしくはトリフルオロメタンスルホン酸などの有機酸であるが好ましくは無機酸である。特に好ましくは硫酸である。
使用される酸の量は、有機顔料を均一に溶解可能な量であり、特に限定されないが、塩基に比べて過剰量用いられる場合が多い。無機酸および有機酸の場合を問わず、好ましくは有機顔料に対して3〜500モル当量であり、より好ましくは10〜500モル当量であり、さらに好ましくは30〜200モル当量である。
【0086】
アルカリまたは酸を有機溶媒と混合して、有機顔料の良溶媒として用いる際は、アルカリまたは酸を完全に溶解させるため、若干の水や低級アルコールなどのアルカリまたは酸に対して高い溶解度をもつ溶剤を、有機溶媒に添加することができる。水や低級アルコールの量は、有機顔料溶液全量に対して、50質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましい。具体的には、水、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、ブチルアルコールなどを用いることができる。
【0087】
顔料微粒子を析出生成させる際の貧溶媒の条件に特に制限はなく、常圧から亜臨界、超臨界条件の範囲を選択できる。常圧での温度は−30〜100℃が好ましく、−10〜60℃がより好ましく、0〜30℃が特に好ましい。顔料微粒子析出液の粘度は0.5〜80.0mPa・sが好ましく1.0〜50.0mPa・sがより好ましい。
有機顔料溶液と貧溶媒とを混合する際、両者のどちらを添加して混合してもよいが、有機顔料溶液を貧溶媒に添加して混合することが好ましく、その際に貧溶媒が撹拌された状態であることが好ましい。撹拌速度は100〜10000rpmが好ましく150〜8000rpmがより好ましく、200〜6000rpmが特に好ましい。添加にはポンプ等を用いることもできるし、用いなくてもよい。また、液中添加でも液外添加でもよいが、液中添加がより好ましい。本発明では供給管を介して、ポンプで液中に連続供給することが好ましい。供給管の内径は0.1〜200mmが好ましく0.2〜100mmがより好ましい。供給管から液中に供給される速度としては1〜10000ml/minが好ましく、5〜5000ml/minがより好ましい。
有機顔料溶液と貧溶媒の混合比(顔料微粒子析出液中の良溶媒/貧溶媒比)は体積比で1/50〜2/3が好ましく、1/40〜1/2がより好ましく、1/20〜3/8が特に好ましい。
顔料微粒子析出液の濃度は有機粒子を生成することができれば特に制限されないが、分散溶媒1000mlに対して有機粒子が10〜40000mgの範囲であることが好ましく、より好ましくは20〜30000mgの範囲であり、特に好ましくは50〜25000mgの範囲である。
また、顔料微粒子を生成させる際の調製スケールは、特に限定されないが、貧溶媒の混合量が10〜2000Lの調製スケールであることが好ましく、50〜1000Lの調製スケールであることがより好ましい。
【0088】
有機粒子の粒径に関しては、計測法により数値化して集団の平均の大きさを表現する方法があるが、よく使用されるものとして、分布の最大値を示すモード径、積分分布曲線の中央値に相当するメジアン径、各種の平均径(数平均、長さ平均、面積平均、質量平均、体積平均等)などがあり、本発明においては、特に断りのない限り、平均粒径とは数平均径をいう。顔料微粒子(一次粒子)の平均粒径は1nm〜1μmであることが好ましく、100nm以下であることがより好ましく、50nm以下であることがさらに好ましく、40nm以下であることがさらに好ましく、30nm以下であることが特に好ましい。顔料微粒子は結晶質粒子でも非晶質粒子でもよく、またはこれらの混合物でもよい。
また、粒子の単分散性を表す指標として、本発明においては、特に断りのない限り、体積平均粒径(Mv)と数平均粒径(Mn)の比(Mv/Mn)を用いる。顔料微粒子(一次粒子)の単分散性、つまりMv/Mnは、1.0〜2.0であることが好ましく、1.0〜1.8であることがより好ましく、1.0〜1.5であることが特に好ましい。
有機粒子の粒径の測定方法としては、顕微鏡法、質量法、光散乱法、光遮断法、電気抵抗法、音響法、動的光散乱法が挙げられ、顕微鏡法、動的光散乱法が特に好ましい。顕微鏡法に用いられる顕微鏡としては、例えば、走査型電子顕微鏡、透過型電子顕微鏡などが挙げられる。動的光散乱法による粒子測定装置として、例えば、日機装社製ナノトラックUPA−EX150、大塚電子社製ダイナミック光散乱光度計DLS−7000シリーズなどが挙げられる。
【0089】
上記顔料微粒子の分散液を調製するに当り、分散剤を含有させることが好ましい。分散剤を含有させる工程は特に限定されないが、有機顔料溶液および貧溶媒の両方もしくは一方に分散剤を添加して含有させることが好ましい。また、分散剤溶液を上記両液とは別系統で顔料微粒子形成時に添加することも好ましい。予め分散剤により表面処理を施された顔料粒子を用いることも好ましく、顔料粒子には分散剤の吸着を促進し得るような表面処理が施されていてもよい。分散剤は(1)析出した顔料表面に素早く吸着して、微細なナノ粒子を形成し、かつ(2)これらの粒子が再び凝集することを防ぐ作用を有するものである。
【0090】
用いることのできる分散剤として、例えば、アニオン性、カチオン性、両イオン性、ノニオン性もしくは顔料誘導体の、低分子または高分子分散剤を使用することができる。また先に述べた水溶性ポリマーを用いてもよい。なお、高分子分散剤の分子量は溶液に均一に溶解できるものであれば制限なく用いることができるが、好ましくは分子量1,000〜2,000,000であり、5,000〜1,000,000がより好ましく、10,000〜500,000がさらに好ましく、10,000〜100,000が特に好ましい。高分子分散剤としては、具体的には、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリアクリルアミド、ビニルアルコール−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール−部分ホルマール化物、ポリビニルアルコール−部分ブチラール化物、ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体、ポリエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロック共重合体、ポリアクリル酸塩、ポリビニル硫酸塩、ポリ(4−ビニルピリジン)塩、ポリアミド、ポリアリルアミン塩、縮合ナフタレンスルホン酸塩、セルロース誘導体、澱粉誘導体などが挙げられる。その他、アルギン酸塩、ゼラチン、アルブミン、カゼイン、アラビアゴム、トンガントゴム、リグニンスルホン酸塩などの天然高分子類も使用できる。なかでも、先に述べた水溶性ポリマーを用いることが好ましく、ポリビニルピロリドンがより好ましい。これら高分子は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの分散剤は、単独あるいは併用して使用することができる。顔料の分散に用いる分散剤に関しては、「顔料分散安定化と表面処理技術・評価」(化学情報協会、2001年12月発行)の29〜46頁に詳しく記載されている。
【0091】
アニオン性分散剤(アニオン性界面活性剤)としては、N−アシル−N−アルキルタウリン塩、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等を挙げることができる。なかでも、N−アシル−N−アルキルタウリン塩が好ましい。N−アシル−N−アルキルタウリン塩としては、特開平3−273067号明細書に記載されているものが好ましい。これらアニオン性分散剤は、単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0092】
カチオン性分散剤(カチオン性界面活性剤)には、四級アンモニウム塩、アルコキシル化ポリアミン、脂肪族アミンポリグリコールエーテル、脂肪族アミン、脂肪族アミンと脂肪族アルコールから誘導されるジアミンおよびポリアミン、脂肪酸から誘導されるイミダゾリンおよびこれらのカチオン性物質の塩が含まれる。これらカチオン性分散剤は、単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0093】
両イオン性分散剤は、前記アニオン性分散剤が分子内に有するアニオン基部分とカチオン性分散剤が分子内に有するカチオン基部分を共に分子内に有する分散剤である。
ノニオン性分散剤(ノニオン性界面活性剤)としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステルなどを挙げることができる。なかでも、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルが好ましい。これらノニオン性分散剤は、単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0094】
顔料誘導体型分散剤とは、親物質としての有機顔料から誘導され、その親構造を化学修飾することで製造される顔料誘導体型分散剤、あるいは化学修飾された顔料前駆体の顔料化反応により得られる顔料誘導体型分散剤と定義する。例えば、糖含有顔料誘導体型分散剤、ピペリジル含有顔料誘導体型分散剤、ナフタレンまたはペリレン誘導顔料誘導体型分散剤、メチレン基を介して顔料親構造に連結された官能基を有する顔料誘導体型分散剤、ポリマーで化学修飾された顔料親構造、スルホン酸基を有する顔料誘導体型分散剤、スルホンアミド基を有する顔料誘導体型分散剤、エーテル基を有する顔料誘導体型分散剤、あるいはカルボン酸基、カルボン酸エステル基またはカルボキサミド基を有する顔料誘導体型分散剤などがある。
【0095】
良溶媒に溶解させた有機顔料溶液を調製する際、アミノ基を含有する顔料分散剤を共存させることが好ましい。ここで、アミノ基とは一級アミノ基、二級アミノ基、三級アミノ基を含み、アミノ基の数は一つでも複数でもよい。顔料骨格にアミノ基を有する置換基を導入した顔料誘導体化合物でも、アミノ基を有するモノマーを重合成分としたポリマー化合物でもよい。これらの例として、例えば、特開2000−239554号公報、2003−96329号公報、2001−31885号公報、特開平10−339949号公報、特公平5−72943号公報に記載の化合物などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0096】
上記分散剤として、下記の一般式(D1)、(D3)、および式(D4)で表される化合物から選ばれる少なくとも一種を用いることが好ましい。
<1.一般式(D1)で表される化合物>
【0097】
【化3】

【0098】
一般式(D1)中、AはX−Yとともにアゾ色素を形成しうる成分を表す。前記Aは、ジアゾニウム化合物とカップリングしてアゾ色素を形成しうる化合物であれば任意に選択することができる。前記Aの具体例を以下に示すが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
【0099】
【化4】

【0100】
【化5】

【0101】
一般式(D1)中、Xは単結合又は下記式(i)〜(v)の構造式で表される二価の連結基から選択される基を表す。
【0102】
【化6】

【0103】
一般式(D1)中、Yは下記一般式(D2)で表される基を表す。
【0104】
【化7】

【0105】
一般式(D2)中、Zは、低級アルキレン基を表す。Zは、−(CH−と表すことができるが、該bは1〜5の整数を表し、好ましくは2又は3を表す。一般式(D2)中、−NR21は、低級アルキルアミノ基、又は窒素原子を含む5乃至6員飽和ヘテロ環基を表す。該−NR21は、低級アルキルアミノ基を表す場合、−N(C2r+1と表され、rは1〜4の整数を表し、好ましくは1又は2を表す。−NR21が、窒素原子を含む5乃至6員飽和ヘテロ環基を表す場合、下記構造式で表されるいずれかのヘテロ環基が好ましい。
【0106】
【化8】

【0107】
前記一般式(D2)における、Z及び−NR21は、それぞれ、低級アルキル基、アルコキシ基を置換基として有していてもよい。前記一般式(D2)中、aは、1又は2を表し、好ましくは2を表す。
【0108】
以下に、前記一般式(D1)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらの具体例に何ら限定されるものではない。
【0109】
【化9】

【0110】
【化10】

【0111】
【化11】

【0112】
【化12】

【0113】
一般式(D1)で表される化合物は例えば特開2000−239554号公報に記載された方法により合成することができる。
【0114】
<2.一般式(D3)で表される化合物>
【0115】
【化13】

【0116】
一般式(D3)中、
Qは、アントラキノン化合物色素、アゾ化合物色素、フタロシアニン化合物色素、キナクリドン化合物色素、ジオキサジン化合物色素、アントラピリミジン化合物色素、アンサンスロン化合物色素、インダンスロン化合物色素、フラバンスロン化合物色素、ピランスロン化合物色素、ペリノン化合物色素、ペリレン化合物色素、及びチオインジゴ化合物色素から選ばれる有機色素残基を表し、なかでもアゾ化合物色素、またはジオキサジン化合物色素であることが好ましく、アゾ化合物色素であることがより好ましい。
は、−CO−、−CONH−Y−、−SONH−Y−、又は−CHNHCOCHNH−Y−を表し、−CO−、−CONH−Y−であることが好ましい。
は置換基を有してもよいアルキレン基又はアリーレン基を表し、なかでもフェニレン、トルイレン、またはヘキシレンであることが好ましく、フェニレンであることがより好ましい。
11およびR12はそれぞれ独立に置換もしくは無置換のアルキル基またはR11とR12とで少なくとも窒素原子を含むヘテロ環基を形成してもよい。なかでもメチル基、エチル基、プロピル基、または窒素原子を含めたピロリジニル基であることが好ましく、エチル基であることがより好ましい。
は−NH−又は−O−を表す。
は水酸基又は一般式(D3a)で表される基を表す。ただしn1が1の場合Zは−NH−X−Qでもよい。m1は1〜6の整数を表し、2〜3が好ましい。n1は1〜4の整数を表し、1〜2が好ましい。
【0117】
【化14】

【0118】
一般式(D3a)中、Yは−NH−又は−O−を表し、m1、R11、およびR12は一般式(D3)におけるそれらと同じ意味である。
【0119】
一般式(D3)で表される化合物はより具体的には例えば下記一般式により表される。
【0120】
【化15】

【0121】
なお一般式(D3−1)〜(D3−6)において、Q、m1、n1、R11、R12は一般式(D3)におけるそれらと同じ意味である。以下に一般式(D3)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれらにより限定されるものではない。なお、式中Cu−Pcは銅フタロシアニンを表す。
【0122】
【化16】

【0123】
【化17】

【0124】
一般式(D3)で表される化合物は、例えばR11およびR12を有するアミン化合物とR11およびR12を有するアルコール化合物とをハロゲン化トリアジン化合物と反応させ、得られた中間体に色素化合物を反応させて得ることができる。また、特公平5−72943号明細書の記載も参考にすることができる。
【0125】
<3.グラフト共重合体を含有する顔料分散剤>
上記顔料微粒子の析出生成においては、アミノ基及びエーテル基を有するグラフト共重合体を含有し、必要に応じて適宜選択したその他の成分を含有する分散剤を用いることも好ましい。
前記グラフト共重合体は、アミノ基及びエーテル基を少なくとも有してなり、その他のモノマー等を共重合体単位として含んでいてもよい。
前記グラフト共重合体の質量平均分子量としては、3000〜100000が好ましく、5000〜50000がより好ましい。前記質量平均分子量が、3000未満であると、顔料微粒子の凝集を防ぐことができず、粘度が上昇してしまうことがあり、100000を超えると有機溶剤への溶解性が不足し、粘度が上昇してしまうことがある。
【0126】
前記グラフト共重合体は、(i)末端にエチレン性不飽和二重結合を有する重合性オリゴマーと、(ii)アミノ基とエチレン性不飽和二重結合とを有するモノマーと、(iii)エーテル基を有する重合性モノマーとを共重合体単位として少なくとも含み、必要に応じて(iv)その他のモノマーを共重合単位として含むことが好ましい。
【0127】
これらの共重合体単位の、前記グラフト共重合体における含有量としては、(i)前記重合性オリゴマーが15〜98質量%であることが好ましく、25〜90質量%であることがより好ましく、(ii)アミノ基含有モノマーが1〜40質量%であることが好ましく、5〜30質量%であることがより好ましく、(iii)前記エーテル基を有する重合性モノマーが1〜70質量%であることが好ましく、5〜60質量%であることがより好ましい。
【0128】
前記重合性オリゴマーの含有量が、15質量%未満であると、分散剤としての立体反発効果が得られず、顔料微粒子の凝集が防止できないことがあり、98質量%を超えると、前記窒素含有モノマーの割合が減り有機粒子に対する吸着能力が低下し、分散性が十分でないことがある。前記窒素含有モノマーの含有量が、1質量%未満であると、有機粒子に対する吸着能力が低下し、分散性が十分でないことがあり、40質量%を超えると、前記重合性オリゴマーの割合が減ることから、分散剤としての立体反発効果が得られず、有機粒子の凝集を十分に防止できないことがある。前記エーテル基を有する重合性モノマーの含有量が、1質量%未満であると、カラーフィルタ等の製造の際の現像適性が十分でないことがあり、70質量%を超えると、分散剤としての能力が低下することがある。
【0129】
(i) 重合性オリゴマー
前記重合性オリゴマー(以下、「マクロモノマー」と称することがある。)は、エチレン性不飽和二重結合を有する基を末端に有するオリゴマーである。本発明においては、前記重合性オリゴマーの中でも、該オリゴマーの両末端の内の一方にのみ前記エチレン性不飽和二重結合を有する基を有するのが好ましい。
【0130】
前記オリゴマーとしては、一般的には、例えば、アルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、スチレン、アクリロニトリル、酢酸ビニル、及びブタジエンから選択された少なくとも一種のモノマーから形成された単独重合体又は共重合体などが挙げられ、これらの中でも、アルキル(メタ)アクリレートの単独重合体又は共重合体、ポリスチレンなどが好ましい。本発明において、これらのオリゴマーは、置換基で置換されていてもよく、該置換基としては、特に制限はないが、例えば、ハロゲン原子などが挙げられる。
【0131】
前記エチレン性不飽和二重結合を有する基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、などが好適に挙げられ、これらの中でも(メタ)アクリロイル基が特に好ましい。
【0132】
本発明においては、前記重合性オリゴマーの中でも、下記一般式(E6)で表されるオリゴマーが好ましい。
【0133】
【化18】

【0134】
前記一般式(E6)において、R61及びR63は、水素原子又はメチル基を表す。R62は、炭素数1〜8のアルコール性水酸基で置換されてもよいアルキレン基を表し、炭素数2〜4のアルキレン基が好ましい。Yは、フェニル基、炭素数1〜4のアルキル基を有するフェニル基、又は−COOR64(ここで、R64は、炭素数1〜6のアルコール性水酸基、ハロゲンで置換されてもよいアルキル基、フェニル基、又は炭素数7〜10のアリールアルキル基を表す。)を表し、フェニル基又は−COOR164(ここで、R164は、炭素数1〜4のアルコール性水酸基で置換されてもよいアルキル基を表す。)が好ましい。qは、20〜200を表す。
【0135】
前記重合性オリゴマーの具体例としては、ポリ−2ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリスチレン、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリ−n−ブチル(メタ)アクリレート、ポリ−i−ブチル(メタ)アクリレート、それらの共重合体であって、分子末端の一個に(メタ)アクリロイル基が結合したポリマーが好ましい。
【0136】
前記重合性オリゴマーは、市販品であってもよいし、適宜合成したものであってもよく、該市販品としては、例えば、片末端メタクリロイル化ポリスチレンオリゴマー(Mn=6000、商品名:AS−6,東亜合成化学工業(株)社製)、片末端メタクリロイル化ポリメチルメタクリレートオリゴマー(Mn=6000、商品名:AA−6,東亜合成化学工業(株)社製)、片末端メタクリロイル化ポリ−n−ブチルアクリレートオリゴマー(Mn=6000、商品名:AB−6,東亜合成化学工業(株)社製)、片末端メタクリロイル化ポリメチルメタクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレートオリゴマー(Mn=7000、商品名:AA−714,東亜合成化学工業(株)社製)、片末端メタクリロイル化ポリブチルメタクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレートオリゴマー(Mn=7000、商品名:707S,東亜合成化学工業(株)社製)、片末端メタクリロイル化ポリ2−エチルヘキシルメタクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレートオリゴマー(Mn=7000、商品名:AY−707S、AY−714S,東亜合成化学工業(株)社製)、などが挙げられる。
【0137】
本発明における前記重合性オリゴマーの好ましい具体例としては、アルキル(メタ)アクリレートの重合体、及び、アルキル(メタ)アクリレートとポリスチレンとの共重合体から選択される少なくとも1種のオリゴマーであって、数平均分子量が1000〜20000であり、末端に(メタ)アクリロイル基を有するものが挙げられる。
【0138】
(ii) アミノ基含有モノマー
前記アミノ基含有モノマーとしては、例えば、下記一般式(E2)で表される化合物より選択される少なくとも1種が好適に挙げられる。
【0139】
【化19】

【0140】
前記一般式(E2)において、R21は、水素原子又はメチル基を表す。R22は、炭素数1〜8のアルキレン基を表し、これらの中でも、炭素数1〜6のアルキレン基が好ましく、炭素数2〜3のアルキレン基が特に好ましい。
【0141】
は、−N(R23)(R24)、−R25N(R26)(R27)を表す。ここで、R23及びR24は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基又はフェニル基を表す。R25は、炭素数1〜6のアルキレン基を表し、R26及びR27は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基又はフェニル基を表す。
【0142】
上記のうち、−N(R23)(R24)のR23及びR24は、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基若しくはフェニル基が好ましく、−R25−N(R26)(R27)のR25は、炭素数2〜6のアルキレン基が好ましく、R26及びR27は、炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。m2及びn2は、1又は0を表し、m2=1かつn2=1、又は、m2=1かつn2=0が好ましい(即ち、下記一般式(E3)、(E4)で表されるモノマーに対応する)。
【0143】
本発明においては、前記一般式(E2)で表されるモノマーの中でも、下記一般式(E3)及び(E4)のいずれかで表されるモノマーから選択される少なくとも1種が好ましい。
【0144】
【化20】

【0145】
前記一般式(E3)において、R31は、R21と同義である。R32は、R22と同義である。Xは、Xと同義である。
【0146】
【化21】

【0147】
前記一般式(E4)において、R41は、R21と同義である。Xは、Xと同義であり、−N(R43)(R44)(ここで、R43及びR44は、R23及びR24と同義である。)、又は、−R45−N(R46)(R47)(ここで、R45、R46及びR47は、それぞれR25、R26及びR27と同義である。)が好ましい。
【0148】
前記一般式(E2)で表されるモノマーの具体例としては、ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジエチル(メタ)アクリルアミド、ジイソプロピル(メタ)アクリルアミド、ジ−n−ブチル(メタ)アクリルアミド、ジ−i−ブチル(メタ)アクリルアミド、モルホリノ(メタ)アクリルアミド、ピペリジノ(メタ)アクリルアミド、N−メチル−2−ピロリジル(メタ)アクリルアミド及びN,N−メチルフェニル(メタ)アクリルアミド(以上(メタ)アクリルアミド類);2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリルアミド、2−(N,N−ジエチルアミノ)エチル(メタ)アクリルアミド、3−(N,N−ジエチルアミノ)プロピル(メタ)アクリルアミド、3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピル(メタ)アクリルアミド、1−(N,N−ジメチルアミノ)−1,1−ジメチルメチル(メタ)アクリルアミド、6−(N,N−ジエチルアミノ)ヘキシル(メタ)アクリルアミド(以上アミノアルキル(メタ)アクリルアミド類)などが好ましいものとして挙げられる。
【0149】
(iii) エーテル基を有する重合性モノマー
前記エーテル基を有する重合性モノマーとしては、例えば、下記一般式(E1)で表されるモノマーより選択される少なくとも1種が好適に挙げられる。
【0150】
【化22】

【0151】
前記一般式(E1)において、R11は、水素原子又はメチル基を表す。R12は、炭素数1〜8のアルキレン基を表し、中でも、炭素数1〜6のアルキレン基が好ましく、炭素数2〜3のアルキレン基がより好ましい。Xは、−OR13又は−OCOR14を表す。ここで、R13は、水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、フェニル基、又は炭素数1〜18のアルキル基で置換されたフェニル基を表す。R14は、炭素数1〜18のアルキル基を表す。また、m3は、2〜200を表し、5〜100が好ましく、10〜100が特に好ましい。
【0152】
前記エーテル基を有する重合性モノマーとしては、エーテル基を有し、且つ重合性のものであれば特に制限はなく、通常のものの中から適宜選択することができ、例えば、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールモノメタクリレートなどが挙げられ、これらは市販品であってもよいし、適宜合成したものであってもよい。該市販品としては、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(商品名:NKエステルM−40G,M−90G,M−230G(以上、東亜合成化学工業(株)社製);商品名:ブレンマーPME−100,PME−200,PME−400,PME−1000,PME−2000、PME−4000(以上、日本油脂(株)社製))、ポリエチレングリコールモノメタクリレート(商品名:ブレンマーPE−90、PE−200、PE−350,日本油脂(株)社製)、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート(商品名:ブレンマーPP−500、PP−800、PP−1000,日本油脂(株)社製)、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノメタクリレート(商品名:ブレンマー70PEP−370B,日本油脂(株)社製)、ポリエチレングリコールポリテトラメチレングリコールモノメタクリレート(商品名:ブレンマー55PET−800,日本油脂(株)社製)、ポリプロピレングリコールポリテトラメチレングリコールモノメタクリレート(商品名:ブレンマーNHK−5050,日本油脂(株)社製)などが挙げられる。
【0153】
(iv) その他のモノマー
前記グラフト共重合体は、前記その他のモノマーを更に共重合体単位として含有していてもよく、該その他のモノマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、芳香族ビニル化合物(例、スチレン、α−メチルスチレン及びビニルトルエン)、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(例、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート及びi−ブチル(メタ)アクリレート)、(メタ)アクリル酸アルキルアリールエステル(例、ベンジル(メタ)アクリレート)、グリシジル(メタ)アクリレート、カルボン酸ビニルエステル(例、酢酸ビニル及びプロピオン酸ビニル)、シアン化ビニル(例、(メタ)アクリロニトリル及びα−クロロアクリロニトリル)、及び脂肪族共役ジエン(例、1,3−ブタジエン及びイソプレン)、(メタ)アクリル酸、などが挙げられる。これらの中でも、不飽和カルボン酸、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸アルキルアリールエステル及びカルボン酸ビニルエステルが好ましい。
【0154】
前記グラフト共重合体における該その他のモノマーの含有量としては、例えば、5〜70質量%が好ましい。前記含有率が、5質量%未満であると、塗布膜の物性の制御ができなくなることがあり、70質量%を超えると、分散剤としての能力が十分に発揮されないことがある。
【0155】
前記グラフト共重合体の好ましい具体例としては、
(11) 3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピルアクリルアミド/ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート/末端メタクリロイル化ポリメチル(メタ)アクリレート共重合体、
(12) 3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピルアクリルアミド/ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート/末端メタクリロイル化ポリスチレン共重合体、
【0156】
(13) 3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピルアクリルアミド/ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート/メチル(メタ)アクリレート末端メタクリロイル化ポリスチレン共重合体、
(14) 3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピルアクリルアミド/ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート/末端メタクリロイル化メチル(メタ)アクリレート及び2−ヒドロキシエチルメタクリレートの共重合体の共重合体、
(15) 3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピルアクリルアミド/ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート/末端メタクリロイル化メチルメタアクリレート及び2−ヒドロキシエチルメタクリレートの共重合体の共重合体、
(16) 3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピルアクリルアミド/ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート/末端メタクリロイル化メチルメタアクリレート及び2−ヒドロキシエチルメタクリレートの共重合体の共重合体、
【0157】
(17) 3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピルアクリルアミド/ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート/末端メタクロイル化ポリメチル(メタ)アクリレート共重合体、
(18) 3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピルアクリルアミド/ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート/末端メタクロイル化ポリメチル(メタ)アクリレート共重合体、
(19) 3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピルアクリルアミド/ポリエチレングリコールポリテトラメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート/末端メタクロイル化ポリメチル(メタ)アクリレート共重合体、
(20) 3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピルアクリルアミド/ポリプロピレングリコールポリテトラメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート/末端メタクロイル化ポリメチル(メタ)アクリレート共重合体、などが挙げられる。
なかでも、(11)、(14)、(18)が好ましく、下記式(D4)で表される化合物がより好ましい。式(D4)中、Meはメチル基を表す。
【0158】
【化23】

【0159】
前記グラフト共重合体は、前記各共重合体単位となる成分を、例えば、溶媒中でラジカル重合させることにより得ることができる。該ラジカル重合の際、ラジカル重合開始剤を使用することができ、また、更に連鎖移動剤(例、2−メルカプトエタノール及びドデシルメルカプタン)を使用することができる。グラフト共重合体を含有する顔料分散剤については特開2001−31885号公報の記載を参考にすることもできる。
【0160】
分散剤の含有量は、顔料微粒子の均一分散性および保存安定性をより一層向上させるために、顔料100質量部に対して0.1〜1000質量部の範囲であることが好ましく、より好ましくは1〜500質量部の範囲であり、さらに好ましくは5〜20質量部の範囲である。0.1質量部未満であると顔料微粒子の分散安定性の向上が見られない場合がある。また、分散剤は、単独で用いても、複数のものを組み合わせて用いてもよい。
【0161】
分散剤の含有量は、有機粒子の均一分散性および保存安定性をより一層向上させるために、有機粒子100質量部に対して0.1〜1000質量部の範囲であることが好ましく、より好ましくは1〜500質量部の範囲であり、さらに好ましくは5〜20質量部の範囲である。0.1質量部未満であると顔料微粒子の分散安定性の向上が見られない場合がある。
【0162】
[濃縮]
上記の顔料微粒子分散液を、脱塩濃縮することによって、カラーフィルタ塗布液やインクジェット用インクに適した濃縮液を工業的な規模で生産することが可能である。
濃縮方法に関しては、顔料微粒子液を濃縮できれば特に制約されないが、例えば、顔料微粒子分散液に、抽出溶媒を添加混合し、顔料微粒子を該抽出溶媒相に濃縮抽出して、その濃縮抽出液をフィルタなどによりろ過して濃縮ナノ粒子液とする方法、遠心分離によって顔料微粒子を沈降させて濃縮する方法、限外ろ過により脱塩濃縮を行う方法、真空凍結乾燥により溶媒を昇華させて濃縮する方法、加熱ないし減圧による溶媒を乾燥させて濃縮する方法等が好ましい。またはこれらの組合せなどが非常に好ましく用いられる。
濃縮後の顔料微粒子濃度に関しては、1〜100質量%が好ましく、5〜100質量%がより好ましく、10〜100質量%が特に好ましい。
【0163】
この濃縮抽出に用いられる抽出溶媒は特に限定されないが、顔料微粒子分散液の分散溶媒(例えば、水性溶媒)と実質的に混じり合わず(本発明において、実質的に混じり合わずとは、相溶性が低いことをいい、溶解量50質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましい。この溶解量に特に下限はないが、通常の溶媒の溶解性を考慮すると1質量%以上であることが実際的である。)、混合後、静置すると界面を形成する溶媒であることが好ましい。また、この抽出溶媒は、顔料微粒子が抽出溶媒中で再分散しうる弱い凝集(ミリングまたは高速撹拌などの高いせん断力を加えなくても再分散が可能であるフロック)を生ずる溶媒であることが好ましい。このような状態であれば、粒子サイズを変化させる強固な凝集を起こさず、目的の顔料微粒子を抽出溶媒で湿潤させる一方、フィルタろ過などにより容易に水などの分散溶媒を除去することができる点で好ましい。抽出溶媒としてはエステル化合物溶媒、アルコール化合物溶媒、芳香族化合物溶媒、脂肪族化合物溶媒が好ましく、エステル化合物溶媒、芳香族化合物溶媒または脂肪族化合物溶媒がより好ましく、エステル化合物溶媒が特に好ましい。
【0164】
エステル化合物溶媒としては、例えば、2−(1−メトキシ)プロピルアセテート、酢酸エチル、乳酸エチルなどが挙げられる。アルコール化合物溶媒としては、例えば、n−ブタノール、イソブタノールなどが挙げられる。芳香族化合物溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンなどが挙げられる。脂肪族化合物溶媒としては、例えば、n−ヘキサン、シクロヘキサンなどが挙げられる。また、抽出溶媒は上記の好ましい溶媒による純溶媒であっても、複数の溶媒による混合溶媒であってもよい。
【0165】
抽出溶媒の量は顔料微粒子を抽出できれば特に制約されないが、濃縮して抽出することを考慮して顔料微粒子分散液より少量であることが好ましい。これを体積比で示すと、顔料微粒子分散液を100としたとき、添加される抽出溶媒は1〜100の範囲であることが好ましく、より好ましくは10〜90の範囲であり、20〜80の範囲が特に好ましい。多すぎると濃縮化に多大な時間を要し、少なすぎると抽出が不十分で分散溶媒中にナノ粒子が残存する。
抽出溶媒を添加した後、分散液と十分に接触するように撹拌混合することが好ましい。撹拌混合は通常の方法を用いることができる。抽出溶媒を添加し混合するときの温度に特に制約はないが、1〜100℃であることが好ましく、5〜60℃であることがより好ましい。抽出溶媒の添加、混合はそれぞれの工程を好ましく実施できるものであればどのような装置を用いてもよいが、例えば、分液ロート型の装置を用いて実施できる。
【0166】
限外ろ過による場合、例えばハロゲン化銀乳剤の脱塩/濃縮に用いられる方法を適用することができる。リサーチ・ディスクロージャー(Research Disclosure)No.10208(1972)、No.13 122(1975)およびNo.16 351(1977)が知られている。操作条件として重要な圧力差や流量は、大矢春彦著「膜利用技術ハンドブック」幸書房出版(1978)、p275に記載の特性曲線を参考に選定することができるが、目的の顔料微粒子分散物を処理する上では、粒子の凝集を抑えるために最適条件を見いだす必要がある。また、膜透過より損失する溶媒を補充する方法においては、連続して溶媒を添加する定容式と断続的に分けて添加する回分式とがあるが、脱塩処理時間が相対的に短い定容式が好ましい。こうして補充する溶媒には、イオン交換または蒸留して得られた純水を用いるが、純水の中に分散剤、分散剤の貧溶媒を混合してもよいし、顔料微粒子分散物に直接添加してもよい。
【0167】
限外ろ過膜は、すでにモジュールとして組み込まれた平板型、スパイラル型、円筒型、中空糸型、ホローファイバー型などが旭化成(株)社、ダイセル化学(株)社、(株)東レ社、(株)日東電工社などから市販されているが、総膜面積や洗浄性の観点より、スパイラル型もしくは中空糸型が好ましい。また、膜を透過することができる成分のしきい値の指標となる分画分子量は、用いられる分散剤の分子量より決定する必要があるが、5,000以上50,000以下のものが好ましく、5,000以上15,000以下のものがより好ましい。
【0168】
顔料微粒子分散液の分散溶媒と濃縮抽出液を分離するため、フィルタろ過することが好ましい。フィルタろ過の装置は、例えば、加圧ろ過のような装置を用いることができる。好ましいフィルタとしては、ナノフィルタ、ウルトラフィルタなどが挙げられる。フィルタろ過により、残された分散溶媒の除去を行い、濃縮抽出液中の顔料微粒子をさらに濃縮して濃縮ナノ粒子液とすることが好ましい。
【0169】
凍結乾燥の方法は特に限定されず、当業者が利用可能な方法であればいかなるものを採用してもよい。例えば、冷媒直膨方法、重複冷凍方法、熱媒循環方法、三重熱交換方法、間接加熱凍結方法が挙げられるが、好ましくは冷媒直膨方法、間接加熱凍結方法、より好ましくは間接加熱凍結方法を用いるのがよい。いずれの方法においても、予備凍結を行なった後凍結乾燥を行なうことが好ましい。予備凍結の条件は特に限定されないが、凍結乾燥を行なう試料がまんべんなく凍結されている必要がある。
【0170】
間接加熱凍結方法の装置としては、小型凍結乾燥機、FTS凍結乾燥機、LYOVAC凍結乾燥機、実験用凍結乾燥機、研究用凍結乾燥機、三重熱交換真空凍結乾燥機、モノクーリング式凍結乾燥機、HULL凍結乾燥機が挙げられるが、好ましくは小型凍結乾燥機、実験用凍結乾燥機、研究用凍結乾燥機、モノクーリング式凍結乾燥機、より好ましくは小型凍結乾燥機、モノクーリング式凍結乾燥機を用いるのがよい。
【0171】
凍結乾燥の温度は特に限定されないが、例えば−190〜−4℃、好ましくは−120〜−20℃、より好ましくは−80〜−60℃程度である。凍結乾燥の圧力も特に限定されず、当業者が適宜選択可能であるが、例えば、0.1〜35Pa、好ましくは1〜15Pa、さらに好ましくは、5〜10Pa程度で行なうのがよい。凍結乾燥時間は、例えば2〜48時間、好ましくは6〜36時間、より好ましくは16〜26時間程度である。もっとも、これらの条件は当業者に適宜選択可能である。凍結乾燥方法については、例えば、製剤機械技術ハンドブック:製剤機械技術研究会編、地人書館、p.120−129(2000年9月);真空ハンドブック:日本真空技術株式会社編、オーム社、p.328−331(1992年);凍結及び乾燥研究会会誌:伊藤孝治他、No.15、p.82(1965)などを参照することができる。
【0172】
遠心分離による顔料微粒子の濃縮に用いられる遠心分離機は顔料微粒子分散液(または顔料微粒子濃縮抽出液)中の顔料微粒子を沈降させることができればどのような装置を用いてもよい。遠心分離機としては、例えば、汎用の装置の他にもスキミング機能(回転中に上澄み層を吸引し、系外に排出する機能)付きのものや、連続的に固形物を排出する連続遠心分離機などが挙げられる。
遠心分離条件は、遠心力(重力加速度の何倍の遠心加速度がかかるかを表す値)で50〜10000が好ましく、100〜8000がより好ましく、150〜6000が特に好ましい。遠心分離時の温度は、分散液の溶剤種によるが、−10〜80℃が好ましく、−5〜70℃がより好ましく、0〜60℃が特に好ましい。
【0173】
減圧乾燥による顔料微粒子の濃縮に用いられる装置は顔料微粒子分散液(または顔料微粒子濃縮抽出液)の溶媒を蒸発させることができれば特に制限はない。例えば、汎用の真空乾燥器およびロータリーポンプや、液を撹拌しながら加熱減圧乾燥できる装置、液を加熱減圧した管中に通すことによって連続的に乾燥ができる装置等が挙げられる。
加熱減圧乾燥温度は30〜230℃が好ましく、35〜200℃がより好ましく、40〜180℃が特に好ましい。減圧時の圧力は、100〜100000Paが好ましく、300〜90000Paがより好ましく、500〜80000Paが特に好ましい。
【0174】
上述のような濃縮方法によれば、顔料微粒子分散液から効率よく顔料微粒子を濃縮することができる。濃縮倍率に関しては、例えば、原料となる顔料微粒子分散液中のナノ粒子の濃度を1とすると、濃縮顔料微粒子ペーストにおける濃度を好ましくは100〜3000倍程度、より好ましくは500〜2000倍程度まで濃縮することができる。
【0175】
[微細分散化]
上記の濃縮などにより、顔料微粒子が凝集状態にあるとき微細分散化することが好ましい(本発明において、微細分散化とは、分散液中の粒子の凝集を解き分散度を高めることをいう)。
上述した抽出溶媒、遠心分離、乾燥などにより濃縮化した有機粒子液に含まれる有機粒子は、通常、その濃縮化により凝集をおこしている。このとき速やかなフィルタろ過を可能とし、再度良好な分散状態を得るためには、再分散可能な程度に凝集させたフロックとして得ることが好ましい。
そのため、通常の分散化方法を用いて分散化した程度では微粒子化に不十分であり、さらに微細化効率の高い方法が必要となる。このような凝集有機粒子においても(本発明において、凝集有機粒子とは、凝集体など有機粒子が二次的な力で集まっているものをいい、一次粒子がナノメートルサイズであるとき凝集ナノ粒子ということもある。)、凝集有機粒子液に質量平均分子量1000以上の高分子化合物を含有させることにより、有機粒子を好適に微細分散化した分散物とすることができる(本発明において、凝集有機粒子液とは、凝集有機粒子を液中に含むものをさし、分散液、濃縮液、ペースト、スラリーなどであっても凝集有機粒子が含まれればよい。)。
【0176】
上記高分子化合物としては下記一般式(1)で表される高分子化合物であることが好ましい。
【0177】
【化24】

【0178】
前記一般式(1)中、Aは、酸性基、窒素原子を有する塩基性基、ウレア基、ウレタン基、配位性酸素原子を有する基、炭素数4以上の炭化水素基、アルコキシシリル基、エポキシ基、イソシアネート基、および水酸基から選択される基を有する1価の有機基、または置換基を有してもよい有機色素構造もしくは複素環を含有する1価の有機基を表す。n個のAは同一であっても、異なっていてもよい。
具体的には、Aは特に制限されるものではないが、前記「酸性基を有する1価の有機基」として、例えば、カルボン酸基、スルホン酸基、モノ硫酸エステル基、リン酸基、モノリン酸エステル基、ホウ酸基などを有する1価の有機基が挙げられる。また、前記「窒素原子を有する塩基性基を有する1価の有機基」として、例えば、アミノ基(−NH)を有する1価の有機基、置換イミノ基(−NHR、−NR10)を有する1価の有機基(ここで、R、R、およびR10は各々独立に、炭素数1以上20以下のアルキル基、炭素数6以上20以下のアリール基、又は炭素数7以上30以下のアラルキル基を表す。)、下記一般式(a1)で表されるグアニジル基を有する1価の有機基〔一般式(a1)中、Ra1およびRa2は各々独立に、炭素数1以上20以下のアルキル基、炭素数6以上20以下のアリール基、又は炭素数7以上30以下のアラルキル基を表す。〕、下記一般式(a2)で表されるアミジニル基を有する1価の有機基〔一般式(a2)中、Ra3およびRa4は各々独立に、炭素数1以上20以下のアルキル基、炭素数6以上20以下のアリール基、又は炭素数7以上30以下のアラルキル基を表す。〕などが挙げられる。
【0179】
【化25】

【0180】
前記「ウレア基を有する1価の有機基」として、例えば、−NHCONHR15(ここで、R15は、水素原子炭素数1以上20以下のアルキル基、炭素数6以上20以下のアリール基、又は炭素数7以上30以下のアラルキル基を表す。)などが挙げられる。
前記「ウレタン基を有する1価の有機基」として、例えば、−NHCOOR16、−OCONHR17(ここで、R16およびR17は各々独立に、炭素数1以上20以下のアルキル基、炭素数6以上20以下のアリール基、又は炭素数7以上30以下のアラルキル基を表す。)などが挙げられる。
前記「‘配位性酸素原子を有する基’を有する1価の有機基」としては、例えば、アセチルアセトナト基を有する基、クラウンエーテルを有する基などが挙げられる。
前記「炭素数4以上の炭化水素基を有する1価の有機基」としては、炭素数4以上のアルキル基(例えば、オクチル基、ドデシル基など)、炭素数6以上のアリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基など)、炭素数7以上のアラルキル基(例えばベンジル基など)などが挙げられる。このとき炭素数に上限はないが、30以下であることが好ましい。 前記「アルコキシシリル基を有する1価の有機基」としては、例えば、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基などを有する基が挙げられる。
前記「エポキシ基を有する1価の有機基」としては、例えば、グリシジル基などを有する基が挙げられる。
前記「イソシアネート基を有する1価の有機基」としては、例えば、3−イソシアナトプロピル基などが挙げられる。
前記「水酸基を有する1価の有機基」としては、例えば、3−ヒドロキシプロピル基などが挙げられる。
【0181】
前記Aとして、酸性基、窒素原子を有する塩基性基、ウレア基、又は炭素数4以上の炭化水素基を有する1価の有機基であることが好ましい。
【0182】
また、前記有機色素構造または複素環としては、特に限定されないが、より具体的には、有機色素構造としては、例えば、フタロシアニン化合物、不溶性アゾ化合物、アゾレーキ化合物、アントラキノン化合物、キナクリドン化合物、ジオキサジン化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラピリジン化合物、アンサンスロン化合物、インダンスロン化合物、フラバンスロン化合物、ペリノン化合物、ペリレン化合物、チオインジゴ化合物等が挙げられる。また、複素環としては、例えばチオフェン、フラン、キサンテン、ピロール、ピロリン、ピロリジン、ジオキソラン、ピラゾール、ピラゾリン、ピラゾリジン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、チアジアゾール、ピラン、ピリジン、ピペリジン、ジオキサン、モルホリン、ピリダジン、ピリミジン、ピペラジン、トリアジン、トリチアン、イソインドリン、イソインドリノン、ベンズイミダゾロン、コハクイミド、フタルイミド、ナフタルイミド、ヒダントイン、インドール、キノリン、カルバゾール、アクリジン、アクリドン、アントラキノン等が挙げられる。
【0183】
また、前記有機色素構造または複素環は置換基Tを有していてもよく、該置換基Tとしては、例えば、メチル基、エチル基等の炭素数1〜20のアルキル基、フェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜16のアリール基、アセトキシ基等の炭素数1〜6までのアシルオキシ基、メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基、塩素、臭素等のハロゲン原子、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基等の炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基、シアノ基、t−ブチルカーボネート等の炭酸エステル基、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、スルホンアミド基、N−スルホニルアミド基等が挙げられる。
【0184】
また、前記Aとしては下記一般式(4)で表すことができる。
【0185】
【化26】

【0186】
前記一般式(4)において、Bは、酸性基、窒素原子を有する塩基性基、ウレア基、ウレタン基、配位性酸素原子を有する基、炭素数4以上の炭化水素基、アルコキシシリル基、エポキシ基、イソシアネート基、および水酸基から選択される基、または置換基を有してもよい有機色素構造または複素環を表し、R18は単結合あるいはa1価の有機もしくは無機の連結基を表す。a1は、1〜5を表し、a1個のBは同一であっても異なっていてもよい。
一般式(4)で表される基における好ましい態様は前記Aと同義である。
【0187】
18は、単結合あるいはa1+1価の連結基を表し、a1は1〜5を表す。連結基R18としては、1〜100個の炭素原子、0〜10個の窒素原子、0〜50個の酸素原子、1〜200個の水素原子、および0〜20個の硫黄原子から成り立つ基が含まれ、無置換でも置換基を更に有していてもよい。R18は、有機連結基であることが好ましい。
【0188】
18具体的な例として、下記の構造単位又は該構造単位が組み合わさって構成される基を挙げることができる。なお、該連結基R18は前記置換基下を有していてもよい。
【0189】
【化27】

【0190】
前記一般式(1)中、Rは、(m+n)価の連結基を表す。m+nは3〜10を満たす。
前記Rで表される(m+n)価の連結基としては、1〜100個の炭素原子、0〜10個の窒素原子、0〜50個の酸素原子、1〜200個の水素原子、および0〜20個の硫黄原子から成り立つ基が含まれ、無置換でも置換基を更に有していてもよい。Rは有機連結基であることが好ましい。
【0191】
の具体的な例として、前記(t−1)〜(t−34)の基又はその複数を組み合わせて構成される基(環構造を形成していてもよい。)を挙げることができる。上記の連結基Rが置換基を有する場合、該置換基としては、前記の置換基Tが挙げられる。
【0192】
は、単結合あるいは2価の連結基を表す。Rとしては、1〜100個の炭素原子、0〜10個の窒素原子、0〜50個の酸素原子、1〜200個の水素原子、および0〜20個の硫黄原子から成り立つ基が含まれ、無置換でも置換基を更に有していてもよい。
の具体的な例として、前記t−3〜5、7〜18、22〜26、32、34の基又はその複数を組み合わせて構成される基を挙げることができる。Rは、Rとの連結位置に硫黄原子を有することが好ましい。上記Rが置換基を有する場合、該置換基としては、前記置換基Tが挙げられる。
【0193】
前記一般式(1)中、mは1〜8を表す。mとしては1〜5が好ましく、1〜3がより好ましく、1〜2が特に好ましい。
また、nは2〜9を表す。nとしては2〜8が好ましく、2〜7がより好ましく、3〜6が特に好ましい。
【0194】
前記一般式(1)中、Pは高分子化合物残基(高分子骨格)を表し、通常のポリマーなどから適宜選択することができる。
ポリマーの中でも、高分子骨格を構成するには、ビニルモノマーの重合体もしくは共重合体、エステル化合物ポリマー、エーテル化合物ポリマー、ウレタン化合物ポリマー、アミド化合物ポリマー、エポキシ化合物ポリマー、シリコーン化合物ポリマー、及びこれらの変性物、又は共重合体〔例えば、ポリエーテル/ポリウレタン共重合体、ポリエーテル/ビニルモノマーの重合体の共重合体など(ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体のいずれであってもよい。)を含む。〕からなる群より選択される少なくとも一種が好ましく、ビニルモノマーの重合体もしくは共重合体、エステル化合物ポリマー、エーテル化合物ポリマー、ウレタン化合物ポリマー、およびこれらの変性物又は共重合体からなる群より選択される少なくとも一種がより好ましく、ビニルモノマーの重合体もしくは共重合体が特に好ましい。
更には、前記ポリマーは有機溶媒に可溶であることが好ましい。有機溶媒との親和性が低いと、例えば、顔料分散剤として使用した場合、分散媒との親和性が弱まり、分散安定化に十分な吸着層を確保できなくなることがある。
また、Pは、Rとの連結位置に硫黄原子を有することが好ましい。
【0195】
前記一般式(1)で表される高分子化合物の中でも、下記一般式(2)で表される高分子化合物がより好ましい。
【0196】
【化28】

【0197】
前記一般式(2)において、Aは前記一般式(1)におけるAと同義であり、その具体的な好ましい態様も同様である。また、Aは置換基を有していてもよく、前記置換基Tが挙げられる。
【0198】
前記一般式(2)において、Rは、(x+y)価の連結基を表す。RはRと同義であり好ましい範囲も同様である。このときRはx+y価の連結基であるが、そのxの値及びその好ましい範囲は一般式(1)のnと同じであり、yの値及びその好ましい範囲はmと同義であり、x+yの値及びその好ましい範囲はm+nの値同義である。
【0199】
で表される連結基は有機連結基であることが好ましく、その有機連結基の好ましい具体的な例を以下に示す。但し、本発明は、これらにより限定されるものではない。
【0200】
【化29】

【0201】
【化30】

【0202】
上記の中でも、原料の入手性、合成の容易さ、各種溶媒への溶解性の観点から、上記(r−1)、(r−2)、(r−10)、(r−11)、(r−16)、(r−17)の基が好ましい。
また、上記のRが置換基を有する場合、該置換基として前記置換基Tが挙げられる。
【0203】
前記一般式(2)において、RおよびRは、各々独立に、単結合あるいは2価の連結基を表す。
前記R、Rで表される「2価の連結基」としては、置換基を有していてもよい、直鎖、分岐、もしくは環状の、アルキレン基、アリーレン基、もしくはアラルキレン基、−O−、−S−、−C(=O)−、−N(R19)−、−SO−、−SO−、−CO−、又は−N(R20)SO−、あるいはこれらの基を2つ以上組み合わせた2価の基が好ましい(前記R19およびR20は、各々独立に、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。)。なかでも有機連結基であることが好ましい。
【0204】
前記Rとしては、直鎖もしくは分岐の、アルキレン基もしくはアラルキレン基、−O−、−C(=O)−、−N(R19)−、−SO−、−CO−、又は−N(R20)SO−、あるいはこれらの基を2つ以上組み合わせた2価の基がより好ましく、直鎖もしくは分岐のアルキレン基もしくはアラルキレン基、−O−、−C(=O)−、−N(R19)−、又は−CO−、あるいはこれらの基を2つ以上組み合わせた2価の基が特に好ましい。
【0205】
前記Rとしては、単結合、直鎖、もしくは分岐の、アルキレン基、アラルキレン基、−O−、−C(=O)−、−N(R19)−、−SO−、−CO−、又は−N(R20)SO−、あるいはこれらの基を2つ以上組み合わせた2価の基がより好ましく、直鎖もしくは分岐のアルキレン基、アラルキレン基、−O−、−C(=O)−、−N(R19)−、又は−CO−、あるいはこれらの基を2つ以上組み合わせた2価の基が特に好ましい。
【0206】
また、前記R、Rが置換基を有する場合、該置換基としては前記置換基Tが挙げられる。
【0207】
また、一般式(2)中のPは、高分子骨格を表し、通常のポリマーなどから適宜選択することができる。ポリマーの好ましい態様については、前記一般式(1)におけるPと同義であり、その好ましい態様も同様である。
【0208】
前記一般式(2)で表される高分子化合物のうち、特に、Rが前記具体例(r−1)、(r−2)、(r−10)、(r−11)、(r−16)、又は(r−17)であって、Rが、単結合、直鎖もしくは分岐の、アルキレン基もしくはアラルキレン基、−O−、−C(=O)−、−N(R19)−、又は−CO−、あるいはこれらの基を2つ以上組み合わせた2価の有機基であって、Rが単結合、エチレン基、プロピレン基、又は下記一般式(s−a)もしくは(s−b)で表される連結基であって、Pがビニルモノマーの重合体もしくは共重合体、エステル化合物ポリマー、エーテル化合物ポリマー、ウレタン系ポリマー、又はこれらの変性物であって、yが1〜2であって、xが3〜6である高分子化合物が特に好ましい。なお、下記基中、R21は水素原子又はメチル基を表し、lは1又は2を表す。
【0209】
【化31】

【0210】
上記高分子化合物の質量平均分子量は1000以上であるが、質量平均分子量で3000〜100000が好ましく、5000〜80000がより好ましく、7000〜60000が特に好ましい。質量平均分子量が前記範囲内であると、ポリマーの末端に導入された複数の官能基の効果が十分に発揮され、固体表面への吸着性、ミセル形成能、界面活性性に優れた性能を発揮、良好な分散性と分散安定性を達成することができる。
【0211】
一般式(1)で表される化合物の具体例を以下に示す。但し本発明はこれらの具体例に何ら限定されるものではない。
【0212】
【化32】

【0213】
【化33】

【0214】
【化34】

【0215】
【化35】

【0216】
【化36】

【0217】
【化37】

【0218】
【化38】

【0219】
【化39】

【0220】
【化40】

【0221】
【化41】

【0222】
【化42】

【0223】
【化43】

【0224】
【化44】

【0225】
【化45】

【0226】
【化46】

【0227】
【化47】

【0228】
【化48】

【0229】
【化49】

【0230】
また上記分子量1000以上の高分子化合物として以下の酸性基を有する高分子化合物(以下、この化合物を単に「酸性基含有高分子化合物」ということもある。)を用いることもでき、該高分子化合物としてカルボキシル基を有する高分子化合物であることが好ましく、(A)カルボキシル基を有する化合物から導かれた繰り返し単位の少なくとも1種および(B)カルボン酸エステル基を有する化合物から導かれた繰り返し単位の少なくとも1種を含有する共重合化合物がより好ましい。
前記(A)カルボキシル基を有する化合物から導かれた繰り返し単位として、下記一般式(I)で表される繰り返し単位であることが好ましく、アクリル酸またはメタクリル酸から導かれた繰り返し単位であることがより好ましく、前記(B)カルボン酸エステル基を有する化合物から導かれた繰り返し単位として、下記一般式(II)で表される繰り返し単位であることが好ましく、下記一般式(IV)で表される繰り返し単位であることがより好ましく、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、フェネチルアクリレート、フェネチルメタクリレート、3−フェニルプロピルアクリレート、または3−フェニルプロピルメタクリレートから導かれた繰り返し単位であることが特に好ましい。
【0231】
【化50】

(Rは水素原子又は炭素原子数1〜5のアルキル基を表す。)
【0232】
【化51】

(Rは水素原子又は炭素原子数1〜5のアルキル基を表す。Rは下記一般式(III)で表される基を表す。)
【0233】
【化52】

(Rは水素原子、炭素原子数1〜5のアルキル基、ヒドロキシ基、炭素原子数1〜5のヒドロキシアルキル基、又は炭素原子数6〜20のアリール基を表す。R及びRはそれぞれ水素原子又は炭素原子数1〜5のアルキル基を表す。iは1〜5の数を表す。)
【0234】
【化53】

(Rは水素原子又は炭素原子数1〜5のアルキル基を表す。Rは下記一般式(V)で表される基を表す。)
【0235】
【化54】

(Rは炭素原子数2〜5のアルキル基又は炭素原子数6〜20のアリール基を表す。R10及びR11は水素原子又は炭素原子数1〜5のアルキル基を表す。jは1〜5の数を表す。)
また、(A)カルボキシル基を有する化合物から導かれた繰り返し単位と、前記(B)カルボン酸エステル基を有する化合物から導かれた繰り返し単位との重合比率としていえば、繰り返し単位(A)の全繰り返し単位数に対する数量比%が3〜40であることが好ましく、5〜35であることがより好ましい。
本発明において、高分子の分子量とは、特に断らない限り、数平均分子量をいう。高分子の分子量の測定方法としては、クロマトグラフィー法、粘度法、光散乱法、沈降速度法等が挙げられるが、本発明では、特に断らない限りゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(キャリアンテトラヒドロフラン)により測定したポリスチレン換算の数平均分子量を用いる。
【0236】
高分子化合物は、水溶性、油溶性いずれでもよく、水溶性かつ油溶性でもよい。
高分子化合物の添加方法は、水性溶媒または有機溶媒に溶解した溶液でも、固体状態でもよく、また、これらの組み合わせでもよい。溶媒に溶解した溶液で添加する方法としては、例えば、凝集有機粒子液に、凝集有機粒子液の溶媒と同様の溶媒に溶解した状態で添加する方法、凝集有機粒子液の溶媒と相溶する、異なる溶媒に溶解した状態で添加する方法が挙げられる。溶媒に溶解した溶液で添加する場合の、高分子化合物の濃度は、特に制限されないが、1〜70質量%が好ましく、2〜65質量%がより好ましく、3〜60質量%が特に好ましい。
高分子化合物の添加は、顔料微粒子の析出生成時またはその前後、濃縮時またはその前後、濃縮後の凝集有機粒子の分散時またはその前後、それらの工程が終了した後、のいずれの時機に添加してもよく、また複数回に分けて添加してもよい。本発明の製造方法において、質量平均分子量1000以上の高分子化合物は後述するバインダーとして組成物中に含有させてもよく、例えば顔料微粒子析出液を濃縮した後、凝集有機粒子の微細分散化のときに添加することが好ましい。
【0237】
高分子化合物の添加量は、顔料微粒子を100質量部としたときに、好ましくは0.1〜1000質量部が好ましく、5〜500質量部がより好ましく、10〜300質量部が特に好ましい。
分子量1000以上の高分子化合物して、上記化合物のほか、例えば、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリアクリルアミド、ビニルアルコール−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール−部分ホルマール化物、ポリビニルアルコール−部分ブチラール化物、ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体、ポリエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロック共重合体、ポリアミド、セルロース誘導体、澱粉誘導体などが挙げられる。その他、アルギン酸塩、ゼラチン、アルブミン、カゼイン、アラビアゴム、トンガントゴム、リグニンスルホン酸塩などの天然高分子化合物類も使用できる。また、酸性基を有する高分子化合物としては、ポリビニル硫酸、縮合ナフタレンスルホン酸等が挙げられる。
【0238】
カルボキシル基を有する高分子化合物としては、例えば、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、側鎖にカルボキシル基を有するセルロース誘導体等があげられる。(A)カルボキシル基を有する化合物から導かれた繰り返し単位の少なくとも1種および(B)カルボン酸エステル基を有する化合物から導かれた繰り返し単位の少なくとも1種を含む共重合化合物としては、特開昭59−44615号公報、特公昭54−34327号公報、特公昭58−12577号公報、特公昭54−25957号公報、特開昭59−53836号公報及び特開昭59−71048号公報に記載されているようなメタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等を挙げることができる。また、特に好ましい例として、米国特許第4139391号明細書に記載のアクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸−メタクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸−メタクリル酸エステル共重合体や、アクリル酸またはメタクリル酸と、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルと、他のビニル化合物の多元共重合体を挙げることができる。
ビニル化合物の例としては、スチレン又は置換されたスチレン(例えばビニルトルエン、ビニルエチルベンゼン)、ビニルナフタリン又は置換されたビニルナフタリン、アクリルアミド、メタアクリルアミド、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等が挙げられ、スチレンが好ましい。
【0239】
分子量1000以上の高分子化合物は1種のみを用いてもよいし、2種以上組み合わせて使用してもよく、分子量1000未満の化合物と併用してもよい。
【0240】
上記顔料微粒子の分散物が60質量%以上の有機溶剤を含有することが好ましく、65質量%以上であることがより好ましい。有機溶剤としては、特に制限はなく、通常のものの中から適宜選択することができる。例えば、エステル化合物溶媒、アルコール化合物溶媒、芳香族化合物溶媒、脂肪族化合物溶媒、ケトン化合物溶媒が好ましく、エステル化合物溶媒、ケトン化合物溶媒が特に好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上併用してもよい。
【0241】
エステル化合物溶媒としては、例えば、2−(1−メトキシ)プロピルアセテート、酢酸エチル、乳酸エチルなどが挙げられる。アルコール化合物溶媒としては、例えば、n−ブタノール、イソブタノールなどが挙げられる。芳香族化合物溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンなどが挙げられる。脂肪族化合物溶媒としては、例えば、n−ヘキサン、シクロヘキサンなどが挙げられる。ケトン化合物溶媒としては、例えば、メチルエチルケトン、アセトン、シクロヘキサノンなどが挙げられる。
【0242】
上記の顔料微粒子は例えばビヒクル中で分散させた状態で用いることができる。前記ビヒクルとは、塗料でいえば、液体状態にあるときに顔料を分散させている媒質の部分をいい、液状であって前記顔料と結合して塗膜を固める部分(バインダー)と、これを溶解希釈する成分(有機溶媒)とを含む。なお本発明においては、ナノ粒子形成時に用いるバインダーと再分散化に用いるバインダーとが同じであっても異なっていてもよく、それぞれ、ナノ粒子形成バインダーおよび再分散化バインダーとして区別していうこともある。
再分散化後の顔料微粒子の分散組成物の顔料微粒子濃度は目的に応じて適宜定められるが、好ましくは分散組成物全量に対して顔料微粒子が2〜30質量%であることが好ましく、4〜20質量%であることがより好ましく、5〜15質量%であることが特に好ましい。上記のようなビヒクルにより分散される場合に、バインダーおよび溶解希釈成分の量は有機顔料の種類などにより適宜定められるが、分散組成物全量に対して、バインダーは1〜30質量%であることが好ましく、3〜20質量%であることがより好ましく、5〜15質量%であることが特に好ましい。溶解希釈成分は5〜80質量%であることが好ましく、10〜70質量%であることがより好ましい。
【0243】
上述の濃縮抽出したナノ粒子液においては、先にも述べたとおり、速やかなフィルタろ過を可能とするために、顔料微粒子を濃縮化により凝集させることが好ましく、遠心分離または乾燥により濃縮化して凝集させることが好ましい。
このような凝集ナノ粒子を微細分散化する方法として、例えば超音波による分散方法や物理的なエネルギーを加える方法を用いることができる。
用いられる超音波照射装置は10kHz以上の超音波を印加できる機能を有することが好ましく、例えば、超音波ホモジナイザー、超音波洗浄機などが挙げられる。超音波照射中に液温が上昇すると、ナノ粒子の熱凝集が起こるため(非特許文献1参照)、液温を1〜100℃とすることが好ましく、5〜60℃がより好ましい。温度の制御方法は、分散液温度の制御、分散液を温度制御する温度調整層の温度制御、などによって行うことができる。
物理的なエネルギーを加えて濃縮した顔料微粒子を分散させる際に使用する分散機としては、特に制限はなく、例えば、ニーダー、ロールミル、アトライダー、スーパーミル、ディゾルバ、ホモミキサー、サンドミル等の分散機が挙げられる。また、高圧分散法や、微小粒子ビーズの使用による分散方法も好適なものとして挙げられる。
【0244】
上記の製造方法によれば、例えば、顔料微粒子分散組成物や後述する着色感光性樹脂組成物に含まれる顔料粒子を、ナノメートルサイズ(例えば、10〜100nm)という微小な粒径にもかかわらず、濃縮再分散化することができる。このため、カラーフィルタに用いたときには、光学濃度が高く、フィルタ表面の均一性に優れ、コントラストが高く、かつ画像のノイズを少なくすることができる。
さらに、顔料微粒子分散組成物、着色感光性組成物に含まれる顔料微粒子を、高度に、また均一に、微細分散化することができるため、薄い膜厚さで、高い着色濃度を発揮し、例えばカラーフィルタ等の薄層化を可能とするものである。
また顔料微粒子分散組成物、着色感光性樹脂組成物において、鮮明な色調と高い着色力とを示す顔料を含有させることで、例えばカラープルーフやカラーフィルタ等を作製するための画像形成材料として優れている。
さらに、着色画像形成時の露光・現像に用いられるアルカリ性の現像液に対して、顔料微粒子分散組成物、着色感光性樹脂組成物に、結合剤(バインダー)としてアルカリ性水溶液に可溶なものを用いることができ、環境上の要求にも応えることができる。
また顔料微粒子分散組成物、着色感光性樹脂組成物に用いられる溶媒(顔料の分散媒)として適度な乾燥性を有する有機溶媒を用いることができ、塗布後の乾燥の点でもその要求を満足することができる。
【実施例】
【0245】
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0246】
(実施例1)
<顔料分散液Aの調製>
ジメチルスルホキシド(和光純薬社製)1000mlに、ナトリウムメトキシド28%メタノール溶液33.3ml、顔料C.I.ピグメントレッド254(Irgaphor Red BT−CF、商品名、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)50g、及びポリビニルピロリドン(K−30、商品名、和光純薬社製)100.0gを添加して、顔料溶液Aを調製した。この顔料溶液Aを、ビスコメイトVM−10A−L(商品名、CBCマテリアルズ社製)を用いて粘度を測定した結果、顔料溶液Aの液温が24.5℃の時の粘度が16.8mPa・sであった。これとは別に貧溶媒として、1mol/l塩酸(和光純薬社製)16mlを含有した水1000mlを用意した。
ここで、18℃に温度コントロールし、GK−0222−10型ラモンドスターラー(商品名、藤沢薬品工業社製)により500rpmで攪拌した貧溶媒の水1000mlに、顔料溶液AをNP−KX−500型大容量無脈流ポンプ(商品名、日本精密化学社製)を用いて、流路径0.8mmの送液配管から流速100ml/minで100ml注入することにより、有機顔料粒子を形成し、顔料分散液Aを調製した。
この顔料分散液を、カーボン蒸着したマイカ板(MICA雲母板、応研商事社製)上に塗布した後、上記塗布膜の細片を水に浸漬し、顔料膜部分を水面に浮かべ、マイカ基板から剥離させた。顔料膜をSTEM用支持膜付きマイクログリッド(ハイレゾリューションカーボン支持膜、応研商事社製)上にすくい取り、乾燥させ、観察用試料とした。得られた試料を透過型電子顕微鏡(日立製H-7650)を用いてトモグラフィー観察を行い、3D再構築データから粒子同士の重なりの少ない面を取り出し、粒子の投影面積を得られるようにした。得られた粒子像から100個粒子を抽出し、各粒子の輪郭の最大曲率半径と最小曲率半径を求め、(最大曲率半径/最小曲率半径)が40となる粒子の含有率を算出した。結果を下記表1に示す。また、この顔料分散液を、日機装社製ナノトラックUPA−EX150を用いて粒径を測定し、ビスコメイトVM−10A−L(商品名、CBCマテリアルズ社製)を用いて粘度を測定した。結果を下記表1に示す。
【0247】
(実施例2)
<顔料分散液Bの調製>
実施例1において前記流速を80ml/minに変更したこと以外は実施例1と同様にして顔料分散液Bを調製した。調製した顔料分散液Bの(最大曲率半径/最小曲率半径))が40となる粒子の含有率、及び粒径、粘度を実施例1と同様にして測定した。結果を下記表1に示す。
【0248】
(実施例3)
<顔料分散液Cの調製>
実施例1において前記流速を50ml/minに変更したこと以外は実施例1と同様にして顔料分散液Cを調製した。調製した顔料分散液Bの(最大曲率半径/最小曲率半径)が40となる粒子の含有率、及び粒径、粘度を実施例1と同様にして測定した。結果を下記表1に示す。
【0249】
(実施例4)
<顔料分散液Dの調製>
実施例2において前記貧溶媒の温度を50℃に変更してたこと以外は実施例2と同様にして顔料分散液Dを調製した。調製した顔料分散液Dの(最大曲率半径/最小曲率半径)が40となる粒子の含有率、及び粒径、粘度を実施例1と同様にして測定した。結果を下記表1に示す。
【0250】
(比較例1)
<顔料分散液Eの調製>
1−メトキシ−2−プロピルアセテート45.3g、顔料C.I.ピグメントレッド254(Irgaphor Red BT−CF、商品名、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)6.4g、ポリビニルピロリドン12.8gを投入攪拌し、混合液を得た。次にこの混合液をモーターミルM−50(商品名、アイガー・ジャパン社製)で、直径0.65mmのジルコニアビーズを用い、周速9m/sで9時間分散し、顔料分散組成物Eを得た。調製した顔料分散液Eの(最大曲率半径/最小曲率半径)が40となる粒子の含有率、及び粒径、粘度を実施例1と同様にして測定した。結果を下記表1に示す。
【0251】
(比較例2)
<顔料分散液Fの調製>
比較例1において攪拌時間を7時間に変更したこと以外は比較例1と同様にして顔料分散液Fを調製した。調製した顔料分散液Fの(最大曲率半径/最小曲率半径)が40となる粒子の含有率、及び粒径、粘度を実施例1と同様にして測定した。結果を下記表1に示す。
【0252】
(比較例3)
<顔料分散液Gの調製>
比較例1において攪拌時間を4時間に変更したこと以外は比較例1と同様にして顔料分散液Gを調製した。調製した顔料分散液Gの(最大曲率半径/最小曲率半径)が40となる粒子の含有率、及び粒径、粘度を実施例1と同様にして測定した。結果を下記表1に示す。
【0253】
[表1]
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
顔料分散液 含有率(%) 粒径(nm) 粘度(mPa・S)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
A 80 27 6
B 78 38 8
C 62 52 15
D 68 118 18
E 51 58 21
F 39 81 29
G 31 144 41
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【0254】
表2の結果より、本発明の顔料分散組成物(分散液)は粘度が低く、そこに含まれる顔料粒子はナノメートルサイズであり、しかも角のない粒子が全体の60%以上を占めていることが分かる。なお、顕微鏡写真における粒子形状の相違は目視でも明確に区別できる程度であり、比較試料E〜Gの粒子は角ばった粒子や平板状の粒子であった。これに対し、本発明の試料A〜Dにおける顔料粒子は、そのほとんどが角のない粒子であり、緩やかな曲面を有するより球形に近いものであった。
【0255】
(実施例5)
[顔料分散組成物Aの調製]
調製した顔料分散液A(顔料粒子濃度約0.05質量%)に2−(1−メトキシ)プロピルアセテート500mlを加えて、25℃で10分間、500rpmで撹拌した後1日静置し、顔料粒子を2−(1−メトキシ)プロピルアセテート相に抽出し、濃縮抽出液とした。
前記の顔料粒子を抽出した濃縮抽出液を、FP−010型フィルタ(商品名、住友電工ファインポリマ社製)を用いて、ろ過することにより、ペースト状の濃縮顔料液A(顔料粒子濃度30質量%)を得た。
前記ペースト状の濃縮顔料液Aを使い下記組成の顔料分散組成物Aを調製した。下記顔料分散剤Aについては特開2000−239554号公報に従い合成した。
前記ペースト状の濃縮顔料液A 21.3g
顔料分散剤A 0.6g
(前記一般式(D1)で表される化合物の例示化合物7.)
メタクリル酸/メタクリル酸ベンジル共重合体 15.8g
(共重合モル比28/72、質量平均分子量:3万、
40%1−メトキシ−2−プロピルアセテート溶液)
1−メトキシ−2−プロピルアセテート(和光純薬社製) 42.3g
[顔料分散組成物B〜Gの調製]
顔料分散液Aを顔料分散液B〜Gにそれぞれ変更したこと以外は、顔料分散組成物Aと同様にして、顔料分散組成物B〜Gをそれぞれ調製した。
【0256】
(実施例6)
(カラーフィルタの作製(スリット状ノズルを用いた塗布による作製))
〔ブラック(K)画像の形成〕
無アルカリガラス基板を、UV洗浄装置で洗浄後、洗浄剤を用いてブラシ洗浄し、更に超純水で超音波洗浄した。該基板を120℃3分熱処理して表面状態を安定化させた。
該基板を冷却し23℃に温調後、スリット状ノズルを有すガラス基板用コーター(エフ・エー・エス・ジャパン社製、商品名:MH−1600)にて、下記表Aに記載の組成よりなる着色感光性樹脂組成物K1を塗布した。引き続きVCD(真空乾燥装置;東京応化工業(株)社製)で30秒間、溶媒の一部を乾燥して塗布層の流動性を無くした後、EBR(エッジ・ビード・リムーバー)にて基板周囲の不要な塗布液を除去し、120℃3分間プリベークして膜厚2.4μmの感光性樹脂層K1を得た。
【0257】
[表A]
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
組成成分K 含有量(質量部)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
K顔料分散物1(カーボンブラック) 25
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 8.0
メチルエチルケトン 53
バインダー2 9.1
ハイドロキノンモノメチルエーテル 0.002
DPHA液 4.2
重合開始剤A 0.16
界面活性剤1 0.044
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【0258】
超高圧水銀灯を有すプロキシミティ型露光機(日立電子エンジニアリング(株)社製)で、基板とマスク(画像パターンを有す石英露光マスク)を垂直に立てた状態で、露光マスク面と該感光性樹脂層の間の距離を200μmに設定し、露光量300mJ/cmでパターン露光した。
次に、純水をシャワーノズルにて噴霧して、該感光性樹脂層K1の表面を均一に湿らせた後、KOH系現像液(KOH、ノニオン界面活性剤含有、商品名:CDK−1、富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ社製)にて23℃80秒、フラットノズル圧力0.04MPaでシャワー現像しパターニング画像を得た。引き続き、超純水を、超高圧洗浄ノズルにて9.8MPaの圧力で噴射して残渣除去を行い、ブラック(K)の画像Kを得た。引き続き、220℃で30分間熱処理した。
着色感光性樹脂組成物K1は、まず表Aに記載の量のK顔料分散物1、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートをはかり取り、温度24℃(±2℃)で混合して150rpmで10分間攪拌し、次いで、表Aに記載の量のメチルエチルケトン、バインダー2、ハイドロキノンモノメチルエーテル、DPHA液、重合開始剤A(2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[4’−(N,N−ビスエトキシカルボニルメチル)アミン−3’−ブロモフェニル]−s−トリアジン)、界面活性剤1をはかり取り、温度25℃(±2℃)でこの順に添加して、温度40℃(±2℃)で150rpmで30分間攪拌することによって得た。
【0259】
尚、表Aに記載の組成物の内、下記成分についてその組成を以下に示した。
<K顔料分散物1>
・カーボンブラック 13.1質量部
・分散剤(下記化合物1) 0.65質量部
・ポリマー(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=72/28モル比
のランダム共重合物、分子量3.7万) 6.72質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 79.53質量部
【0260】
【化55】

【0261】
<バインダー2>
・ポリマー(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=78/22モル比
のランダム共重合物、分子量3.8万) 27質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 73質量部
<DPHA液>
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(重合禁止剤MEHQ 500ppm
含有、日本化薬(株)社製、商品名:KAYARAD DPHA) 76質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 24質量部
<界面活性剤1>
・下記構造物1 30質量部
・メチルエチルケトン 70質量部
【0262】
【化56】

【0263】
〔レッド(R)画素の形成〕
前記画像Kを形成した基板に、下記表Bに記載の組成よりなる下記着色感光性樹脂組成物R1を用い、前記ブラック(K)画像の形成と同様の工程で、熱処理済み画素Rを形成した。該感光性樹脂層R1膜厚及び顔料の塗布量を以下に示す。なお、着色感光性樹脂組成物の調整手順は、上記着色感光性樹脂組成物K1と同様にした。
感光性樹脂膜厚(μm) 1.60
顔料塗布量(g/m) 1.00
C.I.P.R.254塗布量(g/m) 0.80
C.I.P.R.177塗布量(g/m) 0.20
【0264】
[表B]
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
組成成分 含有量(質量部)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
顔料分散組成物A 40.0
R顔料分散物2(CIPR177) 4.5
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 7.6
メチルエチルケトン 37
バインダー1 0.7
DPHA液 3.8
2−トリクロロ−5−(p−スリチルスリチル)
−1,3,4−オキサジアゾール 0.12
重合開始剤A 0.05
フェノチアジン 0.01
界面活性剤1 0.06
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【0265】
<R顔料分散物2>
・C.I.P.R.177 18質量部
・ポリマー(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=72/28モル比
のランダム共重合物、分子量3万) 12質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 70質量部
<バインダー1>
・ポリマー(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸/メチルメタクリレート
=38/25/37モル比のランダム共重合物、分子量4万) 27質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 73質量部
【0266】
〔グリーン(G)画素の形成〕
前記画像Kと画素Rを形成した基板に、下記表Cに記載の組成よりなる下記着色感光性樹脂組成物G1を用い、前記ブラック(K)画像の形成と同様の工程で、熱処理済み画素Gを形成した。該感光性樹脂層G1膜厚及び顔料の塗布量を以下に示す。なお、着色感光性樹脂組成物の調整手順は、上記着色感光性樹脂組成物K1と同様にした。
感光性樹脂膜厚(μm) 1.60
顔料塗布量(g/m) 1.92
C.I.P.G.36塗布量(g/m) 1.34
C.I.P.Y.150塗布量(g/m) 0.58
【0267】
[表C]
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
組成成分 含有量(質量部)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
G顔料分散物1(C.I.P.G36) 28.4
Y顔料分散物1(C.I.P.Y150) 15.0
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 29.1
メチルエチルケトン 26
シクロヘキサノン 1.3
バインダー2 2.5
DPHA液 3.5
2−トリクロロ−5−(p−スリチルスリチル)
−1,3,4−オキサジアゾール 0.12
重合開始剤A 0.05
フェノチアジン 0.005
界面活性剤1 0.07
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【0268】
<G顔料分散物1>
・C.I.P.G.36 18質量部
・ポリマー(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=72/28モル比
のランダム共重合物、分子量3.8万) 12質量部
・シクロヘキサノン 35質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 35質量部
<Y顔料分散物1>
御国色素(株)社製「商品名:CFイエローEX3393」
【0269】
〔ブルー(B)画素の形成〕
前記画像K、画素R及び画素Gを形成した基板に、下記表Dに記載の組成よりなる下記着色感光性樹脂組成物B1を用い、前記ブラック(K)画像の形成と同様の工程で、熱処理済み画素Bを形成し、目的のカラーフィルタAを得た。該感光性樹脂層B1膜厚及び顔料の塗布量を以下に示す。なお、着色感光性樹脂組成物の調製手順は、上記着色感光性樹脂組成物K1と同様にした。
感光性樹脂膜厚(μm) 1.60
顔料塗布量(g/m) 0.75
C.I.P.B.15:6塗布量(g/m) 0.67
C.I.P.V.23塗布量(g/m) 0.075
【0270】
[表D]
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
組成成分 含有量(質量部)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
B顔料分散物1(C.I.P.B15:6) 8.6
B顔料分散物2(C.I.P.B15:6 C.I.P.V.23) 15.0
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 28
メチルエチルケトン 26
バインダー3 17.2
DPHA液 4.0
2−トリクロロ−5−(p−スリチルスリチル)
−1,3,4−オキサジアゾール 0.14
フェノチアジン 0.02
界面活性剤1 0.06
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【0271】
<B顔料分散物1>
御国色素(株)社製「商品名:CFブルーEX3357」
<B顔料分散物2>
御国色素(株)社製の「商品名:CFブルーEX3383」
<バインダー3>
・ポリマー(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸/メチルメタクリレート
=36/22/42モル比のランダム共重合物、分子量3.8万) 27質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 73質量部
【0272】
上記のカラーフィルタAの作製方法に対し、顔料分散組成物Aを実施例1の顔料分散組成物B〜Gに変更した以外、カラーフィルタAと同様にして、カラーフィルタB〜Gをそれぞれ作製した。
【0273】
[粒子形状の測定]
上記カラーフィルタA〜Gにおいて、R、G、B各画素部を剥離し、電子顕微鏡観察用切片を作製した。左記切片を透過型電子顕微鏡(日立製H−7650(商品名))を用いてトモグラフィー観察を行った。3D再構築データから粒子同士の重なりの少ない面を取り出し、粒子の投影面積を得られるようにした。粒子画像を出力し、画像処理装置(カールツァイス社製KS−400(商品名))を用いて粒子形状の計測を行った。計測は粒子の輪郭を抽出し、その周囲長の25等分して、各曲線を円で近似し、その半径を求めた。100粒子の輪郭抽出と近似円の算出を行い、各粒子について最大曲率半径と最小曲率半径を測定し、「最大曲率半径/最小曲率半径」の値が40以下となる角のない粒子の含有率を算出した。結果を下記表2に示す。
【0274】
[液晶表示装置の画質評価]
次に、上記のカラーフィルタを組み込んだ液晶表示装置をそれぞれ以下のようにして作製し、画質評価を行った。
【0275】
〔液晶表示装置の作製〕
(ITO電極の形成)
カラーフィルタが形成されたガラス基板をスパッタ装置に入れて、100℃で1300Å厚さのITO(インヂウム錫酸化物)を全面真空蒸着した後、240℃で90分間アニールしてITOを結晶化し、ITO透明電極を形成した。
【0276】
(スペーサの形成)
特開2004−240335号公報の[実施例1]に記載のスペーサ形成方法と同様の方法で、上記で作製したITO透明電極上にスペーサを形成した。
【0277】
(液晶配向制御用突起の形成)
下記のポジ型感光性樹脂層用塗布液を用いて、前記スペーサを形成したITO透明電極上に液晶配向制御用突起を形成した。
但し、露光、現像、及び、ベーク工程は、以下の方法を用いた。
所定のフォトマスクが感光性樹脂層の表面から100μmの距離となるようにプロキシミティ露光機(日立ハイテク電子エンジニアリング株式会社製)を配置し、該フォトマスクを介して超高圧水銀灯により照射エネルギー150mJ/cmでプロキシミティ露光した。
【0278】
続いて、2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を、シャワー式現像装置にて33℃で30秒間基板に噴霧しながら現像した。こうして、感光性樹脂層の不要部(露光部)を現像除去することにより、カラーフィルタ側基板上に、所望の形状にパターニングされた感光性樹脂層よりなる液晶配向制御用突起が形成された液晶表示装置用基板を得た。
次いで、該液晶配向制御用突起が形成された液晶表示装置用基板を230℃下で30分ベークすることにより、液晶表示装置用基板上に硬化された液晶配向制御用突起を形成した。
【0279】
<ポジ型感光性樹脂層用塗布液処方>
・ポジ型レジスト液(富士フイルムエレクトロニクス
マテリアルズ(株)社製FH−2413F) : 53.3質量部
・メチルエチルケトン : 46.7質量部
・メガファックF−780F(大日本インキ化学工業(株)社製):0.04質量部
【0280】
(液晶表示装置の作製)
上記で得られた液晶表示装置用基板上に更にポリイミドよりなる配向膜を設けた。その後、カラーフィルタの画素群を取り囲むように周囲に設けられたブラックマトリックス外枠に相当する位置にエポキシ樹脂のシール剤を印刷すると共に、MVAモード用液晶を滴下し、対向基板と貼り合わせた後、貼り合わされた基板を熱処理してシール剤を硬化させた。このようにして得た液晶セルの両面に、(株)サンリツ社製の偏光板HLC2−2518を貼り付けた。次いで、3波長冷陰極管光源(東芝ライテック(株)社製FWL18EX−N)のバックライトを構成し、前記偏光板が設けられた液晶セルの背面となる側に配置し、液晶表示装置とした。
【0281】
作製した液晶表示装置につき、カラーフィルタAを備えたものを液晶表示装置Aとし、以下同様にして液晶表示装置B〜Gをそれぞれ作製した。
各カラーフィルタを備えた液晶表示装置の画質評価は以下のように行った。
1.検査員に名称を表示せずにランダムに並べた液晶表示装置6台を見せ、黒表示部の色のしまり、及び色の濃淡のメリハリが最も良いものから順に、7点から1点までの点数をつけさせる。
2.10名の検査員に対して同様の試験を行い、得られた点数を合計して、作製した液晶表示装置の画質評価とする。
得られた評価を表2に示す。
【0282】
[表2]
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
試験体 含有率(%)(1) 画質評価点の総計(2)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
A 33 63
B 27 60
C 21 55
D 16 47
E 8 29
F 5 22
G 3 15
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
(1)カラーフィルタ中の「最大極率半径/最小極率半径」の値が40以下となる粒子の含有率。
(2)液晶表示装置の画質評価試験の結果(評価点の総計)。
【0283】
表2に示した結果より、本発明の顔料分散組成物を用いたカラーフィルタA〜Dは、カラーフィルタE〜Gに比べて画質が優れ、液晶表示装置にしたときにも優れた画像表示性能を発揮しうることが分かる。
【0284】
(実施例7)
〔カラーフィルタ用インクジェットインクの調製〕
特開2002−201387号公報の実施例1を参考に下記表3に示す処方でインクを調製した。
【0285】
[表3]
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
組成成分 Rインク1 Gインク1 Bインク1
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
濃縮顔料液A 14質量部
G顔料(CIPG36) 5.0質量部
B顔料(CIPB15:6) 5.0質量部
ジエチレングリコールモノブチル
エーテルアセテート
(29.9dyn/cm) 72質量部 81質量部 81質量部
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
射出時のインク粘度(mPa・s) 15 10 10
射出時のインク表面張力(mN/m) 26 21 21
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【0286】
<Rインク1、Gインク1、Bインク1に共通の成分>
高分子分散剤:AVECIA社製ソルスパース24000 2.0質量部
バインダー:ベンジルメタクリレート−メタクリル酸共重合体 3.0質量部
ジペンタエリスリトールペンタアクリレート 2.0質量部
トリプロピレングリコールジアクリレート 5.0質量部
2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−
モンフォリノプロパン)−1−オン 2.0質量部
【0287】
<粘度>
インクの粘度は、E型粘度計(RE80L、商品名、東機産業(株)社製)により、25℃、使用ローター 1°34’×R24、測定時間2分の条件により測定した。
<表面張力>
インクの表面張力は、表面張力計(FACE SUFACE TENSIOMETER CBVB−A3、商品名、協和科学社製)により、測定温度23℃にして、測定した。
【0288】
上記の各成分の混合については、先ず、顔料及び高分子分散剤を溶剤の一部に投入、混合し、3本ロールとビーズミルを用いて攪拌して顔料分散液を得た。一方、他の配合成分を溶剤の残部に投入、攪拌して溶解分散し、バインダー溶液を得た。そして、顔料分散液を少量ずつバインダー溶液中に添加しながらディソルバーで十分に攪拌し、カラーフィルタ用インクジェットインクを調製した。
【0289】
また、上記Rインク1の調製において濃縮顔料液Aを濃縮顔料液B〜Gに変更したこと以外はRインク1と同様にしてRインク2〜7を調製した。
【0290】
〔画素形成〕
上記で得られたRインク1、Gインク1、Bインク1をピエゾ方式のヘッドを用いて、まず以下のようにして遮光性隔壁に囲まれた凹部にインクを打滴した。そして下記のようにして、カラーフィルタ1を得た。また、カラーフィルタ1の調製においてRインク1をRインク2〜7に変更したこと以外はカラーフィルタ1と同様にしてカラーフィルタ2〜7を調製した。
【0291】
ヘッドは25.4mmあたり150のノズル密度で、318ノズルを有しており、これを2個ノズル列方向にノズル間隔の1/2ずらして固定することにより、基板上にはノズル配列方向に25.4mmあたり300滴打滴される。
ヘッドおよびインクは、ヘッド内に温水を循環させることにより吐出部分近辺が50±0.5℃となるように制御されている。
ヘッドからのインク吐出は、ヘッドに付与されるピエゾ駆動信号により制御され、一滴あたり6〜42plの吐出が可能であって、本実施例ではヘッドの下1mmの位置でガラス基板が搬送されながらヘッドより打滴される。搬送速度は50〜200mm/sの範囲で設定可能である。またピエゾ駆動周波数は最大4.6kHzまでが可能であって、これらの設定により打滴量を制御することができる。
【0292】
本実施例では、R、G、Bそれぞれ、顔料の塗設量が、1.1、1.8、0.75g/mとなるように、搬送速度、駆動周波数を制御し、所望するR、G、Bに対応する凹部にR、G、Bのインクを打滴した。
打滴されたインクは、露光部に搬送され、紫外発光ダイオード(UV−LED)により露光される。本実施例ではUV−LEDは日亜化学社製NCCU033(商品名)を用いた。本LEDは1チップから波長365nmの紫外光を出力するものであって、約500mAの電流を通電することにより、チップから約100mWの光が発光される。これを7mm間隔に複数個配列し、表面で0.3W/cmのパワーが得られる。打滴後露光されるまでの時間、および露光時間はメディアの搬送速度およびヘッドとLEDの搬送方向の距離により変更可能である。本実施例では着弾後、100度で10分間乾燥させ、その後露光した。
距離および搬送速度の設定に応じて、メディア上の露光エネルギーを0.01〜15J/cmの間で調整することができる。本実施例では搬送速度により露光エネルギーを調整した。
これら露光パワー、露光エネルギーの測定にはウシオ電機製スペクトロラディオメータURS−40D(商品名)を用い、波長220〜400nmの間を積分した値を用いた。
打滴後のガラス基板を230℃オーブン中で30分ベークすることで、遮光性隔壁、各画素共に完全に硬化させ、カラーフィルタを作製した。
【0293】
上記の液晶表示装置A〜Gと同様にして、カラーフィルタ1〜7を用いて、液晶表示1〜7をそれぞれ作製した。
【0294】
本発明のカラーフィルタを用いた液晶表示装置は優れた表示性能を発揮し、黒のしまりと赤の描写力においてとくに優れていた。
【0295】
(実施例8)
[カラーフィルタの作製(感光性樹脂転写材料のラミネートよる作製)]
〔感光性樹脂転写材料の作製〕
厚さ75μmのポリエチレンテレフタレートフィルム仮支持体の上に、スリット状ノズルを用いて、下記処方H1からなる熱可塑性樹脂層用塗布液を塗布、乾燥させた。次に、下記処方P1から成る中間層用塗布液を塗布、乾燥させた。更に、前記着色感光性樹脂組成物K1を塗布、乾燥させ、該仮支持体の上に乾燥膜厚が14.6μmの熱可塑性樹脂層と、乾燥膜厚が1.6μmの中間層と、乾燥膜厚が2.4μmの感光性樹脂層を設け、保護フィルム(厚さ12μmポリプロピレンフィルム)を圧着した。
こうして仮支持体と熱可塑性樹脂層と中間層(酸素遮断膜)とブラック(K)の感光性樹脂層とが一体となった感光性樹脂転写材料を作製し、サンプル名を感光性樹脂転写材料K1とした。
【0296】
<熱可塑性樹脂層用塗布液:処方H1>
・メタノール 11.1質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 6.36質量部
・メチルエチルケトン 52.4質量部
・メチルメタクリレート/2−エチルヘキシルアクリレート/ベンジル
メタクリレート/メタクリル酸共重合体
(共重合組成比(モル比)=55/11.7/4.5/28.8、
質量平均分子量:9万、Tg:約70℃) 5.83質量部
・スチレン/アクリル酸共重合体(共重合組成比(モル比)
=63/37、分子量:1万、Tg:約100℃) 13.6質量部
・ビスフェノールAにペンタエチレングリコールモノメタクリートを
2当量脱水縮合した化合物(新中村化学工業(株)社製、
商品名:2,2−ビス[4−(メタクリロキシポリエトキシ)
フェニル]プロパン) 9.1質量部
・前記界面活性剤1 0.54質量部
【0297】
<中間層用塗布液:処方P1>
・PVA205(ポリビニルアルコール、(株)クラレ社製、
鹸化度=88%、重合度550) 32.2質量部
・ポリビニルピロリドン(アイエスピー・ジャパン(株)社製、
K−30) 14.9質量部
・蒸留水 524質量部
・メタノール 429質量部
【0298】
次に、前記感光性樹脂転写材料K1の作製において用いた前記着色感光性樹脂組成物K1を、下記表E〜Gに記載の組成よりなる下記着色感光性樹脂組成物R101、G101及びB101に変更し、それ以外は上記と同様の方法により、感光性樹脂転写材料R101、G101及びB101を作製した。尚、着色感光性樹脂組成物R101、G101及びB101の調製方法は、それぞれ前記着色感光性樹脂組成物R1、G1及びB1の調製方法に準ずる。
【0299】
[表E] <着色感光性樹脂組成物 R101>
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
組成成分 含有量(質量部)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
顔料分散組成物A 40.0
R顔料分散物2(CIPR177) 4.5
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 7.6
メチルエチルケトン 37
バインダー1 0.8
DPHA液 4.4
2−トリクロロ−5−(p−スリチルスリチル)
−1,3,4−オキサジアゾール 0.14
重合開始剤A 0.06
フェノチアジン 0.01
添加剤1 0.52
界面活性剤1 0.06
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【0300】
[表F] <着色感光性樹脂組成物 G101>
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
組成成分 含有量(質量部)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
G顔料分散物1(CIPG36) 28.4
Y顔料分散物1(CIPY150) 15.0
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 29.1
メチルエチルケトン 26
シクロヘキサノン 1.3
バインダー2 3.0
DPHA液 4.3
2−トリクロロ−5−(p−スリチルスリチル)
−1,3,4−オキサジアゾール 0.15
重合開始剤A 0.06
フェノチアジン 0.005
界面活性剤1 0.07
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【0301】
[表G] <着色感光性樹脂組成物 B101>
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
組成成分 含有量(質量部)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
B顔料分散物1(CIPB15:6) 8.6
B顔料分散物2(CIPB15:6 CIPV23) 15.0
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 28
メチルエチルケトン 26
バインダー3 18.5
DPHA液 4.3
2−トリクロロ−5−(p−スリチルスリチル)
−1,3,4−オキサジアゾール 0.15
フェノチアジン 0.02
界面活性剤1 0.06
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【0302】
尚、添加剤1は、燐酸エステル系特殊活性剤(楠本化成(株)社製、商品名:HIPLAAD ED152)を用いた。
【0303】
〔ブラック(K)画像の形成〕
無アルカリガラス基板を、25℃に調整したガラス洗浄剤液をシャワーにより20秒間吹き付けながらナイロン毛を有する回転ブラシで洗浄し、純水シャワー洗浄後、シランカップリング液(N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン0.3%水溶液、商品名:KBM603、信越化学工業(株)社製)をシャワーにより20秒間吹き付け、純水シャワー洗浄した。この基板を基板予備加熱装置で100℃2分加熱して次のラミネーターに送った。
前記感光性樹脂転写材料K1の保護フィルムを剥離後、ラミネーター((株)日立インダストリイズ社製(LamicII型))を用い、前記100℃に加熱した基板に、ゴムローラー温度130℃、線圧100N/cm、搬送速度2.2m/分でラミネートした。
仮支持体を熱可塑性樹脂層との界面で剥離後、超高圧水銀灯を有するプロキシミティ型露光機(日立電子エンジニアリング(株)社製)で、基板とマスク(画像パターンを有す石英露光マスク)を垂直に立てた状態で、露光マスク面と該熱可塑性樹脂層の間の距離を200μmに設定し、露光量70mJ/cmでパターン露光した。
【0304】
次に、トリエタノールアミン系現像液(2.5%のトリエタノールアミン含有、商品名:T−PD2、富士写真フイルム社製を純水で12倍希釈した液(T−PD2を1部と純水11部の割合で混合した。))にて30℃50秒、フラットノズル圧力0.04MPaでシャワー現像し熱可塑性樹脂層と中間層を除去した。
引き続き炭酸ナトリウム系現像液(0.38モル/リットルの炭酸水素ナトリウム、0.47モル/リットル濃度の炭酸ナトリウム、5%のジブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム、アニオン界面活性剤、消泡剤、安定剤含有、商品名:T−CD1、富士写真フイルム社製を純水で5倍に希釈した液)を用い、29℃30秒、コーン型ノズル圧力0.15MPaでシャワー現像し感光性樹脂層を現像しパターニング画像を得た。
引き続き、洗浄剤(商品名「T−SD1(富士写真フイルム社製)」を純水で10倍に希釈した液を用い、33℃20秒、コーン型ノズル圧力0.02MPaでシャワーとナイロン毛を有す回転ブラシにより残渣除去を行い、ブラック(K)の画像を得た。その後更に、該基板に対して該樹脂層の側から超高圧水銀灯で500mJ/cmの光でポスト露光後、220℃、15分熱処理した。
この画像Kを形成した基板を再び、前記のようにブラシで洗浄し、純水シャワー洗浄後、シランカップリング液は使用せずに、基板予備加熱装置に送った。
【0305】
〔レッド(R)画素の形成〕
前記感光性樹脂転写材料R101を用い、前記感光性樹脂転写材料K1と同様の工程で、熱処理済みのレッド(R)の画素Rを得た。但し露光量は40mJ/cm、炭酸ナトリウム系現像液による現像は35℃35秒とした。該感光性樹脂層R101膜厚及び顔料の塗布量を以下に示す。
感光性樹脂膜厚(μm) 2.00
顔料塗布量(g/m) 1.00
C.I.P.R.254塗布量(g/m) 0.80
C.I.P.R.177塗布量(g/m) 0.20
この画像K、及び画素Rを形成した基板を再び、前記のようにブラシで洗浄し、純水シャワー洗浄後、シランカップリング液は使用せずに、基板予備加熱装置に送った。
【0306】
〔グリーン(G)画素の形成〕
前記感光性樹脂転写材料G101を用い、前記感光性樹脂転写材料R101と同様の工程で、熱処理済みのグリーン(G)の画素Gを得た。但し露光量は40mJ/cm、炭酸ナトリウム系現像液による現像は34℃45秒とした。該感光性樹脂層G101膜厚及び顔料の塗布量を表以下に示す。
感光性樹脂膜厚(μm) 2.00
顔料塗布量(g/m) 1.92
C.I.P.G.36塗布量(g/m) 1.34
C.I.P.Y.150塗布量(g/m) 0.58
この画像K、画素R、および画素Gを形成した基板を再び、前記のようにブラシで洗浄し、純水シャワー洗浄後、シランカップリング液は使用せずに、基板予備加熱装置に送った。
【0307】
〔ブルー(B)画素の形成〕
前記感光性樹脂転写材料B101を用い、前記感光性樹脂転写材料R101と同様の工程で、熱処理済みのブルー(B)の画素Bを得た。但し露光量は30mJ/cm、炭酸ナトリウム系現像液による現像は36℃40秒とした。該感光性樹脂層B101膜厚及び顔料の塗布量を以下に示す。
感光性樹脂膜厚(μm) 2.00
顔料塗布量(g/m) 0.75
C.I.P.B.15:6塗布量(g/m) 0.67
C.I.P.V.23塗布量(g/m) 0.075
この画素R、画素G、画素B、および画像Kを形成した基板を240℃で50分ベークして、カラーフィルタA1を得た。
【0308】
上記のカラーフィルタA1の作製手順に対し、顔料分散組成物Aを顔料分散組成物B〜Gに変更した以外上記と同様の手順にて作製し、カラーフィルタA2〜A7をそれぞれ得た。
本発明のカラーフィルタを用いた液晶表示装置は優れた表示性能を発揮し、黒のしまりと赤の描写力においてとくに優れていた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顔料分散組成物に含まれる顔料粒子の60%以上の粒子が、粒子の輪郭の最大曲率半径と最小曲率半径との比(最大曲率半径/最小曲率半径)が40以下を示すナノ粒子であることを特徴とする顔料分散組成物。
【請求項2】
前記顔料がアゾ化合物顔料、フタロシアニン化合物顔料、キナクリドン化合物顔料、インドリン化合物顔料、シアニン化合物顔料、メロシアニン化合物顔料、フラーレン化合物顔料、多環芳香族化合物顔料、またはポリジアセチレン化合物顔料であることを特徴とする請求項1に記載の顔料分散組成物。
【請求項3】
前記顔料ナノ粒子の数平均粒径が100nm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の顔料分散組成物。
【請求項4】
前記顔料ナノ粒子が、該顔料を良溶媒に溶解させた顔料溶液と、前記良溶媒と相溶性でありかつ前記顔料に対しては貧溶媒となる溶媒とを混合して形成した顔料ナノ粒子であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の顔料分散組成物。
【請求項5】
質量平均分子量10000以上の高分子化合物を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の顔料分散組成物。
【請求項6】
前記高分子化合物が下記一般式(1)で表されることを特徴とする請求項5に記載の顔料分散組成物。
【化1】

〔式中、Rは、(m+n)価の連結基を表し、Rは単結合あるいは2価の連結基を表す。Aは、酸性基、窒素原子を有する塩基性基、ウレア基、ウレタン基、配位性酸素原子を有する基、炭素数4以上の炭化水素基、アルコキシシリル基、エポキシ基、イソシアネート基、および水酸基からなる群より選ばれる基を有する1価の有機基、または置換基を有してもよい有機色素構造もしくは複素環を含有する1価の有機基を表す。ただし、n個のAは互いに同一であっても、異なっていてもよい。Pは高分子化合物残基を表す。mは1〜8の数を表し、nは2〜9の数を表し、m+nは3〜10を満たす。〕
【請求項7】
カラーフィルタ中に含まれる全顔料粒子の10%以上の粒子が、粒子の輪郭の最大曲率半径と最小曲率半径との比(最大曲率半径/最小曲率半径)が40以下を示すナノ粒子であることを特徴とするカラーフィルタ。
【請求項8】
カラーフィルタにおける赤色画素部に含まれる顔料粒子の60%以上が、粒子の輪郭の最大曲率半径と最小曲率半径との比(最大曲率半径/最小曲率半径)が40以下のナノ粒子であることを特徴とする請求項7に記載のカラーフィルタ。
【請求項9】
カラーフィルタにおける緑色画素部に含まれる顔料粒子の40%以上が、粒子の輪郭の最大曲率半径と最小曲率半径との比(最大曲率半径/最小曲率半径)が40以下のナノ粒子であることを特徴とする請求項7に記載のカラーフィルタ。
【請求項10】
カラーフィルタにおける青色画素部の顔料粒子の5%以上が、粒子の輪郭の最大曲率半径と最小曲率半径との比(最大曲率半径/最小曲率半径)が40以下のナノ粒子であることを特徴とする請求項7に記載のカラーフィルタ。
【請求項11】
前記顔料ナノ粒子の数平均粒径が100nm以下であることを特徴とする請求項7〜10のいずれか1項に記載のカラーフィルタ。
【請求項12】
前記顔料ナノ粒子が、該顔料を良溶媒に溶解させた顔料溶液と、前記良溶媒と相溶性でありかつ前記顔料に対しては貧溶媒となる溶媒とを混合して形成した顔料ナノ粒子であることを特徴とする請求項7〜11のいずれか1項に記載のカラーフィルタ。
【請求項13】
質量平均分子量10000以上の高分子化合物を含有することを特徴とする請求項7〜12のいずれか1項に記載のカラーフィルタ。
【請求項14】
前記高分子化合物が下記一般式(1)で表されることを特徴とする請求項13に記載のカラーフィルタ。
【化2】

〔式中、Rは、(m+n)価の連結基を表し、Rは単結合あるいは2価の連結基を表す。Aは、酸性基、窒素原子を有する塩基性基、ウレア基、ウレタン基、配位性酸素原子を有する基、炭素数4以上の炭化水素基、アルコキシシリル基、エポキシ基、イソシアネート基、および水酸基からなる群より選ばれる基を有する1価の有機基、または置換基を有してもよい有機色素構造もしくは複素環を含有する1価の有機基を表す。ただし、n個のAは互いに同一であっても、異なっていてもよい。Pは高分子化合物残基を表す。mは1〜8の数を表し、nは2〜9の数を表し、m+nは3〜10を満たす。〕
【請求項15】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の顔料分散組成物と、バインダーと、モノマー又はオリゴマーと、光重合開始剤または光重合開始剤系とを少なくとも含む着色感光性樹脂組成物。
【請求項16】
前記着色感光性樹脂組成物がインクジェット用インクであることを特徴とする請求項15に記載の着色感光性樹脂組成物。
【請求項17】
仮支持体上に、請求項15または16に記載の着色感光性樹脂組成物を含む感光性樹脂層を設けたことを特徴とする感光性樹脂転写材料。
【請求項18】
請求項7〜14のいずれか1項に記載のカラーフィルタを備えたことを特徴とする液晶表示装置。

【公開番号】特開2008−120860(P2008−120860A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−303418(P2006−303418)
【出願日】平成18年11月8日(2006.11.8)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】