説明

顔料分散組成物、硬化性組成物、カラーフィルタ及びその製造方法

【課題】顔料の微細分散性、保存安定性に優れた着色力の高い顔料分散組成物、光感度が高く、支持体密着性に優れた硬化部を形成しうる硬化性組成物、それを用いて得られる支持体密着性に優れ良好な断面形状の着色パターンを備えたカラーフィルタ、及び、その生産性に優れた製造方法を提供する。
【解決手段】(A)エチレン性不飽和二重結合がペンダントされた構造を有する樹脂であって、該樹脂の単位重量当たりのエチレン性不飽和二重結合当量を(a)mol/g、単位重量当たりの水酸基当量を(b)mol/gとした場合に「(a)>(b)」が成り立つことを特徴とする樹脂と、(B)顔料と、(C)溶剤と、を含有する顔料分散組成物である。さらに(D)光重合開始剤を含むことで硬化性組成物が得られ、該硬化性組成物は、カラーフィルタの着色パターン形成に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラーフィルタ、カラープルーフ等の画像材料や、インクや塗料などの光硬化性材料を構成するのに利用することができる顔料分散組成物、並びに液晶表示素子(LCD)や固体撮像素子(CCD、CMOSなど)等に用いられるカラーフィルタなど着色領域の形成に好適な硬化性組成物、該硬化性組成物を用いたカラーフィルタ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、顔料は、鮮明な色調と高い着色力とを示し、多くの分野で広く使用されている。これらの顔料の中でも、実用上重要なものは一般に微細な粒子のものが多く、該顔料の凝集を防ぎ微細化することによって、鮮明な色調と高い着色力とを得ている。しかし、顔料をより微細化していくと、その表面積が増加するために凝集が促進され、該顔料の分散液は高粘度を示すことが多い。このため、この顔料分散液を工業的規模で調製した場合、顔料分散液の分散機からの取り出しが困難となったり、パイプラインによる輸送ができなくなったり、さらには貯蔵中にゲル化して使用不能となる、等の問題がある。
【0003】
そこで、従来は、流動性、分散性等に優れた顔料分散液あるいは着色感光性組成物を得るため、種々の分散剤を使用することが知られている。この分散剤は、ポリマー系分散剤と低分子化合物分散剤とに大別される。
ポリマー系分散剤としては、ポリアクリル酸塩、マレイン酸ナトリウムオレフィン共重合体、末端カルボキシル基含有ポリエステル(例えば、特許文献1参照)、テトラキス(2−ヒドロキシアルキル)エチレンジアミンを出発物質とする酸性基及び/又は塩基性基を有するポリエステル(例えば、特許文献2参照)、マクロモノマー(末端にエチレン性不飽和基を有するオリゴマー)、水酸基を有するモノマー、カルボキシ基含有モノマー及びこれら以外のモノマーの4種からなる共重合体(例えば、特許文献3参照)等が知られている。
また、低分子化合物分散剤としては、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルジアミン、アルカノールアミン誘導体等が知られており(例えば、特許文献4参照)、また、顔料母核を導入した分散剤の例がある(例えば、特許文献5〜6参照)。
【0004】
ところで、顔料を含有する着色感光性組成物は、固体撮像素子や液晶ディスプレイ等に用いるカラーフィルタの材料等として有用であり、該着色感光性組成物を用いてカラーフィルタを製造する場合、品質、製造安定性等の点で優れる顔料分散法が広く採用されている。
【0005】
中でも、顔料を用いたカラーフィルタを液晶ディスプレイ用のカラーフィルタとして用いる場合、コントラスト向上のため、使用する着色剤(有機顔料等)の粒子サイズとしてより微小なものが求められている(例えば、特許文献7参照)。これは、顔料による光の散乱、複屈折等で偏光軸が回転してしまうとの要因によるものである。顔料の微細化が充分でない場合には、顔料によって光が散乱し、吸収され、光透過率が低下してしまうため、コントラストが低くなってしまい、更には露光によりパターン化する際の硬化感度が低下する(例えば、非特許文献1参照)。このため、顔料を分散して含有する着色感光性組成物においては、顔料を高度に微細化した状態で分散させることが必要とされる。
【0006】
上記のように顔料を微細化すると、顔料の表面積は増加するため、微細化した顔料の使用は、硬化性組成物における顔料分散のために必要な分散剤の添加量を増加させる傾向にある。また、カラーフィルタ用途の硬化性組成物では、色純度向上のため、固形分中に占める着色剤(有機顔料)の含有率としてより高いものが求められている。ところが、硬化性組成物において分散剤や着色剤を高濃度に含有させると、硬化性組成物に占める光重合開始剤及び光重合性モノマーの含有率が相対的に減少してしまうことから、硬化性組成物に露光時間短縮による歩留まり向上のために低エネルギーでの硬化性が望まれる一方で、露光部の硬化性が得られにくいとの問題がある。
【0007】
また、固体撮像素子用カラーフィルタ用途の硬化性組成物においても、低エネルギーでの硬化が望まれている。固体撮像素子用カラーフィルタについては、高集光性及び光色分離性による画質向上のため、着色パターンの薄膜化が進んでおり、これに伴って組成物中の顔料濃度が向上する傾向にある。また、表示素子に比較して、より微細なサイズで、且つ、シャープな形状を有する着色パターンの形成が必要となるために、固体撮像素子用のカラーフィルタでは、硬化性、現像性などのパターン形成性については一層の性能向上が望まれている。
さらに、顔料系カラーフィルタでは、顔料が比較的粗大な粒子であることに起因して色ムラが生じやすいため、この色ムラ低減のための顔料微細化に伴なって、硬化性組成物中における顔料分散剤の含有率が増加する傾向ある。したがって、硬化性が得られにくいとの問題がある。
【0008】
また、形成された着色パターンにおける色ムラ等の問題に対応するため、着色剤として顔料の代わりに有機溶剤可溶性の染料を用いる技術が提案されている(例えば、特許文献8参照)。このような染料系のカラーフィルタにおいては、染料濃度の増加に伴い、染料由来の重合禁止効果や、染料析出などの経時安定性の低下の問題も顕著になっている。
【0009】
これらの問題に対し、従来から、主に成膜性や現像性などを付与するために導入する樹脂に重合性を付与し、感度を向上させる検討がなされている(例えば、特許文献7〜8参照)。この他にも、種々の技術が提案されている(非特許文献2〜3参照)。
【0010】
しかしながら、上記のような樹脂によっても、未だ満足できる光感度が得られていない。また、合成上、樹脂中に水酸基が多く導入されることにより、水素結合に起因する顔料凝集が促進され、保存安定性や現像性の低下を引き起こしていた。そのため、硬化部の膜減りや、硬化部の微細顔料が現像液中に拡散することに伴う色濃度の低下(色抜け)などの課題が依然として解消されていないのが実状である。
【0011】
これまで検討されてきた樹脂を用いた組成物では露光感度が不充分なため、基板界面付近など、硬化性組成物を用いた膜の深部では硬化が不充分であり、したがって基板との密着性が悪く、画素を構成する着色パターンの断面形状が逆テーパ型となる等の問題もある。さらに、複数の色パターンを有するカラーフィルタ等の用途においては、1色目のパターンを形成した後に2色目のパターンを形成するための塗布液を塗布すると、1色目の顔料が2色目の塗布液中に拡散してしまい、色濃度が低下(色抜け)する等の課題もなお解消されていない。
さらに、上記のような樹脂は、分子内に種々の機能をもつために、合成経路が複雑となること、合成のバリエーションが少ないこと等、製造上の煩雑さも課題となっていた。
【特許文献1】特公昭54−34009号公報
【特許文献2】特開平2−245231号公報
【特許文献3】特開平8−259876号公報
【特許文献4】米国特許第3536510号明細書
【特許文献5】特公平5−72943号公報
【特許文献6】特開平8−48890号公報
【特許文献7】特開2000−321763号公報
【特許文献8】特開2003−029018号公報
【非特許文献1】512色表示10.4”サイズTFT−LCD用カラーフィルタ、植木、小関、福永、山中、第7回色彩光学コンファレンス(1990年)
【非特許文献2】カラーフィルタ最新技術動向(85〜87項、情報機構出版)
【非特許文献3】最先端カラーフィルタのプロセス技術とケミカルズ(129〜150項、シーエムシー出版)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記の従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。
すなわち、本発明の目的は、顔料の凝集が抑制され、顔料の微細分散性に優れ、保存安定性にも優れ、着色力の高い顔料分散組成物を提供することにある。
また、本発明のさらなる目的は、光感度が高く、保存安定性、着色力、及び支持体密着性に優れており、硬化部の膜減り及び色濃度の低下(色抜け)が抑えられ、現像性が良好で現像残渣が少なく、テーパ状ないし矩形状の良好な断面径所を有する着色パターン形成が可能な硬化性組成物、該硬化性組成物を用いて得られる支持体密着性に優れ、断面がテーパ状ないし矩形状の着色パターンを備えたカラーフィルタ、及び、該カラーフィルタの生産性に優れた製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、樹脂にエチレン性不飽和結合量や親水性基を導入するとともに、該樹脂に含まれる単位体積当たりの水酸基量を制御することで、分散された顔料の分散性、硬化性組成物を調製した際の現像性や顔料の分散安定性、感度等の複数の性能を同時に満足するうえで有効であるとの知見を得、かかる知見に基づいてなされたものである。
前記課題を達成するための具体的手段は以下の通りである。
<1> (A)エチレン性不飽和二重結合がペンダントされた構造を有し、且つ、分子内に親水性基を有する樹脂であって、該樹脂の単位重量当たりのエチレン性不飽和二重結合当量を(a)mol/g、単位重量当たりの水酸基当量を(b)mol/gとした場合に「(a)>(b)」が成り立つことを特徴とする樹脂と、(B)顔料と、(C)溶剤と、を含有する顔料分散組成物。
<2> <1>記載の顔料分散組成物と(D)光重合開始剤とを含有する硬化性組成物。
<3> さらに(E)光重合性化合物を含有する<2>に記載の硬化性組成物。
【0014】
<4> 支持体上に、<2>又は<3>に記載の硬化性組成物により形成された着色パターンを有するカラーフィルタ。
<5> <2>又は<3>に記載の硬化性組成物を調製する工程と、
支持体上に、該硬化性組成物を含む塗布液を塗布して、該硬化性組成物からなる着色層を形成する着色層形成工程と、
該着色層を、マスクを介してパターン様に露光する露光工程と、
露光後の着色層を現像して着色パターンを形成する現像工程と、
を含むカラーフィルタの製造方法。
【0015】
本発明の作用は明確ではないが、以下のように推定される。
即ち、本発明の顔料分散組成物は、現像性や溶剤溶解性を付与する(A)エチレン性不飽和二重結合がペンダントされ、且つ、親水性基を有する樹脂であって、該樹脂の単位重量当たりの水酸基量を、単位重量当たりのエチレン性不飽和二重結合量よりも小さくなした量含有する樹脂を使用することにより、これまで問題とされてきた「分散樹脂の水素結合性基が複数の顔料粒子を橋掛けすることで促進される顔料凝集」の要因となる水酸基の影響を低減することを可能とした。
通常、側鎖に不飽和二重結合をペンダントした構造を有する樹脂を作製する場合、樹脂の主鎖中に、エポキシ環構造などを有するモノマーを高分子反応で導入することが一般的であるが、この際、必ず、ペンダント構造中に、二重結合1つに対し、1個の水酸基が生成することになる。この副成される水酸基を二重結合の数に対して相対的に少なくすることで、このような水素結合の生成の要因を減少させることができ、且つ、樹脂を構成する水酸基以外の部分によって水素結合が立体的に阻害されることにより、顔料が効率良く分散される。また、該樹脂がエチレン性不飽和結合を有しているため露光領域では架橋反応により顔料を包含した状態で硬化するので、顔料が現像液や隣接して設けられる着色層の塗布液中に拡散するのが抑制される上、露光感度を大幅に向上させることができ、本発明の硬化性組成物を支持体上に設けて膜形成した際には、基板界面付近などの膜の深部においても硬化性が良好となり、支持体密着性に優れた硬化膜が得られるために、パターンの断面形状が逆テーパ型となるのを抑制できる。
さらに、該樹脂は硬化性組成物中においても、そのエチレン性不飽和結合により高い光感度を与えるため硬化された露光部では充分な硬化性が得られ、現像液による膜へりや膜強度の低下が抑制される。一方、該樹脂により顔料の凝集が抑制されているために、非硬化の未露光部では共存する親水性基の影響により現像液浸透が速やかに進行するとともに、顔料が現像液中に速やかに分散されることにより、結果的に未露光部の除去性が向上する。
以上により、本発明の硬化性組成物を用いたパターン形成では、露光部における優れた硬化性と未露光部における優れた除去性とが両立され、所望の断面形状を与える良好なパターンが形成できるものと考えられる。また、基板界面付近など、本発明の硬化性組成物を支持体上に設けて膜形成した際の膜の深部でも硬化が良好になり、支持体密着性に優れ、パターン断面形状がテーパ型或いは矩形状の良好なパターンが形成される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、顔料の凝集を抑え顔料の微細分散性に優れ、保存安定性にも優れ、着色力の高い顔料分散組成物を提供することができる。本発明の顔料分散組成物は、塗料、印刷インキ、カラー表示板等の広い用途に好適に使用することができる。
また、本発明によれば、光感度が高く、保存安定性、着色力、及び支持体密着性に優れており、硬化部の膜減り及び色濃度の低下(色抜け)が抑えられ、現像性が良好で現像残渣が少なく断面がテーパ状ないし矩形状の着色パターン形成が可能な着色硬化性組成物を提供することができる。本発明の着色硬化性組成物は、カラープルーフなど基体上への色画像の形成や、固体撮像素子、液晶カラーディスプレイ等に用いるカラーフィルタの作製に好適に使用することができる。
更に、本発明によれば、支持体密着性に優れ、断面がテーパ状ないし矩形状の着色パターンを備えたカラーフィルタ及び該カラーフィルタの生産性に優れたカラーフィルタの製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の顔料分散組成物、硬化性組成物、並びに該硬化性組成物を用いたカラーフィルタ及びその製造方法について詳細に説明する。
【0018】
<<顔料分散組成物>>
本発明の顔料分散組成物は、(A)エチレン性不飽和二重結合がペンダントされた構造を有し、且つ、分子内に親水性基を有する樹脂であって、該樹脂の単位重量当たりのエチレン性不飽和二重結合量を(a)mol/g、単位重量当たりの水酸基量を(b)mol/gとした場合に「(a)>(b)」が成り立つことを特徴とする樹脂(以下、適宜、(A)特定樹脂と称する)と(B)顔料と(C)溶剤とを少なくとも含有し、更に必要に応じて、他の成分を用いて構成することができる。
以下、本発明の顔料分散組成物を構成する各成分について詳述する。
【0019】
<(A)エチレン性不飽和二重結合がペンダントされた構造を有し、且つ、分子内に親水性基を有する樹脂であって、該樹脂の単位重量当たりのエチレン性不飽和二重結合量を(a)mol/g、単位重量当たりの水酸基量を(b)mol/gとした場合に「(a)>(b)」が成り立つことを特徴とする樹脂(特定樹脂)>
本発明における特徴的成分である(A)特定樹脂は、樹脂を構成する主鎖構造にエチレン性不飽和二重結合がペンダントされた構造を有し、且つ、親水性基を含むとともに、該樹脂が水酸基を含む場合、該水酸基の含有量は、エチレン性不飽和二重結合量よりも少ないことを要する。
【0020】
(A)特定樹脂における樹脂1gあたりのエチレン性不飽和二重結合当量(単位:mol/g)は、感度及び保存安定性の観点から、0.00001mol/g以上であることが好ましく、0.0001mol/g以上0.01mol/g以下であることが更に好ましく、0.001mol/g以上0.008mol/g以下であることが最も好ましい。
【0021】
また、この(A)特定樹脂は水酸基を含むものであってもよく、該樹脂1gあたりの水酸基当量(単位:mol/g)は、該樹脂を含む顔料分散組成物及び/または硬化性組成物の保存安定性の観点から、0.01mol/g以下であることが好ましく、0〜0.001mol/gであることがより好ましく、0〜0.0001mol/gであることが更に好ましく、0〜0.00001mol/gであることが最も好ましい。このように(A)特定樹脂は、二重結合がペンダントされ、親水性基を含むものであれば、水酸基は少ないほど好ましく、最も好ましいのは水酸基を含まない態様である。このように、二重結合がペンダントされ、且つ、水酸基を含まないか、或いは含んでいても極少量である特定樹脂の製造方法については、以下に詳述する。
なお、樹脂の単位重量当たりのエチレン性不飽和二重結合当量は、IRやNMRを用いて測定する方法、および、臭素またはヨウ素と付加反応させて単位体積あたりの臭素またはヨウ素付加量を測定する方法のいずれによっても測定することができる。また、エチレン性不飽和二重結合部位が(メタ)アクリル基である場合、樹脂中のエチレン性不飽和二重結合量の定量は、以下の加水分解法によって実施ことができる。即ち、樹脂を適当な溶媒に溶解させ、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の強アルカリ溶液を加えて2時間以上攪拌した後、加水分解によって生成した(メタ)アクリル酸をHPLC法によって定量する方法である。
また、単位重量当たりの水酸基当量はIR、NIR(近赤外分光法)、NMR、および化粧品原料基準第二版注解II 日本公定書協会編(薬事日報社)水酸基価測定法に記載の方法により測定することができ、本発明においては、IRにより得た値を用いている。
【0022】
(A)特定樹脂における主鎖構造としては、炭素原子間の単結合、炭素原子間の二重結合、炭素原子間の三重結合、エステル結合、エーテル結合、アミド結合を、単独で、又は、複数組み合わせて含む高分子鎖が挙げられ、中でも、合成の容易性、感度、現像性、保存安定性の点から、炭素原子間の単結合、エステル結合、エーテル結合、アミド結合を、単独で、又は、複数組み合わせて高分子鎖が好ましく、炭素原子間の単結合を含む高分子鎖がより好ましい。
【0023】
本発明に係る(A)特定樹脂における、主鎖構造にエチレン性不飽和二重結合がペンダントされた構造は、エチレン性不飽和二重結合がペンダントされた構造単位を共重合させることで得ることができる。(A)特定樹脂に導入しうるエチレン性不飽和二重結合がペンダントされた構造単位としては、下記一般式(1)〜(3)で表される構造単位が挙げられ、これらのうち少なくとも1種を、共重合成分として含むことが好ましい。
【0024】
【化1】

【0025】
前記一般式(1)〜(3)において、A、A、及びAは、それぞれ独立に、−CO−、−C(=O)O−、−CONH−、−OC(=O)−、又はフェニレン基を表す。G、G、及びGは、それぞれ独立に2価の有機基を表す。X及びZは、それぞれ独立に酸素原子、硫黄原子、又は−N(R52)−を表し、R52は置換基を有してもよいアルキル基を表す。Yは、酸素原子、硫黄原子、置換基を有してもよいフェニレン基、又は−N(R53)−を表し、R53は置換基を有してもよいアルキル基を表す。m、m、m、n、n及びnは、それぞれ独立に0又は1を表す。R31〜R50は、それぞれ独立に水素原子または1価の置換基を表す。
【0026】
前記一般式(1)において、R31〜R33はそれぞれ独立に、水素原子または1価の置換基を表し、水素原子、置換基を更に有してもよいアルキル基が好ましく、中でも、R31、R32は水素原子が特に好ましく、R33は水素原子、メチル基が特に好ましい。
【0027】
34〜R36はそれぞれ独立に、水素原子または1価の置換基を表し、R34としては、水素原子または置換基を更に有してもよいアルキル基が好ましく、中でも、水素原子、メチル基、エチル基が特に好ましい。また、R35、R36は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を更に有してもよいアルキル基、置換基を更に有してもよいアリール基、置換基を更に有してもよいアルコキシ基、置換基を更に有してもよいアリールオキシ基、置換基を更に有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を更に有してもよいアリールスルホニル基などが挙げられ、中でも、水素原子、アルコキシカルボニル基、置換基を更に有してもよいアルキル基、置換基を更に有してもよいアリール基が好ましい。
ここで、導入しうる置換基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、イソプロピオキシカルボニル基、メチル基、エチル基、フェニル基等が挙げられる。
【0028】
は、−CO−、−C(=O)O−、−CONH−、−OC(=O)−、又はフェニレン基を表し、中でも−C(=O)O−、−CONH−、フェニレン基が好ましい。Xは、酸素原子、硫黄原子、又は−N(R52)−を表す。ここで、R52としては、置換基を有してもよいアルキル基が挙げられる。
【0029】
は、2価の有機基を表すが、その構造中に、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、炭素数3〜20の炭化水素環構造、エステル結合、スルホン酸エステル結合、リン酸エステル結合、ウレタン結合、チオウレタン結合、アミド結合、尿素結合、チオ尿素結合からなる群より選択される何れかの部分構造を有してもよく、置換基を有していてもよい、炭素数2〜60のアルキレン基であることが、強度、現像性等の性能上好ましく、その構造中に、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、炭素数3〜20の炭化水素環構造、エステル結合、ウレタン結合、チオウレタン結合、アミド結合、尿素結合、チオ尿素結合からなる群より選択される何れかの部分構造を有していてもよい直鎖状又は分岐状の炭素数1〜40のアルキレン基がより好ましく、その構造中に、酸素原子、窒素原子、炭素数3〜12の炭化水素環構造、エステル結合、ウレタン結合、アミド結合、尿素結合からなる群より選択される部分構造を有していてもよい直鎖状又は分岐状の炭素数1〜40のアルキル基であることが更に好ましい。
ここで、Gにおける置換基としては、水酸基がこのましい。
【0030】
前記一般式(2)において、R37〜R39はそれぞれ独立に、水素原子または1価の置換基を表し、水素原子、置換基を更に有してもよいアルキル基が好ましく、中でも、R37、R38は水素原子が特に好ましく、R39は水素原子、メチル基が特に好ましい。
【0031】
40〜R42は、それぞれ独立に水素原子または1価の置換基を表し、具体的には、水素原子、ハロゲン原子、ジアルキルアミノ基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を更に有してもよいアルキル基、置換基を更に有してもよいアリール基、置換基を更に有してもよいアルコキシ基、置換基を更に有してもよいアリールオキシ基、置換基を更に有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を更に有してもよいアリールスルホニル基などが挙げられ、中でも、水素原子、アルコキシカルボニル基、置換基を更に有してもよいアルキル基、置換基を更に有してもよいアリール基が好ましい。
ここで、導入可能な置換基としては、一般式(1)において挙げたものが同様に例示される。
【0032】
は、それぞれ独立して、−CO−、−C(=O)O−、−CONH−、−OC(=O)−、又はフェニレン基を表し、中でも−C(=O)O−、−CONH−、フェニレン基が好ましい。
【0033】
は、2価の有機基を表し、その構造中に、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、炭素数3〜20の炭化水素環構造、エステル結合、スルホン酸エステル結合、リン酸エステル結合、ウレタン結合、チオウレタン結合、アミド結合、尿素結合、チオ尿素結合からなる群より選択される何れかの部分構造を有してもよく、置換基を有していてもよい、炭素数2〜60のアルキレン基であることが、強度、現像性等の性能上好ましく、その構造中に、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、炭素数3〜20の炭化水素環構造、エステル結合、ウレタン結合、チオウレタン結合、アミド結合、尿素結合、チオ尿素結合からなる群より選択される何れかの部分構造を有していてもよい直鎖状又は分岐状の炭素数1〜40のアルキレン基がより好ましく、その構造中に、酸素原子、窒素原子、炭素数3〜12の炭化水素環構造、エステル結合、ウレタン結合、アミド結合、尿素結合からなる群より選択される部分構造を有していてもよい直鎖状又は分岐状の炭素数1〜40のアルキル基であることが更に好ましい。
ここで、Gにおける置換基としては、水酸基が好ましい。
【0034】
は、酸素原子、硫黄原子、−N(R53)−または置換基を有してもよいフェニレン基を表す。ここで、R53としては、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられる。
【0035】
前記一般式(3)において、R43〜R45はそれぞれ独立に、水素原子または1価の置換基を表し、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基が好ましく、中でも、R43、R44は水素原子が特に好ましく、R45は水素原子、メチル基が特に好ましい。
46〜R50は、それぞれ独立に水素原子または1価の置換基を表し、例えば、水素原子、ハロゲン原子、ジアルキルアミノ基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を更に有してもよいアルキル基、置換基を更に有してもよいアリール基、置換基を更に有してもよいアルコキシ基、置換基を更に有してもよいアリールオキシ基、置換基を更に有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を更に有してもよいアリールスルホニル基などが挙げられ、中でも、水素原子、アルコキシカルボニル基、置換基を更に有してもよいアルキル基、置換基を更に有してもよいアリール基が好ましい。導入しうる置換基としては、一般式(1)においてあげたものが例示される。
【0036】
は、それぞれ独立して、−CO−、−C(=O)O−、−CONH−、−OC(=O)−、又はフェニレン基を表し、中でも−C(=O)O−、−CONH−、フェニレン基が好ましい。Zは、酸素原子、硫黄原子、又は−N(R52)−を表す。R52としては、一般式(1)におけるのと同様のものが挙げられる。
【0037】
は、2価の有機基を表すが、その構造中に、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、炭素数3〜20の炭化水素環構造、エステル結合、スルホン酸エステル結合、リン酸エステル結合、ウレタン結合、チオウレタン結合、アミド結合、尿素結合、チオ尿素結合からなる群より選択される何れかの部分構造を有してもよく、置換基を有していてもよい、炭素数2〜60のアルキレン基であることが、強度、現像性等の性能上好ましく、その構造中に、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、炭素数3〜20の炭化水素環構造、エステル結合、ウレタン結合、チオウレタン結合、アミド結合、尿素結合、チオ尿素結合からなる群より選択される何れかの部分構造を有していてもよい直鎖状又は分岐状の炭素数1〜40のアルキレン基がより好ましく、その構造中に、酸素原子、窒素原子、炭素数3〜12の炭化水素環構造、エステル結合、ウレタン結合、アミド結合、尿素結合からなる群より選択される部分構造を有していてもよい直鎖状又は分岐状の炭素数1〜40のアルキル基であることが更に好ましい。
ここで、Gにおける置換基としては、水酸基が好ましい。
【0038】
本発明の特定樹脂を合成する方法としては、例えば、以下に示す(i)〜(v)のような方法が挙げられる。
(i)塩基処理によって脱離反応が生起され不飽和基を与える特定官能基がペンダントされた樹脂を予め合成し、該樹脂に塩基処理を施すことで不飽和基を生成させる方法、
(ii)予め、カルボキシル基がペンダントされた樹脂を合成しておき、該樹脂のカルボキシル基にアリルアルコール、2−ヒドロキシアクリレート、2−ヒドロキシメタクリレート等の不飽和アルコールを反応させる方法、
(iii)予め、水酸基がペンダントされた樹脂を合成しておき、該樹脂の水酸基に遊離イソシアネート基含有不飽和化合物、不飽和酸無水物、または不飽和酸ハロゲン化物を反応させる方法、
(iv)予め、エポキシ基がペンダントされた樹脂を合成しておき、該樹脂のエポキシ基に不飽和カルボン酸を反応させ、更に「水酸基と反応する化合物」を作用させて水酸基の一部或いは全てを反応により別の官能基に変換することで、「(a)>(b)」を満たす樹脂を生成させる方法、
(v)予め、カルボキシル基がペンダントされた樹脂を合成しておき、該樹脂のカルボキシル基にグリシジル(メタ)クリレート、アリルグリシジルエーテル等のグリシジル基含有不飽和化合物反応させ、更に「水酸基と反応する化合物」を作用させて作用させて水酸基の一部或いは全てを反応により別の官能基に変換し、「(a)>(b)」を満たす樹脂を生成させる方法が代表的な例として挙げられる。中でも、および汎用性の観点から(i)、(iii)または(v)の方法で合成することがから好ましく、合成の容易性、安定性から(i)または(iii)の方法で合成することがより好ましく、(i)の方法で合成することが最も好ましい。
【0039】
ここで、(i)の方法で合成する場合に使用するモノマーであって、脱離反応によってエチレン性不飽和二重結合がペンダントされた構造単位となるモノマーとしては、(メタ)アクリロイル基、又は、スチリル基のエチレン性不飽和結合部に酸が付加した構造を有するモノマーが好ましく用いられ、中でも、下記一般式(4)〜一般式(7)の部分構造を有するモノマーが好ましい。
【0040】
【化2】

【0041】
前記一般式(4)、及び一般式(5)において、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、又は1価の置換基を表す。
〜Rで表される「1価の置換基」とは、一般式(4)、及び一般式(5)中のベンゼン環に置換可能な基であればよく、例えば、脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、チオール基、シアノ基、ニトロ基、(メタ)アクリレート基、カルボキシ基、アミノ基、脂肪族アミノ基、芳香族アミノ基、ヘテロ環アミノ基、脂肪族オキシ基、芳香族オキシ基、ヘテロ環オキシ基、脂肪族チオ基、芳香族チオ基、ヘテロ環チオ基、脂肪族スルホンアミド基、芳香族スルホンアミド基、ヘテロ環スルホンアミド基、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、脂肪族オキシカルボニル基、芳香族オキシカルボニル基、ヘテロ環オキシカルボニル基、脂肪族オキシカルボニルアミノ基、芳香族オキシカルボニルアミノ基、ヘテロ環オキシカルボニルアミノ基、脂肪族チオカルボニルアミノ基、芳香族チオカルボニルアミノ基、ヘテロ環チオカルボニルアミノ基、脂肪族アミノカルボニルアミノ基、芳香族アミノカルボニルアミノ基、ヘテロ環アミノカルボニルアミノ基、カルバモイル基、カルバモイルオキシ基、カルバモイルアミノ基、脂肪族スルホニル基、芳香族スルホニル基、ヘテロ環スルホニル基、脂肪族オキシアミノ基、芳香族オキシアミノ基、ヘテロ環オキシアミノ基、シリル基、脂肪族オキシシリル基、シリルオキシ基、脂肪族オキシカルボニルオキシ基、芳香族オキシカルボニルオキシ基、ヘテロ環オキシカルボニルオキシ基、スルファモイルオキシ基、脂肪族スルホニルオキシ基、芳香族スルホニルオキシ基、アニリノ基、脂肪族アゾ基、芳香族アゾ基、ヘテロ環アゾ基、脂肪族スルフィニル基、芳香族スルフィニル基、ヘテロ環スルフィニル基、脂肪族スルホニルオキシ基、芳香族スルホニルオキシ基、ヘテロ環スルホニルオキシ基、スルファモイル基、スルホ基、ホスホニル基、ホスホン酸基、又はホスフィノイルアミノ基が挙げられる。
【0042】
中でも、好ましい1価の置換基としては、脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、チオール基、シアノ基、ニトロ基、(メタ)アクリロイル基、カルボキシ基、アミノ基、脂肪族アミノ基、芳香族アミノ基、ヘテロ環アミノ基、脂肪族オキシ基、芳香族オキシ基、ヘテロ環オキシ基、脂肪族チオ基、芳香族チオ基、脂肪族スルホンアミド基、芳香族スルホンアミド基、アシル基、脂肪族オキシカルボニル基、脂肪族オキシカルボニルアミノ基、芳香族オキシカルボニルアミノ基、脂肪族チオカルボニルアミノ基、芳香族チオカルボニルアミノ基、脂肪族アミノカルボニルアミノ基、芳香族アミノカルボニルアミノ基、カルバモイル基、脂肪族スルホニル基、芳香族スルホニル基、シリル基、脂肪族オキシシリル基、シリルオキシ基、脂肪族カルボニルオキシ基、芳香族カルボニルオキシ基、ヘテロ環カルボニルオキシ基、脂肪族オキシカルボニルオキシ基、脂肪族スルホニルオキシ基、スルファモイル基、スルホ基、ホスホニル基、又はホスホン基が挙げられる。
【0043】
特に、感度及び溶解性の観点で、脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、チオール基、(メタ)アクリロイル基、カルボキシ基、アミノ基、脂肪族アミノ基、芳香族アミノ基、脂肪族オキシ基、芳香族オキシ基、ヘテロ環オキシ基、脂肪族チオ基、脂肪族スルホンアミド基、脂肪族オキシカルボニル基、脂肪族オキシカルボニルアミノ基、シリル基、脂肪族オキシシリル基、脂肪族カルボニルオキシ基、脂肪族オキシカルボニルオキシ基、脂肪族スルホニルオキシ基、スルホ基、又はホスホン基が好ましい。
【0044】
前記R〜Rで表される脂肪族基は、アルキル基、アルケニル基、又はアルキニル基を意味する。脂肪族基は、分岐を有していてもよく、また環を形成していてもよい。また、無置換でもよいし置換基を有していてもよい。脂肪族基が置換基を有する場合、前記「1価の置換基」の説明で挙げた各種の置換基を有することができ、2個以上の置換基を有する場合は、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。脂肪族基がアルキル基である場合、直鎖であっても、分岐を有していても、また、環を形成していてもよく、中でも炭素数炭素数1〜21であることが好ましく、炭素数1〜16であることがより好ましく、炭素数1〜12であることが特に好ましい。
【0045】
前記炭素数1〜21のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−アミル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−エイコサニル基、i−プロピル基、sec−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、1−メチルブチル基、1−エチルプロピル基、2−メチルブチル基、i−アミル基、ネオペンチル基、1,2−ジメチルプロピル基、1,1−ジメチルプロピル基、t−アミル基、1,3−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、
【0046】
2−エチルブチル基、2−エチル−2−メチルプロピル基、直鎖又は分岐のヘプチル基、1−メチルヘプチル基、2−エチルヘキシル基、1,5−ジメチルヘキシル基、t−オクチル基、分岐したノニル基、分岐したデシル基、分岐したウンデシル基、分岐したドデシル基、分岐したトリデシル基、分岐したテトラデシル基、分岐したペンタデシル基、分岐したヘキサデシル基、分岐したヘプタデシル基、分岐したオクタデシル基、直鎖又は分岐のノナデシル基、直鎖又は分岐のエイコサニル基、シクロプロピル基、シクロプロピルメチル基、シクロブチル基、シクロブチルメチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロヘキシルプロピル基、シクロドデシル基、ノルボルニル基、ボルニル基、シス−ミルタニル基、イソピノカンフェニル基、ノルアダマンチル基、アダマンチル基、アダマンチルメチル基、1−(1−アダマンチル)エチル基、3,5−ジメチルアダマンチル基、キヌクリジニル基、シクロペンチルエチル基、ビシクロオクチル基、等が好適に挙げられる。
【0047】
前記の中でも、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−アミル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、i−プロピル基、sec−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、1−メチルブチル基、1−エチルプロピル基、2−メチルブチル基、i−アミル基、ネオペンチル基、1,2−ジメチルプロピル基、1,1−ジメチルプロピル基、t−アミル基、1,3−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、2−エチルブチル基、2−エチル−2−メチルプロピル基、直鎖又は分岐のヘプチル基、1−メチルヘプチル基、2−エチルヘキシル基、1,5−ジメチルヘキシル基、t−オクチル基、分岐したノニル基、分岐したデシル基、分岐したウンデシル基、分岐したドデシル基、分岐したトリデシル基、分岐したテトラデシル基、シクロプロピル基、シクロプロピルメチル基、シクロブチル基、シクロブチルメチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロヘキシルプロピル基、シクロドデシル基、ノルボルニル基、ボルニル基、シス−ミルタニル基、イソピノカンフェニル基、ノルアダマンチル基、アダマンチル基、アダマンチルメチル基、1−(1−アダマンチル)エチル基、3,5−ジメチルアダマンチル基、キヌクリジニル基、シクロペンチルエチル基、又はビシクロオクチル基がより好ましく、
【0048】
更には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−アミル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、i−プロピル基、sec−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、1−メチルブチル基、1−エチルプロピル基、2−メチルブチル基、i−アミル基、ネオペンチル基、1,2−ジメチルプロピル基、1,1−ジメチルプロピル基、t−アミル基、1,3−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、2−エチルブチル基、2−エチル−2−メチルプロピル基、直鎖又は分岐のヘプチル基、1−メチルヘプチル基、2−エチルヘキシル基、1,5−ジメチルヘキシル基、t−オクチル基、分岐したノニル基、分岐したデシル基、シクロプロピル基、シクロプロピルメチル基、シクロブチル基、シクロブチルメチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロヘキシルプロピル基、シクロドデシル基、ノルボルニル基、ボルニル基、ノルアダマンチル基、アダマンチル基、アダマンチルメチル基、1−(1−アダマンチル)エチル基、3,5−ジメチルアダマンチル基、シクロペンチルエチル基、又はビシクロオクチル基が特に好ましい。
【0049】
上記に例示されるアルキル基において、特に、フッ素で置換されたアルキル基も好適であり、該フッ素置換のアルキル基として、トリフルオロメチル基、トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、ノナフルオロブチル基、トリデカフルオロヘキシル基、ペンタデカフルオロヘプチル基、ヘプタデカフルオロオクチル基、トリデカフルオロオクチル基、ノナデカフルオロノニル基、ヘプタデカフルオロデシル基、又はパーフルオロデシル基が好適であり、この中でも、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、ノナフルオロブチル基、トリデカフルオロヘキシル基、ペンタデカフルオロヘプチル基がより好ましく、更にトリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、ノナフルオロブチル基、又はトリデカフルオロヘキシル基が特に好ましい。
【0050】
脂肪族基がアルケニル基である場合、無置換でもよいし置換基を有していてもよく、炭素数2〜21のアルケニル基が好ましい。炭素数2〜16のアルケニル基がより好ましく、炭素数2〜10のアルケニル基が更に好ましい。炭素数2〜21のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、イソプロペニル基、2−プロペニル基、2−メチル−プロペニル基、1−メチル−1−プロペニル基、1−ブテニル基、3−ブテニル基、1−メチル−1−ブテニル基、1,1−ジメチル−3−ブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、1−エチル−1−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、1−ヘプテニル基、2,6−ジメチル−5−ヘプテニル基、9−デセニル基、1−シクロペンテニル基、2−シクロペンテニルメチル基、シクロヘキセニル基、1−メチル−2−シクロヘキセニル基、1,4−ジヒドロ−2−メチルフェニル基、オクテニル基、シトロネリル基、オレイル基、ゲラニル基、ファーネシル基、2−(1−シクロヘキセニル)エチル基等が好適に挙げられる。
【0051】
上記の中でも、ビニル基、イソプロペニル基、2−プロペニル基、2−メチル−プロペニル基、1−メチル−1−プロペニル基、1−ブテニル基、3−ブテニル基、1−メチル−1−ブテニル基、1,1−ジメチル−3−ブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、1−エチル−1−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、1−ヘプテニル基、1−シクロペンテニル基、2−シクロペンテニルメチル基、シクロヘキセニル基、1−メチル−2−シクロヘキセニル基、1,4−ジヒドロ−2−メチルフェニル基がより好ましく、更にはビニル基、イソプロペニル基、2−プロペニル基、2−メチル−プロペニル基、1−メチル−1−プロペニル基、1−ブテニル基、3−ブテニル基、1−メチル−1−ブテニル基、1,1−ジメチル−3−ブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、1−エチル−1−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、1−シクロペンテニル基、2−シクロペンテニルメチル基、シクロヘキセニル基、1−メチル−2−シクロヘキセニル基、1,4−ジヒドロ−2−メチルフェニル基が特に好ましい。
【0052】
前記R〜Rで表される芳香族基は、アリール基を意味する。アリール基は、無置換でもよいし置換基を有していてもよく、炭素数6〜21であることが好ましい。中でも、炭素数6〜15のアリール基が好ましく、炭素数6〜10のアリール基がより好ましい。
炭素数6〜21のアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニレニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、アントラセニル基、アンスラキノニル基、ピレニル基、等が好適に挙げられ、この中でも、フェニル基、ナフチル基、ビフェニレニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、又はアントラセニル基がより好ましく、更にはフェニル基、ナフチル基、ビフェニレニル基、又はフルオレニル基が特に好ましい。
アリール基は、フェニル基又はナフチル基であることが好ましく、フェニル基が特に好ましい。
【0053】
前記R〜Rで表されるヘテロ環とは、その環内にヘテロ原子(例えば、窒素原子、イオウ原子、酸素原子)を持つものであり、飽和環であっても、不飽和環であってもよく、単環であっても縮合環であってもよく、無置換であっても置換基を有していてもよい。ヘテロ環の炭素数は1〜32のであることが好ましく、2〜16がより好ましい。例えば、イソシアヌル環、エポキシ環、オキセタン環、フラン環、テトラヒドロフラン環、ピラン環、テトラヒドロピラン環、ジオキサン環、トリオキサン環、テトラヒドロチオフェン環、チオフェン環、ジチアン環、トリチアン環、ピロリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環、トリアジン環、トリアザシクロノナン環、モルホリン環、チオモルホリン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、チアジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ベンゾフラン環、ピリジン環、キノリン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピラジン環、フェナントロリン環、キナゾリン環、アクリジン環、ウラシル環、ラクトン環等を挙げることができる。
【0054】
中でも、イソシアヌル環、エポキシ環、フラン環、テトラヒドロフラン環、ピラン環、テトラヒドロピラン環、テトラヒドロチオフェン環、チオフェン環、ピロリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環、モルホリン環、チオモルホリン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、チアジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ベンゾフラン環、ピリジン環、キノリン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピラジン環、ウラシル環、ラクトン環好ましく、特に、イソシアヌル環、エポキシ環、テトラヒドロフラン環、テトラヒドロピラン環、テトラヒドロチオフェン環、ピロリジン環、ピペリジン環、モルホリン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピラジン環、ラクトン環が好ましい。
【0055】
また、一般式(4)、及び一般式(6)におけるZ、並びに、一般式(5)、及び一般式(7)におけるZは、アニオン性脱離基を表す。
前記一般式(5)、及び一般式(7)において、R61〜R63は、それぞれ独立に、水素原子又は1価の有機基を表す。好ましい例は、下記一般式(8)、及び一般式(9)におけるR6l〜R63と同様である。
【0056】
また、本発明において、脱離反応によってエチレン性不飽和二重結合を生成する構造を有するモノマーの中でも最も好ましいモノマーの例としては、下記一般式(8)、一般式(9)、又は一般式(10)で表されるラジカル重合性化合物が挙げられる。
【0057】
【化3】

【0058】
上記一般式(8)、及び一般式(9)において、R61〜R63は、それぞれ独立に、水素原子、又は1価の置換基を表す。R61としては、水素原子、又は置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられ、中でも、水素原子、メチル基、メチルアルコキシ基、メチルエステル基が好ましい。
【0059】
また、R62、R63は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリールアミノ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基などが挙げられ、中でも、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有しもよいアリール基が好ましい。
ここで、導入しうる置換基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、イソプロピオキシカルボニル基、メチル基、エチル基、フェニル基等が挙げられる。
【0060】
前記一般式(8)において、R64は、水素原子、炭素数1〜6の炭化水素基、−COOH、−CN、−CF、−CHOH、−CHCOOH、−CHCOOR’、又は−COOR”を表す。前記R’、又はR”で表される炭素数1〜6の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、プロピル基、ヘキシル基が挙げられ、中でもメチル基、エチル基が好ましい。R’、又はR”としては、中でも、水素原子、メチル基、−COOH、−CN、−CF、−CHOH、又は−CHCOOHが好ましく、水素原子、又はメチル基がより好ましい。
また、Qは、酸素原子、−NH−、又は−NR01−を表す(ここで、R01は置換基を有していてもよいアルキル基を表す)。
【0061】
は、n+1価の連結基を表す。特に制限しないが、好ましくは、その構造中に、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、炭素数3〜20の炭化水素環構造、ヘテロ環、エステル結合、スルホン酸エステル結合、リン酸エステル結合、ウレタン結合、チオウレタン結合、アミド結合、尿素結合、及びチオ尿素結合からなる群より選択される原子又は部分構造を有してもよい炭素数2〜60のアルキル基、又はアリール基であることが好ましく、その構造中に、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、炭素数3〜20の炭化水素環構造、エステル結合、ウレタン結合、チオウレタン結合、アミド結合、尿素結合、及びチオ尿素結合からなる群より選択される原子又は部分構造を有していてもよい直鎖状又は分岐状の炭素数1〜40のアルキル基がより好ましく、その構造中に、酸素原子、窒素原子、炭素数3〜12の炭化水素環構造、エステル結合、ウレタン結合、及びアミド結合からなる群より選択される原子又は部分構造を有していてもよい直鎖状又は分岐状の炭素数1〜40のアルキル基であることが更に好ましい。
【0062】
で表されるn+1価の連結基は、導入可能な場合には更に置換基を有していてもよい。導入しうる置換基としては、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数2〜20の鎖状、分岐状又は環状のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜20のアシルオキシ基、炭素数2〜20のアルコキシカルボニルオキシ基、炭素数7〜20のアリールオキシカルボニルオキシ基、炭素数1〜20のカルバモイルオキシ基、炭素数1〜20のカルボンアミド基、炭素数1〜20のスルホンアミド基、炭素数1〜20のカルバモイル基、炭素数0〜20のスルファモイル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、炭素数7〜20のアリールオキシカルボニル基、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜20のN−アシルスルファモイル基、炭素数1〜20のN−スルファモイルカルバモイル基、炭素数1〜20のアルキルスルホニル基、炭素数6〜20のアリールスルホニル基、炭素数2〜20のアルコキシカルボニルアミノ基、炭素数7〜20のアリールオキシカルボニルアミノ基、炭素数0〜20のアミノ基、炭素数1〜20のイミノ基、炭素数3〜20のアンモニオ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、炭素数1〜20のアルキルスルフィニル基、炭素数6〜20のアリールスルフィニル基、炭素数1〜20のアルキルチオ基、炭素数6〜20のアリールチオ基、炭素数1〜20のウレイド基、炭素数2〜20のヘテロ環基、炭素数1〜20のアシル基、炭素数0〜2のスルファモイルアミノ基、炭素数2〜20のシリル基、イソシアネート基、イソシアニド基、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、シアノ基、ニトロ基、オニウム基、エチレン性不飽和二重結合を有する基等が挙げられる。中でも、原料入手の容易性からは炭素数1〜10の鎖状、分岐状又は環状のアルキル基が好ましく、また、感度及び現像性の観点からはヒドロキシ基、メルカプト基、エチレン性不飽和結合を有する基が好ましい。また、感度及び現像性のバランスの観点からヒドロキシ基が最も好ましい。nは1〜10の整数を表す。
【0063】
更に、Xは、−G−X−を表し、ここで、Gは、Aと連結する2価の有機基を表し、Xは、酸素原子、硫黄原子、又は−NR03−(ここで、R03は、水素原子、又は置換基を有してもよいアルキル基を表し、ここで導入してもよい置換基は、式(13)の前記「1価の置換基」の説明の項で示した例と同様で、好ましい例も同様である)を表す。
加えて、Zは、アニオン性脱離基を表す。
【0064】
前記一般式(9)において、R65、及びR66は、それぞれ独立に、水素原子、又は1価の有機基を表す。
ここで、R65、及びR66で表される1価の有機基としては、炭素数1〜6の炭化水素基等が挙げられ、中でも、メチル基、エチル基、フェニル基が好ましい。
上記一般式(9)において、R67は、前記一般式(8)におけるR64と同義であり、好ましい例も同様である。
【0065】
また、Aは、−G−X−を表し、ここで、Gは、Gと連結する2価の有機基を表し、Xは、酸素原子、硫黄原子、又は−NR03−(ここで、R03は、水素原子、又は置換基を有してもよいアルキル基を表し、ここで導入してもよい置換基は、式(13)の前記「1価の置換基」の説明の項で示した例と同様で、好ましい例も同様である)を表す。
更に、Aは、酸素原子、硫黄原子、又は−NR04−(ここで、R04は、水素原子、又は水素原子、又は置換基を有してもよいアルキル基を表し、ここで導入してもよい置換基は、前記「1価の置換基」の説明の項で示した例と同様で、好ましい例も同様である)を表す。
【0066】
加えて、Gはn+1価の連結基を表す。特に制限しないが、好ましくは、その構造中に、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、炭素数3〜20の炭化水素環構造、ヘテロ環、エステル結合、スルホン酸エステル結合、リン酸エステル結合、ウレタン結合、チオウレタン結合、アミド結合、尿素結合、及びチオ尿素結合からなる群より選択される原子又は部分構造を有してもよい炭素数2〜60のアルキル基又はアリール基であることが好ましく、その構造中に、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、炭素数3〜20の炭化水素環構造、エステル結合、ウレタン結合、チオウレタン結合、アミド結合、尿素結合、及びチオ尿素結合からなる群より選択される原子又は部分構造を有していてもよい直鎖状又は分岐状の炭素数1〜40のアルキル基がより好ましく、その構造中に、酸素原子、窒素原子、炭素数3〜12の炭化水素環構造、エステル結合、ウレタン結合、及びアミド結合からなる群より選択される原子又は部分構造を有していてもよい直鎖状又は分岐状の炭素数1〜40のアルキル基であることが更に好ましい。
【0067】
で表されるn+1価の連結基は、導入可能な場合には更に置換基を有していてもよい。導入しうる置換基としては、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数2〜20の鎖状、分岐状又は環状のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜20のアシルオキシ基、炭素数2〜20のアルコキシカルボニルオキシ基、炭素数7〜20のアリールオキシカルボニルオキシ基、炭素数1〜20のカルバモイルオキシ基、炭素数1〜20のカルボンアミド基、炭素数1〜20のスルホンアミド基、炭素数1〜20のカルバモイル基、炭素数0〜20のスルファモイル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、炭素数7〜20のアリールオキシカルボニル基、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜20のN−アシルスルファモイル基、炭素数1〜20のN−スルファモイルカルバモイル基、炭素数1〜20のアルキルスルホニル基、炭素数6〜20のアリールスルホニル基、炭素数2〜20のアルコキシカルボニルアミノ基、炭素数7〜20のアリールオキシカルボニルアミノ基、炭素数0〜20のアミノ基、炭素数1〜20のイミノ基、炭素数3〜20のアンモニオ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、炭素数1〜20のアルキルスルフィニル基、炭素数6〜20のアリールスルフィニル基、炭素数1〜20のアルキルチオ基、炭素数6〜20のアリールチオ基、炭素数1〜20のウレイド基、炭素数2〜20のヘテロ環基、炭素数1〜20のアシル基、炭素数0〜2のスルファモイルアミノ基、炭素数2〜20のシリル基、イソシアネート基、イソシアニド基、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、シアノ基、ニトロ基、オニウム基、エチレン性不飽和二重結合を有する基等が挙げられる。中でも、原料入手の容易性からは炭素数1〜10の鎖状、分岐状又は環状のアルキル基が好ましく、また、感度及び現像性の観点からはヒドロキシ基、メルカプト基、エチレン性不飽和結合を有する基が好ましい。また、感度及び現像性のバランスの観点からヒドロキシ基が最も好ましい。nは1〜10の整数を表す。
は、アニオン性脱離基を表す。
【0068】
上記一般式(10)において、R68〜R72は、それぞれ独立に、水素原子、又は1価の置換基を表すが、少なくとも1つは、下記一般式(11)または一般式(12)で表される基である。
ここで、R68〜R72で表される1価の置換基としては、式(8)の前記「1価の置換基」の説明の項で述べた置換基が挙げられ、好ましい例も同様である
また、R73〜R75は、それぞれ独立に、水素原子、又は1価の有機基を表す。ここで、R73〜R75で表される1価の有機基としては、炭素数1〜6の炭化水素基等が挙げられ、中でも、メチル基、エチル基、フェニル基が好ましい。
【0069】
【化4】

【0070】
前記一般式(11)において、Gはm+1価の連結基を表し、例としては、前記一般式(9)におけるGで述べた連結基の例が挙げられ、好ましい例もGと同様である。mは、1〜10の整数を表す。
また、一般式(11)におけるR61〜R63、Z、及びAは、前記一般式(9)におけるR61〜R63、Z、及びAと同義である。
【0071】
前記一般式(12)において、Gはm+1価の連結基を表し、例としては、前記一般式(8)におけるAで述べた連結基の例が挙げられ、好ましい例もAと同様である。mは、1〜10の整数を表す。
また、一般式(12)におけるR61〜R63、Z、及びAは、前記一般式(8)におけるR61〜R63、Z、及びAと同義である。
【0072】
以下、前記一般式(8)で表されるラジカル重合性化合物の具体例(M−31)〜(M−42)を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0073】
【化5】

【0074】
一般式(9)で表されるラジカル重合性化合物、及び一般式(10)で表されるラジカル重合性化合物の具体例〔i−1〜i−60〕を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0075】
【化6】

【0076】
【化7】

【0077】
【化8】

【0078】
【化9】

【0079】
【化10】

【0080】
【化11】

【0081】
本発明におけるエチレン性不飽和二重結合がペンダントされた構造単位としては、(M−31)、(M−37)、(M−38)、i−1、i−2、i−6、i−10、i−15、i−31、i−33、i−48、i−49が好ましい。
(A)特定樹脂におけるエチレン性不飽和二重結合がペンダントされた構造単位の比率は、1.0質量%〜80質量%が好ましく、5.0〜70質量%が更に好ましく、10〜60質量%が最も好ましい。
【0082】
(A)特定樹脂は水酸基を含んでいてもよいが、水酸基の導入量は単位重量当たりの水酸基当量を(b)mol/gとし、前記エチレン性不飽和二重結合当量を(a)mol/gとした場合に「(a)>(b)」が成り立つ量に調整しなければならない。
不飽和結合当量(a)は(b)より大きければ特に限定されないが、中でも(a)>2(b)であることが好ましく、(a)>5(b)であることがより好ましく、(a)>10(b)であることが更に好ましく、(a)>100(b)であることが最も好ましい。
【0083】
上記合成法(i)予め、カルボキシル基がペンダントされた樹脂を合成しておき、該樹脂のカルボキシル基にグリシジル(メタ)クリレート、アリルグリシジルエーテル等のグリシジル基含有不飽和化合物を反応させ、更に「水酸基と反応する化合物」を作用させて過剰の水酸基を反応により、水素結合性の相互用を形成し難い他の官能基に変換させ、「(a)>(b)」を満たす樹脂を生成させる方法について、更に詳細に説明する。
この合成方法に用いられる「水酸基と反応する化合物」としては、好ましくは酸無水物や遊離イソシアネート基含有化合物、遊離イソチオシアネート化合物が好ましく用いられる。
酸無水物の例としては、例えば、プロピオン酸無水物、ブチル酸無水物、イソブチル酸無水物、バレリック酸無水物、2−メチルブチル酸無水物、トリメチル酢酸無水物、ヘキサン酸無水物、ヘプタン酸無水物、デカン酸無水物、ラウリル酸無水物、ミリスチリル酸無水物、パルミチン酸無水物、ステアリル酸無水物、ドコサン酸無水物、クロトン酸無水物、アクリル酸無水物、メタクリル酸無水物、オレイン酸無水物、リノレイン酸無水物、クロロ酢酸無水物、ヨード酢酸無水物、ジクロロ酢酸無水物、トリフルオロ酢酸無水物、クロロジフルオロ酢酸無水物、トリクロロ酢酸無水物、ペンタフルオロプロピオン酸無水物、ヘプタフルオロブチル酸無水物、コハク酸無水物、メチルコハク酸無水物、2,2−ジメチルコハク酸無水物、イソブチルコハク酸無水物、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物、ヘキサヒドロ−4−メチルフタル酸無水物、イタコン酸無水物、1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物、3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸無水物、マレイン酸無水物、2−メチルマレイン酸無水物、2,3−ジメチルマレイン酸無水物、1−シクロペンテン−1,2−ジカルボン酸無水物、グルタル酸無水物、1−ナフチル酢酸無水物、安息香酸無水物、フェニルコハク酸無水物、フェニルマレイン酸無水物、2,3−ジフェニルマレイン酸無水物、フタル酸無水物、4−メチルフタル酸無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸ジ無水物、4,4’−(ヘキサフルオロプロピリデン)ジフタル酸無水物、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸無水物、1,8−ナフタレンジカルボン酸無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸無水物が挙げられ、なかでも、感度および製造安定性の観点からクロトン酸無水物、アクリル酸無水物、メタクリル酸無水物、オレイン酸無水物、リノレイン酸無水物、イタコン酸無水物、コハク酸無水物、マレイン酸無水物、フタル酸無水物が好ましい。
【0084】
遊離イソシアネート基含有化合物としては、下記構造を有する化合物を挙げることができる。
【0085】
【化12】

【0086】
【化13】

【0087】
【化14】

【0088】
【化15】

【0089】
【化16】

【0090】
【化17】

【0091】
【化18】


ここで、Rは水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。
【0092】
なかでも、遊離イソシアネート基含有化合物としては、好ましくはイソシアネート基を1つ、または2つ有する化合物であり、より好ましくは1つ有する化合物である。また、反応性、相溶性、反応性の観点から、炭素数2以上12以下のアルキルイソシアネート、酸素原子数が1以上20以下のポリアルキレンオキシイソシアネート、分子中にエチレン性不飽和結合を有するイソシアネートが好ましく、炭素数2以上6以下のアルキルイソシアネート、酸素原子数が1以上10以下のポリエチレンオキシイソシアネート、分子中にエチレン性不飽和結合を有するイソシアネートがより好ましい。
遊離イソチオシアネート基含有化合物としては以下に示すものが挙げられる。
【0093】
【化19】

【0094】
【化20】

【0095】
【化21】

【0096】
【化22】

【0097】
【化23】


ここで、Rは水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。
【0098】
なかでも、遊離イソチオシアネート基含有化合物としては、好ましくはイソチオシアネート基を1つ、または2つ有する化合物であり、より好ましくは1つ有する化合物である。また、反応性、相溶性、反応性の観点から、炭素数2以上12以下のアルキルイソチオシアネート、酸素原子数が1以上20以下のポリアルキレンオキシイソチオシアネート、分子中にエチレン性不飽和結合を有するイソチオシアネートが好ましく、炭素数2以上6以下のアルキルイソチオシアネート、酸素原子数が1以上10以下のポリエチレンオキシイソチオシアネート、分子中にエチレン性不飽和結合を有するイソチオシアネートがより好ましい。
これら「水酸基と反応する化合物」は1種類用いてもよいし、複数種用いてもよい。また、保存安定性、および、硬化性組成物として使用した場合の現像性の観点から、酸無水物または遊離イソシアネート基含有化合物との反応を用いることが好ましく、酸無水物との反応を用いることがより好ましい。
【0099】
また、本発明の(A)特定樹脂は、樹脂の単位重量あたりの『「水酸基と反応する化合物」と反応することで消費された水酸基』の当量を(c)mol/gとした場合に「(a)>(b+c)」が成り立つことが好ましい。上記「(a)>(b+c)」を満たす樹脂の合成のためには、上記合成法(i)から(iv)の1種または複数の方法と合成法(v)とを併用する方法によっても合成することができるが、合成の容易性、製造安定性の観点から上記合成法(i)から(iv)を単独でまたは併用して用いる方法が好ましい。
【0100】
(A)特定樹脂は、更に他のモノマーを共重合したものであってもよい。(A)特定樹脂に使用可能な他のモノマーとしては、以下のものが挙げられるが、なかでも酸基を有するモノマーが未露光部の現像性向上の観点から好ましい。
併用可能なモノマーとしては、カルボキシ基を有するモノマー、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、4−カルボキシルスチレン等が挙げられ、側鎖にカルボン酸基を有する酸性セルロース誘導体も用いることができる。
また、酸基を有するその他のモノマーとしては、p−ビニル安息香酸、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルの無水コハク酸付加体、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルの無水フタル酸付加体等が挙げられる
酸基を有するモノマーとしては、より具体的には、以下の(1)〜(11)が好適に用いられる。
(1)アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸−2−クロロエチル、グリシジルアクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート、ビニルアクリレート、2−フェニルビニルアクリレート、1−プロペニルアクリレート、アリルアクリレート、2−アリロキシエチルアクリレート、プロパルギルアクリレート等のアルキルアクリレート。
(2)メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸−2−クロロエチル、グリシジルメタクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート、ビニルメタクリレート、2−フェニルビニルメタクリレート、1−プロペニルメタクリレート、アリルメタクリレート、2−アリロキシエチルメタクリレート、プロパルギルメタクリレート等のアルキルメタクリレート。
(3)アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−ヘキシルメタクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−ニトロフェニルアクリルアミド、N−エチル−N−フェニルアクリルアミド、ビニルアクリルアミド、ビニルメタクリルアミド、N,N−ジアリルアクリルアミド、N,N−ジアリルメタクリルアミド、アリルアクリルアミド、アリルメタクリルアミド等のアクリルアミド若しくはメタクリルアミド。
【0101】
(4)エチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル等のビニルエーテル類。
(5)ビニルアセテート、ビニルクロロアセテート、ビニルブチレート、安息香酸ビニル等のビニルエステル類。
(6)スチレン、α−メチルスチレン、メチルスチレン、クロロメチルスチレン、p−アセトキシスチレン等のスチレン類。
(7)メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、プロピルビニルケトン、フェニルビニルケトン等のビニルケトン類。
(8)エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン類。
【0102】
(9)N−ビニルピロリドン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等。
(10)マレイミド、N−アクリロイルアクリルアミド、N−アセチルメタクリルアミド、N−プロピオニルメタクリルアミド、N−(p−クロロベンゾイル)メタクリルアミド等の不飽和イミド。
(11)α位にヘテロ原子が結合したメタクリル酸系モノマー。例えば、特開2002−309057号公報、特開2002−311569号公報等に記載されている化合物。
【0103】
また、(A)特定樹脂の合成において併用可能なその他のモノマーとして、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート等の脂肪族水酸基を有するアクリル酸エステル類、及びメタクリル酸エステル類、及びこれらのエチレンオキシ変性体、ヒドロキシスチレンなどの水酸基を有するモノマーを挙げることができる。
ただし、本発明における(A)特定樹脂は水酸基を含まないか、或いは含んでいても極少量であることが好ましいことから、これらの水酸基を有するモノマーは(A)特定樹脂を合成する際に用いないか、用いるとしても極少量であることが好ましい。また、これらの水酸基を有するモノマーを併用して(A)特定樹脂を合成した場合、水酸基の含有量を本発明の好ましい範囲に調整するために、必要に応じて「水酸基と反応する化合物」を作用させて水酸基の一部或いは全てを反応により別の官能基に変換することも可能である。
【0104】
(A)特定樹脂の重量平均分子量としては、感度、現像性、保存安定性の観点から、3000〜300000が好ましく、4000〜100000がより好ましく、5000〜50000が更に好ましく、6000〜25000が最も好ましい。
【0105】
(A)特定樹脂は、親水性基を有するが、先に述べたように、酸基を有するモノマーなどを共重合させることにより親水性基を導入してなる樹脂であることが好ましい。
(A)特定樹脂の酸価としては、分散安定性、現像性、保存安定性の観点から、10mgKOH/g〜700mgKOH/gが好ましく、30mgKOH/g〜500mgKOH/gがより好ましく、50mgKOH/g〜300mgKOH/gが更に好ましく、60mgKOH/g〜150mgKOH/gが最も好ましい。
【0106】
本発明に好適に用いうる(A)特定樹脂の具体例〔例示化合物(1)から例示化合物(12)〕を、その構造単位、構造単位の組成比、その重量平均分子量(Mw)により、(a)〔単位重量当たりのエチレン性不飽和二重結合当量(mol)〕、(b)〔単位重量当たりの水酸基当量(mol)〕とともに、以下に挙げるが、本発明はこれらに制限されない。なお、特に断らない場合、組成比は重量比である。
【0107】
【化24】

【0108】
【化25】

【0109】
【化26】

【0110】
【化27】

【0111】
本発明の顔料分散組成物における(A)特定樹脂の含有量は、後述する(B)顔料の質量に対して、0.001〜10倍が好ましく、0.01〜8倍がより好ましく、0.1倍〜10倍が更に好ましく、0.3倍〜2倍が最も好ましい。含有量が前記範囲内であると、(B)顔料をより効率良く分散でき、色抜け防止、露光感度、支持体密着性及びパターン形成性(所望のテーパー型または矩形の断面形成性)を効果的に向上させることができる。
【0112】
<(B)顔料>
本発明の顔料分散組成物には、少なくとも一種の(B)顔料を含有する。前記(A)特定樹脂と、この(B)顔料とを共存させることで本発明の顔料分散組成物においては、顔料の凝集が効果的に抑制され、顔料分散性に優れたものとなる。このため、後述する着色硬化性組成物に好ましく用いられる。
本発明に用いうる顔料としては、従来公知の種々の無機顔料又は有機顔料を用いることができる。
硬化性組成物において、着色剤として顔料を用いると、耐熱性、耐光性等の耐久性の点で好ましい。このような硬化性組成物をカラーフィルタの着色パターンの形成に用いる場合、顔料は光透過率を考慮してその種類や粒径を選択することが好ましい。
【0113】
無機顔料としては、金属酸化物、金属錯塩等で示される金属化合物を挙げることができ、具体的には、鉄、コバルト、アルミニウム、カドミウム、鉛、銅、チタン、マグネシウム、クロム、亜鉛、アンチモン等の金属酸化物、及び前記金属の複合酸化物を挙げることができる。
【0114】
有機顔料としては、例えば、
C.I.ピグメントイエロー11,24,31,53,83,93,99,108,109,110,138,139,147,150,151,154,155,167,180,185,199,;
C.I.ピグメントオレンジ36,38,43,71;
C.I.ピグメントレッド81,105,122,149,150,155,171,175,176,177,209,220,224,242,254,255,264,270;
C.I.ピグメントバイオレット19,23,32,39;
C.I.ピグメントブルー1,2,15,15:1,15:3,15:6,16,22,60,66;
C.I.ピグメントグリーン7,36,37;
C.I.ピグメントブラウン25,28;
C.I.ピグメントブラック1,7;
カーボンブラック等を挙げることができる。
【0115】
本発明の顔料分散組成物を硬化性組成物に適用する場合には、特に顔料の構造式中に塩基性のN原子をもつものを好ましく用いることができる。これら塩基性のN原子をもつ顔料は、本発明の硬化性組成物中で良好な分散性を示す。その原因については十分解明されていないが、重合成分と顔料との親和性の良さが影響しているものと推定される。
【0116】
本発明において好ましく用いることができる顔料として、以下のものを挙げることができる。但し本発明は、これらに限定されるものではない。
【0117】
C.I.ピグメントイエロー11,24,108,109,110,138,139,150,151,154,167,180,185,
C.I.ピグメントオレンジ36,71,
C.I.ピグメントレッド122,150,171,175,177,209,224,242,254,255,264,
C.I.ピグメントバイオレット19,23,32,
C.I.ピグメントブルー15:1,15:3,15:6,16,22,60,66,
C.I.ピグメントブラック1
【0118】
これら有機顔料は、単独で、若しくは色純度を上げるため種々組合せて用いることができる。例えば、本発明の硬化性組成物をカラーフィルタの着色パターン形成に使用する場合には、着色パターンの色純度を上げるために組合せで用いることが好ましい。
顔料の組合せの具体例を以下に示す。例えば、赤の顔料として、アントラキノン系顔料、ペリレン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料単独又はそれらの少なくとも一種と、ジスアゾ系黄色顔料、イソインドリン系黄色顔料、キノフタロン系黄色顔料又はペリレン系赤色顔料と、の混合などを用いることができる。例えば、アントラキノン系顔料としては、C.I.ピグメントレッド177が挙げられ、ペリレン系顔料としては、C.I.ピグメントレッド155、C.I.ピグメントレッド224が挙げられ、ジケトピロロピロール系顔料としては、C.I.ピグメントレッド254が挙げられ、色再現性の点でC.I.ピグメントイエロー139との混合が好ましい。また、赤色顔料と黄色顔料との質量比は、100/100〜100/5が好ましい。100:5以下とすることで400nmから500nmの光透過率を抑えることが容易になり色純度をより向上させることができる。また100/100以下とすることで主波長が短波長よりになることを抑制し、NTSC目標色相からのずれをより小さくすることができる。特に、上記質量比としては、100/50〜100/10の範囲が最適である。なお、赤色顔料同士の組み合わせの場合は、色度に併せて調整することができる。
【0119】
また、緑の顔料としては、ハロゲン化フタロシアニン系顔料を単独で、又は、これとジスアゾ系黄色顔料、キノフタロン系黄色顔料、アゾメチン系黄色顔料若しくはイソインドリン系黄色顔料との混合を用いることができる。例えば、このような例としては、C.I.ピグメントグリーン7、36、37とC.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー180又はC.I.ピグメントイエロー185との混合が好ましい。緑顔料と黄色顔料との質量比は、100/150〜100/5が好ましい。上記質量比としては100/120〜100/30の範囲が特に好ましい。
【0120】
青の顔料としては、フタロシアニン系顔料を単独で、若しくはこれとジオキサジン系紫色顔料との混合を用いることができる。例えばC.I.ピグメントブルー15:6とC.I.ピグメントバイオレット23、37との混合が好ましい。青色顔料と紫色顔料との質量比は、100/30〜100/0が好ましく、より好ましくは100/10以上である。
【0121】
また、本発明の顔料分散組成物、硬化性組成物をカラーフィルタのブラックマトリックス形成に使用する場合に用いられる顔料としては、カーボン、チタンカーボン、酸化鉄、酸化チタン単独又は混合が用いられ、カーボンとチタンカーボンとの組合せが好ましい。また、カーボンとチタンカーボンとの質量比は、100/60〜100/0の範囲が好ましい。
【0122】
顔料の一次粒子径は、カラーフィルタ形成用として用いる場合には、色ムラやコントラストの観点から、100nm以下であることが好ましく、また、分散安定性の観点から5nm以上であることが好ましい。顔料の一次粒子径としてより好ましくは、5〜75nmであり、更に好ましくは5〜55nmであり、特に好ましくは5〜35nmである。
顔料の一次粒子径は、電子顕微鏡等の公知の方法で測定することができる。
【0123】
なかでも、顔料としては、アントラキノン系、アゾメチン系、ベンジリデン系、シアニン系、ジケトピロロピロール系、フタロシアニン系から選ばれる顔料であることが好ましい。
【0124】
顔料分散組成物中における(B)顔料の含有量としては、高い着色力を確保する観点、例えばカラーフィルタを作製する場合には高い色濃度、コントラストを確保する観点から、組成物の全固形分に対し、30質量%以上であることが好ましく、より好ましくは40〜95質量%の範囲である。
【0125】
なお、本発明の顔料分散組成物においては、本発明の効果を損なわない範囲で染料を併用してもよい。染料としては、特に制限はなく、従来カラーフィルタ用として公知の染料が使用できる。例えば、特開昭64−90403号公報、特開昭64−91102号公報、特開平1−94301号公報、特開平6−11614号公報、特登2592207号、米国特許第4,808,501号明細書、米国特許第5,667,920号明細書、米国特許第5,059,500号明細書、特開平5−333207号公報、特開平6−35183号公報、特開平6−51115号公報、特開平6−194828号公報、特開平8−211599号公報、特開平4−249549号公報、特開平10−123316号公報、特開平11−302283号公報、特開平7−286107号公報、特開2001−4823号公報、特開平8−15522号公報、特開平8−29771号公報、特開平8−146215号公報、特開平11−343437号公報、特開平8−62416号公報、特開2002−14220号公報、特開2002−14221号公報、特開2002−14222号公報、特開2002−14223号公報、特開平8−302224号公報、特開平8−73758号公報、特開平8−179120号公報、特開平8−151531号公報等に開示されている色素が使用できる。
染料の化学構造としては、ピラゾールアゾ系、アニリノアゾ系、トリフェニルメタン系、アントラキノン系、アンスラピリドン系、ベンジリデン系、オキソノール系、ピラゾロトリアゾールアゾ系、ピリドンアゾ系、シアニン系、フェノチアジン系、ピロロピラゾールアゾメチン系、キサテン系、フタロシアニン系、ペンゾピラン系、インジゴ系等の染料が使用できる。
【0126】
<(C)溶剤>
本発明の顔料分散組成物は、少なくとも一種の(C)溶剤を含有する。前記(A)特定樹脂及び(B)顔料と共に(C)溶剤を用いることにより、顔料が良好に分散された顔料分散組成物を調製することができる。
【0127】
使用される溶剤は、該組成物の各成分の溶解性や、硬化性組成物の塗布性を満足すれば基本的に特には限定されないが、安全性を考慮して選ばれることが好ましい。
溶剤の具体例としては、エステル類、例えば、酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸アミル、酢酸イソアミル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチル、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、3−オキシプロピオン酸メチル、3−オキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸メチル、2−オキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸プロピル、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸メチル、2−オキソブタン酸エチル等;
【0128】
エーテル類、例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート(エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート)、エチルセロソルブアセテート(エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート等;
ケトン類、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等;芳香族炭化水素類、例えば、トルエン、キシレン等;が好ましい。
【0129】
これらの中でも、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エチルセロソルブアセテート、乳酸エチル、ジエチレングリコールジメテルエーテル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)等がより好ましい。
【0130】
本発明の顔料分散組成物中における溶剤の含有量としては、10〜98質量%が好ましく、30〜95質量%がより好ましく、50〜90質量%が最も好ましい。溶剤の含有量が前記範囲内であることにより、顔料の分散をより均一に行うことができ、分散後の分散安定性の点でも有利である。
【0131】
本発明の顔料分散組成物は、(A)エチレン性不飽和二重結合がペンダントされた構造を有する樹脂であって、該樹脂の単位重量当たりのエチレン性不飽和二重結合当量を(a)mol/g、単位重量当たりの水酸基当量を(b)mol/gとした場合に「(a)>(b)」が成り立つことを特徴とする樹脂、(B)顔料、及び必要に応じて添加される分散剤等の他の成分を(C)溶剤と混合し、各種の混合機、分散機を使用して、混合分散する混合分散工程を経て調製されることが好ましい。なお、混合分散工程は、混練分散と、それに続けて行う微分散処理からなるのが好ましいが、混練分散を省略することも可能である。
【0132】
<<硬化性組成物>>
本発明の硬化性組成物は、前記(A)特定樹脂と(B)顔料と(C)溶剤とを含有する顔料分散組成物と、(D)光重合開始剤とを含むことを特徴とする。また、本発明の硬化性組成物は、好ましくはさらに(E)光重合性化合物を含有し、必要に応じて、他の成分を併用することができる。
【0133】
本発明の硬化性組成物においては、前記(A)特定樹脂と(B)顔料とを共存させることで、顔料の凝集が抑制されて効率良く分散され、顔料の多少に関わらず、良好な保存安定性が得られる。また、硬化膜からの現像液や隣接する層を形成する際に用いられる塗布液中への顔料の拡散を抑制でき、色抜けが防止されると共に、組成物内に含まれる不飽和結合密度が高いために、露光感度が大幅に向上し、基材との界面近傍に至るまで硬化性に優れた被膜が形成される。本発明に用いられる(A)特定樹脂においては、十分な二重結合性基を有しつつ、水酸基の含有量が低減されており、特に前記(i−1)のような合成方法により得られた特定樹脂では、合成時に水酸基の副成がないために、水酸基に起因する水素結合性に相互作用が形成され難く、硬化していない未露光部では現像液浸透が良好であり、解離性の酸基であるカルボキシル基の如き親水性基の機能がすみやかに発現されて現像除去性を高めることができる。これにより、露光部における硬化性と未露光部における優れた現像性が両立し、所望の断面形状(特にテーパー型ないし矩形)を与える良好なパターンが得られ、支持体密着性が良好であるため、本発明の硬化性組成物は、シャープな形状を有する微細なパターン形成を必要とするカラーフィルタの着色パターンの形成などに有用であると考えられる。
【0134】
本発明の硬化性組成物を構成する成分のうち、(A)特定樹脂、(B)顔料、及び(C)溶剤については、その詳細は上記の顔料分散組成物における場合と同様であり、好ましい態様も同様である。
【0135】
本発明の硬化性組成物における(A)特定樹脂の含有量としては、顔料に対して、1〜300質量%が好ましく、3〜100質量%がより好ましく、5〜50質量%が更に好ましい。含有量が前記範囲内であると、顔料をより効率良く分散でき、色抜け防止、露光感度、支持体密着性、及びパターン形成性(所望のテーパー型ないし矩形の断面形成性)を効果的に向上させることができる。
【0136】
硬化性組成物中における(B)顔料の含有量としては、組成物の全固形分に対して、20質量%以上が好ましく、より好ましくは30〜95質量%であり、最も好ましくは40〜90質量%である。(B)顔料の含有量が前記範囲内であると、例えばカラーフィルタを作製する場合など、高い着色力を確保するのに有効である。
また、(C)溶剤の硬化性組成物中に占める割合としては、20〜90質量%が好ましく30〜85質量%がより好ましく、40〜80質量%が最も好ましい。溶剤量が前記範囲内であると、塗布性および保存安定性安定性の点でも有利である。
【0137】
以下、本発明の硬化性組成物の構成成分である(A)〜(C)以外の各成分について具体的に説明する。
<(D)光重合開始剤>
本発明の硬化性組成物は、光重合開始剤の少なくとも1種を含有することが好ましい。光重合開始剤は、光により分解し、本発明における(A)特定樹脂及び後述する(E)光重合性化合物の重合を開始、促進する化合物であり、波長300〜500nmの領域に吸収を有するものであることが好ましい。
また、光重合開始剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用することもできる。
【0138】
光重合開始剤としては、例えば、有機ハロゲン化化合物、オキシジアゾール化合物、カルボニル化合物、ケタール化合物、ベンゾイン化合物、アクリジン化合物、有機過酸化化合物、アゾ化合物、クマリン化合物、アジド化合物、メタロセン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、有機ホウ酸塩化合物、ジスルホン化合物、オキシム系化合物、オニウム塩化合物、アシルホスフィン系化合物、アルキルアミノ化合物、等が挙げられる。
以下、これらの各化合物について詳細に述べる。
【0139】
有機ハロゲン化化合物としては、具体的には、若林等、「Bull Chem.Soc Japan」42、2924(1969)、米国特許第3,905,815号明細書、特公昭46−4605号、特開昭48−36281号、特開昭55−32070号、特開昭60−239736号、特開昭61−169835号、特開昭61−169837号、特開昭62−58241号、特開昭62−212401号、特開昭63−70243号、特開昭63−298339号、M.P.Hutt”Jurnal of Heterocyclic Chemistry”1(No3),(1970)」筆に記載の化合物が挙げられ、特に、トリハロメチル基が置換したオキサゾール化合物、s−トリアジン化合物が挙げられる。
【0140】
s−トリアジン化合物として、より好適には、すくなくとも一つのモノ、ジ、又はトリハロゲン置換メチル基がs−トリアジン環に結合したs−トリアジン誘導体、具体的には、例えば、2,4,6−トリス(モノクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(ジクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−n−プロピル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(α,α,β−トリクロロエチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3,4−エポキシフェニル)−4、6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−クロロフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔1−(p−メトキシフェニル)−2,4−ブタジエニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−スチリル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−i−プロピルオキシスチリル)−4、6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−ナトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−フェニルチオ−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ベンジルチオ−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(ジブロモメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2−メトキシ−4,6−ビス(トリブロモメチル)−s−トリアジン等が挙げられる。
【0141】
オキシジアゾール化合物としては、2−トリクロロメチル−5−スチリル−1,3,4−オキソジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(シアノスチリル)−1,3,4−オキソジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(ナフト−1−イル)−1,3,4−オキソジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(4−スチリル)スチリル−1,3,4−オキソジアゾール等が挙げられる。
【0142】
カルボニル化合物としては、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、2−メチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4−ブロモベンゾフェノン、2−カルボキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、α−ヒドロキシ−2−メチルフェニルプロパノン、1−ヒドロキシ−1−メチルエチル−(p−イソプロピルフェニル)ケトン、1−ヒドロキシ−1−(p−ドデシルフェニル)ケトン、2−メチル−(4’−(メチルチオ)フェニル)−2−モルホリノ−1−プロパノン、1,1,1−トリクロロメチル−(p−ブチルフェニル)ケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−4−モルホリノブチロフェノン等のアセトフェノン誘導体、チオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン誘導体、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジエチルアミノ安息香酸エチル等の安息香酸エステル誘導体等を挙げることができる。
【0143】
ケタール化合物としては、ベンジルメチルケタール、ベンジル−β−メトキシエチルエチルアセタール等を挙げることができる。
【0144】
ベンゾイン化合物としては、m−ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインメチルエーテル、メチル−o−ベンゾイルベンゾエート等を挙げることができる。
【0145】
アクリジン化合物としては、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9−アクリジニル)ヘプタンなどを挙げることができる。
【0146】
有機過酸化化合物としては、例えば、トリメチルシクロヘキサノンペルオキシド、アセチルアセトンペルオキシド、1,1−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(tert−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(tert−ブチルペルオキシ)ブタン、tert−ブチルハイドロペルオキシド、クメンハイドロペルオキシド、ジイソプロピルベンゼンハイドロペルオキシド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロペルオキシド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロペルオキシド、tert−ブチルクミルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−オキサノイルペルオキシド、過酸化こはく酸、過酸化ベンゾイル、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルペルオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルペルオキシジカーボネート、ジメトキシイソプロピルペルオキシカーボネート、ビス(3−メチル−3−メトキシブチル)ペルオキシジカーボネート、tert−ブチルペルオキシアセテート、tert−ブチルペルオキシピバレート、tert−ブチルペルオキシネオデカノエート、tert−ブチルペルオキシオクタノエート、tert−ブチルパーオキシラウレート、ターシルカーボネート、3,3’,4,4’−テトラキス(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラキス(t−ヘキシルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラキス(p−イソプロピルクミルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、カルボニルビス(t−ブチルペルオキシ二水素二フタレート)、カルボニルビス(t−ヘキシルペルオキシ二水素二フタレート)等が挙げられる。
【0147】
アゾ化合物としては、例えば、特開平8−108621号公報に記載のアゾ化合物等を挙げることができる。
【0148】
クマリン化合物としては、例えば、3−メチル−5−アミノ−((s−トリアジン−2−イル)アミノ)−3−フェニルクマリン、3−クロロ−5−ジエチルアミノ−((s−トリアジン−2−イル)アミノ)−3−フェニルクマリン、3−ブチル−5−ジメチルアミノ−((s−トリアジン−2−イル)アミノ)−3−フェニルクマリン等を挙げることができる。
【0149】
アジド化合物としては、米国特許第2848328号明細書、米国特許第2852379号明細書並びに米国特許第2940853号明細書に記載の有機アジド化合物、2,6−ビス(4−アジドベンジリデン)−4−エチルシクロヘキサノン(BAC−E)等が挙げられる。
【0150】
メタロセン化合物としては、特開昭59−152396号公報、特開昭61−151197号公報、特開昭63−41484号公報、特開平2−249号公報、特開平2−4705号公報、特開平5−83588号公報記載の種々のチタノセン化合物、例えば、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ジ−フェニル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4−ジ−フルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、特開平1−304453号公報、特開平1−152109号公報記載の鉄−アレーン錯体等が挙げられる。
【0151】
ヘキサアリールビイミダゾール化合物としては、例えば、特公平6−29285号公報、米国特許第3,479,185号、同第4,311,783号、同第4,622,286号等の各明細書に記載の種々の化合物、具体的には、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−ブロモフェニル))4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o,p−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(m−メトキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(o,o’−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−ニトロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−メチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−トリフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール等が挙げられる。
【0152】
有機ホウ酸塩化合物としては、例えば、特開昭62−143044号、特開昭62−150242号、特開平9−188685号、特開平9−188686号、特開平9−188710号、特開2000−131837、特開2002−107916、特許第2764769号、特願2000−310808号、等の各公報、及び、Kunz,Martin“Rad Tech’98.Proceeding April 19−22,1998,Chicago”等に記載される有機ホウ酸塩、特開平6−157623号公報、特開平6−175564号公報、特開平6−175561号公報に記載の有機ホウ素スルホニウム錯体或いは有機ホウ素オキソスルホニウム錯体、特開平6−175554号公報、特開平6−175553号公報に記載の有機ホウ素ヨードニウム錯体、特開平9−188710号公報に記載の有機ホウ素ホスホニウム錯体、特開平6−348011号公報、特開平7−128785号公報、特開平7−140589号公報、特開平7−306527号公報、特開平7−292014号公報等の有機ホウ素遷移金属配位錯体等が具体例として挙げられる。
【0153】
ジスルホン化合物としては、特開昭61−166544号公報、特願2001−132318号明細書等に記載される化合物等が挙げられる。
【0154】
オキシム系化合物としては、J.C.S. Perkin II (1979 )1653−1660)、J.C.S. Perkin II (1979)156−162、Journal of Photopolymer Science and Technology(1995)202−232、特開2000−66385号公報記載の化合物、特開2000−80068号公報、特表2004−534797号公報記載の化合物等が挙げられる。
【0155】
オニウム塩化合物としては、例えば、S.I.Schlesinger,Photogr.Sci.Eng.,18,387(1974)、T.S.Bal et al,Polymer,21,423(1980)に記載のジアゾニウム塩、米国特許第4,069,055号明細書、特開平4−365049号等に記載のアンモニウム塩、米国特許第4,069,055号、同4,069,056号の各明細書に記載のホスホニウム塩、欧州特許第104、143号、米国特許第339,049号、同第410,201号の各明細書、特開平2−150848号、特開平2−296514号の各公報に記載のヨードニウム塩などが挙げられる。
【0156】
本発明において(D)開始剤として好適に用いることのできるヨードニウム塩としては、ジアリールヨードニウム塩が挙げられ、安定性の観点から、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基等の電子供与性基で2つ以上置換されている化合物であることが好ましい。また、その他の好ましいスルホニウム塩の形態として、トリアリールスルホニウム塩の1つの置換基がクマリン、アントアキノン構造を有し、300nm以上に吸収を有するヨードニウム塩などが好ましく挙げられる。
【0157】
本発明において(D)開始剤として好適に用いることのできるスルホニウム塩としては、欧州特許第370,693号、同390,214号、同233,567号、同297,443号、同297,442号、米国特許第4,933,377号、同161,811号、同410,201号、同339,049号、同4,760,013号、同4,734,444号、同2,833,827号、独国特許第2,904,626号、同3,604,580号、同3,604,581号の各明細書に記載のスルホニウム塩が挙げられ、安定性の感度点から好ましくは電子吸引性基で置換されていることが好ましい。電子吸引性基としては、ハメット値が0より大きいことが好ましい。好ましい電子吸引性基としては、ハロゲン原子、カルボン酸などが挙げられる。
また、その他の好ましいスルホニウム塩としては、トリアリールスルホニウム塩の1つの置換基がクマリン、アントアキノン構造を有し、300nm以上に吸収を有するスルホニウム塩が挙げられる。別の好ましいスルホニウム塩としては、トリアリールスルホニウム塩が、アリールオキシ基、アリールチオ基を置換基に有する300nm以上に吸収を有するスルホニウム塩が挙げられる。
【0158】
また、オニウム塩化合物としては、J.V.Crivello et al,Macromolecules,10(6),1307(1977)、J.V.Crivello et al,J.Polymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,17,1047(1979)に記載のセレノニウム塩、C.S.Wen et al,Teh,Proc.Conf.Rad.Curing ASIA,p478 Tokyo,Oct(1988)に記載のアルソニウム塩等のオニウム塩を用いることもできる。
【0159】
アシルホスフィン系化合物としては、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製のイルガキュア819、ダロキュア4265、ダロキュアTPOなどが挙げられる。
【0160】
アルキルアミノ化合物としては、例えば、特開平9−281698号公報の段落番号[0047]、特開平6−19240号公報、特開平6−19249号公報等に記載のジアルキルアミノフェニル基を有する化合物やアルキルアミン化合物が挙げられる。具体的には、ジアルキルアミノフェニル基を有する化合物としてはp−ジメチルアミノ安息香酸エチル等の化合物や、p−ジエチルアミノベンズカルバルデヒド、9−ジュロリジルカルバルデヒド等のジアルキルアミノフェニルカルバルデヒドが、アルキルアミン化合物としてはトリエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエチルアミン等が挙げられる。
【0161】
本発明に用いられる(D)光重合開始剤としては、露光感度の観点から、トリアジン系化合物、アルキルアミノ化合物、ベンジルジメチルケタール化合物、α−ヒドロキシケトン化合物、α−アミノケトン化合物、アシルホスフィン系化合物、ホスフィンオキサイド系化合物、メタロセン化合物、オキシム系化合物、ビイミダゾール系化合物、オニウム系化合物、ベンゾチアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、アセトフェノン系化合物及びその誘導体、シクロペンタジエン−ベンゼン−鉄錯体及びその塩、ハロメチルオキサジアゾール化合物、3−アリール置換クマリン化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物が好ましい。
【0162】
より好ましくは、トリアジン系化合物、アルキルアミノ化合物、α−アミノケトン化合物、アシルホスフィン系化合物、ホスフィンオキサイド系化合物、オキシム系化合物、ビイミダゾール系化合物、オニウム系化合物、ベンゾフェノン系化合物、アセトフェノン系化合物であり、トリアジン系化合物、アルキルアミノ化合物、オキシム系化合物、ビイミダゾール系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物が更に好ましい。
【0163】
特に、本発明の硬化性組成物をカラーフィルタの固体撮像素子の作製に使用する場合には、微細な画素をシャープな形状で形成する必要があるために、硬化性とともに微細な未露光部が残渣なく現像されることが重要である。従って、光重合開始剤として、未露光においても親水性基と相互作用性を形成するような極性基、イオン性基などを有する化合物、例えば、オニウム系化合物等はこの使用目的に限れば、高感度ではあるが好適ではない。このような観点からは、トリアジン系化合物、オキシム系化合物が特に好ましい。また、微細な画素を形成するには、硬化用露光にステッパー露光を用いるが、この露光機はハロゲンにより損傷される虞があるため、この点を考慮すれば、固体撮像素子の如き微細着色パターンを形成するには前記(A)特定樹脂と(D)光重合開始剤としてのオキシム系化合物とを組み合わせることが最も好ましいといえる。
【0164】
硬化性組成物中における(D)光重合開始剤の含有量は、組成物の全固形分に対し、0.1〜50質量%であることが好ましく、より好ましくは0.5〜30質量%、特に好ましくは1〜20質量%である。特に、本発明の硬化性組成物をカラーフィルタの着色パターンの形成に使用する場合は、光感度、支持体密着性、硬化度の点で、(D)光重合開始剤の含有量は、硬化性組成物に含有される全固形分に対して、1〜40質量%が好ましく、2〜30質量%がより好ましく、3〜20質量%が更に好ましい。
【0165】
<(E)光重合性化合物>
本発明の硬化性組成物には、光重合性化合物として、エチレン性不飽和二重結合を有する化合物を含有することが好ましい。
本発明に用いることができる「エチレン性不飽和二重結合を有する化合物」は、少なくとも一個のエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物であり、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれる。このような化合物群は当該産業分野において広く知られるものであり、本発明においてはこれらを特に限定なく用いることができる。これらの化合物はモノマー、オリゴマー、ポリマーのいずれの形態をとってもよい。重合性化合物についての詳細は、分子量に制限がないこと以外は、上記(A)特定樹脂におけるエチレン性不飽和二重結合を有する構造単位(モノマー)やそれを含む樹脂と同様であり、好ましい態様も同様である。
また、本発明における光重合性化合物は、重合されることにより、前記(A)特定樹脂と同一の樹脂被膜を形成するものであってもよく、異なってもよい。
本発明の硬化性組成物に用いられる(E)光重合性化合物は、1種を単独で、また2種以上を組合せて用いることができる。
【0166】
前記(E)光重合性化合物の含有量は、本発明の硬化性組成物の全固形分に対して、1〜90質量%であることが好ましく、5〜80質量%であることがより好ましく、10%〜70質量%であることが更に好ましい。特に、本発明の硬化性組成物をカラーフィルタの着色パターンの形成に使用する場合は、光感度、支持体密着性、硬化度を更に向上させる点で、(E)光重合性化合物の含有量は、本発明の硬化性組成物の全固形分に対して、5〜50質量%であることが好ましく、7〜40質量%であることがより好ましく、10〜35質量%であることが更に好ましい。
【0167】
また、前記(A)特定樹脂と、該(A)特定樹脂に包含されない、他の構造を有する(E)光重合性化合物とを併用する場合、その含有比〔(A)/(E);質量比〕としては、感度および保存安定性の観点から、100/1〜1/100が好ましく、50/1〜1/50がより好ましく、10/1〜1/10が更に好ましい。
【0168】
次に、本発明の硬化性組成物に更に使用可能な他の成分について説明する。
(F)増感剤
本発明の硬化性組成物は、(D)光重合開始剤によるラジカル発生効率の向上、感光波長の長波長化の目的で、(F)増感剤を含有していてもよい。本発明に用いることができる増感剤としては、前記した(D)光重合開始剤に対し、電子移動機構又はエネルギー移動機構で増感させるものが好ましい。
【0169】
本発明に用いることができる増感剤としては、以下に列挙する化合物類に属しており、且つ、300nm〜450nmの波長領域に吸収波長を有するものが挙げられる。
好ましい増感剤の例としては、以下の化合物類に属しており、且つ、330nm〜450nm域に吸収波長を有するものを挙げることができる。
例えば、多核芳香族類(例えば、フェナントレン、アントラセン、ピレン、ペリレン、トリフェニレン、9,10−ジアルコキシアントラセン)、キサンテン類(例えば、フルオレッセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル)、チオキサントン類(イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、クロロチオキサントン)、シアニン類(例えばチアカルボシアニン、オキサカルボシアニン)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン)、フタロシアニン類、チアジン類(例えば、チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー)、アクリジン類(例えば、アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン)、アントラキノン類(例えば、アントラキノン)、スクアリウム類(例えば、スクアリウム)、アクリジンオレンジ、クマリン類(例えば、7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン)、ケトクマリン、フェノチアジン類、フェナジン類、スチリルベンゼン類、アゾ化合物、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、ジスチリルベンゼン類、カルバゾール類、ポルフィリン、スピロ化合物、キナクリドン、インジゴ、スチリル、ピリリウム化合物、ピロメテン化合物、ピラゾロトリアゾール化合物、ベンゾチアゾール化合物、バルビツール酸誘導体、チオバルビツール酸誘導体、アセトフェノン、ベンゾフェノン、チオキサントン、ミヒラーズケトンなどの芳香族ケトン化合物、N−アリールオキサゾリジノンなどのヘテロ環化合物などが挙げられる。
更に、欧州特許第568,993号明細書、米国特許第4,508,811号明細書、同5,227,227号明細書、特開2001−125255号公報、特開平11−271969号公報等に記載の化合物等なども用いられる。
【0170】
より好ましい増感剤の例としては、下記一般式(i)〜(iv)で表される化合物が挙げられる。
【0171】
【化28】

【0172】
一般式(i)中、Aは硫黄原子又はNR50を表し、R50はアルキル基又はアリール基を表し、Lは隣接するA及び隣接炭素原子と共同して色素の塩基性核を形成する非金属原子団を表し、R51、R52はそれぞれ独立に水素原子又は一価の非金属原子団を表し、R51、R52は互いに結合して、色素の酸性核を形成してもよい。Wは酸素原子又は硫黄原子を表す。
【0173】
【化29】

【0174】
一般式(ii)中、Ar及びArはそれぞれ独立にアリール基を表し、−L−による結合を介して連結している。ここでLは−O−又は−S−を表す。また、Wは一般式(i)に示したものと同義である。
【0175】
【化30】

【0176】
一般式(iii)中、Aは硫黄原子又はNR59を表し、Lは隣接するA及び炭素原子と共同して色素の塩基性核を形成する非金属原子団を表し、R53、R54、R55、R56、R57及びR58はそれぞれ独立に一価の非金属原子団の基を表し、R59はアルキル基又はアリール基を表す。
【0177】
【化31】

【0178】
一般式(iv)中、A、Aはそれぞれ独立に−S−又は−NR62−又は−NR63−を表し、R62、R63はそれぞれ独立に置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアリール基を表し、L、Lはそれぞれ独立に、隣接するA、A及び隣接炭素原子と共同して色素の塩基性核を形成する非金属原子団を表し、R60、R61はそれぞれ独立に一価の非金属原子団であるか又は互いに結合して脂肪族性又は芳香族性の環を形成することができる。
【0179】
また、本発明の硬化性組成物に含有しうる好ましい増感剤としては、上記のもの他、下記一般式(IV)〜(VI)で表される化合物から選択される少なくとも一種が挙げられる。
【0180】
【化32】

【0181】
一般式(IV)又は一般式(V)中、R及びRは、各々独立に一価の置換基を表し、R、R、R及びRは、各々独立に水素原子又は一価の置換基を表す。nは0〜5の整数を表し、n’は0〜5の整数を表し、n及びn’が両方とも0となることはない。nが2以上である場合、複数存在するRはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。n’が2以上である場合、複数存在するRはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
【0182】
一般式(IV)で表される化合物としては、感度及び顔料を含有する場合における着色性の観点から、下記一般式(IV−1)で表される化合物であることが好ましい。
【0183】
【化33】

【0184】
一般式(IV−1)中、R及びRは、各々独立に一価の置換基を表す。nは0〜5の整数を表し、n’は1〜5の整数を表す。nが2以上である場合、複数存在するRはそれぞれ同じであっても異なっていてもよく、n’が2以上である場合、複数存在するRはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。
【0185】
一般式(IV−1)において、R及びRで表される一価の置換基は、前記一般式(IV)においてR及びRで表される一価の置換基と同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0186】
一般式(IV)又は一般式(V)で表される化合物としては、波長365nmにおけるモル吸光係数εが500mol−1・L・cm−1以上であることが好ましく、波長365nmにおけるεが3000mol−1・L・cm−1以上であることがより好ましく、波長365nmにおけるεが20000mol−1・L・cm−1以上であることが最も好ましい。各波長でのモル吸光係数εの値が上記範囲であると、光吸収効率の観点から感度向上効果が高く好ましい。
ここで、モル吸光係数εは、1−メトキシ−2−プロパノール溶液に0.01g/lの濃度で調整した色素溶液を試料とし、365nmにおける試料の透過スペクトルを測定し、試料のUV−visible吸収スペクトルから吸光度を求めることにより得られる。測定装置は、Varian社製UV−Vis−MR Spectrophotometer Cary5G型分光高度計を用いた。
【0187】
一般式(IV)又は一般式(V)で表される化合物の好ましい具体例を以下に例示するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、本明細書においては、化学式は簡略構造式により記載することもあり、特に元素や置換基の明示がない実線等は、炭化水素基を表す。また、下記具体例において、Meはメチル基を、Etはエチル基を、Buはブチル基を、n−Buはn−ブチル基を、Phはフェニル基を表す。
【0188】
【化34】

【0189】
【化35】

【0190】
【化36】

【0191】
【化37】

【0192】
【化38】

【0193】
【化39】

【0194】
【化40】

【0195】
【化41】

【0196】
【化42】

【0197】
【化43】

【0198】
【化44】

【0199】
【化45】

【0200】
一般式(VI)中、Aは置換基を有してもよい芳香族環又はヘテロ環を表し、Xは酸素原子、硫黄原子、又は−N(R)−を表し、Yは酸素原子、硫黄原子、又は−N(R)−を表す。R、R、及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は一価の非金属原子団を表し、A、R、R、及びRは、それぞれ互いに結合して、脂肪族性又は芳香族性の環を形成してもよい。
【0201】
一般式(VI)において、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は一価の非金属原子団を表す。R、R及びRが一価の非金属原子を表す場合、置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアリール基、置換若しくは非置換のアルケニル基、置換若しくは非置換の芳香族複素環残基、置換若しくは非置換のアルコキシ基、置換若しくは非置換のアルキルチオ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子であることが好ましい。
【0202】
一般式(VI)で表される化合物は、光重合開始剤の分解効率向上の観点から、Yは酸素原子、又は−N(R)−が好ましい。Rは、それぞれ独立に、水素原子又は一価の非金属原子団を表す。更に、Yは−N(R)−であることが最も好ましい。
【0203】
以下、一般式(VI)で表される化合物の好ましい具体例(VI1)〜(VI124)を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。また、酸性核と塩基性核を結ぶ2重結合による異性体については明らかでなく、本発明はどちらかの異性体に限定されるものでもない。
【0204】
【化46】

【0205】
【化47】

【0206】
【化48】

【0207】
【化49】

【0208】
【化50】

【0209】
【化51】

【0210】
【化52】

【0211】
【化53】

【0212】
【化54】

【0213】
【化55】

【0214】
【化56】

【0215】
【化57】

【0216】
【化58】

【0217】
【化59】

【0218】
【化60】

【0219】
【化61】

【0220】
【化62】

【0221】
【化63】

【0222】
本発明における増感色素に関しては、更に、硬化性組成物の特性を改良するための様々な化学修飾を行うことも可能である。
例えば、増感色素と、付加重合性化合物構造(例えば、アクリロイル基やメタクリロイル基)とを、共有結合、イオン結合、水素結合等の方法により結合させることで、露光膜の高強度化や、露光後の膜からの増感色素の不要な析出抑制を行うことができる。
また、当該増感色素と前述する光重合開始剤におけるラジカル発生能を有する部分構造(例えば、ハロゲン化アルキル、オニウム、過酸化物、ビイミダゾール等の還元分解性部位や、ボレート、アミン、トリメチルシリルメチル、カルボキシメチル、カルボニル、イミン等の酸化解裂性部位)との結合により、特に開始系の濃度の低い状態での感光性を著しく高めることができる。
【0223】
上述の一般式(IV)〜(VI)で表される化合物は、硬化性組成物における顔料の濃度が非常に高く、形成される着色パターン(感光層)の光の透過率が極端に低くなる場合、例えば、本発明の硬化性組成物をカラーフィルタの着色パターン形成に用いた際に、より具体的には、増感色素を添加せずに形成した場合の感光層の365nmの光の透過率が10%以下となるような場合に添加することで、その効果が顕著に発揮される。特に上述の一般式(IV)〜(VI)の中で、一般式(VI)で表される化合物が最も好ましく、具体的には(VI56)〜(VI122)の化合物が最も好ましい。
【0224】
増感剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の硬化性組成物中における(F)増感剤の含有量は、カラーフィルタの着色パターン形成に使用する場合を含めて、深部への光吸収効率と開始分解効率の観点から、硬化性組成物の全固形分に対して、0.1〜20質量%であることが好ましく、0.5〜15質量%がより好ましい。
【0225】
(G)バインダーポリマー
本発明の硬化性組成物は、皮膜特性向上などの目的で、(G)バインダーポリマーを含有してもよい。
バインダーポリマーとしては線状有機ポリマーを用いることが好ましい。このような「線状有機ポリマー」としては、公知のものを任意に使用できる。なお、例えば、本発明の硬化性組成物を、パターン露光及び露光部の硬化後に、未露光部を水又はアルカリ現像により除去してパターンを形成する用途に適用する場合、好ましくは水現像或いは弱アルカリ水現像を可能とするために、水或いは弱アルカリ水に可溶性又は膨潤性である線状有機ポリマーが選択される。線状有機ポリマーは、皮膜形成剤としてだけでなく、水、弱アルカリ水、或いは有機溶剤現像剤の種類に応じて選択使用される。例えば、水可溶性有機ポリマーを用いると水現像が可能になる。このような線状有機ポリマーとしては、側鎖にカルボン酸基を有するラジカル重合体、例えば、特開昭59−44615号、特公昭54−34327号、特公昭58−12577号、特公昭54−25957号、特開昭54−92723号、特開昭59−53836号、特開昭59−71048号に記載されているが挙げられる。すなわち、カルボキシ基を有するモノマーを単独或いは共重合させた樹脂、酸無水物を有するモノマーを単独或いは共重合させ、酸無水物ユニットを加水分解、ハーフエステル化、若しくはハーフアミド化させた樹脂、エポキシ樹脂を不飽和モノカルボン酸及び酸無水物で変性させたエポキシアクリレート等が挙げられる。カルボキシ基を有するモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、4−カルボキシスチレン等が挙げられ、酸無水物を有するモノマーとしては、無水マレイン酸等が挙げられる。
また、同様に、側鎖にカルボン酸基を有する酸性セルロース誘導体も用いることができる。この他、水酸基を有する重合体に環状酸無水物を付加させたものなどが有用である。
【0226】
上記のように、側鎖にカルボン酸基を有するラジカル重合体が共重合体である場合、共重合させる化合物として、先に挙げたモノマー以外の他のモノマーを用いることもできる。他のモノマーの例としては、下記(1)〜(12)の化合物が挙げられる。
【0227】
(1)2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート等の脂肪族水酸基を有するアクリル酸エステル類、及びメタクリル酸エステル類。
(2)アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸−2−クロロエチル、グリシジルアクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート、ビニルアクリレート、2−フェニルビニルアクリレート、1−プロペニルアクリレート、アリルアクリレート、2−アリルオキシエチルアクリレート、プロパルギルアクリレート等のアルキルアクリレート類。
【0228】
(3)メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸−2−クロロエチル、グリシジルメタクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート、ビニルメタクリレート、2−フェニルビニルメタクリレート、1−プロペニルメタクリレート、アリルメタクリレート、2−アリロキシエチルメタクリレート、プロパルギルメタクリレート等のアルキルメタクリレート類。
(4)アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−ヘキシルメタクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−ニトロフェニルアクリルアミド、N−エチル−N−フェニルアクリルアミド、ビニルアクリルアミド、ビニルメタクリルアミド、N,N−ジアリルアクリルアミド、N,N−ジアリルメタクリルアミド、アリルアクリルアミド、アリルメタクリルアミド等のアクリルアミド類若しくはメタクリルアミド類。
【0229】
(5)エチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル等のビニルエーテル類。
(6)ビニルアセテート、ビニルクロロアセテート、ビニルブチレート、安息香酸ビニル等のビニルエステル類。
(7)スチレン、α−メチルスチレン、メチルスチレン、クロロメチルスチレン、p−アセトキシスチレン等のスチレン類。
(8)メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、プロピルビニルケトン、フェニルビニルケトン等のビニルケトン類。
(9)エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン類。
【0230】
(10)N−ビニルピロリドン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等。
(11)マレイミド、N−アクリロイルアクリルアミド、N−アセチルメタクリルアミド、N−プロピオニルメタクリルアミド、N−(p−クロロベンゾイル)メタクリルアミド等の不飽和イミド。
(12)α位にヘテロ原子が結合したメタクリル酸系モノマー。例えば、特願2001−115595号明細書、特願2001−115598号明細書等に記載されている化合物を挙げる事ができる。
【0231】
これらの中で、側鎖にアリル基やビニルエステル基とカルボキシル基を有する(メタ)アクリル樹脂、及び特開2000−187322号公報、特開2002−62698号公報に記載されている側鎖に二重結合を有するアルカリ可溶性樹脂や、特開2001−242612号公報に記載されている側鎖にアミド基を有するアルカリ可溶性樹脂が膜強度、感度、現像性のバランスに優れており、好適である。
【0232】
また、特公平7−12004号、特公平7−120041号、特公平7−120042号、特公平8−12424号、特開昭63−287944号、特開昭63−287947号、特開平1−271741号、特願平10−116232号等の各公報に記載される酸基を含有するウレタン系バインダーポリマーや、特開2002−107918に記載される酸基と二重結合を側鎖に有するウレタン系バインダーポリマーは、非常に強度に優れるので、低露光適性の点で有利である。
また、欧州特許993966号、欧州特許1204000号、特開2001−318463号等の各公報に記載の酸基を有するアセタール変性ポリビニルアルコール系バインダーポリマーは、膜強度、現像性のバランスに優れており、好適である。
更に、この他に水溶性線状有機ポリマーとして、ポリビニルピロリドンやポリエチレンオキサイド等が有用である。また硬化皮膜の強度を上げるためにアルコール可溶性ナイロンや2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパンとエピクロロヒドリンのポリエーテル等も有用である。
【0233】
前記(G)バインダーポリマーの重量平均分子量としては、好ましくは5、000以上であり、更に好ましくは1万〜30万の範囲であり、数平均分子量については好ましくは1、000以上であり、更に好ましくは2、000〜25万の範囲である。多分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は1以上が好ましく、更に好ましくは1.1〜10の範囲である。
これらの樹脂は、ランダムポリマー、ブロックポリマー、グラフトポリマー等いずれでもよい。
【0234】
(G)バインダーポリマーは、従来公知の方法により合成できる。合成する際に用いられる溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、エチレンジクロリド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトン、メタノール、エタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、トルエン、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、ジメチルスルホキシド、1-メチル-2-ピロリドン、水等が挙げられる。これらの溶媒は単独で又は2種以上混合して用いられる。
本発明において用いうるバインダーポリマーを合成する際に用いられるラジカル重合開始剤としては、アゾ系開始剤、過酸化物開始剤等公知の化合物が挙げられる。
【0235】
(G)バインダーポリマーの硬化性組成物中における含有量は、本発明の硬化性組成物をカラーフィルタの着色パターン形成に使用する場合には、経時での顔料分散安定性と現像性のバランスの観点から、硬化性組成物の全固形分に対して、5〜60質量%であることが好ましく、7〜50質量%であることがより好ましく、10〜40質量%であることが最も好ましい。
【0236】
(H)分散剤
本発明の硬化性組成物では、(B)顔料の分散性を更に向上させるなど目的で、(A)特定樹脂以外の分散剤を添加することができる。
他の分散剤(顔料分散剤)としては、高分子分散剤〔例えば、ポリアミドアミンとその塩、ポリカルボン酸とその塩、高分子量不飽和酸エステル、変性ポリウレタン、変性ポリエステル、変性ポリ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル系共重合体、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物〕、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルカノールアミン、及び顔料誘導体等を挙げることができる。
高分子分散剤は、その構造から更に直鎖状高分子、末端変性型高分子、グラフト型高分子、ブロック型高分子に分類することができる。
【0237】
高分子分散剤は顔料の表面に吸着し、再凝集を防止する様に作用する。そのため、顔料表面へのアンカー部位を有する末端変性型高分子、グラフト型高分子、ブロック型高分子が好ましい構造として挙げることができる。一方で、顔料誘導体は顔料表面を改質することで、高分子分散剤の吸着を促進させる効果を有する。
【0238】
本発明に用いうる顔料分散剤の具体例としては、BYK Chemie社製「Disperbyk−101(ポリアミドアミン燐酸塩)、107(カルボン酸エステル)、110(酸基を含む共重合物)、130(ポリアミド)、161、162、163、164、165、166、170(高分子共重合物)」、「BYK−P104、P105(高分子量不飽和ポリカルボン酸)、「BYK2001」、EFKA社製「EFKA4047、4050、4010、4165(ポリウレタン系)、EFKA4330、4340(ブロック共重合体)、4400、4402(変性ポリアクリレート)、5010(ポリエステルアミド)、5765(高分子量ポリカルボン酸塩)、6220(脂肪酸ポリエステル)、6745(フタロシアニン誘導体)、6750(アゾ顔料誘導体)」、味の素ファンテクノ社製「アジスパーPB821、PB822」、共栄社化学社製「フローレンTG−710(ウレタンオリゴマー)」、「ポリフローNo.50E、No.300(アクリル系共重合体)」、楠本化成社製「ディスパロンKS−860、873SN、874、#2150(脂肪族多価カルボン酸)、#7004(ポリエーテルエステル)、DA−703−50、DA−705、DA−725」、花王社製「デモールRN、N(ナフタレンスルホン酸ホルマリン重縮合物)、MS、C、SN−B(芳香族スルホン酸ホルマリン重縮合物)」、「ホモゲノールL−18(高分子ポリカルボン酸)」、「エマルゲン920、930、935、985(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)」、「アセタミン86(ステアリルアミンアセテート)」、ルーブリゾール社製「ソルスパース5000(フタロシアニン誘導体)、22000(アゾ顔料誘導体)、13240(ポリエステルアミン)、3000、17000、27000(末端部に機能部を有する高分子)、24000、28000、32000、38500(グラフト型高分子)」、日光ケミカル社製「ニッコールT106(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート)、MYS−IEX(ポリオキシエチレンモノステアレート)」等が挙げられる。
【0239】
これらの分散剤は、単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。本発明においては、特に、顔料誘導体と高分子分散剤とを組み合わせて使用することが好ましい。
【0240】
本発明における(H)分散剤の含有量としては、顔料に対して、1〜100質量%であることが好ましく、3〜100質量%がより好ましく、5〜80質量%が更に好ましい。
具体的には、高分子分散剤を用いる場合であれば、その使用量としては、顔料に対して、5〜100質量%の範囲が好ましく、10〜80質量%の範囲がより好ましい。また、顔料誘導体を使用する場合であれば、その使用量としては、顔料に対し1〜30質量%の範囲にあることが好ましく、3〜20質量%の範囲にあることがより好ましく、5〜15質量%の範囲にあることが特に好ましい。
【0241】
本発明において、顔料と分散剤とを用いる場合、硬化感度、色濃度の観点から、顔料及び分散剤の含有量の総和が、硬化性組成物を構成する全固形分に対して、35〜90質量%であることが好ましく、45〜85質量%であることがより好ましく、50〜80質量%であることが更に好ましい。
【0242】
(I)共増感剤
本発明の硬化性組成物は、(I)共増感剤を含有することも好ましい。本発明において共増感剤は、(F)増感剤(増感色素)や(D)光重合開始剤の活性放射線に対する感度を一層向上させる、或いは酸素による重合性化合物の重合阻害を抑制する等の作用を有する。
このような共増感剤の例としては、アミン類、例えば、M.R.Sanderら著「Journal of Polymer Society」第10巻3173頁(1972)、特公昭44−20189号公報、特開昭51−82102号公報、特開昭52−134692号公報、特開昭59−138205号公報、特開昭60−84305号公報、特開昭62−18537号公報、特開昭64−33104号公報、Research Disclosure 33825号記載の化合物等が挙げられ、具体的には、トリエタノールアミン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、p−ホルミルジメチルアニリン、p−メチルチオジメチルアニリン等が挙げられる。
【0243】
共増感剤の別の例としては、チオール及びスルフィド類、例えば、特開昭53−702号公報、特公昭55−500806号公報、特開平5−142772号公報記載のチオール化合物、特開昭56−75643号公報のジスルフィド化合物等が挙げられ、具体的には、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプト−4(3H)−キナゾリン、β−メルカプトナフタレン等が挙げられる。
【0244】
また、共増感剤の別の例としては、アミノ酸化合物(例、N−フェニルグリシン等)、特公昭48−42965号公報記載の有機金属化合物(例、トリブチル錫アセテート等)、特公昭55−34414号公報記載の水素供与体、特開平6−308727号公報記載のイオウ化合物(例、トリチアン等)等が挙げられる。
【0245】
(I)共増感剤の含有量は、重合成長速度と連鎖移動のバランスによる硬化速度の向上の観点から、硬化性組成物の全固形分の質量に対し、0.1〜30質量%の範囲が好ましく、0.5〜25質量%の範囲がより好ましく、1.0〜20質量%の範囲が更に好ましい。
【0246】
(J)重合禁止剤
本発明においては、硬化性組成物の製造中或いは保存中において、(A)主鎖骨格に含窒素ヘテロ環及びエチレン性不飽和二重結合がペンダントされた樹脂や(E)光重合性化合物のように、分子内にエチレン性不飽和二重結合を有する化合物の不要な熱重合を阻止するために、(J)重合禁止剤として、少量の熱重合防止剤を添加することが望ましい。
【0247】
熱重合防止剤としては、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミン第一セリウム塩等が挙げられる。
【0248】
(J)重合禁止剤の添加量は、硬化性組成物の質量に対して、約0.01〜約5質量%が好ましい。
また、必要に応じて、酸素による重合阻害を防止するためにベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を添加して、本発明の硬化性組成物を乾燥させるまでの過程で表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸誘導体の添加量は、硬化性組成物の質量に対して、約0.5〜約10質量%が好ましい。
【0249】
〔その他の成分〕
更に、本発明の硬化性組成物には、硬化皮膜の物性を改良するための充填剤、可塑剤、前記した以外の高分子化合物、界面活性剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤等を配合することかできる。
より具体的には、ガラス、アルミナ等の充填剤;ジオクチルフタレート、ジドデシルフタレート、トリエチレングリコールジカプリレート、ジメチルグリコールフタレート、トリクレジルホスフェート、ジオクチルアジペート、ジブチルセバケート、トリアセチルグリセリン等の可塑剤;ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリフルオロアルキルアクリレート等の高分子化合物;ノニオン系、カチオン系、アニオン系等の界面活性剤;2,2−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ジ−t−ブチルフェノール等の酸化防止剤:2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、アルコキシベンゾフェノン等の紫外線吸収剤;及びポリアクリル酸ナトリウム等の凝集防止剤を挙げることができる。
【0250】
また、本発明の硬化性組成物を基板等の硬質材料表面に適用する場合には、該硬質材料表面との密着性を向上させるための添加剤(以下、「基板密着剤」と称する。)を加えてもよい。
基板密着剤としては、公知の材料を用いることができるが、特に、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤を用いることが好ましい。
シラン系カップリング剤としては、例えば、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン・塩酸塩、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、アミノシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、オクタデシルジメチル[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アンモニウムクロライド、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、テトラエトキシシラン、ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、フェニルトリメトキシシラン、N−(3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(3−メタクリロキシ−2−ヒドロキシプロピル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、(メタクリロキシメチル)メチルジエトキシシラン、(アクリロキシメチル)メチルジメトキシシラン、等が挙げられる。
中でもγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、が好ましく、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランが最も好ましい。
【0251】
チタネート系カップリング剤としては、例えば、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル)ビス(ジ−トリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、トリイソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、イソプロピルトリ(N−アミドエチル・アミノエチル)チタネート、ジクミルフェニルオキシアセテートチタネート、ジイソステアロイルエチレンチタネート等が挙げられる。
【0252】
アルミニウム系カップリング剤としては、例えば、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート等が挙げられる。
【0253】
基板密着剤の含有量は、硬化性組成物の未硬化領域に残渣が残らないようにする観点から、本発明の硬化性組成物の全固形分に対して、0.1〜30質量%であることが好ましく、0.5〜20質量%であることがより好ましく、1〜10質量%であることが特に好ましい。
【0254】
また、本発明の硬化性組成物を、パターン露光及び露光部の硬化後に、未露光部を水又はアルカリ現像により除去してパターンを形成する用途に適用する場合、アルカリ溶解性を促進し、現像性の更なる向上を図るために、硬化性組成物には、有機カルボン酸、好ましくは、分子量1000以下の低分子量有機カルボン酸を添加することができる。
具体的には、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ピバル酸、カプロン酸、ジエチル酢酸、エナント酸、カプリル酸等の脂肪族モノカルボン酸;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ブラシル酸、メチルマロン酸、エチルマロン酸、ジメチルマロン酸、メチルコハク酸、テトラメチルコハク酸、シトラコン酸等の脂肪族ジカルボン酸;トリカルバリル酸、アコニット酸、カンホロン酸等の脂肪族トリカルボン酸;安息香酸、トルイル酸、クミン酸、ヘメリト酸、メシチレン酸等の芳香族モノカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリト酸、トリメシン酸、メロファン酸、ピロメリト酸等の芳香族ポリカルボン酸;フェニル酢酸、ヒドロアトロパ酸、ヒドロケイ皮酸、マンデル酸、フェニルコハク酸、アトロパ酸、ケイ皮酸、シンナミリデン酢酸、クマル酸、ウンベル酸等のその他のカルボン酸が挙げられる。
【0255】
本発明の硬化性組成物は、先に述べた顔料分散組成物と同様、(A)エチレン性不飽和二重結合がペンダントされた構造を有する樹脂であって、該樹脂の単位重量当たりのエチレン性不飽和二重結合当量を(a)mol/g、単位重量当たりの水酸基当量を(b)mol/gとした場合に「(a)>(b)」が成り立つことを特徴とする樹脂、(B)顔料、及び必要に応じて(H)分散剤等の他の成分を(C)溶剤と混合し、各種の混合機、分散機を使用して、混合分散する混合分散工程を経て調製されることが好ましい。つまり、予め、混合分散工程を行なって顔料分散液(本発明の顔料分散組成物)を調製しておき、この顔料分散液と残りの成分とを混合することにより、本発明の硬化性組成物を調製することが好ましい。
即ち、所望により添加する(D)成分、(E)成分については、上記のようにして調製された顔料分散液に(D)成分、(E)成分を任意の順で添加して溶解させるか、或いは、(D)成分、(E)成分を予め(C)溶剤に溶解させたものを調製し、それを任意の順で顔料分散物に添加すればよい。
なお、混合分散工程は、混練分散とそれに続けて行う微分散処理からなるのが好ましいが、混練分散を省略することも可能である。
【0256】
<カラーフィルタ及びその製造方法>
次に、本発明のカラーフィルタ及びその製造方法について説明する。
本発明のカラーフィルタは、支持体上に、本発明の硬化性組成物により形成された着色パターンを有することを特徴とする。
以下、本発明のカラーフィルタについて、その製造方法(本発明のカラーフィルタの製造方法)を通じて詳述する。
【0257】
本発明のカラーフィルタの製造方法は、支持体上に、本発明の硬化性組成物を塗布して該硬化性組成物からなる着色層を形成する着色層形成工程と、前記着色層を、マスクを介してパターン様に露光する露光工程と、露光後の着色層を現像して着色パターンを形成する現像工程と、を含むことを特徴とするものである。
以下、本発明の製造方法における各工程について説明する。
【0258】
〔着色層形成工程〕
着色層形成工程では、支持体上に、本発明の硬化性組成物を塗布して該硬化性組成物からなる着色層を形成する。
【0259】
本工程に用い得る支持体としては、例えば、液晶表示素子等に用いられるソーダガラス、ホウケイ酸ガラス、石英ガラス及びこれらに透明導電膜を付着させたものや、撮像素子等に用いられる光電変換素子基板、例えば、シリコン基板等や、相補性金属酸化膜半導体(CMOS)等が挙げられる。これらの基板は、各画素を隔離するブラックストライプが形成されている場合もある。
また、これらの支持体上には、必要により、着色層との密着改良、物質の拡散防止、或いは表面の平坦化のために下塗り層を設けてもよい。
【0260】
支持体上への本発明の硬化性組成物の塗布方法としては、スリット塗布、インクジェット法、回転塗布、流延塗布、ロール塗布、スクリーン印刷法等の各種の塗布方法を適用することができる。
硬化性組成物の塗布直後の膜厚としては、塗布膜の膜厚均一性、塗布溶剤の乾燥のしやすさの観点から、0.1〜10μmが好ましく、0.2〜5μmがより好ましく、0.2〜3μmが更に好ましい。
【0261】
支持体上に塗布された着色層(硬化性組成物層)の乾燥(プリベーク)は、ホットプレート、オーブン等で50℃〜140℃の温度で10〜300秒で行うことができる。
硬化性組成物の乾燥後の塗布膜厚(以下、適宜、「乾燥膜厚」と称する)としては、LCD用カラーフィルタとして用いるためには、LCD薄型化に対応でき、色濃度確保の観点から、0.1μm以上2.0μm未満が好ましく、0.2μm以上1.8μm以下がより好ましく、0.3μm以上1.75μm以下が特に好ましい。
また、IS用カラーフィルタとして用いるためには、色濃度確保の観点、斜め方向の光が受光部に到達せず、また、デバイスの端と中央とで集光率の差が顕著になる等の不具合を低減する観点から、0.05μm以上1.0μm未満が好ましく、0.1μm以上0.8μm以下がより好ましく、0.2μm以上0.7μm以下が特に好ましい。
【0262】
〔露光工程〕
露光工程では、前記着色層形成工程において形成された着色層(硬化性組成物層)を、所定のマスクパターンを有するマスクを介してパターン様に露光する。
露光に際して用いることができる放射線としては、特に、g線、i線等の紫外線が好ましく用いられる。照射量は5〜1500mJ/cmが好ましく、10〜1000mJ/cmがより好ましく、10〜500mJ/cmが最も好ましい。
本発明のカラーフィルタが液晶表示素子用である場合は、上記範囲の中で5〜200mJ/cmが好ましく10〜150mJ/cmがより好ましく、10〜100mJ/cmが最も好ましい。また、本発明のカラーフィルタが固体撮像素子用である場合は、上記範囲の中で30〜1500mJ/cmが好ましく50〜1000mJ/cmがより好ましく、80〜500mJ/cmが最も好ましい。
【0263】
〔現像工程〕
次いで、アルカリ現像処理(現像工程)を行うことにより、前記露光工程における未露光部分が現像液に溶出し、光硬化した部分だけが残る。
現像温度としては通常20℃〜30℃であり、現像時間は20〜90秒である。
【0264】
現像液に用いるアルカリ剤としては、例えば、アンモニア水、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセンなどの有機アルカリ性化合物、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の無機アルカリ性化合物等が挙げられ、これらのアルカリ剤を濃度が0.001質量%〜10質量%、好ましくは0.01質量%〜1質量%となるように純水で希釈したアルカリ性水溶液が現像液として好ましく使用される。
次いで、余剰の現像液を洗浄除去し、乾燥を施す。
なお、このようなアルカリ性水溶液からなる現像液を使用した場合には、一般に現像後純水で洗浄(リンス)する工程が実施される。
【0265】
なお、本発明の製造方法においては、上述した、着色層形成工程、露光工程、及び現像工程を行った後に、必要により、形成された着色パターンを加熱(ポストベーク)及び/又は露光により硬化させる硬化工程を含んでいてもよい。
【0266】
ポストベークは、硬化を完全なものとするための現像後の加熱処理であり、通常100℃〜240℃の熱硬化処理を行う。基板がガラス基板又はシリコン基板の場合は上記温度範囲の中でも200℃〜240℃が好ましい。
このポストベーク処理は、上記条件になるようにホットプレートやコンベクションオーブン(熱風循環式乾燥機)、高周波加熱機等の加熱手段を用いて、連続式あるいはバッチ式で行うことができる。
【0267】
以上説明した、着色層形成工程、露光工程、及び現像工程(更に、必要により硬化工程)を所望の色相数(3色又は4色)だけ繰り返すことにより、所望の色相よりなるカラーフィルタが作製される。
【0268】
上述のように、本発明の硬化性組成物の用途として、主にカラーフィルタの画素への用途を主体に述べてきたが、カラーフィルタの画素間に設けられるブラックマトリックスにも適用できることは言うまでもない。ブラックマトリックスは、本発明の硬化性組成物に着色剤として、カーボンブラック、チタンブラックなどの黒色の顔料を添加したものを用いる他は、上記画素の作製方法と同様に、パターン露光、アルカリ現像し、更にその後、ポストベークして膜の硬化を促進させて形成させることができる。
【0269】
本発明のカラーフィルタは、本発明の硬化性組成物を用いているため、形成された着色パターンが支持体に対して高い密着性を有し、また、未硬化領域が現像液により容易に除去されるため、支持体との密着性が良好で、所望の断面形状(特にテーパー型ないし矩形)を有する高解像度の着色パターンを有する。したがって、液晶表示素子やCCD等の固体撮像素子に好適に用いることができ、特に、100万画素を超えるような高解像度のCCD素子やCMOS等に好適である。
本発明のカラーフィルタは、例えば、CCDを構成する各画素の受光部と集光するためのマイクロレンズとの間に配置されるカラーフィルタとして用いることができる。
【実施例】
【0270】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を示す。
[合成例1:特定樹脂(I)の合成]
1000ml三口フラスコに、1−メチル−2−ピロリドン100gを入れ、窒素気流下、90℃まで加熱した。これに、下記化合物(i−1)84g、メタクリル酸ベンジル33g、メタクリル酸14g、及びV−601(和光純薬製)5.2gの1−メチル−2−ピロリドン溶液100gを、2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に2時間撹拌した。その後、室温まで反応溶液を冷却した後、水7Lに投入し、高分子化合物を析出させた。析出した高分子化合物を濾取し、水で洗浄、乾燥し、高分子化合物131gを得た。
得られた高分子化合物を、ポリスチレンを標準物質としたゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)により、質量平均分子量を測定した結果、11800であった。また、滴定によりこの高分子化合物の酸価を求めたところ、69.6mgKOH/g(計算値69.7mgKOH/g)であり、正常に重合が行なわれたことが確認された。
【0271】
【化64】

【0272】
上記のように、1000ml三口フラスコに得られた高分子化合物131gに、p−メトキシフェノール1.0gを添加し、さらに1−メチル−2−ピロリドン580gを加えて溶解し、氷水を入れた氷浴にて冷却した。この混合液の温度が5℃以下になった後に、更に1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕−7−ウンデセン(DBU)150gを滴下ロート用いて1時間かけて滴下した。滴下終了後、氷浴を外してさらに8時間撹拌した。得られた反応液を、濃塩酸を加えてpH7とした後、水7Lに投入し、高分子化合物[特定樹脂(I)]を析出させた。析出した高分子化合物を濾取し、水で洗浄、乾燥し、105gの目的とする特定樹脂(I)を得た。
得られた高分子化合物[特定樹脂(I)]のH−NMRを測定したところ、化合物(i−1)由来の側鎖基の100%がエチレンメタクリレート基に変換されたことが確認された。また、ポリスチレンを標準物質としたゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)により、質量平均分子量を測定した結果、9800であった。さらに、滴定によりこの高分子化合物の酸価を求めたところ、84.7mgKOH/g(計算値85.3mgKOH/g)であった。また、得られた特定樹脂(I)における樹脂の単位重量当たりのエチレン性不飽和二重結合当量は0.002825mol/gであり、単位重量当たりの水酸基当量は0mol/gであり、(a)>(b)を満たすものであった。
以下に得られた特定樹脂(I)の構造を示す。
【0273】
【化65】

【0274】
[合成例2:特定樹脂(II)の合成]
1000ml三口フラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテル120gを入れ、窒素気流下、90℃まで加熱した。これに、メタクリル酸ベンジル75g、メタクリル酸40g、及びV−601(和光純薬社製)7.0gのN−メチルピロリドン溶液120gを、2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に2時間撹拌した。その後、室温まで反応溶液を冷却した後、水8L(リットル;以下同様)に投入し、高分子化合物を析出させた。析出した高分子化合物を濾取し、水で洗浄、乾燥し、高分子化合物(ii−1)114gを得た。
得られた高分子化合物を、ポリスチレンを標準物質としたゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)により、質量平均分子量を測定した結果、12000であった。また、滴定によりこの高分子化合物の酸価を求めたところ、258mgKOH/g(計算値260mgKOH/g)であり、正常に重合が行なわれたことが確認された。
【0275】
その後、300ml三口フラスコに得られた高分子化合物(ii−1)40gを加え、そこへp−メトキシフェノール110mgを入れ、更にN−メチルピロリドン60gを加えて溶解させた。これに更に、テトラブチルアンモニウムブロミド820mgを加え、80℃まで加熱した後、メタクリル酸グリシジル10gを添加して6時間攪拌した。そして、ガスクロマトグラフィーにより、メタクリル酸グリシジル由来のピークが消失したことを確認した。この反応液を水7Lに投入し、高分子化合物を析出させた。析出した高分子化合物を濾取し、水で洗浄、乾燥し、54gの高分子化合物(ii−2)を得た。
得られた高分子化合物(ii−2)について、ポリスチレンを標準物質としたゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)により、質量平均分子量を測定した結果、17800であった。更に、滴定によりこの高分子化合物(ii−2)の酸価を求めたところ、128mgKOH/g(計算値129mgKOH/g)であった。
【0276】
300ml三口フラスコに得られた高分子化合物(ii−2)54gを加え、そこへp−メトキシフェノール110mgを入れ、更にN−メチルピロリドン70gを加えて溶解させた。これに更に、トリエチルアミン5.1gを加え、50℃まで加熱した後、コハク酸無水物5gを添加して5時間攪拌した。NMRにより未反応のコハク酸無水物が消失したことを確認した。この反応液を水7Lに投入し、高分子化合物を析出させた。析出した高分子化合物を濾取し、水で洗浄、乾燥し、54gの特定樹脂(II)を得た。
得られた樹脂(II)について、ポリスチレンを標準物質としたゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)により、質量平均分子量を測定した結果、20100であった。更に、滴定によりこの高分子化合物の酸価を求めたところ、115mgKOH/g(計算値117mgKOH/g)であった。また、得られた特定樹脂(II)における樹脂の単位重量当たりのエチレン性不飽和二重結合当量は0.001264mol/gであり、単位重量当たりの水酸基当量は0.000351mol/gであり、(a)>(b)を満たすものであった。
特定樹脂(II)の構造を下に示す。
【0277】
【化66】

【0278】
[合成例3:樹脂(III)の合成]
1000ml三口フラスコに[合成例1]と同様の方法で得られた樹脂(I)105gとp−メトキシフェノール110mgを入れ、更に1−メチル−2−ピロリドン300gを加えて溶解させた。これに更に、テトラブチルアンモニウムブロミド410mgを加え、80℃まで加熱した後、メタクリル酸グリシジル5gを添加して6時間攪拌した。そして、ガスクロマトグラフィーにより、メタクリル酸グリシジル由来のピークが消失したことを確認した。この反応液を水7Lに投入し、高分子化合物を析出させた。析出した高分子化合物を濾取し、水で洗浄、乾燥し、110gの高分子化合物を得た。
得られた高分子化合物について、ポリスチレンを標準物質としたゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)により、質量平均分子量を測定した結果、11300であった。更に、滴定によりこの高分子化合物の酸価を求めたところ、64.2mgKOH/g(計算値64.1mgKOH/g)であった。
【0279】
300ml三口フラスコに得られた高分子化合物110gを加え、そこへp−メトキシフェノール250mgを入れ、更にN−メチルピロリドン300gを加えて溶解させた。これに更に、ビスマス系触媒(ネオスタンU−600(日東化成株式会社製))500mgを加え、60℃まで加熱した後、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(カレンズMOI(昭和電工株式会社製))5.5gを添加して5時間攪拌した。NMRにより未反応のカレンズMOIが消失したことを確認した。この反応液を水7Lに投入し、高分子化合物を析出させた。析出した高分子化合物を濾取し、水で洗浄、乾燥し、116gの特定樹脂(III)を得た。
得られた特定樹脂(III)について、ポリスチレンを標準物質としたゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)により、質量平均分子量を測定した結果、13100であった。更に、滴定によりこの高分子化合物の酸価を求めたところ、61.8mgKOH/g(計算値61.7mgKOH/g)であった。また、得られた特定樹脂(II
I)における樹脂の単位重量当たりのエチレン性不飽和二重結合当量は0.003199mol/gであり、単位重量当たりの水酸基当量は0mol/gであり、(a)>(b)を満たすものであった。
特定樹脂(III)の構造を下に示す。
【0280】
【化67】

【0281】
[合成例4:比較樹脂(X)の合成]
1000ml三口フラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテル120gを入れ、窒素気流下、90℃まで加熱した。これに、メタクリル酸ベンジル75g、メタクリル酸40g、及びV−601(和光純薬社製)7.0gのN−メチルピロリドン溶液120gを、2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に2時間撹拌した。その後、室温まで反応溶液を冷却した後、水8L(リットル;以下同様)に投入し、高分子化合物を析出させた。析出した高分子化合物を濾取し、水で洗浄、乾燥し、高分子化合物114gを得た。
得られた高分子化合物を、ポリスチレンを標準物質としたゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)により、質量平均分子量を測定した結果、12000であった。また、滴定によりこの高分子化合物の酸価を求めたところ、258mgKOH/g(計算値260mgKOH/g)であり、正常に重合が行なわれたことが確認された。
【0282】
その後、300ml三口フラスコに得られた高分子化合物40gを加え、そこへp−メトキシフェノール110mgを入れ、更にN−メチルピロリドン60gを加えて溶解させた。これに更に、テトラブチルアンモニウムブロミド16mgを加え、80℃まで加熱した後、メタクリル酸グリシジル2gを添加して6時間攪拌した。そして、ガスクロマトグラフィーにより、メタクリル酸グリシジル由来のピークが消失したことを確認した。この反応液を水7Lに投入し、高分子化合物を析出させた。析出した高分子化合物を濾取し、水で洗浄、乾燥し、42gの高分子化合物[比較樹脂(X)]を得た。
得られた高分子化合物について、ポリスチレンを標準物質としたゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)により、質量平均分子量を測定した結果、14200であった。更に、滴定によりこの高分子化合物の酸価を求めたところ、51mgKOH/g(計算値50mgKOH/g)であった。
比較樹脂(X)の構造を下に示す。比較樹脂(X)における樹脂の単位重量当たりのエチレン性不飽和二重結合当量は0.000351mol/g、単位重量当たりの水酸基当量は0.000351mol/gであり、両者は(a)=(b)の関係にある。
【0283】
【化68】

【0284】
(実施例1)
<1.顔料分散組成物の調製>
下記組成(1)の成分を混合し、ホモジナイザーを用いて回転数3,000r.p.m.で3時間撹拌して混合し、顔料を含む混合溶液を調製した。
〔組成(1)〕
・C.I.ピグメントレッド254 …90部
・C.I.ピグメントレッド139 …10部
・前記合成例1で得られた特定樹脂(I)の30%プロピレングリコール
モノメチルエーテルアセテート溶液 …150部
・1−メトキシ−2−プロピルアセテート …750部
【0285】
続いて、上記より得られた混合溶液を、さらに0.3mmφジルコニアビーズを用いたビーズ分散機ディスパーマット(GETZMANN社製)にて6時間分散処理を行ない、その後さらに、減圧機構付き高圧分散機NANO−3000−10(日本ビーイーイー(株)製)を用いて、2000kg/cmの圧力下で流量500g/minとして分散処理を行なった。この分散処理を10回繰り返し、赤色の顔料分散組成物(P1)を得た。
【0286】
(顔料分散液の性能評価)
上記で調製した顔料分散液(P1)の保存安定性、微細分散性下記のようにして評価した。評価結果は下記表1に示す。
(1−1)顔料分散液の経時での保存安定性
上記で調製した顔料分散液(P1)を室温で1週間保存した後、液の粘度をE型粘度計(東京計器社製)により測定し、下記の評価基準にしたがって評価した。
−評価基準−
○:保存前の粘度に対して粘度上昇は5%未満であった。
△:保存前の粘度に対して5%以上10%未満の粘度上昇が認められた。
×:保存前の粘度に対して10%以上の粘度上昇が認められた。
【0287】
(1−2)顔料分散液の微細分散性
顔料分散液(P1)について、顔料の平均粒径を動的光散乱法(Microtrac Nanotrac UPA−EX150、日機装社製を用いて顔料分散液(P1)を更に希釈することなく測定)により測定した。顔料の平均粒径が小さいほど、微細分散性が高いことを意味する。
−評価基準−
○:平均粒径が70nm未満であった。
△:平均粒径が70nm以上150nm未満であった。
×:平均粒径が150nm以上であった。
【0288】
<2.硬化性組成物(塗布液)の調製>
上記より得られた顔料分散液(P1)を用い、下記組成となるよう撹拌、混合を行なって硬化性組成物1の溶液を調製した。
〈硬化性組成物1〉
・上記顔料分散液(P1) …1000部
・2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール[光重合開始剤] …12部
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート …30部
[DPHA;光重合性化合物]
・TO−756(東亞合成社製;光重合性化合物) …30部
・下記化合物α[増感剤] …4部
・2−メルカプトベンゾイミダゾール[共増感剤] …4部
・メタクリル酸ベンジル/メタクリル酸(=70/30[モル比])共重合体
(重量平均分子量:10,000)のプロピレングリコールモノメチル
エーテルアセテート溶液(固形分40%) …30部
(アルカリ可溶性樹脂)
・前記特定樹脂(I)のプロピレングリコールモノメチル
エーテルアセテート溶液(固形分40%) …20部
・1−メトキシ−2−プロピルアセテート(溶剤) …20部
【0289】
【化69】

【0290】
<3.カラーフィルタの作製>
(硬化性組成物層(着色層)の形成)
上記のように調製した顔料を含有する硬化性組成物をレジスト溶液として、550mm×650mmのガラス基板に下記条件でスリット塗布した後、10分間そのままの状態で待機させ、真空乾燥とプリベーク(prebake;100℃で80秒間)を施し、硬化性組成物層を形成した。
【0291】
(スリット塗布条件)
・塗布ヘッド先端の開口部の間隙: 50μm
・塗布速度: 100mm/秒
・基板と塗布ヘッドとのクリヤランス: 150μm
・乾燥膜厚: 1.75μm
・塗布温度: 23℃
【0292】
(露光、現像)
その後、この硬化性組成物層を、2.5kWの超高圧水銀灯により線幅20μmのテスト用フォトマスクを用いてパターン状に露光し、露光後、層表面の全体を有機系現像液(商品名:CD、富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)の10%水溶液で被い、60秒間静止して現像処理した。
【0293】
(加熱処理)
静止後、純水をシャワー状に噴射して現像液を洗い流し、プリベーク及び現像処理が施された硬化性組成物層を220℃のオーブンにて1時間加熱した(ポストベーク)。これにより、ガラス基板上に硬化性組成物層が硬化されてなる着色パターンが形成されたカラーフィルタを得た。
【0294】
(硬化性組成物及びそれを用いて得られた着色パターンの評価)
上記で調製した硬化性組成物1溶液(塗布液)の保存安定性、及び硬化性組成物を用いてガラス基板上に形成された硬化性組成物層の露光感度、支持体密着性、現像性、及びパターン断面形状を下記のようにして評価した。評価結果は下記表3に示す。
【0295】
(3−1)硬化性組成物の経時での保存安定性
上記で調製した硬化性組成物(塗布液)を室温で1ヶ月保存した後、液の粘度をE型粘度計(東京計器社製)により測定し、下記基準にしたがって評価した。
−評価基準−
○:粘度上昇は認められなかった。
△:保存前の粘度に対して5%以上10%未満の粘度上昇が認められた。
×:保存前の粘度に対して10%以上の粘度上昇が認められた。
【0296】
(3−2)硬化性組成物層の露光感度
塗布後の硬化性組成物層を、露光量を10〜100mJ/cmの範囲で種々の露光量に変更して露光し、ポストベーク後のパターン線幅が20μmとなる露光量を露光感度として評価した。露光感度は、値が小さいほど高感度であることを示す。
【0297】
(3−3)現像性、パターン断面形状、支持体密着性
ポストベーク後の基板表面及びパターンの断面形状を、光学顕微鏡及びSEM写真観察により確認し、それぞれ下記に示すようにして、現像性、パターン断面形状、支持体密着性を評価した。評価方法及び評価基準の詳細は以下の通りである。
【0298】
〈3−3−1.現像性〉
上記露光、現像において、光が照射されなかった領域(未露光部)の残渣の有無を観察し、下記評価基準にしたがって現像性を評価した。
−評価基準−
○:未露光部には、残渣が全く確認されなかった。
△:未露光部に残渣が僅かに確認されたが、実用上問題のない程度であった。
×:未露光部に残渣が確認された。
【0299】
〈3−3−2.パターン断面形状〉
形成された着色パターンの断面形状を観察し、評価した。パターン断面形状は、順テーパーであることが最も好ましく、矩形が次に好ましい。逆テーパーは好ましくない。
【0300】
〈3−3−3.支持体密着性〉
支持体密着性の評価は、パターン欠損が発生しているか否かを観察することにより、下記評価基準にしたがって行なった。
−評価基準−
○:パターン欠損が全く観察されなかった。
△:パターン欠損が殆ど観察されなかったが、一部分欠損が観察された。
×:パターン欠損が著しく観察された。
【0301】
(実施例2〜3)
実施例1において使用した特定樹脂(I)を、前記合成例2〜3で得られた高分子化合物(特定樹脂(II)、特定樹脂(III))にそれぞれ代えたこと以外、実施例1と同様にして、赤色の顔料分散組成物および硬化性組成物を調製し、実施例1と同様の評価を行なった。結果を下記表1に示す。
【0302】
(実施例4)
実施例1において、赤色の顔料分散組成物(P1)を下記組成(2)の緑色顔料を含有する混合溶液を用いて得られた顔料分散組成物(P2)に代えたこと以外、実施例1と同様にして、緑色の顔料分散組成物を調製し、実施例1と同様の評価を行なった。結果を下記表1に示す。
〔組成(2)〕
・C.I.ピグメントグリーン36 …60部
・C.I.ピグメントイエロー150 …40部
・特定樹脂(I)の30%プロピレングリコールモノメチルエーテル
アセテート溶液 …150部
・1−メトキシ−2−プロピルアセテート …750部
【0303】
(実施例5〜6)
実施例4において用いた特定樹脂(I)を前記特定樹脂(II)及び特定樹脂(III)に代えたこと以外、実施例4と同様にして、緑色の顔料分散組成物および硬化性組成物を調製し、実施例4と同様の評価を行なった。結果を下記表1に示す。
【0304】
(実施例7)
実施例1において、赤色の顔料分散組成物(P1)を下記組成(3)の青色顔料を含有する混合溶液を用いて得られた青色の顔料分散組成物(P3)に代えたこと以外、実施例1と同様にして、青色の顔料分散組成物および硬化性組成物を調製し、実施例1と同様の評価を行なった。結果を下記表1に示す。
〔組成(3)〕
・C.I.ピグメントブルー15;6 …85部
・C.I.ピグメントバイオレット23 …15部
・特定樹脂(I)の30%プロピレングリコールモノメチルエーテル
アセテート溶液 …150部
・1−メトキシ−2−プロピルアセテート …750部
【0305】
(実施例8〜9)
実施例7において、前記特定樹脂(I)を、前記特定樹脂(II)〜特定樹脂(III)に代えたこと以外、実施例7と同様にして、青色の顔料分散組成物および硬化性組成物を調製し、実施例7と同様の評価を行なった。結果を下記表1に示す。
【0306】
(比較例1)
実施例1において、前記樹脂(I)を比較樹脂(X)に代えたこと以外、実施例1と同様にして、赤色の顔料分散組成物および硬化性組成物を調製し、実施例1と同様の評価を行なった。結果を下記表1に示す。
【0307】
(比較例2)
実施例4において、前記特定樹脂(I)を比較樹脂(X)に代えたこと以外、実施例4と同様にして、緑色の顔料分散組成物および硬化性組成物を調製し、実施例1と同様の評価を行なった。結果を下記表1に示す。
【0308】
(比較例3)
実施例7において、前記樹脂(I)を比較樹脂(X)に代えたこと以外、実施例7と同様にして、青色の顔料分散組成物および硬化性組成物を調製し、実施例1と同様の評価を行なった。結果を下記表1に示す。
【0309】
【表1】

【0310】
表1の結果から、本発明の顔料分散液を用いて調製した各実施例の硬化性組成物は、顔料分散性に優れ、溶液状態における保存安定性に優れたものであることがわかる。
また、この硬化性組成物を用いて、支持体上で着色パターンを形成した場合には、これら特定樹脂を含まない各比較例に対して、露光感度が高く、現像性に優れると共に、支持体密着性、パターン断面形状の何れにも優れたカラーフィルタが得られることがわかる。
【0311】
(実施例10)
−レジスト液の調製−
下記組成の成分を混合して溶解し、レジスト液を調製した。
〈レジスト液の組成〉
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート …19.20部
(PGMEA:(C)溶剤)
・乳酸エチル[(C)溶剤] …36.67部
・メタクリル酸ベンジル/メタクリル酸/メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル
(モル比=60/22/18)共重合体の40%プロピレングリコール
モノメチルエーテルアセテート(PGMEA)溶液
[(G)バインダーポリマー] …30.51部
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
[(E)エチレン性不飽和二重結合含有の光重合性化合物] …12.20部
・重合禁止剤(p−メトキシフェノール) …0.0061部
・フッ素系界面活性剤 …0.83部
(F−475、大日本インキ化学工業(株)製)
・TAZ−107 …0.586部
(みどり化学社製;トリハロメチルトリアジン系の(D)光重合開始剤)
【0312】
−下塗り層付シリコンウエハーの作製−
6inchシリコンウエハーを、オーブン中で200℃下で30分間、加熱処理した。次いで、このシリコンウエハー上に前記レジスト液を乾燥膜厚が1.5μmになるように塗布し、更に220℃のオーブン中で1時間加熱乾燥させて下塗り層を形成し、下塗り層付シリコンウエハー基板を得た。
【0313】
−硬化性組成物(塗布液)の調製−
実施例1で得られた顔料分散液(P1)を用い、下記組成となるように撹拌、混合を行なって硬化性組成物2の溶液を調製した。
〈硬化性組成物2〉
・前記顔料分散液(P1) …1000部
・CGI−124 …20部
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製;オキシム系光重合開始剤)
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート[光重合性化合物] …20部
・TO−756(東亞合成社製、光重合性化合物) …35部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート …20部
(PGMEA;溶剤)
【0314】
−硬化性組成物によるカラーフィルタの作製及び評価−
(パターンの形成と感度の評価)
上記のように調製した硬化性組成物2の溶液を、前記の如くして得られた下塗り層付シリコンウエハーの下塗り層上に塗布し、着色層(塗布膜)を形成した。そして、この塗布膜の乾燥膜厚が0.7μmになるように、100℃のホットプレートを用いて120秒間加熱処理(プリベーク)を行なった。
次いで、i線ステッパー露光装置FPA−3000i5+(Canon(株)製)を使用して、365nmの波長でパターンが1.5μm四方のIslandパターンマスクを通して50〜1200mJ/cmの範囲で種々の露光量で露光した。
その後、露光後の塗布膜が形成されているシリコンウエハー基板をスピン・シャワー現像機(DW−30型、(株)ケミトロニクス製)の水平回転テーブル上に載せ、CD−2000(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)を用いて23℃で60秒間、パドル現像を行ない、シリコンウエハーに着色パターンを形成した。
【0315】
着色パターンが形成されたシリコンウエハーを真空チャック方式で前記水平回転テーブルに固定し、回転装置によって該シリコンウエハーを回転数50r.p.m.で回転させつつ、その回転中心の上方より純水を噴出ノズルからシャワー状に供給してリンス処理を行ない、その後スプレー乾燥した。
【0316】
その後、測長SEM「S−9260A」(日立ハイテクノロジーズ(株)製)を用いて、着色パターンのサイズを測定した。パターン線幅が1.5μmとなる露光量を露光感度として評価した。露光感度は、値が小さいほど感度が高いことを示す。測定結果は下記表4に示す。
【0317】
(性能評価)
感度以外の評価について、上記で調製した顔料分散液の保存安定性、微細分散性、並びに硬化性組成物の溶液(塗布液)の保存安定性、及び硬化性組成物を用いてガラス基板上に形成された硬化性組成物層の支持体密着性、現像性、及びパターン断面形状を、上記の実施例1における性能評価と同様にして評価した。評価結果は下記表2に示す。
なお、パターン断面形状については、矩形が好ましく、逆テーパ状は好ましくない。
【0318】
(色ムラの評価)
輝度分布を下記方法で解析し、平均からのズレが±5%以内である画素が全画素数に占める割合をもとに色ムラを評価した。評価基準は以下の通りである。
まず、硬化性組成物2の溶液を、前記と同様の方法で得られた下塗り層付ガラス板の下塗り層上に塗布し、着色層(塗布膜)を形成した。この塗布膜の乾燥膜厚が0.7μmになるように、100℃のホットプレートを用いて120秒間加熱処理(プリベーク)を行なった。この塗布済みガラス板の輝度分布を、顕微鏡MX−50(オリンパス社製)にて撮影した画像から解析した。
−評価基準−
○:平均からのズレが±5%以内である画素が全画素数中の99%以上
△:平均からのズレが±5%以内である画素が全画素数中の95%以上99%未満
×:平均からのズレが±5%以内である画素が全画素数中の95%未満
【0319】
(実施例11〜12)
実施例10において用いた特定樹脂(I)を、前記合成例2〜3で得られた特定樹脂(II)〜特定樹脂(III)にそれぞれ代えたこと以外、実施例10と同様にして、赤色の顔料分散組成物および硬化性組成物を調製し、実施例10と同様の評価を行なった。結果を下記表2に示す。
【0320】
(実施例13)
実施例10において、赤色の顔料分散組成物(P1)を緑色の顔料分散組成物(P2)に代えたこと以外、実施例10と同様にして、緑色の顔料分散組成物を調製し、実施例10と同様の評価を行なった。結果を下記表2に示す。
【0321】
(実施例14〜15)
実施例13において用いた特定樹脂(I)を、前記合成例2〜3で得られた特定樹脂(II)〜特定樹脂(III)にそれぞれ代えたこと以外、実施例13と同様にして、緑色の顔料分散組成物および硬化性組成物を調製し、実施例10と同様の評価を行なった。結果を下記表2に示す。
【0322】
(実施例16)
実施例10において、赤色の顔料分散組成物(P1)を青色の顔料分散組成物(P3)に代えたこと以外、実施例10と同様にして、青色の顔料分散組成物および硬化性組成物を調製し、実施例10と同様の評価を行なった。結果を下記表2に示す。
【0323】
(実施例17〜18)
実施例16において、特定樹脂(I)を、前記合成例2〜3で得られた特定樹脂(II)〜特定樹脂(III)にそれぞれ代えたこと以外、実施例16と同様にして、青色の顔料分散組成物および硬化性組成物を調製し、実施例10と同様の評価を行なった。結果を下記表2に示す。
【0324】
(比較例4)
実施例10において、前記特定樹脂(I)を比較樹脂(X)に代えたこと以外、実施例10と同様にして、赤色の顔料分散組成物および硬化性組成物を調製し、実施例10と同様の評価を行なった。結果を下記表2に示す。
【0325】
(比較例5)
実施例13において、前記特定樹脂(I)を比較樹脂(X)に代えたこと以外、実施例13と同様にして、緑色の顔料分散組成物および硬化性組成物を調製し、実施例13と同様の評価を行なった。結果を下記表2に示す。
【0326】
(比較例6)
実施例16において、前記特定樹脂(I)を比較樹脂(X)に代えたこと以外、実施例16と同様にして、青色の顔料分散組成物および硬化性組成物を調製し、実施例16と同様の評価を行なった。結果を下記表2に示す。
【0327】
【表2】

【0328】
表2の結果から、本発明の硬化性組成物は、その溶液状態において保存安定性に優れたものであることが判る。また、この硬化性組成物を用いて、支持体上で着色パターンを形成した場合には、特定樹脂を用いていない各比較例に対して、露光感度が高く、現像性に優れる。さらに、本発明の硬化性組成物を用いて着色パターンを形成した固体撮像素子用途のカラーフィルタは、基板密着性、パターン断面形状の何れにも優れ、色ムラが少ないという特性を有することがわかる。
これらの結果より、実施例の硬化性組成物は、1.5μm四方といった微細な着色パターンを有する固体撮像素子用途のカラーフィルタを作製する場合においても、液晶表示素子用途のカラーフィルタを作製する場合と同様に、優れたパターン形成性が実現されることがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)エチレン性不飽和二重結合がペンダントされた構造を有し、且つ、分子内に親水性基を有する樹脂であって、該樹脂の単位重量当たりのエチレン性不飽和二重結合当量を(a)mol/g、単位重量当たりの水酸基当量を(b)mol/gとした場合に「(a)>(b)」が成り立つことを特徴とする樹脂と、(B)顔料と、(C)溶剤と、を含有する顔料分散組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の顔料分散組成物と(D)光重合開始剤とを含有する硬化性組成物。
【請求項3】
さらに(E)光重合性化合物を含有する請求項2に記載の硬化性組成物。
【請求項4】
支持体上に、請求項2又は請求項3に記載の硬化性組成物により形成された着色パターンを有するカラーフィルタ。
【請求項5】
請求項2又は請求項3記載の硬化性組成物を調製する工程と、
支持体上に、該硬化性組成物を含む塗布液を塗布して、該硬化性組成物からなる着色層を形成する着色層形成工程と、
該着色層を、マスクを介してパターン様に露光する露光工程と、
露光後の着色層を現像して着色パターンを形成する現像工程と、
を含むカラーフィルタの製造方法。

【公開番号】特開2008−308603(P2008−308603A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−158650(P2007−158650)
【出願日】平成19年6月15日(2007.6.15)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】