説明

顔料分散組成物、硬化性組成物、並びにカラーフィルタ及びその製造方法

【課題】酸性分散樹脂と塩基性分散樹脂のいずれを用いた場合でも、高分散性および高分散安定性を有する顔料分散組成物、これを用いた硬化性組成物を提供することを目的とする。さらに、本発明の硬化性組成物を用いることにより、高分散性、高分散安定性および高現像性を両立できるカラーフィルタおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】(A)塩基性基または酸性基を有する樹脂、(B)顔料部分骨格または顔料類似骨格と、塩基性基および酸性基を同一分子内に有する顔料誘導体、(C)顔料、および、(D)溶剤を含有することを特徴とする顔料分散組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラーフィルタ、カラープルーフ等の画像材料や、インクや塗料などの光硬化性材料を構成するのに利用することができる顔料誘導体を含む顔料分散組成物、並びに液晶表示素子(LCD)や固体撮像素子(CCD、CMOSなど)等に用いられるカラーフィルタなど着色領域の形成に好適な硬化性組成物、該硬化性組成物を用いたカラーフィルタおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、顔料は、鮮明な色調と高い着色力とを示し、多くの分野で広く使用されている。これらの顔料の中でも、実用上重要なものは一般に微細な粒子のものが多く、該顔料の凝集を防ぎ微細化することによって、鮮明な色調と高い着色力とを得ている。しかし、顔料をより微細化していくと、その表面積が増加するために凝集が促進され、該顔料の分散液は高粘度を示すことが多い。このため、この顔料分散液を工業的規模で調製した場合、顔料分散液の分散機からの取り出しが困難となったり、パイプラインによる輸送ができなくなったり、さらには貯蔵中にゲル化して使用不能となる、等の問題がある。
【0003】
そこで、従来は、流動性、分散性等に優れた顔料分散液あるいは着色感光性組成物を得るため、種々の分散剤を使用することが知られている。この分散剤は、ポリマー系分散剤と低分子化合物分散剤とに大別される。
ポリマー系分散剤としては、ポリアクリル酸塩、マレイン酸ナトリウムオレフィン共重合体、末端カルボキシル基含有ポリエステル、テトラキス(2−ヒドロキシアルキル)エチレンジアミンを出発物質とする酸性基及び/又は塩基性基を有するポリエステル、マクロモノマー(末端にエチレン性不飽和基を有するオリゴマー)、水酸基を有するモノマー、カルボキシ基含有モノマー及びこれら以外のモノマーの4種からなる共重合体等が知られている。
また、低分子化合物分散剤としては、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルジアミン、アルカノールアミン誘導体等が知られており、また、顔料母核を導入した分散剤の例がある(例えば、特許文献1〜2参照)。
【0004】
ところで、顔料を含有する着色感光性組成物は、固体撮像素子や液晶ディスプレイ等に用いるカラーフィルタの材料等として有用であり、該着色感光性組成物を用いてカラーフィルタを製造する場合、品質、製造安定性等の点で優れる顔料分散法が広く採用されている。
【0005】
中でも、顔料を用いたカラーフィルタを液晶ディスプレイ用のカラーフィルタとして用いる場合、コントラスト向上のため、使用する着色剤(有機顔料等)の粒子サイズとしてより微小なものが求められている(例えば、特許文献3参照)。これは、顔料による光の散乱、複屈折等で偏光軸が回転してしまうとの要因によるものである。顔料の微細化が充分でない場合には、顔料によって光が散乱し、吸収され、光透過率が低下してしまうため、コントラストが低くなってしまい、更には露光によりパターン化する際の硬化感度が低下する(例えば、非特許文献1参照)。このため、顔料を分散して含有する着色感光性組成物においては、顔料を微細化した状態で、高度に分散させることが必要とされる。
【0006】
これまでに有機顔料を母体骨格として側鎖に酸性や塩基性の置換基を有する顔料誘導体を分散剤として混合し、顔料誘導体とワニス中の樹脂成分との相互作用により顔料分散を安定化する方法が知られている(例えば、特許文献4〜8参照。)。
【0007】
【特許文献1】特公平5−72943号公報
【特許文献2】特開平8−48890号公報
【特許文献3】特開2000−321763号公報
【特許文献4】特公昭41−2466号公報
【特許文献5】米国特許第2855403号公報
【特許文献6】特開昭63−305173号公報
【特許文献7】特開平1−247468号公報
【特許文献8】特開平3−26767号公報
【非特許文献1】512色表示10.4”サイズTFT−LCD用カラーフィルタ、植木、小関、福永、山中、第7回色彩光学コンファレンス(1990年)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、カラーフィルタ用着色硬化性組成物には種々の樹脂が用いられているため、顔料誘導体と着色硬化性組成物中の樹脂が常に有効に作用するとは限らず、上記の方法では、一部の樹脂系を除いて満足な効果が得られていないのが実情である。
つまり、従来の技術では、分散樹脂に含まれる極性基が酸性基か塩基性基かによって、すなわち分散樹脂が有する極性基が酸性基か塩基性基かによって顔料誘導体の分散作用が影響を受けやすく、分散作用を十分に発揮できない場合がある。
【0009】
本発明は、酸性分散樹脂と塩基性分散樹脂のいずれを用いた場合でも、顔料の高分散性および高分散安定性を有する顔料分散組成物、これを用いた硬化性組成物を提供することを目的とする。さらに、本発明の硬化性組成物を用いることにより、高分散性、高分散安定性および高現像性を両立できるカラーフィルタおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明における顔料分散組成物は、塩基性基または酸性基のどちらかを含む分散樹脂と、顔料部分骨格または顔料類似骨格と、塩基性基および酸性基を同一分子内に有する顔料誘導体と、顔料と、を溶剤に分散させることにより、低粘度で分散性と保存安定性に優れる。さらに当該顔料分散組成物を用いた硬化性組成物は、高現像性を両立できる塗膜を形成し得るものである。
【0011】
前記課題を達成するための具体的手段は以下の通りである。
<1>(A)塩基性基または酸性基を有する樹脂、(B)顔料部分骨格または顔料類似骨格、塩基性基および酸性基を同一分子内に有する顔料誘導体、(C)顔料、および、(D)溶剤を含有することを特徴とする顔料分散組成物。
<2>前記(B)顔料部分骨格または顔料類似骨格、塩基性基および酸性基を同一分子内に有する顔料誘導体が、4級アンモニウム塩とカルボン酸塩、または4級アンモニウム塩とスルホン酸塩を同一分子内に含有する骨格を有する化合物であることを特徴とする前記<1>に記載の顔料分散組成物。
【0012】
<3>前記(B)顔料部分骨格または顔料類似骨格、塩基性基および酸性基を同一分子内に有する顔料誘導体が、下記一般式(I)〜一般式(III)のいずれかで表される化合物であることを特徴とする前記<1>または<2>に記載の顔料分散組成物。
【0013】
【化1】

【0014】
Pは顔料部分構造または顔料類似構造を示し、Y,Zはそれぞれ独立に単結合もしくは2価の連結基を示し、Yは3価の連結基を示す。R、RおよびRはそれぞれ独立に水素原子または炭素数1〜10のアルキル基を示す。Nは窒素原子を示し、Aはスルホン酸またはカルボン酸を示す。
【0015】
<4>前記<1>〜<3>のいずれかに記載の顔料分散組成物、(E)光重合開始剤、および、(F)光重合性化合物を含有することを特徴とする硬化性組成物。
<5>支持体上に、前記<4>に記載の硬化性組成物により形成された着色パターンを有することを特徴とするカラーフィルタ。
<6>支持体上に、前記<4>に記載の硬化性組成物を塗布して前記硬化性組成物からなる着色層を形成する着色層形成工程と、前記着色層をマスクを介してパターン様に露光する露光工程と、露光後の前記着色層を現像して着色パターンを形成する現像工程と、を含むことを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、酸性分散樹脂と塩基性分散樹脂のいずれを用いた場合でも、顔料の高分散性および高分散安定性を有する顔料分散組成物、これを用いた硬化性組成物を提供することができる。さらに、本発明の硬化性組成物を用いることにより、高分散性、高分散安定性および高現像性を両立できるカラーフィルタおよびその製造方法を提供することができる
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の顔料分散組成物は、塗料、印刷インキ、カラー表示板等の広い用途に好適に使用することができる。以下、本発明の顔料誘導体、顔料分散組成物、及びこれを用いた硬化性組成物、並びに該硬化性組成物を用いたカラーフィルタ及びその製造方法について詳細に説明する。
【0018】
〔顔料分散組成物〕
本発明の顔料分散組成物は、(A)塩基性基または酸性基を有する樹脂、(B)顔料部分骨格または顔料類似骨格、塩基性基および酸性基を同一分子内に有する顔料誘導体、(C)顔料、および、(D)溶剤を少なくとも含んでなり、更に必要に応じて、他の成分を用いて構成することができる。
以下、本発明の顔料分散組成物を構成する各成分について詳述する。
【0019】
<(A)塩基性基または酸性基を有する樹脂>
塩基性基または酸性基を有する樹脂とは、不飽和二重結合を有する分散樹脂(単に、「分散樹脂」ともいう。)である。
分散樹脂は、不飽和二重結合を有する樹脂であれば、特に限定されず用いることができるが、光感度向上の観点から、不飽和当量が3,000未満が好ましく、より好ましくは1,500未満、更に好ましくは600未満である。
【0020】
ここで、不飽和当量とは、不飽和結合一つあたりの樹脂の分子量を意味する。
分散樹脂の不飽和当量を3,000未満とすることにより、つまり、分散樹脂分子中において不飽和二重結合数が増加することにより、光重合性、感度が向上し、重合性向上により支持体密着性も向上し、テーパー状ないし矩形状のパターンがより得られる傾向となり好ましい。
【0021】
また、不飽和当量の下限値は、150近辺が望ましい。不飽和当量を150以上に抑えることにより、顔料の分散時の粘度上昇が抑えられ、保存時の分散安定性のより良好な組成物が得られる傾向となる点で好ましい。
【0022】
分散樹脂の重量平均分子量(Mw)は、顔料の分散性が良好な点から、好ましくは1,000〜100,000であり、さらに好ましくは5,000〜50,000である。
【0023】
分散樹脂の含有量は、顔料100重量部に対して、好ましくは0.01〜40重量部であり、さらに好ましくは5〜30重量部である。分散樹脂の含有量が0.01重量部未満の場合は、顔料分散性が不充分で明度の向上効果が低い。また、40重量部を越える場合は、得られる着色組成物の粘度が高くなりチキソ性が発現し、塗工適性が低くなる。
【0024】
分散樹脂としては、例えば、カルボキシル基含有樹脂にグリシジル(メタ)クリレート、アリルグリシジルエーテル等のグリシジル基含有不飽和化合物やアリルアルコール、2−ヒドロキシアクリレート、2−ヒドロキシメタクリレート等の不飽和アルコールを反応させた樹脂、水酸基を有するカルボキシル基含有樹脂に遊離イソシアネート基含有不飽和化合物、不飽和酸無水物を反応させた樹脂、エポキシ樹脂と不飽和カルボン酸との付加反応物に多塩基酸無水物を反応させた樹脂、共役ジエン共重合体と不飽和ジカルボン酸無水物との付加反応物に水酸基含有重合性モノマーを反応させた樹脂、塩基処理によって脱離反応が生起され不飽和基を与える特定官能基を有する樹脂を合成し、該樹脂に塩基処理を施すことで不飽和基を生成させた樹脂等が代表的な樹脂として挙げられる。
【0025】
中でも、カルボキシル基含有樹脂にグリシジル(メタ)クリレート、アリルグリシジルエーテル等のグリシジル基含有不飽和化合物を反応させた樹脂、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル系化合物を重合させた樹脂に(メタ)アクリル酸−2−イソシアネートエチル等の遊離イソシアネート基を有する(メタ)アクリル酸エステルを反応させた樹脂、後述の一般式(1)〜(3)で表される構造単位を有する樹脂、塩基処理によって脱離反応が生起され不飽和基を与える特定官能基を有する樹脂を合成し、該樹脂に塩基処理を施すことで不飽和基を生成させた樹脂等がより好ましい。
【0026】
分散樹脂は、不飽和二重結合部分として、下記一般式(1)〜(3)のいずれかで表される構造単位から選ばれる少なくとも一つを有する高分子化合物が好ましい。
【0027】
【化2】

【0028】
前記一般式(1)〜(3)において、A、A、及びAは、それぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、又は−N(R21)−を表し、R21は水素原子または置換基を有してもよいアルキル基を表す。G、G、及びGは、それぞれ独立に2価の有機基を表す。X及びZは、それぞれ独立に酸素原子、硫黄原子、又は−N(R22)−を表し、R22は水素原子または置換基を有してもよいアルキル基を表す。Yは、酸素原子、硫黄原子、置換基を有してもよいフェニレン基、又は−N(R23)−を表し、R23は水素原子または置換基を有してもよいアルキル基を表す。R〜R20は、それぞれ独立に1価の有機基を表す。
【0029】
前記一般式(1)において、R〜Rはそれぞれ独立に、1価の有機基を表すが、具体的には例えば、水素原子または置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられる。
中でも、RおよびRとしては水素原子が好ましく、Rとしては水素原子またはメチル基が好ましく、Rとしては、水素原子、メチル基、またはエチル基が好ましい。
上記導入しうる置換基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、イソプロピオキシカルボニル基、メチル基、エチル基、フェニル基等が挙げられ、中でもメチル基がより好ましい。
【0030】
また、RおよびRとしては具体的には例えば、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、または置換基を有してもよいアリールスルホニル基などが挙げられ、中でも、水素原子、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有しもよいアリール基が好ましい。
上記導入しうる置換基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、イソプロピオキシカルボニル基、メチル基、エチル基、フェニル基等が挙げられ、中でもメトキシカルボニル基がより好ましい。
【0031】
は、酸素原子、硫黄原子、又は、−N(R21)−を表し、Xは、酸素原子、硫黄原子、又は−N(R22)−を表す。ここで、R21およびR22としては、水素原子または置換基を有してもよいアルキル基が挙げられる。
上記アルキル基としては、炭素数1〜10のアルキル基が挙げられ、より好ましくは炭素数1〜5のアルキル基であり、更に好ましくは炭素数1〜3のアルキル基である。
【0032】
は、2価の有機基を表し、中でも、置換基を有してもよいアルキレン基が好ましく、より好ましくは、置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルキレン基、置換基を有してもよい炭素数3〜20のシクロアルキレン基、置換基を有してもよい炭素数6〜20の芳香族基などが挙げられる。また置換基を有してもよい炭素数1〜10の直鎖状あるいは分岐状アルキレン基、置換基を有してもよい炭素数3〜10のシクロアルキレン基、置換基を有してもよい炭素数6〜12の芳香族基が強度、現像性等の性能上、更に好ましい。
【0033】
ここで、Gにおける上記置換基としては、水素原子とヘテロ原子とが結合した基が挙げられ、例えば、アミノ基、チオール基、カルボキシル基を含まないもの等が好ましい。ただし水酸基は除く。
【0034】
前記一般式(2)において、R〜Rはそれぞれ独立に、1価の有機基を表すが、具体的には例えば、水素原子または置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられ、中でも、RおよびRは水素原子が好ましく、Rは水素原子またはメチル基が好ましい。
【0035】
10〜R12は、それぞれ独立に1価の有機基を表すが、具体的には例えば、水素原子、ハロゲン原子、ジアルキルアミノ基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基などが挙げられる。中でも、水素原子、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基または置換基を有してもよいアリール基が好ましい。
ここで、上記導入可能な置換基としては、一般式(1)において挙げたものと同様のものが挙げられ、好ましい範囲も同様である。
【0036】
は、酸素原子、硫黄原子、または、−N(R21)−を表し、R21としては、水素原子または置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられる。
上記アルキル基としては、炭素数1〜10のアルキル基が挙げられ、より好ましくは炭素数1〜5のアルキル基であり、更に好ましくは炭素数1〜3のアルキル基である。
【0037】
は、2価の有機基を表すが、置換基を有してもよいアルキレン基が好ましい。より好ましくは、置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルキレン基、置換基を有してもよい炭素数3〜20のシクロアルキレン基、置換基を有してもよい炭素数6〜20の芳香族基などが挙げられる。また、置換基を有してもよい炭素数1〜10の直鎖状あるいは分岐状アルキレン基、置換基を有してもよい炭素数3〜10のシクロアルキレン基、置換基を有してもよい炭素数6〜12の芳香族基が強度、現像性等の性能上、更に好ましい。
ここで、Gにおける上記置換基としては、水素原子とヘテロ原子とが結合した基が挙げられ、例えば、アミノ基、チオール基、カルボキシル基を含まないもの等が好ましい。ただし水酸基は除く。
【0038】
Yは、酸素原子、硫黄原子、−N(R23)−または置換基を有してもよいフェニレン基を表す。ここで、R23としては、水素原子または置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられる。
上記アルキル基としては、炭素数1〜10のアルキル基が挙げられ、より好ましくは炭素数1〜5のアルキル基であり、更に好ましくは炭素数1〜3のアルキル基である。
【0039】
前記一般式(3)において、R13〜R15はそれぞれ独立に、1価の有機基を表すが、水素原子または置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられ、中でも、R13およびR14は水素原子が好ましく、R15は水素原子またはメチル基が好ましい。
【0040】
16〜R20は、それぞれ独立に、1価の有機基を表すが、具体的には例えば、水素原子、ハロゲン原子、ジアルキルアミノ基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基などが挙げられ、中でも、水素原子、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基または置換基を有してもよいアリール基が好ましい。
ここで上記導入しうる置換基としては、一般式(1)において挙げたものと同様のものが挙げられ、好ましい範囲も同様である。
【0041】
は、酸素原子、硫黄原子、又は−N(R21)−を表し、Zは、酸素原子、硫黄原子、又は−N(R22)−を表す。R21およびR22としては、一般式(1)におけるのと同様のものが挙げられる。
【0042】
は、2価の有機基を表し、中でも置換基を有してもよいアルキレン基が好ましく、より好ましくは、置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルキレン基、置換基を有してもよい炭素数3〜20のシクロアルキレン基、置換基を有してもよい炭素数6〜20の芳香族基などが挙げられる。また置換基を有してもよい炭素数1〜10の直鎖状あるいは分岐状アルキレン基、置換基を有してもよい炭素数3〜10のシクロアルキレン基、置換基を有してもよい炭素数6〜12の芳香族基が強度、現像性等の性能上、更に好ましい。
【0043】
ここで、Gにおける上記置換基としては、水素原子とヘテロ原子とが結合した基が挙げられ、例えば、アミノ基、チオール基、カルボキシル基を含まないものが好ましい。ただし水酸基は除く。
【0044】
前記一般式(1)〜(3)で表される構造単位は、硬化性向上及び現像残渣低減の観点から、1分子中に20〜95モル%の範囲で含まれる化合物が好ましい。より好ましくは、25〜90モル%であり、更に好ましくは30〜85モル%の範囲である。
【0045】
前記一般式(1)〜(3)で表される構造単位を有する高分子化合物の合成は、特開2003−262958号公報の段落番号[0027]〜[0057]に記載の合成方法に基づいて行なうことができる。この中では、同公報中の合成方法1)によるのが好ましい。
【0046】
高分子化合物の合成において、ラジカル重合時に用いられる開始剤としては、ベンゾイルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、ジt−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート等の有機過酸化物、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物等が挙げられる。開始剤はエチレン性不飽和単量体100重量部に対して好ましくは1〜20重量部使用される。
また、溶剤としては、水および/または水混和性有機溶剤、またはエチルセルソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどの酢酸エステル;シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類;キシレン、エチルベンゼンなどを用いることができる。水混和性有機溶剤としては、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール等のアルコール系溶剤や、エチレングリコールまたはジエチレングリコールのモノまたはジアルキルエーテル等が挙げられる。
【0047】
前記一般式(1)〜(3)で表される構造単位を有する高分子化合物の具体的な化合物例としては、下記の高分子化合物1〜22を挙げることができる。
【0048】
【化3】

【0049】
【化4】

【0050】
【化5】

【0051】
【化6】

【0052】
【化7】

【0053】
<(B)顔料部分骨格または顔料類似骨格と、塩基性基および酸性基を同一分子内に有する顔料誘導体>
本発明の顔料分散組成物に含まれる顔料部分骨格または顔料類似骨格と、塩基性基および酸性基を同一分子内に有する顔料誘導体(以下「本発明の顔料誘導体」ともいう)について詳細に説明する。
【0054】
本発明の顔料誘導体は、発色原子団に代表される顔料構造(顔料骨格)あるいは顔料類似構造と、酸性基と、塩基性基と、を同一分子内に有する化合物であり、顔料構造(顔料骨格)あるいは顔料類似構造(通常は環構造を含む)に酸性基及び塩基性基がそれぞれ結合している態様が好ましい。
本発明の顔料誘導体を構成する顔料部分構造としては、以下に挙げる有機顔料の主骨格、あるいは該主骨格に類似の構造を有するものが挙げられる。そのような有機顔料としては、例えば、ジケトピロロピロール系顔料、アゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、ジアミノジアントラキノン、アントラピリミジン、フラバントロン、アントアントロン、インダントロン、ピラントロン、ビオラントロン等のアントラキノン系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、チオインジゴ系顔料、イソインドスルホン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、スレン系顔料、金属錯体系顔料が挙げられる。
なお、顔料類似構造とは、顔料分散組成物に含まれる有機顔料が有する環構造と類似の環構造を有することで、該有機顔料と相互作用を形成しうる部分構造のことをいい、例えば、ピグメントイエロー139におけるバルビツール酸や、ピグメントイエロー138、ピグメントイエロー150におけるフタルイミド、テトラクロロフタルイミドや、ピグメントグリーン36におけるフタロシアニンなどが挙げられる。
【0055】
本発明の顔料誘導体に含有される酸性基としては、カルボン酸、カルボン酸塩、スルホン酸、スルホン酸塩、フェノール等が挙げられ、これらの酸性基は顔料骨格には含まれなず、前記一般式(I)〜(III)で表されるがごとく、顔料の部分構造に直接または連結基を介して結合されている。
また同様に本発明の顔料誘導体に含有される塩基性基としては、アミノ基、アンモニウム塩、アミド基、ピリジン、キノリン等が挙げられ、これらの塩基性基は同様に、顔料骨格には含まれず、前記一般式(I)〜(III)で表されるがごとく、顔料の部分構造と直接または連結基を介して結合されている。
即ち、上記有機顔料を構成する発色原子団は、含窒素環構造、即ち、環状アミン構造、環状ウレア構造を有するものが多いが、このような環構造内に含まれる塩基性基は、本発明に係る顔料誘導体が有する塩基性基には包含されず、このような環構造とは別に塩基性基を有することが必要である。
なお、一般式(I)〜一般式(III)における塩基性基および酸性基は、分子内塩として存在することも可能である。
【0056】
本発明の顔料誘導体としては、顔料部分骨格または顔料類似骨格と、4級アンモニウム塩とカルボン酸塩、または、4級アンモニウム塩とスルホン酸塩を同一分子内に有する骨格を有する化合物であることが合成の観点からより好ましい。
【0057】
本発明の顔料誘導体は下記一般式(I)〜一般式(III)で表される顔料誘導体であることが好ましい。
【0058】
【化8】

【0059】
Pは顔料部分構造または顔料類似構造を示し、ジケトピロロピロール系顔料、アゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、ジアミノジアントラキノン、アントラピリミジン、フラバントロン、アントアントロン、インダントロン、ピラントロン、ビオラントロン等のアントラキノン系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、チオインジゴ系顔料、イソインドスルホン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、スレン系顔料、金属錯体系顔料が挙げられる。
,Zはそれぞれ独立に単結合または置換基を有していてもよい2価の連結基を示す。2価の連結基としては、好ましくは炭素数1〜10のアルキレン基、カルボニル基、エステル基、アミド基、酸素原子、または硫黄原子が挙げられる。より好ましくは炭素数1〜5のアルキレン基である。なお一般式(III)において、複数存在するZは互いに同一でも異なっていてもよい。
は置換基を有していてもよい3価の連結基を示す。3価の連結基としては、好ましくはメチン基、窒素原子、トリアジンが挙げられ、より好ましくはメチン基である。
【0060】
、RおよびRはそれぞれ独立に、水素原子または置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、アリール基を示し、より好ましくは水素原子または置換基を有していてもよい炭素数1〜5のアルキル基である。
また、導入可能な置換基としては、ヒドロキシ基、アルコキシ基、メルカプト基、アルキルオキシカルボニル基、アミド基が挙げられる。
【0061】
以下具体的な化合物例を挙げるが、本発明の顔料誘導体はこれに限定されるものではない。
これら化合物のうち前記一般式(I)で表される顔料誘導体は、B−35〜B−45、B−47〜B−52である。前記一般式(II)で表される顔料誘導体は、B−1、B−2、B−6、B−7、B−10、B−13、B−15、B−16、B−18、B−19、B−23、B−24、B−27、B−30、B−32、B−33、B−46である。前記一般式(III)で表される顔料誘導体は、B−3〜B−5、B−8、B−9、B−11、B−12、B−14、B−17、B−20〜B−22、B−25、B−26、B−28、B−29、B−31、B−34である。
【0062】
【化9】

【0063】
【化10】

【0064】
【化11】

【0065】
【化12】

【0066】
【化13】

【0067】
【化14】

【0068】
【化15】

【0069】
【化16】

【0070】
【化17】

【0071】
【化18】

【0072】
上記顔料誘導体の中でも、B−1、B−10、B−15、B−18、B−35、B−41、B−43、B−47、B−49の化合物がより好ましい。
【0073】
本発明の顔料誘導体は種々の合成経路により合成することができる。たとえば、酸性基と塩基性基の両方を含有するジケトピロロピロール骨格の場合には、それぞれ酸性基を含むベンゾニトリル、塩基性基を含むベンゾニトリルを合成し、コハク酸ジイソプロピルとのカップリング反応を行うことによって容易に合成が可能である。(文献:Bull.Soc.Chim.Belg.vol.97,615−643,(1988))
【0074】
酸性基と塩基性基の両方を含有するイソインドリン骨格の場合には、ジイミノアミノイソインドリンに対して酸性基を含むバルビツール酸1モルと塩基性基を含むバルビツール酸1モルを縮合させることで得ることが出来る。(文献:PCT Int.Appl.,2005085364,15 Sep 2005)
【0075】
酸性基と塩基性基の両方を含有するフタロシアニン骨格の場合には、酸性基を有する無水フタル酸と塩基性基を含む無水フタル酸から、アンモニア、尿素、塩化第一銅を作用させることで合成することが出来る(文献:Journal of Chemical Research,(6),404−406,2005)。
【0076】
また別法として下記式(9)〜(12)で表される置換基を導入した後、該置換基と反応して酸性基と塩基性基を形成するアミノ酸成分、もしくはタウリン成分、例えば、2−N,N−ジメチルアミノ酢酸、ジメチルアミノメタンスルホン酸等を反応させることによって得られる。
【0077】
また、酸性基としてスルホン酸基は式(9)を加水分解することによって得られる。カルボン酸基は式(10)を加水分解することで得られる。塩基性基としては式(12)に対してアルキルアミンを求核置換することでアミノ基を導入することができ、特にトリアルキルアミンを用いた場合には4級アルキルアンモニウム塩を得ることができる。
【0078】
式(9) −SOCl
式(10) −COCl
式(11) −CHNHCOCHCl
式(12) −CHCl
【0079】
本発明の顔料誘導体の合成例
(合成例1:B−23)
1L3つ口フラスコにt−アミルアルコール300mlとt−ブトキシカリウム0.2molを仕込んだ。5℃に冷却した後、4−(N,N−ジメチルアミノ)ベンゾニトリル0.1molと4−シアノベンゼンスルホン酸0.1molを加えて室温下で30分攪拌した。この反応溶液を100℃に加温し、コハク酸ジイソプロピル0.1molを2時間かけて滴下した。滴下後さらに2時間加熱攪拌を行った後、反応溶液を室温に戻した。これをアセトン1Lに滴下し、得られた赤色個体を濾取してさらに蒸留水1Lで洗浄した。50℃で5時間減圧加熱乾燥することで目的の顔料誘導体(B−23)を28%収率で得た。当該化合物のNMRスペクトルデータを以下に示す。1HNMR(d−DMSO)δ2.0(brs,1H),2.85(s,6H),6.54(d,J=3.8Hz,2H),7.12(d,J=4.2Hz,2H),7.58(d,J=3.8Hz,2H),7.82(d,J=4.2Hz,2H),8.0(brs,2H)
ジケトピロロピロール骨格を有する顔料誘導体B−1〜B−9、B−18〜B−26も同様の合成法で合成した。
【0080】
本発明の顔料誘導体の含有量は、顔料100重量部に対して、好ましくは0.001〜40重量部、さらに好ましくは1〜20重量部である。顔料誘導体の含有量が0.001重量%未満の場合および40重量%を越える場合は、得られる顔料分散組成物の粘度が高くなりチキソ性が発現し、塗工適性が低くなる。
【0081】
<(C)顔料>
本発明の顔料分散組成物に用いることができる顔料としては、従来公知の種々の無機顔料または有機顔料を用いることができる。また、高透過率であることが好ましいことを考慮すると、無機顔料、有機顔料いずれも、なるべく細かいものであることが好ましい。またハンドリング性をも考慮すると、上記顔料の平均粒子径は、0.01μm〜0.1μmが好ましく、0.01μm〜0.05μmがより好ましい。
【0082】
上記無機顔料としては、金属酸化物、金属錯塩等で示される金属化合物を挙げることができ、具体的には例えば、鉄、コバルト、アルミニウム、カドミウム、鉛、銅、チタン、マグネシウム、クロム、亜鉛、アンチモン等の金属酸化物、および前記金属の複合酸化物を挙げることができる。
【0083】
上記有機顔料としては、例えば、
C.I.ピグメントイエロー11,24,31,53,83,93,99,108,109,110,138,139,147,150,151,154,155,167,180,185,199,;
C.I.ピグメントオレンジ36,38,43,71;
C.I.ピグメントレッド81,105,122,149,150,155,171,175,176,177,209,220,224,242,254,255,264,270;
C.I.ピグメントバイオレット19,23,32,39;
C.I.ピグメントブルー1,2,15,15:1,15:3,15:6,16,22,60,66;
C.I.ピグメントグリーン7,36,37;
C.I.ピグメントブラウン25,28;
C.I.ピグメントブラック1,7;
カーボンブラック等を挙げることができる。
【0084】
なかでも本発明において好ましく用いることができる顔料として、以下のものを挙げることができる。但し本発明は、これらに限定されるものではない。
【0085】
C.I.ピグメントイエロー11,24,108,109,110,138,139,150,151,154,167,180,185,
C.I.ピグメントオレンジ36,71,
C.I.ピグメントレッド122,150,171,175,177,209,224,242,254,255,264,
C.I.ピグメントバイオレット19,23,32,
C.I.ピグメントブルー15:1,15:3,15:6,16,22,60,66,
C.I.ピグメントブラック1
【0086】
本発明では、特に顔料自体の構造中に塩基性の窒素原子をもつものを好ましく用いることができる。これら塩基性の窒素原子をもつ顔料は、本発明の顔料分散組成物中で良好な分散性を示す。その原因については十分解明されていないが、感光性重合成分と顔料との親和性の良さが影響しているものと推定される。
【0087】
これら有機顔料は、単独もしくは色純度を上げるため種々組合せて用いることができる。上記組合せの具体例を以下に示す。
【0088】
例えば、赤の顔料として、アントラキノン系顔料、ペリレン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料単独またはそれらの少なくとも一種と、ジスアゾ系黄色顔料、イソインドリン系黄色顔料、キノフタロン系黄色顔料またはペリレン系赤色顔料と、の混合などを用いることができる。アントラキノン系顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド177が挙げられ、ペリレン系顔料としては、C.I.ピグメントレッド155、C.I.ピグメントレッド224が挙げられ、ジケトピロロピロール系顔料としては、C.I.ピグメントレッド254が挙げられ、色再現性の点でC.I.ピグメントイエロー139との混合が好ましい。
【0089】
また、赤色顔料と黄色顔料との質量比は、100:5〜100:50が好ましく、100:7〜100:40がより好ましく、100:10〜100:30が更に好ましい。100:5未満では400nmから500nmの光透過率を抑えることが困難で色純度を上げることが出来ない場合がある。また100:50超では主波長が短波長よりになり、NTSC目標色相からのずれが大きくなる場合がある。
尚、赤色顔料同士の組み合わせの場合は、色度に併せて調整することができる。
【0090】
また、緑色顔料としては、ハロゲン化フタロシアニン系顔料を単独で、または、これとジスアゾ系黄色顔料、キノフタロン系黄色顔料、アゾメチン系黄色顔料若しくはイソインドリン系黄色顔料との混合を用いることができる。例えば、このような例としては、C.I.ピグメントグリーン7、36、37とC.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー180またはC.I.ピグメントイエロー185との混合が好ましい。
【0091】
緑色顔料と黄色顔料との質量比は、100:5〜100:150が好ましく、100:15〜100:140がより好ましく、100:30〜100:120が更に好ましい。
100:5未満や100:150超では目的とする色調を得ることができなくなる場合がある。
【0092】
青色顔料としては、フタロシアニン系顔料を単独で、またはこれとジオキサジン系紫色顔料との混合を用いることができる。例えばC.I.ピグメントブルー15:6とC.I.ピグメントバイオレット23との混合が好ましい。
【0093】
青色顔料と紫色顔料との質量比は、100:0〜100:30が好ましく、より好ましくは100:10以下である。
100:30超では透過波長が短波側となり目的とする色調を得ることができなくなる場合がある。
【0094】
また、ブラックマトリックス用の顔料としては、カーボン、チタンカーボン、酸化鉄、酸化チタン単独または混合が用いられ、カーボンとチタンカーボンとの組合せが好ましい。また、カーボンとチタンカーボンとの質量比は、100:0〜100:60が好ましく、100:0〜100:50がより好ましく100:0〜100:40が更に好ましい。
100:60超ではブラックマトリックスの剥がれの問題が生じる場合があり好ましくない。
【0095】
本発明の顔料分散組成物をカラーフィルター用として用いる場合には、色むらやコントラストの観点から、顔料の一次粒子径は10〜100nmが好ましく、10〜70nmがより好ましく、10〜50nmが更に好ましく、10〜40nmが最も好ましい。
【0096】
<(D)溶剤>
使用される溶剤は、該組成物の各成分の溶解性や、硬化性組成物の塗布性を満足すれば基本的に特には限定されないが、安全性を考慮して選ばれることが好ましい。
溶剤の具体例としては、例えば、酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチル、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、3−オキシプロピオン酸メチル、3−オキシプロピオン酸エチル等の3−オキシプロピオン酸アルキルエステル類(例えば、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル)、2−オキシプロピオン酸メチル、2−オキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸プロピル等の2−オキシプロピオン酸アルキルエステル類(例えば、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル)、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸メチル、2−オキソブタン酸エチル等のエステル類;
【0097】
例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート等のエーテル類;
【0098】
例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等のケトン類;
例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;が好ましい。
【0099】
これらの中でも、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エチルセロソルブアセテート、乳酸エチル、ジエチレングリコールジメテルエーテル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)等がより好ましい。
【0100】
溶剤の含有量としては、顔料分散組成物全量に対して、20〜95質量%が好ましく、25〜90質量%がより好ましい。溶剤量が前記範囲内であると、顔料の分散を均一に行なえ、分散後の分散安定性の点でも有利である。
【0101】
〔硬化性組成物〕
本発明の硬化性組成物は前記(A)塩基性基または酸性基を有する樹脂、(B)顔料部分骨格または顔料類似骨格、塩基性基および酸性基を同一分子内に有する顔料誘導体、(C)顔料、および、(D)溶剤を含有する顔料分散組成物と、下記(E)光重合開始剤、および(F)光重合性化合物を含有することを特徴とする。
<(E)光重合開始剤>
本発明の硬化性組成物は、光重合開始剤の少なくとも一種を含有する。光重合開始剤は、光により分解し、本発明における硬化性組成物の重合を開始、促進する化合物であり、波長300〜500nmの領域に吸収を有するものであることが好ましい。
また、光重合開始剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用することもできる。
【0102】
光重合開始剤としては、例えば、有機ハロゲン化化合物、オキシジアゾール化合物、カルボニル化合物、ケタール化合物、ベンゾイン化合物、アクリジン化合物、有機過酸化化合物、アゾ化合物、クマリン化合物、アジド化合物、メタロセン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、有機ホウ酸塩化合物、ジスルホン化合物、オキシム系化合物、オニウム塩化合物、アシルホスフィン系化合物、アルキルアミノ化合物、等が挙げられる。
以下、これらの各化合物について詳細に述べる。
【0103】
有機ハロゲン化化合物としては、具体的には、若林等、「Bull Chem.Soc
Japan」42、2924(1969)、米国特許第3,905,815号明細書、特公昭46−4605号、特開昭48−36281号、特開昭55−32070号、特開昭60−239736号、特開昭61−169835号、特開昭61−169837号、特開昭62−58241号、特開昭62−212401号、特開昭63−70243号、特開昭63−298339号、M.P.Hutt”Jurnal of Heterocyclic Chemistry”1(No3),(1970)」筆に記載の化合物が挙げられ、特に、トリハロメチル基が置換したオキサゾール化合物、s−トリアジン化合物が挙げられる。
【0104】
s−トリアジン化合物として、より好適には、少なくとも一つのモノ、ジ、又はトリハロゲン置換メチル基がs−トリアジン環に結合したs−トリアジン誘導体、具体的には、例えば、2,4,6−トリス(モノクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(ジクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−n−プロピル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(α,α,β−トリクロロエチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3,4−エポキシフェニル)−4、6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−クロロフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔1−(p−メトキシフェニル)−2,4−ブタジエニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−スチリル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−i−プロピルオキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−ナトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−フェニルチオ−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ベンジルチオ−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(ジブロモメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2−メトキシ−4,6−ビス(トリブロモメチル)−s−トリアジン等が挙げられる。
【0105】
オキシジアゾール化合物としては、2−トリクロロメチル−5−スチリル−1,3,4−オキソジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(シアノスチリル)−1,3,4−オキソジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(ナフト−1−イル)−1,3,4−オキソジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(4−スチリル)スチリル−1,3,4−オキソジアゾール等が挙げられる。
【0106】
カルボニル化合物としては、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、2−メチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4−ブロモベンゾフェノン、2−カルボキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、α−ヒドトキシ−2−メチルフェニルプロパノン、1−ヒドロキシ−1−メチルエチル−(p−イソプロピルフェニル)ケトン、1−ヒドロキシ−1−(p−ドデシルフェニル)ケトン、2−メチル−(4’−(メチルチオ)フェニル)−2−モルホリノ−1−プロパノン、1,1,1−トリクロロメチル−(p−ブチルフェニル)ケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−4−モルホリノブチロフェノン等のアセトフェノン誘導体、チオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン誘導体、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジエチルアミノ安息香酸エチル等の安息香酸エステル誘導体等を挙げることができる。
【0107】
ケタール化合物としては、ベンジルメチルケタール、ベンジル−β−メトキシエチルエチルアセタール等を挙げることができる。
【0108】
ベンゾイン化合物としては、m−ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインメチルエーテル、メチル−o−ベンゾイルベンゾエート等を挙げることができる。
【0109】
アクリジン化合物としては、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9−アクリジニル)ヘプタンなどを挙げることができる。
【0110】
有機過酸化化合物としては、例えば、トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ブタン、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、tert−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−オキサノイルパーオキサイド、過酸化こはく酸、過酸化ベンゾイル、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジメトキシイソプロピルパーオキシカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート、tert−ブチルパーオキシアセテート、tert−ブチルパーオキシピバレート、tert−ブチルパーオキシネオデカノエート、tert−ブチルパーオキシオクタノエート、tert−ブチルパーオキシラウレート、ターシルカーボネート、3,3’,4,4’−テトラ−(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ−(t−ヘキシルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ−(p−イソプロピルクミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、カルボニルジ(t−ブチルパーオキシ二水素二フタレート)、カルボニルジ(t−ヘキシルパーオキシ二水素二フタレート)等が挙げられる。
【0111】
アゾ化合物としては、例えば、特開平8−108621号公報に記載のアゾ化合物等を挙げることができる。
【0112】
クマリン化合物としては、例えば、3−メチル−5−アミノ−((s−トリアジン−2−イル)アミノ)−3−フェニルクマリン、3−クロロ−5−ジエチルアミノ−((s−トリアジン−2−イル)アミノ)−3−フェニルクマリン、3−ブチル−5−ジメチルアミノ−((s−トリアジン−2−イル)アミノ)−3−フェニルクマリン等を挙げることができる。
【0113】
アジド化合物としては、米国特許第2848328号明細書、米国特許第2852379号明細書並びに米国特許第2940853号明細書に記載の有機アジド化合物、2,6−ビス(4−アジドベンジリデン)−4−エチルシクロヘキサノン(BAC−E)等が挙げられる。
【0114】
メタロセン化合物としては、特開昭59−152396号公報、特開昭61−151197号公報、特開昭63−41484号公報、特開平2−249号公報、特開平2−4705号公報、特開平5−83588号公報記載の種々のチタノセン化合物、例えば、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−フェニル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4−ジ−フルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、特開平1−304453号公報、特開平1−152109号公報記載の鉄−アレーン錯体等が挙げられる。
【0115】
ヘキサアリールビイミダゾール化合物としては、例えば、特公平6−29285号公報、米国特許第3,479,185号、同第4,311,783号、同第4,622,286号等の各明細書に記載の種々の化合物、具体的には、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−ブロモフェニル))4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o,p−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(m−メトキシフェニル)ビイジダゾール、2,2’−ビス(o,o’−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−ニトロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−メチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−トリフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール等が挙げられる。
【0116】
有機ホウ酸塩化合物としては、例えば、特開昭62−143044号、特開昭62−150242号、特開平9−188685号、特開平9−188686号、特開平9−188710号、特開2000−131837、特開2002−107916、特許第2764769号、特願2000−310808号、等の各公報、及び、Kunz,Martin“Rad Tech’98.Proceeding April 19−22,1998,Chicago”等に記載される有機ホウ酸塩、特開平6−157623号公報、特開平6−175564号公報、特開平6−175561号公報に記載の有機ホウ素スルホニウム錯体或いは有機ホウ素オキソスルホニウム錯体、特開平6−175554号公報、特開平6−175553号公報に記載の有機ホウ素ヨードニウム錯体、特開平9−188710号公報に記載の有機ホウ素ホスホニウム錯体、特開平6−348011号公報、特開平7−128785号公報、特開平7−140589号公報、特開平7−306527号公報、特開平7−292014号公報等の有機ホウ素遷移金属配位錯体等が具体例として挙げられる。
【0117】
ジスルホン化合物としては、特開昭61−166544号公報、特開2002−328465号公報(特願2001−132318号明細書)等に記載される化合物等が挙げられる。
【0118】
オキシム系化合物としては、J.C.S. Perkin II (1979 )1653−1660)、J.C.S. Perkin II (1979)156−162、Journal of Photopolymer Science and Technology(1995)202−232、特開2000−66385号公報記載の化合物、特開2000−80068号公報、特表2004−534797号公報記載の化合物等が挙げられる。
【0119】
オニウム塩化合物としては、例えば、S.I.Schlesinger,Photogr.Sci.Eng.,18,387(1974)、T.S.Bal et al,Polymer,21,423(1980)に記載のジアゾニウム塩、米国特許第4,069,055号明細書、特開平4−365049号等に記載のアンモニウム塩、米国特許第4,069,055号、同4,069,056号の各明細書に記載のホスホニウム塩、欧州特許第104、143号、米国特許第339,049号、同第410,201号の各明細書、特開平2−150848号、特開平2−296514号の各公報に記載のヨードニウム塩などが挙げられる。
【0120】
本発明に好適に用いることのできるヨードニウム塩は、ジアリールヨードニウム塩であり、安定性の観点から、アルキル基、アルコキシ基、アリーロキシ基等の電子供与性基で2つ以上置換されていることが好ましい。また、その他の好ましいスルホニウム塩の形態として、トリアリールスルホニウム塩の1つの置換基がクマリン、アントアキノン構造を有し、300nm以上に吸収を有するヨードニウム塩などが好ましい。
【0121】
本発明に好適に用いることのできるスルホニウム塩としては、欧州特許第370,693号、同390,214号、同233,567号、同297,443号、同297,442号、米国特許第4,933,377号、同161,811号、同410,201号、同339,049号、同4,760,013号、同4,734,444号、同2,833,827号、独国特許第2,904,626号、同3,604,580号、同3,604,581号の各明細書に記載のスルホニウム塩が挙げられ、安定性の感度点から好ましくは電子吸引性基で置換されていることが好ましい。電子吸引性基としては、ハメット値が0より大きいことが好ましい。好ましい電子吸引性基としては、ハロゲン原子、カルボン酸などが挙げられる。
また、その他の好ましいスルホニウム塩としては、トリアリールスルホニウム塩の1つの置換基がクマリン、アントアキノン構造を有し、300nm以上に吸収を有するスルホニウム塩が挙げられる。別の好ましいスルホニウム塩としては、トリアリールスルホニウム塩が、アリーロキシ基、アリールチオ基を置換基に有する300nm以上に吸収を有するスルホニウム塩が挙げられる。
【0122】
また、オニウム塩化合物としては、J.V.Crivello et al,Macromolecules,10(6),1307(1977)、J.V.Crivello.et al,J.Polymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,17,1047(1979)に記載のセレノニウム塩、C.S.Wen et al,Teh,Proc.Conf.Rad.Curing ASIA,p478 Tokyo,Oct(1988)に記載のアルソニウム塩等のオニウム塩を用いることもできる。
【0123】
アシルホスフィン系化合物としては、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製のイルガキュア819、ダロキュア4265、ダロキュアTPOなどが挙げられる。
【0124】
アルキルアミノ化合物としては、例えば、特開平9−281698号公報の段落番号[0047]、特開平6−19240号公報、特開平6−19249号公報等に記載のジアルキルアミノフェニル基を有する化合物やアルキルアミン化合物が挙げられる。具体的には、ジアルキルアミノフェニル基を有する化合物としてはp−ジメチルアミノ安息香酸エチル等の化合物や、p−ジエチルアミノベンズカルバルデヒド、9−ジュロリジルカルバルデヒド等のジアルキルアミノフェニルカルバルデヒドが、アルキルアミン化合物としてはトリエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエチルアミン等が挙げられる。
【0125】
本発明に用いられる(E)光重合開始剤としては、露光感度の観点から、トリアジン系化合物、アルキルアミノ化合物、ベンジルジメチルケタール化合物、α−ヒドロキシケトン化合物、α−アミノケトン化合物、アシルホスフィン系化合物、フォスフィンオキサイド系化合物、メタロセン化合物、オキシム系化合物、ビイミダゾール系化合物、オニウム系化合物、ベンゾチアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、アセトフェノン系化合物及びその誘導体、シクロペンタジエン−ベンゼン−鉄錯体及びその塩、ハロメチルオキサジアゾール化合物、3−アリール置換クマリン化合物からなる群より選択される化合物が好ましい。
【0126】
より好ましくは、トリアジン系化合物、アルキルアミノ化合物、α−アミノケトン化合物、アシルホスフィン系化合物、フォスフィンオキサイド系化合物、オキシム系化合物、ビイミダゾール系化合物、オニウム系化合物、ベンゾフェノン系化合物、アセトフェノン系化合物であり、トリアジン系化合物、アルキルアミノ化合物、オキシム系化合物、ビイミダゾール系化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物が更に好ましい。
【0127】
前記(E)光重合開始剤の硬化性組成物中における含有量は、組成物の全固形分に対し、0.1〜50質量%であることが好ましく、より好ましくは0.5〜30質量%、特に好ましくは1〜20質量%である。特に、本発明の硬化性組成物をカラーフィルタの着色パターンの形成に使用する場合は、光感度、支持体密着性、硬化度の点で、(E)光重合開始剤の含有量は、硬化性組成物に含有される全固形分に対して、1〜40質量%が好ましく、2〜30質量%がより好ましく3〜20質量%が更に好ましい。
【0128】
<(F)光重合性化合物>
本発明の硬化性組成物は、光重合性化合物として、分散樹脂以外の、エチレン性不飽和二重結合を有する化合物を含有することが好ましい。
【0129】
本発明に用いることができる「エチレン性不飽和二重結合を有する化合物」は、少なくとも一個のエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物であり、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれる。このような化合物群は当該産業分野において広く知られるものであり、本発明においてはこれらを特に限定なく用いることができる。
【0130】
これらは、例えば、モノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体及びオリゴマー、又はそれらの混合物並びにそれらの共重合体などの化学的形態をもつ。モノマー及びその共重合体の例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)や、そのエステル類、アミド類が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。
【0131】
また、ヒドロキシ基やアミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能若しくは多官能イソシアネート類或いはエポキシ類との付加反応物、及び単官能若しくは、多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアネート基や、エポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、更にハロゲン基や、トシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン、ビニルエーテル等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。
【0132】
脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーの具体例としては、アクリル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー、イソシアヌール酸EO変性トリアクリレート等がある。
【0133】
メタクリル酸エステルとしては、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ビス〔p−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチルメタン、ビス−〔p−(メタクリルオキシエトキシ)フェニル〕ジメチルメタン等がある。
【0134】
イタコン酸エステルとしては、エチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネート等がある。クロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラジクロトネート等がある。イソクロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等がある。マレイン酸エステルとしては、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート等がある。
【0135】
その他のエステルの例として、例えば、特公昭51−47334、特開昭57−196231記載の脂肪族アルコール系エステル類や、特開昭59−5240、特開昭59−5241、特開平2−226149記載の芳香族系骨格を有するもの、特開平1−165613記載のアミノ基を含有するもの等も好適に用いられる。更に、前述のエステルモノマーは混合物としても使用することができる。
【0136】
また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等がある。その他の好ましいアミド系モノマーの例としては、特公昭54−21726記載のシクロへキシレン構造を有すものを挙げることができる。
【0137】
また、イソシアネートと水酸基の付加反応を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適であり、そのような具体例としては、例えば、特公昭48−41708号公報中に記載されている1分子に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記一般式(A)で表される化合物における水酸基を含有するビニルモノマーを付加させた1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられる。
【0138】
CH=C(R10)COOCHCH(R11)OH …一般式(A)
(一般式(A)中、R10及びR11は、各々独立にH又はCHを示す。)
【0139】
また、特開昭51−37193号、特公平2−32293号、特公平2−16765号に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58−49860号、特公昭56−17654号、特公昭62−39417号、特公昭62−39418号記載のエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類も好適である。更に、特開昭63−277653号、特開昭63−260909号、特開平1−105238号に記載される、分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有する付加重合性化合物類を用いることによっては、非常に感光スピードに優れた光重合性組成物を得ることができる。
【0140】
その他の例としては、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号、各公報に記載されているようなポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタクリレートを挙げることができる。また、特公昭46−43946号、特公平1−40337号、特公平1−40336号記載の特定の不飽和化合物や、特開平2−25493号記載のビニルホスホン酸系化合物等も挙げることができる。また、ある場合には、特開昭61−22048号記載のペルフルオロアルキル基を含有する構造が好適に使用される。更に日本接着協会誌vol.20、No.7、300〜308ページ(1984年)に光硬化性モノマー及びオリゴマーとして紹介されているものも使用することができる。
【0141】
これらの付加重合性化合物について、その構造、単独使用か併用か、添加量等の使用方法の詳細は、硬化性組成物の性能設計にあわせて任意に設定できる。例えば、次のような観点から選択される。
【0142】
感度の点では1分子あたりの不飽和基含量が多い構造が好ましく、多くの場合、2官能以上が好ましい。また、硬化膜の強度を高くするためには、3官能以上のものがよく、更に、異なる官能数・異なる重合性基(例えば、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン系化合物、ビニルエーテル系化合物)のものを併用することで、感度と強度の両方を調節する方法も有効である。硬化感度の観点から、(メタ)アクリル酸エステル構造を2個以上含有する化合物を用いることが好ましく、3個以上含有する化合物を用いることがより好ましく、4個以上含有する化合物を用いることが最も好ましい。また、硬化感度、及び、未硬化領域の現像性の観点では、EO変性体を含有することが好ましい。また、硬化感度、及び、露光部強度の観点ではウレタン結合を含有することが好ましい。
また、硬化性組成物中の他の成分(例えば、樹脂、光重合開始剤、顔料)との相溶性、分散性に対しても、付加重合化合物の選択・使用法は重要な要因であり、例えば、低純度化合物の使用や、2種以上の併用により相溶性を向上させうることがある。また、支持体等との密着性を向上せしめる目的で特定の構造を選択することもあり得る。
【0143】
以上の観点より、ビスフェノールAジアクリレート、ビスフェノールAジアクリレートEO変性体、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートEO変性体、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートEO変性体などが好ましいものとして挙げられ、また、市販品としては、ウレタンオリゴマーUAS−10、UAB−140(山陽国策パルプ社製)、DPHA−40H(日本化薬社製)、UA−306H、UA−306T、UA−306I、AH−600、T−600、AI−600(共栄社化学社製)、UA−7200(新中村化学社製)が好ましい。
【0144】
中でも、ビスフェノールAジアクリレートEO変性体、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートEO変性体、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートEO変性体などが、市販品としては、DPHA−40H(日本化薬社製)、UA−306H、UA−306T、UA−306I、AH−600、T−600、AI−600(共栄社化学社製)がより好ましい。
【0145】
前記(F)光重合性化合物の含有量は、本発明の硬化性組成物の全固形分に対して、1〜90質量%であることが好ましく、5〜80質量%であることがより好ましく、10〜70質量%であることが更に好ましい。特に、本発明の硬化性組成物をカラーフィルタの着色パターンの形成に使用する場合は、光感度、支持体密着性、硬化度を更に向上させる点で、(F)光重合性化合物の含有量は、本発明の硬化性組成物の全固形分に対して、5〜50質量%であることが好ましく、7〜40質量%であることがより好ましく、10〜35質量%であることが更に好ましい。
【0146】
本発明の硬化性組成物は、本発明の効果を損なわない範囲において、他の成分を含有することができる。
【0147】
〔カラーフィルタ及びその製造方法〕
次に、本発明のカラーフィルタ及びその製造方法について説明する。
本発明のカラーフィルタは、支持体上に、本発明のカラーフィルタ用硬化性組成物を用いてなる着色パターンを有することを特徴とする。
以下、本発明のカラーフィルタについて、その製造方法(本発明のカラーフィルタの製造方法)を通じて詳述する。
【0148】
本発明のカラーフィルタの製造方法は、支持体上に、本発明のカラーフィルタ用硬化性組成物を塗布して、該硬化性組成物からなる着色層を形成する工程(以下、適宜「着色層形成工程」と略称する。)と、前記着色層をマスクを介してパターン様に露光する工程(以下、適宜「露光工程」と略称する。)と、露光後の前記着色層を現像して着色パターンを形成する工程(以下、適宜「現像工程」と略称する。)と、を含むことを特徴とする。
【0149】
具体的には、本発明の硬化性組成物を、直接又は他の層を介して支持体(基板)上に塗布して、光重合性組成物層を形成し(着色層形成工程)、所定のマスクパターンを介して露光し、光照射された塗布膜部分だけを硬化させ(露光工程)、現像液で現像することによって(現像工程)、各色(3色あるいは4色)の画素からなるパターン状皮膜を形成し、本発明のカラーフィルタを製造することができる。
以下、本発明の製造方法における各工程について説明する。
【0150】
<着色層形成工程>
着色層形成工程では、支持体上に、本発明の硬化性組成物を塗布して、該硬化性組成物からなる着色層を形成する。
【0151】
本工程に用いうる支持体としては、例えば、液晶表示素子等に用いられるソーダガラス、無アルカリガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、石英ガラス、プラスチック基板、およびこれらに透明導電膜を付着させたものや、撮像素子等に用いられる光電変換素子基板、例えばシリコン基板等や、相補性金属酸化膜半導体(CMOS)等が挙げられる。これらの基板は、各画素を隔離するブラックストライプが形成されている場合もある。
また、これらの支持体上には、必要により、上部の層との密着改良、物質の拡散防止或いは基板表面の平坦化のために下塗り層を設けてもよい。
【0152】
支持体上への本発明の硬化性組成物の塗布方法としては、スリット塗布、インクジェット法、回転塗布、ロール塗布、スクリーン印刷法等の各種の塗布方法を適用することができる。
【0153】
硬化性組成物の塗布膜厚としては、0.1〜10μmが好ましく、0.2〜5μmがより好ましく、0.5〜3μmがさらに好ましい。
【0154】
支持体上に塗布された硬化性組成物は、通常、70〜110℃で2〜4分程度の条件下で乾燥され、着色層が形成される。
【0155】
<露光工程>
露光工程では、前記着色層形成工程において形成された着色層をマスクを介して露光し、光照射された塗布膜部分だけを硬化させる。
露光は放射線の照射により行うことが好ましく、露光に際して用いることができる放射線としては、特に、g線、i線等の紫外線が好ましく用いられ、高圧水銀灯がより好まれる。照射強度は5mJ〜1500mJが好ましく10mJ〜800mJがより好ましく、10mJ〜500mJが最も好ましい。
【0156】
<現像工程>
露光工程に次いで、アルカリ現像処理(現像工程)を行い、露光工程における光未照射部分をアルカリ水溶液に溶出させる。これにより、光硬化した部分だけが残る。
現像温度としては通常20℃〜30℃であり、現像時間は20〜90秒である。
【0157】
なお、本発明の製造方法においては、上述した、着色層形成工程、露光工程、及び現像工程を行った後に、必要により、形成された着色パターンを加熱及び/又は露光により硬化する硬化工程を含んでいてもよい。
【0158】
以上説明した、着色層形成工程、露光工程、及び現像工程(更に、必要により硬化工程)を所望の色相数だけ繰り返すことにより、所望の色相よりなるカラーフィルタが作製される。
【0159】
本発明のカラーフィルタは、前記本発明の硬化性組成物を用いているため、形成された着色パターンが支持体基板との高い密着性を示し、硬化した組成物は耐現像性に優れるため、露光感度に優れ、露光部の基板との密着性が良好であり、かつ、所望の断面形状を与える高解像度のパターンを形成することができる。
【実施例】
【0160】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を示す。
(実施例1)
−A1.硬化性組成物の調製−
[A1−1.顔料分散組成物の調製]
C.I.ピグメントグリーン36とC.I.ピグメントイエロー150との40/60(質量比)混合物〔一次平均粒子径32nm;(C)顔料〕50部、顔料誘導体(B−1)15部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート〔DPHA;(A)不飽和二重結合を有し、分子量が4000未満の化合物〕3.0部、及びプロピレングリコールモノメチルエーテル〔(D)溶剤〕103.5部を混合した混合液を、ビーズミルにより15時間混合・分散して、顔料分散組成物(P1)を調製した。
【0161】
[A1−2.硬化性組成物(塗布液)の調製]
上記により得られた顔料分散組成物P1を用いて、下記組成となるよう撹拌、混合を行って硬化性組成物の溶液を調製した。
<組成>
・上記顔料分散組成物(P1) 200部
・2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール〔(E)光重合開始剤〕 4部
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート〔(F)光重合性化合物〕 5部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 250部
(PGMEA;溶剤)
・3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(基板密着剤) 0.5部
・下記化合物α(増感剤) 2.5部
・2−メルカプトベンゾイミダゾール(共増感剤) 3部
【0162】
【化19】

【0163】
−A2.カラーフィルタの作製−
[A2−1.硬化性組成物層(着色層)の形成]
上記のようにして調製した顔料分散組成物を用いて調製した硬化性組成物をレジスト溶液として、550mm×650mmのガラス基板に下記条件でスリット塗布した後、10分間そのままの状態で待機させ、真空乾燥とプリベーク(prebake;100℃、80秒間)を施して硬化性組成物層(着色層)を形成した。
【0164】
<スリット塗布条件>
・塗布ヘッド先端の開口部の間隙: 50μm
・塗布速度: 100mm/秒
・基板と塗布ヘッドとのクリヤランス: 150μm
・乾燥膜厚: 1.75μm
・塗布温度: 23℃
【0165】
[A2−2.露光、現像]
その後、上記着色層を、2.5kWの超高圧水銀灯により線幅20μmのテスト用フォトマスクを用いてパターン状に露光し、露光後、着色層表面の全面を有機系現像液(商品名:CD、富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製の10%水溶液)で被い、60秒間静止して現像処理した。
【0166】
[A2−3.加熱処理]
静止後、純水をシャワー状に噴射して現像液を洗い流し、光硬化処理(露光)及び現像処理を施した着色層を220℃のオーブンにて1時間加熱した(ポストベーク)。これにより、ガラス基板上に硬化性組成物層が硬化されてなる着色パターンが形成されたカラーフィルタを得た。
【0167】
(実施例2〜8)
実施例1の顔料分散組成物の調製において、高分子化合物および顔料誘導体を表1に示す化合物に代えた以外は、実施例1と同様にして硬化性組成物を調製し、カラーフィルタを作製した。
【0168】
(比較例1)
実施例1の顔料分散組成物の調製において、顔料誘導体を用いなかったこと以外は、実施例1と同様にして硬化性組成物を調製し、カラーフィルタを作製した。
【0169】
(比較例2)
実施例1の顔料分散組成物の調製において、高分子化合物および顔料誘導体を表1に示す化合物に代えた以外は、実施例1と同様にして硬化性組成物を調製し、カラーフィルタを作製した。
【0170】
−A3.性能評価−
上記で調製した顔料分散組成物および硬化性組成物の溶液(塗布液)の保存安定性、微細分散性及び硬化性組成物を用いてガラス基板上に形成された硬化性組成物層の露光感度、支持体密着性、現像性、及び、パターン断面形状を下記のようにして評価した。評価結果を下記表1に示す。
【0171】
[A3−1.顔料分散組成物の経時での保存安定性]
前記で調製した顔料分散組成物を室温で1週間保存した後、液の粘度をE型粘度計(東京計器社製)により測定し、下記の基準に従って評価した。
−評価基準−
○:保存前の粘度に対して粘度上昇は5%未満であった。
△:保存前の粘度に対して5%以上10%未満の粘度上昇が認められた。
×:保存前の粘度に対して10%以上の粘度上昇が認められた。
【0172】
[A3−2.顔料分散組成物の微細分散性]
顔料分散組成物(P1)について、顔料の平均粒径を動的光散乱法(Microtrac Nanotrac UPA−EX150(日機装社製)を用いて、P1を更に希釈することなく測定した)により測定した。顔料の平均粒径が小さいほど、微細分散性が高いことを意味する。
―評価基準―
○:平均粒径が70nm未満であった。
△:平均粒径が70nm以上150nm未満であった。
×:平均粒径が150nm以上であった。
【0173】
[A3−3.硬化性組成物の経時での保存安定性]
前記で調製した硬化性組成物(塗布液)を室温で1ケ月保存した後、液の粘度をE型粘度計(東京計器社製)により測定し、下記の基準に従って評価した。
−評価基準−
○:保存前の粘度に対して粘度上昇は5%未満であった。
△:保存前の粘度に対して5%以上10%未満の粘度上昇が認められた。
×:保存前の粘度に対して10%以上の粘度上昇が認められた。
【0174】
[A3−4.硬化性組成物層の露光感度]
塗布後の硬化性組成物層を、露光量を10〜200mJ/cmの範囲で種々の露光量に変更して露光し、ポストベーク後のパターン線幅が20μmとなる露光量を露光感度として評価した。露光感度は、その値が小さいほど感度が高いことを示す。
【0175】
[A3−5.現像性、パターン断面形状、支持体密着性]
各々の露光感度におけるポストベーク後の支持体表面及びパターンの断面形状を、光学顕微鏡及びSEM写真観察により確認し、それぞれ下記に示すようにして現像性、パターン断面形状、支持体密着性を評価した。評価方法及び評価基準の詳細は以下の通りである。
【0176】
<現像性>
上記A2−2.露光、現像において、光が照射されなかった領域(未露光部)の残渣の有無を観察し、下記評価基準に従って現像性を評価した。
−評価基準−
○:未露光部には、残渣がまったく確認されなかった。
△:未露光部に残渣がわずかに確認されたが、実用上問題のない程度であった。
×:未露光部に残渣が著しく確認された。
【0177】
<パターン断面形状>
形成された着色パターンの断面形状を観察し、評価した。パターン断面形状は順テーパーが最も好ましく、矩形が次に好ましい。逆テーパーは好ましくない。
【0178】
<支持体密着性>
支持体密着性の評価は、パターン欠損が発生しているか否かを観察することにより、下記評価基準に従って行った。
−評価基準−
○:パターン欠損がまったく観察されなかった。
△:パターン欠損がほとんど観察されなかったが、部分的に欠損が観察された。
×:パターン欠損が著しく観察された。
【0179】
【表1】

【0180】
表1中、化合物1については、下記化合物を用いた。化合物1は酸性基のみを有する顔料誘導体である。
【0181】
【化20】

【0182】
表1の結果から、塩基性基および酸性基の両方を同一分子内に有する顔料誘導体を含有する顔料分散組成物を用いて調製した各実施例の硬化性組成物は、その溶液状態において保存安定性、分散性に優れたものであることが判る。また、この硬化性組成物を用いて、支持体上で着色パターンを形成した場合には、これら特定の化合物を用いていない各比較例に対して、露光感度が高く、現像性に優れると共に、支持体密着性、パターン断面形状の何れにも優れたカラーフィルタが得られていることが判る。
【0183】
次に、以下に示す実施例9〜16及び比較例3〜5において、固体撮像素子用途のカラーフィルタ形成用として、顔料を含有する硬化性組成物を調製した例を挙げて説明する。
【0184】
(実施例9)
−B1.レジスト液の調製−
下記組成の成分を混合して溶解し、レジスト液を調製した。
<レジスト液の組成>
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 19.20部
(PGMEA:溶剤)
・乳酸エチル(溶剤) 36.67部
・メタクリル酸ベンジル/メタクリル酸/メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル共重合体(モル比=60/22/18)の40%PGMEA溶液 30.51部
(バインダーポリマー)
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA) 12.20部
(光重合性化合物)
・重合禁止剤(p−メトキシフェノール) 0.0061部
・フッ素系界面活性剤 0.83部
(F−475、大日本インキ化学工業(株)製)
・TAZ−107 0.586部
(みどり化学社製;トリハロメチルトリアジン系の光重合開始剤)
【0185】
−B2.下塗り層付シリコン基板の作製−
6inchシリコンウエハーを、オーブン中で200℃下に30分間、加熱処理した。次いで、このシリコンウエハー上に前記レジスト液を乾燥膜厚が1.5μmになるように塗布し、更に220℃のオーブン中で1時間加熱乾燥させて下塗り層を形成し、下塗り層付シリコンウエハー基板を得た。
【0186】
−B3.硬化性組成物の調製−
[B3−1.顔料分散組成物の調製]
C.I.ピグメントグリーン36とC.I.ピグメントイエロー150との40/60(質量比)混合物〔一次平均粒子径32nm;(C)顔料〕50部、前記で合成した酸性基および塩基性基の両方を同一分子内に有する顔料誘導体(B-1)15部、、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート〔DPHA;(A)不飽和二重結合を有し、分子量が4000未満の化合物〕16.5部、プロピレングリコールモノメチルエーテル〔(D)溶剤〕103.5部を混合した混合液を、ビーズミルにより15時間混合、分散させて、顔料分散組成物(P2)を調製した。
【0187】
[B3−2.硬化性組成物(塗布液)の調製]
前記分散処理した顔料分散組成物(P2)を用い、下記組成となるよう撹拌、混合して硬化性組成物の溶液を調製した。
<組成>
・上記顔料分散組成物(P2)) 200部
・2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール〔(E)光重合開始剤〕 4部
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 5部
(DPHA;(F)光重合性化合物)
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 250部
(PGMEA;溶剤)
・3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン 0.5部
(基板密着剤)
・上記化合物α 2.5部
(増感剤)
・2−メルカプトベンゾイミダゾール 3部
(共増感剤)
【0188】
−B4.硬化性組成物によるカラーフィルタの作製−
[着色パターンの形成]
上記のようにして調製した硬化性組成物を、前記B2.で得られた下塗り層付シリコンウエハーの下塗り層上に塗布し、着色層(硬化性組成物層)を形成した。そして、この着色塗布膜の乾燥膜厚が0.7μmになるように、100℃のホットプレートを用いて120秒間加熱処理(プリベーク)を行なった。
次いで、i線ステッパー露光装置FPA−3000i5+(Canon(株)製)を使用して365nmの波長でパターンが1.5μm四方のIslandパターンマスクを通して50〜500mJ/cmの種々の露光量で露光した。
その後、露光後の着色層が形成されているシリコンウエハーをスピン・シャワー現像機(DW−30型、(株)ケミトロニクス製)の水平回転テーブル上に載置し、CD−2000(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)を用いて23℃で60秒間、パドル現像を行ない、シリコンウエハーに着色パターンを形成した。
【0189】
着色パターンが形成されたシリコンウエハーを真空チャック方式で前記水平回転テーブルに固定し、回転装置によって該シリコンウエハーを回転数50r.p.m.で回転させつつ、その回転中心の上方より純水を噴出ノズルからシャワー状に供給してリンス処理を行ない、その後、スプレー乾燥して、カラーフィルタを作製した。
【0190】
(実施例10〜16)
実施例9の顔料分散組成物の調製において、高分子化合物および顔料誘導体を表2に示す化合物に代えた以外は、実施例9と同様にして硬化性組成物を調製し、カラーフィルタを作製した。
【0191】
(比較例3)
実施例9の顔料分散組成物の調製において、顔料誘導体を用いなかった以外は、実施例9と同様にして硬化性組成物を調製し、カラーフィルタを作製した。
【0192】
(比較例4)
実施例9の顔料分散組成物の調製において、高分子化合物および顔料誘導体を表2に示す化合物に代えた以外は、実施例9と同様にして硬化性組成物を調製し、カラーフィルタを作製した。
【0193】
(比較例5)
実施例9の顔料分散組成物の調製において、高分子化合物および顔料誘導体を表2に示す化合物に代えた以外は、実施例9と同様にして硬化性組成物を調製し、カラーフィルタを作製した。
【0194】
−B5.性能評価−
上記で調製した顔料分散組成物および硬化性組成物の溶液(塗布液)の保存安定性、微細分散性及び硬化性組成物を用いてシリコンウエハーに形成された硬化性組成物層の露光感度、支持体密着性、現像性、パターン断面形状、及び色ムラを下記のようにして評価した。評価結果を下記表2に示す。
[B5−1.顔料分散組成物の経時での保存安定性]
前記で調製した顔料分散組成物を室温で1週間保存した後、液の粘度をE型粘度計(東京計器社製)により測定し、下記の基準に従って評価した。
−評価基準−
○:保存前の粘度に対して粘度上昇は5%未満であった。
△:保存前の粘度に対して5%以上10%未満の粘度上昇が認められた。
×:保存前の粘度に対して10%以上の粘度上昇が認められた。
【0195】
[B5−2.顔料分散組成物の微細分散性]
顔料分散液(P2)について、顔料の平均粒径を動的光散乱法(Microtrac Nanotrac UPA−EX150(日機装社製)を用いて、P2を更に希釈することなく測定した)により測定した。顔料の平均粒径が小さいほど、微細分散性が高いことを意味する。
―評価基準―
○:平均粒径が70nm未満であった。
△:平均粒径が70nm以上150nm未満であった。
×:平均粒径が150nm以上であった。
【0196】
[B5−3.露光感度の評価]
塗布後の着色層を、露光量を50〜1200mJ/cmの範囲で種々の露光量に変更して露光し、スプレー乾燥後の着色パターンを測長SEM「S−9260A」(日立ハイテクノロジーズ(株)製)を用いて観察し、着色パターンの線幅を測定した。パターン線幅が1.5μmとなる露光量を露光感度として評価した。露光感度は、その値が小さいほど感度が高いことを示す。
【0197】
[B5−4.硬化性組成物の経時での保存安定性]
上記で調製した硬化性組成物(塗布液)を室温で1ケ月保存した後、液の粘度をE型粘度計(東京計器社製)により測定し、下記の基準に従って評価した。
−評価基準−
○:保存前の粘度に対して粘度上昇は5%未満であった。
△:保存前の粘度に対して5%以上10%未満の粘度上昇が認められた。
×:保存前の粘度に対して10%以上の粘度上昇が認められた。
【0198】
[B5−5.色ムラ]
色ムラの評価は、輝度分布を下記方法で解析し、平均からのずれが±5%以内である画素が全画素数に占める割合をもとに行った。評価基準は以下の通りである。
輝度分布の測定方法について説明する。まず、硬化性組成物を、前記B2.と同様の方法で得られた下塗り層付ガラス板の下塗り層上に塗布し、着色層(塗布膜)を形成した。
この塗布膜の乾燥膜厚が0.7μmになるように、100℃のホットプレートを用いて120秒間加熱処理(プリベーク)を行なった。この塗布済みガラス板の輝度分布を顕微鏡MX−50(オリンパス社製)にて撮影した画像を解析した。
なお輝度分布において、最も画素数の多い輝度を平均輝度と定義する。
−評価基準−
○:平均からのずれが±5%以内である画素が全画素数中の99%以上
△:平均からのずれが±5%以内である画素が全画素数中の95%以上99%未満
×:平均からのずれが±5%以内である画素が全画素数中の95%未満
【0199】
[B5−6.現像性、パターン断面形状、支持体密着性]
上記で調製した硬化性組成物を用いてシリコンウエハーに形成された着色層の露光感度における現像性、支持体密着性、及びパターン断面形状を、上記A3.性能評価(A3−5.)と同様にして評価した。
尚、パターン断面形状については、矩形が好ましく、逆テーパーは好ましくない。
【0200】
【表2】

【0201】
表2中、化合物1は、前記した酸性基のみを有する顔料誘導体である。
表2中、化合物2については、下記化合物を用いた。化合物2は塩基性基のみを有する顔料誘導体である。
【0202】
【化21】

【0203】
上記表2の結果から、固体撮像素子用途のカラーフィルタ形成用として用いた、塩基性基および酸性基の両方を同一分子内に有する顔料誘導体を含有する顔料分散組成物を用いて調製した各実施例の硬化性組成物(顔料系)は、その溶液状態において保存安定性、微細分散性に優れたものであることが判る。また、この硬化性組成物を用いて、支持体上で着色パターンを形成した場合には、特定化合物を用いていない各比較例に対して、露光感度が高く、現像性に優れると共に、支持体密着性、パターン断面形状、色ムラの何れにも優れたカラーフィルタが得られていることが判る。
これらの結果より、実施例の硬化性組成物は、固体撮像素子用途のカラーフィルタを作製する場合においても、液晶表示素子用途のカラーフィルタを作製する場合と同様に、優れたパターン形成性が実現されることがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)塩基性基または酸性基を有する樹脂、(B)顔料部分骨格または顔料類似骨格、塩基性基および酸性基を同一分子内に有する顔料誘導体、(C)顔料、および、(D)溶剤を含有することを特徴とする顔料分散組成物。
【請求項2】
前記(B)顔料部分骨格または顔料類似骨格、塩基性基および酸性基を同一分子内に有する顔料誘導体が、4級アンモニウム塩とカルボン酸塩、または、4級アンモニウム塩とスルホン酸塩を同一分子内に有する骨格を有する化合物であることを特徴とする請求項1に記載の顔料分散組成物。
【請求項3】
前記(B)顔料部分骨格または顔料類似骨格、塩基性基および酸性基を同一分子内に有する顔料誘導体が、下記一般式(I)〜一般式(III)のいずれかで表される化合物であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の顔料分散組成物。
【化1】


Pは顔料部分構造または顔料類似構造を示し、YおよびZはそれぞれ独立に単結合または2価の連結基を示す。Yは3価の連結基を示す。R、RおよびRはそれぞれ独立に水素原子または炭素数1〜10のアルキル基を示す。Nは窒素原子を示し、Aはスルホン酸またはカルボン酸を示す。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の顔料分散組成物、(E)光重合開始剤、および、(F)光重合性化合物を含有することを特徴とする硬化性組成物。
【請求項5】
支持体上に、請求項4に記載の硬化性組成物により形成された着色パターンを有することを特徴とするカラーフィルタ。
【請求項6】
支持体上に、請求項4に記載の硬化性組成物を塗布して前記硬化性組成物からなる着色層を形成する着色層形成工程と、
前記着色層をマスクを介してパターン様に露光する露光工程と、
露光後の前記着色層を現像して着色パターンを形成する現像工程と、
を含むことを特徴とするカラーフィルタの製造方法。

【公開番号】特開2009−29952(P2009−29952A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−196109(P2007−196109)
【出願日】平成19年7月27日(2007.7.27)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】