説明

風力発電機

【課題】 従来の風力発電機において、発電量が不安定な課題や、落雷や強風による破損を軽減するため、複数の風力発電タービンの周囲に風力を集約する壁を設けた風力発電機を提供する。
【解決手段】 円柱状骨組み(1)の側面の一部を、風受け板(2)とし、風受け板(2)の中央に通風孔(3)を複数設ける。各通風孔(3)には、風力発電タービン(4)と、通風孔(3)の通風を遮断できるスライド扉(5)をそれぞれ設置する。円柱状骨組み(1)の底面部分にベアリング等を配し、円柱が回転することで、風向に対応する物である。
以上の構造を特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、円柱状の骨組みの側面の一部を壁にし、そこに複数の通風孔、それを閉じる扉及びタービン発電機を設置した、風力発電機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の風力発電機は、水平回転軸のプロペラ型がよく見られる。また風向を選ばない垂直回転軸のダリウス型もある。いずれの方式も、空中で羽根が回る構造で、より多くの風力を得るため巨大化している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これは次のような欠点があった。
(イ) 通常、風速3m〜20mの運転で、最適な回転を得るため羽根の角度を調整する複雑で高価な仕組みが必要である。それでも出力が不安定であり、強風下では減速または停止させるなど無駄も多い。
(ロ) プロペラが空中で回る構造による課題として、野鳥がぶつかる事故や、落雷による破損、強風による破損、風切り音による騒音がある。
(ハ) 発電量を多く求めると、羽根が長大化し、それにともない強固な支柱と基礎が必要になる。又、一基あたり規模が大きくなると、停止した時の失う電力の影響も大きい。
本発明は、以上のような欠点をなくすためなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
これらの課題を解決するための構造を考えてみた。(図1参照)円柱状の骨組み(1)の側面の一部に風受け板(2)を取り付け、(2)の中央に通風孔(3)を複数設ける。各通風孔(3)には風力発電タービン(4)とスライド扉(5)がそれぞれ付いており、スライド扉(5)を閉じることで通風孔(3)は個別に通風を遮断できるものである。骨組み(1)の底面円周と地面の間はベアリング(6)で、風受け板(2)がより風力を受けるよう円柱を回して調整する。(図2参照)
本発明はこのような構造である。
【発明の効果】
【0005】
(イ)風受け板(2)で風力を集約させ利用するため、タービンのサイズ以上に多くの風力が利用でき効率的である。
(ロ)微風下では、個別に開閉できるスライド扉(5)を用いて運転台数を制限し、効率よく発電できる回転数を維持できる。これにより羽の角度を調整する機能やプロペラを止めるブレーキが不要になり、機械的に簡素化できる。故障が発生すれば、そこだけ扉を閉じて修理すればいいので、全体としては発電を継続できる。
(ハ)骨組み(1)の上に避雷針を設置することで落雷被害を軽減できる。
(ニ)強風下の対処については(図3参照)風受け板(2)に風を横から受ける向きに調整することで、ベンチュリー効果により風受け板(2)に揚力が発生するので、風力発電タービン(4)の破損を回避しつつ、発電も行うことができる。
(ホ)骨組み(1)は円柱状であるため、従来の一本柱の支柱に比べ華奢な材料でも十分強度を備える。また底面も広く安定するので、基礎杭など深く打ち込む必要がない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
(イ) 円柱状の骨組み(1)は、軽量鉄骨等のトラス構造で、又風受け板(2)は金属板、木板、プラスチック板、布など軽量かつ安価で耐候性に優れる素材を用いると良い。
(ロ) 円柱の天井部分に太陽光発電パネルを設置できる。これによりハイブリッド発電になり電力供給が安定する。このパネルは風受け板(2)で受けた風が上方に抜けるのを防止し、風力発電にも有効である。
(ハ) 円柱の内部の利用法としては、(図4参照)余った電力で錘(9)を引き上げ、電力が足りない時は、錘(9)の落下により発電する蓄電池とするのがよい。洋上であるならば(図5参照)円柱内部に水槽(10)を設け揚水発電をしてもいい。いずれも骨組み(1)に荷重を懸け低重心化する。また、発電量が平準化できると売電に有利である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】 本発明の斜視図である。
【図2】 本発明を上から見た時の、通常運転の説明図。
【図3】 本発明を上から見た時の、強風下運転中の、力学的説明図。
【図4】 本発明の陸上における、応用の簡略図。
【図5】 本発明の海洋上における、応用の簡略図。
【符号の説明】
【0008】
1.骨組み 2.風受け板 3.通風孔 4.風力発電タービン 5.スライド扉 6.ベアリング 7.梁 8.懸垂モーター及び発電機 9.錘 10.水槽 11.揚水ポンプ 12.水力発電タービン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円柱状の骨組みの側面の一部を壁にし、その壁に複数の通風孔を設け、各通風孔に小型風力発電機及び通風を遮断できる扉を組み込んだ風力発電機。
【請求項2】
円柱状の骨組みの底面にベアリング等を配置し、円柱を回転させ風向の変化に対応する物。
【請求項3】
湾曲した壁の中央に柱を設け、その柱を中心に壁が回転し風向の変化に対応する物。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2013−57307(P2013−57307A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−211542(P2011−211542)
【出願日】平成23年9月7日(2011.9.7)
【出願人】(509192466)
【Fターム(参考)】