説明

飛しょう体の誘導装置

【課題】飛しょう体ロール時の空間安定性の劣化をさらに改善したAZEL切替測角方式の飛しょう体の誘導装置を提供する。
【解決手段】第1の方向の信号と第2の方向の信号とから異なるタイミングにて検出した第1の方向の補正前推定目視線角と第2の方向の補正前推定目視線角を算出し、機体レートとビーム指向角と第1のタイミングから第2のタイミングまでの時間間隔とから推定目視線角の変動量を算出し、変動量により第1の方向の補正前推定目視線角と第2の方向の補正前推定目視線角とを補正して第1の方向の推定目視線角と第2の方向の推定目視線角とを算出し、第1の推定目視線角と第2の推定目視線角とから誘導信号を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、飛しょう体の誘導装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の飛しょう体誘導装置における電波シーカにおいてはレーダの受信系統がアジマス方向、エレベーション方向に対し、各1系統ずつ用意されていた。アジマス方向の誤差角とエレベーション方向の誤差角とはそれぞれ別の系統にて同時に測角されていた。このため、誘導信号を算出する際のアジマス方向の測角信号とエレベーション方向の測角信号との同期は確保されていた。
【0003】
しかし近時では、コストを低く抑えるために受信系統を1系統にし、アジマス方向の測角とエレベーション方向の測角を交互に切り替えて受信する方式(以下、AZEL切替測角方式と呼ぶ。)がとられるようになった。
【0004】
エレベーション方向の誤差角をサンプリングするタイミングにおいては、エレベーション方向の誤差角ε^EL(n−1,1)と、レートセンサによってサンプリングされた姿勢角θ^M(n−1,1,0)とビーム指向角θB(n−1)とを取得できる。また、アジマス方向の誤差角をサンプリングするタイミングにおいては、アジマス方向の誤差角ε^AZ(n−1,3)と、レートセンサによってサンプリングされた姿勢角θ^M(n−1,3,0)とビーム指向角θB(n−1)とを取得できる。
【0005】
しかし、正確な測角に必要なε^AZ(n−1,1)とε^EL(n−1,3)とは取得できない。このため、飛しょう体ロール時に空間安定性が劣化するという問題点があった。
【0006】
そこで、出願人は先の出願(特許文献2)において、1回目の第1の方向の誤差角の検出と2回目の第1の方向の誤差角の検出の間に、1回目の第2の方向の誤差角の検出と2回目の第2の方向の誤差角の検出を行い、1回目に検出した第1の方向の誤差角と2回目に検出した第1の方向の誤差角との相加平均を基準時間Tにおける第1の方向の誤差角とし、1回目に検出した第2の方向の誤差角と2回目に検出した第2の方向の誤差角との相加平均を基準時間Tにおける第2の方向の誤差角とする誘導装置を提案した。
【0007】
この誘導装置は、機体にロールが起きても空間安定性が劣化しにくいという効果を奏するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−205632号公報
【特許文献2】特開2010−139212号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、先の出願(特許文献2)の図8のグラフ340に示すように、この誘導装置においてはまだ微細なゆれが生じている。
【0010】
従って、飛しょう体ロール時の空間安定性の劣化をさらに改善したAZEL切替測角方式の飛しょう体の誘導装置が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために、本発明の一実施形態はビームを追跡目標に照射し、第1の方向の信号と第2の方向の信号とを交互に追跡目標から受信するアンテナユニットと、機体の姿勢変化のレートをサンプリングして機体レートを出力するレートセンサと、第1の方向の信号と第2の方向の信号とから異なるタイミングにて検出した第1の方向の補正前推定目視線角と第2の方向の補正前推定目視線角を算出し、機体レートとビーム指向角と第1のタイミングから第2のタイミングまでの時間間隔とから推定目視線角の変動量を算出し、変動量により第1の方向の補正前推定目視線角と第2の方向の補正前推定目視線角とを補正して第1の方向の推定目視線角と第2の方向の推定目視線角とを算出し、第1の推定目視線角と第2の推定目視線角とから誘導信号を算出するシーカ制御ユニットと、を備える飛しょう体の誘導装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施形態における飛しょう体誘導装置の概要を示すブロック図である。
【図2】本実施形態における誘導装置の信号伝達を示す図である。
【図3】本実施形態における誘導装置における信号の取得タイミングを示した図である。
【図4】本実施形態における誘導装置の誘導信号算出処理の手順を示す図である。
【図5】本実施形態におけるシミュレーションの条件を表す図である。
【図6】追跡目標の目視線角を示す図である。
【図7】飛しょう体の運動を示す図である。
【図8】従来の誘導装置におけるシミュレーション結果である。
【図9】本実施形態におけるシミュレーション結果である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明による飛しょう体誘導装置の一実施の形態を、図面を用いて詳細に説明する。
【0014】
本実施形態の飛しょう体誘導装置100は、ビームを追跡目標に照射し、第1の方向の信号と第2の方向の信号とを交互に追跡目標から受信するアンテナユニットと、機体の姿勢変化のレートをサンプリングして機体レートを出力するレートセンサと、第1の方向の信号と第2の方向の信号とから異なるタイミングにて検出した第1の方向の補正前推定目視線角と第2の方向の補正前推定目視線角を算出し、機体レートとビーム指向角と第1のタイミングから第2のタイミングまでの時間間隔とから推定目視線角の変動量を算出し、変動量により第1の方向の補正前推定目視線角と第2の方向の補正前推定目視線角とを補正して第1の方向の推定目視線角と第2の方向の推定目視線角とを算出し、第1の推定目視線角と第2の推定目視線角とから誘導信号を算出するシーカ制御ユニットと、を備える。
【0015】
図1は本実施形態の飛しょう体誘導装置100(以下、誘導装置100と呼ぶ。)の概要を示すブロック図である。図1に示すように、誘導装置100は電波を送受信するアンテナユニット101と、アジマス方向の信号とエレベーション方向の信号とを交互に切り替えて受信する励振受信ユニット102と、受信した信号を処理し、誘導信号を出力するシーカ制御ユニット103と、誘導信号に従って翼を操舵する操舵装置106と、飛しょう体の姿勢変化をサンプリングするレートセンサ107と、を備える。また、シーカ制御ユニット103は信号処理回路104と、誘導処理回路105と、を備える。
【0016】
励振受信ユニット102はアンテナユニット101によって受信した信号をアジマス方向の信号であるΔAZ信号とエレベーション方向の信号であるΔEL信号とに一定周期で切り替えて信号処理回路104に出力する。また、励振受信ユニット102は連続したΣ信号を信号処理回路104に出力する。
【0017】
信号処理回路104はΔAZ信号とΔEL信号とを基にアジマス方向の誤差角である誤差角AZとエレベーション方向の誤差角である誤差角ELとを算出し、誘導処理回路105に出力する。
【0018】
レートセンサ107は機体の姿勢変化であるレートをサンプリングして機体レートとして誘導処理回路105に出力する。
【0019】
誘導処理回路105は機体レート及び誤差角AZと誤差角ELと機体レートとビーム指向角とから推定目視線角とその微分値である誘導信号を算出する。誘導処理回路105は誘導信号を、飛しょう体制御系を介して操舵信号に換算し、操舵装置106に出力する。
【0020】
誘導処理回路105は推定目視線角を、機体レートを用いて機体座標系に変換し、追跡目標に照射するビームの指向角であるビーム指向角を算出する。誘導処理回路105はビーム指向角を信号処理回路104に出力する。信号処理回路104はビーム指向角を位相信号としてアンテナユニット101に出力する。
【0021】
図2は誘導装置100の信号伝達を示す図である。^は観測値を、・は微分値を表す。図2に示すように、誘導装置100はアンテナユニット101にて受信した誤差角信号を誤差角検出特性の伝達特性である誤差角検出特性G110を介してε^として検出する。また、誘導装置100は機体レートをレート検出特性の伝達関数GRS111を介してθ・^として検出する。
【0022】
信号の時間を一致させるために、ビーム指向角θ及びθ・^には誤差角検出特性模擬特性の伝達関数である誤差角検出特性モデルG’112が、ε^とθの加算値にはレート検出模擬特性の伝達関数であるレート検出特性モデルGRS’113が、それぞれ挿入される。これらの伝達関数から次の式(1)を導くことができる。
【0023】
σ・^=GGS(GRS’(Gε+G’θ)+G’GRSθ)・・・(1)
GSは不完全微分の伝達関数である。式(1)は誘導信号を算出する式である。ここで、G≒G’、GRS≒GRS’であれば式(1)は次の式(2)のようにあらわすことができる。
【0024】
σ・^=GGSRS(ε+θ)=GGSRSσ・・・(2)
式(2)より、G=G’、GRS=GRS’のとき、誘導信号σ・^は目視線角σのみの入力関数となっていることが分かる。
【0025】
一方、誘導信号の空間安定度Aは次の(3)式であらわせる。
【数1】

【0026】
従って、G=G’、GRS=GRS’であれば誘導信号にθ・の入力はないため、空間安定度Aは理論上−∞となる。しかし、実際にはG=G’、GRS=GRS’を成立させることは困難であり、ある程度の影響が残存する。
【0027】
AZEL切替測角方式ではこのうちG=G’が成立しない。しかし、通常アジマス方向の信号とエレベーション方向の信号とが同期している場合、G=G’を近似的に満たすことは可能である。
【0028】
次の式(4)において、Mはオイラー座標変換マトリックスである。
【数2】

【0029】
しかし、アジマス方向の信号とエレベーション方向の信号が切り替えて取得され、かつロールが発生した場合にはアジマス方向(ヨー姿勢角)、エレベーション方向(ピッチ姿勢角)をいずれの時間にも合わせることができないため、G=G’を満たすことができなくなる。
【0030】
ここで、誤差角ELの測角タイミングでは誤差角εEL^、ビーム指向角θ、及び機体姿勢角θ^は存在するが、誤差角εAZ^に関しては測角されない。
【0031】
また、誤差角AZの測角タイミングでは誤差角εAZ^、ビーム指向角θ、及び機体姿勢角θ^は存在するが、誤差角εEL^に関しては測角されない。
【0032】
このため、基本的に信号が独立したものとして観測されるロール角が0°以外の場合は(4)式の計算が厳密に行えないため、推定目視線角及び誘導信号の算出における時間の整合性に著しいずれが生じ、(3)式の空間安定性Aが著しく劣化する。
【0033】
この問題を回避するため、本実施形態においては次のような解決方法をとる。図3は本実施形態の誘導装置100における信号の取得タイミングを示した図である。ここで、ビーム指向角はビーム指向タイミングNが変更された時点で切り替わり、区間内は一定であるものとする。
【0034】
ΔELの間にエレベーション方向の誤差角が複数回測定され、平均値がε^ELとして検出される。また、ΔAZの間にアジマス方向の誤差角が複数回測定され、平均値がε^AZとして検出される。
【0035】
レート及び姿勢角の検出は、誤差角を検出するタイミングを4等分した時間間隔であるレート検出タイミングにおいて継続的に行われる。ΔELの間にエレベーション方向のレート及び姿勢角が検出され、ΔAZの間にアジマス方向のレート及び姿勢角が検出される。
【0036】
検出後、信号処理回路104によって後述の処理が行われ、誘導処理回路105に出力される。また、誘導処理回路105は、レートセンサ107からレート及び姿勢角を入力し、これらに基づいて後述の処理を行い、誘導信号を出力する。
【0037】
図4は、本実施形態の誘導装置100の誘導信号算出処理の手順を示す図である。図4に示すように、ステップ401において誘導装置100は信号処理回路104によりアンテナユニット101が受信した誤差角を検出する。
【0038】
具体的には、信号処理回路104は、ビーム指向タイミングNがn-1であり、誤差角検出タイミングMが1のときにエレベーション方向の誤差角ε^EL(n−1,1)を検出し、ビーム指向タイミングNがn-1であり、誤差角検出タイミングMが3のときにアジマス方向の誤差角ε^AZ(n−1,3)を検出する。信号処理回路104はε^EL(n−1,1)とε^AZ(n−1,3)を誘導処理回路105に出力する。
【0039】
誘導処理回路105は、誤差角検出タイミングMが1のときのアジマス方向の誤差角ε^AZ(n−1,1)の代わりにε^AZ(n−1,3)を、ビーム指向タイミングNがn-1であり、誤差角検出タイミングMが3のときのエレベーション方向の誤差角ε^EL(n−1,3)の代わりにε^EL(n−1,1)をメモリに格納する。
【0040】
ステップ402において、誘導処理回路105はビーム指向タイミングNがn-1であり、誤差角検出タイミングMが1のタイミングにおけるエレベーション方向の補正前推定目視線ベクトルσ^EL(n)と、ビーム指向タイミングNがn-1であり、誤差角検出タイミングMが3のタイミングにおけるアジマス方向の補正前推定目視線ベクトルσ^AZ(n)と、を算出する。
【0041】
具体的には、誘導処理回路105はε^EL(n−1,1)とε^AZ(n−1,3)を以下の(5)式に従って座標変換してσ^EL(n)を求め、ε^EL(n−1,1)とε^AZ(n−1,3)を以下の(6)式に従って座標変換してσ^AZ(n)を求める。
【数3】

【0042】
補正前推定目視線角ベクトルは次の(7)式によって表すことができるものとする。
【数4】

【0043】
上記の補正前推定目視線角は誤差角検出タイミングMが1から3の間の変動量を含んでいる。従ってこの変動量を算出し、補正する必要がある。
【0044】
ステップ403において、誘導処理回路105は、推定目視線角のエレベーション方向の変動量Δσ^EL(n)、及びアジマス方向の変動量Δσ^AZ(n)を算出する。
【0045】
上記の各タイミングにおける目視線角、すなわち目標の動きに急激な変化がないと仮定すると、推定目視線角の変動はほぼ機体の姿勢角の変動と等価であると考えてよい。
【0046】
従って、Δσ^EL(n)は以下の(8)式にて、またΔσ^AZ(n)は以下の(9)式にて、誤差角検出タイミングMが2の時のビーム指示角及び機体レートを用いて表わすことができる。
【0047】
Δσ^EL(n)=(エレベーション方向の角速度)(n-1,2,0)×Δt
=(−P(n−1,2,0)・cosθBAZ(n−1)+Q(n−1,2,0)・cosθBAZ(n−1))・sinφ(n−1,2,0)×Δt ・・・ (8)
Δσ^AZ(n)=(アジマス方向の角速度)(n-1,2,0)×Δt
=(R(n−1,2,0)+(P(n−1,2,0)・sinθBAZ(n−1)+Q(n−1,2,0)・cosθBAZ(n−1))・tanθBEL(n−1))・sinφ(n−1,2,0)×Δt ・・・ (9)
ここで、Pは機体のピッチレート、Rは機体のロールレート、Qは機体のヨーレートであり、Δtはε^EL(n−1,1)とε^AZ(n−1,3)の検出タイミングの時間間隔、θBELはエレベーション方向のビーム指示角、θBAZはアジマス方向のビーム指示角である。
【0048】
ステップ404において、誘導処理回路105は算出した変動量により補正前推定目視線角を補正し、推定目視線角を算出する。
【0049】
すなわち、誘導処理回路105は以下の(10)式によりエレベーション方向の推定目視線角を、また(11)式によりアジマス方向の推定目視線角を算出する。
【0050】
σ^’EL(n)=σ^EL(n)−Δσ^AZ(n) ・・・ (10)
σ^’AZ(n)=σ^AZ(n)+Δσ^EL(n) ・・・ (11)
ステップ405において、誘導処理回路105は推定目視線角から誘導信号を算出する。具体的には、誘導処理回路105はエレベーション方向の誘導信号σ^・EL(n)とアジマス方向の誘導信号σ^・AZ(n)を、時定数をもった微分関数によって不完全微分値を算出することにより、以下の(12)式及び(13)式を用いて算出する。
【数5】

【0051】
ここで、本実施形態の効果について説明する。図5はシミュレーションの条件を表す図である。図5において、追跡目標200に向かって飛しょう体210を誘導する場合についてシミュレーションを行う。Xは飛しょう体210の進行方向、Yはエレベーション方向(EL)、Zはアジマス方向(AZ)を示す。
【0052】
図6は追跡目標の目視線角を示す図である。図6において、グラフ310はアジマス方向の目視線角、グラフ311はエレベーション方向の目視線角を表す。追跡目標200はアジマス方向に一定の角速度にて移動しているものとする。
【0053】
図7は飛しょう体210の運動を示す図である。図7において、グラフ320はピッチ姿勢角を示し、一定の周期で動揺しているものとする。また、グラフ321はヨー方向の運動を表す。ヨー方向には運動していないものとする。グラフ322は時計回りの方向にロールする時間間隔を示す。グラフ323は反時計回りにロールする時間間隔を示す。
【0054】
図8は従来の誘導装置におけるシミュレーション結果である。図8において、グラフ330はアジマス方向の誘導信号、グラフ331はエレベーション方向の誘導信号を示す。図8に示すように、飛しょう体210の機体がロールしている間Lはアジマス方向の誘導信号にピッチ方向の動揺の影響が出てきてしまい、空間安定性が劣化している。
【0055】
図9は本実施形態におけるシミュレーション結果である。図9において、グラフ340はアジマス方向の誘導信号、グラフ341はエレベーション方向の誘導信号を示す。図9に示すように、飛しょう体210の機体がロールしている間Lにおいてもアジマス方向の誘導信号にピッチ方向の動揺の影響がほとんど現れず、空間安定性が劣化していない。
【0056】
また、先の出願(特許文献2)の図8のグラフ340に示すような微細なゆれも消失している。
【0057】
以上述べたように、本実施形態の誘導装置100は、第1のタイミングにおいて検出した第1の方向の誤差角と第2のタイミングにおいて検出した第2の方向の誤差角から第1の方向の補正前推定目視線角を算出し、第1のタイミングにおいて検出した第1の方向の誤差角と第2のタイミングにおいて検出した第2の方向の誤差角から第2の方向の補正前推定目視線角を算出し、機体レートとビーム指向角と第1のタイミングから第2のタイミングまでの時間間隔とから第1の方向の推定目視線角の変動量と第2の方向の推定目視線角の変動量とを算出し、第1の方向の補正前推定目視線角から第2の方向の変動量を差し引いて第1の推定目視線角を算出し、第2の方向の補正前推定目視線角に第1の方向の変動量を加算して第2の推定目視線角を算出し、第1の推定目視線角と第2の推定目視線角とから誘導信号を算出する。
【0058】
このため、機体にロールが起きても空間安定性がさらに安定するという効果がある。
【0059】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0060】
100:誘導装置、
101:アンテナユニット、
102:励振受信ユニット、
103:シーカ制御ユニット、
104:信号処理回路、
105:誘導処理回路、
106:操舵装置、
107:レートセンサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビームを追跡目標に照射し、第1の方向の信号と第2の方向の信号とを交互に前記追跡目標から受信するアンテナユニットと、
機体の姿勢変化のレートをサンプリングして機体レートを出力するレートセンサと、
前記第1の方向の信号と前記第2の方向の信号とから第1のタイミング及び第2のタイミングにて検出した第1の方向の補正前推定目視線角と第2の方向の補正前推定目視線角を算出し、前記機体レートと前記ビームのビーム指向角と前記第1のタイミングから前記第2のタイミングまでの時間間隔とから推定目視線角の変動量を算出し、前記変動量により前記第1の方向の補正前推定目視線角と前記第2の方向の補正前推定目視線角とを補正して第1の方向の推定目視線角と前記第2の方向の推定目視線角とを算出し、前記第1の推定目視線角と前記第2の推定目視線角とから誘導信号を算出するシーカ制御ユニットと、
を備える飛しょう体の誘導装置。
【請求項2】
ビームを追跡目標に照射し、第1の方向の信号と第2の方向の信号とを交互に前記追跡目標から受信するアンテナユニットと、
機体の姿勢変化のレートをサンプリングして機体レートを出力するレートセンサと、
第1のタイミングにおいて前記第1の方向の信号から第1の方向の誤差角を検出し、第2のタイミングにおいて前記第2の方向の信号から第2の方向の誤差角を検出し、前記第1の方向の誤差角と前記第2の方向の誤差角とから第1の方向の補正前推定目視線角と第2の方向の補正前推定目視線角を算出し、前記機体レートと前記ビームのビーム指向角と前記第1のタイミングから前記第2のタイミングまでの時間間隔とから第1の方向の推定目視線角の変動量と第2の方向の推定目視線角の変動量とを算出し、前記第1の方向の補正前推定目視線角を第2の方向の推定目視線角の変動量により補正して第1の推定目視線角を算出し、前記第2の方向の補正前推定目視線角を第1の方向の推定目視線角の変動量により補正して第2の推定目視線角を算出し、前記第1の推定目視線角と前記第2の推定目視線角とから誘導信号を算出するシーカ制御ユニットと、
を備える飛しょう体の誘導装置。
【請求項3】
前記シーカ制御ユニットは、
前記第1の方向の補正前推定目視線角から前記第2の方向の推定目視線角の変動量を差し引いて前記第1の推定目視線角を算出し、
前記第2の方向の補正前推定目視線角に前記第1の方向の推定目視線角の変動量を加算して前記第2の推定目視線角を算出し、
前記第1の推定目視線角と前記第2の推定目視線角とから誘導信号を算出する
請求項1又は請求項2に記載の飛しょう体の誘導装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−117779(P2012−117779A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−269351(P2010−269351)
【出願日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】