説明

食品乾燥機

【課題】 本出願人は、食品乾燥機として、多数基の乾燥室を併設し、一方側にファン付き熱源装置を、他方側にランプ照射で栄養素補強装置を備えた構造を提案する。椎茸を乾燥処理し、ランプ照射で栄養素補強、ビタミンD2の増強を図る。しかし、ダンパの開閉制御と、熱交換器を有効利用し、効率的な乾燥、省エネを図ることに関しては、十分な開示がなく、改良の余地があると考えられる。
【解決手段】 乾燥室の上面と一方側面に給排気通路を設けた食品乾燥機で、乾燥室の上面循環口と、給気通路の給気終端口を、ダンパで開閉し、給気通路に循環・給気合流通路を形成し、給排気通路に熱交換器を配備し、乾燥室と給気通路との間に加熱室を形成し、加熱室にファンと熱源を配備し、加熱室の終端口を、乾燥室下面の下方開口に開口し、乾燥室の排気口を、排気通路の始端口に開口する食品乾燥機である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、椎茸、魚等の食品を効率的、かつ省資源で乾燥する食品用乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、既に、この種の食品乾燥機として、特開平9−195号公報に示した発明を提案している(文献1)。その概要は、多数基の乾燥室を併設し、一方側にファンを備えた熱源装置と、他方側にランプ照射を図る栄養素補強装置を備えた構造であり、例えば、椎茸を乾燥処理し、その後、ランプ照射で栄養素補強、即ち、ビタミンD2の増強を図ることにある。しかし、この発明は、ダンパの開閉制御と、熱交換器を有効利用し、効率的な乾燥、及び/又は、省エネを図ることに関しては、十分な開示がなく、改良の余地があると考えられる。
【0003】
その他の関連技術として、次のような食品乾燥機がある。特公平4−29324号公報に示した発明がある(文献2)。その概要は、排風室を備えた乾燥室と、この乾燥室に隣接して設けた熱交換器と、排風室に設けた開口部を熱交換器の上方に至らしめるとともに、この開口部を開閉するダンパを設けた構造で、このダンパを、乾燥過程の最終段階で、開放し、排気を熱交換器に導くことで、外気との熱交換を図る構造である。この発明は、乾燥室内の気圧調整を主体として、温風乾燥することと、時間設定を基本とする構造である。しかし、この発明は、椎茸の大小で、内部の水分の溢出が異なるので、必ずしも有効とは考え難い。また、この発明は、ダンパの開閉制御と、熱交換器を有効利用し、効率的な乾燥、及び/又は、省エネを図ることに関しては、十分な開示がなく、改良の余地があると考えられる。また、実公昭63−2869号公報に示した考案がある(文献3)。その概要は乾燥室に併設して加熱室を設けた乾燥機において、天井面に排気通路を設けるとともに、空気、及び温風の流れをダンパで調整する構造が開示されている。しかし、この考案は、前述の文献1、2と同様に、ダンパの開閉制御と、熱交換器を有効利用し、効率的な乾燥、及び/又は、省エネを図ることに関しては、十分な開示がなく、改良の余地があると考えられる。
【0004】
【特許文献1】特開平9−195号公報
【特許文献2】特公平4−29324号公報
【特許文献3】実公昭63−2869号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記に鑑み、本発明では、下記のことを特徴とする。
1) 熱交換器を備えた乾燥機とし、この熱交換器によって暖められた空気(高温低湿)が用いられ目標温度に暖めるためのエネルギーが少なくなり、省エネに有効である。従って、既存の乾燥機で、熱交換器が無い乾燥機の弊害である、外気(低温低湿)を導入して乾燥を行う為に、外気温度を目標温度まで上げる必要がなくなり、効率的な食品乾燥が可能となる。
2) ダンパの制御と、熱交換器の活用、並びに給排気通路の構造、又はダンパ制御を介して、乾燥当初(乾燥初め)は、水分の蒸発速度が早い為、風で乾燥を進め、かつ外気導入を必要とする。そして、乾燥後半(乾燥終了間際)では蒸発速度が遅くなり、内部の水分を蒸発させる為に熱で乾操を進め、外気導入を少なくする。
3) 乾燥室の上面と一方側面に設けた吸入排気口を備えた給排気通路でなる食品乾燥機であり、温めた給気の熱放出を無くし得ること、等の実用性がある。
4) ダンパの制御を介して、乾燥室の湿度調整を行う構造であり、湿度調整の容易化と、品質が安定した乾燥食品を製造できる。
5) 吸気空気と排気空気が流れる層をプレートで仕切り、給気通路部と排気通路部を形成する構造であり、効率的な熱交換が図れる。
6) ダンパを、上面循環口、又は前記循環・給気合流通路を、開閉できる構造とし、かつ熱交換器で生成された、給気温風を有効利用しつつ、かつ食品、乾燥室の温湿度調整に対応可能とする。
7) 熱交換器のプレートの面にエンボス加工を行い、強度の向上と、熱交換面積の拡充を可能とする。
8) 食品乾燥機において、殺菌と消毒等を図る為に、食品に適するその他の装置を付設することで、衛生面と食の安全性に寄与する。尚、紫外線発生装置において、椎茸内のエルゴステロールをビタミンDに変換し、栄養価値を高め得る特性がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、前記特徴の1)〜3)を達成することを意図する。
【0007】
請求項1は、乾燥室の上面と一方側面に設けた吸入排気口を備えた給排気通路でなる食品乾燥機であって、
前記乾燥室の上面循環口と、上面の給気通路の給気終端口とを、制御部の指令で作動するダンパで開閉するとともに、前記給気終端口に繋がる循環・給気合流通路を形成し、また、前記一方側面に設けた給排気通路に熱交換器を配備し、前記乾燥室と一方側面に設けた前記給気通路との間に加熱室を形成するとともに、この加熱室にファンと熱源を配備し、この加熱室の終端口を、前記乾燥室の下面の下方開口に開口し、また、前記乾燥室の排気口を、前記排気通路の始端口に開口する構成とした食品乾燥機である。
【0008】
請求項2・3の発明は、前記特徴の1)〜3)と、4)を達成することを意図する。
【0009】
請求項2は、請求項1に記載の食品乾燥機において、
前記ダンパは、乾燥室の目標湿度(設定湿度)より実測湿度のほうが高い場合は、ダンパを開放する方向に操作し、また、乾燥室の目標湿度より実測湿度のほうが低い場合は、ダンパを閉める方向に動作するように、指令し、この指令を、前記制御部で行う構成とした食品乾燥機である。
【0010】
請求項3は、請求項1に記載の食品乾燥機において、
前記ダンパは、食品の水分の蒸発量が多く、前記目標湿度より前記実測湿度が高い場合は、ダンパを開放する方向に操作し、また、この食品の水分の蒸発量が低く、この目標湿度よりこの実測湿度が低い場合は、ダンパを閉める方向に動作するように、指令し、この指令を、前記制御部で行う構成とした食品乾燥機である。
【0011】
請求項4の発明は、前記特徴の1)〜3)と、5)を達成することを意図する。
【0012】
請求項4は、請求項1に記載の食品乾燥機において、
前記熱交換器の内部は、吸気空気と排気空気が流れる層をプレートで仕切り、給気通路部と排気通路部を形成し、この給気通路部には、外部から入ってくる低温低湿の空気を導き、また、排気通路部には、前記乾燥機から出てくる高温高湿の空気を導き、前記低温低湿の空気と、この高温高湿の空気との熱を熱伝導・熱伝達しながら熱の交換を行うことで、前記高温高湿の空気(排気空気)が低温高湿の空気へ状態変化し、また、前記低温低湿の空気(吸気空気)が高温低湿の空気へ状態変化する構成とした食品乾燥機である。
【0013】
請求項5の発明は、前記特徴の1)〜3)と、6)を達成することを意図する。
【0014】
請求項5は、請求項1に記載の食品乾燥機において、
前記ダンパは、前記上面循環口、又は前記給気終端口を、閉塞できる構造とした食品乾燥機である。
【0015】
請求項6の発明は、前記特徴の1)〜3)と、7)を達成することを意図する。
【0016】
請求項6は、請求項1に記載の食品乾燥機において、
前記プレートは、強度の向上と、熱交換面積の拡充とを意図し、その面にエンボス加工をする構造とした食品乾燥機である。
【0017】
請求項7の発明は、前記特徴の1)〜3)と、8)を達成することを意図する。
【0018】
請求項7は、請求項1に記載の食品乾燥機において、
前記食品乾燥機に、オゾン発生装置、及び/又は、紫外線発生装置の如く、他の装置を付設する構造とした食品乾燥機である。
【発明の効果】
【0019】
請求項1の発明は、乾燥室の上面と一方側面に設けた吸入排気口を備えた給排気通路でなる食品乾燥機であって、
乾燥室の上面循環口と、上面の給気通路の給気終端口とを、制御部の指令で作動するダンパで開閉するとともに、給気終端口に繋がる循環・給気合流通路を形成し、また、一方側面に設けた給排気通路に熱交換器を配備し、乾燥室と一方側面に設けた給気通路との間に加熱室を形成するとともに、加熱室にファンと熱源を配備し、加熱室の終端口を、乾燥室の下面の下方開口に開口し、また、乾燥室の排気口を、排気通路の始端口に開口する構成とした食品乾燥機である。
【0020】
この請求項1の特徴は、前述した1)〜3)の通りである。
【0021】
請求項2の発明は、請求項1に記載の食品乾燥機において、
ダンパは、乾燥室の目標湿度(設定湿度)より実測湿度のほうが高い場合は、ダンパを開放する方向に操作し、また、乾燥室の目標湿度より実測湿度のほうが低い場合は、ダンパを閉める方向に動作するように、指令し、指令を、制御部で行う構成とした食品乾燥機である。
【0022】
請求項3の発明は、請求項1に記載の食品乾燥機において、
ダンパは、食品の水分の蒸発量が多く、目標湿度より実測湿度が高い場合は、ダンパを開放する方向に操作し、また、食品の水分の蒸発量が低く、目標湿度より実測湿度が低い場合は、ダンパを閉める方向に動作するように、指令し、指令を、制御部で行う構成とした食品乾燥機である。
【0023】
この請求項2・3の特徴は、前述した1)〜3)と、4)の通りである。
【0024】
請求項4の発明は、請求項1に記載の食品乾燥機において、
熱交換器の内部は、吸気空気と排気空気が流れる層をプレートで仕切り、給気通路部と排気通路部を形成し、給気通路部には、外部から入ってくる低温低湿の空気を導き、また、排気通路部には、乾燥機から出てくる高温高湿の空気を導き、低温低湿の空気と、高温高湿の空気との熱を熱伝導・熱伝達しながら熱の交換を行うことで、高温高湿の空気(排気空気)が低温高湿の空気へ状態変化し、また、低温低湿の空気(吸気空気)が高温低湿の空気へ状態変化する構成とした食品乾燥機である。
【0025】
この請求項5の発明は、前記特徴の1)〜3)と、5)の通りである。
【0026】
請求項5の発明は、請求項1に記載の食品乾燥機において、
ダンパは、上面循環口、又は前記給気終端口を、閉塞できる構造とした食品乾燥機である。
【0027】
この請求項5の発明は、前記特徴の1)〜3)と、6)の通りである。
【0028】
請求項6の発明は、請求項1に記載の食品乾燥機において、
プレートは、強度の向上と、熱交換面積の拡充とを意図し、面にエンボス加工をする構造とした食品乾燥機である。
【0029】
この請求項6の発明は、前記特徴の1)〜3)と、7)の通りである。
【0030】
請求項7の発明は、請求項1に記載の食品乾燥機において、
食品乾燥機に、オゾン発生装置、及び/又は、紫外線発生装置の如く、他の装置を付設する構造とした食品乾燥機である。
【0031】
この請求項7の発明は、前記特徴の1)〜3)と、8)の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】食品乾燥機の正面図
【図2】食品乾燥機の右側面図
【図3】食品乾燥機の左側面図
【図4】食品乾燥機の断面図であって、ダンパを全開した(給気通路を閉塞)状態で、加熱室の温風を、乾燥室から循環・給気合流通路を介して、加熱室にリターンする全循環状態の断面図であり、かつ他の装置を示した図
【図5】食品乾燥機の断面図であって、ダンパを半開した(給気通路を半分閉塞)状態で、加熱室の温風を、乾燥室から循環・給気合流通路を介して、加熱室にリターンするとともに、排気通路を介して熱交換器に至らしめた後、排気口より排気する循環排気併用状態の断面図
【図6】食品乾燥機の断面図であって、ダンパを全閉した(乾燥室の上面循環口を閉塞)状態で、外気を熱交換器により昇温し、給気通路と循環・給気合流通路を介して、加熱室に送り、温風を生成した後、乾燥室に送り、働きを終えた温風を、排気通路を介して熱交換器に至らしめた後、排気口より排気する一方送風状態の断面図
【図7−1】食品乾燥機の各工程を示した断面図であり、運転を始めて、ファンとヒータが始動している状態の図
【図7−2】図7−1において、ファンとヒータが始動して、乾燥室の湿度が目標設定値に至っていないときには、図4の状態で、ダンパを全閉している状態の図
【図7−3】ファンとヒータが始動して、未だ乾燥室の湿度が目標設定値以下のときには、図4の状態で、ダンパを全閉している状態の図
【図7−4】図7−3において、乾燥室の温度が目標設定値に至ると、図4の状態であっても、ヒータが停止する状態の図
【図7−5】乾燥室の温度が目標設定値を下回ると、図4の状態であっても、ヒータが始動する状態の図
【図7−6】乾燥室の食品が温まり水分が蒸発し、湿度が目標値以上になったときは、図5の状態で、ダンパを半開した状態の図
【図7−7】乾燥室の食品の水分の蒸発が最大の蒸発量になったときは、図6の状態で、ダンパは、全開した状態を、但し、乾燥室において、食品を乾燥している状態で、この乾燥室の温度が目標設定値を下回ると、ヒータが始動し、上回る場合には、停止する(以下同じ)図
【図7−8】乾燥室の食品が乾燥してきたときは、徐々にダンパが閉方向に動き、図5の状態で、ダンパを半開した状態を、但し、乾燥室の温度が目標設定値を下回ると、ヒータが始動し、上回る場合には、停止する図
【図7−9】乾燥室の食品が、さらに乾燥した場合には、ダンパは、半開状態となり、図7−8の図5から、後述する図7−10の図6の全閉状態となり、ダンパを全閉となり、一方送風状態の図
【図7−10】図7−9の状態を経て、乾燥室の食品が乾燥した場合(図6の状態)には、ヒータは停止するが、このヒータに予熱があることから、ファンは駆動する状態を、但し、この予熱乾燥で、食品の栄養価が促進されると考えられる図
【図7−11】乾燥室の食品が乾燥し、かつヒータが冷却し、通常の状態となると、ファンは停止し、最初の状態となり、一例の乾燥作業が終了するので、乾燥室の棚から、栄養価の高い、食品を取出して、一連の作業が終了する図
【図8】食品乾燥機の熱交換器のプレートの要部の拡大斜視図
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の一例を、主として、図4〜図7−1から図7−11を基に説明する。図中1は乾燥機で、この乾燥機1の構造は、他方側1aから、上面1bと、一方側1cに至る鍵形の排気通路2と、この排気通路2の内側に併設するように設けた略同じ形状の給気通路3と、この給気通路3の一方側3cに形成した給気終端口3bより分岐する循環・給気合流通路300と、前記排気通路2と給気通路3の他方側1a、3aに設けた連通箇所5に設けた吸込口600aと、排気口600bとを有するプレート601で仕切られた熱交換器6(熱交換室600)と、前記排気通路2の一方側1cの下側の始端口2aに開口する排気口7a、及び、前記給気通路3の一方側3cの下側の給気終端口3bに開口する上面循環口7bを上面に備え、かつこの排気通路2、及び、給気通路3の下側に位置する乾燥室7と、この乾燥室7の一方内側の側面に設けた前記給気通路3との間に形成した加熱室8と、この加熱室8に設けた前記循環・給気合流通路300に繋がる上方開口8aと、前記乾燥室7の下端に繋がる上面循環口7bと、そして、この加熱室8に設けたファン9、及びヒータ10と(ファン9が上方開口8aに、ヒータ10が下方開口8bに設ける)と、前記乾燥室7の上面循環口7bと給気通路3(循環・給気合流通路300)を開閉する乾燥室7の上面に支点を有するダンパ11と、を主構成とする。図中12は、加熱室8の温風通路を、13は、乾燥室7の棚を、また、図15は、給気通路3の始端(熱交換器6を避けた下側)に設けた吸込口、16は、排気通路2の終端(熱交換器6を避けた下側)に設けた排気口、をそれぞれ示す。尚、前記プレート601には、強度の向上と、熱交換面積の拡充とを意図し、表面、又は表裏面にエンボス加工601aを形成する。
【0034】
そして、本発明の乾燥機1は、乾燥室8の上面1bと一方側1c面に設けた吸入排気口15、16を備えた給排気通路2、3でなる構造とすることで、温めた給気の熱放出を無くし得ること、等の実用性がある。また、給気通路3から循環・給気合流通路300を介して、加熱室8に温められた空気を供給することで、温風を確実、かつロウコストで生成できる実用性がある。
【0035】
また、前記熱交換器6は、プレート601で仕切られており、一方通路を外気が通り、他方の通路を排気が通る構造であり、例えば、吸込口15から導入された低温低湿の外気と、排気通路2から導入された高温高湿の空気との熱交換を利用して、温められた新鮮な外気(高温低湿の空気)を生成し、給気通路3、及び/又は、循環・給気合流通路300を介して、加熱室8に送る構造であり、省エネと、合理化等を図る。
【0036】
図中20は食品、例えば、椎茸を載せるエビラ(容器)を示す。さらに、25は、例えば、オゾン発生装置、又は、紫外線発生装置等の如く、他の装置を示している。この他の装置25を、設ける箇所の一例を、図4に示すが、例えば、オゾン発生装置は、給気通路3、及び/又は、排気通路2等の流れる箇所に設ける。また、例えば、紫外線発生装置は、乾燥室7内の各棚13に、一基、又は数基設けて、収容した全食品に直接、かつ万遍なく照射するように設けられる(最上の棚13に図示し、他の棚13は省略する)。
【0037】
以下、本発明の食品の乾燥方法(乾燥機の各工程)の一例を、図7−1〜図7−11を基に説明する。◎ 図7−1は、乾燥室7の棚13にエビラ20に収容された食品を収容と、被扉21した後、運転を始めて、制御装置22の指令(温湿度センサB、C)で(以下動作のときは同じ)、図示しない、モータ、又はスイッチが入り(以下動作のときは同じ)、ファン9(運転中は、ファン9は常時、運転する)とヒータ10が始動している状態であって、その指令を実線で示してある。この状態では、モータ23を介して(以下動作のときは同じ)、ダンパ11は半開状態で、給気通路3と循環・給気合流通路300との間にあり、乾燥室7の上方給気口7bは半開した状態である。◎ 図7−2は、図7−1において、ファン9とヒータ10が始動して、乾燥室7の湿度センサCが計測し、目標設定値に至っていないときには、図4の状態に至り、ダンパ11を全開し、給気通路3を閉塞した状態であり、乾燥室7の温風が、ヒータ10で温められる状態である。◎ 図7−3は、前記の如く、ヒータ10が始動して、未だ乾燥室7の湿度が目標設定値(目標湿度)以下のときには、図4の状態が完了し、ダンパ11を全開している状態であり、図7−2に準ずる。◎ 続いて、図7−4は、図7−3において、乾燥室7の温度が目標設定値に至ると、図4の状態であっても、ヒータ10が停止するが、ファン9は運転しているので、乾燥室7と加熱室8内での温風の流れがあり、かつ外気の吸込は少ない状態である。◎ 図7−5は、乾燥室7の温度が目標設定値を下回ると、図4の状態であっても、ヒータ10が始動して、温風を生成することで、乾燥室7の温度を目標設定値(目標温度)に戻す。また、乾燥室7の温度が目標設定値を上回ると、図4の状態であっても、ヒータ10は停止する。このヒータ10の始動と、停止は、前記の如く、制御装置22の指令による。◎ 図7−6は、乾燥室7の食品(図示せず)が温まり水分が蒸発し、湿度が目標値以上(目標湿度より実測湿度のほうが高い場合)になったときは、図5の状態で、ダンパ11が戻り、半開した状態であり、給気通路3と循環・給気合流通路300の略真中にあって、乾燥室7の上面循環口7bは、略半分開口されている。従って、熱交換器6で排気通路2を流れる働きを終えたやや低くなった温風(乾燥室7からの排気「高温高湿の空気」)と、低温低湿の外気とが熱交換されて生成された(省エネとなる)温められた温風(温められた新鮮な外気)と、乾燥室7の働きを終えた温風が、ファン9を介してともに上方開口8aから、ヒータ10に導かれ、適温の温風になり、加熱室8の通路より、下方開口8bより、この乾燥室7に下から給気(供給)される。◎ 図7−7は、乾燥室7の食品の水分の蒸発が、例えば、最大の蒸発量になったときは、図6の状態で、ダンパ11は、全閉した状態で、給気通路3は、循環・給気合流通路300を介して加熱室6に連通するとともに、乾燥室7の上面循環口7bは、全閉状態である。従って、温められた新鮮な外気は、給気通路3を介して、加熱室8に導かれ、前述のようにして、適温の温風となり、前述のようにして乾燥室7に供給される。但し、乾燥室7において、食品を乾燥している状態で、この乾燥室7の温度が目標設定値を下回ると、ヒータ10が始動し、上回る場合には、停止する(以下、乾燥状態では、原則として、この始動と停止は繰返される)。◎ 図7−8は、乾燥室7の食品が乾燥してきたときは、徐々にダンパ11が閉方向に動き、図5の状態で、ダンパ11を半開した状態となり、前述の図7−6の状態に準ずる。尚、この状態でも、乾燥室7の温度が目標設定値を下回ると、ヒータ10が始動し、上回る場合には、停止する。◎ 図7−9は、乾燥室7の食品が、さらに乾燥した場合には、ダンパ11は、半開状態となり、前述の図7−8の図5から、後述する図7−10の全閉状態となり、ダンパ11を全閉となり、一方送風状態をする。この状態においても、乾燥室7の温度が目標設定値を下回ると、ヒータ10が始動し、上回る場合には、停止する。◎ 図7−10は、図7−9の状態を経て、乾燥室7の食品が乾燥した場合には、ヒータ10は停止するが、このヒータ10に予熱があることから、ファン9は運転しており、予熱乾燥ととともに、このファン9の運転により、温められた外気が導入されることで、相乗乾燥が図れることで、食品の栄養価が促進されると考えられる。この温められた外気の流れは、図7−7に準ずる。◎ また、図7−11は、乾燥室7の食品が乾燥し、かつヒータ10が冷却し、通常の状態となると、制御部22の指令で、ファン9は停止し、最初の状態となり、一例の乾燥作業が終了するので、乾燥室7の棚13から、栄養価の高い、食品を取出して、一連の作業が終了する。◎ 以下は、前述の繰り返しである。
【0038】
尚、請求項3に記載した蒸発量の計測(多い、低い場合)は、例えば、実測湿度の単位時間当りの上昇量を計測することで求める構造である。そして、この蒸発量は、実際の乾燥状態を、湿度センサBと、温度センサCで計測することで求めるが、食品の製造時期、食品の状態とか、出来具合等を勘案して、個別に行うことを特徴とする。
【0039】
本発明の装置と、異なる装置であっても、同様な省エネと合理性、並びに効果を発揮できる構造は、本発明の範疇である。
【符号の説明】
【0040】
1 乾燥機
1a 他方側
1b 上面
1c 一方側
2 排気通路
2a 始端口
3 給気通路
3a 他方側
3b 給気終端口
3c 一方側
300 循環・給気合流通路
5 連通箇所
6 熱交換器
600 熱交換室
600a 吸込口
600b 排気口
601 プレート
601a エンボス加工
7 乾燥室
7a 排気口
7b 上面循環口
8 加熱室
8a 上方開口
8b 下方開口
9 ファン
10 ヒータ
11 ダンパ
12 温風通路
13 棚
15 吸込口
16 排気口
20 エビラ
21 扉
22 制御部
23 モータ
25 他の装置
B 湿度センサ(湿球センサ、又は湿度センサ等のセンサ)
C 温度センサ(乾球センサ、又は温度センサ等のセンサ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥室の上面と一方側面に設けた吸入排気口を備えた給排気通路でなる食品乾燥機であって、
前記乾燥室の上面循環口と、上面の給気通路の給気終端口とを、制御部の指令で作動するダンパで開閉するとともに、前記給気終端口に繋がる循環・給気合流通路を形成し、また、前記一方側面に設けた給排気通路に熱交換器を配備し、前記乾燥室と一方側面に設けた前記給気通路との間に加熱室を形成するとともに、この加熱室にファンと熱源を配備し、この加熱室の終端口を、前記乾燥室の下面の下方開口に開口し、また、前記乾燥室の排気口を、前記排気通路の始端口に開口する構成とした食品乾燥機。
【請求項2】
請求項1に記載の食品乾燥機において、
前記ダンパは、乾燥室の目標湿度(設定湿度)より実測湿度のほうが高い場合は、ダンパを開放する方向に操作し、また、乾燥室の目標湿度より実測湿度のほうが低い場合は、ダンパを閉める方向に動作するように、指令し、この指令を、前記制御部で行う構成とした食品乾燥機。
【請求項3】
請求項1に記載の食品乾燥機において、
前記ダンパは、食品の水分の蒸発量が多く、前記目標湿度より前記実測湿度が高い場合は、ダンパを開放する方向に操作し、また、この食品の水分の蒸発量が低く、この目標湿度よりこの実測湿度が低い場合は、ダンパを閉める方向に動作するように、指令し、この指令を、前記制御部で行う構成とした食品乾燥機。
【請求項4】
請求項1に記載の食品乾燥機において、
前記熱交換器の内部は、吸気空気と排気空気が流れる層をプレートで仕切り、給気通路部と排気通路部を形成し、この給気通路部には、外部から入ってくる低温低湿の空気を導き、また、排気通路部には、前記乾燥機から出てくる高温高湿の空気を導き、前記低温低湿の空気と、この高温高湿の空気との熱を熱伝導・熱伝達しながら熱の交換を行うことで、前記高温高湿の空気(排気空気)が低温高湿の空気へ状態変化し、また、前記低温低湿の空気(吸気空気)が高温低湿の空気へ状態変化する構成とした食品乾燥機。
【請求項5】
請求項1に記載の食品乾燥機において、
前記ダンパは、前記上面循環口、又は前記給気終端口を、閉塞できる構造とした食品乾燥機。
【請求項6】
請求項1に記載の食品乾燥機において、
前記プレートは、強度の向上と、熱交換面積の拡充とを意図し、その面にエンボス加工をする構造とした食品乾燥機。
【請求項7】
請求項1に記載の食品乾燥機において、
前記食品乾燥機に、オゾン発生装置、及び/又は、紫外線発生装置の如く、他の装置を付設する構造とした食品乾燥機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7−1】
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【図7−2】
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【図7−3】
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【図7−4】
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【図7−5】
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【図7−6】
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【図7−7】
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【図7−8】
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【図7−9】
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【図7−10】
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【図7−11】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−111027(P2013−111027A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−260926(P2011−260926)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(391008294)フルタ電機株式会社 (176)
【Fターム(参考)】