説明

食品包装材

【課題】本発明の課題は、食品等に残存する包装材片をX線検査装置によって検出可能とすると共に、残存包装材片がそのまま消費者の口に入ったとしても消費者に健康上の影響を及ぼさないようにすることにある。
【解決手段】発明に係る食品包装材は、本体及び低X線透過率物質を備える。低X線透過率物質は、本体の単位物理量当たりのX線透過率よりも低いX線透過率を有すると共に人体に対して無害であり、本体の表面に付されるか本体中に含有される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品包装材、特にX線検査において検知可能な食品包装材に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、精肉等はストレッチフィルムに包装された状態で加工センターや店舗に納入される。そして、加工センターや店舗には検査員が配属されており、通常、検査員はストレッチフィルムを剥がした後に精肉等をX線検査装置に通して異物検査を行う。しかし、精肉等が冷凍状態にある場合等においてストレッチフィルムが剥がされると、精肉等の表面にストレッチフィルムが残存してしまうことがある。このような残存フィルム片は現在のX線検査装置では検出されないため、フィルム片が残存したままの精肉が消費者の元に届くおそれがある。
【0003】
ところで、過去に『袋等の包装材に、包装材の単位物理量当たりのX線透過率よりも低いX線透過率を示す素材から成るマーキングを塗布し、包装材内の商品の入り数をX線検査装置で検査する』という提案がなされている(例えば、特許文献1参照)。このように包装材に、包装材の単位物理量当たりのX線透過率よりも低いX線透過率を示す素材から成るマーキングを塗布する等すれば、X線検査装置によって残存フィルム片等を検出することが可能となるが、残存フィルム等がそのまま消費者の口に入ることも想定されるため、消費者に対する安全対策が必要となる。
【特許文献1】特開2002−022675号公報(第0013段落等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、食品等に残存する包装材片をX線検査装置によって検出可能とすると共に、残存包装材片がそのまま消費者の口に入ったとしても消費者に健康上の影響を及ぼさないようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1発明に係る食品包装材は、本体及び低X線透過率物質を備える。なお、ここにいう「食品包装材」とは、包装フィルム、包装紙、袋、プラスチック容器(ペットボトル、発泡スチロール等)、木箱、トレー、コンテナ及びビン等である。また、ここにいう「本体」とは、例えば、樹脂、木材及びガラス等から構成される。低X線透過率物質は、本体の単位物理量当たりのX線透過率よりも低いX線透過率を有すると共に人体に対して無害であり、本体の表面に付されるか本体中に含有される。なお、この低X線透過率物質としては、例えば、カルシウム(Ca)、亜鉛(Zn)、鉄(Fe)、銀(Ag)、バリウム(Ba)、金(Au)及び白金(Pt)等の金属物質やこれらの化合物等が挙げられる。バリウム化合物としては、硫酸バリウムが好ましい。また、この低X線透過率物質は、粉体、蒸着膜、印刷塗膜等、いずれの形態で存在していてもよい。また、この低X線透過率物質は、全体に均一に塗布又は含有されてもよいし、一定の間隔をもって塗布又は含有されてもよい。
【0006】
この食品包装材では、本体の表面に低X線透過率物質が付されるか、本体中に低X線透過率物質が含有される。このため、この食品包装材は、X線検査装置によって検出される。また、この低X線透過率物質は、人体に対して無害である。このため、この食品包装材は、そのまま消費者の口に入ったとしても消費者に健康上の影響を及ぼすことがない。
【0007】
第2発明に係る食品包装材は、第1発明に係る食品包装材であって、低X線透過率物質は、カルシウム(Ca)、亜鉛(Zn)、鉄(Fe)、銀(Ag)、バリウム(Ba)、金(Au)及び白金(Pt)より成る群から選択される少なくとも1つの金属物質であるか、カルシウム(Ca)、亜鉛(Zn)、鉄(Fe)、銀(Ag)、バリウム(Ba)、金(Au)及び白金(Pt)より成る群から選択される少なくとも1つの金属原子を含む金属化合物である。なお、これらの金属物質及び金属化合物は人体に対して無害である。
【0008】
この食品包装材では、低X線透過率物質が、カルシウム(Ca)、亜鉛(Zn)、鉄(Fe)、銀(Ag)、バリウム(Ba)、金(Au)及び白金(Pt)より成る群から選択される少なくとも1つの金属物質であるか、カルシウム(Ca)、亜鉛(Zn)、鉄(Fe)、銀(Ag)、バリウム(Ba)、金(Au)及び白金(Pt)より成る群から選択される少なくとも1つの金属原子を含む金属化合物である。このため、この食品包装材は、そのまま消費者の口に入ったとしても消費者に健康上の影響を及ぼすことがない。また、低X線透過率物質として銀や、金、白金を用いた場合、食品に対する抗菌作用を享受することができる。
【0009】
第3発明に係る食品包装材は、第1発明又は第2発明に係る食品包装材であって、低X線透過率物質は、模様を形成する。
【0010】
この食品包装材では、低X線透過率物質が模様を形成する。このため、この食品包装材
は、X線検査装置によって形成される画像によって識別される。
【発明の効果】
【0011】
第1発明に係る食品包装材は、X線検査装置によって検出されると共にそのまま消費者の口に入ったとしても消費者に健康上の影響を及ぼすことがない。
【0012】
第2発明に係る食品包装材は、そのまま消費者の口に入ったとしても消費者に健康上の影響を及ぼすことがない。また、低X線透過率物質として銀や、金、白金を用いた場合、食品に対する抗菌作用を享受することができる。
【0013】
第3発明に係る食品包装材は、X線検査装置によって形成される画像によって識別される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
−第1実施形態−
<食品包装フィルムの構成>
第1実施形態に係る食品包装フィルム1は、図1に示されるように、フィルム本体3及び銀蒸着膜2から構成される。フィルム本体3は、プラスチック(例えば、ポリエチレン(PE)や、ポリ塩化ビニル(PVC)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVA)等)から形成されている。銀蒸着膜2は、フィルム本体3に蒸着処理されて形成される。
なお、銀蒸着膜2の膜厚は、X線検査装置の検出精度によって決定される。
【0015】
以下、実施例を用いて本発明に係る食品包装フィルムを詳述する。
【実施例1】
【0016】
アクリル板(直径約10cmx高さ約2cm)に銀蒸着膜(膜厚550オングストローム、TOPコート3μm以上、シーラントなし)を1枚ずつ貼り付けて試験片を作製する度に、その試験片をX線検査装置((株)イシダ製IX−G−2450)に通した。この結果、銀蒸着膜の総膜厚が8.8μmになったところでその試験片がX線検査装置によって検出された。したがって、食品包装材に8.8μm以上の銀蒸着膜あるいは銀コーティング膜を形成することによりX線検査装置による食品包装材の検出が可能となる。
【0017】
<X線検査装置>
以下、X線検査装置の一例を示す。
【0018】
X線検査装置10は、図2および図3に示されるように、主として、シールドボックス11、コンベア12、遮蔽カーテン16、土台部20、タッチパネル機能付きのモニタ26及び高さ調整機構40から構成される。そして、その内部には、図4に示すように、X線照射器13及びX線ラインセンサ14が設けられる。
【0019】
(1)シールドボックス
シールドボックス11は、X線検査装置10の上部を構成する箱型の部材であって、図5に示されるように、筐体11a、上部正面パネル11b及び下部正面パネル11cから構成されている。
【0020】
筐体11aには図4に示されるようにX線照射器13等が収容されており、その正面側は上部正面パネル11b及び下部正面パネル11cにより覆われている。そして、上部正面パネル11bには、モニタ26の他、キーの差し込み口や電源スイッチが配置されている。
【0021】
(2)コンベア
コンベア12は、シールドボックス11の下方に形成される検査空間S(図3参照)において商品Xを所定の方向へ搬送する搬送装置であって、図3に示すコンベアモータ12fによって駆動される。コンベア12の搬送速度は、作業者が入力した設定速度になるように、制御コンピュータ(図示せず)によるコンベアモータ12fのインバータ制御によって細かく制御される。
【0022】
また、コンベア12は、図3および図6に示すように、コンベアベルト12a、ラインセンサカバー12b及び回転ローラ31〜33を含むように構成されており、土台部20に対して取り外し可能に且つ片持ち支持された状態で土台部20に取り付けられている。
【0023】
コンベアベルト12aは、無端ベルトであって、ベルトの内側から回転ローラ31,32,33によって支持されている。そして、コンベアモータ12fの駆動力を受けて回転する回転ローラ32からの回転駆動力を受けて、ベルト上に載置された物体を所定の方向に搬送する。
【0024】
ラインセンサカバー12bは、図3および図6に示すように、コンベアベルト12aを覆うように、X線検査装置10の正面側に取り付けられている。そして、ラインセンサカバー12bは、コンベアベルト12aの搬送面内側の面に対向する位置に、搬送方向に対して直交する方向に長く開口した開口部12cを有している。開口部12cは、X線照射器13とX線ラインセンサ14とを結ぶ線上に形成されている。つまり、開口部12cは、商品Xを透過したX線がラインセンサカバー12bによって遮蔽されないように形成されている。
【0025】
回転ローラ31〜33は、図6に示されるように、コンベアベルト12aを内周面側から略三角形状に支持する。第1回転ローラ31は、後述する高さ調整機構40によって高さ位置が調整される移動側の回転ローラであって、コンベア12の下流側の端部に配置されている。第2回転ローラ32は、コンベア12の上流側の端部に配置される固定側の回転ローラである。第3回転ローラ33は、コンベア12の下方に配置される固定側の回転ローラである。なお、第2回転ローラ32は、図6に示されるように、接合金具43及び取付プレート44を介してラインセンサカバー12bに取り付けられる。さらに、第3回転ローラ33は、図6に示されるように、軸支金具45aを介して、下部カバー45と共にラインセンサカバー12bに取り付けられる。
【0026】
(3)X線照射器
X線照射器13は、図4に示されるように、コンベア12の上方、つまり検査空間Sの上方に配置されており、ラインセンサカバー12bに形成された開口部12cを介してコンベア12の下方に配置されたX線ラインセンサ14に向かって扇形形状にX線を照射する。
【0027】
(4)X線ラインセンサ
X線ラインセンサ14は、図3に示されるように、コンベア12(開口部12c)の下方に配置されており、商品Xやコンベアベルト12aを透過してくるX線を検出する。このX線ラインセンサ14は、コンベア12の搬送方向に直交する向きに一直線に水平配置された複数の画素から構成されている。
【0028】
(5)遮蔽カーテン
遮蔽カーテン16は、図3に示されるように、シールドボックス11の下方であって、土台部20の上方部分に形成された搬入口および搬出口に相当する開口20aを覆う位置とその内側の位置とにそれぞれ配置されている。また、この遮蔽カーテン16は、被検査物である商品Xを所定の方向へ搬送するコンベア12の搬送面上に垂れ下がるように取り付けられており、図8に示されるように、鉛を含むゴム製のノレン部分16a、ノレン部分16aを吊り下げるための支持棒16b、及び2本の支持棒16bの一方の端部同士を連結する連結部16cから構成されている。このため、商品Xが検査空間Sへ搬出入される際には、搬送される商品Xによってノレン部分16aが押しのけられる。
【0029】
(6)土台部
土台部20は、図2および図3等に示されるように、X線検査装置10全体を下方から支持するための土台となる部分であって、図5に示されるように、開口20a、本体部20b、4本の脚部20c及び載置部20dを有している。
【0030】
開口20aは、載置部20dの下方に形成される検査空間Sにおいて、商品Xの搬送方向における上流側と下流側とにそれぞれ形成されている。そして、この開口20aからは、図3に示されるように、コンベア12の上下流側の両端がそれぞれ突出するように配置されている。また、開口20aには、検査空間S内から外部へのX線の漏洩を防止するために、遮蔽カーテン16が取り付けられている。
【0031】
本体部20bは、図4および図5に示されるように、X線検査装置10の裏面側に沿って略鉛直方向に延伸するように配置されており、検査空間Sの奥側の面、つまり正面側に対向する面を構成する。
【0032】
脚部20cは、平面視において、X線検査装置10における四隅に配置されており、装置全体を支持する。
【0033】
載置部20dには、図5に示されるように、上述したシールドボックス11が上から取り付けられる。また、載置部20dには、シールドボックス11内に搭載されたX線照射器13から照射されるX線を遮蔽しないように、中央部分に開口が形成されている。このため、X線照射器13から照射されたX線は、シールドボックス11の下面、載置部20dの開口部分を通過して、コンベア12によって所定の方向へ搬送される商品Xに照射される。
【0034】
(7)モニタ
モニタ26は、フルドット表示の液晶ディスプレイである。また、モニタ26は、タッチパネル機能を有しており、初期設定や不良判断に関するパラメータ入力などを促す画面を表示する。
【0035】
また、モニタ26は、後述する画像処理が施された後のX線画像を表示する。これにより、商品Xに含まれる異物の有無、場所、大きさ等を、ユーザに対して視覚的に認識させることができる。
【0036】
さらに、モニタ26は、後述するX線照射量の不安定化によってX線画像に形成される暗いスジ部分を補正する前後のX線画像や、X線照射器13の照射量の不安定化によって検査不能である旨の表示を行う。
【0037】
(8)高さ調整機構
高さ調整機構40は、第1回転ローラ31の高さ位置を変更することで、コンベア12の搬送面の高さを調整するための機構であって、図6および図7に示されるように、第1回転ローラ31、ローラ支持金具41及び接合金具42から構成されている。
【0038】
第1回転ローラ31は、両端から突出する回転軸31aを中心に回転するローラ部材であって、コンベア12における下流側の端部に配置されている。また、第1回転ローラ31は、他の回転ローラ32,33とともに、内面側からコンベアベルト12aを支持する。
【0039】
ローラ支持金具41は、図7に示されるように、固定ボルト41a、側面部41b及び本体41cを含むように構成されている。固定ボルト41aは、側面部41bに形成された回転軸穴41baに挿入されて、ローラ支持金具41と接合金具42とを接続する。側面部41bは、ローラ支持金具41の両端に本体41cと連続するように搬送方向に略平行な面を有する板状の部材であって、回転軸穴41ba及び支持部41bbを有している。回転軸穴41baは、固定ボルト41aが挿入されてローラ支持金具41を回動させる際の回動中心となる。支持部41bbは、側面部41bに形成された切欠き状の部分であって、回転ローラ31の両端の回転軸31aがそれぞれ挿入されて軸支される。なお、本実施形態では、説明の便宜上、固定ボルト41aがローラ支持金具41の一端にのみ挿入されるように図7に図示されているが、実際にはローラ支持金具41の両端から回動軸穴41baに対して固定ボルト41aが挿入されるものとする。
【0040】
接合金具42は、図7に示すように、ラインセンサカバー12bの下流側の端部に対してローラ支持金具41を接合するための部材であって、固定ボルト42a及び貫通孔42bを有している。固定ボルト42aは、貫通孔42bに挿入されて、接合金具42とラインセンサカバー12bとを接合する。
【0041】
<食品包装フィルムの特徴>
(1)
本発明の第1実施形態に係る食品包装フィルム1には、フィルム本体3の片面上に銀蒸着膜2が設けられている。このため、この食品包装フィルム1は、X線検査装置10によって検出されると共にそのまま消費者の口に入ったとしても消費者に健康上の影響を及ぼすことがない。
【0042】
(2)
銀蒸着膜2の側が食品に接するようにして食品が本発明の第1実施形態に係る食品包装フィルムで包装されれば、食品に対して抗菌作用を及ぼすことができる。
【0043】
<変形例>
(A)
第1実施形態では蒸着膜の構成成分として銀が採用されたが、カルシウム、亜鉛、鉄、バリウム、金、白金、その他の人体に無害な金属が採用されてもかまわない。
【0044】
(B)
第1実施形態ではフィルム本体3の片面上に蒸着処理により銀の膜が形成されたが、印刷処理により銀の膜が形成されてもかまわない。銀の印刷処理は、銀ペースト等を利用すれば可能となる。
【0045】
(C)
第1実施形態では食品包装フィルム1に銀蒸着膜2が形成されたが、包装紙、袋、プラスチック容器(ペットボトル、発泡スチロール等)、木箱、トレー、コンテナ及びビン等、他の食品包装材に銀蒸着膜2が形成されてもよい。また、ビス等の係止部品が存在する場合にはその係止部品にも銀蒸着膜を形成しておけば係止部品も検出することができる。
【0046】
(D)
第1実施形態ではフィルム本体3の片面上に銀蒸着膜2が均一に形成されたが、銀蒸着膜は図9〜図13に示されるようなパターン(模様)P1〜P5を有するように形成されてもかまわない。このようにすれば、食品包装フィルムはX線検査装置によって形成される画像によって識別される。なお、図9に示されるパターンP1では長さが異なる太線が異なる間隔をもって配置されている。このようにすれば、食品包装フィルムに種々の情報をもたせることができる。
【0047】
(E)
第1実施形態ではX線検出装置の一例を示したが、X線検査装置は他のタイプのX線検査装置であってもかまわない。
【0048】
(F)
第1実施形態ではX線検査装置を示したが、本発明に係る食品包装フィルム1を検出する装置として金属探知装置が使用されてもよい。ただし、包装対象として精肉等、多量の金属が含まれる食品が選択される場合には使用することができない。
【0049】
(G)
第1実施形態では特に言及しなかったが、食品包装フィルムは図14に示されるような構造を有していてもかまわない。この食品包装フィルム101では、フィルム本体3の片面上に銀蒸着膜2が形成され、さらにその銀蒸着膜2の上に保護フィルム4が形成される。このようにすれば、銀蒸着膜2を保護することができる。
【0050】
−第2実施形態−
<食品包装フィルムの構成>
第2実施形態に係る食品包装フィルム201は、図15に示されるように、フィルム本体203及び硫酸バリウム(BaSO)粒子202から構成される。フィルム本体203は、プラスチック(例えば、ポリエチレン(PE)や、ポリ塩化ビニル(PVC)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVA)等)から形成されている。硫酸バリウム粒子202は、フィルム本体111に分散されている。なお、このような食品包装フィルム201は、フィルム成形加工前に原料プラスチックに予め硫酸バリウム粒子202を混合しておくことにより製造することができる。また、この硫酸バリウム粒子202はX線検査装置の検出精度の観点から食品包装フィルム201全量に対して3〜50wt%となるように、さらにはX線検知装置の画面において「点」とならない程度まで混入されるのが好ましい(点検出であるとフィルム片であるのか他の異物であるのか識別しにくくなるため)。また、硫酸バリウム粒子202の粒子径は0.3mm程度あれば十分である(SUSの場合、粒子径0.3mmでX線検査装置により検出可能となる。硫酸バリウムはSUSよりも密度が高いのでより小さな粒子径であっても検出可能となるはずである)。
【0051】
<X線検査装置>
X線検査装置としては、第1実施形態に係るX線検査装置と同一のX線検査装置が使用される。
【0052】
<食品包装フィルムの特徴>
本発明の第2実施形態に係る食品包装フィルム201では、フィルム本体203に硫酸バリウム粒子202が分散されている。このため、この食品包装フィルム1は、X線検査装置10によって検出されると共にそのまま消費者の口に入ったとしても消費者に健康上の影響を及ぼすことがない。
【0053】
<変形例>
(A)
第2実施形態では、検出物質として硫酸バリウム粒子202が採用されたが、カルシウム粒子、亜鉛粒子、銀粒子、金粒子、酸化銀粒子、その他人体に無害な金属粒子あるいは金属化合物粒子が採用されてもかまわない。なお、かかる場合、このような金属粒子又は金属化合物粒子には摂氏300度以上の耐熱性が要求される場合がある(成形加工時に変質しないことが要求されるため)。
【0054】
(B)
第2実施形態に係る食品包装フィルム201ではフィルム本体203に硫酸バリウム粒子202が分散されたが、食品包装フィルムが図16に示されるような積層構型食品包装フィルム301である場合、硫酸バリウム粒子202は接着剤層(粘着剤層であってもよい)205に分散されてもかまわないし、もう片側のフィルム204に分散されてもかまわない。
【0055】
(C)
第2実施形態ではフィルム本体203に硫酸バリウム粒子202が分散されたが、包装紙、袋、プラスチック容器(ペットボトル、発泡スチロール等)、木箱、トレー、コンテナ及びビン等、他の食品包装材に硫酸バリウム粒子202が分散されてもかまわない。また、ビス等の係止部品が存在する場合にはその係止部品に硫酸バリウム粒子202を分散させておけば係止部品も検出することができる。
【0056】
(D)
第2実施形態ではX線検出装置の一例を示したが、X線検査装置は他のタイプのX線検査装置であってもかまわない。
【0057】
(E)
第2実施形態ではX線検査装置を示したが、本発明に係る食品包装フィルム1を検出する装置として金属探知装置が使用されてもよい。ただし、包装対象として精肉等、多量の金属が含まれる食品が選択される場合には使用することができない。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明に係る食品包装材は、X線検査装置によって検出されると共にそのまま消費者の口に入ったとしても消費者に健康上の影響を及ぼすことがないという特徴を有し、特に使用環境が厳しく剥がされるときに食品に残存しやすい場合に有効である。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の第1実施形態に係る食品包装フィルムの縦断面図である。
【図2】X線検査装置の外観斜視図である。
【図3】X線検査装置の正面図である。
【図4】X線検査装置の側面図である。
【図5】X線検査装置の分解斜視図である。
【図6】X線検査装置の上部分の分解斜視図である。
【図7】X線検査装置の高さ調整機構の分解斜視図である。
【図8】X線検査装置の遮蔽カーテンの斜視図である。
【図9】本発明の第1実施形態の変形例(D)に係る食品包装フィルムの表面上に形成されるパターン図である。
【図10】本発明の第1実施形態の変形例(D)に係る食品包装フィルムの表面上に形成されるパターン図である。
【図11】本発明の第1実施形態の変形例(D)に係る食品包装フィルムの表面上に形成されるパターン図である。
【図12】本発明の第1実施形態の変形例(D)に係る食品包装フィルムの表面上に形成されるパターン図である。
【図13】本発明の第1実施形態の変形例(D)に係る食品包装フィルムの表面上に形成されるパターン図である。
【図14】本発明の第1実施形態の変形例(G)に係る食品包装フィルムの縦断面図である。
【図15】本発明の第2実施形態に係る食品包装フィルムの縦断面図である。
【図16】本発明の第2実施形態の変形例(B)に係る食品包装フィルムの縦断面図である。
【符号の説明】
【0060】
1,101,201,301 食品包装フィルム(食品包装材)
2 銀蒸着膜(低X線透過率物質)
3,203 フィルム本体(本体)
4 保護フィルム
202 硫酸バリウム粒子(低X線透過率物質)
204 フィルム
205 接着剤層
P1,P2,P3,P4,P5 パターン(模様)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、
前記本体の単位物理量当たりのX線透過率よりも低いX線透過率を有すると共に人体に対して無害であり、前記本体の表面に付される又は前記本体中に含有される低X線透過率物質と
を備える、食品包装材。
【請求項2】
前記低X線透過率物質は、カルシウム(Ca)、亜鉛(Zn)、鉄(Fe)、銀(Ag)、バリウム(Ba)、金(Au)及び白金(Pt)より成る群から選択される少なくとも1つの金属物質、又はカルシウム(Ca)、亜鉛(Zn)、鉄(Fe)、銀(Ag)、バリウム(Ba)、金(Au)及び白金(Pt)より成る群から選択される少なくとも1つの金属原子を含む金属化合物である
請求項1に記載の食品包装材。
【請求項3】
前記低X線透過率物質は、模様を形成する
請求項1又は2に記載の食品包装材。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate


【公開番号】特開2008−168917(P2008−168917A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−1689(P2007−1689)
【出願日】平成19年1月9日(2007.1.9)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】