説明

飲料水製造のための生物学的水処理設備

【課題】 従来の設備の欠点を持たない、飲料水の処理設備を提供する。
【解決手段】 酸素化ガスを射出するための射出手段(9)を備えた少なくとも1つの生物学的反応器と、該反応器(7)に浸漬されたマイクロ濾過または限外濾過用の少なくとも1つの分離膜(11)と、生物体のための担体の役割をする懸濁状態の少なくとも1つの粉末材料を反応器(7)に添加するための添加手段(10)とを含み、前記粉末材料が、生物が必要とする基質を固定する反応性粉末材料であり得る、飲料水を製造するための水の生物学的処理設備に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
飲料水製造のための生物学的水処理設備 本発明は、水処理のための濾過精製設備の分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本発明は、より正確には、特に深層またはカルスト地形、或いは地表水である地下水のような飲料水の処理に適用される。
従来、飲料水の処理設備は、通常、凝集/沈澱/濾過と酸化装置で完結する如き一連の物理化学的処理装置から構成される。
【0003】
凝集は、物理化学的工程であり、その目的は、コロイド粒子を沈降除去できるように、凝集剤(ポリ塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩化第二鉄など)を添加して水中に含まれるコロイド粒子の条件を変更することである。
凝集で除去不可能な微生物、微粒子汚染物質、化合物(第一鉄、マグネシウムなど)は、通常、オゾン、塩素、または二酸化塩素の如き強酸化剤の使用により酸化される。
【0004】
また、微粒子汚染物質は、活性炭上への吸着、或いは揮発性の場合には放出(強制通気)により除去可能である。 懸濁状態の粒子を除去するよう意図されている濾過工程は、従来は砂フィルターのような1つ以上の粒状の非反応性材料の層上で実施される。
【0005】
そこで、従来の飲料水の処理設備は、凝集装置と、続いて沈降装置と、濾過装置(例えば砂上)と、オゾン化装置と、粉末または粒状の活性炭上の濾過装置と、消毒装置とから構成される。 業界の現状では、このような従来の飲料水の処理設備は多くの欠点を有している。
【0006】
先ず、前記設備は、各装置が特殊処理のために準備された多数の装置から構成される故、その設備は相当な大きさとなり、配置を妨げることがある。この問題は、都市地域即ち利用可能面積が小さく大概の場合高価である地域に飲料水の処理設備を作るときに、特に高められる。
【0007】
更に、このような設備は、異なる処理装置間の多数の接続部を組み立てる必要があり、取り付けに時間がかかる接続部は、高価で、且つ設備内で相当数の弱点を生じさせる。
従来の飲料水処理システムの代替として、少なくとも1つの付随的濾過膜を含み循環回路中にオゾン射出を伴った、処理水のための循環回路を利用する膜濾過方法が最近特に提案されている。
【0008】
膜を使用する既知の飲料水設備は、特に相当な変更作業を行わずに現存の従来設備に採用できない故に、構築に費用がかかる欠点を有する。
バクテリアの使用は、生物学的処理が必要とされる工程だけに限ることが難しく、且つそのために次工程で、飲用として安全であるべき水を汚染する可能性があるため、従来から残余水の処理に用いられる生物学的処理は、飲料水処理設備には殆ど使用されなかった。また、このような処理設備は、水中に含まれる炭素及び/又は窒素汚染の分解に微生物を使用することを可能とする温度で稼働される。しかしながら、低温度、特に冬期に稼働可能な、利用できる飲料水処理システムを持つことが一層望ましい。
【0009】
特に、処理されるべき飲料水中で活性汚泥を生育する可能性の検討は、出願人が知る限りでは、成されたことがなかった点に注目すべきである。従来の清澄化手段と共に前記活性汚泥を使用することは、清澄水中への放出により製造を上回る生物体の損失に帰着し、そのため十分な汚泥日令が達成できないことは事実である。
従来技術としては、以下のものがある。
【特許文献1】特開平6−47399号公報
【特許文献2】特開昭53−48348号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、従来の設備の欠点を持たない、飲料水の処理設備を提供することである。
本発明のもう一つの目的は、生物学的処理工程を使用する飲料水の処理設備を提案することである。
本発明のさらなる目的は、砂濾過のような従来濾過法を使用する現存飲料水処理設備の更新により、廉価に構築可能な設備を提案することである。
【0011】
本発明のさらなる目的は、生物学的処理の利点と、微粒子汚染物質または窒素性汚染物質を吸着する化合物、例えば粉末活性炭、クレー、ゼオライト等を使用する処理の利点を組み合わせた設備を記述することである。
本発明のさらなる目的は、水処理設備中に1つ以上の濾過膜を含み、それにもかかわらず高処理流量を維持することである。
本発明のさらなる目的は、生物学的活性が少ない又は無いような温度下で使用できるような利用柔軟性が高い飲料水処理設備を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
下記の説明で明白になる前記種々の目的は、飲料水の生物学的処理設備に関する本発明によって達成されるものであり、該設備は、酸素化ガス(oxygenated ga s)を射出する手段を備えた少なくとも1つの生物学的反応器と、該反応器内に浸漬された少なくとも1つのマイクロ濾過(microfiltration)または限外濾過(ultr afiltration)膜と、生物体のための担体の役割をする懸濁状態の少なくとも1つの粉末材料を添加するための前記反応器内にある手段とを含み、前記粉末材料は、前記生物体が必要とする基質を固定する反応性粉末から構成され得ることを特徴としている。
【0013】
本発明は、活性汚泥を用いる飲料水処理を提案するものであり、一方、現技術水準は、このような工程に非固定の生物体の使用を回避するよう当業者に求めるものであるから、本発明は新規である。
本発明に従えば、活性汚泥の採用は、少なくとも1つのマイクロ濾過または限外濾過膜の使用によって可能となり、この膜は生物体を反応器内に引き止め、且つ、反応器外に移動することを防止する。また、前記の膜の使用により、十分に長い汚泥日令を得て、水の浄化を可能にしている。
【0014】
本発明は、また、飲料水処理中に少なくとも1つの粉末材料を反応器に添加することを提案する点で、新規である。前記材料は、生物体のための担体の役割をすることにより、生物体の発育に寄与している。
再び本発明によれば、用いられる粉末材料は、生物体が必要とする基質(有機物、NH4)を粉末表面に吸着することにより、水処理に直接的に寄与する反応性粉末から構成されてもよい。
【0015】
反応性粉末は、処理すべき飲料水の組成に関連して、特に有機物とNH4含有量に関連して選択され得る。粉末活性炭(PAC)は、有機物の高度な吸着とNH4 の微量吸着を行うために用いられ、一方、ゼオライトは、NH4の高度な吸着と有機物の微量吸着を行うために好んで用いられる。
それ故、本発明の設備は、生物学的処理と膜濾過の複合した利点を、1つの且つ同一の反応器内で有利に結合させている。
【0016】
固定した生物体は、生分解性炭素汚染(CODB)物質と窒素汚染物質を分解し、膜は、水の濾過と、懸濁状態の物質の除去を共に行ない、生物体の移動を効果的に防止する。
また、前記設備は、処理すべき飲料水に必要に応じて、特に前記水の組成に関連して添加する反応性粉末を使用できる。
【0017】
反応器に粉末材料を添加するために用いる手段は、反応器中に存在する水に、使用生物体のための担体の役割をする非反応性粉末、例えば砂やアンスラサイトを添加するために用いることができ、さらに前記水に1以上の種々の種類の反応性粉末を添加するために用いることができる。
本説明で「反応性粉末」の語は、処理すべき飲料水中の化合物の1つと、それを除去する観点で、吸着またはイオン交換により反応するような全ての粉末を意味するものと解釈される。
これらの粉末は、物理的特性として硬度、磨耗性、密度が必要とされ、反応器内に存在する水中で流動させ、且つ使用する膜と適合させる。
【0018】
本発明の設備を用いて、反応性粉末は、有利には、処理する水の組成に関連して前記水に添加されるもので、特に微小汚染物質含有量および殊に生物学的手段で除去し難い化合物である殺虫剤(アトラジン、シマジンなど)含有量に関連し添加される。これらの反応性粉末は、カドミウムや鉛の如き金属を含有する水から、有毒金属を除去するために用いることができる。
【0019】
いくつかの場合において、以下に詳細に説明するように、反応器を通過する水の温度が大変低く、反応器中の生物体が殆どまたは全く不活性である時にも、反応性粉末は、炭素または窒素汚染物質を吸着するために使用可能である。従って、必要であれば、前記反応粉末の使用は、生物体の機能的リレー(relay)として本発明の装置に使用の柔軟性を与え、処理すべき水の温度に関係なく稼働できるようになる。
【0020】
反応器内の膜の存在は、処理すべき飲料水を効果的に濾過し、且つ処理工程の次の工程にバクテリアを通過させない。
【0021】
最後に、この設備内へ酸素化ガスを射出する手段は、4つの主要な目的を有する。第1に、該手段は、反応器中の生物体の呼吸のために必要な酸素を供給できる。第2に、該手段は、反応器中の粉末の流動性を確実にする。第3に、該手段は、前記粉末と水の完全な混合を確実にし、最後に、反応器に浸漬された膜を振盪して、膜の汚損を防止または少なくとも遅延させる。
【0022】
前記の特徴は、特に興味深い。その理由は、前記手段が、新たな土木工事を行わずに改良された飲料水製造につながる旧式飲料水設備から新設備への変換を可能とするからである。それ故、新設備の構築時に通常生じるかなりの費用負担を節減できる。
【0023】
好ましくは、前記反応性粉末は、粉末活性炭(PAC)、ゼオライト、クレー、交換樹脂より成る群から選ばれる。好ましくは、粉末活性炭(PAC)は、特定の殺虫剤中の微小汚染物質を吸着する化合物として用いられる。従って、PACは、前記化合物の水分含有量が特に高い時期、特に春季に添加して用いられる。ゼオライト、クレー、及び交換樹脂は、低温度時に生物体の活性度が不足する場合に、窒素汚染物質を捕捉するために使用でき、且つ金属捕捉のためにも使用できる。
【0024】
現在の技術水準で、非生物学的手段を用いる飲料水処理設備は既知であり、それらの設備では、付随的濾過膜と粉末活性炭の添加を採用している。該設備は、仏国出願特許第2629337号に記載されている。しかし、該設備内で、粉末材料の射出は、この粉末材料の吸収特性が消耗したとき直ちにこの粉末材料を収集できるよう、リサイクル回路で実施される。該設備と異なり、本発明の設備は、どのようなリサイクル回路も必要とせず、特にこの設置を簡便にしている。さらにまた、本発明は、前記文献に記載された技術と区別され、反応性粉末が単にその吸着特性のために使用されるだけでなく、バクテリア固定のための担体の役割をし、それによって生物学的処理と膜処理を組み合わせる可能性を開いた。
【0025】
もう一つの仏国出願特許第2696440号は、粉末試薬を用いた混合物の沈降用および膜上の付随的濾過用の分離装置を用いた非生物学的飲料水処理設備を開示する。先行技術である該設備において、粉末試薬は、リサイクル回路を経由して沈降装置に導かれ、その吸収特性が消耗すると直ちに、定常的に更新される。
【0026】
従って、本発明は、膜が存在する反応器に直接的に幾つかの反応性粉末を添加することを提案するという特徴により、且つ本発明がこれらの粉末を生物体のための担体の役割をするように用いることにおいて、前記2つの文献に記載される技術とは異なる。
【0027】
興味ある本発明の選択的観点によれば、前記設備は、前記生物学的反応器より上流に少なくとも1つの無酸素の予備脱窒素装置を含んでいる。脱窒素容器と硝化容器の連携使用は、残留水の処理の分野でよく知られる。しかしながら、今まで、バクテリアが次の処理工程に搬入されるリスクがあるため、この設備は飲料水処理に使用できなかった。孔のサイズが濾過液中のいかなる微生物の通過も許さないよう設計された中空の繊維の濾過膜が存在し、前記リスクが回避されるため、予備脱窒素が本発明の設備で可能となる。
【0028】
また、残留水の処理設備で、硝化容器から出る汚泥が、設備の前面に送られ、脱窒素容器で処理されることが、注目される。硝酸塩が原水中に存在し、硝化の下流工程でほんの僅かしか硝酸塩が生成しない故に、このようなオフライン移送は飲料水処理に必要ではない。
【0029】
好ましくは、本設備は、前記生物学的反応器の上流に設置される前処理手段と清澄化手段を含む。該前処理手段は、清澄化手段の上流に凝集/凝固装置を含んでもよい。前処理のこのような手段として、改修砂濾過装置に用いる従来設備の前処理手段を用いてもよい。
【0030】
また、好ましくは、前記生物学的反応器は、その下部と上部に汚泥排水手段を持っている。これらの排水手段により回収された汚泥は、再び汚泥処理手段に導かれる。
【0031】
特に興味深い本発明の好ましい観点に従えば、前記設備のための土木工事は、粒状材料上の物理的濾過装置をもつ飲料水処理装置の現在の土木工事の変更と、前記飲料水処理装置の粒状材料濾過装置を含む前記生物学的反応器を必要とする。
【0032】
この観点において、上流での脱窒素手段の導入は、既存設備の変更、および予備脱窒素装置と中空繊維膜上の硝化及び濾過用生物学的反応器を作製するために分割される砂濾過装置のサイズの変更を妨げるものではない事が注目される。
【0033】
また好適には、該設備は、処理すべき水の中の汚染物質濃度を測定する手段を含み、この手段に少なくとも1つの粉末材料を添加する前記手段を結合する。
本発明は、また、飲料水のための生物学的処理方法に関係し、また、水を前記の設備に通す工程と、前記設備の前記添加手段を使用して、生物体のための担体としての役割をする少なくとも1つの粉末材料を前記反応器に添加する工程と、及び/又は、少なくとも間欠的に、少なくとも1つの反応性粉末を前記反応器に添加する工程を含み、該反応性粉末が、原水中の汚染物質及び/又は処理すべき飲料水の温度に関係して添加されることに特徴を有するものである。
【0034】
飲料水処理の条件が生物学的処理を必要とするとき、本発明の方法は、少なくとも1つの反応性粉末の添加により、粉末材料が演じる生物学的担体の役割を補強するという新規な特徴を提供する。処理温度が低く生物体の生物学的活動がないとき、または処理すべき水の負荷が多くなったとき、特に前記補強が必要になる。
【0035】
本発明の変形として、処理すべき水の温度が、前記生物体の通常の生物学的活動を可能とする時、本発明の方法が使用されて前記水中のCODBと窒素汚染の生物学的分解を行わせ、そして、本発明の方法は、粉末材料を添加する前記方法を用い、水中の殺虫剤含有量、CODB含有量、重金属含有量より成る群から選ばれる少なくとも1つの要因に関連して前記反応器中の少なくとも1つの反応性粉末を分配することを含んでいる。
【0036】
実際に、バクテリアの代謝作用が抑制される温度は4〜5℃の範囲である。処理すべき飲料水の温度がこの温度を越える期間は、本発明の設備が用いられ、この目的のために装備された手段を用いて、少なくとも周期的に1つ以上の反応性粉末を添加して、処理すべき飲料水中に含まれる非生分解性炭素汚染物質、殺虫剤及び金属を分解する。固定されたバクテリアは、生分解性炭素汚染の排除と窒素汚染の除去を担当する。
【0037】
この場合、また上に既に特定したように、使用粉末材料は、好適には、殺虫剤除去に活性な粉末活性炭、および存在する重金属を吸着するゼオライトである。 前記方法の1つの興味ある変形によれば、吸着特性が消耗した反応性粉末は、生物体のための固定担体の役割をする非反応性粉末材料を形成するとき、前記生物学的反応器内に維持されてもよい。
【0038】
本発明の方法の更なる観点によれば、処理すべき飲料水の温度が、前記生物体の活性度を抑制するとき、粉末材料を添加する前記手段が使用され、有機化合物を吸着するための少なくとも第1の反応性粉末と、アンモニア性汚染を吸着するための少なくとも第2の反応性粉末が、反応器内に配置される。それ故、処理すべき水の温度が4〜5℃未満の場合、反応性粉末を添加して、処理すべき水中に存在する望ましくない化合物を捕捉し、バクテリアの作用の代わりとする。
【0039】
この場合、前記第1の粉末は、好適には粉末活性炭であり、前記第2の粉末は、好適には、ゼオライトとクレーより成る群から選ばれる。
有利には、本発明の方法は、粉末の吸着特性が消耗したとき、第1と第2の粉末を更新する工程を含んでいる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
本発明及び本発明が提供する独特の利点は、以下の説明と、それに続く非限定の本発明の実施例と、図面とを参照して、一層容易に理解できる。
【0041】
図1によれば、処理すべき原水(RW)は、パイプ1を経由して本設備に到達する。
そして、凝固/凝集装置3と清澄器4を含む前処理手段に向け、水を導く。注目すべきは前処理手段が任意なことである。水が、凝固するような汚染物質を殆ど或いは全く含まない場合、水を前処理手段に通すことなく、以下に記載する生物学的処理に水を直接導入することができる。その他の例では、前記前処理手段を本設備に装備していない場合もある。
【0042】
凝固/凝集装置3は、水中で懸濁状態のコロイダル物質を凝固させる凝固剤(ポリ塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩化第2鉄など)の分配手段5を含む。水と被凝集物質の混合物を清澄器4に導き、沈澱させる。沈澱から導かれる汚泥を6で抽出する。
【0043】
その後に、清澄器4の上部から排出する水を、反応器7内の水位で制御され、ポンプ8aに助けられ、パイプ8で200リットルの保持容量をもつ生物学的反応装置7に向け導く。
【0044】
12m2の濾過表面に相当する外部加圧中空繊維(膜を外から内へ濾過)を含む限外濾過モジュール11を反応器7内に浸漬する。浸漬された膜11の密集度と流量は、既存の砂濾過に比肩できる処理速度、即ち6〜8m3/m2/hの範囲である。このモジュールを透過する浸透液を、ポンプ12aにより吸引ポンピング後に、パイプ12で排泄する。処理した水(TW)をパイプ12の出口に集め、タンク13を通過した後に設備から排出する。
【0045】
本発明によれば、泡混合器からなる粉末材料添加手段10は、反応器7を通過する水に対し、生物体のために固定担体の役割をする砂またはアンスラサイトのような非反応性粉末と反応性粉末を、連続的または間欠的様式で添加するために使われる。反応性粉末は、好適には、粉末活性炭(PAC)、ゼオライト、クレー、またはイオン交換樹脂から構成され、処理すべき水の量とその温度に関連して、処理すべき水に添加する。
【0046】
この目的のために、測定手段10aが、処理すべき水中の汚染物質濃度を測定するために装備され、粉末材料添加手段10を前記測定手段10aに接続する。
また、本発明によれば、反応器7は、反応器の下部に装備された射出傾斜路9、9aを含む、酸素化ガス(本例では空気)射出手段に結合される。前記エアレーション手段は、反応器の完全な混合を行う。
【0047】
前記エアレーション手段9により、反応器中の粉末を懸濁状態に維持すること、水と粉末を混合すること、バクテリアに必要な酸素を供給すること、及び、汚染予防のため浸漬膜の振動を行うことが可能である。
それ故、繊維に沿った空気の射出と、還流ポンプ17の助けを借り対流方向(繊維の内から外へ)にタンク13から送られる処理した水の周期的な射出によって、膜の汚染分離が永久に保証される。
【0048】
反応器7は、汚泥排水手段14に接続され、その下部でパイプ15を通して下部排水を除去し、反応器7の上部排水は、パイプ16を通して排水される。上部排水は、本質的に微粒の粉末材料から成り、下部排水は沈澱物質から成る。前記排水は、反応器7内で均一な粒度分析が行われる。
【0049】
下部排水は、以下の式に従い反応器の汚泥日令の管理を行う。
汚泥日令=反応器容量/排水日量
また、反応器内における処理すべき水の水理学的滞留時間(HRT)は、以下の式で与えられる。
HRT=反応器容量/処理した水の流速
【0050】
前記設備が稼働するとき、反応器7に到達した水が、溶解した有機微小汚染物質を含有しない場合、及び温度がそうさせる場合、泡混合器10による吸着性粉末の添加をすることなくシステムは稼働し、この場合、反応器7の濃縮硝化バクテリアによりアンモニア除去を確実に行う。
【0051】
処理すべき水が、溶解有機汚染物質の除去を必要とするとき(例えば、3月〜8月)、粉末活性炭または他の反応性吸着粉末を、泡混合器10を経由し反応器内に射出する。
【0052】
冬期に、水温が低すぎる場合、反応器にゼオライトを添加し、処理した水のアンモニア濃度を飲料水規格に適合させる。
【0053】
結果
図1に示した設備を用い、10m3/日の流速で地表水を処理した。
表1は、処理すべき水(RW)と上記の設備で処理した水(TW)の物理化学的及び細菌学的特性を与える。
下の表1から明らかなように、本設備は、粒子状化合物を完全又はほぼ完全に除去する。平均除去効率は、汚濁に対し85%、鉄に対し100%、アルミニウムに対し80%、および糞汚染を表す微生物に対し100%である。
【表1】

【0054】
図2から明らかなように、カーブAは、処理すべき水のアトラジン濃度の展開を示し、カーブBは、処理した水のアトラジン濃度の展開を示し、本設備は、処理すべき水中の0.400〜0.600mg/lの濃度のアトラジンの完全除去を、原水中の粉末活性炭6.7g/lの投与、25分の水理学的滞留時間、30日の汚泥日令で達成する。この条件は、生物反応器中の粉末炭10g/lの平衡濃度に相当する。
【0055】
図3から明らかなように、カーブCは、処理すべき水のアンモニア含有量の展開を表し、カーブDは、処理した水のアンモニア濃度の展開を示し、本設備は、稼働後40日のバクテリア硝化によりアンモニアの完全除去を可能にする。本システムは、上の段落に記載したのと同じ操作条件下、水温11℃で、硝化バクテリアを徐々に散布する。
【0056】
表2から明らかなように、反応器は、生物学的操作において、生分解性有機炭素の除去を確実にし、処理した水で0.2〜0.3mg/lの濃度を達成する。 表3は、ゼオライト:クリノプチロライトによるアンモニアの除去効率を表す。30ppmの処理速度と20分の水理学的滞留時間は、0.5mg/lの処理すべき水中の濃度に対し、56%の除去を可能とする。生物学的硝化作用の動力学が遅いとき、吸着機能は、反応器中のアンモニアの滞留時間を延長する。
【表2】

【表3】

【0057】
本発明の装置は、性質の異なる多数の汚染物質の除去を可能とし、且つ処理すべき水の温度の如何に係わらず稼働可能である故、多大の使用柔軟性を提供する。 また、上記設備は、砂濾過を用いた既存の飲料水処理設備の基盤上に構築可能であると言う利点を有する。従って、反応器7は、濾過に使用する砂濾床を当初収容していた容器内に形成される。
本発明は、それゆえ、従来技術に対して、興味深い改良・解決を与え、飲料水を製造する改良された低コストの方法を提供する。
【0058】
ここに記載した実施例は、発明の適用範囲を減縮する意図はない。従って、本発明の範囲に留まる限り、種々の変更が可能である。特に、反応器7から上流に脱窒素領域を装備することや、既に述べたように、凝集−沈澱装置や清澄器より成る前処理手段を排除することは可能である。ここに述べた反応性粉末と異なる反応性粉末の使用も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】図1は、本発明の設備の概念図である。
【図2】図2は、処理すべき水と図1に示す設備で処理した水のアトラジン濃度の時間展開を表すグラフである。
【図3】図3は、処理すべき水と図1に示す設備で処理した水のアンモニア濃度の時間展開を表すグラフである。
【符号の説明】
【0060】
3 凝固/凝集装置
4 清澄器
7 反応器
8a ポンプ
9 エアレーション手段
10 粉末材料添加手段
11 分離膜
12 パイプ
13 タンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸素化ガスを射出する手段(9)を備えた少なくとも1つの生物学的反応器(7)と、該反応器(7)に浸漬したマイクロ濾過または限外濾過用の少なくとも1つの分離膜(11)と、生物体のための担体の役割をする懸濁状態の少なくとも1つの粉末材料を添加するための該反応器(7)内にある添加手段(10)とを含み、該粉末材料が、生物体が必要とする基質を固定する反応性粉末から構成され得ることを特徴とする飲料水の生物学的処理設備。
【請求項2】
前記反応性粉末が、粉末活性炭、ゼオライト、イオン交換樹脂、及びクレーより成る群から選ばれる請求項1に記載の設備。
【請求項3】
前記生物学的反応器(7)の上流に、少なくとも1つの無酸素脱窒素装置を含む請求項1に記載の設備。
【請求項4】
前記生物学的反応器(7)が、その上部と下部に汚泥排水手段(14)を有する請求項1に記載の設備。
【請求項5】
清澄化手段(3)を含み、前記生物学的反応器の上流に備えられた前処理手段(3、4)を含む請求項1に記載の設備。
【請求項6】
前記膜(11)が、中空繊維膜から成る請求項1に記載の設備。
【請求項7】
前記設備の構築で採用する土木工事が、粒状材料による物理的濾過法を備えた飲料水処理設備の従来の土木工事の変更を必要とし、前記生物学的反応器(7)が、前記飲料水処理設備の粒状材料濾過容器を含む請求項1に記載の設備。
【請求項8】
前記水の汚染物質の濃度測定のための測定手段(10a)を含み、前記添加手段(10)が前記測定手段に接続される請求項1に記載の設備。
【請求項9】
請求項1に記載の設備に水を通過させること、前記設備の前記添加手段を用いて、前記反応器に、生物体のための担体の役割をする少なくとも1つの粉末材料を添加すること、及び/又は前記反応器に少なくとも1つの反応性粉末を少なくとも間欠的に添加することを含み、前記反応性粉末が、原水中に存在する汚染物質及び/又は処理すべき飲料水の温度に関係して、添加されることを特徴とする飲料水を製造するための生物学的水処理方法。
【請求項10】
処理すべき飲料水の温度が、前記生物体を正常に活動させ、前記水中でCODBと窒素汚染物質を生物学的に分解させ、且つ、前記添加手段を稼働させて、水の殺虫剤含有量、水のCOD含有量、水の重金属含有量より成る群から選ばれる少なくとも1つの要因に関係して、前記反応器中の少なくとも1つの反応性粉末を分配することを含む請求項9に記載の方法。
【請求項11】
少なくとも1つの粉末材料の前記添加手段を稼働させて、前記反応器中の粉末活性炭を分配して、処理すべき飲料水中のCODと殺虫剤を吸着することを含む請求項10に記載の方法。
【請求項12】
少なくとも1つの粉末材料の前記添加手段を稼働させて、前記反応器中のゼオライト又はクレーを分配して、処理すべき飲料水中の重金属を吸着することを含む請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
前記反応器中に、吸着特性が消耗した反応性粉末を保持する工程と、生物体のための固定担体の役割をする非反応性粉末材料を続いて形成する後の工程とを含む請求項10に記載の方法。
【請求項14】
処理すべき飲料水の温度が、前記生物体の生物学的活動を阻害するとき、粉末材料の前記添加手段が稼働して、有機化合物を吸着すべく、少なくとも第1の反応性粉末と、アンモニア性汚染物質を吸着すべく、少なくとも第2の反応性粉末を反応器内に分配する請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の粉末が粉末活性炭である請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記第2の粉末がゼオライトとクレーより成る群から選ばれる請求項12または13に記載の方法。
【請求項17】
第2の粉末の吸着特性が消耗したとき、第1及び第2の粉末を更新することを含む請求項12または13に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2007−313508(P2007−313508A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−205611(P2007−205611)
【出願日】平成19年8月7日(2007.8.7)
【分割の表示】特願平9−507286の分割
【原出願日】平成8年7月25日(1996.7.25)
【出願人】(501254058)オテヴェ・オムニオム・ドゥ・トレトマン・エ・ドゥ・ヴァロリザシオン (1)
【Fターム(参考)】