説明

飲料製造装置

【課題】削氷供給に要する時間を短縮しつつ、当該削氷供給時において既に受容されている飲料原料の飛び散りを抑制することを可能とする飲料製造装置を提供する。
【解決手段】本発明の飲料製造装置1は、販売容器9に飲料原料を供給する飲料原料供給部3と、所定の粗さで氷を削ることにより形成される削氷を販売容器9に所定量供給する削氷供給部4と、販売容器9の内部に受容されている受容物を混合する撹拌部5と、飲料原料供給部3、削氷供給部4、及び、撹拌部5を制御する制御部8とを備え、販売容器9に受容された飲料原料及び削氷を撹拌して飲料を製造するものであって、制御部8は、削氷供給部4を制御することにより、所定量の削氷を分割して販売容器9に供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、清涼飲料や酒類等の飲料を容器内で製造する飲料製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の飲料製造装置として、シロップと氷とをタンク内で混合してシャーベット状の飲料(以下の説明では、氷を含む清涼飲料及び酒類、かき氷等の冷菓を含めて飲料という。)を製造する飲料製造装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。このような飲料はフローズン飲料と呼ばれている。
【0003】
当該飲料製造装置は、シロップや水、炭酸ガス等が供給されるタンク内に円筒状の冷却シリンダを備えており、タンク内で希釈水とシロップとを混合しながら冷却シリンダで製氷を行い、撹拌羽根により撹拌することで、所定硬度のシャーベット状のフローズン飲料を製造する。
【0004】
しかしながら、当該飲料製造装置は、タンク内においてシロップと希釈水とを混合して所定のフローズン飲料を製造するものであるため、異なるシロップによってフローズン飲料を製造するためには、タンク内のシロップ等を一旦廃棄しなければならず、好みに応じてフローズン飲料の種類を変更することが困難であるという問題がある。
【0005】
そこで、シロップを投入した容器内に削氷を投入し、撹拌することで、所定硬度のシャーベット状のフローズン飲料を製造する飲料製造装置が開発されている(例えば、特許文献2参照。)。当該飲料製造装置は、削氷部内に氷を投入し、削氷部内に設けられるプロペラを運転することで、削氷刃により氷を削り、削氷部下方に搬送された容器内に当該削氷を排出する構成とされている。
【0006】
その後、シロップと削氷が収容された容器は、撹拌部に搬送され、当該撹拌部において、容器内のシロップと削氷とが混合されることで、所定硬度のシャーベット状のフローズン飲料が製造される。
【特許文献1】特開2000−163651号公報
【特許文献2】特開2004−298016号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した文献2に示す如き飲料製造装置では、削氷の供給前に販売容器には、少なくとも削氷と容易に、且つ、均一に混合されやすい飲料原料として有糖液体であるシロップが受容されている。そのため、目的とする所定硬度の飲料を製造するためには、ある程度の量の削氷が販売容器に供給されることとなる。
【0008】
このとき、削氷を製造するためには、所定の時間を要するため、他の工程が行われている間に、削氷を行い、所定量の削氷を貯留しておくことが好ましい。しかし、飲料の製造に要する全ての削氷を一度に販売容器に供給すると、その落下の勢いで販売容器と削氷との間から販売容器内に既に受容されている飲料原料が飛び散ることとなる。
【0009】
これにより、飲料原料の飛び散りは、所定量の飲料原料と、所定量の削氷から飲料を製造する本装置において、飲料原料が減少する原因となり、出来上がりの飲料の質が不均一となる問題を招来することとなる。
【0010】
また、所定の糖分を有する飲料原料が周囲に飛び散ることにより、周囲に付着し、時間の経過と共に、こびり付くことによって、埃の付着更には、汚れ落ちが悪くなるため、衛生面において不適であった。
【0011】
そこで、氷バッファを設けずに少量ずつ削氷を販売容器に供給することも考えられるが、これにより、販売容器9が削氷供給位置とされてから削氷を開始することとなるため、飲料の提供までに要する時間が長くなるという問題が発生する。
【0012】
そこで、本発明は従来の技術的課題を解決するためになされたものであり、削氷供給に要する時間を短縮しつつ、当該削氷供給時において既に受容されている飲料原料の飛び散りを抑制することを可能とする飲料製造装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の飲料製造装置は、販売容器に飲料原料を供給する飲料原料供給部と、所定の粗さで氷を削ることにより形成される削氷を販売容器に所定量供給する削氷供給部と、販売容器の内部に受容されている受容物を混合する撹拌部と、飲料原料供給部、削氷供給部、及び、撹拌部を制御する制御部とを備え、販売容器に受容された飲料原料及び削氷を撹拌して飲料を製造するものであって、制御部は、削氷供給部を制御することにより、所定量の削氷を分割して販売容器に供給することを特徴とする。
【0014】
請求項2の発明の飲料製造装置は、上記発明において、制御部は、販売容器に最初に供給する削氷量を、二回目に供給する削氷量よりも少なくすることを特徴とする。
【0015】
請求項3の発明の飲料製造装置は、上記各発明において、削氷供給部は、削氷を販売容器に案内する氷バッファと、該氷バッファの出口及び当該氷バッファ内を区画する複数枚のシャッタと、各シャッタを駆動するシャッタ駆動部を備え、制御部は、シャッタ駆動部により各シャッタを位相の異なる動作で駆動制御することにより分割して削氷を販売容器に供給することを特徴とする。
【0016】
請求項4の発明の飲料製造装置は、販売容器に飲料原料を供給する飲料原料供給部と、所定の粗さで氷を削ることにより形成される削氷を販売容器に所定量供給する削氷供給部と、販売容器の内部に受容されている受容物を混合する撹拌部と、飲料原料供給部、削氷供給部、及び、撹拌部を制御する制御部とを備え、販売容器に受容された飲料原料及び削氷を撹拌して飲料を製造するものであって、削氷供給部は、削氷を販売容器に案内する氷バッファと、氷バッファ内面に付着した削氷を落下させる排出促進部材を備え、制御部は、排出促進部材により氷バッファ内面に付着した削氷を販売容器に供給することを特徴とする。
【0017】
請求項5の発明の飲料製造装置は、上記発明において、削氷供給部は、氷バッファの出口を開閉するシャッタと、該シャッタと、排出促進部材を駆動する駆動部を備え、制御部は、駆動部によりシャッタと排出促進部材とを位相の異なる動作で駆動制御することにより、シャッタを開放して氷バッファから削氷を販売容器に供給すると共に、排出促進部材を駆動させて氷バッファ内面に付着した削氷を販売容器に供給することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明の飲料製造装置によれば、販売容器に飲料原料を供給する飲料原料供給部と、所定の粗さで氷を削ることにより形成される削氷を販売容器に所定量供給する削氷供給部と、販売容器の内部に受容されている受容物を混合する撹拌部と、飲料原料供給部、削氷供給部、及び、撹拌部を制御する制御部とを備え、販売容器に受容された飲料原料及び削氷を撹拌して飲料を製造するものであって、制御部は、削氷供給部を制御することにより、所定量の削氷を分割して販売容器に供給することにより、一度に飲料の製造に必要とされる全ての削氷が販売容器内に供給され、その落下の勢いで販売容器と削氷との間から、既に販売容器内に受容されている飲料原料が周囲に飛び散る不都合を軽減することが可能となる。
【0019】
これにより、飲料原料が周囲に飛び散り、所定量から減少してしまい、均質の飲料が提供できなくなる不都合を回避することが可能となる。
【0020】
特に、請求項2の発明によれば、上記発明において、制御部は、販売容器に最初に供給する削氷量を、二回目に供給する削氷量よりも少なくすることにより、その落下の勢いを減少させることが可能となり、これによって、販売容器内に受容されている飲料原料の周囲への飛び散りをより一層軽減させることが可能となる。
【0021】
また、請求項3の発明によれば、上記各発明において、削氷供給部は、削氷を販売容器に案内する氷バッファと、該氷バッファの出口及び当該氷バッファ内を区画する複数枚のシャッタと、各シャッタを駆動するシャッタ駆動部を備え、制御部は、シャッタ駆動部により各シャッタを位相の異なる動作で駆動制御することにより分割して削氷を販売容器に供給することが可能となる。
【0022】
これにより、上記発明と同様に既に販売容器内に受容されている飲料原料の飛び散りを抑制しつつ、短時間で所定量の削氷を販売容器に供給することが可能となる。
【0023】
請求項4の発明の飲料製造装置は、販売容器に飲料原料を供給する飲料原料供給部と、所定の粗さで氷を削ることにより形成される削氷を販売容器に所定量供給する削氷供給部と、販売容器の内部に受容されている受容物を混合する撹拌部と、飲料原料供給部、削氷供給部、及び、撹拌部を制御する制御部とを備え、販売容器に受容された飲料原料及び削氷を撹拌して飲料を製造するものであって、削氷供給部は、削氷を販売容器に案内する氷バッファと、氷バッファ内面に付着した削氷を落下させる排出促進部材を備え、制御部は、排出促進部材により氷バッファ内面に付着した削氷を販売容器に供給することにより、氷バッファ内に供給された所定量の削氷を適切に販売容器に供給させることが可能となる。
【0024】
これにより、販売容器内に供給される削氷が氷バッファ内面に付着したままとなることで、販売容器内に供給される削氷が減少してしまい、若しくは、氷バッファ内面に付着した削氷が次回に販売において供給されることで削氷が増加してしまい、均質の飲料が提供できなくなる不都合を回避することが可能となる。
【0025】
また、請求項5の発明によれば、上記発明において、削氷供給部は、氷バッファの出口を開閉するシャッタと、該シャッタと、排出促進部材を駆動する駆動部を備え、制御部は、駆動部によりシャッタと排出促進部材とを位相の異なる動作で駆動制御することにより、シャッタを開放して氷バッファから削氷を販売容器に供給すると共に、排出促進部材を駆動させて氷バッファ内面に付着した削氷を販売容器に供給するので、まず、シャッタを閉鎖した状態で、シャッタの上に削氷をためておくことが可能となる。その上で、シャッタと排出促進部材とを位相の異なる動作を行うことで、氷バッファ内の削氷と、氷バッファ内面に付着した削氷とを販売容器内に供給される。これにより、短時間で所定量の削氷を販売容器に供給することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下に、本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。図1は本発明の実施形態に係る飲料製造装置1の前面扉を取り外した状態の正面図、図2は図1の飲料製造装置1の前面扉、側面パネル、天面パネルを取り外した状態の斜視図、図3は図1の飲料製造装置1を向かって右側からみた側面図、図4は図1の飲料製造装置1の平面図、図5は図1の飲料製造装置1のA−A断面図、図6は図1の飲料製造装置1のB−B断面図をそれぞれ示している。
【0027】
本実施例における飲料製造装置1は、例えば飲食店などに設置されて液体原料であるシロップ、若しくは、粉末状の飲料原料を湯又は水によって溶解し生成されたシロップと氷とを混合撹拌して所定の硬度を有するシャーベット状の飲料を提供するものである。
【0028】
この飲料製造装置1の本体を構成する筐体部2内に、飲料原料供給部3と、削氷供給部4と、撹拌部5と、容器移動部6と、洗浄部7と、これら各機器を制御する制御部8と、削氷供給部4や洗浄部7から滴下する水や販売容器9からこぼれた飲料等の液体を受容するドリップトレイ37とを備える。本実施例では、更に筐体部2内には、削氷供給部4に氷を自動供給するための製氷部10と、飲料原料供給部3において販売容器9に供給される飲料原料の粉末(以下、原料粉末)を溶解するための湯、更には、洗浄部7において洗浄用の湯を供給するための湯タンク11を備えている。
【0029】
筐体部2は、前後面、両側面及び天面をそれぞれ前面扉、背面パネル、側面パネル及び天面パネルにて囲繞されることにより構成されており、前面扉下部には、詳細は後述するトレイ部55の飲料原料供給位置Sに対し販売容器9を納出可能とする販売容器納出口が形成されている。なお、各図では、筐体部2内の各機器の配置や構成等を示すため、各前面扉、背面パネル、側面パネル及び天面パネルなどの外装パネルは、図示を省略している。
【0030】
販売容器9は、少なくとも上面に開口を有する容器であり、本実施例では、出来上がり状態の飲料の見栄えなどを考慮し、所定寸法に形成されたガラス製のコップを使用する。なお、販売容器9は、ガラス製のものに限定されるものではなく、樹脂製や、紙製のものなどであっても良いものとする。
【0031】
本実施例において、筐体部2の前部一側、図1では、向かって左側に飲料原料供給部3が配設されている。本実施例における飲料製造装置1では、飲料原料として原料粉末と、当該原料粉末を溶解するための湯又は/及び水と、氷を使用する。上記飲料原料供給部3は、上記飲料原料のうち、所定量の原料粉末及び湯を販売容器9に供給するものである。この飲料原料供給部3の下方は、詳細は後述する如く販売容器9が載置される飲料原料供給位置Sとされる。
【0032】
そして、この飲料原料供給部3の側方には、筐体部2の前面に臨んでコントロールパネル50が配設されている。このコントロールパネル50には、複数の操作ボタン51と液晶表示器のディスプレイ52、装置全体の電源をON/OFFするための電源スイッチ53などが設けられている。
【0033】
本実施例における図1では、筐体部2の向かって左側の後部には、製氷部10が配設されている。この製氷部10は、オーガ式製氷部であり、飲料原料としての氷を生成する装置であり、生成された氷は、一旦貯氷部32に貯氷された後、制御部8からの出力に応じて後段の削氷供給部4に送られる。
【0034】
筐体部2の製氷部10と、飲料原料供給部3との間には、削氷供給部4と、撹拌部5及び湯タンク11が配置される。削氷供給部4は、製氷部10にて生成された氷を所定の粗さで削ることにより削氷を形成するものであり、製氷部10の近傍に位置して設けられる。この削氷供給部4の下方は、詳細は後述する如く販売容器9の削氷供給位置Uとされる。
【0035】
そして、この削氷供給部4と飲料原料供給部3との間に位置して撹拌部5が設けられる。この撹拌部5は、販売容器9内に受容された受容物、即ち、飲料の原料となる原料粉末と、当該原料粉末を溶解するための湯又は/及び水の混合、撹拌、更には、これら原料粉末と、湯等によって生成されたシロップと削氷の粉砕、混合及び撹拌を行うものである。この撹拌部5の下方は、詳細は後述する如く販売容器9の撹拌位置Tとされる。
【0036】
上述した如きこれら飲料原料供給部3、削氷供給部4及び撹拌部5は、筐体部2の前部に集約して設けられており、これら各機器の下部には、トレイ部55を有する容器移動部6が設けられる。ここで、トレイ部55とは、ドリップトレイ37の上部に設けられて販売容器9を移動可能に配置するものである。そして、容器移動部6は、トレイ部55に設けられて販売容器9を搭載する販売容器受台56と、販売容器受台56を水平方向に移動させて、トレイ部55内に形成される前記飲料原料供給位置Sと、撹拌位置Tと、削氷供給位置Uに移動可能とする水平移動部57と、販売容器受台56を撹拌位置Tにおいて垂直方向に移動させる垂直移動部58とを有する。なお、当該容器移動部6の詳細な構成については後述する。
【0037】
ドリップトレイ37は、図示しない廃液管を介して廃液を排出できるように構成されている。
【0038】
ここで、本実施例における飲料原料供給位置Sと、撹拌位置Tと、削氷供給位置Uは、容器移動部6のトレイ部55内において直線状の動線上に設定されていると共に、撹拌位置Tは飲料原料供給位置Sと削氷供給位置Uとの間に設定する。また、飲料原料供給位置Sは、トレイ部55の前部に設定されている。これにより、上述したように筐体部2の前面を構成する前面扉下部に形成された販売容器納出口から販売容器9を飲料原料供給位置Sに載置及び取り出し可能とされる。そのため、当該飲料原料供給位置Sは、販売容器9がオペレータによって当該飲料製造装置1に準備される容器準備位置と、当該飲料製造装置1によって製造された飲料を受容した販売容器9がオペレータによって取り出される飲料提供位置とを兼ね備えることとなる。
【0039】
更に、本実施例では、飲料原料供給位置Sから筐体部2の前面に対して斜め後方に向かう動線上に撹拌位置T及び削氷供給位置Uを設定する。本実施例では、図1において飲料原料供給位置Sが筐体部の前部の向かって左側に設定されることから、削氷供給位置Uは、筐体部2の前面から斜め後方、即ち、図1の向かって右側に設定され、当該飲料原料供給位置Sと削氷供給位置Uとを結んだ直線状の間に撹拌位置Tが設定されることとなる。そして、各位置S、T、Uのそれぞれの上方に対応する筐体部2内に飲料原料供給部3、撹拌部5及び削氷供給部4が配設される。
【0040】
上記洗浄部7は、撹拌部6を構成する撹拌部材としてのカッター41及び蓋42を洗浄するものであり、本実施例では、上記配置とすることにより、デッドスペースとなる前記動線が対向する筐体部2の前面隅角部、図1では、向かって前面右隅角部に配置される。洗浄部7は、撹拌部5の洗浄時に洗浄用水としての洗浄用湯を供給する前記洗浄用湯供給ノズル20(洗浄用水供給部)と、洗浄時に撹拌部5のカッター41及び蓋42を下側から覆う洗浄用カバー48と、この洗浄用カバー48をカッター41及び蓋42を覆った閉鎖状態とこれらから離間した開放状態とに駆動するカバー駆動部49とを有する。そのため、洗浄部7は、カバー駆動部49の駆動によって、隅角部内から撹拌部5に進出/後退するように構成されることとなる。
【0041】
そして、前記湯タンク11は、上記飲料原料供給部3、撹拌部5、削氷供給部4の配置に干渉されない位置、本実施例では、飲料原料供給部3の後方であって、製氷部10の前方に配置される。
【0042】
この湯タンク11は、所定容量の飲料水を貯水可能とするタンクであり、内部には貯水された飲料水を所定温度、例えば+80℃に加熱保温するヒータ49H(図36のみ図示する)及び温度センサ49T(同じく図36のみ図示する)が設けられている。そして、湯タンク11には、図6に示される給水電磁弁21が介設される給水配管22を介して外部から水道水などの飲料水が供給される。また、湯タンク11には、溶解用湯供給電磁弁15が介設された湯供給配管16と、洗浄用湯供給電磁弁17が介設された湯供給配管18が接続されている。そして、一方の湯供給配管16の他端には、飲料原料供給部3を構成する溶解用湯供給ノズル19が接続され、他方の湯供給配管18の他端には、前記洗浄部7を構成する洗浄用湯供給ノズル20が接続される。
【0043】
次に、筐体部2内に配置される各機器の詳細の構成についてそれぞれ説明する。
【0044】
まずはじめに、上記飲料原料供給部3の構成について上記各図に加えて、図7乃至図9を参照して説明する。図7はキャニスタ13の概略断面図、図8はキャニスタ13を取り外した状態の飲料原料供給部4の概略斜視図、図9は図8の縦断側面図を示している。
【0045】
飲料原料供給部3は、飲料原料となる原料粉末を充填保管しておくためのキャニスタ13と、当該キャニスタ13に対応して設けられて該キャニスタ13から排出される原料粉末を飲料原料供給位置Sに配置された販売容器9に適切に案内するための原料シュート14とから構成される原料粉末供給部と、前記湯タンク11から粉溶解用の湯を販売容器9に供給する溶解用湯供給ノズル19(溶解用水供給部)とから構成される。
【0046】
粉末供給部を構成するキャニスタ13は、図7に示すように、上方に開口する粉末充填口13Aと、下部側面に形成される排出口13Bとを備えており、粉末充填口13Aは、図1に示す如き蓋13Cにより、開閉自在に閉塞される。そして、キャニスタ13の底面近傍には、奥方から排出口13Bに(本実施例では、排出口13Bがキャニスタ13の前面下部に形成されているため、キャニスタ13の前後に)、原料排出部を構成する粉排出機構24が延在している。原料排出部は、キャニスタ13内に設けられる粉排出機構24と、キャニスタ13外に設けられ、粉排出機構24を回転駆動させるキャニスタモータ13Mとから構成される。粉排出機構24は、回動軸24Aの周囲に螺旋状に回転羽根24Bが設けられており、回動軸24Aの前端は、排出口13Bに面して配設される。従って、キャニスタモータ13Mが駆動させることにより、粉排出機構24は、回動軸24Aを中心に回転駆動し、回転羽根24B間に充填された原料粉末は、順次排出口13Bに送出される。なお、当該キャニスタモータ13Mは、詳細は後述する制御部8により、駆動制御が行われるものとする。
【0047】
原料シュート14は、上端にキャニスタ13の排出口13Bが接続される開口を有すると共に、下端が開放された排出口14Aとされ、上端から下端にいくに従って先細り形状とされている。そして、この原料シュート14の排出口14A下方は、販売容器9が載置される飲料原料供給位置Sとされる。
【0048】
ここで、上記キャニスタ13は、図8に示す如き断面略L字状の取付部材60を介して筐体部2の前部に取り付けられている。そして、この取付部材60の前端部は、左右に渡って上方に開放した断面略コ字状の係合部61が形成されており、この係合部61の前面には、原料シュート14を係止させるための吊下部材62が取り付けられている。この吊下部材62は、下端が係合部61との取付面に対し所定の鋭角を形成するように前方に向けて折曲形成された吊下面62Aを有している。
【0049】
他方、原料シュート14は、後壁上端が後方に延出して形成されると共に、この延出した面は下方に向けて所定角度をなすように傾斜して形成された係止面14Bとされる。これにより、原料シュート14は、係止面14Bを吊下部材62の吊下面62Aに係止されることにより、取り付けられる。なお、この状態において、原料シュート14は、下端が前後に所定角度の範囲で移動自在となる。
【0050】
即ち、原料シュート14が取付部材60の水平面(キャニスタ13の載置面)に対し、略垂直とされた状態では、当該原料シュート14の排出口14Aが飲料原料供給位置Sに載置された販売容器9にキャニスタ13からの原料粉末を案内する原料投入位置Xとなり、当該原料投入位置Xよりも原料シュート14の排出口14Aが後方に待避した状態では、当該排出口14Aが飲料原料供給位置Sに載置された販売容器9上方から待避した待機位置Yとなる。
【0051】
ここで、原料シュート14の排出口14A周辺には、筐体部2の前面に位置して粉受け部材64が取り付けられている。この粉受け部材64は、原料シュート14が前記待機位置Yとされた際に、当該原料シュート14の排出口14A下方に位置して、排出口14Aから当該原料シュート14内壁などに付着し、自重によって落下する原料粉末を受ける部材である。そして、この粉受け部材64の前面には、原料シュート14の排出口14Aを円滑に飲料原料供給位置Sの販売容器9に案内するためのシュート案内部材65が設けられている。なお、当該シュート案内部材65は、粉受け部材64に固定されていると共に、この粉受け部材64は、筐体部2に着脱自在に取り付けられているものとする。そのため、粉受け部材64内に受容された原料粉末等は、粉受け部材64を取り外すことによって、廃棄することが可能となる。
【0052】
そして、この原料シュート14の背面(本実施例では背面としているが、これ以外の位置であっても良い)に対応する筐体部2前面には、当該原料シュート14を原料投入位置X、又は、待機位置Yとに駆動制御するシュート駆動部63が設けられている。本実施例において、シュート駆動部63は、制御部8により通電制御されるソレノイド63Aと、当該ソレノイド63Aによって駆動される操作片63Bとから構成される。この操作片63Bは、ソレノイド63Aの作用によって原料シュート14を前方に押圧して前記原料投入位置Xに支持する状態と、それ自体が待避して原料シュート14を自重によって排出口14Aを後方に待避させる前記待機位置Yとする状態とに駆動制御される。なお、本実施例では、シュート駆動部63は筐体部2前面に取り付けられているが、これ以外にも、例えば、当該原料シュート14の背面に対応する位置となるように取付部材60に取り付けられていても良い。
【0053】
特に、本実施例では、当該飲料製造装置1によって提供可能とする飲料の種類を2種類とするため、飲料原料である原料粉末は、2種類保持している。そのため、キャニスタ13は、左右に2つ並設されており、それぞれに原料粉末が充填され、各キャニスタ13に対応した原料シュート14、14が設けられている。各原料シュート14の排出口14Aは、同一の飲料原料供給位置Sに載置された販売容器9内に原料粉末を供給できるように、近接した位置に設けられているものとする。そして、各原料シュート14に対応して当該原料シュート14を原料投入位置Xと待機位置Yとにそれぞれ独立して駆動制御するシュート駆動部63が設けられているものとする。
【0054】
次に、上記製氷部10及び削氷供給部4の構成について上記図1乃至図9を参照して説明する。製氷部10は、製氷用水から氷を生成するための図示しない冷却器を備えており、当該冷却器と共に冷凍サイクルを構成するコンプレッサ26、コンデンサ27、及び膨張弁160、デハイドレータ161とを冷媒配管にて順次接続して冷却装置を構成している。なお、これら冷却装置も製氷部10と同様に筐体部2内に配設されている。
【0055】
また、製氷部10に製氷用水(水道水)を供給するために、給水電磁弁162が介設される給水配管163を介して外部から水道管などが接続され、水道水を貯溜するシスターン28が設けられている。このシスターン28に貯溜された水は、給水配管29にて製氷部10に導入される。なお、このシスターン28は、筐体部2内の機器配置の都合上、前記コントロールパネル50の後方であって、削氷供給部4のスライサ35及び撹拌部5の上方に設置されている。
【0056】
この製氷部10は、内面を平滑な円筒状内面とされたステンレス製の冷却円筒30内にはオーガ(回転刃)31を同心的且つ回転可能に挿入し、冷却円筒30の外壁にはパイプ状の前記冷却器を螺旋状に密着巻付して構成されている。また、前記オーガ31は、下部を図示しない下部軸受けにて上部を氷圧縮経路を構成する図示しない上部軸受けにて軸支されている。また、上部軸受けにて圧縮された氷片は、上部に形成された図示しない吐出口及び当該吐出口に設けられる貯氷部32に導出される。この貯氷部32は、所定容積を有しており、側面に形成される排出口には、氷払出シャッタ34が介設された氷シュート33が接続されている。
【0057】
そして、この氷シュート33の下端には、削氷供給部4を構成するスライサ35が設けられている。削氷供給部4は、上記オーガ式製氷部10にて生成され、氷シュート33を介して供給された氷を所定の粗さで削ることにより削氷を形成するスライサ35と、当該スライサ35にて形成された削氷を一旦保持すると共に、販売容器9に削氷を案内する氷バッファ36とから構成される。
【0058】
本実施例においてスライサ35は、上方に開口を有する本体35Aと、本体35Aの内部に回転自在に収容される図示しないプロペラと、本体35Aに取り付けられる図示しないプロペラの駆動用モータ35Mと、本体35Aの内側に突出して氷を削氷する図示しない削氷刃とを備えている。また、スライサ35の下方に配置される氷バッファ36には、削氷の有無を光学的に検出する氷センサ(氷検出部)38が設けられている。なお、削氷供給は当該氷センサを設けることなく、タイマによって制御しても良いものとする。この氷バッファ36には、下端開口を開閉自在に閉塞する図示しない氷シャッタが設けられており、当該氷シャッタは、氷シャッタ開閉モータ36Mにより開閉制御される。そして、この氷バッファ36の下端排出口36A下方は、販売容器9が載置される削氷供給位置Uとされる。
【0059】
次に、図10乃至図12を参照して撹拌部5の詳細な構成について説明する。図10は撹拌部5の斜視図、図11は販売容器9内の受容物を撹拌している状態の撹拌部5の斜視図、図12は図11の縦断側面図を示している。撹拌部5は、上部に配設されるモータ40Mの回転軸に接続されて回転する駆動軸40と、金属刃により構成されるカッター41と、蓋42と、蓋42を縦方向に移動可能に支持するロッド44(なお、ロッド44は後述する図13等において図示する)とを有する。
【0060】
カッター41は、駆動軸40の先端に固定されており、販売容器9内において、回転駆動することにより、飲料原料の溶解、粉砕、混合、及び撹拌を行う。なお、この場合における飲料原料は、液体のみならず、氷等の固形物も含むものとし、カッター41は、これら飲料原料の溶解、粉砕、撹拌、混合を行うこととなる。
【0061】
このカッター41は、上下に位置する二種類の回転刃41Aと、41Bとから構成されている。下側に位置する回転刃41Bは、駆動軸40の先端に取り付けられると共に、当該回転刃41Bと所定間隔を存して該回転刃41Bの上方に回転刃41Aが取り付けられる。そして、これら回転刃41Aと、41Bの間(即ち、カッター41の近傍)には、ガード67が駆動軸40に回動自在に取り付けられている。カッター41は、ガード67を挟持した状態で駆動軸40の先端に固定部材68(図12に図示する)にて固定される。
【0062】
ガード67は、硬質合成樹脂により構成されていると共に、駆動軸40に対し回動自在となるように当該駆動軸40を囲繞する保持部67Aと、カッター41の回転範囲より外方における駆動軸40の周囲に位置するように構成される外縁67Bと、これら保持部67Aと外縁67Bとを連結する区画枠67Cとから構成されている。本実施例において各区画枠67Cは、保持部67Aと外縁67Bとを四分割するように所定間隔を存して構成されている。そのため、これら区画枠67C間は、駆動軸40の軸方向への削氷等の受容物の移動が許容される。
【0063】
ここで、ガード67は、駆動軸40の先端に固定部材68にて固定されるカッター41の回転刃41Aと回転刃41Bとの間に位置して駆動軸40に回転自在に取り付けられていることから、当該ガード67の上下の移動は、カッター41の回転刃41Aと回転刃41Bとの間隔の範囲に限定される。これにより、ガード67の上下移動は、所定の範囲に制限されることとなる。
【0064】
蓋42は、駆動軸40に同軸的に設けられて軸方向、即ち、上下移動自在に取り付けられており、自重によって下方に載置される販売容器9の上面開口を閉塞する。なお、この蓋42の下方が、販売容器9の撹拌位置Tとされる。また、この蓋42には、駆動軸40の周囲に所定の間隔を存して当該駆動軸40を囲繞しながら上昇し、上下端が開放された筒部43が形成されている。この筒部43の上端開口は、外方に向けて拡開して形成された案内部43Aとされており、蓋42の下面とカッター41とが最も近接する状態にて、後述する洗浄部7を構成する洗浄用湯供給ノズル20からの洗浄用湯が案内部43Aに適切に案内される構成とされている。また、蓋42の下面とカッター41とが最も離れた状態にて、図16のみに示す希釈用水供給ノズル47からの希釈水が案内部43Aに適切に案内される構成とされている。
【0065】
また、この筒部43には、本実施例では該筒部43の下端に位置して筒部内方に向けて突出して形成される複数の間隔規定部43Bが形成されている。この間隔規定部43Bは、筒部43と前記駆動軸40周囲との間隔を所定の値に維持するために形成されるものであり、各間隔規定部43B間は、上下が連通しており、上方から供給される洗浄用湯が下方に流出可能とされている。
【0066】
そして、蓋42の下面周縁には、撹拌位置Tとされた販売容器9の上面開口縁を内部に収容して販売容器9内を封止する溝42Aが形成されている。更に、この溝42Aを形成する内側の面は、前記カッター41よりも外側に位置して販売容器9内に突出する凸壁42Bとされる。この凸壁42Bは、蓋42が販売容器9の上面開口を閉塞した状態で、販売容器9内に所定寸法だけ突出されるものであり、これによって、販売容器9の開口周辺の内壁面が少許間隔を存して囲繞されることとなり、当該開口周辺の内壁面に削氷等の受容物が付着する不都合を回避することが可能となる。なお、カッター41が最も蓋42に近接した状態では、当該カッター41及びガード67は、凸壁42B内に収容されることとなる。
【0067】
次に、図13乃至図18を参照して洗浄部7の構成について説明する。図13は洗浄部7と撹拌部5を外方から見た図(開放状態と閉鎖状態の両者を示す)、図14は図13のC−C断面図、図15は図13を左から見た図(開放状態)、図16は図15の縦断側面図、図17は図13の閉鎖状態を左から見た図、図18は図17の縦断側面図を示している。
【0068】
洗浄部7は、撹拌部5の洗浄時に洗浄用水としての洗浄用湯を供給する前記洗浄用湯供給ノズル20(洗浄用水供給部)と、洗浄時に撹拌部5のカッター41、ガード67及び蓋42を下側から覆う洗浄用カバー48と、この洗浄用カバー48をカッター41、ガード67及び蓋42を覆った閉鎖状態とこれらから離間した開放状態とに駆動するカバー駆動部49とから構成されている。
【0069】
洗浄用湯供給ノズル20は、上記撹拌部5の蓋42に設けられた筒部43の上端開口に向けて洗浄用湯を供給可能とすべく、本実施例では、撹拌部5のモータ40M及びロッド44等が固定される取付金具45に取付部材46を介して固定されているものとする。なお、本実施例では、当該取付金具45には、洗浄用湯供給ノズル20よりも上方に位置して水供給部としての希釈用水供給ノズル47(図16のみに示す)を設けているものとする。この希釈用水供給ノズル47は、撹拌部5に設けられるものであって、給水電磁弁47V(図36のみ図示する)が介設される給水配管を介して外部から水道水などの飲料水を希釈水として供給可能とするものである。
【0070】
洗浄用カバー48は、撹拌部5の蓋42を閉鎖した状態で、上方に開口し、所定の容積を有する容器部材である。この洗浄用カバー48の上面開口は、蓋42の下面開口縁を被覆可能な寸法に形成されている。蓋42を閉鎖した状態における洗浄用カバー48の例えば底面略中央には、排水口48Aが形成されている。なお、この排水口48Aの寸法は、洗浄用湯供給ノズル20からの湯供給流速、流量、筒部43と駆動軸40との間隔寸法、洗浄用カバー48の容積、洗浄運転時におけるカッター41の回転速度等を勘案し、カッター41の回転中には、洗浄用カバー48内に洗浄用湯を滞留可能とすると共に、カッター41の停止することで、洗浄用カバー48内の洗浄用湯が迅速に外部に排出可能とする寸法であることが望ましい。
【0071】
カバー駆動部49は、撹拌部5の近傍、本実施例では、上述したように容器移動部6により形成される販売容器9の動線が対向する筐体部2の前面隅角部に配置される。カバー駆動部49は、一端が洗浄用カバー48に接続されて、他端が回動軸73に接続されるアーム70と、前記回動軸73を回転駆動させるモータ49Mとを有する。
【0072】
アーム70は、後述する制御部8による撹拌部5の洗浄動作に応じてモータ49Mを駆動させて、筐体部2の隅角部から当該洗浄用カバー48を撹拌部5に進出/後退させる。このとき、モータ49Mは、アーム70の他端に設けられる操作片72により操作されるマイクロスイッチ71A、71Bの検出に基づき回転駆動が制御される。なお、マイクロスイッチ71Aは、洗浄用カバー48により撹拌部5を閉鎖した状態を検出するものであり、マイクロスイッチ71Bは、洗浄用カバー48が撹拌部5を開放した状態を検出するものである。
【0073】
これにより、アーム70に取り付けられた洗浄用カバー48が筐体部2の隅角部に後退した状態において、制御部8によりモータ49Mを駆動させることで、回動軸73が回転駆動され、これに基づきアーム70が回動軸73を中心として撹拌部5側に向けて回動され、これにより、洗浄用カバー48が撹拌部5側に進出する。このとき、モータ49Mは、アーム70の他端に取り付けられる操作片72がマイクロスイッチ71Aに当接し、駆動が停止される。この状態で、洗浄用カバー48は、撹拌部5のカッター41、ガード67及び蓋42を下側から覆った閉鎖状態となる。
【0074】
また、この閉鎖状態から再度、制御部8によりモータ49Mを駆動させることで、回動軸73は、前記と逆回転とされ、これに基づきアーム70が回動軸73を中心として筐体部2の隅角部に向けて回動され、洗浄用カバー48は隅角部内に後退する。このときも、モータ49Mは、アーム70の他端に取り付けられる操作片72がマイクロスイッチ71Bに当接し、駆動が停止される。この状態で、洗浄用カバー48は、撹拌部5のカッター41、ガード67及び蓋42から離間した開放状態となる。
【0075】
次に、図19乃至図26を参照して上記カバー駆動部49の駆動動作に基づき開閉動作が行われるシャッタ(区画シャッタ)75の構成について説明する。図19はシャッタ75が開放された状態の洗浄部7とシャッタ75との関係を示す図、図20は図19を上方から見た断面図、図21は図19を下方から見た断面図、図22は図21のD−D断面図、図23はシャッタ75が閉鎖された状態の洗浄部7とシャッタ75との関係を示す図、図24は図23を上方から見た断面図、図25は図23を下方から見た断面図、図26は図25のE−E断面図を示している。
【0076】
図1や図19に示すように、筐体部2の前下部には、飲料原料供給位置Sの上方に配置される飲料原料供給部3と撹拌位置Tの上方に配置される撹拌部5を区画するための仕切壁76が設けられている。この仕切壁76には、販売容器9が載置された販売容器受台56が飲料原料供給位置Sと撹拌位置Tとの間を移動可能とするための販売容器出入口77が形成されている。販売容器出入口77は、洗浄部7による撹拌部5の洗浄動作が行われている際に、前記飲料原料供給位置Sと撹拌位置Tとを区画するためのシャッタ75により閉塞される。
【0077】
このシャッタ75は、仕切壁76の撹拌位置T側に枢支部材78により取り付けられる。シャッタ75は、販売容器出入口77の洗浄部7のカバー駆動部49側を中心として回動自在とされており、弾性部材(本実施例ではバネ部材。図20に図示する)79によって、販売容器出入口77を常時開放とする方向に付勢されている。そのため、洗浄部7の洗浄用カバー48が開放され、筐体部2の隅角部に収容された状態では、弾性部材79の弾性力によってシャッタ75は、収容された状態の洗浄用カバー48やカバー駆動部49のアーム70に当接しており、これによって、販売容器出入口77は開放された状態とされる。
【0078】
ここで、アーム70には、開放された状態のシャッタ75と当接する位置(本実施例では、シャッタ75側に面する洗浄用カバー48側のアーム70端部。図25参照)に該シャッタ75側に延出して形成された係止片70Aを有している。この係止片70Aは、仕切壁76に取り付けられた保持部材80内に下斜めから進入して係止可能とするため、閉鎖された状態のシャッタ75の撹拌位置Tに臨む面に対し、外方にいくに従い斜め上方に向かうように傾斜して形成されると共に、当該先端にいくに従って先細り形状とされている(図26参照)。
【0079】
ここで、仕切壁76に取り付けられる保持部材80は、少なくとも下端に開口を有し、内部に係止片70Aを挿入可能とすると共に、撹拌位置T側の下端開口縁は、上記アーム70に形成される係止片70Aの傾斜角度と略同様の角度に傾斜して形成されたフランジ80Aが形成されている。
【0080】
他方、販売容器出入口77が開放された状態で、洗浄部7のカバー駆動部49が撹拌部5の蓋42を閉鎖する方向に駆動されると、カバー駆動部49の駆動により洗浄用カバー48が撹拌部5側に進出し、これに伴って洗浄用カバー48やアーム70等によりシャッタ75が販売容器出入口77を閉塞する方向に押圧される。
【0081】
洗浄用カバー48が撹拌部5のカッター41、ガード67及び蓋42を下側から覆った状態とされると、図23乃至図26に示すように、シャッタ75は、販売容器出入口77を完全に閉塞する。ここで、回動軸73を中心に回動されることで、洗浄用カバー48は、略垂直状態から略水平状態にまで回動される。同様に、シャッタ75を押圧するアーム70も略垂直状態から略水平状態にまで回動される。これに伴い、アーム70に形成された係止片70Aは、シャッタ75を販売容器出入口77を閉鎖する方向に押圧しつつ、最終的には、仕切壁76に取り付けられた保持部材80の下端開口内に進入する。なお、アーム70は、マイクロスイッチ71Aの検出によって係る撹拌部5の閉鎖状態で、モータ49Mが停止し、回動動作が停止する。
【0082】
これにより、洗浄用カバー48が撹拌部5のカッター41、ガード67及び蓋42を下側から覆った状態では、他の駆動手段などを用いることなく、自動的にシャッタ75が販売容器出入口77を閉鎖することとなる。なお、このとき、シャッタ75を閉鎖方向に押圧していたアーム70の係止片70Aは、販売容器出入口77の上方に位置する仕切壁76に取り付けられた保持部材80に係止されているため、オペレータなどが誤って飲料供給位置S側からシャッタ75を押し開ける方向に押圧した場合であっても、係止片70Aが保持部材80のフランジ80Aによって当該方向への移動が規制される。従って、洗浄動作中にオペレータが撹拌位置Tに手指を挿入することで、撹拌部5のカッター41等により損傷してしまう不都合を未然に回避することが可能となる。
【0083】
次に、図27乃至図35を参照して容器移動部6の構成について説明する。図27は販売容器受台56が飲料原料供給位置Sにある容器移動部6の斜視図、図28は販売容器受台56が飲料原料供給位置Sにある容器移動部6の正面図、図29は図28の平面図、図30は図28のF−F断面図、図31は図28のG−G断面図、図32は販売容器受台56が撹拌位置Tの低位置にある容器移動部6の斜視図、図33は販売容器受台56が撹拌位置Tの高位置にある容器移動部6の斜視図、図34は図33の縦断側面図、図35は販売容器受台56が削氷供給位置Uにある容器移動部6の斜視図を示している。
【0084】
容器移動部6は、トレイ部55に設けられて販売容器9を搭載する販売容器受台56と、販売容器受台56をトレイ部55内に形成される前記飲料原料供給位置Sと、撹拌位置Tと、削氷供給位置Uに移動させる水平移動部57と、販売容器受台56を撹拌位置Tにおいて垂直方向に移動させる垂直移動部58とを有する。水平移動部57と垂直移動部58は、ベース83上に搭載して構成されている。水平移動部57は、販売容器受台56をトレイ部55内の飲料原料供給位置Sから削氷供給位置Uに移動可能に形成されており、垂直移動部58は、販売容器受台56を水平移動部57により水平方向への移動を可能とする低位置から、所定の高位置に移動可能に形成されている。
【0085】
そして、筐体部2内の各位置S、T、Uの後方に位置する面には、トレイ部55内と、水平移動部57や垂直移動部58が配設される筐体部2内とを区画する仕切壁82(図1参照)が、販売容器9の動線上に沿って設けられている。この仕切壁82には、販売容器受台56を移動可能とするガイド溝82Aが形成されている。
【0086】
水平移動部57は、モータ保持板85に設けられ駆動トルクを発生する自走式のモータ57Mと、モータ57Mの駆動トルクを伝達する複数のギヤ部材からなる伝達ギヤ部84と、伝達ギヤ部84を介して伝達された駆動トルクに基づいて所定の方向に回転する駆動ギヤ84Aと、駆動ギヤ84Aと噛合するラック86Aを形成されたスライダ86と、スライダ86と対向する位置に支持部材87によって設けられてこの間にモータ57Mと共にモータ保持板85を往復摺動自在に支持するスライダ前板88と、モータ保持板85に設けられる遮光板85Aと、スライダ86に設けられて遮光板85Aによる遮光に基づいてモータ保持板85の各位置S、T、Uを検出する水平位置センサ86S、86T、86Uとを有する。そして、販売容器受台56は、このモータ保持板85に支持棒89を介して着脱自在に固定されている。この販売容器受台56の販売容器9搭載面に網部材56Aが設けられている。なお、このスライダ86の裏面には、削氷供給位置Uよりも外端側に位置して後述する垂直移動部58の一対のポスト93、193のそれぞれのラック93A、193Aと噛合するギア97A、97Bが設けられている。
【0087】
モータ57Mは、駆動ギヤ84Aの駆動方向に応じて通電極性を反転させることにより、所定の回転方向に回転するように構成されている。
【0088】
前記水平位置センサ86S、86T、86Uは、発光素子と受光素子とが所定の間隔を有して配置された光センサによって構成されており、遮光板85Aで遮光されるとOFF状態となってモータ保持板85の各位置を検出する。尚、モータ保持板85の位置を一定の精度で検出できれば磁気センサ等の他のセンサを用いることもできる。
【0089】
垂直移動部58は、駆動トルクを発生するモータ58Mと、モータ58Mの回転量に応じたパルスを発生するパルスエンコーダ90と、モータ58Aの両端に設けられる駆動ギヤ97A、97Bとを有する。この駆動ギヤ97A、97Bは、モータ58Mの駆動トルクを伝達する複数のギヤ部材から成る伝達ギヤ部92を備え、該伝達ギヤ部92を介して伝達された駆動トルクに基づいて所定の方向に回転するものである。また、駆動ギヤ97A、97Bとそれぞれ噛合するラック93A、193Aが形成されたポスト93、193が設けられ、該ポスト93近傍には、垂直位置検出用の光センサである垂直位置センサ93B、93Cが設けられる。そして、これらポスト93、193の上端には、取付板94が設けられ、該取付板94とベース83は、支持部材87を介して一組のガイドロッド95及び一対のポスト93、193により支持される。なお、モータ58M、パルスエンコーダ90、伝達ギヤ部92、駆動ギヤ97A、97Bは、取付部材98により、上記水平移動部57のスライダ86に固定される。
【0090】
モータ58Mは、通電極性を反転させることにより、所定の回転方向に回転するように構成されている。
【0091】
前記垂直位置センサ93B、93Cは、発光素子と受光素子とが所定の間隔を有して配置された光センサによって構成されており、伝達ギヤ部92に設けられる遮光板96で遮光されるとOFF状態となることで販売容器受台56の垂直位置を検出する。垂直位置センサ93Bは、ポスト93の垂直方向における前記高位置で垂直移動部58を停止させるために設けられており、垂直位置センサ93Cは、ポスト93の垂直方向における前記低位置で垂直移動部58を停止させるために設けられている。この高位置は、販売容器受台56に販売容器9が載置された状態で、撹拌位置Tにおける撹拌部5のカッター41と販売容器9の底部とが接触しない位置である。尚、伝達ギヤ部92の位置を一定の精度で検出できれば磁気センサ等の他のセンサを用いることもできる。
【0092】
なお、本実施例では、水平移動部57の移動によって、前記低位置と略同一の高さにおいて販売容器受台56を飲料原料供給位置Sと、撹拌位置Tと、削氷供給位置Uとに移動し、垂直移動部58の移動によって、撹拌位置Tにおける販売容器受台56を前記高位置と、前記低位置とに移動可能な構成としているが、容器移動部6は、係る移動に限定されずに、水平移動部57による位置移動に際し、垂直成分を含む斜め方向への移動も含まれるものとする。また、同様に垂直移動部58による位置移動に際し、水平成分を含む斜め方向への移動も含まれるものとする。
【0093】
次に、図36の制御部8の制御回路を示す回路ブロック図を参照して、制御部8を備えた制御回路について説明する。制御回路は、上記各部の動作させるモータや弁装置、当該動作を検出するセンサ、スイッチ等、販売動作や洗浄動作における初期値や任意の設定量の入力や、動作指示の入力、更には、表示を行うコントロールパネルが接続されていると共に、各部の動作に必要なデータ、販売動作や洗浄動作等の実行用のプログラム、オペレータによって任意に設定される販売用データ等の種々のデータを格納するためのメモリ99や各部の動作を制御すると共に計時動作を行う制御部8がバス100を介して接続して構成されている。
【0094】
具体的に、制御部8は、メモリ99に格納されたデータやプログラム更には、削氷供給部4の氷バッファ36の削氷を検出する氷センサ38、撹拌部5のマイクロスイッチ71A、71B、容器移動部6の水平位置センサ86S、86T、86U、垂直位置センサ93B、93C等の出力に従って、飲料原料供給部3の溶解用湯供給ノズル19への湯供給を制御する溶解用湯供給電磁弁15と、原料排出部を構成する粉排出機構24のキャニスタモータ13Mと、シュート駆動部63を構成するソレノイド63A、製氷部10のコンプレッサ26、シスターン28への給水制御を行う給水電磁弁162、オーガ31を駆動するモータ31M、削氷供給部4の氷払出シャッタ34、スライサ35のプロペラを駆動するモータ35M、氷バッファ36の開閉モータ36M、撹拌部5のカッター41を回転駆動させるモータ40M、希釈用水供給ノズル47からの希釈水の供給を制御する電磁開閉弁47V、洗浄部7の洗浄用湯供給ノズル20への湯供給を制御する洗浄用湯供給電磁弁17、カバー駆動部49のモータ49M、容器移動部6の水平移動部57のモータ57M、垂直移動部58のモータ58Mを制御する。
【0095】
以下、本実施の形態の飲料製造装置1によってフローズン飲料を製造する動作について説明する。なお、本実施例における飲料製造装置1は、二種類の原料粉末を備えており、オペレータによる選択操作により、何れか一方の原料粉末を用いたフローズン飲料を製造する。
【0096】
先ず、図1に示すように、販売待機状態では、販売容器受台56は、飲料原料供給位置Sにある。この飲料原料供給位置Sは、上述したように、筐体部2の前面を構成する前面扉下部に形成された販売容器納出口から販売容器9を載置及び取り出し可能とされる位置、換言すると、オペレータによって販売容器9を飲料製造装置1に準備する容器準備位置、若しくは、当該飲料製造装置1によって製造された飲料を受容した販売容器9をオペレータによって取り出される飲料提供位置である。このとき、制御部8には、水平位置センサ86Sによって飲料原料供給位置Sにあることが出力されている。
【0097】
このように販売容器受台56が待機位置にある状態で、製氷部10は、詳細は上述したように予め所定量の氷片を製造しており、貯氷部32に貯氷を行っているものとする。また、湯タンク11は、温度センサ49Tの出力に基づきヒータ49Hの通電制御がなされ、所定量の湯が所定温度、例えば+80℃に維持されている。なお、係る製氷部10の貯氷部32に所定量の氷が貯氷されていること、及び湯タンク11内の湯が所定温度に達していることを条件として、制御部8は、飲料の販売が可能な状態にあるものとし、係る条件を満たしていない状態では、コントロールパネル50におけるディスプレイ52に販売停止状態であることを表示し、前面扉に設けられ飲料製造を指示する図示しない選択ボタンの操作を無効なものとする。
【0098】
上記販売停止状態が解除され、販売待機状態とされた後、オペレータは販売容器受台56に空の販売容器9を載置し、前記選択ボタンのうち、製造を行う飲料の種類に応じた選択ボタンを操作する。これに基づき、制御部8は、選択ボタンの操作に基づく販売開始信号の入力により、飲料原料供給工程を実行する。
【0099】
(飲料原料供給工程)
飲料原料供給工程では、制御部8は、まず、選択された種類に応じた原料粉末を充填するキャニスタ13に対応する原料シュート14の前記待機位置Yとするシュート駆動部63のソレノイド63Aを通電制御し、原料シュート14の排出口14Aを飲料原料供給位置Sに載置された販売容器9にキャニスタ13からの原料粉末を案内する原料投入位置Xとする。これと同時、若しくは、所定時間だけ遅延させて制御部8は、選択された種類の原料粉末が充填されるキャニスタ13の粉排出機構24のキャニスタモータ13Mを所定時間だけ駆動し、キャニスタ13内の原料粉末を排出口13Bより飲料1杯分に相当する量(所定量)だけ排出する。キャニスタ13から排出された原料粉末は、排出口13Bより原料シュート14を介して当該原料シュート14の下端に形成される排出口14Aより飲料原料供給位置Sに載置された販売容器9内に排出される。
【0100】
このとき、制御部8は、キャニスタモータ13Mの駆動停止後、所定の遅延時間経過後に、シュート駆動部63のソレノイド63Aを通電制御し、原料シュート14の排出口14Aを後方に待避させる待機位置Yとする。
【0101】
これにより、キャニスタモータ13Mの動作に連動して、適切に原料シュート14内の原料粉末を販売容器9に排出した後、原料シュート14を待機位置Yとすることができる。そのため、原料シュート14内壁に付着し、時間の経過によって又は機器の振動によって落下した原料粉末や、原料シュート14近傍のキャニスタ13端部から機器の振動によって落下した原料粉末が、常に開放されている原料シュート14の排出口14Aから原料投入位置Xに不定期に排出される不都合を回避することが可能となる。
【0102】
そのため、本実施例のように、一台の飲料製造装置1によって複数種類の飲料を提供するため、異なる原料粉末を充填するキャニスタ13及び当該キャニスタ13に対応する原料シュート14が複数設けられている場合であっても、目的とする粉末状の飲料原料のみを販売容器9に排出することが可能となる。
【0103】
これにより、他の種類の粉末状の飲料原料が、販売容器9内に混入する不都合を回避することが可能となり、適切な飲料の提供を行うことが可能となる。
【0104】
また、制御部8は、粉末供給部を構成するキャニスタ13からの原料粉末の供給動作と同時、若しくは、遅延させて、溶解用湯供給電磁弁15を所定時間だけ開放し、溶解用湯供給ノズル19より飲料原料供給位置Sに載置された販売容器9内に原料粉末を溶解するための湯を所定量供給する。なお、本実施例では、原料粉末を溶解するために用いられる湯は、後段において希釈用の水によって温度を下げることを目的として希釈水が供給されるため、原料粉末の溶解に必要とされる最小限の湯量であることが好ましい。また、原料粉末の溶解に必要とされる全水量は、一定であることから、希釈水を添加することなく湯のみによって原料粉末の溶解を行う場合には、希釈水を添加する場合の湯量よりも添加する希釈水の分だけ多くなる。以上で、飲料原料供給工程を終了し、制御部8は、粉末溶解工程に移行する。
【0105】
(粉末溶解工程)
粉末溶解工程では、まず、制御部8は、容器移動部6により飲料原料供給位置Sとされていた販売容器9を撹拌位置Tに移動させる(図27の状態から図32の状態)。具体的には、水平移動部57のモータ57Mが駆動されることにより、販売容器受台56が取り付けられた駆動ギヤ84Aは、噛合されるラック86Aが形成されるスライダ86を飲料原料供給位置Sから撹拌位置T方向に向かって移動する。このとき、制御部8は、販売容器受台56の移動により遮光板85Aによる水平位置センサ86Sが検出されなくなり、該販売容器受台56が撹拌位置Tに到達した際に、遮光板85Aにより水平位置センサ86Tが検出され、これに従って、モータ57Mの駆動を停止する。
【0106】
次いで、制御部8は、容器移動部6により、前記低位置から前記高位置にまで販売容器9を移動させる(図32の状態から図33の状態)。具体的には、垂直移動部58のモータ58Mを駆動することにより、販売容器受台56が取り付けられた駆動ギヤ97A、97Bは、噛合されるラック93A、193Aが形成されるポスト93、193により撹拌位置Tにおける低位置から高位置に向かって上昇する。このとき、制御部8は、販売容器受台56の移動により遮光板96による垂直位置センサ93Cが検出されなくなり、該販売容器受台56が撹拌位置Tの高位置に到達した際に、遮光板96により垂直位置センサ93Bが検出され、これに従って、モータ58Mの駆動を停止する。このとき、販売容器受台56は、支持部材87によってガイドロッド95に移動自在に取り付けられているため、当該駆動ギヤ97A、97Bの駆動によって、共に上昇される。
【0107】
これによって、販売容器受台56に載置された販売容器9は、トレイ部55の撹拌位置Tの上方に設けられる撹拌部5方向に上昇されることにより、撹拌部5のカッター41が販売容器9内に進入する(図12参照)。前記高位置を検出する垂直位置センサ93Bは、撹拌部5のカッター41が販売容器9の底部に接触しない程度の下部にまで進入可能な位置とされているため、カッター41が販売容器9の底部に接触することなく、販売容器9内下部に位置して停止することとなる。
【0108】
また、撹拌部5の蓋42は、カッター41の上方に位置して駆動軸40に上下移動自在に取り付けられているため、販売容器受台56が低位置とされている際には、自重により駆動軸40の先端に取り付けられたカッター41付近に位置しているが、販売容器受台56が容器移動部6により高位置にまで上昇される過程において、販売容器9の上端に蓋42が当接し、販売容器9と共に押し上げられる。そのため、販売容器9の上面開口は蓋42の自重によって封止される。
【0109】
その後、制御部8は、撹拌部5のモータ40Mを駆動させる。モータ40Mは駆動軸40を介してカッター41を低速で所定時間、回転駆動する。これにより、上記飲料原料供給位置Sにおいて供給された溶解用の高温の湯によって溶解される販売容器9内の原料粉末は、カッター41の回転による撹拌により、より一層、溶解効率が向上する。そのため、原料粉末を短時間にて湯に溶解させることが可能となるため、原料粉末の溶解に要する時間を短縮することが可能となる。また、原料粉末の溶解に高温の湯と、撹拌部5による撹拌を実行することにより、原料粉末の溶け残りを未然に回避することができ、出来上がりの飲料の品質が低下する不都合を解消することができる。
【0110】
また、本実施例では、モータ40Mの回転速度を低速とすることにより、原料粉末が溶解されて生成された飲料原料(シロップ)が販売容器9上部内壁や当該販売容器9を封止する蓋などの周囲への飛び散りを防止することが可能となる。これにより、飲料原料が減少してしまい、出来上がりの飲料の質が均一とならなくなる不都合を回避することが可能となる。また、販売容器9上部が汚れてしまい、見栄えが悪くなる不都合を回避することが可能となる。
【0111】
その後、制御部8は、モータ40Mを停止させた後、この状態で、制御部8は、電磁開閉弁47Vが所定時間開放され、希釈用水供給ノズル47から所定量の希釈水が供給される。希釈用供給ノズル47は、撹拌部5の蓋42に形成された筒部43の案内部43Aに向けて希釈水を供給する構成とされているため、供給された希釈水は、案内部43Aから筒部43内を通過して蓋42の下方に載置される販売容器9内に排出される。
【0112】
そして、販売容器9内には、原料粉末が湯によって溶解されることにより、高温とされるが、上述したように希釈水が添加されることによって、飲料原料の粉末が溶解された水(飲料原料)の温度をより氷の温度に近づけることが可能となり、後段における削氷供給工程において供給された削氷が必要以上に融解されてしまう不都合を回避することが可能となる。
【0113】
その後、容器移動部6により、前記高位置から前記低位置にまで販売容器9を移動させる。具体的には、垂直移動部58のモータ58Mを駆動することにより、販売容器受台56が取り付けられた伝達ギヤ部92は、撹拌位置Tにおける高位置から低位置に向かって降下する。このとき、制御部8は、販売容器受台56の移動により遮光板96による垂直位置センサ93Bが検出されなくなり、該販売容器受台56が撹拌位置Tの低位置に到達した際に、遮光板96により垂直位置センサ93Cが検出され、これに従って、モータ58Mの駆動を停止する。
【0114】
これによって、販売容器受台56に載置された販売容器9内から撹拌部5のカッター41が抜け出て、これと共に、蓋42はカッター41によりそれより下への移動が規制されるため、販売容器9の上面開口が開放される。
【0115】
これにより、飲料原料として粉末を使用しても、粉末の溶け残りを生じさせることなく、出来上がりの飲料の品質、特に所定の硬度を確保することが可能となり、品質の維持を図ることが可能となる。以上で、粉末溶解工程を終了し、制御部8は、削氷供給工程に移行する。
【0116】
(削氷供給工程)
この削氷供給工程では、制御部8は、容器移動部6により撹拌位置Tとされていた販売容器9を削氷供給位置Uに移動させる(図32の状態から図35の状態)。具体的には、水平移動部57のモータ57Mが駆動されることにより、販売容器受台56が取り付けられた駆動ギヤ84Aは、噛合されるラック86Aが形成されるスライダ86を撹拌位置Tから削氷供給位置U方向に向かって移動する。このとき、制御部8は、販売容器受台56の移動により遮光板85Aによる水平位置センサ86Tが検出されなくなり、該販売容器受台56が削氷供給位置Uに到達した際に、遮光板85Aにより水平位置センサ86Uが検出され、これに従って、モータ57Mの駆動を停止する。
【0117】
上述の如く販売容器受台56が削氷供給位置Uとされた後、制御部8は、販売容器9への削氷供給を実行する。
【0118】
このとき、制御部8は、削氷供給工程に入る以前に、削氷を実行しているものとする。本実施例では、所定量の削氷に要する時間を考慮して、上記飲料原料供給工程の開始と共に、前記氷払出シャッタ34を所定時間開放し、製氷部10の貯氷部32から所定量の氷片をスライサ35に供給する。その後、制御部8は、モータ35Mを駆動させ、プロペラを回動させ、スライサ35に受容された氷片をプロペラによって削氷刃に押し付け、削氷を行う。スライサ35により削氷された氷は、スライサ35の下部に設けられる氷バッファ36に受容される。そして、氷バッファ36に設けられる氷センサ38の満氷検出に基づき、制御部8は、モータ35Mを停止し、削氷供給待機とする。なお、氷センサ38の検出に限らず、上述した如くタイマによって氷バッファ36への削氷供給を行っても良いものとする。
【0119】
係る削氷供給待機状態とされている際に、制御部8によって、販売容器受台56が削氷供給位置Uに移動されると、制御部8は、氷バッファ36の氷シャッタ開閉モータ36Mを駆動し、氷シャッタが所定時間、開放する。これにより、氷バッファ36内に受容された削氷は、自重により削氷供給位置Uに載置される販売容器9内に落下する。これにより、販売容器9内には、所定量の削氷が供給され、以上で、削氷供給工程を終了し、制御部8は、飲料撹拌工程に移行する。
【0120】
(飲料撹拌工程)
飲料撹拌工程では、まず、制御部8は、容器移動部6により削氷供給位置Uとされていた販売容器9を撹拌位置Tまで戻す(図35の状態から図32の状態)。具体的には、水平移動部57の駆動ギヤ84Aの駆動方向を上記とは逆方向とするため、通電極性を反転させてモータ57Mを駆動させる。これにより、販売容器受台56が取り付けられた駆動ギヤ84Aは、噛合されるラック86Aが形成されるスライダ86を削氷供給位置Uから撹拌位置T方向に向かって移動する。このとき、制御部8は、販売容器受台56の移動により遮光板85Aによる水平位置センサ86Uが検出されなくなり、該販売容器受台56が撹拌位置Tに到達した際に、遮光板85Aにより水平位置センサ86Tが検出され、これに従って、モータ57Mの駆動を停止する。
【0121】
上述の如く販売容器受台56が撹拌位置Tとされた後、制御部8は、次いで容器移動部6により、上記粉末溶解工程と同様に、前記低位置から前記高位置にまで販売容器9を移動させると共に(図32の状態から図33の状態)、カッター41が堆積した削氷に接するタイミングでモータ40Mを駆動させる。
【0122】
これによって、販売容器受台56に載置された販売容器9は、トレイ部55の撹拌位置Tの上方に設けられる撹拌部5方向に上昇されることにより、撹拌部5のカッター41は、販売容器9内に堆積した削氷内に撹拌しながら進入していく。販売容器9の上面開口は、上下移動自在とされる蓋42の自重によって閉塞される。なお、係る場合において、販売容器9の開口縁は、蓋42下面に形成される溝42A内に進入し、これによって、販売容器9を封止することができる(図12参照)。
【0123】
このとき、販売容器9内には、飲料原料の上から削氷が堆積された状態とされているが、撹拌部5のカッター41には、上述したように駆動軸40の軸方向への受容物の移動を許容するガード67が設けられているため、当該ガード67の区画枠67Cによって、堆積された削氷は、販売容器9内において分割(本実施例では4分割)しながら、カッター41が販売容器9の底部に接触しない程度の下部にまで進入する。これにより、カッター41を回転駆動させながら、販売容器9内に堆積された削氷をある程度分割することができるため、カッター41による撹拌効率を向上させることができ、撹拌に要する時間を短縮することが可能となる。
【0124】
制御部8は、モータ40Mを駆動軸40を介してカッター41を前記粉末溶解工程よりも高い回転速度、即ち、高速で所定時間、回転駆動する。このとき、制御部8は、モータ40Mの回転駆動と共に、容器移動部6の垂直移動部58によって、所定の高位置と、該高位置よりも低く、前記低位置よりも高い高さであって、蓋42が販売容器9の開口から離間しない高さとの間で、昇降移動させても良い。
【0125】
これにより、販売容器9内には、削氷と飲料原料(シロップ)とが粉砕しながら混合され所定の硬度を有するシャーベット状の飲料が製造される。
【0126】
このとき、販売容器9の上面開口を封止する蓋42には、カッター41よりも外側に位置して販売容器9内に突出する凸壁42Bが形成されていることにより、販売容器9の上部内壁に受容物、即ち削氷や飲料が付着することを効果的に抑制することが可能となる。
【0127】
これにより、販売容器9の上部内壁にカッター41の回転駆動による撹拌から逃れた削氷や飲料が残留してしまうことにより、提供時における飲料の見栄えの悪化することや、飲料の撹拌不足による味の不均一化を改善することが可能となる。
【0128】
従って、販売容器9内に受容された削氷や飲料原料(シロップ)等の受容物の撹拌効率の向上を図ることができ、適切な飲料の提供を実現することが可能となる。
【0129】
また、本実施例におけるカッター41は、金属刃により構成されているが、当該カッター41の近傍に設けられる硬質合成樹脂製のガード67は、駆動軸40に回転自在に取り付けられていると共に、外縁67Bがカッター41の回転範囲より外方における駆動軸40の周囲に位置していることから、直接カッター41が販売容器9に接触することを当該ガード67によって防止することができる。
【0130】
従って、カッター41の回転駆動によって販売容器9内壁を傷つけてしまう不都合を防止することが可能となり、販売容器9がガラス製であったとしても、カッター41が直接接触しないことから、安全に飲料の提供を実現することが可能となる。
【0131】
その後、制御部8は、モータ40Mを停止させた後、容器移動部6により、前記高位置から前記低位置にまで販売容器9を移動させる(図33の状態から図32の状態)。これによって、販売容器受台56に載置された販売容器9内から撹拌部5のカッター41が抜け出て、これと共に、蓋42はカッター41によりそれより下への移動が規制されるため、販売容器9の上面開口が開放される。
【0132】
次いで、制御部8は、水平移動部57により撹拌位置Tとされていた販売容器9を飲料原料供給位置Sに戻す。そして、制御部8は、販売容器9が飲料原料供給位置Sとされている状態で、粉排出機構24のキャニスタモータ13Mを停止させたまま、当該選択された種類に応じた原料粉末を充填するキャニスタ13に対応する原料シュート14の前記待機位置Yとするシュート駆動部63のソレノイド63Aを通電制御し、原料シュート14の排出口14Aを飲料原料供給位置Sに載置された販売容器9にキャニスタ13からの原料粉末を案内する原料投入位置Xとした後、短時間で再度、ソレノイド63Aを通電制御し、原料シュート14の排出口14Aを後方に待避させる待機位置Yとする。
【0133】
これにより、製造された飲料を受容する販売容器9が飲料原料供給位置Sに戻された状態で、キャニスタモータMを停止させた状態で、ソレノイド63Aのみを通電制御することによって、原料シュート14のみを駆動することで、原料シュート14の内壁に付着した少量の原料粉末を故意に販売容器9に受容された飲料の上に落下させることができ、トッピング効果を奏することが可能となる。
【0134】
なお、本実施例では、原料粉末の飲料の上への落下は、少量としているが、これに限定されるものではなく、シュート駆動部63のソレノイド63Aの通電制御により、原料シュート14を待機位置Yから駆動し、原料投入位置Xとし、その後、キャニスタモータ13Mを所定時間、上記飲料原料供給工程におけるキャニスタモータ13Mの駆動時間よりも短い時間だけ駆動し、販売容器9内に受容された飲料の上から飲料原料の粉末を任意の量だけ落下させても良いものとする。これによっても、トッピングの効果及び味覚の向上、更には、これらによるメニューの多様化を実現することが可能となる。
【0135】
他方、制御部8は、容器移動部6によって、販売容器9を撹拌位置Tから飲料原料供給位置Sに移動させた後(図32の状態から図27(図1)の状態)、洗浄工程に移行する。
【0136】
(洗浄工程)
この洗浄工程では、制御部8は、洗浄部7のカバー駆動部49のモータ49Mを駆動し、マイクロスイッチ71AのON/OFF制御に基づき、洗浄部7のアーム70を筐体部2の隅角部から撹拌部5に向けて進出させ、アーム70の回動によって洗浄用カバー48が、撹拌部5のカッター41、ガード67及び蓋42を下側から覆った状態で停止する(図14参照)。このとき、アーム70の回動によって、上述したように仕切壁76に形成される販売容器出入口77は、シャッタ75により閉鎖される(図23参照)。
【0137】
なお、この状態で、撹拌部5は、販売容器9によって蓋42が上方に押し上げられた状態でないため、洗浄用湯供給ノズル20は、蓋42に形成される筒部43の上端開口に洗浄用の湯を供給可能な状態とされている(図18参照)。
【0138】
そして、制御部8は、撹拌部5のモータ40Mを所定時間駆動すると同時に、洗浄用湯供給電磁弁17を所定時間開放する。これにより、洗浄用湯供給ノズル20から所定の流量の湯が筒部43の案内部43Aから適切に筒部43内に案内され、筒部43を含む蓋42と洗浄用カバー48との間に供給される。
【0139】
これにより、筒部43内に位置する駆動軸40は、案内部43A上方から供給される洗浄用湯によって最初に洗い流されることとなる。
【0140】
このとき、モータ40Mは駆動軸40を介してカッター41を高い回転速度で回転駆動されることにより、蓋42及び洗浄用カバー48内部に受容される洗浄用湯は、遠心力によって、当該蓋42内及び洗浄用カバー48内に滞留する。これにより、当該滞留する洗浄用湯が接触する蓋42下面、カッター41、ガード67、駆動軸40は、当該洗浄用湯によって、飲料製造時に付着した原料飲料が洗浄される。また、本実施例では、飲料製造直後に、カッター41等の洗浄工程を実行すると共に、洗浄用水として高温の湯を使用することから、高い洗浄効果を得ることができる。
【0141】
また、筒部43は、上記飲料撹拌工程において、販売容器9内にカッター41が進入したときに駆動軸40が受容物である飲料に触れる範囲の駆動軸40周囲を囲繞可能とする高さに形成されている。そして、この筒部43と、駆動軸40周囲との間隔は、上述したように筒部43内に形成される間隔規定部43Bによって所定の値に維持されているため、洗浄用湯供給ノズル20からの湯供給流速、流量、洗浄用カバー48及び蓋42の容積、カッター41の回転速度を一義的に規定することにより、確実に筒部43内上端から洗浄用湯を溢れさせることなく、洗浄用カバー48内に滞留される洗浄用湯を筒部43の上部にまで上昇可能とすることができる。また、間隔規定部43Bによって駆動軸40のぶれを防止することができ、軸受け的な効果を奏することが可能となる。
【0142】
これにより、飲料撹拌工程において、飲料が付着する範囲の駆動軸40をも洗浄用湯によって適切に洗浄することができ、撹拌部5を衛生的に保持することが可能となる。安全な飲料の提供を実現することが可能となる。
【0143】
そして、制御部8は、モータ40Mの駆動及び洗浄用湯供給電磁弁17の開放を所定時間を行った後、モータ40Mを停止し、洗浄用湯供給電磁弁17を閉鎖する。これにより、カッター41による遠心力及び洗浄用湯の供給が停止することにより、筒部43を含む蓋42及び洗浄用カバー48内に滞留した洗浄用湯は、洗浄用カバー48の底面に形成された排水口48Aから円滑に下方に排出される。
【0144】
これにより、洗浄用カバー48内に供給される洗浄用湯が外部に溢れ、周囲を汚してしまう不都合を回避することが可能となる。
【0145】
なお、本実施例では、当該洗浄部7による撹拌部5の洗浄効果を向上させるため、再度モータ40Mの駆動及び洗浄用湯供給電磁弁17の開放を所定時間を行った後、モータ40Mを停止し、洗浄用湯供給電磁弁17を閉鎖する。
【0146】
これにより、一度目の洗浄で、駆動軸40、蓋42下面、カッター41等に付着した飲料が洗浄用湯に溶け込まれた後、外部に排出されると共に、二度目の洗浄で、当該飲料が溶け込まれた湯で、蓋42内壁面等に付着した湯を、新たな洗浄用湯によって洗い流すことが可能となる。
【0147】
このように、複数回にわたって洗浄用湯の供給/停止を行うことにより、洗浄用カバー48によって囲繞されるカッター41や蓋42に残留物が付着することを抑制することができ、より一層衛生的に維持することが可能となる。
【0148】
そして、制御部8は、洗浄用カバー48が撹拌部5のカッター41、ガード67及び蓋42を下側から覆った閉鎖状態を維持したまま、洗浄工程を終了する。
【0149】
そのため、飲料製造を指示する操作が行われない限り、撹拌部5が設けられる筐体部2内とオペレータが販売容器9の載置する飲料原料供給位置Sとは、シャッタ75により区画された状態とされるため、誤って手指等を撹拌部5に挿入し、怪我をしてしまう不都合を回避することが可能となる。また、直接、飲料が接触する撹拌部5の蓋42下面やカッター41等は、洗浄用カバー48にて閉鎖された状態となるため、埃等の付着を抑制することができ、衛生的に保持することが可能となる。
【0150】
また、このように、販売待機状態では、前回の飲料製造終了後から撹拌部5が洗浄用カバー48にて閉鎖され、販売容器出入口77はシャッタ75にて閉鎖された状態であるため、飲料製造を指示する選択ボタンが操作された際には、制御部8は、飲料原料供給工程開始前、若しくは、飲料原料供給工程中に、洗浄部7の洗浄部7のカバー駆動部49のモータ49Mを駆動し、マイクロスイッチ71BのON/OFF制御に基づき、洗浄部7のアーム70を撹拌部5を閉鎖した状態から筐体部2の隅角部に後退させ、洗浄用カバー48を販売容器9の移動の邪魔とならない筐体部2の隅角部に収容した状態で、停止する。このとき、上述したようにアーム70の回動によって、シャッタ75は、洗浄用カバー48と共に、筐体部2の隅角部に後退され、仕切壁76に形成される販売容器出入口77は、開放される(図19参照)。
【0151】
このように、本実施例では、飲料製造終了後に、受容物の混合に用いられたカッター41及び販売容器9を封止する蓋42の洗浄を実行する洗浄工程において、格別に洗浄用の容器を宛がうことなく自動的にカバー駆動部49により閉鎖状態とされる洗浄用カバー48によってカッター41及び蓋42を下側から覆い、当該洗浄用カバー48内に洗浄用湯を供給することによって直接販売容器9内の受容物に触れるカッター41や蓋42を円滑に洗浄することが可能となる。
【0152】
そのため、直接受容物である飲料が触れるカッター41や蓋42等を衛生的に維持することが可能となり、安全な飲料の提供を実現することが可能となる。また、洗浄時に蓋42に宛がわれる洗浄用カバー48は、販売容器9の容器移動部6による移動時や撹拌部5による販売容器9内の受容物の撹拌動作時において後退させておくことで、飲料製造の邪魔とならない。
【0153】
以上詳述した如く、本実施例の飲料製造装置1では、トレイ部55の販売容器受台56に載置された販売容器9は、容器移動部6により、該販売容器9が準備され、且つ、飲料原料供給部3により販売容器9内に飲料原料である原料粉末及び溶解用湯とを供給する飲料原料供給位置Sと、撹拌部5により販売容器9の内部に受容されている受容物を撹拌する撹拌位置T、及び、削氷供給部4により販売容器9内に削氷を供給する削氷供給位置Uに移動させることにより、自動的に販売容器9への飲料原料の供給、受容物の撹拌、販売容器9への削氷の供給、更には、販売容器9が取り出される飲料原料供給位置Sへの搬送を行うことが可能となる。
【0154】
これにより、各飲料原料を自動供給として、飲料の製造を行うことが可能となるため、商品ごとの量のばらつきを抑制することが可能となり、均質な飲料を提供することができるようになる。また、飲料原料は、筐体部2内に収容される飲料原料供給部3により飲料原料供給位置Sにおいて販売容器9内に供給が行われることから、質や安全管理を適切に行うことが可能となり、人手に依らないことから衛生面において好適なものとなる。
【0155】
特に、本実施例では、詳細は上述した如く容器準備位置と飲料提供位置は、飲料原料供給位置Sに集約され、更に、該飲料原料供給位置S、撹拌位置T、及び、削氷供給位置Uは、トレイ部55内において直線状の動線上に設定されているため、装置自体のコンパクト化を図ることができると共に、販売容器9の各位置への移動を可能とする容器移動部6の構成を簡素化することが可能となる。販売容器9の各位置への移動時間を短縮化することが可能となる。
【0156】
また、飲料原料供給位置Sと削氷供給位置Uとの間に撹拌位置Tを設定しているため、上述したように一連の飲料製造動作を実行するにあたり、飲料の原料供給から製造、提供までを飲料原料供給位置Sから削氷供給位置Uまでの一往復動作により実現することが可能となる。そのため、無駄な移動動作を排除することができ、一連の飲料製造動作の簡素化及び要する時間の短縮化を実現することが可能となる。
【0157】
また、本実施例における飲料製造装置1は、飲料原料供給位置Sをトレイ部55内の前部に設定すると共に、該飲料原料供給位置Sから筐体部2の前面に対して斜め後方に向かう動線上に撹拌位置T及び削氷供給位置Uを設定し、各位置の上方に対応する筐体部2内に飲料原料供給部3、撹拌部5及び削氷供給部4をそれぞれ設けているため、装置1全体の奥行き寸法の拡大を抑制しつつ、幅寸法の縮小を図ることが可能となる。
【0158】
これにより、一つの筐体部2内に飲料原料供給部3、撹拌部5、削氷供給部4の各機器を収容し、各機器による販売容器9への動作位置、即ち、飲料原料供給位置S(容器準備位置、飲料提供位置)、撹拌位置T、削氷供給位置Uを同一の筐体部2内に配置しても、装置1全体としての寸法を抑制することができる。そのため、当該装置の設置に要する面積を縮小することができる。
【0159】
また、飲料原料供給位置Sは、トレイ部55内の前部に設定されることから、販売容器9の取り出しを支障なく行うことが可能となる。
【0160】
更にまた、撹拌部5を洗浄する洗浄部7は、動線が対向する筐体部2の隅角部内に設け、該隅角部内から撹拌部5に進出/後退するよう構成されるため、筐体部2内に生じるデッドスペースに、洗浄部7を設けることにより、当該スペースの有効利用を図ることが可能となる。
【0161】
次に、図38のタイミングチャートを参照して、他の実施例としての飲料製造装置1によるフローズン飲料を製造する動作について説明する。係る実施例における飲料製造装置1は、原料粉末溶解後の液体原料の温度を下げることを目的として、上記実施例において使用する希釈用水の供給に代えて、削氷供給部4による削氷供給を実行するため、上記実施例と略同様のものであって、希釈水供給ノズル47を不要とする。
【0162】
係る実施例では、飲料原料供給工程までは、同様の制御を行い、係る粉末溶解工程後は、上記実施例と同様に削氷供給工程を実行するため、当該粉末溶解工程前後の工程についての説明を省略する。ただし、係る実施例において、飲料原料供給工程において、原料粉末を溶解するために用いられる湯は、上記実施例と同様に、後段において添加される冷却用の削氷が供給されるため、原料粉末の溶解に必要とされる最小限の湯量であることが好ましい。
【0163】
(他の実施例としての粉末溶解工程)
係る実施例における粉末溶解工程では、上記実施例と同様に、制御部8は、容器移動部6により飲料原料供給位置Sとされていた販売容器9を撹拌位置Tに移動させる(図27の状態から図32の状態)。そして、容器移動部6の垂直移動部58により、前記低位置から前記高位置にまで販売容器9を移動させる(図32の状態から図33の状態)。
【0164】
これによって、販売容器受台56に載置された販売容器9は、トレイ部55の撹拌位置Tの上方に設けられる撹拌部5方向に上昇されることにより、撹拌部5のカッター41が販売容器9内に進入する(図12参照)。
【0165】
その後、制御部8は、撹拌部5のモータ40Mを駆動させる。モータ40Mは駆動軸40を介してカッター41を低速で所定時間、回転駆動する。これにより、上記飲料原料供給位置Sにおいて供給された溶解用の高温の湯によって溶解される販売容器9内の原料粉末は、カッター41の回転による撹拌により、より一層、溶解効率が向上する。そのため、原料粉末を短時間にて湯に溶解させることが可能となるため、原料粉末の溶解に要する時間を短縮することが可能となる。また、原料粉末の溶解に高温の湯と、撹拌部5による撹拌を実行することにより、原料粉末の溶け残りを未然に回避することができ、出来上がりの飲料の品質が低下する不都合を解消することができる。なお、本実施例においても、モータ40Mの回転速度を低速とする。
【0166】
その後、制御部8は、モータ40Mを停止させた後、容器移動部6により、前記高位置から前記低位置にまで販売容器9を移動させる。これによって、販売容器受台56に載置された販売容器9内から撹拌部5のカッター41が抜け出て、これと共に、蓋42はカッター41によりそれより下への移動が規制されるため、販売容器9の上面開口が開放される。
【0167】
その後、制御部8は、容器移動部6により撹拌位置Tとされていた販売容器9を削氷供給位置Uに移動させる(図32の状態から図35の状態)。販売容器受台56が削氷供給位置Uとされた後、制御部8は、販売容器9への冷却用の削氷供給を実行する。
【0168】
このとき、上記実施例における削氷供給工程の場合と同様に、氷バッファ36内には、既に削氷が供給されており、削氷供給待機状態とされているため、制御部8は、氷バッファ36の氷シャッタ開閉モータ36Mを駆動し、上記削氷供給工程における場合よりも短い時間だけ氷シャッタを開放する。これにより、氷バッファ36内に受容された削氷の一部の比較的少量の削氷が自重により削氷供給位置Uに載置される販売容器9内に落下する。販売容器9内には、原料粉末を溶解した湯(飲料原料)の温度を下げるのに必要とされる量の削氷が供給される。なお、氷バッファ36内に受容される削氷は、当該動作によって減少し、氷センサ38は、満氷を検知しなくなるため、制御部8は、再び氷払出シャッタ34を所定時間だけ開放し、スライサ35に氷片を供給すると共に、モータ35Mを駆動してプロペラを回動させ、氷センサ38の満氷検出まで削氷を実行するものとする。
【0169】
冷却用の削氷供給後、制御部8は、容器移動部6により削氷供給位置Uとされていた販売容器9を撹拌位置Tまで戻す(図35の状態から図32の状態)。その後、上記と同様に、前記低位置から前記高位置にまで販売容器9を移動させる(図32の状態から図33の状態)。
【0170】
これによって、販売容器受台56に載置された販売容器9は、トレイ部55の撹拌位置Tの上方に設けられる撹拌部5方向に上昇されることにより、撹拌部5のカッター41が販売容器9内に進入し、販売容器9の上面開口は、上下移動自在とされる蓋42の自重によって閉塞される。
【0171】
その後、制御部8は、撹拌部5のモータ40Mを駆動させる。モータ40Mは駆動軸40を介してカッター41を前記と同様に低速で所定時間、回転駆動する。これにより、販売容器9内には、冷却用の削氷と飲料原料(シロップ)とが混合され、飲料原料が所定の温度まで低下する。
【0172】
そして、販売容器9内には、原料粉末が湯によって溶解されることにより、高温とされるが、上述したように冷却用の削氷が添加されることによって、飲料原料の粉末が溶解された水(飲料原料)の温度をより氷の温度に近づけることが可能となり、後段における削氷供給工程において供給された削氷が必要以上に融解されてしまう不都合を回避することが可能となる。また、この場合には、格別に希釈用の水を供給するための手段を設ける必要がないため、部品点数の削減を図ることが可能となる。
【0173】
これにより、飲料原料として粉末を使用しても、粉末の溶け残りを生じさせることなく、出来上がりの飲料の品質、特に所定の硬度を確保することが可能となり、品質の維持を図ることが可能となる。以上で、粉末溶解工程を終了し、制御部8は、上記実施例と同様に削氷供給工程に移行する。
【0174】
上記各実施例では、撹拌工程において、容器移動部6によって、販売容器9を上方の撹拌部5に移動させて、撹拌動作を行っているが、これに限定されるものではなく、撹拌部5を撹拌位置Tの販売容器9に向けて降下させて撹拌動作を行っても良い。
【0175】
また、上記各実施例では、洗浄部7の洗浄用カバー48は、筐体部2の隅角部からカバー駆動部49によって、撹拌部5に進出/後退させる構成としているが、これに限定されるものではなく、撹拌部5を洗浄用カバー48にて下側から覆うことができ、且つ、撹拌工程等の飲料製造操作が行われている際に、洗浄用カバー48が待避されている構成、例えば、撹拌位置Tよりも下側に洗浄部7を格納しておき、洗浄工程時に上昇し、洗浄工程を実行する構成としても良いものとする。
【0176】
なお、上記各実施例では、飲料製造動作の終了後に、必ず、洗浄工程を行っているが、これに限定されるものではなく、前面扉に設けられた図示しない洗浄ボタンを操作することによって実行しても良いものとする。
【0177】
また、上述した実施形態では、削氷及び混合を一連の処理プロセスとして実行する飲料製造装置を説明したが、例えば、削氷のみ、或いは、混合のみの処理プロセスを独立して実行させることも可能である。
【0178】
なお、上述した飲料製造装置1では、飲料として、清涼飲料の他にフローズンカクテル等の酒類を製造することも可能である。この場合には、原料粉末をアルコール入りの液体原料としてもよい。
【0179】
次に、図39乃至図57を参照して削氷供給部4を構成する氷バッファ36の詳細な構成について以下の実施例1乃至実施例3を挙げて説明する。
【実施例1】
【0180】
図39は削氷供給部4を構成する氷バッファ36周辺機器を含めた氷バッファ36の斜視図、図40はシャッタ101、102、シャッタ駆動部103と氷バッファ36の斜視図(出口シャッタ102を閉鎖した状態)、図41は図40の一部透視平面図、図42は図40の側面図、図43はシャッタ101、102、シャッタ駆動部103と氷バッファ36の斜視図(分割シャッタ101を閉鎖した状態)、図44は図43の一部透視平面図、図45は図43の側面図をそれぞれ示している。
【0181】
スライサ35からの削氷を販売容器9に案内する氷バッファ36は、上下に連通した筒状の部材により構成されており、上端開口は、前記スライサ35の削氷排出部分に対応した削氷入口36Aとされる。そして、下端開口は、容器移動部6によって販売容器9が載置される削氷供給位置Uの上方に位置した削氷出口36Bとされている。削氷出口36B下方には、当該削氷供給位置Uと氷バッファ36との間に位置して、削氷出口36Bを開閉自在に閉塞する出口シャッタ(一方のシャッタ)102が設けられる。
【0182】
他方、氷バッファ36の側面には、本実施例では、下端開口から氷バッファ36全体の高さの約1/4〜1/3程度の高さに位置して挿入穴36Cが形成されており、当該挿入穴36Cは、本実施例では、対向する側面にも同様に形成されている。そして、この挿入穴36Cには、上記出口シャッタ102と所定間隔を存して氷バッファ36内を区画する分割シャッタ(他方のシャッタ)101が挿脱自在に設けられる。これら出口シャッタ102及び分割シャッタ101は、氷バッファ36に対して水平面から少許傾けて配置されており、これにより、氷バッファ36内の残氷や露などの排出を促すことが可能となる。
【0183】
これら出口シャッタ102及び分割シャッタ101は、シャッタ駆動部103により、互いに位相を異として平行移動される。即ち、シャッタ駆動部103は、氷バッファ36の近傍に位置して筐体部2内に取付部材111を介して固定される。取付部材111は、分割シャッタ101及び出口シャッタ102をそれぞれ平行移動させるためのレール部材110を備えており、分割シャッタ101は、当該レール部材110の上面に沿って摺動自在とされており、出口シャッタ102は、レール部材110の内壁面に沿って摺動自在とされている。
【0184】
ここで、分割シャッタ101は、氷バッファ36側の端部から内方に向けて氷バッファ36に形成された挿入穴36Cに挿脱自在とするため、即ち、挿入穴36Cの側端縁を回避しつつ、氷バッファ36内に分割シャッタ101を挿入させるための挿入溝101B、101Bが形成されている。また、分割シャッタ101の氷バッファ36側とは反対側の側部には、シャッタ101の移動する方向に対して垂直する方向に延在する案内溝101Aが形成されており、当該案内溝101Aには、回動軸108が回動自在且つ、案内溝101A内を移動自在に挿通されている。
【0185】
この回動軸108の上端は、分割シャッタ101の上方に配設されるカム106に固定されていると共に、下端は、分割シャッタ101の下方に配設されるカム107に固定されている。カム106は、大径部分106Hと小径部分106Lとから構成されており、当該カム106の略中心には、該カム106の上方に位置する前記氷シャッタ開閉モータ36Mの駆動軸105が減速機104を介して接続されている。なお、駆動軸105の端部は、カム106に固定、且つ、カム106の下方に設けられる分割シャッタ101と干渉しない位置とされているものとする。
【0186】
なお、このカム106の縁部には、該カム106が大径106Hであるか小径106Lであるかを検出するマイクロスイッチ112の検出部112Aが当接した状態で設けられており、当該検出に基づいて制御部8によりモータ36Mが制御される。
【0187】
他方、出口シャッタ102は、氷バッファ36側とは反対側の側部に、シャッタ102の移動する方向に対して垂直する方向に延在する案内溝102Aが形成されており、当該案内溝102Aには、回動軸109が回動自在且つ、案内溝102A内を移動自在に挿通されている。
【0188】
この回動軸109の上端は、分割シャッタ101の下方に配設されるカム107に固定されていると共に、下端は、当該カム107の下方に配設される出口シャッタ102の案内溝102Aに移動自在に取り付けられている。このカム107は、本実施例では、所定の中心角度をなす扇状に形成されており、分割シャッタ101を挿通する回動軸108は、この扇状の一端(図41参照)に固定されている。そして、この扇状の他端には、回動軸109が固定されている。そのため、回動軸108と、回動軸109とは、所定の角度を成し対置に設けられることとなり、回動軸108が挿通された分割シャッタ101が氷バッファ36から後退した状態では、回動軸109が回動自在に取り付けられた出口シャッタ102は、氷バッファ36の円筒下側の投影面に進出した状態となる。
【0189】
これにより、モータ36Mが駆動されると駆動軸105を中心にカム106が(図41の実線矢印の方向に)回動され、当該カム106に固定された回動軸108がカム106の回動によって駆動軸105を中心とした円の軌跡上を移動する。これと共に、回動軸108の下端に固定されたカム107がカム106と同一の方向に回動され、回動軸109が回動軸108の軌跡上を移動する。
【0190】
そのため、カム106が回転駆動されると、回動軸108が挿通された分割シャッタ101は、回動軸108の移動に伴い、レール部材110上を氷バッファ36内に進入する方向に摺動し、これと同時に、回動軸109が移動自在に取り付けられた出口シャッタ102は、回動軸109の移動に伴い、レール部材110内を氷バッファ36の円筒下側の投影面から後退する方向に摺動される(図41の状態から図44の状態)。
【0191】
その後、更に、連続してカム106が回転駆動されることにより、回動軸108が挿通された分割シャッタ101は、回動軸108の移動に伴い、レール部材110上を氷バッファ36内から後退する方向に摺動し、これと同時に、回動軸109が移動自在に取り付けられた出口シャッタ102は、回動軸109の移動に伴い、レール部材110内を氷バッファ36の円筒下側の投影面に向かって摺動される(図44の状態から図41の状態)。
【0192】
これにより、モータ36Mによって、カム106が一回転する間に、分割シャッタ101が氷バッファ36から後退した位置から氷バッファ36内に進出し、再度氷バッファ36から後退した位置に移動する。そして、出口シャッタ102は、氷バッファ36の削氷出口36Bを閉鎖した位置から氷バッファ36から後退した位置に移動し、再度氷バッファ36の削氷出口36Bを閉鎖した位置に移動する。従って、分割シャッタ101と出口シャッタ102とは、位相を異として氷バッファ36側に進出・後退する。
【0193】
そのため、削氷が受容され削氷供給待機状態とされている氷バッファ36は、上記削氷供給工程において、制御部8によって、販売容器受台56が削氷供給位置Uに移動されると、制御部8は、氷シャッタ開閉モータ36Mを駆動する。モータ36Mの駆動によって、出口シャッタ101が氷バッファ36の円筒下側の投影面から後退し、分割シャッタ101が氷バッファ36内に進出する。
【0194】
従って、出口シャッタ102が開放されると共に、分割シャッタ101が氷バッファ36内の削氷を分割し、出口シャッタ102と分割シャッタ101内に収容されていた削氷のみが自重によって先に販売容器9内に落下する。その後、継続してモータ36Mが駆動されることにより、出口シャッタ102が削氷出口36Bを閉鎖する方向に移動すると共に、分割シャッタ101が氷バッファ36内から待避する。そのため、上記では、分割シャッタ101上に載置されていた残余の削氷が分割シャッタ101の後退により自重により落下し、出口シャッタ102により削氷出口36Bを閉塞する以前に、販売容器9内に落下することとなる。その後、出口シャッタ102は、削氷出口36Bを閉塞する。
【0195】
これにより、販売容器9内に供給される削氷を分割して供給することが可能となり、従来の如く一度に飲料の製造に必要とされる全ての削氷が販売容器9内に供給され、その落下の勢いで販売容器と削氷との間から、既に販売容器9内に受容されている飲料原料が周囲に飛び散る不都合を軽減することが可能となる。
【0196】
従って、飲料原料が周囲に飛び散り、所定量から減少してしまい、均質の飲料が提供できなくなる不都合を回避することが可能となる。
【0197】
特に、本実施例では、分割シャッタ101を氷バッファ36の高さの半分よりも下側、具体的には、下端から約1/4〜1/3程度の高さに挿脱可能とすることで、氷バッファ36内の削氷を分割する構成としたため、販売容器9に最初に供給する削氷量を、二回目に供給する削氷量よりも少なくすることが可能となる。そのため、削氷の落下の勢いをより減少させることが可能となり、これによって、販売容器9内に受容されている飲料原料の周囲への飛び散りをより一層軽減させることが可能となる。
【0198】
なお、各シャッタ101、102を駆動するシャッタ駆動部103は、削氷を販売容器9内に供給した後、削氷出口36Bを閉塞する出口シャッタ102を閉塞した状態としたことを、マイクロスイッチ112の検出部112Aが、カム106の小径106L位置から大径106Hに乗り上げたことを検出することで判断し、これに基づきモータ36Mを停止する。
【0199】
そのため、削氷供給終了後は、削氷出口36Bは、出口シャッタ102により閉鎖された状態とされるため、次回の飲料製造工程において、予め削氷を氷バッファ36内に貯めておくことが可能となり、削氷供給に要する時間を短縮することが可能となり、総じて飲料販売に必要とされる時間を短縮することが可能となる。
【実施例2】
【0200】
次に、第2の実施例としての氷バッファ119及びその周辺機器の構成について説明する。図46は削氷供給部4を構成する氷バッファ119周辺機器を含めた氷バッファ119の斜視図、図47は図46の側面図、図48はシャッタ121、122、シャッタ駆動部123と氷バッファ119の斜視図(出口シャッタ122を閉鎖した状態)、図49は図48の一部透視平面図、図50はシャッタ121、122、シャッタ駆動部123と氷バッファ119の斜視図(分割シャッタ121を閉鎖した状態)、図51は図50の一部透視平面図をそれぞれ示している。
【0201】
スライサ35からの削氷を販売容器9に案内する氷バッファ119は、上記実施例の氷バッファ36と同様に上下に連通した筒状の部材により構成されており、上端開口は、前記スライサ35の削氷排出部分に対応した削氷入口119Aとされる。そして、下端開口は、容器移動部6によって販売容器9が載置される削氷供給位置Uの上方に位置した削氷出口119Bとされている。削氷出口119B下方には、当該削氷供給位置Uと氷バッファ119との間に位置して、削氷出口119Bを開閉自在に閉塞する出口シャッタ(一方のシャッタ)122が設けられる。
【0202】
他方、氷バッファ119の側面には、本実施例でも、下端開口から氷バッファ119全体の高さの約1/4〜1/3程度の高さに位置して挿入穴119Cが形成されている。そして、この挿入穴119Cには、上記出口シャッタ122と所定間隔を存して氷バッファ119内を区画する分割シャッタ(他方のシャッタ)121が挿脱自在に設けられる。
【0203】
これら出口シャッタ122及び分割シャッタ121は、シャッタ駆動部123により、互いに位相を異として所定角度の範囲で回転移動される。即ち、シャッタ駆動部123は、氷バッファ119の近傍に位置して筐体部2内に取付部材133を介して固定される。
【0204】
ここで、分割シャッタ121は、氷バッファ119の略断面を閉塞可能とする閉塞面121Cと、当該閉塞面121Cと一体に形成される回動片121Dとから構成される。閉塞面121Cの外縁には、氷バッファ119内を略完全に閉塞した状態で、氷バッファ119の挿入穴119C端面に当接するガイド片121Bが形成されている。また、本実施例では、回動片121Dの端部には、回動軸155を挿通するための挿通孔121Eが形成されており、この回動片121Dには、当該挿通孔121Eに近づく方向から遠ざかる方向に向けて延在する案内溝121Aが形成されている。この案内溝121Aには、回動軸128が回動自在且つ、案内溝121A内を移動自在に挿通されている。
【0205】
この回動軸128の上端は、分割シャッタ121の上方に配設されるカム126に固定されていると共に、下端は、分割シャッタ121の下方に配設されるカム127に固定されている。カム126は、大径部分126Hと小径部分126Lとから構成されており、当該カム126の略中心には、該カム126の上方に位置するモータ123Mの駆動軸125が減速機124を介して接続されている。なお、駆動軸125の端部は、カム126に固定、且つ、カム126の下方に設けられる分割シャッタ121と干渉しない位置とされているものとする。
【0206】
なお、このカム126の縁部には、該カム126が大径126Hであるか小径126Lであるかを検出するマイクロスイッチ132の検出部132Aが当接した状態で設けられており、当該検出に基づいて制御部8によりモータ123Mが制御される。
【0207】
他方、出口シャッタ122は、氷バッファ119の削氷出口119Bを完全閉塞可能とするものであり、連結軸129を介して連結板130に固定されている。そしてこの連結板130の端部には、前記挿通孔121Eと共に回動軸155を挿通するための挿通孔130Bが形成されており、この連結板130には、当該挿通孔130Bに近づく方向から遠ざかる方向に向けて延在する案内溝130Aが形成されている。この案内溝130Aには、回動軸131が回動自在且つ、案内溝130A内を移動自在に挿通されている。この回動軸131の上端は、分割シャッタ121の下方に配設されるカム127に固定されている。
【0208】
このカム127は、本実施例では、円形に形成されており、分割シャッタ121を挿通する回動軸128は、このカム127の一端(図49参照)に固定されている。そして、このカム127に固定された回動軸128と所定の角度を成す位置に、回動軸131が固定されている。そのため、回動軸128と、回動軸131とは、所定の角度を成した位置に設けられることとなり、回動軸128が挿通された分割シャッタ121が氷バッファ119から後退した状態では、回動軸131が回動自在に取り付けられた連結板130に連結軸129を介して取り付けられた出口シャッタ122が、氷バッファ119円筒下側の投影面に進出した状態(即ち、削氷出口119Bを閉鎖した状態)となる。
【0209】
これにより、モータ123Mが駆動されると駆動軸125を中心にカム126が(図49の実線矢印の方向に)回動され、当該カム126に固定された回動軸128がカム126の回動によって移動する。これと共に、回動軸128の下端に固定されたカム127がカム126と同一の方向に回動され、回動軸131が回動軸128の軌跡上を移動する。
【0210】
そのため、カム126が回転駆動されると、回動軸128が挿通された分割シャッタ121は、回動軸128の移動に伴い、氷バッファ119内に進入する方向に回動し、これと同時に、回動軸131が移動自在に取り付けられた連結板130は、連結軸129を介して取り付けられる出口シャッタ122を氷バッファ119の円筒下側の投影面から後退する方向に回動させる。
【0211】
その後、更に、連続してカム126が回転駆動されることにより、回動軸128が挿通された分割シャッタ121は、回動軸128の移動に伴い、氷バッファ119内から後退する方向に回動し、これと同時に、回動軸131が移動自在に取り付けられた連結板130は、連結軸129を介して取り付けられる出口シャッタ122を、回動軸131の移動に伴い、氷バッファ119の円筒下側の投影面に向かって回動させる。
【0212】
これにより、モータ123Mによって、カム126が一回転する間に、分割シャッタ121が氷バッファ119から後退した位置から氷バッファ119内に進出し、再度氷バッファ119から後退した位置に移動する。そして、出口シャッタ122は、氷バッファ119の削氷出口119Bを閉鎖した位置から氷バッファ119から後退した位置に回動し、再度氷バッファ119の削氷出口119Bを閉鎖した位置に移動する。従って、分割シャッタ121と出口シャッタ122とは、位相を異として氷バッファ119側に進出・後退する。
【0213】
そのため、削氷が受容され削氷供給待機状態とされている氷バッファ119は、上記削氷供給工程において、制御部8によって、販売容器受台56が削氷供給位置Uに移動されると、制御部8は、氷シャッタ開閉モータ123Mを駆動する。これにより、モータ123Mの駆動によって、出口シャッタ122が氷バッファ119の円筒下側の投影面から後退し、分割シャッタ121が氷バッファ119内に進出する。
【0214】
従って、出口シャッタ122が開放されると共に、分割シャッタ121が氷バッファ119内の削氷を分割し、出口シャッタ122と分割シャッタ121内に収容されていた削氷のみが自重によって先に販売容器9内に落下する。その後、継続してモータ123Mが駆動されることにより、出口シャッタ122が削氷出口119Bを閉鎖する方向に移動すると共に、分割シャッタ121が氷バッファ119内から待避する。そのため、上記では、分割シャッタ121上に載置されていた残余の削氷が分割シャッタ121の後退により自重により落下し、出口シャッタ122により削氷出口119Bを閉塞する以前に、販売容器9内に落下することとなる。その後、出口シャッタ122は、削氷出口119Bを閉塞する。
【0215】
これにより、上記実施例と同様に、販売容器9内に供給される削氷を分割して供給することが可能となり、従来の如く一度に飲料の製造に必要とされる全ての削氷が販売容器9内に供給され、その落下の勢いで販売容器と削氷との間から、既に販売容器9内に受容されている飲料原料が周囲に飛び散る不都合を軽減することが可能となる。
【0216】
従って、飲料原料が周囲に飛び散り、所定量から減少してしまい、均質の飲料が提供できなくなる不都合を回避することが可能となる。
【0217】
特に、本実施例においても、分割シャッタ121を氷バッファ119の高さの半分よりも下側、具体的には、下端から約1/4〜1/3程度の高さに挿脱可能とすることで、氷バッファ119内の削氷を分割する構成としたため、販売容器9に最初に供給する削氷量を、二回目に供給する削氷量よりも少なくすることが可能となる。そのため、削氷の落下の勢いをより減少させることが可能となり、これによって、販売容器9内に受容されている飲料原料の周囲への飛び散りをより一層軽減させることが可能となる。
【0218】
なお、各シャッタ121、122を駆動するシャッタ駆動部123は、削氷を販売容器9内に供給した後、削氷出口119Bを閉塞する出口シャッタ122を閉塞した状態としたことを、マイクロスイッチ132の検出部132Aが、カム126の小径126L位置から大径126Hに乗り上げたことを検出することで判断し、これに基づきモータ123Mを停止する。
【0219】
そのため、削氷供給終了後は、削氷出口119Bは、出口シャッタ122により閉鎖された状態とされるため、次回の飲料製造工程において、予め削氷を氷バッファ119内に貯めておくことが可能となり、削氷供給に要する時間を短縮することが可能となり、総じて飲料販売に必要とされる時間を短縮することが可能となる。
【0220】
なお、上記各実施例では、分割シャッタは、1枚であるが、これに限定されるものではなく、出口シャッタと位相の異なる動作で、駆動するシャッタであれば、2枚以上であっても良いものとする。
【0221】
また、削氷を分割供給する場合に、上記各実施例では、位相の異なる動作で駆動するシャッタを用いているが、これ以外にも、スライサ35の駆動モータ35Mの間欠駆動や製氷部10からの氷片の供給を分割して削氷供給部4に供給するなどの方法によっても良いものとする。
【実施例3】
【0222】
次に、第3の実施例としての氷バッファ139及びその周辺機器の構成について説明する。図52は削氷供給部4を構成する氷バッファ周辺機器を含めた氷バッファ139の斜視図、図53は図52の側面図、図54は出口シャッタ142、シャッタ駆動部143と氷バッファ139の斜視図(出口シャッタ142を閉鎖した状態)、図55は図54の一部透視平面図、図56は出口シャッタ142、シャッタ駆動部143と氷バッファ139の斜視図(排出促進部材141を挿入した状態)、図57は図56の一部透視平面図をそれぞれ示している。
【0223】
スライサ35からの削氷を販売容器9に案内する氷バッファ139は、上記実施例の氷バッファ36、119と同様に上下に連通した筒状の部材により構成されており、上端開口は、前記スライサ35の削氷排出部分に対応した削氷入口139Aとされる。そして、下端開口は、容器移動部6によって販売容器9が載置される削氷供給位置Uの上方に位置した削氷出口139Bとされている。削氷出口139B下方には、当該削氷供給位置Uと氷バッファ139との間に位置して、削氷出口139Bを開閉自在に閉塞する出口シャッタ142が設けられる。
【0224】
他方、氷バッファ139の側面には、例えば下端開口から氷バッファ139全体の高さの約1/4〜1/3程度の高さに位置して挿入穴139Cが形成されている。そして、この挿入穴139Cには、上記出口シャッタ142と所定間隔を存して氷バッファ119内を所定寸法だけ挿入可能とされる排出促進部材141が設けられる。
【0225】
出口シャッタ142及び排出促進部材141は、シャッタ駆動部143により、互いに位相を異として所定角度の範囲で回転移動される。即ち、シャッタ駆動部143は、氷バッファ139の近傍に位置して筐体部2内に取付部材153を介して固定される。
【0226】
ここで、排出促進部材141は、氷バッファ139の略断面の一部を閉塞可能とするものであり、当該氷バッファ139内に進出する端面は、下側に折り返されたフランジ141Bが形成されている。そして、この排出促進部材141の端部には、回動軸156を挿通するための挿通孔141Cが形成されており、この排出促進部材141には、当該挿通孔141Cに近づく方向から遠ざかる方向に向けて延在する案内溝141Aが形成されている。この案内溝141Aには、回動軸148が回動自在且つ、案内溝141A内を移動自在に挿通されている。なお、回動軸148は、排出促進部材141が氷バッファ139に途中までしか進出されない都合上、後述する回動軸151よりも後述する駆動軸145により近い位置とする。
【0227】
この回動軸148の上端は、排出促進部材141の上方に配設されるカム146に固定されていると共に、下端は、排出促進部材141の下方に配設されるカム147に固定されている。カム146は、大径部分146Hと小径部分146Lとから構成されており、当該カム146の略中心には、該カム146の上方に位置するモータ143Mの駆動軸145が減速機144を介して接続されている。なお、駆動軸145の端部は、カム146に固定、且つ、カム146の下方に設けられる排出促進部材141と干渉しない位置とされているものとする。
【0228】
なお、このカム146の縁部には、該カム146が大径146Hであるか小径146Lであるかを検出するマイクロスイッチ152の検出部152Aが当接した状態で設けられており、当該検出に基づいて制御部8によりモータ143Mが制御される。
【0229】
他方、出口シャッタ142は、氷バッファ139の削氷出口139Bを完全閉塞可能とするものであり、連結軸149を介して連結板150に固定されている。そしてこの連結板150の端部には、前記挿通孔141Cと共に回動軸156を挿通するための挿通孔150Bが形成されており、この連結板150には、当該挿通孔150Bに近づく方向から遠ざかる方向に向けて延在する案内溝150Aが形成されている。この案内溝150Aには、回動軸151が回動自在且つ、案内溝150A内を移動自在に挿通されている。この回動軸151の上端は、排出促進部材141の下方に配設されるカム147に固定されている。
【0230】
このカム147は、本実施例では、円形に形成されており、排出促進部材141を挿通する回動軸148は、このカム147の一端(図55参照)に固定されている。そして、このカム147に固定された回動軸148と所定の角度を成す位置に、回動軸151が固定されている。そのため、回動軸148と、回動軸151とは、所定の角度を成した位置に設けられることとなり、回動軸148が挿通された排出促進部材141が氷バッファ139から後退した状態では、回動軸151が回動自在に取り付けられた連結板150に連結軸149を介して取り付けられた出口シャッタ142が、氷バッファ139円筒下側の投影面に進出した状態(即ち、削氷出口139Bを閉鎖した状態)となる。
【0231】
これにより、モータ143Mが駆動されると駆動軸145を中心にカム146が(図55の実線矢印の方向に)回動され、当該カム146に固定された回動軸148がカム146の回動によって移動する。これと共に、回動軸148の下端に固定されたカム147がカム146と同一の方向に回動され、回動軸151が移動する。
【0232】
そのため、カム146が回転駆動されると、回動軸148が挿通された排出促進部材141は、回動軸148の移動に伴い、氷バッファ139内に進入する方向に回動し、これと同時に、回動軸151が移動自在に取り付けられた連結板150は、連結軸149を介して取り付けられる出口シャッタ142を氷バッファ139の円筒下側の投影面から後退する方向に回動させる。
【0233】
その後、更に、連続してカム146が回転駆動されることにより、回動軸148が挿通された排出促進部材141は、回動軸148の移動に伴い、氷バッファ139内から後退する方向に回動し、これと同時に、回動軸151が移動自在に取り付けられた連結板150は、連結軸149を介して取り付けられる出口シャッタ142を、回動軸151の移動に伴い、氷バッファ139の円筒下側の投影面に向かって回動させる。
【0234】
これにより、モータ143Mによって、カム146が一回転する間に、排出促進部材141が氷バッファ139から後退した位置から氷バッファ139内に所定寸法だけ進出し、再度氷バッファ139から後退した位置に移動する。そして、出口シャッタ142は、氷バッファ139の削氷出口139Bを閉鎖した位置から氷バッファ139から後退した位置に回動し、再度氷バッファ139の削氷出口139Bを閉鎖した位置に移動する。従って、排出促進部材141と出口シャッタ142とは、位相を異として氷バッファ139側に進出・後退する。
【0235】
そのため、削氷が受容され削氷供給待機状態とされている氷バッファ139は、上記削氷供給工程において、制御部8によって、販売容器受台56が削氷供給位置Uに移動されると、制御部8は、氷シャッタ開閉モータ143Mを駆動する。これにより、モータ143Mの駆動によって、出口シャッタ142が氷バッファ139の円筒下側の投影面から後退し、排出促進部材141が氷バッファ139内に所定寸法だけ進出する。
【0236】
従って、出口シャッタ142が開放されると共に、排出促進部材141が氷バッファ139内の削氷を側面から押圧し、衝撃を与える。その後、継続してモータ143Mが駆動されることにより、出口シャッタ142が削氷出口139Bを閉鎖する方向に移動すると共に、排出促進部材141が氷バッファ139内から待避する。
【0237】
そのため、販売容器9への削氷供給時において、排出促進部材141によって、氷バッファ139の内面に付着した削氷に衝撃を与え、若しくは、排出促進部材141のフランジ141Bにより下方に押圧されることによって、氷バッファ139の内面全体に付着した削氷を氷バッファ139の内面から引きはがし、氷バッファ139内に供給された所定量の削氷を適切に販売容器9に供給させることが可能となる。
【0238】
これにより、販売容器9内に供給される削氷が氷バッファ139内面に付着したままとなることで、販売容器9内に供給される削氷が減少してしまい、若しくは、氷バッファ139内面に付着した削氷が次回に販売において供給されることで削氷が増加してしまい、均質の飲料が提供できなくなる不都合を回避することが可能となる。
【0239】
これにより、氷バッファ139内面に付着する削氷を効果的に排出しつつ、削氷供給に要する時間の短縮を図ることが可能となる。
【0240】
なお、排出促進部材141及びシャッタ142を駆動するシャッタ駆動部143は、削氷を販売容器9内に供給した後、削氷出口139Bを閉塞する出口シャッタ142を閉塞した状態としたことを、マイクロスイッチ152の検出部152Aが、カム146の小径146L位置から大径146Hに乗り上げたことを検出することで判断し、これに基づきモータ143Mを停止する。
【0241】
そのため、削氷供給終了後は、削氷出口139Bは、出口シャッタ142により閉鎖された状態とされるため、次回の飲料製造工程において、予め削氷を氷バッファ139内に貯めておくことが可能となり、削氷供給に要する時間を短縮することが可能となり、総じて飲料販売に必要とされる時間を短縮することが可能となる。
【0242】
また、上記実施例では、排出促進部材141は1枚であるが、これに限定されるものではなく、出口シャッタと位相の異なる動作で、駆動するものであれば、2枚以上であっても良いものとする。
【0243】
また、上記各実施例によれば、シャッタ駆動部を構成するモータは、駆動軸が各シャッタ等を貫通した構成とされていないため、格別に各シャッタ等に貫通用の穴を設けることなくこれらシャッタ等を氷バッファに対し、進出・後退させることができると共に、当該穴によって、これら移動が円滑に行われなくなる不都合を回避することが可能となる。なお、上記各実施例では、モータは、分割シャッタや排出促進部材の上方に設けられているが、これに限定されるものではなく、例えば、出口シャッタの下方に設けても同様の効果を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0244】
【図1】飲料製造装置の前面扉を取り外した状態の正面図である。
【図2】図1の飲料製造装置の外装パネルを取り外した状態の斜視図である。
【図3】図1の飲料製造装置を向かって右側からみた側面図である。
【図4】図1の飲料製造装置の平面図である。
【図5】図1の飲料製造装置のA−A断面図である。
【図6】図1の飲料製造装置のB−B断面図である。
【図7】キャニスタの概略断面図である。
【図8】キャニスタを取り外した状態の飲料原料供給部の概略斜視図である。
【図9】図8の縦断側面図である。
【図10】撹拌部の斜視図である。
【図11】販売容器内の受容物を撹拌している状態の撹拌部の斜視図である。
【図12】図11の縦断側面図である。
【図13】洗浄部と撹拌部を外方から見た図(開放状態・閉鎖状態)である。
【図14】図13のC−C断面図(開放状態・閉鎖状態)である。
【図15】図13を左から見た図(開放状態)である。
【図16】図15の縦断側面図である。
【図17】図13の閉鎖状態を左から見た図である。
【図18】図17の縦断側面図である。
【図19】シャッタが開放された状態の洗浄部とシャッタとの関係を示す図である。
【図20】図19を上方から見た断面図である。
【図21】図19を下方から見た断面図である。
【図22】図21のD−D断面図である。
【図23】シャッタが閉鎖された状態の洗浄部とシャッタとの関係を示す図である。
【図24】図23を上方から見た断面図である。
【図25】図23を下方から見た断面図である。
【図26】図25のE−E断面図である。
【図27】販売容器受台が飲料原料供給位置にある容器移動部の斜視図である。
【図28】販売容器受台が飲料原料供給位置にある容器移動部の正面図である。
【図29】図28の平面図である。
【図30】図28のF−F断面図である。
【図31】図28のG−G断面図である。
【図32】販売容器受台が撹拌位置の低位置にある容器移動部の斜視図である。
【図33】販売容器受台が撹拌位置の高位置にある容器移動部の斜視図である。
【図34】図33の縦断側面図である。
【図35】販売容器受台が削氷供給位置にある容器移動部の斜視図である。
【図36】制御部の制御回路を示す回路ブロック図である。
【図37】制御部による制御のタイミングチャートである。
【図38】他の実施例としての粉末溶解工程のタイミングチャートである。
【図39】削氷供給部を構成する氷バッファ周辺機器を含めた氷バッファの斜視図である。
【図40】シャッタ、シャッタ駆動部と氷バッファの斜視図(出口シャッタを閉鎖した状態)である。
【図41】図40の一部透視平面図である。
【図42】図40の側面図である。
【図43】シャッタ、シャッタ駆動部と氷バッファの斜視図(分割シャッタ101を閉鎖した状態)である。
【図44】図43の一部透視平面図である。
【図45】図43の側面図である。
【図46】削氷供給部を構成する氷バッファ周辺機器を含めた氷バッファの斜視図である。
【図47】図46の側面図である。
【図48】シャッタ、シャッタ駆動部と氷バッファの斜視図(出口シャッタを閉鎖した状態)である。
【図49】図48の一部透視平面図である。
【図50】シャッタ、シャッタ駆動部と氷バッファの斜視図(分割シャッタを閉鎖した状態)である。
【図51】図50の一部透視平面図である。
【図52】削氷供給部を構成する氷バッファ周辺機器を含めた氷バッファの斜視図である。
【図53】図52の側面図である。
【図54】出口シャッタ、シャッタ駆動部と氷バッファの斜視図(出口シャッタを閉鎖した状態)である。
【図55】図54の一部透視平面図である。
【図56】出口シャッタ、シャッタ駆動部と氷バッファの斜視図(排出促進部材を挿入した状態)である。
【図57】図56の一部透視平面図である。
【符号の説明】
【0245】
S 飲料原料供給位置(容器準備位置、飲料提供位置)
U 削氷供給位置
1 飲料製造装置
2 筐体部
3 飲料原料供給部
4 削氷供給部
5 撹拌部
6 容器移動部
7 洗浄部
8 制御部
9 販売容器
10 製氷部
11 湯タンク
13 キャニスタ(原料粉末供給部)
13M キャニスタモータ
14 原料シュート(原料粉末供給部)
14A 排出口
15 溶解用湯供給電磁弁
17 洗浄用湯供給電磁弁
19 溶解用湯供給ノズル(溶解用水供給部)
20 洗浄用湯供給ノズル(洗浄用水供給部)
24 粉排出機構
34 氷払出シャッタ
35 スライサ
36 氷バッファ
36A 削氷入口
36B 削氷出口
36C、119C、139C 挿入穴
40 駆動軸
40M モータ
41 カッター(撹拌部材)
42 蓋
42B 凸壁
43 筒部
43B 間隔規定部
47 希釈用水供給ノズル(水供給部)
48 洗浄用カバー
48A 排出口
49 カバー駆動部
50 コントロールパネル
55 トレイ部
56 販売容器受台
57 水平移動部
57M モータ
58 垂直移動部
58M モータ
63 シュート駆動部
63A ソレノイド
64 粉受け部材
67 ガード
70 アーム
71A、71B マイクロスイッチ(カバー駆動部)
73 回動軸
75 シャッタ(区画シャッタ)
77 販売容器出入口
84 伝達ギヤ部
84A 駆動ギヤ
85A、96 遮光板
86 スライダ
86S、86T、86U 水平位置センサ
93B、93C 垂直位置センサ
96 遮光板
101、121、142 分割シャッタ(他方のシャッタ)
101A、102A、121A、130A、141A、150A 案内溝
102、122 出口シャッタ(一方のシャッタ)
102A 案内溝
103、123、143 シャッタ駆動部
105、125、145 駆動軸
106、107、126、127、146 カム
108、109、128、148 回動軸
112、132、152 マイクロスイッチ
129、149 連結軸
130、150 連結板
141 排出促進部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
販売容器に飲料原料を供給する飲料原料供給部と、所定の粗さで氷を削ることにより形成される削氷を前記販売容器に所定量供給する削氷供給部と、前記販売容器の内部に受容されている受容物を混合する撹拌部と、前記飲料原料供給部、前記削氷供給部、及び、前記撹拌部を制御する制御部とを備え、前記販売容器に受容された飲料原料及び削氷を撹拌して飲料を製造する飲料製造装置において、
前記制御部は、前記削氷供給部を制御することにより、前記所定量の削氷を分割して前記販売容器に供給することを特徴とする飲料製造装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記販売容器に最初に供給する削氷量を、二回目に供給する削氷量よりも少なくすることを特徴とする請求項1に記載の飲料製造装置。
【請求項3】
前記削氷供給部は、削氷を前記販売容器に案内する氷バッファと、該氷バッファの出口及び当該氷バッファ内を区画する複数枚のシャッタと、各シャッタを駆動するシャッタ駆動部を備え、前記制御部は、前記シャッタ駆動部により前記各シャッタを位相の異なる動作で駆動制御することにより分割して削氷を前記販売容器に供給することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の飲料製造装置。
【請求項4】
販売容器に飲料原料を供給する飲料原料供給部と、所定の粗さで氷を削ることにより形成される削氷を前記販売容器に所定量供給する削氷供給部と、前記販売容器の内部に受容されている受容物を混合する撹拌部と、前記飲料原料供給部、前記削氷供給部、及び、前記撹拌部を制御する制御部とを備え、前記販売容器に受容された飲料原料及び削氷を撹拌して飲料を製造する飲料製造装置において、
前記削氷供給部は、削氷を前記販売容器に案内する氷バッファと、前記氷バッファ内面に付着した削氷を落下させる排出促進部材を備え、
前記制御部は、前記排出促進部材により前記氷バッファ内面に付着した削氷を前記販売容器に供給することを特徴とする飲料製造装置。
【請求項5】
前記削氷供給部は、前記氷バッファの出口を開閉するシャッタと、該シャッタと、前記排出促進部材を駆動する駆動部を備え、前記制御部は、前記駆動部により前記シャッタと前記排出促進部材とを位相の異なる動作で駆動制御することにより、前記シャッタを開放して前記氷バッファから削氷を前記販売容器に供給すると共に、前記排出促進部材を駆動させて前記氷バッファ内面に付着した削氷を前記販売容器に供給することを特徴とする請求項4に記載の飲料製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【公開番号】特開2008−187980(P2008−187980A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−28028(P2007−28028)
【出願日】平成19年2月7日(2007.2.7)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】