説明

駆動装置及び接合装置

【課題】内部雰囲気が真空且つ高温の処理容器内で被駆動体を適切に移動させる。
【解決手段】駆動装置115は、処理容器70を貫通するシリンダ120を有している。シリンダ120の外周面には、支持部114を支持する外側ハウジング130が設けられている。外側ハウジング130の内周面には外側マグネット131が取り付けられている。シリンダ120の内周面には内側ハウジング140が設けられている。内側ハウジング140の外周面には内側マグネット143が取り付けられている。外側マグネット131と内側マグネット143は、対向して配置され且つ異なる極性を有している。外側マグネット131とシリンダ120との間及び内側マグネット143とシリンダ120との間には、所定の隙間が形成されている。処理容器70の外部には、内側ハウジング140を移動させる駆動部180が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部雰囲気が真空且つ高温の処理容器内で被駆動体を移動させる駆動装置及び当該駆動装置を備えた接合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体デバイスの高集積化が進んでいる。高集積化した複数の半導体デバイスを水平面内で配置し、これら半導体デバイスを配線で接続して製品化する場合、配線長が増大し、それにより配線の抵抗が大きくなること、また配線遅延が大きくなることが懸念される。
【0003】
そこで、半導体デバイスを3次元に積層する3次元集積技術を用いることが提案されている。この3次元集積技術においては、例えば貼り合わせ装置を用いて、2枚の半導体ウェハ(以下、「ウェハ」という。)の貼り合わせが行われる。貼り合わせ装置は、例えば上面にウェハを載置する固定テーブルと、この固定テーブルに対向して配置され、下面にウェハを吸着保持して昇降可能な可動テーブルとを有している。固定テーブルと可動テーブル内には、それぞれヒータが内蔵されている。そしてこの貼り合わせ装置では、真空雰囲気下において、2枚のウェハを重ね合わせた後、ヒータによりウェハを加熱しながら、固定テーブルと可動テーブルにより荷重をかけてウェハを押圧し、2枚のウェハが貼り合わせられる(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−207436号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、2枚のウェハを接合する際、例えばウェハ表面に形成された金属の接合部同士を接合する場合がある。かかる場合、接合部を例えば200℃以上の高温の所定の温度で加熱しながら押圧する必要がある。すなわち、先ずウェハを所定の温度まで加熱する前熱処理工程と、その後ウェハの温度を所定の温度に維持した状態で当該ウェハを押圧する接合工程と、その後ウェハを冷却する後熱処理工程とを順次行う必要がある。
【0006】
しかしながら、この場合、特許文献1の貼り合わせ装置を用いると、ウェハの熱処理工程(すなわち前熱処理工程と後熱処理工程)に時間がかかり、2枚のウェハを接合するのに多大な時間を要する。
【0007】
そこで、発明者らは、ウェハ接合処理のスループットを向上させるため、熱処理工程と接合工程をそれぞれ異なる処理容器内において真空雰囲気下で行うことを検討した。かかる場合、処理容器間でウェハを移動させる駆動装置が必要となる。すなわち、真空且つ高温雰囲気下でウェハを移動させる駆動装置が必要となる。
【0008】
ここで、真空雰囲気中で使用される駆動装置として、従来より、回転軸を気密にした回転アーム式アクチュエータや直動アクチュエータ等が用いられている。特に直動アクチュエータは、回転アーム式アクチュエータに比して、高負荷に耐えられ、作動空間を小さくすることが可能で有用である。そして、この直動アクチュエータは、処理容器内に配置されて用いられる。
【0009】
しかしながら、直動アクチュエータに用いられるモータやボールネジは、発塵性が高く処理容器内に塵埃が発生するため、ウェハに塵埃が付着するおそれがある。また、これらモータやボールネジは耐熱性が低いため、高温雰囲気下で直動アクチュエータを用いることは困難であった。
【0010】
さらに、直動アクチュエータのモータやボールネジ等の部品が処理容器内に設けられているため、これら部品のメンテナンスを行うためには処理容器を開ける必要があり、メンテナンスに多大な手間がかかる。
【0011】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、内部雰囲気が真空且つ高温の処理容器内で被駆動体を適切に移動させる駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記の目的を達成するため、本発明は、内部雰囲気が真空且つ高温の処理容器内で被駆動体を移動させる駆動装置であって、前記処理容器の壁部を貫通し、当該処理容器の内部において被駆動体の移動方向に延伸するシリンダと、前記シリンダの外側に当該シリンダの外周面に沿って環状に設けられ、被駆動体を支持する外側ハウジングと、前記外側ハウジングに対向し、前記シリンダの内側に当該シリンダの内側面に沿って環状に設けられた内側ハウジングと、前記処理容器の外部に設けられ、前記内側ハウジングを前記シリンダの軸方向に移動させる駆動部と、を有し、前記外側ハウジングの内周面には外側マグネットが取り付けられ、前記内側ハウジングの外周面には内側マグネットが取り付けられ、前記外側マグネットと前記内側マグネットは、対向して配置され且つ異なる極性を有し、前記外側マグネットと前記シリンダとの間及び前記内側マグネットと前記シリンダとの間には、それぞれ所定の隙間が形成されていることを特徴としている。なお、ここでいう高温とは、200℃以上の温度をいう。また、所定の隙間とは、例えば外側マグネットの内周面とシリンダの外周面との間の最短距離、及び内側マグネットの外周面とシリンダの内周面との間の最短距離が、それぞれ例えば10μm〜200μmの隙間をいう。
【0013】
本発明によれば、外側マグネットと内側マグネットが対向して配置され且つ異なる極性を有しているので、外側マグネットと内側マグネットは磁力によって引き合い、外側マグネットは内側マグネットの移動に追従して移動する。すなわち、例えばモータを有する駆動部によって内側ハウジングが移動すると、これに伴って外側ハウジングも移動する。またこのとき、外側マグネットとシリンダとの間及び内側マグネットとシリンダとの間にはそれぞれ所定の隙間が形成されるので、外側ハウジング及び内側ハウジングが円滑に移動できると共に発塵を抑制できる。さらに、発塵性の高い駆動部が処理容器の外部に設けられているので、処理容器内の発塵をさらに抑制できる。したがって、処理容器内の雰囲気の清浄度を向上させることができ、被駆動体に塵埃が付着するのを抑制することができる。また、耐熱性の低い駆動部が処理容器の外部に設けられているので、高温雰囲気下でも本発明の駆動装置を高寿命で使用できる。しかも、処理容器を開けることなく駆動部のメンテナンスを行うことができ、メンテナンスの手間を大幅に低減できる。以上のように、本発明の駆動装置によれば、内部雰囲気が真空且つ高温の処理容器内で被駆動体を適切に移動させることができる。
【0014】
前記シリンダ内には、当該シリンダの軸方向に延伸し、前記内側ハウジングの内側を挿通するガイドシリンダが設けられ、前記ガイドシリンダの外周面には、雄ネジ部が形成され、前記内側ハウジングの内周面には、前記雄ネジ部に螺合する雌ネジ部が形成され、前記駆動部は、前記ガイドシリンダを当該ガイドシリンダの中心軸を中心に回転駆動させて、前記内側ハウジングを前記中心軸方向に移動させるようにしてもよい。
【0015】
前記ガイドシリンダの内部には、冷却媒体が流通する冷媒流路が形成されていてもよい。
【0016】
前記シリンダの内側面には、当該シリンダの軸方向に延伸する回止溝が形成され、前記内側ハウジングの両端部には、前記回止溝と摺動自在の回止突起部が設けられていてもよい。なお、内側ハウジングの両端部とは、シリンダの軸方向の両端部をいう。
【0017】
前記駆動部は、前記シリンダの両端部に設けられた一対のプーリを有し、前記シリンダ内には、前記内側ハウジングの内側を挿通し、前記一対のプーリに巻回された駆動ベルトが設けられ、前記駆動ベルトには、前記内側ハウジングが取り付けられていてもよい。なお、シリンダの両端部とは、シリンダの軸方向の両端部をいう。
【0018】
前記シリンダ内には、当該シリンダの軸方向に延伸し、前記内側ハウジングの内部を挿通するガイドシリンダが設けられ、前記内側ハウジングと前記ガイドシリンダとの間には、ベアリングが配置されていてもよい。
【0019】
前記ガイドシリンダの内部には、冷却媒体が流通する冷媒流路が形成されていてもよい。
【0020】
前記シリンダ内には、当該シリンダの軸方向に延伸し、前記内側ハウジングの内側を挿通するガイドシリンダが設けられ、前記駆動部は、前記シリンダの端部から気体を供給し、前記内側ハウジングを移動させ、前記内側ハウジングの両端部には、前記シリンダと前記ガイドシリンダとの間をシールするシール材がそれぞれ設けられていてもよい。なお、内側ハウジングの両端部とは、シリンダの軸方向の両端部をいう。
【0021】
前記駆動部から供給される気体は、所定の温度に冷却されていてもよい。
【0022】
前記ガイドシリンダの内部には、冷却媒体が流通する冷媒流路が形成されていてもよい。
【0023】
前記処理容器内には、前記シリンダに沿って延伸するレールが設けられ、前記外側ハウジングは、ベアリングを介して前記レール上を移動自在に構成され、前記処理容器の外側には、前記レールに沿って延伸し当該レールを冷却する冷却板が設けられていてもよい。
【0024】
別な観点による本発明は、前記駆動装置を備え、基板同士を接合する接合装置であって、基板を熱処理する熱処理板と、熱処理板上の基板を熱処理板側に押圧する加圧機構と、内部の雰囲気を所定の真空度まで減圧する減圧機構とを備えた接合ユニットと、基板を熱処理する熱処理板と、内部の雰囲気を所定の真空度まで減圧する減圧機構とを備えた熱処理ユニットと、を有し、前記接合ユニットと前記熱処理ユニットは気密に接続され、前記駆動装置は、前記接合ユニットと前記熱処理ユニットとの間で基板を搬送する搬送部を移動させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、内部雰囲気が真空且つ高温の処理容器内で被駆動体を適切に移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本実施の形態にかかる接合装置の構成の概略を示す横断面図である。
【図2】本実施の形態にかかる接合装置の構成の概略を示す縦断面図である。
【図3】保持アームの保持部が第1の熱処理板に収容され、ウェハが第1の熱処理板に載置される様子を示す説明図である。
【図4】駆動装置の構成の概略を示す縦断面図である。
【図5】駆動装置の構成の概略を示す縦断面図である。
【図6】第2の熱処理板にウェハが吸着保持される様子を示す説明図である。
【図7】第1の搬送アームから保持アームにウェハが受け渡される様子を示す説明図である。
【図8】保持アームから第1の熱処理板にウェハが載置される様子を示す説明図である。
【図9】第1の熱処理板上のウェハが押圧され接合される様子を示す説明図である。
【図10】保持アームから第2の搬送アームにウェハが受け渡される様子を示す説明図である。
【図11】第2の搬送アームから第3の熱処理板にウェハが載置される様子を示す説明図である。
【図12】他の実施の形態にかかる駆動装置の構成の概略を示す縦断面図である。
【図13】他の実施の形態にかかる駆動装置の外側ハウジング内の構成の概略を示す縦断面図である。
【図14】他の実施の形態にかかる駆動装置の構成の概略を示す横断面図である。
【図15】他の実施の形態にかかる駆動装置の構成の概略を示す縦断面図である。
【図16】他の実施の形態にかかる駆動装置の構成の概略を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態にかかる駆動装置が配置された接合装置1の構成の概略を示す横断面図である。図2は、接合装置1の構成の概略を示す縦断面図である。なお、本実施の形態の接合装置1では、2枚のウェハを重ね合わせた基板としてのウェハ(以下、単に「ウェハ」という。)を接合する。また、本実施の形態の接合装置1に搬送されるウェハは、表面洗浄処理が行われた後、例えば接着剤により仮接合されている。
【0028】
接合装置1は、図1及び図2に示すように接合ユニット10と熱処理ユニット11とを有している。接合ユニット10と熱処理ユニット11は、ゲートバルブ12を介して、水平方向のY方向(図1及び図2中の左右方向)に並べて一体且つ気密に接続されている。
【0029】
接合ユニット10は、内部を密閉することができる処理容器20を有している。処理容器20は、容器本体21と天板22がシールドベローズ23によって接続された構成を有している。シールドベローズ23は鉛直方向に伸縮自在に構成され、このシールドベローズ23によって天板22は鉛直方向に移動自在になっている。
【0030】
容器本体21の熱処理ユニット11側の側面にはウェハWの搬入出口24が形成され、当該搬入出口24には上述したゲートバルブ12が設けられている。
【0031】
容器本体21の側面には吸気口25が形成されている。吸気口25には、処理容器20の内部の雰囲気を所定の真空度まで減圧する真空ポンプ26に連通する吸気管27が接続されている。なお、本実施の形態においては、吸気口25、真空ポンプ26、吸気管27で減圧機構を構成している。
【0032】
処理容器20の内部であって天板22には、後述する第1の熱処理板50上のウェハWを第1の熱処理板50側に押圧する加圧機構30が設けられている。加圧機構30は、ウェハWに当接して押圧する押圧部材31と、天板22に環状に取り付けられた支持部材32と、押圧部材31と支持部材32を接続し、鉛直方向に伸縮自在の加圧ベローズ33とを有している。押圧部材31の内部には、例えば給電により発熱するヒータ(図示せず)が内蔵されている。そして、加圧機構30の内部、すなわち押圧部材31、加圧ベローズ33、支持部材32及び天板22で囲まれた内部空間に例えば圧縮空気を給気又は吸気することで、加圧ベローズ33が伸縮し押圧部材31が鉛直方向に移動自在になっている。なお、加圧機構30の内部には圧縮空気が封入されるため、この圧縮空気による内圧に耐えるように、加圧機構30の加圧ベローズ33の剛性は、処理容器20のシールドベローズ23の剛性より大きくなっている。
【0033】
また、処理容器20の内部であって天板22には、後述する第1の搬送アーム100又は第2の搬送アーム101と第1の熱処理板50との間でウェハWを受け渡すための保持アーム40が設けられている。したがって、保持アーム40は、天板22の移動に伴って鉛直方向に移動自在になっている。保持アーム40は、例えばウェハWの同一円周上に等間隔に4本設けられ、当該ウェハWの外周部を4箇所で保持するようになっている。保持アーム40は、図3に示すように天板22から鉛直方向下方に延伸し、その下端部が屈曲して水平方向内側に延伸した支持部41と、支持部41に支持され、ウェハWを保持する保持部42とを有している。保持部42は、水平方向内側に突出し、ウェハWの外周部下面を保持する突出部材43と、当該突出部材43から鉛直方向上方に延伸し、ウェハWの外周部側面をガイドするガイド部材44とを有している。また、ガイド部材44上端の内側面は、下側から上側に向かってテーパ状に拡大している。
【0034】
図2に示すように処理容器20の内部であって加圧機構30の下方には、当該加圧機構30に対向する位置に、ウェハWを載置して熱処理する第1の熱処理板50が設けられている。第1の熱処理板50には、例えば給電により発熱するヒータ(図示せず)が内蔵されている。第1の熱処理板50の加熱温度は、例えば後述する制御部200により制御される。また、第1の熱処理板50の外周部には、図3に示すように保持アーム40から第1の熱処理板50にウェハWを受け渡した状態で、当該保持アーム40の保持部42を収容するための切欠き溝51が形成されている。切欠き溝51は、図1に示すように第1の熱処理板50の外周部に例えば4箇所に形成されている。
【0035】
図2に示すように第1の熱処理板50の下面側には、ウェハWを冷却する冷却板60が設けられている。冷却板60には、例えばペルチェ素子や水冷ジャケットなどの冷却部材(図示せず)が内蔵されている。冷却板60の冷却温度は、例えば後述する制御部200により制御される。
【0036】
熱処理ユニット11は、図1及び図2に示すように内部を密閉することができる処理容器70を有している。処理容器70の側面にはウェハWの搬入出口71が形成され、当該搬入出口71にはゲートバルブ72が設けられている。また、処理容器70の接合ユニット10側の側面にはウェハWの搬入出口73が形成され、当該搬入出口73には上述したゲートバルブ12が設けられている。
【0037】
処理容器70の底面には吸気口74が形成されている。吸気口74には、処理容器70の内部の雰囲気を所定の真空度まで減圧する真空ポンプ75に連通する吸気管76が接続されている。なお、本実施の形態においては、吸気口74、真空ポンプ75、吸気管76で減圧機構を構成している。
【0038】
処理容器70の内部であって天井面には、ウェハWを熱処理する第2の熱処理板80が設けられている。第2の熱処理板80には、例えば給電により発熱するヒータ(図示せず)が内蔵されている。第2の熱処理板80の加熱温度は、例えば後述する制御部200により制御される。また、第2の熱処理板80の下面には、ウェハWを吸引して吸着保持するための吸引口81が複数形成されている。
【0039】
処理容器70の内部であって底面には、第2の熱処理板80に対向する位置にウェハWを熱処理する第3の熱処理板90が設けられている。第3の熱処理板90には、例えば給電により発熱するヒータ(図示せず)が内蔵されている。第3の熱処理板90の加熱温度は、例えば後述する制御部200により制御される。また、第3の熱処理板90には、後述する第2の搬送アーム101から第3の熱処理板90にウェハWを受け渡した状態で、当該第2の搬送アーム101のアーム部113を収容するための切欠き溝91が形成されている。切欠き溝91は、Y方向(図1及び図2の左右方向)に延伸し、例えば2箇所に形成されている。
【0040】
第3の熱処理板90の下面側には、ウェハWを冷却する冷却板92が設けられている。冷却板92には、例えばペルチェ素子や水冷ジャケットなどの冷却部材(図示せず)が内蔵されている。冷却板92の冷却温度は、例えば後述する制御部200により制御される。
【0041】
第2の熱処理板80と第3の熱処理板90との間には、被駆動体且つ搬送部としての例えば2本の搬送アーム100、101が鉛直方向に配置されている。以下、上側に配置される搬送アームを「第1の搬送アーム100」といい、下側に配置される搬送アームを「第2の搬送アーム101」という場合がある。なお、搬送アームの数は2本に限定されず、例えば1本であってもよい
【0042】
第1の搬送アーム100は、ウェハWの裏面を保持し、Y方向に延伸する2本のアーム部110、110と、当該アーム部110、110を支持する支持部111とを有している。アーム部110は、ウェハWの裏面に配置され当該ウェハWを保持する。支持部111は、鉛直方向に移動自在に構成されている。また、支持部111には、Y方向に沿って移動自在の駆動装置112が設けられている。この駆動装置112により、第1の搬送アーム100は、熱処理ユニット11と接合ユニット10との間を水平方向に移動自在になっている。なお、アーム部110は、ウェハWの裏面を吸着保持する例えば静電チャックや、ウェハWの外周を保持可能な爪部を有していてもよい。
【0043】
第2の搬送アーム101も、第1の搬送アーム100と同様の構成を有している。すなわち、第2の搬送アーム101は、ウェハWの裏面を保持し、Y方向に延伸する2本のアーム部113、113と、当該アーム部113、113を支持する支持部114とを有している。アーム部113は、ウェハWの裏面に配置され当該ウェハWを保持する。支持部114は、鉛直方向に移動自在に構成されている。また、支持部114には、Y方向に沿って移動自在の駆動装置115が設けられている。この駆動装置115により、第2の搬送アーム101は、熱処理ユニット11と接合ユニット10との間を水平方向に移動自在になっている。なお、アーム部113も、ウェハWの裏面を吸着保持する例えば静電チャックや、ウェハWの外周を保持可能な爪部を有していてもよい。
【0044】
次に、上述した駆動装置112、115の構成について説明する。
【0045】
駆動装置115は、図4及び図5に示すように円筒形状の中空のシリンダ120を有している。シリンダ120は、処理容器70の壁部70aを貫通し、当該処理容器70の内部において第2の搬送アーム101の移動方向(図4のY方向)に延伸している。シリンダ120が壁部70aを貫通する部分には、当該シリンダ120の外周面と壁部70aとの間に、シール材、例えば樹脂製のOリング121が設けられている。このOリング121によって、処理容器70内の気密性が確保される。シリンダ120の内側面には、後述する内側ハウジング140の回止突起部141が挿入される回止溝122が形成されている。回止溝122は、シリンダ120の軸方向(図4のY方向)に延伸している。
【0046】
処理容器70内であってシリンダ120の外側には、当該シリンダ120の外周面に沿った環状の外側ハウジング130が設けられている。外側ハウジング130は、第2の搬送アーム101の支持部114を支持している。外側ハウジング130の内周面には、その全周に亘って外側マグネット131が取り付けられている。
【0047】
処理容器70内であってシリンダ120の内側には、当該シリンダ120の内周面に沿った環状の内側シリンダ140が設けられている。内側ハウジング140は、外側ハウジング130に対向して設けられている。内側ハウジング140には、そのシリンダ120の軸方向(図4のY方向)の両端部において、シリンダ120の回止溝122に挿入された回止突起部141が2箇所に設けられている。回止突起部141は、内側ハウジング140の移動に伴い、回止溝122と摺動自在に構成されている。また、回止突起部141は、低摺動製が必要な場合は、自己潤滑型の材料、例えば二硫化モリブデン若しくはグラファイト、又はこれらの混合材料等が用いてもよく、あるいはローラベアリング構造を有していてもよい。この回止突起部141と回止溝122により、内側ハウジング140の回動が防止される。内側ハウジング140の内周面には、後述するガイドシリンダ150の雄ネジ部152に螺合する雌ネジ部142が形成されている。雌ネジ部142は、例えば側面視において台形の雌ネジを複数有している。また、内側ハウジング140の外周面には、その全周に亘って内側マグネット143が取り付けられている。
【0048】
外側マグネット131と内側マグネット143は、異なる極性を有している。したがって、外側マグネット131と内側マグネット143は、磁力で互いに引き合い、対向するように配置されている。また、外側マグネット131とシリンダ120との間には所定の隙間Dが形成され、内側マグネット143とシリンダ120との間には所定の隙間Dが形成されている。隙間Dは、外側マグネット131の内周面とシリンダ120の外周面との間の最短距離が例えば10μm〜200μmの微小な隙間である。同様に隙間Dも、内側マグネット143の外周面とシリンダ120の内周面との間の最短距離が例えば10μm〜200μmの微小な隙間である。
【0049】
シリンダ120内には、円筒形状の中空のガイドシリンダ150が設けられている。ガイドシリンダ150は、シリンダ120の軸方向(図4のY方向)に延伸し、当該シリンダ120の内部及び内側ハウジング140の内側を挿通している。また、ガイドシリンダ150は、当該ガイドシリンダ150とシリンダ120との間に設けられたベアリング151を介して回転自在に構成されている。ベアリング151は、シリンダ120の両端部に設けられている。ガイドシリンダ150の外周面には、雄ネジ部152が形成されている。雄ネジ部152は、例えば側面視において台形の雌ネジを複数有している。かかる構成のガイドシリンダ150は、後述する駆動部180によって、当該ガイドシリンダ150の中心軸を中心に回転駆動される。そうすると、内側ハウジング140及び内側マグネット143がガイドシリンダ150の中心軸方向(図4のY方向)に移動する。
【0050】
ガイドシリンダ150の内部には、冷却媒体が流通する冷媒流路153が形成されている。冷媒流路153の両端部には、冷却媒体を供給する供給ハウジング160と冷却媒体を排出する排出ハウジング161が設けられている。すなわち、供給ハウジング160と排出ハウジング161は、ガイドシリンダ150の両端部であって、シリンダ120の外側に設けられている。供給ハウジング160には、冷却媒体を供給する供給管162が接続されている。また、排出ハウジング161には、冷却媒体を排出する排出管163が接続されている。供給ハウジング160とガイドシリンダ150の外周面との間及び排出ハウジング161との間には、それぞれシール材、例えば樹脂製のOリング164が設けられている。このOリング164によって、ガイドシリンダ150内の冷却媒体の気密性が確保され、またガイドシリンダ150が回転自在になっている。なお、冷却媒体には、例えば冷却された空気や冷却水等が用いられる。
【0051】
処理容器70内の底面70bには、シリンダ120の軸方向(図4のY方向)に沿って延伸するレール170が設けられている。レール170上にはベアリング171が配置され、ベアリング171は外側ハウジング130に取り付けられている。このレール170とベアリング171により、外側ハウジング130はレール170に沿って移動自在に構成されると共に、当該外側ハウジング130の回動が防止され、また隙間Dが一定に保持される。処理容器70の底面70bの外側には、レール170に沿って延伸する冷却板172が設けられている。冷却板172には、例えばペルチェ素子や水冷ジャケットなどの冷却部材(図示せず)が内蔵され、レール170を冷却することができる。
【0052】
処理容器70の外部には、ガイドシリンダ150を回転させる駆動部180が設けられている。駆動部180は、一対のプーリ181、182と、一対のプーリ181、182に巻回されたベルト183と、駆動プーリ181を駆動させるモータ184とを有している。従動プーリ182は、ガイドシリンダ150の外周面に取り付けられている。かかる構成により、駆動部180はガイドシリンダ150を当該150の中心軸を中心に回転駆動させることができる。
【0053】
なお、駆動装置112の構成は、上述した駆動装置115の構成と同様であるので説明を省略する。但し、駆動装置112は、駆動装置115を鉛直方向に反転させた構成を有しており、処理容器70の天井面に設けられる。
【0054】
以上の接合装置1及び駆動装置112、115には、図1に示すように制御部200が設けられている。制御部200は、例えばコンピュータであり、プログラム格納部(図示せず)を有している。プログラム格納部には、駆動装置112、115の駆動を制御するプログラムが格納されている。これに加えて、プログラム格納部には、接合装置1におけるウェハWの接合処理を制御するプログラムが格納されている。なお、前記プログラムは、例えばコンピュータ読み取り可能なハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルデスク(MO)、メモリーカードなどのコンピュータに読み取り可能な記憶媒体Hに記録されていたものであって、その記憶媒体Hから制御部200にインストールされたものであってもよい。
【0055】
次に、以上のように構成された接合装置1を用いて行われるウェハWの接合方法について、駆動装置112、115の駆動方法と共に説明する。
【0056】
接合装置1では、先ず、熱処理ユニット11のゲートバルブ72を開き、ウェハWが第2の熱処理板80の下方に搬入される。続いて、図6に示すようにウェハWが第1の搬送アーム100に受け渡された後、第1の搬送アーム100を上昇させ、ウェハWを第2の熱処理板80の下面に当接させる。そして、第2の熱処理板80の吸引口81からウェハWを吸引し、第2の熱処理板80の下面でウェハWを吸着保持する。その後、ゲートバルブ72を閉じ、真空ポンプ75によって処理容器20の内部の雰囲気が減圧される。その後、第2の熱処理板80によってウェハWが例えば350℃まで加熱される。なお、処理容器70の内部が接合ユニット10内の圧力にまで減圧されると、吸引口81からのウェハWの吸引を停止する。このとき、ウェハWは第1の搬送アーム100により第2の熱処理板80の下面に当接維持される。
【0057】
ウェハWが第1の温度まで加熱されると、ゲートバルブ12を開く。続いて、第1の搬送アーム100を下降させた後、図7に示すように駆動装置112によって第1の搬送アーム100を接合ユニット10に移動させ、ウェハWが第1の熱処理板50の上方に搬送される。このとき、接合ユニット10では、保持アーム40が第1の搬送アーム100の下方に待機している。
【0058】
上述の第1の搬送アーム100の移動は、駆動装置112内の駆動部180のモータ184を駆動させることによって行われる。モータ184の駆動は、駆動プーリ182、ベルト183、従動プーリ181を介してガイドシリンダ150に伝達される。これにより、ガイドシリンダ150が回転する。ガイドシリンダ150が回転すると、当該ガイドシリンダ150の雄ネジ部152と内側ハウジング140の雌ネジ部142が螺合していることにより、内側ハウジング140がガイドシリンダ150の中心軸方向、すなわち接合ユニット10側に移動する。このとき、回止突起部141は回止溝122に沿って摺動し、内側ハウジング140の回動が防止される。そして、内側ハウジング140の内側マグネット143の移動に伴い、外側マグネット131が追従して移動する。すなわち、外側ハウジング130が接合ユニット10側に移動する。このとき、外側ハウジング130がレール170上を移動し、外側ハウジング130の回動が防止される。こうして、駆動装置112によって第1の搬送アーム100が接合ユニット10に移動される。
【0059】
なお、第1の搬送アーム100の位置制御は、制御部200によって制御される。具体的には、内側ハウジング140の雌ネジ部142に取り付けられたエンコーダ(図示せず)からのエンコーダ信号と、内側ハウジング140の原点位置に配置した原点センサ(図示せず)からの原点位置を示す信号とが制御部200に出力され、当該制御部200で第1の搬送アーム100の位置制御が行われる。かかる場合、例えば100μm程度の精度の位置制御ができる。あるいは、例えば10μm以下の精度で第1の搬送アーム100の位置制御を行う場合、外側ハウジング130のストローク端部位置にメカニカルストッパ(図示せず)を配置してもよい。ここで、本実施の形態の駆動装置112は外側マグネット131と内側マグネット143との引き合う磁力によって第1の搬送アーム100を駆動させる構造のため、外側マグネット131が接合ユニット10側に僅かなオーバーランを生じするおそれがある。かかる場合でも、以上のように第1の搬送アーム100の位置制御を行うと、駆動装置112への衝撃や過大負荷が生じることを抑制できる。
【0060】
また、このように第1の搬送アーム100を移動させる際、駆動装置112ででは、ガイドシリンダ150内の冷媒流路153に冷却媒体を流通させる。これによって、熱処理ユニット11の処理容器70内が例えば350℃の高温になっても、ガイドシリンダ150、内側ハウジング140、内側マグネット143、外側ハウジング130、外側マグネット131、シリンダ120を冷却することができる。また、第1の搬送アーム100の移動の際、冷却板172によってレール170とベアリング171が冷却される。
【0061】
その後、図7に示すように保持アーム40を上昇させ、第1の搬送アーム100から保持アーム40の保持部42にウェハWが受け渡される。このとき、保持部42のガイド部材44上端の内側面が下側から上側に向かってテーパ状に拡大しているため、例えば第1の搬送アーム100上のウェハWがガイド部材44の内側面からずれて配置されていても、ウェハWはガイド部材44に円滑に保持される。その後、駆動装置112によって第1の搬送アーム100を熱処理ユニット11に移動させ、ゲートバルブ12を閉じる。この駆動装置112による第1の搬送アーム100の熱処理ユニット11への移動は、上述した第1の搬送アーム100の接合ユニット10への移動と同様であるが、駆動装置112のガイドハウジング150を反対方向に回転させる。これによって、内側ハウジング140及び外側ハウジング130が熱処理ユニット11側に移動する。なお、第1の搬送アーム100から保持アーム40へのウェハWの受け渡しは、第1の搬送アーム100を下降させて行ってもよい。
【0062】
その後、図8に示すように保持アーム40を下降させて、ウェハWを第1の熱処理板50に載置する。このとき、保持アーム40の保持部42は、第1の熱処理板50の切欠き溝51に収容される。
【0063】
その後、第1の熱処理板50によってウェハWが例えば430℃まで加熱される。なお、処理容器20の内部の雰囲気は、所定の真空度、例えば0.1Paの真空度に維持されている。
【0064】
その後、ウェハWの温度を例えば430℃に維持しながら、図9に示すように加圧機構30に圧縮空気を供給し、押圧部材31を下降させる。そして、押圧部材31をウェハWに当接させ、当該ウェハWを所定の荷重、例えば50kNで第1の熱処理板50側に押圧する。そして、ウェハWが所定の時間、例えば10分間押圧され、ウェハWが接合される。なお、ウェハWの温度は、例えば押圧部材31内のヒータや冷却板60を用いて維持してもよい。
【0065】
その後、第1の熱処理板50によってウェハWが例えば350℃まで冷却される。なお、ウェハWの冷却は、例えば押圧部材31内のヒータや冷却板60を用いてもよい。
【0066】
ウェハWが例えば350℃まで冷却されると、保持アーム40を上昇させ、第1の熱処理板50から保持アーム40にウェハWが受け渡される。続いて、ゲートバルブ74を開く。そして、図10に示すように駆動装置115によって第2の搬送アーム101を保持アーム40の下方であって第1の熱処理板50の上方に移動させる。このときの第2の搬送アーム101の駆動は、上述した駆動装置112による第1の搬送アーム100の駆動と同様であるので説明を省略する。
【0067】
その後、図10に示すように保持アーム40を下降させ、保持アーム40から第2の搬送アーム101にウェハWが受け渡される。その後、第2の搬送アーム101を熱処理ユニット11に移動させ、ゲートバルブ12を閉じる。このときの第2の搬送アーム101の駆動も、上述した搬送アーム112による第1の搬送アーム100の駆動と同様であるので説明を省略する。なお、保持アーム40から第2の搬送アーム101へのウェハWの受け渡しは、第2の搬送アーム101を上昇させて行ってもよい。
【0068】
その後、図11に示すように第2の搬送アーム101を下降させて、ウェハWを第3の熱処理板90上に載置する。このとき、第2の搬送アーム101のアーム部113は、第3の熱処理板90の切欠き溝91に収容される。そして、第3の熱処理板90によってウェハWが例えば200℃まで冷却される。このとき、冷却板92によってウェハWを冷却してもよい。
【0069】
その後、第2の搬送アーム101を上昇させ、第3の熱処理板90から第2の搬送アーム101にウェハWが受け渡される。また、熱処理ユニット11内の圧力を大気圧に開放した後に、続いてゲートバルブ72を開き、接合装置1からウェハWが搬出される。こうして、一連のウェハWの接合処理が終了する。
【0070】
以上の実施の形態によれば、外側マグネット131と内側マグネット143が対向して配置され且つ異なる極性を有しているので、外側マグネット131は内側マグネット143の移動に追従して移動する。すなわち、モータ184を有する駆動部180によって内側ハウジング140が移動すると、これに伴って外側ハウジング130も移動する。このとき、外側マグネット131とシリンダ120との間には所定の隙間Dが形成され、内側マグネット143とシリンダ120との間には所定の隙間Dが形成されるので、外側ハウジング130及び内側ハウジング140が円滑に移動できると共に発塵を抑制できる。特に隙間Dによって外側マグネット131とシリンダ121との間に、当該外側マグネット131の円滑移動のためのグリスを設ける必要がないので、発塵を抑制できる。さらに、発塵性の高いモータ184が処理容器70の外部に設けられているので、処理容器70内の発塵をさらに抑制できる。したがって、処理容器70内の雰囲気の清浄度を向上させることができ、ウェハWや搬送アーム100、101に塵埃が付着するのを抑制することができる。
【0071】
また、耐熱性の低い駆動部180のモータ184が処理容器70の外部に設けられているので、処理容器70内が高温になっても、駆動部180を高寿命で使用できる。また、ガイドシリンダ150内の冷媒流路153に冷却媒体を流通させるので、ガイドシリンダ150、内側ハウジング140、内側マグネット143、外側ハウジング130、外側マグネット131、シリンダ120を冷却することができ、これらを高寿命で使用できる。さらに、冷却板170によって、レール170とベアリング171を冷却することができ、これらを高寿命で使用できる。以上より、例えば200℃以上の高温雰囲気下でも本発明の駆動装置112、115を高寿命で使用できる。
【0072】
また、処理容器70内には、駆動装置112、115として、シリンダ120と外側ハウジング130のみが存在する。このため、従来のようにモータ等の駆動部を処理容器内に配置する場合に比して、処理容器70内の容積を小さくできるため、当該処理容器70内を所定の真空度に真空引きする時間を短時間にできる。これによって、ウェハWの処理の接合処理のスループットが向上する。
【0073】
しかも、冷却媒体は処理容器70内に露出しないガイドシリンダ150内を流れるため、冷却媒体の漏れなどによる処理容器70内の雰囲気の真空度が低下することがない。
【0074】
また、駆動部180が処理容器70の外部に設けられて入るため、処理容器70を開けることなく、駆動部180のプーリ181、182、ベルト183、モータ184のメンテナンスを行うことができる。したがって、メンテナンスの手間を大幅に低減できる。
【0075】
なお、接合装置1では、接合ユニット10において一のウェハWに接合処理が行われている間、熱処理ユニット11において他のウェハWに第2の熱処理板80による熱処理又は第3の熱処理板90による後熱処理が行われる。こうして一の接合装置1において、2つのウェハWに対する処理が並行して行われる。このように本実施の形態によれば、2つのウェハWに対して同時に効率よく処理を行うことができるので、ウェハ接合処理のスループットを向上させることができる。
【0076】
以上の実施の形態では、内側ハウジング140の雌ネジ部142とガイドシリンダ150の雄ネジ部152は、側面視において台形のネジを有していたが、ネジの形状はこれに限定されず種々の形状を取り得ることができる。例えば搬送アーム100、101の移動に高い精度が要求される場合、例えばボールネジを用いることができる。
【0077】
以上の実施の形態では、冷却板172によってレール170とベアリング171を冷却していたが、冷却板172に代えて、レール170とベアリング171を離隔する遮熱板(図示せず)を設けてもよい。
【0078】
以上の実施の形態では、駆動装置112は第1の搬送アーム100の一端部を支持していたが、同様の駆動装置112を処理容器70内に2基設け、これら駆動装置112、112が第1の搬送アーム100の両端部を支持するようにしてもよい。同様に駆動装置115についても処理容器70内に2基設け、これら駆動装置115、115が第2の搬送アーム101の両端部を支持するようにしてもよい。かかる場合、被駆動体の質量が大きい場合でも、当該被駆動体を適切に搬送することができる。
【0079】
以上の実施の形態の駆動装置112は水平方向に第1の搬送アーム100を移動させていたが、当該第1の搬送アーム100を鉛直方向に移動させてもよい。すなわち、駆動装置112は、鉛直方向に移動自在の支持部111にも適用することができる。同様に駆動装置115は、第2の搬送アーム101の支持部114にも適用することができる。
【0080】
以上の実施の形態の接合装置1では、第2の熱処理板80と第3の熱処理板90が同一の熱処理ユニット11に設けられていたが、これら第2の熱処理板80と第3の熱処理板90が異なる熱処理ユニットに設けられていてもよい。かかる場合、2つの熱処理ユニットはそれぞれ接合ユニット10に気密に接続される。また、駆動装置115が2つの熱処理ユニットにそれぞれ設けられる。そして、第2の熱処理板80と第3の熱処理板90自体が、駆動装置115によってそれぞれ熱処理ユニットと接合ユニット10との間を移動することができる。かかる場合でも、上記実施の形態と同様の効果を享受できる。
【0081】
以上の実施の形態の駆動装置112、115の駆動部180は、上記実施の形態の構成に限定されず、種々の構成を取り得ることができる。以下では、駆動装置115の他の実施の形態について説明するが、駆動装置112の構成も下記の駆動装置115と同様の構成としてもよい。
【0082】
例えば図12及び図13に示すように、駆動装置115の駆動部300は、シリンダ120の両端部に設けられた一対のプーリ301、302を有していてもよい。一対のプーリ301、302は、例えばモータ(図示せず)が設けられた駆動プーリ301と従動プーリ302とを構成している。一対のプーリ301、302には、駆動ベルト303が巻回されている。駆動ベルト303は、シリンダ120の内部を当該シリンダ120の軸方向(図12のY方向)に延伸し、内側ハウジング140の内側を挿通している。駆動ベルト303には、当該駆動ベルト303に内側ハウジング140を取り付けるための固定部材304が設けられている。固定部材304は、駆動ベルト303の上面と内側ハウジング140の内周面が当接するように、駆動ベルト303と内側ハウジング140を固定している。このため、上記実施の形態の内側ハウジング140の雌ネジ部142を省略できる。
【0083】
シリンダ120内には、図13及び図14に示すように円筒形状の中空のガイドシリンダ310が例えば2本設けられている。ガイドシリンダ310は、シリンダ120の軸方向に延伸し、当該シリンダ120の内部及び内側ハウジング140の内部を挿通している。ガイドシリンダ310と内側ハウジング140との間には、ベアリング311が設けられている。
【0084】
ガイドシリンダ310の内部には、冷却媒体が流通する冷媒流路312が形成されている。冷媒流路312の両端部には、上記実施の形態の供給ハウジング161と排出ハウジング162と同様の構成のハウジング(図示せず)がそれぞれ設けられている。このガイドシリンダ310は、ガイドシリンダ150、内側ハウジング140、内側マグネット143、外側ハウジング130、外側マグネット131、シリンダ120を冷却すると共に、内側ハウジング140の回動を防止する機能も果たしている。したがって、上記実施の形態のシリンダ120の回止溝122と内側ハウジング140の回止突起部141を省略できる。
【0085】
なお、駆動装置115のその他の構成については、上記実施の形態と同様であるので説明を省略する。かかる場合でも、上記実施の形態と同様の効果を享受できる。
【0086】
また、例えば図15及び図16に示すように、駆動装置115の駆動部400は、シリンダ120の端部から気体を供給し、内側ハウジング140を移動させるようにしてもよい。駆動部400は、シリンダ120の両端部を封止するため、シリンダ120とガイドリング150との間に設けられた封止部401を有している。封止部401の外周面とシリンダ120の内周面との間には、シール材、例えば樹脂製のOリング402が設けられている。また、封止部401の内周面とガイドリング150の外周面との間にも、シール材、例えばOリング403が設けられている。これらOリング402、403によって、シリンダ120内の気密性が確保される。
【0087】
封止部401には、シリンダ120の内部に気体、例えば不活性ガスを供給又は排出するする気体流入出口404が形成されている。すなわち、気体流入出口404は、シリンダ120の両端部にそれぞれ形成されている。また、気体流入出口120には、当該気体流入出口に気体を供給するための気体供給源(図示せず)が接続されている。そして、例えばシリンダ120の一の端部(図15のY方向負方向側)の気体流入出口404から気体が供給されると、内側ハウジング140はY方向正方向側に移動し、シリンダ120の他の端部(図15のY方向正方向側)の気体流入出口404から気体が排出される。一方、シリンダ120の他の端部(図15のY方向正方向側)の気体流入出口404から気体が供給されると、内側ハウジング140はY方向負方向側に移動し、シリンダ120の一の端部(図15のY方向負方向側)の気体流入出口404から気体が排出される。このように駆動部400は気体によって内側ハウジング140を移動させるため、上記実施の形態の内側ハウジング140の雌ネジ部142とガイドシリンダ150の雄ネジ部152を省略できる。
【0088】
内側ハウジング140には、そのシリンダ120の軸方向(図15のY方向)の両端部において、シール材410が設けられている。シール材410は、シリンダ120とガイドシリンダ150との間をシールするように設けられる。このシール材410によって、気体流入出口404から供給された気体が内側ハウジング140の下流側に流出するのを防ぎ、当該内側ハウジング140を適切に移動させることができる。また、このシール材410は内側ハウジング140の回動を防止する機能も果たしている。したがって、上記実施の形態のシリンダ120の回止溝122と内側ハウジング140の回止突起部141を省略できる。
【0089】
なお、気体流入出口404から供給される気体は所定の温度に冷却されていてもよい。かかる場合、シリンダ120、ガイドシリンダ150、内側ハウジング140、内側マグネット143、外側ハウジング130、外側マグネット131を冷却することができる。しかも、ガイドシリンダ150内の冷媒流路153にも冷却媒体が流通するので、これらガイドシリンダ150、内側ハウジング140、内側マグネット143、外側ハウジング130、外側マグネット131を効率よく冷却できる。したがって、駆動装置115を高寿命で使用できる。
【0090】
なお、駆動装置115のその他の構成については、上記実施の形態と同様であるので説明を省略する。かかる場合でも、上記実施の形態と同様の効果を享受できる。
【0091】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
本発明はこの例に限らず種々の態様を採りうるものである。本発明は、基板がウェハ以外のFPD(フラットパネルディスプレイ)、フォトマスク用のマスクレチクルなどの他の基板である場合にも適用できる。また、本発明の駆動装置は、医療装置等の高い清浄度が要求される処理容器内にも適用できる。さらに、本発明の駆動装置は、搬送アームや熱処理板のみならず、他の種々の被駆動体、例えば紫外線照射ランプや処理液塗布ノズル等を移動させる場合にも適用することができる。
【符号の説明】
【0092】
1 接合装置
10 接合ユニット
11 熱処理ユニット
20 処理容器
25 吸気口
26 真空ポンプ
27 吸気管
30 加圧機構
50 第1の熱処理板
70 処理容器
74 吸気口
75 真空ポンプ
76 吸気管
80 第2の熱処理板
90 第3の熱処理板
100 第1の搬送アーム
101 第2の搬送アーム
112、115 駆動装置
120 シリンダ
122 回止溝
130 外側ハウジング
131 外側マグネット
140 内側ハウジング
141 回止突起部
142 雌ネジ部
143 内側マグネット
150 ガイドシリンダ
152 雄ネジ部
153 冷媒流路
170 レール
171 ベアリング
172 冷却板
180 駆動部
300 駆動部
301 駆動プーリ
302 従動プーリ
303 駆動ベルト
310 ガイドシリンダ
311 ベアリング
312 冷媒流路
400 駆動部
404 気体流入出口
410 シール材
、D 隙間
W ウェハ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部雰囲気が真空且つ高温の処理容器内で被駆動体を移動させる駆動装置であって、
前記処理容器の壁部を貫通し、当該処理容器の内部において被駆動体の移動方向に延伸するシリンダと、
前記シリンダの外側に当該シリンダの外周面に沿って環状に設けられ、被駆動体を支持する外側ハウジングと、
前記外側ハウジングに対向し、前記シリンダの内側に当該シリンダの内側面に沿って環状に設けられた内側ハウジングと、
前記処理容器の外部に設けられ、前記内側ハウジングを前記シリンダの軸方向に移動させる駆動部と、を有し、
前記外側ハウジングの内周面には外側マグネットが取り付けられ、
前記内側ハウジングの外周面には内側マグネットが取り付けられ、
前記外側マグネットと前記内側マグネットは、対向して配置され且つ異なる極性を有し、
前記外側マグネットと前記シリンダとの間及び前記内側マグネットと前記シリンダとの間には、それぞれ所定の隙間が形成されていることを特徴とする、駆動装置。
【請求項2】
前記シリンダ内には、当該シリンダの軸方向に延伸し、前記内側ハウジングの内側を挿通するガイドシリンダが設けられ、
前記ガイドシリンダの外周面には、雄ネジ部が形成され、
前記内側ハウジングの内周面には、前記雄ネジ部に螺合する雌ネジ部が形成され、
前記駆動部は、前記ガイドシリンダを当該ガイドシリンダの中心軸を中心に回転駆動させて、前記内側ハウジングを前記中心軸方向に移動させることを特徴とする、請求項1に記載の駆動装置。
【請求項3】
前記ガイドシリンダの内部には、冷却媒体が流通する冷媒流路が形成されていることを特徴とする、請求項2に記載の駆動装置。
【請求項4】
前記シリンダの内側面には、当該シリンダの軸方向に延伸する回止溝が形成され、
前記内側ハウジングの両端部には、前記回止溝と摺動自在の回止突起部が設けられていることを特徴とする、請求項2又は3に記載の駆動装置。
【請求項5】
前記駆動部は、前記シリンダの両端部に設けられた一対のプーリを有し、
前記シリンダ内には、前記内側ハウジングの内側を挿通し、前記一対のプーリに巻回された駆動ベルトが設けられ、
前記駆動ベルトには、前記内側ハウジングが取り付けられていることを特徴とする、請求項1に記載の駆動装置。
【請求項6】
前記シリンダ内には、当該シリンダの軸方向に延伸し、前記内側ハウジングの内部を挿通するガイドシリンダが設けられ、
前記内側ハウジングと前記ガイドシリンダとの間には、ベアリングが配置されていることを特徴とする、請求項5に記載の駆動装置。
【請求項7】
前記ガイドシリンダの内部には、冷却媒体が流通する冷媒流路が形成されていることを特徴とする、請求項6に記載の駆動装置。
【請求項8】
前記シリンダ内には、当該シリンダの軸方向に延伸し、前記内側ハウジングの内側を挿通するガイドシリンダが設けられ、
前記駆動部は、前記シリンダの端部から気体を供給し、前記内側ハウジングを移動させ、
前記内側ハウジングの両端部には、前記シリンダと前記ガイドシリンダとの間をシールするシール材がそれぞれ設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の駆動装置。
【請求項9】
前記駆動部から供給される気体は、所定の温度に冷却されていることを特徴とする、請求項8に記載の駆動装置。
【請求項10】
前記ガイドシリンダの内部には、冷却媒体が流通する冷媒流路が形成されていることを特徴とする、請求項8又は9に記載の駆動装置。
【請求項11】
前記処理容器内には、前記シリンダに沿って延伸するレールが設けられ、
前記外側ハウジングは、ベアリングを介して前記レール上を移動自在に構成され、前記処理容器の外側には、前記レールに沿って延伸し当該レールを冷却する冷却板が設けられていることを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の駆動装置。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれかに記載の駆動装置を備え、基板同士を接合する接合装置であって、
基板を熱処理する熱処理板と、熱処理板上の基板を熱処理板側に押圧する加圧機構と、内部の雰囲気を所定の真空度まで減圧する減圧機構とを備えた接合ユニットと、
基板を熱処理する熱処理板と、内部の雰囲気を所定の真空度まで減圧する減圧機構とを備えた熱処理ユニットと、を有し、
前記接合ユニットと前記熱処理ユニットは気密に接続され、
前記駆動装置は、前記接合ユニットと前記熱処理ユニットとの間で基板を搬送する搬送部を移動させることを特徴とする、接合装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−199140(P2011−199140A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−66277(P2010−66277)
【出願日】平成22年3月23日(2010.3.23)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】