説明

駆動電圧設定方法

【課題】従来の駆動電圧設定方法では、描画品位を向上させることが困難である。
【解決手段】液状体を吐出する複数のノズルの前記ノズルごとに設けられた駆動素子を駆動するための駆動電圧を設定する駆動電圧設定方法であって、前記複数のノズルの前記ノズル間における液状体の吐出量のばらつきを軽減する前記駆動電圧を、複数の吐出パターンの前記吐出パターンごとに設定する第1ステップと、前記第1ステップの後に、前記吐出パターン間の前記吐出量の差を軽減する前記駆動電圧を設定する第2ステップと、を含む、ことを特徴とする駆動電圧設定方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動電圧設定方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
液状体を液滴として吐出することができる液滴吐出ヘッドを活用して、液状体から膜を形成する方法が知られている。液滴吐出ヘッドを用いてインクなどの液状体を液滴として吐出する技術は、液滴吐出技術と呼ばれる。そして、液滴吐出技術を活用して液状体などを所定の位置に配置する方法は、液滴吐出法と呼ばれる。この液滴吐出法は、塗布法の1つである。液滴吐出法では、液滴吐出ヘッドを有する液滴吐出装置が活用され得る。
液滴吐出ヘッドとしては、液状体を液滴として吐出する複数のノズルと、ノズルごとに設けられた駆動素子とを有するものが知られている。このような液滴吐出ヘッドを有する液滴吐出装置では、従来、複数のノズルを液状体の吐出量のレンジに応じて複数のグループに分け、グループごとに異なる駆動電圧を設定する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−217827号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載された駆動電圧設定方法では、ノズルごとに各ノズルでの吐出量を示す吐出量分布に基づいて、複数のノズルが複数のグループに分けられる。この駆動電圧設定方法では、グループごとに異なる駆動電圧で駆動素子を駆動することができるので、グループ間での液状体の吐出量の差を軽減することができる。
このような駆動電圧設定方法では、吐出量が最も少ないグループを基準とし、この基準グループの吐出量に他のグループの吐出量を合わせる補正が行われ得る。このとき、基準グループに属する駆動素子に、基準となる駆動電圧が印加される。そして、他のグループに属する駆動素子には、基準駆動電圧よりも低い駆動電圧が印加される。これにより、基準グループの吐出量に他のグループの吐出量を合わせることができる。そして、この補正では、基準駆動電圧を超える駆動電圧の生成を避けることができる。この結果、液滴吐出ヘッドの駆動に許容される電圧値の上限を守ることができる。
【0005】
ところで、液滴吐出ヘッドでは、複数のノズルのうち液滴を吐出させるノズルである使用ノズルや、使用ノズルにおける液滴の吐出タイミングなどのパターン(以下、吐出パターンと呼ぶ)によって、吐出量分布が異なることが考えられる。
基準グループに基準駆動電圧値を設定し、他のグループに基準駆動電圧値よりも低い電圧値を設定する上述の方法では、吐出パターンごとに吐出量分布が異なると、吐出パターン間で吐出量に差異が発生しやすくなる。吐出パターン間で吐出量に差異が発生すると、液滴吐出装置における描画品位が低下しやすくなる。
つまり、従来の駆動電圧設定方法では、描画品位を向上させることが困難であるという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]液状体を吐出する複数のノズルの前記ノズルごとに設けられた駆動素子を駆動するための駆動電圧を設定する駆動電圧設定方法であって、前記複数のノズルの前記ノズル間における液状体の吐出量のばらつきを軽減する前記駆動電圧を、複数の吐出パターンの前記吐出パターンごとに設定する第1ステップと、前記第1ステップの後に、前記吐出パターン間の前記吐出量の差を軽減する前記駆動電圧を設定する第2ステップと、を含み、前記第1ステップは、前記吐出パターンにおいて使用される前記ノズルである使用ノズルごとの前記吐出量を測定する測定ステップと、前記測定ステップでの測定結果から、前記吐出量を複数のレンジに層別することによって、複数の前記使用ノズルを複数のグループに区分する層別ステップと、前記複数のグループのうち前記吐出量が最小である前記レンジに対応する前記グループを基準グループとして設定する基準グループ設定ステップと、前記基準グループにおける前記駆動素子に対して基準駆動電圧を割り当て、他の前記グループにおける前記駆動素子に対して、前記基準駆動電圧よりも低い前記駆動電圧を割り当てる駆動電圧割当ステップと、を含み、前記第2ステップは、前記複数の吐出パターンのうち、前記第1ステップ後に前記吐出パターンごとの前記吐出量が最小となる前記吐出パターンを基準吐出パターンとして設定する基準吐出パターン設定ステップと、前記基準吐出パターンの他の前記吐出パターンに対する前記基準駆動電圧を、前記基準吐出パターンに対する前記基準駆動電圧よりも低い低減駆動電圧に設定し、前記他の吐出パターンの前記基準グループにおける前記駆動素子に対して前記低減駆動電圧を割り当て、且つ前記他の吐出パターンにおける他の前記グループにおける前記駆動素子に対して、前記低減駆動電圧よりも低い前記駆動電圧を割り当てる第2割当ステップと、を含む、ことを特徴とする駆動電圧設定方法。
【0008】
この適用例の駆動電圧設定方法は、第1ステップと、第2ステップと、を含む。
第1ステップでは、複数のノズルのノズル間における液状体の吐出量のばらつきを軽減する駆動電圧を、吐出パターンごとに設定する。
第1ステップの後に、第2ステップでは、吐出パターン間の吐出量の差を軽減する駆動電圧を設定する。
第1ステップは、測定ステップと、層別ステップと、基準グループ設定ステップと、駆動電圧割当ステップと、を含む。
測定ステップでは、吐出パターンにおける使用ノズルごとの吐出量を測定する。
層別ステップでは、測定ステップでの測定結果から、吐出量を複数のレンジに層別することによって、複数の使用ノズルを複数のグループに区分する。
基準グループ設定ステップでは、複数のグループのうち吐出量が最小であるレンジに対応するグループを基準グループとして設定する。
駆動電圧割当ステップでは、基準グループにおける駆動素子に対して基準駆動電圧を割り当て、他のグループにおける駆動素子に対して、基準駆動電圧よりも低い駆動電圧を割り当てる。
第1ステップにより、他のグループに属するノズルからの吐出量を低減させることができる。これにより、他のグループに属するノズルからの吐出量を、基準グループに属するノズルからの吐出量に近づけることができる。この結果、複数のノズルのノズル間における液状体の吐出量のばらつきを軽減することができる。
【0009】
第2ステップは、基準吐出パターン設定ステップと、第2割当ステップと、を含む。
基準吐出パターン設定ステップでは、複数の吐出パターンのうち、第1ステップ後に吐出パターンごとの吐出量が最小となる吐出パターンを基準吐出パターンとして設定する。 第2割当ステップでは、基準吐出パターンの他の吐出パターンに対する基準駆動電圧を、基準吐出パターンに対する基準駆動電圧よりも低い低減駆動電圧に設定し、他の吐出パターンの基準グループに対して低減駆動電圧を割り当て、且つ他の吐出パターンにおける他のグループに対して、低減駆動電圧よりも低い駆動電圧を割り当てる。
第2ステップにより、基準吐出パターンの他の吐出パターンにおける吐出量を低減させることができる。これにより、他の吐出パターンにおける吐出量を、基準吐出パターンにおける吐出量に近づけることができる。この結果、吐出パターン間の吐出量の差を軽減することができる。
上記により、複数のノズルによる描画品位を向上させやすくすることができる。
【0010】
[適用例2]上記の駆動電圧設定方法であって、前記駆動電圧割当ステップでは、前記基準グループに対応する前記レンジである基準レンジに属する前記吐出量の平均値と、他の前記レンジに属する前記吐出量の平均値との差に応じた係数を前記基準駆動電圧に乗じることによって算出される前記駆動電圧を、他の前記グループにおける前記駆動素子に対して割り当てる、ことを特徴とする駆動電圧設定方法。
【0011】
この適用例では、駆動電圧割当ステップにおいて、基準グループに対応するレンジに属する吐出量の平均値と、他のレンジに属する吐出量の平均値との差に応じた係数を基準駆動電圧に乗じることによって算出される駆動電圧を、他のグループにおける駆動素子に対して割り当てるので、他のグループに属するノズルからの吐出量を、基準グループに属するノズルからの吐出量に近づけることができる。
【0012】
[適用例3]上記の駆動電圧設定方法であって、前記基準吐出パターン設定ステップでは、前記複数の吐出パターンのうちで、前記吐出パターンごとの前記使用ノズルの前記吐出量の平均値が最小となる前記吐出パターンを前記基準吐出パターンとして設定する、ことを特徴とする駆動電圧設定方法。
【0013】
この適用例では、吐出パターンごとの吐出量が最小となる吐出パターンを基準吐出パターンとして設定することができる。
【0014】
[適用例4]上記の駆動電圧設定方法であって、前記第2割当ステップでは、前記基準吐出パターンにおける前記使用ノズルの前記吐出量の平均値と、前記他の吐出パターンにおける前記使用ノズルの前記吐出量の平均値との差に応じた係数を前記基準駆動電圧に乗じることによって算出される前記駆動電圧を、前記低減駆動電圧として設定する、ことを特徴とする駆動電圧設定方法。
【0015】
この適用例では、第2割当ステップにおいて、基準吐出パターンにおける使用ノズルの吐出量の平均値と、他の吐出パターンにおける使用ノズルの吐出量の平均値との差に応じた係数を基準駆動電圧に乗じることによって算出される駆動電圧を、低減駆動電圧として設定するので、他の吐出パターンにおける吐出量を、基準吐出パターンにおける吐出量に近づけることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施形態における液滴吐出装置の要部構成を示す斜視図。
【図2】本実施形態におけるにおけるヘッドの配置構成を示す平面図。
【図3】本実施形態におけるノズルの走査軌跡と吐出対象物との関係を示す平面図。
【図4】本実施形態におけるヘッド駆動に係る液滴吐出装置の電気的構成を示す図。
【図5】本実施形態における駆動信号および制御信号のタイミング図。
【図6】本実施形態における駆動信号の設定を行うための装置構成を示すブロック図。
【図7】本実施形態における駆動電圧設定方法を示すフローチャート。
【図8】本実施形態におけるヘッド走査に係るノズルと区画領域との関係を示す平面図。
【図9】本実施形態における吐出量ばらつき軽減処理を示すフローチャート。
【図10】本実施形態における3種の吐出パターンのそれぞれにおけるノズルごとの吐出量の分布を示す図。
【図11】本実施形態における3種の吐出パターンのそれぞれに対する駆動電圧の設定値の一例を示す図。
【図12】本実施形態における吐出パターン間の平準化処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。また、以下の説明で参照する図では、図示の便宜上、部材ないし部分の縦横の縮尺を実際のものとは異なるように表す場合がある。
【0018】
(液滴吐出装置の機械的構成および機械的動作)
まず、実施形態における液滴吐出装置の機械的な構成および動作について説明する。
本実施形態における液滴吐出装置200は、直線的に設けられた1対のガイドレール201と、ガイドレール201の内部に設けられたエアスライダーとリニアモーター(図示せず)により主走査方向に移動する主走査移動台203を備えている。また、ガイドレール201の上方においてガイドレール201に直交するように直線的に設けられた1対のガイドレール202と、ガイドレール202の内部に設けられたエアスライダーとリニアモーター(図示せず)により副走査方向に沿って移動する副走査移動台204を備えている。
【0019】
主走査移動台203上には、吐出対象物としての基板Pを載置するためのステージ205が設けられている。ステージ205は基板Pを吸着固定できる構成となっており、また、回転機構207によって基板P内の基準軸を主走査方向、副走査方向に正確に合わせることができるようになっている。
【0020】
副走査移動台204は、回転機構208を介して吊り下げ式に取り付けられたキャリッジ209を備えている。また、キャリッジ209は、液滴吐出ヘッドとしてのヘッド11及びヘッド12(図2参照)を備えるヘッドユニット10と、ヘッド11及びヘッド12に液状体を供給するための液状体供給機構(図示せず)と、ヘッド11及びヘッド12の駆動制御を行うための制御回路基板30(図4参照)とを備えている。
【0021】
図2に示すように、ヘッドユニット10は、ノズルnから液状体を液滴として吐出するヘッド11及びヘッド12を備えている。本実施形態に係るヘッドユニット10は、表示パネルのカラーフィルター形成に用いられるものであり、ヘッド11及びヘッド12は、それぞれ赤(R)、緑(G)、青(B)の各色要素に対応する液状体を吐出するものが用意されている。また、ヘッド11とヘッド12とは互いに副走査方向に位置をずらして配置されており、互いに吐出可能範囲を補完する関係にある。
【0022】
ヘッド11及びヘッド12における複数(本実施形態では60個)のノズルnは、所定のピッチ(例えば180dpi)でライン状に配設されており、ノズルアレイ21A、21Bを構成している。ノズルアレイ21A及びノズルアレイ21B内におけるノズルnの並びの方向は副走査方向に一致するようにされており、また、ノズルアレイ21A及びノズルアレイ21Bのノズルnは互いに千鳥配列をなす関係にある。
【0023】
ヘッド11及びヘッド12内には、各ノズルnにそれぞれ連通する液室(以下、キャビティーとする)が形成されており、各キャビティーには、その可動壁を駆動して容積を可変するための駆動素子としての圧電素子16(図4参照)が配設されている。そして、圧電素子16に電気信号(以下、駆動信号とする)を供給してキャビティー内の液圧を制御することにより、ノズルnから液滴(液状体)を吐出させることが可能となっている。
【0024】
ここで、液滴吐出装置200の動作例として、カラーフィルター製造を行う際の動作について説明する。ヘッド11及びヘッド12を基板Pに対して主走査方向に走査させると、ノズルnは、図3に示すように、基板Pに対して連続した所定ピッチ(例えば360dpi)の走査軌跡を描く。この際、ノズルアレイ21A及びノズルアレイ21Bの端部の数個分(本実施形態は3個)のノズルnは、その特性の特異性に鑑みて使用しないダミーノズル(塗り潰して図示)とされており、ヘッド11のダミーノズルに掛かる走査領域はヘッド12のノズルnで、ヘッド12のダミーノズルに掛かる走査領域はヘッド11のノズルnで補完される関係となっている。
【0025】
カラーフィルター形成に供される基板Pには、各画素領域に対応する区画領域50を規定するバンク51が、感光性樹脂等を用いてあらかじめ形成されている。この場合、走査軌跡に関して、区画領域50に掛かり得るノズルnと掛かり得ないノズルnとが存在するが、区画領域50への液状体の配置は、区画領域50に掛かり得るノズルnからの液滴の吐出によって行われることになる。
【0026】
図3の各ノズルnに付されているA1〜A5、B1〜B5、C49〜C54、D49〜D54は、それぞれ、ヘッド11のノズルアレイ21A、ヘッド11のノズルアレイ21B、ヘッド12のノズルアレイ21A、ヘッド12のノズルアレイ21Bのノズル番号を示している。ここで、ノズル番号とは、各ノズルアレイ21A及びノズルアレイ21Bの並び方向におけるノズルnの配列順を示した通し番号のことであり、本実施形態では、1ノズルアレイにつき、ダミーノズルを除いた1〜54のノズル番号で示すことができる。
【0027】
図3において、ノズル番号D53、C54、D54、A1、B1のノズルnは、当該走査中のそれぞれ適切な期間において、同一の区画領域50に対して液状体を吐出することができる。また、ノズル番号C50、C53、A2、A5のノズルnは、走査軌跡がバンク51に掛かっているため、当該走査中の全期間において液状体の吐出を行わない。このようなノズルnごとの吐出/非吐出の制御は、対応する圧電素子16への駆動信号の供給のスイッチングによって行われるものである。
【0028】
尚、液滴吐出装置200の構成は上述の態様に限定されるものではない。例えば、ノズルアレイ21A及びノズルアレイ21Bの配列方向を副走査方向から傾けて、ノズルnの走査軌跡のピッチがノズルアレイ21A及びノズルアレイ21B内におけるノズルn間のピッチに対して狭くなるように構成することもできる。また、ヘッドユニット10におけるヘッド11及びヘッド12の数やその配置構成なども適宜変更することができる。また、ヘッド11及びヘッド12の駆動方式として、例えば、キャビティーに加熱素子を備えたいわゆるサーマル方式などを採用することもできる。
【0029】
(液滴吐出装置の電気的構成および電気的動作)
次に、液滴吐出装置200の電気的な構成および動作について説明する。
図4に示すように、ヘッド11(12)は、ノズルアレイ21A(21B)のノズルn(図2参照)毎に設けられた圧電素子16と、各圧電素子16への駆動信号(COM)の供給/非供給の切り替えを行うためのスイッチング回路17と、各圧電素子16への供給に係る駆動信号の供給ライン(以下、COMライン(COM1〜COM4)とする)を選択するための駆動信号選択回路18と、を備えている。ヘッド11(12)は、制御回路基板30と電気的に接続されている。
【0030】
制御回路基板30は、それぞれ独立した駆動信号(COM)を生成するD/Aコンバーター(DAC)31A〜31Dと、D/Aコンバーター31A〜31Dが生成する駆動信号(COM)のスルーレートデータ(以下、波形データ(WD1〜WD4)とする)の格納メモリーを内部に有する波形データ選択回路32と、外部から受信される吐出制御データを格納するためのデータメモリー33と、を備えている。制御回路基板30における各COMライン(COM1〜COM4)には、D/Aコンバーター31A〜31Dで生成された駆動信号がそれぞれ出力されるようになっている。
【0031】
ノズルアレイ21A(21B)において、圧電素子16の一方の電極16cは、D/Aコンバーター31A〜31Dのグランドライン(GND)に接続されている。また、圧電素子16の他方の電極(以下、セグメント電極16sとする)は、スイッチング回路17、駆動信号選択回路18を介して、COMライン(COM1〜COM4)に接続されている。また、スイッチング回路17、駆動信号選択回路18、波形データ選択回路32には、クロック信号(CLK)や各吐出タイミングに対応したラッチ信号(LAT)が入力されるようになっている。
【0032】
データメモリー33には、ヘッド11(12)の走査位置に応じて周期的に設定される吐出タイミング毎に、次のデータが格納されている。すなわち、各圧電素子16への駆動信号(COM)の供給/非供給(ON/OFF)の切り替えを規定する吐出データ(SIA)と、各圧電素子16に対応したCOMライン(COM1〜COM4)を規定する駆動信号選択データ(SIB)と、D/Aコンバーター31A〜31Dに入力される波形データ(WD1〜WD4)の種別を規定する波形番号データ(WN)である。本実施形態においては、吐出データ(SIA)は、1ノズルあたり1ビット(0、1)で、駆動信号選択データ(SIB)は、1ノズルあたり2ビット(0、1、2、3)で、波形番号データ(WN)は、1D/Aコンバーターあたり7ビット(0〜127)で構成されている。尚、これらのデータ構造については適宜変更が可能である。
【0033】
上述の構成において、各吐出タイミングに係る駆動制御は次のように行われる。すなわち、図5に示すタイミングt1〜t2の期間において、吐出データ(SIA)、駆動信号選択データ(SIB)、波形番号データ(WN)が、それぞれシリアル信号化されて、スイッチング回路17、駆動信号選択回路18、波形データ選択回路32に送信される。そして、タイミングt2において各データがラッチされることで、吐出(ON)に係る各圧電素子16のセグメント電極16sが、駆動信号選択データ(SIB)で指定された各COMライン(COM1〜COM4)に接続された状態となる。例えば、駆動信号選択データ(SIB)が0、1、2、3である場合、対応する圧電素子16のセグメント電極16sはそれぞれCOM1、COM2、COM3、COM4に接続される。また、D/Aコンバーター31A〜31Dの生成に係る駆動信号の波形データ(WD1〜WD4)が設定される。
【0034】
タイミングt3〜t4、t4〜t5、t5〜t6の各期間においては、タイミングt2で設定された波形データに従い、それぞれ電位上昇、電位保持、電位降下の一連のステップで駆動信号(COM)が生成される。そして、COM1〜COM4とそれぞれ接続された状態にある圧電素子16に、生成された駆動信号が供給され、ノズルnに連通するキャビティーの容積(圧力)制御が行われる。
【0035】
ここで、タイミングt3〜t4における電位上昇成分はキャビティーを膨張させ、液状体をノズルn内方に引き込む役割を果たしている。また、タイミングt5〜t6における電位降下成分は、キャビティーを収縮させ、液状体をノズルn外に押し出して吐出させる役割を果たしている。
【0036】
駆動信号(COM)における電位上昇、電位保持、電位降下に係る時間成分、電圧成分は、その供給によって吐出される液状体の吐出量に密接に依存している。とりわけ、圧電方式のヘッド11(12)では、電圧成分の変化に対して吐出量が良好な線形性を示すため、タイミングt3〜t6における電圧差を駆動電圧Vhとして規定し、これを吐出量制御の条件として利用することができる。尚、生成する駆動信号(COM)は、本実施形態で示すような単純な台形波に限られるものではなく、公知の様々な形状のものを適宜採用することも可能である。また、異なる駆動方式(例えばサーマル方式)を採用する場合などにおいて、駆動信号のパルス幅(時間成分)を吐出量制御の条件として利用することも可能である。
【0037】
本実施形態では、駆動電圧Vhを段階的に違えた複数種の波形データを用意し、D/Aコンバーター31A〜31Dにそれぞれ独立した波形データ(WD1〜WD4)を入力することにより、各COMライン(COM1〜COM4)にそれぞれ異なる駆動電圧Vhの駆動信号(COM)を出力することが可能である。用意できる波形データの種類は、波形番号データ(WN)の情報量(7ビット)に相当する128種類であり、例えばこれを0.1V刻みの駆動電圧Vhに対応させている。
【0038】
かくして、本実施形態の液滴吐出装置200は、各圧電素子16(ノズル)とCOMライン(COM1〜COM4)との対応関係を規定する駆動信号選択データ(SIB)と、各COMライン(COM1〜COM4)と駆動信号の種類(駆動電圧Vh)との対応関係を規定する波形番号データ(WN)とを適切に設定することにより、適切な吐出量で液滴を吐出することが可能である。逆の言い方をすれば、駆動信号選択データ(SIB)と波形番号データ(WN)との関係で定まる各ノズルnの駆動信号の設定を適切に行うことが、吐出量を管理するための重要事項であると言える。尚、本実施形態の液滴吐出装置200では、吐出タイミングごとに駆動信号選択データ(SIB)と波形番号データ(WN)を更新可能な構成となっているため、吐出データ(SIA)の変化に対応させて駆動信号を精細に設定することも可能である。
【0039】
(駆動信号の設定方法)
次に、各ノズルnの駆動電圧Vhを設定するための方法について説明する。
駆動信号の設定を行うための設定装置300は、図6に示すように、ヘッド11(12)に液状体を供給するための液状体供給装置301と、ヘッド11を駆動するための制御回路基板302とを備えている。また、ヘッド11から吐出された液滴を受けてこれを収容するための液状体受容容器303と、液状体受容容器303の重量を計量するための重量計量装置304とを備えている。また、ヘッド11から吐出された液滴を受ける液状体受容基板305と、液状体受容基板305を基板面方向に移動させるための基板移動装置306と、液状体受容基板305上に配置された液状体の体積を測定するための体積測定装置307とを備えている。また、制御回路基板302を介してヘッド11の駆動を制御し、基板移動装置306の駆動を制御し、重量計量装置304および体積測定装置307の計量動作を制御し、計量結果を基に演算を行うためのパーソナルコンピューター(PC)308を備えている。
【0040】
制御回路基板302は、制御回路基板30(図4参照)と同じ構成のものである。また、液状体受容容器303は、液状体に侵食されない材質のものであれば何でも良いが、開口部にスポンジ等の多孔質部材を配設するなどして、液状体の揮発を抑える構成となっていることが好ましい。また、重量計量装置304には、一般的な電子天秤を用いることができる。また、体積測定装置307には、白色干渉法を用いた三次元形状測定装置などを用いることができる。また、体積測定装置307は、二次元形状測定装置などを用いて面積測定をおこない、体積換算する構成も可能である。その際には、面積と体積の校正に用いる係数を事前に求めておくことが必要となる。
【0041】
このように、設定装置300は、重量計量装置304と体積測定装置307の二種類の計測装置を用い、吐出量を重量または体積として測定することができる。重量計量装置304は、ノズルアレイ全体における平均的な吐出量を高速且つ高精度に測定するのに適しており、また体積測定装置307は、ノズル個々の吐出量を測定するのに適している。
【0042】
駆動電圧Vhの設定方法について説明する。本実施形態では、駆動電圧Vhの設定方法は、図7に示すように、吐出量ばらつき軽減処理S1と、吐出パターン間の平準化処理S2と、を有する。なお、吐出量ばらつき軽減処理S1は、吐出パターンごとに実施される。
吐出パターンとは、複数のノズルnのうち液滴を吐出させるノズルである使用ノズルや、使用ノズルにおける液滴の吐出タイミングなどが規定されたパターンである。図8に示すように、同一の機種(機種1)であっても、基板上に所定の間隔で区画された複数の区画領域50Aに対して、一方向に配列された複数のノズルnから液滴を吐出する場合、区画領域50Aに掛かり得るノズルと掛かり得ないノズルとが存在する。そして、区画領域50Aへの液状体の配置は、区画領域50Aに掛かり得るノズルnからの液滴の吐出によって行われる。
【0043】
複数の吐出パターンは、ノズルアレイの並び方向において、区画領域の方がノズルアレイの長さよりも短いことから、全区画領域を走査するために複数回走査すること、また、ノズル毎の吐出量の分散平均化のために、同一区画領域を複数ノズルで走査するために位置を相対的に移動させながら液滴を吐出することなどにより生じる。
尚、図8において、区画領域に掛かり得るノズルnは「吐出ノズル」として実線で、区画領域に掛かり得ないノズルは「非吐出ノズル」として破線で示している。つまり吐出パターンとは、ノズルアレイの並び方向での「吐出ノズル」と「非吐出ノズル」の組み合わせを表している。
【0044】
吐出量ばらつき軽減処理S1では、ヘッド11を設定装置300に取り付けた状態において、先ずは、ノズルアレイ内の全ノズル(ダミーノズルを除く)における吐出量平均を測定する(図9のステップS101)。具体的には、各ノズルnについてまとまった回数(例えば10万回)の吐出を行い、その総重量を重量計量装置304で計量し、計量結果を除算して測定する。この測定は、2条件の駆動電圧Vh(例えば、25Vと22.5V)の下でそれぞれ行う。
【0045】
次に、測定した2条件における駆動電圧Vhと吐出量平均との関係を線形補完して、基準吐出量(仕様に応じた設計値)の吐出量平均を得るための基準駆動電圧Vsを算出する(図9のステップS102)。また、吐出量を駆動電圧Vhによって補正する際の相関係数αを、駆動電圧Vhの変化率に対する吐出量平均の変化率との関係から算出する(図9のステップS103)。このとき、例えば、25Vの時の吐出量平均10ngであって、22.5Vの時の吐出量平均9.5ngであった場合は、電圧の変化率が10%であるのに対して、吐出量平均の変化率が5%となり、相関係数αは、0.5と求められる。
【0046】
次に、ノズルアレイの全圧電素子16に駆動電圧Vh=Vsの駆動信号を供給して、液状体受容基板305に対し、複数の吐出パターン(例えば図8に示す3種、パターン1、パターン2、及びパターン3)にて、吐出場所を変えて、液滴の吐出を行い、ノズルごとの吐出量を測定する(図9のステップS104)。液状体受容基板305の表面には撥液処理がされているため、各ノズルnから吐出された液状体は、それぞれ基板上において独立した半球状の液滴を形成する。そして、この液滴の三次元形状を体積測定装置307で測定し、パーソナルコンピューター308で測定データを解析することで、ノズルnごとの吐出量が得られる。尚、各ノズルnの1回あたりの吐出量は極めて小さいため、液滴の体積測定(吐出量測定)の精度を上げるべく、各ノズルの吐出は、基板上の同一箇所に重ねて複数回(例えば3回)行うようにしている。
【0047】
次に、測定した吐出パターンごとの各ノズルnの吐出量のデータから、吐出パターンごとの各ノズルの吐出量をノズルアレイの並び方向での空間分布として把握する。
各ノズルnの吐出量は、図10(a)に示すように、本実施形態では、ノズルアレイの端部付近と中央付近で吐出量が相対的に少ない傾向がある。吐出量は、基準吐出量q0となる駆動電圧Vhで吐出した時の平均吐出量に対する相対比で表されている。
尚、図9(b)、図9(c)においては、ある駆動電圧で吐出した時の、3パターンの平均吐出量に対する相対比で表している。
以下の各ステップにおいては、複数の吐出パターン(パターン1〜3)のそれぞれに対して同様の内容が適用される。このため、以下においては、複数の吐出パターンのうちの1つの吐出パターン(パターン1)を例に説明する。
【0048】
次に、吐出パターンごとに、各ノズルnの吐出量に基づき、各ノズルのグループ設定を行う(図9のステップS105)。このとき、ステップS105では、複数のノズルnを吐出量ごとに複数のグループに層別する。本実施形態では、複数のノズルnを吐出量ごとに4つのグループに層別する。本実施形態では、算出した各ノズルnの吐出量における序列(吐出量の多い方を上位、吐出量の少ない方を下位とする)に従い、最下位から順に14個のノズルをグループA、グループAのさらに上位の14個のノズルをグループB、グループBのさらに上位の13個のノズルをグループC、グループCのさらに上位の13個のノズルをグループDとしてそれぞれ分類する。
【0049】
次に、グループA〜Dのそれぞれに対応する駆動電圧Vh(以下、駆動電圧VhA、VhB、VhC、VhDとする)を、グループA〜Dのそれぞれに対して割り当てる(図9のステップS106)。ここでは、まず、グループAを基準グループとして設定する。そして、この基準グループであるグループAに対する駆動電圧VhAとして、基準駆動電圧Vsを割り当てる(VhA=Vs)。次に、駆動電圧VhB〜VhDを算出する。このとき、駆動電圧VhB〜VhDは、それぞれ、ステップS105における各ノズルnの吐出量、相関係数α、基準駆動電圧Vsを基に算出される。そして、算出された駆動電圧VhBをグループBに対する駆動電圧VhBとして割り当てる。同様に、算出された駆動電圧VhCをグループCに対する駆動電圧VhCとして割り当て、算出された駆動電圧VhDをグループDに対する駆動電圧VhDとして割り当てる。
【0050】
本実施形態では、駆動電圧VhA、VhB、VhC、VhDは、基準駆動電圧Vsに対する相対比である電圧比DhA、DhB、DhC、DhDで規定する(VhA=DhA×Vs/100、VhB=DhB×Vs/100、VhC=DhC×Vs/100、VhD=DhD×Vs/100)。例えば、パターン1においては、図11(a)に示すように、それぞれDhA=100%、DhB=95.89%、DhC=95.54%、DhD94.6%である。このように駆動電圧を電圧比で規定することにより、例えば、液状体の粘度が変化して吐出量が一様に変化するような事態が起こった場合に、ノズルアレイ全体の吐出量平均を測定して基準駆動電圧Vsを再設定すれば済むという利点がある。
尚、駆動電圧VhA、VhB、VhC、VhDは、駆動制御において、それぞれ4つのCOMライン(COM1〜COM4(図4参照))に対応させることができる。
また、グループの分類の方法、特に、各グループを構成するノズルnの数は、ほぼ均等にすることにより、各適正駆動電圧、すなわち各COMラインに対応するノズルの数の不均衡を生じにくくすることが好ましい。COMラインにおけるノズルnの対応数は、駆動信号の歪み等に影響しているので、なるべくCOMライン間の不均衡が生じないことが好ましい。
【0051】
以上のように、吐出パターンにおける各ノズルnの吐出量に基づき、複数のノズルを複数のグループに分類した後に、吐出量の分布をグループ単位で捉えて段階的な適正条件を決定(算出)し、さらにノズル毎に適切な適正条件を選択することによって、図10(b)に示すように、各吐出パターンにおける吐出量のバラツキを抑えることができる。
しかしながら、この段階では、図10(b)から把握されるように、吐出パターン間で吐出量の差が発生することがある。これは、図9のステップS106において、吐出量が最少であるグループAに対する駆動電圧VhAとして、基準駆動電圧Vsを割り当てることに起因する。
本実施形態では、吐出パターン間の吐出量の差を補正するための処理として、図7に示す吐出パターン間の平準化処理S2が、駆動電圧設定方法に設けられている。
【0052】
吐出パターン間の平準化処理S2では、まず。パターン1、パターン2、パターン3の各吐出パターンにおける、VhA、VhB、VhC、VhDの電圧比DhA、DhB、DhC、DhDの平均値を算出する(図12のステップS201)。ここで、パターン1における電圧比DhA、DhB、DhC及びDhDの平均値を、V1とする。同様に、パターン2における電圧比DhA、DhB、DhC及びDhDの平均値をV2とし、パターン3における電圧比DhA、DhB、DhC及びDhDの電圧比の平均値をV3とする。
尚、COMラインにおけるノズルnの数が略均等になるようにグループ分けされていることにより、電圧比DhA、DhB、DhC、DhDの平均値を使用して平準化処理することが可能となる。
【0053】
次に、平均値V1〜V3の中で基準となる平均値(以下、基準平均値と呼ぶ)を設定する(図12のステップS202)。
基準平均値は、平均値V1〜V3の中で最小のものとする。最小のものを基準とすることにより、ヘッド駆動に許容される電圧値の上限を守ることができる。
なお、平均値V1〜V3の中で最小のものを基準平均値に設定するということは、パターン1、パターン2及びパターン3の中で、吐出量ばらつき軽減処理S1後の吐出量が最少となる吐出パターンの平均値を基準平均値に設定するということである。以下において、複数の吐出パターンの中で、吐出量ばらつき軽減処理S1後の吐出量が最少となる吐出パターンを基準吐出パターンと呼ぶ。
つまり、図12のステップS202では、基準吐出パターンを設定し、この基準吐出パターンの電圧比の平均値を基準平均値として設定する。
本実施形態では、基準平均値は、パターン1の平均値V1である96.5075(図11(a))となる。
【0054】
次に、パターン1、パターン2及びパターン3のそれぞれの平均値V1、V2及びV3を、基準平均値で除算して、パターン1、パターン2及びパターン3のそれぞれに対する平準化係数βを算出する(図12のステップS203)。
本実施形態では、パターン1に対する平準化係数βは、1である。また、パターン2に対する平準化係数βは、1.0162682・・・である。同様に、パターン3に対する平準化係数βは、1.0230293・・・である。
【0055】
次に、パターン1、パターン2、パターン3のそれぞれにおける、DhA、DhB、DhC、DhDを、各パターンに対応する平準化係数βで除算することによって電圧比を再設定する(図12のステップS204)。
以上により、図11(b)に示すように、パターン1、パターン2、パターン3のそれぞれにおける電圧比DhA、DhB、DhC、DhDの平均値を、吐出パターン間で均一化することができる。
以上の処理により、図10(c)に示すように、パターン1、パターン2、パターン3の間の吐出量の平均値の差を小さく抑えることができる。この駆動電圧設定方法を適用してカラーフィルターの製造を実施することにより、スジムラを低減し、製品の品質歩留まりを向上することが可能となる。
なお、本実施形態において、吐出量ばらつき軽減処理S1が第1ステップに対応し、吐出パターン間の平準化処理S2が第2ステップに対応している。また、ステップS104が測定ステップに対応し、ステップS105が層別ステップに対応し、ステップS106が基準グループ設定ステップ及び駆動電圧割当ステップに対応している。また、ステップS202が基準吐出パターン設定ステップに対応し、ステップS204が第2割当ステップに対応している。
【0056】
本実施形態では、カラーフィルターの製造に適用され得る液滴吐出装置200が例示されているが、液滴吐出装置200の適用は、これに限定されない。
液滴吐出装置200は、例えば、プラズマディスプレイ装置における蛍光膜の形成、有機ELディスプレイにおける素子膜の形成、電気回路における導電配線や抵抗素子の形成などにも適用され得る。
また、実施形態の各構成はこれらを適宜組み合わせたり、省略したり、図示しない他の構成と組み合わせたりすることができる。
【符号の説明】
【0057】
11、12…ヘッド、16…圧電素子、200…液滴吐出装置、300…設定装置、302…制御回路基板、n…ノズル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液状体を吐出する複数のノズルの前記ノズルごとに設けられた駆動素子を駆動するための駆動電圧を設定する駆動電圧設定方法であって、
前記複数のノズルの前記ノズル間における液状体の吐出量のばらつきを軽減する前記駆動電圧を、複数の吐出パターンの前記吐出パターンごとに設定する第1ステップと、
前記第1ステップの後に、前記吐出パターン間の前記吐出量の差を軽減する前記駆動電圧を設定する第2ステップと、を含み、
前記第1ステップは、
前記吐出パターンにおいて使用される前記ノズルである使用ノズルごとの前記吐出量を測定する測定ステップと、
前記測定ステップでの測定結果から、前記吐出量を複数のレンジに層別することによって、複数の前記使用ノズルを複数のグループに区分する層別ステップと、
前記複数のグループのうち前記吐出量が最小である前記レンジに対応する前記グループを基準グループとして設定する基準グループ設定ステップと、
前記基準グループにおける前記駆動素子に対して基準駆動電圧を割り当て、他の前記グループにおける前記駆動素子に対して、前記基準駆動電圧よりも低い前記駆動電圧を割り当てる駆動電圧割当ステップと、
を含み、
前記第2ステップは、
前記複数の吐出パターンのうち、前記第1ステップ後に前記吐出パターンごとの前記吐出量が最小となる前記吐出パターンを基準吐出パターンとして設定する基準吐出パターン設定ステップと、
前記基準吐出パターンの他の前記吐出パターンに対する前記基準駆動電圧を、前記基準吐出パターンに対する前記基準駆動電圧よりも低い低減駆動電圧に設定し、前記他の吐出パターンの前記基準グループにおける前記駆動素子に対して前記低減駆動電圧を割り当て、且つ前記他の吐出パターンにおける他の前記グループにおける前記駆動素子に対して、前記低減駆動電圧よりも低い前記駆動電圧を割り当てる第2割当ステップと、を含む、
ことを特徴とする駆動電圧設定方法。
【請求項2】
前記駆動電圧割当ステップでは、前記基準グループに対応する前記レンジである基準レンジに属する前記吐出量の平均値と、他の前記レンジに属する前記吐出量の平均値との差に応じた係数を前記基準駆動電圧に乗じることによって算出される前記駆動電圧を、他の前記グループにおける前記駆動素子に対して割り当てる、
ことを特徴とする請求項1に記載の駆動電圧設定方法。
【請求項3】
前記基準吐出パターン設定ステップでは、前記複数の吐出パターンのうちで、前記吐出パターンごとの前記使用ノズルの前記吐出量の平均値が最小となる前記吐出パターンを前記基準吐出パターンとして設定する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の駆動電圧設定方法。
【請求項4】
前記第2割当ステップでは、前記基準吐出パターンにおける前記使用ノズルの前記吐出量の平均値と、前記他の吐出パターンにおける前記使用ノズルの前記吐出量の平均値との差に応じた係数を前記基準駆動電圧に乗じることによって算出される前記駆動電圧を、前記低減駆動電圧として設定する、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の駆動電圧設定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−157839(P2012−157839A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−20417(P2011−20417)
【出願日】平成23年2月2日(2011.2.2)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】